固体酸化物型燃料電池システム
【課題】燃焼後後処理において、炭化水素ガスを燃料として用いた場合に発生するCO2ガスを十分に吸収して回収することが可能な、CO2ガス吸収装置及びSOFCを具えた、新規な構成の固体酸化物型燃料電池システムを提供する。
【解決手段】炭化水素ガスを燃料として用いた固体酸化物型燃料電池発電システムであって、前記炭化水素ガスの少なくとも一部を水素ガスに転換するための改質器と、前記燃料の供給に関して、前記改質器の下流側に設けられた固体酸化物型燃料電池と、前記固体酸化物型燃料電池に連結され、内部にCO2ガス吸収セラミックスが充填されて、前記固体酸化物型燃料電池から排出されたCO2ガスを吸収するCO2ガス吸収装置と、を具えるように構成する。
【解決手段】炭化水素ガスを燃料として用いた固体酸化物型燃料電池発電システムであって、前記炭化水素ガスの少なくとも一部を水素ガスに転換するための改質器と、前記燃料の供給に関して、前記改質器の下流側に設けられた固体酸化物型燃料電池と、前記固体酸化物型燃料電池に連結され、内部にCO2ガス吸収セラミックスが充填されて、前記固体酸化物型燃料電池から排出されたCO2ガスを吸収するCO2ガス吸収装置と、を具えるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物型燃料電池から排出された排ガス中のCO2ガスを吸収する装置を有する固体酸化物型燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油などの化石燃料資源の枯渇の観点及びエネルギーセキュリティーの観点から、水素と酸素とを電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する燃料電池が注目されている。燃料電池は高いエネルギー利用効率を有し、大規模分散電源、家庭用電源、移動用電源として開発が進められている。
【0003】
また、燃料電池は、温度域や使用する材料・燃料の種類に応じて、固体高分子型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型などに分けられるが、効率などの観点から、固体酸化物から成る電解質を使用して、電気化学反応により電気エネルギーを得る固体酸化物形燃料電池(SOFC)が注目されている。
【0004】
SOFCは、酸素イオン導電性を有する固体酸化物の電解質と電極(燃料極と空気極)とから構成される電気化学セルを最小単位としている。一般的な発電原理は、空気極に導入された空気中の酸素が電子(e-)を取り込み、電気化学反応を通じて酸素イオンに変換し、この酸素イオンが電解質を介して燃料極へと移動し、燃料極に導入した燃料ガスであるH2と電気化学的に反応して、H2Oと電子(e-)とを生成し、発電するものである。この発電反応は、電解質膜を介した燃焼反応と考えることができる。
【0005】
SOFCにおいて、炭化水素ガスを燃料として用いた場合、炭化水素ガスは改質器によって水素ガスを含む混合ガスに転換され、上記燃料極に供されるようになる。混合ガスは主に、H2、CO、CO2、未反応炭化水素、H2Oなどから構成される。発電反応によって、H2はH2Oに変換され、また、COや未反応炭化水素などは主にCO2に変換される。
【0006】
一方、近年においては、地球温暖化の観点から、二酸化炭素(以下、CO2)の低減といった課題がとりあげられている。したがって、上述のようなSOFCにおける化学反応の結果生成したCO2ガスも所定の方法で低減することが要求されている。
【0007】
上述したCO2ガスを低減させる方法としては、例えば、吸収液を用いた化学吸収法や吸着剤を用いた物理吸収法などが挙げられる。しかしながら、これらの手法は、比較的低温で動作するため、ガス温度を一旦動作温度レベルまで下げる必要があり、熱損失が大きい。このような観点から、近年では、リチウムシリケートなどのセラミックスを用いたCO2吸収剤が開発されている。このセラミックスを用いたCO2吸収剤は、600℃〜800℃で動作するので、吸収液を用いた場合のような、比較的大きな熱損失を回避することができる(非特許文献1)。
【0008】
また、その他の方法としては、改質器によって生成された燃料ガスを水素分離膜を通すことによって、ガス中に含まれる炭化水素ガスやCO、CO2などの成分を除去して水素ガスのみを燃料ガスとして取り出し、炭素分(炭化水素ガスやCO、CO2などの成分)を分離するような試みもなされている(特許文献1)。
【0009】
前者の方法は後処理(ポスト処理)であり、後者の方法は前処理(プレ処理)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−239353号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】東芝レビュー Vol.59 No.1(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、後処理において、炭化水素ガスを燃料として用いた場合に発生するCO2ガスを十分に吸収して回収することが可能な、CO2ガス吸収装置及びSOFCを具えた、新規な構成の固体酸化物型燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、本発明の一態様は、炭化水素ガスを燃料として用いた固体酸化物型燃料電池発電システムであって、前記炭化水素ガスの少なくとも一部を水素ガスに転換するための改質器と、前記燃料の供給に関して、前記改質器の下流側に設けられた固体酸化物型燃料電池と、前記固体酸化物型燃料電池に連結され、内部にCO2ガス吸収セラミックスが充填されて、前記固体酸化物型燃料電池から排出されたCO2ガスを吸収するCO2ガス吸収装置と、を具えることを特徴とする固体酸化物型燃料電池発電システムに関する。
【発明の効果】
【0014】
上記態様によれば、固体酸化物型燃料電池(SOFC)に対して、内部にリチウム化合物、バリウム化合物及び/又は酸化カルシウムなどのCO2ガス吸収能に優れたCO2ガス吸収セラミックスが充填されてなるCO2ガス吸収装置を直接連結するようにしている。したがって、SOFCにおける化学反応においてCO2ガスが生成した場合においても、上記CO2ガス吸収装置において、外部に漏洩することなく、効率的に吸収し、回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図2】第1の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図3】第1の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図4】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図5】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図6】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図7】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図8】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図9】第3の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図10】第4の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図11】第5の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図12】第6の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図13】第7の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池システムは、改質器10と、燃料の供給に関して、改質器の下流側に設けられた固体酸化物型燃料電池(SOFC)11と、固体酸化物型燃料電池11に連結され、内部にCO2ガス吸収セラミックスが充填されて、固体酸化物型燃料電池11から排出されたCO2ガスを吸収する、第1のCO2ガス吸収装置12と、第2のCO2ガス吸収装置13とを含んでいる。第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13とは互いに連結されるとともに、排ガスの供給に関して、第1のCO2ガス吸収装置12は上流側に位置し、第2のCO2ガス吸収装置13は下流側に位置している。
【0019】
また、第1のCO2ガス吸収装置12は内部のCO2ガス吸収セラミックスが既にCO2ガスを吸収して飽和している一方、第2のCO2ガス吸収装置13は未だCO2ガスを吸収していない状態となっている。
【0020】
なお、図中、実線で示す矢印はガスの流れを表し、破線で示す矢印は熱の流れを示す。
【0021】
SOFC11は、固体電解質膜111を中心としてその両側を挟み込むようにして空気極112及び燃料極113が形成されており、空気極112に供給された空気中の酸素が電子(e-)を取り込み、電気化学反応を通じて酸素イオンに変換し、この酸素イオンが電解質膜111を介して燃料極113へと移動し、燃料極113に導入した燃料ガスであるH2と電気化学的に反応して、H2Oと電子(e-)とを生成し、発電するように構成されている。
【0022】
第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13は、例えば外周部に熱交換器が形成された、SUSやSiCなどからなる容器中にCO2ガス吸収セラミックス121及び131が充填されている。このCO2ガス吸収セラミックス121及び131としては、例えばLi2ZrO3、LiFeO2、LiNiO2、Li2TiO3、Li2SiO3、Li4SiO4などのリチウム化合物、又はBa2TiO4などのバリウム化合物が挙げられる。
【0023】
例えば、Li4SiO4の場合、
に示す反応式に基づいて反応する。右側の反応は例えば500℃〜700℃の温度範囲において生じ、左側の反応は例えば700℃〜850℃の温度範囲において生じる。したがって、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13を500℃〜700℃の温度に加熱した際には、上記反応式に基づいてCO2ガス吸収セラミックスはCO2ガスを吸収するようになり、700℃〜850℃の温度範囲に加熱した際には、上記反応式に基づいてCO2ガス吸収セラミックスはCO2ガスを放出するようになる。
【0024】
次に、SOFC11、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13の、上述した特性に鑑みて、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムの動作について説明する。
【0025】
最初に、改質器10に対して燃料ガスとしてのメタンガス(CH4)及び水(水蒸気:H2O)を供給する。改質器10では、CH4と水蒸気とが反応して水素ガス(H2ガス)を生成するとともに、不純物ガスとしてのCOガス及びCO2ガスが生成される。また、一部未反応のCH4ガス、水蒸気が残留する。
【0026】
次いで、H2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分をSOFC11の燃料極113に供給するとともに、SOFC11の空気極111に空気を供給して、上述したような発電反応を生ぜしめる。なお、未反応の燃料ガスにおけるCO2ガス量は十分に低いので、改質器10及びSOFC11から直接外部に放出しても問題がない。
【0027】
一方、SOFC11において発電反応に供した燃料ガスは、図1において排ガス(1)で示されるように、上述した発電反応によってH2ガス、COガス及びCH4ガスが消費されることによって、これらガス成分が減少するととともに、CO2ガス及びH2Oの量が増大する。また、排ガス(1)の温度は、例えばSOFC11における動作温度が約800℃であることに起因して、同様に約800℃以上にまで加熱される。
【0028】
次いで、排ガス(1)を第1のCO2ガス吸収装置12の熱交換器122の部分に導入する。排ガス(1)は約800℃以上の温度を有するので、排ガス(1)の熱が熱交換器122を介して内部のCO2ガス吸収セラミックス121に伝達され、このCO2ガス吸収セラミックス121においては、上述した化学反応式(1)において左側の矢印で示す反応が進行するようになる。したがって、第1のCO2ガス吸収装置12では、CO2ガス吸収セラミックス121が既に吸収して飽和しているCO2ガスを放出するようになる。したがって、この放出されたCO2ガスはCO2濃縮ガスとして回収することができる。
【0029】
一方、第1のCO2ガス吸収装置12に対して熱伝達を行った後の排ガス(1)は、温度が低下する。但し、第1のCO2ガス吸収装置12では排ガス(1)中のガス成分は何ら吸収・回収されていないので、排ガス(1)の成分組成に変化はない。なお、図中では、このような状態の排ガスを排ガス(2)としている。
【0030】
次いで、排ガス(2)は第2のCO2ガス吸収装置13に導かれ、内部のCO2ガス吸収セラミックス131によって、排ガス(2)中のCO2ガスを吸収する。CO2ガス吸収セラミックスがCO2ガスを吸収するには、化学反応式(1)に示すように、系全体の温度、すなわち排ガス(2)の温度を500℃〜700℃の範囲にしなければならない。しかしながら、排ガス(2)の温度は低下しており、上記温度範囲を満足する。結果として、排ガス(2)中のCO2ガスは第2のCO2ガス吸収装置12によって吸収されるようになる。
【0031】
なお、排ガス(2)の温度はCO2ガス吸収セラミックス131がCO2ガスを吸収できる上限の温度であるので、好ましくは排ガス(2)を第2のCO2ガス吸収装置13に導入するまでに、例えば所定のタイムラグを設け、その温度を上記温度範囲内となるように、十分に低減することが好ましい。なお、上述のようなタイムラグを設ける代わりに所定のガス等を噴射して、強制的に冷却するようにしてもよい。
【0032】
第2のCO2ガス吸収装置13から排出される排ガス(3)は、排ガス(1)及び(2)からCO2ガス成分が除去されてなる組成成分を有する。しかしながら、排ガス(3)は、H2ガスやCH4ガス等を含んでいるので、これを燃焼器で燃焼させることができる。したがって、この際に発生した熱を改質器10及びSOFC11の予熱に利用することができる。燃焼後の排ガス(3)は、N2/H2Oが主成分のガスとなり、図1に示す矢印に従って、システムより外方に排出される。
【0033】
一方、第2のCO2ガス吸収装置13のCO2ガス吸収セラミックス131がCO2ガスを飽和するまで吸収した後は、第2のCO2ガス吸収装置13に排ガス(1)を導入し、上述したような方法で飽和吸収したCO2ガスを放出し、CO2濃縮ガスとして回収するとともに、第2のCO2ガス吸収装置13から放出された排ガス(2)中のCO2ガスを第1のCO2ガス吸収装置12で吸収させるようにすることができる。
【0034】
したがって、上述のような操作を繰り返すことによって、第1のCO2ガス吸収装置12でCO2ガスの放出を実施している場合は、第2のCO2ガス吸収装置13でCO2ガスの吸収を行うことができ、第1のCO2ガス吸収装置12でCO2ガスの吸収を実施している場合は、第2のCO2ガス吸収装置13でCO2ガスの放出を行うことができる。この結果、排ガス(2)中のCO2ガスを中断することなく、ほぼ連続的にCO2ガスを吸収し、回収することができる。
【0035】
図2は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。改質器10に対して燃料(CH4)供給と水(水蒸気)供給とを行って燃料ガス(H2/CO/CH4/CO2/H2Oなどを含む混合ガス)を生成し、SOFC11に供給して発電反応を生ぜしめた後、SOFC11で生成した排ガス(1)は第1のCO2ガス吸収装置12の熱交換器に導入されて、予め吸収したCO2ガスを放出する。次いで、第1のCO2ガス吸収装置12から排出された排出ガス(2)は、第2のCO2ガス吸収装置13に導入され、排ガス(2)のCO2ガス成分が吸収される。
【0036】
第2のCO2ガス吸収装置13から排出された排ガス(3)は、供給された空気とともに燃焼器17で燃焼され、その際に発生した熱によって改質器10及びSOFC11を予熱する。燃焼器17で燃焼された排ガス(3)は、燃焼排ガスとしてシステムから外部に排気される。なお、上記空気の代わりに、SOFC11の空気極から放出された空気含有の排ガスを用いることもできる。
【0037】
なお、SOFC11における発電反応の詳細、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13でのCO2ガス吸収及び放出の詳細については、図1に関連して説明した通りである。
【0038】
図3は、図2に示す固体酸化物型燃料電池システムの変形例を示す概略構成図である。図3に示す例では、燃焼器17で排ガスを燃焼させた際に生じた熱を改質器10の予熱と、SOFC11の予熱とに使用した後、燃焼後の排ガスが保持する熱によって、SOFC11の空気極に供給する空気を熱交換器18を介して加熱し、さらにSOFC11の燃料極に供給する燃料ガスを熱交換器19を介して加熱し、改質器10に供給するようにしたものである。なお、熱交換の順序などは問わない。また、上記熱は、水蒸気の生成にもちいてもよい。
【0039】
すなわち、図3に示す固体酸化物型燃料電池システムでは、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムに比較して、燃焼器17で燃焼させた後の排ガスを改質器10及びSOFC11の予熱に使用するのみならず、SOFC11に供給すべき空気及び燃料ガスの予熱にも使用している点で、前記排ガスをより効率的な利用がなされている。
【0040】
(第2の実施形態)
図4は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。本実施形態では、第1の実施形態の、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムの主要部において、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に追加の熱交換器15が設けられている点で相違し、その他の点については同様の構成を採っている。したがって、本実施形態では、かかる相違点に基づく作用効果について説明し、その他の類似あるいは同一の構成要素に基づく作用効果については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0041】
また、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似あるいは同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0042】
図1に示す、第1の実施形態の固体酸化物型燃料電池システムにおいては、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13とが直接接続されている。その結果、排ガス(2)の温度は低下し、CO2ガス吸収温度(化学反応式(1)において右側の矢印で示す方向に反応が進行する温度)である500℃〜700℃の温度範囲内にまで降温する場合、排ガス(2)を第2のCO2ガス吸収装置13に導入するまでに所定のタイムラグを設けて自然冷却したり、所定のガス等を噴射して、強制冷却したりしていた。
【0043】
これに対して、本実施形態では、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に追加の熱交換器15を設けている。したがって、排ガス(2)が熱交換器15を通過する際に、例えば熱交換器15に対して外部からSOFC11での発電反応に使用するプロセスガス(空気や燃料ガス)を吹き付けることによって、第1の実施形態で説明したように、排ガス(2)に対しては強制冷却を行うことができるとともに、プロセスガスに対して予熱等の操作を行うことができる。
【0044】
この結果、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムにおいては、第1のCO2ガス吸収装置12から第2のCO2ガス吸収装置13に排ガス(2)を移送させる際の、排ガス(2)の余分な熱をプロセスガスの予熱等に使用することができるので、余分な熱の排出を抑制し、システム全体の熱効率を向上できるという利点がある。
【0045】
図5〜図8は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【0046】
図5〜図7に示す固体酸化物型燃料電池システムでは、図2に示す固体酸化物型燃料電池システムに対して、追加の熱交換器15が第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に設けられ、追加の熱交換器15においてプロセスガスの予熱等を実施している点で相違している。また、図8に示す固体酸化物型燃料電池システムでは、図3に示す固体酸化物型燃料電池システムに対して、追加の熱交換器15が第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に設けられ、追加の熱交換器15に水を供給して改質器で使用する水蒸気(H2O)を生成している点で相違している。
【0047】
以下、図2及び図3に示す固体酸化物型燃料電池システムとの相違点について説明すると、図5では、追加の熱交換器15に対して空気を噴射し、予備的に加熱した後、SOFC11の空気極に供給するようにしている。図6では、追加の熱交換器15に対して燃料ガスを噴射し、予備的に加熱した後改質器10に供給するようにしている。図7及び図8では、追加の熱交換器15に対して水を供給し、水蒸気(H2O)として改質器10に供給するようにしている。
【0048】
したがって、上述したように、排ガス(2)に対しては強制冷却を行うことができるとともに、プロセスガスに対して予熱等の操作を行うことができ、改質器10における改質反応やSOFC11における発電反応を促進させることができる。この結果、システム全体の熱効率を向上できることが分かる。
【0049】
(第3の実施形態)
図9は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。なお、第1の実施形態における図1に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似又は同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0050】
図9に示すように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池システムは、固体酸化物型燃料電池(SOFC)11と、固体酸化物型燃料電池11に連結された第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23とを含んでいる。
【0051】
第1のCO2ガス吸収装置22と第2のCO2ガス吸収装置23とは互いに連結されるとともに、排ガスの供給に関して、第1のCO2ガス吸収装置22は上流側に位置し、第2のCO2ガス吸収装置23は下流側に位置している。また、第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23は、それぞれ内部にCO2ガス吸収セラミックス221及び231が充填されているとともに、それらの中心部においてそれぞれ改質器223及び233を有している。
【0052】
具体的には、第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23は、第1の実施形態の場合と同様に、例えば外周部に熱交換器が形成された、SUSやSiCなどからなる容器中にCO2ガス吸収セラミックス221及び231がそれぞれ充填され、さらにそれらの中心部に第1の実施形態における改質器10と同様の改質器223及び233がそれぞれ配置されている。このCO2ガス吸収セラミックスとしては、第1の実施形態と同様に、例えばLi2ZrO3、LiFeO2、LiNiO2、Li2TiO3、Li2SiO3、Li4SiO4などのリチウム化合物、又はBa2TiO4などのバリウム化合物が挙げられる。
【0053】
なお、SOFC11の構成及び発電反応は、第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0054】
また、第1のCO2ガス吸収装置22は内部のCO2ガス吸収セラミックス221が既にCO2ガスを吸収して飽和している一方、第2のCO2ガス吸収装置23は未だCO2ガスを吸収していない状態となっている。
【0055】
次に、SOFC11、第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23の、上述した特性に鑑みて、図9に示す固体酸化物型燃料電池システムの動作について説明する。
【0056】
最初に、SOFC11を図示しない予熱機構で所定温度、例えば800℃程度にまで上昇させた後、第1の実施形態と同様に、H2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分を、SOFC11の燃料極113に供給するとともに、SOFC11の空気極111に空気を供給して、上述したような発電反応を生ぜしめる。なお、未反応の燃料ガスにおけるCO2ガス量は十分に低いので、SOFC11から直接外部に放出しても問題がない。
【0057】
SOFC11での発電反応の結果、SOFC11からは、第1の実施形態と同様な排ガス(1)が排出される。次いで、排ガス(1)を第1のCO2ガス吸収装置22の熱交換器222の部分に導入する。排ガス(1)は例えば約800℃以上の温度を有するので、排ガス(1)の熱が熱交換器222を介して内部のCO2ガス吸収セラミックス221に伝達され、このCO2ガス吸収セラミックス221においては、上述した化学反応式(1)において左側の矢印で示す反応が進行するようになる。したがって、第1のCO2ガス吸収装置22では、CO2ガス吸収セラミックス221が既に吸収して飽和しているCO2ガスを放出するようになる。したがって、この放出されたCO2ガスは濃縮CO2ガスとして回収することができる。
【0058】
一方、第1のCO2ガス吸収装置22に対して熱伝達を行った後の排ガス(1)は、温度が低下する。但し、第1のCO2ガス吸収装置22では排ガス(1)中のガス成分は何ら吸収・回収されていないので、排ガス(1)の成分組成に変化はない。なお、図中では、このような状態の排ガスを排ガス(2)としている。
【0059】
次いで、排ガス(2)は第2のCO2ガス吸収装置23に導かれ、内部のCO2ガス吸収セラミックス231によって、排ガス(2)中のCO2ガスを吸収する。CO2ガス吸収セラミックス231がCO2ガスを吸収するには、化学反応式(1)に示すように、系全体の温度、すなわち排ガス(2)の温度を500℃〜700℃の範囲にしなければならない。したがって、必要に応じて、自然冷却や強制冷却の手法を用い、排ガス(2)の温度を上述した温度範囲内に入るようにする。強制冷却を行う場合は、第2の実施形態で説明したような追加の熱交換器を用いて行うこともできる。
【0060】
一方、CO2ガス吸収セラミックス231がCO2ガスを吸収する反応は発熱反応であるので、排ガス(2)が第2のCO2ガス吸収装置23に吸収される際に、所定の熱を生成するようになる。この結果、第2のCO2ガス吸収装置23の温度は全体として改質反応に利用される程度にまで加熱されるようになる。したがって、第2のCO2ガス吸収装置23の改質器233に燃料ガス(例えば、CH4+H2O)を供給することによって、改質器233において、上述したH2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分からなるガスを生成することができるようになる。
【0061】
したがって、第2のCO2ガス吸収装置23から上記ガスをSOFC11の燃料極113に供給することによって、SOFC11による発電反応と、SOFC11から排出される排ガス中のCO2ガスの吸収を行うことができる。
【0062】
本実施形態によれば、固体酸化物型燃料電池システムが改質器を本質的な構成要素として含むことがないので、システムの小型を達成することができる。また、SOFC11の燃料極113に供給すべき混合成分ガスは、SOFC11が排出した排ガスの熱と、第2のCO2ガス吸収装置23がCO2ガスを吸収することによる発熱とを利用して生成するので、システム全体において余分な熱の生成がなく、システム全体を極めて高い熱効率で駆動させることができる。
【0063】
一方、第2のCO2ガス吸収装置23のCO2ガス吸収セラミックス231がCO2ガスを飽和するまで吸収した後は、第2のCO2ガス吸収装置23に排ガス(1)を導入し、上述したような方法で飽和吸収したCO2ガスを放出し、CO2濃縮ガスとして回収するとともに、第2のCO2ガス吸収装置23から放出された排ガス(2)中のCO2ガスを第1のCO2ガス吸収装置22で吸収させるようにすることができる。そして、第1のCO2ガス吸収装置22の改質器223に対して燃料ガスを供給し、上述のような混合成分ガスを生成して、SOFC11の燃料極113に供給して発電反応を生ぜしめることができる。
【0064】
したがって、上述のような操作を繰り返すことによって、第1のCO2ガス吸収装置22でCO2ガスの放出を実施している場合は、第2のCO2ガス吸収装置23でCO2ガスの吸収及び混合成分ガスの生成を行うことができ、第1のCO2ガス吸収装置22でCO2ガスの吸収及び混合成分ガスの生成を実施している場合は、第2のCO2ガス吸収装置23でCO2ガスの放出を行うことができる。この結果、排ガス(2)中のCO2ガスを中断することなく、ほぼ連続的にCO2ガスを吸収し、回収することができるとともに、SOFC11の燃料極113に供給すべき混合成分ガスをほぼ連続的に生成することができ、SOFC11における発電反応をほぼ連続して行うことができる。
【0065】
なお、第2のCO2ガス吸収装置23で排ガス(2)中のCO2ガスが吸収された後の排ガス(3)は、H2ガスやCH4ガス等を含んでいるので、第1の実施形態と同様に、これを燃焼器で燃焼させることができる。したがって、この際に発生した熱をSOFC11の予熱に利用することができる。
【0066】
本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図は特に図示しないが、例えば、図2に示す固体酸化物型燃料電池システムにおいて、改質器10が削除され、その周辺における燃料供給の操作が第2のCO2ガス吸収装置の周辺に位置するようになる。
【0067】
(第4の実施形態)
図10は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。なお、第1の実施形態における図1に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似又は同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0068】
図10に示すように、本実施形態は、第3の実施形態の変形例に相当するものである。第3の実施形態では、図9に示すように、第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23の中心部にそれぞれ改質器223及び233を配置していたが、本実施形態では、図10に示すように、改質器に代えて改質触媒を用い、さらに、この触媒をCO2ガス吸収セラミックスと混合し、混合層321及び331として配置している点で相違する。
【0069】
しかしながら、本実施形態の固体酸化物型燃料電池システムは、第3の実施形態における改質器が改質触媒に変更になったのみであるので、その作用効果は第3の実施形態と同様である。
【0070】
すなわち、最初に、SOFC11を図示しない予熱機構で所定温度、例えば800℃程度にまで上昇させた後、第1の実施形態と同様に、H2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分を、SOFC11の燃料極113に供給するとともに、SOFC11の空気極111に空気を供給して、上述したような発電反応を生ぜしめる。未反応の燃料ガスにおけるCO2ガス量は十分に低いので、SOFC11から直接外部に放出する。
【0071】
なお、本実施形態では、上記混合ガス成分は、以下に詳述するように、CO2ガス吸収装置32及び33を通過した後の排ガスを用いるため、SOFC11での発電反応の結果、SOFC11から排出された排ガス(1)は、CO、CH4及びH2Oをほとんど含まず、H2ガス濃度が低減され、かつ水蒸気(H2O)濃度が増大した排ガスとして排出される。次いで、排ガス(1)を第1のCO2ガス吸収装置32の熱交換器322の部分に導入する。排ガス(1)は約800℃以上の温度を有するので、排ガス(1)の熱が熱交換器322を介して内部のCO2ガス吸収セラミックスを含む混合層321に伝達され、この混合層321中のCO2ガス吸収セラミックスにおいては、上述した化学反応式(1)において左側の矢印で示す反応が進行するようになる。したがって、第1のCO2ガス吸収装置32では、CO2ガス吸収セラミックスが既に吸収して飽和しているCO2ガスを放出するようになる。したがって、この放出されたCO2ガスはCO2濃縮ガスとして回収することができる。
【0072】
一方、第1のCO2ガス吸収装置32に対して熱伝達を行った後の排ガス(1)は、排ガス(2)として第2のCO2ガス吸収装置33に導かれ、混合層331中のCO2ガス吸収セラミックスによって、排ガス(2)中のCO2ガスを吸収する。CO2ガス吸収セラミックスがCO2ガスを吸収するには、化学反応式(1)に示すように、系全体の温度、すなわち排ガス(2)の温度を500℃〜700℃の範囲にしなければならない。したがって、必要に応じて、自然冷却や強制冷却の手法を用い、排ガス(2)の温度を上述した温度範囲内に入るようにする。強制冷却を行う場合は、第2の実施形態で説明したような追加の熱交換器を用いて行うこともできる。
【0073】
一方、混合層331中のCO2ガス吸収セラミックスがCO2ガスを吸収する反応は発熱反応であるので、排ガス(2)が第2のCO2ガス吸収装置33に吸収される際に、所定の熱を生成するようになる。この結果、第2のCO2ガス吸収装置33の温度は全体として約800℃程度にまで加熱されるようになり、第2のCO2ガス吸収装置33の改質触媒を含む混合層331に燃料ガス(例えば、CH4+H2O)を供給することによって、混合層331において、上述したH2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分からなるガスを生成することができるようになる。この場合、上記混合ガスは、排ガス(2)が第2のCO2ガス吸収装置33を通過して得られることから、(ii)CO2ガス、COガス及びCH4ガスの濃度が減少するとともに、(i)H2ガスの濃度が相対的に増大し、(iii)水蒸気H2Oの濃度がほとんど変化しないような混合ガスとなる。
【0074】
したがって、第2のCO2ガス吸収装置33から上記ガスをSOFC11の燃料極113に供給することによって、SOFC11による発電反応と、SOFC11から排出される排ガス中のCO2ガスの吸収を永続的に行うことができる。但し、上述したように、SOFC11の運転開始時には、外部の改質器から上記混合成分ガスをSOFC11の水素極に供給して、発電反応を行う必要がある。
【0075】
なお、その他の特徴及び作用効果については、第3の実施形態に示す固体酸化物型燃料電池システムと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0076】
(第5の実施形態)
図11は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【0077】
本実施形態では、CO2ガス吸収セラミックスとして酸化カルシウム(CaO)を用いている。CaOはCO2ガスを吸収すると炭酸カルシウム(CaCO3)を形成するようになるが、この場合、吸収したCO2ガスを放出するにはCaO、すなわちCaCO3を1000℃以上に加熱する必要がある。したがって、CaOをCO2ガス吸収セラミックスとして用いた場合は、CO2ガスの放出を行うことなく、CO2ガスの吸収によって生成したCaCO3のままの状態とする。
【0078】
CaCO3は、製紙工業での填料や塗工顔料、塗料工業での体質顔料、ゴム、プラスチック用途などに利用することが可能であって、再利用に供することができる。すなわち、本実施形態では、上記実施形態とは異なり、CO2濃縮ガスを回収する代わりに、反応生成物であるCaCO3として回収する点で相違する。
【0079】
具体的には、例えば図11に示すように、改質器10で生成したH2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分をSOFC11の燃料極113に供給するとともに、SOFC11の空気極111に空気を供給して、発電反応を生ぜしめ、その際に生じた排ガス(1)をそのままCaOセラミックスが充填されたCO2ガス吸収装置41〜43に供給し、CaOセラミックスで吸収し、CaCO3とする。
【0080】
なお、CO2ガス吸収装置41〜43から排出されたガスは、CO2ガスが吸収されてほとんど残存しないことから、H2/CO/CH4/H2Oが主成分のガスとなっているため、空気を供給して燃焼させることにより、改質器10及びSOFC11の予熱に使用することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、CaOセラミックスが充填されたCO2ガス吸収装置の数を3としているが、必要に応じて任意の数とすることができる。
【0082】
(第6の実施形態)
図12は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。本実施形態では、第1の実施形態の、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムの主要部において、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13と相対向する側において、これらCO2ガス吸収装置12,13と連結された追加の固体酸化物型燃料電池14が設けられている点で相違し、その他の点については同様の構成を採っている。したがって、本実施形態では、かかる相違点に基づく作用効果について説明し、その他の類似あるいは同一の構成要素に基づく作用効果については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0083】
また、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似あるいは同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0084】
図12に示す、第6の実施形態の固体酸化物型燃料電池システムにおいては、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13の後段において追加の固体酸化物型燃料電池14(以下、“追加のSOFC14”と呼ぶ場合がある)が設けられている。
【0085】
追加のSOFC14は、上述したSOFC11の場合と同様に、固体電解質膜141を中心としてその両側を挟み込むようにして空気極142及び燃料極143が形成されており、空気極142に供給された空気中の酸素が電子(e-)を取り込み、電気化学反応を通じて酸素イオンに変換し、この酸素イオンが電解質膜141を介して燃料極143へと移動し、燃料極143に導入した燃料ガスであるH2と電気化学的に反応して、H2Oと電子(e-)とを生成し、発電するように構成されている。
【0086】
但し、追加のSOFC14に供給する燃料ガスは、以下に説明するように、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13において、排ガス(1)からCO2ガスが低減され、H2及びCH4を主成分とするガスであるとともに、温度が低下した排ガス(3)である。したがって、追加のSOFC14は、上述したSOFC11に比較して動作温度が低くなるように設定する必要がある。
【0087】
追加のSOFC14の動作温度を低下させるには、固体電解質膜141をセリア系電解質材料から構成することによって実現することができる。セリア系電解質材料としては、例えば、セリア(CeO2)中にSm2O3、Gd2O3、Y2O3、La2O3など固溶したセリア系固溶体を挙げることができる。
【0088】
また、固体電解質141をランタンガレード系電解質材料から構成することによっても実現することができる。ランタンガレード(LaGaOx)系電解質材料としては、例えば、LaSrGaMg酸化物、LaSrGaMgCo酸化物、LaSrGaMgCoFe酸化物、LaSrGaMgCoFe酸化物などが挙げられる。
【0089】
さらに、固体電解質141をプロトン導電性電解質材料から構成することによっても実現することができる。このようなプロトン導電性電解質材料としては、例えばABO3なる一般式で表されるペロブスカイト型固体酸化物が挙げられる。具体的には、SrCeO3、SrZrO3、SrScO3、SrTiO3、BaCeO3、BaZrO3、BaScO3、BaPrO3、LaCeO2、LaZrO3、LaScO3を例示することができる。
【0090】
なお、上述した電解質材料は、その一部を別の元素に置換したり、ドーピングしたりしてもかまわない。
【0091】
また、上述した電解質材料を使用する代わりに、固体電解質膜141の厚さを薄く、例えば50μm以下、さらには10μm以下とすることによっても、追加のSOFC14の動作温度を低下させることができる。この場合は、特に明示しなかったものの、上述したSOFC11の固体電解質膜111と同じ、Y2O3、Sc2O3、Yb2O3、Gd2O3、Nd2O3、CaO、MgOなどを安定化剤として固溶した安定化ジルコニアなどを固体電解質材料として使用することができる。
【0092】
上述したように、追加のSOFC14は、H2及びCH4を主成分とする排ガス(3)を燃料ガスとして使用するが、これらガスの成分濃度はSOFC11において発電に使用した後の残りである。したがって、排ガス(3)中のH2及びCH4の濃度は、SOFC11に供給する燃料ガス中のH2及びCH4の濃度に比較して格段に低くなっている。
【0093】
なお、追加のSOFC14の固体電解質膜141を上述のようにして構成することにより、その動作温度を500℃〜700℃とすることができ、排ガス(3)の温度によっても追加のSOFC14を十分に動作させて発電させることができる。
【0094】
燃料電池を単独で運転する場合、燃料利用率は約60〜90%と高い利用率で運転するのが一般的である。すなわち、SOFC11単独の場合は、燃料利用率を約60〜90%と高くする。しかしながら、本実施形態において、このような条件で運転を行うと、上述したように、排ガス(3)中のH2及びCH4の濃度が格段に低くなってしまう。
【0095】
したがって、本実施形態では、SOFC11の燃料利用率を低下させ、排ガス(3)中のH2及びCH4の濃度を高くするともに、追加のSOFC14の燃料利用率を増大させる。これによって、追加のSOFC14での発電特性が十分に向上するようになるので、システム全体としての発電特性を向上させることができるようになる。具体的には、SOFC11の燃料利用率に対して追加のSOFC14の燃料利用率を向上させる(高くする)。例えば、SOFC11の燃料利用率を約40〜80%とし、追加のSOFC14の燃料利用率を約60〜95%とする。
【0096】
また、炭化水素系燃料の改質ガスでの発電特性と、水素燃料での発電特性を比較した場合、後者のほうが発電特性は高い。したがって、追加のSOFC14は排ガス(3)を燃料ガスとして使用して発電を行うものの、排ガス(3)はH2を含んでいるので、十分高い発電特性を呈することができる。
【0097】
なお、特に図示しないものの、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に追加の熱交換器15を設けることができる。この場合、上述したように、排ガス(2)が熱交換器15を通過する際に、例えば熱交換器15に対して外部からSOFC11での発電反応に使用するプロセスガス(空気や燃料ガス)を吹き付けることによって、第1の実施形態で説明したように、排ガス(2)に対しては強制冷却を行うことができるとともに、プロセスガスに対して予熱等の操作を行うことができる。
【0098】
また、全体のシステムとしては、図2〜3及び図5〜8に示す場合と同様となる。但し、例えば、図2及び図3における燃焼器17が追加のSOFC14で置換されることになる。
【0099】
(第7の実施形態)
図13は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。本実施形態では、第6の実施形態の、図12に示す固体酸化物型燃料電池システムの主要部において、CO2ガス吸収装置12,13と連結された追加の固体酸化物型燃料電池14を、リン酸型燃料電池あるいは高分子型燃料電池に置換した点で相違し、その他の点については同様の構成を採っている。したがって、本実施形態では、かかる相違点に基づく作用効果について説明し、その他の類似あるいは同一の構成要素に基づく作用効果については、第6の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0100】
また、図6に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似あるいは同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0101】
本実施形態では、追加の固体酸化物型燃料電池14としてリン酸型燃料電池(PAFC)あるいは高分子型燃料電池(PEFC)を用いており、前者の動作温度は約200℃であり、後者の動作温度は約60℃〜90℃である。したがって、排ガス(3)の温度が十分に低下した場合においても、これらの固体酸化物型燃料電池を用いることにより、十分な発電特性を得ることができる。
【0102】
なお、上述したように、排ガス(3)の温度は約500℃であるので、一般には、追加の固体酸化物型燃料電池14と第2の第2のCO2ガス吸収装置13との間に熱交換器16を設け、排ガス(3)の温度を熱交換器16によって固体酸化物型燃料電池14の動作温度にまで十分低減した後、この固体酸化物燃料電池14に導入する必要がある。
【0103】
また、特に図示しないものの、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に追加の熱交換器15を設けることができる。また、全体のシステムとしては、図2〜3及び図5〜8に示す場合と同様となる。但し、例えば、図2及び図3における燃焼器17が追加のSOFC14で置換されることになる。
【0104】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 改質器
11 固体酸化物型燃料電池(SOFC)
12、22、32 第1のCO2ガス吸収装置
13、23、33 第2のCO2ガス吸収装置
14 追加の固体酸化物型燃料電池
15 追加の熱交換器
17 燃焼器
16、18、19 熱交換器
41、42、43 酸化カルシウム(CaO)セラミックスを含んだCO2ガス吸収装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物型燃料電池から排出された排ガス中のCO2ガスを吸収する装置を有する固体酸化物型燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油などの化石燃料資源の枯渇の観点及びエネルギーセキュリティーの観点から、水素と酸素とを電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する燃料電池が注目されている。燃料電池は高いエネルギー利用効率を有し、大規模分散電源、家庭用電源、移動用電源として開発が進められている。
【0003】
また、燃料電池は、温度域や使用する材料・燃料の種類に応じて、固体高分子型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型などに分けられるが、効率などの観点から、固体酸化物から成る電解質を使用して、電気化学反応により電気エネルギーを得る固体酸化物形燃料電池(SOFC)が注目されている。
【0004】
SOFCは、酸素イオン導電性を有する固体酸化物の電解質と電極(燃料極と空気極)とから構成される電気化学セルを最小単位としている。一般的な発電原理は、空気極に導入された空気中の酸素が電子(e-)を取り込み、電気化学反応を通じて酸素イオンに変換し、この酸素イオンが電解質を介して燃料極へと移動し、燃料極に導入した燃料ガスであるH2と電気化学的に反応して、H2Oと電子(e-)とを生成し、発電するものである。この発電反応は、電解質膜を介した燃焼反応と考えることができる。
【0005】
SOFCにおいて、炭化水素ガスを燃料として用いた場合、炭化水素ガスは改質器によって水素ガスを含む混合ガスに転換され、上記燃料極に供されるようになる。混合ガスは主に、H2、CO、CO2、未反応炭化水素、H2Oなどから構成される。発電反応によって、H2はH2Oに変換され、また、COや未反応炭化水素などは主にCO2に変換される。
【0006】
一方、近年においては、地球温暖化の観点から、二酸化炭素(以下、CO2)の低減といった課題がとりあげられている。したがって、上述のようなSOFCにおける化学反応の結果生成したCO2ガスも所定の方法で低減することが要求されている。
【0007】
上述したCO2ガスを低減させる方法としては、例えば、吸収液を用いた化学吸収法や吸着剤を用いた物理吸収法などが挙げられる。しかしながら、これらの手法は、比較的低温で動作するため、ガス温度を一旦動作温度レベルまで下げる必要があり、熱損失が大きい。このような観点から、近年では、リチウムシリケートなどのセラミックスを用いたCO2吸収剤が開発されている。このセラミックスを用いたCO2吸収剤は、600℃〜800℃で動作するので、吸収液を用いた場合のような、比較的大きな熱損失を回避することができる(非特許文献1)。
【0008】
また、その他の方法としては、改質器によって生成された燃料ガスを水素分離膜を通すことによって、ガス中に含まれる炭化水素ガスやCO、CO2などの成分を除去して水素ガスのみを燃料ガスとして取り出し、炭素分(炭化水素ガスやCO、CO2などの成分)を分離するような試みもなされている(特許文献1)。
【0009】
前者の方法は後処理(ポスト処理)であり、後者の方法は前処理(プレ処理)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−239353号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】東芝レビュー Vol.59 No.1(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、後処理において、炭化水素ガスを燃料として用いた場合に発生するCO2ガスを十分に吸収して回収することが可能な、CO2ガス吸収装置及びSOFCを具えた、新規な構成の固体酸化物型燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、本発明の一態様は、炭化水素ガスを燃料として用いた固体酸化物型燃料電池発電システムであって、前記炭化水素ガスの少なくとも一部を水素ガスに転換するための改質器と、前記燃料の供給に関して、前記改質器の下流側に設けられた固体酸化物型燃料電池と、前記固体酸化物型燃料電池に連結され、内部にCO2ガス吸収セラミックスが充填されて、前記固体酸化物型燃料電池から排出されたCO2ガスを吸収するCO2ガス吸収装置と、を具えることを特徴とする固体酸化物型燃料電池発電システムに関する。
【発明の効果】
【0014】
上記態様によれば、固体酸化物型燃料電池(SOFC)に対して、内部にリチウム化合物、バリウム化合物及び/又は酸化カルシウムなどのCO2ガス吸収能に優れたCO2ガス吸収セラミックスが充填されてなるCO2ガス吸収装置を直接連結するようにしている。したがって、SOFCにおける化学反応においてCO2ガスが生成した場合においても、上記CO2ガス吸収装置において、外部に漏洩することなく、効率的に吸収し、回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図2】第1の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図3】第1の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図4】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図5】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図6】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図7】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図8】第2の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【図9】第3の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図10】第4の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図11】第5の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図12】第6の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【図13】第7の実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池システムは、改質器10と、燃料の供給に関して、改質器の下流側に設けられた固体酸化物型燃料電池(SOFC)11と、固体酸化物型燃料電池11に連結され、内部にCO2ガス吸収セラミックスが充填されて、固体酸化物型燃料電池11から排出されたCO2ガスを吸収する、第1のCO2ガス吸収装置12と、第2のCO2ガス吸収装置13とを含んでいる。第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13とは互いに連結されるとともに、排ガスの供給に関して、第1のCO2ガス吸収装置12は上流側に位置し、第2のCO2ガス吸収装置13は下流側に位置している。
【0019】
また、第1のCO2ガス吸収装置12は内部のCO2ガス吸収セラミックスが既にCO2ガスを吸収して飽和している一方、第2のCO2ガス吸収装置13は未だCO2ガスを吸収していない状態となっている。
【0020】
なお、図中、実線で示す矢印はガスの流れを表し、破線で示す矢印は熱の流れを示す。
【0021】
SOFC11は、固体電解質膜111を中心としてその両側を挟み込むようにして空気極112及び燃料極113が形成されており、空気極112に供給された空気中の酸素が電子(e-)を取り込み、電気化学反応を通じて酸素イオンに変換し、この酸素イオンが電解質膜111を介して燃料極113へと移動し、燃料極113に導入した燃料ガスであるH2と電気化学的に反応して、H2Oと電子(e-)とを生成し、発電するように構成されている。
【0022】
第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13は、例えば外周部に熱交換器が形成された、SUSやSiCなどからなる容器中にCO2ガス吸収セラミックス121及び131が充填されている。このCO2ガス吸収セラミックス121及び131としては、例えばLi2ZrO3、LiFeO2、LiNiO2、Li2TiO3、Li2SiO3、Li4SiO4などのリチウム化合物、又はBa2TiO4などのバリウム化合物が挙げられる。
【0023】
例えば、Li4SiO4の場合、
に示す反応式に基づいて反応する。右側の反応は例えば500℃〜700℃の温度範囲において生じ、左側の反応は例えば700℃〜850℃の温度範囲において生じる。したがって、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13を500℃〜700℃の温度に加熱した際には、上記反応式に基づいてCO2ガス吸収セラミックスはCO2ガスを吸収するようになり、700℃〜850℃の温度範囲に加熱した際には、上記反応式に基づいてCO2ガス吸収セラミックスはCO2ガスを放出するようになる。
【0024】
次に、SOFC11、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13の、上述した特性に鑑みて、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムの動作について説明する。
【0025】
最初に、改質器10に対して燃料ガスとしてのメタンガス(CH4)及び水(水蒸気:H2O)を供給する。改質器10では、CH4と水蒸気とが反応して水素ガス(H2ガス)を生成するとともに、不純物ガスとしてのCOガス及びCO2ガスが生成される。また、一部未反応のCH4ガス、水蒸気が残留する。
【0026】
次いで、H2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分をSOFC11の燃料極113に供給するとともに、SOFC11の空気極111に空気を供給して、上述したような発電反応を生ぜしめる。なお、未反応の燃料ガスにおけるCO2ガス量は十分に低いので、改質器10及びSOFC11から直接外部に放出しても問題がない。
【0027】
一方、SOFC11において発電反応に供した燃料ガスは、図1において排ガス(1)で示されるように、上述した発電反応によってH2ガス、COガス及びCH4ガスが消費されることによって、これらガス成分が減少するととともに、CO2ガス及びH2Oの量が増大する。また、排ガス(1)の温度は、例えばSOFC11における動作温度が約800℃であることに起因して、同様に約800℃以上にまで加熱される。
【0028】
次いで、排ガス(1)を第1のCO2ガス吸収装置12の熱交換器122の部分に導入する。排ガス(1)は約800℃以上の温度を有するので、排ガス(1)の熱が熱交換器122を介して内部のCO2ガス吸収セラミックス121に伝達され、このCO2ガス吸収セラミックス121においては、上述した化学反応式(1)において左側の矢印で示す反応が進行するようになる。したがって、第1のCO2ガス吸収装置12では、CO2ガス吸収セラミックス121が既に吸収して飽和しているCO2ガスを放出するようになる。したがって、この放出されたCO2ガスはCO2濃縮ガスとして回収することができる。
【0029】
一方、第1のCO2ガス吸収装置12に対して熱伝達を行った後の排ガス(1)は、温度が低下する。但し、第1のCO2ガス吸収装置12では排ガス(1)中のガス成分は何ら吸収・回収されていないので、排ガス(1)の成分組成に変化はない。なお、図中では、このような状態の排ガスを排ガス(2)としている。
【0030】
次いで、排ガス(2)は第2のCO2ガス吸収装置13に導かれ、内部のCO2ガス吸収セラミックス131によって、排ガス(2)中のCO2ガスを吸収する。CO2ガス吸収セラミックスがCO2ガスを吸収するには、化学反応式(1)に示すように、系全体の温度、すなわち排ガス(2)の温度を500℃〜700℃の範囲にしなければならない。しかしながら、排ガス(2)の温度は低下しており、上記温度範囲を満足する。結果として、排ガス(2)中のCO2ガスは第2のCO2ガス吸収装置12によって吸収されるようになる。
【0031】
なお、排ガス(2)の温度はCO2ガス吸収セラミックス131がCO2ガスを吸収できる上限の温度であるので、好ましくは排ガス(2)を第2のCO2ガス吸収装置13に導入するまでに、例えば所定のタイムラグを設け、その温度を上記温度範囲内となるように、十分に低減することが好ましい。なお、上述のようなタイムラグを設ける代わりに所定のガス等を噴射して、強制的に冷却するようにしてもよい。
【0032】
第2のCO2ガス吸収装置13から排出される排ガス(3)は、排ガス(1)及び(2)からCO2ガス成分が除去されてなる組成成分を有する。しかしながら、排ガス(3)は、H2ガスやCH4ガス等を含んでいるので、これを燃焼器で燃焼させることができる。したがって、この際に発生した熱を改質器10及びSOFC11の予熱に利用することができる。燃焼後の排ガス(3)は、N2/H2Oが主成分のガスとなり、図1に示す矢印に従って、システムより外方に排出される。
【0033】
一方、第2のCO2ガス吸収装置13のCO2ガス吸収セラミックス131がCO2ガスを飽和するまで吸収した後は、第2のCO2ガス吸収装置13に排ガス(1)を導入し、上述したような方法で飽和吸収したCO2ガスを放出し、CO2濃縮ガスとして回収するとともに、第2のCO2ガス吸収装置13から放出された排ガス(2)中のCO2ガスを第1のCO2ガス吸収装置12で吸収させるようにすることができる。
【0034】
したがって、上述のような操作を繰り返すことによって、第1のCO2ガス吸収装置12でCO2ガスの放出を実施している場合は、第2のCO2ガス吸収装置13でCO2ガスの吸収を行うことができ、第1のCO2ガス吸収装置12でCO2ガスの吸収を実施している場合は、第2のCO2ガス吸収装置13でCO2ガスの放出を行うことができる。この結果、排ガス(2)中のCO2ガスを中断することなく、ほぼ連続的にCO2ガスを吸収し、回収することができる。
【0035】
図2は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。改質器10に対して燃料(CH4)供給と水(水蒸気)供給とを行って燃料ガス(H2/CO/CH4/CO2/H2Oなどを含む混合ガス)を生成し、SOFC11に供給して発電反応を生ぜしめた後、SOFC11で生成した排ガス(1)は第1のCO2ガス吸収装置12の熱交換器に導入されて、予め吸収したCO2ガスを放出する。次いで、第1のCO2ガス吸収装置12から排出された排出ガス(2)は、第2のCO2ガス吸収装置13に導入され、排ガス(2)のCO2ガス成分が吸収される。
【0036】
第2のCO2ガス吸収装置13から排出された排ガス(3)は、供給された空気とともに燃焼器17で燃焼され、その際に発生した熱によって改質器10及びSOFC11を予熱する。燃焼器17で燃焼された排ガス(3)は、燃焼排ガスとしてシステムから外部に排気される。なお、上記空気の代わりに、SOFC11の空気極から放出された空気含有の排ガスを用いることもできる。
【0037】
なお、SOFC11における発電反応の詳細、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13でのCO2ガス吸収及び放出の詳細については、図1に関連して説明した通りである。
【0038】
図3は、図2に示す固体酸化物型燃料電池システムの変形例を示す概略構成図である。図3に示す例では、燃焼器17で排ガスを燃焼させた際に生じた熱を改質器10の予熱と、SOFC11の予熱とに使用した後、燃焼後の排ガスが保持する熱によって、SOFC11の空気極に供給する空気を熱交換器18を介して加熱し、さらにSOFC11の燃料極に供給する燃料ガスを熱交換器19を介して加熱し、改質器10に供給するようにしたものである。なお、熱交換の順序などは問わない。また、上記熱は、水蒸気の生成にもちいてもよい。
【0039】
すなわち、図3に示す固体酸化物型燃料電池システムでは、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムに比較して、燃焼器17で燃焼させた後の排ガスを改質器10及びSOFC11の予熱に使用するのみならず、SOFC11に供給すべき空気及び燃料ガスの予熱にも使用している点で、前記排ガスをより効率的な利用がなされている。
【0040】
(第2の実施形態)
図4は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。本実施形態では、第1の実施形態の、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムの主要部において、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に追加の熱交換器15が設けられている点で相違し、その他の点については同様の構成を採っている。したがって、本実施形態では、かかる相違点に基づく作用効果について説明し、その他の類似あるいは同一の構成要素に基づく作用効果については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0041】
また、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似あるいは同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0042】
図1に示す、第1の実施形態の固体酸化物型燃料電池システムにおいては、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13とが直接接続されている。その結果、排ガス(2)の温度は低下し、CO2ガス吸収温度(化学反応式(1)において右側の矢印で示す方向に反応が進行する温度)である500℃〜700℃の温度範囲内にまで降温する場合、排ガス(2)を第2のCO2ガス吸収装置13に導入するまでに所定のタイムラグを設けて自然冷却したり、所定のガス等を噴射して、強制冷却したりしていた。
【0043】
これに対して、本実施形態では、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に追加の熱交換器15を設けている。したがって、排ガス(2)が熱交換器15を通過する際に、例えば熱交換器15に対して外部からSOFC11での発電反応に使用するプロセスガス(空気や燃料ガス)を吹き付けることによって、第1の実施形態で説明したように、排ガス(2)に対しては強制冷却を行うことができるとともに、プロセスガスに対して予熱等の操作を行うことができる。
【0044】
この結果、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムにおいては、第1のCO2ガス吸収装置12から第2のCO2ガス吸収装置13に排ガス(2)を移送させる際の、排ガス(2)の余分な熱をプロセスガスの予熱等に使用することができるので、余分な熱の排出を抑制し、システム全体の熱効率を向上できるという利点がある。
【0045】
図5〜図8は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図である。
【0046】
図5〜図7に示す固体酸化物型燃料電池システムでは、図2に示す固体酸化物型燃料電池システムに対して、追加の熱交換器15が第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に設けられ、追加の熱交換器15においてプロセスガスの予熱等を実施している点で相違している。また、図8に示す固体酸化物型燃料電池システムでは、図3に示す固体酸化物型燃料電池システムに対して、追加の熱交換器15が第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に設けられ、追加の熱交換器15に水を供給して改質器で使用する水蒸気(H2O)を生成している点で相違している。
【0047】
以下、図2及び図3に示す固体酸化物型燃料電池システムとの相違点について説明すると、図5では、追加の熱交換器15に対して空気を噴射し、予備的に加熱した後、SOFC11の空気極に供給するようにしている。図6では、追加の熱交換器15に対して燃料ガスを噴射し、予備的に加熱した後改質器10に供給するようにしている。図7及び図8では、追加の熱交換器15に対して水を供給し、水蒸気(H2O)として改質器10に供給するようにしている。
【0048】
したがって、上述したように、排ガス(2)に対しては強制冷却を行うことができるとともに、プロセスガスに対して予熱等の操作を行うことができ、改質器10における改質反応やSOFC11における発電反応を促進させることができる。この結果、システム全体の熱効率を向上できることが分かる。
【0049】
(第3の実施形態)
図9は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。なお、第1の実施形態における図1に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似又は同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0050】
図9に示すように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池システムは、固体酸化物型燃料電池(SOFC)11と、固体酸化物型燃料電池11に連結された第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23とを含んでいる。
【0051】
第1のCO2ガス吸収装置22と第2のCO2ガス吸収装置23とは互いに連結されるとともに、排ガスの供給に関して、第1のCO2ガス吸収装置22は上流側に位置し、第2のCO2ガス吸収装置23は下流側に位置している。また、第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23は、それぞれ内部にCO2ガス吸収セラミックス221及び231が充填されているとともに、それらの中心部においてそれぞれ改質器223及び233を有している。
【0052】
具体的には、第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23は、第1の実施形態の場合と同様に、例えば外周部に熱交換器が形成された、SUSやSiCなどからなる容器中にCO2ガス吸収セラミックス221及び231がそれぞれ充填され、さらにそれらの中心部に第1の実施形態における改質器10と同様の改質器223及び233がそれぞれ配置されている。このCO2ガス吸収セラミックスとしては、第1の実施形態と同様に、例えばLi2ZrO3、LiFeO2、LiNiO2、Li2TiO3、Li2SiO3、Li4SiO4などのリチウム化合物、又はBa2TiO4などのバリウム化合物が挙げられる。
【0053】
なお、SOFC11の構成及び発電反応は、第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0054】
また、第1のCO2ガス吸収装置22は内部のCO2ガス吸収セラミックス221が既にCO2ガスを吸収して飽和している一方、第2のCO2ガス吸収装置23は未だCO2ガスを吸収していない状態となっている。
【0055】
次に、SOFC11、第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23の、上述した特性に鑑みて、図9に示す固体酸化物型燃料電池システムの動作について説明する。
【0056】
最初に、SOFC11を図示しない予熱機構で所定温度、例えば800℃程度にまで上昇させた後、第1の実施形態と同様に、H2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分を、SOFC11の燃料極113に供給するとともに、SOFC11の空気極111に空気を供給して、上述したような発電反応を生ぜしめる。なお、未反応の燃料ガスにおけるCO2ガス量は十分に低いので、SOFC11から直接外部に放出しても問題がない。
【0057】
SOFC11での発電反応の結果、SOFC11からは、第1の実施形態と同様な排ガス(1)が排出される。次いで、排ガス(1)を第1のCO2ガス吸収装置22の熱交換器222の部分に導入する。排ガス(1)は例えば約800℃以上の温度を有するので、排ガス(1)の熱が熱交換器222を介して内部のCO2ガス吸収セラミックス221に伝達され、このCO2ガス吸収セラミックス221においては、上述した化学反応式(1)において左側の矢印で示す反応が進行するようになる。したがって、第1のCO2ガス吸収装置22では、CO2ガス吸収セラミックス221が既に吸収して飽和しているCO2ガスを放出するようになる。したがって、この放出されたCO2ガスは濃縮CO2ガスとして回収することができる。
【0058】
一方、第1のCO2ガス吸収装置22に対して熱伝達を行った後の排ガス(1)は、温度が低下する。但し、第1のCO2ガス吸収装置22では排ガス(1)中のガス成分は何ら吸収・回収されていないので、排ガス(1)の成分組成に変化はない。なお、図中では、このような状態の排ガスを排ガス(2)としている。
【0059】
次いで、排ガス(2)は第2のCO2ガス吸収装置23に導かれ、内部のCO2ガス吸収セラミックス231によって、排ガス(2)中のCO2ガスを吸収する。CO2ガス吸収セラミックス231がCO2ガスを吸収するには、化学反応式(1)に示すように、系全体の温度、すなわち排ガス(2)の温度を500℃〜700℃の範囲にしなければならない。したがって、必要に応じて、自然冷却や強制冷却の手法を用い、排ガス(2)の温度を上述した温度範囲内に入るようにする。強制冷却を行う場合は、第2の実施形態で説明したような追加の熱交換器を用いて行うこともできる。
【0060】
一方、CO2ガス吸収セラミックス231がCO2ガスを吸収する反応は発熱反応であるので、排ガス(2)が第2のCO2ガス吸収装置23に吸収される際に、所定の熱を生成するようになる。この結果、第2のCO2ガス吸収装置23の温度は全体として改質反応に利用される程度にまで加熱されるようになる。したがって、第2のCO2ガス吸収装置23の改質器233に燃料ガス(例えば、CH4+H2O)を供給することによって、改質器233において、上述したH2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分からなるガスを生成することができるようになる。
【0061】
したがって、第2のCO2ガス吸収装置23から上記ガスをSOFC11の燃料極113に供給することによって、SOFC11による発電反応と、SOFC11から排出される排ガス中のCO2ガスの吸収を行うことができる。
【0062】
本実施形態によれば、固体酸化物型燃料電池システムが改質器を本質的な構成要素として含むことがないので、システムの小型を達成することができる。また、SOFC11の燃料極113に供給すべき混合成分ガスは、SOFC11が排出した排ガスの熱と、第2のCO2ガス吸収装置23がCO2ガスを吸収することによる発熱とを利用して生成するので、システム全体において余分な熱の生成がなく、システム全体を極めて高い熱効率で駆動させることができる。
【0063】
一方、第2のCO2ガス吸収装置23のCO2ガス吸収セラミックス231がCO2ガスを飽和するまで吸収した後は、第2のCO2ガス吸収装置23に排ガス(1)を導入し、上述したような方法で飽和吸収したCO2ガスを放出し、CO2濃縮ガスとして回収するとともに、第2のCO2ガス吸収装置23から放出された排ガス(2)中のCO2ガスを第1のCO2ガス吸収装置22で吸収させるようにすることができる。そして、第1のCO2ガス吸収装置22の改質器223に対して燃料ガスを供給し、上述のような混合成分ガスを生成して、SOFC11の燃料極113に供給して発電反応を生ぜしめることができる。
【0064】
したがって、上述のような操作を繰り返すことによって、第1のCO2ガス吸収装置22でCO2ガスの放出を実施している場合は、第2のCO2ガス吸収装置23でCO2ガスの吸収及び混合成分ガスの生成を行うことができ、第1のCO2ガス吸収装置22でCO2ガスの吸収及び混合成分ガスの生成を実施している場合は、第2のCO2ガス吸収装置23でCO2ガスの放出を行うことができる。この結果、排ガス(2)中のCO2ガスを中断することなく、ほぼ連続的にCO2ガスを吸収し、回収することができるとともに、SOFC11の燃料極113に供給すべき混合成分ガスをほぼ連続的に生成することができ、SOFC11における発電反応をほぼ連続して行うことができる。
【0065】
なお、第2のCO2ガス吸収装置23で排ガス(2)中のCO2ガスが吸収された後の排ガス(3)は、H2ガスやCH4ガス等を含んでいるので、第1の実施形態と同様に、これを燃焼器で燃焼させることができる。したがって、この際に発生した熱をSOFC11の予熱に利用することができる。
【0066】
本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの概略構成図は特に図示しないが、例えば、図2に示す固体酸化物型燃料電池システムにおいて、改質器10が削除され、その周辺における燃料供給の操作が第2のCO2ガス吸収装置の周辺に位置するようになる。
【0067】
(第4の実施形態)
図10は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。なお、第1の実施形態における図1に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似又は同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0068】
図10に示すように、本実施形態は、第3の実施形態の変形例に相当するものである。第3の実施形態では、図9に示すように、第1のCO2ガス吸収装置22及び第2のCO2ガス吸収装置23の中心部にそれぞれ改質器223及び233を配置していたが、本実施形態では、図10に示すように、改質器に代えて改質触媒を用い、さらに、この触媒をCO2ガス吸収セラミックスと混合し、混合層321及び331として配置している点で相違する。
【0069】
しかしながら、本実施形態の固体酸化物型燃料電池システムは、第3の実施形態における改質器が改質触媒に変更になったのみであるので、その作用効果は第3の実施形態と同様である。
【0070】
すなわち、最初に、SOFC11を図示しない予熱機構で所定温度、例えば800℃程度にまで上昇させた後、第1の実施形態と同様に、H2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分を、SOFC11の燃料極113に供給するとともに、SOFC11の空気極111に空気を供給して、上述したような発電反応を生ぜしめる。未反応の燃料ガスにおけるCO2ガス量は十分に低いので、SOFC11から直接外部に放出する。
【0071】
なお、本実施形態では、上記混合ガス成分は、以下に詳述するように、CO2ガス吸収装置32及び33を通過した後の排ガスを用いるため、SOFC11での発電反応の結果、SOFC11から排出された排ガス(1)は、CO、CH4及びH2Oをほとんど含まず、H2ガス濃度が低減され、かつ水蒸気(H2O)濃度が増大した排ガスとして排出される。次いで、排ガス(1)を第1のCO2ガス吸収装置32の熱交換器322の部分に導入する。排ガス(1)は約800℃以上の温度を有するので、排ガス(1)の熱が熱交換器322を介して内部のCO2ガス吸収セラミックスを含む混合層321に伝達され、この混合層321中のCO2ガス吸収セラミックスにおいては、上述した化学反応式(1)において左側の矢印で示す反応が進行するようになる。したがって、第1のCO2ガス吸収装置32では、CO2ガス吸収セラミックスが既に吸収して飽和しているCO2ガスを放出するようになる。したがって、この放出されたCO2ガスはCO2濃縮ガスとして回収することができる。
【0072】
一方、第1のCO2ガス吸収装置32に対して熱伝達を行った後の排ガス(1)は、排ガス(2)として第2のCO2ガス吸収装置33に導かれ、混合層331中のCO2ガス吸収セラミックスによって、排ガス(2)中のCO2ガスを吸収する。CO2ガス吸収セラミックスがCO2ガスを吸収するには、化学反応式(1)に示すように、系全体の温度、すなわち排ガス(2)の温度を500℃〜700℃の範囲にしなければならない。したがって、必要に応じて、自然冷却や強制冷却の手法を用い、排ガス(2)の温度を上述した温度範囲内に入るようにする。強制冷却を行う場合は、第2の実施形態で説明したような追加の熱交換器を用いて行うこともできる。
【0073】
一方、混合層331中のCO2ガス吸収セラミックスがCO2ガスを吸収する反応は発熱反応であるので、排ガス(2)が第2のCO2ガス吸収装置33に吸収される際に、所定の熱を生成するようになる。この結果、第2のCO2ガス吸収装置33の温度は全体として約800℃程度にまで加熱されるようになり、第2のCO2ガス吸収装置33の改質触媒を含む混合層331に燃料ガス(例えば、CH4+H2O)を供給することによって、混合層331において、上述したH2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分からなるガスを生成することができるようになる。この場合、上記混合ガスは、排ガス(2)が第2のCO2ガス吸収装置33を通過して得られることから、(ii)CO2ガス、COガス及びCH4ガスの濃度が減少するとともに、(i)H2ガスの濃度が相対的に増大し、(iii)水蒸気H2Oの濃度がほとんど変化しないような混合ガスとなる。
【0074】
したがって、第2のCO2ガス吸収装置33から上記ガスをSOFC11の燃料極113に供給することによって、SOFC11による発電反応と、SOFC11から排出される排ガス中のCO2ガスの吸収を永続的に行うことができる。但し、上述したように、SOFC11の運転開始時には、外部の改質器から上記混合成分ガスをSOFC11の水素極に供給して、発電反応を行う必要がある。
【0075】
なお、その他の特徴及び作用効果については、第3の実施形態に示す固体酸化物型燃料電池システムと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0076】
(第5の実施形態)
図11は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。
【0077】
本実施形態では、CO2ガス吸収セラミックスとして酸化カルシウム(CaO)を用いている。CaOはCO2ガスを吸収すると炭酸カルシウム(CaCO3)を形成するようになるが、この場合、吸収したCO2ガスを放出するにはCaO、すなわちCaCO3を1000℃以上に加熱する必要がある。したがって、CaOをCO2ガス吸収セラミックスとして用いた場合は、CO2ガスの放出を行うことなく、CO2ガスの吸収によって生成したCaCO3のままの状態とする。
【0078】
CaCO3は、製紙工業での填料や塗工顔料、塗料工業での体質顔料、ゴム、プラスチック用途などに利用することが可能であって、再利用に供することができる。すなわち、本実施形態では、上記実施形態とは異なり、CO2濃縮ガスを回収する代わりに、反応生成物であるCaCO3として回収する点で相違する。
【0079】
具体的には、例えば図11に示すように、改質器10で生成したH2ガス/CO2ガス/COガス/CH4ガス/H2Oガスの混合成分をSOFC11の燃料極113に供給するとともに、SOFC11の空気極111に空気を供給して、発電反応を生ぜしめ、その際に生じた排ガス(1)をそのままCaOセラミックスが充填されたCO2ガス吸収装置41〜43に供給し、CaOセラミックスで吸収し、CaCO3とする。
【0080】
なお、CO2ガス吸収装置41〜43から排出されたガスは、CO2ガスが吸収されてほとんど残存しないことから、H2/CO/CH4/H2Oが主成分のガスとなっているため、空気を供給して燃焼させることにより、改質器10及びSOFC11の予熱に使用することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、CaOセラミックスが充填されたCO2ガス吸収装置の数を3としているが、必要に応じて任意の数とすることができる。
【0082】
(第6の実施形態)
図12は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。本実施形態では、第1の実施形態の、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムの主要部において、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13と相対向する側において、これらCO2ガス吸収装置12,13と連結された追加の固体酸化物型燃料電池14が設けられている点で相違し、その他の点については同様の構成を採っている。したがって、本実施形態では、かかる相違点に基づく作用効果について説明し、その他の類似あるいは同一の構成要素に基づく作用効果については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0083】
また、図1に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似あるいは同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0084】
図12に示す、第6の実施形態の固体酸化物型燃料電池システムにおいては、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13の後段において追加の固体酸化物型燃料電池14(以下、“追加のSOFC14”と呼ぶ場合がある)が設けられている。
【0085】
追加のSOFC14は、上述したSOFC11の場合と同様に、固体電解質膜141を中心としてその両側を挟み込むようにして空気極142及び燃料極143が形成されており、空気極142に供給された空気中の酸素が電子(e-)を取り込み、電気化学反応を通じて酸素イオンに変換し、この酸素イオンが電解質膜141を介して燃料極143へと移動し、燃料極143に導入した燃料ガスであるH2と電気化学的に反応して、H2Oと電子(e-)とを生成し、発電するように構成されている。
【0086】
但し、追加のSOFC14に供給する燃料ガスは、以下に説明するように、第1のCO2ガス吸収装置12及び第2のCO2ガス吸収装置13において、排ガス(1)からCO2ガスが低減され、H2及びCH4を主成分とするガスであるとともに、温度が低下した排ガス(3)である。したがって、追加のSOFC14は、上述したSOFC11に比較して動作温度が低くなるように設定する必要がある。
【0087】
追加のSOFC14の動作温度を低下させるには、固体電解質膜141をセリア系電解質材料から構成することによって実現することができる。セリア系電解質材料としては、例えば、セリア(CeO2)中にSm2O3、Gd2O3、Y2O3、La2O3など固溶したセリア系固溶体を挙げることができる。
【0088】
また、固体電解質141をランタンガレード系電解質材料から構成することによっても実現することができる。ランタンガレード(LaGaOx)系電解質材料としては、例えば、LaSrGaMg酸化物、LaSrGaMgCo酸化物、LaSrGaMgCoFe酸化物、LaSrGaMgCoFe酸化物などが挙げられる。
【0089】
さらに、固体電解質141をプロトン導電性電解質材料から構成することによっても実現することができる。このようなプロトン導電性電解質材料としては、例えばABO3なる一般式で表されるペロブスカイト型固体酸化物が挙げられる。具体的には、SrCeO3、SrZrO3、SrScO3、SrTiO3、BaCeO3、BaZrO3、BaScO3、BaPrO3、LaCeO2、LaZrO3、LaScO3を例示することができる。
【0090】
なお、上述した電解質材料は、その一部を別の元素に置換したり、ドーピングしたりしてもかまわない。
【0091】
また、上述した電解質材料を使用する代わりに、固体電解質膜141の厚さを薄く、例えば50μm以下、さらには10μm以下とすることによっても、追加のSOFC14の動作温度を低下させることができる。この場合は、特に明示しなかったものの、上述したSOFC11の固体電解質膜111と同じ、Y2O3、Sc2O3、Yb2O3、Gd2O3、Nd2O3、CaO、MgOなどを安定化剤として固溶した安定化ジルコニアなどを固体電解質材料として使用することができる。
【0092】
上述したように、追加のSOFC14は、H2及びCH4を主成分とする排ガス(3)を燃料ガスとして使用するが、これらガスの成分濃度はSOFC11において発電に使用した後の残りである。したがって、排ガス(3)中のH2及びCH4の濃度は、SOFC11に供給する燃料ガス中のH2及びCH4の濃度に比較して格段に低くなっている。
【0093】
なお、追加のSOFC14の固体電解質膜141を上述のようにして構成することにより、その動作温度を500℃〜700℃とすることができ、排ガス(3)の温度によっても追加のSOFC14を十分に動作させて発電させることができる。
【0094】
燃料電池を単独で運転する場合、燃料利用率は約60〜90%と高い利用率で運転するのが一般的である。すなわち、SOFC11単独の場合は、燃料利用率を約60〜90%と高くする。しかしながら、本実施形態において、このような条件で運転を行うと、上述したように、排ガス(3)中のH2及びCH4の濃度が格段に低くなってしまう。
【0095】
したがって、本実施形態では、SOFC11の燃料利用率を低下させ、排ガス(3)中のH2及びCH4の濃度を高くするともに、追加のSOFC14の燃料利用率を増大させる。これによって、追加のSOFC14での発電特性が十分に向上するようになるので、システム全体としての発電特性を向上させることができるようになる。具体的には、SOFC11の燃料利用率に対して追加のSOFC14の燃料利用率を向上させる(高くする)。例えば、SOFC11の燃料利用率を約40〜80%とし、追加のSOFC14の燃料利用率を約60〜95%とする。
【0096】
また、炭化水素系燃料の改質ガスでの発電特性と、水素燃料での発電特性を比較した場合、後者のほうが発電特性は高い。したがって、追加のSOFC14は排ガス(3)を燃料ガスとして使用して発電を行うものの、排ガス(3)はH2を含んでいるので、十分高い発電特性を呈することができる。
【0097】
なお、特に図示しないものの、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に追加の熱交換器15を設けることができる。この場合、上述したように、排ガス(2)が熱交換器15を通過する際に、例えば熱交換器15に対して外部からSOFC11での発電反応に使用するプロセスガス(空気や燃料ガス)を吹き付けることによって、第1の実施形態で説明したように、排ガス(2)に対しては強制冷却を行うことができるとともに、プロセスガスに対して予熱等の操作を行うことができる。
【0098】
また、全体のシステムとしては、図2〜3及び図5〜8に示す場合と同様となる。但し、例えば、図2及び図3における燃焼器17が追加のSOFC14で置換されることになる。
【0099】
(第7の実施形態)
図13は、本実施形態における固体酸化物型燃料電池システムの主要部の概略構成図である。本実施形態では、第6の実施形態の、図12に示す固体酸化物型燃料電池システムの主要部において、CO2ガス吸収装置12,13と連結された追加の固体酸化物型燃料電池14を、リン酸型燃料電池あるいは高分子型燃料電池に置換した点で相違し、その他の点については同様の構成を採っている。したがって、本実施形態では、かかる相違点に基づく作用効果について説明し、その他の類似あるいは同一の構成要素に基づく作用効果については、第6の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0100】
また、図6に示す固体酸化物型燃料電池システムと類似あるいは同一の構成要素に関しては、同一の参照数字を用いて表している。
【0101】
本実施形態では、追加の固体酸化物型燃料電池14としてリン酸型燃料電池(PAFC)あるいは高分子型燃料電池(PEFC)を用いており、前者の動作温度は約200℃であり、後者の動作温度は約60℃〜90℃である。したがって、排ガス(3)の温度が十分に低下した場合においても、これらの固体酸化物型燃料電池を用いることにより、十分な発電特性を得ることができる。
【0102】
なお、上述したように、排ガス(3)の温度は約500℃であるので、一般には、追加の固体酸化物型燃料電池14と第2の第2のCO2ガス吸収装置13との間に熱交換器16を設け、排ガス(3)の温度を熱交換器16によって固体酸化物型燃料電池14の動作温度にまで十分低減した後、この固体酸化物燃料電池14に導入する必要がある。
【0103】
また、特に図示しないものの、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、第1のCO2ガス吸収装置12と第2のCO2ガス吸収装置13との間に追加の熱交換器15を設けることができる。また、全体のシステムとしては、図2〜3及び図5〜8に示す場合と同様となる。但し、例えば、図2及び図3における燃焼器17が追加のSOFC14で置換されることになる。
【0104】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 改質器
11 固体酸化物型燃料電池(SOFC)
12、22、32 第1のCO2ガス吸収装置
13、23、33 第2のCO2ガス吸収装置
14 追加の固体酸化物型燃料電池
15 追加の熱交換器
17 燃焼器
16、18、19 熱交換器
41、42、43 酸化カルシウム(CaO)セラミックスを含んだCO2ガス吸収装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ガスを燃料として用いた固体酸化物型燃料電池発電システムであって、
前記炭化水素ガスの少なくとも一部を水素ガスに転換するための改質器と、
前記燃料の供給に関して、前記改質器の下流側に設けられた固体酸化物型燃料電池と、
前記固体酸化物型燃料電池に連結され、内部にCO2ガス吸収セラミックスが充填されて、前記固体酸化物型燃料電池から排出されたCO2ガスを吸収するCO2ガス吸収装置と、
を具えることを特徴とする、固体酸化物型燃料電池発電システム。
【請求項2】
前記CO2ガス吸収装置は、内部に前記CO2ガス吸収セラミックスが充填された、互いに連結されてなる少なくとも第1のCO2ガス吸収装置及び第2のCO2ガス吸収装置であって、
前記第1のCO2ガス吸収装置及び前記第2のCO2ガス吸収装置は、それぞれ第1の熱交換器及び第2の熱交換器を含み、
前記固体酸化物型燃料電池からの排ガスの熱を、前記第1の熱交換器を介して前記第1のCO2ガス吸収装置に伝達し、前記第1のCO2ガス吸収装置を第1の温度に加熱することにより、前記第1のCO2ガス吸収装置に予め吸収されているCO2ガスを放出するとともに、
前記排ガス中のCO2ガスを、前記第1の温度よりも低い第2の温度に保持された前記第2のCO2ガス吸収装置において吸収するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池発電システム。
【請求項3】
前記第1のCO2ガス吸収装置と前記第2のCO2ガス吸収装置との間に追加の熱交換器を具えることを特徴とする、請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項4】
前記改質器は、前記CO2ガス吸収装置中に含有され、前記改質器と前記CO2ガス吸収システムとは一体的に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項5】
前記改質器は、前記第1のCO2ガス吸収装置及び前記第2のCO2ガス吸収装置の少なくとも一方中に含有され、前記改質器と前記第1のCO2ガス吸収装置及び前記第2のCO2ガス吸収装置の少なくとも一方とは一体的に構成されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項6】
前記CO2ガス吸収装置は、改質触媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項7】
前記第1のCO2ガス吸収装置及び前記第2のCO2ガス吸収装置の少なくとも一方は、改質触媒を含むことを特徴とする、請求項2、3又は5に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項8】
前記CO2ガス吸収セラミックスは、リチウム化合物及びバリウム化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項9】
前記CO2ガス吸収セラミックスは、酸化カルシウムを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項10】
前記CO2ガス吸収装置と連結された燃料電池を具えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項11】
前記固体酸化物型燃料電池の燃料利用率に対して、前記燃料電池の燃料利用率を向上させたことを特徴とする、請求項10に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項12】
前記固体酸化物型燃料電池の動作温度に対して、前記燃料電池の動作温度が低いことを特徴とする、請求項10又は11に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項13】
前記燃料電池は、追加の固体酸化物型燃料電池であって、その電解質がセリア系電解質材料、ランタンガレード系電解質材料及びプロトン導電性電解質材料からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項14】
燃料電池は、リン酸型燃料電池及び高分子型燃料電池の一方であることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項1】
炭化水素ガスを燃料として用いた固体酸化物型燃料電池発電システムであって、
前記炭化水素ガスの少なくとも一部を水素ガスに転換するための改質器と、
前記燃料の供給に関して、前記改質器の下流側に設けられた固体酸化物型燃料電池と、
前記固体酸化物型燃料電池に連結され、内部にCO2ガス吸収セラミックスが充填されて、前記固体酸化物型燃料電池から排出されたCO2ガスを吸収するCO2ガス吸収装置と、
を具えることを特徴とする、固体酸化物型燃料電池発電システム。
【請求項2】
前記CO2ガス吸収装置は、内部に前記CO2ガス吸収セラミックスが充填された、互いに連結されてなる少なくとも第1のCO2ガス吸収装置及び第2のCO2ガス吸収装置であって、
前記第1のCO2ガス吸収装置及び前記第2のCO2ガス吸収装置は、それぞれ第1の熱交換器及び第2の熱交換器を含み、
前記固体酸化物型燃料電池からの排ガスの熱を、前記第1の熱交換器を介して前記第1のCO2ガス吸収装置に伝達し、前記第1のCO2ガス吸収装置を第1の温度に加熱することにより、前記第1のCO2ガス吸収装置に予め吸収されているCO2ガスを放出するとともに、
前記排ガス中のCO2ガスを、前記第1の温度よりも低い第2の温度に保持された前記第2のCO2ガス吸収装置において吸収するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池発電システム。
【請求項3】
前記第1のCO2ガス吸収装置と前記第2のCO2ガス吸収装置との間に追加の熱交換器を具えることを特徴とする、請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項4】
前記改質器は、前記CO2ガス吸収装置中に含有され、前記改質器と前記CO2ガス吸収システムとは一体的に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項5】
前記改質器は、前記第1のCO2ガス吸収装置及び前記第2のCO2ガス吸収装置の少なくとも一方中に含有され、前記改質器と前記第1のCO2ガス吸収装置及び前記第2のCO2ガス吸収装置の少なくとも一方とは一体的に構成されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項6】
前記CO2ガス吸収装置は、改質触媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項7】
前記第1のCO2ガス吸収装置及び前記第2のCO2ガス吸収装置の少なくとも一方は、改質触媒を含むことを特徴とする、請求項2、3又は5に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項8】
前記CO2ガス吸収セラミックスは、リチウム化合物及びバリウム化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項9】
前記CO2ガス吸収セラミックスは、酸化カルシウムを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項10】
前記CO2ガス吸収装置と連結された燃料電池を具えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項11】
前記固体酸化物型燃料電池の燃料利用率に対して、前記燃料電池の燃料利用率を向上させたことを特徴とする、請求項10に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項12】
前記固体酸化物型燃料電池の動作温度に対して、前記燃料電池の動作温度が低いことを特徴とする、請求項10又は11に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項13】
前記燃料電池は、追加の固体酸化物型燃料電池であって、その電解質がセリア系電解質材料、ランタンガレード系電解質材料及びプロトン導電性電解質材料からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【請求項14】
燃料電池は、リン酸型燃料電池及び高分子型燃料電池の一方であることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一に記載の固体酸化物型燃料電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−181489(P2011−181489A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173136(P2010−173136)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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