説明

固体撮像装置および電子カメラ

【課題】より高速な撮像動作を行うことができる固体撮像装置および電子カメラを提供する。
【解決手段】リセット部によって蓄積部の電荷をリセットした後の蓄積部の電位に基づくリセット信号と、光電変換部の電荷を全画素で一括して排出することによって露光が開始され、転送部によって光電変換部の電荷を全画素で一括して蓄積部に転送することによって露光が終了した後の蓄積部の電位に基づく光信号とが画素から読み出される。補正信号発生部37は、蓄積部で発生する暗電流成分に相当する補正信号を発生する。補正処理部38は、リセット信号と光信号との差分処理を行い、差分処理で得られた差分信号を、補正信号を用いて補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子を有する画素から信号を読み出して処理する固体撮像装置および電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの急速な普及により、画像入力機器としてのデジタルカメラの需要が拡大している。デジタルカメラの画質を決定する要素は幾つかあるが、その中でも撮像素子の画素数は撮影画像の解像度を決定する大きな要素である。そのため、最近では画素数が1200万以上のデジタルカメラも商品化されている。
【0003】
デジタルカメラには、光学像を電気信号に変換する撮像素子が搭載されている。この撮像素子のマーケットシェアは、近年、CCDからCMOSへと移行しつつある。CMOS等の一般的なMOS型撮像素子は、撮像面に2次元状に配列された複数の画素に蓄積された電荷を順次読み出すようになっているが、そのままでは露光開始時刻および露光終了時刻が画素毎(あるいはライン毎、複数ライン毎)に異なる場合がある。
【0004】
そこで、全画素の露光開始時刻を同一にし、かつ全画素の露光終了時刻を同一にする、電気的なグローバルシャッタによる制御ができるように構成されたMOS型撮像素子がある。このMOS型撮像素子は、露光量に応じた電荷を発生するフォトダイオード等の光電変換部を備えると共に、光電変換部において発生した電荷を一時的に蓄積する蓄積部や、電荷の転送やリセットを行う際にスイッチとして機能するトランジスタ等を備えている。
【0005】
上記のグローバルシャッタによる制御が可能な撮像素子をデジタルカメラに用いる場合に、KTCノイズ(リセットノイズ)を抑圧するために、以下のようなシーケンスで撮像素子およびその周辺回路を駆動する技術が、例えば特許文献1に記載されている。
(1)蓄積部に蓄積された電荷をリセットし、リセット信号をライン毎に順次走査して読み出し、記憶する。
(2)全画素の光電変換部で発生した電荷を一括してリセットし、所定の露光時間が経過した後に、光電変換部の電荷を一括して蓄積部へ転送する。
(3)蓄積部へ転送された電荷に基づく光信号を、ライン毎に順次走査して読み出し、光信号から、(1)で記憶したリセット信号を減算する(光信号とリセット信号との差分をとる)。
【0006】
図11は、上述したシーケンスによる信号の読み出しを模式的に示している。まず、蓄積部に蓄積された電荷がリセットされ、リセット後の蓄積部の電位に基づくリセット信号が行毎に読み出される。このリセット信号の読み出しは、リセットフレームにおいて行われ、1フレーム分のリセット信号が読み出される。リセット信号の読み出しが終了すると、全画素において、光電変換部が一括してリセットされ、露光が開始される。
【0007】
所定の露光時間(蓄積時間)が経過した後、全画素において、光電変換部から蓄積部へ電荷が一括して転送される。続いて、電荷が転送された後の蓄積部の電位に基づく光信号が行毎に読み出される。この光信号の読み出しは、ビデオフレームにおいて行われ、1フレーム分の光信号が読み出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−65184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したようなシーケンスでMOS型撮像素子を駆動した場合には、蓄積部に蓄積された電荷をリセットすることにより発生するKTCノイズ(リセットノイズ)や、蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を増幅するMOSトランジスタのしきい値電圧のばらつき(以下、単にしきい値ばらつきと記載する)等の固定パターンノイズからなるノイズ成分は、上記(3)の減算により補正できる。しかし、蓄積部に蓄積された電荷をリセットした後、光電変換部の電荷を一括して蓄積部へ転送するまでに蓄積部で発生する暗電流のばらつき成分が補正できずに、最終的に得られる画像に固定パターンノイズが残留してしまう。
【0010】
特に、上述したシーケンスにおいては、各画素の蓄積部において暗電流が発生する時間は、1フレーム分の信号を読み出す時間と、光電変換部に電荷を蓄積する蓄積時間とを合計した時間(図11の1フレーム読み出し時間と蓄積時間の和である時間Aに相当)になる。このため、通常の読み出しでは問題にならない、蓄積部で発生する暗電流成分が無視できなくなる。
【0011】
一方、この暗電流成分を補正するために、上述したシーケンスによる読み出し動作の前または後に、補正用のフレームを設け、光電変換部の電荷を蓄積部へ転送せずに、同様の読み出しを行い、蓄積部の暗電流のばらつき成分を取得する方法が考えられる。図12は、この方法による信号の読み出しを模式的に示している。この方法では、上記と同様にしてリセット信号を読み出し、上記の蓄積時間に相当する時間が経過した後、光電変換部の電荷を蓄積部へ転送せずに、蓄積部の電位に基づくノイズ信号を読み出す。このノイズ信号からリセット信号を減算する差分処理を行うことによって、KTCノイズ(リセットノイズ)やしきい値ばらつき等の固定パターンノイズからなるノイズ成分を補正し、蓄積部の暗電流のばらつき成分を得ることができる。
【0012】
上記のようにして得られた暗電流のばらつき成分を、光信号からリセット信号を減算した結果からさらに減算することで固定パターンノイズを補正することができる。しかし、この方法では、2種類のリセット信号、光信号、およびノイズ信号を取得しているため、4枚の画像から1枚の画像を生成することになり、著しく撮像速度が低下する。
【0013】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、より高速な撮像動作を行うことができる固体撮像装置および電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、光を電荷に変換する光電変換部と、前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する蓄積部と、前記光電変換部から前記蓄積部への電荷転送を制御する転送部と、前記光電変換部で発生した電荷を排出する排出部と、前記蓄積部に蓄積された電荷をリセットするリセット部と、前記蓄積部の電位に基づく信号の読み出しを選択する選択部と、を有し、行方向および列方向の二次元状に配列された、読み出し対象領域内の複数の画素と、前記リセット部によって前記蓄積部の電荷をリセットした後の前記蓄積部の電位に基づくリセット信号を前記画素から行毎に読み出し、前記排出部によって前記光電変換部の電荷を全画素で一括して排出することによって露光を開始し、前記転送部によって前記光電変換部の電荷を全画素で一括して前記蓄積部に転送することによって露光を終了し、露光終了後の前記蓄積部の電位に基づく光信号を前記画素から行毎に読み出す制御を行う読み出し制御部と、前記蓄積部で発生する暗電流成分に相当する補正信号を発生する補正信号発生部と、前記リセット信号と前記光信号との差分処理を行い、前記差分処理で得られた差分信号を、前記補正信号を用いて補正する補正処理部と、を有することを特徴とする固体撮像装置である。
【0015】
また、本発明の固体撮像装置において、前記読み出し制御部はさらに、前記リセット部によって前記蓄積部の電荷をリセットした後の前記蓄積部の電位に基づく第2のリセット信号を前記画素から行毎に読み出し、前記第2のリセット信号を読み出してから所定時間が経過した後の前記蓄積部の電位に基づくノイズ信号を前記画素から行毎に読み出す制御を行い、前記補正処理部はさらに、前記第2のリセット信号と前記ノイズ信号との第2の差分処理を行って第2の差分信号を生成し、前記補正信号発生部は、前記第2の差分信号を前記補正信号として記憶することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の固体撮像装置は、温度を検出する温度検出部を更に有し、前記補正信号発生部は、異なる温度に対応した複数種類の前記補正信号を発生し、前記補正処理部は、前記温度検出部によって検出された温度に応じて、前記複数種類の前記補正信号のいずれかを選択し、選択した前記補正信号を用いて前記差分信号を補正することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の固体撮像装置は、温度を検出する温度検出部を更に有し、前記補正信号発生部は、異なる温度に対応した複数種類の前記補正信号を発生し、前記補正処理部は、前記温度検出部によって検出された温度に応じて、前記複数種類の前記補正信号から第2の補正信号を生成し、生成した前記第2の補正信号を用いて前記差分信号を補正することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の固体撮像装置において、前記補正信号は、所定の蓄積時間に対応するものであり、前記補正処理部は、撮影動作における蓄積時間と、前記所定の蓄積時間とに応じて前記補正信号を補正し、補正後の前記補正信号を用いて前記差分信号を補正することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の固体撮像装置において、前記読み出し制御部は、前記第2のリセット信号および前記ノイズ信号を複数回ずつ読み出す制御を行い、前記補正処理部はさらに、複数回ずつ読み出された前記第2のリセット信号と前記ノイズ信号との前記第2の差分処理を行って複数種類の前記第2の差分信号を生成し、当該複数種類の前記第2の差分信号の平均化処理を行い、前記補正信号発生部は、前記平均化処理で得られた信号を前記補正信号として記憶することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記の固体撮像装置を備えた電子カメラである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ノイズ信号と光信号との差分処理で得られた差分信号を、補正信号発生部が発生した補正信号を用いて補正することによって、蓄積部で発生する暗電流成分を補正するための信号を別途読み出す場合と比較して、より高速な撮像動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置が有する撮像素子の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置が有する補正部の構成を示す構成図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置が有する撮像素子の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態による固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による固体撮像装置が有する補正部の構成を示す構成図である。
【図8】本発明の第3の実施形態による固体撮像装置が有する補正部の構成を示す構成図である。
【図9】本発明の第3の実施形態において、蓄積部で発生する暗電流の温度特性を示すグラフである。
【図10】本発明の第4の実施形態において、蓄積部で発生する暗電流の時間特性を示すグラフである。
【図11】グローバルシャッタによる信号読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【図12】蓄積部の暗電流のばらつき成分を得るための信号読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態による固体撮像装置(デジタルカメラ100a)の構成を示している。図1に示すデジタルカメラ100aは、レンズ部22、撮像素子24、信号処理部26、メモリ部27、記録媒体28、レンズ制御部29、駆動部31、操作部32、制御部33、表示部34、および補正部35aを備える。
【0025】
レンズ部22はズームレンズやフォーカスレンズを備えており、被写体からの光を撮像素子24の受光面に被写体像として結像する。レンズ制御部29は、レンズ部22のズーム、フォーカス、絞りなどを制御する。レンズ部22を介して取り込まれた光は撮像素子24の受光面で結像される。撮像素子24は、受光面に結像された被写体像を画像信号に変換して出力する。撮像素子24の受光面には、複数の画素が行方向および列方向に二次元的に配列されている。
【0026】
補正部35aは、撮像素子24から出力された画像信号に対して高画質化の為の補正処理を行う。信号処理部26は、補正部35aから出力された画像信号に対して、予め定められた処理を行う。信号処理部26によって行われる処理には、画像データの各種の補正や画像データの圧縮などがある。メモリ部27は、画像データを一時的に記憶する。
【0027】
表示部34は、動画像(ライブビュー画像)の表示、静止画像の表示、記録媒体に記録された動画像や静止画像の表示、デジタルカメラ100aの状態の表示などを行う。記録媒体28は、画像データの記録または読み出しを行うための半導体メモリなどにより構成されており、着脱可能な状態でデジタルカメラ100aに内蔵される。
【0028】
駆動部31は、撮像素子24を駆動し、その動作を制御する。操作部32は、操作者が撮像開始の指示を入力するためのレリーズボタンなどを備え、操作者が行った操作入力を検出し、操作内容に応じた信号を出力する。制御部33は、デジタルカメラ100a全体の制御を行う。また、制御部33は、操作部32から出力された信号に応じて、デジタルカメラ100aを構成する各部に制御信号を出力する。
【0029】
次に、撮像素子24の構成について説明する。図2は、撮像素子24の構成を示している。図2に示すように、撮像素子24は、単位画素である画素7、垂直回路8(垂直走査回路)、水平回路9(水平走査回路)、およびコントローラ10を備える。
【0030】
撮像素子24の受光面には複数の画素7が行方向および列方向に二次元的に配列されている。全ての画素7は、画像信号を読み出す対象となる読出し対象領域に含まれる。読出し対象領域は、少なくとも有効画素領域の全画素を含むことが望ましい。図2に示す例では、n(nは2以上の自然数)行目およびn−1行目の1列目と2列目の4つの画素7のみを図示し、他の行および列の画素を省略している。このように一部の画素のみを図示し、他の画素を省略しているのは、図としての表現の都合のためであり、画素数を限定するわけではない。画素7は、列毎に設けられた垂直信号線21に接続されている。
【0031】
画素7は、光電変換部1(PD)、蓄積部2(FD)、転送部3、リセット部4、排出部5、および選択部6を備える。
【0032】
光電変換部1は、フォトダイオード等の光電変換素子で構成され、入射した光を電荷に変換して蓄積(保持)する。光電変換部1は転送部3および排出部5に接続されている。蓄積部2は、光電変換部1から転送部3を介して転送される電荷を蓄積(保持)する。蓄積部2は転送部3、リセット部4、および選択部6に接続されている。
【0033】
転送部3は、光電変換部1および蓄積部2に接続されており、光電変換部1で発生した電荷を蓄積部2に転送する。転送部3は、例えばトランジスタによって、オン/オフの切替が可能なスイッチとして構成されている。転送部3の動作は、転送制御信号φTX1(i)(iは任意の行番号)によって制御される。
【0034】
リセット部4は、蓄積部2および電源に接続されており、蓄積部2の電位を所定電位に設定することによって、蓄積部2に蓄積されている電荷をリセットする。リセット部4によるリセットは、蓄積部2の電荷量を制御して蓄積部2の状態を基準状態に設定することを指す。リセット部4は、例えばトランジスタによって、オン/オフの切替が可能なスイッチとして構成されている。リセット部4の動作は、リセット制御信号φRES(i)によって制御される。
【0035】
排出部5は、光電変換部1および電源に接続されており、光電変換部1の電位を電源電位に設定することによって、光電変換部1に蓄積されている電荷を排出(リセット)する。排出部5による排出は、光電変換部1の電荷量を制御して光電変換部1の状態を基準状態に設定することを指す。排出部5は、例えばトランジスタによって、オン/オフの切替が可能なスイッチとして構成されている。排出部5の動作は、排出制御信号φTX2(i)によって制御される。
【0036】
選択部6は、蓄積部2および垂直信号線21に接続されており、蓄積部2の電位に基づく画像信号を垂直信号線21に出力する制御を行う。選択部6は、オン/オフの切替が可能であり、選択部6のオン/オフの切替によって、画像信号を読み出す画素7の選択が行われる。選択部6の動作は、選択制御信号φSEL(i)によって制御される。上記の画素7の構成は一例であり、各種の変形を施してもよい。
【0037】
垂直回路8は、予め定められたフレーム期間を設定し、各フレーム期間内において、選択制御信号φSEL(i)、リセット制御信号φRES(i)、転送制御信号φTX1(i)、排出制御信号φTX2(i)を生成して画素7へ出力する。垂直回路8は、これらの制御信号によって、画素7からの画像信号の読出しを制御する。例えば、グローバルシャッタによるシーケンスを実行する場合、垂直回路8は、蓄積部2を行毎にリセットするとともに、リセット後の蓄積部2の電位に基づくリセット信号を画素7から行毎に読み出した後、全画素で一括して露光を開始し、露光終了後の蓄積部2の電位に基づく光信号を画素7から行毎に読み出す制御を行う。
【0038】
水平回路9は、予め定められたフレーム期間を設定し、各フレーム期間内において、画素7から画像信号を読み出して撮像素子24の外部へ出力する。水平回路9は、画像信号を読み出す画素7を画素列毎に指定することが可能である。画素7から垂直信号線21に出力された画像信号は、水平回路9の動作が規定するタイミングで撮像素子24の外部へ出力される。
【0039】
コントローラ10は、図1の駆動部31から与えられる駆動信号に基づいて、垂直回路8および水平回路9の動作を制御する制御信号を生成して垂直回路8および水平回路9へ出力する。コントローラ10は、これらの制御信号によって、画素7における露光動作や画像信号の読出し動作の全体を制御する。
【0040】
水平回路9が読み出した画像信号は、図示しないAD変換器によりアナログ・デジタル変換され、デジタルデータとして出力される。AD変換器を列毎に設ける、いわゆるカラムパラレル方式や、パイプライン方式などがあるが、どの方式にも限定されるものではない。また、AD変換器を撮像素子24内の各回路と同一基板上に構成してもよいし、異なる基板上に構成してもよい。
【0041】
次に、補正部35aの構成について説明する。図3は、補正部35aの構成を示している。補正部35aは、補正メモリ部36、補正信号発生部37、および補正処理部38を有する。
【0042】
補正メモリ部36は、画像データを記憶するメモリである。補正信号発生部37は、予め用意されたデータに基づいて、蓄積部2で発生する暗電流成分に相当する補正信号を発生する。前述したように、リセット信号を読み出し、さらに、光電変換部1の電荷を蓄積部2へ転送することなくノイズ信号を読み出し、ノイズ信号からリセット信号を減算することによって、暗電流のばらつき成分を得ることができる。リセット信号およびノイズ信号の読み出しに係るシーケンスは、図12に示したシーケンスとなる。
【0043】
各画素7で得られた暗電流のばらつき成分を、上記の補正信号として使用することが可能である。補正信号発生部37は、例えば補正信号として使用する各画素7の暗電流のばらつき成分のデータを記憶するメモリ(補正信号記憶部)として構成される。例えば固体撮像装置の出荷前の段階で、暗電流のばらつき成分を取得するための動作(図12)が行われ、補正信号発生部37に補正信号が記録される。
【0044】
補正処理部38は、撮像素子24からのリセット信号を補正メモリ部36に一時的に記憶させ、撮像素子24からの光信号から、補正メモリ部36に一時的に記憶させたリセット信号を減算する差分処理を行う。また、補正処理部38は、差分処理で得られた信号から、補正信号発生部37が発生した補正信号を減算することによって、差分処理で得られた信号の補正処理を行う。補正処理部38で補正された補正信号は、信号処理部26へ出力される。
【0045】
また、補正処理部38は、固体撮像装置の出荷前等の段階で暗電流のばらつき成分を取得するための動作が行われた際に、読み出されたリセット信号およびノイズ信号を用いて、ノイズ信号からリセット信号を減算する差分処理を行う。さらに、補正処理部38は、差分処理結果の信号を補正信号として補正信号発生部37に記憶させる。
【0046】
次に、信号の読み出しに係る撮像素子24の動作を説明する。図4は、撮像素子24を駆動するための制御信号の波形を示している。以下では、グローバルシャッタ動作によって静止画を撮影する場合を例に説明する。
【0047】
図4は、垂直方向に4行の画素がある場合を例としている。ΦSEL(i)、ΦRES(i)はそれぞれ、i(i=1,2,3,4)行目の選択制御信号、i行目のリセット制御信号を表している。ΦTX1(all)は、全ての行の転送制御信号を表し、ΦTX2(all)は、全ての行の排出制御信号を表している。
【0048】
図4に示す動作においては、光電変換部1における電荷の蓄積すなわち露光に先立ち、リセット信号の読み出しを行い、蓄積終了後に光信号の読み出しを行っている。ここで、リセット信号を読み出すフレームをリセットフレームとし、光信号を読み出すフレームをビデオフレームとする。リセットフレームの期間の長さとビデオフレームの期間の長さは同一である。
【0049】
リセットフレームの期間中は、排出制御信号ΦTX2(all)がHレベルであり、全ての行の画素7の排出部5がオンであるため、光電変換部1がリセット状態を維持する。また、リセットフレームの期間中は、転送制御信号ΦTX1(all)がLレベルであり、全ての行の転送部3がオフである。
【0050】
リセットフレームでは、選択制御信号ΦSEL(1)がHレベルになることで、選択部6がオンになり、1行目の画素7が選択される。続いて、リセット制御信号ΦRES(1)がHレベルになることで、1行目の画素7のリセット部4がオンになり、蓄積部2がリセットされる。また、選択部6がオンであるため、蓄積部2をリセットした直後のフローティングの状態のリセット信号が読み出される。
【0051】
続いて、2行目、3行目、4行目についても上記と同様の動作が順次行われ、各行の画素7からリセット信号が読み出される。全ての行の画素7からリセット信号を読み出したら、リセットフレームの読み出し動作は終了する。
【0052】
リセットフレームに続いて、蓄積動作(露光動作)が行われる。排出制御信号ΦTX2(all)がLレベルになることで全ての行の画素7の排出部5がオフになり、全ての行の画素7で一括して蓄積(露光)が開始される。蓄積の開始から所定時間が経過した後、転送制御信号ΦTX1(all)がHレベルになることで、全ての行の画素7の転送部3がオンになり、全ての行の画素7で一括して光電変換部1から蓄積部2に電荷が転送され、蓄積が終了する。図4においては、蓄積動作が行われる期間を蓄積時間として表示している。
【0053】
蓄積動作に続いて、ビデオフレームで光信号が読み出される。ビデオフレームの期間中は、排出制御信号ΦTX2(all)がHレベルであり、全ての行の画素7の排出部5がオンであるため、光電変換部1がリセット状態を維持する。また、ビデオフレームの期間中は、転送制御信号ΦTX1(all)がLレベルであり、全ての行の転送部3がオフである。
【0054】
ビデオフレームでは、読み出し制御信号ΦSEL(1)がHレベルになることで、選択部6がオンになり、1行目の画素7が選択され、蓄積部2に蓄積された電荷に基づく光信号が読み出される。続いて、2行目、3行目、4行目についても上記と同様の動作が順次行われ、各行の画素7から光信号が読み出される。全ての行の画素7から光信号を読み出したら、ビデオフレームの読み出し動作は終了する。
【0055】
次に、補正部35aの動作を説明する。図5は、撮像素子24における信号の読み出し動作と補正部35aの動作を模式的に示している。図5において、n1,n2,n3,n4は、1行目、2行目、3行目、4行目の1行分の画素7から読み出されるリセット信号を示しており、v1,v2,v3,v4は、1行目、2行目、3行目、4行目の1行分の画素7から読み出される光信号を示している。
【0056】
リセット信号n1,n2,n3,n4には、KTCノイズ(リセットノイズ)およびしきい値ばらつき等の固定パターンノイズが含まれる。また、光信号v1,v2,v3,v4には、KTCノイズ(リセットノイズ)、しきい値ばらつき等の固定パターンノイズ、光電変換部1に蓄積された電荷に基づく信号成分、および蓄積部2で発生する暗電流成分が含まれる。
【0057】
リセットフレームでは、撮像素子24からリセット信号n1,n2,n3,n4が読み出されると、補正処理部38は補正メモリ部36に各リセット信号を書き込む。1フレーム分のリセット信号の書き込みが完了すると、補正メモリ部36への書き込みが終了する。図5において、n1(w)、n2(w)、n3(w)、n4(w)は、補正メモリ部36に書き込まれたリセット信号n1,n2,n3,n4を示す。
【0058】
ビデオフレームでは、撮像素子24から光信号v1,v2,v3,v4が読み出されると、補正処理部38は、各光信号と略同一のタイミングにおいて、補正メモリ部36に記憶されているリセット信号n1,n2,n3,n4を読み出す。図5において、n1(r)、n2(r)、n3(r)、n4(r)は、リセット信号n1,n2,n3,n4の読み出しを示す。
【0059】
この時、補正信号発生部37は、1行目、2行目、3行目、4行目に対応した、予め記憶してある補正信号f1,f2,f3,f4を発生する(予め記憶してある補正信号f1,f2,f4のデータを出力する)。補正信号f1,f2,f3,f4には、蓄積部2で発生する暗電流成分が含まれる。
【0060】
補正処理部38は、行毎に、光信号v(m){m=1,2,3,4}からリセット信号n(m){m=1,2,3,4}を減算し、さらに、減算結果の信号から補正信号f(m){m=1,2,3,4}を減算する。このような動作により、KTCノイズ(リセットノイズ)およびしきい値ばらつき等の固定パターンノイズや、蓄積部2で発生する暗電流成分が補正され、高画質な光信号を得ることができる。
【0061】
上述したように、本実施形態によれば、蓄積部2で発生する暗電流成分に相当する補正信号を予め記憶しておき、光信号とリセット信号との差分処理結果の補正に補正信号を使用することで、蓄積部2で発生する暗電流成分を撮影シーケンスの中で改めて取得することなく補正を行うことが可能となる。このため、より高速な撮像動作を行うことができ、例えば静止画の連写を行う場合には、連写速度を低下させることなく、高画質な静止画を得ることができる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図6は、本実施形態による固体撮像装置(デジタルカメラ100b)の構成を示している。図6のデジタルカメラ100bでは、撮像素子24の近傍に、温度を検出する温度センサ50が設けられている。温度センサ50は、撮像素子24と同一の基板上に構成してもよいし、異なる基板上に構成してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、図1に示した補正部35aが補正部35bに変更されている。図7は補正部35bの構成を示している。図7の補正部35bでは、図3の補正信号発生部37が3つの補正信号発生部37a,37b,37cに変更され、補正信号選択部39が追加されている。
【0064】
補正信号発生部37a,37b,37cは、異なる温度に対応した補正信号を発生する。すなわち、補正信号発生部37aは、第1の温度に対応した第1の補正信号を発生し、補正信号発生部37bは、第2の温度に対応した第2の補正信号を発生し、補正信号発生部37cは、第3の温度に対応した第3の補正信号を発生する。本実施形態では、一例として、第1の温度は、T<Taである第1の温度範囲にある温度Tであり、第2の温度は、Ta≦T<Tbである第2の温度範囲にある温度Tであり、第3の温度は、Tb≦Tである第3の温度範囲にある温度Tであるものとする。
【0065】
補正信号選択部39は、温度センサ50で検出された温度に対応した補正信号を選択する。デジタルカメラ100bにおいて、上記以外の構成は第1の実施形態と同様である。
【0066】
一般的に、半導体基板上に発生する暗電流の特性が、温度に依存して変化することが知られている。第1の実施形態においては、撮像素子の温度が一定であれば、蓄積部2の暗電流成分も一定のため、好適に補正を行うことができるが、実際のデジタルカメラにおいては、環境温度や、撮像素子そのものの発熱などにより、撮像素子の温度が変化する。
【0067】
この温度変化に対応するため、本実施形態においては、複数の補正信号発生部37a,37b,37cを設け、それぞれが低温度用の第1の補正信号、常温用の第2の補正信号、高温度用の第3の補正信号を発生する。例えば固体撮像装置の出荷前の段階で、第1の温度範囲、第2の温度範囲、第3の温度範囲のそれぞれの温度において、暗電流のばらつき成分を取得するための動作が行われ、補正信号発生部37a,37b,37cに、各温度に対応した補正信号のデータが記録される。
【0068】
実際の撮影時においては、撮像素子24の温度に応じて、補正信号選択部39が適切な補正信号を選択する。より具体的には、補正信号選択部39は、温度センサ50が検出した温度Tが第1の温度範囲(T<Ta)にある場合、補正信号発生部37aが発生した第1の補正信号を選択し、温度Tが第2の温度範囲(Ta≦T<Tb)にある場合、補正信号発生部37bが発生した第2の補正信号を選択し、温度Tが第3の温度範囲(Tb≦T)にある場合、補正信号発生部37cが発生した第3の補正信号を選択する。上記以外の動作は第1の実施形態と同様である。
【0069】
本実施形態によるデジタルカメラ100bを第1の実施形態と同様に動作させることで、第1の実施形態と同様に、より高速な撮像動作を行うことができる。また、撮像素子24の温度変化に対応して、蓄積部2で発生する暗電流成分を補正できるため、第1の実施形態によるデジタルカメラ100aよりも暗電流成分の補正をより好適に行うことができる。なお、本実施形態においては、補正信号発生部が3つである例を示したが、補正信号発生部の数は3つよりも多くても、少なくても構わない。
【0070】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態では、図6に示したデジタルカメラ100bの補正部35bが、図8に示す補正部35cに変更される。図8の補正部35cでは、図7の補正信号選択部39が3つの補正信号生成部40に変更されている。補正信号生成部40は、補正信号発生部37a,37b,37cが生成した補正信号のうち、温度センサ50で検出された温度に対応した補正信号を新たに生成する。なお、本実施形態の補正信号発生部37a,37b,37cはそれぞれ、温度TcA,TcB,TcC(TcA<TcB<TcC)に対応する補正信号を発生する。上記以外の構成は第2の実施形態と同様である。
【0071】
第2の実施形態においては、3種類の補正信号発生部を用意した例を示した。第2の実施形態において、補正精度を上げるためには、より多くの温度範囲に対応した補正信号発生部をなるべく多く用意することが必要になる(たとえば、5種類、10種類等)。しかし、このように多くの補正信号発生部を用意するためには、予め多くの補正信号を記憶しておくメモリの容量が必要となり、メモリの容量が増大する。これにより、小型化や低コスト化が困難になる。
【0072】
次に、図9を用いて、補正信号生成部40の動作について説明する。図9は、蓄積部2で発生する暗電流の温度特性を示している。図9において、横軸のTcA、TcB、TcCはそれぞれ、低温度用の第1の補正信号を取得した時の温度、常温用の第2の補正信号を取得した時の温度、高温度用の第3の補正信号を取得した時の温度を示しており、縦軸のDcA、DcB、DcCはそれぞれ、低温度用の第1の補正信号、常温用の第2の補正信号、高温度用の第3の補正信号を示している。
【0073】
例えば、温度センサ50によって検出された温度がTcAとTcBの間のTc1である場合、補正信号生成部40は、補正信号発生部37aが発生した、温度TcAに対応する補正信号と、補正信号発生部37bが発生した、温度TcBに対応する補正信号とを用いて近似を行い、温度Tc1に対応する補正信号Dc1を生成する。この近似には、直線近似や曲線近似などの近似方法が用いられる。補正処理部38は、補正信号生成部40によって生成された補正信号Dc1を用いて補正処理を行う。
【0074】
本実施形態によるデジタルカメラを第1の実施形態と同様に動作させることで、第1の実施形態と同様に、より高速な撮像動作を行うことができる。また、撮像素子24の温度変化に対応して適切な補正信号を生成し、蓄積部2で発生する暗電流成分を補正できるため、メモリ容量の増大を抑えつつ、暗電流成分の補正をより好適に行うことができる。なお、本実施形態においては、補正信号発生部が3つである例を示したが、補正信号発生部の数は3つよりも多くても、少なくても構わない。
【0075】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態では、補正処理部38の動作が、第1、第2、および第3の実施形態で説明した動作と異なる。それ以外の構成は第1、第2、および第3の実施形態のいずれかと同様である。
【0076】
以下、図10を用いて、補正処理部38の補正動作について説明する。図10は、蓄積部2で発生する暗電流の時間特性を示している。図10において、横軸のt1,tcは、蓄積部2をリセットしてから信号を読み出すまでの時間を示しており、縦軸のD1,Dcは、対応する補正信号の値を示している。本実施形態では、蓄積部2で発生する暗電流成分が、蓄積部2をリセットしてから信号を読み出すまでの時間に比例すると仮定している。
【0077】
実際の撮影時に蓄積部2をリセットしてから光信号を読み出すまでの時間は、撮影時のシャッター速度に基づく蓄積時間と、1フレーム分の信号を読み出す時間との合計(図11の時間Aに相当)になる。この時間をt1とし、対応する補正信号をD1とする。また、補正信号発生部37が発生する(または補正信号選択部39が選択する、もしくは補正信号生成部40が生成する)補正信号をDcとし、対応する時間をtcとする。撮影時のシャッター速度に応じて蓄積時間が変化するため、時間t1は、時間tcとは必ずしも同じ時間にはならない。
【0078】
そこで、補正処理部38は、補正信号発生部37が発生した(または補正信号選択部39が選択した、もしくは補正信号生成部40が生成した)、時間tcに対応する補正信号Dcを用いて、直線近似により、補正信号Dcを補正した補正信号D1を生成する。さらに、補正処理部38は、補正信号D1を用いて補正処理を行う。
【0079】
なお、それぞれの補正信号発生部は、補正信号取得時のシャッター速度も補正信号とともに記憶しているものとする。シャッター速度は制御部33から通知される。補正処理部38は、補正処理を行う際に、補正信号取得時のシャッター速度に基づいて上記の時間tcを算出するとともに、撮影時のシャッター速度に基づいて上記の時間t1を算出する。なお、1フレーム分の信号を読み出す時間は一定であるものとする。
【0080】
本実施形態によるデジタルカメラを第1の実施形態と同様に動作させることで、第1の実施形態と同様に、より高速な撮像動作を行うことができる。また、撮影時のシャッター速度に対応して適切な補正信号を生成し、蓄積部2で発生する暗電流成分を補正できるため、暗電流成分の補正をより好適に行うことができる。
【0081】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。本実施形態では、補正処理部38の動作が、第1、第2、第3、および第4の実施形態で説明した動作と異なる。それ以外の構成は第1、第2、第3、および第4の実施形態のいずれかと同様である。
【0082】
本実施形態では、固体撮像装置の出荷前の段階等における補正信号取得時の補正処理部38の動作が他の実施形態の動作と異なる。図12に示した信号読み出しを1回行って補正信号を生成すると、ランダムノイズ成分が補正信号に含まれる。このランダムノイズ成分を含んだ補正信号を用いて、リセット信号と光信号との差分処理結果に対して補正を行うと、このランダムノイズ成分が最終画像に重畳してしまう。
【0083】
そこで、本実施形態においては、補正信号発生部が予め記憶する補正信号を、複数枚の画像から生成しておく。より具体的には、図12に示した信号読み出しが複数回行われ、補正処理部38は、各回で読み出されたリセット信号とノイズ信号との差分処理を行って、複数の補正信号を生成する。さらに、補正処理部38は、生成した複数の補正信号の平均化処理を行い、平均化処理後の信号を補正信号として補正信号発生部に記憶させる。これにより、補正信号に含まれるランダムノイズ成分が小さくなるため、第1、第2、第3、および第4の実施形態よりも、高画質な静止画を得ることができる。
【0084】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0085】
例えば、上記各実施形態においては、説明の便宜上、補正部35a,35bを信号処理部26と分けて記載したが、補正部35a,35bの一部または全部が信号処理部26の内部に含まれていても構わない。また、補正メモリ部36をメモリ部27と共通のメモリとしたり、メモリインターフェースを共通にしたりしても、同様の効果が得られる。また、補正信号発生部37,37a,37b,37cからの補正信号を一時的に補正メモリ部36に記憶して、補正処理部38が補正処理を行っても同等の効果が得られるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
1・・・光電変換部、2・・・蓄積部、3・・・転送部、4・・・リセット部、5・・・排出部、6・・・選択部、7・・・画素、8・・・垂直回路(読み出し制御部)、9・・・水平回路、10・・・コントローラ、22・・・レンズ部、24・・・撮像素子、26・・・信号処理部、27・・・メモリ部、28・・・記録媒体、29・・・レンズ制御部、31・・・駆動部、32・・・操作部、33・・・制御部、34・・・表示部、35a,35b,35c・・・補正部、36・・・補正メモリ部、37,37a,37b,37c・・・補正信号発生部、38・・・補正処理部、39・・・補正信号選択部(補正処理部)、40・・・補正信号生成部(補正処理部)、100a,100b・・・デジタルカメラ(電子カメラ)、50・・・温度センサ(温度検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を電荷に変換する光電変換部と、前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する蓄積部と、前記光電変換部から前記蓄積部への電荷転送を制御する転送部と、前記光電変換部で発生した電荷を排出する排出部と、前記蓄積部に蓄積された電荷をリセットするリセット部と、前記蓄積部の電位に基づく信号の読み出しを選択する選択部と、を有し、行方向および列方向の二次元状に配列された、読み出し対象領域内の複数の画素と、
前記リセット部によって前記蓄積部の電荷をリセットした後の前記蓄積部の電位に基づくリセット信号を前記画素から行毎に読み出し、前記排出部によって前記光電変換部の電荷を全画素で一括して排出することによって露光を開始し、前記転送部によって前記光電変換部の電荷を全画素で一括して前記蓄積部に転送することによって露光を終了し、露光終了後の前記蓄積部の電位に基づく光信号を前記画素から行毎に読み出す制御を行う読み出し制御部と、
前記蓄積部で発生する暗電流成分に相当する補正信号を発生する補正信号発生部と、
前記リセット信号と前記光信号との差分処理を行い、前記差分処理で得られた差分信号を、前記補正信号を用いて補正する補正処理部と、
を有することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記読み出し制御部はさらに、前記リセット部によって前記蓄積部の電荷をリセットした後の前記蓄積部の電位に基づく第2のリセット信号を前記画素から行毎に読み出し、前記第2のリセット信号を読み出してから所定時間が経過した後の前記蓄積部の電位に基づくノイズ信号を前記画素から行毎に読み出す制御を行い、
前記補正処理部はさらに、前記第2のリセット信号と前記ノイズ信号との第2の差分処理を行って第2の差分信号を生成し、
前記補正信号発生部は、前記第2の差分信号を前記補正信号として記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
温度を検出する温度検出部を更に有し、
前記補正信号発生部は、異なる温度に対応した複数種類の前記補正信号を発生し、
前記補正処理部は、前記温度検出部によって検出された温度に応じて、前記複数種類の前記補正信号のいずれかを選択し、選択した前記補正信号を用いて前記差分信号を補正する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
温度を検出する温度検出部を更に有し、
前記補正信号発生部は、異なる温度に対応した複数種類の前記補正信号を発生し、
前記補正処理部は、前記温度検出部によって検出された温度に応じて、前記複数種類の前記補正信号から第2の補正信号を生成し、生成した前記第2の補正信号を用いて前記差分信号を補正する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記補正信号は、所定の蓄積時間に対応するものであり、
前記補正処理部は、撮影動作における蓄積時間と、前記所定の蓄積時間とに応じて前記補正信号を補正し、補正後の前記補正信号を用いて前記差分信号を補正する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記読み出し制御部は、前記第2のリセット信号および前記ノイズ信号を複数回ずつ読み出す制御を行い、
前記補正処理部はさらに、複数回ずつ読み出された前記第2のリセット信号と前記ノイズ信号との前記第2の差分処理を行って複数種類の前記第2の差分信号を生成し、当該複数種類の前記第2の差分信号の平均化処理を行い、
前記補正信号発生部は、前記平均化処理で得られた信号を前記補正信号として記憶する
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の固体撮像装置を備えた電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−80500(P2012−80500A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226655(P2010−226655)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】