説明

固体酸燃料電池膜電極集合体を製造するための加工技術

高性能の固体酸燃料電池膜電極集合体を製造するために使用される方法、技術、および組成物を開示する。本発明の技術は、固体酸電解質材料を調製する工程、電解質膜を堆積する工程、電極触媒層を堆積する工程、電極を調製する工程、ガスシールを製造する工程、および膜電極集合体を構築する工程を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、固体酸燃料電池膜電極集合体を製造するための方法、技術、および組成物に関し、より具体的には、固体酸電解質材料の調製、電解質膜の堆積、電極触媒層の堆積、電極の調製、ガスシールの製造、および固体酸燃料電池用の膜電極集合体の構築のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
最近の研究は、燃焼機関の実行可能な代替案の開発に重点的に取り組んでいる。効率が高く、発生する汚染物質が少ないことから、燃料電池が特に関心の高い代替案となっている。燃料電池は、燃料と酸素の電気化学反応によって電気を発生する。使用される燃料は、変更することができるが、水素、メタノール、エタノール、メタン、ブタン、ガソリン、ディーゼル油などのいずれかであってよい。この反応に必要な酸素は、通常は空気から得られる。
【0003】
燃料電池にはいくつかの種類が存在し、そのそれぞれは主に、使用される電解質膜によって区別される。最も一般的な燃料電池は、アルカリ型燃料電池(AFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、ポリマー電解質膜型燃料電池(PEMFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、および固体酸化物型燃料電池(SOFC)である。これらの燃料電池のそれぞれは、独自の能力および制限を有する。
【0004】
最近、新しい種類の燃料電池が開発されている。これらの燃料電池は、固体酸型燃料電池(SAFC)と呼ばれており、プロトンを伝導するCsH2PO4(リン酸二水素セシウムまたはCDP)などの超プロトン性固体酸電解質を使用する。これらの固体酸電解質および固体酸燃料電池は、発明の名称が「PROTON CONDUCTING MEMBRANE USING A SOLID ACID」である米国特許第6,468,684号(特許文献1)(この記載内容全体が参照として本明細書に組み入れられる)、発明の名称が「PROTON CONDUCTING MEMBRANE USING A SOLID ACID」である同時係属中の米国特許出願第10/139,043号(特許文献2)(この記載内容全体も参照として本明細書に組み入れられる)、および発明の名称が「DIRECT ALCOHOL FUEL CELLS USING SOLID ACID ELECTROLYTES」である同時係属中の米国特許出願第11/095,464号(特許文献3)(この記載内容全体も参照として本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0005】
SAFCは多くの利点を有する。特にこれらの利点は、中間温度、すなわち約150℃〜約350℃において作動できることである。これらの温度で作動することで、より安価な触媒および補助成分材料を使用することができる。また、固体酸は、それらの固体状態で使用されるため、単純でおよび堅牢な燃料電池システムの設計が可能となる。これらの利点のため、SAFCは、他の公知の種類の燃料電池に対する経済的に関心の高い代替案となる。
【0006】
典型的な燃料電池膜電極集合体(MEA)は、図1に示されるように、アノードおよびカソード電極触媒層の間に挟まれた電解質膜、ならびに電極ガス拡散層を含む。SAFCもこのMEA構造体を利用する。超プロトン性固体酸電解質膜によって、SAFCが他の燃料電池と区別される。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,468,684号
【特許文献2】米国特許出願第10/139,043号
【特許文献3】米国特許出願第11/095,464号
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、高性能の固体酸燃料電池膜電極集合体を製造するための方法、技術、および組成物に関する。本発明の一態様においては、固体酸燃料電池膜電極集合体の製造方法は、固体酸電解質材料の調製、電解質膜の堆積、電極触媒層の堆積、電極の調製、ガスシールの製造、および固体酸燃料電池用のMEAの構築のための技術を含む。
【0009】
固体酸電解質材料は、以下の式1で表される化合物、以下の式2で表される化合物、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
式1:MaHb(XOt)c
式2:MaHb(XOt)c・nH2O
式1および式2の両方において、Mは、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Rb、Sr、Cs、Ba、Tl、NH4、Cu、およびそれらの混合物からなる群より選択され、Xは、Si、P、S、As、Se、Te、Cr、Mn、およびそれらの混合物からなる群より選択され、a、b、c、n、およびtは有理数である。
【0010】
これらの固体酸は、燃料電池用途に使用される場合に超プロトン相を示す。超プロトン相は、その固体がその結晶構造中に不規則性を有し、非常に高いプロトン伝導性を有する相である。
【0011】
本発明のこれらの特徴およびその他の利点は、添付の図面と合わせて考慮し、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解できると考えられる。
【0012】
詳細な説明
本発明の一態様において、高性能の固体酸燃料電池膜電極集合体の製造方法は、電解質材料を調製する工程、電解質層組成物を形成する工程、電解質層を堆積する工程、電極触媒層組成物を形成する工程、触媒層を調製する工程、触媒層を堆積する工程、およびガスシールを製造する工程を含む。
【0013】
I.電解質の調製
一態様において、電解質は、固体酸材料のサブミクロンサイズ粒子を最初に形成することによって調製される。固体酸電解質材料は、以下の式1で表される化合物、以下の式2で表される化合物、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
式1:MaHb(XOt)c
式2:MaHb(XOt)c・nH2O
式1および式2の両方において、Mは、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Rb、Sr、Cs、Ba、Tl、NH4、Cu、およびそれらの混合物からなる群より選択され、Xは、Si、P、S、As、Se、Te、Cr、Mn、およびそれらの混合物からなる群より選択され、a、b、c、n、およびtは有理数である。好適な固体酸材料の非限定的な一例はCsH2PO4である。
【0014】
これらの固体酸は、燃料電池用途に使用される場合に超プロトン相を示す。超プロトン相は、その固体酸がその結晶構造中に不規則性を有し、非常に高いプロトン伝導性を有する相である。
【0015】
固体酸材料のサブミクロンサイズ粒子は、約10nm〜約0.1ミクロン、好ましくは約10nm〜約100nmの範囲のサイズを有する。これらのサブミクロンサイズ固体酸粒子は、燃料電池の製造に有用である。これらの粒子は、電極触媒層の性能を向上させ、塗布またはスラリーキャスティングによって電解質層の加工を可能にする。図2は、三重接点、すなわち触媒、電解質、および燃料/酸化剤の間の接点を示している。三重接点の数を最大化することによって、高性能の電極触媒層が得られる。三重接点の数の最大化は、触媒および電解質の表面積を最大化することによって実現される。表面積は、非常に小さい粒子、すなわち約10nm〜約100nmの範囲の粒度を有する粒子を形成することによって最大化される。たとえば、前述のサブミクロンサイズ電解質粒子は、超薄電解質層の調製用の塗料またはスラリー(揮発性溶媒中に懸濁した粒子)の調製に有用である。
【0016】
これらのサブミクロンサイズ固体酸の調製は、大部分の固体酸が水溶性であるために、従来のセラミック加工方法とは異なる。一態様によると、サブミクロンサイズ固体酸粒子は、溶媒注入方法により調製される。この方法においては、微粒子を、最初に固体酸材料を水に溶解させ、それによって、水を固体酸材料で飽和または過飽和させることによって調製する。この飽和の限度は、使用される固体酸に依存するが、室温において固体酸1モル当たり約10モルの水〜固体酸1モル当たり約50モルの水の範囲となる。次にこの飽和水溶液または過飽和水溶液を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、トルエン、またはアセトンなどの固体酸が可溶性ではない弱極性溶媒中に撹拌しながら注入する。
【0017】
一態様においては、飽和固体酸溶液の注入時に確実に溶媒を激しく撹拌するために超音波処理器が使用される。これによって、水溶液から固体酸の沈殿が大量に生じる。1日以上の後、それらの粒子は、溶媒中に沈降する。次に、沈降させた溶液を、メタノール、エタノール、ブタノール、またはイソプロパノールなどの弱極性溶媒で約1回〜約5回デカンテーションする。次に、その沈降させた溶液を、トルエンまたはベンゼンなどの非極性溶媒で約1回〜約5回デカンテーションする。これらのデカンテーションによって過剰の水が除去され、固体酸微結晶の凝集および成長が防止される。
【0018】
別の一態様においては、ナノサイズ固体酸粒子の生成に、レーザーおよび火炎による熱分解が使用される。この方法においては、図3に示されるように、レーザービームまたは火炎を通過するように、粒子または溶解した前駆体の水溶液をスプレーする。しかし、CDPなどの固体酸は、この方法の熱によって脱水が起こるため、レーザーまたは火炎の熱分解によって直接合成することができない。たとえば、CDPは以下の反応で熱と反応する。
CsH2PO4+熱→CsPO3+H2O
したがって、この固体酸は、結果として得られるナノサイズ粒子(固体酸と熱との反応生成物)、たとえばCsPO3を、約30%を超える相対湿度または約0.3atmを超える水分圧を有する雰囲気中、約25℃〜約200℃の範囲の温度に置くことによって調製される。反応生成物の粒子は、この湿潤雰囲気中、約1時間〜約1日、好ましくは約1時間〜約10時間の範囲の時間の長さで静置される。この環境中に反応生成物を置くことで、逆反応である粒子の水和および固体酸電解質の再形成が起こる。たとえば、以下の反応でCsPO3が湿気と反応する。
CsPO3+H2O→CsH2PO4
【0019】
発明の名称が「PROCESSING TECHNIQUES FOR THE FABRICATION OF SOLID ACID FUEL CELL MEMBRANE ELECTRODE ASSEMBLIES」である、2004年6月10日に出願された仮出願第60/578,652号(この記載内容全体が参照として本明細書に組み入れられる)に記載されているような、当技術分野において公知の他の任意の方法によって電解質粒子を調製することもできる。たとえば、電解質粒子は、エアアシステッド噴霧器、超音波噴霧器、または他の類似の装置を使用してスプレーすることによって調製することができる。また、粒子は、所望の粒度まで粉砕することによって調製することもできる。
【0020】
II.電解質層の堆積
アノードまたはカソード(基板)の上に超薄層で電解質を堆積することで、高性能のSAFC用MEAが形成される。超薄膜固体酸電解質の堆積は、好適な溶媒、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、またはベンゼン中で固体酸の溶液、スラリー、またはゲルを形成することによって行うことができる。または、溶融物、乾燥粉末、または固体酸の飽和水溶液を使用することができる。堆積は、機械的分散、スラリーキャスティング、またはスプレー加工によって行うことができる。
【0021】
A.機械的分散
固体酸電解質を機械的に分散させるために、前述のように調製した電解質粉末を電極上に分散させる。図4に示されるように、最初に、非常に均一に分布させるために、電極上に粉末をふるうことによって粉末を分散させる。使用される場合、用語「ふるう」は、粉末を電極上にまき散らす、または粉末をふるいに通して電極上まで到達させることを意味する。次に、分散した電解質粉末は、こてなどの平坦な縁端部を有するものなどの任意の好適な手段によって粉末をレベリングすることによって、電極表面上にさらに分布される。このレベリングによって、より均一に分布した電解質層が得られる。次に、レベリングした電解質粉末を、硬質の平坦面を有するものなど任意の好適な手段によって平坦化する。たとえば、ダイのプランジャーの硬質な平坦面、またはプレス機のプラテンによって、粉末を平坦化することができる。このふるい、レベリング、および平坦化の工程は、所望の電解質厚さを得るため、および/または電解質層の燃料電池ガスへの透過性を低下させるために、所望通りに繰り返すことができる。
【0022】
B.スラリーキャスティング
図5に示されるように、固体酸電解質層をスラリーキャストするために、最初に前述のように調製した電解質粉末を好適な有機溶媒と機械的に混合することによって、電解質スラリーを調製する。好適な有機溶媒の非限定的な例としては、アルコール、グリコール、エーテル、ケトン、およびエステルなどの酸素化溶媒、脂肪族および芳香族などの炭化水素溶媒、ならびにハロゲン化または塩素化溶媒が挙げられる。例示的な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチルエーテル、メチルケトン、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、ケロシン(kerosene)、ミネラルスピリット、トルエン、ベンゼン、塩化メチル、パークロロエチレン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。この工程中、所望の滞留時間に達するまで、有機溶媒中で電解質粉末が機械的に粉砕される。使用される場合、「滞留時間」とは、粉末粒子が溶媒中に均一に分散し続け、溶媒からの沈降がおこらない時間の長さを意味する。この場合、滞留時間は約1分〜約1日の範囲である。次に、撹拌したスラリーを、電極上、または他の硬質で平坦な表面上に堆積させ、溶媒を放出させる。このスラリーは、注入、テープキャスティング、インクジェット様堆積などによって堆積することができる。この工程によって、電解質粉末の均一に分散し乾燥した層が形成される。必要であれば、次に、平坦な縁端部を使用してスラリー層をレベリングすることによって、電極上にスラリー層を均一に分布させることができる。
【0023】
固体酸ゲルから薄い電解質層を形成することもできる。これらの電解質ゲルは、約0.01ミクロン〜約1ミクロンの粒度を有する固体酸微粉末を、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールなどの極性溶媒中に分散させることによって形成される。次に、この分散液を、ベンゼンまたはトルエンなどの非極性溶媒と混合する。安定なゲルを形成するために、この分散液を、非極性溶媒で複数回デカンテーションする。使用される場合、「安定なゲル」は、数時間から数日は濃縮されずに粒子がゲル形態を維持するゲルである。次に、このゲルを、電極上、または他の硬質で平坦な表面上に堆積させ、溶媒を放出させる。このゲルは、注入、テープキャスティング、インクジェット様堆積などによって堆積することができる。この工程によって、電解質粉末の均一に分散し乾燥した層が形成される。必要であれば、次に、平坦な縁端部を使用してゲル層をレベリングすることによって、電極上にゲル層を均一に分布させることができる。
【0024】
同様に、水溶性固体酸の水溶液を所望の基板上にキャストすることができる。次に水を放出させると、均一に分散した電解質層が形成される。粒子(微結晶)の大きさは、水の蒸発速度によって制御される。水の蒸発速度が速いほど、より小さな電解質粒子が得られる。
【0025】
C.スプレー加工
薄い電解質層は、スプレー塗布によって堆積することもできる。図6に示されるように、前述のように調製した電解質粉末を、スラリー、ゲル、または塗料のいずれかを形成する溶媒中に懸濁させる。次に、この溶液をスプレー塗布によって電極上または他の表面上に堆積する。最初に溶液を液滴に霧化させ、その液滴を所望の基板に衝突させることによって、溶液がスプレー塗布される。基板が霧化粒子で均一に覆われるように、スプレー中は基板を回転させる。適用の間にスプレーした表面を乾燥させることによって、スプレー工程中またはスプレー後のいずれかで溶媒を放出させる。この方法によって、溶液およびスプレーの変量に依存してサブミクロンから数十ミクロンの範囲の厚さを有する、非常に均一に分布した電解質層が得られる。
【0026】
水溶性固体酸は、水溶液中に溶解させることもでき、これが次に所望の表面上にスプレー塗布される。堆積する粒子の大きさは溶媒和の程度に大きく依存し、すなわち溶液がより飽和しているほど、結果としてスプレーされた粒子が大きくなる。粒度は、霧化液滴の大きさにも依存し、すなわち高圧キャリアガスによって、より小さな液滴および小さな粒子が得られる。さらに、粒度は、周囲雰囲気の温度に依存し、すなわち温度が高いほど、水の蒸発速度が速くなり、より小さな微結晶が得られる。粒度は、スプレーされる表面の温度にも依存し、温度が高いほど、水の蒸発速度が速くなり、より小さな微結晶が得られる。適用の間にスプレーした表面を乾燥させることによって、スプレー工程中またはスプレー後のいずれかで水溶媒を放出させる。この方法でも、溶液およびスプレーの変量に依存して約0.1ミクロン〜約100ミクロンの範囲の厚さを有する、非常に均一に分布した電解質層が得られる。
【0027】
D.スピンコーティング
スピンコーティングを使用して固体酸電解質層を堆積することもできる。標準的なスピンコーティング技術を使用して、電極上または他の表面上に、前述のような固体酸電解質のスラリー、ゲル、または水溶液の薄層を堆積することができる。具体的には、電解質含有溶液を所望の表面上にゆっくりと滴下し、この表面を高速回転する円筒の中央に配置する。表面の回転によって生じる向心力によって、溶液は表面の中心から放射状に外向きに広がり、電解質溶液の薄く均一に分布した層が得られる。電解質対溶媒の比が小さい溶液ほど、より薄い層が形成される。コーティング間に電解質層を乾燥させ、この工程を繰り返すことによって、約0.1ミクロン〜約100ミクロン厚さを有する高密度で均一な電解質層を得ることができる。
【0028】
E.浸漬キャスティング
固体酸電解質層は、浸漬キャスティングによって電極上または他の表面上に堆積することもできる。この方法によると、電解質溶液は、高多孔質モノリス層の細孔中に堆積する。このモノリスを固体酸水溶液中に浸漬し、水が蒸発するときにモノリスの細孔中に電解質粒子を形成させることによって、水溶性固体酸を堆積することができる。この工程を繰り返すことで、非常に稠密な電解質/モノリス層が形成される。モノリスを溶融物中に浸漬し、電解質を結晶化させることによって、高多孔質モノリス層の細孔中に安定な溶融固体酸を堆積することができる。必要に応じてこの浸漬を繰り返すことで、非常に稠密な電解質/モノリス層が形成される。好適なモノリス層の非限定的な例としては、熱可塑性物質、シリカ、および炭化ケイ素の高多孔質マトリックスが挙げられる。
【0029】
III.電解質層組成物
固体酸電解質を二次材料と混合して、改善された熱機械特性を有する複合材料を形成することができる。これらの複合材料は、ポリマー複合材料またはセラミック/ガラス複合材料のいずれかを含むことができる。
【0030】
A.ポリマー複合材料
良好な可撓性を有し脆性が低い固体酸電解質膜を調製するために、固体酸電解質を高温の熱可塑性物質と混合する。好適な熱可塑性物質の非限定的な例としては、発明の名称が「PROTON CONDUCTING MEMBRANE USING A SOLID ACID」である米国特許第6,468,684号(この記載内容全体が参照として本明細書に組み入れられる)に開示されるような、過フッ素化ポリマー、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、フルオロエラストマー、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
【0031】
B.セラミック/ガラス複合材料
超プロトン性固体酸電解質は、その超プロトン相において独特の物理的性質を有する。具体的には、これらの相における物理的性質は、粘土またはプラスティシン(plasticine)の性質と類似している。この「軟質」相は、図7に示されるように容易に変形する。図7は、例示的なCDP電解質のひずみ対時間を、別の例示的なCDP+SiO2電解質のひずみ対時間と比較したグラフである。図7に示されるように、CDP+SiO2電解質は、経時によるひずみが大きく減少している。したがって、固体酸の機械的剛性を増加させるために固体酸材料に二次結合剤材料を加えると好都合である。これらの二次結合剤材料は、任意の典型的なセラミックまたはガラス材料、たとえば結晶質または非晶質のSiO2、Al2O3、またはTiO2を含むことができる。
【0032】
二次的なセラミックまたはガラス結合剤を固体酸に加えることによって、電解質層の熱膨張係数および熱機械的堅牢性を調整することができる。たとえば、10%大きい表面積、すなわち350m2/g〜400m2/gのシリカをCDPに加える場合、得られる膜の塑性変形特性は、図3に示されるような程度で改善される。CDP電解質の超プロトン伝導性は、高表面積SiO2のパーセント値に非線形的に依存する。たとえば、CDP/5%SiO2およびCDP/10%SiO2の伝導性は、純粋なCDPのそれぞれ50%および10%である。したがって、燃料電池用途では、プロトン伝導性を抑制しないようにするため、少なめの量の二次結合剤のみ、たとえば約0.1%〜約5%の間の高表面積SiO2を電解質に加えるべきである。SiO2は約1nm〜約100nmの範囲の粒度を有する。
【0033】
IV.電極触媒層組成物
高性能SAFCのの電極触媒層は、固体酸電解質の微粒子、Ptなどの電極触媒、ならびにナフタレンまたは炭酸アンモニウムなどの細孔形成剤を含む。細孔形成剤は後に放出されて、燃料および酸化剤などのガスが高透過性となる電極触媒層が得られる。
【0034】
SAFCは約150℃〜約350℃の中間温度で作動するため、ポリマー電解質膜型燃料電池(PEMFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、およびアルカリ型燃料電池(AFC)などの低温燃料電池中に現在要されている触媒充填量を、大きく減少させることができる。実際、従来のPt触媒を、より安価な代替品で置き換えることもできる。SAFC中の触媒層として使用すると好適な材料の非限定的な例としては、貴金属触媒、より安価な卑金属触媒、および電極触媒セラミックが挙げられる。
【0035】
A.電極触媒
1.貴金属触媒
炭素または酸化物のいずれかに担持された、Pt、Ru、Rh、およびPdなどの貴金属、ならびにこれらの触媒の合金のナノ粒子は、高性能のアノードおよびカソードの燃料電池触媒である。固体酸電解質は固体状態で作用するので、広い表面積を有する非常に小さい触媒粒子を、電解質によって溶媒和させたり(PAFCのように)、または一緒に焼結させたり(典型的には400℃よりも高温で実施される)することなく使用することができる。電解質による溶媒和および粒子の焼結の両方は、燃料電池の性能を大きく低下させる。さらに、これらの現象が発生する燃料電池では、所望の長期性能の目標を実現するために、より大きな粒子、および多い貴金属触媒充填量が必要となる。固体酸燃料電池は、これらの燃料電池に発生する制限がなく、そのためこれらの望ましくない現象を経験しない。これらの現象がないため、固体酸燃料電池では、貴金属ナノ粒子の高い触媒活性が利用できる。
【0036】
2.卑金属触媒
Cu、Ni、Ag、Au、およびSnなどの卑金属触媒は、特に炭素または酸化物に担持させた場合、アノード触媒またはカソード触媒のいずれとしても機能することができる。特に、Cuなどの第1遷移金属はアノード触媒として機能することができる。ニッケルは、高温、すなわち600℃を超える温度で良好なアノード触媒であり、SAFC触媒として機能することができる。銀はアルカリ型燃料電池のカソード上で使用されている。表面吸着を改善するためにCsまたはClなどの+1または-1の酸化状態の元素と併用すると、銀もSAFCカソード触媒として機能することができる。
【0037】
3.セラミック触媒
たとえばFePO4およびWCなどの一部のセラミックは、SAFCの作動温度範囲内で触媒活性を示す。特に、リチウムをドープしたリン酸鉄はアノード触媒として機能することができる。さらに、混合プロトン/電子伝導体が、アノード触媒およびカソード触媒の両方として機能することができる。また、これらの触媒活性セラミック上に担持された金属触媒は、金属充填量を大幅に減少させながら、所望の燃料電池性能目標を維持することができる。
【0038】
B.触媒担体
触媒性能を改善するために、電極触媒を触媒担体上に担持させることができる。好適な担体の非限定的な例としては、金属またはセラミック酸化物担体、多孔質担体、ならびに炭素担体が挙げられる。
【0039】
1.酸化物担体
SiO2、TiO2、ZnO、CuO、NiO、CoO、MnO、およびSnO2などの特定のセラミックおよび遷移金属酸化物は、金属触媒の担体として機能することができる。これらのセラミックおよび遷移金属酸化物担体は、触媒活性を高める。これらの酸化物を加えることによって、SAFC中のアノード触媒およびカソード触媒の両方の触媒性能が改善され、それによって全体の触媒充填量が減少する。
【0040】
2.多孔質担体
二次的な多孔質成分も、触媒担体として機能することができる。好適な多孔質担体の非限定的な例としては、シリケートゼオライト、多孔質ケイ素、およびハニカム状陽極酸化アルミナが挙げられる。これらの多孔質担体では、ガスが触媒に到達することができる。
【0041】
3.炭素担体
炭素は、Ptの触媒特性を強め、さらに、SAFC中の全体の触媒充填量を減少させるための触媒担体として使用することができる。さらに、炭素担体は、電子伝導、および触媒層のスピルオーバーを増加させる。
【0042】
C.複合材料
電極触媒層は、金属酸化物担体、多孔質担体、および/または炭素担体上に担持された貴金属、卑金属、セラミック酸化物、および金属酸化物の任意の組み合わせを含むことができる。以下の表1は、SAFC中の触媒として使用すると好適な貴金属、卑金属、セラミック、および金属酸化物、ならびに担体の非限定的な例を挙げている。
【0043】
表1-触媒層組成物

カーボンナノチューブ
【0044】
V.触媒層の調製
触媒層の調製は、触媒表面積、ガスの拡散、および触媒-電解質-ガス三重接点の最大化を伴う。このような触媒層は、任意の好適な加工技術によって調製される。
【0045】
例示的な技術の1つは、触媒、電解質、および細孔形成剤を一緒に機械的に粉砕することを含む。別の方法は、Pt-(C2H8N2)2Cl2などの有機触媒を固体酸とともに共沈させ、その共沈物を燃料電池のアノードおよびカソードの少なくとも一方に適用し、続いて膜電極集合体を製造した後で有機物を焼失させることによって、電解質上に触媒を微細分散させることを含む。
【0046】
さらに、発明の名称が「PROCESSING TECHNIQUES FOR THE FABRICATION OF SOLID ACID FUEL CELL MEMBRANE ELECTRODE ASSEMBLIES」である、2004年6月10日に出願された仮出願第60/578,652号(この記載内容全体が参照として本明細書に組み入れられる)に記載されるような、当技術分野において公知の任意の方法によって電極触媒を調製することができ、たとえば、電極触媒は、有機物の分解によって調製することもできる。
【0047】
約1%〜約20%の量で高表面積SiO2を電極触媒層に加えることもできる。SiO2を加えることによって、触媒層の電解質への付着力が増加し、電解質の触媒層中へのクリープが防止される。
【0048】
VI.触媒層の堆積
触媒層は、電解質層の堆積に関して前述した方法によって、ガス拡散層/電極の上に堆積される。すなわち、触媒層は、機械的分散、スラリーキャスティング、スプレー、スピンコーティング、または浸漬キャスティングによって堆積することができる。これらの方法を、電解質層の堆積に関して前述したので、これらに関してここで再度説明はしない。
【0049】
さらに、発明の名称が「PROCESSING TECHNIQUES FOR THE FABRICATION OF SOLID ACID FUEL CELL MEMBRANE ELECTRODE ASSEMBLIES」である、2004年6月10日に出願された仮出願第60/578,652号(この記載内容全体が参照として本明細書に組み入れられる)に記載されるような、当技術分野において公知の任意の方法によって電極触媒層を堆積することができる。たとえば、触媒層は、スパッタコーティングまたは電位ステップ堆積によって堆積することもできる。
【0050】
VII.ガス拡散電極の調製
発明の名称が「PROCESSING TECHNIQUES FOR THE FABRICATION OF SOLID ACID FUEL CELL MEMBRANE ELECTRODE ASSEMBLIES」である、2004年6月10日に出願された仮出願第60/578,652号(この記載内容全体が参照として本明細書に組み入れられる)に記載されるような、任意の公知のガス拡散電極を本発明とともに使用することができる。たとえば、ゼオライトなどの多孔質セラミック、または還元金属酸化物を、本発明のSAFCとともにガス拡散電極として使用することができる。具体的には、10ミクロンの孔を一方の面に有する2層ステンレス鋼メッシュ(Martin Kurz & Co.,Inc.,Mineola,NYによって商品名Dynapore(登録商標)p/n 400510で販売される)は、SAFCとともに使用すると良好なガス拡散電極である。
【0051】
VIII.ガスシールの製造
MEAのシーリングによって、ガスがアノードからカソードおよびその反対に通り抜けるのが防止される。この方法でMEAをシーリングすることで高性能のSAFCが得られる。固体酸-ガラス、プラスチック、シリコーン、およびセラミックなどの様々な種類のシールを使用することができる。固体酸がガラス(SiO2)と強い結合を形成するので固体酸-ガラスシールが有効である。したがって、ガラスリング中の溶融固体酸は、堅牢な気密シールを形成する。
【0052】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびViton(登録商標)などの熱可塑性物質、ならびにシリコーンも、約150℃〜約300℃で作動するSAFCの気密シールとして機能することができる。
【0053】
石英、アルミナなどのセラミックも、約150℃〜約300℃で作動するSAFCの気密シールとして機能することができる。
【0054】
IX.MEAの製造および加工
金属メッシュまたは他の任意の好適な材料を含むことができるガス拡散層上に電極触媒層を堆積し、電極触媒層の1つの上に電解質を堆積させて半電池を形成した後、最終的な膜電極集合体(MEA)が形成される。図1bに示されるように、MEAは、最初に半電池10の縁端部の周囲にシーラント12を塗布することで形成される。半電池10は、第1の電極14a、第1の電極触媒層18a、第1のガス拡散層16a、および電解質層19を含む。図1bはガス拡散層が電極から分離するものとして描かれているが、ガス拡散層および電極が一体構造を構成できることを理解されたい。図1aに示される膜電極集合体20は、半電池10、第2の電極14b、第2の電極触媒層18b、および第2のガス拡散層16bを含む。膜電極集合体20は、半電池10をMEAの他の構成要素に約10MPa〜約20MPaで一軸加圧成形することによって形成され、これによって電解質と電極触媒層との間に良好な接触が得られる。この結果得られるMEA20は縁端部の周囲が再びシールされて、気密シールが形成される。
【0055】
以下の実施例で、前述の例示的な加工技術を説明する。しかし、これらの実施例は単に説明を目的として提供しているのであって、本発明を限定するものとして構成されたものではない。
【0056】
実施例1
4Mを超える濃度を有するCsH2PO4の飽和水溶液をシリンジでメタノール溶媒中に注入しながら、超音波処理器で撹拌して、1ミクロン〜10ミクロンの範囲の大きさのCsH2PO4粒子の大量の沈殿を発生させた。約1日で粒子を沈降させた後、メタノールを廃棄した。これをさらに2回繰り返した。次にCsH2PO4粒子をトルエンで3回デカンテーションした。次に、得られたCsH2PO4微粒子を100℃〜150℃で乾燥させた。
【0057】
実施例2
4Mを超える濃度を有するCsH2PO4の飽和水溶液を、600℃を超える温度を有する火炎を通してスプレーした。反応:CsH2PO4(aq)+熱→CsPO3(s)+H2O(q)によって、水が急速に蒸発し、CsPO3のナノ粒子が形成された。次に、得られたCsPO3のナノサイズ粒子を0.3atmを超えるpH2Oを有する湿潤雰囲気中、25℃〜200℃の温度で置いた。これによってCsPO3ナノ粒子の逆反応(または水和)が起こり、反応:CsPO3(s)+H2O(q)→CsH2PO4(s)によってCsH2PO4のナノ粒子が形成された。
【0058】
実施例3
CsH2PO4粉末を高表面積SiO2と混合した。このSiO2は350m2/g〜400m2/gの表面積を有した。次に、得られた混合物を使用して電解質層を形成し、続いてこれをスラリーキャスティングによって電極上に堆積させた。次に、この粉末を10MPa〜60MPaの圧力で一軸加圧成形して、稠密な(すなわち97%を超える)電解質膜にして、燃料電池の電解質層として使用した。
【0059】
実施例4
CsH2PO4粉末を高表面積SiO2と混合した。このSiO2は350m2/g〜400m2/gの表面積を有した。次に、得られた混合物を使用して電解質層を形成し、続いてこれをスプレー塗布によって電極上に堆積させた。次に、この粉末を10MPa〜60MPaの圧力で一軸加圧成形して、稠密な(すなわち97%を超える)電解質膜にして、燃料電池の電解質層として使用した。
【0060】
実施例5
CsH2PO4粉末を高表面積SiO2と混合した。このSiO2は350m2/g〜400m2/gの表面積を有した。次に、得られた混合物を使用して電解質層を形成し、続いてこれを浸漬キャスティングによって電極上に堆積させた。次に、この粉末を10MPa〜60MPaの圧力で一軸加圧成形して、稠密な(すなわち97%を超える)電解質膜にして、燃料電池の電解質層として使用した。
【0061】
実施例6
CsH2PO4粉末を高表面積SiO2と混合した。このSiO2は350m2/g〜400m2/gの表面積を有した。次に、得られた混合物を使用して電解質層を形成し、続いてこれを機械的分散によって電極上に堆積させた。次に、この粉末を10MPa〜60MPaの圧力で一軸加圧成形して、稠密な(すなわち97%を超える)電解質膜にして、燃料電池の電解質層として使用した。
【0062】
実施例7
CsH2PO4粉末を高表面積SiO2と混合した。このSiO2は350m2/g〜400m2/gの表面積を有した。次に、得られた混合物を使用して電解質層を形成し、続いてこれをスピンコーティングによって電極上に堆積させた。次に、この粉末を10MPa〜60MPaの圧力で一軸加圧成形して、稠密な(すなわち97%を超える)電解質膜にして、燃料電池の電解質層として使用した。
【0063】
実施例8
1ミクロン未満の粒度を有する電解質微粉末を、電極層の上にふるった、または散布した。次に、得られたゆるい粉末の層をカラー上面まで平らにして、ゆるい粉末の均一に分散した層を残し、一軸加圧成形または他の圧縮を行うことで燃料電池電解質膜として使用するようにした。
【0064】
実施例9
10ミクロン〜100ミクロンの粒度を有するCsH2PO4の粗い電解質粉末を、トルエン中で、乳鉢と乳棒によって5分〜10分間機械的に混合した。得られたスラリーは、粗い粉末の約5倍の体積を有した。このスラリーは、トルエンを放出しないかぎりは安定である。このスラリーを、円筒形ダイのプランジャーの平坦面上にピペットで堆積させた。次に、このプランジャーを、カラー表面から押し下げた。まっすぐな縁端部(すなわちカミソリの刃)でスラリー表面をレベリングした後、ダイ内部の容積全体(プランジャー表面からカラー表面まで)にスラリー混合物を均一に充填した。次に、ダイを15分〜20分(加熱ランプ下、またはわずかに高温、たとえば40℃〜50℃のオーブン中に置いた場合はそれ未満)静置して、トルエンを放出させた。
【0065】
実施例10
0.1ミクロン〜1ミクロンの粒度を有する電解質微粒子を、メタノール溶液中に分散させ、撹拌、すなわち激しく振盪、または超音波処理を行った。次に、撹拌した溶液を同体積のトルエンと混合し、さらに撹拌して極性溶媒と非極性溶媒を混合し、それによって、低密度を有し高度に分散したゲルを得た。この低密度ゲルは、非常に薄い電解質層、たとえば20ミクロン未満の厚さを有する電解質層などを堆積するのに理想的である。
【0066】
より厚い層を堆積するために、電解質ゲルが容器の底に沈降するまで、得られた溶液を12時間静置した。次に、この溶液の透明な溶媒部分を除去し、追加のトルエンで置換した。得られた溶液を撹拌し、今度は高密度を有する電解質ゲルが底に沈降するまで4時間静置した。このゲルは、上記の高度に分散したゲルの約2倍の密度を有した。
【0067】
次に、得られたゲル(低密度または高密度のいずれか)を円筒形ダイのプランジャーの平坦面上にピペットで堆積させた。プランジャーを、カラー表面から押し下げた。まっすぐな縁端部(すなわちカミソリの刃)でスラリー表面をレベリングした後、ダイ内部の容積全体(プランジャー表面からカラー表面まで)にスラリー混合物を均一に充填した。次に、ダイを15分(加熱ランプ下、またはわずかに高温、すなわち40℃〜50℃のオーブン中に置いた場合はそれ未満)静置して、トルエンを放出させた。次に、ゲルを10MPa〜60MPaで稠密な電解質層へと加圧成形した。
【0068】
実施例11
20mlのトルエン当たり1gのCsH2PO4微粒子(約1ミクロンの粒度を有する)を含有するスラリーを調製した。このスラリーを撹拌した後、約40psiの圧力で窒素キャリアガスを使用する従来のエアブラシを使用して、電極上にスプレーした。周囲雰囲気および電極表面は、電極表面から約12インチ(垂直方向)に維持した標準的な赤外加熱ランプを使用して、約60℃に加熱した。エアブラシは、電極表面から約60°の角度に維持しながら、堆積した電解質粒子が均一に分布するように電極を回転させた。次に、得られた粉末層を10MPa〜60MPaで加圧成形して稠密な電解質層を得た。
【0069】
実施例12
60psiの圧力で窒素キャリアガスを使用する従来のエアブラシを使用して、4M以上の濃度を有するCsH2PO4水溶液を電極上にスプレーした。周囲雰囲気および電極表面は、電極表面から約12インチ(垂直方向)に維持した標準的な赤外加熱ランプを使用して、約60℃に加熱した。エアブラシは、電極表面から約60°の角度に維持しながら、堆積した電解質粒子が均一に分布するように電極を回転させた。次の液滴の層が電極表面上に堆積する前に、すべての水を蒸発させるために、エアブラシからスプレーを1秒間出し、次に10秒間停止させた。
【0070】
実施例13
0.1M〜1.0Mの濃度を有するCsH2PO4希薄水溶液、および50%多孔質イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)の厚さ50ミクロンの層を調製した。このYSZを溶液中に入れ、超音波処理器中で約1分間撹拌した。溶液からYSZモノリスを取り出し、50℃のオーブン中で10分間乾燥させた。次にこの工程を10回繰り返した。得られた電解質/YSZ層は、4%未満の多孔度を有した。
【0071】
実施例14
200gのCsH2PO4粉末を、350℃の温度でガラスビーカー中で溶融させた。脱水に対して安定化させるために、溶融物上で0.5atmを超える水分圧(pH2O)を示した。60%多孔質シリケートゼオライトの厚さ40ミクロンの層を、溶融物中に30分間入れ、溶融物をガラストングで5分ごとにかき混ぜた。シリケートゼオライトを溶融物から取り出し、平坦面上に置いて、ゼオライトの細孔内で電解質を結晶化させた。得られた電解質/ゼオライト層は、3%未満の多孔度を有した。
【0072】
実施例15
白金-塩化物-ナイトレート溶液を使用して、50〜100ナノメートルの粒度を有するシリカ粒子上に、1〜10ナノメートルの粒度を有する白金粒子を沈殿させた。
【0073】
得られたシリカ担持触媒は、約100ナノメートルの粒度を有する純白金黒よりも性能が40%増加し、このシリカ担持触媒の白金充填量は、純白金黒触媒の白金充填量の5分の1未満であった。
【0074】
実施例16
4〜10ナノメートルの粒度を有するニッケル粒子を、白金の代わりにアノード触媒として使用した。アノード過電圧は、約200mA/cm2の電流密度においてわずか約30mVだけ増加した。ニッケル粒子は、、焼結および酸化の傾向を減少させるために、酸化アルミニウム、炭素、またはコバルトの上に担持させることができる。
【0075】
実施例17
4〜10ナノメートルの粒度を有するニッケル粒子を、酸化アルミニウム上に沈殿させて、CsH2PO4燃料電池用のカソード触媒を得た。この触媒をカーボンブラックと混合して、電極触媒混合物を作製した。
【0076】
得られたカソードの過電圧は、100ナノメートルの粒度を有する白金粒子を使用したカソード触媒混合物と比較すると、約200mA/cm2の電流密度においてわずか20%だけ増加した。したがって、性能の低下が少ない場合、カソード上の白金を銀で置き換えることによって燃料電池の費用を大きく削減することができる。
【0077】
実施例18
直径1mmのジルコニア球を30g使用して、イソプロパノール中、500rpmで磨砕機で、5gの銀およびスズの合金(Ag:Snのモル比1:2)を5時間粉砕した。この結果得られた、0.1ミクロン〜1.0ミクロンの粒度を有するサブミクロン粉末を、カーボンブラックおよびCsH2PO4とともに粉砕して、カソード触媒混合物を得た。銀/スズ粒子の両方は、酸素の吸収性および伝導性が高く、そのため、カソードの過電圧は、100ナノメートルの粒度を有する白金粒子を使用した触媒混合物と比較して、約200mA/cm2においてわずか25%高いのみであった。
【0078】
実施例19
多孔質の陽極酸化アルミナ(PAA)に、銀を電気化学的に被覆して、伝導性面を形成した。次に、20〜100ナノメートルの粒度を有する白金を、PAA細孔表面上に堆積させて、アノードおよびカソードの両方において0.1mg/cm2のPt充填量にした。
【0079】
この活性化させたPAA電極は、30ミクロンの電解質厚さを有するCsH2PO4のSAFC中のアノード触媒およびカソード触媒として使用すると、100ナノメートルの粒度を有するカーボンブラック粒子上に40重量%のPtを含みPt充填量が1mg/cm2である加硫白金触媒と比較して、ピーク電力密度が10%増加した。したがって、PAA電極は、Pt充填量を10分の1に減少させつつ、MEA性能を高める。
【0080】
実施例20
炭素上に担持された10〜50ナノメートルの粒度を有する白金/ルテニウム合金40重量%を、CsH2PO4、カーボンブラック、およびナフタレンと、3:3:1:1の重量比で混合した。得られた電極触媒混合物を、250℃において作動し、アノードにおいて20%〜50%のメタノール/水燃料蒸気を使用し、カソードにおいて純酸素を使用するCsH2PO4燃料電池中で使用した。この燃料電池中で使用すると、電極触媒混合物は、担持されていない白金/ルテニウム合金を使用した触媒混合物と比較して、性能が30%上昇した。
【0081】
実施例21
電位ステップ堆積方法によって標準的な三電極式セルを使用して、直径30〜70ナノメートルの白金粒子を、直径50〜70ナノメートルおよび長さ3〜4ミクロンのカーボンナノチューブの上に堆積させた。この方法では、7.7mMのH2PtCl6および0.5MのHClの水溶液で飽和させたN2を使用した。これらのPt被覆カーボンナノチューブは、全カソードPt充填量0.1mg/cm2で堆積すると、100〜130ナノメートルの粒度を有するカーボンブラック上に堆積させた40〜50ナノメートルの粒度を有する白金粒子を含む加硫白金と比較して、カソード過電圧が25%減少した。
【0082】
これらのPt被覆カーボンナノチューブを、CsH2PO4型SAFCのアノード上に、Pt充填量0.1mg/cm2で堆積させ、その燃料電池は30ミクロンの電解質厚さを有した。これらのPt被覆カーボンナノチューブを使用して構成されたMEAは、カソード触媒として標準的な加硫Ptを使用したMEAと比較すると、ピーク電力密度が15%増加した。
【0083】
実施例22
10%Pt-Cおよびナフタレンの重量比5:1の混合物を、60rpmで3時間機械的に粉砕して、良好な均一性を実現した。得られた電極触媒混合物を、円筒形ペレットダイ中に配置されたステンレス鋼ワイヤメッシュ表面上に機械的に分散させると、メッシュの表面上に均一に広がった。次に、40MPa〜60MPaで加圧成形することによって粉末の密度を高めワイヤメッシュに取り付けた。このメッシュ/電極触媒混合物の組み合わせは、SAFC中のアノードまたはカソードのいずれかとして機能することができる。
【0084】
実施例23
3:3:1:1の重量比でCsH2PO4:白金黒:C(40%Pt):ナフタレンを含む電極触媒混合物を、3:1の体積比でアセトンおよびメタノールを含有する溶液中で撹拌した。得られた混合物を30分間超音波処理して、溶媒中に固体を均一に分散させた。得られた電極触媒塗料を次に、電極触媒混合物(Ptが約1mg/cm2)の厚さ5ミクロンの層が表面全体に均一に堆積するまで、多孔質ステンレス鋼ディスク上にスプレー塗布した。この電極触媒層は約1mg/cm2のPtで構成された。
【0085】
実施例24
3:1:1の重量比で白金黒:C(40%Pt):ナフタレンを含む電極触媒混合物を、トルエン中で10分間機械的に粉砕した。電極触媒混合物対トルエンの体積比は1:200であった。得られた混合物を30分間超音波処理して、溶媒中に固体を均一に分散させた。得られた電極触媒スラリーを次に、ピペットで円筒形ダイに入れた。トルエンを放出させた。次に、多孔質ステンレス鋼ディスクを上面に置き、電極触媒上を10MPa〜60MPaで加圧した。電極触媒混合物が取り付けられたステンレス鋼ディスクを、次にダイから取り外した。このディスクは、アノードまたはカソードのいずれかとして機能することができる。
【0086】
実施例25
3:1:1の重量比で白金黒:C(40%Pt):ナフタレンを含む電極触媒混合物を、ベンゼン中で10分間機械的に粉砕した。電極触媒混合物対ベンゼンの体積比は1:60であった。得られた混合物を30分間超音波処理して、溶媒中に固体を均一に分散させた。得られた電極触媒スラリーを次にピペットで多孔質ステンレス鋼ディスク上に加え、次にこれをスピンコーターの中央に配置した。スラリーからベンゼンを1分間放出させた後、さらに別の1/5mlをピペットでディスク上に加えた。この工程をさらに3回繰り返して、5層の電極触媒混合物を得た。電極触媒層の全体の厚さは20ミクロンであり、得られた電極触媒層はステンレス鋼ディスク上に均一に分散させた。
【0087】
実施例26
2:1:1の重量比でPt:C(10%Pt):ナフタレンを含む電極触媒混合物を、ベンゼン中で10分間機械的に粉砕した。電極触媒混合物対ベンゼンの体積比は1:60であった。得られた混合物を30分間超音波処理して、溶媒中に固体を均一に分散させ、ナフタレンを溶解させた。ステンレス鋼ワイヤメッシュを、撹拌溶液中に浸漬し、ベンゼンを放出させることによって乾燥させた。この工程をさらに3回繰り返して、約30mgの電極触媒混合物をワイヤメッシュ上に均一に堆積させた。
【0088】
実施例27
ペレットダイ中で、白金を含有するアノードおよびカソードを、機械的に分散させた100mgのCsH2PO4粉末上に、10MPa〜60MPaで一軸加圧成形してMEAを形成することによって、CsH2PO4型SAFCを製造した。次に、MEAの円周の周りに円筒形ガラスリングを配置した。MEAをリング中央に垂直方向に配置し、5rpmでリングの外側にメタン火炎を通過させた。これによって、MEAの外側の最初の0.1mmの周囲のCsH2PO4が溶融し、次に、これをガラスリング中のSiO2と結合させて、不透過性ガスシールを形成した。
【0089】
実施例28
CsH2PO4電解質層を一方の電極に取り付け、次に、こうして得た半電池の外周部にViton(登録商標)などのフッ素化熱可塑性物質を塗布して、半電池の縁端部周囲に厚さ1mmのリングを形成した。この熱可塑性物質を約4時間かけて硬化させ、次に、約1MPaで一軸加圧成形することによって、他方の電極をこの半電池に取り付けた。次に、得られたMEAの縁端部周囲に熱可塑性物質を塗布して、MEAのシールを完全にした。
【0090】
実施例29
CsH2PO4電解質層を一方の電極に取り付け、次に、こうして得た半電池の外周部にAremco-Seal(商標)4030などのシリコーンシーラントを塗布して、半電池の縁端部周囲に厚さ1mmのリングを形成した。このシーラントを約4時間かけて硬化させ、次に、約1MPaで一軸加圧成形することによって、他方の電極をこの半電池に取り付けた。得られたMEAの縁端部周囲にシリコーンシーラントを塗布して、MEAのシールを完全にした。
【0091】
実施例30
CsH2PO4電解質層を電極に取り付け、次に、こうして得た半電池の外周部にPTFEなどのフッ素化ポリマーを塗布して、半電池の縁端部周囲に厚さ1mmの熱可塑性リングを形成した。このフッ素化ポリマーは、有機溶媒中に分散した10〜40ナノメートルの大きさを有する粒子で構成された。PTFEリングから溶媒を放出させ、次に、約1MPaで一軸加圧成形することによって、このリングを半電池に取り付けた。対電極も同様に、上記プラスチックを塗布して、半電池上に一軸加圧成形した。次に、得られたMEAの縁端部周囲にPTFEを塗布し、ダイ内で再加圧して、MEAのシールを完全にした。
【0092】
実施例31
CsH2PO4電解質層を電極に取り付け、得られた半電池の外周部にPTFEテープを巻き付けた。このPTFEテープは、幅1mmおよび厚さ10ミクロンであった。これによって、半電池の縁端部周囲にPTFEの厚さ0.5mmのリングが形成された。次に、この半電池を円筒形ペレットダイ中に置き、約1MPaで加圧した。これによって、半電池の表面上のCsH2PO4がPTFEでシールされた。約1MPaで一軸加圧成形することによって、もう1つの電極をこの半電池に取り付けた。得られたMEAの縁端部周囲にPTFEテープを巻き付け、再びダイ中で加圧した。これによって、PTFEの第1および第2の層がともにシールされ、MEAの気密シールが形成された。
【0093】
実施例32
CsH2PO4電解質層を電極に取り付け、次に、こうして得た半電池の外周部にQuartz Coat(商標)850などのセラミックシーラントを塗布して、半電池の縁端部周囲に厚さ1mmのリングを形成した。このセラミックシーラントを150℃で4時間かけて硬化させた。対電極にも同様にセラミックシーラントを塗布し、半電池上に一軸加圧成形した。次に、得られたMEAの縁端部周囲にセラミックシーラントを塗布し、MEAのシールを完全にした。
【0094】
前述の説明は、本発明の例示的な態様を参照して示された。本発明が関係する当業者であれば、以上に説明した態様に対して、本発明の原理、精神、および範囲から有意味に逸脱することのない変更および修正を行えることが理解できると考えられる。したがって、上述の説明は、説明した詳細な態様のみに関連するとして読むべきではなく、最も十分で最も公正な範囲を有する特許請求の範囲と首尾一貫し、それらを支持するものとして読むべきである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】先行技術による燃料電池膜電極集合体(MEA)を概略的に示す。
【図1a】本発明の一態様による燃料電池膜電極集合体(MEA)を概略的に示す。
【図1b】本発明の一態様による燃料電池膜電極集合体(MEA)の半電池を概略的に示す。
【図2】本発明の一態様による燃料電池電極触媒層の三重接点を概略的に示す。
【図3】本発明の一態様による固体酸電解質材料の形成方法を概略的に示す。
【図4】本発明の一態様による電解質層を堆積する方法を概略的に示す。
【図5】本発明の別の態様による電解質層を堆積する方法を概略的に示す。
【図6】本発明のさらに別の態様による電解質層を堆積する方法を概略的に示す。
【図7】本発明の別の態様による固体酸電解質材料について250℃で測定したひずみ対時間を比較するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸材料を提供する工程;
該固体酸材料を水に溶解させて飽和水溶液を形成する工程;
該固体酸が可溶性でなく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、トルエン、またはアセトンからなる群より選択される溶媒中に、該飽和水溶液を注入して、注入溶液を形成する工程;
該注入溶液を少なくとも1日静置して、該固体酸材料を該溶媒中で沈降させて、沈降溶液を形成する工程;
該沈降溶液を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールからなる群より選択される弱極性溶媒でデカンテーションして、固体酸粒子を単離させる工程
を含む、固体酸燃料電池用の電解質材料を製造するための方法。
【請求項2】
固体酸粒子が約0.1ミクロン〜約1ミクロンの範囲の粒度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
固体酸材料がCsH2PO4を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
デカンテーション工程が少なくとも1回繰り返される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
固体酸材料の水溶液を提供する工程;
該溶液を、レーザービームおよび火炎からなる群より選択される熱源を通してスプレーして、固体酸副生成物の粒子を形成する工程;
該固体酸副生成物粒子を約30%〜約100%の範囲の相対湿度、および約25℃〜約200℃の範囲の温度を有する雰囲気中に置き、それによって、該雰囲気の湿度が該固体酸副生成物を水和させて、固体酸粒子を形成する工程
を含む、固体酸燃料電池用の電解質材料を製造するための方法。
【請求項6】
固体酸粒子が約10nm〜約0.1ミクロンの範囲の粒度を有する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
固体酸材料がCsH2PO4を含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
固体酸副生成物が、約1時間〜約1日の範囲の時間の長さで湿潤雰囲気内で静置される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法により固体酸電解質粒子を調製する工程;
該粒子を基板上にふるう工程;
該基板上の該粒子をレベリングする工程;および
該基板上の該粒子を平坦化する工程
を含む、電解質を基板上に堆積する方法。
【請求項10】
ふるい、レベリング、および平坦化の工程が、少なくとも1回繰り返される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法により固体酸電解質粒子を調製する工程;
該固体酸電解質粒子を有機溶媒と混合してスラリーを形成し、約1分〜約1日の範囲の時間の長さで、該溶媒から沈降することなく、該溶媒中に該粒子が分散したままとなるまで、該スラリーの混合を続ける工程;
該スラリーを基板に適用する工程;および
該溶媒を放出させる工程
を含む、電解質を基板上に堆積する方法。
【請求項12】
注入、テープキャスティング、およびインクジェット様堆積からなる群より選択される技術によってスラリーを基板に適用する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
有機溶媒が酸素化溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン化溶媒、および塩素化溶媒からなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項14】
基板上のスラリーをレベリングする工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法により固体酸電解質粒子を調製する工程;
該固体酸電解質粒子を極性溶媒中に分散させて第1の分散液を形成する工程;
該第1の分散液を非極性溶媒と混合して安定なゲルを形成する工程;
該ゲルを基板上に堆積する工程;および
該溶媒を放出させる工程
を含む、電解質を基板上に堆積する方法。
【請求項16】
注入、テープキャスティング、およびインクジェット様堆積からなる群より選択される技術によってゲルを基板上に堆積する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
基板上のゲルをレベリングする工程をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法により固体酸電解質粒子を調製する工程;
水中の該固体酸電解質粒子の水溶液を調製する工程;
該水溶液を該基板上に堆積する工程;および
該水を放出させる工程
を含む、電解質を基板上に堆積する方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法により固体酸電解質粒子を調製する工程;
該固体酸電解質粒子を溶媒中に懸濁させて懸濁液を形成する工程;
該懸濁液を基板上にスプレーする工程;および
該溶媒を放出させる工程
を含む、電解質を基板上に堆積する方法。
【請求項20】
スプレーして溶媒を放出させる工程が少なくとも1回繰り返される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
溶媒が有機溶媒および水からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
請求項1記載の方法により固体酸電解質粒子を調製する工程;
該固体酸電解質粒子を溶媒中に懸濁させて懸濁液を形成する工程;
該懸濁液を基板の中心に堆積させ、該基板が連続的に回転することで向心力が発生し、それによって、該向心力が、該基板の該中心から放射状に外向きに該懸濁液を広げ、該懸濁液を該基板全体に分布させる工程
を含む、電解質を基板上に堆積する方法。
【請求項23】
堆積する工程が少なくとも1回繰り返される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
溶媒が有機溶媒および水からなる群より選択される、請求項22記載の方法。
【請求項25】
請求項1記載の方法により固体酸電解質粒子を調製する工程;
該固体酸電解質粒子を溶媒中に懸濁させて懸濁液を形成する工程;
多孔質モノリスを該懸濁液中に浸漬する工程;および
該溶媒を蒸発させる工程
を含む、電解質を基板上に堆積する方法。
【請求項26】
浸漬して溶媒を蒸発させる工程が少なくとも1回繰り返される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
多孔質モノリスが、熱可塑性物質、シリカ、および炭化ケイ素の多孔質マトリックスからなる群より選択される、請求項25記載の方法。
【請求項28】
固体酸材料を水に溶解させる工程の前に、該固体酸材料を二次結合剤材料と混合する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
二次結合剤材料が、高温熱可塑性物質、セラミック、およびガラスからなる群より選択される材料を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
二次結合剤材料が、過フッ素化ポリマー、ポリベンズイミダゾール、フルオロエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン、結晶質SiO2、非晶質SiO2、結晶質Al2O3、非晶質Al2O3、結晶質TiO2、および非晶質TiO2からなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項31】
二次結合剤材料がSiO2を含む、請求項28記載の方法。
【請求項32】
固体酸材料の総量を基準にして、SiO2が約5%以下の量で存在する、請求項31記載の方法。
【請求項33】
固体酸材料がCsH2PO4を含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
固体酸材料がCsH2PO4を含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
アノードと;
カソードと;
固体酸材料を含む電解質と;
該アノードおよび該カソードの少なくとも一方の上に堆積され、貴金属、卑金属、セラミック、およびそれらの混合物からなる群より選択される材料を含む触媒層と
を含む燃料電池。
【請求項36】
貴金属がPt、Ru、Rh、Pd、Au、Ir、それらの合金、およびそれらの混合物からなる群より選択され;
卑金属がCu、Ni、Ag、Co、Sn、およびそれらの混合物からなる群より選択され;および
セラミックがFePO4、WC、LixFe1-xPO4、TiO2、ZnO、CuO、NiO、CoO、MnO、およびSnO2からなる群より選択される、請求項35記載の燃料電池。
【請求項37】
触媒層が触媒担体をさらに含み、該触媒担体が、セラミック/金属酸化物、多孔質担体、および炭素担体からなる群より選択される、請求項35記載の燃料電池。
【請求項38】
セラミック/金属酸化物担体がWC、FePO4、AlPO4、LaPO4、AgO、SiC、SiO2、TiO2、ZnO、CuO、NiO、CoO、MnO、およびSnO2からなる群より選択され;
多孔質担体がシリケートゼオライト、多孔質ケイ素、およびハニカム状陽極酸化アルミナからなる群より選択され;ならびに
炭素担体が炭素およびカーボンナノチューブからなる群より選択される、請求項37記載の燃料電池。
【請求項39】
電極触媒層が細孔形成剤をさらに含む、請求項35記載の燃料電池。
【請求項40】
細孔形成剤が、ナフタレンおよび炭酸アンモニウムからなる群より選択される化合物を含む、請求項39記載の燃料電池。
【請求項41】
細孔形成剤がナフタレンを含む、請求項39記載の燃料電池。
【請求項42】
固体酸電解質材料、触媒材料および細孔形成剤との混合物を調製する工程;ならびに
該混合物を粉砕する工程
を含む、固体酸燃料電池用の電極触媒層の粒子を調製する方法。
【請求項43】
混合物がSiO2をさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
電極触媒の総重量を基準にして、SiO2が約1重量%〜約20重量%の量で存在する、請求項43記載の方法。
【請求項45】
有機触媒を固体酸電解質材料とともに共沈させて共沈物を形成する工程;
燃料電池のアノードおよびカソードの少なくとも一方に該共沈物を適用する工程;および
該有機触媒の有機成分を焼失させる工程
を含む、固体酸燃料電池用の電極触媒層の粒子を調製する方法。
【請求項46】
請求項42記載の方法により電極触媒の粒子を調製する工程;
該粒子を基板上にふるう工程;
該基板上の該粒子をレベリングする工程;および
該基板上の該粒子を平坦化する工程
を含む、電極触媒を基板上に堆積する方法。
【請求項47】
ふるい、レベリング、および平坦化の工程が、少なくとも1回繰り返される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
請求項42記載の方法により電極触媒の粒子を調製する工程;
該電極触媒粒子を有機溶媒と混合してスラリーを形成し、約1分〜約1日の範囲の時間の長さで、該溶媒から沈降することなく、該溶媒中に該粒子が分散したままとなるまで、該スラリーの混合を続ける工程;
該スラリーを基板に適用する工程;および
該溶媒を放出させる工程
を含む、電極触媒を基板上に堆積する方法。
【請求項49】
注入、テープキャスティング、およびインクジェット様堆積からなる群より選択される技術によってスラリーを基板に適用する、請求項48記載の方法。
【請求項50】
有機溶媒が酸素化溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン化溶媒、および塩素化溶媒からなる群より選択される、請求項48記載の方法。
【請求項51】
基板上のスラリーをレベリングする工程をさらに含む、請求項48記載の方法。
【請求項52】
請求項42記載の方法により電極触媒の粒子を調製する工程;
該電極触媒粒子を極性溶媒中に分散させて第1の分散液を形成する工程;
該第1の分散液を非極性溶媒と混合して安定なゲルを形成する工程;
該ゲルを基板上に堆積する工程;および
該溶媒を放出させる工程
を含む、電極触媒を基板上に堆積する方法。
【請求項53】
注入、テープキャスティング、およびインクジェット様堆積からなる群より選択される技術によってゲルを基板上に堆積する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
基板上のゲルをレベリングする工程をさらに含む、請求項52記載の方法。
【請求項55】
請求項42記載の方法により電極触媒を調製する工程;
水中の該電極触媒の粒子の水溶液を調製する工程;
該水溶液を該基板上に堆積する工程;および
該水を放出させる工程
を含む、電極触媒を基板上に堆積する方法。
【請求項56】
請求項42記載の方法により電極触媒を調製する工程;
該電極触媒の粒子を溶媒中に懸濁させて懸濁液を形成する工程;
該懸濁液を基板上にスプレーする工程;および
該溶媒を放出させる工程
を含む、電極触媒を基板上に堆積する方法。
【請求項57】
スプレーして溶媒を放出させる工程が少なくとも1回繰り返される、請求項56記載の方法。
【請求項58】
溶媒が有機溶媒および水からなる群より選択される、請求項56記載の方法。
【請求項59】
請求項42記載の方法により電極触媒を調製する工程;
該電極触媒の粒子を溶媒中に懸濁させて懸濁液を形成する工程;
該懸濁液を基板の中心に堆積し、該基板が連続的に回転することで向心力が発生し、それによって、該向心力が、該基板の該中心から放射状に外向きに該懸濁液を広げ、該懸濁液を該基板全体に分布させる工程
を含む、電極触媒を基板上に堆積する方法。
【請求項60】
堆積する工程が少なくとも1回繰り返される、請求項59記載の方法。
【請求項61】
溶媒が有機溶媒および水からなる群より選択される、請求項59記載の方法。
【請求項62】
請求項42記載の方法により電極触媒を調製する工程;
該電極触媒の粒子を溶媒中に懸濁させて懸濁液を形成する工程;
多孔質モノリスを該懸濁液中に浸漬する工程;および
該溶媒を蒸発させる工程
を含む、電極触媒を基板上に堆積する方法。
【請求項63】
浸漬して溶媒を蒸発させる工程が少なくとも1回繰り返される、請求項62記載の方法。
【請求項64】
多孔質モノリスが、熱可塑性物質、シリカ、および炭化ケイ素の多孔質マトリックスからなる群より選択される、請求項62記載の方法。
【請求項65】
固体酸層をガラス層に対して溶融させ、それによって気密シールを形成する工程を含む、固体酸電解質層とガラス層とを含む燃料電池をシールする方法。
【請求項66】
ガラスが石英および非晶質SiO2からなる群より選択される、請求項65記載の方法。
【請求項67】
アノード、カソード、および固体酸電解質層の少なくとも1つに、セラミック、熱可塑性物質、およびシリコーンからなる群より選択されるシーラントを適用する工程を含む、アノード、カソードおよび固体酸電解質層とを含む燃料電池をシールする方法。

【図1】
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【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−503070(P2008−503070A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527786(P2007−527786)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/020639
【国際公開番号】WO2005/124916
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506410486)カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー (1)
【Fターム(参考)】