説明

固体撮像装置及び非線形補正回路

【課題】固体撮像装置の分割画像データ間の非線形補正を簡単に行う。
【解決手段】画像領域をN(Nは2以上の整数)分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置。分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路25と、第1の分割画像領域と、第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域と、からの画像の非線形ひずみを検出する検出部26と、第1の分割画像領域における非線形特性と第2から第Nまでの分割画像領域のそれぞれの非線形特性とを求め、それぞれの非線形特性が合うように非線形補正回路を制御する補正制御部27と、第1の分割画像領域から得られる画像データと、第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域からの画像データを補正制御部により補正した後の補正後画像データと、を合成する画像合成回路28とを有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像領域が複数に分割され、分割された画素領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置及び非線形補正回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ用には、1本の水平転送CCDと1つの出力端子とを備えるCCD固体撮像素子が用いられてきた。CCD固体撮像素子における画素数の増加に伴い、1本の水平CCDに多数本の垂直CCDを繋げると、読み出し周波数を高くせざるを得ない。例えば、68万画素の画素数を有するデジタルビデオカメラにおいては、読み出し周波数は一般的に27MHz程度である。画素数を200万画素程度まで大きくすると、動作周波数を理論上、例えば72MHz程度まで高くする必要があるが、実際上は動作周波数を72MHZまで上げるのは難しい。従って、前のフレームの信号が残留し、今回の信号と混ざることにより、画質が落ちるという問題が生じる。
【0003】
上記問題点を解決するために、CCD固体撮像素子の画像領域を複数の領域に分割し、それぞれに水平転送CCDと出力アンプとを設け、複数の領域で並行して画像データを読み出す分割型固体撮像装置も開発されている。
【0004】
上記分割型固体撮像装置の構成について、図1を参照して説明する。図1に示す分割型固体撮像装置は、画素領域を複数(図では2領域)に分割し、領域毎に画素信号を読み出す手段を有する。より具体的には、分割された2領域における画素信号を、2本の水平転送CCD4と5とにより転送し、信号処理回路11、12に出力する。信号処理回路11,12において処理された信号が合成回路13により1つの連続した画像に合成する。
【0005】
図7は、上記分割型固体撮像装置を用いた単板式ビデオカメラの構成例を示す機能ブロック図である。レンズを通して被写体像が、CCD固体撮像素子101の撮像面(厳密にはフォトダイオード2(図1))に結像され、固体撮像素子1(図1)では被写体像が画素(フォトダイオード)毎に光電変換され電気信号が得られる。
【0006】
固体撮像素子1からの出力信号は、水平CCD4又は5(図1)を共有するそれぞれの左右の画像領域単位でアンプ6、7(図1)を通って外部に出力される。水平転送CCD4と水平転送CCD5とは同時に動作し、並行して左右の画像データが同時に出力される。左右の画像領域における画像データは、2組のCDS回路102、103と、ADコンバータ102、103によりデジタルデータに変換され、信号処理回路110に入力される。信号処理回路110では、ADコンバータ102および103の出力である右画像データと左画像データとに対して例えば図示しない補正回路により補正処理が行われる。
【0007】
左右画像データは、2組のCDS回路およびADコンバータ102・103によりデジタルデータに変換され、信号処理回路110に入力される。信号処理回路110では、別々に読みだされた左右の画像領域の画像データを、合成回路108によりつなぎ合わせて1枚の画像データに再合成する。ここで、左右の画像データは、それぞれ別の水平転送CCD、出力アンプ、CDS回路、ADコンバータを介して信号処理に入力されており、これらの各回路により左右の画像データは非線形ひずみを受ける。
【0008】
非線形ひずみを受けた左右領域の画像をそのままつなぎ合わせると、つなぎ目において輝度および色信号の段差が発生し、合成後の画像の中央に縦線上のキズを生じる。これを、改善するために、左右領域の画像データをつなぎ合わせる前に非線形ひずみを補正する。この補正する回路が図7の符号104、105、106及び107で示されるブロックの回路である。
【0009】
図7の検出回路106により左右の非線形ひずみの特性を検出し、補正制御回路107により非線形補正回路104、105を制御する。より詳細には、補正後の信号について、それぞれ非線形補正回路104、105において非線形性に関する補正が行われた後に2画面合成回路108に入力する。実際には、右画像データと左画像データとが検出回路106に入力されて非線形性ひずみの特性を検出し、補正制御回路107により非線形補正回路104、105を制御する。
【0010】
制御されたそれぞれの画像データ信号は、画像合成回路108において合成され、1つの画像を形成する画像信号データとなり、画像信号S2が外部に出力される。非線形ひずみの検出は、図8に示すように一定の比率で反射率が異なる例えばa〜fまでの階調を有する検出画像を固体撮像装置(デジタルスチルカメラ又はデジタルビデオカメラ)により撮影する。図7の検出回路106において、左右の領域の画像データの中でつなぎ合わせの部分に近い領域で各階調毎に画像データを計測する。補正制御回路107では、例えば、左右領域の各画像データに対して図9に示す入出力特性を有する非線形データが得られる。この非線形データ(特性)が破線で示す線形データと一致するよう非線形補正回路104・105を制御する。
【0011】
ここで、非線形補正回路104・105における入出力特性は、図9に示すように、X軸に図7の検出回路106において検出したaからfまでの各階調毎の測定値をプロットし、Y軸方向にはaからfまでの各階調に対して等間隔でプロットした点を配置し、このX軸とY軸とのaからfまでのそれぞれの交点を通る折れ線となる。
【0012】
非線形補正回路104・105により、左右の画像領域の画像データの非線形ひずみは補正されてCCD固体撮像装置の入力光量に比例した線形特性(破線)の画像データが得られるとともに、左右の特性差が減少し、1枚の画像に合成した際のつなぎ目でのキズが発生しにくくなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図7に示す信号処理回路では、非線形補正回路(NL)104・105が2回路必要となる。非線形補正回路は、回路規模が非常に大きなるため、ハードウェアの価格が上昇し、設計が複雑になるなどの問題が生じる。また、図8に示す調整用の入力画像チャートにおいて、階調aから階調fまでは、等比率の階調差を持つ必要があり、チャートの設計や管理が難しくなるという問題がある。
【0014】
本発明は、固体撮像装置における非線形補正を、より簡単に行うことができる技術を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決すべく、画像領域を複数Nに分割し、領域毎に画素信号を読み出す手段を有するCCD固体撮像装置を用いたビデオカメラにおいて、N−1個の複数の分割画像データに対して非線形特性を補正する手段を有することを特徴とするビデオカメラの非線形補正回路であり、非線形特性を補正する手段を配置する分割領域の画像データの入力信号に対して、出力信号が非線形特性を補正する手段を配置しない分割領域の画像信号の特性に一致するような入出力特性を有することを特徴とする。
【0016】
すなわち、本発明の一観点によれば、画像領域をN分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置であって、分割した画像領域のうちのN−1領域のそれぞれに非線形補正回路が設けられていることを特徴とする固体撮像装置(但し、Nは2以上の整数である。)が提供される。
【0017】
上記固体撮像装置においては、非線形補正回路を全分割領域分用意する必要がなくなるため、回路が簡単になる。
【0018】
また、画像領域をN分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置であって、分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が前記第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路を有することを特徴とする固体撮像装置(但し、Nは2以上の整数である。)が提供される。
【0019】
上記固体撮像装置においては、回路が簡単になる上に、前記第1の分割画像領域の画素データと、第2から第Nまでのうちのいずれかの分割画像領域の画素データとの非線形入出力特性が一致するように補正すれば、それぞれの画像におけるつなぎ目の違和感を解消することができる。
【0020】
さらに、前記第1の分割画像領域と、前記第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域と、からの画像の非線形ひずみを検出する検出部と、前記第1の分割画像領域における非線形特性と前記第2から第Nまでの分割画像領域のそれぞれの非線形特性とを求め、それぞれの非線形特性が合うように前記非線形補正回路を制御する補正制御部とを有するのが好ましい。
【0021】
また、非線形特性検出用チャートであって、異なる反射率を有する複数の階調領域を備えたチャートを撮像し、前記第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域のいずれかの領域により得られた第1画像データと、前記第1の分割画像領域により得られた第2画像データとを、前記複数の階調領域のうちの同じ階調領域毎に2次元X−Yグラフ上にプロットして得られたデータに基づいて前記第1の画像データを前記第2の画像データに一致させる補正係数を各プロット毎に求め、該補正係数を用いて前記非線形補正回路を制御するのが好ましい。
【0022】
上記技術によれば、非線形特性検出用チャートの階調を、等比率の反射率にしなくても補正が可能である。
【0023】
本発明の他の観点によれば、画像領域をN分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置であって、分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が前記第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路と、前記第1の分割画像領域と、前記第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域と、からの画像の非線形ひずみを検出する検出部と、前記第1の分割画像領域における非線形特性と前記第2から第Nまでの分割画像領域のそれぞれの非線形特性とを求め、それぞれの非線形特性が合うように前記非線形補正回路を制御する補正制御部と、前記第1の分割画像領域から得られる画像データと、前記第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域からの画像データを前記補正制御部により補正した後の補正後画像データと、を合成する画像合成回路とを有する固体撮像装置が提供される。但し、Nは2以上の整数である。
【0024】
上記固体撮像装置によれば、それぞれの画像におけるつなぎ目の違和感を解消することができる。
【0025】
本発明の別観点によれば、画像領域をN分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置であって、分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が前記第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路を有することを特徴とする固体撮像装置を備えたデジタルビデオカメラ(但し、Nは2以上の整数である)が提供される。
【0026】
上記デジタルビデオカメラによれば、非線形特性が補正された画像データを高速に合成できるため、画像処理が高速化できる。
【0027】
本発明のさらに別の観点によれば、画像領域がN分割され、分割された画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置に用いられる非線形補正回路であって、分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が前記第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路が提供される。但し、Nは2以上の整数である。
【0028】
上記非線形補正回路によれば、非線形特性を有する2以上の画像データ列を整合性良く合成する画像データ信号に補正することができる。
【0029】
本発明のさらに別の観点によれば、画像領域がN分割され、分割された画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置に設けられた非線形補正回路を補正するための非線形特性検出用チャートであって、比率が異なる反射率を有する複数の階調領域を備えたチャートが提供される。
【0030】
【発明の実施の形態】
本実施の形態においては、主として左右2分割のケースを例にして説明するが、後述するように、種々の分割形態に適用できる。
【0031】
本発明の実施の形態について説明する前に、まず、発明者の行った考察について説明する。発明者は、図8に示す検出画像における階調差を等比率にしたチャートを用いる必要もなくなる。右画像データと左画像データとを2次元グラフの縦軸と横軸とにプロットし、原点から階調の異なる、あるプロットまでの傾きを求め、求めた傾きに例えば右画像データの信号値を乗算することにより、同じ点における左画像データと等価な画像データの信号値にすることができることを思い付いた。これにより、右画像データと左画像データとの線形性が得られる。線形性が得られれば、右画像データと左画像データとを合成した場合に、右画像データと左画像データとの境界における、両者の非線形性に起因するキズを低減することができる。
【0032】
上記考察に基づき、本発明の一実施の形態による固体撮像装置について図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施の形態による固体撮像装置の平面図であり、図2は、本発明の一実施の形態による固体撮像装置の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態による固体撮像装置は、画像領域を複数に分割し領域毎に画素信号を読み出す手段を有するCCD固体撮像装置(単板式ビデオカメラに用いる)である。図1及び図2には、左右に2分割して信号を読み出す形式のCCD固体撮像装置を用いた場合を例にして説明する。
【0034】
図1に示すように、画素領域を複数(図では左右2領域)に分割し、領域毎に画素信号を読み出す手段を有する。より具体的には、マイクロレンズを通して被写体像がCCD固体撮像装置1の撮像面上に行列状に整列配置されたフォトダーオード(光電変換素子)2に結像・入射し、被写体像が画素毎に電気信号に変換される。変換された電気信号は、垂直電荷転送路(VCCD)内に入り、駆動回路により水平電荷転送路(HCCD)の方向に向けて転送される。分割された2領域における画素信号は、2本のHCCD4・5に入り、駆動回路によりHCCD4・5中をアンプ6・7の方向に転送され、増幅された画像信号が信号処理回路11・12に出力する。信号処理回路11・12において処理された信号が合成回路13により1つの連続した画像に合成する。固体撮像装置1の出力は、左右の画像領域についてそれぞれ画像データ信号が出力される。
【0035】
図2に示すように、CCD固体撮像装置21の左右の領域により取得された画像データは、2組のCDS回路およびADコンバータ22、23によりデジタルデータに変換され、信号処理回路20に入力される。信号処理回路20では、ADコンバータの出力である右画像データはそのまま画像合成回路28に出力し、左画像データは、非線形補正回路25を介して画像合成回路28に出力する。2画面合成回路28では左右の画像データ信号を合成し、左右分離されていた画像を1枚の画像データとして出力する。
【0036】
より詳細には検出回路26において、左右の画像領域の画像データの非線形ひずみ特性を検出し、補正制御回路27により非線形補正回路(NL)25を制御する。非線形ひずみの検出処理は、例えば図3に示すような適当な比率で反射率が異なるaからfまでの階調を有する画像を撮影する。
【0037】
図2の検出回路26において、左右の領域のつなぎ合わせの近傍の領域において、上記aからfまでのそれぞれの階調毎に画像データを計測する。補正制御回路27において、左領域の画像データに対して図4(A)、(B)に示す特性(横軸(X軸)を左画像データとし、縦軸(Y軸)を右画像データとする)を有する特性(非線形特性)を算出し、その特性に一致するよう非線形補正回路(NL)25を制御する。
【0038】
ここで、非線形補正回路25で得られる入出力特性は、図4(A)に示すように、X軸に図2の検出回路26により検出した左領域の画像データのaからfまでの各階調毎の測定値をプロットし、Y軸に図2の検出回路26により検出した右領域の画像データのaからfまでの各階調毎の測定値をプロットした際の、このX軸とY軸のaからfまでのそれぞれの交点を通る折れ線となる。
【0039】
この入出力特性を、非線形補正回路25により、右画像領域の画像データを、矢印に示すように破線で示す線形特性の線まで垂直方向にのばすことで左画像データと一致させるように補正する。これにより右画像領域の画像データの非線形ひずみは左画像領域の画像データの非線形ひずみ特性と一致することになり、左右の特性差がなくなり、1枚の画像に合成した時のつなぎ目でのキズは発生しなくなる。より詳細には、図4(B)及び図5に示すように、ステップS1において、画像データa、a、b、b…を測定により得る。これらの値を図4(B)に示すグラフにプロットする。ステップS2に示すように、このグラフに基づいて、Δ1=a/a、Δ2=b/bのように、直線の傾きを求める。次に、a’=a×a/a、b’=b×b/bの式に基づいて、a’、b’…を求める。図4(A)に示す矢印の先端の値(右画像データ)が、それぞれの左画像データaからfに対応するa’からf’(図5)までになる。
【0040】
以上の処理により、左右の画像データの非線形性を補正し、CCD固体撮像装置の入射光量に比例した線形特性を有する画像データ、すなわち、左右でバランスのとれた画像データを得ることができる。特に、高い信号処理速度を要するデジタルビデオカメラに用いると良い。また、本実施の形態による技術を用いると、左右の画像データ信号間の非線形入出力特性を一致させるだけで良いため、図3の画像チャートに対してaからfまでの階調は、図8の場合と異なり等比率の反射率にする必要がなくなる。
【0041】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。上記実施の形態においては、画素領域が左右2分割されている場合を例にして説明した。上記技術は、様々な分割形態に応用可能である。例えば上下2分割された画素領域を有する場合には、図6(A)に示す検出画像を用いれば良い。検出画像は、線51により上下に分割されている。左右にそれぞれaからfまでの異なる反射率(反射率は等比率で変化させる必要はない)の画面を上下のそれぞれの検出画像を、上領域54と下領域55とに関して固体撮像装置により撮像し、上記実施の形態による技術と同様に、図4(A)に示すグラフに基づいて、上下の画像データの補正を行う。
【0042】
上下左右4分割の場合には、図6(B)に示す検出画像61を用いれば良い。この検出画像61は、線65により上下2分割され、線66により左右2分割されている。4分割された画素領域を上下又は左右に分割する線65、66の近傍にそれぞれ1つずつ、合計4つの検査用チャート67から70までが設けられ、これらのチャートを固体撮像装置により撮影することにより、上記実施の形態と同様の技術を用いて、上下左右に分割された画像データを補正し、非線形ひずみが境界近傍で同じになるように補正を行えば良い。このように、本実施の形態による固体撮像装置においては、画素領域に関する種々の分割形態にも対応可能である。また、CCD固体撮像装置のみでなく、MOS型固体撮像装置にも応用できる。尚、カラー固体撮像装置の場合には、輝度信号の振幅以外に、各色毎に独立して色信号の振幅について上記の処理を行えば良い。
【0043】
以上、本実施の形態に沿って説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、種々の変形が可能であるのは言うまでもない。本実施の形態による固体撮像装置は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、これらを備えたノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などを含む各種電子機器に応用可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明の固体撮像装置によれば、画像領域を複数に分割し領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置において、分割された画像データ間の非線形補正回路を簡単にすることができ、価格上昇を抑え、設計を簡単化することができる。さらに、調整のための入力画像チャートの階調を等比率にする必要がないため、チャートの設計や管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による固体撮像装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による固体撮像装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態による固体撮像装置を利用する際に用いられる非線形特性検出用のチャートの構成例を示す平面図である。
【図4】図4(A)は、本発明の一実施の形態による固体撮像装置を利用する際に用いられる非線形特性検出用のチャートを撮影した際における非線形特性を示すグラフであり、図4(B)は図4(A)の特性に基づいて階調毎の傾きを求める処理を説明するための模式的な図である。
【図5】本発明の一実施の形態による固体撮像装置における非線形特性を補正する処理手順の流れを示すフローチャート図である。
【図6】図6(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態による固体撮像装置を利用する際に用いられる非線形特性検出用のチャートの変形例を示す平面図である。
【図7】一般的な非線形補正回路を有する固体撮像装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図8】図7の固体撮像装置において用いられる非線形特性検出用のチャートの構成例を示す平面図である。
【図9】図8に示す非線形特性検出用のチャートを撮影した際における非線形特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1、21…CCD固体撮像装置、2…フォトダイオード(光電変換素子)、3…垂直電荷転送路(VCCD)、4、5…水平電荷転送路(HCCD)、6、7…アンプ、11、12、20…信号処理回路、13…合成回路、22、23…CDS回路およびADコンバータ、25…非線形補正回路(NL)、26…検出回路、27…補正制御回路、28…画像信号合成回路、S1…画像信号出力。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像領域をN分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置であって、分割した画像領域のうちのN−1領域のそれぞれに非線形補正回路が設けられていることを特徴とする固体撮像装置。
但し、Nは2以上の整数である。
【請求項2】
画像領域をN分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置であって、分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が前記第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路を有することを特徴とする固体撮像装置。
但し、Nは2以上の整数である。
【請求項3】
さらに、
前記第1の分割画像領域と、前記第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域と、からの画像の非線形ひずみを検出する検出部と、
前記第1の分割画像領域における非線形特性と前記第2から第Nまでの分割画像領域のそれぞれの非線形特性とを求め、それぞれの非線形特性が合うように前記非線形補正回路を制御する補正制御部と
を有する請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
非線形特性検出用チャートであって、異なる反射率を有する複数の階調領域を備えたチャートを撮像し、前記第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域のいずれかの領域により得られた第1画像データと、前記第1の分割画像領域により得られた第2画像データとを、前記複数の階調領域のうちの同じ階調領域毎に2次元X−Yグラフ上にプロットして得られたデータに基づいて前記第1の画像データを前記第2の画像データに一致させる補正係数を各プロット毎に求め、該補正係数を用いて前記非線形補正回路を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
画像領域をN分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置であって、
分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が前記第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路と、
前記第1の分割画像領域と、前記第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域と、からの画像の非線形ひずみを検出する検出部と、
前記第1の分割画像領域における非線形特性と前記第2から第Nまでの分割画像領域のそれぞれの非線形特性とを求め、それぞれの非線形特性が合うように前記非線形補正回路を制御する補正制御部と、
前記第1の分割画像領域から得られる画像データと、前記第2から第Nまでのそれぞれの分割画像領域からの画像データを前記補正制御部により補正した後の補正後画像データと、を合成する画像合成回路と
を有する固体撮像装置。
但し、Nは2以上の整数である。
【請求項6】
画像領域をN分割し、分割した画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置であって、分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が前記第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路を有することを特徴とする固体撮像装置を備えたデジタルビデオカメラ。
但し、Nは2以上の整数である。
【請求項7】
画像領域がN分割され、分割された画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置に用いられる非線形補正回路であって、
分割した画像領域のうちから選択され基準となる第1の分割画像領域以外の第2から第Nまでの分割画像領域に関して、それぞれの画像領域毎の画像データの非線形特性が前記第1の分割画像領域における非線形特性と合うように補正する第2から第Nまでの非線形補正回路。
但し、Nは2以上の整数である。
【請求項8】
画像領域がN分割され、分割された画像領域毎に画素信号を読み出す手段を有する固体撮像装置に設けられた非線形補正回路を補正するための非線形特性検出用チャートであって、比率が異なる反射率を有する複数の階調領域を備えたチャート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2004−128730(P2004−128730A)
【公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−287745(P2002−287745)
【出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】