説明

固体撮像装置の検査方法

【課題】生産選別で必要な高い精度と短い時間を両立した検査を行う。
【解決手段】第2フィールドで蓄積期間t1の信号電荷を、読み出しパルス101で垂直転送部に転送し、φSUBパルスで蓄積信号電荷を排出し信号電荷を蓄積時間t2で制御し、また第1フィールドで蓄積期間t2の信号電荷を、読み出しパルス102で垂直転送部に転送し、φSUBパルスで蓄積信号電荷を排出し信号電荷を蓄積時間t1で制御する。第1,第2フィールドで信号電荷の蓄積と転送を複数繰り返し、垂直,水平転送されて電気信号に変換された画像信号を得る。この第1,第2フィールドの各画像信号での水平転送方向の前縁,後縁領域における電気信号の差から比率を計算し、水平転送効率を算出して精度よく良否判定をする。また信号電荷の垂直転送として試験領域は通常の垂直転送で1段転送とし、残りは垂直高速転送として信号電荷の掃き出し検査時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置の検査方法であり、特に、固体撮像装置の水平転送部における転送効率の検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像装置を用いたデジタルスチルカメラは高画素化が進み、そのなかで、転送周波数も高くなっている。固体撮像装置において、信号電荷の転送に関しては、ゲートごとに蓄積された信号電荷が100%転送される訳ではない。特に、水平転送部では25MHzを超える動作スピードで、転送段数が2000段を超えてきたため、転送劣化の検査を行うことが重要になっている(例えば、特願2003−120534号参照)。
【0003】
ここで、従来の固体撮像装置の構成を、図6,図7,図8を用いて説明する。
【0004】
図6は、インターレース・スキャン方式インターライン構造を持つ固体撮像装置の構成図である。図6において、61は半導体基板上のX方向にi列そしてY方向にj行配列して形成されたフォトダイオード、62はV1,V2,V3,V4の4相のゲートからなる垂直転送部、63はH1,H2の2相のゲートからなる水平転送部、64は電荷検出部(出力部)を有している。
【0005】
フォトダイオード61は、それぞれ色フィルタを有しており、図7はR(赤),B(青),G(緑)の色フィルタを市松模様に配列したときの色フィルタアレイの構成図である。
【0006】
図8は固体撮像装置における垂直転送部のゲート構成の一例を示す図である。垂直転送部62のゲートは水平転送部63側からV4,V3,V2,V1の順番で繰り返して配置する。このゲート構成は、i列j行からなる全てのフォトダイオード61の信号電荷を偶数行と奇数行の2回に分けて転送して出力する、2:1インターレース構造である。
【0007】
前記の構成において、従来の固体撮像装置の転送効率検査方法を説明する。2種類の撮像動作により、フォトダイオード61の蓄積電荷量の少ない画像データAおよび蓄積電荷量の多い画像データBを取得する。そして、各画像データから、図9(a),(b)に示すように、前縁領域の領域I内において水平方向に隣接し、異なる分光の色フィルタを有する各フォトダイオード61の信号出力の差の平均値A1および平均値B1を各々算出し、また、後縁領域の領域II内において水平方向に隣接する各フォトダイオード61の信号出力の差の平均値をA2および平均値B2を各々算出する(数1),(数2),(数3)を演算し、
【0008】
【数1】

【0009】
【数2】

【0010】
【数3】

転送効率TおよびVより判定を行っている。
【特許文献1】特開平5−168050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような構成の従来の検査方法では、生産選別で必要な、高い検査精度と短い検査時間の両立は困難であった。高い検査精度を得るためには、できるだけ水平転送部の両端(前縁領域および後縁領域の一部の領域)に試験領域を設定し領域Iと領域IIとの間隔を広くとる必要があるが、各領域の面積を小さく設定すると空間的なランダムノイズの影響が強くなるため、取り込み回数を増やす必要があり、検査時間が長くなる。また検査時間を短くするには、取り込み回数を低減する必要があるが、時間軸方向のランダムノイズの影響が強くなるため、各領域(領域I,領域II)の面積を広くとる必要があり、検査精度が低下するという問題があった。
【0012】
また、固体撮像装置の信号電荷は、水平転送部63では、一定の時間内には次段に転送する必要があり、信号電荷量が少なくなるほど移動力が低下して転送劣化が起こりやすい。したがって、水平転送部63を単一のバイアス条件で駆動させる場合、固体撮像装置によっては、転送する信号電荷量が多いときには水平転送効率が99%以上あり問題がなくても、転送する信号電荷量が少ないときには水平転送効率が94%以下となり問題となる場合がある。
【0013】
本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、生産選別で必要な、高い検査精度と短い検査時間の両立を行う、新しい駆動方法を用いた固体撮像装置の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明に係る固体撮像装置の検査方法は、半導体基板上に形成された複数のフォトダイオードと、フォトダイオードの上に形成された色フィルタと、フォトダイオードに蓄積された信号電荷を転送する垂直転送部および水平転送部とを有し、水平転送部から転送された信号電荷を電気信号に変換して出力する固体撮像装置の検査方法であって、信号電荷の蓄積時間が蓄積時間t1の第1蓄積期間と、蓄積時間t2(≠t1)の第2蓄積期間とを含む1周期の蓄積動作を複数周期繰り返して電気信号の出力を行い、第1蓄積期間のフォトダイオードの信号電荷に対応する信号を複数周期分加算あるいは平均した第1の加算画像と、第2蓄積期間のフォトダイオードの信号電荷に対応する信号を複数周期分加算あるいは平均した第2の加算画像とを生成し、第1の加算画像および第2の加算画像の水平転送方向の前縁領域の信号と、第1の加算画像および第2の加算画像の水平転送方向の後縁領域の信号とから転送効率を判定することを特徴とする。
【0015】
また、前記固体撮像装置の検査方法に、水平転送方向の前縁領域の少なくとも一部の領域における第1の加算画像と第2の加算画像との信号の比率A1と、水平転送方向の後縁領域の少なくとも一部の領域における第1の加算画像と第2の加算画像との信号の比率B1から転送効率を判定すること、さらに、比率A1と比率B1との比率C1を演算し、比率A1,比率B1,比率C1の少なくとも2つから転送効率を判定することを特徴とする。
【0016】
また、半導体基板上に形成された複数のフォトダイオードと、フォトダイオードの上に形成された色フィルタと、フォトダイオードに蓄積された信号電荷を転送する垂直転送部および水平転送部とを有し、水平転送部から転送された信号電荷を電気信号に変換して出力する固体撮像装置の検査方法であって、信号電荷の蓄積時間が蓄積時間t1の第1蓄積期間と、蓄積時間t2(≠t1)の第2蓄積期間とを含む1周期の蓄積動作を複数周期繰り返して電気信号の出力を行い、水平転送部から転送される水平転送方向の前縁領域の少なくとも一部の領域における第1蓄積期間のフォトダイオードの信号電荷に対応する信号と第2蓄積期間のフォトダイオードの信号電荷に対応する信号との比率A2と、水平転送方向の後縁領域の少なくとも一部の領域における第1蓄積期間のフォトダイオードの信号電荷に対応する信号と第2蓄積期間のフォトダイオードの信号電荷に対応する信号との比率B2を周期ごとに演算し、比率A2を複数周期分加算あるいは平均した比率A3を演算し、比率B2を複数周期分加算あるいは平均した比率B3を演算し、比率A3および比率B3から転送効率を判定することを特徴とする。
【0017】
さらに、比率A3と比率B3との比率C3を演算し、比率A3,比率B3,比率C3の少なくとも2つから転送効率を判定することを特徴とする。
【0018】
また、前記固体撮像装置の検査方法であって、信号電荷の垂直転送において、水平転送方向の前縁領域および後縁領域の一部の領域を含まない行の信号電荷の水平転送部への垂直転送は、垂直高速転送により高速掃き出しすること、さらに、固体撮像装置に単色光を照射して検査することを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、転送効率の測定に使用する画像領域の空間的な広がりを最小限に抑えることで、水平転送方向の前縁領域と後縁領域の間隔を確保して測定精度を向上させることができる。
【0020】
また、垂直転送において、水平転送効率の算出に用いる画像領域に対しては通常の垂直転送を行い、水平転送方向の前縁領域および後縁領域の一部の領域を含まない水平転送効率の算出に不要な画像領域に対しては垂直高速転送を行うことで、検査時間の短縮が実現できる。例えば、試験領域の面積を1/2として2つの領域間隔を広げて、取り込み回数を4倍として検査すれば、ノイズレベルを1/√2にすることができ、検査精度を高めることが可能となり、さらに、検査に不要な領域においては高速転送することにより、装置全体の駆動時間を80%以下にでき、検査時間を大幅に削減することができる。
【0021】
また、単色光を照射して検査することで、水平転送効率の算出に用いる、水平転送部で転送する隣り合った信号電荷量の差(色差信号)を大きくとることができ、ランダムノイズに強い高精度な水平転送効率の検査を行うことができる
【発明の効果】
【0022】
本発明の固体撮像装置の検査方法によれば、転送効率の測定に使用する画像領域の空間的な広がりを最小限に抑え、水平転送方向の前縁領域と後縁領域の間隔を確保して測定精度を向上させ、また画像領域において通常の垂直転送と垂直高速転送とを行うことで駆動時間を短縮でき、また単色光を照射して検査することで、水平転送部で転送する隣り合った信号電荷量の差(色差信号)を大きくとることができ、より高精度な水平転送効率の検査を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明の実施の形態における固体撮像装置は、従来例において説明したように、図6の固体撮像装置の構成図に示すインターライン構造を有し、図7のR,B,Gの色フィルタアレイを有し、図8の垂直転送部にゲートV1,V2,V3,V4を配置した2:1インターレース・スキャン方式の固体撮像装置である。ここで、色フィルタアレイとは、特定波長成分の光のみを通過させるフィルタ配列を指す。
【0025】
まず、本実施の形態における固体撮像装置の検査方法に用いる駆動方法について説明する。
【0026】
図1に本発明の実施の形態における固体撮像装置の駆動タイミングチャートを示す。φHDは水平同期信号、φV1,φV2,φV3,φV4はそれぞれ図8の垂直転送部のゲートV1,ゲートV2,ゲートV3,ゲートV4に印加する垂直転送パルス信号、φSUBはフォトダイオード61の蓄積信号電荷を半導体の深さ方向へ排出するための電荷排出パルス信号である。図2は、図1の通常の垂直転送(1水平走査期間中に垂直1段転送)を行う区間Aを拡大したタイミングチャートである。図3は、図1の垂直高速転送(1水平走査期間中に垂直複数段転送)を行う区間Bを拡大したタイミングチャートである。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態における固体撮像装置の検査方法に用いる駆動タイミングは第1フィールドと第2フィールドとの繰り返しで構成され、各フィールドは図2に示す通常の垂直転送区間と図3に示す垂直高速転送区間を持ち、各フィールドで異なる信号電荷蓄積期間(t1,t2)を有する。また、図4に固体撮像装置(イメージャ)表面の図を示し、図4中には試験領域である領域41と領域42、および通常の垂直転送区間と垂直高速転送区間を示す。
【0028】
図1の第2フィールドで蓄積期間t1に制御した信号電荷(垂直転送部のゲートV1につながるフォトダイオードの信号電荷)を、第1フィールドのφV1に立つ読み出しパルス101により図6に示す垂直転送部62に転送する。信号電荷を垂直転送部62に転送した後、φSUBパルスを印加してフォトダイオード61に蓄積する信号電荷を排出し、信号電荷蓄積期間を蓄積時間t2(例えば、t2×8=t1)に制御する。読み出しパルス101により垂直転送部62に転送した信号電荷は、垂直転送と水平転送により電荷検出部64に転送され、電荷検出部64で電圧あるいは電流といった電気信号に変換され画像信号として出力される(図6参照)。
【0029】
このとき、垂直転送は、試験領域である領域41と領域42に相当するフォトダイオード61において全ての信号電荷が電荷検出部64より出力されるまで、通常の垂直転送により1段分の垂直転送を行い、以降、垂直転送部62に残る信号電荷は、不要な信号電荷として、垂直高速転送を行い垂直転送部62から掃き出す。言うまでもなく、垂直転送の総段数は、垂直転送部62に読み出される(j行÷2)段以上行う必要がある。
【0030】
第1フィールドで蓄積期間t2に制御した信号電荷を第2フィールドのφV1に立つ読み出しパルス102により垂直転送部62に転送する。信号電荷を垂直転送部62に転送した後、φSUBパルスの印加をはじめてフォトダイオードに蓄積する信号電荷を排出し、信号電荷蓄積期間を蓄積時間t1(例えば、t1=t2×8)に制御する。読み出しパルス102により垂直転送部62に転送した信号電荷は、垂直転送,水平転送され、電荷検出部64で電圧あるいは電流といった電気信号に変換され画像信号として出力される。
【0031】
このとき、垂直転送は、第1フィールドと同様に、通常の垂直転送と垂直高速転送を行う。そして、第1フィールド,第2フィールドの信号電荷蓄積および転送を複数回繰り返してデータの取り込みを行う。
【0032】
次に、前記した駆動方法における、固体撮像装置の検査方法を説明する。
【0033】
まず、ランダムノイズに強い高精度な水平転送効率を求めるために、赤色の単色光を照射し、水平転送に有利な条件と不利な条件とを測定する。これは水平転送をいくら良化させても、固体撮像装置の信号出力がシェーディングをはじめから持つ場合があるためである。
【0034】
そして、赤色の単色光により、主に、R(赤)の色フィルタを施したフォトダイオードに信号電荷を蓄積させる。この信号電荷をフレーム読み出しまたはフィールド読み出しを行うことで、水平転送部63に信号電荷のある画素とない画素が繰り返される、くし型に変調された状態をつくることができる。図7に示す色フィルタアレイの配列においては、くし型に変調された信号電荷の出力は、赤色信号出力,緑色信号出力,赤色信号出力,緑色信号出力,・・・といった形で繰り返す。またこの例では、赤色の単色光としたが、青色、緑色の単色光であっても構わない。
【0035】
図6に示す水平転送部63の転送効率を求めるに際し、赤色の単色光を照射して、固体撮像装置を駆動すると、赤色の単色光により、R(赤)の色フィルタを施したフォトダイオード61のみ信号電荷が蓄積される。電荷検出部64より出力された信号電荷は、CDS(相関2重サンプリング)回路65でリセット雑音を低減された後、A/Dコンバータ66でデジタル変換され、フレームメモリ67に記録される。
【0036】
ここで、第1フィールド,第2フィールドの信号電荷蓄積および転送を複数回繰り返して取り込まれるため、フレームメモリ67には複数回のデータが累積加算して記録される。例えば、フレームメモリ67の値を読み出して、この値と現在値を加算し、再度フレームメモリ67に書き込むことで累積加算可能である。また、信号電荷を測定回数で割り算して求めた、平均値をフレームメモリ67に書き込んでも構わない。
【0037】
図5は、前記の駆動方法によって得られる信号電荷に対応する信号の、フレームメモリ67内の記録状態を示す図である。Rは赤色フィルタを施したフォトダイオードの出力、Gは緑色フィルタを施したフォトダイオードの出力である。撮像領域51は蓄積期間t1に制御した信号の領域であり、水平転送効率の良好な領域である。撮像領域52は蓄積期間t2に制御した信号の領域であり、水平転送効率の優劣がつく領域である。試験領域53と試験領域55は、共に図4に示す領域41で蓄積された信号の領域であり、電荷検出部64までの水平転送段数の少ない領域(前縁領域)である。また、試験領域54と試験領域56は、共に領域42で蓄積された信号の領域であり、電荷検出部64までの水平転送段数の多い領域(後縁領域)である。
【0038】
試験領域53内のR平均値(R53)とG平均値(G53)、および試験領域54内のR平均値(R54)とG平均値(G54)から(数4),(数5)により
【0039】
【数4】

【0040】
【数5】

試験領域の色差信号出力を算出する。
【0041】
また、試験領域55内のR平均値(R55)とG平均値(G55)、および試験領域56内のR平均値(R56)とG平均値(G56)から(数6),(数7)により
【0042】
【数6】

【0043】
【数7】

試験領域の色差信号出力を算出する。
【0044】
次に、各試験領域の色差信号出力により(数8),(数9),(数10)から
【0045】
【数8】

【0046】
【数9】

【0047】
【数10】

水平転送効率を算出し、それぞれ判定値(任意)と比較して、良否判定を行う。
【0048】
本実施の形態における固体撮像装置の検査方法によれば、転送効率の測定に使用する画像領域の空間的な広がりを最小限に抑えることで、水平転送方向の前縁領域(試験領域53,55)と後縁領域(試験領域54,56)の間隔を確保して測定精度を向上させることが可能である。
【0049】
なお、本実施の形態では複数回の信号データを加算または平均処理してから水平転送効率(ηH1,ηH2,ηH3)を算出したが、1周期の第1フィールドと第2フィールドのデータを取り込んで、水平転送効率(ηH1,ηH2,ηH3)を求め、複数周期分のデータ数だけ加算または平均するものであっても同等の結果を得ることが可能である。
【0050】
また、水平転送効率の算出に用いる画像領域に対しては通常の垂直転送を行い、水平転送効率の算出に不要な画像領域に対しては垂直高速転送を行うことで、駆動時間の短縮が実現できる。
【0051】
例えば、垂直方向の10%に対しては1段転送を行い、垂直方向の残り90%に対しては20段転送を行うことで、従来の20%以下に駆動時間を短縮することができる。駆動時間の短縮は検査時間の短縮につながり、生産選別に有利な検査コストの削減が可能となる。また、試験領域の面積を1/2として2つの領域(前縁および後縁)間隔を広げ、取り込み回数を4倍として検査すれば、ノイズレベルを1/√2にすることができ、検査精度を高められ、さらに、検査に不要な領域の信号電荷を高速転送することにより、装置全体の駆動時間を80%以下にでき、検査時間を大幅に削減することが可能である。
【0052】
また、1周期の駆動方法の中に2つの蓄積期間(t1,t2)を組み込むことで、これまで2回の駆動条件設定を行う必要があった検査が、1回の駆動条件設定で済むことから、条件設定時間を50%に短縮することができ、検査時間の短縮から生産選別に有利な検査コストの削減が可能である。
【0053】
単色光を照射して検査することで、水平転送効率の算出に用いる、水平転送部で転送する隣り合った信号電荷量の差(色差信号)を大きくとることができるため、ランダムノイズに強い高精度な水平転送効率の検査を行うことが可能となる。さらに、色差信号を大きくとるため単色光を照射する例を挙げたが、固体撮像装置のもつ色フィルタで、色差信号が大きくとるものであれば、単色光の照射に限らず、通常の白色光を照射しても構わない。
【0054】
さらに、本実施の形態では、水平転送部のシェーディングによるオフセットを除いた転送効率を求めるため、色差信号を算出したが、水平転送部のシェーディングが無視できる程度に小さいものであれば、色差信号に限らず、R,G,Bの画素を均等に加算して処理するものであって構わない。
【0055】
また、水平転送効率の良好な状態と優劣のつく状態を明確につくるため、フォトダイオードの信号電荷蓄積時間比を8:1と、8倍を選択して水平転送効率の算出に8倍したが、例えば12.345倍といった実数倍でもよい。しかし、倍率が大きいほど水平転送効率の良好な状態と優劣のつく状態を明確にできる反面、信号電荷蓄積時間が長くなり、検査時間の短縮効果が弱まる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態では、インターライン構造を有し、2:1インターレース・スキャン方式の固体撮像装置を用いたが、フォトダイオードと垂直転送部が一体化したフレーム・トランスファー構造であっても、またノンインターレース・スキャン方式やn:1インターレース・スキャン方式(nは3以上の整数)といったスキャン方式であっても、本発明の実施の形態と同じく水平転送部に色差信号を得ることができ、発明の効果が得られることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る固体撮像装置の検査方法は、転送効率測定に使用する画像領域の空間的な広がりを最小限に抑え、水平転送方向の前縁領域と後縁領域の間隔を確保して測定精度を向上でき、固体撮像装置の水平転送部における転送効率の検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態にかかる固体撮像装置の駆動タイミングチャート
【図2】図1の垂直転送を行う区間Aを拡大したタイミングチャート
【図3】図1の垂直高速転送を行う区間Bを拡大したタイミングチャート
【図4】本発明の実施形態の駆動方法を示す固体撮像装置(イメージャ)表面の構成図
【図5】本発明の実施形態の駆動方法によって得られる信号電荷をメモリに記録した、画像データのイメージ図
【図6】固体撮像装置の構成図
【図7】色フィルタアレイの構成図
【図8】固体撮像装置の垂直転送部のゲート構成図
【図9】従来の駆動方法によって得られる信号電荷をメモリに記録した、画像データのイメージ図
【符号の説明】
【0059】
41,42 領域
51,52 撮像領域
53,54,55,56 試験領域
61 フォトダイオード
62 垂直転送部
63 水平転送部
64 電荷検出部
65 CDS(相関2重サンプリング)回路
66 A/Dコンバータ
67 フレームメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された複数のフォトダイオードと、前記フォトダイオードの上に形成された色フィルタと、前記フォトダイオードに蓄積された信号電荷を転送する垂直転送部および水平転送部とを有し、前記水平転送部から転送された信号電荷を電気信号に変換して出力する固体撮像装置の検査方法であって、
前記信号電荷の蓄積時間が蓄積時間t1の第1蓄積期間と、蓄積時間t2(≠t1)の第2蓄積期間とを含む1周期の蓄積動作を複数周期繰り返して前記電気信号の出力を行い、
前記第1蓄積期間の前記フォトダイオードの信号電荷に対応する信号を前記複数周期分加算あるいは平均した第1の加算画像と、前記第2蓄積期間の前記フォトダイオードの信号電荷に対応する信号を前記複数周期分加算あるいは平均した第2の加算画像とを生成し、
前記第1の加算画像および前記第2の加算画像における水平転送方向の前縁領域の信号と、前記第1の加算画像および前記第2の加算画像における水平転送方向の後縁領域の信号とから転送効率を判定することを特徴とする固体撮像装置の検査方法。
【請求項2】
水平転送方向の前縁領域の少なくとも一部の領域における前記第1の加算画像と前記第2の加算画像との信号の比率A1と、水平転送方向の後縁領域の少なくとも一部の領域における前記第1の加算画像と前記第2の加算画像との信号の比率B1から転送効率を判定することを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置の検査方法。
【請求項3】
前記比率A1と前記比率B1との比率C1を演算し、前記比率A1,前記比率B1,前記比率C1の少なくとも2つから転送効率を判定することを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置の検査方法。
【請求項4】
半導体基板上に形成された複数のフォトダイオードと、前記フォトダイオードの上に形成された色フィルタと、前記フォトダイオードに蓄積された信号電荷を転送する垂直転送部および水平転送部とを有し、前記水平転送部から転送された信号電荷を電気信号に変換して出力する固体撮像装置の検査方法であって、
前記信号電荷の蓄積時間が蓄積時間t1の第1蓄積期間と、蓄積時間t2(≠t1)の第2蓄積期間とを含む1周期の蓄積動作を複数周期繰り返して前記電気信号の出力を行い、
前記水平転送部から転送される水平転送方向の前縁領域の少なくとも一部の領域における前記第1蓄積期間の前記フォトダイオードの信号電荷に対応する信号と前記第2蓄積期間の前記フォトダイオードの信号電荷に対応する信号との比率A2と、前記水平転送方向の後縁領域の少なくとも一部の領域における前記第1蓄積期間の前記フォトダイオードの信号電荷に対応する信号と前記第2蓄積期間の前記フォトダイオードの信号電荷に対応する信号との比率B2を周期ごとに演算し、
前記比率A2を前記複数周期分加算あるいは平均した比率A3を演算し、前記比率B2を前記複数周期分加算あるいは平均した比率B3を演算し、前記比率A3および前記比率B3から転送効率を判定することを特徴とする固体撮像装置の検査方法。
【請求項5】
前記比率A3と前記比率B3との比率C3を演算し、前記比率A3,前記比率B3,前記比率C3の少なくとも2つから転送効率を判定することを特徴とする請求項4記載の固体撮像装置の検査方法。
【請求項6】
前記信号電荷の垂直転送において、前記水平転送方向の前縁領域および後縁領域の一部の領域を含まない行の信号電荷の前記水平転送部への垂直転送は、垂直高速転送により高速掃き出しすることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の固体撮像装置の検査方法。
【請求項7】
前記固体撮像装置に単色光を照射して検査することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体撮像装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−86950(P2006−86950A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271211(P2004−271211)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】