回転電機のステータおよび回転電機
【課題】異相間のコイルを確実に絶縁することが可能な回転電機のステータおよび回転電機の提供。
【解決手段】コアユニット4は、ボビン組立体7を介してコアティース5にコイル6が巻回されている。ボビン組立体7のコイルガイド部77の外周面には、ガイド溝78a,78b,78cが回転軸方向に並設されている。複数のコアユニット4が円環状に並べられることにより、隣り合ったガイド溝78a,78b,78c同士が接続され、円周溝L1a,L1b,L1cが全周に渡って形成される。コイル6の高圧側端部61v、61w、61uは、隣り合ったコイルガイド部77の突き合わせ面において、各円周溝L1a,L1b,L1c上に形成されたコイル引出孔L2a,L2b,L2cから引き出された後、円周溝L1a,L1b,L1c上を引き回され、各相のコイル6の高圧側端部61v、61w、61uごとに束ねられる。
【解決手段】コアユニット4は、ボビン組立体7を介してコアティース5にコイル6が巻回されている。ボビン組立体7のコイルガイド部77の外周面には、ガイド溝78a,78b,78cが回転軸方向に並設されている。複数のコアユニット4が円環状に並べられることにより、隣り合ったガイド溝78a,78b,78c同士が接続され、円周溝L1a,L1b,L1cが全周に渡って形成される。コイル6の高圧側端部61v、61w、61uは、隣り合ったコイルガイド部77の突き合わせ面において、各円周溝L1a,L1b,L1c上に形成されたコイル引出孔L2a,L2b,L2cから引き出された後、円周溝L1a,L1b,L1c上を引き回され、各相のコイル6の高圧側端部61v、61w、61uごとに束ねられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向して配置されたロータを駆動する回転電機のステータおよびそれを含んだ回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
リング状のボビンの外周面上に、立壁によって互いに仕切られた複数の通路を回転軸方向に並設し、コアに巻回されたコイルに給電するために、複数のコイルの一端部を各相に対応する通路上において引き回して配策している回転電機のステータに関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されたステータにおいては、各々のコイルから引き出された一端部を上述した通路を横切るスリット内に通過させ、対応する各通路へと導いている。これによって、給電のためのコイル端の配策を容易にすることができるとともに、各通路間に位置する立壁によって各相間距離を確保し、異相間のコイルを絶縁することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0133947号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたステータは、上述したように各通路上において、コイルが挿入されるスリットが横切っており、スリットによって通路間を仕切っている立壁が部分的に切欠かれている。これにより、各通路上のスリットが形成された部位に限っては、相間距離を確保することが困難になり、各相間のコイルの絶縁が不十分になるという問題がある。
各相間のコイルの絶縁が不十分になった場合、各コイルに流入する電流が不正確になり、回転電機の作動に支障を来たす恐れが発生する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、異相間のコイルを確実に絶縁することが可能な回転電機のステータおよび回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る回転電機のステータの発明の構成は、それぞれ半径方向に延びるとともに、円環状に並べられた複数のコアティースと、各々のコアティースにボビンを介して巻回されたコイルと、それぞれ所定数のコイルを含んだ複数の給電相を形成し、同一の給電相に含まれる複数のコイルの一端部同士を束ねて、各々の給電相ごとに電力供給可能または電力回収可能な給電部と、を備えた回転電機のステータであって、給電部は、絶縁性材料にて形成され、対応するコイルが取り付けられる複数のコイルガイド部材を有し、各々のコイルガイド部材の外周面には、円周方向に延びる複数のガイド溝がロータの回転軸方向に並設されており、複数のコイルが円環状に並べられた場合に、コイルガイド部材は、隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイドを形成するとともに、隣り合ったコイルガイド部材のそれぞれのガイド溝同士が接続され、リングガイドの外周面上には、それぞれの給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が回転軸方向に並ぶように形成され、隣り合ったコイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接したガイド溝の端部同士の間には、リングガイドの内周面と外周面とを貫通する引出孔が形成され、各々のコイルの一端部は、引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、給電相に対応した円周溝上を引き回され、リングガイドの外周面上において給電相ごとに束ねられることである。
【0006】
請求項2に係る発明の構成は、請求項1の回転電機のステータにおいて、コイルガイド部材の外周面には、ガイド溝に対して回転軸方向に並設されるとともに、円周方向に延びる中性ガイド溝が形成されており、複数のコイルガイド部材が円環状に並べられた場合に、中性ガイド溝によって、リングガイドの外周面上には、ガイド溝に対して分離された中性円周溝が形成され、隣り合ったコイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した中性ガイド溝の端部同士の間には、リングガイドの内周面と外周面とを貫通する中性引出孔が形成され、各々のコイルの他端部は、中性引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、中性円周溝上を引き回され、所定数の他端部同士がリングガイドの外周面上において互いに接続されることである。
【0007】
請求項3に係る発明の構成は、請求項1または2の回転電機のステータにおいて、隣り合ったコイルガイド部材の円周方向の突き合わせ面において、回転軸方向に並設された複数のガイド溝の間の部位またはガイド溝と中性ガイド溝との間の部位は、屈曲した面によって形成されていることである。
【0008】
請求項4に係る発明の構成は、請求項1乃至3のうちのいずれかの回転電機のステータにおいて、コイルガイド部材はボビンと一体的に形成されていることである。
【0009】
請求項5に係る回転電機の発明の構成は、ハウジングに回転可能に取り付けられたロータと、ロータに対して対向するようにハウジングに取り付けられたステータと、を備え、ステータは、それぞれ半径方向に延びるとともに、円環状に並べられた複数のコアティースと、各々のコアティースにボビンを介して巻回されたコイルと、それぞれ所定数のコイルを含んだ複数の給電相を形成し、同一の給電相に含まれる複数のコイルの一端部同士を束ねて、各々の給電相ごとに電力供給可能または電力回収可能な給電部と、を有した回転電機であって、給電部は、絶縁性材料にて形成され、対応するコイルが取り付けられる複数のコイルガイド部材を有し、各々のコイルガイド部材の外周面には、円周方向に延びる複数のガイド溝がロータの回転軸方向に並設されており、複数のコイルが円環状に並べられた場合に、コイルガイド部材は、隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイドを形成するとともに、隣り合ったコイルガイド部材のそれぞれのガイド溝同士が接続され、リングガイドの外周面上には、それぞれの給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が回転軸方向に並ぶように形成され、隣り合ったコイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接したガイド溝の端部同士の間には、リングガイドの内周面と外周面とを貫通する引出孔が形成され、各々のコイルの一端部は、引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、給電相に対応した円周溝上を引き回され、リングガイドの外周面上において給電相ごとに束ねられることである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る回転電機のステータによれば、隣接したコイルガイド部材同士が円周方向に突き合わせられることによって、隣り合ったコイルガイド部材のそれぞれのガイド溝同士が接続され、リングガイドの外周面上に、それぞれの給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が回転軸方向に並ぶように形成され、隣接したガイド溝の端部同士の間にはコイルの一端部が引き出される引出孔が形成され、各々のコイルの一端部は、引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、給電相に対応した円周溝上を引き回され、リングガイドの外周面上において給電相ごとに束ねられる。
これにより、コイルの一端部が引き出される引出孔が対応する円周溝上に形成されているため、コイルの一端部が引き出される際に、他の相のコイルと交差することがなく、各相のコイル間の絶縁距離を確保することができる。
【0011】
また、コイルの一端部が引き出される引出孔が、隣接したガイド溝の端部同士の間に形成されているため、引出孔にコイルの一端部を通過させる場合に、コイルガイド部材の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイルの一端部を通過させた後、隣接したコイルガイド部材同士を円周方向に突き合わせることによって、各円周溝同士を仕切ることができるため、各相間距離を確保して各相間のコイルを確実に絶縁することができる。
【0012】
請求項2に係る回転電機のステータによれば、複数のコイルガイド部材が円環状に並べられた場合に、中性ガイド溝によって、リングガイドの外周面上には、ガイド溝に対して分離された中性円周溝が形成され、隣り合ったコイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した中性ガイド溝の端部同士の間には、リングガイドの内周面と外周面とを貫通する中性引出孔が形成され、各々のコイルの他端部は、中性引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、中性円周溝上を引き回され、所定数の他端部同士がリングガイドの外周面上において互いに接続される。
これにより、コイルの他端部が引き出される中性引出孔が中性円周溝上に形成されているため、コイルの他端部が引き出される際に、各相のコイルと交差することがなく、各相のコイルの入出力側と中性点との間の絶縁距離を確保することができる。
【0013】
また、コイルの他端部が引き出される中性引出孔が、隣接した中性ガイド溝の端部同士の間に形成されているため、中性引出孔にコイルの他端部を通過させる場合に、コイルガイド部材の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイルの他端部を通過させた後、隣接したコイルガイド部材同士を円周方向に突き合わせることによって、円周溝と中性円周溝との間を仕切ることができるため、各相に対応するコイルの一端部と他端部との間の距離を確保して、各相のコイルの入出力側と中性点との間を確実に絶縁することができる。
【0014】
請求項3に係る回転電機のステータによれば、隣り合ったコイルガイド部材の円周方向の突き合わせ面において、回転軸方向に並設された複数のガイド溝の間の部位またはガイド溝と中性ガイド溝との間の部位は、屈曲した面によって形成されていることにより、隣り合ったコイルガイド部材の突き合わせ面において回転軸方向にオーバラップする部位が形成され、突き合わせ面における絶縁距離を確保することができるため、各相間のコイルの絶縁および各相のコイルの入出力側と中性点との間の絶縁を確実に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る回転電機のステータによれば、コイルガイド部材はボビンと一体的に形成されていることにより、コイルをボビンに巻回することによって、同時にコイルガイド部材をコイルに取り付けることができ、製造が容易で低コストの回転電機のステータにすることができる。
【0016】
請求項5に係る回転電機によれば、隣接したコイルガイド部材同士が円周方向に突き合わせられることによって、隣り合ったコイルガイド部材のそれぞれのガイド溝同士が接続され、リングガイドの外周面上に、それぞれの給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が回転軸方向に並ぶように形成され、隣接したガイド溝の端部同士の間にはコイルの一端部が引き出される引出孔が形成され、各々のコイルの一端部は、引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、給電相に対応した円周溝上を引き回され、リングガイドの外周面上において給電相ごとに束ねられる。
これにより、コイルの一端部が引き出される引出孔が対応する円周溝上に形成されているため、コイルの一端部が引き出される際に、他の相のコイルと交差することがなく、各相のコイル間の絶縁距離を確保することができる。
【0017】
また、コイルの一端部が引き出される引出孔が、隣接したガイド溝の端部同士の間に形成されているため、引出孔にコイルの一端部を通過させる場合に、コイルガイド部材の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイルの一端部を通過させた後、隣接したコイルガイド部材同士を円周方向に突き合わせることによって、各円周溝同士を仕切ることができるため、各相間距離を確保して各相間のコイルを確実に絶縁することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1による電動モータの軸方向断面図
【図2】図1に示したステータの全体斜視図
【図3】コイルユニットをステータの内周側からみた場合の斜視図
【図4】コアティースおよびボビン組立体の分解斜視図
【図5】アッパボビンをステータの外周側から見た場合の斜視図
【図6】ステータのコイルガイド部の拡大断面図
【図7】コイルガイド部をステータの内周側から見た場合の部分斜視図
【図8】コイルの引き回し状態の詳細を示すために、ステータを外周側から見た場合の部分側面図
【図9】各コイルの高圧側端部の引き回し方法を説明するためのステータの簡略図
【図10】各コイルの低圧側端部の引き回し方法を説明するためのステータの簡略図
【図11】変形例による高圧側端部の引き回し方法を説明するためのステータの簡略図
【図12】隣り合ったコイルガイド部の突き合わせ面の形状を示すために、ステータを外周側から見た場合の拡大側面図
【図13】コイルアッセンブリをステータリングに取り付ける場合の状態を示した斜視図
【図14】実施形態2による2種類のコイルユニットをそれぞれステータの内周側からみた場合の斜視図
【図15】実施形態2によるコアボデーにコイルユニットを組み付ける状態を示した簡略した平面図
【図16】コアボデーにコイルユニットが組み付けられた状態を示した簡略した平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
図1乃至図13に基づき、本発明の実施形態1による電動モータM(回転電機に該当する)およびそのステータ1について説明する。尚、説明中において、図3における上下方向をコイルユニット4の上下方向とするが、実際のステータ1上におけるその向きとは無関係である。また、コイルユニット4の説明中において、半径方向または円周方向といった場合、コイルユニット4がステータ1中にある場合を想定し、ステータ1の半径方向または円周方向を意味しているものとする。さらに、説明中において回転軸といった場合、特に断らなければ、ロータRの回転軸φ(図1示)を意味している。
【0020】
図1に示したように、電動モータMはモータハウジングH(ハウジングに該当する)に回転可能に取り付けられたロータRと、ロータRに対して半径方向に対向するように、モータハウジングHに固定されたステータ1とを備えている。ロータRには、円周上に図示しない複数のマグネットが取り付けられており、ステータ1に電力が供給されることにより発生する回転磁界によって駆動される。ロータRは本発明の主題ではないため、これ以上の説明は行わない。
【0021】
図2に示すように、ステータ1は、複数のコイルユニット4が円環状に並べられて形成されたコイルアッセンブリ3を、ステータリング2の内周面に焼嵌めして形成している。コイルアッセンブリ3において、コイルユニット4はV相用のもの、U相用のもの、W相用のものの順に、図2において時計回りに配置されている。コイルユニット4は、コイルユニット4ごとに分割されたコアティース5に、ボビン組立体7(後述するようにロアボビン7aとアッパボビン7bとにより形成されボビンに該当する)を介してコイル6が巻回されて形成されている(図3示)。
【0022】
各々のコアティース5は、複数の電磁鋼板が積層されて形成されており、ステータ1を形成するために円環状に並べられた状態で、それぞれ半径方向に延びている(図1および図2示)。各コアティース5は、ステータ1中において内端に位置する内方鍔部51と、内方鍔部51から半径方向外方へと延びるティース部52と、ティース部52の外方に接続され、円周方向へと延びるバックヨーク部53とにより形成され、回転軸に対して垂直な断面形状は略T字状を呈している(図4示)。後述するように、ステータ1が形成される際に、バックヨーク部53の外周面はステータリング2の内周面に焼嵌めされる。
【0023】
図4に示したように、ボビン組立体7は絶縁性を有する合成樹脂材料によって、上下方向に2分割された状態で形成されている。下方に位置するロアボビン7aは、コイル6が巻回されるために半径方向に筒状に延びたロア巻回部71と、ロア巻回部71の半径方向内方に接続されたロアインナフランジ72と、ロア巻回部71の半径方向外方に接続されたロアアウタフランジ73とにより形成されている。
【0024】
ロア巻回部71の上端は開口しており、上方よりコアティース5のティース部52が挿入される。ロアボビン7aにコアティース5が装着された状態で、ロアインナフランジ72は半径方向外方から内方鍔部51に当接し、内方鍔部51はロアインナフランジ72よりも半径方向内方に突出している。また、ロアボビン7aにコアティース5が装着された状態で、ロアアウタフランジ73は半径方向内方からバックヨーク部53に当接し、バックヨーク部53はロアアウタフランジ73よりも半径方向外方に突出している。
【0025】
一方、上方に位置するアッパボビン7bは、ロアボビン7aと同様に、半径方向に筒状に延びたアッパ巻回部74と、アッパ巻回部74の半径方向内方に接続されたアッパインナフランジ75と、アッパ巻回部74の半径方向外方に接続されたアッパアウタフランジ76とにより形成されている。
アッパ巻回部74の下端は開口しており、下方よりコアティース5のティース部52が挿入される。アッパボビン7bにコアティース5が装着された状態で、アッパインナフランジ75は半径方向外方から内方鍔部51に当接し、内方鍔部51はアッパインナフランジ75よりも半径方向内方に突出している。また、アッパボビン7bにコアティース5が装着された状態で、アッパアウタフランジ76は半径方向内方からバックヨーク部53に当接し、バックヨーク部53はアッパアウタフランジ76よりも半径方向外方に突出している(図3示)。
コアティース5にロアボビン7aおよびアッパボビン7bが装着された状態において、双方のボビン7a、7bの継ぎ目は平坦となり、一体となったロア巻回部71およびアッパ巻回部74にはコイル6が巻回される。
【0026】
図5に示したように、アッパボビン7bの上端部にはコイルガイド部77(コイルガイド部材に該当する)が一体に形成されている。コイルガイド部77の外周面は円弧上に形成されており、4個のガイド溝78a、78b、78c、78d(ガイド溝78dは中性ガイド溝に該当する)が回転軸方向に(図5において上から下へ向って)並ぶように形成されている。ガイド溝78a、78b、78c、78dは、それぞれ(ステータ1の)円周方向に延びている。
複数のコイルユニット4が円環状に並べられた場合に、コイルガイド部77は隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイド部L(リングガイドに該当する)を形成する(図2示)。
【0027】
リングガイド部Lの外周面上においては、隣り合ったコイルガイド部77のそれぞれのガイド溝78a、78b、78c同士が接続され、互いに分離された複数の円周溝L1a、L1b、L1cが、リングガイド部Lの全周に渡って形成される。複数の円周溝L1a、L1b、L1cは、回転軸方向に(図2において上から下へ向って)並ぶように形成される(図2および図8示)。
また、コイルガイド部77の隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リングガイド部Lの外周面上において、隣り合ったガイド溝78d同士が接続され、上述した円周溝L1a、L1b、L1cから分離された円周溝L1d(中性円周溝に該当する)が、リングガイド部Lの全周に渡って形成される。円周溝L1dは、円周溝L1cに対して回転軸方向下方に並設される(図2および図8示)。
【0028】
円周溝L1a、L1b、L1cは、それぞれV相、W相、U相(それぞれ給電相に該当する)に対応する各コイルユニット4に含まれるコイル6の高圧側端部61v、61w、61u(コイル6の入出力側端部であって、一端部に該当する)が収容されるものであり、円周溝L1dはコイル6の低圧側端部62v、62w、62u(コイル6の中性点側端部であって、他端部に該当する)が収容されるものである(図6および図8示)。円周溝L1a、L1b、L1c、L1d同士は、それぞれの間の壁Lwa、Lwb、Lwc(図6および図8示)によって全周に渡って仕切られ互いに絶縁されている。
【0029】
以下、コイル6の端部61v、61w、61u、62v、62w、62uについて、高圧側端部61vと低圧側端部62vはV相に対応するコイル6の両端部とし、また、高圧側端部61wと低圧側端部62wはW相に対応するコイル6の両端部とし、さらに、高圧側端部61uと低圧側端部62uはU相に対応するコイル6の両端部とする。また、すべてのコイルユニット4において、高圧側端部61v、61w、61uは、コイル6の巻線方向に対して同じ側(巻き始め側または巻き終わり側)の端部に統一されている。
【0030】
図7および図8に示したように、隣り合ったコイルガイド部77が突き合わせられた場合に、隣接したガイド溝78a、78b、78c、78dの端部同士の間には、リングガイド部Lの内周面と外周面とを貫通するコイル引出孔L2a、L2b、L2c、L2d(コイル引出孔L2a、L2b、L2cは引出孔に該当し、コイル引出孔L2dは中性引出孔に該当する)がそれぞれ形成される。
【0031】
V相に対応する各コイルユニット4に含まれるコイル6の高圧側端部61vは上方へと導かれ、コイル引出孔L2aを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出される(図7示)。V相に対応する各コイル6の(5本の)高圧側端部61vは、それぞれコイル引出孔L2aからリングガイド部Lの外周面へと引き出された後、対応する円周溝L1a上を引き回される(図8示)。複数の高圧側端部61vは円周溝L1a上を引き回された後、互いに束ねられてリングガイド部Lの外周面上の1か所において円周溝L1aから半径方向外方に引き出され、V相ターミナル63によってかしめられる(図2示)。
【0032】
また、W相に対応する各コイルユニット4に含まれるコイル6の高圧側端部61wは上方へと導かれ、コイル引出孔L2bを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出された後、対応する円周溝L1b上を引き回される(図8示)。複数の高圧側端部61wは円周溝L1b上を引き回された後、互いに束ねられてリングガイド部Lの外周面上の1か所において円周溝L1bから半径方向外方に引き出され、W相ターミナル64によってかしめられる(図2示)。
【0033】
さらに、U相に対応する各コイルユニット4に含まれるコイル6の高圧側端部61uは上方へと導かれ、コイル引出孔L2cを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出された後、対応する円周溝L1c上を引き回される(図8示)。複数の高圧側端部61uは円周溝L1c上を引き回された後、互いに束ねられてリングガイド部Lの外周面上の1か所において円周溝L1cから半径方向外方に引き出され、U相ターミナル65によってかしめられる(図2示)。
【0034】
ここで、図3に示したように、各コイル6の高圧側端部61v、61w、61uは、複数のコイルユニット4を円環状に組み付ける以前に、コイルガイド部77の円周方向端部(図3における右端部)から、開口した各コイル引出孔L2a、L2b、L2c内に挿入されコイルガイド部77の外周面側に引き出されている。コイル6の高圧側端部61v、61w、61uがコイル引出孔L2a、L2b、L2c内に挿入された後、隣り合ったコイルガイド部77同士が突き合わせられることにより、各コイル引出孔L2a、L2b、L2cは完全に閉じられる(図7示)。
【0035】
一方、すべてのコイルユニット4に含まれるコイル6の低圧側端部62v、62w、62uは上方へと導かれ、コイル引出孔L2dを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出される。すべてのコイル6の低圧側端部62v、62w、62uは、それぞれコイル引出孔L2dからリングガイド部Lの外周面へと引き出された後、円周溝L1d上を引き回される。円周溝L1d上を引き回された低圧側端部62v、62w、62uは、リングガイド部Lの外周面上において、低圧側端部62v、62w、62uの3本を1組として束ねられ、円周溝L1d中において中性ターミナル66によりかしめられる(図8示)。
【0036】
ここで、各コイル6の低圧側端部62v、62w、62uは、複数のコイルユニット4を円環状に組み付ける以前に、コイルガイド部77の円周方向端部(高圧側端部61v、61w、61uを引き出した側に対して円周方向の反対側の端部であって、図5における右端部)から、開口したコイル引出孔L2d内に挿入され、コイルガイド部77の外周面側に引き出されている。コイル6の低圧側端部62v、62w、62uがコイル引出孔L2d内に挿入された後、隣り合ったコイルガイド部77同士が突き合わせられることにより、コイル引出孔L2dは完全に閉じられる(図8示)。
【0037】
上述したように、V相、W相、U相に対応するコイル6の入出力側端部である高圧側端部61v、61w、61uと、コイル6の中性点側端部である低圧側端部62v、62w、62uとがそれぞれ束ねられることにより、コイルアッセンブリ3において、V相ターミナル63、W相ターミナル64、U相ターミナル65に互いに独立した電流を流して、V相、W相、U相ごとに電力供給可能な給電部が形成される。
【0038】
図9に示したように、本実施形態においては、V相、W相、U相に対応する各コイル6の高圧側端部61v、61w、61uのうち、それぞれ2本は対応した円周溝L1a、L1b、L1c上を図において時計回りに引き回され、残りの3本は、円周溝L1a、L1b、L1c上を反時計回りに引き回された後に束ねられている。
したがって、円周溝L1a、L1b、L1c上を、それぞれ複数本の高圧側端部61v、61w、61uが引き回されることにより、リングガイド部Lの円周上の位置によっては、円周溝L1a、L1b、L1c中において、2本あるいは3本の高圧側端部61v、61w、61uがステータ1の半径方向に重なることもある(図6示)。
【0039】
一方、図10に示したように、すべてのコイル6の低圧側端部62v、62w、62uは、それぞれ円周溝L1d上を反時計回りに引き回されることにより、円周溝L1d中において、ステータ1の半径方向内方から低圧側端部62u、62v、62wの順に重ねられた後に、3本ごとにかしめられている(図6示)。
また、上述した場合と異なり、図11に示したように、V相、W相、U相に対応する各コイル6の高圧側端部61v、61w、61uは、各ターミナル63、64,65に直近のもの1本を除いて、すべて時計回りに引き回された後に束ねられるようにしてもよい(図11においてV相に対応するコイル6の高圧側端部61vのみについて示す)。
【0040】
図8および図12に示すように、隣り合ったコイルガイド部77の円周方向の突き合わせ面において、ガイド溝78a、78b、78c、78d同士の間に位置する部位(それぞれ壁Lwa、Lwb、Lwc上の部位)は、円周方向に屈曲したクランク状の面によって形成されているため、突き合わせ面において回転軸方向にオーバラップする部位Pが形成されている。
【0041】
ステータ1を形成する際、それぞれのコイルユニット4が円環状に並べられた後、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uおよび低圧側端部62v、62w、62uをリングガイド部Lの外周面上に引き回して束ね、コイルアッセンブリ3が形成される。その後、図13に示したように、コイルアッセンブリ3をステータリング2の内周面に焼嵌めすることによって、ステータ1が完成する。
【0042】
尚、コイルアッセンブリ3をステータリング2内に取り付ける方法として、常温における圧入を行ってもよい。また、圧入によりコイルアッセンブリ3をステータリング2内に保持させる場合、コイルアッセンブリ3とステータリング2との間に接着剤を介在させ、その保持力を増大させてもよい。
ステータリング2のフランジ部21に形成された取付孔22に、取付ボルトBを挿入してモータハウジングHに締め付けることにより、ステータ1はモータハウジングHに固定される(図1示)。
【0043】
本実施形態によれば、隣接したコイルガイド部77同士が円周方向に突き合わせられることによって、隣り合ったコイルガイド部77のそれぞれのガイド溝78a、78b、78c同士が接続され、リングガイド部Lの外周面上に、それぞれV相、W相、U相に対応し互いに分離された複数の円周溝L1a、L1b、L1cが回転軸方向に並ぶように形成され、隣接したガイド溝78a、78b、78cの端部同士の間にはコイル6の高圧側端部61v、61w、61uが引き出されるコイル引出孔L2a、L2b、L2cが形成され、各々のコイル6の高圧側端部61v、61w、61uは、コイル引出孔L2a、L2b、L2cを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出された後、V相、W相、U相に対応した円周溝L1a、L1b、L1c上を引き回され、リングガイド部Lの外周面上において、V相、W相、U相に対応するコイル6ごとに束ねられる。
【0044】
これにより、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uが引き出されるコイル引出孔L2a、L2b、L2cが、対応する円周溝L1a、L1b、L1c上に形成されているため、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uが引き出される際に、他の相のコイル6と交差することがなく、各相のコイル6間の絶縁距離を確保することができる。
また、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uが引き出されるコイル引出孔L2a、L2b、L2cが、隣接したガイド溝78a、78b、78cの端部同士の間に形成されているため、コイル引出孔L2a、L2b、L2cにコイル6の高圧側端部61v、61w、61uを通過させる場合に、コイルガイド部77の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uを通過させた後、隣接したコイルガイド部77同士を円周方向に突き合わせることによって、各円周溝L1a、L1b、L1c同士を仕切ることができるため、各相間距離を確保して各相間のコイル6を確実に絶縁することができる。
【0045】
また、複数のコイルガイド部77が円環状に並べられた場合に、ガイド溝78dによって、リングガイド部Lの外周面上には、V相、W相、U相に対応した円周溝L1a、L1b、L1cに対して分離された円周溝L1dが形成され、隣り合ったコイルガイド部77が突き合わせられた場合に、隣接したガイド溝78dの端部同士の間には、リングガイド部Lの内周面と外周面とを貫通する引出孔L2dが形成され、各々のコイル6の低圧側端部62v、62w、62uは、引出孔L2dを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出された後、円周溝L1d上を引き回され、所定数の低圧側端部62v、62w、62u同士がリングガイド部Lの外周面上において互いに接続される。
【0046】
これにより、コイル6の低圧側端部62v、62w、62uが引き出される引出孔L2dが円周溝L1d上に形成されているため、コイル6の低圧側端部62v、62w、62uが引き出される際に、各相のコイル6の高圧側端部61v、61w、61uと交差することがなく、各相のコイル6の入出力側と中性点との間の絶縁距離を確保することができる。
【0047】
また、コイル6の低圧側端部62v、62w、62uが引き出される引出孔L2dが、隣接したガイド溝78dの端部同士の間に形成されているため、引出孔L2dにコイル6の低圧側端部62v、62w、62uを通過させる場合に、コイルガイド部77の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイル6の低圧側端部62v、62w、62uを通過させた後、隣接したコイルガイド部77同士を円周方向に突き合わせることによって、V相、W相、U相に対応した円周溝L1a、L1b、L1cと低圧側端部62v、62w、62uを収容する円周溝L1dとの間を仕切ることができるため、各相に対応するコイル6の高圧側端部61v、61w、61uと低圧側端部62v、62w、62uとの間の距離を確保して、各相のコイル6の入出力側と中性点との間を確実に絶縁することができる。
【0048】
また、隣り合ったコイルガイド部77の円周方向の突き合わせ面において、回転軸方向に並設された複数のガイド溝78a、78b、78c、78d同士の間に位置する部位は、屈曲した面によって形成されていることにより、隣り合ったコイルガイド部77の突き合わせ面において回転軸方向にオーバラップする部位Pが形成され、突き合わせ面における絶縁距離を確保することができるため、各相間のコイル6の絶縁および各相のコイル6の入出力側と中性点との間の絶縁を確実に行うことができる。
また、コイルガイド部77はボビン組立体7と一体的に形成されていることにより、コイル6をボビン組立体7に巻回することによって、同時にコイルガイド部77をコイル6に取り付けることができ、製造が容易で低コストのステータ1にすることができる。
【0049】
<実施形態2>
図14乃至図16に基づき、本発明の実施形態2によるステータ1Aについて説明する。尚、説明中において、図14における上下方向をコイルユニット4A、4Bの上下方向とするが、実際のステータ1A上におけるその向きとは無関係である。また、コイルユニット4A、4Bの説明中において、半径方向または円周方向といった場合、コイルユニット4A、4Bがステータ1A中にある場合を想定し、ステータ1Aの半径方向または円周方向を意味しているものとする。さらに、説明中において回転軸といった場合、特に断らなければ、図1において示したロータRの回転軸φを意味している。
【0050】
図14に示したように、本実施形態によるステータ1Aは2種類のコイルユニット4A、4Bを備えている。コイルユニット4A、4Bは実施形態1の場合と同様に、それぞれボビン組立体7A、7Bの周囲にコイル6が巻回されて形成されている。また、実施形態1の場合と同様に、コイルユニット4A、4Bが後述するコアボデー8に装着される以前に、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uおよび低圧側端部62v、62w、62uは、予め、コイルガイド部77A、77Bの円周方向端部から外周面へと引き出されている。また、ボビン組立体7A、7Bの内方には、それぞれ後述するコアティース81が挿入されるための空洞79A、79Bが形成されている。
【0051】
図14に示した一側のコイルユニット4Aが有するコイルガイド部77Aは、他側のコイルユニット4Bが有するコイルガイド部77Bに対して、その円周方向長さが大きく形成されている(図15示)。双方のコイルガイド部77A、77Bの外周面には、実施形態1の場合と同様に、ガイド溝78a、78b、78c、78dが形成されている(図示せず)。また、後述するように、隣り合ったコイルガイド部77A、77Bを円周方向に突き合わせることにより、ガイド溝78a、78b、78c、78dの端部同士の間には、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uまたは低圧側端部62v、62w、62uが引き出されるコイル引出孔L2a、L2b、L2c、L2dが形成される(図示せず)。
【0052】
本実施形態によるステータ1Aは、複数のコアティース81が一体に形成されたコアボデー8を備えている。複数の電磁鋼板が積層されて形成されたコアボデー8は、真円状の外周リング82を有しており、外周リング82の内周縁からは上述したコアティース81が半径方向内方へと突出している。
また、外周リング82の外周縁部には、ステータ1AをモータハウジングHへ取り付けるための取付孔84を備えたフランジ部83が形成されている。したがって、本実施形態によるステータ1Aはステータリング2を備えていない。
【0053】
図15に示すように、2種類のコイルユニット4A、4Bは、コアボデー8のコアティース81に対して、半径方向内方から交互に装着されていく。コアティース81は、隣り合ったコイルガイド部77A、77Bが円周方向に突き合わせられるまで、それぞれのボビン組立体7A、7Bの空洞79A、79B内に挿入される。これによって、コイルユニット4A、4Bはコアボデー8の内周側に円環状に並べられる(図16示)。尚、図16において、コアティース8に装着されたコイルユニット4A、4Bは、一部のもののみ記載し、その他のものは省略されている。
コアティース8に装着されたコイルユニット4A、4Bは、エポキシ樹脂を充填することによってコアボデー8に固定される。
【0054】
コイルガイド部77A、77Bの外周面に引き出されているコイル6の高圧側端部61v、61w、61uおよび低圧側端部62v、62w、62uは、実施形態1の場合と同様に、コイルガイド部77A、77Bの外周面に形成された対応する円周溝上を引き回され、V相、W相、U相ごとあるいは所定数の低圧側端部62v、62w、62u同士それぞれ束ねられることにより、各相ごとに電力供給可能な給電部が形成される。
【0055】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
コイル6の高圧側端部61v、61w、61uおよび低圧側端部62v、62w、62uのうちの一方を、図3に示したコイルユニット4の下方において、コイルガイド部77の内周面から外周面へと引き出した後、コイルアッセンブリ3の下方における外周面上を引き回すようにしてもよい。
【0056】
また、コイルアッセンブリ3のコイル6には、上述したような集中巻に代えて、分布巻も適用可能である。
また、本発明によるステータは、同期モータ、誘導モータあるいはそれ以外のあらゆる電動モータもしくは発電機といった回転電機に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
図面中、1,1Aはステータ、5はコアティース、6はコイル、7はボビン組立体(ボビン)、61v、61w、61uは高圧側端部(一端部)、62v、62w、62uは低圧側端部(他端部)、77はコイルガイド部(コイルガイド部材)、78a,78b,78cはガイド溝、78dはガイド溝(中性ガイド溝)、Hはモータハウジング(ハウジング)、Lはリングガイド部(リングガイド)、L1a,L1b,L1cは円周溝、L1dは円周溝(中性円周溝)、L2a,L2b,L2cはコイル引出孔(引出孔)、L2dはコイル引出孔(中性引出孔)、Mは電動モータ(回転電機)、Rはロータ、φは回転軸を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向して配置されたロータを駆動する回転電機のステータおよびそれを含んだ回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
リング状のボビンの外周面上に、立壁によって互いに仕切られた複数の通路を回転軸方向に並設し、コアに巻回されたコイルに給電するために、複数のコイルの一端部を各相に対応する通路上において引き回して配策している回転電機のステータに関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されたステータにおいては、各々のコイルから引き出された一端部を上述した通路を横切るスリット内に通過させ、対応する各通路へと導いている。これによって、給電のためのコイル端の配策を容易にすることができるとともに、各通路間に位置する立壁によって各相間距離を確保し、異相間のコイルを絶縁することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0133947号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたステータは、上述したように各通路上において、コイルが挿入されるスリットが横切っており、スリットによって通路間を仕切っている立壁が部分的に切欠かれている。これにより、各通路上のスリットが形成された部位に限っては、相間距離を確保することが困難になり、各相間のコイルの絶縁が不十分になるという問題がある。
各相間のコイルの絶縁が不十分になった場合、各コイルに流入する電流が不正確になり、回転電機の作動に支障を来たす恐れが発生する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、異相間のコイルを確実に絶縁することが可能な回転電機のステータおよび回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る回転電機のステータの発明の構成は、それぞれ半径方向に延びるとともに、円環状に並べられた複数のコアティースと、各々のコアティースにボビンを介して巻回されたコイルと、それぞれ所定数のコイルを含んだ複数の給電相を形成し、同一の給電相に含まれる複数のコイルの一端部同士を束ねて、各々の給電相ごとに電力供給可能または電力回収可能な給電部と、を備えた回転電機のステータであって、給電部は、絶縁性材料にて形成され、対応するコイルが取り付けられる複数のコイルガイド部材を有し、各々のコイルガイド部材の外周面には、円周方向に延びる複数のガイド溝がロータの回転軸方向に並設されており、複数のコイルが円環状に並べられた場合に、コイルガイド部材は、隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイドを形成するとともに、隣り合ったコイルガイド部材のそれぞれのガイド溝同士が接続され、リングガイドの外周面上には、それぞれの給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が回転軸方向に並ぶように形成され、隣り合ったコイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接したガイド溝の端部同士の間には、リングガイドの内周面と外周面とを貫通する引出孔が形成され、各々のコイルの一端部は、引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、給電相に対応した円周溝上を引き回され、リングガイドの外周面上において給電相ごとに束ねられることである。
【0006】
請求項2に係る発明の構成は、請求項1の回転電機のステータにおいて、コイルガイド部材の外周面には、ガイド溝に対して回転軸方向に並設されるとともに、円周方向に延びる中性ガイド溝が形成されており、複数のコイルガイド部材が円環状に並べられた場合に、中性ガイド溝によって、リングガイドの外周面上には、ガイド溝に対して分離された中性円周溝が形成され、隣り合ったコイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した中性ガイド溝の端部同士の間には、リングガイドの内周面と外周面とを貫通する中性引出孔が形成され、各々のコイルの他端部は、中性引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、中性円周溝上を引き回され、所定数の他端部同士がリングガイドの外周面上において互いに接続されることである。
【0007】
請求項3に係る発明の構成は、請求項1または2の回転電機のステータにおいて、隣り合ったコイルガイド部材の円周方向の突き合わせ面において、回転軸方向に並設された複数のガイド溝の間の部位またはガイド溝と中性ガイド溝との間の部位は、屈曲した面によって形成されていることである。
【0008】
請求項4に係る発明の構成は、請求項1乃至3のうちのいずれかの回転電機のステータにおいて、コイルガイド部材はボビンと一体的に形成されていることである。
【0009】
請求項5に係る回転電機の発明の構成は、ハウジングに回転可能に取り付けられたロータと、ロータに対して対向するようにハウジングに取り付けられたステータと、を備え、ステータは、それぞれ半径方向に延びるとともに、円環状に並べられた複数のコアティースと、各々のコアティースにボビンを介して巻回されたコイルと、それぞれ所定数のコイルを含んだ複数の給電相を形成し、同一の給電相に含まれる複数のコイルの一端部同士を束ねて、各々の給電相ごとに電力供給可能または電力回収可能な給電部と、を有した回転電機であって、給電部は、絶縁性材料にて形成され、対応するコイルが取り付けられる複数のコイルガイド部材を有し、各々のコイルガイド部材の外周面には、円周方向に延びる複数のガイド溝がロータの回転軸方向に並設されており、複数のコイルが円環状に並べられた場合に、コイルガイド部材は、隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイドを形成するとともに、隣り合ったコイルガイド部材のそれぞれのガイド溝同士が接続され、リングガイドの外周面上には、それぞれの給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が回転軸方向に並ぶように形成され、隣り合ったコイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接したガイド溝の端部同士の間には、リングガイドの内周面と外周面とを貫通する引出孔が形成され、各々のコイルの一端部は、引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、給電相に対応した円周溝上を引き回され、リングガイドの外周面上において給電相ごとに束ねられることである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る回転電機のステータによれば、隣接したコイルガイド部材同士が円周方向に突き合わせられることによって、隣り合ったコイルガイド部材のそれぞれのガイド溝同士が接続され、リングガイドの外周面上に、それぞれの給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が回転軸方向に並ぶように形成され、隣接したガイド溝の端部同士の間にはコイルの一端部が引き出される引出孔が形成され、各々のコイルの一端部は、引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、給電相に対応した円周溝上を引き回され、リングガイドの外周面上において給電相ごとに束ねられる。
これにより、コイルの一端部が引き出される引出孔が対応する円周溝上に形成されているため、コイルの一端部が引き出される際に、他の相のコイルと交差することがなく、各相のコイル間の絶縁距離を確保することができる。
【0011】
また、コイルの一端部が引き出される引出孔が、隣接したガイド溝の端部同士の間に形成されているため、引出孔にコイルの一端部を通過させる場合に、コイルガイド部材の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイルの一端部を通過させた後、隣接したコイルガイド部材同士を円周方向に突き合わせることによって、各円周溝同士を仕切ることができるため、各相間距離を確保して各相間のコイルを確実に絶縁することができる。
【0012】
請求項2に係る回転電機のステータによれば、複数のコイルガイド部材が円環状に並べられた場合に、中性ガイド溝によって、リングガイドの外周面上には、ガイド溝に対して分離された中性円周溝が形成され、隣り合ったコイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した中性ガイド溝の端部同士の間には、リングガイドの内周面と外周面とを貫通する中性引出孔が形成され、各々のコイルの他端部は、中性引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、中性円周溝上を引き回され、所定数の他端部同士がリングガイドの外周面上において互いに接続される。
これにより、コイルの他端部が引き出される中性引出孔が中性円周溝上に形成されているため、コイルの他端部が引き出される際に、各相のコイルと交差することがなく、各相のコイルの入出力側と中性点との間の絶縁距離を確保することができる。
【0013】
また、コイルの他端部が引き出される中性引出孔が、隣接した中性ガイド溝の端部同士の間に形成されているため、中性引出孔にコイルの他端部を通過させる場合に、コイルガイド部材の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイルの他端部を通過させた後、隣接したコイルガイド部材同士を円周方向に突き合わせることによって、円周溝と中性円周溝との間を仕切ることができるため、各相に対応するコイルの一端部と他端部との間の距離を確保して、各相のコイルの入出力側と中性点との間を確実に絶縁することができる。
【0014】
請求項3に係る回転電機のステータによれば、隣り合ったコイルガイド部材の円周方向の突き合わせ面において、回転軸方向に並設された複数のガイド溝の間の部位またはガイド溝と中性ガイド溝との間の部位は、屈曲した面によって形成されていることにより、隣り合ったコイルガイド部材の突き合わせ面において回転軸方向にオーバラップする部位が形成され、突き合わせ面における絶縁距離を確保することができるため、各相間のコイルの絶縁および各相のコイルの入出力側と中性点との間の絶縁を確実に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る回転電機のステータによれば、コイルガイド部材はボビンと一体的に形成されていることにより、コイルをボビンに巻回することによって、同時にコイルガイド部材をコイルに取り付けることができ、製造が容易で低コストの回転電機のステータにすることができる。
【0016】
請求項5に係る回転電機によれば、隣接したコイルガイド部材同士が円周方向に突き合わせられることによって、隣り合ったコイルガイド部材のそれぞれのガイド溝同士が接続され、リングガイドの外周面上に、それぞれの給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が回転軸方向に並ぶように形成され、隣接したガイド溝の端部同士の間にはコイルの一端部が引き出される引出孔が形成され、各々のコイルの一端部は、引出孔を介してリングガイドの内周面から外周面へと引き出された後、給電相に対応した円周溝上を引き回され、リングガイドの外周面上において給電相ごとに束ねられる。
これにより、コイルの一端部が引き出される引出孔が対応する円周溝上に形成されているため、コイルの一端部が引き出される際に、他の相のコイルと交差することがなく、各相のコイル間の絶縁距離を確保することができる。
【0017】
また、コイルの一端部が引き出される引出孔が、隣接したガイド溝の端部同士の間に形成されているため、引出孔にコイルの一端部を通過させる場合に、コイルガイド部材の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイルの一端部を通過させた後、隣接したコイルガイド部材同士を円周方向に突き合わせることによって、各円周溝同士を仕切ることができるため、各相間距離を確保して各相間のコイルを確実に絶縁することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1による電動モータの軸方向断面図
【図2】図1に示したステータの全体斜視図
【図3】コイルユニットをステータの内周側からみた場合の斜視図
【図4】コアティースおよびボビン組立体の分解斜視図
【図5】アッパボビンをステータの外周側から見た場合の斜視図
【図6】ステータのコイルガイド部の拡大断面図
【図7】コイルガイド部をステータの内周側から見た場合の部分斜視図
【図8】コイルの引き回し状態の詳細を示すために、ステータを外周側から見た場合の部分側面図
【図9】各コイルの高圧側端部の引き回し方法を説明するためのステータの簡略図
【図10】各コイルの低圧側端部の引き回し方法を説明するためのステータの簡略図
【図11】変形例による高圧側端部の引き回し方法を説明するためのステータの簡略図
【図12】隣り合ったコイルガイド部の突き合わせ面の形状を示すために、ステータを外周側から見た場合の拡大側面図
【図13】コイルアッセンブリをステータリングに取り付ける場合の状態を示した斜視図
【図14】実施形態2による2種類のコイルユニットをそれぞれステータの内周側からみた場合の斜視図
【図15】実施形態2によるコアボデーにコイルユニットを組み付ける状態を示した簡略した平面図
【図16】コアボデーにコイルユニットが組み付けられた状態を示した簡略した平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
図1乃至図13に基づき、本発明の実施形態1による電動モータM(回転電機に該当する)およびそのステータ1について説明する。尚、説明中において、図3における上下方向をコイルユニット4の上下方向とするが、実際のステータ1上におけるその向きとは無関係である。また、コイルユニット4の説明中において、半径方向または円周方向といった場合、コイルユニット4がステータ1中にある場合を想定し、ステータ1の半径方向または円周方向を意味しているものとする。さらに、説明中において回転軸といった場合、特に断らなければ、ロータRの回転軸φ(図1示)を意味している。
【0020】
図1に示したように、電動モータMはモータハウジングH(ハウジングに該当する)に回転可能に取り付けられたロータRと、ロータRに対して半径方向に対向するように、モータハウジングHに固定されたステータ1とを備えている。ロータRには、円周上に図示しない複数のマグネットが取り付けられており、ステータ1に電力が供給されることにより発生する回転磁界によって駆動される。ロータRは本発明の主題ではないため、これ以上の説明は行わない。
【0021】
図2に示すように、ステータ1は、複数のコイルユニット4が円環状に並べられて形成されたコイルアッセンブリ3を、ステータリング2の内周面に焼嵌めして形成している。コイルアッセンブリ3において、コイルユニット4はV相用のもの、U相用のもの、W相用のものの順に、図2において時計回りに配置されている。コイルユニット4は、コイルユニット4ごとに分割されたコアティース5に、ボビン組立体7(後述するようにロアボビン7aとアッパボビン7bとにより形成されボビンに該当する)を介してコイル6が巻回されて形成されている(図3示)。
【0022】
各々のコアティース5は、複数の電磁鋼板が積層されて形成されており、ステータ1を形成するために円環状に並べられた状態で、それぞれ半径方向に延びている(図1および図2示)。各コアティース5は、ステータ1中において内端に位置する内方鍔部51と、内方鍔部51から半径方向外方へと延びるティース部52と、ティース部52の外方に接続され、円周方向へと延びるバックヨーク部53とにより形成され、回転軸に対して垂直な断面形状は略T字状を呈している(図4示)。後述するように、ステータ1が形成される際に、バックヨーク部53の外周面はステータリング2の内周面に焼嵌めされる。
【0023】
図4に示したように、ボビン組立体7は絶縁性を有する合成樹脂材料によって、上下方向に2分割された状態で形成されている。下方に位置するロアボビン7aは、コイル6が巻回されるために半径方向に筒状に延びたロア巻回部71と、ロア巻回部71の半径方向内方に接続されたロアインナフランジ72と、ロア巻回部71の半径方向外方に接続されたロアアウタフランジ73とにより形成されている。
【0024】
ロア巻回部71の上端は開口しており、上方よりコアティース5のティース部52が挿入される。ロアボビン7aにコアティース5が装着された状態で、ロアインナフランジ72は半径方向外方から内方鍔部51に当接し、内方鍔部51はロアインナフランジ72よりも半径方向内方に突出している。また、ロアボビン7aにコアティース5が装着された状態で、ロアアウタフランジ73は半径方向内方からバックヨーク部53に当接し、バックヨーク部53はロアアウタフランジ73よりも半径方向外方に突出している。
【0025】
一方、上方に位置するアッパボビン7bは、ロアボビン7aと同様に、半径方向に筒状に延びたアッパ巻回部74と、アッパ巻回部74の半径方向内方に接続されたアッパインナフランジ75と、アッパ巻回部74の半径方向外方に接続されたアッパアウタフランジ76とにより形成されている。
アッパ巻回部74の下端は開口しており、下方よりコアティース5のティース部52が挿入される。アッパボビン7bにコアティース5が装着された状態で、アッパインナフランジ75は半径方向外方から内方鍔部51に当接し、内方鍔部51はアッパインナフランジ75よりも半径方向内方に突出している。また、アッパボビン7bにコアティース5が装着された状態で、アッパアウタフランジ76は半径方向内方からバックヨーク部53に当接し、バックヨーク部53はアッパアウタフランジ76よりも半径方向外方に突出している(図3示)。
コアティース5にロアボビン7aおよびアッパボビン7bが装着された状態において、双方のボビン7a、7bの継ぎ目は平坦となり、一体となったロア巻回部71およびアッパ巻回部74にはコイル6が巻回される。
【0026】
図5に示したように、アッパボビン7bの上端部にはコイルガイド部77(コイルガイド部材に該当する)が一体に形成されている。コイルガイド部77の外周面は円弧上に形成されており、4個のガイド溝78a、78b、78c、78d(ガイド溝78dは中性ガイド溝に該当する)が回転軸方向に(図5において上から下へ向って)並ぶように形成されている。ガイド溝78a、78b、78c、78dは、それぞれ(ステータ1の)円周方向に延びている。
複数のコイルユニット4が円環状に並べられた場合に、コイルガイド部77は隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイド部L(リングガイドに該当する)を形成する(図2示)。
【0027】
リングガイド部Lの外周面上においては、隣り合ったコイルガイド部77のそれぞれのガイド溝78a、78b、78c同士が接続され、互いに分離された複数の円周溝L1a、L1b、L1cが、リングガイド部Lの全周に渡って形成される。複数の円周溝L1a、L1b、L1cは、回転軸方向に(図2において上から下へ向って)並ぶように形成される(図2および図8示)。
また、コイルガイド部77の隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リングガイド部Lの外周面上において、隣り合ったガイド溝78d同士が接続され、上述した円周溝L1a、L1b、L1cから分離された円周溝L1d(中性円周溝に該当する)が、リングガイド部Lの全周に渡って形成される。円周溝L1dは、円周溝L1cに対して回転軸方向下方に並設される(図2および図8示)。
【0028】
円周溝L1a、L1b、L1cは、それぞれV相、W相、U相(それぞれ給電相に該当する)に対応する各コイルユニット4に含まれるコイル6の高圧側端部61v、61w、61u(コイル6の入出力側端部であって、一端部に該当する)が収容されるものであり、円周溝L1dはコイル6の低圧側端部62v、62w、62u(コイル6の中性点側端部であって、他端部に該当する)が収容されるものである(図6および図8示)。円周溝L1a、L1b、L1c、L1d同士は、それぞれの間の壁Lwa、Lwb、Lwc(図6および図8示)によって全周に渡って仕切られ互いに絶縁されている。
【0029】
以下、コイル6の端部61v、61w、61u、62v、62w、62uについて、高圧側端部61vと低圧側端部62vはV相に対応するコイル6の両端部とし、また、高圧側端部61wと低圧側端部62wはW相に対応するコイル6の両端部とし、さらに、高圧側端部61uと低圧側端部62uはU相に対応するコイル6の両端部とする。また、すべてのコイルユニット4において、高圧側端部61v、61w、61uは、コイル6の巻線方向に対して同じ側(巻き始め側または巻き終わり側)の端部に統一されている。
【0030】
図7および図8に示したように、隣り合ったコイルガイド部77が突き合わせられた場合に、隣接したガイド溝78a、78b、78c、78dの端部同士の間には、リングガイド部Lの内周面と外周面とを貫通するコイル引出孔L2a、L2b、L2c、L2d(コイル引出孔L2a、L2b、L2cは引出孔に該当し、コイル引出孔L2dは中性引出孔に該当する)がそれぞれ形成される。
【0031】
V相に対応する各コイルユニット4に含まれるコイル6の高圧側端部61vは上方へと導かれ、コイル引出孔L2aを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出される(図7示)。V相に対応する各コイル6の(5本の)高圧側端部61vは、それぞれコイル引出孔L2aからリングガイド部Lの外周面へと引き出された後、対応する円周溝L1a上を引き回される(図8示)。複数の高圧側端部61vは円周溝L1a上を引き回された後、互いに束ねられてリングガイド部Lの外周面上の1か所において円周溝L1aから半径方向外方に引き出され、V相ターミナル63によってかしめられる(図2示)。
【0032】
また、W相に対応する各コイルユニット4に含まれるコイル6の高圧側端部61wは上方へと導かれ、コイル引出孔L2bを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出された後、対応する円周溝L1b上を引き回される(図8示)。複数の高圧側端部61wは円周溝L1b上を引き回された後、互いに束ねられてリングガイド部Lの外周面上の1か所において円周溝L1bから半径方向外方に引き出され、W相ターミナル64によってかしめられる(図2示)。
【0033】
さらに、U相に対応する各コイルユニット4に含まれるコイル6の高圧側端部61uは上方へと導かれ、コイル引出孔L2cを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出された後、対応する円周溝L1c上を引き回される(図8示)。複数の高圧側端部61uは円周溝L1c上を引き回された後、互いに束ねられてリングガイド部Lの外周面上の1か所において円周溝L1cから半径方向外方に引き出され、U相ターミナル65によってかしめられる(図2示)。
【0034】
ここで、図3に示したように、各コイル6の高圧側端部61v、61w、61uは、複数のコイルユニット4を円環状に組み付ける以前に、コイルガイド部77の円周方向端部(図3における右端部)から、開口した各コイル引出孔L2a、L2b、L2c内に挿入されコイルガイド部77の外周面側に引き出されている。コイル6の高圧側端部61v、61w、61uがコイル引出孔L2a、L2b、L2c内に挿入された後、隣り合ったコイルガイド部77同士が突き合わせられることにより、各コイル引出孔L2a、L2b、L2cは完全に閉じられる(図7示)。
【0035】
一方、すべてのコイルユニット4に含まれるコイル6の低圧側端部62v、62w、62uは上方へと導かれ、コイル引出孔L2dを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出される。すべてのコイル6の低圧側端部62v、62w、62uは、それぞれコイル引出孔L2dからリングガイド部Lの外周面へと引き出された後、円周溝L1d上を引き回される。円周溝L1d上を引き回された低圧側端部62v、62w、62uは、リングガイド部Lの外周面上において、低圧側端部62v、62w、62uの3本を1組として束ねられ、円周溝L1d中において中性ターミナル66によりかしめられる(図8示)。
【0036】
ここで、各コイル6の低圧側端部62v、62w、62uは、複数のコイルユニット4を円環状に組み付ける以前に、コイルガイド部77の円周方向端部(高圧側端部61v、61w、61uを引き出した側に対して円周方向の反対側の端部であって、図5における右端部)から、開口したコイル引出孔L2d内に挿入され、コイルガイド部77の外周面側に引き出されている。コイル6の低圧側端部62v、62w、62uがコイル引出孔L2d内に挿入された後、隣り合ったコイルガイド部77同士が突き合わせられることにより、コイル引出孔L2dは完全に閉じられる(図8示)。
【0037】
上述したように、V相、W相、U相に対応するコイル6の入出力側端部である高圧側端部61v、61w、61uと、コイル6の中性点側端部である低圧側端部62v、62w、62uとがそれぞれ束ねられることにより、コイルアッセンブリ3において、V相ターミナル63、W相ターミナル64、U相ターミナル65に互いに独立した電流を流して、V相、W相、U相ごとに電力供給可能な給電部が形成される。
【0038】
図9に示したように、本実施形態においては、V相、W相、U相に対応する各コイル6の高圧側端部61v、61w、61uのうち、それぞれ2本は対応した円周溝L1a、L1b、L1c上を図において時計回りに引き回され、残りの3本は、円周溝L1a、L1b、L1c上を反時計回りに引き回された後に束ねられている。
したがって、円周溝L1a、L1b、L1c上を、それぞれ複数本の高圧側端部61v、61w、61uが引き回されることにより、リングガイド部Lの円周上の位置によっては、円周溝L1a、L1b、L1c中において、2本あるいは3本の高圧側端部61v、61w、61uがステータ1の半径方向に重なることもある(図6示)。
【0039】
一方、図10に示したように、すべてのコイル6の低圧側端部62v、62w、62uは、それぞれ円周溝L1d上を反時計回りに引き回されることにより、円周溝L1d中において、ステータ1の半径方向内方から低圧側端部62u、62v、62wの順に重ねられた後に、3本ごとにかしめられている(図6示)。
また、上述した場合と異なり、図11に示したように、V相、W相、U相に対応する各コイル6の高圧側端部61v、61w、61uは、各ターミナル63、64,65に直近のもの1本を除いて、すべて時計回りに引き回された後に束ねられるようにしてもよい(図11においてV相に対応するコイル6の高圧側端部61vのみについて示す)。
【0040】
図8および図12に示すように、隣り合ったコイルガイド部77の円周方向の突き合わせ面において、ガイド溝78a、78b、78c、78d同士の間に位置する部位(それぞれ壁Lwa、Lwb、Lwc上の部位)は、円周方向に屈曲したクランク状の面によって形成されているため、突き合わせ面において回転軸方向にオーバラップする部位Pが形成されている。
【0041】
ステータ1を形成する際、それぞれのコイルユニット4が円環状に並べられた後、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uおよび低圧側端部62v、62w、62uをリングガイド部Lの外周面上に引き回して束ね、コイルアッセンブリ3が形成される。その後、図13に示したように、コイルアッセンブリ3をステータリング2の内周面に焼嵌めすることによって、ステータ1が完成する。
【0042】
尚、コイルアッセンブリ3をステータリング2内に取り付ける方法として、常温における圧入を行ってもよい。また、圧入によりコイルアッセンブリ3をステータリング2内に保持させる場合、コイルアッセンブリ3とステータリング2との間に接着剤を介在させ、その保持力を増大させてもよい。
ステータリング2のフランジ部21に形成された取付孔22に、取付ボルトBを挿入してモータハウジングHに締め付けることにより、ステータ1はモータハウジングHに固定される(図1示)。
【0043】
本実施形態によれば、隣接したコイルガイド部77同士が円周方向に突き合わせられることによって、隣り合ったコイルガイド部77のそれぞれのガイド溝78a、78b、78c同士が接続され、リングガイド部Lの外周面上に、それぞれV相、W相、U相に対応し互いに分離された複数の円周溝L1a、L1b、L1cが回転軸方向に並ぶように形成され、隣接したガイド溝78a、78b、78cの端部同士の間にはコイル6の高圧側端部61v、61w、61uが引き出されるコイル引出孔L2a、L2b、L2cが形成され、各々のコイル6の高圧側端部61v、61w、61uは、コイル引出孔L2a、L2b、L2cを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出された後、V相、W相、U相に対応した円周溝L1a、L1b、L1c上を引き回され、リングガイド部Lの外周面上において、V相、W相、U相に対応するコイル6ごとに束ねられる。
【0044】
これにより、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uが引き出されるコイル引出孔L2a、L2b、L2cが、対応する円周溝L1a、L1b、L1c上に形成されているため、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uが引き出される際に、他の相のコイル6と交差することがなく、各相のコイル6間の絶縁距離を確保することができる。
また、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uが引き出されるコイル引出孔L2a、L2b、L2cが、隣接したガイド溝78a、78b、78cの端部同士の間に形成されているため、コイル引出孔L2a、L2b、L2cにコイル6の高圧側端部61v、61w、61uを通過させる場合に、コイルガイド部77の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uを通過させた後、隣接したコイルガイド部77同士を円周方向に突き合わせることによって、各円周溝L1a、L1b、L1c同士を仕切ることができるため、各相間距離を確保して各相間のコイル6を確実に絶縁することができる。
【0045】
また、複数のコイルガイド部77が円環状に並べられた場合に、ガイド溝78dによって、リングガイド部Lの外周面上には、V相、W相、U相に対応した円周溝L1a、L1b、L1cに対して分離された円周溝L1dが形成され、隣り合ったコイルガイド部77が突き合わせられた場合に、隣接したガイド溝78dの端部同士の間には、リングガイド部Lの内周面と外周面とを貫通する引出孔L2dが形成され、各々のコイル6の低圧側端部62v、62w、62uは、引出孔L2dを介してリングガイド部Lの内周面から外周面へと引き出された後、円周溝L1d上を引き回され、所定数の低圧側端部62v、62w、62u同士がリングガイド部Lの外周面上において互いに接続される。
【0046】
これにより、コイル6の低圧側端部62v、62w、62uが引き出される引出孔L2dが円周溝L1d上に形成されているため、コイル6の低圧側端部62v、62w、62uが引き出される際に、各相のコイル6の高圧側端部61v、61w、61uと交差することがなく、各相のコイル6の入出力側と中性点との間の絶縁距離を確保することができる。
【0047】
また、コイル6の低圧側端部62v、62w、62uが引き出される引出孔L2dが、隣接したガイド溝78dの端部同士の間に形成されているため、引出孔L2dにコイル6の低圧側端部62v、62w、62uを通過させる場合に、コイルガイド部77の円周方向端部から容易に挿入することができるとともに、コイル6の低圧側端部62v、62w、62uを通過させた後、隣接したコイルガイド部77同士を円周方向に突き合わせることによって、V相、W相、U相に対応した円周溝L1a、L1b、L1cと低圧側端部62v、62w、62uを収容する円周溝L1dとの間を仕切ることができるため、各相に対応するコイル6の高圧側端部61v、61w、61uと低圧側端部62v、62w、62uとの間の距離を確保して、各相のコイル6の入出力側と中性点との間を確実に絶縁することができる。
【0048】
また、隣り合ったコイルガイド部77の円周方向の突き合わせ面において、回転軸方向に並設された複数のガイド溝78a、78b、78c、78d同士の間に位置する部位は、屈曲した面によって形成されていることにより、隣り合ったコイルガイド部77の突き合わせ面において回転軸方向にオーバラップする部位Pが形成され、突き合わせ面における絶縁距離を確保することができるため、各相間のコイル6の絶縁および各相のコイル6の入出力側と中性点との間の絶縁を確実に行うことができる。
また、コイルガイド部77はボビン組立体7と一体的に形成されていることにより、コイル6をボビン組立体7に巻回することによって、同時にコイルガイド部77をコイル6に取り付けることができ、製造が容易で低コストのステータ1にすることができる。
【0049】
<実施形態2>
図14乃至図16に基づき、本発明の実施形態2によるステータ1Aについて説明する。尚、説明中において、図14における上下方向をコイルユニット4A、4Bの上下方向とするが、実際のステータ1A上におけるその向きとは無関係である。また、コイルユニット4A、4Bの説明中において、半径方向または円周方向といった場合、コイルユニット4A、4Bがステータ1A中にある場合を想定し、ステータ1Aの半径方向または円周方向を意味しているものとする。さらに、説明中において回転軸といった場合、特に断らなければ、図1において示したロータRの回転軸φを意味している。
【0050】
図14に示したように、本実施形態によるステータ1Aは2種類のコイルユニット4A、4Bを備えている。コイルユニット4A、4Bは実施形態1の場合と同様に、それぞれボビン組立体7A、7Bの周囲にコイル6が巻回されて形成されている。また、実施形態1の場合と同様に、コイルユニット4A、4Bが後述するコアボデー8に装着される以前に、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uおよび低圧側端部62v、62w、62uは、予め、コイルガイド部77A、77Bの円周方向端部から外周面へと引き出されている。また、ボビン組立体7A、7Bの内方には、それぞれ後述するコアティース81が挿入されるための空洞79A、79Bが形成されている。
【0051】
図14に示した一側のコイルユニット4Aが有するコイルガイド部77Aは、他側のコイルユニット4Bが有するコイルガイド部77Bに対して、その円周方向長さが大きく形成されている(図15示)。双方のコイルガイド部77A、77Bの外周面には、実施形態1の場合と同様に、ガイド溝78a、78b、78c、78dが形成されている(図示せず)。また、後述するように、隣り合ったコイルガイド部77A、77Bを円周方向に突き合わせることにより、ガイド溝78a、78b、78c、78dの端部同士の間には、コイル6の高圧側端部61v、61w、61uまたは低圧側端部62v、62w、62uが引き出されるコイル引出孔L2a、L2b、L2c、L2dが形成される(図示せず)。
【0052】
本実施形態によるステータ1Aは、複数のコアティース81が一体に形成されたコアボデー8を備えている。複数の電磁鋼板が積層されて形成されたコアボデー8は、真円状の外周リング82を有しており、外周リング82の内周縁からは上述したコアティース81が半径方向内方へと突出している。
また、外周リング82の外周縁部には、ステータ1AをモータハウジングHへ取り付けるための取付孔84を備えたフランジ部83が形成されている。したがって、本実施形態によるステータ1Aはステータリング2を備えていない。
【0053】
図15に示すように、2種類のコイルユニット4A、4Bは、コアボデー8のコアティース81に対して、半径方向内方から交互に装着されていく。コアティース81は、隣り合ったコイルガイド部77A、77Bが円周方向に突き合わせられるまで、それぞれのボビン組立体7A、7Bの空洞79A、79B内に挿入される。これによって、コイルユニット4A、4Bはコアボデー8の内周側に円環状に並べられる(図16示)。尚、図16において、コアティース8に装着されたコイルユニット4A、4Bは、一部のもののみ記載し、その他のものは省略されている。
コアティース8に装着されたコイルユニット4A、4Bは、エポキシ樹脂を充填することによってコアボデー8に固定される。
【0054】
コイルガイド部77A、77Bの外周面に引き出されているコイル6の高圧側端部61v、61w、61uおよび低圧側端部62v、62w、62uは、実施形態1の場合と同様に、コイルガイド部77A、77Bの外周面に形成された対応する円周溝上を引き回され、V相、W相、U相ごとあるいは所定数の低圧側端部62v、62w、62u同士それぞれ束ねられることにより、各相ごとに電力供給可能な給電部が形成される。
【0055】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
コイル6の高圧側端部61v、61w、61uおよび低圧側端部62v、62w、62uのうちの一方を、図3に示したコイルユニット4の下方において、コイルガイド部77の内周面から外周面へと引き出した後、コイルアッセンブリ3の下方における外周面上を引き回すようにしてもよい。
【0056】
また、コイルアッセンブリ3のコイル6には、上述したような集中巻に代えて、分布巻も適用可能である。
また、本発明によるステータは、同期モータ、誘導モータあるいはそれ以外のあらゆる電動モータもしくは発電機といった回転電機に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
図面中、1,1Aはステータ、5はコアティース、6はコイル、7はボビン組立体(ボビン)、61v、61w、61uは高圧側端部(一端部)、62v、62w、62uは低圧側端部(他端部)、77はコイルガイド部(コイルガイド部材)、78a,78b,78cはガイド溝、78dはガイド溝(中性ガイド溝)、Hはモータハウジング(ハウジング)、Lはリングガイド部(リングガイド)、L1a,L1b,L1cは円周溝、L1dは円周溝(中性円周溝)、L2a,L2b,L2cはコイル引出孔(引出孔)、L2dはコイル引出孔(中性引出孔)、Mは電動モータ(回転電機)、Rはロータ、φは回転軸を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ半径方向に延びるとともに、円環状に並べられた複数のコアティースと、
各々の前記コアティースにボビンを介して巻回されたコイルと、
それぞれ所定数の前記コイルを含んだ複数の給電相を形成し、同一の前記給電相に含まれる複数の前記コイルの一端部同士を束ねて、各々の前記給電相ごとに電力供給可能または電力回収可能な給電部と、
を備えた回転電機のステータであって、
前記給電部は、
絶縁性材料にて形成され、対応する前記コイルが取り付けられる複数のコイルガイド部材を有し、各々の前記コイルガイド部材の外周面には、円周方向に延びる複数のガイド溝が前記ロータの回転軸方向に並設されており、
複数の前記コイルが円環状に並べられた場合に、前記コイルガイド部材は、隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイドを形成するとともに、隣り合った前記コイルガイド部材のそれぞれの前記ガイド溝同士が接続され、前記リングガイドの外周面上には、それぞれの前記給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が前記回転軸方向に並ぶように形成され、
隣り合った前記コイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した前記ガイド溝の端部同士の間には、前記リングガイドの内周面と前記外周面とを貫通する引出孔が形成され、
各々の前記コイルの前記一端部は、前記引出孔を介して前記リングガイドの前記内周面から前記外周面へと引き出された後、前記給電相に対応した前記円周溝上を引き回され、前記リングガイドの前記外周面上において前記給電相ごとに束ねられる回転電機のステータ。
【請求項2】
前記コイルガイド部材の前記外周面には、前記ガイド溝に対して前記回転軸方向に並設されるとともに、円周方向に延びる中性ガイド溝が形成されており、複数の前記コイルガイド部材が円環状に並べられた場合に、前記中性ガイド溝によって、前記リングガイドの前記外周面上には、前記ガイド溝に対して分離された中性円周溝が形成され、
隣り合った前記コイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した前記中性ガイド溝の端部同士の間には、前記リングガイドの前記内周面と前記外周面とを貫通する中性引出孔が形成され、
各々の前記コイルの他端部は、前記中性引出孔を介して前記リングガイドの前記内周面から前記外周面へと引き出された後、前記中性円周溝上を引き回され、所定数の前記他端部同士が前記リングガイドの前記外周面上において互いに接続される請求項1記載の回転電機のステータ。
【請求項3】
隣り合った前記コイルガイド部材の円周方向の突き合わせ面において、前記回転軸方向に並設された複数の前記ガイド溝の間の部位または前記ガイド溝と前記中性ガイド溝との間の部位は、屈曲した面によって形成されている請求項1または2に記載の回転電機のステータ。
【請求項4】
前記コイルガイド部材は、前記ボビンと一体的に形成されている請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の回転電機のステータ。
【請求項5】
ハウジングに回転可能に取り付けられたロータと、
前記ロータに対して対向するように前記ハウジングに取り付けられたステータと、
を備え、
前記ステータは、
それぞれ半径方向に延びるとともに、円環状に並べられた複数のコアティースと、
各々の前記コアティースにボビンを介して巻回されたコイルと、
それぞれ所定数の前記コイルを含んだ複数の給電相を形成し、同一の前記給電相に含まれる複数の前記コイルの一端部同士を束ねて、各々の前記給電相ごとに電力供給可能または電力回収可能な給電部と、
を有した回転電機であって、
前記給電部は、
絶縁性材料にて形成され、対応する前記コイルが取り付けられる複数のコイルガイド部材を有し、各々の前記コイルガイド部材の外周面には、円周方向に延びる複数のガイド溝が前記ロータの回転軸方向に並設されており、
複数の前記コイルが円環状に並べられた場合に、前記コイルガイド部材は、隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイドを形成するとともに、隣り合った前記コイルガイド部材のそれぞれの前記ガイド溝同士が接続され、前記リングガイドの外周面上には、それぞれの前記給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が前記回転軸方向に並ぶように形成され、
隣り合った前記コイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した前記ガイド溝の端部同士の間には、前記リングガイドの内周面と前記外周面とを貫通する引出孔が形成され、
各々の前記コイルの前記一端部は、前記引出孔を介して前記リングガイドの前記内周面から前記外周面へと引き出された後、前記給電相に対応した前記円周溝上を引き回され、前記リングガイドの前記外周面上において前記給電相ごとに束ねられる回転電機。
【請求項1】
それぞれ半径方向に延びるとともに、円環状に並べられた複数のコアティースと、
各々の前記コアティースにボビンを介して巻回されたコイルと、
それぞれ所定数の前記コイルを含んだ複数の給電相を形成し、同一の前記給電相に含まれる複数の前記コイルの一端部同士を束ねて、各々の前記給電相ごとに電力供給可能または電力回収可能な給電部と、
を備えた回転電機のステータであって、
前記給電部は、
絶縁性材料にて形成され、対応する前記コイルが取り付けられる複数のコイルガイド部材を有し、各々の前記コイルガイド部材の外周面には、円周方向に延びる複数のガイド溝が前記ロータの回転軸方向に並設されており、
複数の前記コイルが円環状に並べられた場合に、前記コイルガイド部材は、隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイドを形成するとともに、隣り合った前記コイルガイド部材のそれぞれの前記ガイド溝同士が接続され、前記リングガイドの外周面上には、それぞれの前記給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が前記回転軸方向に並ぶように形成され、
隣り合った前記コイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した前記ガイド溝の端部同士の間には、前記リングガイドの内周面と前記外周面とを貫通する引出孔が形成され、
各々の前記コイルの前記一端部は、前記引出孔を介して前記リングガイドの前記内周面から前記外周面へと引き出された後、前記給電相に対応した前記円周溝上を引き回され、前記リングガイドの前記外周面上において前記給電相ごとに束ねられる回転電機のステータ。
【請求項2】
前記コイルガイド部材の前記外周面には、前記ガイド溝に対して前記回転軸方向に並設されるとともに、円周方向に延びる中性ガイド溝が形成されており、複数の前記コイルガイド部材が円環状に並べられた場合に、前記中性ガイド溝によって、前記リングガイドの前記外周面上には、前記ガイド溝に対して分離された中性円周溝が形成され、
隣り合った前記コイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した前記中性ガイド溝の端部同士の間には、前記リングガイドの前記内周面と前記外周面とを貫通する中性引出孔が形成され、
各々の前記コイルの他端部は、前記中性引出孔を介して前記リングガイドの前記内周面から前記外周面へと引き出された後、前記中性円周溝上を引き回され、所定数の前記他端部同士が前記リングガイドの前記外周面上において互いに接続される請求項1記載の回転電機のステータ。
【請求項3】
隣り合った前記コイルガイド部材の円周方向の突き合わせ面において、前記回転軸方向に並設された複数の前記ガイド溝の間の部位または前記ガイド溝と前記中性ガイド溝との間の部位は、屈曲した面によって形成されている請求項1または2に記載の回転電機のステータ。
【請求項4】
前記コイルガイド部材は、前記ボビンと一体的に形成されている請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の回転電機のステータ。
【請求項5】
ハウジングに回転可能に取り付けられたロータと、
前記ロータに対して対向するように前記ハウジングに取り付けられたステータと、
を備え、
前記ステータは、
それぞれ半径方向に延びるとともに、円環状に並べられた複数のコアティースと、
各々の前記コアティースにボビンを介して巻回されたコイルと、
それぞれ所定数の前記コイルを含んだ複数の給電相を形成し、同一の前記給電相に含まれる複数の前記コイルの一端部同士を束ねて、各々の前記給電相ごとに電力供給可能または電力回収可能な給電部と、
を有した回転電機であって、
前記給電部は、
絶縁性材料にて形成され、対応する前記コイルが取り付けられる複数のコイルガイド部材を有し、各々の前記コイルガイド部材の外周面には、円周方向に延びる複数のガイド溝が前記ロータの回転軸方向に並設されており、
複数の前記コイルが円環状に並べられた場合に、前記コイルガイド部材は、隣接したもの同士が円周方向に突き合わせられることによって、リング状を呈するリングガイドを形成するとともに、隣り合った前記コイルガイド部材のそれぞれの前記ガイド溝同士が接続され、前記リングガイドの外周面上には、それぞれの前記給電相に対応し互いに分離された複数の円周溝が前記回転軸方向に並ぶように形成され、
隣り合った前記コイルガイド部材が突き合わせられた場合に、隣接した前記ガイド溝の端部同士の間には、前記リングガイドの内周面と前記外周面とを貫通する引出孔が形成され、
各々の前記コイルの前記一端部は、前記引出孔を介して前記リングガイドの前記内周面から前記外周面へと引き出された後、前記給電相に対応した前記円周溝上を引き回され、前記リングガイドの前記外周面上において前記給電相ごとに束ねられる回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−9502(P2013−9502A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140153(P2011−140153)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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