説明

回転角センサの製造方法

【課題】軸線方向に力を加えたり、拡径部を形成したりしなくても、効率的にレーザ溶接工程を行うことができる回転角センサの製造方法を提供する。
【解決手段】
一次成形体11に樹脂カラー5を取り付けて、樹脂カラー5の内周面と本体部4の外周面との間に、軸線方向における他端32側に開口した環状空間Sを形成する(カラー取付工程)。その後、一次成形体11を樹脂カラー5とともに成形型6に収納し、二次成形樹脂7で一次成形体11の一部を封止するとともに、環状空間Sを二次成形樹脂7で充填する(二次成形工程)。次いで、二次成形体12を成形型6から取り出し、樹脂カラー5の開口側端部50に対して外側からレーザLを照射することにより、開口側端部50の内側に充填された二次成形樹脂7と開口側端部50とを、その界面16において溶接する(レーザ溶接工程)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接を用いた回転角センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのクランクロータ等の回転角を検出するための回転角センサとして、図10に示すごとく、検出コイル91と、ヨーク93と、永久磁石92とを備えたものが従来から知られている(下記特許文献1参照)。
同図に示すごとく、従来の回転角センサ90は、ヨーク93の一端93aが検出コイル91の中心部に内嵌しており、この一端93aに永久磁石92が取り付けられている。ヨーク93の他端93bは、一次成形樹脂94と二次成形樹脂95によって封止されている。また、回転角センサ90は、検出コイル91を保護するための樹脂カラー96を有する。
【0003】
エンジン(図示しない)には挿入孔が形成されており、この挿入孔に、回転角センサ90の検出コイル91側部分が挿入される。また、エンジンのクランクロータは磁性体からなる突起を有する。クランクロータの回転に伴って突起が検出コイル91の近傍を通過すると、検出コイル91に誘導起電力が生じる。これによりクランクロータの回転角を検出することが可能になる。
クランクロータの回転角は、エンジンのシリンダ内のピストンの位置と関係があるので、この回転角を検出することにより、点火プラグの点火タイミングを最適化することができる。
【0004】
図10に示すごとく、二次成形樹脂95と樹脂カラー96には、それぞれ拡径部95a,96aが形成されている。これらの拡径部95a,96aが接触する面(溶接面98)は、レーザによって溶接されている。
【0005】
回転角センサ90を製造する際には、まず、図9に示すごとく、検出コイル91を取り付けたヨーク93を一次成形樹脂94および二次成形樹脂95で封止する。その後、図10に示すごとく、検出コイル91を保護するための樹脂カラー96を取り付ける。
次に、二次成形樹脂95と樹脂カラー96との間に軸線方向へ力Fを加えることにより、溶接面98を密着させる。この状態で、図11に示すごとくレーザLを拡径部96aに照射する。樹脂カラー96はレーザ透過性樹脂から構成されており、二次成形樹脂95はレーザ吸収性樹脂から構成されている。そのため、レーザLは樹脂カラー96を透過し、二次成形樹脂95の表面で吸収される。レーザLの吸収に伴って発生する熱によって、溶接面98を溶接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−3048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の回転角センサ90は、レーザ溶接工程において、溶接面98を密着させるために、二次成形樹脂95と樹脂カラー96の間に力Fを加える必要があった。溶接面98を密着させないと、レーザLによる溶接を効率的に行えないからである。そのため、力Fを加えなくても溶接できる回転角センサが望まれていた。
【0008】
また、従来の回転角センサ90は、拡径部95a,96aを形成する必要があった。すなわち、仮に図12に示すごとく、拡径部95a,96aを形成せず、二次成形樹脂95と樹脂カラー96の溶接部分950,960を各々円筒形状にしたとすると、二次成形樹脂95に樹脂カラー96を外嵌した後、溶接面98を密着させるために、樹脂カラー96の溶接部分960を径方向に加締めながらレーザ溶接を行う必要がある。この場合、加締め用の治具が邪魔になってレーザ照射ができないという問題が生じる。
したがって、溶接面98を密着しながらレーザ溶接するためには、図10に示すごとく拡径部95a,96aを形成し、軸線方向に力Fを加える必要があるが、この場合、エンジンへ挿入する部分の直径D(図10参照)が大きくなったり、回転角センサ90の重量が大きくなったりするという問題が生じる。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、軸線方向に力を加えたり、拡径部を形成したりしなくても、効率的にレーザ溶接工程を行うことができる回転角センサの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、磁界の時間的変化に伴って誘導起電力が生じる検出コイルと、棒状に形成され、軸線方向における一端が上記検出コイルの中心部に内嵌したヨークと、該ヨークの上記軸線方向における他端側を封止する樹脂製の本体部とを備えた一次成形体に対し、レーザ透過性樹脂からなる有底筒状の樹脂カラーを上記検出コイル側から取り付けて、上記検出コイルを上記樹脂カラーで覆うと共に、該樹脂カラーの開口側端部の内周面と上記本体部の外周面との間に、上記軸線方向における上記他端側に開口し上記一端側が閉じた環状空間を形成するカラー取付工程と、
上記一次成形体を上記樹脂カラーとともに成形型に収納し、レーザ吸収性を有する二次成形樹脂を上記成形型内に流し込むことにより、上記本体部のうち、上記樹脂カラーを取り付けていない部分を上記二次成形樹脂で封止するとともに、上記環状空間を上記二次成形樹脂で充填する二次成形工程と、
該二次成形工程によって形成された二次成形体を上記成形型から取り出して、上記開口側端部に対し外側から全周に渡ってレーザを照射することにより、上記開口側端部の内側に充填された上記二次成形樹脂と上記開口側端部とを、その界面において、該開口側端部を透過した上記レーザで溶接するレーザ溶接工程と、
をこの順に行うことを特徴とする回転角センサの製造方法にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の作用効果について説明する。本発明では、上記カラー取付工程の後、上記二次成形工程において、一次成形体を樹脂カラーとともに成形型に収納し、二次成形樹脂で一次成形体の一部を封止するとともに、上記環状空間を二次成形樹脂で充填する。
これにより、環状空間に充填された二次成形樹脂を、開口側端部の内周面に密着させることが可能になる。そのため、上記レーザ溶接工程を行う際に、レーザの溶接面(開口側端部と二次成形樹脂の界面)は当初から密着した状態になっている。したがって、二次成形樹脂と樹脂カラーの間に特に力を加えなくても、開口側端部にレーザを照射するだけで、上記溶接面を効果的に溶接することが可能になる。
また、レーザ溶接工程において力を加える必要がないため、二次成形樹脂と樹脂カラーに拡径部(図10参照)を形成する必要もなくなる。これにより、回転角センサの直径を小さくすることが可能になる。
【0012】
以上のごとく、本発明によれば、軸線方向に力を加えたり、拡径部を形成したりしなくても、効率的にレーザ溶接工程を行うことができる回転角センサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、一次成形体に樹脂カラーを取り付ける前の状態の断面図。
【図2】図1に続く図であって、一次成形体に樹脂カラーを取り付けた状態の断面図。
【図3】図2に続く図であって、一次成形体を樹脂カラーとともに成形型に収納した状態の断面図。
【図4】図3に続く図であって、成形型に二次成形樹脂を流し込んだ状態の断面図。
【図5】図4に続く図であって、レーザ溶接工程を行っている状態の二次成形体の断面図。
【図6】図5の要部拡大断面図。
【図7】実施例1における、エンジンに取り付けた回転角センサの断面図。
【図8】実施例2における、回転角センサの断面図。
【図9】従来例における、樹脂カラーを取り付ける前の回転角センサの断面図。
【図10】従来例における、樹脂カラーを取り付けた後の回転角センサの断面図。
【図11】従来例における、レーザ溶接工程を説明するための拡大断面図。
【図12】比較例における、回転角センサの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記二次成形樹脂は、上記樹脂カラーと同一の組成を有する樹脂に、上記レーザを吸収する不純物を添加することにより、上記レーザの吸収率を高めたものであることが好ましい(請求項2)。
このようにすると、樹脂カラーと二次成形樹脂とは不純物の有無という相違点はあるものの、その他の樹脂の組成は同じになる。この場合、レーザ溶接工程を行うと、二次成形樹脂と樹脂カラーが同じ温度で両方とも溶けるため、これらを容易に溶接することが可能になる。また、樹脂の組成が殆ど同じであるため、化学的な親和性が高く、溶接しやすい。
【0015】
また、上記樹脂カラーはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするレーザ透過性樹脂からなり、上記二次成形樹脂はポリブチレンテレフタレートを主成分とするレーザ吸収性樹脂から構成されていてもよい(請求項3)。
ポリトリメチレンテレフタレートは、レーザ透過性が優れており、低コストで製造できる。また、植物由来の樹脂なので、環境に優しいというメリットもある。
【0016】
また、上記二次成形工程では、射出成形を用いて、上記二次成形樹脂を上記成形型内に射出することが好ましい(請求項4)。
射出成形を用いると、二次成形樹脂を高圧で成形型内に射出できるため、開口側端部の内周面に二次成形樹脂を密着させやすくなる。そのため、レーザ溶接工程をより容易に行うことが可能になる。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる回転角センサの製造方法につき、図1〜図9を用いて説明する。
本例にかかる回転角センサ1の製造方法では、カラー取付工程(図1、図2)と、二次成形工程(図3、図4)と、レーザ溶接工程(図5、図6)をこの順に行う。
図1、図2に示すごとく、カラー取付工程では、一次成形体11に対して樹脂カラー5を取り付ける。一次成形体11は、検出コイル2と、ヨーク3と、樹脂製の本体部4とを備える。検出コイル2に作用する磁界が時間的に変化すると、検出コイル2に誘導起電力が生じる。ヨーク3は棒状に形成されており、軸線方向における一端31が検出コイル2の中心部に内嵌している。本体部4は、ヨーク3の軸線方向における他端32側を封止している。
【0018】
樹脂カラー5はレーザ透過性樹脂からなり、有底筒状に形成されている。図1に示すごとく、カラー取付工程では、樹脂カラー5を検出コイル2側から取り付けて、検出コイル2を樹脂カラー5で覆う。そして、図2に示すごとく、樹脂カラー5の開口側端部50の内周面と本体部4の外周面400との間に、軸線方向における他端32側に開口し一端31側が閉じた環状空間Sを形成する。
【0019】
次いで、二次成形工程を行う。本工程では図3、図4に示すごとく、一次成形体11を樹脂カラー5とともに成形型6に収納し、レーザ吸収性を有する二次成形樹脂7を成形型6内に流し込む。これにより、本体部4のうち、樹脂カラー5を取り付けていない部分を二次成形樹脂7で封止するとともに、上記環状空間Sを二次成形樹脂7で充填する。
【0020】
その後、図5、図6に示すごとく、レーザ溶接工程を行う。本工程では、二次成形工程によって形成された二次成形体12を成形型6から取り出して、樹脂カラー5の開口側端部50に対し外側から全周に渡ってレーザLを照射する。これにより、開口側端部50の内側に充填された二次成形樹脂7と開口側端部50とを、その界面16において、開口側端部50を透過したレーザLで溶接する。
以下、詳説する。
【0021】
図1に示すごとく、検出コイル2は、ボビン13に導線を巻回して構成したものである。この導線の両端部のコイル端子20は、本体部4の中を通ってコネクタ端子15に接続されている。
また、ヨーク3の一端31に永久磁石14が取り付けられている。ボビン13の端面130と永久磁石14の端面140は略面一である。図1、図2に示すごとく、本例では、樹脂カラー5を検出コイル2に被せ、ボビン13の端面130を樹脂カラー5の底面500に当接させた状態で、樹脂カラー5の開口側端部50が所定長さだけ、ヨーク3の他端32側に突出するようになっている。
また、図4に示すごとく、二次成形樹脂7には、開口側端部50の端面が軸方向から当接する当接部700が形成されている。
【0022】
一方、本例における本体部4およびヨーク3は、軸方向に直交する断面形状が円形である。また、開口側端部50は円筒形状に形成されている。本体部4の外周面400には、径方向外側へ突出するフランジ部40が形成されている。樹脂カラー5は、フランジ部40に外嵌している。本例では、フランジ部40と、樹脂カラー5の開口側端部50と、本体部4とに囲まれた部分が環状空間Sとなっている。
【0023】
図4に示すごとく、成形型6は第1成形型6a、第2成形型6b、第3成形型6cの、3個の型から構成されている。第1成形型6aは、コネクタ端子15の先端部15aに嵌合している。また、第2成形型6bは、二次成形樹脂7を導入するための樹脂導入孔60を備える。樹脂導入孔60から二次成形樹脂7を流し込んだ後、該二次成形樹脂7を固化して二次成形体12を形成する。そして、各成形型6a〜6cを二次成形体12から引き抜く。この際、第1成形型6aは、二次成形体12の軸線方向Aに引き抜き、第2成形型6bおよび第3成形型6cは、二次成形体12の径方向Rに引き抜くようになっている。
【0024】
本例では、二次成形工程は、射出成形により行う。樹脂導入孔60から二次成形樹脂7を射出すると、図4に示すごとく、本体部4のうち、フランジ部40よりもヨーク3の他端32側に存在する部分と、コネクタ端子15の基端部15bとが二次成形樹脂7で封止される。また、これに伴って、上述した環状空間Sが二次成形樹脂7で充填される。
【0025】
また、本例では、樹脂カラー5と同一の組成を有するレーザ透過性樹脂に、レーザLを吸収する不純物を添加することにより、レーザLの吸収率を高めたレーザ吸収性樹脂を、二次成形樹脂7として使用している。レーザ透過性樹脂としては、例えばポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと記す)を用いることができる。また、不純物としては例えば炭素を用いることができる。
【0026】
なお、樹脂カラー5をPBTで構成し、この樹脂カラー5のPBTとは異なる組成のPBTを用いて二次成形樹脂7を構成することもできる。また、ポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするレーザ透過性樹脂で樹脂カラー5を構成し、PBTを主成分とするレーザ吸収性樹脂で二次成形樹脂7を構成してもよい。
【0027】
また、図5、図6に示すごとく、本例のレーザ溶接工程では、開口側端部50に対して径方向外側からレーザLを照射している。レーザLは、例えば半導体レーザを用いることができる。
【0028】
本例の回転角センサ1は、図7に示すごとく、エンジンの壁部17に貫通形成した挿通孔170に検出コイル2側を差し込み、二次成形樹脂7に形成した二次側フランジ部70を壁部17に当接して固定した状態で用いる。回転角センサ1に取り付けたオーリング18により、挿通孔170の気密性を確保している。また、エンジンのクランクロータ171は磁性体からなる突部172を複数個備える。クランクロータ171の回転に伴って突部172が検出コイル2の近傍を通過すると、永久磁石14と突部172との間に磁路が形成されるため、検出コイル2を通る磁界が変化する。この磁界の変化に伴って検出コイル2に誘導起電力が生じる。これにより、クランクロータ171の回転角を検出することが可能になる。クランクロータ171の回転角は、エンジンのシリンダ内のピストンの位置と関係があるので、この回転角を検出することにより、点火プラグの点火タイミングを最適化することができる。
【0029】
次に、本例の作用効果について説明する。
本例では、カラー取付工程の後、二次成形工程(図3、図4参照)において、一次成形体11を樹脂カラー5とともに成形型6に収納し、二次成形樹脂7で一次成形体11の一部を封止するとともに、環状空間Sを二次成形樹脂7で充填する。
これにより、環状空間Sに充填された二次成形樹脂7を、開口側端部50の内周面に密着させることが可能になる。そのため、レーザ溶接工程を行う際に、レーザの溶接面(開口側端部50と二次成形樹脂7の界面16)は当初から密着した状態になっている。したがって、二次成形樹脂7と樹脂カラー5の間に特に力を加えなくても、開口側端部50にレーザを照射するだけで、溶接面を効果的に溶接することが可能になる。
また、レーザ溶接工程において力を加える必要がないため、二次成形樹脂7と樹脂カラー5に拡径部(図10参照)を形成する必要もなくなる。これにより、回転角センサ1の直径を小さくすることが可能になる。
【0030】
また、本例における二次成形樹脂7は、樹脂カラー5と同一の組成を有する樹脂に、レーザを吸収する不純物を添加することにより、レーザの吸収率を高めたものである。
このようにすると、樹脂カラー5と二次成形樹脂7とは不純物の有無という相違点はあるものの、その他の樹脂の組成は同じになる。この場合、レーザ溶接工程を行うと、二次成形樹脂7と樹脂カラー5が同じ温度で両方とも溶けるため、これらを容易に溶接することが可能になる。また、樹脂の組成が殆ど同じであるため、化学的な親和性が高く、溶接しやすい。
【0031】
また、本例では、二次成形工程において、射出成形を用いて、二次成形樹脂7を成形型6内に射出している。
射出成形を用いると、二次成形樹脂7を高圧で成形型6内に射出できるため、開口側端部50の内周面に二次成形樹脂7を密着させやすくなる。そのため、レーザ溶接工程をより容易に行うことが可能になる。
【0032】
また、本例では、ポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするレーザ透過性樹脂で樹脂カラー5を形成し、ポリブチレンテレフタレートを主成分とするレーザ吸収性樹脂で二次成形樹脂7を形成してもよい。
ポリトリメチレンテレフタレートは、ポリブチレンテレフタレートよりもレーザ透過性が優れており、低コストで製造できる。また、植物由来の樹脂なので、環境に優しいというメリットもある。
【0033】
以上のごとく、本例によれば、軸線方向に力を加えたり、拡径部を形成したりしなくても、効率的にレーザ溶接工程を行うことができる回転角センサ1の製造方法を提供することができる。
【0034】
(実施例2)
本例は、本体部4および樹脂カラー5の形状を変更した例である。本例では、図8に示すごとく、本体部4にフランジ部40を形成していない。また、樹脂カラー5に、開口側端部50よりも内径が小さい縮径部51を形成した。そして、縮径部51を本体部4に外嵌し、樹脂カラー5の開口側端部50と、縮径部51と、本体部4とに囲まれた部分を環状空間Sとした。
上記構造にすると、本体部4にフランジ部40を形成しなくても、環状空間Sを形成することができる。そのため、回転角センサ1の設計自由度を高めることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【符号の説明】
【0035】
1 回転角センサ
11 一次成形体
12 二次成形体
2 検出コイル
3 ヨーク
4 本体部
40 フランジ部
5 樹脂カラー
6 成形型
7 二次成形樹脂
S 環状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界の時間的変化に伴って誘導起電力が生じる検出コイルと、棒状に形成され、軸線方向における一端が上記検出コイルの中心部に内嵌したヨークと、該ヨークの上記軸線方向における他端側を封止する樹脂製の本体部とを備えた一次成形体に対し、レーザ透過性樹脂からなる有底筒状の樹脂カラーを上記検出コイル側から取り付けて、上記検出コイルを上記樹脂カラーで覆うと共に、該樹脂カラーの開口側端部の内周面と上記本体部の外周面との間に、上記軸線方向における上記他端側に開口し上記一端側が閉じた環状空間を形成するカラー取付工程と、
上記一次成形体を上記樹脂カラーとともに成形型に収納し、レーザ吸収性を有する二次成形樹脂を上記成形型内に流し込むことにより、上記本体部のうち、上記樹脂カラーを取り付けていない部分を上記二次成形樹脂で封止するとともに、上記環状空間を上記二次成形樹脂で充填する二次成形工程と、
該二次成形工程によって形成された二次成形体を上記成形型から取り出して、上記開口側端部に対し外側から全周に渡ってレーザを照射することにより、上記開口側端部の内側に充填された上記二次成形樹脂と上記開口側端部とを、その界面において、該開口側端部を透過した上記レーザで溶接するレーザ溶接工程と、
をこの順に行うことを特徴とする回転角センサの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、上記二次成形樹脂は、上記樹脂カラーと同一の組成を有する樹脂に、上記レーザを吸収する不純物を添加することにより、上記レーザの吸収率を高めたものであることを特徴とする回転角センサの製造方法。
【請求項3】
請求項1において、上記樹脂カラーはポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするレーザ透過性樹脂からなり、上記二次成形樹脂はポリブチレンテレフタレートを主成分とするレーザ吸収性樹脂からなることを特徴とする回転角センサの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項において、上記二次成形工程では、射出成形を用いて、上記二次成形樹脂を上記成形型内に射出することを特徴とする回転角センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−203043(P2011−203043A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69485(P2010−69485)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】