説明

回転電機

【課題】コロナシールド層とコイル導体の周囲に形成された絶縁層との界面付近の空隙で放電が発生してコロナシールド層が侵食されても、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供する。
【解決手段】鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びるコイル導体10、コイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4、対地主絶縁層4の外周に鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ鉄心スロット10内のコロナ放電を防止するコロナシールド層7を備え、鉄心スロット2の外部に位置するコロナシールド層7の外周に表面放電に対する保護層としてシリコーンゴム層20を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転電機、特に、高電圧回転電機における固定子鉄心スロットの外部に対応する位置に設けられた固定子コイルの低抵抗コロナシールド層の表面放電に対する保護に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固定子鉄心のスロット部に収納して使用される高電圧回転電機の固定子コイルは、コイル導体の外周部に、耐部分放電特性に優れたマイカテープを巻回して対地主絶縁層を形成し、さらにこの対地主絶縁層の外周部におけるスロット部に収納される部分とスロット外の一部に、固定子鉄心との間の放電を防ぐ低抵抗コロナシールド層を設け、低抵抗コロナシールド層端の一部に重ねて沿面放電を防止する高抵抗コロナシールド層を設け、固定子鉄心のスロットに固定子コイルを収納し結線した後、全体をエポキシ樹脂などの樹脂を真空加圧含浸し、さらに加熱処理を行って形成する。
【0003】
上記コイル導体に印加される高電圧を鉄心との間で絶縁している対地主絶縁層に空隙などの欠陥が存在すると、これらの欠陥部分で放電が発生する。特に低抵抗コロナシールド層と絶縁層界面に空隙ができると空隙で部分放電が発生し、この放電によって低抵抗コロナシールド層が消失し、さらに大きな放電が発生するという問題点がある。殊に、スロットの外部に位置する低抵抗コロナシールド層部分はスロット内の固定子鉄心のように外周を拘束するものがないため低抵抗コロナシールド層付近の樹脂が漏れやすく、部分放電による低抵抗コロナシールド層の消失が起りやすい条件にある。
【0004】
このため、上記低抵抗コロナシールド層の上に粘着テープや熱収縮性テープからなる樹脂流出防止層を設けて含浸樹脂の流出を防ぐ提案がある(例えば、特許文献1参照)。
また、低抵抗コロナシールド層に連接して設けられるSiC層の上にフィルム層を設けて樹脂流出を防止する提案もある(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】実開昭59−117255号公報
【特許文献2】特開昭62−152345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1のような低抵抗コロナシールド層の上に樹脂流出防止層を施した回転電機の固定子コイルでは、加熱硬化処理するときに含浸樹脂が貫通できない粘着性テープや耐熱性テープ、あるいは、それらのフィルムを用いることにより、対地主絶縁層の樹脂漏れによる空隙の発生は低減される。前記特許文献1では具体的な材料名は例示されていないが、一般的に粘着テープや収縮テープとして市場に提供されているものとしてはポリエステルやポリイミド、ポリアミドなどの高分子フィルムをベースとする粘着テープや収縮テープなどが該当すると考えられる。
また、前記特許文献2では、樹脂流出防止層の材質としてポリエステルフィルムを例示している。
樹脂流出防止層を施すことにより空隙の発生は低減されるものの、完全に漏れをなくすことが困難であることや、樹脂の含浸不良による空隙、樹脂の硬化収縮による空隙の形成などもある。これらの空隙で発生する部分放電が低抵抗コロナシールド層を侵食・消失させ、外部に設置された樹脂流出防止層に到達すると、前記したポリエステルやポリイミド、ポリアミドなどの高分子フィルムが部分放電に弱いため短時間のうちに消失してしまい、その結果、コイル表面で大きな表面放電が発生して固定子コイルの絶縁劣化を促進する。
特に、発電機の冷却媒体として空気を用いる空気冷却機では、空気中で放電するとオゾンやNOが生成され、それにより絶縁材料の劣化や金属材料の腐食を起したりする。すると、絶縁破壊や金属部品の折損、潤滑油などの劣化を引き起す不具合が発生する。
【0007】
この発明は、コロナシールド層とコイル導体の周囲に形成された絶縁層との界面付近の空隙で放電が発生してコロナシールド層が侵食されても、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る回転電機では、鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止するコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記コロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層を形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、コロナシールド層とコイル導体の周囲に形成された絶縁層との界面付近の空隙で放電が発生してコロナシールド層が侵食されても、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を全含浸方式で絶縁を形成する場合について図1から図3までに基づき説明する。図1は実施の形態1に係る回転電機の固定子コイルにおける固定子スロット出口付近の構成を示す要部斜視図である。図2は実施の形態1に係る回転電機の固定子コイルでのスロット出口付近におけるコイル長さ方向の絶縁構造を模式的に示す要部断面図である。図3は実施の形態1に係る回転電機の固定子コイルにおける絶縁構造の要部構成を模式的に示す断面図である。なお、各図を通じて、同一もしくは相当部分には同一符号を付している。
【0011】
図1および図2に示すように、固定子コイル3は固定子鉄心1に設けられている鉄心スロット2に収容され、その端部は鉄心スロット2の外側に延びている。上記固定子コイル3は、素線導体が複数束ねられたコイル導体10と、このコイル導体10の周囲を覆うように巻回された対地主絶縁層4と、この対地主絶縁層4の鉄心スロット2に納められている部分の外周部に巻回された低抵抗コロナシールド層7と、上記対地主絶縁層4の鉄心スロット2から突出した部分に低抵抗コロナシールド層7と10〜20mm重なるように設置された高抵抗コロナシールド層9からなっており、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機として構成される。
【0012】
この低抵抗コロナシールド層7は、固定子コイル3の表面のコロナ放電を防止するための表面コロナシールド手段として対地主絶縁層4の周りに設けられたものである。
上記低抵抗コロナシールド層7を形成する材料として好ましく用いることができるものとしては、例えばガラスやポリエステル、ポリアミドなどの織布、不織布などの絶縁性、耐熱性に優れた一般的な絶縁材料を基材とするものを挙げることができる。ただしフィルムは樹脂の含浸性を阻害するため好ましくない。これらの材料に、カーボンやグラファイト,鉄粉,酸化鉄などの導電性ないしは半導電性を有する材料の粉末やファイバを混入した塗料を塗布もしくは含浸した織布・不織布、あるいはカーボンのファイバを絶縁材料と一緒に梳いた不織布を低抵抗コロナシールド層7として用いることができる。市販されているものとしては、ISOLA社のConductive_Polyester_Tapes(215.51,215.55)、KREMPEL社のFlexible_electrically_conductive_materials(06ELR_14AA,03EFR_13BA)などがある。
また、カーボンやグラファイトなどの導電性粉末を含む樹脂を溶剤で希釈した塗料を用いても良い。
このような低抵抗コロナシールド層7を構成する材料の体積抵抗率は、0.001〜1000Ω・cmである。
【0013】
また、上記高抵抗コロナシールド層9を形成する材料として好ましく用いることができるものとしては、例えばガラスクロス、ポリエステルやポリアミドの織布、不織布に炭化ケイ素(SiC)粉を含む樹脂を含浸・塗布して硬化あるいは半硬化状態にしたものをテープ状に切断した高抵抗テープを用いることができる。市販されているものとしては、ISOLA社のSemi−Conductive_Corona_Protection_Tapes(217.21,217.22)、KREMPEL社のAKASIC_4bなどがある。
また、炭化ケイ素(SiC)粉を含む樹脂を溶剤で希釈した塗料を塗布しても良い。
このような高抵抗コロナシールド層9を形成する材料の体積抵抗率は、低抵抗コロナシールド層7を構成する材料の体積抵抗率である0.001〜1000Ω・cmよりも大きいものである。
この高抵抗コロナシールド層9は、低抵抗コロナシールド層7と相俟って固定子コイル3の表面における電界分布を調整し、固定子コイル3の表面での沿面放電を防止するものである。
【0014】
次に、回転電機の固定子コイルの製造工程について説明する。
まず、素線を所定の長さに切断後、レーベル転位のために素線に曲げ加工を施し、所定本数を束ねて、加熱成形して所定の形状に整えて素線束を製作する。
回転機の固定子コイル3は、上述した素線束で構成したコイル導体10の周囲にマイカテープ5を半重ねにして所定回数巻回して所定の厚さにし、その後、鉄心スロット2に相当する部位と鉄心スロット2より外側の一部に低抵抗コロナシールド層7を形成する。また、固定子コイル3の端部には低抵抗コロナシールド層7と10〜20mm重ねて高抵抗コロナシールド層9を所定の長さ形成する。さらに、鉄心スロット2の外部における低抵抗コロナシールド層7が露出している鉄心スロット2の端部から高抵抗コロナシールド9の端部までの範囲に導電性シリコーンゴム層20を導電性シリコーンゴムの塗布により形成する。
【0015】
このように形成された固定子コイル3を固定子鉄心1の鉄心スロット2に収納し結線した後、対地主絶縁層4などに吸着している水分を除去するため加熱炉中で加熱して予備乾燥を行った後、固定子全体を含浸タンクに入れ、熱硬化性樹脂を真空加圧含浸する全含浸方式で絶縁層を形成する。絶縁層に充分樹脂が含浸してから含浸タンクから取り出し、加熱硬化のために乾燥炉に入れて全体を加熱して硬化する。
【0016】
この時、加熱された含浸樹脂は粘度が低下するため流動しやすくなり、絶縁層に含浸された樹脂の一部が露出する恐れがある。また、含浸不良や樹脂硬化時の硬化収縮などにより空隙12が形成される恐れもある。
樹脂が漏れたり、樹脂の硬化収縮などのためにマイカテープ5の段差部に空隙12ができると、運転中の電界により部分放電が発生する。マイカテープ5で囲まれている部分で発生する部分放電は、マイカが耐部分放電性に優れた材料であるため、特段の不都合は生じない。
しかし、低抵抗コロナシールド層7とマイカテープ5の界面の空隙12で部分放電が発生すると、低抵抗コロナシールド層7の導電性を示すカーボンやグラファイトなどが放電により分解・消失し、低抵抗コロナシールド層7の一部に低抵抗を示さない絶縁性の部分が出現する。このような部分では低抵抗コロナシールド層7に向かう放電しか発生せず、低抵抗コロナシールド層7は徐々に放電により侵食されて消失部分が拡大していく。低抵抗コロナシールド層7の侵食が拡大していくと、部分放電特性の悪化やさらなる低抵抗コロナシールド層7の消失部分拡大、さらに空気冷却機においてはオゾンや硝酸などが発生し、回転機を構成する金属材料の腐食や有機材料の劣化を引き起す恐れがある。
【0017】
しかし、図2に示したように固定子鉄心スロットの外部に位置する低抵抗コロナシールド層7部分に導電性シリコーンゴム層20を導電性シリコーンゴムの塗布により形成して低抵抗コロナシールド層7が露出しないようにすれば、表面放電の発生とオゾンやNOの生成を抑制することができる。
すなわち、この導電性シリコーンゴム層20を低抵抗コロナシールド層7の外周に導電性シリコーンゴムの塗布により形成すると、室温でおよそ12〜24h後には硬化する。この導電性シリコーンゴム層20が導電性シリコーンゴムの塗布により形成される範囲はたかだか200mm程度であるので、樹脂含浸時にはそれ以外の部分から容易に主絶縁層に浸透して含浸できるため含浸の妨げにはならない。
樹脂漏れや樹脂の硬化収縮のためにできた空隙12で部分放電が発生し低抵抗コロナシールド層7が局部的に消失しても、その上には耐部分放電性に優れた導電性シリコーンゴム層20があるため空気中の表面とはならず、従ってオゾンやNOの発生も防止される。
【0018】
低抵抗コロナシールド層7の一部が消失して導電性シリコーンゴム層20に達すると、図3に示すように導電性シリコーンゴム層20と低抵抗コロナシールド層7は同電位であるため、低抵抗コロナシールド層7の消失部では導電性シリコーンゴム層20と絶縁との間で放電路SPを形成して放電するようになり、低抵抗コロナシールド層7端部へ向かう放電が弱くなるため低抵抗コロナシールド層7のさらなる消失部拡大は抑制される。
低抵抗コロナシールド層7を構成する材料に比較してシリコーンゴムは部分放電に強く長寿命であるためシリコーンゴムは消失しないため空気中の表面放電が発生せず、オゾンやNOの発生を抑制できる。また、放電が低抵抗コロナシールド層7を侵食する速度が遅くなるため、低抵抗コロナシールド層7の消失部拡大も抑制される。
【0019】
シリコーンゴムはエポキシワニスなどの一般的な有機材料に比較して部分放電に強い(耐コロナ性寿命:エポキシワニス65.5h、シリコーンゴム35,600h:信越化学工業株式会社カタログ記載)ので、放電がシリコーンゴムを消失させて大気中の放電となるためには長時間を必要とし、オゾンや硝酸の発生を長期に亘って防ぐことができる。
導電性シリコーンゴムとしては、例えば、信越化学工業株式会社のRTVゴム製品であるKE3491、KE3492や、Chomerics社の1038、1075などがある。
【0020】
上記のように、実施の形態1によれば、導電性シリコーンゴム層20が耐部分放電性に優れた材料であるため空気中の表面放電に至らず、長期に亘り良好な絶縁特性を得ることができ、オゾンやNOの発生も抑制することができる。
【0021】
(1A)この発明による実施の形態1によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として導電性シリコーンゴム層20などで形成されるシリコン保護層を形成して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生して前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層が侵食されても、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0022】
(1B)この発明による実施の形態1によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に一部の10〜20mmを重ねて設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材で形成された沿面放電を防止する高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として導電性シリコーンゴム層20などで形成されるシリコン保護層を形成して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生して前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されても、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0023】
(1C)この発明による実施の形態1によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に一部の10〜20mmを重ねて設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材で形成された沿面放電を防止する高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として前記高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層と電気的に結合され通電可能な導電性シリコーンゴム層20などで形成されるシリコーンゴム保護層を形成して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生して前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されても、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層としての機能を維持し、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0024】
実施の形態2.
この発明による実施の形態2を全含浸方式で絶縁を形成する場合について図4に基づき説明する。図4は実施の形態2に係る回転電機の固定子コイルにおける要部構成を模式的に示す断面図である。
この実施の形態2において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0025】
実施の形態1に示した導電性シリコーンゴム層20を構成する導電性シリコーンゴムの体積抵抗率を、この実施の形態2では、低抵抗コロナシールド層7を構成する材料と同じ体積抵抗率の0.001〜1000Ω・cmとする。
導電性シリコーンゴム層20を構成する導電性シリコーンゴムの体積抵抗率を0.001〜1000Ω・cmとすると、それ自体が端部における低抵抗コロナシールド層7と同じ役割を担える。すなわち、表面の沿面放電を抑制する目的で低抵抗コロナシールド層7と連接して高抵抗コロナシールド層9が設けられているが、高抵抗コロナシールド層9から低抵抗コロナシールド層7を経由して電流経路CPに示すように電流を流通し固定子鉄心1に電流を流通する必要がある。導電性シリコーンゴム層20の体積抵抗率を低抵抗コロナシールド層7を構成する材料と同じ体積抵抗率の0.001〜1000Ω・cmとすることで、たとえ部分放電により低抵抗コロナシールド層7が消失して電流経路CPが切れても高抵抗コロナシールド層9からの電流が導電性シリコーンゴム層20を経由して固定子鉄心1に流れることができるため、高抵抗コロナシールド層9の機能を損なわず、かつ樹脂漏れや樹脂の硬化収縮のためにできた空隙12で部分放電が発生し低抵抗コロナシールド層7が消失しても、その上には導電性シリコーンゴム層20があるため空気中の表面とはならず、従ってオゾンやNOの発生も防止される。シリコーンゴムは耐部分放電性に優れているため、長期に亘り表面放電の発生を抑制することができる。
【0026】
(2A)この発明による実施の形態2によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に一部の10〜20mmを重ねて設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材で形成された沿面放電を防止する高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記鉄心スロット2の外部に位置する第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として前記高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層と電気的に結合され通電可能な導電性シリコーンゴム層20などで形成される体積抵抗率が0.001〜1000Ω・cmであるシリコーンゴム保護層を形成して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生して前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されても、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層としての機能を確実に維持し、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0027】
実施の形態3.
この発明による実施の形態3を全含浸方式で絶縁を形成する場合について図5に基づき説明する。図5は実施の形態3に係る回転電機の固定子コイルにおける要部構成を模式的に示す断面図である。
この実施の形態3において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1または実施の形態2における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0028】
図5に示したように固定子鉄心スロット2の外部に位置する低抵抗コロナシールド層7の外周に絶縁性シリコーンゴム層21を絶縁性シリコーンゴムの塗布により形成すれば、表面放電の発生とオゾンやNOの生成を抑制することができる。
すなわち、絶縁性シリコーンゴム層21を低抵抗コロナシールド層7の外周に絶縁性シリコーンゴムの塗布により形成すると、室温でおよそ12〜24h後には硬化する。この絶縁性シリコーンゴム層21が絶縁性シリコーンゴムの塗布により形成される範囲はたかだか200mm程度であるので、樹脂含浸時にはそれ以外の部分から容易に主絶縁層4に浸透して含浸できるため含浸の妨げにはならない。
樹脂漏れや樹脂の硬化収縮のためにできた空隙12で部分放電が発生し低抵抗コロナシールド層7が消失しても、その上には絶縁性シリコーンゴム層21があるため空気中の表面とはならず、従ってオゾンやNOの発生も防止される。絶縁性シリコーンゴム層21を形成する絶縁性シリコーンゴムは耐部分放電性に特に優れているため、長期に亘り表面放電の発生を抑制することができる。
【0029】
絶縁性シリコーンゴム層21を形成する絶縁性シリコーンゴムとして好ましく適用されるのは、1TΩ・m(1014Ω・cm)以上の体積抵抗率を持つRTVゴムであり、その製品例としては、信越化学工業株式会社のRTVゴム製品であるKE42やKE348などがある。
【0030】
上記のように、実施の形態3によれば、絶縁性シリコーンゴム層21が耐部分放電性に優れた材料であるため空気中の表面放電に至らず、長期に亘り良好な絶縁性を得ることができ、オゾンや硝酸の発生も抑制することができる。
【0031】
(3A)この発明による実施の形態3によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなるのコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置するコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として1TΩ・m(1014Ω・cm)程度以上の体積抵抗率を持つ絶縁性シリコーンゴムで構成された絶縁性シリコーンゴム層21を形成して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生して前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層が侵食されても、絶縁性シリコーンゴム保護層21により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0032】
(3B)この発明による実施の形態3によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に一部の10〜20mmを重ねて設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材で形成された沿面放電を防止する高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として1TΩ・m(1014Ω・cm)程度以上の体積抵抗率を持つ絶縁性シリコーンゴムで構成された絶縁性シリコーンゴム層21を形成して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生して前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されても、絶縁性シリコーンゴム保護層21により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0033】
実施の形態4.
この発明による実施の形態4を全含浸方式で絶縁を形成する場合について図6に基づき説明する。図6は実施の形態4に係る回転電機の固定子コイルにおける要部構成を模式的に示す断面図である。
この実施の形態4において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1から実施の形態3までのいずれかにおける構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0034】
図6に示したように固定子鉄心スロット2の外部に位置する低抵抗コロナシールド層7の高抵抗コロナシールド層9と重なっていない(露出した)部分にプリプレグマイカテープ22を巻回すれば、表面放電の発生とオゾンやNOの生成を抑制することができる。
すなわち、プリプレグマイカテープ22を低抵抗コロナシールド層7の外周に巻回すると、低抵抗コロナシールド層7の下方に樹脂漏れや樹脂の硬化収縮のためにできた空隙12で部分放電が発生し低抵抗コロナシールド層7が消失しても、その外周にはプリプレグマイカテープ22の層があるため空気中の表面放電とはならず、従ってオゾンやNOの発生も防止される。マイカは耐部分放電性に優れているため、長期に亘り表面放電の発生を抑制することができる。
【0035】
プリプレグマイカテープ22としては、マイカテープに樹脂を含浸し塗布して半硬化状態にしたものをテープ状に切断したものを用いる。
【0036】
上記のように、実施の形態4によれば、プリプレグマイカテープ22が耐部分放電性に優れた材料であるため空気中の表面放電に至らず、長期に亘り良好な絶縁特性を得ることができ、オゾンや硝酸の発生も抑制することができる。
【0037】
(4A)この発明による実施の形態4によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層としてプリプレグマイカテープ22を巻回して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生して前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層が侵食されても、前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層の外周に巻回されたプリプレグマイカテープ22により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0038】
(4B)この発明による実施の形態4によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に一部の10〜20mmを重ねて設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材で形成された沿面放電を防止する高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層としてプリプレグマイカテープ22を巻回して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生して前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されても、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に巻回されたプリプレグマイカテープ22により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0039】
実施の形態5.
この発明による実施の形態5を全含浸方式で絶縁を形成する場合について図7に基づき説明する。図7は実施の形態5に係る回転電機の固定子コイルにおける要部構成を模式的に示す断面図である。
この実施の形態5において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1から実施の形態4までのいずれかにおける構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0040】
図7に示したように、固定子鉄心スロット2の外部に位置する低抵抗コロナシールド層7の外周に電圧非線形抵抗特性を有するプリプレグ高抵抗テープ23を巻回すれば、表面放電の発生とオゾンやNOの生成を抑制することができる。
すなわち、この電圧非線形抵抗特性を有するプリプレグ高抵抗テープ23を低抵抗コロナシールド層7の外周に巻回すると、低抵抗コロナシールド層7の下方に樹脂漏れや樹脂の硬化収縮のためにできた空隙12で部分放電が発生し低抵抗コロナシールド層7が局部的に消失しても、その外周にはプリプレグ高抵抗テープ23の層があるため空気中の表面とはならず、従ってオゾンやNOの発生も防止される。電圧非線形抵抗特性を有するプリプレグ高抵抗テープ23はその電圧非線形性のため放電先端の電界を低減し、従ってプリプレグ高抵抗テープ23の放電による侵食速度を一般の高分子材料に比較して大きく低下させるため長寿命となり、その結果長期に亘り表面放電の発生を抑制することができる。
【0041】
電圧非線形抵抗特性を有するプリプレグ高抵抗テープ23は高抵抗コロナシールド層9を形成するプリプレグ高抵抗テープ材料(例えば、ISOLA社のSemi−Conductive_Corona_Protection_Tapes(217.21,217.22)、KREMPEL社のAKASIC_4bなど)をそのまま適用できる。通常はこの電圧非線形抵抗特性を有するプリプレグ高抵抗テープ23は低抵抗コロナシールド層7と10〜20mm重ねて設置されるが、この実施の形態5においては10〜20mmの重なりを超えて固定子鉄心1端までの低抵抗コロナシールド層7外周部すべてに設置するものである。
プリプレグ高抵抗テープ23として本来の高抵抗コロナシールド層9を形成するのと同一テープ材料を用いることができるので、高抵抗コロナシールド層9を設置する範囲を少し広げるだけで連続して形成することができ、わずかなプロセス増加で必要とする効果を得ることができる。
【0042】
なお、高抵抗コロナシールド層9として高抵抗塗料を用いることもできる。この場合には、低抵抗コロナシールド層7としてプリプレグ高抵抗テープ23が用いられ、高抵抗コロナシールド層9として高抵抗塗料が用いられる組み合わせとなる。この場合にも、高抵抗コロナシールド層9としてプリプレグ高抵抗テープを用いたときと同様の効果を得ることができる。
【0043】
上記のように、実施の形態5によれば、電圧非線形抵抗特性を有するプリプレグ高抵抗テープ23がその電圧非線形性のため放電先端の電界を低減し、従ってプリプレグ高抵抗テープ23の侵食速度を一般の高分子材料に比較して大きく低下させるため長寿命となり、その結果長期に亘り表面放電の発生を抑制することができる。
【0044】
(5A)この発明による実施の形態5によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層の外周に表面放電に対する前記保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用のプリプレグ高抵抗マイカテープ23を巻回することにより固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生し前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層が侵食されて放電が到達しても、その電圧非線形性のため放電先端の電界が低減されて放電による侵食速度を低下させるため、空気中の表面放電とならないようにする前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層の外周に巻回された電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用のプリプレグ高抵抗マイカテープ23により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0045】
(5B)この発明による実施の形態5によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材で形成された沿面放電を防止する電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用のプリプレグ高抵抗テープで形成された高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する前記保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用のプリプレグ高抵抗マイカテープ23を前記プリプレグ高抵抗マイカテープで形成された高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層に連続して巻回することにより固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生し前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されて放電が到達しても、その電圧非線形性のため放電先端の電界が低減されて放電による侵食速度を低下させるため、空気中の表面放電とならないようにする前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に前記電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用のプリプレグ高抵抗マイカテープで形成された高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層に連続して巻回された電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用のプリプレグ高抵抗マイカテープ23により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0046】
(5C)この発明による実施の形態5によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に一部の10〜20mmを重ねて設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材で構成された沿面放電を防止する高抵抗塗料で形成された高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する前記保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用のプリプレグ高抵抗マイカテープ23を巻回して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生し前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されて放電が到達しても、その電圧非線形性のため放電先端の電界が低減されて放電による侵食速度を低下させるため、空気中の表面放電とならないようにする前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に巻回された電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用のプリプレグ高抵抗マイカテープ23により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0047】
実施の形態6.
この発明による実施の形態6を全含浸方式で絶縁を形成する場合について図8に基づき説明する。図8は実施の形態6に係る回転電機の固定子コイルにおける要部構成を模式的に示す断面図である。
この実施の形態6において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1から実施の形態5までのいずれかにおける構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0048】
図8に示したように、固定子鉄心スロット2の外部に位置する低抵抗コロナシールド層7の高抵抗コロナシールド層9と重なっていない(露出した)部分に電圧非線形抵抗特性を有する高抵抗塗料24を塗布すれば、表面放電の発生とオゾンやNOの生成を抑制することができる。
すなわち、この電圧非線形抵抗特性を有する高抵抗塗料24を低抵抗コロナシールド層7の外周に塗布すると、低抵抗コロナシールド層7の下方に樹脂漏れや樹脂の硬化収縮のためにできた空隙12で部分放電が発生し低抵抗コロナシールド層7が消失しても、その外周には高抵抗塗料24の層があるため空気中の表面とはならず、従ってオゾンやNOの発生も防止される。電圧非線形抵抗特性を有する高抵抗塗料24はその電圧非線形性のため放電先端の電界を低減し、従って高抵抗塗料24の侵食速度を一般の高分子材料に比較して大きく低下させるため長寿命となり、その結果長期に亘り表面放電の発生を抑制することができる。
【0049】
電圧非線形抵抗特性を有する高抵抗塗料24は高抵抗コロナシールド層9を形成する高抵抗塗料をそのまま適用できる。すなわち、炭化ケイ素(SiC)粉と樹脂を溶剤で溶解し攪拌して混合物を作り、対地主絶縁層4および低抵抗コロナシールド層7と10〜20mm重ねて塗布されるが、この実施の形態6においては10〜20mmの重なり部を超えて固定子鉄心1の端部までの低抵抗コロナシールド層7すべてに設置するものである。
本来の高抵抗コロナシールド層9を形成するのと同一の高抵抗塗料を用いることができるので、高抵抗コロナシールド層9を設置する範囲を少し広げるだけで連続して形成することができ、わずかなプロセス増加で必要とする効果を得ることができる。
【0050】
上記のように、実施の形態6によれば、電圧非線形抵抗特性を有する高抵抗塗料24がその電圧非線形性のため放電先端の電界を低減し、従って高抵抗塗料24の侵食速度を一般の高分子材料に比較して大きく低下させるため長寿命となり、その結果長期に亘り表面放電の発生を抑制することができる。
【0051】
なお、高抵抗コロナシールド層9としてプリプレグ高抵抗テープを用いることもできる。この場合には、低抵抗コロナシールド層7として高抵抗塗料が用いられ、高抵抗コロナシールド層9としてプリプレグ高抵抗テープが用いられる組み合わせとなる。この場合にも、高抵抗コロナシールド層9として高抵抗塗料を用いたときと同様の効果を得ることができる。
【0052】
(6A)この発明による実施の形態6によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置するコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用高抵抗塗料24を塗布して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生し前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層が侵食されて放電が到達しても、その電圧非線形性のため放電先端の電界が低減されて放電による侵食速度を低下させるため、空気中の表面放電とならないようにする前記低抵抗コロナシールド層7からなるコロナシールド層の外周に塗布された電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用の高抵抗塗料24により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0053】
(6B)この発明による実施の形態6によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2の内部のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に一部の10〜20mmを重ねて設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材で構成され沿面放電を防止する電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用高抵抗塗料24を塗布して形成された高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記鉄心スロット2の外部に位置する第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として前記高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層と一体に設けられた電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用高抵抗塗料24を塗布して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生し前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されて放電が到達しても、その電圧非線形性のため放電先端の電界が低減されて放電による侵食速度を低下させるため、空気中の表面放電とならないようにする前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に塗布された電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用の高抵抗塗料24により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0054】
(6C)この発明による実施の形態6によれば、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に収納され端部が鉄心スロット2の外部に延びる絶縁被覆された素線束で構成されたコイル導体10、前記コイル導体10の周囲にマイカテープ5を多数回巻回して形成された対地主絶縁層4、前記対地主絶縁層4の外周に前記鉄心スロット2の内部から外部へ延在して設けられ前記固定子鉄心1の端面から25mm以上延在して前記鉄心スロット2内のコロナ放電を防止する低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外端に一部の10〜20mmを重ねて設けられ前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗部材のプリプレグ高抵抗テープで形成される沿面放電を防止する高抵抗コロナシールド層9からなる第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用高抵抗塗料24を塗布して固定子コイルを構成し、固定子鉄心1に設けられた鉄心スロット2に固定子コイルを収納し結線した後、熱硬化性樹脂を真空含浸して製作する全含浸方式の固定子コイルを具備した、定格電圧11kV以上の空気冷却方式回転機として適用される回転電機としたので、前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層とコイル導体10の周囲に形成された対地主絶縁層4との界面付近の空隙12で放電が発生し前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層が侵食されて放電が到達しても、その電圧非線形性のため放電先端の電界が低減されて放電による侵食速度を低下させるため、空気中の表面放電とならないようにする前記低抵抗コロナシールド層7からなる第1のコロナシールド層の外周に塗布された電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用の高抵抗塗料24により、空気中での表面放電が発生しないように構成した信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明による実施の形態1に係る回転電機の固定子における固定子スロット出口付近の要部構成を示す斜視図である。
【図2】この発明による実施の形態1に係る回転電機の固定子での固定子スロット出口付近におけるコイル長さ方向の絶縁構造を模式的に示す要部断面図である。
【図3】この発明による実施の形態1に係る回転電機の固定子における絶縁構造の要部構成を模式的に示す断面図である。
【図4】この発明による実施の形態2に係る回転電機の固定子での固定子スロット出口付近におけるコイル長さ方向の絶縁構造を模式的に示す要部断面図である。
【図5】この発明による実施の形態3に係る回転電機の固定子での固定子スロット出口付近におけるコイル長さ方向の絶縁構造を模式的に示す要部断面図である。
【図6】この発明による実施の形態4に係る回転電機の固定子での固定子スロット出口付近におけるコイル長さ方向の絶縁構造を模式的に示す要部断面図である。
【図7】この発明による実施の形態5に係る回転電機の固定子での固定子スロット出口付近におけるコイル長さ方向の絶縁構造を模式的に示す要部断面図である。
【図8】この発明による実施の形態6に係る回転電機の固定子での固定子スロット出口付近におけるコイル長さ方向の絶縁構造を模式的に示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 固定子鉄心、2 鉄心スロット、3 固定子コイル、4 対地主絶縁層、5 マイカテープ、7 低抵抗コロナシールド層、9 高抵抗コロナシールド層、10 コイル導体(素線束)、12 空隙、20 導電性シリコーンゴム層、21 絶縁性シリコーンゴム層、22 プリプレグマイカテープ、23 電圧非線形プリプレグ高抵抗テープ、24 電圧非線形高抵抗塗料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止するコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記コロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層としてシリコーンゴム層を形成したことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止する第1のコロナシールド層、前記第1のコロナシールド層の外端に一部を重ねて設けられ前記第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗の部材で形成された沿面放電を防止する第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層としてシリコーンゴム層を形成したことを特徴とする回転電機。
【請求項3】
前記スロットの外部に位置する前記第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として前記第2のコロナシールド層と電気的に結合された通電可能なシリコーンゴム層を形成したことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記スロットの外部に位置する前記第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として形成された前記シリコーンゴム層を構成するシリコーンゴムの体積抵抗率が0.001〜1000Ω・cmであることを特徴とする請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記スロットの外部に位置する前記コロナシールド層の外周に表面放電に対する前記保護層として絶縁性シリコーンゴム層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項6】
前記スロットの外部に位置する前記第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する前記保護層として絶縁性シリコーンゴム層を形成したことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項7】
鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止するコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記コロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層としてプリプレグマイカテープを巻回したことを特徴とする回転電機。
【請求項8】
鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止する第1のコロナシールド層、前記第1のコロナシールド層の外端に一部を重ねて設けられ沿面放電を防止する前記第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗の部材で形成された第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層としてプリプレグマイカテープを巻回したことを特徴とする回転電機。
【請求項9】
鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止するコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記コロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用プリプレグマイカテープを巻回したことを特徴とする回転電機。
【請求項10】
鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止する第1のコロナシールド層、前記第1のコロナシールド層の外端に一部を重ねて設けられ沿面放電を防止する前記第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗の部材で形成された第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用プリプレグマイカテープを巻回したことを特徴とする回転電機。
【請求項11】
鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止するコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記コロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用塗料を塗布したことを特徴とする回転電機。
【請求項12】
鉄心に設けられたスロットに収納され端部が前記スロットの外部に延びるコイル導体、前記コイル導体の周囲に形成された絶縁層、前記絶縁層の外周に前記スロットの内部から外部へ延在して設けられコロナ放電を防止する第1のコロナシールド層、前記第1のコロナシールド層の外端に一部を重ねて設けられ沿面放電を防止する前記第1のコロナシールド層の部材よりも高抵抗の部材で形成された第2のコロナシールド層を備え、前記スロットの外部に位置する前記第1のコロナシールド層の外周に表面放電に対する保護層として電圧非線形抵抗特性を有する電界緩和用塗料を塗布したことを特徴とする回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−125149(P2008−125149A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302837(P2006−302837)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】