説明

固体(メタ)アクリレートコポリマーの分散剤による分散形態への変換方法

本発明は、以下の成分(a)フリーラジカル重合したメチルメタクリレート、エチルアクリレート及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートの塩から構成され、粉末として又は顆粒として固体形態で存在する、(メタ)アクリレートコポリマー、(b)(メタ)アクリレートコポリマー(a)で計算して50質量%までの(b)i)乳化剤と組み合わせた可塑剤及び/又は(b)ii)官能基を有する炭素数6〜18の薬学的に許容可能な炭水化物の群から選択される分散剤及び(c)水を含む水性分散液を、前記成分(a)、(b)及び(c)を混合して懸濁液を得て、該懸濁液が、固体(メタ)アクリレートコポリマーが分散形態に変換する間に水性分散液になることによって調製することによる、固体(メタ)アクリレートコポリマーの分散形態への変換方法であって、前記(メタ)アクリレートコポリマーを、50℃未満の温度で分散剤の存在によって分散形態に変換することを特徴とする、前記変換方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体(メタ)アクリレートコポリマーの分散剤による分散形態への変換方法に関する。水性分散液は、分散工程を促進するためにカチオン性(メタ)アクリレートコポリマー及び分散剤を含有している。分散工程は低温で実施することができる。
【0002】
背景技術
US4737357号は、フリーラジカル重合したメチルメタクリレート、エチルアクリレート、及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む医薬品のための膜形成水性分散液及びコーティング剤の製造方法であって、分散工程が60〜80℃の温度で実施される、前記製造方法を記載している。
【0003】
EP−A0463877号は、エチルアクリレート、メチルメタクリレート及びトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドの撥水性塩及び水不溶性コポリマーを含む単一層のコーティングフィルムとして医薬品有効成分を有するコアからなる有効成分を遅延放出する医薬組成物を記載している。撥水性塩は、例えば、Caステアレート又はMgステアレートであってよい。S字状の放出プロットが得られる。
【0004】
EP−A0436370号は、医薬品有効成分及び有機酸を有するコア並びに水性噴霧によって塗布され且つエチルアクリレート、メチルメタクリレート及びトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドのコポリマーである外側のコーティング膜からなる有効成分を遅延放出する医薬組成物を記載している。この場合、S字状の放出プロットが同様に得られる。
【0005】
WO00/19984号は、(a)有効成分、適切であれば担体及び慣用の医薬品添加物、及び質量でコア量の2.5〜97.5質量%の割合の有機酸の塩を含むコア、及び(b)1種以上の(メタ)アクリレートコポリマー及び、適切であれば、慣用の医薬賦形剤からなる外側のコーティング膜からなる医薬調製物を記載しており、その際40〜100質量%の(メタ)アクリレートコポリマーは93〜98質量%のフリーラジカル重合したアクリル酸又はメタクリル酸のC〜Cアルキルエステル及びアルキル基に第4級アミノ基を有する7〜2質量%の(メタ)アクリレートモノマーからなり且つ適切であれば混合物中に存在してよく、ここで1〜60質量%の最初に記載した(メタ)アクリレートコポリマーとは異なる1種以上の更なる(メタ)アクリレートコポリマーは、85〜100質量%のフリーラジカル重合したアクリル酸又はメタクリル酸のC〜Cアルキルエステル及び、適切であれば、15質量%までのアルキル基中に塩基性基又は酸性基を有する更なる(メタ)アクリレートモノマーから構成されている。特に、65質量パーセントのメチルメタクリレート、30質量パーセントのエチルアクリレート及び5質量パーセントのトリメチルアンモニウムメチルメタクリレートクロリドのコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RS)又は60質量パーセントのメチルメタクリレート、30質量パーセントのエチルアクリレート及び10質量パーセントのトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドのコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RL)が使用される。
【0006】
公開公報KR1996−000227号(登録番号KR0128855号;出願番号KR1994−014987号)の機械翻訳は、徐放性ペレット製剤の製造方法を記載している。ジルチアゼムペレットは、既製の市販されているEUDRAGIT(登録商標)RS30D分散液から製造された水性分散液で被覆されており、その際、ステアリン酸、アラビアガム及びラウリル硫酸ナトリウムが溶解して最終的なコーティング組成物が得られる。
【0007】
US2008/0152595A1号には、経口投与される医薬品の乱用を防止するための方法及び組成物が記載されている。オキシコドン、粉末形態のEUDRAGIT(登録商標)RS、可塑剤及び乳化剤のような医薬品有効成分を含む乾燥組成物を使用して直接打錠法により制御放出カプセルを製造する。直接打錠組成物は経口摂取を意図するものである。
【0008】
課題と解決策
メチルメタクリレート、エチルアクリレート及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む分散液に関して、低温で経口又は皮膚の医薬調製物のためのコーティング剤又は結合剤としての水性分散液の調製を可能にする技術的背景に提供される方法は存在しなかった。代わりに、先行技術において経口又は皮膚の医薬調製物のためのコーティング剤又は結合剤としての水性分散液の調製であって、分散液が前記カチオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含有する、前記分散液の調製は、約60〜85℃の高温まで加熱する工程を含み、これは費用がかかり且つそれぞれ複雑な装置を必要とする。
【0009】
更に、前記水性分散液の製造を容易にすることが望ましい。
【0010】
従って、本発明の課題は、分散液がカチオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含有する、経口又は皮膚の医薬調製物のためのコーティング剤又は結合剤としての分散液の製造方法であって、分散工程を低温で実施できる前記製造方法を提供することであり、即ち、課題は前記分散液の製造をより速く且つより簡単にする方法を提供することであった。
【0011】
この技術的な課題は、以下の成分
(a)フリーラジカル重合したメチルメタクリレート、エチルアクリレート及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートの塩から構成され、粉末として又は顆粒として固体形態で存在する、(メタ)アクリレートコポリマー
(b)(メタ)アクリレートコポリマー(a)で計算して50質量%までの
(b)i)乳化剤と組み合わせた可塑剤及び/又は
(b)ii)官能基を有する炭素数6〜18の薬学的に許容可能な炭水化物
の群から選択される分散剤及び
(c)水
を含む水性分散液を、成分(a)、(b)及び(c)を混合して懸濁液を得て、該懸濁液が、固体(メタ)アクリレートコポリマーが分散形態に変換する間に水性分散液になることによって調製することによる、固体(メタ)アクリレートコポリマーの分散形態への変換方法であって、
前記(メタ)アクリレートコポリマーを、50℃未満の温度で分散剤の存在によって分散形態に変換することを特徴とする、前記変換方法によって解決された。
【0012】
本発明の利点の1つは、すぐ使用できる分散液が、それらの製造のために費用のかかる加熱工程を含まないで提供されることである。本発明による方法は、多量の有機溶媒を使用して一定のポリマーを最初に溶解させて、これらを蒸発によって有機溶媒を除去してから水性分散液に移す、いわゆる溶媒蒸発法とは完全に異なる。
【0013】
分散液の全組成
水性分散液は、合計100%になる水及び乾燥物質(固体含量)からなっている。水性分散液の乾燥物質は、少なくとも10質量%、少なくとも20質量%、少なくとも30質量%、少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%の成分(a)及び(b)並びに90質量%まで、80質量%まで、70質量%まで、60質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%まで、10質量%までの有効な医薬成分、栄養補助成分又は薬用化粧品成分又は更なる医薬賦形剤、栄養補助賦形剤又は薬用化粧品賦形剤からなってよく、これらは成分(a)及び(b)とは異なる。成分(a)及び(b)並びに存在する場合、成分(a)及び(b)とは異なる、有効な医薬品成分、栄養補助成分又は薬用化粧品成分又は更なる医薬品賦形剤、栄養補助賦形剤又は薬用化粧品賦形剤は、水性分散液の固体含量の合計100%になる。最も好ましくは水性分散液の乾燥物質は、100%成分(a)及び(b)からなってよい。
【0014】
分散液の固体含有率は、分散液の全質量を基準として10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、好ましくは15〜30質量%の範囲であってよい。従って、水(c)の含有率は、分散液の全質量を基準として90〜50質量%、好ましくは85〜60質量%、好ましくは85〜70質量%であってよい。
【0015】
成分(a)
成分(a)は、フリーラジカル重合したメチルメタクリレート、エチルアクリレート及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートで構成された(メタ)アクリレートコポリマーである。これらの種類のコポリマーは、徐放性コーティング組成物又は徐放性マトリックス組成物に使用してよい。
【0016】
成分(a)は、本発明の方法において、分散形態に変換するために、例えば、1〜500μmの平均粒径を有する粉末として、又は500〜5000μmの平均粒径を有する顆粒として、固体(乾燥)形態で使用されてよい。
【0017】
好ましくは、成分(a)は、85〜98質量%のメチルメタクリレート及びエチルアクリレート及び15〜2質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート、好ましくは2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドの塩で構成された(メタ)アクリレートコポリマーであってよい。質量パーセントは合計100%になる。
【0018】
更に、成分(a)は、50〜70質量%のメチルメタクリレート、20〜40質量%のエチルアクリレート及び7〜2質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート、好ましくは2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドの塩で構成された(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RS型)であってよく、質量パーセントは合計100%になる。
【0019】
特に好適なコポリマーは、65質量%のメチルメタクリレート、30質量%のエチルアクリレート及び5質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含み、(EUDRAGIT(登録商標)RS)を構成する。
【0020】
更に、成分(a)は、好ましくは、50〜70質量%のメチルメタクリレート、20〜40質量%のエチルアクリレート及び7〜12質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート、好ましくは2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドの塩で構成された(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RL型)であってよく、質量パーセントは合計100%になる。
【0021】
特に好適なコポリマーは、65質量%のメチルメタクリレート、30質量%のエチルアクリレート及び10質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含み、(EUDRAGIT(登録商標)RL)を構成する。
【0022】
適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、EP−A181515号又は独国特許第1617751号に開示されている。それらはpHに関係なく可溶性又は膨潤性であり且つ薬剤コーティングに適したポリマーである。記載されるべき可能な製造方法は、フリーラジカルを形成し且つモノマー混合物中に溶解される開始剤の存在下でのバルク重合である。ポリマーは同様にバルク重合、溶液重合、沈殿重合によって製造できる。
【0023】
ポリマー(a)は、この方法で微粉末の形態で得られてよく、これはバルク重合の場合、摩砕又は粉砕によって、溶液及び沈殿重合の場合、例えば、噴霧乾燥によって達成可能である。
【0024】
ガラス転移温度
(EUDRAGIT(登録商標)RS)を構成する、65質量%のメチルメタクリレート、30質量%のエチルアクリレート及び5質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含む前記コポリマーのガラス転移温度は約65℃である。
【0025】
60質量%のメチルメタクリレート、30質量%のエチルアクリレート及び10質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含む前記コポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RL)のガラス転移温度は約70℃である。
【0026】
ガラス転移温度は、第二加熱サイクルにおいて20K/分の加熱速度でDIN ISO111357に従ってガラス転移間隔における平均値として測定してよい。
【0027】
本発明によって、分散工程は、コポリマー(a)のガラス転移温度よりもかなり低い温度で、好ましくは50℃未満の温度で、更に好ましくは45℃未満で、更に好ましくは35℃未満で、更に一層好ましくは30℃未満で、最も好ましくは15℃〜25℃の範囲の温度で実施してよい。
【0028】
コポリマー(a)の製造方法
モノマーのフリーラジカル重合によるコポリマーの製造は、それ自体、当該技術分野で周知である(例えば、EP0704207号及びEP0704208号を参照のこと)。コポリマーは、例えば、DE−C2135073号に記載される手順に従って、好ましくはアニオン系乳化剤の存在下の水相中での乳化重合によって製造されてよい。バルク重合による製造が好ましい。
【0029】
コポリマーは、ある一定の分子量を達成するためにフリーラジカルを形成する開始剤の存在下で及び任意に調節剤の存在下で、よく使用されるラジカル重合法に従って製造されてよい。平均分子量は20,000〜200,000(g/モル)であってよい。好ましくは、コポリマーはバルク重合によって製造される。
【0030】
分散剤(b)
分散剤(b)は、
(b)i)乳化剤と組み合わせた可塑剤及び/又は
(b)ii)官能基を有する炭素数6〜18の薬学的に許容可能な炭水化物
の群から選択される分散剤の群から選択されてよい。
【0031】
従って、分散剤(b)は、
(b)i)乳化剤と組み合わせた可塑剤の群又は
(b)ii)官能基を有する炭素数6〜18の薬学的に許容可能な炭水化物の群又は
群(b)i)及び群(b)ii)から選択される要素の組み合わせ
のいずれかから選択されてよい。
【0032】
分散剤(b)の作用
(メタ)アクリレートコポリマー(a)で計算して50質量%までの、40質量%までの、20質量%までの、好ましくは5〜50質量%の量の分散剤(b)の存在は、50℃未満、好ましくは45℃未満、更に好ましくは35℃未満、更に一層好ましくは30℃未満、最も好ましくは15℃〜25℃の範囲の温度(室温)で(メタ)アクリレートコポリマーを変換して水中に分散させるために必須である。
【0033】
分散剤(b)が存在しない場合、(メタ)アクリレートコポリマーは、50℃未満の温度で、懸濁液の形で水中に残り且つ分散されないので、十分にコーティング及び結合剤に処理することができない。
【0034】
分散されるとは、水と最初に接触した後に水中に単純に懸濁された最初の固体(メタ)アクリレートコポリマー成分(a)が、50〜1000nmの範囲、好ましくは100〜500nmの範囲の平均粒径を有する球状のポリマー粒子に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも99%までほぼ均一に分布されることを意味する。最も好ましくは(メタ)アクリレートコポリマー成分(a)は、100%又は殆ど100%までほぼ完全に分散される。
【0035】
好ましくは、分散プロセスは撹拌によって支持される。好ましくは、懸濁液は、成分(a)及び(b)及び任意に更なる賦形剤の水中への分布を支持するために撹拌される。撹拌は、単純な撹拌を用いて又は高い剪断力をかけながら分散剤を用いて実施してよい。撹拌時間は、18時間まで(一晩)、12時間まで、8時間まで、4時間まで、又は2時間までの範囲であってよい。通常、完全に分散された形態の(メタ)アクリレートコポリマー成分(a)を含む水性の分散液は、既に30分〜2時間以内に得られる。
【0036】
成分(a)及び(b)は、乾燥混合したすぐに使用できる組成物として又は単一成分として1つのもの又は後にもう1つのものと一緒に、任意の順番で水(c)に添加してよい。
【0037】
成分(b)i)乳化剤と組み合わせた可塑剤
このプロセスは乳化剤と組み合わせて可塑剤の存在下で実施してよい。好ましくは、可塑剤の含有率は、(メタ)アクリレートコポリマー(a)の質量を基準として1〜50質量%の範囲、好ましくは5〜40質量%の範囲、10〜30質量%の範囲であってよい。乳化剤の含有率は、(メタ)アクリレートコポリマー(a)の質量を基準として1〜30質量%の範囲、好ましくは5〜25質量%の範囲であってよい。
【0038】
成分(b)i)は単独で又は成分bii)と組み合わせて使用してよい。
【0039】
可塑剤
可塑剤は、型(親油性又は親水性)及び添加量に応じて、ポリマー層の機能性に影響を与え得る。可塑剤は、ポリマーとの物理的相互作用を通してガラス転移温度の低下を実現し且つ添加量に応じて、膜形成を促進させる。適した物質は、通常、100〜20000g/モルの間の分子量を有し且つ分子内に1つ以上の親水性基、例えば、ヒドロキシル基、エステル基又はアミノ基を含み得る。
【0040】
適した可塑剤の例は、クエン酸アルキル、グリセロールエステル、アルキルフタレート、アルキルセバケート、ショ糖エステル、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート及びポリエチレングリコール200〜12000である。好ましい可塑剤は、クエン酸トリエチル(TEC)、アセチルクエン酸トリエチル(ATEC)及びセバシン酸ジブチル(DBS)である。追加的に、通常、室温で液体であるエステル、例えば、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸エステル又はヒマシ油を挙げるべきである。好ましくはクエン酸及びセバシン酸のエステルが使用される。
【0041】
可塑剤の配合物への添加は、水溶液中で又は混合物の予備熱処理後に、公知の方式で、直接行ってよい。可塑剤の混合を利用することも可能である。
【0042】
乳化剤
成分(b)に関して好ましい乳化剤は、非イオン系又はアニオン系の乳化剤である。更に好ましくは、成分(b)に関する乳化剤は、脂肪アルキル硫酸塩、好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、セチルステアリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸スクロース、ポリソルベート、特にポリソルベート80(Tween(登録商標)80)又はそれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0043】
アニオン性乳化剤
適したアニオン性乳化剤の例は、脂肪アルコール硫酸ナトリウム塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム又はセチルステアリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸塩、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである。
【0044】
非イオン性乳化剤
適した非イオン性乳化剤の例は、多価アルコールの脂肪酸の部分エステル、例えば、グリセリンモノステアレート、
ソルビタンの脂肪酸の部分エステル、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、
ポリヒドロキシエチレンソルビタンの脂肪酸の部分エステル(モノエステル)、例えば、ポリエチレングリコール(20)−ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール(20)−ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール(20)−ソルビタンモノオレエート、
脂肪アルコール又はポリヒドロキシエチレンのエーテル、例えば、ポリヒドロキシエチレン−セチルステアリルエーテル(=セトマクロゴール)、ポリヒドロキシエチレン(4)−ラウリルエーテル、ポリヒドロキシエチレン(23)−ラウリルエーテル、
脂肪アルコール及びポリヒドロキシエチレンのエステル、例えば、ポリヒドロキシエチレン(8)ステアレート、ポリヒドロキシエチレン(40)ステアレート、ポリヒドロキシエチレン(100)ステアレート、
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー、例えば、ポリヒドロキシエチレン及びポリヒドロキシプロピレンの縮合物。
【0045】
成分(b)ii)
成分(b)ii)は官能基を有する炭素数6〜18の薬学的に許容可能な炭水化物である。炭素数6〜18の非分枝鎖状の炭水化物が好ましい。
【0046】
成分(b)ii)は単独で又は成分(b)i)と組み合わせて使用してよい。
【0047】
薬学的に許容可能とは、利用される成分(b)ii)物質が、患者又は顧客に対して危険を伴わずに毒物学的に許容可能であり且つ特に薬物、栄養補助食品又は薬用化粧品において使用可能でなければならないことを意味する。
【0048】
官能基は、例えば、ヒドロキシル又はカルボン酸基であってよい。好ましくは、官能基は、炭素数6〜18の炭水化物の側鎖に又は末端基として存在する。1つ以上の官能基が存在してよい。
【0049】
成分bii)は、(下位)要素(b)ii−i)、(b)ii−ii)、(b)ii−iii)及び(b)ii−iv)の更なる実施態様に分けられてよい。
【0050】
成分(b)ii)−i)〜iv)
本発明によるプロセスは、分散剤(b)ii)が
(b)ii−i)炭素数6〜18の脂肪アルコール、
(b)ii−ii)炭素数6〜18の飽和又は不飽和カルボン酸の水溶性塩、
(b)ii−iii)炭素数6〜18の非置換のモノカルボン酸、
(b)ii−iv)炭素数6〜18のヒドロキシカルボン酸
からなる群のうち1つ以上から選択されることを更に特徴とされ得る。
【0051】
成分(b)ii−i)炭素数6〜18の脂肪アルコール
成分(b)ii−i)は炭素数6〜18の1種以上の脂肪アルコール又はそれらの混合物である。
【0052】
好ましい実施態様において、炭素数6〜16の脂肪アルコールは、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール又はヘキサデカノール又はそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはオクタノールである。好ましくは、脂肪アルコールの含有率は、コポリマー(a)の質量を基準として、1〜50質量%、5〜40質量%、8〜30質量%の範囲である。
【0053】
成分(b)ii−ii)炭素数6〜18の飽和又は不飽和カルボン酸の水溶性塩
成分(b)ii−ii)は、炭素数6〜18の飽和又は不飽和カルボン酸の1種以上の水溶性塩又はそれらの混合物である。
【0054】
本発明の特に好ましい実施態様において、成分(b)ii−ii)に関する塩は、飽和した、好ましくは非分枝鎖状の、好ましくは非置換の、炭素数6〜18、好ましくは8〜18又は10〜16のモノカルボン酸(脂肪酸)の塩である。
【0055】
好ましくは、成分(b)に関して炭素数6〜18の飽和又は不飽和のカルボン酸の水溶性塩は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸及びアラキドン酸又はそれらの混合物からなる群から選択されるカルボン酸の塩であってよい。好ましいのはアルキル金属塩又はアンモニウム塩である。更に好ましいのはナトリウム又はカリウム塩である。最も好ましいのはカプリン酸(caprinic acid)又はステアリン酸の塩又はそれらの混合物である。好ましくは、カルボン酸の塩の含有率は、コポリマー(a)の質量を基準として0.1〜20質量パーセント、好ましくは1〜10質量パーセントの範囲である。
【0056】
成分(b)ii−iii)炭素数6〜18の非置換のモノカルボン酸
成分(b)ii−iii)は、炭素数6〜18の、好ましくは炭素数6〜14の1種以上の非置換のモノカルボン酸又はそれらの混合物である。非置換とは、カルボキシル基を除いて分子内に官能基が存在していないという意味で置換されていないことを意味する。
【0057】
好ましくは炭素数6〜14の非置換のモノカルボン酸が飽和されている。好ましくは炭素数6〜14の非置換のモノカルボン酸は分枝していない。
【0058】
別の好ましい実施態様において、炭素数6〜14の飽和又は不飽和カルボン酸は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、リノール酸、ミリスチン酸からなる群から選択され、好ましくはカプリン酸である。好ましくは、カルボン酸の含有率は、コポリマー(a)の質量を基準として、1〜50質量パーセント、好ましくは5〜30質量パーセントの範囲である。
【0059】
成分(b)ii−iv)炭素数6〜18のヒドロキシカルボン酸
成分(b)ii−iv)は、炭素数6〜18の、好ましくは炭素数6〜14の1種以上のヒドロキシカルボン酸又はそれらの混合物である。
【0060】
炭素数6〜18の好ましいヒドロキシカルボン酸は、例えば、クエン酸(C)及びリシノール酸(C1834)である。
【0061】
炭素数6〜18のヒドロキシカルボン酸の更なる例は、ジヒドロキシエチルグリシン(ビシン)、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオ−ブタノエート(カルニチン)、クエン酸、シクロブチロール、3−デヒドロキナ酸、2,3−ジヒドロキシ−3−メチルペンタン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシメンデル酸、5−ヒドロキシサリチル酸(ゲンチジン酸)、ホモクエン酸、イソクエン酸、イソサッカリン酸、マンデル酸、メバロン酸、モナチン、パモ酸、プレフェン酸アニド、サリチル酸又はシキミ酸である。
【0062】
好ましくは、ヒドロキシカルボン酸の含有率は、コポリマー(a)の質量を基準として、1〜50質量パーセント、好ましくは5〜30質量パーセントの範囲である。
【0063】
可塑剤と組み合わせた成分(b)ii)の使用
好ましい実施態様において、本発明によるプロセスは、1種以上の成分bii)が可塑剤と組み合わせて使用されるように実施されてよい。この場合、乳化剤が存在する必要はない。好ましくは、可塑剤の含有率は、(メタ)アクリレートコポリマー(a)の質量を基準として1〜50質量%の範囲、好ましくは5〜40質量%の範囲、10〜30質量%の範囲であってよい。
【0064】
水(c)
本願明細書に記載される水性分散液は、50〜90質量%、50質量%まで、60質量%まで、70質量%まで、80質量%まで又は90質量%までの水、好ましくは脱イオン水を含有してよい。水及び固体は、通常、合計100%になるので、液体形態で存在し且つ処理される成分(b)又は更なる賦形剤は、本願明細書では固体として簡略化して計算してよい。水は少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の純水を意味する。水は、本発明にとって決定的ではない5%まで、3%まで、2%まで又は1%までの有機溶媒、例えば、エタノール、アセトン又はイソプロパノールを、微生物生育に対する安定化のために又は分散液の表面張力を低下させるために含有してよい。しかしながら、最も好ましいのは、有機溶媒が全く存在しないことである。
【0065】
更なる処理
本発明の別の態様によれば、薬学的形態の製造プロセスであって、本発明による上記の方法の後に製造工程が続き、その際、散布又は噴霧プロセスなどの薬学的に慣用のプロセスにおいて水性分散液が使用されて薬学的形態を得る、前記薬学的形態の製造プロセスが提供される。
【0066】
詳細は、例えば、以下の慣用の教科書に見出される:
Voigt, R. (1984): Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie; Verlag Chemie Weinheim - Deerfield Beach/Florida - Basel.
Sucker, H., Fuchs, P., Speiser, P.: Pharmazeutische Technologie, Georg Thieme Verlag Stuttgart (1991年)、特に第15章及び第16章、第626〜642頁。
Gennaro, A.R. (編集),Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton Pennsylvania(1985年)、第88章、第1567〜1573頁。
List, P.H. (1982年): Arzneiformenlehre, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, シュツットガルト。
【0067】
すぐに使用できる組成物
本発明はまた成分(a)と(b)の乾燥混合物を含む「すぐに使用できる」組成物にも関する。
【0068】
本発明によるすぐに使用できる組成物は、例えば、マトリックスタブレット又はカプセルサブユニットの形の直接的圧縮組成物とは異なり、これらは経口摂取に直接使用されることが意図されており且つコーティング又は結合組成物の創出に使用されるべき水性分散液の形で更に処理されることは意図されていない。従って、例えば、引用文献US2008/0152595A1号に記載された直接的な経口摂取のための直接圧縮組成物は、本発明によるすぐに使用できる組成物から明確に除外されてよい。
【0069】
通常、すぐに使用できる組成物は、例えば、平均粒径1〜500μmを有する粉末の形又は平均粒径500〜5000μmを有する顆粒の形であってよい。
【0070】
乾燥混合物は、成分(a)が少なくとも固体形態で存在するという意味に解されるべきである。成分(b)は固体又は液体形態で存在してよい。成分(b)が液体形態で存在する場合、これは乾燥成分(a)によって吸収されるので、いかなる場合にも成分(a)と(b)の混合物は乾燥混合物をもたらす。これらの化合物は固体形態で化合されて、その後、乾燥されるか又はこれらは例えば、溶融押出によって溶融形態で化合されてよい。
【0071】
「すぐに使用できる」組成物は、少なくとも20質量%、少なくとも30質量%、少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、少なくとも95質量%又は100質量%の成分(a)及び(b)を含有してよい。成分(b)対成分(a)の質量比は1:2〜1:20、好ましくは1:2〜1:5であってよい。
【0072】
任意に「すぐに使用できる」組成物は、成分(a)及び(b)とは異なる、医薬品、栄養補助食品又は化粧品用の賦形剤、例えば、顔料又はフレーバーを追加的に含んでよい。通常「すぐに使用できる」組成物は、少なくとも30質量%、少なくとも50質量%、少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも90質量%の成分(a)及び(b)並びに70質量%以下、50質量%以下、30質量%以下、10質量%以下の成分(a)及び(b)とは異なる医薬品、栄養補助食品又は化粧品用の賦形剤を含むか又はそれらからなってよい。
【0073】
「すぐに使用できる」組成物が、50℃未満、好ましくは45℃未満、更に好ましくは35℃未満、更に好ましくは30℃未満の温度で、及び最も好ましくは15℃〜25℃の範囲の温度で水と混合される時に、最初の懸濁液が得られ、これは後に少なくとも(メタ)アクリレートコポリマーを分散形態で含む水性分散液になる。
【0074】
好ましくは、懸濁液は、成分(a)及び(b)及び任意に更なる賦形剤の水中への分布を支持するために撹拌される。通常、完全に分散された形態の(メタ)アクリレートコポリマー成分(a)を含む水性分散液は、既に30分〜2時間以内に得られる。
【0075】
使用
本発明は、本願明細書の記載による本発明の方法由来の又は本願明細書に記載の本発明のすぐに使用できる組成物由来の水性分散液の使用も提供し、これらの組成物は経口もしくは皮膚の医薬品、栄養補助食品又は化粧品調製物のためのコーティング剤又は結合剤として本願明細書に記載されている。典型的な適用プロセスは、湿式造粒、噴霧コーティング、粉末コーティング、キャスティング、ローラー塗布、ナイフ塗布又は積層であってよい。
【0076】
医薬品、栄養補助食品又は薬用化粧品の賦形剤
本願明細書に記載された水性分散液は、全固体含有率を基準として、それぞれ90質量%まで、80質量%まで、70質量%まで、60質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%まで、10質量%までの乾燥質量の成分(a)、(b)とは異なる医薬品、栄養補助食品又は薬用化粧品の賦形剤の水性分散液が含有されてよいことを更に特徴とする。しかしながら、本発明による組成物は、任意の又は実質的に任意の医薬品、栄養補助食品又は化粧品の賦形剤も同様に含有してよい。従って組成物は実質的に成分(a)及び(b)からなる又は100%になる。
【0077】
医薬品、栄養補助食品又は薬用化粧品の賦形剤との用語は当業者に公知である。かかる賦形剤は薬学において慣用であるが、それらは時には栄養補助食品又は化粧品の分野でも慣用の添加剤を意味する。当然ながら、使用される全ての賦形剤又は慣用の添加剤は、顧客又は患者の危険を伴わずに、毒物学的に許容可能であり且つ特に食品又は医薬品において使用可能であることが常に求められている。
【0078】
この要求は医薬品分野で常に高いが、この要求は医薬品目的及び栄養補助食品目的に使用される賦形剤と広く重なる。通常、全ての医薬品の賦形剤は、栄養補助食品の目的に使用してよく、少なくとも多数の栄養補助食品の賦形剤も同様に医薬品目的に使用される。賦形剤は、有効成分のコーティング又は結合、固体又はパッチのコーティング又は半固体の分散のために、好ましくは顆粒の粉末製造の混合の間に、本発明の配合物に添加されてよい。
【0079】
成分(a)、(b)及び(c)とは異なる医薬品、栄養補助食品又は化粧品の賦形剤は、例えば、粘着性の回避や色の追加などの実用上の理由で含有されてよい。しかしながら、これらの賦形剤は通常、ここで特許請求された本発明自体に全く又は殆ど寄与しない又は影響を与えない。
【0080】
成分(a)及び(b)とは異なる医薬品、栄養補助食品又は化粧品の賦形剤は、成分(a)及び(b)の相互作用に基づいた狭い意味において本発明に寄与していない。本発明の主な有用な効果、例えば、製造時間又は分散液の粘度に決定的な悪影響を与え得る、成分(a)及び(b)とは異なる医薬品、栄養補助食品又は化粧品の賦形剤は、避けるか又は除外されなければならない。
【0081】
成分(a)及び(b)とは異なる、典型的な医薬品、栄養補助食品又は化粧品の賦形剤は当業者によく知られている。例は酸化防止剤、光沢剤、フレーバー剤、流動助剤、例えば、シリケート、例えば、フュームド又は沈降シリカ、フレグランス、滑走剤(剥離剤)、浸透促進剤、顔料、ポリマー、細孔形成剤又は安定剤である。それらは加工助剤として使用してよく且つ確実で再現可能な製造プロセス並びに良好な長期安定性を保証することが意図されているか、又はそれらは薬学的形態で追加の有利な特性を達成する。それらは加工前にポリマー配合物に添加されて、コーティングの透過性に影響を及ぼし得る。この特性は必要であれば追加の制御パラメータとして使用できる。
【0082】
当然ながら、使用される全ての医薬品、栄養補助食品又は化粧品の賦形剤について、顧客又は患者の危険を伴わずに、毒物学的に許容可能であり且つ特に医薬品、栄養補助食品又は薬用化粧品において使用可能であることが常に求められている。
【0083】
医薬品、栄養補助食品又は化粧品の賦形剤の使用量及びそれらの使用は当業者に公知である。それらは加工前にポリマー調製物に添加されて、コーティング又はマトリックスの透過性に影響を及ぼし得る。適切であれば、これを追加の制御パラメータとして利用することが可能である。
【0084】
剥離剤:
剥離剤は通常、親油性を有し、通常、噴霧懸濁液に添加される。それらはフィルムコーティングの間のコアの凝集を防ぐ。好ましくは、タルク、Mgステアレート又はCaステアレート、粉砕したシリカ又はカオリンが使用される。剥離剤の通常の使用量は、(メタ)アクリレートコポリマー(a)の乾燥質量を基準として0.5〜100質量%の間である。
【0085】
顔料:
コーティング剤と適合する顔料は、特に、例えば、通常の使用量で、例えば、(メタ)アクリレートコポリマー(a)の乾燥質量を基準として20〜200質量%で、撹拌によって、直接(メタ)アクリレートコポリマー分散液に添加される場合に、分散液の不安定化、凝集、不均質性の徴候又は類似の望ましくない効果をもたらさないような顔料である。その上、使用されるべき顔料は当然ながら非毒性であり且つ医薬品目的に適している。これに関して、例えば、Deutsche Forschungsgemeinschaft, Farbstoffe fuer Lebensmittel, Harald, Boldt Verlag KG, Boppard (1978年); Deutsche Lebensmittelrundschau 74, 第4号, 第156頁(1978年); Arzneimittelfarbstoffverordnung AmFarbV of 25.08.1980も参照されたい。
【0086】
顔料は例えば、アルミナ顔料であってよい。顔料の更なる例は、オレンジイエロー、コチニールレッドレーキ、アルミナをベースとした着色顔料又はアゾ染料、スルフォン酸染料、オレンジイエローS(E110, C.I. 15985, FD&C Yellow 6)、インジゴカルミン(E132, C.I. 73015, FD&C Blue 2)、タルトラジン(E 102, C.I. 19140, FD&C Yellow 5)、ポンソー4R(E 125, C.I. 16255, FD&C Cochineal Red A)、キノリンイエロー(E 104, C.I. 47005, FD&C Yellow 10)、エリトロシン(E127, C.I. 45430, FD&C Red 3)、アゾルビン(E 122, C.I. 14720, FD&C Carmoisine)、アマランス(E 123, C.I. 16185, FD&C Red 2)、アシッドブリリアントグリーン(E 142, C.I. 44090, FD&C Green S)である。
【0087】
顔料について示されたE番号はEUの番号づけに関する。これに関して、Deutsche Forschungsgemeinschaft, Farbstoffe fuer Lebensmittel, Harald, Boldt Verlag KG, Boppard (1978年); Deutsche Lebensmittelrundschau 74, 第4号, 第156頁(1978年); Arzneimittelfarbstoffverordnung AmFarbV of 25.08.1980も参照されたい。FD&C番号は、以下に記載されるU.S. food and drug administration(FDA)による食品、薬品及び化粧品の認可に関する:U.S. Food and Drug Administration, Center for Food Safety and Applied Nutrition, Office of Cosmetics and Colors: Code of Federal Regulations - Title 21 Color Additive Regulations Part 82, Listing of Certified Provisionally Listed Colors and Specifications (CFR 21 Part 82)。
【0088】
ポリマー
更なる賦形剤として、(メタ)アクリレートコポリマー(a)又は可能なポリマー成分(b)とは異なるポリマーは、水性分散液中に含有されてよい。しかしながら、これは(メタ)アクリレートコポリマーの存在によって主にもたらされる且つ決定される水性分散液の基本的な機能又は基本的な特性に実質的に影響を及ぼさない又は妨害しない濃度だけのものである。従って、更なるポリマーが存在する場合、それらの濃度は(メタ)アクリレートコポリマー(a)の濃度よりも通常低い。好ましくは、(メタ)アクリレートコポリマー(a)に関して90質量%以下、50質量%以下、25質量%以下、10質量%以下、5質量%以下のかかる更なるポリマーが含有される。最も好ましくは更なるポリマーが全く含有されない。
【0089】
水溶性ポリマーの例は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び/又はポリビニルアルコールからなる群から選択されてよい。
【0090】
アニオン性ポリマー材料の例は、ポリメタクリレート、セルロースアセタートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC−AS)、セルロースアセテートトリメリテート又はシェラックからなる群から選択されてよい。
【0091】
薬学的形態(ペレット)の製造方法
薬学的形態は、直接圧縮、乾燥、湿潤又は焼成した顆粒の圧縮、押出した後に丸める、湿潤又は乾燥造粒又は直接ペレット化(例えば、プレートで)などの通例の製剤工程によって又は有効成分のないビーズ又はコア(ノンパレイル)又は有効成分含有粒子上での粉末の結合(粉末層の形成)によって、噴霧工程又は流動床造粒によって、それ自体公知の方法で製造できる。コーティング形態での適用は、例えば、ポリマー溶液又はポリマー分散液の噴霧塗布などの公知で且つ通例の工程によって行うことができる。
【0092】
栄養補助食品
栄養補助食品は、ヒトの健康に医学的な影響を与える特許請求された食品の抽出物として定義できる。栄養補助食品は、通常、所定の用量でカプセル、錠剤又は粉末などの医療様式で含有される。栄養補助食品の例は、酸化防止剤としての葡萄生産物由来のレスベラトロール、可溶性の食事用繊維製品、例えば、高コレステロール血を低減するためのオオバコ種子殻、ガン予防剤としてのブロッコリー(スルファン)、及び動脈の健康を改善するための大豆又はクローバー(イソフラボノイド)である。他の栄養補助食品の例は、フラボノイド、酸化防止剤、亜麻仁由来のアルファ−リノール酸、マリーゴールド花弁由来のベータ−カロチン又はベリー類由来のアントシアニンである。時として栄養補助食品との表現は、栄養補助食品の同義語として使用される。
【0093】
薬用化粧品
「薬用化粧品」との用語は、薬剤と同様の利益を有する、主に化粧品産業内のものによって特許請求された化粧品製品について用いられる。化粧品として通常標識される製品の例としては、アンチエイジングクリーム及び保湿剤が挙げられる。この単語は、単語「化粧品」と「医薬品」との組み合わせである。
【0094】
化粧品は、ビタミン、植物化合物、酵素、酸化防止剤、及び精油などの有効成分を含有してよい。しかしながら、これらの成分は必ずしも有効ではなく、有効である場合、化粧品は有効な配合物中に又は有効な濃度で有効成分を有していないこともある。
【0095】
重要な違いは送達方法にある。「化粧品」との標識は、クリーム、ローション及び軟膏などの局所に塗布される製品のみに該当する。認識される利益と似ているが経口摂取される製品は、栄養補助食品として公知である。
【0096】
有効な医薬品、栄養補助食品又は化粧品の成分
水性分散液又はすぐに使用できる組成物は、全種類の医薬品、栄養補助食品又は化粧品の活性成分と組み合わせてコーティング及び結合剤として使用されてよい。医薬品、栄養補助食品又は化粧品の有効成分は、一般に、生物の健康、例えば、ヒトの健康に好影響を及ぼす有効成分である。それら有効成分はまた、それらの配合が一般に同じ又は極めて似ていることが多い。同じ種類の賦形剤又は添加剤も、これらの種類の有効成分と組み合わせて使用されることが多い。薬学的に有効な成分は、疾患を治療し且つ生物の健康、例えば、ヒトの健康にほぼ直接的に好影響を与えるために使用される。栄養補助食品の有効成分は、栄養を補給し、従って生物の健康、例えば、ヒト又は動物の健康を間接的に支えるために使用される。化粧品の有効成分は、例えば、ヒトの肌の含水量を平衡させることによってヒトの健康を間接的に支えることを意図する。
【0097】
実施例
本発明は、以下の実施例によって更に詳細に説明され、これは本発明の範囲を決して限定しないことが理解される。
【0098】
実施例1:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ攪拌機で撹拌しながら237.2gの脱イオン水中に分散させ、その後、1.0gのカプリル酸ナトリウム及び8.4gのジブチルセバケートを添加した。48℃で4.5時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0099】
比較例2:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら138.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、4.5gのジブチルセバケートを添加した。
【0100】
24時間後、低粘度の懸濁液がポリマー凝集物と共に得られる。得られた懸濁液は、透明で均一な膜を形成せず、これは室温で乾燥した時の機能性の欠如を示す。
【0101】
比較例3:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら138.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、4.5gのジブチルセバケートを添加した。
【0102】
24時間後、低粘度の懸濁液がポリマー凝集物と共に得られる。得られた懸濁液は、透明で均一な膜を形成せず、これは室温で乾燥した時の機能性の欠如を示す。
【0103】
実施例4:EUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)分散液:
15.0gのポリソルベート80を、撹拌中に580.0gの脱イオン水に溶解し、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを撹拌中に添加し、その後、30.0gのトリエチルシトレートを添加し、室温で更に1時間更に撹拌した。
【0104】
撹拌機としてUltraturrax、レベル1〜2が適用される。結果として不透明なナノポリマー分散液が得られる。分散液は、0.2mmの篩いを使用してふるい分け工程にかけられ、その際、2〜3質量パーセントの分散していない濃縮水が篩いに保持される。分散液は、室温で乾燥した時に非常に可撓性の高い膜を形成する。
【0105】
実施例5:EUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)分散液:
20.0gのポリソルベート80を、撹拌中に680.0gの脱イオン水に溶解し、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを撹拌中に添加し、その後、50.0gのトリエチルシトレートを添加し、30℃で更に1時間更に撹拌した。
【0106】
撹拌機としてUltraturrax、レベル1〜2が適用される。結果として不透明なナノポリマー分散液が得られる。分散液は、室温で乾燥した時に透明な、非常に可撓性の高い、接着膜を形成する。
【0107】
実施例6:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
85.0gの脱イオン水中に3.0gのTween(登録商標)80及び6.0gのトリエチルシトレートを溶解し、30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RL100(粒径10μm)をゆっくりと添加し、更に室温で撹拌した。
【0108】
ポリマーを完全に添加した後、粘度は強力に上昇した。1.5時間後、粘度が低下し始める。4時間後、低粘度の不透明な分散液が得られる。分散液は、室温で乾燥した時に透明で且つ可撓性の膜を形成する。
【0109】
実施例7:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
58.0gの脱イオン水中に4.5gのTween(登録商標)80及び7.5gのトリエチルシトレートを溶解し、30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RS100(粒径10μm)をゆっくりと添加し、更に室温で撹拌した。
【0110】
ポリマーを完全に添加した後、粘度は強力に上昇した。混合物に1.25gのケトプロフェンを添加し、スパチュラを用いて10分間撹拌するが、粘度は高いままである。この混合物を、膜を生成可能にするために35%の乾燥質量まで希釈する。1.5時間のスパチュラによる撹拌後、粘度は低下し始める。4時間後、中程度の粘度の不透明な分散液が得られる。分散液は、室温で乾燥した時に粘着性で、透明で且つ非常に可撓性の高い接着膜を形成する。
【0111】
実施例8:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
154.2gの脱イオン水中で、7.5gのポリソルベート80及び15.0gのTECを混合し且つ50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RL POを添加した。室温で2.5時間撹拌した後、低粘度の不透明な分散液が得られる。
【0112】
分散液は、室温で乾燥した時に透明で、光沢があり且つ非常に可撓性の高い膜を形成する。
【0113】
実施例9:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
165.4gの脱イオン水中で、2.31gのTween(登録商標)80及び4.62gのトリエチルシトレートを2分間混合し、23.07gのEUDRAGIT(登録商標)RL(粒径10μm)をゆっくりと添加し、25℃から始まり50℃未満の温度まで更に撹拌した。
【0114】
混合物が30℃の温度に到達すると、粘度は強力に上昇した。15分後、ポリマー粒子は顕微鏡の下で全く認められなかった。更に10分後、混合物を室温まで冷却すると、低粘度の分散液が得られ、これは透明で、可撓性で且つ光沢のある室温で乾燥される膜を形成する。
【0115】
実施例10:接着膜を形成するEUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
84.5gの脱イオン水中で、2.14gのポリソルベート80及び4.29gのトリエチルシトレートを磁気撹拌機で2分間撹拌し、次いで8.57gのEUDRAGIT(登録商標)RSを添加し、更に撹拌した。室温で24時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られ、これは室温で乾燥した時に粘着性の透明な膜を形成する。
【0116】
この接着膜は、Teflon(登録商標)で被覆されたガラスプレートから除去することができない。
【0117】
実施例11:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ攪拌機で撹拌しながら132.1gの脱イオン水中に分散させ、その後、18.0gのポリソルベート80(33.33%)及び9.0gのトリエチルシトレートを添加した。
【0118】
48℃で2時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散液は、透明で、非常に可撓性が高く、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0119】
実施例12:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RL粉末を、室温にてプロペラ攪拌機で撹拌しながら230.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、15.0gのポリソルベート80(33.33%)及び5.0gのトリエチルシトレートを添加した。
【0120】
48℃で2時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0121】
実施例13:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RL100顆粒を、室温にてプロペラ攪拌機で撹拌しながら230.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、15.0gのポリソルベート80(33.33%)及び5.0gのトリエチルシトレートを添加した。
【0122】
48℃で3時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0123】
実施例14:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
10.0gのポリソルベート80
10.0gのトリエチルシトレートを、室温にてプロペラ攪拌機で撹拌しながら480.0gの脱イオン水中で5分間混合し、その後、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを添加した。
【0124】
45℃で2時間撹拌した後、室温又は40℃で乾燥した時に透明な可撓性の膜を形成する分散液が得られる。
【0125】
この分散液に、12gのHPMC、18.0gのMgステアレート及び120.0gの脱イオン水の混合物を添加して2時間撹拌した。HPMC−Mg−ステアレート懸濁液を、撹拌中にRL分散液に注ぎ、更に1時間撹拌した。次いで分散液−懸濁液を凍結乾燥させた。
【0126】
40.0gの凍結乾燥させた生成物を、室温にてプロペラ撹拌機で穏やかに撹拌することによって、160gの脱イオン水中に再分散させた。「すぐに使用できる」噴霧懸濁液を、何の問題もなくジプロフィリンペレットに適用した。即時剥離コーティングが、乾燥物質への20%の適用で得られた。
【0127】
実施例15:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、144.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、3.0gのPS80を、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら、6.0gのグリセロールと共に添加し、1時間攪拌した後に6gのATBCを添加した。
【0128】
更に2時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、透明で、可撓性が高く、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0129】
実施例16:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RL(粉末)を、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら132.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、9.0gのポリソルベート80(33.5%)溶液及び1.5gのATECを添加した。
【0130】
45℃で2.5時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、透明で、光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0131】
実施例17:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
43.0gのEUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)を、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら165.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、13.5gのポリソルベート80及び9.0gのATBCを添加した。
【0132】
48℃で6時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、透明で、非常に可撓性が高く且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0133】
実施例18:EUDRAGIT(登録商標)RL(粉末)分散液:
70.4%のEUDRAGIT(登録商標)RL PO、10.6%のステアリン酸、4.9%のSDS、7.0%のタルク、及び7.0%の顔料キャンデュリンの20.0gの均一な混合物を、室温での撹拌中に113.3gの脱イオン水に添加して20分間撹拌した。その後、温度は48℃まで上昇した。2.5時間後、混合物をUltra Turraxを用いて5分間均質化すると、均一な分散液−懸濁液が形成されて、ナノポリマー分散液が得られる。分散液を、0.2mmの篩いを使用してふるい分け工程にかけ、その際、0.2質量パーセントの分散していない濃縮水が篩いに保持される。分散液は、室温で乾燥した時に可撓性の膜を形成する。
【0134】
比較例19:EUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)分散液:
10.0gのSDSを、撹拌中に256.7gの脱イオン水に溶解し、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを撹拌中に添加し、そして室温で更に24時間更に撹拌した。撹拌機としてプロペラ撹拌機が適用される。結果として不透明なナノポリマー分散液は全く得られない。懸濁液は室温で乾燥した時に膜を形成しない。
【0135】
比較例20:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
1.5gのSDSを、電磁撹拌機で撹拌しながら60gの脱イオン水に溶解し、その後、15.0gのEUDRAGIT(登録商標)RL(粉末)を添加し、次いで65℃まで加熱した。
【0136】
48時間撹拌した後、懸濁液は低粘度を有する。そして、白色で、非常に脆性で且つ亀裂性の塊が形成され、これは室温又は40℃で乾燥した時に機能を失うことを示す。
【0137】
実施例21:EUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)分散液:
10.0gのSDSを、撹拌中に520.0gの脱イオン水に溶解し、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを撹拌中に添加し、その後、20.0gのジブチルセバケートを添加し、室温で更に1時間更に撹拌した。
【0138】
撹拌機としてUltraturrax、レベル1が適用される。結果として不透明なナノポリマー分散液が得られる。分散液を、0.2mmの篩いを使用してふるい分け工程にかけ、その際、1質量パーセント未満の分散していない濃縮水が篩いに保持される。分散液は、室温で乾燥した時に可撓性の膜を形成する。
【0139】
実施例22:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
85.0gの脱イオン水中で、10.34gのEUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)、1.55gのSDS及び3.1gのジブチルセバケートを添加し且つ磁気撹拌機で撹拌した。室温で一晩撹拌した後、低粘度の分散液が得られ、これは室温又は40℃で乾燥した時に可撓性の、透明なわずかに粘着性の膜を形成する。
【0140】
実施例23:EUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)分散液:
85.0gの脱イオン水中で、
1.83gのSDS
2.42gのジブチルセバケートを2分間混合し、
10.75gのEUDRAGIT(登録商標)RSを添加し、且つ磁気撹拌機で撹拌した。室温で24時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られ、これは室温又は40℃で乾燥した時に可撓性の膜を形成する。
【0141】
実施例24:EUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)分散液:
85.0gの脱イオン水中で、
1.73gのSDS及び
1.73gのジブチルセバケートを2分間混合し、次いで
11.54gのEUDRAGIT(登録商標)RSを添加し、且つ磁気撹拌機で撹拌した。室温で24時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られ、これは室温又は40℃で乾燥した時に可撓性の透明な膜を形成する。
【0142】
実施例25:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
140.0gの脱イオン水中で、41.38gのEUDRAGIT(登録商標)RS、6.21gのSDS及び12.41gのジブチルセバケートを添加し且つ磁気撹拌機で撹拌した。室温で24時間撹拌した後、30質量パーセント乾燥質量の含有率を有する低粘度の分散液が得られ、これは室温又は40℃で乾燥した時に非常に可撓性の透明〜曇った膜を形成する。
【0143】
実施例26:EUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)分散液:
15.0gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を、撹拌中に338.3gの脱イオン水に溶解し、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを撹拌中に添加し、その後、30.0gのジエチルセバケートを添加し、室温で更に2〜3時間更に撹拌した。
【0144】
撹拌機として600rpmで運転される回転ディスク(ドイツ語の表現:"Dissolverscheibe")が適用される。結果として不透明なナノポリマー分散液が得られる。分散液を、0.2mmの篩いを使用してふるい分け工程にかけ、その際、2質量パーセントの分散していない濃縮水が篩いに保持される。分散液は、室温で乾燥した時に柔軟で且つ可撓性の膜を形成する。
【0145】
実施例27:EUDRAGIT(登録商標)RS(粉末)分散液:
10.0gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を、撹拌中に520.0gの脱イオン水に溶解し、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを撹拌中に添加し、その後、20.0gのジブチルセバケートを添加し、室温で更に2時間更に撹拌した。
【0146】
撹拌機としてUltraturrax、レベル1が適用される。結果として不透明なナノポリマー分散液が得られる。分散液を、0.2mmの篩いを使用してふるい分け工程にかけ、その際、4質量パーセントの分散していない濃縮水が篩いに保持される。分散液は、室温で乾燥した時に透明な可撓性の膜を形成する。
【0147】
実施例28:EUDRAGIT(登録商標)RL(粉末)分散液:
69.7%のRL PO、13.9%のPEG6000、2.4%のSDS、7.0%のタルク、及び7.0%の顔料キャンデュリンの20.0gの均一な混合物を、室温での撹拌中に113.3gの脱イオン水に添加して20分間撹拌した。その後、温度は48℃まで上昇した。
【0148】
2.5時間後、均一な分散液−懸濁液が形成され、ナノポリマー分散液が得られる。分散液を、0.2mmの篩いを使用してふるい分け工程にかけ、その際、0.2質量パーセントの分散していない濃縮水が篩いに保持される。分散液は、室温で乾燥した時に光沢のある膜を形成する。
【0149】
実施例28A:EUDRAGIT(登録商標)RL(粉末)分散液:
3.3gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を、撹拌中に480.0gの脱イオン水に溶解し、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを撹拌中に添加し、その後、16.7gのジブチルセバケートを添加し、48℃で更に2〜3時間更に撹拌した。
【0150】
撹拌機として600rpmで運転される回転ディスク(ドイツ語の表現:"Dissolverscheibe")が適用される。結果として不透明なナノポリマー分散液が得られる。分散液を、0.2mmの篩いを使用してふるい分け工程にかけ、その際、1質量パーセントの分散していない濃縮水が篩いに保持される。分散液は、室温で乾燥した時に透明な可撓性の膜を形成する。
【0151】
実施例29:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら165.80gの脱イオン水中に分散させ、その後、2.4gのセチルアルコール、6.0gのカプリル酸及び3.0gのポリソルベート80を添加した。
【0152】
45℃で24時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、室温で乾燥した時に、白色の、可撓性の膜を形成する。
【0153】
実施例30:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら129.6gの脱イオン水中に分散させ、その後、2.4gのデカノールを添加した。
【0154】
45℃で1時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0155】
実施例31:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
25.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら108.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、2.0gのヘキサノールを添加した。
【0156】
40℃で2時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0157】
実施例32:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、プロペラ撹拌機で撹拌しながら140.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、10.0gの1−オクタノールを室温で撹拌しながら添加した。
【0158】
10分後、高粘度のゲルが形成された。200.0gの水を添加し、更に2時間撹拌した。低粘度の分散液が得られて、透明で、可撓性で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0159】
実施例33:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、プロペラ撹拌機で撹拌しながら128.33gの脱イオン水中に分散させ、その後、5.0gの1−オクタノールを室温で撹拌しながら添加した。
【0160】
10分後、高粘度のゲルが形成された。91.7gの水を添加し、更に5時間撹拌した。低粘度の分散液が得られて、透明で、可撓性で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0161】
実施例34:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
20.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを、磁気撹拌機で撹拌しながら56.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、4.0gの乳酸を室温で撹拌しながら添加した。
【0162】
3時間撹拌した後、6.0gのカプリル酸を添加し、更に2時間撹拌した。次に温度が一晩(約12時間)で40℃まで上昇し、低粘度の分散液が得られ、透明で、可撓性で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0163】
比較例35:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら144.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、6.0gのベヘン酸を添加した。
【0164】
45℃で48時間撹拌した後、懸濁液が得られる。懸濁液は室温又は40℃で乾燥した時に膜を形成しない。
【0165】
実施例36:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら144.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、3.0gのカプリル酸及び3.0gのステアリン酸を添加した。
【0166】
48℃で3時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0167】
実施例37:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、磁気撹拌機で撹拌しながら91.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、9.0gのカプリル酸を室温で撹拌しながら添加した。
【0168】
低粘度の分散液が50分以内に得られる。得られる分散液は、透明で、可撓性で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0169】
実施例38:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
20.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを、磁気撹拌機で撹拌しながら53.7gの脱イオン水中に分散させ、その後、3.0gのLutrol F 127を室温で撹拌しながら添加した。
【0170】
3時間撹拌した後、6.0gのカプリル酸を添加し、更に2時間撹拌した。次に温度が一晩(約12時間)で40℃まで上昇し、非常に少ないRS粒子を有する35.4%の分散液が得られ、透明で可撓性で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0171】
実施例39:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、磁気撹拌機で撹拌しながら156.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、9.0gのカプリル酸を室温で撹拌しながら添加した。
【0172】
低粘度の分散液が30分以内に得られる。得られる分散液は、透明で、可撓性で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0173】
実施例40:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
20.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら80.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、2.0gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel E5)を添加した。
【0174】
室温で10分間撹拌した後、3.0gのカプリル酸を添加し、更に室温で3時間撹拌した。低粘度の分散液が形成され、これは室温で乾燥した時に透明で、可撓性で且つ光沢のある膜を形成する。
【0175】
実施例41:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
20.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、磁気撹拌機で撹拌しながら96.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、4.0gのカプリル酸を室温で撹拌しながら添加した。
【0176】
低粘度の分散液が30分以内に得られる。得られる分散液は、透明で、可撓性で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0177】
実施例42:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら126.0gの脱イオン水中に分散させ、その後9.0gのクエン酸を添加した。
【0178】
48℃で1.5時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0179】
比較例43:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら91.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、9.0gのクエン酸を添加した。
【0180】
60+80℃で4時間撹拌した後、高粘度の白色ゲルが得られる。分散懸濁液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0181】
実施例44:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら240.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、10.0gのクエン酸を添加した。
【0182】
40℃で3時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0183】
実施例45:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら340.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、10.0gのラウリン酸を添加した。
【0184】
45℃で5時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0185】
実施例46:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、磁気撹拌機で撹拌しながら132.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、0.4gのリノール酸を45℃で撹拌しながら添加した。
【0186】
中程度の粘度の分散液が3時間以内に得られる。得られる分散液は、透明で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0187】
実施例47:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
50.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら237.2gの脱イオン水中に分散させ、その後、1.0gのカプリル酸ナトリウム及び8.4gのカプリル酸を添加した。
【0188】
48℃で2時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0189】
実施例48:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
2.0gのカプリル酸ナトリウム
17.0gのカプリル酸を、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら480.0gの脱イオン水中で5分間混合し、その後、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを添加した。
【0190】
45℃で2時間撹拌した後、室温又は40℃で乾燥した時に透明な可撓性の膜を形成する分散液が得られる。
【0191】
この分散液に、
6.0gのHPMC、
17.1gのグリセロールトリステアレート
92.4gの脱イオン水
の混合物を添加して1時間撹拌した。HPMC−グリセロールトリステアレート懸濁液を、撹拌中にRL分散液に注ぎ、更に1時間撹拌した。
【0192】
次いで分散液−懸濁液を凍結乾燥させた。
【0193】
40.0gの凍結乾燥した生成物を160gの脱イオン水中に再分散させた。水を室温にてプロペラ撹拌機で穏やかに撹拌した。「すぐに使用できる」噴霧懸濁液を、何の問題もなくジプロフィリンペレットに適用した。即時剥離コーティングが、乾燥物質への20%の適用で得られた。
【0194】
実施例49:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
2.0gのカプリル酸ナトリウム
17.0gのカプリル酸を、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら480.0gの脱イオン水中で5分間混合し、その後、100.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを添加した。
【0195】
45℃で2時間撹拌した後、室温又は40℃で乾燥した時に透明な可撓性の膜を形成する分散液が得られる。
【0196】
この分散液に、
11.8gのHPMC、
11.8gのAEROSIL(登録商標)200
94.4gの脱イオン水
の混合物を添加して1時間撹拌した。HPMC−AEROSIL(登録商標)200−懸濁液を、撹拌中にRL分散液に注ぎ、更に1時間撹拌した。
【0197】
次いで分散液−懸濁液を凍結乾燥させた。
【0198】
40.0gの凍結乾燥した生成物を160gの脱イオン水中に再分散させた。水を室温にてプロペラ撹拌機で穏やかに撹拌した。「すぐに使用できる」噴霧懸濁液を、何の問題もなくジプロフィリンペレットに適用した。即時剥離コーティングが、乾燥物質への20%の適用で得られた。
【0199】
実施例50:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら144.0gの脱イオン水中に分散させ、その後6.0gのリシノール酸を添加した。
【0200】
40℃で2時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、透明で、均一で且つ光沢のある膜を形成し、これは室温で乾燥した時に機能性を示す。
【0201】
比較例51:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら186.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、16.5gのステアリン酸を添加した。
【0202】
45℃で48時間撹拌した後、懸濁液が得られる。懸濁液は室温又は40℃で乾燥した時に膜を形成しない。
【0203】
比較例52:EUDRAGIT(登録商標)RS分散液:
30.0gのEUDRAGIT(登録商標)RSを、室温にて電磁撹拌機で撹拌しながら213.6gの脱イオン水中に分散させ、その後、14.4gの酒石酸及び9.0gのTECを添加した。
【0204】
45℃で24時間撹拌した後、低粘度の分散液が得られる。分散懸濁液は、室温で乾燥した時に、白色の膜を形成する。
【0205】
比較例53:EUDRAGIT(登録商標)RL分散液:
20.0gのEUDRAGIT(登録商標)RLを、室温にてプロペラ撹拌機で撹拌しながら80.0gの脱イオン水中に分散させ、その後、2.0gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel E5)を添加した。
【0206】
室温で30分間撹拌した後、変化がないので、温度が45℃まで、更に65℃まで、そして90℃まで上昇した。この温度で1時間の間に粘度は上昇し、そして更なる4時間の撹拌の間にゆっくりと低下した。分散液は、室温で乾燥した時に、透明で、非常に脆い膜を形成する。
【0207】
実施例54:EUDRAGIT(登録商標)RS−RL噴霧−コーティング及び剥離試験
117.0gの実施例24を撹拌し且つ9.73gの実施例28Aを添加した。更に10.0gのマグネシウムステアレートを、42.3gの脱イオン水中にUltra Turraxによって10分間分散させた。Mg−ステアレート懸濁液を、RS−RL−分散分散液に注いだ。
【0208】
150gのテオフィリンペレット(1.0〜1.25mmのサイズ)を、この実施例で調製した分散液−懸濁液を用いてHuettlin Mycrolab装置内で被覆した。
【0209】
表1はテオフィリンペレットのコーティング条件をまとめる。
【表1】

【0210】
ポリマー質量を基準として10パーセントの質量増加に対する噴霧時間は68分であった(179.0gの実施例54に従って得られる分散液)。噴霧工程によって得られる被覆されたペレットをテオフィリンの放出について試験した。
【0211】
有効成分としてテオフィリンを含む被覆されたペレットの溶出試験を、BP Method IIパドル装置(Model PTWS、ファーマテスト社、ハインブルク、独国)を用いて行った。溶出溶媒の体積を37+0.5℃で900mlに維持し、100rpmのパドル速度を利用した。被覆されたタブレット又はペレットから放出されるテオフィリンの量は、テオフィリンについて271nmでUV分光光度計によって測定した。ペレットを0.1NのHCl中に120分間置いた。
【0212】
ポリマー配合物で10%w/wを有する徐放性の被覆されたテオフィリンペレットの例は標準と比較して:左欄の(比較)例は、それぞれ市販のEUDRAGIT(登録商標)RS、EUDRAGIT(登録商標)RL分散液(EUDRAGIT(登録商標)RS30D/EUDRAGIT(登録商標)RL30D)に基づく。右欄の例は、水性分散液がEUDRAGIT(登録商標)RS及びEUDRAGIT(登録商標)RL粉末から作られている本発明の例である。
【表2】

【0213】
実施例55:テオフィリンペレットを、実施例14及び48の分散液を用いて流動床コーター内で被覆し、実施例54と類似のコーティング条件を適用した。乾燥後、ペレットを光沢のある膜で均一に被覆した。薬剤の放出[%]を、脱イオン水及び0.1NのHCl中で実施例54と同様に試験した。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分
(a)フリーラジカル重合したメチルメタクリレート、エチルアクリレート及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートの塩から構成され、粉末として又は顆粒として固体形態で存在する、(メタ)アクリレートコポリマー、
(b)(メタ)アクリレートコポリマー(a)で計算して50質量%までの
(b)i)乳化剤と組み合わせた可塑剤及び/又は
(b)ii)官能基を有する炭素数6〜18の薬学的に許容可能な炭水化物
の群から選択される分散剤及び
(c)水
を含む水性分散液を、前記成分(a)、(b)及び(c)を混合して懸濁液を得て、該懸濁液が、固体(メタ)アクリレートコポリマーが分散形態に変換する間に水性分散液になることによって調製することによる、固体(メタ)アクリレートコポリマーの分散形態への変換方法であって、
前記(メタ)アクリレートコポリマーを、50℃未満の温度で分散剤の存在によって分散形態に変換することを特徴とする、前記変換方法。
【請求項2】
分散剤(b)ii)が
(b)ii−i)炭素数6〜18の脂肪アルコール、
(b)ii−ii)炭素数6〜18の飽和又は不飽和カルボン酸の水溶性塩、
(b)ii−iii)炭素数6〜18の非置換のモノカルボン酸、
(b)ii−iv)炭素数6〜18のヒドロキシカルボン酸
からなる群のうち1つ以上から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分(b)ii)−i)〜(b)ii)−iv)を可塑剤と組み合わせて使用することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
成分(b)に関する可塑剤が、クエン酸アルキル、グリセロールエステル、アルキルフタレート、アルキルセバケート、ショ糖エステル、ソルビタンエステル、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、ジエチルフタレート又はポリエチレングリコール又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
成分(b)に関する乳化剤が、脂肪アルキル硫酸塩、好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、セチルステアリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸スクロース、ポリソルベート、又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
成分(b)ii−i)に関する脂肪アルコールがヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール及びヘキサデカノール及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
成分(b)ii−ii)に関する水溶性塩が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、及びアラキドン酸又はそれらの混合物からなる群から選択されるカルボン酸の塩であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
成分(b)ii−iii)に関する非置換のモノカルボン酸がカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、リノール酸、ミリスチン酸又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
成分(b)ii−iv)に関するヒドロキシカルボン酸が、ジヒドロキシエチルグリシン、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオ−ブタノエート、クエン酸、シクロブチロール、3−デヒドロキナ酸、2,3−ジヒドロキシ−3−メチルペンタン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシメンデル酸、5−ヒドロキシサリチル酸(ゲンチジン酸)、ホモクエン酸、イソクエン酸、イソサッカリン酸、マンデル酸、メバロン酸、モナチン、パモ酸、プレフェン酸アニド、リシノール酸、サリチル酸、シキミ酸又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
成分(a)が、85〜98質量%のメタクリル酸のC〜Cアルキルエステル及び15〜2質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートの塩で構成された(メタ)アクリレートコポリマーであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の成分(a)及び(b)の乾燥混合物を含むすぐに使用できる組成物であって、50℃未満の温度で水と混合した時に懸濁液を得て、該懸濁液が少なくとも分散形態の(メタ)アクリレートコポリマーを含む水性分散液になる、前記組成物。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法由来の水性分散液又は請求項11に記載のすぐに使用できる組成物由来の水性分散液の、経口もしくは皮膚の医薬品、栄養補助食品又は化粧品調製物のためのコーティング剤又は結合剤としての使用。

【公表番号】特表2013−510937(P2013−510937A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539188(P2012−539188)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065244
【国際公開番号】WO2011/057676
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】