回転防止工具ホルダー及び切削用チップ工具
【課題】チップ用ポケット内での丸い形状のチップの回転を防止するだけでなく製造が容易で且つ安定した確実な位置決めに必要な精度を提供するように効率良く機能するスローアウェイチップ及び工具ホルダーを提供する。
【解決手段】工具ホルダーは、工具ホルダー内に設けられたチップ用ポケット33と、チップ用ポケット33の側壁32及び底面37のうちの少なくとも一方から突出している少なくとも1つの回転防止ストッパ34とを含む。回転防止ストッパ34は、少なくとも2つのほぼ平らな面35を含み、ある種の実施形態においては、底面37及び底面37に対してほぼ直角な3つのほぼ平らな面35,36を有する。回転防止ストッパ34は、工具ホルダーと一体であっても良く又は別個に製造され且つ工具ホルダーに永久的に若しくは一時的に取り付けられる。これらの実施形態は、加工用途によって所望される場合には、付加的な回転防止ストッパを更に含む。
【解決手段】工具ホルダーは、工具ホルダー内に設けられたチップ用ポケット33と、チップ用ポケット33の側壁32及び底面37のうちの少なくとも一方から突出している少なくとも1つの回転防止ストッパ34とを含む。回転防止ストッパ34は、少なくとも2つのほぼ平らな面35を含み、ある種の実施形態においては、底面37及び底面37に対してほぼ直角な3つのほぼ平らな面35,36を有する。回転防止ストッパ34は、工具ホルダーと一体であっても良く又は別個に製造され且つ工具ホルダーに永久的に若しくは一時的に取り付けられる。これらの実施形態は、加工用途によって所望される場合には、付加的な回転防止ストッパを更に含む。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は材料切削工具に関する。より特別には、本発明は、工具ホルダー及び切削用チップ(チップ)に関する。本発明の工具ホルダー及び切削用チップは、工具ホルダーのチップ用ポケット内に固定されている間のチップの回転を防止するために回転防止ストッパを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
初期の超硬切削工具は、典型的には、鋼製のホルダーに鑞付けされた超硬合金のブランクであった。このブランクは、研削によって再研磨される。逃げ角、切り刃半径及びその他の構造もまた、特別な切削作業に適するように工具内で研磨することもできる。これらの初期の超硬切削工具は、従来の工具に対して著しい生産性の増大を提供するけれども、ある種の欠点が明らかとなった。鈍くなった工具を研磨するための再研磨は、切削用チップの大きさ及び形状を変化させる。このことは、サイズがより小さくなった工具を補償するために、工具が研磨される度毎に、切削工具と工作物との間の関係を調整することを必要とする。
【0003】
更に、超硬チップとホルダーとの間の鑞付け結合は、限られた範囲の作動温度に耐えることができるだけであり、それによって、超硬工具の多数の潜在的な用途が狭められる。更に、コーティングされた面を備えた超硬チップは、再研削することができず、交換しなければならなかった。
【0004】
現代では、交換可能なスローアウェイチップがより広く使用されている。超硬チップ以外の鑞付けされた工具に似たスローアウェイチップは、鑞付けではなく圧締めによってホルダー内に固定される。切り刃が鈍くなると、チップは、取り外し、回されて、交換されて、更に切削するために新しい鋭い刃を提供することができる。このことは、交換毎に切削作業の再調整の必要性を排除する。典型的には、スローアウェイ切削用チップは、チップ内の円錐形の穴に嵌合し、工具ホルダー内にチップをしっかりと保持するテーパーが付けられたヘッドを有するねじによって定位置に保持される。チップの頂部の圧締めもまた、切削用チップを工具ホルダーに更に固定するためにねじと組み合わせて使用しても良い。
【0005】
統一性及び交換の容易性は、スローアウェイチップの主要な利点である。スローアウェイチップ間での切り刃の位置決めの統一性は、加工工具の整備を簡素化し且つより均一な製品を保証する助けとなる。
【0006】
しかしながら、金属加工、特にフライス加工作業のための工具ホルダーにおいて丸い形状のチップを使用する際にはたくさんの問題がある。丸いチップによる加工に対する典型的な問題としては、角形又はダイヤモンド形状のチップと比較して不正確な位置合わせ機構、丸い形状のチップの不確実な圧締め及び位置決めによる加工作業における不均一なチップの寿命がある。なぜならば、位置合わせのために使用できる真っ直ぐな端縁が存在しないからであり、切り刃の剥離もまた切削工具ホルダーのポケット内での丸い形状のチップの回転ばかりでなくその他の理由から生じるかも知れないからである。
【0007】
幾つかの工具ホルダー及び丸いスローアウェイチップは、工具ホルダー内の丸い形状のチップによって金属を加工する際のこれらの問題を解決する試みの中で、回転防止機構を組み込んでいた。例えば、米国特許第5,658,100号には、複数の凹部が丸い形状のチップの頂面に形成されているフライスのポケット内に丸い形状のチップを固定する機構が記載されている。このチップは、次いで、フライスのポケット内での丸い形状のチップの回転を防止するために、フライス本体上に支持された圧締め用の爪によって工具ホルダー内に固定される。しかしながら、米国特許第5,658,100号に記載されている圧締め用の爪は切削用チップの頂面と係合するので、切り屑制御構造は、作動中のチップの回転防止とチップの切り屑形成の制御との両方の機能を果たさなければならない。
【0008】
米国特許第6,053,671号には、丸い形状のチップが、チップの端面が段部によって分離されている2つの部分によって構成される方法で製造されている。上方部分は、一般的な丸い切削面として機能する円錐台であり、下方部分は、ポケットの下方壁との間に干渉接触を形成して丸い形状のチップのポケットに対する回転を防止する多角形形状である。
【0009】
米国特許第5,346,336号においては、多角形パターンの面を含んでいる別の切削用チップが記載されている。丸い形状のチップの円形側面の近くに多角形パターンが配置されており、次いで、相補形状の多角形パターンのポケットが設けられている。丸い形状のチップの多角形面は、フライス本体の対応するポケット上の相補的な多角形の壁と干渉して、ポケット内での丸い形状のチップの回転を防止する。
【0010】
米国特許第6,053,671号及び第5,346,336号は、設計が基本的に似ており、すなわち、丸い形状のチップ上の多角形状の面が、フライス本体上の収容ポケット内の相補形状の多角形の壁と相互作用する。超硬合金材チップ上に多角形パターンによって作られた全放射体の端縁は、加工作業中にポケットピンの比較的軟らかい鋼材をゆっくりと切削することができる。更に、これらのチップの多角形パターンに基づく設計によって提供される限られた接触は、チップの面の端縁とポケットの平らな壁との間の一点接触を生じ、これは、常にチップの局部的な剥離又は亀裂を生じ得る。
【0011】
米国特許第6,238,133号には、複数の湾曲した且つ斜めの三次元面が丸い形状のチップの側壁の近くに形成され、これは、フライスのチップ受け入れポケット内のほぼ相補形の湾曲面又は三次元と干渉し、従って、フライス上のポケット内に丸い形状のチップのための回転防止機構を提供する。
【0012】
米国特許第6,238,133号は、丸い形状のチップの側壁の近くに湾曲したストッパ面を使用し且つ切り刃本体のポケット内に少なくとも1つの相補形の回転防止湾曲面を使用している機構を提供している。これらの湾曲面は両方とも部分的に放射状の曲線によって形成されていて、境界面は、広い/線状の接触か両凸レンズ状の接触とすることができる。これは、主として、超硬チップと鋼製の切り刃上の比較的軟らかいポケットとの間の接触による境界面を弱くするためにチップ上に尖った端縁が存在しないからである。
【0013】
米国特許第6,238,133号に記載されている機構には幾つかの欠点及び制限が存在し、これらの欠点は、主として、ポケット内に存在する湾曲した斜めの三次元面の複雑さによる。特に、第一に、相補形状の斜め構造は、チップ及び対応するポケットの製造中に、チップとポケットとの間の接触境界部に所望の機能性を維持するために必要とされる幾何学的構造及び寸法精度を確保するために、チップと対応するポケットとの製造に複雑な加工工程を必要とする。第二に、湾曲した斜めの三次元面は、ポケットの製造方法を、ポケットの軸線に沿った軸線方向の加工方法に限定する。第三に、工具ホルダーの複雑な構造の製造の制限として、フライス内のポケットの数、従って、歯の数を更に制限する。
【0014】
フライス上の歯の数は、フライス作業の切削効率に影響を及ぼす重要なファクタである。フライスは、工作物との妨害されない接触を確保するのに十分な数の歯を有するべきである。フライスの歯が少なすぎると、1つの歯は、次の歯が工作物とかみ合う前に工作物との接触を失うであろう。このことは、振動及びチャッタリングにつながり、質の低い仕上げ、寸法の不正確さ及び過剰な工具の摩耗を生じる。表面の仕上げの品質は、典型的には、より多くの歯を備えたフライスを使用することによって良好になる。
【0015】
上記した機構の全てがフライス本体上の対応するポケット内での丸い形状のチップの不所望な回転を防止する可能な手段を提供するけれども、上記した機構の全てがいくつかの欠点を有している。
【0016】
従って、チップ用ポケット内での丸い形状のチップの回転を防止するだけでなく製造が容易で且つ安定した確実な位置決めに必要な精度を提供するように効率良く機能するフローアウェイチップ及び工具ホルダーの必要性が存在する。
【0017】
スローアウェイチップ、例えば、切り刃本体上の歯の数を増す可能性を許容するタングステンを基礎とする超硬合金又はサーメットによって作られた切削用チップと工具ホルダーとの組み合わせの必要性もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、少なくとも2つの実質的に平らな面を有している回転防止ストッパを組み入れている6個のポケットを備えたフライスとしての工具ホルダーの1つの実施形態の斜視図である。
【図2】図2の2A,2B,2Cは、図1の工具ホルダーと適合する丸い形状の切削用チップの斜視図であり、これらのチップは、工具ホルダー内でチップを位置合わせするための8つの凹部を備えている。
【図3】図3は、図1の工具ホルダーの1つのポケットの拡大図である。
【図4A】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4B】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4C】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4D】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4E】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4F】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4G】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4H】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図5】図5は、工具ホルダーの実施形態において固定されたチップの断面図である。
【図6】図6の6A及び6Bは、ポケットを製造するために使用されるタンジェルシャル製造方法の一つの実施形態を示している工具ホルダーの一実施形態の平面図である。
【発明の開示】
【0019】
本発明は、少なくとも1つのチップ用ポケットが側面と該側面から突出している少なくとも1つの回転防止ストッパとを含んでいる少なくとも1つのポケットを備えた工具ホルダーの実施形態に関する。この回転防止ストッパは、少なくとも2つの実質的に平らな面を含むことができる。ある種の実施形態においは、切削工具は、底面と該底面にほぼ直角である3つのほぼ平らな面を備えている回転防止ストッパとを含んでいるポケットを備えていても良い。
【0020】
回転防止ストッパは、工具ホルダーと一体であっても良く又は別個に製造され且つ永久的か一時的に工具ホルダーに取り付けられても良い。実施形態は、加工用途によって所望される場合には、付加的な回転防止ストッパを更に含んでいても良い。
【0021】
一つの実施形態においては、切削工具ホルダーは、該工具ホルダー内にチップ用ポケットを含んでおり且つチップ用ポケットの側壁及び底面のうちの少なくとも一方から突出している少なくとも1つの回転防止ストッパを含んでおり、回転防止ストッパは、少なくとも2つの平らな面を含んでいる。タングステンを基礎とする超硬合金又はサーメットによって作られた切削用チップは、切削用チップが回転防止ストッパの形状に適合しない形状を有している凹部を備えている工具ホルダー内に固定しても良い。
【0022】
切削用チップは、タンジェンシャル加工方法を使用して製造しても良い。この方法は、工具ホルダー内に、回転防止ストッパであって少なくとも2つのほぼ平らな面を含んでいる少なくとも1つの回転防止ストッパ及びチップ用ポケットをタンジェンシャル方法で加工することを含んでいる。この方法は、ボールミルによってポケットの頂面を加工することを更に含んでいる。タンジェンシャル方法は、軸線方向の加工方法よりも多くのポケットを工具ホルダーの直径毎に形成することを可能にする。
【好ましい実施形態の説明】
【0023】
工具ホルダーの実施形態は、少なくとも1つのチップ用ポケットを含んでいる。各チップ用ポケットは、底面及び側面並びに底面から突出している少なくとも1つの回転防止ストッパを含んでおり、該回転ストッパは少なくとも2つの平らな面を含んでいる。この工具ホルダーは、限定的ではないが、フライス、回転、中ぐり、平削り、形削り及び孔ぐりのようなあらゆる加工作業のために使用することができる。
【0024】
工具ホルダーの一つの実施形態は、図1に示されているように、スローアウェイチップのためのスライス工具10であっても良い。図1における工具ホルダーの実施形態は、6個の丸い形状のスローアウェイチップ12を受け入れるための6個のポケットを含んでいる。丸い形状の切削用チップ12は、ポケット13内に固定することができる。工具ホルダーのこの実施形態のポケット13は、底面14と側壁15とを含んでいる。回転防止ストッパ16が側壁15から突出している。回転防止ストッパ16は、スローアウェイチップ12内の凹部17内に少なくとも部分的に延びていて、切削用チップがねじ18によって工具ホルダー10に固定された後に切削用チップ12の回転を阻止する。
【0025】
工具本体12は、機械、機械構成部品、構造的形状、工具、装置及びその他の物品において使用される金属、合金、樹脂又はセラミックのような適切な工業材料によって作ることができる。これらの材料の硬度、強度、機械加工性、寸法的安定性、非燃焼性及び腐食、酸、溶剤及び熱に対する耐性は、このような適当な工業材料の特性を特徴付けることができる。このような適当な工業材料のリストの一つの例としては、限定的ではないが、アルミニューム、ベリリウム、黄銅、青銅、鋳鉄、銅、鉛、マグネシウム、鋼、タンタル、亜鉛、ジルコニウム及びその他の種々の商標登録された或いは商標登録されていない合金、ガラス及び磁器のようなセラミック並びにABS樹脂、アセタール樹脂、アクリル樹脂、フルオロカーボンポリマー、ナイロン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルクロライド、強化プラスチック(FRP)及びフェノールホルムアルデヒドのような樹脂がある。
【0026】
本発明の工具ホルダーは、少なくとも1つのポケットを含んでいる。工具ホルダー内のポケットは、切削用チップを受け入れる設計とされている。図1に示されているようなある種の実施形態においては、ポケット13は、底面14及び側壁15を有している。底面14は、工具ホルダー内にある間、切削用チップを支持する。側壁15もまた、切削用チップと係合して、フライス又はその他の加工作業中にチップを更に支持することができる。
【0027】
工具ホルダーの実施形態は回転防止ストッパを更に含んでいる。回転防止ストッパは、工具ホルダーのポケット内でのチップの回転を阻止する。少なくとも1つの凹部を含んでいる切削用チップは、回転防止ストッパが切削用チップの凹部内に延びている状態でポケット内に固定される。図2の2A,2B及び2Cに示されている丸い形状のチップ20は、切り刃21、側壁22、頂部切り屑破壊構造23、底面24及びチップの側壁22の周囲の多数の凹面25を含んでいる。チップの凹面26の端縁27は、滑らかに融和して丸みを形成していても良い。典型的には、丸い形状のチップが配置され、次いで、フライスホルダー上に形成されたポケット内に締結される(図1)。回転防止ストッパは、工具ホルダー内のチップ用ポケットのうちの少なくとも1つに対応している。従って、回転防止ストッパは、チップ用ポケット内に又はチップ自体上に組み入れても良い。回転防止段部に対応する凹部が、チップの他方及びチップ用ポケット内に組み入れられている。
【0028】
「実質的に平ら」という用語は、面が平らすなわち平坦であることを示している。回転防止段部の面は、これらの面が先端の回転防止段部及び凹部又は局部化された部分の係合を接触状態に維持するような方法で製造される場合に、実質的に平らであると考えられるべきである。
【0029】
本発明の工具ホルダーは、凹部に対して相補的な形状の回転防止ストッパを必要としない。この非相補的な要件は、ポケット及びチップがより容易に製造され且つ相補的である工具ホルダー及びチップよりも正確に固定されるのを可能にする。本発明において提供されるポケット内の回転防止ストッパは、最近の米国特許第6,238,133号におけるような従来技術の斜めに配向された三次元面の代わりに少なくとも2つの実質的に平らな面を有している。従って、これは、軸線方向による方法よりもむしろタンジェンシャルな方法を使用するポケットの製造を可能にする。タンジェンシャル方法は、最近の米国特許第6,238,133号に記載されているようなポケットを形成する方法における場合のようにポケットの軸線(一般的な)方向ではなくポケットの底面に対して接線方向にポケットに近づくことによって切削工具のポケットを形成することを含む。
【0030】
図3に示されたもう一つ別の実施形態においては、工具ホルダーは、ポケットの下方壁32及び上方壁33を含んでいる側壁31を有しているポケット33と、2つの実質的に平らな面35、中央の実質的に平らな面36及び底面37を含んでいる回転防止ストッパ34とを有している。任意的な上方壁33は、湾曲しているか又は角度が付けられているか又は湾曲及び角度の両方の組み合わせによって作っても良い。2つの実質的に平らな面35及び中央の実質的に平らな面36は、この実施形態においては、非傾斜二次元幾何学的構造の形態として記載することができるポケット33の底面37に直角である。更に、各ポケット33内の実質的に平らな3つの面を結合する唯一の一体化された回転防止ストッパが存在するけれども、最大の位置決め精度及び簡素化された製造過程の両方が達成されても良い。
【0031】
ポケット33の底面37は切削作業中にチップを支持するけれども、図2の2A乃至2Cに示された切削用チップ20の凹部の凹んだ面26又は端縁27は、チップ20の回転を防止するために回転防止ストッパ34の端縁のどちらかと接触している。
【0032】
回転防止ストッパは、図1乃至3に示された形状に限られる必要はない(図4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G及び4Hを参照)。回転防止ストッパは、少なくとも2つの平らな面を含んでおり且つ平らであっても良いし又は平らでなくても良い付加的な面を含んでいても良い。図4A及び4Bに示された実施形態は、回転防止ストッパ123を含んでおり且つ3つの平らな面121と4つの湾曲した面122を含んでいる面取り部とを有している。図4A及び4Bの実施形態における3つの平らな面は、底面124に実質的に直角である。この実施形態における湾曲した面である面取り部122は円形の断面を有している。図2Bに示された面取り部122は、標準的なボールエンドミルによって回転防止ストッパの頂部をフライス加工することによって成形することができる(図6の6B参照)。この面取り部は、工具ホルダー内に固定されたときに、ポケットの少なくとも一部分がチップを支持するのを可能にする如何なる形状であっても良い。例えば、図4の4Cに示されている簡単な直線状の面取り部を使用しても良い。図4Dに示された回転防止ストッパ323は、面321が底面324に実質的に直角である頂部端縁の面取り部の無い4つの実質的に平らな面321及び324を有している。図4の4E及び4Fの工具ホルダーの実施形態は、回転防止ストッパ23上の底面424及び524に実質的に直角であるちょうど2つの平らな面421及び521を含んでいる回転防止ストッパ423及び523を有している。面取り部422は、図4の4Eの実施形態に含まれている。
【0033】
図4の4Gの工具ホルダーの実施形態は、底面624に実質的に直角である4つの平らな面621を有している回転防止ストッパ623を含んでいる。一方、図4の4H内の工具ホルダーの実施形態は、底面724に直角である2つの平らな面を有している回転防止ストッパ723と、同じく底面724に直角である湾曲した面725とを含んでいる。工具ホルダーのこれらの実施形態は、回転防止ストッパを含んでいる種々の工具ホルダーの単なる例であり且つここに示された実施形態の各々の特徴又は本明細書から当業者によって引き出すことができるその他の特徴を組み合わせても良い本発明の実施形態を限定することは意味していない。
【0034】
本発明の実施形態は、工具ホルダー内に丸い形状のチップを正確に且つ確実に位置決めすることを可能にする。正確に且つ確実に位置決めされたチップは、チップの寿命の性能及び統一性を改良することができる。本発明の工具ホルダーは、如何なる数の切削用チップと共に使用しても良い。回転防止ストッパと係合する切削用チップ内の凹部の形状は、回転防止ストッパの形状に適合する必要はない。実際には、如何なる形状の多数の凹んだ面を含んでいる切削用チップを使用しても良い。丸い形状のチップの側壁の近くに簡単な形状の幾何学的構造を工具ホルダーと共に使用しても良い。
【0035】
このチップは、少なくとも3つの位置主として2つの位置でポケットと接触する。一つの例として、チップ50は図5に示されたポケット51内に着座せしめられても良い。チップ50の底部は、ポケット51の底面52と接触している。更に、チップ50の側壁53の上方部分は、典型的には丸い形状のチップのための接触位置であるポケット51の上方部分に設けられた標準的な(加工において標準的なテーパーがつけられたボールミルによって形成されたような)角度が付けられた面取り部54又は(加工において標準的なボールミルによって形成された)湾曲した面取り部54と接触する。更に、図5の工具ホルダーの実施形態においては、チップ50と、チップの凹んだ面58と図3に示されたポケットの端縁38のいずれかとの間のポケット51との間に接触が存在する。端縁38の凹状輪郭における接触を有する利点は、加工作業中に、この形状の接触が、チップと工具ホルダーとの間のより大きな安定性及びより少ない摺動傾向を提供する点である。上記の接触の結合された効果は、ポケット内でのチップの回転を防止するために効率が良く且つ安定した機構を提供する。端縁38は、端縁の面取り部又は丸味を含むために尖ったコーナーから変形させても良い。
【0036】
本発明の工具ホルダーの実施形態は、チップのより正確な着座を可能にする。チップの凹んだ面は、回転防止ストッパの端縁の凹状の輪郭においてポケットと接触して、安定した接触を提供する。一つの実施形態においては、回転防止ストッパの頂部の端縁は、ポケットの壁の上方部分を加工する際における、少なくとも2つの実質的に平らな面と標準的なボールミルによって形成された球との間の交差の結果である。
【0037】
工具ホルダーの実施形態は重要な利点を提供する。すなわち、本発明においては、チップ受け入れポケット内の回転防止面は、米国特許第6,238,133号におけるように斜めの三次元幾何学的構造の形態の凹面ではなく、斜めではない二次元の幾何学的構造の形態の少なくとも2つの実質的に平らな面によって構成されている。
【0038】
更に、本発明においては、米国特許第6,238,133号における相補的な形状の幾何学的構造ではなくチップの幾何学的構造とポケットとの間の相補的な関係が存在する必要はない。
【0039】
規則的な丸い形状のチップは、ポケットの壁の上方部分で接触するかも知れない。回転防止機構を備えた丸い形状のチップのために、少なくとも1つの付加的な接触を有する必要がある。本発明の工具ホルダーの実施形態においては、チップは、米国特許第6,238,133号に記載されているポケットと工具チップとの直線状の接触ではなく、ある点におけるポケットの壁の下方部分と接触する。従って、本発明の工具ホルダーは、工具ホルダー内の製造過程の性能及び着座の統一性を改良するより安定した接触を提供する。ある種の実施形態においては、上記した点接触は、前記2つの実質的に平らな面の頂部に形成された端縁によって生じる。
【0040】
実質的に平らな幾何学的構造により、本発明は、軸線方向方法すなわち一般的な方法ではなくタンジェンシャルな方法を使用するポケットの製造を可能にする。タンジェンシャル方法においては、切削工具は、米国特許第6,238,133号におけるようなポケットの底面に対して接線方向又は平行な方向でポケットに接近する。従って、本発明における設計は、製造の容易性のためのより多くの任意の選択肢を提供する。
【0041】
一般的な方法すなわち軸線方向の方法はフライス切削工具内にポケットを製造するために典型的に使用されることは良く知られている。ポケットを製造するために使用される工具は、ポケットの軸線に平行な方向で接近し且つポケットを加工し、従って、切削工具のための逃げ空間がポケットの軸線に沿って提供されなければならない。この意味で、ポケットを製造するための軸線方法は、フライスのために利用できる直径当たりのポケットの数又は歯の数を制限する。
【0042】
ポケットを製造するためのタンジェンシャル方法はより自由度があり、一つの実施形態が図6の図6A及び6Bに示されている。図6の6Aに示されているように、標準的な90°エンドミル61は、ポケットの底面に平行な方向で、又は言い換えれば、ポケットの底面64に対する接線方向からポケットに接近しても良い。図6の6A及び6Bに示されている実施形態においては、90°エンドミルは、粗い切削のためにポケットの側壁69を加工するポケット60を最初に開き、これと同時に、2つの実質的に平らな面62を加工し且つ任意的に第3の実質的に平らな面63を加工する。図6の6Bに示されているように、標準的なボールミル65は、3つの実質的に平らな面62及び63との交差位置に凹状の輪郭と端縁67とを自然に形成するポケットの側壁69の上方部分を同じく接線方向に加工することができる。
【0043】
このタンジェンシャルな製造方法は、軸線方向の製造方法よりもカッター本体内の直径毎により多くのポケット又は切削歯が形成されるのを可能にする。
【0044】
付加的なポケットを備えた工具ホルダーを製造する能力を有することには幾つかの利点がある。例えば、切削用チップの寿命は、材料の切除速度を維持し又は改良しつつ、加工中の送り速度を遅くすることによって改良することができる。歯間の距離がより短いフライスもまた、各歯に分配される応力を減らすことによってカッター本体の寿命を改良することができる。より多くの歯はまた、インコネル、チタン等の幾つかの加工が困難な材料の加工において利点を有するであろう。
【0045】
例えば、本発明の実施形態におけるタングステンを基礎とする超硬合金又はサーメットとすることができるチップの凹んだ面は、底面に対して殆ど直角であるか又は好ましくは底面に対して直角から1乃至2度のように若干外れており、次いで、部分的な湾曲した半径によって形成されている複雑な幾何学的構造ではなく簡単な球状面へと滑らかに延びている簡単な幾何学的構造を有しても良く且つ従来技術におけるように中心部分にテーパー(約15°)が付けられた湾曲したストッパ面ばかりでなくチップ外周近くに連続する正弦曲線を含んでいる。
【0046】
以上、本発明の工具ホルダーの実施形態を説明したけれども、当業者には種々の変形、変更及び付加が明らかとなるかも知れない。例えば、回転防止ストッパを丸いチップと組み合わせた工具ホルダーに対する使用に関して説明したけれども、その他の湾曲した切削端縁又は真っ直ぐな切削端縁を備えた実施形態に組み入れても良い。更に、ここに説明した実施形態は回転防止ストッパに対して構成され、より多数の回転防止ストッパを、2つの平らな面を含んでいる少なくとも1つの回転防止ストッパを含んでいる工具ホルダー内に組み入れても良い。
【0047】
工具ホルダーの実施形態は、丸い形状のチップを正確に且つ確実に位置決めするために使用して切削作業内のチップの寿命の性能及び統一性を改良しても良い。工具ホルダーの実施形態は、ホルダー上のポケットの幾何学的構造によって製造がより容易であり且つ特別な工具ホルダー上により多数のポケット又は歯が形成されるのを可能にして工具の潜在的な用途を広げることができる。
【発明の分野】
【0001】
本発明は材料切削工具に関する。より特別には、本発明は、工具ホルダー及び切削用チップ(チップ)に関する。本発明の工具ホルダー及び切削用チップは、工具ホルダーのチップ用ポケット内に固定されている間のチップの回転を防止するために回転防止ストッパを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
初期の超硬切削工具は、典型的には、鋼製のホルダーに鑞付けされた超硬合金のブランクであった。このブランクは、研削によって再研磨される。逃げ角、切り刃半径及びその他の構造もまた、特別な切削作業に適するように工具内で研磨することもできる。これらの初期の超硬切削工具は、従来の工具に対して著しい生産性の増大を提供するけれども、ある種の欠点が明らかとなった。鈍くなった工具を研磨するための再研磨は、切削用チップの大きさ及び形状を変化させる。このことは、サイズがより小さくなった工具を補償するために、工具が研磨される度毎に、切削工具と工作物との間の関係を調整することを必要とする。
【0003】
更に、超硬チップとホルダーとの間の鑞付け結合は、限られた範囲の作動温度に耐えることができるだけであり、それによって、超硬工具の多数の潜在的な用途が狭められる。更に、コーティングされた面を備えた超硬チップは、再研削することができず、交換しなければならなかった。
【0004】
現代では、交換可能なスローアウェイチップがより広く使用されている。超硬チップ以外の鑞付けされた工具に似たスローアウェイチップは、鑞付けではなく圧締めによってホルダー内に固定される。切り刃が鈍くなると、チップは、取り外し、回されて、交換されて、更に切削するために新しい鋭い刃を提供することができる。このことは、交換毎に切削作業の再調整の必要性を排除する。典型的には、スローアウェイ切削用チップは、チップ内の円錐形の穴に嵌合し、工具ホルダー内にチップをしっかりと保持するテーパーが付けられたヘッドを有するねじによって定位置に保持される。チップの頂部の圧締めもまた、切削用チップを工具ホルダーに更に固定するためにねじと組み合わせて使用しても良い。
【0005】
統一性及び交換の容易性は、スローアウェイチップの主要な利点である。スローアウェイチップ間での切り刃の位置決めの統一性は、加工工具の整備を簡素化し且つより均一な製品を保証する助けとなる。
【0006】
しかしながら、金属加工、特にフライス加工作業のための工具ホルダーにおいて丸い形状のチップを使用する際にはたくさんの問題がある。丸いチップによる加工に対する典型的な問題としては、角形又はダイヤモンド形状のチップと比較して不正確な位置合わせ機構、丸い形状のチップの不確実な圧締め及び位置決めによる加工作業における不均一なチップの寿命がある。なぜならば、位置合わせのために使用できる真っ直ぐな端縁が存在しないからであり、切り刃の剥離もまた切削工具ホルダーのポケット内での丸い形状のチップの回転ばかりでなくその他の理由から生じるかも知れないからである。
【0007】
幾つかの工具ホルダー及び丸いスローアウェイチップは、工具ホルダー内の丸い形状のチップによって金属を加工する際のこれらの問題を解決する試みの中で、回転防止機構を組み込んでいた。例えば、米国特許第5,658,100号には、複数の凹部が丸い形状のチップの頂面に形成されているフライスのポケット内に丸い形状のチップを固定する機構が記載されている。このチップは、次いで、フライスのポケット内での丸い形状のチップの回転を防止するために、フライス本体上に支持された圧締め用の爪によって工具ホルダー内に固定される。しかしながら、米国特許第5,658,100号に記載されている圧締め用の爪は切削用チップの頂面と係合するので、切り屑制御構造は、作動中のチップの回転防止とチップの切り屑形成の制御との両方の機能を果たさなければならない。
【0008】
米国特許第6,053,671号には、丸い形状のチップが、チップの端面が段部によって分離されている2つの部分によって構成される方法で製造されている。上方部分は、一般的な丸い切削面として機能する円錐台であり、下方部分は、ポケットの下方壁との間に干渉接触を形成して丸い形状のチップのポケットに対する回転を防止する多角形形状である。
【0009】
米国特許第5,346,336号においては、多角形パターンの面を含んでいる別の切削用チップが記載されている。丸い形状のチップの円形側面の近くに多角形パターンが配置されており、次いで、相補形状の多角形パターンのポケットが設けられている。丸い形状のチップの多角形面は、フライス本体の対応するポケット上の相補的な多角形の壁と干渉して、ポケット内での丸い形状のチップの回転を防止する。
【0010】
米国特許第6,053,671号及び第5,346,336号は、設計が基本的に似ており、すなわち、丸い形状のチップ上の多角形状の面が、フライス本体上の収容ポケット内の相補形状の多角形の壁と相互作用する。超硬合金材チップ上に多角形パターンによって作られた全放射体の端縁は、加工作業中にポケットピンの比較的軟らかい鋼材をゆっくりと切削することができる。更に、これらのチップの多角形パターンに基づく設計によって提供される限られた接触は、チップの面の端縁とポケットの平らな壁との間の一点接触を生じ、これは、常にチップの局部的な剥離又は亀裂を生じ得る。
【0011】
米国特許第6,238,133号には、複数の湾曲した且つ斜めの三次元面が丸い形状のチップの側壁の近くに形成され、これは、フライスのチップ受け入れポケット内のほぼ相補形の湾曲面又は三次元と干渉し、従って、フライス上のポケット内に丸い形状のチップのための回転防止機構を提供する。
【0012】
米国特許第6,238,133号は、丸い形状のチップの側壁の近くに湾曲したストッパ面を使用し且つ切り刃本体のポケット内に少なくとも1つの相補形の回転防止湾曲面を使用している機構を提供している。これらの湾曲面は両方とも部分的に放射状の曲線によって形成されていて、境界面は、広い/線状の接触か両凸レンズ状の接触とすることができる。これは、主として、超硬チップと鋼製の切り刃上の比較的軟らかいポケットとの間の接触による境界面を弱くするためにチップ上に尖った端縁が存在しないからである。
【0013】
米国特許第6,238,133号に記載されている機構には幾つかの欠点及び制限が存在し、これらの欠点は、主として、ポケット内に存在する湾曲した斜めの三次元面の複雑さによる。特に、第一に、相補形状の斜め構造は、チップ及び対応するポケットの製造中に、チップとポケットとの間の接触境界部に所望の機能性を維持するために必要とされる幾何学的構造及び寸法精度を確保するために、チップと対応するポケットとの製造に複雑な加工工程を必要とする。第二に、湾曲した斜めの三次元面は、ポケットの製造方法を、ポケットの軸線に沿った軸線方向の加工方法に限定する。第三に、工具ホルダーの複雑な構造の製造の制限として、フライス内のポケットの数、従って、歯の数を更に制限する。
【0014】
フライス上の歯の数は、フライス作業の切削効率に影響を及ぼす重要なファクタである。フライスは、工作物との妨害されない接触を確保するのに十分な数の歯を有するべきである。フライスの歯が少なすぎると、1つの歯は、次の歯が工作物とかみ合う前に工作物との接触を失うであろう。このことは、振動及びチャッタリングにつながり、質の低い仕上げ、寸法の不正確さ及び過剰な工具の摩耗を生じる。表面の仕上げの品質は、典型的には、より多くの歯を備えたフライスを使用することによって良好になる。
【0015】
上記した機構の全てがフライス本体上の対応するポケット内での丸い形状のチップの不所望な回転を防止する可能な手段を提供するけれども、上記した機構の全てがいくつかの欠点を有している。
【0016】
従って、チップ用ポケット内での丸い形状のチップの回転を防止するだけでなく製造が容易で且つ安定した確実な位置決めに必要な精度を提供するように効率良く機能するフローアウェイチップ及び工具ホルダーの必要性が存在する。
【0017】
スローアウェイチップ、例えば、切り刃本体上の歯の数を増す可能性を許容するタングステンを基礎とする超硬合金又はサーメットによって作られた切削用チップと工具ホルダーとの組み合わせの必要性もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、少なくとも2つの実質的に平らな面を有している回転防止ストッパを組み入れている6個のポケットを備えたフライスとしての工具ホルダーの1つの実施形態の斜視図である。
【図2】図2の2A,2B,2Cは、図1の工具ホルダーと適合する丸い形状の切削用チップの斜視図であり、これらのチップは、工具ホルダー内でチップを位置合わせするための8つの凹部を備えている。
【図3】図3は、図1の工具ホルダーの1つのポケットの拡大図である。
【図4A】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4B】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4C】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4D】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4E】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4F】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4G】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図4H】本発明の回転防止ストッパの種々の実施形態の斜視図及び断面図である。
【図5】図5は、工具ホルダーの実施形態において固定されたチップの断面図である。
【図6】図6の6A及び6Bは、ポケットを製造するために使用されるタンジェルシャル製造方法の一つの実施形態を示している工具ホルダーの一実施形態の平面図である。
【発明の開示】
【0019】
本発明は、少なくとも1つのチップ用ポケットが側面と該側面から突出している少なくとも1つの回転防止ストッパとを含んでいる少なくとも1つのポケットを備えた工具ホルダーの実施形態に関する。この回転防止ストッパは、少なくとも2つの実質的に平らな面を含むことができる。ある種の実施形態においは、切削工具は、底面と該底面にほぼ直角である3つのほぼ平らな面を備えている回転防止ストッパとを含んでいるポケットを備えていても良い。
【0020】
回転防止ストッパは、工具ホルダーと一体であっても良く又は別個に製造され且つ永久的か一時的に工具ホルダーに取り付けられても良い。実施形態は、加工用途によって所望される場合には、付加的な回転防止ストッパを更に含んでいても良い。
【0021】
一つの実施形態においては、切削工具ホルダーは、該工具ホルダー内にチップ用ポケットを含んでおり且つチップ用ポケットの側壁及び底面のうちの少なくとも一方から突出している少なくとも1つの回転防止ストッパを含んでおり、回転防止ストッパは、少なくとも2つの平らな面を含んでいる。タングステンを基礎とする超硬合金又はサーメットによって作られた切削用チップは、切削用チップが回転防止ストッパの形状に適合しない形状を有している凹部を備えている工具ホルダー内に固定しても良い。
【0022】
切削用チップは、タンジェンシャル加工方法を使用して製造しても良い。この方法は、工具ホルダー内に、回転防止ストッパであって少なくとも2つのほぼ平らな面を含んでいる少なくとも1つの回転防止ストッパ及びチップ用ポケットをタンジェンシャル方法で加工することを含んでいる。この方法は、ボールミルによってポケットの頂面を加工することを更に含んでいる。タンジェンシャル方法は、軸線方向の加工方法よりも多くのポケットを工具ホルダーの直径毎に形成することを可能にする。
【好ましい実施形態の説明】
【0023】
工具ホルダーの実施形態は、少なくとも1つのチップ用ポケットを含んでいる。各チップ用ポケットは、底面及び側面並びに底面から突出している少なくとも1つの回転防止ストッパを含んでおり、該回転ストッパは少なくとも2つの平らな面を含んでいる。この工具ホルダーは、限定的ではないが、フライス、回転、中ぐり、平削り、形削り及び孔ぐりのようなあらゆる加工作業のために使用することができる。
【0024】
工具ホルダーの一つの実施形態は、図1に示されているように、スローアウェイチップのためのスライス工具10であっても良い。図1における工具ホルダーの実施形態は、6個の丸い形状のスローアウェイチップ12を受け入れるための6個のポケットを含んでいる。丸い形状の切削用チップ12は、ポケット13内に固定することができる。工具ホルダーのこの実施形態のポケット13は、底面14と側壁15とを含んでいる。回転防止ストッパ16が側壁15から突出している。回転防止ストッパ16は、スローアウェイチップ12内の凹部17内に少なくとも部分的に延びていて、切削用チップがねじ18によって工具ホルダー10に固定された後に切削用チップ12の回転を阻止する。
【0025】
工具本体12は、機械、機械構成部品、構造的形状、工具、装置及びその他の物品において使用される金属、合金、樹脂又はセラミックのような適切な工業材料によって作ることができる。これらの材料の硬度、強度、機械加工性、寸法的安定性、非燃焼性及び腐食、酸、溶剤及び熱に対する耐性は、このような適当な工業材料の特性を特徴付けることができる。このような適当な工業材料のリストの一つの例としては、限定的ではないが、アルミニューム、ベリリウム、黄銅、青銅、鋳鉄、銅、鉛、マグネシウム、鋼、タンタル、亜鉛、ジルコニウム及びその他の種々の商標登録された或いは商標登録されていない合金、ガラス及び磁器のようなセラミック並びにABS樹脂、アセタール樹脂、アクリル樹脂、フルオロカーボンポリマー、ナイロン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルクロライド、強化プラスチック(FRP)及びフェノールホルムアルデヒドのような樹脂がある。
【0026】
本発明の工具ホルダーは、少なくとも1つのポケットを含んでいる。工具ホルダー内のポケットは、切削用チップを受け入れる設計とされている。図1に示されているようなある種の実施形態においては、ポケット13は、底面14及び側壁15を有している。底面14は、工具ホルダー内にある間、切削用チップを支持する。側壁15もまた、切削用チップと係合して、フライス又はその他の加工作業中にチップを更に支持することができる。
【0027】
工具ホルダーの実施形態は回転防止ストッパを更に含んでいる。回転防止ストッパは、工具ホルダーのポケット内でのチップの回転を阻止する。少なくとも1つの凹部を含んでいる切削用チップは、回転防止ストッパが切削用チップの凹部内に延びている状態でポケット内に固定される。図2の2A,2B及び2Cに示されている丸い形状のチップ20は、切り刃21、側壁22、頂部切り屑破壊構造23、底面24及びチップの側壁22の周囲の多数の凹面25を含んでいる。チップの凹面26の端縁27は、滑らかに融和して丸みを形成していても良い。典型的には、丸い形状のチップが配置され、次いで、フライスホルダー上に形成されたポケット内に締結される(図1)。回転防止ストッパは、工具ホルダー内のチップ用ポケットのうちの少なくとも1つに対応している。従って、回転防止ストッパは、チップ用ポケット内に又はチップ自体上に組み入れても良い。回転防止段部に対応する凹部が、チップの他方及びチップ用ポケット内に組み入れられている。
【0028】
「実質的に平ら」という用語は、面が平らすなわち平坦であることを示している。回転防止段部の面は、これらの面が先端の回転防止段部及び凹部又は局部化された部分の係合を接触状態に維持するような方法で製造される場合に、実質的に平らであると考えられるべきである。
【0029】
本発明の工具ホルダーは、凹部に対して相補的な形状の回転防止ストッパを必要としない。この非相補的な要件は、ポケット及びチップがより容易に製造され且つ相補的である工具ホルダー及びチップよりも正確に固定されるのを可能にする。本発明において提供されるポケット内の回転防止ストッパは、最近の米国特許第6,238,133号におけるような従来技術の斜めに配向された三次元面の代わりに少なくとも2つの実質的に平らな面を有している。従って、これは、軸線方向による方法よりもむしろタンジェンシャルな方法を使用するポケットの製造を可能にする。タンジェンシャル方法は、最近の米国特許第6,238,133号に記載されているようなポケットを形成する方法における場合のようにポケットの軸線(一般的な)方向ではなくポケットの底面に対して接線方向にポケットに近づくことによって切削工具のポケットを形成することを含む。
【0030】
図3に示されたもう一つ別の実施形態においては、工具ホルダーは、ポケットの下方壁32及び上方壁33を含んでいる側壁31を有しているポケット33と、2つの実質的に平らな面35、中央の実質的に平らな面36及び底面37を含んでいる回転防止ストッパ34とを有している。任意的な上方壁33は、湾曲しているか又は角度が付けられているか又は湾曲及び角度の両方の組み合わせによって作っても良い。2つの実質的に平らな面35及び中央の実質的に平らな面36は、この実施形態においては、非傾斜二次元幾何学的構造の形態として記載することができるポケット33の底面37に直角である。更に、各ポケット33内の実質的に平らな3つの面を結合する唯一の一体化された回転防止ストッパが存在するけれども、最大の位置決め精度及び簡素化された製造過程の両方が達成されても良い。
【0031】
ポケット33の底面37は切削作業中にチップを支持するけれども、図2の2A乃至2Cに示された切削用チップ20の凹部の凹んだ面26又は端縁27は、チップ20の回転を防止するために回転防止ストッパ34の端縁のどちらかと接触している。
【0032】
回転防止ストッパは、図1乃至3に示された形状に限られる必要はない(図4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G及び4Hを参照)。回転防止ストッパは、少なくとも2つの平らな面を含んでおり且つ平らであっても良いし又は平らでなくても良い付加的な面を含んでいても良い。図4A及び4Bに示された実施形態は、回転防止ストッパ123を含んでおり且つ3つの平らな面121と4つの湾曲した面122を含んでいる面取り部とを有している。図4A及び4Bの実施形態における3つの平らな面は、底面124に実質的に直角である。この実施形態における湾曲した面である面取り部122は円形の断面を有している。図2Bに示された面取り部122は、標準的なボールエンドミルによって回転防止ストッパの頂部をフライス加工することによって成形することができる(図6の6B参照)。この面取り部は、工具ホルダー内に固定されたときに、ポケットの少なくとも一部分がチップを支持するのを可能にする如何なる形状であっても良い。例えば、図4の4Cに示されている簡単な直線状の面取り部を使用しても良い。図4Dに示された回転防止ストッパ323は、面321が底面324に実質的に直角である頂部端縁の面取り部の無い4つの実質的に平らな面321及び324を有している。図4の4E及び4Fの工具ホルダーの実施形態は、回転防止ストッパ23上の底面424及び524に実質的に直角であるちょうど2つの平らな面421及び521を含んでいる回転防止ストッパ423及び523を有している。面取り部422は、図4の4Eの実施形態に含まれている。
【0033】
図4の4Gの工具ホルダーの実施形態は、底面624に実質的に直角である4つの平らな面621を有している回転防止ストッパ623を含んでいる。一方、図4の4H内の工具ホルダーの実施形態は、底面724に直角である2つの平らな面を有している回転防止ストッパ723と、同じく底面724に直角である湾曲した面725とを含んでいる。工具ホルダーのこれらの実施形態は、回転防止ストッパを含んでいる種々の工具ホルダーの単なる例であり且つここに示された実施形態の各々の特徴又は本明細書から当業者によって引き出すことができるその他の特徴を組み合わせても良い本発明の実施形態を限定することは意味していない。
【0034】
本発明の実施形態は、工具ホルダー内に丸い形状のチップを正確に且つ確実に位置決めすることを可能にする。正確に且つ確実に位置決めされたチップは、チップの寿命の性能及び統一性を改良することができる。本発明の工具ホルダーは、如何なる数の切削用チップと共に使用しても良い。回転防止ストッパと係合する切削用チップ内の凹部の形状は、回転防止ストッパの形状に適合する必要はない。実際には、如何なる形状の多数の凹んだ面を含んでいる切削用チップを使用しても良い。丸い形状のチップの側壁の近くに簡単な形状の幾何学的構造を工具ホルダーと共に使用しても良い。
【0035】
このチップは、少なくとも3つの位置主として2つの位置でポケットと接触する。一つの例として、チップ50は図5に示されたポケット51内に着座せしめられても良い。チップ50の底部は、ポケット51の底面52と接触している。更に、チップ50の側壁53の上方部分は、典型的には丸い形状のチップのための接触位置であるポケット51の上方部分に設けられた標準的な(加工において標準的なテーパーがつけられたボールミルによって形成されたような)角度が付けられた面取り部54又は(加工において標準的なボールミルによって形成された)湾曲した面取り部54と接触する。更に、図5の工具ホルダーの実施形態においては、チップ50と、チップの凹んだ面58と図3に示されたポケットの端縁38のいずれかとの間のポケット51との間に接触が存在する。端縁38の凹状輪郭における接触を有する利点は、加工作業中に、この形状の接触が、チップと工具ホルダーとの間のより大きな安定性及びより少ない摺動傾向を提供する点である。上記の接触の結合された効果は、ポケット内でのチップの回転を防止するために効率が良く且つ安定した機構を提供する。端縁38は、端縁の面取り部又は丸味を含むために尖ったコーナーから変形させても良い。
【0036】
本発明の工具ホルダーの実施形態は、チップのより正確な着座を可能にする。チップの凹んだ面は、回転防止ストッパの端縁の凹状の輪郭においてポケットと接触して、安定した接触を提供する。一つの実施形態においては、回転防止ストッパの頂部の端縁は、ポケットの壁の上方部分を加工する際における、少なくとも2つの実質的に平らな面と標準的なボールミルによって形成された球との間の交差の結果である。
【0037】
工具ホルダーの実施形態は重要な利点を提供する。すなわち、本発明においては、チップ受け入れポケット内の回転防止面は、米国特許第6,238,133号におけるように斜めの三次元幾何学的構造の形態の凹面ではなく、斜めではない二次元の幾何学的構造の形態の少なくとも2つの実質的に平らな面によって構成されている。
【0038】
更に、本発明においては、米国特許第6,238,133号における相補的な形状の幾何学的構造ではなくチップの幾何学的構造とポケットとの間の相補的な関係が存在する必要はない。
【0039】
規則的な丸い形状のチップは、ポケットの壁の上方部分で接触するかも知れない。回転防止機構を備えた丸い形状のチップのために、少なくとも1つの付加的な接触を有する必要がある。本発明の工具ホルダーの実施形態においては、チップは、米国特許第6,238,133号に記載されているポケットと工具チップとの直線状の接触ではなく、ある点におけるポケットの壁の下方部分と接触する。従って、本発明の工具ホルダーは、工具ホルダー内の製造過程の性能及び着座の統一性を改良するより安定した接触を提供する。ある種の実施形態においては、上記した点接触は、前記2つの実質的に平らな面の頂部に形成された端縁によって生じる。
【0040】
実質的に平らな幾何学的構造により、本発明は、軸線方向方法すなわち一般的な方法ではなくタンジェンシャルな方法を使用するポケットの製造を可能にする。タンジェンシャル方法においては、切削工具は、米国特許第6,238,133号におけるようなポケットの底面に対して接線方向又は平行な方向でポケットに接近する。従って、本発明における設計は、製造の容易性のためのより多くの任意の選択肢を提供する。
【0041】
一般的な方法すなわち軸線方向の方法はフライス切削工具内にポケットを製造するために典型的に使用されることは良く知られている。ポケットを製造するために使用される工具は、ポケットの軸線に平行な方向で接近し且つポケットを加工し、従って、切削工具のための逃げ空間がポケットの軸線に沿って提供されなければならない。この意味で、ポケットを製造するための軸線方法は、フライスのために利用できる直径当たりのポケットの数又は歯の数を制限する。
【0042】
ポケットを製造するためのタンジェンシャル方法はより自由度があり、一つの実施形態が図6の図6A及び6Bに示されている。図6の6Aに示されているように、標準的な90°エンドミル61は、ポケットの底面に平行な方向で、又は言い換えれば、ポケットの底面64に対する接線方向からポケットに接近しても良い。図6の6A及び6Bに示されている実施形態においては、90°エンドミルは、粗い切削のためにポケットの側壁69を加工するポケット60を最初に開き、これと同時に、2つの実質的に平らな面62を加工し且つ任意的に第3の実質的に平らな面63を加工する。図6の6Bに示されているように、標準的なボールミル65は、3つの実質的に平らな面62及び63との交差位置に凹状の輪郭と端縁67とを自然に形成するポケットの側壁69の上方部分を同じく接線方向に加工することができる。
【0043】
このタンジェンシャルな製造方法は、軸線方向の製造方法よりもカッター本体内の直径毎により多くのポケット又は切削歯が形成されるのを可能にする。
【0044】
付加的なポケットを備えた工具ホルダーを製造する能力を有することには幾つかの利点がある。例えば、切削用チップの寿命は、材料の切除速度を維持し又は改良しつつ、加工中の送り速度を遅くすることによって改良することができる。歯間の距離がより短いフライスもまた、各歯に分配される応力を減らすことによってカッター本体の寿命を改良することができる。より多くの歯はまた、インコネル、チタン等の幾つかの加工が困難な材料の加工において利点を有するであろう。
【0045】
例えば、本発明の実施形態におけるタングステンを基礎とする超硬合金又はサーメットとすることができるチップの凹んだ面は、底面に対して殆ど直角であるか又は好ましくは底面に対して直角から1乃至2度のように若干外れており、次いで、部分的な湾曲した半径によって形成されている複雑な幾何学的構造ではなく簡単な球状面へと滑らかに延びている簡単な幾何学的構造を有しても良く且つ従来技術におけるように中心部分にテーパー(約15°)が付けられた湾曲したストッパ面ばかりでなくチップ外周近くに連続する正弦曲線を含んでいる。
【0046】
以上、本発明の工具ホルダーの実施形態を説明したけれども、当業者には種々の変形、変更及び付加が明らかとなるかも知れない。例えば、回転防止ストッパを丸いチップと組み合わせた工具ホルダーに対する使用に関して説明したけれども、その他の湾曲した切削端縁又は真っ直ぐな切削端縁を備えた実施形態に組み入れても良い。更に、ここに説明した実施形態は回転防止ストッパに対して構成され、より多数の回転防止ストッパを、2つの平らな面を含んでいる少なくとも1つの回転防止ストッパを含んでいる工具ホルダー内に組み入れても良い。
【0047】
工具ホルダーの実施形態は、丸い形状のチップを正確に且つ確実に位置決めするために使用して切削作業内のチップの寿命の性能及び統一性を改良しても良い。工具ホルダーの実施形態は、ホルダー上のポケットの幾何学的構造によって製造がより容易であり且つ特別な工具ホルダー上により多数のポケット又は歯が形成されるのを可能にして工具の潜在的な用途を広げることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ホルダー上にチップ用ポケットと該チップ用ポケット内に設けられる回転防止ストッパとを形成する方法であって、
前記工具ホルダーをタンジェンシャル方法でフライス加工することにより、前記工具ホルダー内に、底面と側壁とを備えているチップ用ポケットと、該チップ用ポケットの前記側壁から突出しており且つ前記底面に対して直角な少なくとも2つの平らな面を含んでいる前記回転防止ストッパとを形成するステップを含み、
前記のタンジェンシャル方法でフライス加工するステップが、フライスカッターを前記底面と平行な方向に前記工具ホルダー内へと進ませることを含む、方法。
【請求項2】
前記工具ホルダーを前記タンジェンシャル方法でフライス加工してチップ用ポケットと回転防止ストッパとを形成するステップが、エンドミルを前記底面と平行な方向に前記工具ホルダー内へと進ませることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チップ用ポケット内に単一の回転防止ストッパが形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工具ホルダー上にチップ用ポケットと該チップ用ポケット内に設けられる単一の回転防止ストッパとを形成する方法であって、
前記工具ホルダーをタンジェンシャル方法でフライス加工することにより、前記工具ホルダーに、底面と側壁とを備えているチップ用ポケットと、該チップ用ポケットの前記側壁から突出しており且つ少なくとも2つの平らな面を含んでいる前記単一の回転防止ストッパとを形成するステップを含み、
前記のタンジェンシャル方法でフライス加工するステップが、フライスカッターを前記底面と平行な方向に前記工具ホルダー内へ進ませることを含む、方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つの平らな面が前記底面に対して直角である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記チップ用ポケットの頂面をボールミルによってタンジェンシャル方法でフライス加工するステップを更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記回転防止ストッパが3つの平らな面を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記3つの平らな面が前記底面に対して直角である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記回転防止ストッパが前記チップ用ポケットの前記底面と側壁との両方と一体に形成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記チップ用ポケットが切削用チップと係合するための側壁を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記回転防止ストッパが前記チップ用ポケット内に配置されている切削用チップの位置合わせをする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記工具ホルダーが1〜20個のチップ用ポケットを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記回転防止ストッパが前記切削用チップに設けられている凹部内へ少なくとも部分的に伸長している、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記回転防止ストッパの形状と前記凹部の形状とが非相補的である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記切削用チップが形状が丸いチップである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記切削用チップが形状が丸いチップである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記回転防止ストッパと前記切削用チップ内の前記凹部とが点接触によって係合する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記回転防止ストッパが、球の一部分によって規定される点において前記凹部と係合する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記回転防止ストッパが、少なくとも2つの平らな面と球の一部によって規定される凹部とを有している、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
工具ホルダー上にチップ用ポケットと該チップ用ポケット内に設けられる回転防止ストッパとを形成する方法であって、
前記工具ホルダーをタンジェンシャル方法でフライス加工することにより、前記工具ホルダー内に、底面と側壁とを備えているチップ用ポケットと、該チップ用ポケットの前記側壁から突出しており且つ前記底面に対して直角な少なくとも2つの平らな面を含んでいる前記回転防止ストッパとを形成するステップを含み、
前記のタンジェンシャル方法でフライス加工するステップが、フライスカッターを前記底面と平行な方向に前記工具ホルダー内へと進ませることを含む、方法。
【請求項2】
前記工具ホルダーを前記タンジェンシャル方法でフライス加工してチップ用ポケットと回転防止ストッパとを形成するステップが、エンドミルを前記底面と平行な方向に前記工具ホルダー内へと進ませることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チップ用ポケット内に単一の回転防止ストッパが形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工具ホルダー上にチップ用ポケットと該チップ用ポケット内に設けられる単一の回転防止ストッパとを形成する方法であって、
前記工具ホルダーをタンジェンシャル方法でフライス加工することにより、前記工具ホルダーに、底面と側壁とを備えているチップ用ポケットと、該チップ用ポケットの前記側壁から突出しており且つ少なくとも2つの平らな面を含んでいる前記単一の回転防止ストッパとを形成するステップを含み、
前記のタンジェンシャル方法でフライス加工するステップが、フライスカッターを前記底面と平行な方向に前記工具ホルダー内へ進ませることを含む、方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つの平らな面が前記底面に対して直角である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記チップ用ポケットの頂面をボールミルによってタンジェンシャル方法でフライス加工するステップを更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記回転防止ストッパが3つの平らな面を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記3つの平らな面が前記底面に対して直角である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記回転防止ストッパが前記チップ用ポケットの前記底面と側壁との両方と一体に形成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記チップ用ポケットが切削用チップと係合するための側壁を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記回転防止ストッパが前記チップ用ポケット内に配置されている切削用チップの位置合わせをする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記工具ホルダーが1〜20個のチップ用ポケットを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記回転防止ストッパが前記切削用チップに設けられている凹部内へ少なくとも部分的に伸長している、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記回転防止ストッパの形状と前記凹部の形状とが非相補的である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記切削用チップが形状が丸いチップである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記切削用チップが形状が丸いチップである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記回転防止ストッパと前記切削用チップ内の前記凹部とが点接触によって係合する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記回転防止ストッパが、球の一部分によって規定される点において前記凹部と係合する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記回転防止ストッパが、少なくとも2つの平らな面と球の一部によって規定される凹部とを有している、請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−224774(P2011−224774A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−123886(P2011−123886)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【分割の表示】特願2006−509006(P2006−509006)の分割
【原出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【出願人】(500566936)ティーディーワイ・インダストリーズ・インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123886(P2011−123886)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【分割の表示】特願2006−509006(P2006−509006)の分割
【原出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【出願人】(500566936)ティーディーワイ・インダストリーズ・インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】
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