説明

回転電機、モータ

【課題】巻線配置が容易に行えると共に、巻線の対地容量を小さくすることで、漏れ電流を抑制し、巻線間分担電圧を低減することができる回転電機及び該回転電機を用いてなるモータの提供を課題とする。
【解決手段】ステータコア110のスロット部130を利用してコイル120を巻回してなるステータ100を備えたモータ10であって、前記ステータコア110と前記コイル120との間に絶縁体140を介在させると共に、少なくとも入力端子側に最も近い第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機及び該回転電機を用いてなるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
複数個のコイルを装着するステータを備える回転電機がインバータで駆動される場合は多い。そのような回転電機では、インバータが半導体の高速スイッチングにより、矩形パルスを発生し、電源ケーブルを介して電圧が印加される。電圧が印加される際、反射などの原因で急峻なサージ電圧が発生する。このサージ電圧により、コイル巻線間にコロナ放電が発生し、巻線の絶縁性が劣化し、回転電機が焼損する場合が多い。
巻線間のコロナ放電は、巻線間の電位差が大きい場合に発生しやすい。同じ相における巻線間の電位差は、サージ電圧が作用する時の巻線間分担電圧となる。サージ電圧は、各コイルに均等に分担されず、電圧入力側に近いほど、高い分担率で分担される。つまりサージ電圧が作用する時の同じ相における巻線間の電位差は、電圧入力側に近いほど大きくなる。
一般的に、サージ電圧の65%〜80%の電圧が電圧入力端子側の1個目のコイルに分担される。
また分担電圧の大きさは、巻線の対地容量と巻線間容量とに左右される。巻線の対地容量が大きいと巻線とコア間に高周波電流が流れやすくなり、分担電圧が大きくなる。一方、巻線間容量を大きくすると、分担電圧を緩和できる。
巻線間容量を大きくすることで分担電圧を緩和するものとして、下記特許文献1がある。
下記特許文献1は、回転電機及びその製造方法に関する発明で、スロット15内における巻き始めエナメル電線41Sと巻き終わりエナメル電線41Eとの間の距離を近接させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−28880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示す回転電機では、絶縁強化に伴う機械出力特性の変化を生じさせることなく、急峻なインバータサージ電圧に対するリード側単位巻線への電圧集中を低減できるメリットがある。
しかし上記特許文献1に示す回転電機では、巻線配置が複雑になると共に、巻線同士が干渉し、加工ストレスを受けやすいという問題があった。
また上記特許文献1に示す回転電機では、巻線の対地容量を小さくすることで分担電圧を緩和するような構成は、何ら示されていないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、巻線配置が容易に行えると共に、巻線の対地容量を小さくすることで、漏れ電流を抑制し、巻線間分担電圧を低減することができる回転電機及び該回転電機を用いてなるモータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機は、ステータコアのスロット部を利用してコイルを巻回してなるステータを備えた回転電機であって、前記ステータコアと前記コイルとの間に絶縁体を介在させると共に、少なくとも入力端子側に最も近い第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくしてあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、ステータコアのスロット部を利用してコイルを巻回してなるステータを備えた回転電機であって、前記ステータコアと前記コイルとの間に絶縁体を介在させると共に、少なくとも入力端子側に最も近い第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくしてあることから、ステータコアとコイルとの間に絶縁体を介在させることで、コイル被膜と絶縁体とを介して形成するコンデンサの容量を調整することができる。また第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくすることで、高い分担電圧が発生する第1コイルの漏れ電流を抑制し、巻線間分担電圧を効果的に低減することができる。
【0008】
また本発明の回転電機は、上記本発明の第1の特徴に加えて、絶縁体の厚さ、数により第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくしてあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、絶縁体の厚さ、数により第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくしてあることから、絶縁体の厚さ、数を調整することで、第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくすることができる。
【0010】
また本発明の回転電機は、上記本発明の第1又は第2の特徴に加えて、絶縁体は、紙又は絶縁性樹脂で構成されるシートからなることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、絶縁体は、紙又は絶縁性樹脂で構成されるシートからなることから、絶縁性、耐熱性、機械強度に優れる絶縁体とすることができる。またステータコアとコイルとの間にシートを介在させるだけであるので、取り付けが容易であると共に、巻線配置が容易に行え、製造効率のよい回転電機とすることができる。
【0012】
また本発明の回転電機は、上記本発明の第1又は第2の特徴に加えて、絶縁体は、スロット部の表面を絶縁性樹脂で被覆することでステータコアと一体形成される絶縁層からなることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、上記本発明の第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、絶縁体は、スロット部の表面を絶縁性樹脂で被覆することでステータコアと一体形成される絶縁層からなることから、絶縁体とステータコアとの間に空隙を生じることがない。よって一段と絶縁性の高い絶縁体とすることができる。
【0014】
また本発明の回転電機は、上記本発明の第1〜第4の何れか1つの特徴に加えて、対向する位置に巻回されたコイル同士のターン数を同じにしてあることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、上記本発明の第1〜第4の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、対向する位置に巻回されたコイル同士のターン数を同じにしてあることから、磁気吸引力の不平衡を効果的に抑制することができる。
【0016】
また本発明の3相モータは、請求項1〜5の何れか1項に記載の回転電機を用いてなることを第6の特徴としている。
【0017】
上記本発明の第6の特徴によれば、請求項1〜5の何れか1項に記載の回転電機を用いてなることから、巻線配置が容易に行えると共に、漏れ電流を抑制し、巻線間分担電圧を低減することができる3相モータとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の回転電機及び該回転電機を用いたモータによれば、巻線配置が容易に行えると共に、巻線の対地容量を小さくすることで、漏れ電流を抑制し、巻線間分担電圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るモータにおけるステータの巻線構造を模式的に示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るモータへの配電系統を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係るモータの概略配線図である。
【図4】本発明の実施形態に係るモータにおけるステータを簡略化して示す拡大斜視図の一部である。
【図5】図4の水平方向の断面図で、(a)は一部断面図、(b)は要部の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るモータにおけるステータのU相の巻線構造を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るモータにおけるステータのU相を構成するコイルのターン数を示す概略配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係るモータを説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0021】
まず図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係るモータを説明する。
【0022】
本発明の実施形態に係るモータ10は、図1に示すように、ステータ100と図示しないロータとから構成される。
また図2、図3に示すように、このモータ10は、インバータ制御によりスイッチングされた電力が供給されるPWM駆動(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)の3相式モータである。具体的には図2に示すように、バッテリー200からの電力が、その電圧をリレー300及び昇圧コンバータ400により上げられ、スイッチング素子を備えるインバータ制御部500を経て、高圧ケーブル600と接続された図示しないU相、V相、W相の入力端子を経てモータ10に供給される。また図3に示すように、U相、V相、W相は、直列接続された4本のコイルを1対並列接続させた構成である。
【0023】
スイッチング素子としては、縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、横型デバイス、サイリスタ、GTO(Gate Turn−Off Thyristor)、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等、任意のスイッチング素子を用いることができる。
【0024】
次に図1〜図7を参照して、本発明の実施形態に係るステータ100を説明する。
【0025】
前記ステータ100は、モータ10の固定子であり、図1に示すように、ステータコア110と、コイル120とから構成される。
【0026】
前記ステータコア110は、図1に示すように、環状のステータコア本体111と、環状に複数配置されたティース部112とから構成されている。またティース部112の両側には複数のスロット部130が構成され、このスロット部130を利用してコイル120がティース部112に巻回される。
【0027】
より具体的には、図3に示すように、本実施形態におけるモータ10は、U相、V相、W相からなる3相式モータである。また各相は、直列接続された4本のコイル120を1対並列接続させた構成であるところ、U相、V相、W相毎に予め巻回された状態のコイル120を各スロット部130に挿入することで、図1、図4に示すように、コイル120がティース部112に巻回された状態となる。
この状態において図1、図3に示すように、各相を構成するコイル120の一端は、高圧ケーブル600と接続される入力端子120U、120V、120Wとなり、他端は中性点120UN、120VN、120WNとなる。
【0028】
なお図4は、U相を構成する第1コイル121、第2コイル122がティース部112に巻回された状態のみを簡略化して示すものである。また以下の説明においては、U相のみの説明を行い、U相と同一構成をなすV相、W相については、説明を省略するものとする。
ここで「第1コイル、第2コイル」とは、複数個のコイルを装着するステータにおいて、各相における電圧入力側に最も近いコイルを第1コイルとし、2番目に近いコイルを第2コイルとするものであり、以降は順に第3コイル、第4コイルとなる。
【0029】
図4、図5に示すように、ステータコア110とコイル120との間には、絶縁体140を介在させている。このような構成とすることで、図5に示すように、コイル皮膜120aと絶縁体140とを介してコンデンサを形成している。
ここで「対地容量」とは、ステータコア110とコイル120との間の静電容量のことを示すものであり、コイル皮膜120a部分の容量と絶縁体140部分の容量の直列容量と見なすことができる。
絶縁体140部分の容量は、C=εS/dで求められる。(C:容量、ε:絶縁体誘電率、S:絶縁体の面積、d:絶縁体の厚み)
【0030】
また図5(b)に示すように、第1コイル121に対応する絶縁体140の厚みを、第2コイル122に対応する絶縁体140の厚みよりも厚肉な構成としている。
また図示していないが、U相を構成するもう一方の第1コイル125に対応する絶縁体140の厚みは、第1コイル121に対応する絶縁体140と同一としている。またU相を構成するもう一方の第2コイル126に対応する絶縁体140の厚みは、第2コイル122に対応する絶縁体140と同一としている。また第3コイル123、127に対応する絶縁体140の厚みは、第2コイル122、126に対応する絶縁体140の厚みと同一としている。
【0031】
このような構成とすることで、既述したC=εS/dより、コイル120の対地容量は、絶縁体140の厚みを増加させることで小さくすることができ、よって図6に示すように、入力端子であるU相端子120U側に最も近い第1コイル121、125の対地容量を、第2コイル122、126及び第3コイル123、127の対地容量よりも小さくすることができる。
従って高い分担電圧が発生する第1コイル121、125の漏れ電流を抑制し、巻線間分担電圧を効果的に低減することができる。
【0032】
また図6において詳しく図示していないが、第1コイル121に対向する位置に巻回された第4コイル128に対応する絶縁体140の厚みを第1コイル121に対応する絶縁体140の厚みと同一としている。また第1コイル125に対向する位置に巻回された第4コイル124に対応する絶縁体140の厚みを第1コイル125に対応する絶縁体140の厚みと同一としている。
【0033】
更に図7(a)で示すように、第1コイル121に対向する位置に巻回された第4コイル128のターン数を第1コイル121のターン数と同じにしてある。また第1コイル125に対向する位置に巻回された第4コイル124のターン数を第1コイル125のターン数と同じにしてある。なお図7において、括弧に記入した数字がターン数を示すものである。
ここで「ターン数」とは、コイルの巻数のことを示すものである。
このような構成とすることで、U相におけるスロット部130内の導体占積率を合わせることができ、磁気吸引力の不平衡を解消することができる。
ここで「スロット部内の導体占積率」とは、スロット部面積に対する巻線導体面積の割合のことを示し、巻線導体面積/スロット部面積で求められる。
【0034】
つまり第1コイル121、125に対応する絶縁体140の厚みを他のコイルに対応する絶縁体140の厚みよりも厚肉なものとした場合には、図7(b)に示すように、第1コイル121、125のターン数が他のコイルのターン数よりも少ないものとなるため、第1コイル121、125と他のコイルとでスロット部130内の導体占積率が異なることになり、ステータ100の周方向の磁束が均一ではなくなり、磁気吸引力が不平衡になる。
【0035】
従って図6に示すU相の巻線構造おいて、第1コイル121、125及び第1コイルに対向する位置に巻回されたコイルである第4コイル124、128に対応する絶縁体140の厚みを同一とし、且つターン数を同じにすることで、U相におけるスロット部130内の導体占積率を合わせることができ、磁気吸引力の不平衡を解消することができる。
【0036】
前記コイル120は、エナメル等で絶縁被覆された導体であり、モータのコイルとして通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
なおコイル皮膜120aの厚みは、0.036mm〜0.050mmであることが望ましい。
【0037】
前記絶縁体140は、絶縁紙で構成されるシートからなる。このような構成とすることで、絶縁性、耐熱性、機械強度に優れる絶縁体140とすることができる。またステータコア110とコイル120との間にシートを介在させるだけであるので、取り付けが容易であると共に、巻線配置が容易に行え、製造効率のよいモータ10とすることができる。
なお絶縁紙としては、アラミド紙、ポリエチレンナフタレート(PEN)等、モータの絶縁紙として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また第1コイル及び第1コイルに対向する位置に巻回されたコイルに対応する絶縁体140の厚みは、他のコイルに対応する絶縁体140の厚みの1〜2倍程度であることが望ましい。
【0038】
なお本実施形態においては、絶縁体140を絶縁紙で構成されるシートからなる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではない。
例えば、絶縁性樹脂で構成されるシートを用いることができる。このような構成とすることで、ステータコア110との密着性を向上させることができ、一段と絶縁性、耐熱性、機械強度に優れる絶縁体140とすることができる。
絶縁性樹脂としては、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等を用いることができる。
【0039】
また絶縁体140を構成するシートの厚さ、数も本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。但し、少なくとも第1コイル及び第1コイルに対向する位置に巻回されたコイルに対応する絶縁体140の厚みが、他のコイルに対応する絶縁体140の厚みよりも肉厚なものとなることが必要である。
例えば同一厚のシートからなる絶縁体140を用い、第1コイル及び第1コイルに対向する位置に巻回されたコイルに対応する絶縁体140を2枚のシートで構成し、他のコイルに対応する絶縁体140を1枚のシートで構成することができる。
つまり第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくする構成として、絶縁体140の厚さ又は数を調節する構成であってもよいし、厚さ及び数を調節する構成であってもよい。
【0040】
またスロット部130の表面を絶縁性樹脂で被覆することで、ステータコア110と一体形成される絶縁層からなる絶縁体140とするものであってもよい。このような構成とすることで、ステータコア110と絶縁体140との間で空隙を生じることがない。よって一段と絶縁性の高い絶縁体140とすることができる。
なおこの場合、絶縁層は単一層、複数層の何れであってもかまわないが、少なくとも第1コイル及び第1コイルに対向する位置に巻回されたコイルに対応する絶縁体140の厚みが、他のコイルに対応する絶縁体140の厚みよりも肉厚なものとなることが必要である。
【0041】
また本実施形態においては、U相、V相、W相を構成するコイル120は、直列接続された4本のコイル120を1対並列接続させた構成としたが、必ずしもこの構成に限るものではなく、コイル120の数、接続形態等は適宜変更可能である。
【0042】
また本実施形態においては、第1コイル121、125及びそれぞれのコイル対向する位置に巻回された第4コイル128、124に対応する絶縁体140のみを他のコイルに対応する絶縁体140よりも厚肉なものとする構成としたが、必ずしもこの構成に限るものではない。
例えば、直列接続された8本のコイル120を1対並列接続させた構成でU相、V相、W相の各相を形成した場合、第1コイルと第2コイル及び第1コイルに対向する位置に巻回された第8コイルと第2コイルに対向する位置に巻回された第7コイルに対応する絶縁体140の厚みを他のコイルに対応する絶縁体140よりも厚肉なものとすることができる。
つまり第1コイルから連続する任意のコイル120まで及びそれぞれのコイル120に対向する位置に巻回されたコイル120に対応する絶縁体140を、他のコイルに対応する絶縁体140よりも厚肉なものとするような構成も、本発明の範囲内である。
【0043】
またターン数も本実施形態におけるものに限るものではなく、スロット部内の導体占積率を合わせることができ、磁気吸引力の不平衡を解消することができるものであれば適宜変更可能である。但し、少なくとも対向する位置に巻回されたコイル同士のターン数を同じにしてある構成であることが必要である。
【0044】
また本実施形態においては、第1コイル及び第1コイルに対向する位置に巻回された第4コイルに対応する絶縁体140の厚みを他のコイルに対応する絶縁体140の厚みよりも肉厚なものとすることで、第1コイル及び第1コイルに対向する位置に巻回された第4コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくする構成としてあるが、必ずしもこのような構成に限るものではない。
例えば第1コイル対応する絶縁体140に誘電率の小さい絶縁体を用いる構成とすることができる。
【0045】
絶縁体140部分の容量は、C=εS/dで求められる。(C:容量、ε:絶縁体誘電率、S:絶縁体の面積、d:絶縁体の厚み)
よって絶縁体140として誘電率の小さい絶縁体を用いることで、第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくすることができる。
なお誘電率の小さい絶縁体としては、ポリエステルイミド等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明はインバータ制御によりスイッチングされた電力をコイルに供給するモータ等の回転電機に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 モータ
100 ステータ
110 ステータコア
111 ステータコア本体
112 ティース部
120 コイル
120a コイル皮膜
120U U相端子
120UN U相中性点
120V V相端子
120VN V相中性点
120W W相端子
120WN W相中性点
121 第1コイル
122 第2コイル
123 第3コイル
124 第4コイル
125 第1コイル
126 第2コイル
127 第3コイル
128 第4コイル
130 スロット部
140 絶縁体
200 バッテリー
300 リレー
400 昇圧コンバータ
500 インバータ制御部
600 高圧ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアのスロット部を利用してコイルを巻回してなるステータを備えた回転電機であって、前記ステータコアと前記コイルとの間に絶縁体を介在させると共に、少なくとも入力端子側に最も近い第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくしてあることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
絶縁体の厚さ、数により第1コイルの対地容量を他のコイルの対地容量よりも小さくしてあることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
絶縁体は、紙又は絶縁性樹脂で構成されるシートからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
絶縁体は、スロット部の表面を絶縁性樹脂で被覆することでステータコアと一体形成される絶縁層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項5】
対向する位置に巻回されたコイル同士のターン数を同じにしてあることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の回転電機を用いてなることを特徴とする3相モータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−252519(P2010−252519A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98915(P2009−98915)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】