図形表示プログラム及び図形表示方法
【課題】利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめる。
【解決手段】入力装置10及び表示装置20と協働して要素をインタラクティブに配置すると共に、要素間の関係を表示装置20に表示する要素配置部40Aと、要素配置部40Aにより新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて直前に配置された要素を特定する要素特定部40Bと、要素特定部40Bにより特定された要素と要素配置部40Aにより配置された要素とを関係付ける要素関係編集部40Cと、要素配置部40Aにより配置された要素のプロパティ及び要素関係編集部40Cにより関係付けられた要素間の関係を記憶装置30に記憶させる要素情報記憶部40Dと、を含んで図形表示装置を構成する。
【解決手段】入力装置10及び表示装置20と協働して要素をインタラクティブに配置すると共に、要素間の関係を表示装置20に表示する要素配置部40Aと、要素配置部40Aにより新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて直前に配置された要素を特定する要素特定部40Bと、要素特定部40Bにより特定された要素と要素配置部40Aにより配置された要素とを関係付ける要素関係編集部40Cと、要素配置部40Aにより配置された要素のプロパティ及び要素関係編集部40Cにより関係付けられた要素間の関係を記憶装置30に記憶させる要素情報記憶部40Dと、を含んで図形表示装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図形を用いたビジュアル環境でシステム開発などを行う図形表示技術において、利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビジュアル環境でシステム開発などを効率よく行うべく、図形エディタとしてのUML(Unified Modeling Language)ツールが普及している。UMLツールでは、システムの基本設計図として、各種要素を関係により接続したユースケース図,アクティビティ図,状態マシン図,シーケンス図,クラス図などを作成及び編集する機能が提供される。その操作においては、要素間の関係付けが必要であるため、要素を配置した後、マウスなどの入力装置を用いて2つの要素を指定して関係付けを行わなければならなかった。このため、要素間の関係付けを容易ならしめるべく、特開平7−325690号公報(特許文献1)に記載されるように、新たに配置された要素から所定距離内に存在する要素を識別し、これらの間で関係付けを自動的に行う技術が提案された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−325690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来提案技術では、要素間の距離関係に基づいて関係付けを行うため、距離的に離れた要素間で関係付けを行うとき、利用者の意図が必ずしも反映されないおそれがあった。その具体的事例を挙げると、フローチャートを作成する過程において、判断処理により分岐された一方の処理を示す要素に対し、その他方の処理を示す要素が近接して配置されると、これらの間で関係付けが行われてしまう。
【0005】
そこで、本発明は以上のような従来技術の問題点に鑑み、一連の関係がある要素は時間的に連続して配置される実状を利用し、要素間の関係付けを時間関係に応じて行うことで、利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめた図形表示技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一実施形態では、コンピュータが、第1の図形要素及び第2の図形要素を表示した後に第3の図形要素の表示指示を受ける。また、コンピュータは、表示指示に応じて、第1の図形要素を第2の図形要素よりも後に表示した場合には、第2の図形要素と第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示する。一方、コンピュータは、表示指示に応じて、第2の図形要素を第1の図形要素よりも後に表示した場合には、第1の図形要素と第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示する。
また、本技術の他の実施形態では、コンピュータが、複数の図形要素のそれぞれについて、表示を指示された順序で、複数の図形要素を表示する第1の表示処理を実行する。さらに、コンピュータは、第1の表示処理により複数の図形要素に含まれる図形要素を表示する場合に、表示する図形要素について、複数の図形要素のうちの順序に応じた接続先の図形要素との接続関係を示す線要素を表示する第2の表示処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る図形表示技術によれば、新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて直前に配置された要素が特定される。そして、特定された要素と新たに配置された要素とが関係付けられ、その関係が表示装置に表示される。このため、一連の関係がある要素は時間的に連続して配置される実状を利用し、要素間の関係付けを時間関係に応じて行うことで、利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を具現化した図形表示装置の全体構成図
【図2】要素関係テーブルの説明図
【図3】関係接続テーブルの説明図
【図4】配置時刻テーブルの説明図
【図5】図形表示プログラムの処理内容を示すフローチャート
【図6】図形表示装置の作用概要を示す説明図
【図7】新規要素配置に伴って更新される要素関係テーブルの説明図
【図8】新規要素配置に伴って更新される関係接続テーブルの説明図
【図9】新規要素配置に伴って更新される配置時刻テーブルの説明図
【図10】要素間の時間関係として適用可能な配置順序テーブルの説明図
【図11】要素間の時間関係として適用可能な最新要素変数テーブルの説明図
【図12】要素間の時間関係として適用可能な最新要素テーブルの説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
図1は、本発明に係る図形表示技術を具現化した例として、図形表示装置の全体構成を示す。
図形表示装置は、CD−ROM,DVD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された図形表示プログラムを、PC(Personal Computer)などの汎用コンピュータにインストールすることで構築される。具体的には、図形表示装置は、マウスなどのポインティングデバイス及びキーボードを備えた入力装置10と、CRT(Cathode Ray Tube)又はLCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示装置20と、ハードディスクなどからなる記憶装置30と、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)を備えた制御装置40と、を含んで構成される。
【0010】
記憶装置30には、システムの基本設計図などを構成する要素の情報として、その種別及び配置位置などを記述したプロパティに加え、図2に示すような要素関係テーブルと、図3に示すような関係接続テーブルと、図4に示すような配置時刻テーブルと、が夫々登録される。要素関係テーブルは、各要素に関連付けてその関係を記述したものであり、また、関係接続テーブルは、各関係に関連付けて要素間の接続状態を記述したものである。配置時刻テーブルは、各要素に関連付けてその配置時刻を記述したものである。
【0011】
一方、制御装置40では、図形表示プログラムを実行することで、要素配置部40Aと、要素特定部40Bと、要素関係編集部40Cと、要素情報記憶部40Dと、が夫々実現される。要素配置部40Aは、入力装置10及び表示装置20と協働して、要素をインタラクティブに配置する機能を提供する。要素特定部40Bは、要素配置部40Aにより新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて、直前に配置された要素を特定する機能を提供する。要素関係編集部40Cは、要素特定部40Bによる特定結果に応じて、直前に配置された要素と新たに配置された要素とを関連付ける機能を提供する。要素情報記憶部40Dは、要素配置部40Aにより新たな要素が配置されたときに、そのプロパティを記憶装置30に順次登録すると共に、要素関係編集部40Cにより要素間の関係付けがなされたときに、記憶装置30に登録された要素関係テーブル,関係接続テーブル及び配置時刻テーブルを順次更新する機能を提供する。また、要素配置部40Aは、要素関係編集部40Cにより要素間の関係付けがなされたときに、その関係を表示装置20に表示する機能も併せて提供する。
【0012】
ここで、要素配置部40Aにより、要素配置機能,要素配置手段,関係表示機能及び関係表示手段が夫々実現されると共に、要素特定部40Bにより、要素特定機能及び要素特定手段が夫々実現される。また、要素関係編集部40Cにより、関係付け機能及び関係付け手段が夫々実現されると共に、要素情報記憶部40Dにより、配置時刻記憶機能が実現される。
【0013】
図5は、新たな要素がインタラクティブに配置されたことを契機として、制御装置40において実行される図形表示プログラムの処理内容を示す。
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様)では、配置済みの要素との時間関係として、記憶装置30に登録された配置時刻テーブルを参照し、その配置時刻から直前に配置された要素(以下「最新要素」という)を特定する。
【0014】
ステップ2では、記憶装置30に登録された要素関係テーブルに、最新要素の関係として新たな関係を追加することで、要素関係テーブルを更新する。
ステップ3では、最新要素と新たに配置された要素(以下「新規要素」という)とを新たな関係で接続することで、これらの間の関係付けを作成する。
ステップ4では、記憶装置30に登録された要素関係テーブル及び関係接続テーブルに、最新要素と新規要素との関係付けを追加記憶させる。
【0015】
ステップ5では、最新要素と新規要素との関係付けを表示装置20に表示する。
ステップ6では、記憶装置30に登録された配置時刻テーブルに、新規要素の配置時刻を追加記憶させる。
かかる図形表示装置によれば、入力装置10及び表示装置20と協働して新規要素がインタラクティブに配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて最新要素が特定される。そして、最新要素と新規要素とが新たな関係で関係付けられ、その関係が表示装置20に表示される。
【0016】
ここで、図形表示装置による要素間の関係付け処理の理解を容易ならしめるため、図6に示すように、要素1及び要素2を関係付ける関係1が設定された図形に対して、要素3を新たに配置したときの処理を時系列的に説明する。
要素3が新たに配置されると、図4に示す配置時刻テーブルが参照され、その配置時刻から最新要素は要素2であると特定される。最新要素が特定できたら、図7に示す要素関係テーブルにおける要素2の関係として、新たな関係2が追加される。また、最新要素たる要素2と新規要素たる要素3とが関係2で関係付けられ、同図に示すように、要素関係テーブルに要素3の関係2が追加されると共に、図8に示すように、関係接続テーブルに関係2の接続状態(要素2と要素3とを接続すること)が追加される。その後、要素2と要素3との関係2が表示装置20に表示され、図9に示すように、配置時刻テーブルに要素3の配置時刻が追加される。
【0017】
このため、一連の関係がある要素は時間的に連続して配置される実状を利用し、要素間の関係付けが時間関係に応じて行われることとなり、利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめることができる。
配置済みの要素との時間関係に基づいて最新要素を特定するために、配置時刻テーブルの代わりに、図10に示すように、各要素に関連付けてその配置順序を記述した配置順序テーブル、図11に示すように、各要素に関連付けてその要素が最新要素であるか否かを示す変数を記述した最新要素変数テーブル、図12に示すように、最新要素を特定する情報を順次上書きする最新要素テーブルを用いることもできる。このとき、要素情報記憶部40Dは、配置順序記憶機能,変数記憶機能及び特定情報記憶機能として機能し、記憶装置30に登録された各テーブルを順次更新する一方、要素特定部40Bは、その各テーブルを参照して最新要素を特定するようにすればよい。
【0018】
なお、要素間の関係付けを行うか否かを指定可能とすべく、要素特定部40Bから提供される要素特定機能を有効にするか又は無効にするかを任意に指定する指定機能を備えることが望ましい。このとき、指定機能としては、キーボードの所定キーを押しながら新規要素が配置されたとき、又は、表示装置20に表示されたメニューが選択されたときに、要素特定機能を有効又は無効に切り換えるようにすればよい。
【0019】
このようにすれば、例えば、最初に配置する要素のように、他の要素との関係付けが不要な要素の配置の便宜に資することが可能となり、利用者の多様な要望に応えることができる。また、キーボードの所定キーを押しながら新規要素を配置したときに、要素特定機能を有効又は無効に切り換えるようにすれば、要素の配置状況に応じて柔軟かつ動的にその関係付けを行うか否かを指定することができる。
【0020】
さらに、本発明は、「UMLツール」に限定されるものではなく、フローチャートを作成するためのソフトウエアやCADなどに適用することもできる。
【0021】
(付記1)入力装置及び表示装置と協働して要素をインタラクティブに配置する要素配置機能と、前記要素配置機能により新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて、直前に配置された要素を特定する要素特定機能と、前記要素特定機能により特定された要素と前記要素配置機能により配置された要素とを関係付ける関係付け機能と、前記関係付け機能により関係付けられた要素間の関係を、前記表示装置に表示する関係表示機能と、をコンピュータに実現させるための図形編集プログラム。
【0022】
(付記2)前記要素配置機能により配置された要素の配置時刻を記憶装置に順次記憶させる配置時刻記憶機能を備え、前記要素特定機能は、前記記憶装置に記憶された要素の配置時刻を参照し、直前に配置された要素を特定することを特徴とする付記1記載の図形編集プログラム。
【0023】
(付記3)前記要素配置機能により配置された要素の配置順序を記憶装置に順次記憶させる配置順序記憶機能を備え、前記要素特定機能は、前記記憶装置に記憶された要素の配置順序を参照し、直前に配置された要素を特定することを特徴とする付記1記載の図形編集プログラム。
【0024】
(付記4)前記要素配置機能により配置された要素に関連付けて、その要素が最新に配置されたものであるか否かを示す変数を記憶装置に順次記憶させる変数記憶機能を備え、前記要素特定機能は、前記記憶装置に記憶された変数を参照し、直前に配置された要素を特定することを特徴とする付記1記載の図形編集プログラム。
【0025】
(付記5)前記要素配置機能により要素が配置されたときに、その要素を特定する情報を記憶装置に順次上書きして記憶させる特定情報記憶機能を備え、前記要素特定機能は、前記記憶装置に記憶された要素の特定情報を参照し、直前に配置された要素を特定することを特徴とする付記1記載の図形編集プログラム。
【0026】
(付記6)前記要素特定機能を有効にするか又は無効にするかを指定する指定機能を備えたことを特徴とする付記1〜付記5のいずれか1つに記載の図形編集プログラム。
【0027】
(付記7)前記入力装置はキーボードを含んで構成され、前記指定機能は、前記キーボードの所定キーを押しながら新たな要素が配置されたときに、前記要素特定機能を有効又は無効にすることを特徴とする付記6記載の図形編集プログラム。
【0028】
(付記8)前記指定機能は、前記表示装置に表示されたメニューが選択されたときに、前記要素特定機能を有効又は無効にすることを特徴とする付記6記載の図形編集プログラム。
【0029】
(付記9)要素をインタラクティブに配置する要素配置手段と、前記要素配置手段により新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて、直前に配置された要素を特定する要素特定手段と、前記要素特定手段により特定された要素と前記要素配置手段により配置された要素とを関係付ける関係付け手段と、前記関係付け手段により関係付けられた要素間の関係を表示する関係表示手段と、を含んで構成されたことを特徴とする図形編集装置。
【0030】
(付記10)入力装置及び表示装置と協働して要素をインタラクティブに配置する要素配置機能と、前記要素配置機能により新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて、直前に配置された要素を特定する要素特定機能と、前記要素特定機能により特定された要素と前記要素配置機能により配置された要素とを関係付ける関係付け機能と、前記関係付け機能により関係付けられた要素間の関係を、前記表示装置に表示する関係表示機能と、をコンピュータに実現させるための図形編集プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0031】
10 入力装置
20 表示装置
30 記憶装置
40 制御装置
40A 要素配置部
40B 要素特定部
40C 要素関係編集部
40D 要素情報記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、図形を用いたビジュアル環境でシステム開発などを行う図形表示技術において、利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビジュアル環境でシステム開発などを効率よく行うべく、図形エディタとしてのUML(Unified Modeling Language)ツールが普及している。UMLツールでは、システムの基本設計図として、各種要素を関係により接続したユースケース図,アクティビティ図,状態マシン図,シーケンス図,クラス図などを作成及び編集する機能が提供される。その操作においては、要素間の関係付けが必要であるため、要素を配置した後、マウスなどの入力装置を用いて2つの要素を指定して関係付けを行わなければならなかった。このため、要素間の関係付けを容易ならしめるべく、特開平7−325690号公報(特許文献1)に記載されるように、新たに配置された要素から所定距離内に存在する要素を識別し、これらの間で関係付けを自動的に行う技術が提案された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−325690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来提案技術では、要素間の距離関係に基づいて関係付けを行うため、距離的に離れた要素間で関係付けを行うとき、利用者の意図が必ずしも反映されないおそれがあった。その具体的事例を挙げると、フローチャートを作成する過程において、判断処理により分岐された一方の処理を示す要素に対し、その他方の処理を示す要素が近接して配置されると、これらの間で関係付けが行われてしまう。
【0005】
そこで、本発明は以上のような従来技術の問題点に鑑み、一連の関係がある要素は時間的に連続して配置される実状を利用し、要素間の関係付けを時間関係に応じて行うことで、利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめた図形表示技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一実施形態では、コンピュータが、第1の図形要素及び第2の図形要素を表示した後に第3の図形要素の表示指示を受ける。また、コンピュータは、表示指示に応じて、第1の図形要素を第2の図形要素よりも後に表示した場合には、第2の図形要素と第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示する。一方、コンピュータは、表示指示に応じて、第2の図形要素を第1の図形要素よりも後に表示した場合には、第1の図形要素と第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示する。
また、本技術の他の実施形態では、コンピュータが、複数の図形要素のそれぞれについて、表示を指示された順序で、複数の図形要素を表示する第1の表示処理を実行する。さらに、コンピュータは、第1の表示処理により複数の図形要素に含まれる図形要素を表示する場合に、表示する図形要素について、複数の図形要素のうちの順序に応じた接続先の図形要素との接続関係を示す線要素を表示する第2の表示処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る図形表示技術によれば、新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて直前に配置された要素が特定される。そして、特定された要素と新たに配置された要素とが関係付けられ、その関係が表示装置に表示される。このため、一連の関係がある要素は時間的に連続して配置される実状を利用し、要素間の関係付けを時間関係に応じて行うことで、利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を具現化した図形表示装置の全体構成図
【図2】要素関係テーブルの説明図
【図3】関係接続テーブルの説明図
【図4】配置時刻テーブルの説明図
【図5】図形表示プログラムの処理内容を示すフローチャート
【図6】図形表示装置の作用概要を示す説明図
【図7】新規要素配置に伴って更新される要素関係テーブルの説明図
【図8】新規要素配置に伴って更新される関係接続テーブルの説明図
【図9】新規要素配置に伴って更新される配置時刻テーブルの説明図
【図10】要素間の時間関係として適用可能な配置順序テーブルの説明図
【図11】要素間の時間関係として適用可能な最新要素変数テーブルの説明図
【図12】要素間の時間関係として適用可能な最新要素テーブルの説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
図1は、本発明に係る図形表示技術を具現化した例として、図形表示装置の全体構成を示す。
図形表示装置は、CD−ROM,DVD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された図形表示プログラムを、PC(Personal Computer)などの汎用コンピュータにインストールすることで構築される。具体的には、図形表示装置は、マウスなどのポインティングデバイス及びキーボードを備えた入力装置10と、CRT(Cathode Ray Tube)又はLCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示装置20と、ハードディスクなどからなる記憶装置30と、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)を備えた制御装置40と、を含んで構成される。
【0010】
記憶装置30には、システムの基本設計図などを構成する要素の情報として、その種別及び配置位置などを記述したプロパティに加え、図2に示すような要素関係テーブルと、図3に示すような関係接続テーブルと、図4に示すような配置時刻テーブルと、が夫々登録される。要素関係テーブルは、各要素に関連付けてその関係を記述したものであり、また、関係接続テーブルは、各関係に関連付けて要素間の接続状態を記述したものである。配置時刻テーブルは、各要素に関連付けてその配置時刻を記述したものである。
【0011】
一方、制御装置40では、図形表示プログラムを実行することで、要素配置部40Aと、要素特定部40Bと、要素関係編集部40Cと、要素情報記憶部40Dと、が夫々実現される。要素配置部40Aは、入力装置10及び表示装置20と協働して、要素をインタラクティブに配置する機能を提供する。要素特定部40Bは、要素配置部40Aにより新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて、直前に配置された要素を特定する機能を提供する。要素関係編集部40Cは、要素特定部40Bによる特定結果に応じて、直前に配置された要素と新たに配置された要素とを関連付ける機能を提供する。要素情報記憶部40Dは、要素配置部40Aにより新たな要素が配置されたときに、そのプロパティを記憶装置30に順次登録すると共に、要素関係編集部40Cにより要素間の関係付けがなされたときに、記憶装置30に登録された要素関係テーブル,関係接続テーブル及び配置時刻テーブルを順次更新する機能を提供する。また、要素配置部40Aは、要素関係編集部40Cにより要素間の関係付けがなされたときに、その関係を表示装置20に表示する機能も併せて提供する。
【0012】
ここで、要素配置部40Aにより、要素配置機能,要素配置手段,関係表示機能及び関係表示手段が夫々実現されると共に、要素特定部40Bにより、要素特定機能及び要素特定手段が夫々実現される。また、要素関係編集部40Cにより、関係付け機能及び関係付け手段が夫々実現されると共に、要素情報記憶部40Dにより、配置時刻記憶機能が実現される。
【0013】
図5は、新たな要素がインタラクティブに配置されたことを契機として、制御装置40において実行される図形表示プログラムの処理内容を示す。
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様)では、配置済みの要素との時間関係として、記憶装置30に登録された配置時刻テーブルを参照し、その配置時刻から直前に配置された要素(以下「最新要素」という)を特定する。
【0014】
ステップ2では、記憶装置30に登録された要素関係テーブルに、最新要素の関係として新たな関係を追加することで、要素関係テーブルを更新する。
ステップ3では、最新要素と新たに配置された要素(以下「新規要素」という)とを新たな関係で接続することで、これらの間の関係付けを作成する。
ステップ4では、記憶装置30に登録された要素関係テーブル及び関係接続テーブルに、最新要素と新規要素との関係付けを追加記憶させる。
【0015】
ステップ5では、最新要素と新規要素との関係付けを表示装置20に表示する。
ステップ6では、記憶装置30に登録された配置時刻テーブルに、新規要素の配置時刻を追加記憶させる。
かかる図形表示装置によれば、入力装置10及び表示装置20と協働して新規要素がインタラクティブに配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて最新要素が特定される。そして、最新要素と新規要素とが新たな関係で関係付けられ、その関係が表示装置20に表示される。
【0016】
ここで、図形表示装置による要素間の関係付け処理の理解を容易ならしめるため、図6に示すように、要素1及び要素2を関係付ける関係1が設定された図形に対して、要素3を新たに配置したときの処理を時系列的に説明する。
要素3が新たに配置されると、図4に示す配置時刻テーブルが参照され、その配置時刻から最新要素は要素2であると特定される。最新要素が特定できたら、図7に示す要素関係テーブルにおける要素2の関係として、新たな関係2が追加される。また、最新要素たる要素2と新規要素たる要素3とが関係2で関係付けられ、同図に示すように、要素関係テーブルに要素3の関係2が追加されると共に、図8に示すように、関係接続テーブルに関係2の接続状態(要素2と要素3とを接続すること)が追加される。その後、要素2と要素3との関係2が表示装置20に表示され、図9に示すように、配置時刻テーブルに要素3の配置時刻が追加される。
【0017】
このため、一連の関係がある要素は時間的に連続して配置される実状を利用し、要素間の関係付けが時間関係に応じて行われることとなり、利用者の意図を極力反映しつつ、要素間の関係付けを容易ならしめることができる。
配置済みの要素との時間関係に基づいて最新要素を特定するために、配置時刻テーブルの代わりに、図10に示すように、各要素に関連付けてその配置順序を記述した配置順序テーブル、図11に示すように、各要素に関連付けてその要素が最新要素であるか否かを示す変数を記述した最新要素変数テーブル、図12に示すように、最新要素を特定する情報を順次上書きする最新要素テーブルを用いることもできる。このとき、要素情報記憶部40Dは、配置順序記憶機能,変数記憶機能及び特定情報記憶機能として機能し、記憶装置30に登録された各テーブルを順次更新する一方、要素特定部40Bは、その各テーブルを参照して最新要素を特定するようにすればよい。
【0018】
なお、要素間の関係付けを行うか否かを指定可能とすべく、要素特定部40Bから提供される要素特定機能を有効にするか又は無効にするかを任意に指定する指定機能を備えることが望ましい。このとき、指定機能としては、キーボードの所定キーを押しながら新規要素が配置されたとき、又は、表示装置20に表示されたメニューが選択されたときに、要素特定機能を有効又は無効に切り換えるようにすればよい。
【0019】
このようにすれば、例えば、最初に配置する要素のように、他の要素との関係付けが不要な要素の配置の便宜に資することが可能となり、利用者の多様な要望に応えることができる。また、キーボードの所定キーを押しながら新規要素を配置したときに、要素特定機能を有効又は無効に切り換えるようにすれば、要素の配置状況に応じて柔軟かつ動的にその関係付けを行うか否かを指定することができる。
【0020】
さらに、本発明は、「UMLツール」に限定されるものではなく、フローチャートを作成するためのソフトウエアやCADなどに適用することもできる。
【0021】
(付記1)入力装置及び表示装置と協働して要素をインタラクティブに配置する要素配置機能と、前記要素配置機能により新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて、直前に配置された要素を特定する要素特定機能と、前記要素特定機能により特定された要素と前記要素配置機能により配置された要素とを関係付ける関係付け機能と、前記関係付け機能により関係付けられた要素間の関係を、前記表示装置に表示する関係表示機能と、をコンピュータに実現させるための図形編集プログラム。
【0022】
(付記2)前記要素配置機能により配置された要素の配置時刻を記憶装置に順次記憶させる配置時刻記憶機能を備え、前記要素特定機能は、前記記憶装置に記憶された要素の配置時刻を参照し、直前に配置された要素を特定することを特徴とする付記1記載の図形編集プログラム。
【0023】
(付記3)前記要素配置機能により配置された要素の配置順序を記憶装置に順次記憶させる配置順序記憶機能を備え、前記要素特定機能は、前記記憶装置に記憶された要素の配置順序を参照し、直前に配置された要素を特定することを特徴とする付記1記載の図形編集プログラム。
【0024】
(付記4)前記要素配置機能により配置された要素に関連付けて、その要素が最新に配置されたものであるか否かを示す変数を記憶装置に順次記憶させる変数記憶機能を備え、前記要素特定機能は、前記記憶装置に記憶された変数を参照し、直前に配置された要素を特定することを特徴とする付記1記載の図形編集プログラム。
【0025】
(付記5)前記要素配置機能により要素が配置されたときに、その要素を特定する情報を記憶装置に順次上書きして記憶させる特定情報記憶機能を備え、前記要素特定機能は、前記記憶装置に記憶された要素の特定情報を参照し、直前に配置された要素を特定することを特徴とする付記1記載の図形編集プログラム。
【0026】
(付記6)前記要素特定機能を有効にするか又は無効にするかを指定する指定機能を備えたことを特徴とする付記1〜付記5のいずれか1つに記載の図形編集プログラム。
【0027】
(付記7)前記入力装置はキーボードを含んで構成され、前記指定機能は、前記キーボードの所定キーを押しながら新たな要素が配置されたときに、前記要素特定機能を有効又は無効にすることを特徴とする付記6記載の図形編集プログラム。
【0028】
(付記8)前記指定機能は、前記表示装置に表示されたメニューが選択されたときに、前記要素特定機能を有効又は無効にすることを特徴とする付記6記載の図形編集プログラム。
【0029】
(付記9)要素をインタラクティブに配置する要素配置手段と、前記要素配置手段により新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて、直前に配置された要素を特定する要素特定手段と、前記要素特定手段により特定された要素と前記要素配置手段により配置された要素とを関係付ける関係付け手段と、前記関係付け手段により関係付けられた要素間の関係を表示する関係表示手段と、を含んで構成されたことを特徴とする図形編集装置。
【0030】
(付記10)入力装置及び表示装置と協働して要素をインタラクティブに配置する要素配置機能と、前記要素配置機能により新たな要素が配置されたときに、配置済みの要素との時間関係に基づいて、直前に配置された要素を特定する要素特定機能と、前記要素特定機能により特定された要素と前記要素配置機能により配置された要素とを関係付ける関係付け機能と、前記関係付け機能により関係付けられた要素間の関係を、前記表示装置に表示する関係表示機能と、をコンピュータに実現させるための図形編集プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0031】
10 入力装置
20 表示装置
30 記憶装置
40 制御装置
40A 要素配置部
40B 要素特定部
40C 要素関係編集部
40D 要素情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
第1の図形要素及び第2の図形要素が表示された後に受けた第3の図形要素の表示指示に応じて、前記第1の図形要素が前記第2の図形要素よりも後に表示された場合には、前記第2の図形要素と前記第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させ、前記第2の図形要素が前記第1の図形要素よりも後に表示された場合には、前記第1の図形要素と前記第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させる、
ことを実行させることを特徴とする図形表示プログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
第1の図形要素及び第2の図形要素が表示された後に受けた第3の図形要素の表示指示に応じて、前記第1の図形要素が前記第2の図形要素よりも後に表示された場合には、前記第2の図形要素と前記第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させ、前記第2の図形要素が前記第1の図形要素よりも後に表示された場合には、前記第1の図形要素と前記第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させる、
ことを実行させることを特徴とする図形表示方法。
【請求項3】
コンピュータに、
複数の図形要素のそれぞれについて、表示を指示された順序で、前記複数の図形要素を表示させる第1の表示処理と、
前記第1の表示処理により前記複数の図形要素に含まれる図形要素が表示される場合に、表示される前記図形要素について、前記複数の図形要素のうちの前記順序に応じた接続先の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させる第2の表示処理と、
を実行させること特徴とする図形表示プログラム。
【請求項4】
前記接続先の図形要素が、前記複数の図形要素のうち、表示される前記図形要素の1つ前に表示された図形要素である、
ことを特徴とする請求項3に記載の図形表示プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
複数の図形要素のそれぞれについて、表示を指示された順序で、前記複数の図形要素を表示させる第1の表示処理と、
前記第1の表示処理により前記複数の図形要素に含まれる図形要素が表示される場合に、表示される前記図形要素について、前記複数の図形要素のうちの前記順序に応じた接続先の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させる第2の表示処理と、
を実行させること特徴とする図形表示方法。
【請求項6】
前記接続先の図形要素が、前記複数の図形要素のうち、表示される前記図形要素の1つ前に表示された図形要素である、
ことを特徴とする請求項5に記載の図形表示方法。
【請求項1】
コンピュータに、
第1の図形要素及び第2の図形要素が表示された後に受けた第3の図形要素の表示指示に応じて、前記第1の図形要素が前記第2の図形要素よりも後に表示された場合には、前記第2の図形要素と前記第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させ、前記第2の図形要素が前記第1の図形要素よりも後に表示された場合には、前記第1の図形要素と前記第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させる、
ことを実行させることを特徴とする図形表示プログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
第1の図形要素及び第2の図形要素が表示された後に受けた第3の図形要素の表示指示に応じて、前記第1の図形要素が前記第2の図形要素よりも後に表示された場合には、前記第2の図形要素と前記第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させ、前記第2の図形要素が前記第1の図形要素よりも後に表示された場合には、前記第1の図形要素と前記第3の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させる、
ことを実行させることを特徴とする図形表示方法。
【請求項3】
コンピュータに、
複数の図形要素のそれぞれについて、表示を指示された順序で、前記複数の図形要素を表示させる第1の表示処理と、
前記第1の表示処理により前記複数の図形要素に含まれる図形要素が表示される場合に、表示される前記図形要素について、前記複数の図形要素のうちの前記順序に応じた接続先の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させる第2の表示処理と、
を実行させること特徴とする図形表示プログラム。
【請求項4】
前記接続先の図形要素が、前記複数の図形要素のうち、表示される前記図形要素の1つ前に表示された図形要素である、
ことを特徴とする請求項3に記載の図形表示プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
複数の図形要素のそれぞれについて、表示を指示された順序で、前記複数の図形要素を表示させる第1の表示処理と、
前記第1の表示処理により前記複数の図形要素に含まれる図形要素が表示される場合に、表示される前記図形要素について、前記複数の図形要素のうちの前記順序に応じた接続先の図形要素との接続関係を示す線要素を表示させる第2の表示処理と、
を実行させること特徴とする図形表示方法。
【請求項6】
前記接続先の図形要素が、前記複数の図形要素のうち、表示される前記図形要素の1つ前に表示された図形要素である、
ことを特徴とする請求項5に記載の図形表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−210274(P2011−210274A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121111(P2011−121111)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【分割の表示】特願2006−56113(P2006−56113)の分割
【原出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【分割の表示】特願2006−56113(P2006−56113)の分割
【原出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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