説明

固定体積保持カフ及び逃がし弁の組み合わせ

本発明は、留置カテーテル内の固定体積膨張可能保持カフ20内の体積を調整するためのシステム10,110、すなわち留置カテーテル14の患者近位端上に取り付け可能であるカフと、カフに接続されている逃がし弁23,123との組み合わせである。逃がし弁は、カフへの流体の選択的導入用の端部、及び膨張管との接続用の端部を有する。流体逃しポート24,124により、最大カフ体積を超えると、余剰流体を逃がすことができ、膨張管22が、固定体積膨張可能保持カフ20を逃がし弁に接続する。膨張管は、カフの内部に液密接続状態にある端部、及び逃がし弁に液密接続状態にある端部を有し、それにより、カフ及び逃がし弁を互いに流体連通状態にしてカフの選択的な充填を行い、それにより、留置カテーテルを患者内に挿入して長時間にわたって安全に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはカテーテル保持装置に関し、特に、腸管理カテーテルに使用されるタイプであって、固定最大体積を有して流体逃がし弁と組み合わされる保持カフに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連技術]
本発明は、現時点でザッシ・メディカル・エボルーションズ社(Zassi Medical Evolutions, Inc)及びバウエル・マネジメント・システムズ社(Bowel Management Systems, LLC)から入手可能であって販売されているような公知の腸管理装置に、又はその改良として(必ずしも排他的ではないが)主に使用されると考えられる。これらのシステムは、米国特許第5,569,216号明細書及び2004年2月26日に米国特許出願2004/0039348号明細書として公開された係属中の米国特許出願第10/225,820号に記載されており、これらの特許及び出願の開示内容全体は、参照によって本明細書に援用される。本発明は、バルーン保持機構を有する他のカテーテル装置に組み込むこともできる。開示の便利さ及び簡略さのために、本明細書では、本発明を腸管理システムに関して詳しく説明するが、ほ乳類及び特に人での他の用途も容易に考えられるであろう。
【0003】
当該技術では、腸管理装置の選択された作動位置を維持し、患者に損傷を与えないでそれを行うことが、継続的に必要とされている。体内で使用されるさまざまなカテーテルが、それらを所定位置に保持するとともに、それらを設置する器官と外部環境との間をシールするためにバルーン又はカフを有する(例えば、ホーリーカテーテル、気管内挿入管)。これらのカテーテルの大部分において、バルーン又はカフを治療従事者が過剰膨張させることを防止する安全策がまったくなく、その最終的な結果として、バルーン又はカフが過大なサイズになって、それが留まる器官に損傷を与える可能性がある。それとは反対に、血管形成カテーテルバルーンは、固定サイズのバルーンである。それは、閉塞した動脈を開くために特定の直径に拡張されるサイズである。そのサイズは、バルーンの材料特性によって制限される。バルーンを過剰膨張させようとしても、結果的にバルーンのサイズはほとんど増加しない。血管形成バルーンを形成するために使用されるさまざまな材料には、PET、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン及びPVCが含まれる。
【0004】
気管内挿入管とともに使用することのできる圧力制限器も存在する。この装置は、カフ膨張管腔と一直線状に配置されて、気管内挿入管バルーンカフ(例えば、圧力調整弁Lanz(登録商標)付きの気管内挿入管Mallinckrodt's Hi-Lo(登録商標))内の圧力を制限する。
【0005】
公知の血管形成バルーンは、あまり順応性がなく、長期留置用に設計されていない。長時間にわたって所定位置に入れたままにすると、血管壁の侵食によって血管を損傷させる可能性を生じる。したがって、血管形成バルーンのサイズの制限特性は、腸管理システムの保持カフを制御する有効な方法ではない。
【0006】
気管内挿入管用の既存の圧力調整弁は、本用途に使用するには敏感すぎる。その機能は、カフが気管壁に加えている圧力を制限することである。これは、腸管理装置では望ましくなく、一過性の環境圧力変化(通常の生理的事象、たとえば蠕動の結果であり得る)を(極端な場合を除いて)無視して、特定のカフ膨張体積を維持しなければならない。一般的に、膨張可能なカフを有する公知のカテーテルは、カフが弾性材料で形成されるものであり、カフ内に注入される膨張媒体の量を制限する機構がまったくない。したがって、これらの公知のカフは、過剰膨張しやすい可能性があり、長期留置用途には最適でない。
【0007】
したがって、当該技術分野では、バルーンタイプの固定体積保持カフを備えるとともに逃がし弁を有する留置腸管理装置が必要とされている。さらに、そのような装置の経済性、耐久性及び信頼性が継続的に必要とされている。
【発明の開示】
【0008】
[発明の概要]
本願の腸管理システムの2つの重要な構成要素、すなわち(1)固定最大体積保持カフ/バルーンと、(2)腸管理システムの固定最大体積保持カフ/バルーンの膨張流体路内の逃がし弁とがある。この組み合わせは、後述するように、最終使用者が意図的に(たとえば、漏れ防止を試みて)、又は誤って留置カテーテルのバルーン/カフを過剰膨張させることをできなくする。
【0009】
この固定体積膨張可能カフは、以下の特性を有する。低圧であり、したがって、その通常の膨張体積で直腸の形状に合致する。しかしながら、バルーンのサイズは、それを形成する材料が、気管内挿入管に使用されるもののような他の膨張カフと比べて極めて非弾性的であるため、ほぼ固定的である。使用者が本システムのカフを過剰膨張させようとする場合、そうするための圧力の量は、カフを膨張させるために必要な通常圧力と比べて極端なものとなるであろう。
【0010】
バルーン又は「カフ」は、ナイロン繊維強化シリコーン/ナイロンウェブ強化シリコーン又はナイロン繊維強化ポリウレタン/ナイロンウェブ強化ポリウレタン、ポリエステル繊維強化シリコーン/ポリエステルウェブ強化シリコーン又はポリエステル繊維強化ポリウレタン/ポリエステルウェブ強化ポリウレタン、ナイロン、可撓性PVC、ポリエチレン又はポリエチルテトラエチレン(PET)から成形されてもよい。これらの材料は、予め拡張された状態に成形することができ、これらの材料は伸長性が非常に低いので、ほぼ固定的な所定サイズにのみ膨張するであろう。より多く(過剰)の量をカフに入れようとするいずれの試みによっても、使用者が追加媒体を注入するために加える必要がある圧力量が劇的に増加するであろう。
【0011】
この包括的なタイプの用途に適し得るさまざまな圧力逃がし弁が存在する。また、圧力の非常にわずかな変化も検出する弁は、設計が難しいとともに製造コストが高いが、過剰膨張点付近でバルーン/カフ体積対圧力曲線が急勾配であることにより、この用途に必要な圧力ブリード弁が大幅に簡単になる。したがって、新しい逃がし弁は、高い製造コストである必要がない。バルーン/カフ体積対圧力曲線の比により、環境変動(たとえば蠕動)の結果として通常に発生し得るものより高い圧力で始動するように弁を構成することができる。上記の固定最大体積保持カフ/バルーンを簡単な逃がし弁の追加と組み合わせることにより、最終使用者が意図的に、又は誤ってバルーン/カフを過剰膨張させることのできる能力が実質的になくなる。
【0012】
したがって、固定体積保持カフ/バルーン及び逃がし弁の組み合わせを同一システム内に設け、熟練レベルの低い治療従事者による、それでもカテーテル保持カフの確実且つ安全な膨張の点で信頼できる結果を伴う長時間の腸管理を容易且つ経済的に可能にすることは、本発明の利点に含まれる。
【0013】
したがって、本発明は、上記の目的及び利点を達成するために、簡単に言うと、留置カテーテル内の保持カフ/バルーンの体積を調整するシステムである。本システムは、留置カテーテルの患者近位端に取り付け可能な固定体積膨張可能保持カフと、固定体積膨張可能保持カフに接続されている逃がし弁との組み合わせであり、逃がし弁は、逃がし弁及び膨張管を介して固定体積膨張可能保持カフに膨張流体を選択的に導入するための第1の端部と、膨張管に接続される第2の端部と、逃し弁の第1の端部及び第2の端部間を延びる弁壁と、予め選択された最大保持カフ体積を超えたときに余剰流体を逃がすことのできるポートとを有する。本システムは、固定体積膨張可能保持カフを逃がし弁に接続する膨張管であって、第1の端部及び第2の端部を有して第1の端部及び第2の端部間を延びる膨張管も含む。膨張管の第1の端部が固定体積膨張可能保持カフの内部に液密接続状態にあると共に膨張管の第2の端部が逃がし弁の第2の端部に液密接続状態にあることにより、固定体積膨張可能保持カフ及び逃がし弁を互いに流体連通状態にして、留置カテーテルを患者の器官内に挿入して長時間にわたって安全に保持することを望むときに、固定体積膨張可能保持カフに流体を選択的に充填できるようにする。
【0014】
本発明はまた、簡単に言うと、患者の器官に挿入されるようになっている管腔端部を有するカテーテルと、管腔端部の近傍のカテーテルに取り付けられているバルーンカフであって、患者の器官に挿入されるようになっているバルーンカフとを備えるカテーテルシステムである。バルーンカフは、予め選択された体積にのみ膨張可能である。本システムは、バルーンの内部と流体連通状態にある第1の端部、及び逃がし弁に取り付けられている第2の端部を有する管を備える。逃がし弁は、バルーン及び管内の空間が予め選択されたトリガ圧力を超えると、カフ膨張流体が患者の器官の外部へ放出されるように、管と作動連通状態にある。
【0015】
本発明を適用可能なさらなる領域は、以下に提供する詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定例は、本発明の好適な実施形態を表すが、例示の目的のためだけであって、本発明の範囲を制限する意図はないことを理解されたい。
【0016】
本発明は、詳細な説明及び添付図面からより十分に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[詳細な説明]
全図面を通して、同様な部品を同様な要素番号によって表す。
【0018】
好適な実施形態の以下の説明は、本来的に単なる例示であって、発明、その用途又は使用を制限する意図は決してない。
【0019】
図1及び図1Aは、固定体積保持カフ20と、流体逃がし弁及び流れ遮断機構の両方を含む流体量逃がしアセンブリ23との組み合わせを内部に有する腸管理カテーテルシステム10を示している。腸管理システム10の全体は、導管すなわち主カテーテル14に取り付けられるように開発され、主カテーテル14は、図5に示されるオープンフロー配置にあるときに、患者の体内排泄物を通過させるための内部管腔15を有している。図5に示されるように、腸管理システムの使用は、主カテーテル14を患者の肛門から挿入し、その後に主カテーテル14を患者の直腸内に保持することによる。腸管理システム10を通常の作動位置に保持することは、主カテーテル14の患者近位端16に取り付けられている、図1に膨張位置で示された内部バルーンすなわち固定体積保持カフ20の膨張によって行われる。しかしながら、本システムは、本明細書に記載される固定体積膨張可能カフ及び逃がし弁の組み合わせのために、図5に示されたものと異なっている。
【0020】
カフ/バルーン20は、膨張ポート22Aを介して膨張可能であり、この膨張ポート22Aは、好ましくは単一の膨張管22の一つの端部を介してバルーン20に液密状に貫入する場所である。膨張管22の反対側の自由端部における流体量逃がしアセンブリ23により、膨張流体源を取り付けるとともに、所定量を超えた場合に流体を逃がすための機構が実現される。取り付け機構は好ましくは、たとえば注射器のような膨張流体源を接続するための雌ルーアーコネクタ18又は他の適当な構造体の形を取る。ルーアーコネクタ18は、たとえば、所望ならば図1Aに概略的に示すようなハルキー・ロバーツ社(Halkey-Roberts)の一方弁(one-way(in)valve)アセンブリ19、又は他の適当な遮断機構を備えてもよい。
【0021】
図2A及び図2Bは、一方向の流体量逃がしアセンブリ(弁)23が、流れ遮断部から構成されることを示し、流れ遮断部は、流体量逃がしアセンブリへの流出入を阻止し、またそうすることによって、流体量逃がしアセンブリ内の余剰流体によって生じる圧力の増加を可能にする。中央部分を有する管状の流体逃がしポート24が、エラストマースリーブ28を密接協働状態にはめる寸法のアンダーカット領域26を含んでいる。エラストマースリーブ28は、所定の厚さ及びデュロメータ硬さを有して、流体逃がしの貫通穴30を覆っている。貫通穴30は、外部雰囲気及び膨張管22の内部管腔間を(流体逃がしポート24を介して)連通している。膨張管22は、たとえば図1Aの21の位置で、流体量逃がしアセンブリ23に液密状につながれている。したがって、バルーン20は、流体逃がしポート24の内部管腔と流体連通している。流体逃がしポート24の管腔内の膨張流体が予め選択されたトリガ圧力以下のままである場合、エラストマースリーブ28は貫通穴30を流体緊密シール状に覆う。予め選択されたカフ流体体積閾値を超えると、流体量逃がしアセンブリ内の圧力が増加する。圧力がトリガ圧力に近づき、最終的にそれを超えると、外向きの力がエラストマースリーブ28に加えられて、体積を調節することにより、すなわち、限定的に流体を逃がすことができることにより、過剰システム圧力を解放する。
【0022】
図2Bは、体積閾値を超えた時のエラストマースリーブ28の動作を示している。エラストマースリーブ28は、過剰流体体積から貫通穴30を介して伝わる圧力に応じて延びて、流体逃がしポート24の内部管腔からブリードオフチャネル32を介して外部雰囲気に至る膨張流体用の流体路を生じる。流体逃がしポート24及び膨張管22内の空気又は他の流体は、流体逃がしポート24内の過剰流体体積からの圧力が予め選択された閾値以下に低下するまで、貫通穴30及びブリードオフチャネル32を通って出る。閾値以下になった時点で、エラストマースリーブ28は、それ本来の弾力性のために閉じる。
【0023】
図3は、本願発明に係る腸管理システムの第2の実施形態を示し、これは全体的に110で表され、同一の腸管理システムの構成要素14、20及び22を有している。腸管理システム110は、流体逃しポート124、アンダーカット領域126、エラストマースリーブ128及び貫通穴130を有する流体量逃がしアセンブリ123を備えている。流体量逃がしアセンブリ123は、図4A及び図4Bに最もわかりやすく示されている。第1の実施形態とは異なり、第2の実施形態では、ポート壁内に形成されたブリードオフチャネル32がまったくない。代わりに、エラストマースリーブ128は、開放及び再閉鎖可能なスリット134を有している。固定体積保持カフ20の膨張中、流体逃しポート124の管腔内の余剰流体からの圧力が予め選択された閾値を超えると、スリット134が、空気又は他の膨張流体を内部管腔から逃がすことができる程度まで押し開かれる。流体逃しポート124の内部管腔内の圧力が許容範囲内まで低下すると、エラストマースリーブ128の本来の弾力性によってスリット134が閉じる。このプロセスは、図1の実施形態にも当てはまるように、固定体積保持カフ20の膨張及び収縮に必要なだけ繰り返し可能である。
【0024】
膨張中に起きるように、固定体積保持カフ20内の流体体積が増加する結果として、固定体積保持カフがそのほぼ一定の所定体積に達するまで、固定体積保持カフ内の圧力増加はごくわずかであるが、所定体積に達した時点で、固定体積保持カフ内に追加の膨張流体を入れるために使用者が加えなければならない圧力量は、流体逃がしポート24、124を含めた保持カフ/バルーン膨張流体路全体内の圧力と同様に、急激に増加する。流体逃がしポート24、124内の圧力が所定の好適範囲内のトリガ点を超えると、対応する逃がし弁23、123が一方向に動作して、対応する開口、穴又はスリット30、134を介して流体を放出することができるであろう。逃がし弁が作動した時点で、患者治療従事者は膨張流体の導入を終了する。その後、腸管理システムを実質的に「自己シール」するままにしておくか、所望ならば、たとえば雌ルーアーコネクタ18の上にキャップ(図示せず)を被せることによって、さらに密封することができる。
【0025】
本発明のいずれの開示された実施形態でも、所望の内部圧力の選択は、エラストマースリーブ28、128の弾力性を調節することによって達成されるであろう。さまざまな選択可能な閾圧力に対応して、さまざまな厚さ及び/又はデュロメータ硬さの相互交換可能なスリーブを有することは、本発明の範囲内にある。
【0026】
対応する図面を参照しながら以上に説明してきたような例示的な実施形態に対して、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正を加えることができるであろうから、上記説明に含まれ、且つ添付図面に示されたすべてのことは、制限的ではなく、説明的であると解釈されるべきであるものとする。したがって、本発明の幅及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されることはなく、添付の特許請求の範囲及びその同等物によってのみ定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】固定体積保持カフ及び逃がし弁の新規な組み合わせを備える腸管理システムの第1の実施形態の斜視図である。
【図1A】図1のシステムの弁部分の、弁の第1の端部及び第2の端部を示す縦断面図である。
【図2A】図1の、閉鎖位置にある逃がし弁の部分縦断面図である。
【図2B】図1の、流体を逃がすことができる開放位置にある逃がし弁の部分縦断面図である。
【図3】本発明の固定体積保持カフ/逃がし弁の組み合わせの別の実施形態の、一部破断した斜視図である。
【図4A】図3の、閉鎖位置にある逃がし弁の縦断面図である。
【図4B】図3の、開放位置にある逃がし弁の縦断面図である。
【図5】本発明の装置を使用することができる形式であって、オープンフロー配置で患者に通常に使用する位置に配置し、それにより、体内排泄物が主カテーテルを通して患者から遠位で容易に流れることができるようにした既知の腸管理システムの横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
留置カテーテル内の保持カフ/バルーンの体積を調整するシステム(10、100)であって、
留置カテーテル(14)の患者近位端に取り付け可能な固定体積膨張可能保持カフ(20)と、
前記固定体積膨張可能保持カフに接続されている逃がし弁(23、123)であって、該逃がし弁及び膨張管(22)を介して前記固定体積膨張可能保持カフに膨張流体を選択的に導入するための第1の端部と、前記膨張管に接続される第2の端部と、前記逃し弁の前記第1の端部及び前記第2の端部間を延びる弁壁と、予め選択された最大保持カフ体積を超えたときに余剰流体を逃がすことのできるポート(24、124)とを有する逃がし弁(23、123)と、
前記固定体積膨張可能保持カフ(20)を前記逃がし弁に接続する膨張管(22)であって、該膨張管(22)は、第1の端部及び第2の端部を有して該第1の端部及び該第2の端部間を延び、前記膨張管の前記第1の端部が前記固定体積膨張可能保持カフの内部に液密接続状態にあると共に前記膨張管の前記第2の端部が前記逃がし弁の前記第2の端部に液密接続状態にあることにより、前記固定体積膨張可能保持カフ及び前記逃がし弁を互いに流体連通状態にして、前記留置カテーテル(14)を患者の器官内に挿入して長時間にわたって安全に保持することを望むときに、前記固定体積膨張可能保持カフに流体を選択的に充填できるようにする膨張管(22)と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記固定体積膨張可能保持カフ(20)は、前記固定体積膨張可能保持カフの体積を拡大するように伸長することのできない材料で形成されて、前記固定体積膨張可能保持カフの所定の固定体積を超える体積まで前記固定体積膨張可能保持カフに流体を充填すると、前記固定体積膨張可能保持カフ内の圧力が、予め選択されたトリガ点範囲を超える点まで増加し、その結果、前記逃がし弁を作動させて、該逃し弁が自動的に閉じる点まで前記固定体積膨張可能保持カフ内の圧力が低下するまで流体を放出するようにする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記固定体積膨張可能保持カフ(20)を形成する材料は、ナイロン、PVC、ポリエチレン、PET、ナイロン繊維強化シリコーン、ナイロンウェブ強化シリコーン、ポリエステル繊維強化シリコーン、ポリエステルウェブ強化シリコーン、ポリエステル繊維強化ポリウレタン、ポリエステルウェブ強化ポリウレタン及びナイロン強化ポリウレタンから成る群から選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記固定体積膨張可能保持カフ(20)は、予め拡張された形状に成形される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記逃がし弁(22)の前記ポートは、
ブリードオフチャネル(32)内で終端するとともに、前記膨張管(22)の管腔から前記逃し弁の外部まで貫通穴(30)を画定するアンダーカット領域(26)と、
前記アンダーカット領域(26)内にはまって前記貫通穴を覆う寸法及び形状のスリーブ(28)であって、前記固定体積膨張可能保持カフ(20)にその前記所定最大体積を超えるまで充填した後、余剰流体を前記システム(10)から前記膨張管を経て前記貫通穴を通って前記チャネルから前記逃がし弁の外部まで逃がすことができるだけ十分に屈曲することのできる所定の強さ及び硬さを有するスリーブ(28)と
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記逃がし弁(123)の前記ポート(124)は、
前記膨張管(22)の管腔から前記弁の外部まで貫通穴(130)を画定するアンダーカット領域(126)と、
前記アンダーカット領域内にはまって前記貫通穴を覆う寸法及び形状であると共にスリット(134)を有するスリーブ(128)であって、前記固定体積膨張可能保持カフ(20)にその前記所定最大体積を超えるまで充填すると、余剰流体の体積を前記システム(110)から前記膨張管を経て前記貫通穴を通って前記スリットを通して前記逃がし弁の外部まで逃がすことができるだけ十分に屈曲することのできる所定の強さ及び硬さを有するスリーブ(128)と
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記逃がし弁(23、123)は、一方弁である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
患者の器官に挿入されるようになっている管腔端部を有するカテーテル(14)と、
前記管腔端部の近傍の前記カテーテルに取り付けられているバルーンカフ(20)であって、同様に前記患者の器官に挿入されるようになっており、予め設定された体積にのみ膨張可能であるバルーンカフ(20)と、
前記バルーンカフの内部と流体連通状態にある第1の端部、及び逃がし弁(23、123)に取り付けられている第2の端部を有する管(22)と、
前記バルーンカフ及び前記管内の空間が予め設定された閾体積を超えると、カフ膨張流体が前記器官の外部へ放出されるように、前記管と作動連通状態にある逃がし弁(23、123)と
を備えるカテーテルシステム。
【請求項9】
前記逃がし弁は、
逃がしポート(24、124)と、
前記逃がしポート(24、124)内の弁座(26、126)と、
前記管(22)の前記管腔から前記弁座を通って外部雰囲気に連通する貫通穴(30、130)と、
前記弁座と密接協働状態にはまるとともに前記貫通穴を覆うような寸法及び形状であるエラストマースリーブ(28、128)であって、前記バルーンカフ及び前記カテーテル内の空間が予め設定された閾圧力を超えると、前記エラストマースリーブが変形して前記貫通穴(30、130)を介して前記空間及び前記外部雰囲気間を流体連通させるように、予め設定された弾力性を有するエラストマースリーブ(28、128)と
をさらに有する、請求項8に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記逃がしポートは、チャネル(32)を有し、該チャネルは、前記バルーンカフ(20)の前記所定体積を超えたときに、余剰膨張流体のブリードオフを可能にすることによって流体を放出するように構成される、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記エラストマースリーブ(128)内にスリット(134)をさらに有し、前記空間と前記外部雰囲気との前記流体連通は前記スリットを介して行われ、前記バルーンカフ(20)内の流体の体積が所定体積を超えると、前記システムから余剰流体を放出できる、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記バルーンカフ(20)は、該バルーンカフの体積を拡大するように伸長することのできない材料で形成されて、該バルーンカフの所定の固定体積を超える体積まで前記バルーンカフに流体を充填すると、前記バルーンカフ内の圧力が、予め選択されたトリガ点範囲を超える点まで増加し、その結果、前記逃がし弁を作動させないで、該逃し弁が自動的に閉じる点までバルーンカフ内の圧力が低下するまで流体を放出するようにする、請求項8に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記バルーンカフ(20)を形成する材料は、ナイロン、PVC、ポリエチレン、PET、ナイロン繊維強化シリコーン、ナイロンウェブ強化シリコーン、ポリエステル繊維強化シリコーン、ポリエステルウェブ強化シリコーン、ポリエステル繊維強化ポリウレタン、ポリエステルウェブ強化ポリウレタン及びナイロン強化ポリウレタンから成る群から選択される、請求項8に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記逃がし弁(23、123)は、一方弁である、請求項9に記載のカテーテルシステム。

【図1】
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【図1A】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【公表番号】特表2009−521986(P2009−521986A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548493(P2008−548493)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/008357
【国際公開番号】WO2007/075182
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(591000414)ホリスター・インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】HOLLISTER INCORPORATED
【Fターム(参考)】