説明

固体撮像装置

【課題】配線基板上に固体撮像チップがフリップチップ実装された固体撮像装置においては、アンダーフィル樹脂を通じて固体撮像チップ内に迷光が入り込むおそれがある。
【解決手段】固体撮像装置1は、配線基板10、固体撮像チップ20、およびアンダーフィル樹脂30を備えている。配線基板10上には、固体撮像チップ20がフリップチップ実装されている。固体撮像チップ20は、裏面S1に入射した光を光電変換することにより被撮像体を撮像する。配線基板10と固体撮像チップ20との間の間隙には、アンダーフィル樹脂30が充填されている。アンダーフィル樹脂30は、固体撮像チップ20による撮像に用いられる光を遮光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、半導体チップの実装技術の一つであるフリップチップ実装技術が開示されている。同文献に記載の実装手順によれば、まず、ウエハ表面のバンプランドに、アンダーバンプメタルと呼ばれる半田のランドを設ける。そして、内部接続用の半田バンプをペースト印刷した後、ダイシングによってウエハからチップを切り出す。切り出したチップを、上記半田バンプを介して配線基板に接続する。その接続部にアンダーフィル樹脂を注入する。
【0003】
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、非特許文献1の他に、特許文献1,2が挙げられる。
【特許文献1】特開2005−38406号公報
【特許文献2】特開2002−33469号公報
【非特許文献1】「日経エレクトロニクス(2005年1月3日号)」、pp. 113-120
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のフリップチップ実装技術は、固体撮像装置にも適用することができる。すなわち、配線基板上に指紋センサ等の固体撮像チップがフリップチップ実装された固体撮像装置が考えられる。
【0005】
しかしながら、かかる固体撮像装置には次の課題があることを本発明者は発見した。すなわち、上記固体撮像装置においては、アンダーフィル樹脂を通じて固体撮像チップ内に迷光が入り込むおそれがある。迷光が入り込んだ場合、偽信号が発生し、それにより撮像画像が劣化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による固体撮像装置は、配線基板と、上記配線基板上にフリップチップ実装され、裏面に入射した光を光電変換することにより被撮像体を撮像する固体撮像チップと、上記配線基板と上記固体撮像チップとの間の間隙に充填され、上記光を遮光するアンダーフィル樹脂と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この固体撮像装置においては、遮光性のアンダーフィル樹脂が用いられている。これにより、迷光がアンダーフィル樹脂を通じて固体撮像チップ内に入り込むのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な撮像画像を得ることが可能な固体撮像装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明による固体撮像装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明による固体撮像装置の第1実施形態を示す断面図である。固体撮像装置1は、配線基板10、固体撮像チップ20、およびアンダーフィル樹脂30を備えている。配線基板10は、例えばプリント配線基板である。
【0011】
配線基板10上には、固体撮像チップ20がフリップチップ実装されている。すなわち、固体撮像チップ20は、半田バンプ22を介して配線基板10に接続されている。また、固体撮像チップ20は、その上面すなわち回路形成面を配線基板10に向けている。この固体撮像チップ20は、例えば指紋センサであり、裏面S1に入射した光を光電変換することにより被撮像体を撮像する。
【0012】
図2は、固体撮像チップ20の一例を示す断面図である。同図の固体撮像チップ20は、半導体基板210および受光部220を備えている。半導体基板210は、例えばP型シリコン基板である。半導体基板210の裏面(後述する配線層230と反対側の面)が上記裏面S1に相当する。固体撮像チップ20においては、裏面S1に接触した被撮像体を透過した光が半導体基板210の内部で光電変換され、その光電変換により発生した電荷が受光部220に集められる。
【0013】
半導体基板210中には、複数の受光部220が形成されている。具体的には、受光部220は、半導体基板210の上面側の表層中に設けられている。受光部220は、例えばN型不純物拡散層である。受光部220は、隣接する半導体基板210と共にフォトダイオードを構成している。
【0014】
半導体基板210中には、MOSFET240も形成されている。すなわち、固体撮像チップ20には、受光部220等により構成されるMOSイメージセンサ部と、MOSFET240等により構成されるロジック回路部とが混載されている。MOSFET240は、ソース・ドレイン領域として機能するN型不純物拡散層242、ゲート絶縁膜243およびゲート電極244を含んでいる。半導体基板210の上面上には、配線層(絶縁層中に配線が設けられている層)230が設けられている。
【0015】
図1に戻って、配線基板10と固体撮像チップ20との間の間隙には、アンダーフィル樹脂30が充填されている。アンダーフィル樹脂30は、遮光性材料によって構成されており、固体撮像チップ20による撮像に用いられる光を遮光する。アンダーフィル樹脂30は、上記光に対して不透過性を示す粒子を含んでいることが好ましい。このアンダーフィル樹脂30としては、例えば顔料または染料等が混入した、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂またはアクリル樹脂をアンダーフィル樹脂30として用いることができる。本実施形態において、アンダーフィル樹脂30は、固体撮像チップ20の上面だけでなく側面をも覆っている。
【0016】
また、配線基板10の裏面(固体撮像チップ20と反対側の面)には、固体撮像装置1の外部電極端子として機能する半田ボール50が接続されている。
【0017】
図3を参照しつつ、固体撮像装置1の動作の一例を説明する。ここでは、固体撮像チップ20が指紋センサである場合を例にとって説明する。固体撮像チップ20の裏面S1に被撮像体である指90を接触させた状態で、蛍光灯やLED等の光源からの光を指90に入射させると、その透過光が裏面S1に入射する。このとき、その透過光は、指90の指紋92の形状についての情報を含んだものとなる。裏面S1に入射した上記透過光は、半導体基板210(図2参照)の内部で光電変換される。その光電変換により発生した信号電荷を受光部220が受けることにより、指紋92の像が撮像される。
【0018】
本実施形態の効果を説明する。固体撮像装置1においては、遮光性のアンダーフィル樹脂30が用いられている。これにより、迷光がアンダーフィル樹脂30を通じて固体撮像チップ20内に入り込むのを防ぐことができる。よって、良好な撮像画像を得ることが可能な固体撮像装置1が実現されている。
【0019】
さらに、固体撮像チップ20の側面がアンダーフィル樹脂30によって覆われている。これにより、固体撮像チップ20の側面から迷光が入り込むのを防ぐことができる。なお、本実施形態においては固体撮像チップ20の側面全体がアンダーフィル樹脂30で覆われた例を示したが、固体撮像チップ20の側面の一部がアンダーフィル樹脂30で覆われていてもよい。その場合も、固体撮像チップ20の側面が全く覆われていない場合に比べると、迷光の影響を小さく抑えることができる。ただし、アンダーフィル樹脂30が固体撮像チップ20の側面の一部または全部を覆っていることは必須ではない。アンダーフィル樹脂30は、少なくとも、固体撮像チップ20の上面を覆っていればよい。
【0020】
なお、配線基板10が薄い場合には、配線基板10を通過してくる迷光も問題となる。この点、本実施形態のように固体撮像チップ20の少なくとも上面に遮光性のアンダーフィル樹脂30を設けることによって、配線基板10を通過してくる迷光も遮断することができる。
【0021】
ところで、特許文献1には、配線基板上に表面入射型の固体撮像チップが実装された指紋撮像装置が開示されている。このように固体撮像チップが表面入射型である場合、固体撮像チップの上面側(配線層側)に被撮像体を接触させなければならないため、固体撮像チップの破損、特性劣化および静電破壊等の発生が懸念される。特に、被撮像体が指である場合、指による過大な静電気が固体撮像チップ中に設けられた素子(受光部やトランジスタ等)に印加されてしまうおそれがある。このため、同文献の指紋撮像装置においては、固体撮像チップの破損等を防ぐために、固体撮像チップ上に保護部材が設けられている。しかしながら、このことは、装置構成の複雑化、および製造工程数の増大を招いてしまう。
【0022】
これに対して、固体撮像チップ20は、裏面入射型である。このため、固体撮像チップ20の上面側に被撮像体を接触させる必要がない。したがって、本実施形態によれば、装置構成の複雑化や製造工程数の増大を招くことなしに、固体撮像チップ20の破損、特性劣化および静電破壊等の発生を抑えることができる。
【0023】
(第2実施形態)
図4は、本発明による固体撮像装置の第2実施形態を示す断面図である。固体撮像装置2は、配線基板10、固体撮像チップ20、アンダーフィル樹脂30、およびサイドフィル樹脂40を備えている。配線基板10および固体撮像チップ20の構成は、図1で説明したとおりである。本実施形態においても、固体撮像チップ20が配線基板10にフリップチップ実装されている。
【0024】
本実施形態においては、固体撮像チップ20の側面を覆うようにサイドフィル樹脂40が設けられている。サイドフィル樹脂40は、アンダーフィル樹脂30と同様に、固体撮像チップ20による撮像に用いられる光を遮光する。すなわち、サイドフィル樹脂40も、遮光性材料によって構成されている。
【0025】
本実施形態の効果を説明する。固体撮像装置2においては、遮光性のサイドフィル樹脂40が用いられている。これにより、迷光がサイドフィル樹脂40を通じて固体撮像チップ20内に入り込むのを防ぐことができる。したがって、固体撮像装置2においては、迷光が固体撮像チップ20の上面から入り込むのをアンダーフィル樹脂30によって防ぐとともに、固体撮像チップ20の側面から入り込むのをサイドフィル樹脂40によって防ぐことができる。このため、迷光の影響を特に効果的に抑えることができる。なお、固体撮像装置2のその他の効果は、固体撮像装置1と同様である。
【0026】
本発明による固体撮像装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、図2においては固体撮像チップにNチャネルMOSFET(MOSFET240)が設けられた例を示したが、さらにPチャネルMOSFETが設けられていてもよい。また、P型の半導体基板およびN型の受光部を例示したが、N型の半導体基板およびP型の受光部であってもよい。さらに、本発明は、CCD(Charge Coupled Device)型の固体撮像装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による固体撮像装置の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】固体撮像チップの一例を示す断面図である。
【図3】図1の固体撮像装置の動作の一例を説明するための断面図である。
【図4】本発明による固体撮像装置の第2実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 固体撮像装置
2 固体撮像装置
10 配線基板
20 固体撮像チップ
22 半田バンプ
30 アンダーフィル樹脂
40 サイドフィル樹脂
50 半田ボール
90 指
92 指紋
210 半導体基板
220 受光部
230 配線層
240 MOSFET
242 N型不純物拡散層
243 ゲート絶縁膜
244 ゲート電極
S1 裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上にフリップチップ実装され、裏面に入射した光を光電変換することにより被撮像体を撮像する固体撮像チップと、
前記配線基板と前記固体撮像チップとの間の間隙に充填され、前記光を遮光するアンダーフィル樹脂と、
を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像装置において、
前記アンダーフィル樹脂は、前記固体撮像チップの側面の一部または全部を覆っている固体撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の固体撮像装置において、
前記固体撮像チップの側面を覆い、前記光を遮光するサイドフィル樹脂を備える固体撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の固体撮像装置において、
前記被撮像体は指であり、前記固体撮像チップは当該指の指紋画像を撮像する固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−311386(P2007−311386A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136093(P2006−136093)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】