固体表面上にナノ粒子の組成物を産生させる方法
イオン性液体中の金属前駆体及びマイクロウェーブ加熱を用いて基板上にナノ粒子を産生させる方法を記載する。複合体組成物は、化学反応、燃料電池、超キャパシタ及び電池部品に対する触媒として有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号60/689,658、2005年6月10日出願の優先権を主張する。本発明は、基板の固体表面上に金属ナノ粒子を産生させる方法に関する。特に、本発明は、例えば、カーボンブラック、繊維及びナノチューブ等の、種々の形状の炭素又は黒鉛を含むナノ粒子上に堆積される金属のナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエストマン(Westman)に付与された米国特許第6,596,130号は、イオン性液体(IL)を用いる、マイクロウェーブ支援の有機化合物の化学転換の方法について一般的に記載している。この引例の全体を、特にイオン性液体に関して、本明細書に援用する。マイクロウェーブ反応装置は当業者に周知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、本発明の目的は、固体表面上に金属性ナノ粒子を産生させる新規な方法を提供することである。特に、本発明の目的は、方法及びその結果生まれる、経済的で比較的調製が容易な複合体を提供することである。支持された金属に基づく任意の工業的な触媒又は電極触媒の性能に関して極度に重要である、任意の基板上への金属ナノ粒子の形成を制御する簡単な手段を提供することも、本発明の目的である。これらの、及び他の目的は、以下の記述を参照することにより、次第に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基板の表面上に堆積させた金属ナノ粒子の製造方法に関し、その方法は、(a)金属の前駆体を含有する、エチレングリコール等の還元性溶媒中のイオン性液体の溶液を基板上に供給する段階;及び(b)前記イオン性液体中の金属前駆体をマイクロウェーブに晒して、前記金属前駆体を基板上に堆積させた金属のナノ粒子へと還元する段階、を含む。好ましくは、基板は、金属のナノ粒子が堆積した炭素を含む表面を持つ。好ましくは、炭素は、黒鉛、カーボンブラック粒子、ナノチューブ、又は炭素繊維である。また、好ましくは炭素はバッキーボールである。好ましくは、炭素は、ナノ寸法である少なくとも一の寸法を持つ。好ましくは、基板は、少なくとも一の寸法において100ナノメートル未満であるナノ粒子である。好ましくは、段階(a)において、前記金属前駆体の少なくとも二種を混合して提供する。
【0005】
本発明は、基板と、その上に金属を堆積させたナノ粒子を含む複合組成物にも関する。好ましくは、金属ナノ粒子は貴金属単独、又は貴金属と遷移金属との組合せから成る。好ましくは、金属ナノ粒子は任意の金属単独、又は任意の他の金属との組合せから成る。好ましくは、基板は、少なくとも一の寸法が100ナノメートル未満のナノ粒子である。好ましくは、基板は、炭素を含む。好ましくは、基板は、その上に金属ナノ粒子が堆積した任意の固体を含む表面を持つ。
【0006】
本発明の物質及び利点は、以下の図面及び説明を参照することにより、次第に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下の記載は、以下の通り定義された用語を包含する。
【0008】
用語「ナノ粒子」は、少なくとも一の寸法が100ナノメートル以下、好ましくは10ナノメートル以下(1ナノメートルは10−9メートルに等しい)の粒子として定義される。
【0009】
用語「イオン性有機液体」は、カチオン及びアニオンを伴い、イオン性金属前駆体を還元するために180℃まで、又はそれを超える温度に加熱できる液体有機化合物として定義される。
【0010】
用語「イオン性金属前駆体」は、イオン性有機液体の存在下、マイクロウェーブのエネルギーにより還元できるイオン性金属塩を意味する。塩は、有機又は無機であってよい。
【0011】
用語「溶液」は、エチレングリコール等の還元性化合物及びイオン性液体を、約1と30%の間の濃度で含有する液体組成物を意味する。
【0012】
用語「基板」は、金属ナノ粒子を堆積させることができる表面を持つ固体材料を意味する。好ましくは、基板は何らかの形状の炭素である。最も好ましくは、基板は、少なくとも一の、100ナノメートル以下のナノ寸法を持つ。金属は、好ましくは貴金属単独、又は触媒として作用できる遷移金属との組合せである。
【0013】
用語「マイクロウェーブ」は、マイクロウェーブスペクトル中の波エネルギーを意味する。食品用途に販売されている電子レンジに関して最も一般的な周波数は2.45GHzである;しかしながら、1MHzと300GHzの間の、より高い、又はより低い周波数は商業的に使用されており、当業者に周知である。
【0014】
用語「還元性液体」は、マイクロウェーブの存在下、イオン性有機液体中で還元剤として機能できる有機液体を意味する。この様な化合物は、例えば、エチレングリコール、又は他の多価アルコールであり、マイクロウェーブの存在下で揮発しない。他の有機液体は、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールである。
【0015】
マイクロウェーブ誘電加熱は、従来の油浴加熱法と比べて、迅速な加熱、より高い反応速度、及び反応時間の低減等の数々の利点を持つ。それ故、マイクロウェーブ支援の方法は、有機及び無機材料の素早い合成の可能性を開いた。この観点から、イオン性液体(IL)は、高い分極率を伴う大きな有機陽イオンに起因する際立った利点を提供する。この様に、ILは、良好な媒体であると共に、非常に良くマイクロウェーブを吸収する良好な添加物も提供し、更に高い加熱速度をもたらす。マイクロウェーブ加熱法においてILの利点を用いることにより、燃料電池用途、電池、スーパーキャパシタ、化学処理に対する触媒材料等のための炭素支持電極触媒を合成する、早い、及び簡単な手段が提供される。ILを、種々の炭素上に支持されたPt系触媒を合成するため、活性金属相の含量とは無関係に白金系金属のサイズを調整するために、マイクロウェーブと共に用いることができる。この方法は、任意の金属に適用できる。
【0016】
Pt/C(炭素上、20及び60重量%Pt)及びPtM(M=Ru、Ni、Fe)/C(炭素上、20重量%PtM)触媒を、本発明のイオン性液体を伴わない比較試験として、Pt及びM前駆体のエチレングリコール(ACS品位、J.T.ベーカー)溶液のマイクロウェーブ誘電加熱により合成した。4種の異なる炭素材料を用いた;Vulcan XC−72Rカーボンブラック(CB、カボット社)、黒鉛ナノ繊維(GNF、ナノミラエ社)、生産されたままの単層ナノチューブ(A−SWNT、カーボレックス社)、及び剥離した黒鉛ナノ小板(xGnP、ミシガン州立大;米国特許出願番号第10/659,577、2003年9月10日出願(公開番号米国第2004−0127621−A1、2004年7月1日発行)、これを引用により援用する)。典型的な調製は、以下の手順から成る:Pt/C又はPtM/C触媒に関しては、40mgの炭素支持体を、20分間の超音波処理により20mLのエチレングリコール中に分散させた。26mgのH2PtCl6・6H2O(アルドリッチ)、又は1:1モル比のH2PtCl6・6H2Oと他の金属前駆体(例えば、RuCl3・3H2O)のエチレングリコール溶液1mLを添加し、20分間機械的に撹拌した。Pt前駆体、炭素、及びエチレングリコールを入れたビーカーを、家庭用電子レンジ(1300W)で50秒間加熱した。室温に冷却後、得られた懸濁液を濾過し、アセトンで洗浄して、真空オーブン中で100℃、12時間乾燥した。20及び60重量%のPt及びPtRuの装填量を伴う触媒を、H2PtCl6・6H2O及びエチレングリコール溶液中の他の金属前駆体の含量を変えて調製した。得られた触媒は、Pt/C−N又はPtRu/C−Nと呼ばれる。Nは非イオン性液体である。
【0017】
イオン性液体(IL)に支援されたPt/C又はPtRu/C触媒に関して、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート[(BMI)(PF6)]及び1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムアセテート[(BMI)Ace]を、アルドリッチ・ケミカル社から購入し、受領したままで用いた。炭素の分散に先立って、0.025mLから1mLの[(BMI)(PF6)]又は[(BMI)Ace]を、20mLのエチレングリコールに溶解させた。他の段階は、Pt/C−N又はPtRu/C−N触媒に対する段階と同じである。[(BMI)(PF6)]及び[(BMI)Ace]を添加して合成した触媒を、それぞれ、Pt(又はPtM)/C−IM及びPt(又はPtM)/C−Mと表す。[(BMI)(PF6)]はエチレングリコールと不混和性であり、[(BMI)Ace]はこの溶媒と混和性である。IM−ILは[(BMI)(PF6)]を指し、M−ILは[(BMI)Ace]を表す。
【0018】
調製された触媒を、JEOL 2200FS及びJEOL 100CXで、透過電子顕微鏡法(TEM)により検査した。顕微鏡的検査のために、アセトン中に再分散した触媒試料を、穴のある炭素フィルムで覆ったCu格子上に堆積させた。SIGMASCANソフトウェアを用い、各試料において、TEM画像中の無作為に選んだ領域から少なくとも120粒子を計数することにより、炭素上の触媒金属粒子Pt/C及びPtRu/Cの粒子サイズ分布を、手作業で、及び統計的に決定した。
【実施例】
【0019】
(実施例1 カーボンブラック(CB)支持Pt触媒)
ILの不存在(1A)及び存在(0.5mL;1C、1D)下、マイクロウェーブ誘電加熱によって合成されたCB支持Pt触媒の形態及びPtサイズの分布を、図1Aから1Fに示す。2種の異なるILである、IM−IL及びM−ILの添加に対応するPtサイズの変化を図2に示す。各試料において、Pt粒子は、CB上に極めて均一に分散された。しかしながら、図1の(1A)、(1C)及び(1E)から、ILは、CB支持触媒のPtサイズの低減に大きな効果を持つことが明らかである。図1Aから1Fの(1B)、(1D)及び(1F)から、Pt/CB−NのPtサイズ分布は、CB支持触媒の中で最も狭いサイズ分布を示した、ILとPt/CB−Mの存在下で調製された触媒のそれよりずっと広いことも、はっきりと見て取れる。Pt/CB−N触媒中のPtの平均サイズは約5.56±1.54nm、Pt/CB−IM及びPt/CB−M触媒中のPtの平均サイズは、それぞれ約1.75±0.74nm及び1.30±0.4nmであった。これらの結果は、CB支持Pt触媒の合成におけるILの導入が、Pt粒子のサイズの低減、及びCB表面上のその分散の改良に顕著に効果的であることを説明しており、これが燃料電池用途に対するこの触媒の電極触媒活性を向上させることが期待される。
【0020】
(実施例2 螺旋形黒鉛ナノ繊維(GNF)支持Pt触媒)
Pt/GNF−N、Pt/GNF−IM及びPt/GNF−MのTEMによる形態、並びに、各試料に対応するPt相のサイズ分布を図3Aから3Fに示す。コロイド及び従来の経路を介して炭素ナノ繊維又は黒鉛ナノ繊維上にPtを堆積させることの困難さは既知である。図3Aのように、マイクロウェーブ法においてすら、この問題は続いている。出発混合物において、Pt/GNF−Nに対して20重量%の金属装填量に相当するPt前駆体を添加してさえも、最終生産物において5から8重量%のPtだけがGNF上に堆積したことが見出された。上記の事実は、従来のマイクロウェーブ−ポリオール法を用いてすら、Ptを効率良くGNF上に支持させることはできないことを確証している。しかしながら、図3B及び3Cから、ILの存在は、GNF上へのPtの堆積の増加だけではなく、Pt粒子のサイズ分布の狭小化にも寄与していることは、注目に値する。Pt/GNF−Mの場合は、Ptの凝集体が殆ど見出されないことも注目される。
【0021】
GNF支持触媒に関して、Ptサイズの低減に対するILの効果は、図4に明白に示されている。Pt/GNF−N、Pt/GNF−IM及びPt/GNF−M触媒のPtサイズは、それぞれ、3.3±1.1nm、2.46±0.7nm及び1.53±0.4nmである。この結果は、M−ILがIM−ILより均一にGNF上に吸着され、及び、従って、M−ILが溶媒の迅速で一様な体積加熱により良く寄与することの帰結として、エチレングリコールと混和性のM−ILは、この溶媒と不混和性のIM−ILより、Ptサイズの低減に有効であることを示している。
【0022】
(実施例3 産生されたままの単層ナノチューブ(a−SWNT)支持Pt触媒、及び精製された多層カーボンナノチューブ(MWNT)支持Pt触媒)
IM−IL(0.5mL)で支援されたマイクロウェーブ加熱法により、a−SWNT上に直接Ptを堆積させることを試みた。図5の様に、平均サイズがおよそ1.5から2nmのPtナノ粒子をa−SWNT上に支持させることに成功した。ILを用いないマイクロウェーブ法によって合成したPt/a−SWNT−N触媒におけるa−SWNT上には、僅かなPt粒子のみが見出された(ここには、示していない)。
【0023】
精製したが酸化されていないMWNTを支持体として用いた。ILの存在下及び不存在下においてMWNT上に堆積させたPtナノ粒子の形態を図6Aから6Fに示す。IL無しでは、a−SWNTにおける様に、平均サイズが7.1nmの僅かなPt粒子によってMWNTを飾ることができ、及び、Pt粒子のサイズ分布は、標準偏差が約1.47nmと広かった(図6A及び6B)。IM−ILを0.5mL添加したときは、Ptのサイズは約1.92±0.4nmに低減し、また、IL無しで調製した試料と比較してMWNT上にずっと多いPt粒子が存在していた(図6C及び6D)。0.5mLのM−ILの添加に伴って、Ptのサイズが1.54nmに減少すると共に、MWNT上のPt粒子の分散は大幅に改良された(図6E及び6F)。これらの例は、ナノサイズ化された金属ナノ粒子を、官能化されていない、又は酸化されていないSWNT及びMWNT上に堆積させる可能性をはっきりと示している。
【0024】
(実施例4 剥離された黒鉛ナノ小板(xGnP)支持Pt触媒)
xGnPは、複合体の新しい強化材料及び触媒の支持体として注目を引いている。xGnPは、ナノ技術領域で画期的な材料と考えられているカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びフラーレン等の、新しいカーボンナノ構造より、ずっとコスト効率がよい。xGnPは、燃料電池の電極用支持体として要求される特性である、優れた機械的、高い耐腐食及び耐酸化性、並びに高い結晶性等の、優秀な性質を持っている。ここで、その表面の高い不活性にもかかわらず、マイクロウェーブ法により、xGnP上にナノサイズのPtを非常に効率的に堆積させることができた。これから、xGnP支持Pt系触媒を、燃料電池用途に関して評価する価値がある。これらは、米国公開出願第2004−0127621−A1号に記載されている、マイクロウェーブで展開され粉砕された黒鉛ナノ小板である。
【0025】
図7Aから7Fは、xGnP支持触媒の形態及びPtサイズ分布に対するILの効果を示す。IL無しで得られたPt粒子の平均サイズが3.5から4.0nm(図7A)であるのに比べ、エチレングリコールに0.5mLのIM−ILを導入したときのPtの平均サイズは約2.0nmであり(図7B)、また、0.5mLのM−ILを添加したとき、1.6nmへの更なるPtサイズの低減が達成されている(図7C)。ILの存在の結果として、マイクロウェーブの吸収による非常に高い加熱速度は、金属の還元速度を増大させ、斯くしてより小さい粒子が生成される。
【0026】
Pt粒子の粒子サイズに対するIL含量の効果を図8に示す。RTILは室温のイオン性液体である。ILの添加は、Pt粒子のサイズの低減と共に、それらのサイズ分布の狭小化も、もたらす。高々0.025mLのILが添加されたとき、Ptの平均サイズは3nmより下に降下した。0.5mLを超えてIM−ILの含量を更に増やしても、Ptサイズの低減に大きな効果があるようには見えなかった。しかしながら、M−ILは、含量が増すにつれ、Ptサイズを低減させ続けた。
【0027】
(実施例5 高Pt含量を伴うPt/xGnPナノ複合体)
金属の高い装填量(>20重量%)と小さい粒子サイズを同時に伴うPt触媒を調製するために従来法を用いることの困難さを強調している研究は多数存在する。Pt装填量が10重量%及び30重量%の、支持されたPt触媒に関する金属粒子サイズは、それぞれ2.0nm及び3.2nmであったが、60重量%のPt触媒に対しては8.8nmに増加した。それ故、小さい粒子サイズを伴う、高度に分散され及び装填された金属触媒の調製は、ずっと難問であった。しかしながら、この難問は、マイクロウェーブ−ポリオール法において、IM−IL及びM−ILを添加する簡単な方法により解かれている。xGnP上60重量%のPtを伴う試料に関する結果を図9Aから9Dに示す。図9A及び9Bに見られるとおり、Ptは非常に広いサイズ分布を持ち、多くのPt凝集体が見られる。Ptの平均サイズは9乃至10nmに増加した。M−IL(0.5mL)の存在下で、支持された触媒を合成したとき、Ptの平均サイズは顕著に減少して2.0nm未満であり、サイズ分布も狭かった(図9C及び9D)。Ptの目立つ凝集体は存在しない。ここでの結果は、どれだけ多くのPtが装填されたにしても、Ptの活性表面領域、及び炭素支持Pt触媒の触媒活性を調整する簡単な手段を示唆している。
【0028】
(実施例6 Pt相の表面積及び分散)
Ptの比表面積は、等式(1)により計算できる。
【0029】
【数1】
【0030】
ここで、SはPtの比表面積、rは金属Ptの密度(21.41g/cm3)、dはPt粒子の直径であり、TEM画像から決定される。図10は、20重量%のPtの装填量を伴うxGnP支持触媒におけるPtの表面積に対するILの効果を示す。IM−ILとM−ILの両方の存在下で触媒を合成したとき、Ptサイズの低減に起因して、Pt表面積は増加した。驚くべき結果は、M−ILを添加して合成したPt/xGnP−M触媒のPt表面積は、いかなるILも伴わずに得られたPt/xGnP−Nのそれの殆ど3倍大きく、M−IL含量を更に増やせば、Pt表面積を更に増大させる余地があると思われることである。図11は、従来のマイクロウェーブ加熱と比較して、マイクロウェーブ支援IL法がいかに、より効率的に炭素支持触媒のPt表面積を改良するかを示す。Pt/xGnP−NのPt表面積は、Pt装填量の増加と共に減少するが、Pt/xGnP−Mのそれは、Ptを増加させても変化しないか、又は僅かに増大した。60重量%のPtを伴う支持された触媒の場合、Pt/xGnP−M試料の表面積は、Pt/xGnP−Nのそれよりも5倍大きい。支持体としてCBを用いたとき、ILを添加しない場合と比較して、M−ILの存在はPt表面積を7倍に増大させる。これらの結果は、触媒活性のある表面積を犠牲にせずに、種々の炭素上に高度に装填されたPtナノ粒子を産生させることが可能であるという事実を確証している。
【0031】
全てのPt粒子が球形であると仮定すると、ナノ粒子中の全原子に対する表面原子の比である、Ptの表面平均分散(D)は、小さいサイズ(d>24dat)に関して等式(2)−(4)を用いて計算できる。
【0032】
【数2】
【0033】
ここで、datはPt原子の直径(0.278nm)、dvsは各粒子の体積表面平均直径である。Dを、酸素還元反応に対する触媒の質量活性を見積もるために用いることができる。Dの値が高いほど、その触媒の質量活性はより良好である。図12は、Ptの分散に対するILの効果を示す。Dの動向はPt表面積のそれと似ている。両者は粒子サイズに関連しているからである。言及すべき重要な点は、M−ILの含量の制御により、Pt/xGnP−NのDに比べて、Ptの分散を100%を超えて増加させ得ることである。これは、炭素支持Pt触媒の電極触媒活性の改良をもたらす。
【0034】
(実施例7 xGnP上に支持されたPtM合金触媒)
Au、Pt、Pd、Ag及びRh等の強度に陽性の金属は、通常の条件下で穏やかな還元剤で還元できるが、Cu、Co、Ni、Fe、Sn、W、Cr及びMoの様なより陰性の金属は、非常に強い還元剤と、頻繁に、極端な温度及び圧力条件を必要とする。PtM合金粒子の合成に関しても同じ原理が適用される。ここで、Mは、この場合金属である。燃料電池システムに対する電極触媒として、支持された触媒の活性を増大させることが知られている、炭素支持二元金属PtM(M=Co、Ni、Fe、Sn、Cr、W及びMo)触媒の調製のために、より高い反応温度及びより長い反応が、通常、必要とされる。
【0035】
それらの二元金属PtMナノ粒子を、非極性溶媒をその沸点を越えて加熱することを支援できる少量のILの助けを借りて、迅速に様々な炭素上に、成功裡に合成し及び堆積させ得ることが見出された。高温でポリオールを用いて産生された金属粉はより低温で還元された試料よりもっと結晶質なので、ILは別の利点をもたらす。例として、エネルギー分散型X線(EDX)解析の結果(13D)と共に図13Aから13Dに包含される、xGnP上に分散された二元金属PtNi金属粒子のTEM画像を示す。PtとNiの原子比は3:1である。全金属の装填量は70重量%に近いが、PtNi金属粒子の平均サイズは正に2から2.5nmである。これは、二元金属PtM触媒の生産に対して、塩化物金属前駆体を用いて達成するのは、通常は、困難である。図13Cに、十分に成長したPtNi粒子の結晶構造が見て取れる。類似の形態が、xGnP上に堆積させたPtRu及びPtFe粒子から得られる。xGnP上に分散された二元金属PtRu合金に対する証拠は、図14Aから14Dにある。ILを伴う又は伴わない、xGnP上のPtRu合金の結果は、xGnP上の単金属Ptに類似している。
【0036】
マイクロウェーブ支援室温イオン性液体加熱法により、種々の炭素支持体上にPt及びPtM触媒を堆積させることができる。種々の炭素上に支持されたPt及びPtM合金のサイズは、Pt及びPtMの装填レベルと関係なく、単にILの量を変えることにより、微調整できる。還元剤と混和性のILは、還元剤と不混和性のILより、Pt及びPtMのサイズをより効率的に低減させる。活性相の与えられた濃度における炭素支持触媒の最適触媒性能を見出すことができる。炭素支持Pt触媒の触媒活性の改良は、上昇したPt相の表面積及び分散に起因する。
【0037】
本ナノ粒子複合体は、化学反応、燃料電池、超キャパシタ及び電池部品に対する触媒として有用である。非常に小さいサイズ及び分散の均一性は、これらの用途に対して高度に効果的である。
【0038】
これまでの記載は単に本発明の例証であること、及び、本発明は添付された特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】1A−1FはTEM顕微鏡写真、並びに(1A、1B)Pt/CB−N、(1C、1D)Pt/CB−IM、及び(1E、1F)Pt/CB−M触媒のPt粒子サイズ分布のグラフを示す。CBはカーボンブラック、並びにIM及びMは特定のイオン性液体である。Nは非イオン性液体である。
【図2】CB−支持Pt触媒における、Ptサイズの低減に対するILの存在の影響を示すグラフである。
【図3】3A−3FはTEM顕微鏡写真、並びに(3A、3B)Pt/GNF−N、(3C、3D)Pt/GNF−IM、及び(3E、3F)Pt/GNF−Mナノ複合体のPt粒子サイズ分布のグラフを示す。GNFは黒鉛ナノ繊維である。
【図4】N−Pt/sp−GNF、IM−Pt/sp−GNF、及びM−Pt/sp−GNF触媒における、Pt粒子の平均サイズを示すグラフである。
【図5】Pt/a−SWNT−IMナノ複合体のTEM顕微鏡写真を示す。SWNTは単層カーボンナノチューブである。
【図6】6A−6FはTEM顕微鏡写真、並びに(6A、6B)Pt/MWNT−N、(6C、6D)Pt/MWNT−IM、及び(6E、6F)Pt/MWNT−Mナノ複合体のPtサイズ分布のグラスを示す。MWNTは、多層カーボンナノチューブである。
【図7】7A−7FはTEM顕微鏡写真、並びに(7A、7B)Pt/xGnP−N、(7C、7D)Pt/xGnP−IM、及び(7E、7F)Pt/xGnP−Mナノ複合体のPt粒子サイズ分布のグラスを示す。xGnPは剥離した黒鉛ナノ小板である。
【図8】xGnP上に支持されたPtのサイズの低減に対するILの種類の効果を示すグラフである。
【図9】9A−9DはTEM顕微鏡写真、並びに(9A、9B)Pt/xGnP−N、及び(9C、9D)Pt/xGnP−Mナノ複合体のPt粒子サイズ分布のグラフを示す。
【図10】Pt相の比表面積に対するILの効果を示すグラフである。
【図11】Ptの異なる装填量に伴う、xGnP支持触媒におけるPt比表面積の変化を示すグラフである。
【図12】Pt相の分散に対するILの効果を示すグラフである。
【図13】PtNi/xGnP−IMの、13A、13B及び13CはTEM顕微鏡写真(13A−13C)、並びにEDXスペクトル(13D)である。
【図14】14A−14DはTEM顕微鏡写真であり、(14A)xGnPを覆うPtRuナノ粒子、(14B)PtRu/xGnP−N、(14C)PtRu/xGnP−IM、及び(14D)PtRu/xGnP−Mである。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号60/689,658、2005年6月10日出願の優先権を主張する。本発明は、基板の固体表面上に金属ナノ粒子を産生させる方法に関する。特に、本発明は、例えば、カーボンブラック、繊維及びナノチューブ等の、種々の形状の炭素又は黒鉛を含むナノ粒子上に堆積される金属のナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエストマン(Westman)に付与された米国特許第6,596,130号は、イオン性液体(IL)を用いる、マイクロウェーブ支援の有機化合物の化学転換の方法について一般的に記載している。この引例の全体を、特にイオン性液体に関して、本明細書に援用する。マイクロウェーブ反応装置は当業者に周知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、本発明の目的は、固体表面上に金属性ナノ粒子を産生させる新規な方法を提供することである。特に、本発明の目的は、方法及びその結果生まれる、経済的で比較的調製が容易な複合体を提供することである。支持された金属に基づく任意の工業的な触媒又は電極触媒の性能に関して極度に重要である、任意の基板上への金属ナノ粒子の形成を制御する簡単な手段を提供することも、本発明の目的である。これらの、及び他の目的は、以下の記述を参照することにより、次第に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基板の表面上に堆積させた金属ナノ粒子の製造方法に関し、その方法は、(a)金属の前駆体を含有する、エチレングリコール等の還元性溶媒中のイオン性液体の溶液を基板上に供給する段階;及び(b)前記イオン性液体中の金属前駆体をマイクロウェーブに晒して、前記金属前駆体を基板上に堆積させた金属のナノ粒子へと還元する段階、を含む。好ましくは、基板は、金属のナノ粒子が堆積した炭素を含む表面を持つ。好ましくは、炭素は、黒鉛、カーボンブラック粒子、ナノチューブ、又は炭素繊維である。また、好ましくは炭素はバッキーボールである。好ましくは、炭素は、ナノ寸法である少なくとも一の寸法を持つ。好ましくは、基板は、少なくとも一の寸法において100ナノメートル未満であるナノ粒子である。好ましくは、段階(a)において、前記金属前駆体の少なくとも二種を混合して提供する。
【0005】
本発明は、基板と、その上に金属を堆積させたナノ粒子を含む複合組成物にも関する。好ましくは、金属ナノ粒子は貴金属単独、又は貴金属と遷移金属との組合せから成る。好ましくは、金属ナノ粒子は任意の金属単独、又は任意の他の金属との組合せから成る。好ましくは、基板は、少なくとも一の寸法が100ナノメートル未満のナノ粒子である。好ましくは、基板は、炭素を含む。好ましくは、基板は、その上に金属ナノ粒子が堆積した任意の固体を含む表面を持つ。
【0006】
本発明の物質及び利点は、以下の図面及び説明を参照することにより、次第に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下の記載は、以下の通り定義された用語を包含する。
【0008】
用語「ナノ粒子」は、少なくとも一の寸法が100ナノメートル以下、好ましくは10ナノメートル以下(1ナノメートルは10−9メートルに等しい)の粒子として定義される。
【0009】
用語「イオン性有機液体」は、カチオン及びアニオンを伴い、イオン性金属前駆体を還元するために180℃まで、又はそれを超える温度に加熱できる液体有機化合物として定義される。
【0010】
用語「イオン性金属前駆体」は、イオン性有機液体の存在下、マイクロウェーブのエネルギーにより還元できるイオン性金属塩を意味する。塩は、有機又は無機であってよい。
【0011】
用語「溶液」は、エチレングリコール等の還元性化合物及びイオン性液体を、約1と30%の間の濃度で含有する液体組成物を意味する。
【0012】
用語「基板」は、金属ナノ粒子を堆積させることができる表面を持つ固体材料を意味する。好ましくは、基板は何らかの形状の炭素である。最も好ましくは、基板は、少なくとも一の、100ナノメートル以下のナノ寸法を持つ。金属は、好ましくは貴金属単独、又は触媒として作用できる遷移金属との組合せである。
【0013】
用語「マイクロウェーブ」は、マイクロウェーブスペクトル中の波エネルギーを意味する。食品用途に販売されている電子レンジに関して最も一般的な周波数は2.45GHzである;しかしながら、1MHzと300GHzの間の、より高い、又はより低い周波数は商業的に使用されており、当業者に周知である。
【0014】
用語「還元性液体」は、マイクロウェーブの存在下、イオン性有機液体中で還元剤として機能できる有機液体を意味する。この様な化合物は、例えば、エチレングリコール、又は他の多価アルコールであり、マイクロウェーブの存在下で揮発しない。他の有機液体は、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールである。
【0015】
マイクロウェーブ誘電加熱は、従来の油浴加熱法と比べて、迅速な加熱、より高い反応速度、及び反応時間の低減等の数々の利点を持つ。それ故、マイクロウェーブ支援の方法は、有機及び無機材料の素早い合成の可能性を開いた。この観点から、イオン性液体(IL)は、高い分極率を伴う大きな有機陽イオンに起因する際立った利点を提供する。この様に、ILは、良好な媒体であると共に、非常に良くマイクロウェーブを吸収する良好な添加物も提供し、更に高い加熱速度をもたらす。マイクロウェーブ加熱法においてILの利点を用いることにより、燃料電池用途、電池、スーパーキャパシタ、化学処理に対する触媒材料等のための炭素支持電極触媒を合成する、早い、及び簡単な手段が提供される。ILを、種々の炭素上に支持されたPt系触媒を合成するため、活性金属相の含量とは無関係に白金系金属のサイズを調整するために、マイクロウェーブと共に用いることができる。この方法は、任意の金属に適用できる。
【0016】
Pt/C(炭素上、20及び60重量%Pt)及びPtM(M=Ru、Ni、Fe)/C(炭素上、20重量%PtM)触媒を、本発明のイオン性液体を伴わない比較試験として、Pt及びM前駆体のエチレングリコール(ACS品位、J.T.ベーカー)溶液のマイクロウェーブ誘電加熱により合成した。4種の異なる炭素材料を用いた;Vulcan XC−72Rカーボンブラック(CB、カボット社)、黒鉛ナノ繊維(GNF、ナノミラエ社)、生産されたままの単層ナノチューブ(A−SWNT、カーボレックス社)、及び剥離した黒鉛ナノ小板(xGnP、ミシガン州立大;米国特許出願番号第10/659,577、2003年9月10日出願(公開番号米国第2004−0127621−A1、2004年7月1日発行)、これを引用により援用する)。典型的な調製は、以下の手順から成る:Pt/C又はPtM/C触媒に関しては、40mgの炭素支持体を、20分間の超音波処理により20mLのエチレングリコール中に分散させた。26mgのH2PtCl6・6H2O(アルドリッチ)、又は1:1モル比のH2PtCl6・6H2Oと他の金属前駆体(例えば、RuCl3・3H2O)のエチレングリコール溶液1mLを添加し、20分間機械的に撹拌した。Pt前駆体、炭素、及びエチレングリコールを入れたビーカーを、家庭用電子レンジ(1300W)で50秒間加熱した。室温に冷却後、得られた懸濁液を濾過し、アセトンで洗浄して、真空オーブン中で100℃、12時間乾燥した。20及び60重量%のPt及びPtRuの装填量を伴う触媒を、H2PtCl6・6H2O及びエチレングリコール溶液中の他の金属前駆体の含量を変えて調製した。得られた触媒は、Pt/C−N又はPtRu/C−Nと呼ばれる。Nは非イオン性液体である。
【0017】
イオン性液体(IL)に支援されたPt/C又はPtRu/C触媒に関して、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート[(BMI)(PF6)]及び1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムアセテート[(BMI)Ace]を、アルドリッチ・ケミカル社から購入し、受領したままで用いた。炭素の分散に先立って、0.025mLから1mLの[(BMI)(PF6)]又は[(BMI)Ace]を、20mLのエチレングリコールに溶解させた。他の段階は、Pt/C−N又はPtRu/C−N触媒に対する段階と同じである。[(BMI)(PF6)]及び[(BMI)Ace]を添加して合成した触媒を、それぞれ、Pt(又はPtM)/C−IM及びPt(又はPtM)/C−Mと表す。[(BMI)(PF6)]はエチレングリコールと不混和性であり、[(BMI)Ace]はこの溶媒と混和性である。IM−ILは[(BMI)(PF6)]を指し、M−ILは[(BMI)Ace]を表す。
【0018】
調製された触媒を、JEOL 2200FS及びJEOL 100CXで、透過電子顕微鏡法(TEM)により検査した。顕微鏡的検査のために、アセトン中に再分散した触媒試料を、穴のある炭素フィルムで覆ったCu格子上に堆積させた。SIGMASCANソフトウェアを用い、各試料において、TEM画像中の無作為に選んだ領域から少なくとも120粒子を計数することにより、炭素上の触媒金属粒子Pt/C及びPtRu/Cの粒子サイズ分布を、手作業で、及び統計的に決定した。
【実施例】
【0019】
(実施例1 カーボンブラック(CB)支持Pt触媒)
ILの不存在(1A)及び存在(0.5mL;1C、1D)下、マイクロウェーブ誘電加熱によって合成されたCB支持Pt触媒の形態及びPtサイズの分布を、図1Aから1Fに示す。2種の異なるILである、IM−IL及びM−ILの添加に対応するPtサイズの変化を図2に示す。各試料において、Pt粒子は、CB上に極めて均一に分散された。しかしながら、図1の(1A)、(1C)及び(1E)から、ILは、CB支持触媒のPtサイズの低減に大きな効果を持つことが明らかである。図1Aから1Fの(1B)、(1D)及び(1F)から、Pt/CB−NのPtサイズ分布は、CB支持触媒の中で最も狭いサイズ分布を示した、ILとPt/CB−Mの存在下で調製された触媒のそれよりずっと広いことも、はっきりと見て取れる。Pt/CB−N触媒中のPtの平均サイズは約5.56±1.54nm、Pt/CB−IM及びPt/CB−M触媒中のPtの平均サイズは、それぞれ約1.75±0.74nm及び1.30±0.4nmであった。これらの結果は、CB支持Pt触媒の合成におけるILの導入が、Pt粒子のサイズの低減、及びCB表面上のその分散の改良に顕著に効果的であることを説明しており、これが燃料電池用途に対するこの触媒の電極触媒活性を向上させることが期待される。
【0020】
(実施例2 螺旋形黒鉛ナノ繊維(GNF)支持Pt触媒)
Pt/GNF−N、Pt/GNF−IM及びPt/GNF−MのTEMによる形態、並びに、各試料に対応するPt相のサイズ分布を図3Aから3Fに示す。コロイド及び従来の経路を介して炭素ナノ繊維又は黒鉛ナノ繊維上にPtを堆積させることの困難さは既知である。図3Aのように、マイクロウェーブ法においてすら、この問題は続いている。出発混合物において、Pt/GNF−Nに対して20重量%の金属装填量に相当するPt前駆体を添加してさえも、最終生産物において5から8重量%のPtだけがGNF上に堆積したことが見出された。上記の事実は、従来のマイクロウェーブ−ポリオール法を用いてすら、Ptを効率良くGNF上に支持させることはできないことを確証している。しかしながら、図3B及び3Cから、ILの存在は、GNF上へのPtの堆積の増加だけではなく、Pt粒子のサイズ分布の狭小化にも寄与していることは、注目に値する。Pt/GNF−Mの場合は、Ptの凝集体が殆ど見出されないことも注目される。
【0021】
GNF支持触媒に関して、Ptサイズの低減に対するILの効果は、図4に明白に示されている。Pt/GNF−N、Pt/GNF−IM及びPt/GNF−M触媒のPtサイズは、それぞれ、3.3±1.1nm、2.46±0.7nm及び1.53±0.4nmである。この結果は、M−ILがIM−ILより均一にGNF上に吸着され、及び、従って、M−ILが溶媒の迅速で一様な体積加熱により良く寄与することの帰結として、エチレングリコールと混和性のM−ILは、この溶媒と不混和性のIM−ILより、Ptサイズの低減に有効であることを示している。
【0022】
(実施例3 産生されたままの単層ナノチューブ(a−SWNT)支持Pt触媒、及び精製された多層カーボンナノチューブ(MWNT)支持Pt触媒)
IM−IL(0.5mL)で支援されたマイクロウェーブ加熱法により、a−SWNT上に直接Ptを堆積させることを試みた。図5の様に、平均サイズがおよそ1.5から2nmのPtナノ粒子をa−SWNT上に支持させることに成功した。ILを用いないマイクロウェーブ法によって合成したPt/a−SWNT−N触媒におけるa−SWNT上には、僅かなPt粒子のみが見出された(ここには、示していない)。
【0023】
精製したが酸化されていないMWNTを支持体として用いた。ILの存在下及び不存在下においてMWNT上に堆積させたPtナノ粒子の形態を図6Aから6Fに示す。IL無しでは、a−SWNTにおける様に、平均サイズが7.1nmの僅かなPt粒子によってMWNTを飾ることができ、及び、Pt粒子のサイズ分布は、標準偏差が約1.47nmと広かった(図6A及び6B)。IM−ILを0.5mL添加したときは、Ptのサイズは約1.92±0.4nmに低減し、また、IL無しで調製した試料と比較してMWNT上にずっと多いPt粒子が存在していた(図6C及び6D)。0.5mLのM−ILの添加に伴って、Ptのサイズが1.54nmに減少すると共に、MWNT上のPt粒子の分散は大幅に改良された(図6E及び6F)。これらの例は、ナノサイズ化された金属ナノ粒子を、官能化されていない、又は酸化されていないSWNT及びMWNT上に堆積させる可能性をはっきりと示している。
【0024】
(実施例4 剥離された黒鉛ナノ小板(xGnP)支持Pt触媒)
xGnPは、複合体の新しい強化材料及び触媒の支持体として注目を引いている。xGnPは、ナノ技術領域で画期的な材料と考えられているカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びフラーレン等の、新しいカーボンナノ構造より、ずっとコスト効率がよい。xGnPは、燃料電池の電極用支持体として要求される特性である、優れた機械的、高い耐腐食及び耐酸化性、並びに高い結晶性等の、優秀な性質を持っている。ここで、その表面の高い不活性にもかかわらず、マイクロウェーブ法により、xGnP上にナノサイズのPtを非常に効率的に堆積させることができた。これから、xGnP支持Pt系触媒を、燃料電池用途に関して評価する価値がある。これらは、米国公開出願第2004−0127621−A1号に記載されている、マイクロウェーブで展開され粉砕された黒鉛ナノ小板である。
【0025】
図7Aから7Fは、xGnP支持触媒の形態及びPtサイズ分布に対するILの効果を示す。IL無しで得られたPt粒子の平均サイズが3.5から4.0nm(図7A)であるのに比べ、エチレングリコールに0.5mLのIM−ILを導入したときのPtの平均サイズは約2.0nmであり(図7B)、また、0.5mLのM−ILを添加したとき、1.6nmへの更なるPtサイズの低減が達成されている(図7C)。ILの存在の結果として、マイクロウェーブの吸収による非常に高い加熱速度は、金属の還元速度を増大させ、斯くしてより小さい粒子が生成される。
【0026】
Pt粒子の粒子サイズに対するIL含量の効果を図8に示す。RTILは室温のイオン性液体である。ILの添加は、Pt粒子のサイズの低減と共に、それらのサイズ分布の狭小化も、もたらす。高々0.025mLのILが添加されたとき、Ptの平均サイズは3nmより下に降下した。0.5mLを超えてIM−ILの含量を更に増やしても、Ptサイズの低減に大きな効果があるようには見えなかった。しかしながら、M−ILは、含量が増すにつれ、Ptサイズを低減させ続けた。
【0027】
(実施例5 高Pt含量を伴うPt/xGnPナノ複合体)
金属の高い装填量(>20重量%)と小さい粒子サイズを同時に伴うPt触媒を調製するために従来法を用いることの困難さを強調している研究は多数存在する。Pt装填量が10重量%及び30重量%の、支持されたPt触媒に関する金属粒子サイズは、それぞれ2.0nm及び3.2nmであったが、60重量%のPt触媒に対しては8.8nmに増加した。それ故、小さい粒子サイズを伴う、高度に分散され及び装填された金属触媒の調製は、ずっと難問であった。しかしながら、この難問は、マイクロウェーブ−ポリオール法において、IM−IL及びM−ILを添加する簡単な方法により解かれている。xGnP上60重量%のPtを伴う試料に関する結果を図9Aから9Dに示す。図9A及び9Bに見られるとおり、Ptは非常に広いサイズ分布を持ち、多くのPt凝集体が見られる。Ptの平均サイズは9乃至10nmに増加した。M−IL(0.5mL)の存在下で、支持された触媒を合成したとき、Ptの平均サイズは顕著に減少して2.0nm未満であり、サイズ分布も狭かった(図9C及び9D)。Ptの目立つ凝集体は存在しない。ここでの結果は、どれだけ多くのPtが装填されたにしても、Ptの活性表面領域、及び炭素支持Pt触媒の触媒活性を調整する簡単な手段を示唆している。
【0028】
(実施例6 Pt相の表面積及び分散)
Ptの比表面積は、等式(1)により計算できる。
【0029】
【数1】
【0030】
ここで、SはPtの比表面積、rは金属Ptの密度(21.41g/cm3)、dはPt粒子の直径であり、TEM画像から決定される。図10は、20重量%のPtの装填量を伴うxGnP支持触媒におけるPtの表面積に対するILの効果を示す。IM−ILとM−ILの両方の存在下で触媒を合成したとき、Ptサイズの低減に起因して、Pt表面積は増加した。驚くべき結果は、M−ILを添加して合成したPt/xGnP−M触媒のPt表面積は、いかなるILも伴わずに得られたPt/xGnP−Nのそれの殆ど3倍大きく、M−IL含量を更に増やせば、Pt表面積を更に増大させる余地があると思われることである。図11は、従来のマイクロウェーブ加熱と比較して、マイクロウェーブ支援IL法がいかに、より効率的に炭素支持触媒のPt表面積を改良するかを示す。Pt/xGnP−NのPt表面積は、Pt装填量の増加と共に減少するが、Pt/xGnP−Mのそれは、Ptを増加させても変化しないか、又は僅かに増大した。60重量%のPtを伴う支持された触媒の場合、Pt/xGnP−M試料の表面積は、Pt/xGnP−Nのそれよりも5倍大きい。支持体としてCBを用いたとき、ILを添加しない場合と比較して、M−ILの存在はPt表面積を7倍に増大させる。これらの結果は、触媒活性のある表面積を犠牲にせずに、種々の炭素上に高度に装填されたPtナノ粒子を産生させることが可能であるという事実を確証している。
【0031】
全てのPt粒子が球形であると仮定すると、ナノ粒子中の全原子に対する表面原子の比である、Ptの表面平均分散(D)は、小さいサイズ(d>24dat)に関して等式(2)−(4)を用いて計算できる。
【0032】
【数2】
【0033】
ここで、datはPt原子の直径(0.278nm)、dvsは各粒子の体積表面平均直径である。Dを、酸素還元反応に対する触媒の質量活性を見積もるために用いることができる。Dの値が高いほど、その触媒の質量活性はより良好である。図12は、Ptの分散に対するILの効果を示す。Dの動向はPt表面積のそれと似ている。両者は粒子サイズに関連しているからである。言及すべき重要な点は、M−ILの含量の制御により、Pt/xGnP−NのDに比べて、Ptの分散を100%を超えて増加させ得ることである。これは、炭素支持Pt触媒の電極触媒活性の改良をもたらす。
【0034】
(実施例7 xGnP上に支持されたPtM合金触媒)
Au、Pt、Pd、Ag及びRh等の強度に陽性の金属は、通常の条件下で穏やかな還元剤で還元できるが、Cu、Co、Ni、Fe、Sn、W、Cr及びMoの様なより陰性の金属は、非常に強い還元剤と、頻繁に、極端な温度及び圧力条件を必要とする。PtM合金粒子の合成に関しても同じ原理が適用される。ここで、Mは、この場合金属である。燃料電池システムに対する電極触媒として、支持された触媒の活性を増大させることが知られている、炭素支持二元金属PtM(M=Co、Ni、Fe、Sn、Cr、W及びMo)触媒の調製のために、より高い反応温度及びより長い反応が、通常、必要とされる。
【0035】
それらの二元金属PtMナノ粒子を、非極性溶媒をその沸点を越えて加熱することを支援できる少量のILの助けを借りて、迅速に様々な炭素上に、成功裡に合成し及び堆積させ得ることが見出された。高温でポリオールを用いて産生された金属粉はより低温で還元された試料よりもっと結晶質なので、ILは別の利点をもたらす。例として、エネルギー分散型X線(EDX)解析の結果(13D)と共に図13Aから13Dに包含される、xGnP上に分散された二元金属PtNi金属粒子のTEM画像を示す。PtとNiの原子比は3:1である。全金属の装填量は70重量%に近いが、PtNi金属粒子の平均サイズは正に2から2.5nmである。これは、二元金属PtM触媒の生産に対して、塩化物金属前駆体を用いて達成するのは、通常は、困難である。図13Cに、十分に成長したPtNi粒子の結晶構造が見て取れる。類似の形態が、xGnP上に堆積させたPtRu及びPtFe粒子から得られる。xGnP上に分散された二元金属PtRu合金に対する証拠は、図14Aから14Dにある。ILを伴う又は伴わない、xGnP上のPtRu合金の結果は、xGnP上の単金属Ptに類似している。
【0036】
マイクロウェーブ支援室温イオン性液体加熱法により、種々の炭素支持体上にPt及びPtM触媒を堆積させることができる。種々の炭素上に支持されたPt及びPtM合金のサイズは、Pt及びPtMの装填レベルと関係なく、単にILの量を変えることにより、微調整できる。還元剤と混和性のILは、還元剤と不混和性のILより、Pt及びPtMのサイズをより効率的に低減させる。活性相の与えられた濃度における炭素支持触媒の最適触媒性能を見出すことができる。炭素支持Pt触媒の触媒活性の改良は、上昇したPt相の表面積及び分散に起因する。
【0037】
本ナノ粒子複合体は、化学反応、燃料電池、超キャパシタ及び電池部品に対する触媒として有用である。非常に小さいサイズ及び分散の均一性は、これらの用途に対して高度に効果的である。
【0038】
これまでの記載は単に本発明の例証であること、及び、本発明は添付された特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】1A−1FはTEM顕微鏡写真、並びに(1A、1B)Pt/CB−N、(1C、1D)Pt/CB−IM、及び(1E、1F)Pt/CB−M触媒のPt粒子サイズ分布のグラフを示す。CBはカーボンブラック、並びにIM及びMは特定のイオン性液体である。Nは非イオン性液体である。
【図2】CB−支持Pt触媒における、Ptサイズの低減に対するILの存在の影響を示すグラフである。
【図3】3A−3FはTEM顕微鏡写真、並びに(3A、3B)Pt/GNF−N、(3C、3D)Pt/GNF−IM、及び(3E、3F)Pt/GNF−Mナノ複合体のPt粒子サイズ分布のグラフを示す。GNFは黒鉛ナノ繊維である。
【図4】N−Pt/sp−GNF、IM−Pt/sp−GNF、及びM−Pt/sp−GNF触媒における、Pt粒子の平均サイズを示すグラフである。
【図5】Pt/a−SWNT−IMナノ複合体のTEM顕微鏡写真を示す。SWNTは単層カーボンナノチューブである。
【図6】6A−6FはTEM顕微鏡写真、並びに(6A、6B)Pt/MWNT−N、(6C、6D)Pt/MWNT−IM、及び(6E、6F)Pt/MWNT−Mナノ複合体のPtサイズ分布のグラスを示す。MWNTは、多層カーボンナノチューブである。
【図7】7A−7FはTEM顕微鏡写真、並びに(7A、7B)Pt/xGnP−N、(7C、7D)Pt/xGnP−IM、及び(7E、7F)Pt/xGnP−Mナノ複合体のPt粒子サイズ分布のグラスを示す。xGnPは剥離した黒鉛ナノ小板である。
【図8】xGnP上に支持されたPtのサイズの低減に対するILの種類の効果を示すグラフである。
【図9】9A−9DはTEM顕微鏡写真、並びに(9A、9B)Pt/xGnP−N、及び(9C、9D)Pt/xGnP−Mナノ複合体のPt粒子サイズ分布のグラフを示す。
【図10】Pt相の比表面積に対するILの効果を示すグラフである。
【図11】Ptの異なる装填量に伴う、xGnP支持触媒におけるPt比表面積の変化を示すグラフである。
【図12】Pt相の分散に対するILの効果を示すグラフである。
【図13】PtNi/xGnP−IMの、13A、13B及び13CはTEM顕微鏡写真(13A−13C)、並びにEDXスペクトル(13D)である。
【図14】14A−14DはTEM顕微鏡写真であり、(14A)xGnPを覆うPtRuナノ粒子、(14B)PtRu/xGnP−N、(14C)PtRu/xGnP−IM、及び(14D)PtRu/xGnP−Mである。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金属の前駆体を含有する還元性液体溶媒中のイオン性液体の溶液を基板上に提供する段階;及び
(b)前記イオン性液体中の前記金属前駆体をマイクロウェーブに晒して、前記金属前駆体を前記基板上に堆積させた前記金属のナノ粒子に還元する段階;
を含む基板の表面上に堆積させた金属のナノ粒子を産生させる方法。
【請求項2】
前記基板が、前記金属のナノ粒子を堆積させた炭素を含む表面を持つ請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素が黒鉛である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素がカーボンブラック粒子状である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素がナノチューブ状である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記炭素が繊維である請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素がバッキーボールである請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素が少なくとも一のナノ寸法を持つ請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、少なくとも一の寸法において100ナノメートル未満のナノ粒子である請求項2に記載の方法。
【請求項10】
段階(a)において、前記金属前駆体の少なくとも二種を混合して提供する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基板と、その上に堆積させた金属のナノ粒子を含む複合組成物。
【請求項12】
前記金属のナノ粒子が貴金属単独、又は貴金属と遷移金属との組合せから成る請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記金属のナノ粒子が任意の金属単独、又はそれと任意の他の金属との組合せから成る請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記基板が、少なくとも一の寸法が100ナノメートル未満のナノ粒子である請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記基板のナノ粒子が炭素を含む請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記基板が、金属のナノ粒子が堆積した固体を含む表面を持つ請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子が、イオン性液体中の前記金属に対する前駆体へのマイクロウェーブの照射により前記基板上に形成されている請求項11に記載の組成物。
【請求項1】
(a)金属の前駆体を含有する還元性液体溶媒中のイオン性液体の溶液を基板上に提供する段階;及び
(b)前記イオン性液体中の前記金属前駆体をマイクロウェーブに晒して、前記金属前駆体を前記基板上に堆積させた前記金属のナノ粒子に還元する段階;
を含む基板の表面上に堆積させた金属のナノ粒子を産生させる方法。
【請求項2】
前記基板が、前記金属のナノ粒子を堆積させた炭素を含む表面を持つ請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素が黒鉛である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素がカーボンブラック粒子状である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素がナノチューブ状である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記炭素が繊維である請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素がバッキーボールである請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素が少なくとも一のナノ寸法を持つ請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、少なくとも一の寸法において100ナノメートル未満のナノ粒子である請求項2に記載の方法。
【請求項10】
段階(a)において、前記金属前駆体の少なくとも二種を混合して提供する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基板と、その上に堆積させた金属のナノ粒子を含む複合組成物。
【請求項12】
前記金属のナノ粒子が貴金属単独、又は貴金属と遷移金属との組合せから成る請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記金属のナノ粒子が任意の金属単独、又はそれと任意の他の金属との組合せから成る請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記基板が、少なくとも一の寸法が100ナノメートル未満のナノ粒子である請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記基板のナノ粒子が炭素を含む請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記基板が、金属のナノ粒子が堆積した固体を含む表面を持つ請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子が、イオン性液体中の前記金属に対する前駆体へのマイクロウェーブの照射により前記基板上に形成されている請求項11に記載の組成物。
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【公表番号】特表2009−525841(P2009−525841A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542297(P2008−542297)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/019392
【国際公開番号】WO2008/054337
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(594114134)ミシガン ステイト ユニバーシティー (22)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/019392
【国際公開番号】WO2008/054337
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(594114134)ミシガン ステイト ユニバーシティー (22)
【Fターム(参考)】
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