説明

固体フィブリノーゲンおよび固体トロンビンを有する担体

【課題】即時使用可能であり、過敏症、有害なウイルス汚染、ウシ海綿状脳症等の危険が回避された、組織の接着、組織の密閉、および止血のための吸収性組成物の提供。
【解決手段】a)以下の物理的特性の少なくとも一つを有する担体:5〜100N/cmの範囲の弾性係数、密度1〜10mg/cm、直径が0.75mmより大きく4mm未満および/または平均直径が3mm未満である小室、ならびに上記の担体に均一に分布および固定される、b)固体フィブリノーゲン、およびc)固体トロンビンからなる、固体組成物。担体は、ポリヒアルロン酸、ポリヒドロキシ酸、セルロース、ゼラチン、コラーゲンといった生分解性のポリマーである。フィブリノーゲンとトロンビンは、好ましくは、ヒトの、天然資源から精製された、またはトランスジェニックもしくは組換え型ヒトフィブリノーゲンおよび/またはトロンビンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、本質的に、フィブリン膠:ヒトフィブリノーゲンおよびトロンビンの固化ヒト成分によってコーティングされた担体からなる、組織の接着、組織の密閉、および止血のための即時使用可能な吸収性の組成物に関する。この固定された組み合わせは、例えば、創傷表面に直接適用することができる。血液、体液、または生理食塩液に接すると、この系の作用機序は凝固カスケードの最終段階を模倣して、トロンビンがフィブリノーゲンのフィブリンへの変換、および第XIII因子のXIIIaへの活性化を触媒する。第XIIIa因子は一度形成されると、共有結合によってフィブリン凝血を安定化させる。
【0002】
二成分接着剤と同様に、創傷表面と担体とを重合化によって互いに接着させる。約3〜5分間持続するこのプロセスにおいて、本発明の組成物は、好ましくは創傷領域に押しつけられる。本発明の組成物の成分は、適用後約4〜6ヶ月以内に酵素的に分解される。
【背景技術】
【0003】
先行技術
凝固カスケードの最終段階を模倣する市販のフィブリン膠は、存在する外科的創傷に適用する前にトロンビン溶液と混合される高度濃縮フィブリノーゲン溶液からなる。これらの混合物は、繊維素溶解酵素であるプラスミンによってフィブリン凝血が早期に解離しないように、繊維素溶解阻害剤、例えば、アプロチニン、またはε−アミノカプロン酸を含む。これらの二成分フィブリン膠は、様々な外科的技法において貴重であるが、出血が重度の場合には止血が得られる前に流れてしまう可能性がある。二成分フィブリン膠は、融解または解離を含むいくつかの準備段階をさらに必要とする。このように、それらはむしろ、非現実的で取り扱いがやっかいであり、これらのフィブリン膠を用いて成功するためには経験が必要である。
【0004】
過去10年間に、多数のフィブリンシーラントが外科の多くの適用において選択される方法となった。しかし、フィブリン膠を用いる大多数の臨床試験において、止血および接着特徴を改善するために、コラーゲンフリースがさらに用いられ、それらの短所および外科医による使用の制限を示している。
【0005】
コラーゲンは60年代後半以降、止血剤として用いられている。コラーゲンは、全ての哺乳類において最も頻繁に認められる構造タンパク質である。約300 kDaの単量体タンパク質(トロポコラーゲン)は、特異的部位で共有結合している。したがって成熟タンパク質は不溶性であり、高い張力を有する特徴的な原線維を形成する。多数のコラーゲンサブクラスが記述されており、最も一般的なものは、皮膚、腱、骨、および角膜における主なコラーゲンタイプであるI型コラーゲンである。コラーゲンは、長さが約290nmの三重らせんからなる線維様タンパク質である。これらの三重らせん(トロポコラーゲン分子)5個が交互して直径約3.6nmの微小線維を形成する。これらの微小線維は、原線維間および原線維内相互作用のために容易に近づくことができる極性および非極性セグメントを有する。微小線維は、四面体格子に充填されて、直径約30nmの小原線維を形成する。次に、これらの小原線維が集合して、結合組織の基本単位であるコラーゲン原線維となり、これは直径が数百nmであり、したがって光学顕微鏡では薄い線のように見える。
【0006】
コラーゲンは、おそらくフィブリン膠を含むコーティングによって、創傷を密封する材料として用いてもよい。フィブリン膠、すなわち、フィブリノーゲン、トロンビン、およびアプロチニンの組み合わせは、組織および神経を接着するため、ならびに出血が軽度の場合に表面を密封するために、何年もの間治療的に用いられて成功している。フィブリン膠の一つの欠点は、出血が大量である場合、フィブリンの十分な重合化が起こる前に、たいていの場合膠が流れてしまうことであった。この問題に対処するために、外科医は、液体フィブリン膠をコラーゲンフリースのような吸収性の担体に手で適用し始めた。
【0007】
このように組み合わせて適用することが印象的な成功を収めたにもかかわらず、この方法は、いくつかの短所のために広い規模で適用されていない。調製は比較的やっかいであり、方法は経験と熟練した人を必要とし、調製時間が10〜15分の範囲であるために、緊急の場合には調製物は容易に利用できない。これらの要因によって、改善された製品の開発が刺激され、その結果欧州特許第0 059 265号に開示されるように、固体フィブリノーゲン、固体トロンビン、および固体アプロチニンのコーティングによって覆われたコラーゲン担体の固定配合剤が開発されるに至った。
【0008】
欧州特許第0 059 265号に開示されるコラーゲン担体の機能は、主に、それが吸収する担体の機能であり、コーティングされる凝固調製物に対して機械的安定性を付与する。
【0009】
フィブリン膠の止血特徴と担体としてのコラーゲンの長所とを組み合わせた製品が開発され、登録商標TachoCombの名称で製造されている。TachoComb(登録商標)は、フィブリン膠の以下の活性成分:ヒトフィブリノーゲン、ウシトロンビン、およびウシアプロチニンによってコーティングしたコラーゲン小片の即時利用可能な容易に適用可能な固定配合体である。
【0010】
TachoComb(登録商標)は、Nycomed Pharma社によって1990年代初期以降販売されており、ヨーロッパにおける臨床試験において患者2500人以上に用いられている。製品はさらに、日本の臨床プログラムにおいて、肝臓および肺切除、胆管手術、脾臓、腎臓および膵臓手術、ENT手術、婦人科手術、および血管手術のような非常に多様な適応の患者700人以上に用いられている。TachoComb(登録商標)は、有効かつ安全であることが判明した。
【0011】
TachoComb(登録商標)の適用に関連した臨床合併症は、行った臨床試験の経過において報告されていない。しかしアプロチニンに対する抗体が日本の3つの研究において生じている。
【0012】
何千ものTachoComb(登録商標)パッチが臨床で用いられてきた何年もの間に報告された医薬品有害反応(ADR)は、全体で自然発生症例37例に過ぎなかった。これらのADRのうち16例は、理論的にTachoComb(登録商標)成分に対する反応に関連しうる(発熱、発熱(pyrexia)、好酸球増加症、プロトロンビン時間の延長、過敏症、免疫またはアレルギー反応)。ADR 1例(免疫反応)は、TachoComb(登録商標)による処置に明らかに関連した。
【0013】
国際公開公報第97/37694号(イムノフランス(Immuno France)S.A.)において、参考実施例4において、コラーゲン製品またはTachoComb(登録商標)を用いた場合に、TachoComb(登録商標)を用いた場合に止血を認めず、失血死に至ったのに対し、国際公開公報第97/37694号に従って調製したトロンビンを含まないコラーゲン製品を用いた場合には、5分以内の止血を認めたことが開示されている。
【0014】
国際公開公報第96/40033号において、ウシまたは他の種のトロンビンを用いると、有害なウイルス汚染およびウシ海綿状脳症を含むウシ疾患の起こりうる伝幡を導入しうるという点において、TachoComb(登録商標)において用いられたウシトロンビンの短所が強調されている。
【発明の開示】
【0015】
詳細な説明
本発明は、本質的に以下の物理的特性:
10〜50N/cmのような5〜100N/cmの範囲である弾性係数;
2〜8mg/cmのような1〜10mg/cmの密度;
直径が0.75mmより大きく4mm未満であり、および/または直径の平均値が3mm未満である小室
の少なくとも一つを有する担体、
ならびに該担体に均一に分布して固定される、
b)固体フィブリノーゲン、および
c)固体トロンビン
からなる固体組成物に関する。
【0016】
本組成物は、上記の物理的特性の二つ、三つ、または全てを有してもよい。現在好ましい態様において、担体材料は、DK PA 2001 00135号に記載されるように、そしてさらに2002年1月25日にNycomed Pharma ASによって提出され上記の出願からの優先権を主張する「コラーゲンスポンジを調製する方法、コラーゲンフォームおよび伸展したコラーゲンスポンジの一部を抽出する装置」と題する出願に記載されるように作製される。本発明の意味において、「小室の直径」という用語は、小室における最大の壁から壁までの直線距離、すなわち小室の最大対角線直線距離として理解すべきである。小室は、八角形のような多角形であってもよい。このように、担体を切断すると、小室は分割されて空洞に切断される。固体フィブリノーゲンおよび固体トロンビンは担体に固定されて、そのほとんどが空洞部に存在し、このようにして固体トロンビンと固体フィブリノーゲンの実質的に均一な分布を提供する。これと固定とにより、トロンビンおよびフィブリノーゲンの液体組成物を例えば、材料の上に滴下または噴霧する状況とは対照的に、担体上にフィブリノーゲンとトロンビンの実質的な量を導入することが可能である。
【0017】
コーティングされた担体の調製
コーティングされた担体の調製は本質的に以下からなる:
− 活性成分の懸濁液の調製
− 担体への懸濁液の均一な分布
− コーティングされた担体の固体組成物への乾燥/活性成分の担体への固定
【0018】
フィブリノーゲンとトロンビンとを有する懸濁液の調製は以下を含む:
− フィブリノーゲンとエタノールのようなアルコールとのフィブリノーゲン混合物を提供する段階、
− トロンビンとエタノールのようなアルコールとのトロンビン混合物を適用する段階、
− 上記の懸濁液を得るためにフィブリノーゲン混合物とトロンビン混合物とを混合する段階。
【0019】
混合物を提供する段階において、混合物は、粒子のFolk Ward平均直径が25〜100μmである、フィブリノーゲンおよびトロンビンの粒子を含む懸濁液を得るためにホモジナイズまたはふるいにかけてもよい。温度は0℃〜12℃である。
【0020】
担体は、コラーゲンスポンジのようなコラーゲン担体であってもよい。コラーゲンスポンジは、以下の基準の少なくとも一つ、好ましくは複数を満たしてもよい:
− pH値が5.0〜6.0の間である、
− 乳酸含有量が多くとも5%である、
− アンモニア含有量が多くとも0.5%である、
− アルブミン含有量として計算した可溶性タンパク質含有量が多くとも0.5%である、
− 硫酸塩の灰含有量が多くとも1.0%である、
− 重金属含有量が多くとも20ppmである、
− 微生物純度が多くとも10CFU/gである、
− コラーゲン含有量が75〜100%である、
− 密度が1〜10mg/cmである、
− 弾性係数が5〜100N/cmの範囲である。
【0021】
現在好ましい態様において、コラーゲン担体は、DK PA 2001 00135号に記載されるように作製される。コラーゲン担体の三つの例の物理的特性を下記の表に提供する。
【0022】
【表1】

【0023】
懸濁液の均一な分布は、米国特許第5,942,278号および第6,177,126号に開示される滴下装置を用いて行うか、または懸濁液を担体に適用するために少なくとも一つの噴射口を含むアプリケータを用いてもよい。噴射アプリケータは、担体と噴射口とが互いに対して相対的に移動する際に噴射孔から懸濁液を噴射させる。アプリケータは、コンベヤベルト、ポンプもしくはポンプシステムまたは他の供給装置に接続した攪拌単位、およびコンベヤベルトを横切って、例えばコンベヤベルトに対して直角に移動する噴射口または噴射口システムを含んでもよく、またはその近傍に配置してもよい。媒体の特定の特徴に応じて、噴射口または噴射口システムは様々な形状および大きさを有してもよい。噴射口または噴射口システムは、チューブを通して供給装置に接続してもよい。供給装置は、コーティング媒体を攪拌単位から噴射システムに送ってもよい。コーティングプロセスの間、噴射システムは担体を横切って移動してもよい。その待機位置において、これはコンベヤベルトの片面を保持してもよい。コーティングプロセスは、コンベヤベルト上の担体の存在を感知する光障壁によって開始してもよく、同様に、光障壁シグナルによって停止してもよい。そのようなアプリケータは無駄な容積が比較的小さく、掃除のし易さを含む取り扱いが容易である。さらに、これは、如何なる時にもコーティングプロセスを中断することができ、比較的広い範囲の粘度において応用可能で、均一なコーティングを提供する。
【0024】
いずれのシステムも担体1cmあたり懸濁液容積0.08ml〜0.12mlを適用する。
【0025】
重要な段階は、担体のコーティング表面上の湿コーティングとして適用されたフィブリノーゲン、トロンビン、およびアルコールの懸濁液を乾燥する段階である。方法の例は、担体上に乾燥コーティング表面を得るために、およびコーティング表面に乾燥コーティングを固定するために、コーティングした担体に1000 mbar未満の圧力を適用する段階を含む。乾燥プロセスにおいて、真空を適用して真空を用いることによって、低温(2〜10℃)および比較的高い湿度(80〜95%)を維持してもよく、それによって担体、特にコラーゲンスポンジのようなコラーゲンの形の担体の構造および物理的特性と共に、フィブリノーゲンとトロンビンの構造および物理的特性を維持してもよい。
【0026】
「本質的にからなる」という用語は、三つの成分が全て本発明にとって必須かつ必要であることを意味する。しかし、カルシウムイオンおよびリボフラビンのような着色剤のような非必須添加剤も同様に、組成物に存在しうる。組成物はさらに、例えば抗菌剤または抗真菌剤のような抗生物質、および抗新生物剤からなる群より選択してもよい一つまたは複数の薬学的活性物質のような他の有用な成分を含んでもよい。
【0027】
担体材料は好ましくは、哺乳類、トランスジェニック、または組換え型起源からのI型コラーゲン材料を含むコラーゲンスポンジであるが、他のタイプのコラーゲン、すなわちI、II、III、IV、VII、およびX型コラーゲンによって作製してもよい。しかし、担体はまた、ポリヒアルロン酸、ポリヒドロキシ酸、例えば乳酸、グルコール酸、ヒドロキシブタン酸、セルロース、またはゼラチンのような生分解性のポリマーであってもよいと認識される。
【0028】
本発明の好ましい態様において、組成物は、フィブリノーゲンが4.3〜6.7mg/cmのような、好ましくは約5.5mg/cmのような2〜10mg/cmの量で存在し、トロンビンが1.0〜5.5IU/cm、好ましくは約2.0IU/cmの量で存在する、一つまたは複数の活性面を有する担体を含む。フィブリノーゲンおよび/またはトロンビンは、好ましくはヒトの、例えば、当業者に既知の方法によって天然資源から精製された、または当業者に既知の方法によって作製されたトランスジェニックもしくは組換え型ヒトフィブリノーゲンおよび/またはトロンビンである。
【0029】
TachoComb(登録商標)、Beriplast(登録商標)およびTissueSeal(登録商標)のような先行技術の製品は全て、アプロチニンまたは類似の抗線維素溶解剤を含む。アプロチニンはウシ起源に限って提供されうる。改善された担体材料とヒトの、組換え型またはトランスジーン起源の成分のみを有する組成物を開発することが本発明者らの目的であった。したがって、担体材料に関して開発を行い、ウシトロンビンをヒトトロンビンに置換してアプロチニンを加えずにすむことが可能であるか否かを調べた。本発明者らは、この目的に向かって二段階プロセスで研究した。
【0030】
まず最初に、TachoComb Hは、例えばウシトロンビンがヒトトロンビンによって換されているTachoComb(登録商標)のその後の製品として開発されている。TachoComb Hによる臨床試験は、止血、組織接着、および組織密閉の適応において多くの治療的確認(フェーズIIIa)臨床試験に関して行われた。これらの試験において得られた未発表の結果から、血液および空気の漏出の制御におけるTachoComb Hの有効性と安全性とが確認され、このように、手術時の止血、組織接着、および組織密閉における縫合の補助治療として作用する。特に、対照と比較して止血時間の有意な減少として表記される局所止血を得るためのTachoComb Hの有効性は、血管および肝臓手術においても一様に説得力のあるように示された。
【0031】
同様に、TachoComb Hは、大きさという点での肺での欠点を減少させることができ、その結果空気漏出のより迅速な解決が得られ、重度の肺漏出および肺気腫の密閉において有用である可能性があることが判明した。
【0032】
しかし、TachoComb(登録商標)およびTachoComb Hはいずれも、製品の肝要な部分としてアプロチニンを含む。アプロチニンは、フィブリノーゲン成分における少量のプラスミノーゲンのプラスミンへの起こりうる変換を阻害するため、および特に高線維素溶解状態でのフィブリン凝血の早期溶解を防止するために必要であると考えられている。
【0033】
本発明者らは、アプロチニンが必要であるというこの仮説を調べるために新しい実験を考案した。インビトロ実験から、凝血におけるアプロチニンの抗線維素溶解作用による保護を示し、アプロチニンを含まないTachoComb(登録商標)(TachoComb S)が非常に短時間に溶解しないことが示された。したがって、類似の有効性を証明するために、ストレスの多い動物モデルをデザインしてTachoComb SをTachoComb Hと比較した。全てのモデルにおいて、TachoComb HまたはSはそれぞれ、唯一の止血手段として用いられた。
【0034】
TachoComb Hと比較して本発明のTachoComb Sの現在好ましい態様の有効性および組織病理学的パターンを調べるために、四つの大規模実験シリーズを行った。TachoComb SまたはTachoComb Hを、イヌ、ブタ、またはウサギの肝臓、脾臓、膵臓、または脳/髄膜の臓器に適用した。実験は、通常の手術条件、重度にストレスの多い条件、および高線維素溶解条件を模倣するようにデザインした。
【0035】
これらの四つの試験において得られた結果は、TachoComb SとTachoComb Hの間に関連する如何なる差も示さなかった。いずれの産物も、臓器内圧の増加または局所r−tPA適用によって誘導された高線維素溶解のような重度にストレスの多い状態を含む、止血および創傷密閉有効性に関して同様の挙動を示した。
【0036】
TachoComb Hの成分としてアプロチニンの全体的な必要性を評価するようにデザインされた全臨床プログラムは、TachoComb HとTachoComb Sの有効性が類似であることを証明したと結論することができる。双方の製品は、全ての実験条件において止血、組織接着、および組織密閉の唯一の手段として用いて成功した。動物実験の過程において、望ましくない組織反応を認めなかった。その結果、アプロチニンを本発明の組成物から除去した。
【0037】
本発明の組成物は、その先行製品と同じ止血、組織接着、および組織密閉特性を発揮すること、および同じまたはさらにより満足できる安全性プロフィールを有することが臨床的に予想される。現在ウシ起源に限って利用できるアプロチニンが存在しないことは、過敏反応に対する安全性を高める。この点において、三つの日本での研究において、アプロチニンに対する抗体が起こったことは注目すべきである。アプロチニンを含まない組成物では、そのような免疫学的反応は起こらないと予想される。
【0038】
現在好ましい態様において、本発明は、以下の物理的特性:
10〜50N/cmのような5〜100N/cmの範囲の弾性係数;
2〜7mg/cmのような1〜10mg/cmの密度;
直径が0.75mmより大きく4mm未満であるか、および/または平均直径が3mm未満である小室
の少なくとも一つを有し、かつ
固体フィブリノーゲン
および固体トロンビン
をさらに含むが
アプロチニン、ε−アミノカプロン酸、またはα2−アンチプラスミンのような如何なる抗線維素溶解剤も含まず、
コーティングされた材料の試料をVibrofixシェーカーにおいて回転数約1000rpmで2分間振とうした場合の剥離が1.0mg/cm未満であるように、固体フィブリノーゲンと固体トロンビンとが担体に固定され、ならびに
コーティングされた担体材料を内視鏡装置に挿入して、その後除去した場合に、材料が実質的に不変であり、担体の柔軟性および固体フィブリノーゲンと固体トロンビンとの固体接着の指標としてのコーティング材料の投入が20%未満であり、および
上記の材料が実質的に空気および液体を通さず、ラテックスシー
トに対するコーティングされた担体の固定、圧によるラテックスシートの3回の伸展と3回目でのラテックスシートの伸展の最高点でのコーティングされた担体面積の測定およびコーティングされた担体の伸展面積とコーティング領域の開始面積との比較を含む試験によって決定した場合の弾性係数が少なくとも1.25である、
柔軟な担体を含む、止血、組織密閉、および組織接着のための組成物に関する。
【0039】
フィブリノーゲンおよびトロンビンが、ヒトの、例えば、天然資源から精製された、またはトランスジェニックもしくは組換え型ヒトフィブリノーゲンおよびトロンビンである、本発明の好ましい組成物は、柔軟な担体上にコーティングされた活性成分の固定の組み合わせについて利用可能な唯一の非ウシフィブリンシーラントであって、以下の利点を有する:
即時使用可能で、時間を要する融解または調製技法を必要としない、
ほとんどの組織および臓器表面に容易に直接適用される、
内視鏡での応用が可能である、
止血剤が標的領域から流出する、または標的領域から流される問題がない、
フィブリン凝血の接着作用と柔軟な担体の機械的支持の組み合わせ、
非常に柔軟で強い伸展および圧縮に耐える、
3〜5分以内の有効な止血および組織密閉、
好ましい安全性プロフィール、すなわちウシ成分を含まない、
軽微な組織瘢痕を残すのみである生分解性、
+2℃〜+8℃で保存でき、予想される保存期間は36ヶ月、または室温で少なくとも2年間保存される。
【0040】
本発明の好ましい組成物を開発する理由は、伝幡性の海綿状脳症(TSEs)を含む、ウシからヒトへの疾患伝幡の理論的であっても如何なるリスクも防止するために、最後のウシ成分を除去したいという要望に由来する。このように、活性成分であるフィブリノーゲンとトロンビンは、ヒト起源であり、線維素溶解酵素であるプラスミンの阻害剤であるウシアプロチニンが除去された。このように、ウシ成分を含まない本発明の好ましい組成物の長所は、ウシの材料によるウシ海綿状脳症(BSE)を含む伝幡性の疾患のリスクが消失した点である。
【0041】
他のフィブリン膠と同様に、本発明の組成物は、血液凝固カスケードの最終段階を再現することによって作用する。フィブリノーゲンとトロンビンの混合物は、柔軟な担体の表面上に固定された固層を形成する。液体、例えば、出血表面、体液、または生理食塩液に接触すると、層の成分が溶解して、創傷腔に拡散して反応し始める。
【0042】
重合化プロセスは、創傷表面と担体の小片との間の強い接着を生じる。接着に必要とする時間、すなわち3〜5分の間、本発明の組成物は、好ましくは創傷表面に軽く押しつけなければならない。担体小片は、創傷のタンポン挿入を可能にする機械的支持体を提供する。小片は、創傷が大量に出血する場合に、その場で凝固成分を維持し、起こりうる再出血を予防する。作用機序は、ペプチドを分解することによってトロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンに変換することを含む。フィブリン単量体は自然にフィブリン鎖に重合化して粘性で弾性の凝血を形成し、これによって、担体小片は創傷表面に接着する。フィブリンマトリクスは、その後フィブリノブラスト(fibrinoblast)遊走の足場構造として作用する(図8)。
【0043】
二成分接着剤と同様に、創傷表面と担体とは重合化によって互いに接着する。担体小片の機械的安定性は、フィブリン凝血の止血作用にタンポン挿入作用を付加する。さらに、活性成分は、創傷領域に面する担体表面上に限って存在し、タンポン挿入作用と軽く圧を適用するために、それらは担体の中に拡散しない。その結果、そしてほとんどのフィブリン膠を用いる場合とは対照的に、本発明の組成物で覆われた創傷領域と、本発明の組成物を用いた場合の他の臓器またはその一部との間に接着を認めない。
【0044】
実質組織に対して非常に組織毒性が強いシアノアクリレートとゼラチン−リゾルシン−ホルムアルデヒド(GRF)膠とは異なり、本発明の固体組成物は、適用後主に以下の二つのメカニズムによって数週間または数ヶ月以内に生理的に分解して組織に置換される。
1.フィブリン凝血は、一部線維素溶解によって、および一部細胞の貪食によって分解される。
2.担体は、吸収性の肉芽組織によって層ごとに分解され、内因性の結合組織を含む偽被膜に変換される。
【0045】
本発明の組成物は、特に、食道、胃、小腸、大腸、直腸のような消化管系、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、肺、副腎、甲状腺、およびリンパ節のような実質臓器における外科的介入、心血管手術、気管、気管支、または肺の手術を含む胸部手術、歯科手術を含む耳、鼻、および喉(ENT)領域における外科的介入、婦人科、泌尿器科、骨(例えば、海綿骨切除)、および緊急手術、神経科手術、リンパ、胆管、および脳脊髄液(CSF)フィステル、ならびに胸部および肺手術の際の空気漏出において、止血、組織接着、および組織密閉のために有用である。本発明はこのように、上記の目的のために記述の組成物を用いることにも関する。
【0046】
本発明の組成物は実質的に空気および液体を通さず、このことが本製品がリンパ、胆管、および脳脊髄液(CSF)フィステル、および肺および胸部手術の際の空気漏出を治療するために特に有用である理由であることを強調すべきである。さらに、製品が実質的に液体を通さないことから、本製品は、肝臓および脾臓のような非常に出血性の臓器の手術において、および例えば胃腸管手術にとって非常に有用である。
【0047】
本発明の製品は、出血、またはリンパ、胆管、空気、もしくはCSFの漏出が従来の方法によって制御できない場合、またはこれらの方法が望ましくない結果を生じる場合に適用される。
【0048】
担体は、好ましくは本明細書および請求の範囲において同義で用いられるコラーゲンスポンジ、フリース、または小片である。成分であるコラーゲン、フィブリノーゲン、およびトロンビンは、好ましくは哺乳類起源である。好ましくは、固体成分はヒト起源である。コラーゲン、フィブリノーゲン、およびトロンビンは、天然資源から精製されるか、または組換え型もしくはトランスジェニックヒトフィブリノーゲンおよび/またはトロンビンであってもよい。
【0049】
現在好ましいコラーゲン源は、ウマである。コラーゲン小片によるヒトに対して病原性であるウマウイルスの汚染によるウイルス伝幡を防止するために、原料を適切に選択することおよび病原性の可能性がある物質の製造プロセスによる不活化は予防手段として重要である。
【0050】
(実施例)
下記の実施例I〜IVは異なるフィブリノーゲンとトロンビン原料によるコーティングされたコラーゲンスポンジを調製するための様々な技法を説明する。
【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
(実施例I)
本実施例において、懸濁液は、ヒトフィブリノーゲン処方Bおよびヒトトロンビン処方Bを含む。
【0054】
最終懸濁液容積3500 mlは、以下の量およびパラメータを適用することによって得た:
フィブリノーゲン混合物:
− エタノール2800ml(2℃〜8℃で94%)
− ヒトフィブリノーゲン処方B492.5g
− リボフラビン493.5mg
フィブリノーゲン混合物は、攪拌しながら2〜8℃で8〜16時間保存した。
トロンビン混合物:
− エタノール100ml(−30℃で100%)
− ヒトトロンビン処方B12.27g
トロンビン混合物は−30℃で8〜16時間保存した。
懸濁液:
− トロンビン混合物157mlをフィブリノーゲン混合物に加える。
− 2〜8℃の94%エタノールを最終懸濁液容積3500mlとなるように加えた。
【0055】
懸濁液の特徴:
1.エタノール濃度:94.3%
2.沈降挙動:
a)開始5分後の沈降容積:試験容積の98%、
b)開始24時間後の沈降容積:試験容積の64%。
3.粒子径(Folk Ward平均直径):56.4±1.3μm
【0056】
コラーゲン片の形の担体を懸濁液によってコーティングした。最初に、コラーゲンスポンジ片48個を以下の条件で低温室において予めインキュベートした:
− 温度:5.2℃
− 絶対湿度4.8g/kg大気
− インキュベーション時間:18.5時間
【0057】
コーティングしたコラーゲンスポンジ片を以下のように乾燥させた:
コーティング片を、温度5.2℃、絶対湿度4.8g/kg大気で15分間インキュベートした。
【0058】
コーティング片を以下の乾燥条件で真空乾燥器において乾燥した:
− 大気条件:温度5.2℃、絶対湿度4.8g水/kg大気
− 吸引弁を通過する空気流速:23m/時間
− 真空:59mbar
− 乾燥時間:4時間
【0059】
コラーゲンスポンジ片上で得られたコーティングの剥離は、Vibrofixシェーカーにおいて800〜1200 rpmの回転数で2分間振とうさせた場合に約0.2mg/cmであった。
【0060】
(実施例II)
本実施例において、懸濁液は、ヒトフィブリノーゲン処方Cおよびヒトトロンビン処方Cを含む。
【0061】
懸濁液の最終容積3500mlは、以下の量およびパラメータを適用することによって得た:
フィブリノーゲン混合物:
− エタノール(2℃〜8℃で94%)2252ml
− ヒトフィブリノーゲン処方C370.7g
− リボフラビン493.5mg
フィブリノーゲン混合物を攪拌しながら2〜8℃で8〜16時間保存した。
トロンビン混合物:
− エタノール(−30℃で100%)
− ヒトトロンビン処方C(10650I.U./バイアル)12バイアル/注射用水12ml
トロンビン混合物を−30℃で8〜16時間保存した。
懸濁液:
− トロンビン混合物164.5mlをフィブリノーゲン混合物に加えた。
− 2〜8℃の94%エタノールを懸濁液の最終容積が3500mlとなるように加えた。
【0062】
懸濁液の特徴:
1.エタノール濃度:94.1%
2.沈降挙動:
a)開始5分後の沈降容積:試験容積の94%、
b)開始24時間後の沈降容積:試験容積の71%。
3.粒子径(Folk Ward平均直径):49.2±0.93μm
【0063】
コラーゲン片の形の担体を懸濁液によってコーティングした。最初に、コラーゲンスポンジ片48個を以下の条件で低温室において予めインキュベートした:
− 温度:4.8℃
− 相対湿度90.3%
− インキュベーション時間:22.25時間
【0064】
コーティングしたコラーゲンスポンジ片を以下のように乾燥させた:
コーティング片を、温度4.9℃、絶対湿度4.8g水/kg大気で13分間インキュベートした。
【0065】
コーティング片を以下の乾燥条件で真空乾燥器において乾燥させた:
− 大気条件:温度5.2℃、絶対湿度4.9g水/kg大気
− 吸引弁を通過する空気流速:25m/時間
− 真空:60mbar
− 乾燥時間:4時間
【0066】
コラーゲンスポンジ片上で得られたコーティングの剥離は、Vibrofixシェーカーにおいて800〜1200rpmの回転数で2分間振とうさせた場合に約0.3mg/cmであった。
【0067】
(実施例III)
本実施例において、懸濁液は、ヒトフィブリノーゲン処方Cおよびヒトトロンビン処方Cを含む。
【0068】
懸濁液の最終容積780mlは、以下の量およびパラメータを適用することによって得た:
フィブリノーゲン混合物:
− エタノール(2℃〜8℃で94%)700ml
− ヒトフィブリノーゲン処方C84.42g
− リボフラビン110mg
フィブリノーゲン混合物を攪拌しながら2〜8℃で8〜16時間保存した。
トロンビン混合物:
− エタノール(−30℃で100%)35ml
− ヒトトロンビン処方C 0.54g
トロンビン混合物を−30℃で8〜16時間保存した。
懸濁液:
− トロンビン混合物23.0mlをフィブリノーゲン混合物に加えた。
− 2〜8℃の100%エタノールを懸濁液の最終容積が780mlとなるように加えた。
【0069】
懸濁液の特徴:
1.エタノール濃度:94%
2.沈降挙動:
a)開始5分後の沈降容積:試験容積の92%、
b)開始24時間後の沈降容積:試験容積の72%。
3.粒子径(Folk Ward平均直径):60.5±0.5μm
【0070】
コラーゲン片の形の担体を懸濁液によってコーティングした。最初に、コラーゲンスポンジ片8個を以下の条件で低温室において予めインキュベートした:
− 温度:6.0℃
− 相対湿度85%
− インキュベーション時間:18.5時間
【0071】
コーティングしたコラーゲンスポンジ片を以下のように乾燥させた:
コーティング片を、温度5℃、相対湿度85%で45分間インキュベートした。
【0072】
コーティング片を以下の乾燥条件で真空乾燥器において乾燥させた:
− 大気条件:温度5℃、相対湿度85%
− 吸引弁を通過する空気流速:1.2m/時間
− 真空:35mbar
− 乾燥時間:4時間
【0073】
コラーゲンスポンジ片上で得られたコーティングの剥離は、Vibrofixシェーカーにおいて800〜1200rpmの回転数で2分間振とうさせた場合に約0.3mg/cmであった。
【0074】
(実施例IV)
本実施例において、懸濁液は、ヒトフィブリノーゲン処方Aおよびヒトトロンビン処方Aを含む。
【0075】
懸濁液の最終容積3120mlは、以下の量およびパラメータを適用することによって得た:
フィブリノーゲン混合物:
− エタノール(2℃〜8℃で100%)2540ml
− ヒトフィブリノーゲン処方A 311.6g
− リボフラビン440mg
フィブリノーゲン混合物を攪拌しながら2〜8℃で8〜16時間保存した。
トロンビン混合物:
− エタノール(−30℃で100%)210ml
− ヒトトロンビン処方A229g
懸濁液:
− 注射用水87.3mlをフィブリノーゲン混合物に加えた。
トロンビン混合物をフィブリノーゲン混合物に加えた。
2〜8℃の100%エタノールを懸濁液の最終容積となるように加えた。
【0076】
懸濁液の特徴:
1.エタノール濃度:97%
2.沈降挙動:
a)開始5分後の沈降容積:試験容積の95.6%、
b)開始24時間後の沈降容積:試験容積の63.5%。
3.粒子径(Folk Ward平均直径):51.8±0.8μm
【0077】
コラーゲン片の形の担体を懸濁液によってコーティングした。最初に、コラーゲンスポンジ片48個を以下の条件で低温室において予めインキュベートした:
− 温度:6.5℃
− 相対湿度90%
− インキュベーション時間:22.5時間
【0078】
コーティングしたコラーゲンスポンジ片を以下のように乾燥させた:
コーティング片を、温度6.5℃、相対湿度90%で10分間インキュベートした。
【0079】
コーティング片を以下の乾燥条件で真空乾燥器において乾燥させた:
− 大気条件:温度6.5℃、相対湿度90%
− 吸引弁を通過する空気流速:1.2m/時間
− 真空:58mbar
− 乾燥時間:4時間
【0080】
コラーゲンスポンジ片上で得られたコーティングの剥離は、Vibrofixシェーカーにおいて800〜1200 rpmの回転数で2分間振とうさせた場合に0.1mg/cm未満であった。
【0081】
(実施例1)
TachoComb(登録商標)の成分としてのアプロチニン
インビボ状況と類似の洗浄条件での抗線維素溶解活性のインビトロ試験
本研究の目的は、インビトロ試験モデルを用いることによって高線維素溶解条件でのTachoComb Hの成分としてのアプロチニンの有効性を示すことであった。
【0082】
TachoComb Sは、乳白色のコーティングされたスポンジ様小片である。フォーム状の乾燥コラーゲンの小片を活性な固体成分の担体として用いる。小片の大きさは9.5×4.8×0.5cmである。活性面は黄色に着色されている。TachoComb S小片1cm(厚さ0.5cm)は以下を含む:
【0083】
【表4】

【0084】
実験的インビボ用量設定試験は、トロンビンおよびフィブリノーゲンの上記の濃度が最大接着強度を示すことを確認した(実施例3を参照のこと)。
【0085】
ヒトトロンビン、ヒトフィブリノーゲン、およびアプロチニンを含むTachoComb Hを、活性成分としてヒトトロンビンおよびヒトフィブリノーゲンのみを含むTachoComb Sと比較した。
【0086】
手術条件に関して関連すると考えられている、そしてそれによって有意な作用を示すために必要である多くの試験を実施することができる高線維素溶解条件で、有効性を定量的に決定するために二つの試験モデルを開発した。
【0087】
試験モデル1において、試験試料を接着表面として合成織物に適用した。既定の穴を、例えば血管の穿孔を模倣するように織物にあけた。穴を通して密閉剤を二つの異なる線維素溶解溶液(インキュベーション溶液)に曝露した。これらの溶液の一つはさらに、抗線維素溶解成分であるα2−アンチプラスミンを含んだ。
【0088】
インキュベーション溶液の組成:
全ての物質を緩衝液1において希釈した:50 mMトロメタモール、100mM NaCl、2.5mM CaCl2、2mg/ml BSA(プロテアーゼ不含)、0.5mg/ml Na−アジド/ml
【0089】
インキュベーション溶液I(1μmoleプラスミノーゲン、1nmole組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、1μmoleα2−アンチプラスミン)
緩衝液1、pH7.4、49μl
プラスミノーゲン溶液(濃縮、4.9μモルコアクロムヒトプラスミノーゲン活性)51μl
tPA溶液(50nモル)50μl
α2−アンチプラスミン溶液(2.5μモル)100μl
【0090】
インキュベーション溶液II(1μモルプラスミノーゲン、1nモル組織プラスミノーゲン活性化因子)
緩衝液1、pH7.4、149μl
プラスミノーゲン溶液(濃縮、4.9μモルコアクロムヒトプラスミノーゲン活性)51μl
tPA溶液(50nモル)50μl
【0091】
インキュベーション溶液は、洗浄効果を模倣するために2時間ごとに交換した。その際に接着を制御した。50mbarの圧を試料に与えた。試料が≦50mbarの圧力で離れた時間を記録した。
【0092】
試験モデル2は、損傷を受けた小腸組織の線維素溶解作用を証明するためであった。試験試料を接着表面としてブタ腸(エクスビボ)に適用した。インキュベーション溶液がフィブリン凝血に接触することができ、洗浄効果を模倣できるように、既定の穿孔を腸にあけた。インキュベーション溶液は、既定の時間に変更して、その際に50mbarの圧力を試料に加えた。試料が≦50mbarの圧力で離れた時間を記録した。
【0093】
結果は、アプロチニンを含むTachoComb Hとアプロチニンを含まないTachoComb Sとの間にかなりの差を示した。
【0094】
組織プラスミノーゲン活性化因子、プラスミノーゲンおよびα2−アンチプラスミンを含むインキュベーション溶液を用いる試験モデル1において、TachoComb Hの線維素溶解時間は41.2±7.3時間であったのに対し、TachoComb Sでは12.8±2.8時間であった。
【0095】
組織プラスミノーゲン活性化因子とプラスミノーゲンのみを含むインキュベーション溶液を用いる試験モデル1において、TachoComb Hの線維素溶解時間は31.6±5.3時間であったのに対し、TachoComb Sでは8.3±1.8時間であった。
【0096】
試験モデル2において、TachoComb Hの解離時間は78.4±16.3時間であったのに対し、TachoComb Sでは6.5±1.8時間であった。
【0097】
多くのフィブリンがなお試験試料に認められうる。しかし、試料はフィブリン凝血と腸表面の接着強度が弱くなったために、腸表面から圧力下で解離した。
【0098】
双方のモデルにおいて、TachoComb Hにおける活性成分としてのアプロチニンの抗線維素溶解作用は、非常に明らかに証明されると思われる。
【0099】
試験モデル1において、TachoComb Hの活性成分としてのアプロチニンによる線維素溶解時間の延長は、α2−アンチプラスミンを含むインキュベーション溶液Iに関しては320%であり、α2−アンチプラスミンを含まないインキュベーション溶液IIでは380%であった。
【0100】
試験モデル1はまた、TachoComb Hに関して線維素溶解時間が31.6から41.2時間(130%)およびTachoComb Sに関して8.3から12.8時間(154%)に延長することによって、α2−アンチプラスミンのさらなる抗線維素溶解作用を示した。
【0101】
(実施例2)
コーティングしたNycomedスポンジ(TachoComb S)とTachoComb Sと同一にコーティングした他の担体製品との比較。
【0102】
層の接着
技法
1.異なる担体のコーティング
【0103】
【表5】

【0104】
各担体2×4.5cmの領域をTachoComb Sコーティング懸濁液によってコーティングした。コーティング懸濁液の量は、TachoCombの仕様書(5.5mgフィブリノーゲン/cm)に対応した。試料を乾燥させた。
2.各コーティング担体に関して試料1×4cmを調製した。
3.層の剥離を以下のように試験した。
【0105】
方法の説明
装置
分析用天秤(測定精度±0.5mg)
固定装置を備えたVibrofixシェーカー
ミリメートル目盛りの定規
ストップウォッチ、メス、ストッパー付の内径2 cmの試験管
【0106】
技法
メスを用いてコーティング領域4×1cmをコーティングされた担体から切断する。試料をストッパーのついたバランスのとれた試験管に入れる。次に、これをVibrofixシェーカー(回転数:約1000rpm)において2分間振とうさせる。
シートを除去してコーティング材料の残留量(剥離:mg/cm)の重量を再度測定する。
計算:
【0107】
【数1】

【0108】
【表6】

【0109】
注釈
Nycomedコラーゲンスポンジを除く全ての担体は、コーティング後柔軟ではない。試料は非常に注意深く切断しなければならない。鋏を用いて切断すれば、層そのものが堅固であるために多くのコーティング材料が剥がれ落ちるであろう。Ethisorb(登録商標)パッチは、コーティング材料に対してほぼ全く関連を示さなかった。少し振とうさせると、コーティングは全て「カーペット」のように剥がれる。
【0110】
Nycomedコラーゲンスポンジと他の担体材料との差を全く明らかに示す。
【0111】
湿潤コーティング担体の弾性
技法
1.異なる担体のコーティング
各担体2×4.5cmの領域をTachoComb Sコーティング懸濁液によってコーティングした。コーティング懸濁液の量は、TachoComb仕様書(5.5mgフィブリノーゲン/cm)に対応した。試料を乾燥させた。
【0112】
2.試料約5〜7cmを各コーティング担体のために調製した。乾燥試料の正確な開始領域を決定した。
【0113】
3.試料を湿らせて、見出しの「技法」に詳細に記述したように、特殊な装置に固定した弾性のラテックスシートに載せた。次に、ラテックスシートに圧をかけ伸展させた。伸展と弛緩とを2回行った後、シートに3回目の伸展を行う。担体領域は、最高伸展点で測定した。
【0114】
方法の説明
装置/化学物質
蠕動ポンプ(IKA PA−SF)
圧緩衝ボトル(出口3個)
VDO圧力計(0〜250 mbar)
ガラス漏斗(開口部1:30mm、開口部2:15mm)
シリコンチューブおよびクランプ、ラテックス手袋(Semper med)、メス、ミリメートル目盛りの定規、鋏
生理食塩液
【0115】
技法
以下の装置をシリコンチューブを通して圧緩衝ボトルの三つの出口に気密的に接続する:
a)蠕動ポンプ
b)圧力計
c)ガラス漏斗/開口部2
【0116】
約8×8cmの二重のシートをラテックス手袋から切断する。このシートをガラス漏斗/開口部1に気密的に固定する。
【0117】
メスを用いて、コーティング領域約5〜7cmをコーティングした担体から切断する。
【0118】
試料領域を測定する(開始領域)。試料のコーティングを生理食塩液によって湿らせて、ラテックスシート上に置く。次に、これをラテックスシートに手で約1分間押しつける。
【0119】
蠕動ポンプを用いて、約70mbarの圧をかけてラテックスシートを伸展させる。これを2回繰り返した後、ラテックスシートを弛緩させる。3回目の伸展時に、ラテックスシート伸展の最高点でコーティングした担体の領域(長さおよび幅)を測定する。
【0120】
計算:
【0121】
【数2】

【0122】
【表6】

【0123】
注釈
湿らせたコラーゲンスポンジNycomed(TachoComb)の弾性係数は、製品の重要な特徴の一つである。弾性は、胸部および腹部手術において本質的である。接着後、担体は、例えば肺または腸の膨張および弛緩運動に従うことができなければならない。特に、Ethisorb(登録商標)は全く弾性を示さなかった。これは、コーティングから直ちに剥離した。コーティングしたWillospon(登録商標)スペシャルおよびOpraskin(登録商標)は、試験の間構造的欠陥を示さなかった。
【0124】
内視鏡手術におけるコーティングした担体の使用
技法:
1.異なる担体のコーティング
各担体の2×4cm領域をTachoComb Sコーティング懸濁液によってコーティングした。コーティング懸濁液の量は、TachoComb仕様書(5.5mgフィブリノーゲン/cm)に対応した。試料を乾燥させた。
【0125】
2.内視鏡手術において用いられるコーティングした担体試料の取り扱いおよびこの取り扱いによるコーティングの喪失は、デジタル写真装置によって報告する。
【0126】
方法の説明
装置
Endodock:内視鏡手術においてTachoComb(登録商標)を用いるためにデザインされた内視鏡ツール(図7を参照のこと)。デジタル写真装置。
【0127】
【表7】

【0128】
技法
各担体について撮影した写真のシリーズ:
1.非コーティングおよびコーティング担体試料の報告。
2.コーティング試料を内視鏡装置(Endodock)に挿入する。試料をガイド「ピン」の周囲に巻くことができるように、手で平坦にしなければならない。次に、試料を直径10mmのスチール管に注意深く挿入する。
Endodock管に部分的に挿入した試料の報告。
3.試料を注意深く押し出す。その後、試料を展開しなければならない。この取り扱いのために担体から剥がれたコーティングを担体のそばに集める。内視鏡装置に挿入後展開した試料およびこの取り扱いによるコーティングの喪失を報告する。
【0129】
注釈
内視鏡手術にTachoComb(コーティングしたウマコラーゲンスポンジ/Nycomed)を用いることは、製品の最も要求のきびしい応用である。TachoCombを内視鏡装置に挿入する。この装置のチューブは一般的に直径が10〜13mmである。チューブに挿入されるためには、TachoCombを平坦にして、後にガイド「ピン」の周囲を包み、その後チューブに注意深く挿入する。したがって、担体に対するおよびそれ自身内でのコーティングの結合は強くなければならないが、産物は、曲がって巻き上げられるために乾燥条件においても十分に柔軟なままでなければならない。手術部位に近づけてから、TachoCombを注意深くチューブから引き出す。次に、これを開いて創傷表面に載せなければならない。これはしばしば何らかの調節を必要とする。したがって、担体に対する層の接着は、この取り扱いに耐えるために十分に強くなければならない。
【0130】
結果
結果を添付の図1〜6に示す。コーティング材料の投入の推定値は以下の通りである:
【0131】
【表8】

【0132】
Ethisorb(登録商標)は、非常に堅固な担体であるため、コーティングの接着は非常に悪い。したがって、コーティングしたEthisorb(登録商標)は、本研究においてほぼ全てのコーティングを失った。Nycomedのコーティングしたコラーゲンスポンジと比較すると、調べた他の全ての担体は、コーティングされる平坦な表面を有する。したがって、コーティングは、担体上に「平坦なカーペット」のように存在する。このために、乾燥したコーティング担体がかなり柔軟でない構造となる。曲げるまたは巻き上げると、しばしば、コーティングそのものが砕ける。
【0133】
コーティングした担体を内視鏡装置のチューブに挿入して、試料を展開した後、Nycomedのコラーゲンスポンジを除く全ての担体が、多くのコーティング材料を失い、そのため大きい面積がコーティング材料なしのままとなる。
【0134】
Nycomedコラーゲンスポンジの構造およびきめは、乾燥または湿潤条件でTachoCombの高い柔軟性に基づいている。Nycomedのコラーゲンスポンジは、泡状であり、内部に多角形の小室を有する。表面上でこれらの小室は、切断されて空洞を形成する。これらの空洞はコーティング表面を拡大させる。コーティングの間、コーティング懸濁液は、構造表面上に均一に分布する。乾燥の間、フィブリノーゲンとトロンビンとを含む溶液は、空洞に固体として固定される。したがって、TachoCombは、所望の大きさに切断することができ、コーティング材料がごく少量失われるか、または全く失われずに内視鏡装置に挿入することができる。
【0135】
乾燥TachoCombの高い柔軟性は、調べた他の全てのコーティング担体と比較して大きい長所を有する。
【0136】
(実施例3)
活性成分の用量設定試験
活性成分の用量は、剥離強度を測定する二つの異なる実験モデルによって発見された:ラット肝臓に対する引張り強度、ラット腎臓における上昇した組織圧に対する接着強度。
【0137】
A.ラット肝臓に対する引張り強度
毛細血管出血を生じるために、麻酔したラットの肝臓の左小葉に1×1cmで深さ約1mmの創傷を作製した。創傷を、バネ秤に接続したTachoComb Sの1×1cm小片によって密閉した。TachoComb Sが破断した張力を測定した。
【0138】
B.ラット腎臓における上昇した組織圧に対する接着強度
麻酔したラットの左の腎臓の重量の約4分の1を切除することによって、なめらかで平坦な強く出血した創傷を作製した。創傷をTachoComb S試験シートによって密閉した。組織の圧力は静脈排液を閉鎖して、等張なクエン酸塩溶液(pH7.2)を腎臓にポンプで送ることによって上昇させた。TachoComb Sが剥離し始める圧力を測定した。
【0139】
【表9】

【0140】
【表10】

【0141】
得られた結果から、いくつかの変動の間でかなりの差が存在することが判明した。ヒトトロンビン至適範囲は、ヒトフィブリノーゲン含有量が約5mg/cmで一定の場合、0.9〜10I.U./cmであった。ヒトフィブリノーゲンの至適範囲は、ヒトトロンビン含有量が約2I.U./cmで一定の場合、2.9〜7.2mg/cmであった。
【0142】
これらのインビボ試験は、他のTachoComb製剤(TachoComb(登録商標)およびTachoComb H)において用いられるフィブリノーゲン濃度(4.3〜6.7mg/cm)およびトロンビン(1.5〜2.5I.U./cm)濃度の双方によって、TachoComb Sに関して最大接着強度が得られることを確認した。
【0143】
(実施例4)
イヌにおける脾臓および肝臓病変の密閉におけるTachoComb Sの有効性
本研究の目的は、イヌの脾臓および肝臓病変モデルにおいてTachoComb H(アプロチニンを含む)の止血有効性をTachoComb S(アプロチニンを含まない)と比較することであった。毛細血管出血を模倣するために脾臓の切開および穿刺(深さ0.5cm)を選択した。強く出血する表面創傷(2〜3cm)を模倣するために上部肝小葉の先端の切除を行った。TachoComb HまたはTachoComb S小片を、創傷に対する唯一の止血手段として適用した(同じイヌにおいて脾臓および肝臓病変に対して同じロットを用いた)。臨床の実践において再出血するリスクが最も高い時間である術後48時間に剖検を行った。
【0144】
双方の製品について完全な止血を認めた。肉眼での観察または組織学的検査のいずれにおいても48時間での剖検時に二次出血症例を認めなかった。
【0145】
同様に、それぞれの小片で覆った脾臓および肝臓病変を創傷の止血および治癒に関して組織学的に評価したところ、TachoComb HまたはTachoComb Sを適用したイヌにおいても差を認めなかった。術後の二次出血症例を認めなかった。
【0146】
血球数のデータは、双方の治療群について類似の結果を示し、術後48時間で白血球数の軽度の増加を認めた。評価した他の如何なるパラメータについても群または時間による差を認めなかった。同様に、凝固試験は、アプロチニンの有無に関連して差を示さなかった。血液中のフィブリノーゲン含有量の上昇は術後48時間で双方の治療群において明白であった。白血球数および血中のフィブリノーゲン含有量の上昇は、外科的外傷に反応した炎症が原因であると見なすことができ、TachoComb HまたはSの毒性副作用ではないと考えられる。
【0147】
TachoComb S(アプロチニンを含まない)は、イヌにおける毛細血管出血および強く出血する実質創傷の治療においてTachoComb H(アプロチニンを含む)と同じ有効性を発揮すると結論される。選択した条件における凝血の安定性は、アプロチニンの有無によって影響を受けなかった。
【0148】
(実施例5)
吸収性のTachoComb SおよびTachoComb Hの止血、創傷密閉作用、および抵抗性の比較:ブタにおける実験研究
【0149】
試験の目的
ブタにおいて誘導した脾臓病変に及ぼす止血フリースの即時有効性および短期抵抗性を評価する試験をデザインした。
【0150】
材料および方法
雌性ブタ24匹を試験に用いた。止血フリース2群を無作為に試験した:アプロチニンを含むTachoComb Hとアプロチニンを含まないTachoComb S。
【0151】
手術当日、脾臓の腹側に外科的に作製した2×3cmの標準化病変を直接密閉するフリースを動物に適用した。
【0152】
血性水疱数を計数して、止血に要した時間を測定することによって、フリースの即時および止血効果を評価した。TachoComb HおよびSの接着性を記入した。
【0153】
72時間後、脾臓内圧を増加させる(静脈血管をクランプで止める)ことによって、双方の材料の短期挙動および抵抗性を調べた。
【0154】
圧力がほぼ定常状態に達した場合、動脈圧を増加させるために、塩酸ドブタミン注入を行って、または行わずに、アドレナリンの静脈内ボーラス投与(0.02mgまたは0.04mg)を行った。
【0155】
これらの薬理物質によって、TachoComb HおよびS修復病変の出血圧の破裂を、それぞれの動物に関して示した。
【0156】
結果
止血作用に及ぼす脾臓病変手術時の処置には差を検出しなかった。
【0157】
72時間後に二回目に観察した際に、双方のフリースの肉眼的外観は同一であった。
【0158】
急激な圧測定および破裂抵抗性は、双方の実験群において有意差を示さなかった。
【0159】
材料の破裂は起こらなかった。病変の出血は、TachoComb S群の動物4例において認められ、TachoComb H群の動物2例において認められた(4群ではさらに血性水疱1例)。
【0160】
組織学試験は、アプロチニンがフリースの構造に対して保護作用を発揮する可能性があること、アプロチニンがフリースの分解を減少させることによって顕微鏡パターンを改変するように思われることを示唆した。特異的細胞パターンを認めなかった。
【0161】
結論
TachoComb SおよびHの二つの処方の即時止血活性を、ブタ24例における標準化脾臓病変モデルにおいて調べた。
【0162】
双方の材料は、有効性、病変に対する接着性、および実質に対する適応性に関して類似の挙動を示した。それらの有効性は強い印象を与えた。
【0163】
脾臓内圧(機械的および薬理的手段によって)を増加させ、TachoComb HおよびSフリースの局所抵抗性を記録することによって、分解およびタンパク質溶解に対する抵抗性を術後72時間で調べた。二つの材料の抵抗性に有意差を証明できなかった。
【0164】
しかし、組織病理学的知見は、TachoComb Sのタンパク質溶解による分解がTachoComb Hの場合よりわずかに顕著であることを示した。
【0165】
TachoComb SまたはTachoComb Hは、ブタにおける強く出血する脾臓病変を密閉するための唯一の止血手段として用いた(表面病変2cm×3cm、深さ3〜5mm;一群n=12)。72時間後、脾臓静脈(複数)を結紮することによって、脾臓内圧を増加させた。その後、アドレナリンを注射して脾臓内圧をさらに増加させた。小片の下の再出血または血性水疱の発生の兆候に関して、ブタを観察した。剖検後に、試料の組織病理学試験(TachoComb HおよびSによって密閉した病変部位)を行った。
【0166】
TachoComb SおよびTachoComb Hは類似の有効性、病変に対する接着性、および実質に対する適応性を示した。
【0167】
(実施例6)
吸収性のTachoComb SおよびTachoComb Hの止血創傷密閉作用および抵抗性の比較:ブタの急性膵炎モデルにおける実験的研究
【0168】
試験の目的
ブタの急性膵炎モデルにおいて誘導された脾臓病変に対する止血フリースの即時有効性および短期抵抗性を評価するために試験をデザインした。
【0169】
材料および方法
雌性ブタ20匹を試験に用いた。止血フリース2群を無作為に試験した:アプロチニンを含むTachoComb Hおよびアプロチニンを含まないTachoComb S。
【0170】
手術当日、脾臓の腹側に外科的に作製した2×3cm標準化病変を直接密閉するフリースを動物に適用した。
【0171】
血性水疱数を計数して、止血に要した時間を測定することによって、フリースの即時および止血効果を評価した。TachoComb HおよびSの接着性を記入した。
【0172】
次に、滅菌シリンジを用いて、胆嚢を穿刺して、胆汁を採取して胆汁10mlをウィルズング管の中に注入して膵炎を誘発した。血中の酵素レベル(リパーゼおよびアミラーゼレベル)を術前および術後毎日モニターした。
【0173】
TachoComb HおよびSの小片は、その腸接合部で膵臓実質に付着した。
【0174】
72時間後、TachoComb HおよびSの酵素的分解に対する短期挙動および抵抗性を、脾臓内圧を増加させることによって調べた(静脈血管のクランプおよび薬理学的手段)。
【0175】
圧力がほぼ定常状態に達した場合、動脈圧を増加させるために、塩酸ドブタミンの0.3〜0.6mg/分の還流を行って、または行わずに、ノルアドレナリン0.02〜0.04mg/分の注入後にアドレナリンの静脈内ボーラス投与(0.02mgまたは0.04mg)を行った。
【0176】
これらの薬理物質によって、TachoComb HおよびS修復病変の出血圧の破裂を、それぞれの動物に関して記入した。
【0177】
結果
脾臓に対して、双方の材料は、即時止血有効性、病変に対する接着性、および実質に対する適応性に関して類似の挙動を示した。それらの有効性は非常に印象が強かった。
【0178】
双方のフリースを3日目に肉眼的に観察したところ不変であったが、酵素状態は、特に血液中では2日目、および腹腔液ではなお4日目において重度であった。
【0179】
72時間において、脾臓内圧の増加後、双方の材料に対する抵抗性に有意差を証明できなかった。
【0180】
TachoComb S群において材料の破裂1例が起こった。病変の出血は、TachoComb S群の動物1例において認め、TachoComb H群の動物2例において認めた(TachoComb H群では血性水疱1例を認めた)。
【0181】
組織病理学的知見では、TachoComb Hと比較してTachoComb Sの分解に有意差を示さなかった。特異的な細胞パターンを脾臓に認めなかった。膵臓試料においても、TachoComb HおよびSの小片は高濃度の膵酵素に近接したが、如何なる主要な変化も示さなかった。
【0182】
結論
結論すると、膵酵素が増加した環境条件におけるその破裂抵抗性に関して、TachoComb SとTachoComb Hの間に明白な差を認めなかった。
【0183】
TachoComb HおよびTachoComb Sの双方の改変に関する特異的な肉眼的または顕微鏡的証拠は検出できなかった。
【0184】
TachoComb SおよびTachoComb Hの止血有効性を、胆汁をウィルズング管の中に逆行注入して、その後膵管を結紮することによって誘導した急性膵炎を有するブタにおいて標準化脾臓病変モデル(表面病変2cm×3cm、深さ約3mm;n=10/群)において調べた。TachoComb HおよびTachoComb Sの小片も同様に、膵管結紮部位で膵臓に適用した。術後72時間で、脾臓の静脈を結紮してアドレナリンを静脈内注射することによって、脾臓内圧を増加させた。
【0185】
脾臓に対して、TachoComb SおよびTachoComb Hは、膵酵素レベルの顕著な増加にもかかわらず(基礎レベルと比較して血液中のアミラーゼおよびリパーゼの20〜100倍の増加、および腹腔液における膵酵素の10〜100倍増加)、即時止血有効性、病変に対する接着性、および脾臓内圧の増加に対する抵抗性に関して類似の挙動を示した。組織病理学知見は、TachoComb SおよびTachoComb Hの分解において有意差を示さなかった。特異的細胞パターンを脾臓に認めなかった。TachoComb HおよびSを高濃度の膵酵素に近接させた後の膵臓試料においても、TachoComb HおよびSの接着性および組織病理学は如何なる主要な差も示さなかった。
【0186】
このように、ブタにおける急性膵炎のこの非常にストレスに満ちたモデルにおいて、TachoComb SおよびTachoComb Hの間には如何なる特異的な肉眼的または顕微鏡による差も認められなかった。
【0187】
(実施例7)
吸収性のTachoComb HおよびTachoComb Sの脳組織反応および有効性の比較:正常な凝固および局所高線維素溶解時のウサギモデルにおける実験的研究
本研究の目的は、神経外科適用後のTachoComb SおよびTachoComb Hの有効性を比較することであった。正常な凝固状態(脳組織反応=BTR、ウサギn=12、適格n=10)および局所r−tPAの適用による高線維素溶解状態(HF)(ウサギn=10)においてウサギに脳の病変を誘導した。1半球あたり、皮質病変3個を作製した(動物あたり全体で病変6個;深さ3mmおよび直径4mmの穴を開けた脳病変)。
【0188】
BTRシリーズ
半球あたり病変3個中2個に、TachoComb HまたはTachoComb Sをそれぞれ処置して、1半球あたり病変1個を対照として残した。病変をTachoComb HまたはSによって密閉した後に、生理食塩液を連続的に低速で潅流しながら高倍率で出血時間を測定した。全ての病変において止血が得られた後、アドレナリンの静脈内注射(0.01mg/kgアドレナリン)によって動脈高血圧症を誘導し、このように、平均動脈圧(MAP)を少なくとも120mmHgに増加させた。この技法の際に、再出血の観察を継続した。MAPが正常値に低下した後、再度皮膚を閉鎖した。剖検までの時間は、3および7日であった(それぞれウサギn=5)。動物3匹において、3日目に剖検前に磁気共鳴造影を行った。剖検時に、病変部位の肉眼的観察を行って、組織病理学試料を採取した。
【0189】
HFシリーズ
BTRシリーズに記述したように、病変を確立した後、r−tPAを病変に滴下して(1病変あたり0.3mg r−tPAの0.5ml生理食塩液溶液)から、全ての病変をTachoComb SまたはTachoComb Hによって密封した。出血時間は、高倍率で測定して、生理食塩液によって連続的に低速で潅流した。肉眼的観察による剖検は、1日目(n=7)および3日目(n=3)に行った。組織病理学は、比較理由のために3日目に行った標本について行った。
【0190】
試験全体の過程において、密閉有効性、増加MAPに対する抵抗性、および出血時間の期間に関しても、または組織病理学に関してもTachoComb SとTachoComb Hの間に差がないことは明白であった。重度の出血は、病変部位のみならず表面全体の皮膚の下でHFシリーズの全ての動物において明白であった。これらの重度の状態にもかかわらず、TachoComb Sは、TachoComb Hと比較して類似の有効性を発揮した。
【0191】
(実施例8)
TachoComb HおよびTachoComb Sの神経外科応用:脳組織反応と止血有効性
液体フィブリンシーラントは、神経外科において大規模な止血のために用いられる。TachoComb(登録商標)に対する脳組織反応に関する包括的な公表データはなく、抗線維素溶解剤(すなわち、アプロチニン)の使用もなおも議論されている。
【0192】
目的
試験デザインは、二つの主な問題に集中した:組織学的方法および近代的な造影技術を用いて、TachoComb H(TCH)およびTachoComb S(TCS)を皮質病変に適用後のブランク対照病変(CL)と比較した短期間の局所脳組織反応の評価。
【0193】
第二の目的は、正常な凝固(BTR群)および局所誘導された重度の高線維素溶解状態(HF群)におけるTachoComb HおよびS製品の止血有効性を調べること、ならびにアプロチニンが調製物の止血特性および接着力に対して何らかの影響を及ぼすか否かを評価することであった。
【0194】
材料および方法
若いウサギ22羽のシリーズにおいて、皮質病変3個をそれぞれの半球に作製した。動物12羽を脳組織反応(BTR)群に割付して、動物10羽を高線維素溶解(HF)群に割付した。
【0195】
BTR動物において、病変2個にTachoComb HおよびTachoComb Sをそれぞれ充填して、第三の病変を対照として残した。出血時間を測定して、動脈高血圧症の誘導による再出血の発生をモニターした。動物を術後3および7日目に屠殺して、組織学試験を行った。BTR動物3例において、脳浮腫を評価するための磁気共鳴画像を3日目に安楽死の直前に行った。
【0196】
重度の局所高線維素溶解状態が組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(rt−PA)によって予め誘導されているHF動物において、1半球の3個全ての病変をTachoComb Hによって処置して、他の半球の病変をTachoComb Sによって処置した。出血時間を測定して、動物3例において、組織学試験を3日目に行った。
【0197】
結果
正常な凝固(BTR動物)状態において、TCHおよびTCSによる止血は、止血剤を用いない場合より有意に速かった(p<0.001)。双方の製品の出血時間には有意差がないが(p=0.294)、これらの時間はブランク病変より一貫して短かった(p<0.001)ことが証明された。
【0198】
誘導された動脈高血圧症の間、再出血はTCH病変24例中1例、TCS病変24例中3例、および対照病変24例中19例に発生した。止血剤が存在すれば、動脈圧が重度に増加している間の再出血が一貫して予防された(カイ二乗=16.3;p>0.001)。逆に、動脈圧が増加した場合にTCHまたはTCSが存在しなければ、再出血発生のリスクは80%であることが示された。
【0199】
高線維素溶解群(HF動物)における出血時間の統計学的分析は、双方の製品に関して出血時間に差を示さなかった(符号付順位検定:p=0.927およびT検定:p=0.4102)。
【0200】
最後に、99.73%の安全性区間(D<3sdD=ns)において、双方の凝固状態において同じ製品の止血有効性に有意差が存在する可能性は除外された。
【0201】
結論
TachoComb HおよびTachoComb Sは、脳組織において如何なる特異的組織薄的変化も誘導しなかった。双方の製品は、それらが病変単独の場合より多い組織反応を誘導しなかったことから、良好な脳実質生体適合性を有する。配合製品に関連した副作用は形態学的に認められなかった。組織学試験は、正常、または重度の凝固障害状態においても双方の製品に差を示さなかった。TachoComb HおよびSは、正常な凝固および高線維素溶解状態において、同じ止血有効性および接着力を有する。アプロチニンは、重度の凝固障害においても、止血の質および接着力に対して影響を及ぼさないという強い証拠が存在する。
【0202】
文献と比較して、TachoComb HおよびSは、酸化セルロースおよびコラーゲンフリースよりはるかに速やかに止血を確立する。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】1.1 Opraskin(登録商標):非コーティング/コーティング。1.2 コーティングOpraskin(登録商標):内視鏡装置に挿入。1.3 コーティングOpraskin:内視鏡装置に挿入後展開。
【図2】2.1 Willospon(登録商標)フォルト:非コーティング/コーティング。2.2 コーティングWillospon(登録商標)フォルト:内視鏡装置に挿入。2.3 コーティングWillospon(登録商標)フォルト:内視鏡装置に挿入後展開。
【図3】3.1 Willospon(登録商標)スペシャル:非コーティング/コーティング。3.2 コーティングWillospon(登録商標)スペシャル:内視鏡装置に挿入。3.3 コーティングWillospon(登録商標)スペシャル:内視鏡装置に挿入後展開。
【図4】4.1 Ethisorb(登録商標)パッチ:非コーティング/コーティング。4.2 コーティングEthisorb(登録商標)パッチ:内視鏡装置に挿入。4.3 コーティングEthisorb(登録商標)パッチ:内視鏡装置に挿入後展開。
【図5】5.1 Tabotamp(登録商標)NUニット:非コーティング/コーティング。5.2 コーティングTabotamp(登録商標)NUニット:内視鏡装置に挿入。5.3 コーティングTabotamp(登録商標)NUニット:内視鏡装置に挿入後展開。
【図6】6.1 スポンジNycomed:非コーティング/コーティング[研究所試料]。6.2 コーティングスポンジNycomed[研究所試料]:内視鏡装置に挿入。6.3 コーティングスポンジNycomed[研究所試料]:内視鏡装置に挿入後展開。6.3 コーティングスポンジNycomed[製造試料=TachoComb(登録商標)]:内視鏡装置に挿入後展開。
【図7】内視鏡ツール:Endodock(登録商標)。内視鏡ツール:Endodock(登録商標)。内視鏡ツール:Endodock(登録商標)。
【図8】凝血と担体小片の血液凝固および分解。担体コーティングの活性成分は灰色の影をつけた四角で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に以下からなる固体組成物:
a)以下の物理的特性の少なくとも一つを有する担体:
5〜100 N/cmの範囲の弾性係数、
1〜10 mg/cmの密度、
直径が0.75mmより大きく4mm未満、および/または平均直径が3mm未満である小室、
ならびに均一に分布して該担体に固定される、
b)固体フィブリノーゲン、および
c)固体トロンビン。
【請求項2】
担体が、ポリヒアルロン酸、ポリヒドロキシ酸、例えば乳酸、グルコール酸、ヒドロキシブタン酸、セルロース、ゼラチン、またはコラーゲンスポンジ、例えば本質的にI型コラーゲン線維からなるコラーゲンスポンジのようなコラーゲンといった生分解性のポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
担体が哺乳類、トランスジェニック、または組換え型起源からのI型コラーゲン材料を含むコラーゲンスポンジである、請求項2記載の担体。
【請求項4】
担体が、一つまたは複数の活性面を有し、フィブリノーゲンが4.3〜6.7 mg/cmのような、好ましくは約5.5mg/cmのような、2〜10 mg/cmの量で存在し、トロンビンが1.5〜5.5IU/cm、好ましくは約2.0I.U./cmの量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
フィブリノーゲンがヒトの、天然資源から精製された、またはトランスジェニックもしくは組換え型ヒトフィブリノーゲンである、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
フィブリノーゲンが天然資源から精製される、請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
フィブリノーゲンがトランスジェニックまたは組換え型である、請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
トロンビンが、ヒトの、天然資源から精製された、またはトランスジェニックもしくは組換え型ヒトトロンビンである、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
トロンビンが天然資源から精製される、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
トロンビンがトランスジェニックまたは組換え型である、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
以下の物理的特性:
5〜100N/cmの範囲の弾性係数、
1〜10mg/cmの密度、
直径が0.75mmより大きく4mm未満、および/または平均直径が3mm未満である小室
の少なくとも一つを有し、ならびに
固体フィブリノーゲン、および
固体トロンビンをさらに含むが、
アプロチニン、ε−アミノカプロン酸、またはα2−アンチプラスミンのような抗線維素溶解剤を含まない柔軟な担体を含む、止血、組織密閉、および組織接着のための材料であって、
コーティングされた材料の試料をVibrofixシェーカーにおいて回転数約1000rpmで2分間振とうした場合の剥離が1.0mg/cm未満であるように、固体フィブリノーゲンと固体トロンビンとが担体に固定され、かつ
コーティングされた担体材料を内視鏡装置に挿入して、その後除去した場合に、材料が実質的に不変であり、担体の柔軟性および固体フィブリノーゲンと固体トロンビンの固体接着の指標としてコーティング材料の投入が20%未満であり、
上記の材料が実質的に空気および液体を通さず、ラテックスシートに対するコーティングされた担体の固定、圧によるラテックスシートの3回の伸展と3回目でのラテックスシート伸展の最高点でのコーティングされた担体の面積の測定、およびコーティングされた担体の伸展面積とコーティング領域の開始面積との比較を含む試験によって決定した場合に、弾性係数が少なくとも1.25である、材料。
【請求項12】
以下の物理的特性:
5〜100N/cmの範囲の弾性係数、
1〜10mg/cmの密度、
直径が0.75mmより大きく4mm未満、および/または平均直径が3mm未満である小室
の少なくとも一つを有し、
ならびに組織密閉のための製品を調製するために十分量のフィブリノーゲンおよび十分量のトロンビンを有する担体の使用。
【請求項13】
以下の物理的特性:
5〜100N/cmの範囲の弾性係数、
1〜10mg/cmの密度、
直径が0.75mmより大きく4mm未満、および/または平均直径が3mm未満である小室
の少なくとも一つを有し、
ならびに止血のための製品を調製するために十分量のフィブリノーゲンおよび十分量のトロンビンを有する担体の使用。
【請求項14】
以下の物理的特性:
5〜100N/cmの範囲の弾性係数、
1〜10mg/cmの密度、
直径が0.75mmより大きく4mm未満、および/または平均直径が3mm未満である小室
の少なくとも一つを有し、
ならびに組織密閉のための製品を調製するために十分量のフィブリノーゲンおよび十分量のトロンビンを有する担体の使用。
【請求項15】
食道、胃、小腸、大腸、直腸のような消化管系、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、肺、副腎、甲状腺、およびリンパ節のような実質臓器における外科的介入、心血管手術、気管、気管支、および肺の手術を含む胸部手術、歯科手術を含む耳、鼻、および喉(ENT)領域における外科的介入、婦人科、泌尿器科、血管、骨(例えば、海綿骨切除)、緊急手術、神経科手術、リンパ、胆管、および脳脊髄液(CSF)フィステル、ならびに胸部および肺の手術の際の空気漏出のための、請求項12〜14のいずれか一項記載の使用。
【請求項16】
担体が、ポリヒアルロン酸、ポリヒドロキシ酸、例えば乳酸、グルコール酸、ヒドロキシブタン酸、セルロース、ゼラチン、またはコラーゲンスポンジ、例えば、本質的にI型コラーゲン線維からなるコラーゲンスポンジのようなコラーゲンといった生分解性のポリマーである、請求項12〜15のいずれか一項記載の使用。
【請求項17】
担体が一つまたは複数の活性面を有し、フィブリノーゲンが、4.3〜6.7 mg/cmのような、好ましくは約5.5mg/cmのような、2〜10mg/cmの量で存在し、トロンビンが1.5〜2.5IU/cmの量、好ましくは2.0I.U./cmの量で存在する、請求項12〜16のいずれか一項記載の使用。
【請求項18】
フィブリノーゲンがヒトの、天然資源から精製された、またはトランスジェニックもしくは組換え型ヒトフィブリノーゲンである、請求項12〜17のいずれか一項記載の使用。
【請求項19】
フィブリノーゲンが天然資源から精製される、請求項12〜18のいずれか一項記載の使用。
【請求項20】
フィブリノーゲンがトランスジェニックまたは組換え型である、請求項12〜18のいずれか一項記載の使用。
【請求項21】
トロンビンが、ヒトの、天然資源から精製された、またはトランスジェニックもしくは組換え型ヒトトロンビンである、請求項12〜20のいずれか一項記載の使用。
【請求項22】
トロンビンが天然資源から精製される、請求項12〜21のいずれか一項記載の使用。
【請求項23】
トロンビンがトランスジェニックまたは組換え型である、請求項12〜21のいずれか一項記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−190399(P2007−190399A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−51088(P2007−51088)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【分割の表示】特願2002−559083(P2002−559083)の分割
【原出願日】平成14年1月25日(2002.1.25)
【出願人】(503267630)ニコメド ファーマ エイエス (1)
【Fターム(参考)】