説明

回転機軸振動検出装置

【課題】回転機器における軸振動検出原理を工夫して、検出構造を複雑化することなく、回転機器の振動を再現性良く検出できるようにする。
【解決手段】外周囲に複数の歯部51を有して該当回転機器の回転軸90に取り付けられ、当該回転軸90と共に回転する円盤部材50と、円盤部材50の外周囲に近接して配置され、当該円盤部材50の外周囲に光を照射すると共に、歯部51からの反射光を受光する複数組みの反射型のX1センサ10、X2センサ20、Y1センサ30及びY2センサ40と、各々のセンサから得られるX軸パルス信号SX1,SX2,Y軸パルス信号SY1,SY2を信号処理する信号処理部67とを備え、各組みのセンサは、円盤部材50を間に挟んで相互に対向する位置に配設されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電所の水車発電機等の回転軸における軸振動の検出(測定)機構に適用可能な回転機軸振動検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水力発電所には水車発電機が設置されている。水車発電機は回転軸を有している。水車発電機の回転軸には回転検出装置(SSG:Signal Speed Generator)が取り付けられ、発電機の回転速度が一定以上に上昇しないようにガバナー制御が実行される。SSGでは、近接スイッチ(信号発生器)から回転体(歯付き円盤)へ光が照射され、その反射信号をカウントさせることで、回転数を測定するようになされる。
【0003】
図7は、この種の従来例に係る回転検出装置1の構成例を示すブロック図であり、図8はその動作例を示すタイムチャートである。図7に示す回転検出装置1によれば、回転検出部7と、2個の近接スイッチ用のX1センサ10及びY1センサ30と、回転検出用歯付きの円盤部材50とを備えて構成される。X1センサ10及びY1センサ30は反射型の光学センサから構成される。
【0004】
円盤部材50は外周囲に12枚の歯部51を有して水車発電機の回転軸90(主軸)に取り付けられる。X1センサ10は直交座標系において、X軸上に配置され、Y1センサ30はY軸上に配置される。この例の直交座標系には、水車発電機の回転軸90を法線方向Z(n)とする平面に、当該回転軸90の軸芯を原点としたX軸及びY軸が定義される。
【0005】
X1センサ10は、円盤部材50の外周囲の歯部51に光を照射すると共に、歯部51からの反射光を受光してオンし、X軸パルス信号SX1を発生する。Y1センサ30は、円盤部材50の外周囲の歯部51に光を照射すると共に、歯部51からの反射光を受光してオンし、Y軸パルス信号SY1を発生する。歯部51と歯部51との間に光が照射されると、図示しない受光素子がオフする。これにより、X1センサ10及びY1センサ30は、X軸パルス信号SX1や、Y軸パルス信号SY1を成すオン・オフ信号を出力する近接スイッチとして機能する。
【0006】
X1センサ10及びY1センサ30には、回転検出部7が接続される。回転検出部7は、カウンタを有して、これらのX1センサ10及びY1センサ30から得られるX軸パルス信号SX1及びY軸パルス信号SY1を入力してそのパルス数を計測する。図8Aに示すようなX軸パルス信号SX1のパルス数と、図8Bに示すようなY軸パルス信号SY1のパルス数とが加算され、その加算値を平均(1/2)され、その平均値は回転数を成す回転検出情報として上位の制御系へ出力される。回転検出情報は電圧に変換(V)される。図中、電圧変換波形を破線で示している。上位の制御系は配電盤等に設けられる。
【0007】
上位の制御系では、水車発電機の回転速度を検出し、調速機の周波数制御(ガバナー制御)が実行され、水車発電機が高回転にならないように保護される。水車発電機が高回転になると軸振動を発生する原因となる。軸振動の状況によっては、水車発電機等の回転機器への重大な損傷を与えるおそれがある。
【0008】
この種の回転機器の軸振動に関して、特許文献1には軸振動監視システムが開示されている。この軸振動監視システムによれば、軸振動検出手段、振動波形取込手段、振動特性データベース及び振動特性比較演算手段を備える。軸振動検出手段は回転機械の軸振動を検出する。振動波形取込手段は、軸振動検出手段によって検出された振動波形を取り込む。
【0009】
振動特性計算手段は、振動波形取込手段で取り込まれた振動波形を基にして振動特性データを計算する。振動特性データベースには、異常時の軸振動現象に対応する振動特性基準データが保存される。ここに軸振動現象とは、主軸とつながる全ての回転体に、振動が発生した場合に、軸振動がスラストメタルを中心に発生する状態をいう。ここで発生する振動波形は、常に正弦波の強弱によってその判定結果を表示可能なものである。
【0010】
振動特性比較演算手段は、振動特性計算手段によって計算された振動特性基準データと振動特性データベースから読み出された振動特性データとを比較演算する。これを前提にして、振動特性計算手段が、時間・周波数解析により振動振幅の時間・周波数特性を求め、その時間・周波数解析結果の各周波数における振動発生頻度を算出して振動特性データとするようになされる。
【0011】
このようにシステムを構成すると、軸受給油不足時のように偶発的な非定常異常振動現象を異常発生初期の異常振動周波数における振動振幅が小さい状態であっても、確実に検知できるというものである。
【0012】
また、回転体の診断に関して、特許文献2には回転体診断装置が開示されている。この回転体診断装置によれば、振動センサ、A/D変換器、周波数変換部、回転数センサ、データベース、補正部及び判定部を備える。振動センサは、回転体の軸振動を測定して電気信号をA/D変換器に出力する。A/D変換器は、振動センサの電気信号をデジタル信号に変換する。周波数変換部は、A/D変換器から出力される軸振動のデジタル信号を周波数変換して観測周波数スペクトルを出力する。回転数センサは、回転体の軸回転数を測定して回転数を出力する。
【0013】
一方、データベースには、軸振動の周波数情報について回転体が正常及び異常状態にあるときの標準パターンが記憶される。補正部は回転数センサにより測定された回転体の回転数に応じて、データベースから読み出した標準パターンを補正する。これを前提にして、判定部が、補正部により補正した標準パターンと、周波数変換部が出力した観測周波数スペクトルとを比較する。これにより、回転体の診断を実施するようになされる。
【0014】
このように回転体診断装置を構成すると、周波数スペクトルの軸回転数の整数倍成分のような特定の周波数領域のみならず、全ての周波数領域を考慮した回転体の診断が実施できるというものである。
【0015】
更に、回転体の振動監視に関して、特許文献3には回転体の振動監視方法が開示されている。この方法によれば、回転体の振動を検出して振動信号を生成し、この振動信号をウエーブレット変換して回転体の状態を解析し、この解析結果による振動信号の周波数と振幅の大きさを時間軸に対応づけて出力するというものである。このような回転体の振動監視方法を採ると、振動周波数ごとの振動の時間変化を求めることができ、回転体の瞬時の振動を正確にとらえたり、回転体の振動の変化状態を連続的に解析できるというものである。
【0016】
また、回転体の回転速度解析に関して、特許文献4には回転体の回転パルス信号解析装置が開示されている。この回転パルス信号解析装置によれば、非接触型変位計、サンプリング手段、軸変位信号処理手段、振幅値算出手段、周波数分析処理手段、回転数算出処理手段及び位相解析処理手段を備える。非接触型変位計は、回転体の回転軸のパルス検出部に対向して設けられ、回転軸との相対変位を計測し、回転パルス信号とポンプ軸振動信号が重畳された電気信号を得てサンプリング手段に出力する。
【0017】
サンプリング手段は、非接触型変位計からの電気信号をサンプリングしてディジタル信号に変換する。軸変位信号処理手段は、サンプリング手段から出力されるサンプリングデータを軸変位信号に補正する。振幅値算出手段は、軸変位信号処理手段により補正された軸変位のデータから振幅値を算出する。
【0018】
周波数分析処理手段は、軸変位信号処理手段により補正された軸変位のデータから周波数を分析する。回転数算出処理手段は、サンプリング手段のサンプリングデータから回転軸の回転数を算出する。これを前提にして、位相解析処理手段が、サンプリング手段からのサンプリングデータと、軸変位信号処理手段から出力される軸変位データとを同一タイミング、かつ、同一周期でサンプリングして、各データの周波数分析を行うと共に、回転数算出処理手段のデータを入力して位相算出を実行するようにした。
【0019】
このように回転パルス信号解析装置を構成すると、回転体の軸変位、軸位相及び回転数を一つの検出器により得ることが可能となり、構成が簡易化されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2006−226687号公報(第4頁 図1)
【特許文献2】特開平 10−111713号公報(第3頁 図1)
【特許文献3】特開2001−275853号公報(第4頁 図1)
【特許文献4】特許 第3400209号 (第4頁 図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、従来例に係る回転体の振動検出機能によれば、次のような問題がある。
i.図7に示した回転検出装置1によれば、X軸及びY軸の2箇所に設置されたX1センサ10及びY1センサ30で反射時間を測定している。回転検出装置1は、X軸パルス信号SX1、Y軸パルス信号SY1のパルス数を計数するカウント法が採られる。このカウント法でも、X1センサ10及びY1センサ30によって回転体の軸振動値を測定することができるが、均一かつ安定した軸振動値が得られないため、軸振動値と振動基準値とを比較判定する場合に誤差が生じるという問題がある。
【0022】
ii.因みに既存の水車発電機等の回転速度検出設備を利用して、回転軸振動機構を組み込もうとした場合、特許文献1乃至4に記載される、回転体の軸振動監視システム、回転体診断装置、振動監視方法、回転パルス信号解析装置をそのまま組み合わせのでは、検出構造が複雑化したり、回転速度検出設備が大規模化するおそれがある。
【0023】
iii.回転検出用歯付きの円盤部材50を用いずに、水車発電機の主軸などに光を照射して、その反射光から回転体の軸振動を測定する方法も考えられる。水車発電機の主軸の軸面は、粗い仕上げなので、軸振動値を測定することができるが、光検出信号の品質が劣化するため、真の軸振動値を判定することができないという問題がある。
【0024】
iv.なお、円盤部材50が回転体の軸受け部(スラストメタル)から離れた位置に取り付けられると、精度良い軸振動値が得られなくなり、検出された軸振動値に誤差が生じる。また、X1センサ10及びY1センサ30が設置される箇所に、固有の振動が発生した場合は、その測定値に誤差が生じるという問題がある。
【0025】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、回転機器における軸振動検出原理を工夫して、検出構造を複雑化することなく、回転機器の振動を再現性良く検出できるようにした回転機軸振動検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述した課題を解決する本発明の回転機軸振動検出装置は、外周囲に複数の歯部を有して該当回転機器の回転軸に取り付けられ、当該回転軸と共に回転する円盤部材と、前記円盤部材の外周囲に近接して配置され、当該円盤部材の外周囲に光を照射すると共に、前記歯部からの反射光を受光する複数組みの反射型の光学センサと、各々の前記光学センサから得られる光検出信号を信号処理する信号処理部とを備え、各組みの前記光学センサは、
前記円盤部材を間に挟んで相互に対向する位置に配設されることを特徴とするものである。
【0027】
本発明に係る回転機軸振動検出装置によれば、円盤部材は、外周囲に複数の歯部を有して該当回転機器の回転軸に取り付けられ、当該回転軸と共に回転する。複数組みの反射型の光学センサは、円盤部材の外周囲に近接して配置され、かつ、円盤部材を間に挟んで相互に対向する位置に配設される。各組みの光学センサは、当該円盤部材の外周囲に光を照射すると共に、歯部からの反射光を受光する。信号処理部は、各々の光学センサから得られる光検出信号を信号処理するようになる。
【0028】
従って、光学センサから得られる光検出信号を信号処理すると、回転機器の回転軸に関する振動検出情報を出力できるようになる。例えば、信号処理部には振動検出部が設けられる。振動検出部は、回転機器の回転軸に定義される直交座標系のX軸上に配置された第1組み目の1対の光学センサから得られる2つの光検出信号を演算してX方向の振動検出情報を出力する。また、振動検出部は、直交座標系のY軸上に配置された第2組み目の1対の光学センサから得られる2つの光検出信号を演算してY方向の振動検出情報を出力するようになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る回転機軸振動検出装置によれば、複数の歯部を有して該当回転機器の回転軸に取り付けられた円盤部材の外周囲に近接して配置された複数組みの反射型の光学センサを備え、当該光学センサは、円盤部材を間に挟んで相互に対向する位置に配設され、円盤部材の外周囲に光を照射すると共に、歯部からの反射光を受光するものである。
【0030】
この構成によって、光学センサから得られる光検出信号を信号処理すると、回転機器の軸振動に起因する振動検出情報を出力できるようになる。従って、当該回転機軸振動検出装置から得られる振動検出情報に基づいて発電機や電動機等の回転機器の回転軸を診断したり、回転軸の振動状態を監視できるようになる。
【0031】
しかも、これらの回転機器の回転速度をリアルタイムに発生する振動検出情報に基づいて調速機等をフィードバック制御できるようになる。当該回転機軸振動検出装置から得られる振動検出情報を蓄積しておくと、後日、振動検出情報は、軸振動動向の解析等に利用できるばかりか、回転機器の分解・改修計画時の検討資料に利用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る実施例としての回転機軸振動検出装置100の構成例を示す斜視図である。
【図2】回転機軸振動検出装置100の構成例を示すブロック図である。
【図3】その振動検出部60の内部構成例を示すブロック図である。
【図4】その回転検出部70の内部構成例を示すブロック図である。
【図5】(A)〜(F)は、信号処理部67における動作例(その1)を示すタイムチャートである。
【図6】(A)〜(F)は、信号処理部67における動作例(その2)を示すタイムチャートである。
【図7】従来例に係る回転検出装置1の構成例を示すブロック図である。
【図8】回転検出装置1の動作例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
続いて、この発明に係る回転機軸振動検出装置について、図1〜図6を参照しながら説明をする。この実施例では、複数の歯部を有して該当回転機器の回転軸に取り付けられる円盤部材の外周囲に近接した位置であって、円盤部材を間に挟んで相互に対向する位置に、複数組みの反射型の光学センサを配設し、円盤部材の外周囲に光を照射すると共に、歯部からの反射光を受光して得られる光検出信号から、回転機器の軸振動に起因する振動検出情報を出力できるようにした。
【0034】
図1に示す回転機軸振動検出装置100は、水力発電所の水車発電機やその揚水電動機等の回転軸における軸振動の検出(測定)機構に適用して好適なものである。回転機軸振動検出装置100は、複数組み、この例では2組の光学センサ(以下X1センサ10、X2センサ20、Y1センサ30、Y2センサ40という)、円盤部材50及び信号処理部67を備えて構成される。
【0035】
円盤部材50は、外周囲に複数、この例では12枚の歯部51を有している。円盤部材50は、水車発電機等の該当回転機器の回転軸90に取り付けられ、当該回転軸90と共に回転する。円盤部材50には、従来方式の回転検出装置に実装される真円精度が高い歯付き円盤を使用できる。円盤部材50は、回転機器の軸支え箇所となる軸受け部(スラストメタル)80に接近した回転軸90に取り付けられる。このように回転機器の軸支え箇所となる軸受け部80に接近した位置における軸振動を検出(測定)することができ、振動検出部60から出力される回転機器の軸振動情報の信頼性を向上できるようになる。
【0036】
この例で、円盤部材50の外周囲にX1センサ10及びX2センサ20と、Y1センサ30及びY2センサ40の2組が設けられる場合であって、回転機器の回転軸90を法線方向Z(n)とする平面に、当該回転軸90の軸芯を原点としたX軸及びY軸を有する直交座標系を定義したとき、1組み目のX1センサ10,X2センサ20は、直交座標系のX軸上に配置され、2組み目のY1センサ30,Y2センサ40は、直交座標系のY軸上に配置される。
【0037】
X1センサ10,X2センサ20は、円盤部材50を間に挟んで相互に対向する位置(角度180°)に配設される。X1センサ10は、直交座標系のX軸(正側)上であって、円盤部材50の外周囲に近接して配置され、図示しない環状のベース部材等に固定される。X1センサ10は発光素子11及び受光素子12を有している。発光素子11は、円盤部材50の外周囲の歯部51に光を照射すると共に、受光素子12が歯部51からの反射光を受光してオンし、光検出信号の一例となるX軸パルス信号SX1を発生する。
【0038】
X2センサ20は、直交座標系のX軸(負側)上であって、円盤部材50の外周囲に近接して配置され、図示しない同ベース部材に固定される。X2センサ20は、発光素子21及び受光素子22を有している。発光素子21は円盤部材50の外周囲の歯部51に光を照射すると共に、受光素子22が歯部51からの反射光を受光してオンし、光検出信号の一例となるX軸パルス信号SX2を発生する。
【0039】
Y1センサ30,Y2センサ40は、円盤部材50を間に挟んで相互に対向する位置(角度180°)に配設される。Y1センサ30は、直交座標系のY軸(正側)上であって、円盤部材50の外周囲に近接して配置され、図示しない同ベース部材に固定される。Y1センサ30は発光素子31及び受光素子32を有している。発光素子31は、円盤部材50の外周囲の歯部51に光を照射すると共に、受光素子32が歯部51からの反射光を受光してオンし、光検出信号の一例となるY軸パルス信号SY1を発生する。
【0040】
Y2センサ40は、直交座標系のY軸(負側)上であって、円盤部材50の外周囲に近接して配置され、図示しないベース部材に固定される。Y2センサ40は発光素子41及び受光素子42を有している。発光素子41は、円盤部材50の外周囲の歯部51に光を照射すると共に、受光素子42が歯部51からの反射光を受光してオンし、光検出信号の一例となるY軸パルス信号SY2を発生する。
【0041】
これらのX1センサ10,X2センサ20,Y1センサ30,Y2センサ40には、円盤部材50の外周囲の歯部51が各々の受光素子12,22,32,42に近づき、離間長さ(距離)が短くなると、受光量が増加し出力電圧が上昇する。反対に、その歯部51が各々の受光素子12,22,32,42から遠ざかり、離間長さ(距離)が長くなると、受光量が減少し出力電圧が下がるタイプの反射型の光学センサが使用される。
【0042】
2組のX1センサ10,X2センサ20及びY1センサ30,Y2センサ40には、図2に示すような信号処理部67が接続され、これらのX1センサ10,X2センサ20及びY1センサ30,Y2センサ40から得られるX軸パルス信号SX1,SX2、Y軸パルス信号SY1,SY2を入力して信号処理を実行する。このようにセンサ出力系を構成すると、信号処理部67は、直交座標系のX軸上に配置された1組み目のX1センサ10及びX2センサ20から、位相が180°だけ異なるX軸パルス信号SX1,SX2を得ることができる。
【0043】
同様にして、直交座標系のY軸上に配置された2組み目のY1センサ30及びY2センサ40からも、位相が180°だけ異なるY軸パルス信号SY1,SY2を得ることができる。これにより、信号処理部67で、少なくとも、回転軸90のX軸及びY軸方向への振動状態を検出できるようになる。
【0044】
また、X1センサ10や、X2センサ20、Y1センサ30、Y2センサ40等は、ベース部材が設けられた従来方式の回転検出装置の筐体内に収納できる大きさを有しているので、既存のベース部材に各センサを取り付けることができ、新たな取り付けスペースを必要としない。
【0045】
続いて、図2及び図3を参照して、回転機軸振動検出装置100の構成例、その振動検出部60及び回転検出部70の内部構成例について説明する。図2に示す信号処理部67は、振動検出部60及び回転検出部70を有して構成される。2組のX1センサ10、X2センサ20、Y1センサ30及びY2センサ40は振動検出部60及び回転検出部70に接続される。
【0046】
振動検出部60は、回転機器の回転軸90に定義される直交座標系のX軸上に配置された1対のX1センサ10,X2センサ20から得られる2つのX軸パルス信号SX1,SX2を演算してX方向の振動検出情報を出力する。また、振動検出部60は、直交座標系のY軸上に配置された1対のY1センサ30,Y2センサ40から得られる2つのY軸パルス信号SY1,SY2を演算してY方向の振動検出情報を出力する。
【0047】
振動検出部60は、例えば、図3に示すようにX波形合成&平均値出力部61、Y波形合成&平均値出力部62及び信号合成演算部63を有して構成される。X1センサ10,X2センサ20にはX波形合成&平均値出力部61が接続される。X波形合成&平均値出力部61は、X1センサ10から得られるX軸パルス信号SX1と、X2センサ20から得られるX軸パルス信号SX2とを加算し、当該X軸パルス信号SX1,SX2の加算値V(X1+X2)を平均(1/2)したX方向の振動検出情報V(X)を出力する。
【0048】
振動検出情報V(X)を電圧値に変換するとX方向の軸振動値V(x)が得られる。軸振動値V(x)はアナログ量である。例えば、変換定数をc1とすると、軸振動値V(x)は、V(x)=c1・V(X)から得られる。具体的には、振動検出情報V(X)に基づくパルス電圧で抵抗R及び静電容量Cから成るRC回路を充電した際に、その抵抗Rの両端に現れる電圧変化等である。
【0049】
Y1センサ30,Y2センサ40にはY波形合成&平均値出力部62が接続される。Y波形合成&平均値出力部62は、Y1センサ30から得られるY軸パルス信号SY1と、
Y2センサ40から得られるY軸パルス信号SY2とを加算し、当該Y軸パルス信号SY1,SY2の加算値V(Y1+Y2)を平均(1/2)したY方向の振動検出情報V(Y)を出力する。
【0050】
振動検出情報V(Y)を電圧値に変換するとY方向の軸振動値V(y)が得られる。軸振動値V(y)はアナログ量である。例えば、変換定数をc2とすると、軸振動値V(y)は、V(y)=c2・V(Y)から得られる。具体的には、振動検出情報V(Y)に基づくパルス電圧で抵抗R及び静電容量Cから成るRC回路を充電した際に、その抵抗Rの両端に現れる電圧変化等である。
【0051】
X波形合成&平均値出力部61及びY波形合成&平均値出力部62には、信号合成演算部63が接続される。信号合成演算部63は、振動検出情報V(X)と振動検出情報V(Y)とに基づく軸振動値V(x)及びV(y)を信号合成演算した軸振動電圧V(x,y)を出力する。
【0052】
このように振動検出部60を構成すると、X方向の振動検出情報V(X)から、水車発電機や揚水電動機等の回転機器のX方向における軸振動値V(x)を検出することができ、Y方向の振動検出情報V(Y)から、同回転機器のY方向における軸振動値V(y)を検出することができる。これらを信号合成した軸振動電圧V(x,y)と、図示しない閾値とを比較することで、回転機器の軸振動の許容又は異常を判定できるようになる。
【0053】
上述の2組のX1センサ10,X2センサ20及びY1センサ30,Y2センサ40には振動検出部60の他に回転検出部70が接続され、回転機器の回転軸90に取り付けられた円盤部材50の歯部51からの反射光の受光回数を計数して当該回転機器の回転検出情報を出力するように動作する。回転検出部70は4個のカウンタ回路(以下X1カウンタ71、X2カウンタ72、Y1カウンタ73、Y2カウンタ74という)及び加算&平均値演算部75を有して構成される。
【0054】
上述のX1センサ10にはX1カウンタ71が接続される。X1カウンタ71は、X1センサ10から出力されるX軸パルス信号SX1のパルス数を計数して回転検出情報RX1となるカウンタ値を出力する。X2センサ20にはX2カウンタ72が接続される。X2カウンタ72は、X2センサ20から出力されるX軸パルス信号SX2のパルス数を計数して回転検出情報RX2となるカウンタ値を出力する。
【0055】
Y1センサ30にはY1カウンタ73が接続される。Y1カウンタ73は、Y1センサ30から出力される光検出信号YX1のパルス数を計数して回転検出情報RY1となるカウンタ値を出力する。Y2センサ40にはY2カウンタ74が接続される。Y2カウンタ74は、Y2センサ40から出力される光検出信号YX2のパルス数を計数して回転検出情報RY2となるカウンタ値を出力する。
【0056】
X1カウンタ71、X2カウンタ72、Y1カウンタ73及び、Y2カウンタ74には加算&平均値演算部75が接続される。加算&平均値演算部75は、各々のカウンタ値を成す回転検出情報RX1,RX2,RY1及びRY2を入力し、X1カウンタ71、X2カウンタ72、Y1カウンタ73及びY2カウンタ74から出力される4つのカウンタ値を加算し、その平均値(1/4:以下回転速度情報Vvという)を演算するようになされる。
【0057】
このように信号処理部67を構成すると、振動検出部60から回転機器の軸振動電圧V(x,y)を出力できると共に、従来方式と同様にして回転検出部70から当該回転機器の回転速度情報Vvを出力できるので、多機能型の回転機軸振動検出装置100を提供できるようになる。
【0058】
続いて、図5及び図6を参照して、回転機軸振動検出装置100の動作例について説明する。この例では、回転機軸振動検出装置100の動作例について、振動無し時と振動有り時の2つに分けて説明する。例えば、図1に示したような1対のX1センサ10及びX2センサ20と、Y1センサ30及びY2センサ40との2組を採用して、X軸及びY軸の2箇所で反射光量(反射時間でもよい)の測定を行う。
【0059】
これらのX1センサ10、X2センサ20、Y1センサ30及びY2センサ4から得られるX軸パルス信号SX1とX軸パルス信号SX2との比較、及び、Y軸パルス信号SY1とY軸パルス信号SY2との比較による軸振れ測定原理を導入する。X軸及びY軸での測定結果を平均することで、今までは回転検出機能のみを有していた回転検出装置を改良して、軸振動が測定可能な回転機軸振動検出装置100を提供できるようにした。図中、X軸パルス信号SX1,SX2や、Y軸パルス信号SY1,SY2等を実線で示し、軸振動値V(x),V(y),V(x,y)等の電圧変換値を破線で示している。
【0060】
[振動無し時]
図5A〜図5Fに示す信号処理部67における振動無し時の動作例によれば、図5Aに示すX軸パルス信号SX1がX1センサ10からX波形合成&平均値出力部61へ、また、図5Bに示すX軸パルス信号SX2がX2センサ20からX波形合成&平均値出力部61へ出力される。
【0061】
振動無し時には、X1センサ10と円盤部材50の外周囲の歯部51との離間長さ(距離)が一定を保った状態であり、X2センサ20と円盤部材50の外周囲の歯部51との離間長さ(距離)も一定を保った状態である。このような状態であると、各々の受光素子12,22が受光する反射光の受光量も一定となり、X1センサ10及びX2センサ20の出力電圧も一定となる。
【0062】
この結果、X軸パルス信号SX1,SX2の振幅が同等で、位相差が180°であるから、図5Cに示す振動検出情報V(X)がV(X)=0となり、X波形合成&平均値出力部61から信号合成演算部63には振動検出情報V(X)=0(ロー・レベル)が出力される。V(X)=0はX波形合成&平均値出力部61から信号合成演算部63へ何も出力されない状態に等しい。これにより、回転軸90のX方向での振動無しを識別できるようになる。
【0063】
同様にして、図5Dに示すY軸パルス信号SY1がY1センサ30からY波形合成&平均値出力部62へ、また、図5Eに示すY軸パルス信号SY2がY2センサ40からY波形合成&平均値出力部62へ出力される。
【0064】
振動無し時には、Y1センサ30と円盤部材50の外周囲の歯部51との離間長さ(距離)が一定を保った状態であり、Y2センサ40と円盤部材50の外周囲の歯部51との離間長さ(距離)も一定を保った状態である。このような状態であると、各々の受光素子32,42が受光する反射光の受光量も一定となり、Y1センサ30及びY2センサ40の出力電圧も一定となる。
【0065】
この結果、図5Fに示すように振動検出情報V(Y)がV(Y)=0となり、Y波形合成&平均値出力部62から信号合成演算部63には振動検出情報V(Y)=0(ロー・レベル)が出力される。V(Y)=0はY波形合成&平均値出力部62から信号合成演算部63へ何も出力されない状態に等しい。これにより、回転軸90のY方向での振動無しを識別できるようになる。
【0066】
[振動有り時]
一方、図6A〜図6Fに示す信号処理部67における振動有り時の動作例によれば、図6Aに示すX軸パルス信号SX1がX1センサ10からX波形合成&平均値出力部61へ、また、図6Bに示すX軸パルス信号SX2がX2センサ20からX波形合成&平均値出力部61へ出力される。
【0067】
この例の振動有り時の動作例によれば、回転軸90が振動して円盤部材50の外周囲の歯部51がX1センサ10の受光素子12に近づいた場合である。この場合、歯部51と、X1センサ10との離間長さ(距離)が短くなり、受光素子12への受光量が増加し、X1センサ10の出力電圧が上昇する(図6A参照)。
【0068】
反対側は、円盤部材50の外周囲の歯部51がX2センサ20の受光素子22から遠ざかった場合である。この場合、歯部51と、X2センサ20との離間長さ(距離)が長くなり、受光素子22への受光量が減少し、X2センサ20の出力電圧が降下する(図6B参照)。この結果、図6Cに示すように振動検出情報V(X)がV(X)≠0となり、X波形合成&平均値出力部61から信号合成演算部63にはX方向の振動検出情報V(X)が出力される。振動検出情報V(X)を電圧変換したものがX方向の軸振動値V(x)である。同様にして、図6Dに示すY軸パルス信号SY1がY1センサ30からY波形合成&平均値出力部62へ、また、図6Eに示すY軸パルス信号SY2がY2センサ40からY波形合成&平均値出力部62へ出力される。
【0069】
この例の振動有り時の動作例によれば、回転軸90が振動して円盤部材50の外周囲の歯部51がY1センサ30の受光素子32に近づいた場合である。この場合、歯部51と、Y1センサ30との離間長さ(距離)が短くなり、受光素子32への受光量が増加し、Y1センサ30の出力電圧が上昇する(図6D参照)。
【0070】
反対側は、円盤部材50の外周囲の歯部51がY2センサ40の受光素子42から遠ざかった場合である。この場合、歯部51と、Y2センサ40との離間長さ(距離)が長くなり、受光素子42への受光量が減少し、Y2センサ40の出力電圧が降下する(図6E参照)。この結果、図6Fに示すように振動検出情報V(Y)がV(Y)≠0となり、Y波形合成&平均値出力部62から信号合成演算部63にはY方向の振動検出情報V(Y)が出力される。振動検出情報V(Y)を電圧変換したものがY方向の軸振動値V(y)である。
【0071】
このように、X軸上で対向するX1センサ10及びX2センサ20から得られるX軸パルス信号SX1及びX軸パルス信号SX2の加算値の平均値(1/2)がX方向での軸振動値V(x)となる。Y軸上で対向するY1センサ30及びY2センサ40から得られるY軸パルス信号SY1及びY軸パルス信号SY2の加算値の平均値(1/2)がY方向での軸振動値V(x)となる。その2軸の軸振動値V(x),V(y)を演算(ベクトル合成や、平均化処理等)することで、正確な軸振動電圧V(x,y)を計測できるようになる(軸振れ測定原理)。
【0072】
この例では、図示せずも、振動検出情報V(X)と振動検出情報V(Y)とに基づく軸振動値V(x)及びV(y)は、信号合成演算部63で信号合成され、軸振動電圧V(x,y)が演算されて出力される。軸振動電圧V(x,y)は、軸振動値V(x)及びV(y)が、例えば、ベクトル合成されて求められる。軸振動電圧V(x,y)は、上位の制御系に出力される。上位の制御系では、軸振動電圧V(x,y)と、図示しない閾値電圧とを比較することで、回転機器の軸振動の許容又は異常を判定するようになされる。
【0073】
また、図示せずも、回転検出部70では、X1カウンタ71がX1センサ10から出力されるX軸パルス信号SX1のパルス数を計数して回転検出情報RX1を加算&平均値演算部75に出力する。X2カウンタ72では、X2センサ20から出力されるX軸パルス信号SX2のパルス数を計数して回転検出情報RX2を加算&平均値演算部75に出力する。
【0074】
Y1カウンタ73では、Y1センサ30から出力される光検出信号YX1のパルス数を計数して回転検出情報RY1を加算&平均値演算部75に出力する。Y2カウンタ74では、Y2センサ40から出力される光検出信号YX2のパルス数を計数して回転検出情報RY2を加算&平均値演算部75に出力する。加算&平均値演算部75では、4つのカウンタ値を成す回転検出情報RX1,RX2,RY1及びRY2を入力し、これらの4つのカウンタ値を加算し、その平均値を演算して回転速度情報を出力する。
【0075】
このように、実施例としての回転機軸振動検出装置100によれば、円盤部材50は、外周囲に複数の歯部51を有して該当回転機器の回転軸90に取り付けられ、当該回転軸90と共に回転する。2組みの反射型のX1センサ10、X2センサ20、Y1センサ30及びY2センサ40は、円盤部材50の外周囲に近接して配置され、かつ、円盤部材50を間に挟んで相互に対向する位置に配設される。従って、X1センサ10、X2センサ20、Y1センサ30、Y2センサ40から得られるX軸パルス信号SX1,SX2、Y軸パルス信号SY1,SY2を信号処理すると、回転機器の軸振動に起因する振動検出情報V(X),V(Y)を出力できるようになる。
【0076】
これにより、X方向の振動検出情報V(X)から、水車発電機や揚水電動機等の回転機器のX方向における軸振動値V(x)を検出することができ、Y方向の振動検出情報V(Y)から、当該回転機器のY方向における軸振動値V(y)を検出することができる。これらを信号合成演算部63で信号合成した軸振動電圧V(x,y)と、図示しない閾値電圧とを比較することで、回転機器の軸振動の許容又は異常を判定できるようになる。
【0077】
水車発電機等の軸振動技術や軸診断技術等の開発分野において、軸振動電圧V(x,y)を判定できるようになると、回転機軸振動検出装置100を発電機の保護や、診断等に効果的に発揮できるようになる。
【0078】
例えば、軸振動電圧V(x,y)は、発電機の負荷制限機能のフィードバック制御に利用できるようになる。軸振動技術及び軸診断技術分野では、当該回転機軸振動検出装置100から得られる軸振動電圧V(x,y)に基づいて水力発電所の水車発電機や揚水電動機等の回転機器の回転軸90を診断したり、回転軸90の振動状態を監視できるようになる。しかも、これらの回転機器の回転速度をリアルタイムに発生する軸振動電圧V(x,y)に基づいて調速機等のフィードバック制御できるようになる。
【0079】
また、軸振動電圧V(x,y)をデータ保存技術分野に適用すると、当該回転機軸振動検出装置100から得られる振動検出情報V(X),V(Y)や、軸振動値V(x),V(y)等を記録計に蓄積しておくと、後日、振動検出情報V(X),V(Y)等を軸振動動向の解析等に利用できる。こればかりか、回転機器の主要部品となる軸受け部80や回転軸90等の交換時や細密点検時等において、軸振動電圧V(x,y)に基づく軸振動データを解析することで、分解・改修計画時の検討資料に利用できるようになる。
【0080】
例えば、既設の記録計による水力発電所の運転条件と、記録計に保存されている軸振動データとを照合することで、軸受け部80や、回転軸90等の監視機能として回転機軸振動検出装置100を利用できるようになる。これにより、軸振動電圧V(x,y)に基づく軸振動データを発電機の診断技術として利用できるようになる。
【0081】
上述の実施例では、2組の光学センサを90°置きに配置する場合について説明したが、これに限られることはなく、4組の光学センサを45°置きに配置し、直交座標系のX軸及びY軸上の軸振動の検出に加えて、直交座標系の第1〜第4象限における軸振動を検出してもよい。より一層高精度に回転軸の軸振動を検出できるようになる。
【0082】
また、当該回転機軸振動検出装置100は、回転検出装置を採用している水力発電所に限らず、回転検出装置を採用している火力発電所においても活用できるようになる。従来方式の回転検出装置は、発電機等の回転(検出)機能のみに発揮させているが、回転機軸振動検出装置100は発電機等の回転(検出)機能や、軸振動検出等のみならず、この装置をタービンエンジンや、電動機等の主軸とつながる全ての回転体に活用して軸振動検出させる機能を発揮させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、水力発電所の水車発電機等の回転軸における軸振動の検出(測定)機構に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0084】
10・・・X1センサ、11,21,31,41・・・発光素子、20・・・X2センサ、12,22,32,42・・・受光素子、30・・・Y1センサ、40・・・Y2センサ、50・・・円盤部材、60・・・振動検出部、61・・・X波形合成&平均値出力部、62・・・Y波形合成&平均値出力部、63・・・信号合成演算部、67・・・信号処理部、70・・・回転検出部、71・・・X1カウンタ、72・・・X2カウンタ、73・・・Y1カウンタ、74・・・Y2カウンタ、75・・・加算&平均値演算部、80・・・軸受け部、90・・・回転軸、100・・・回転軸振動検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周囲に複数の歯部を有して該当回転機器の回転軸に取り付けられ、当該回転軸と共に回転する円盤部材と、
前記円盤部材の外周囲に近接して配置され、当該円盤部材の外周囲に光を照射すると共に、前記歯部からの反射光を受光する複数組みの反射型の光学センサと、
各々の前記光学センサから得られる光検出信号を信号処理する信号処理部とを備え、
各組みの前記光学センサは、
前記円盤部材を間に挟んで相互に対向する位置に配設されることを特徴とする回転機軸振動検出装置。
【請求項2】
前記円盤部材の外周囲に前記光学センサが2組設けられる場合であって、
前記回転機器の回転軸を法線方向とする平面に、当該回転軸の軸芯を原点としたX軸及びY軸を有する直交座標系を定義したとき、
第1組み目の前記光学センサは、前記直交座標系のX軸上に配置され、
第2組み目の前記光学センサは、前記直交座標系のY軸上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の回転機軸振動検出装置。
【請求項3】
各々の前記光学センサから得られる検出信号を信号処理する信号処理部は、
前記回転機器の回転軸に定義される前記直交座標系のX軸上に配置された前記第1組み目の1対の光学センサから得られる2つの光検出信号を演算してX方向の振動検出情報を出力し、
前記直交座標系のY軸上に配置された前記第2組み目の1対の光学センサから得られる2つの光検出信号を演算してY方向の振動検出情報を出力する振動検出部を有することを特徴とする請求項2に記載の回転機軸振動検出装置。
【請求項4】
前記振動検出部は、
前記第1組み目の1対の光学センサから得られる2つの光検出信号を加算し、当該検出信号の加算値を平均したX方向の振動検出情報を出力し、
前記第2組み目の1対の光学センサから得られる2つの光検出信号を加算し、当該検出信号の加算値を平均したY方向の振動検出情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の回転機軸振動検出装置。
【請求項5】
前記光学センサから得られる検出信号を信号処理する信号処理部は、
前記回転機器の回転軸に取り付けられた前記円盤部材の歯部からの反射光の受光回数を計数して当該回転機器の回転検出情報を出力する回転検出部を有することを特徴とする請求項1に記載の回転機軸振動検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−185838(P2010−185838A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31572(P2009−31572)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】