説明

回転機械内の又は関連する改良

回転機械、例えばターボ機械は羽根車等の回転部品を有しており、これが部品の過去の使用に関連するデータを記憶するメモリデバイスを含む。データは、回転部品上或いはその外部のいずれかの検出器が検出する回転速度と周囲温度に関連するものである。記憶データは時間経過に合わせ採取された生の温度データや速度データであり、それらはそこで低周期疲労及びクリープ損壊値の導出に使用される。これらの疲労値とクリープ値は片や部品の負荷特性と相関をとり、部品に関する経過寿命値に到達する。さもなくば、記憶データは部品の疲労値とクリープ値及び/又は好ましくは経過寿命値と残存寿命値とすることができる。第2実施形態では、検出器は評価ユニットと共に機械ケーシング上に配置する。評価ユニットは温度と速度データを取り込み、これらのデータから損壊値、すなわち消失寿命値と残存寿命値とを算出する。これらの寿命値及び/又は損壊値は評価ユニット内に局部的に記憶させるが、回転部品内或いはその上のRFタグへ所定時刻に送信もする。両実施形態とも、回転部品はその使用の履歴に基づきその固有の寿命データを含む。その結果、特定の環境において部品が安全に再利用できるか、或いはこの種再利用中に故障しそうかどうかを常に知ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部品を含む回転機械と、回転部品が羽根車である場合のターボ機械である回転機械とに関するものである。本発明は、回転部品自体にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、ディーゼルエンジン環境において当たり前に使用されている。ディーゼルエンジンは、ますます増加するターボチャージャ圧力レシオを必要とすることが判っている。事実、多くは増大する厳しい排ガス規制の結果として10年位を程度に0.75バールの増加が要求されると予想されてきた。圧力レシオ要件が増大するにつれ、ターボチャージャの羽根車に対する応力や温度が増大し、そのことが羽根車の最大動作寿命に影響を及ぼすことがある。その結果、故障に至るほど羽根車を長期に亙り稼働状態に置くのを排除するよう試みる必要性がある。
【0003】
これを達成するため、一つの手法は羽根車の通常の寿命、一般的には50,000時間を提示するよう想定された一定長の時間後に羽根車を交換するものであった。しかしながら、このことは羽根車の寿命がこの数値を下回る場合に可能性のある羽根車故障を招くことがある。代替的手法は、通常の伝統的期間を置いて羽根車部品を変えるものである。しかしながら、これは通常はターボチャージャ内のそれらの寿命の一部について、これらの部品は動作していないか或いはそれらの通常の仕事量特性(すなわち、特定負荷における公称時間数やサイクル数等)未満で動作しているという事実を無視するものである。これ故、ターボチャージャ所有者と製造業者に追加コストが課せられる。同様に、改装ターボチャージャの製造業者はごく頻繁に、最小寿命要件に安全に合致するよう新規羽根車の組み込みを決定することになる。このことが、取り外した羽根車が未だその有効寿命終端に至っていない場合に費用代償を有することにもなる。
【0004】
羽根車の故障を排除すべく時として採用されるさらなる対策は、目下標準とされるアルミニウムを母材とする材料から改良された機械的強度をもたらすチタンを母材とする材料へ切り替えるものである。しかしながら、これは相当の動作安全余裕をもたらすことができるが、それは通常ターボチャージャの費用を明らかに望ましくはない30%ほど増すものとなる。
【0005】
或る種の状況にあっては、制限された羽根車寿命の問題点を全て単純に無視し、羽根車をしばしばその動作限界の極めて近くで動作させることになる。これは、羽根車が故障した場合に生命財産を危険にさらすリスクを負いかねず、その結果として製造元の評判は悪くなる。
【0006】
既に概括した手法の欠点を排除する異なる手法は、任意の特定時刻において羽根車の最大寿命のどの程度を消失したかを出来得る限り高精度で判定し、残存寿命の推定ができるよう試みるものである。この知識により、出来る限り多くの羽根車の総寿命が活用できるようになる。
【0007】
羽根車の最大寿命は、二つの制限因子、すなわちクリープ疲労と低周期疲労とに依存する。クリープは特定の応力における経過時間と羽根車の温度とにより影響を強く受け、一方で低周期疲労は羽根車のピーク応力と反復仕事量とにより影響を受ける。クリープ疲労箇所と低周期疲労箇所は通常は一致しないが、クリープが疲労亀裂を誘発する可能性はある。応力は、主に羽根車の回転速度の関数である。しかしながら、羽根車内の温度分布が応力を生成することもあり、これが全体的な応力レベルに加算されることになる。このことは、冷間始動や温度分布が定常状態に達する前の急激な負荷変動など、羽根車がその過渡状態において動作するときに、特に悪化するものである。羽根車温度は周囲温度と羽根車速度の関数であるが、一方で羽根車の反復仕事量はターボチャージャ速度における変動の回数及び性向の関数となる。羽根車が蒙ることになる損壊は、その動作周期の知識から算出することができる。この計算は、推定された恐らくは極限の仕事量に基づき羽根車の設計において定石通りに実行され、そこで部品寿命が見積もられる。通常、これが先に触れた如く50,000時間となるのである。同様の仕方で、所与の時間期間と導出された経過寿命に対する疲労を踏まえ、使用済み羽根車内に累積した損壊量について一つの推定を行うことができる。羽根車の残存寿命は、そこでこれを根拠に推定することができる。
【0008】
ターボチャージャ羽根車を安全稼働させる安全設計概念の一例が、いわゆるABBが開発した「SIKO」プログラムである。2003年にABBにより出版された刊行物「Turbocharger Maintenance: Optimizing Preventive Maintenance(ターボチャージャの保守:予防的保守の最適化)」に概括されたこのプログラムは、幾つかのモジュールに分割されており、すなわち
・負荷特性(ターボチャージャの動作条件)の割り出しと、
・羽根車材料特性の割り出しと、
・二次元又は三次元の有限要素分析を用いた応力分布及び温度分布の割り出しと、
・線形Palmgren−Minerルールを用いた累積的損壊の割り出しと、
・累積的損壊からの消失羽根車寿命の算出とである。
【0009】
すなわち、羽根車材料特性に関するデータに基づき、材料内の応力計算と温度分布、すなわち羽根車寿命計算を所与の負荷特性について実行することができる。この算出は、コンプレッサとタービンの各危険位置について実施する。
【0010】
回転機械の寿命を導出するためのターボジェットや他種エンジンの動作速度や温度の採取値の使用は、1980年10月25日に発行されたロシア特許発明第773657号明細書からも公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
羽根車の動作周期は、僅かでも保存されておれば、エンジン動作記録から解釈することができる。これらの記録にはターボチャージャの速度と吸気温度とを含めることもでき、エンジン管理システム内に保存し、かくしてエンジンにリンクさせる。一般に、1日ごとに一つの動作点について記録を保存する。実際には、保守目的に定期的間隔(例えば、15,000時間ごと)か或いは作業上の偶発的出来事の結果としてターボチャージャはエンジンに対し定期的に交換される。取り外され、依然として同じ羽根車を収容しているターボチャージャは、そこで異なるエンジンや恐らくは異なる動作周期を含むであろう異なる用途(例えば、発電所や舶用エンジンや蒸気機関車等)にさえ用いることができる。
【0012】
羽根車やターボチャージャ全体がその寿命期間に亙り幾つかの異なるエンジンに使用され得る高い確率が故に、その残存寿命の正確な評価を下す上でその期間に亙りあらゆる信頼性をもってその仕事量を監視することが困難であることが分かってきた。
【0013】
それ故、羽根車の経過寿命をより大きな信頼性をもって評価する方法を提供する必要がある。加えて,ターボチャージャが経験する走行条件や走行周期をより正確に規定できるようにすることが望ましい。これらの周期は、通常は先に触れた如く1日1回ではなく数秒の期間を上回って変化することがある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明の第1の態様によれば、部品の過去の使用に関するデータを記憶する第1のメモリデバイスを備える回転部品が提供される。
【0015】
このデータには、部品の回転速度値と部品の1つ以上の部分の温度値又は部品の周囲温度値を含ませることができる。
【0016】
このデータには部品が蒙る損壊値を含ませることができ、この損壊は部品が蒙る疲労損壊やクリープ損壊とすることができる。疲労は、低周期疲労及び/又は高周期疲労とすることができる。好ましくは、この損壊は部品が蒙る累積的損壊である。
【0017】
このデータには、部品の消失動作寿命及び/又は部品の残存動作寿命を含ませることができる。
【0018】
このデータには、部品の経年劣化に起因する部品の材料特性における変化に関連するデータを含ませることができる。
【0019】
このデータには、第1のメモリデバイスの識別番号と回転部品が動作してきた期間の総時間数と回転部品が受けた総始動回数のうちの1つ以上を含ませることができる。
【0020】
回転部品にはさらに、回転速度を検出する速度検出器や、温度を検出する温度検出器や、速度値と温度値を採取し、速度値と温度値とからデータを導出し、第1のメモリデバイスにデータを書き込む処理手段を含ませることができる。温度検出器は熱電対やサーミスタとすることができ、速度検出器は、検出コイルやホール効果デバイスや回転部品の振動を計測する加速度計や前記回転部品内或いはその上の可撓性部品に取り付けた歪ゲージで、回転部品の荷重下で前記可撓性部品が歪む歪ゲージのうちの一つとすることができる。
【0021】
回転部品にはさらに、処理手段用の時間基準値を提供するクロック信号源を備えることができる。
【0022】
この部品は、例えば回転電機のロータやターボ機械の羽根車、或いは車輪とすることができる。
【0023】
少なくとも第1のメモリデバイスは都合良くはロータの端面又はその近傍に配置するか、或いは好ましくはロータの長手方向軸上又はその近傍に配置することができる。端面或いはその近傍には、第1のメモリデバイスが記憶するデータを読み出す手段を配設することができる。
【0024】
少なくとも第1のメモリデータが、好ましくはRF中継器である中継器の一部である場合には好都合である。
【0025】
本発明の第2の態様では、前記した回転部品で構成した回転機械が提供される。
【0026】
本発明はさらに、その第3の態様において回転機械を提供するが、それは前記回転部品で、さらに受信手段を備える回転部品と、該回転部品以外の回転機械の一部の内部又はその上に配置した速度検出器と温度検出器と評価手段とを備え、評価手段が第2のメモリデバイスと送信手段を含み、評価手段を速度検出器と温度検出器とに接続し、速度と温度を採取し、採取した速度値と温度値から回転機械の過去の使用に関連するデータを導出し、このデータを第2のメモリデバイスに記憶させ、第2のメモリデバイスに記憶させたデータの一部又は全部を送信手段により所定時刻に回転部品へ送信し、回転部品が前記データの前記一部又は全部を受信手段により受信して第1のメモリデバイスに記憶させるものである。
【0027】
第4の態様では、回転機械は、前記した回転部品で、さらに受信手段を備える回転部品と、該回転部品以外の前記回転機械の一部の内部又はその上に配置した速度検出器と温度検出器と評価手段とを備え、評価手段が第2のメモリデバイスと送信手段を含み、評価手段を速度検出器と温度検出器とに接続し、速度と温度を採取し、採取した速度値と温度値から回転部品により蒙った累積的な疲労及びクリープ損壊の量を導出し、この量を第2のメモリデバイスに記憶させ、累積的な疲労及びクリープ損壊の量から回転部品の消失寿命値を導出し、この値を第2のメモリデバイスに記憶させ、消失動作寿命値と推定最大寿命とから回転部品の残存動作寿命値を導出し、この値を第2のメモリデバイスに記憶させ、第2のメモリデバイスに記憶させたデータの一部又は全部を送信手段により所定時刻に回転部品へ送信し、回転部品が受信手段により前記データの前記一部又は全てを受信し、それを第1のメモリデバイスに記憶させる。
【0028】
好ましくは、第1のメモリデバイスは中継器の一部であり、この第1のメモリデバイスが中継器の識別記号を記憶する。
【0029】
評価手段は、第2のメモリデバイス内に識別記号と、下記のさらなる情報、すなわち回転部品が動作してきた期間中の総時間数と回転機械が受けた総始動回数の一方又は両方をさらに記憶させるよう構成することができる。
【0030】
新規のさらなる情報値及び残存動作寿命値をもって第1のメモリ装置を更新する前に、評価手段は、第2のメモリデバイスが保持する識別記号とさらなる情報の既存値を第1のメモリデバイスが保持する対応値と比較し、それらの値が同一である場合に、続けて新規値を第1のメモリデバイスに記憶させる。
【0031】
評価ユニットは、周期的間隔及び/又は回転部品が回転を停止したとき及び/又は回転部品を取り外すときに、新規値の比較と送信を行う構成とすることができる。
【0032】
評価手段は、機械に異なる回転部品を適合させたときに、異なる回転部品の第1のメモリが記憶する残存動作寿命値や識別記号やさらなる情報を読み取り第2のメモリに記憶させるよう構成することができる。
【0033】
回転機械は、異なる回転部品が未使用部品であるときに、残存動作寿命値とさらなる情報値をそれぞれ最大値とゼロとするよう構成することができる。
【0034】
回転機械は、機械への異なる回転部品の適合に続き、第2のメモリデバイスが記憶する値を第1のメモリデバイスが記憶する値の修正版とするよう構成することができる。
【0035】
好ましくは、この機械は、中継器が正規の中継器ではないか或いは中継器が作動していないと判定されたときに、保守目的に警報を起動するよう構成する。
【0036】
送信手段は、RF送信手段とすることができる。同様に、中継器はRF中継器とすることができ、能動的中継器とすることもできる。
【0037】
回転機械はターボ機械とすることができ、回転部品はターボ機械の羽根車とすることができる。
【0038】
評価手段は、第1のメモリデバイスに記憶させたデータを読み取り、このデータを回転部品とは別個のディスプレイ上に表示するようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の実施形態を、添付図面の助けを借り、純然たる例示によりここで説明することにする。
【0040】
本発明になる羽根車の第1の実施形態が、図1と図2に示してある。ロータ11の一部である羽根車10はデータ自動記録装置12を含んでおり、これが回転速度に関するデータと羽根車に流入する空気の周囲温度又は羽根車自体の局部温度のいずれかに関係するデータを記憶するメモリ14を備える。メモリ14と共に、回転速度を検出する検出器16と、羽根車の温度(或いは周囲温度)を検出する検出器18と、検出器が出力する波形を方形波に整形する信号整形段20,22と、クロック信号源24と、アナログ/デジタル変換器26と、デバイスの各種動作を調整するコントローラ30と、点検間(通常は2年ごと)で各種部品を給電する十分な容量をもったバッテリ28とが含まれる。使用時に、A/D変換器26が速度検出器と温度検出器の出力を逐次採取し、コントローラ30を介してこれらの値をメモリ14へデータとして送り込む。クロック信号源24は、適当な周波数又は複数の周波数からなるクロック信号を供給して前述の採取処理をトリガーする。図示の好適な実施形態では、メモリと検出器とコントローラと他の部品は羽根車のその長手方向軸34に沿って鼻部32に収容してある。軸34の配置が正確である場合、ロータの不釣り合いは殆どないか皆無であり、そのことが設置経費を節約するのに役立つ。
【0041】
温度検出器は熱電対或いはサーミスタとすることができ、一方で速度検出器は羽根車の可撓性部品上に装着した歪ゲージの形を取らせ、これにより検出器からの信号を羽根車の回転期間中に遠心方向負荷を受けたときに可撓性部品の歪に関連させることができるようにしてある。この種歪は、羽根車の速度に比例しよう。さもなくば、羽根車の振動を監視する加速度計を用いることもできる。これらの振動周波数は羽根車の回転速度により支配されることになるため、加速度計は調整後の回転速度に比例する信号を出力することになる。さもなくば、加速度計は羽根車の回転からの遠心力にさらされる速度の検出に用いることができる。この解決策は、振動準拠手法よりも電力とバッテリ容量の処理に対する厳しい要求は少ない。
【0042】
本実施形態は、データ自動記録装置の部品が図示の如く羽根車の鼻端に位置する状況に限定はされない。これらの部品の一部又は全ては、羽根車の他の部分、例えば羽根車の端面から離間させかつ/又は長手方向軸34から離間させて配置することができる。この一例が、図3に示してある。図3は、回転速度を表す信号を供給する磁石と磁石センサの組み合わせを使用するさらなる代替速度検出方法を示すものである。永久磁石50が羽根車10の周面に隣接配置してあり、任意の便宜的位置のターボチャージャケーシングに組み付けてある。その径方向外部領域の羽根車上或いはその中に配設したのが検出コイル52であり、これが羽根車の回転に合わせ交番信号を出力する。これらの信号は、回転速度の指示を提供するのに用いられる。しかしながら、加えてそれらはデータ自動記録装置12内の電子部品に給電する直流電圧レベルを供給する記録整流器装置(図示せず)に給送することもできる。図3はまた第1の磁石に対し径方向に対向する第2の磁石50'の可能な使用を示し、それによってコイル52は羽根車の一回転ごとにではなく半回転ごとに信号偏移を出力することができる。これ故、コイル信号の周波数は磁石50を一個しか用いない場合になる筈のものの2倍となり、これにより整流段からの直流電圧の効果的な平滑化がより小型の平滑コンデンサの助けを借りて達成できるようになる。
【0043】
磁気誘導によるこの種給電の使用は、純然たるデータ保持目的に非常に小型のバッテリ28の使用を可能にする、すなわちメモリ14を不揮発性とする利点があるが、それらがデータを保持できるようにするバッテリのバックアップを必要としないメモリが利用可能である。さらに、この種磁気誘導電源はロータが静止していたときは無効となる筈であるが、ともかくこのロータのこの状態にはより少ない処理しか必要なく、かくしてより少ない電力しか必要なくなる。その結果、これは欠点とはならない。
【0044】
図3に関連させ、磁石に十分近接配置してそこからの磁束を検出すべく、コイル52を長手方向軸34から径方向にオフセットさせることを前提としている。この場合は、オフセット荷重が故に或る種の形態の羽根車の釣り合いが必要となることを前提とするものである。
【0045】
データ自動記録装置12の各種電子部品は、都合良くは信号マイクロチップ内に組み込まれる。バッテリは、定期的に交換すべきであり、好ましくは修理技術者が簡単に取り外すことのできる保護キャップ背後の鼻端32に収容する。図3の速度検出構成を用いた場合、そのときはデータ自動記録装置を都合良くは給電目的にコイルと整流回路網と同じ場所に配置する。バッテリと併せ、メモリに結合したコネクタ装置は保護キャップの背後に配設し、これによりメモリに保存されたデータがキャップの取り外しに続き即座に読み出せるようにしてある。これ故、データ自動記録装置との通信を本来機械式とすることを構想するものである。それにも拘らず、本発明は光学式や無線式を含む他の通信形態の使用もまた構想するものである。
【0046】
検出器16,18を較正するため、メモリ14に記録した速度及び温度データをメモリから読み出し、実際のエンジン動作記録と比較する。二つのパラメータに関するあらゆる必要な較正因子を下記に説明する外部処理手続き期間中に使用すべく外部記録するか或いはコントローラ30によりメモリ14自体に書き込み、そのメモリの記憶データに対する演算に使用する。
【0047】
ターボチャージャの較正に続く通常の使用期間中に、メモリ14が記憶する速度及び温度データを読み出し、外部コンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)へ給送し、ここでそれらを適切なアルゴリズムにより演算するが、このアルゴリズムはABB「SIKO」概念が採用するものと同様か或いは同一にさえできるものである。一実施形態では、メモリ14は速度の周期的サンプル値(例えば、10秒ごとに1サンプルで、この期間はクロック信号源24から導出される)を記憶し、外部コンピュータアルゴリズムが全ての速度変化の最小値と最大値を算出し、これら二つの値を用いて当該種の羽根車に関する疲労損壊の評価に到達する。同様に、メモリは流入口温度の周期的なサンプル値を記憶し、これらの値は速度値と併せ、コンピュータアルゴリズムにより操作してクリープが危険である羽根車の特定箇所の応力と温度の評価に到る。記録された条件での羽根車による経過時間の記録と併せたこれらのデータを用い、クリープ損壊を算出する。クリープ損壊と疲労損壊をそれらが相互作用することを前提にそこで複合し、羽根車寿命における全体的な低減を評価することができる。さらに、この低減を羽根車の予想総寿命と比較することで、残存寿命に関する疲労を導出することができる。
【0048】
代替的な文脈は、羽根車内のデータ自動記録装置が消失寿命と恐らくは残存寿命の必要な計算を実行するというものである。その場合に、データ自動記録装置から読み出される全てがそもそもこれらの寿命数値となる。
【0049】
採取する温度は通常はターボチャージャの流入口における周囲温度であるが、クリープの計算に関連する温度がクリープが最も起きそうな箇所、すなわちターボチャージャ圧縮動作に起因する温度の上昇を蒙る箇所のものであることを念頭に置かれたい。しかしながら、これらの二つの温度は羽根車の回転速度を考慮することで即座に相互に関連付けられる。より厳密には、所与の半径rにおける羽根車の温度Tは、
【0050】
【数1】

【0051】
で与えられ、ここでTambは羽根車流入口における停滞温度(通常は周囲温度)であり、Ωはラジアン/秒でのロータ速度であり、Cpは一定圧力での空気の比熱容量であり、kは幾何構造関連変数であって、羽根車の幾何構造に依存する経験的範囲値を有するものである。典型的な範囲は、例えば1≦k≦2である。kは、羽根車表面の特定の場所に関する定数である。空気を圧縮する箇所の羽根車の表面についてはk=1であるのに対し、クリープが重要である箇所の部品を含む他の部分、典型的には羽根車の背部では、kは1を上回ることがある。
【0052】
先の段落において概括した累積的損壊判定技法の特定の例は、いわゆる公然利用可能な文献に記載されたPalmgren−Minerルールである。このルールは、因に先に概括したABB「SIKO」概念に採用されているが、本体(この場合、羽根車)が所定量の損壊Dに耐え得ることを前提とするものである。その本体がN個のソースから損壊Di(ただし、i=1,・・・,N)を蒙る場合、この故障は下記時点で生ずると予想される。
【0053】
【数2】

【0054】
さもなくば、
【0055】
【数3】

【0056】
が部品の故障を規定し、ここではDi/Dがi番目のソースから受ける部分的損壊となる。
【0057】
線形損壊概念は、部品が交播応力σ1にてn1周期にさらされ、交播応力σ2にてn2周期にさらされ、・・・交播応力σNにてnN周期にさらされる状況を考慮することで疲労損壊を割り出すのに使用することができる。この本体を構成する材料に関するS−N曲線から、故障に至る周期数を割り出すことができる。この数値はσ1でN1であり、σ2でN2であり、・・・σNでNNである(図4参照)。
【0058】
応力レベルσ1での部分的損壊は、単純にn1/Niとして定義することができる。Palmgren−Minerルールは、疲労故障が下記時点で発生すると明記している。
【0059】
【数4】

【0060】
実働中の本技法の一例を挙げるに、一つの部品をその総寿命の10%が交播応力レベルσ1と30%のσ2と60%のσ3にて費やされる疲労にさらしたものと仮定する。本材料のS〜N線図から、σiにおける故障に至る周期数がNi(i=1,2,3)である場合、そのときはPalmgren−Minerルールから、下記時点で故障が発生する。
【0061】
【数5】

【0062】
かくして、nについて解くことで、下記が得られる。
【0063】
【数6】

【0064】
これは、問題の材料ならびに本体に関する故障に至る総周期数である。この場合、羽根車が既に経験した周期数はデータ自動記録装置に含まれるデータから既知となるであろうから、既に消失したその総寿命の一部の推定を行うことができる。かくして、これが特定の材料で出来た特定の羽根車に関する経過寿命と残存寿命の両方の指示をもたらす。
【0065】
直前に提示した分析は疲労損壊にのみ関係するものであるが、クリープを考慮するよう拡張することもできる。クリープ損壊と疲労損壊を合わせた影響を加算する直裁的な方法を、ここで説明することにする。
【0066】
特定の負荷における周期(前記ni,i=1〜N等)と動作時間を、下記の如く処理する。上記周期に加え、羽根車が3個の負荷(I4,I5,I6)で稼働し、各負荷が周囲温度(T4,T5,T6)と回転動作速度(R4,R5,R6)により特徴付けられ、羽根車が3回の時間期間(t4,t5,t6)に亙りこれらの負荷にて稼働してきたものと仮定する。通常は有限要素分析を用いてクリープ損壊について羽根車を分析することで、クリープが原因で故障に至る時間(H)を温度と回転速度の関数として算出することができる。この情報は図6のテーブルに酷似するルックアップテーブルに記憶させることができ、それを下記により詳しく説明するが、この場合テーブル内のデータはその状態で経過した時間(t)ではなく、所与の状態で故障に至る時間(H)となる。この種テーブルを用いることで、3個の条件に関連する故障に至る時間(H4,H5,H6)を評価することができる。3個の負荷に関連する損壊は、そこで疲労損壊に対するのと類似の仕方、すなわちt4/H4+t5/H5+t6/H6と算出することができる。すなわち、拡張した例にあっては、クリープと疲労との間の最も単純な形態の相互作用を用いることで、総部分損壊はn1/N1+n2/N2+n3/N3+t4/H4+t5/H5+t6/H6として評価される。羽根車の動作に関連する全ての疲労及びクリープ損壊部品の総和が1を超えると、羽根車の寿命は尽きたものと考えられる。
【0067】
線形Palmgren−Minerルールは多くの場合に良好な結果をもたらすことができるが、それはロード順序(すなわち、σ2が来るのがσ1(或いは上記の例のσ3)の前なのか後なのか)が重要性を全く持たないことを前提とする欠点を有している。実際には、これは事実ではないかも知れない。
【0068】
上記の線形法の欠点を排除するため、累積損壊の導出に幾つかの非線形損壊評価法のうちの一つを使用することが可能である。線形方法を加えたこれらの方法は、例えばワシントン州シアトル市のワシントン大学により刊行され、教科過程を2005年6月27日に修正した卒業研究論文「ME541−Fatigue of Materials, Lectures 12&13(機械工学541−材料疲労講義12,13)」に記載されている。
【0069】
直前に説明したデータ記憶装置は、温度サンプルと速度サンプル(所定レート、例えば10秒ごとに1サンプル)をターボチャージャ外部での続く処理用にメモリ14に記憶させることを前提とするものであった。この手法の一つの欠点は、2年の一般的稼働期間に亙るこの種データの記憶に必要なメモリ記憶容量が膨大なものとなる点にある。著しく少ない容量しか必要としない異なる手法はいわゆる「データ区分処理」を用いるもので、ここではデータは棒グラフのデータ域群とは異なり、幾つかの離散データ域の一つへ配置される。この一例が図5に図示してあり、ここで列見出しは温度域(0〜5℃や5〜10℃等)を表し、その一方で行見出しは速度域(10000−10999rpmや11000〜11999rpm等)を表す。図5のテーブル本体は、特定速度域(「速度区分」)内でかつ同時に特定の温度域(「温度区分」)内で羽根車が稼働した時間数について一部の代表的数値を含む。かくして、図示の例では、羽根車は13000〜13999rpmで5℃〜10℃で6時間に亙り稼働させてある。同様に、それを10000〜10999rpmで20℃〜25℃で8時間に亙り稼働させてある。記録時間は、データ自動記録装置内のクロック信号源により規定される。これらのデータは、羽根車の経過寿命を導出することのできるクリープの算出に用いられる。この種算出には、例えばルックアップテーブルの使用を含め得る。
【0070】
同様に、経過時間の算出に必要な他の主要パラメータ、すなわち疲労は所与の時間期間内に羽根車が受けた加速と減速の回数から算出することができる。ここでも、ルックアップテーブルを用いて疲労値を導出し得る。この一例が、図6に示してある。図6中、所与の時間期間に亙る低速域から高速域までの加速回数と同じ時間期間に亙る高速域から低速域までの減速回数からなる指示値が提示してある。すなわち、図6に示したテーブル中、特定の時点までの羽根車寿命に対応する期間に亙り、羽根車は11501〜12000rpm区分から10500〜10999rpm区分までに4回減速し、12501〜13000rpm区分から14000〜14999rpm区分までに56回加速している。ここで、各区分ごとの加速/減速の回数は離散応力レベルに関する周期数に対応する。かくして、正確な値ではなく、一つの範囲として概略の或いは等価な応力レベルが用いられる。
【0071】
全データ記憶技法或いは直前に説明した低減データ記憶技法を用いるかどうかによらず、図3内のクロック24用の実時間クロックを使用する必要はなく、何故なら採取した速度値及び温度値と実時間との相関は一切生じないからである。かくして、クロックは簡単な局部水晶時計構成とすることができる。
【0072】
直前に説明したこの第1の実施形態は、従来技術方法に対し、羽根車を特徴付ける関連データが特定エンジンや羽根車を使用したり或いは使用中のエンジンに関連する外部メモリにではなく羽根車自体に保持されるという利点を有する。これ故、任意の時点での経過寿命をメモリ14が記憶するデータを処理することで割り出すことができ、かくして残存寿命の正確な評価を行うことができる。これは、別のターボチャージャ及び/又は別のエンジン環境にて羽根車を再採用することを望むか、或いは単純にその現在のターボチャージャ及びエンジン環境において羽根車の残存寿命がどの程度あるか知ることを望むときでさえ、有益である。羽根車自体は、それを使用してきた環境とは関係なく、常にその経過寿命に対する最新のデータを含む。かくして、直前に記述した対策により他のターボチャージャ部品を損壊したりターボチャージャの作動に係わりをもつ要員の生命と四肢に危害を及ぼす何らかの相当の危険を招くことなく、羽根車をほぼその予期寿命全体に亙り使用できるようになる。他のターボチャージャ部品用の交換費用はかくして最小化され、或いはリスクを背負いかねない修理要員にとっても保証が割増しされる。
【0073】
改装を予定しているか或いは異なるエンジンにて使用しようとするターボチャージャに関しては、前記した実施形態は羽根車を自信を持って再利用できる結果を有する。
【0074】
本発明の第2の実施形態が、図7に示してある。本実施形態では、羽根車には再度データ記憶用メモリを収容させてあるが、速度及び温度検出機能はターボチャージャハウジングの適当な部分に収容した速度検出器60と温度検出器62により羽根車外部で果される。図示の例では、誘導式HFプローブである速度検出器が羽根車の鼻端近傍に配置してあり、一方で熱電対である温度検出器がターボチャージャの吸気端に配置してある。
【0075】
2つの検出器60,62の出力は、評価ユニット64へ給送される。ユニット64はアンテナ66を備えており、これによりそれはRF中継器の一部である対応アンテナ68や或いは第1の実施形態に関連して触れたメモリ(図示せず)と共に羽根車10の鼻端に位置する「タグ」と通信することができる。このタグは、それ自体公知のものであり、好ましくはGHz域で動作する。RFタグは、例えば家畜や追従コンテナや自動識別車両を識別する識別装置として一般に使用されてきている。それらは、能動型或いは受動型のいずれともすることができる。能動的タグはそれらの固有バッテリにより給電されるのに対し、受動的タグはタグ上の電子部品の給電に入来受信信号を用いる。このことは、この場合に電源を形成するよう整流される信号が磁気誘導から発生するのではなく、アンテナ66からアンテナ68へのRF送信から発生する点を除き、図3の速度検出構成と同様である。
【0076】
GHz域で動作するタグを使用することは、都合良きものとし得る。周波数域の重要な利点は、タグの小型化に役立つ小型アンテナしか必要としない点にある。RFタグ用の適切な読み書きチップの一例は、Hitachi Maxellの子会社であるMaxell Corporation of Americaが生産しているものである。このチップは、1キロバイト〜4キロバイトの間の範囲の容量を有しており、その内蔵型アンテナを含め2.5mm角しかない。アンテナは、コイル・オン・チップ(登録商標)設計に基づくものであり、ここでアンテナは半田付けの必要性を伴なうことなくチップ表面に直接形成してある。このことが、より大きな信頼性をもたらす。
【0077】
検出器60,62により時間と共に検出される温度値と速度値は、先ず評価ユニット64内のローカルメモリに記憶させられる。これらの値、或いはそれらから導出される値(例えば、累積的損壊や消失/残存寿命)がそこでタグアンテナ68へ送信される。これは定期的に、例えば1日1回或いは1週間に1回又は羽根車の寿命における戦略的時点のいずれかに行うことができる。この種時点は羽根車の休止時間、例えばエンジンが静止していたり、或いは羽根車をターボチャージャから取り外したときとすることができる。
【0078】
能動的タグ或いは受動的タグを用いるかどうかは、二つの主要因子に依存する。第1に、バッテリを交換しなければならない時点での点検諸経費及び無論バッテリ自体の費用である。第2に、評価ユニットアンテナ66とタグアンテナ68との間の予想距離である。通常、この距離が大きい場合、バッテリとかくして能動的タグが必要となろう。タグバッテリの平均的な動作寿命はほぼ5年であり、それは点検諸経費に関し過度に煩わしいものではない。これに基づき、2本のアンテナ間の距離範囲に応ずることができるようにすることが望ましいと仮定すると、しばしば能動的タグが好ましい。しかしながら、速度検出器に隣接させてターボチャージャ壁上に評価ユニットを組み付けることは可能である。これがタグアンテナへの送信距離を低減する筈であるが、タグ内の何処にアンテナを配置したかに応じて送信品質に悪影響を及ぼすこともある。
【0079】
評価ユニット64とタグの両方、ただしその小型の大きさに鑑みて特にタグ内に記憶させるデータ量を低減すべく、第2の実施形態の好適な実施は、時間と共に採取した全てのデータを記憶はしないものの、速度及び温度データ群を用いてその動作期間中に羽根車に加えられた累積的損壊を算出する。本方法では、所定時間期間に亙り羽根車が遭遇した負荷と応力が評価ユニット内に集積され、等価寿命を含むそのユニット内のデータベースと比較される。換言すれば、第1の実施形態の処理と同様、写像は累積的損壊値から対応する使用寿命値へなされる。タグへ送信されるのは、その使用寿命値である。評価ユニット64内の前述の所定期間の終端で算出した各使用寿命値は、累積的使用寿命推定値を更新すべく先の所定期間に関連する先の使用寿命値へ加算される。この累積的使用寿命予測値は、そこでタグへ送信される。
【0080】
羽根車メモリの大きさに応じ、そのメモリに記憶させるデータ量を制限することが望ましいかも知れないが、通常は評価ユニットメモリ内に保存されたデータ量を制限する全く同じ誘因は存在しない筈である。これは、評価ユニットが通常は相当に大型のユニットの一部となり、それ故に羽根車メモリよりも相当に大きな容量を有するからである。その結果、一方でこの生データから導出された低減された量のデータを羽根車メモリへ送信するだけの間に、評価ユニットメモリ内の採取工程により生成する全ての生データを記憶することが実行可能とされる筈である。事実、本発明は、評価ユニット内の第2のメモリ内の生データに分析目的で後程アクセスして、恐らくは羽根車が蒙る損壊に関するより詳細を導出する状況を構想するものである。
【0081】
累積的使用寿命値に代え或いはこれに加え、残存寿命の推定を行ってタグへ送信する。さらなる代替例として、累積的損壊値は累積的使用寿命及び/又は残存寿命値に代え或いはこれに加え送信することができる。累積的損壊値だけをタグへ送信する場合、そのときはこれらの値をタグから検索したときに、評価ユニットがそれらを使用して前述の写像処理により羽根車の経過寿命を算出する。
【0082】
第2実施形態の好適に実施において、タグは先ず羽根車の識別番号とタグの識別番号を含むID情報をロードされる。そこで、タグには前述の累積損壊及び/又は使用寿命値が定期的にロードされる。しかしながら、加えて羽根車が動作してきた総動作時間数や羽根車により行われた総始動回数を表す値を含むさらなる情報もまた、好ましくは評価ユニットからロードされる。これら後者の二つの値は、使用寿命や損壊値と同様、累積的である。このさらなる情報により評価ユニットは第1にタグが適切に機能していることを判定できるようになり、第2にタグすなわち羽根車が正規であるか判定し、第3に最新の速度計測及び温度計測が正しい基準線から開始される。この全てを確立したときに、評価ユニットは総動作時間数と総始動回数と累積的損壊及び/又は累積的消失寿命の更新値をタグへ送信する。損壊及び/又は消失寿命データは、タグへ送信する前に評価ユニット64内で算出される。
【0083】
ターボチャージャへ異なる羽根車を適合させたときに、羽根車メモリが記憶する残存動作寿命値とIDとさらなる情報を評価ユニットが読み取り、そのユニットのメモリに記憶させる。これは、好ましくは異なる羽根車の適合に続き自動的に行われる。
【0084】
新規、すなわち未使用の羽根車を適合したときに、評価ユニットは各種累積値(動作時間や始動や損壊及び/又は消失寿命)をゼロリセットし、必要に応じて、評価ユニットメモリ内で残存寿命値を最大値へリセットする。しかしながら、例外的な環境にあっては恐らく新規羽根車の許容総稼働寿命を若干減らすべく、評価ユニットメモリをゼロ以外(と最大値未満の残存寿命)の正値へリセットすることが望ましいと考えることができる。これは、例えばより大きな安全余裕をもたらすのに役立つ。非ゼロリセットの別の例は、計測或いは評価系列内の1以上の部品が機能不全に陥っていて、問題のタグの消失及び/又は残存寿命を手動にて評価することが必要となる場合である。その場合は、評価ユニットメモリはゼロ以外の値(或いは、残存寿命の場合には最大値)へリセットする必要があるかも知れない。
【0085】
タグが正確に機能していないか或いは正規のタグでないことに気付いた場合、評価ユニットは保守要員に注意するよう警報を発信する。この警報は、好ましくは検出器の一方又は両方が故障に至ったときにも起動させるものである。
【0086】
本発明は、様々な情報片を保守要員へ通信するディスプレイの配設を構想するものである。この種情報は、都合良くは、温度検出器と速度検出器の動作状態と累積的な損壊疲労及び/又は消失寿命及び/又は残存寿命と直前に触れた警報信号とである。可聴警報が有益であるかどうかは、環境に依存する。例えば、騒音のあるエンジンルーム内では、それは全体的に無効である。ターボチャージャの費用は前記した検出及び評価機能に必要なハードウェアの費用よりも極めて高いため、距離や速度や燃料消費を示す大半の車に使用される非常に精巧な情報センターをディスプレイ用に採用することは想起可能である。しかしながら、本事例では通信する情報は既に触れた如く、主に羽根車の寿命に関連する情報となる筈である。
【0087】
このディスプレイは評価ユニットの一部とすることができ、或いは羽根車とは別個の他の任意の適当な位置に配置できる。ところで先の段落で説明したような情報センターを有するエンジンにターボチャージャを使用した場合、その情報センターをディスプレイとして利用することも可能な筈である。事実、評価ユニットの電子部品自体を情報センター内に組み込むことさえも可能になる。
【0088】
本実施形態、すなわち第1の実施形態では、羽根車はそれ自体の消失寿命の記録を含み、それが恐らくは異なるデューティ特性を有する異なるターボチャージャに現在組み込まれているターボチャージャから万一取り外す場合、消失寿命の記録値を用いてその新規環境内での羽根車の同様の残存動作寿命の推定することができる。先に説明した如く、このことは特定の環境のデューティ特性とその環境における羽根車の期待寿命との間に相関が確立できるが故に可能である。
【0089】
第2の実施形態は、万一タグが幾分か損壊したとすると、例えば羽根車を取り外したときに、累積的な消失寿命や動作時間数及び始動回数の記録が依然として評価ユニットメモリに含まれるという追加の利点を有する。これらの値はそこで、羽根車を再度点検に出したときに羽根車に適合された新規タグへ送信することができる。
【0090】
第1の実施形態については、タグとの間の通信のためのRF送信システムを採用する代りに、光学式送信システム等の他種のシステムを採用することができる。しかしながら、これはこの種システムに必要とされる光学式の送信器と受信器の汚染可能性という欠点を有する。タグと評価ユニットとの間の機械的な接触に基づく送信システムも、ここでも第1の実施形態の一つの実施に対する同様の水脈において想起可能である。しかしながら、好適な送信方法はRF(無線周波)であり、何故ならこれは既に説明した幾つかの利点を有するからである。
【0091】
第1及び第2の実施形態の両方における速度検出機能について、図3に示したピックアップコイルに代えてホール効果デバイスの使用に基づく磁気システムを採用することも可能である。この場合、1つ以上の磁石を羽根車に隣接させてここでもターボチャージャのケーシング上に配置し、ホール効果デバイスを羽根車内の電子部品と共に含めることになる筈である。
【0092】
ここまでは、回転部品の寿命を支配する主要因子が速度と温度に関連する応力であることを前提としてきた。しかしながら、考慮し得る追加因子は部品の経年劣化である。経年劣化は、部品の残存寿命に影響を及ぼし得る時間と温度を伴なう部品材料の特性における変化である。経年劣化に寄与する他のより副次的なパラメータは、応力レベルと部品を囲繞する環境内の化学物質の存在である。この経年劣化の追加因子を考慮した場合、残存寿命のより正確な評価を下すことができる。斯くすることの一つの想起可能な仕方は、損壊評価用に使用するクロックレートに材料特性に関連する因子を乗算することである。これは、例えば材料特性曲線上の移動ポインタとし得る。これ故、材料が経年劣化するにつれ、クロックレートが増大してこれを考慮することになる。この方式の実用的な実装には、二つのルックアップテーブルが用いられる。一方は各種回転部品負荷と温度及び速度に関し非経年劣化値を含み、他方は温度と時間に関し経年劣化値を含む。これら二つのテーブルからの値の積は、回転部品に対する負荷印加期間中に統合することができる。さもなくば、ルックアップテーブルは異なる経年劣化段階ごとにそれぞれ幾つかのルックアップテーブルを含むマトリクスで構成し得る。そこで、先に触れた如く、これらの所定値間に内挿することは可能な筈であるが、今回は経年劣化もまた追加変数として使用する。
【0093】
尽きた寿命の導出の前記説明においてなした別の仮定は、考慮する疲労損壊が低周期疲労(LCF)である点にある。しかしながら、羽根車等の回転部品に対し損壊を引き起こしもする高周期疲労(HCF)が存在する。LCFが羽根車の温度周期(すなわち、反復的な昇温と降温)から生ずるのに対し、HCFは例えば動作期間中の振動と粗動に起因する羽根車内の撓みにより生ずる。すなわち、HCFはLCFよりもより高い励起周波数に結び付くものであり、事実一部環境ではHCF関連の機械的な欠陥がその結果として非常に短期の時間期間内で、恐らくは数分で、一部場合ではそれよりもさらに短い時間で発生する。この種環境では、HCF型損壊は極めて顕著であると予想し得る。このことは通常羽根車にとっては事実でないが、それは羽根車がそれらの質量に対し高い剛性を有するからである。その結果、羽根車の損壊算出において、HCFの影響を含める誘因は通常存在しない。
【0094】
これまでは、羽根車メモリが評価ユニットメモリよりも著しく小さく、すなわち著しく少ない容量を有することを前提としてきた。これは全く正しいかも知れないが、近い将来のメモリ技術が、羽根車メモリが占有し得るような膨大な量のデータを小さな空間内に記憶させ得る点まで前進し得ることが予想される。その場合に、消失/残存寿命の算出に必要な全てのデータを第2のメモリの評価ユニット内にだけでなく第1のメモリ内の羽根車に記憶させ得ることが想到し得る。かくして、第2のメモリ内に記憶させたデータの大半、恐らくはその全てまでもが最後には第1のメモリへ送信される。
【0095】
大きく増大させたメモリ容量の恩恵は、評価ユニットを含む第2の実施形態だけでなく、第1の実施形態にも適用し得る。その場合、検出器からの全ての生の採取データは先に説明した処理用に羽根車メモリ内に直接記憶させ得る。
【0096】
本発明はターボチャージャの羽根車について説明してきたが、それを回転機械内の回転部品の動作寿命を評価する必要のある他の環境に適用することもできる。この種環境は、例えば混合装置や切断装置や研磨装置や製鉄工場や製紙工場の回転機械類に使用する工業種回転機械や、病院や監獄の洗濯室で使用する頑丈な機器、屠殺場や食品市場内の大型冷凍プラントに使用するコンプレッサ等を含む。さらなる応用例は、精製装置やプロセス工業や実際に多くの環境内で使用されるようなポンプの消失寿命/残存寿命の評価にある。この種ポンプの羽根車がさらされる可能性のある液体を介して無線波を送信する有効性に対する懸念が、存在することがある。しかしながら、この種ポンプ内の羽根車の端面は通常ロータの中心線上でハウジングを挿通し、これによってそれは液体ではなく空気により囲繞される。
【0097】
本発明を適用することのできるさらに他の用途は、自動車の車輪である。例えばフォーミュラ1のレーシングカーは安全上の理由から極めて信頼のできる車輪を必要としており、それはこの種車輪上に第1或いは第2の実施形態に関連して前記した種のユニットを装着することが可能である。特定の好都合な構成は第2の実施形態の下でのRFタグを使用し得、温度及び速度検出器を車輪外の評価ユニットと併せ配置し、処理結果、すなわち車輪の消失/残存寿命値を関連車両内部のディスプレイに表示する。さもなくば、車輪を車両に搭載せずに別個に試験する場合は、評価ユニットと検出器とを車輪を駆動する試験治具上に装着し得る。
【0098】
かくして、要するに、本発明は部品の経過寿命及び/又は残存寿命に関する情報を記入するメモリデバイスを有する回転部品を提供するものである。この情報はこの種寿命関連データに限定するか、或いは回転部品の温度と速度に関するより詳細なデータを含ませることができ、ここでメモリはこの種より詳細なデータを記憶する容量を有する。温度及び速度検出は回転部品自体か或いはその外部のいずれかで発生し、情報は理想的には無線送信によりメモリデバイスへ中継され、その場合メモリデバイスはRFタグの一部とすることができる。本発明は、異なる車両や他の環境内で交換され使用される大量の数の同じ製品(例えば、ターボチャージャやターボチャージャ羽根車)を顧客が有する市場のセグメントに有用である。典型例は空気管路とガス及びオイル配管であり、ここでガスタービンは定期的を基準に交換し再使用する。問題の回転部品の履歴或いは履歴の累積的影響は部品自体に含まれ、単にそれに対し外部にあるだけでなく、部品の消失寿命、すなわち残存寿命は部品がどの程度多数の異なる環境にさらされてきたかに関係なく、メモリデバイスのコンテンツから簡単に割り出すことができる。このことは、いわば特定のエンジンの特定の回転部品が蒙る損壊の追尾を維持する上でエンジンルームスタッフ或いは点検要員の正確さに頼る必要のある広く一般に存在する状況とは対照的な状態にある。信頼性の欠如は、部品を異なる設定状態で多数回使用するときに多数回掛け合わされる。
【0099】
オンボードメモリデバイスがさらにその特定のデバイスを特定するIDデータを含む場合、それもまた好都合である。これ故、幾つかの部品をストックして保存し、即座に特定し、それらの残存寿命を割り出すことができる。この知識で武装することで、潜在的な顧客は特定の回転部品が彼が必要とする目的にとって適切であるのかどうか、或いはそれが点検時に不良とされる可能性があるのかを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施形態になる羽根車を含むロータすなわち回転部品の側面図である。
【図2】図1の羽根車に採用したデータ自動記録装置のブロック線図である。
【図3】羽根車の長手方向軸に沿う図で、第1の実施形態に使用する回転速度検出装置を含む図である。
【図4】この種材料内の部分的疲労関連損壊を推定するPalmgren−Minerルールに使用する材料のS−N特性のグラフである。
【図5】データ区分技法を含む本発明実施時のクリープ及び疲労算出用の例示計測温度及び速度特性を示すテーブルである。
【図6】データ区分技法を含む本発明実施時のクリープ及び疲労算出用の例示計測温度及び速度特性を示すテーブルである。
【図7】本発明の第2の実施形態になるターボチャージャの側面図である。
【符号の説明】
【0101】
10 羽根車
11 ロータ
12 データ自動記録装置
14 メモリ
16 速度検出器
18 温度検出器
20,22 信号整形段
24 クロック信号源
26 A/D変換器
28 バッテリ
30 コントローラ
32 鼻部
34 軸
50 永久磁石
50' 第2の磁石
52 ピックアップコイル
60,62 検出器
64 評価ユニット
66,68 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の過去の使用に関連するデータを記憶する第1のメモリデバイスを備える、回転部品。
【請求項2】
前記データは、前記部品の回転速度値と、前記部品の1つ以上の部分の温度値又は前記部品の周囲温度値のいずれかとを含む、請求項1記載の回転部品。
【請求項3】
前記データは前記部品が蒙る損壊値を含む、請求項1又は2記載の回転部品。
【請求項4】
前記損壊は前記部品が蒙る疲労損壊とクリープ損壊である、請求項3記載の回転部品。
【請求項5】
前記損壊は低周期疲労と高周期疲労の一方又は両方である、請求項4記載の回転部品。
【請求項6】
前記損壊は前記部品が蒙る累積的損壊である、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項7】
前記データは前記部品の消失動作寿命と該部品の残る動作寿命の一方又は両方である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項8】
前記データは前記部品の経年劣化に起因する該部品の材料特性における変化に関連するデータを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項9】
前記データは、第1のメモリデバイスの識別番号と前記回転部品が動作してきた期間の総時間数と前記回転部品が受けた総始動回数のうちの1つ以上を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項10】
前記回転速度を検出する速度検出器と、前記温度を検出する温度検出器と、前記速度値及び温度値を採取し、前記速度値及び温度値から前記データを導出し、該データを前記第1のメモリデバイスへ書き込む処理手段とをさらに含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項11】
前記温度検出器は熱電対又はサーミスタであり、前記速度検出器は、検出コイルとホール効果デバイスと回転部品の振動を計測する加速度計と前記回転部品内或いはその上の可撓性部品に搭載した歪ゲージで該可撓性部品が前記回転部品の荷重の下で歪む前記歪ゲージのうちの一つである、請求項10記載の回転部品。
【請求項12】
前記処理手段に対し時間基準を提供するクロック信号源をさらに備える、請求項11記載の回転部品。
【請求項13】
前記部品はロータである、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項14】
前記部品はターボ機械の羽根車である、請求項13記載の回転部品。
【請求項15】
前記部品は回転電機のロータである、請求項13記載の回転部品。
【請求項16】
前記部品は車輪である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項17】
少なくとも前記第1のメモリデバイスを前記ロータの端面又はその近傍に配置した、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項18】
少なくとも前記第1のメモリデバイスを前記ロータの長手方向軸に配置した、請求項17記載の回転部品。
【請求項19】
前記端面又はその近傍に配置され、前記第1のメモリデバイスが記憶する前記データを読み出す手段をさらに備える、請求項17又は18記載の回転部品。
【請求項20】
前記少なくとも第1のメモリデバイスは中継器の一部をなす、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の回転部品。
【請求項21】
前記中継器はRF中継器である、請求項20記載の回転部品。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の回転部品を備える、回転機械。
【請求項23】
回転機械であって、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の回転部品で、さらに受信手段を備える前記回転部品と、
前記回転部品以外の前記回転機械の一部の内部又はその上に配置した速度検出器と温度検出器と評価手段とを備え、該評価手段が第2のメモリデバイスと送信手段を含み、該評価手段を前記速度検出器と前記温度検出器とに接続し、
前記速度と温度を採取し、
該採取した前記速度値と温度値から前記回転機械の過去の使用に関連する前記データを導出し、
前記データを前記第2のメモリデバイスに記憶させ、
前記第2のメモリデバイスに記憶させた前記データの一部又は全部を前記送信手段により所定時刻に前記回転部品へ送信し、
前記回転部品が前記データの前記一部又は全部を前記受信手段により受信して前記第1のメモリデバイスに記憶させるようにした、ことを特徴とする回転機械。
【請求項24】
回転機械であって、
請求項1に記載の回転部品で、さらに受信手段を備える前記回転部品と、
前記回転部品以外の前記回転機械の一部の内部又はその上に配置した速度検出器と温度検出器と評価手段とを備え、該評価手段が第2のメモリデバイスと送信手段を含み、該評価手段を前記速度検出器と前記温度検出器とに接続し、
前記速度と温度を採取し、
該採取した前記速度値と温度値から前記回転部品により蒙った累積的な疲労及びクリープ損壊の量を導出し、該量を前記第2のメモリデバイスに記憶させ、
前記累積的な疲労及びクリープ損壊の量から前記回転部品の消失寿命値を導出し、この値を前記第2のメモリデバイスに記憶させ、
前記消失動作寿命値と推定最大寿命とから前記回転部品の残存動作寿命値を導出し、この値を前記第2のメモリデバイスに記憶させ、
前記第2のメモリデバイスに記憶させた前記データの一部又は全部を前記送信手段により所定時刻に前記回転部品へ送信し、
前記回転部品が前記受信手段により前記データの前記一部又は全てを受信し、それを前記第1のメモリデバイスに記憶させるようにした、ことを特徴とする回転機械。
【請求項25】
前記第1のメモリデバイスは中継器の一部であり、該第1のメモリデバイスが前記中継器の識別記号を記憶する、請求項24記載の回転機械。
【請求項26】
前記評価手段は前記第2のメモリデバイスに前記識別記号と、下記のさらなる情報、すなわち前記回転部品が動作してきた期間の総時間数と前記回転部品が受けた総始動回数の一方又は両方とをさらに記憶させるようにした、請求項25記載の回転機械。
【請求項27】
前記第1のメモリデバイスを前記さらなる情報及び前記残存動作寿命の新規値をもって更新する前に、前記評価手段が、前記第2のメモリデバイスが保持する前記識別記号と前記さらなる情報の既存値を前記第1のメモリデバイスが保持する対応値と比較し、それらの値が同じである場合に前記第1のメモリデバイス内に前記新規値を続けて記憶させるようにした、請求項26記載の回転機械。
【請求項28】
前記評価ユニットは、所定期間間隔及び/又は前記回転部品が回転を停止したとき及び/又は前記回転部品を取り外すときに前記新規値の前記比較と送信を行うようにした、請求項27記載の回転機械。
【請求項29】
前記評価手段は、前記機械に異なる回転部品を適合させたときに、前記異なる回転部品の第1のメモリが記憶する前記残存動作寿命値と識別記号とさらなる情報とを読み出して前記第2のメモリに記憶させるようにした、請求項27又は28記載の回転機械。
【請求項30】
前記異なる回転部品が未使用部品であるときに、残存動作寿命値と前記さらなる情報値をそれぞれ最大値とゼロとする、請求項29記載の回転機械。
【請求項31】
前記機械に対する異なる回転部品の適合に続き、前記第2のメモリデバイスが記憶する前記値を前記第1のメモリデバイスが記憶する値の修正版とする、請求項29記載の回転機械。
【請求項32】
前記機械は、前記中継器が正規の中継器ではないか或いは前記中継器が作動していないと判定されたときに、保守目的に警報を発令するようにした、請求項27乃至31のいずれか1項に記載の回転機械。
【請求項33】
前記送信手段はRF送信手段である、請求項23乃至32のいずれか1項に記載の回転機械。
【請求項34】
前記中継器はRF中継器である、請求項25乃至33のいずれか1項に記載の回転機械。
【請求項35】
前記中継器は能動的中継器である、請求項34記載の回転機械。
【請求項36】
前記回転機械はターボ機械であり、前記回転部品は前記ターボ機械の羽根車である、請求項22乃至35のいずれか1項に記載の回転機。
【請求項37】
前記評価手段は前記第1のメモリデバイスが記憶するデータを読み取り、該データを前記回転部品とは別個のディスプレイ上に表示するようにした、請求項22乃至36のいずれか1項に記載の回転機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−503329(P2009−503329A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523303(P2008−523303)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064171
【国際公開番号】WO2007/014830
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】