説明

回転軸支持装置

【課題】回転軸の軸端部以外の位置に対して軸受部材を容易に装着して回転軸に発生する撓みを低減するとともに、回転軸支持装置を装置機器本体側に対して小さなスペース内で効率的に取り付けることを可能とする。
【解決手段】軸受部材23の一部を切り欠くようにして形成した軸受破断部23bを通して回転軸22を軸方向と略直交する方向に押し込むようにして軸受部材23内に装着可能とするとともに、その回転軸22を装着した軸受部材23を、保持部材25の一部を切り欠くようにして形成した軸受嵌合部251a内に軸方向と略直交する方向に押し込むようにして挟持して取り付け可能に構成したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の軸受部材を装置機器本体の保持部材に取り付けるように構成された回転軸支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多種多様な装置機器において、回転軸を回転自在に支持する軸受部材を機器本体の保持部材に固定して取り付ける構成になされた回転軸支持装置が広く採用されている。このような回転軸支持装置においては、例えば下記の特許文献1の開示内容を表した図22に示されているように、長尺状の回転軸1の軸方向両端部分が略中空円筒状の軸受部材2,2により回転自在に支承されており、それらの各軸受部材2の各々が、図23にも示されているように、機器本体側に設けられた保持板3,3に貫通形成された支持穴部3a,3aの内部に挿通されることにより取り付けられている。
【0003】
上述した軸受部材2の各々は、前記回転軸1が挿入される軸穴部2aを有する本体胴部2bを有しており、その本体胴部2bの外周面には、軸方向及び回転方向の双方に離間して一対の狭持凸部2c,2cが突設されている。そして、前記本体胴部2bが、図23中の矢印eのように前記保持板3の支持穴部3aの内部に向かって軸方向に挿通された後、図24中の矢印fのように回動されると、上述した一対の狭持凸部2c,2cどうしの軸方向間隔部分に前記保持板3が厚さ方向に挟持され、それによって前記軸受部材2が図25及び図26のように軸方向に固定される。それと同時に、前記軸受部材2の本体胴部2bの外周面から半径方向外方に突出した位置に配置された固定ピン2dが前記保持板3の固定穴3b内に嵌合され、それによって前記軸受部材2が回転方向に固定される構成になされている。
【0004】
このようにして保持板3に取り付けられた軸受部材2に対して、図27に示されているように、上述した回転軸1の軸端部分が矢印gのように軸方向にスライドするようにして挿入され、それによって前記回転軸1の軸端部分が軸受部材2に回転自在に支承されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、例えば図28に示されているように、上述した回転軸1の軸端部以外の例えば軸方向略中央位置に軸受装着部1aが設けられている場合や、回転軸1に取り付けられた大径状の駆動ローラ4の近傍に軸受装着部1aが配置されている場合には、回転軸1に設けられている駆動ローラ4やその他の部材等が邪魔になって回転軸1を軸方向にスライドさせて軸受部材2に装着することができなくなってしまうことがある。
【0006】
さらに、例えば図29に示されているように、回転軸1に取り付けられた駆動ローラ4に対して、例えば紙搬送用のコロ部材5がバネ部材6等からの付勢力により圧接されている場合には、そのコロ部材5の圧接力によって回転軸1に撓みが発生してしまい、駆動ローラ4とコロ部材5との当接関係に偏り等を生じて、いわゆる用紙の斜行現象の原因となることがある。
【0007】
【特許文献1】特開特開2000−136823号公報
【0008】
そこで本発明は、軸受部材を、回転軸の軸端部以外の位置に対して容易に装着することができるとともに、装置機器本体側に対して小さなスペース内で効率的に取り付けることができるようにした回転軸支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明にかかる回転軸支持装置では、回転軸を回転自在に支持する略中空円筒状の軸受部材と、その軸受部材が取り付けられて固定された保持部材と、を備えた回転軸支持装置において、前記軸受部材には、当該軸受部材の一部を切り欠くようにして形成された軸受破断部が設けられ、その軸受破断部を通して前記回転軸が前記軸受部材内に装着されているとともに、前記保持部材には、当該保持部材の一部を切り欠くようにして形成された軸受嵌合部が設けられ、その軸受嵌合部内に前記回転軸を装着された軸受部材が挟持されている。
【0010】
このような構成を有する回転軸支持装置によれば、回転軸の軸方向途中部分が、軸受部材に設けられた軸受破断部を通して軸方向と略直交する方向に押し込まれるようにして軸受部材に装着可能となるとともに、その回転軸が装着された軸受部材は、保持部材に設けられた軸受嵌合部内に軸方向と略直交する方向に押し込まれるようにして取り付けられるようになっている。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように本発明にかかる回転軸支持装置は、軸受部材の一部を切り欠くようにして形成した軸受破断部を通して回転軸を軸方向と略直交する方向に押し込むようにして軸受部材内に装着可能とするとともに、その回転軸を装着した軸受部材を、前記保持部材の一部を切り欠くようにして形成した軸受嵌合部内に軸方向と略直交する方向に押し込むようにして挟持して取り付けるように構成したものであるから、回転軸の軸端部以外の位置に対して軸受部材を容易に装着することによって回転軸に発生する撓みを低減することができるとともに、回転軸支持装置を装置機器本体側に対して小さなスペース内で効率的に取り付けることができ、回転軸支持装置の信頼性を向上させつつ生産性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、複写機の回転軸支持装置に対して本発明を適用した実施形態を図面に基づいて詳細に説明するが、まず図1に示されているように、画像形成装置としての複写機の全体構造を説明しておく。
【0013】
図1に示されている複写機10の全体は、記録シートPに対して画像形成動作を行うプリンタ部(装置本体部)11と、そのプリンタ部11の上方位置に装備された画像読取装置12と、その画像読取装置12に対して原稿を自動的に供給する自動原稿供給装置(ADF)13とを備えている。
【0014】
そして、前記画像読取装置12において読み取られた原稿の画像情報は、プリンタ部(装置本体部)11内に配置されたコントローラ111に入力されることによりレーザビームスキャナ112に画像信号として供給され、当該レーザビームスキャナ112から射出される走査ビームが、図示矢印方向に回転駆動されつつ一次帯電器113により予め一様に帯電される感光体ドラム114に照射され、当該感光ドラム114の表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム114の表面に形成された静電潜像は、現像装置115を通過する際に現像剤であるトナーを付着されることにより現像されたトナー像となる。
【0015】
一方、前記感光体ドラム114の下方に配置されたシート供給カセット116の内部には、多数の記録材としての記録シートPが中板116a上に積載されるようにして格納されていて、シート供給ローラ116bの回転駆動により前記シート供給カセット116から送り出された記録シートPは、搬送ローラ対116cへ受け渡されてレジストローラ対116dに送り込まれていく。
【0016】
前記レジストローラ対116dは、回転を停止している状態で記録シートPの先端を受け止めるように配置されており、記録シートPに適宜の撓みを形成させることによって前記記録シートPの斜行を修正して真っ直ぐな状態とする。その後、前記感光体ドラム114の回転とタイミングを合わせてレジストローラ対116dの回転が開始されると、前記記録シートPは、その先端が前記感光体ドラム114上のトナー像に合わせられるようにして転写器114aと感光体ドラム114との間の転写領域に送り込まれていき、前記転写器114aから付与される転写バイアスによって前記記録シートPが帯電されて感光体ドラム114側のトナー像が記録シートPへ転写される。
【0017】
その転写領域から後方側(図示左方側)に向かって延びる搬送ベルト117は、上述したようにトナー像が転写された記録シートPを定着装置118に送り込むように配置されている。定着装置118には、加熱体を構成する定着フイルム118aが設けられているとともに、その定着フイルム118aの図示下面側に対して加圧ローラ118bがバネ等の適宜の付勢手段により圧接するように配置されていて、それら定着フイルム(加熱体)118aと加圧ローラ118bとの圧接部位に形成された定着ニップ領域内を記録シートPが通過させられ、当該定着ニップ領域において付与される加熱・加圧作用により前記記録シートP上のトナー像に対する定着処理が行われるようになっている。
【0018】
また、定着作用により永久画像を形成された記録シートPは、羽根板状をなす排出トレイ119上に排出されていくが、定着後に感光体ドラム114の表面上に残されたトナーは、クリーナ114bの残トナー掻き落とし作用によって除去される。
【0019】
このような複写機の搬送経路には、例えば図2及び図3に示されているような本発明の一実施形態にかかる回転軸支持装置が採用されている。
【0020】
すなわち、上述した記録シートPの搬送経路には、例えば図2及び図3に示されているような板状の紙ガイド部材20が配置されており、その紙ガイド部材20の紙搬送表面には、図示下方側から上方側に向かう紙搬送方向に沿って延在する多数の通紙リブ21が略平行に立設された状態で配置されている。それらの各通紙リブ21は、記録シートPの搬送案内機能を備えるように設けられたものであるが、それら複数の通紙リブ21のうちの一部の通紙リブ21は、長尺棒状の回転軸22を回転自在に支承する一対の軸受部材23,23に対する保持部材として構成されており、紙幅方向に適宜の間隔を離して配置された一対の通紙リブ21に対して軸受部材23がそれぞれ取り付けられている。この軸受部材23の取付け構造については後段において詳細に説明する。
【0021】
上記各軸受部材23,23は、特に図4に示されているように、前記回転軸22の軸方向一端部分(図4の左端部分)及び軸方向略中央部分にそれぞれ形成された軸受支持部22a,22aに対して各々装着されており、それらの各軸受部材23,23の側部近傍には、前記回転軸22に固定された比較的大径状のゴムローラ24,24がそれぞれ配置されている。また、前記回転軸22の他端部分(図4の右端部分)は、当該他端部分に設けられた凸部22bを介して回転補助軸22cが接続されているとともに、その回転補助軸22cの先端部分に、装置本体側の駆動装置によって回転駆動される駆動ギヤ22dが接続されていることによって、前記回転軸22に紙搬送用の回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0022】
さらに、上述した各軸受部材23は、特に図5に示されているように、中空状円筒体の一部切り欠いた形状の本体胴部23aを有している。すなわち、その軸受部材23の本体胴部23aには、当該本体胴部23aの周壁部の一部を周方向に分離させるように切欠き形成された軸受破断部23bが設けられており、その軸受破断部23bは、軸方向に沿って略直線状に延在する切欠き開口部を形成するように設けられている。この軸受部材23の軸受破断部23bにより形成される切欠き開口部は、本体胴部23aの接線方向に沿って適宜の幅Zを有しており、その切欠き開口幅Zが、軸受部材23の軸方向全長にわたって略一定となるように形成されている。
【0023】
そして、このような軸受破断部23bが軸受部材23に設けられていることによって当該軸受部材23の本体胴部23aが径方向に弾性変形可能となるように構成されており、図6に示されているように、上述した回転軸22の軸受支持部22a,22aが、前記軸受破断部23bを通して軸方向に略直交する矢印a方向に押し込まれるようにして軸受部材23の軸受内部側に装着されるようになっている。
【0024】
このとき、前記軸受破断部23bにより形成される切欠き開口幅Zは、上述した回転軸22の軸受支持部22aにおける外径寸法Y(図14参照)よりも小さくなるように形成されており(Z<Y)、これによって前記回転軸22の外周面が軸受部材23の軸受破断部23bに押し付けられた際に(図6及び図14中の矢印a参照)、回転軸22の外周面によって軸受部材23の軸受破断部23bが幅方向(図14中の矢印b参照)に一旦押し広げられるように弾性変形し、それによって軸受部材23の軸受内部側に回転軸22が装着可能となる。また、回転軸22が装着された後には、軸受部材23の本体胴部23aが元の形状に弾性的に戻され、それによって上記回転軸22は軸受部材23から外方に抜け出すことなく保持されるようになっている。
【0025】
このような軸受部材23の本体胴部23aの外周面には、前述した従来技術で開示したものと同様に、軸方向及び回転方向の双方に離間して一対の狭持凸部23c,23cが設けられており、それら一対の狭持凸部23c,23cどうしの間に前記通紙リブ21に保持部材として設けられた軸受嵌合部(図7〜図21中の符号25参照)が厚さ方向に挟持され、それによって軸受部材23が軸方向に固定されるようになっている。また、前記本体胴部23aの外周面から半径方向外方に向かって突出するレバー部材23dの先端部分には凸状をなす固定ピン23eが軸方向に突出するように形成されており、その固定ピン23eが、前記通紙リブ21に保持部材として設けられた軸受嵌合部の軸受固定穴(図7〜図21中の符号251b参照)に嵌合されることによって、前記軸受部材23が回転方向に固定されるようになっている。これら各部材の嵌合関係について、以下詳細に説明することとする。
【0026】
まず、特に図7に示されているように、上述した回転軸22が配置された部位に位置する各通紙リブ21には、回転軸22及びゴムローラ24,24との接触・干渉を回避するため必要な凹状逃げ部21aが略半円状の切欠き形状をなすように形成されているとともに、上述した軸受部材23が取り付けられる部位に位置する各通紙リブ21には、軸受部材23を挟持可能とする軸受嵌合部25が略半円状の切欠き形状を備えるように形成されていて、その軸受嵌合部25の切欠き形状内に、上述した軸受部材23の本体胴部23aが押し込まれるようにして弾性的に挟持され、それによって軸受部材23が不動状態に固定されるようになっている。
【0027】
この軸受部材23を保持する部材として通紙リブ21に設けられた軸受嵌合部25は、図7〜図13に示されているように、通紙リブ21自体に一体的に設けられた第1の軸受嵌合部材251と、その第1の軸受嵌合部材251に対して軸方向(紙幅方向)に隣接して配置された第2の軸受嵌合部材252とにより形成されている。このように軸受嵌合部25を2部材に分けて構成したのは、型成型品からなる第1及び第2の軸受嵌合部材251,252の型抜き方向を異なる方向に設定することによって、上述した軸受嵌合部25を製造する際に使用する金型構造において一方向での型抜きを可能とするためであり、他の製造方法で可能であれば軸受嵌合部25を1部材として構成するようにしてもよい。
【0028】
上述した軸受嵌合部25を構成している第1の軸受嵌合部材251は、特に図8〜図11に示されているように、前記軸受部材23の本体胴部23aを前方側から受け入れ可能とする略U字状の切欠き保持溝251aを有しており、その切欠き保持溝251aの開口部を通して前記軸受部材23の本体胴部23aが切欠き保持溝251aの溝奥側に向かって挿通されるようになっている。この切欠き保持溝251aにおける溝奥側円弧状部の内径は、軸受部材23の本体胴部23aの最大外径寸法φV(図14及び図19参照)と略同一の寸法をなすように形成されており、それによって、前記軸受部材23の本体胴部23aが、第1の軸受嵌合部材251の切欠き保持溝251aの溝内部内に装着されるようになっている。
【0029】
また、この第1の軸受嵌合部材251には、上述した切欠き保持溝251aの上方部位に軸受固定穴251bが、後方側から切り欠かれるようにして形成されており、その軸受固定穴251bに対して、前述した軸受部材23側の固定ピン23eが嵌合されるようになっている。
【0030】
一方、上述した第2の軸受嵌合部材252は、特に図8,図9,図12及び図13に示されているように、略嘴状をなすように形成された上下一対の凸部からなる規制片252a,252aが上下方向に適宜の間隔をなすようにして対向配置された構成になされており、それら上下一対の各規制片252a,252aの先端部分に設けられた鋭角突部252b,252bどうしの上下方向間隙が最も狭い部位を形成する構成になされている。すなわち、この上下一対の規制片252a,252aに設けられた鋭角突部252b,252bどうしの上下方向間隙は、上述した第1の軸受嵌合部材251の開口部よりもやや狭められた寸法をなすように設定されており、これらの両軸受嵌合部251,252を重ね合わせて構成した軸受嵌合部25全体としての開口幅Xを構成している。
【0031】
このとき、上述したように軸受部材23の本体胴部23aが第1の軸受嵌合部材251の切欠き保持溝251a内に装着される部位においての最大外径はφVになされているが(図14及び図19参照)、特に図5,図14及び図17に示されているように、前記軸受部材23の本体胴部23aの最小外径Wは、上述した前記軸受破断部23bの開口部を形成している本体胴部23aの両端縁部から、その軸受破断部23bの開口部と径方向に対向している前記本体胴部23aの外周面に至るまでのやや小さい寸法となっている(W<φV)。そして、その軸受部材23aの本体胴部23aの最小外径Wに対して、上述した軸受嵌合部25(第2の軸受嵌合部材252)の切欠き開口幅Xが、僅かに大きい寸法となるように形成されている(W<X)。
【0032】
その結果、軸受部材23の本体胴部23aが、特に図17中矢印cのように軸受嵌合部25の内部側に装着されるにあたって、上述した軸受部材23の本体胴部23aの最小外径Wが、軸受嵌合部25(第2の軸受嵌合部材252)の切欠き開口幅Xに対面するように配置されることにより、軸受部材23の本体胴部23aは軸受嵌合部25側に干渉することなく円滑に挿入されることとなる。
【0033】
そして、このような非干渉状態で軸受部材23の本体胴部23aが軸受嵌合部25に装着された後には、上述した鋭角突部252b,252bによって軸受部材23の本体胴部23aは、外方に抜け出ることのないように不動状態に保持され、前記軸受嵌合部25の内部側、つまり第1の軸受嵌合部材251の切欠き保持溝251aの溝奥側の部位に軸受部材23が押し込められた状態で挟持されることによって前記軸受部材23の外方への抜け出しが防止される。
【0034】
このようにして軸受部材23が軸受嵌合部25の内部側に円滑に装着された後、上述したレバー部材23dが図18中の矢印dのように回動され、それによって軸受部材23の全体が図示時計回りに回動させられる。その結果、図19に示されているように、前記軸受部材23の本体胴部23aの最大径φVを有する外周面が、前記軸受嵌合部25の切欠き保持溝251aの溝内周面に押し当てられ、それによって軸受嵌合部25の内部側に軸受部材23の本体胴部23aが挟持されるようになっている。
【0035】
また、軸受部材23が回動させられたときに、前述したレバー部材23dの固定ピン23eが軸受嵌合部25の軸受固定穴251b内に嵌合され、それによって前記軸受部材23が回転方向に固定されるようになっている。
【0036】
このような構成を有する各部材の組み付け手順をまとめて説明しておくと次のようになる。
【0037】
まず、図6,図14及び図16に示されているように、上述した回転軸22の軸受支持部22a,22aに対して、軸受部材23の軸受破断部23bが矢印a方向に押し当てられ、それによって軸受部材23が矢印b方向に押し広げられるように弾性変形し、図15に示されているように、軸受部材23の軸受内部に回転軸22の軸受支持部22aが嵌り込んで回転軸22は軸受部材23により位置決めされる。
【0038】
次に、図16に示されているように、上述したようにして軸受部材23に位置決めされ一体化された回転軸22が、保持部材としての軸受嵌合部25に組み付けされる。それにあたっては、まず図17に示されているように、上述した軸受部材23に位置決めされ一体化された回転軸22が矢印c方向に挿入される。このときには、軸受部材23の最小外径Wが軸受嵌合部25の切欠き開口幅Xに対向するように配置され(W<X)、それによって軸受部材23の本体胴部23aが軸受嵌合部25の内部側に円滑に挿入されることとなる。
【0039】
このようにして軸受部材23が軸受嵌合部25の内部側に挿入された後に、図18の矢印d方向に軸受部材23が回動させられ、その軸受部材23の固定ピン23eが、図19に示されているように軸受嵌合部25の軸受固定穴251b内に嵌合されることによって軸受部材23が回転方向に位置決めされるとともに、特に図20及び図21に示されているように、軸受部材23の狭持凸部23c,23cが軸受嵌合部25が設けられた通紙リブ21を板厚方向に挟み込む。そのとき、軸受嵌合部25の開口幅Xが軸受部材23の本体胴部23aの最大外径寸法φVより小さく形成されていることから(X<φV)、軸受部材23の本体胴部23aは外方に抜け出ることなく不動状態に保持され、軸受部材23のスラスト方向への固定がなされる。
【0040】
このように本実施形態によれば、回転軸22の途中部分に設けられた軸受支持部22aが、軸受部材23に設けられた軸受破断部23bを通して軸方向と略直交する方向に押し込まれるようにして軸受部材23の内部に装着されるとともに、その回転軸22が装着された軸受部材23は、保持部材としての軸受嵌合部25に軸方向と略直交する方向に押し込まれるようにして容易かつ良好に取り付けられるようになっている。
【0041】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0042】
例えば、上述した各実施形態は、複写機の搬送経路に設けられた回転軸支持装置に対して本発明を適用したものであるが、複写機の他の部位や、プリンタ等の他の画像形成装置や、そのた多種多様な装置に対して本発明は同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上述べたように本発明は、画像形成装置をはじめとして多種多様な装置における回転軸支持装置に対して広く適用することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を適用する画像形成装置の一例としての複写機の全体構成を表した縦断面説明図である。
【図2】図1に示された複写機の搬送経路に設けられた本発明の一実施形態にかかる回転軸支持装置を有するガイド部材の全体構造を表した正面説明図である。
【図3】図2に示された回転軸支持装置を有するガイド部材の構造を表した外観斜視説明図である。
【図4】図3に示された回転軸支持装置に用いられている回転軸の一例を表した外観斜視説明図である。
【図5】図3に示された回転軸支持装置に用いられている軸受部材の構造を表したものであって、(a)及び(b)は外観斜視説明図、(c)は正面説明図、(d)は側面説明図である。
【図6】回転軸に対して本発明の一実施形態にかかる軸受部材を装着する際の状態を表した外観斜視説明図である。
【図7】図2に示されたガイド部材の構造を表した外観斜視説明図である。
【図8】図2に示された回転軸支持装置を有するガイド部材に用いられている本発明の一実施形態における軸受嵌合部の構造を表したものであって、(a)及び(c)は左右側面説明図、(b)は正面説明図である。
【図9】図8に示された軸受嵌合部の構造を表した外観斜視説明図である。
【図10】図8及び図9に示された軸受嵌合部を構成する第1の軸受嵌合部の構造を表した側面面説明図である。
【図11】図10に示された第1の軸受嵌合部の構造を表した外観斜視説明図である。
【図12】図8及び図9に示された軸受嵌合部を構成する第2の軸受嵌合部の構造を表した側面面説明図である。
【図13】図12に示された第2の軸受嵌合部の構造を表した外観斜視説明図である。
【図14】本発明の一実施形態にかかる軸受部材を回転軸に装着する際の状態を表した横断面説明図である。
【図15】本発明の一実施形態にかかる軸受部材を回転軸に装着した後の状態を表した横断面説明図である。
【図16】本発明の一実施形態にかかる軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に装着する状態を表した外観斜視説明図である。
【図17】本発明の一実施形態にかかる軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に挿入しようとする状態を表した横断面説明図である。
【図18】本発明の一実施形態にかかる軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に挿入した直後の状態を表した横断面説明図である。
【図19】本発明の一実施形態にかかる軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に装着完了した状態を表した横断面説明図である。
【図20】本発明の一実施形態にかかる軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に装着した後の状態を表した正面側の部分拡大斜視図である。
【図21】本発明の一実施形態にかかる軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に装着した後の状態を表した背面側の部分拡大斜視図である。
【図22】従来の回転軸支持装置において軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に装着しようとする状態を表した背面側の部分拡大斜視図である。
【図23】従来の回転軸支持装置において軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に装着した直後の状態を表した背面側の部分拡大斜視図である。
【図24】従来の回転軸支持装置において軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に装着完了した状態を表した背面側の部分拡大斜視図である。
【図25】従来の回転軸支持装置において軸受部材を紙ガイド部材の軸受嵌合部に装着完了した状態を表した正面側の部分拡大斜視図である。
【図26】従来の回転軸支持装置において軸受部材に対して回転軸を装着しようとしている状態を表した背面側の部分拡大斜視図である。
【図27】従来の回転軸支持装置において軸受部材に対して回転軸を装着した状態を表した背面側の部分拡大斜視図である。
【図28】従来の回転軸支持装置に用いられている回転軸の一例を表した外観斜視説明図である。
【図29】従来の回転軸支持装置に用いられている回転軸が押圧された状態を表した外観斜視説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10 複写機(画像形成装置)
11 プリンタ部(プリンタ部)
12 画像読取装置
13 自動原稿供給装置(ADF)
P 記録シート
114 感光体ドラム
115 現像装置
116 シート供給カセット
117 搬送ベルト
119 排出トレイ
20 紙ガイド部材
21 通紙リブ
21a 凹状逃げ部
22 回転軸
22a 軸受支持部
22b 凸部
23 軸受部材
24 ゴムローラ
22c 回転補助軸
22d 駆動ギヤ
23a 本体胴部
23b 軸受破断部
23c 狭持凸部
23d レバー部材
23e 固定ピン
25 軸受嵌合部
251 第1の軸受嵌合部材
251a 切欠き保持溝
251b 軸受固定穴
252 第2の軸受嵌合部材
252a 規制片
252b 鋭角突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を回転自在に支持する略中空円筒状の軸受部材と、その軸受部材が取り付けられて固定された保持部材と、を備えた回転軸支持装置において、
前記軸受部材には、当該軸受部材の一部を切り欠くようにして形成された軸受破断部が設けられ、その軸受破断部を通して前記回転軸が前記軸受部材内に装着されているとともに、
前記保持部材には、当該保持部材の一部を切り欠くようにして形成された軸受嵌合部が設けられ、その軸受嵌合部内に前記回転軸を装着された軸受部材が挟持されていることを特徴とする回転軸支持装置。
【請求項2】
前記保持部材の軸受嵌合部は、軸方向に隣接して設けられた第1及び第2の軸受嵌合部材により形成され、
前記第1の軸受嵌合部材には、前記軸受部材を受け入れ可能とした略U字状の切欠き保持溝が設けられているとともに、
前記第2の軸受嵌合部材には、前記第1の軸受嵌合部材の切欠き保持溝内に装着された軸受部材の抜け出しを防止する凸部からなる規制片が設けられていることを特徴とする請求項1記載の回転軸支持装置。
【請求項3】
前記保持部材の軸受嵌合部を形成している第1及び第2の軸受嵌合部材が型成形品からなり、
前記第1の軸受嵌合部材の型抜き方向と、前記第2の軸受嵌合部材の型抜き方向とが、異なる方向に設定されていることを特徴とする請求項2記載の回転軸支持装置。
【請求項4】
前記軸受部材に装着される回転軸には、ローラが少なくとも一個取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回転軸支持装置。
【請求項5】
前記軸受破断部は、前記軸受部材を構成している中空円筒状本体胴部の周壁部の一部を周方向に分離するように形成され、当該軸受破断部によって前記軸受部材が径方向に弾性変形可能となるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の回転軸支持装置。
【請求項6】
前記保持部材に設けられた軸受嵌合部の切欠き開口幅Xは、前記軸受部材が前記保持部材に嵌合される部位における最大外径寸法φVより小さく形成されているとともに(X<φV)、
前記保持部材に設けられた軸受嵌合部の切欠き開口幅Xは、前記軸受部材の最小外径寸法Wよりも大きく形成されている(W<X)ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の回転軸支持装置。
【請求項7】
前記軸受部材の最小外径寸法Wは、前記軸受破断部の切欠き開口部を形成している端縁部から、前記軸受破断部の開口部と径方向に対向する前記軸受部材の外周面までの径方向寸法Wであることを特徴とする請求項6記載の回転軸支持装置。
【請求項8】
前記軸受部材に設けられた前記軸受破断部の開口幅Zが、前記回転軸の外径寸法Yよりも小さく形成されている(Z<Y)ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の回転軸支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2008−57616(P2008−57616A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233903(P2006−233903)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】