説明

固形燃料燃焼装置

【課題】固形燃料燃焼装置において、簡単な構造で保守を容易にする。
【解決手段】固定火格子2上に供給される固形燃料を燃焼する燃焼炉3と、燃焼炉3の下層に形成され燃焼炉3に燃焼空気10を供給する燃焼空気供給室4とを備える固形燃料燃焼装置1において、固定火格子2は、燃焼空気供給室4から燃焼炉3に供給される燃焼空気10を、燃焼炉3の周方向に旋回させる開口部を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスや廃棄物等の固形燃料を燃焼するための固形燃料燃焼装置に関し、更に詳しくは簡単な構造で保守を容易にする固形燃料燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、火格子上で固形燃料を燃焼する火格子燃焼方式の燃焼装置がある。この火格子燃焼方式は、小型燃焼装置から大型ゴミ焼却プラントまで非常に幅広く適用されている。また、上記の火格子燃焼方式の燃焼装置は、火格子上に供給される固形燃料と火格子下から供給される燃焼空気とで燃焼反応が進み、燃焼灰が火格子の隙間から自重で落下するものが一般的である。このような火格子は、固定式と可動式とに分類される。
【0003】
固定式の火格子は構造が単純であり、更に水平式、段階式、傾斜式等に細分化される。これら固定式の火格子は、共通して、燃焼灰がガラス状になったクリンカーが火格子に固着して火格子の開口部を塞いでしまうことがある。したがって、自動運転の維持に不可欠な安定燃焼を阻害するという問題や、清掃等の保守に手間がかかるという問題等がある。そのため、燃焼が完全に終了した後に掃除をしてから新たな固形燃料を投入するバッチ式の運転形態を採っているのが一般的である。
【0004】
また、クリンカーが火格子の開口部を塞ぐのを防止するために、固定火格子上の固形燃料や燃料灰を適宜均すプッシャーやレーキ、炉床下から適宜燃焼灰を一定速度で掻き出す機械装置等を具備したものもある。
【0005】
更に、クリンカーが火格子の開口部を塞ぐのを防止するために、第1の固定火格子と、この第1の固定火格子よりも下方に位置し第1の固定火格子よりも小さい空気通過孔を有する第2の固定火格子と、第2の固定火格子上の燃料灰を灰取出し口に押し出すプッシャーとを具備した燃焼装置が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
一方、可動式の火格子は、火格子を連続的又は周期的に可動させることで固形燃料の攪拌と燃焼灰による火格子の閉塞を防止することが特徴である。この可動式の火格子は、更に揺動式、摺動式、反転式、移動式、回転式等に細分化される。これら可動式の火格子は、固形燃料の投入、乾燥、ガス化燃焼、火炎燃焼、おき燃焼、灰排出の反応・処理速度、火格子可動速度等を同期させる必要がある。
【特許文献1】特開平1−263411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1の技術は、クリンカーが火格子の開口部を塞ぐのを防止するために、第1の固定火格子から第2の固定火格子へ燃焼灰を落とし、この燃焼灰をプッシャーにより押出しているが、固定火格子を2段構造としなければならず、更にプッシャーを制御しなければならないため、構造が複雑になってしまうという問題があった。
【0008】
また、可動式の火格子燃焼方式は、火格子の閉塞を防止して保守の容易化を図っているが、固形燃料の投入、乾燥、ガス化燃焼、火炎燃焼、おき燃焼、灰排出の反応・処理速度、火格子可動速度等を同期させるために複雑な制御を行わなければならないため、燃料の種別に応じた同期制御に困難を伴い、複雑な構造、装置の大型化、高価等の問題があり汎用的ではなかった。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で保守を容易にする固形燃料燃焼装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の固形燃料燃焼装置は、固定火格子上に供給される固形燃料を燃焼する燃焼炉と、上記燃焼炉の下層に形成され上記燃焼炉に燃焼空気を供給する燃焼空気供給室とを備える固形燃料燃焼装置において、上記固定火格子は、上記燃焼空気供給室から上記燃焼炉に供給される燃焼空気を、上記燃焼炉の周方向に旋回させる開口部を有する構成とする。
【0011】
この構成によれば、燃焼空気供給室から供給される燃焼空気が制御を要さずに燃焼炉の周方向に旋回し、この燃焼空気の旋回によって固形燃料の燃焼に伴い発生する燃焼灰も旋回し、炉壁や炉頂等に接触して細かくなり、燃焼ガスと共に排出されやすくなる。
【0012】
好ましくは、上記固定火格子は、上面が略扇状のブロック部材を複数組み合わせてなり、上記複数のブロック部材間の、上記燃焼炉の中心に対して放射状に形成される間隙部分が、上記燃焼空気を上記燃焼炉の周方向に旋回させる上記開口部となる構成とする。
【0013】
より好ましくは、上記固定火格子は、上記燃焼炉に対し着脱自在である構成とする。
また、上記燃焼炉に立設する筒状部材と、上記燃焼空気供給室の更に下層に形成された燃焼灰分離部と、上記筒状部材に連通し、且つ上記燃焼空気供給室を貫通して上記燃焼灰分離部に開口し、上記燃焼炉にて生じる燃焼ガス及び燃焼灰を上記燃焼灰分離部に導く燃焼ガス通過部とを更に備える構成とするとよい。
【0014】
その際、上記筒状部材は、上記燃焼炉に対し着脱自在である構成とするとよい。
更に、上記燃焼空気供給室は、上記固形燃料燃焼装置外の空気を取り込む燃焼空気供給ファンを利用して、上記燃焼灰分離部から一部の上記燃焼ガスを吸引し、上記燃焼空気に混ぜ込むエジェクタを有する構成とするとよい。
【0015】
好ましくは、上記燃焼炉は、上記燃焼炉の側面に形成される炉壁に、上記固形燃料を供給するための固形燃料供給口と、上記固形燃料供給口の下方に位置し上記固形燃料を燃焼する燃焼手段とを有する構成とするとよい。
【0016】
また、上記燃焼炉は、上記燃焼炉の炉頂に、上記固形燃料を供給するための固形燃料供給口と、上記固形燃料供給口の下方に位置し上記固形燃料供給口から供給される上記固形燃料を上記固定火格子上に分散させる分散部材とを有する構成とするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、固定火格子が、燃焼空気供給室から燃焼炉に供給される燃焼空気を、燃焼炉の周方向に旋回させる開口部を有することで、燃焼空気供給室から供給される燃焼空気が制御を要さずに燃焼炉の周方向に旋回し、この燃焼空気の旋回によって固形燃料の燃焼に伴い発生する燃焼灰も旋回し、炉壁や炉頂等に接触して細かくなり、燃焼ガスと共に排出されやすくなるため、簡単な構造で保守を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る固形燃料燃焼装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る固形燃料燃焼装置を示す概略断面図である。図2Aは上記燃焼装置の固定火格子を示す分解組立図であり、図2Bは上記固定火格子の開口部を示す概略断面図である。図3は、上記固形燃料燃焼装置の固定火格子及び燃焼部を炉頂側から見た断面図である。
【0019】
図1において、固形燃料燃焼装置1は、固定火格子2、燃焼炉3、燃焼空気供給室4、燃焼灰分離部5、エジェクタ6、筒状部材7、燃焼ガス通過部8等からなる。固定火格子2は、図2Aに示すように、ブロック部材9を複数組み合わせてなり、各ブロック部材9は、天板9aと、天板9aの下部のうち固定火格子2の最内周部に相当する位置に形成される内側脚部9dと、最外周部に相当する位置に形成される外側脚部9eとからなる。
【0020】
ここで、天板9aの上面は略扇状の形状を呈しており、同図に示す点線部分から、水平面に対して下方に傾斜する曲面又は平面の傾斜面9cを有している。この傾斜面9cの先端には、隣接するブロック部材9の天板9aの下方に所定の間隙をもって延出する突起部9bが形成されている。これにより、図2Bに示すように、傾斜面9cと隣接する天板9aとの間に開口部Bが形成され、燃焼空気10を燃焼炉の周方向(図2Aに示す矢印a)に旋回させている。また、この開口部Bは、図2Aに示す燃焼炉中心軸Aに対して放射状に開口している。
【0021】
そして、図1に示す燃焼炉3の炉壁3aには、点火用油焚バーナ等の不図示の燃焼手段が配置される燃焼部3b、該燃焼部3bの上方に位置し固形燃料を供給するための固形燃料供給口3cが形成されている。この固形燃料供給口3cは、燃焼部3bに配置される燃焼手段としての点火用油焚バーナ等の送風によって固形燃料を分散させる位置として燃焼部3bの上方に位置している。
【0022】
また、図3に示すように、燃焼部3bは、各ブロック部材9間の開口部が燃焼空気を旋回させる方向aと略同方向に、且つブロック部材9の外周部に対し接線方向bに、不図示の燃焼手段が固形燃料を燃焼するように位置している。なお、同図に示すように、各ブロック部材9は、着脱を容易にするために炉壁3aと後述する筒状部材7との間に所定の間隔をもって配置されている。また、燃焼炉3の炉壁3aや炉頂3dには、その他にも、炉内掃除口、火炎検出器、炉内圧力検出口、炉内覗き窓等を設けることが望ましい。
【0023】
次に、燃焼空気供給室4は、燃焼炉3の下層に形成され、固定火格子2のブロック部材9間の開口部を介して燃焼炉3に燃焼空気10を供給している。また、燃焼空気供給室4の側壁4aには、エジェクタ6が配置されている。このエジェクタ6は、固形燃料燃焼装置1外の空気を取り込む不図示の燃焼空気供給ファンを利用して、燃焼空気供給室4の更に下層に形成される燃焼灰分離部5から、燃焼灰分離部5との仕切り板4bの隙間4cを介して一部の燃焼ガス11を吸引し、燃焼空気10に混ぜ込む役割を果たしている。
【0024】
ここで、エジェクタ6は、燃焼空気供給室4側の開口部6bに向かってテーパ状になっており、開口部6bの外周囲に一部で固定され該エジェクタ6と同軸の円筒状の部材6aが設けられている。なお、燃焼空気供給室4の側壁4aには、固定火格子2の開口部から落下する燃焼灰を取出すための燃焼灰取出し口が設けられていることが望ましい。
【0025】
また、燃焼炉3内に立設する筒状部材7は、後述する円筒形状の燃焼ガス通過部8の最上部が嵌合するように中央が開口した円形の板状部材8a上に位置している。この板状部材8aには、ブロック部材9の内側脚部9dも筒状部材7と所定の間隔をもって位置している。更に、ブロック部材9の外側脚部9eは、燃焼空気供給室4の側壁4aに突出するように形成された支持部4d上に炉壁3aと所定の間隔をもって位置している。
【0026】
ここで、上述のように、ブロック部材9の内側脚部9d及び外側脚部9eは、それぞれ筒状部材7及び側壁4aに所定の間隔をもって位置しており、ブロック部材9の燃焼炉3からの着脱を容易にしている。なお、筒状部材7及びブロック部材9を着脱自在にするため、及び燃焼炉3内のクリンカーを取り除くため、炉壁3aには炉内掃除口が設けられているものとする。
【0027】
また、例えば円筒形状の燃焼ガス通過部8は、燃焼炉3にて生じる燃焼ガス11及び燃焼灰を燃焼灰分離部5に導くために、筒状部材7に連通し、且つ燃焼空気供給室4及び仕切り板4bを貫通して燃焼灰分離部5に開口している。なお、燃焼灰分離部5に導かれる燃焼ガス11及び燃焼灰は、後述するが、燃焼灰分離部5において比較的粒度の大きい燃焼灰が分離し、不図示の熱交換器等へ送風される。
【0028】
次に、上述の固形燃料燃焼装置1を用いた固形燃料の燃焼を、図1を参照しながら説明する。
まず、固形燃料供給口3cからペレット等の固形燃料を固定火格子2上に供給する。この際、固形燃料供給口3cの下方に位置し燃焼部3bに配置される燃焼手段としての点火用油焚バーナ等の送風によって固形燃料が固定火格子2上に分散される。そして、点火用油焚バーナ等により固形燃料を燃焼させる。
【0029】
ここで、固形燃料の燃焼の際には、固定火格子2を形成する複数のブロック部材9間の、燃焼空気10を燃焼炉3の周方向に旋回させるように開口した図2Bに示す開口部Bを介して、燃焼空気供給室4から燃焼空気10を供給する。そのため、燃焼空気10は、燃焼炉3の周方向に旋回する。
【0030】
なお、不図示の燃焼空気供給ファンから燃焼空気供給室4に供給される燃焼空気10は、エジェクタ6に設けられた円筒状部材6aによって燃焼空気供給室4に分散される。
そして、燃焼空気10の旋回によって、固形燃料の燃焼により生じる燃焼ガス11及び燃焼灰も旋回しながら上昇する。その際、燃焼灰は炉壁3aや炉頂3d等と接触して細かくなる。
【0031】
次に、燃焼ガス11及び燃焼灰は、筒状部材7から吸引され、燃焼ガス通過部8を介して燃焼灰分離部5に導かれる。そして、燃焼灰は、燃焼ガス通過部8から流路の大きい燃焼灰分離部5に到達して流速が落ちると共に、流れ方向が変わるため、比較的粒度の大きい燃焼灰が分離する。このように、燃焼灰は、燃焼炉3内等で細かくなり、燃焼灰分離部5で一部が分離した後、燃焼ガス11と共に不図示の熱交換器等へ送風される。
【0032】
ここで、燃焼灰分離部5に到達した一部の燃焼ガス11は、仕切り板4bの隙間4cを介して燃焼空気供給室4に吸引され、燃焼空気10と共に再度燃焼炉3に供給される。以上のようにして、固形燃料の燃焼が完了する。
図4は、上記固形燃料燃焼装置を温水発生機に適用した例を示す概略断面図である。
【0033】
固形燃料燃焼装置1は、外壁12の中に中吊りになった状態で設置されており、これら固形燃料燃焼装置1と外壁12との間は熱媒体としての水13で満たされている。この水13は、内蔵若しくは外付けの循環ポンプによって流動し、不図示の温度制御器によって目標温度に制御されている。また、水13は、ここでは炉頂3dの上方に形成される供給口12aから供給される。
【0034】
同図において、燃焼灰分離部5を通過した燃焼ガス11は、水13に熱を奪われながら再度上昇し、灰分離部5で分離されなかった粒度の小さい燃焼灰及び燃焼ガス11が不図示の排出口から排出される。
【0035】
図5は、上記固形燃料燃焼装置を温風発生機に適用した例を示す概略断面図である。
固形燃料燃焼装置1は、外壁14の中に中吊りになった状態で設置されており、これら固形燃料燃焼装置1と外壁14との間には熱媒体としての空気が満たされている。この空気は、炉頂3dの上方に配置される送風ファン15によって流動し、不図示の温度制御器によって目標温度に制御されている。
【0036】
同図において、燃焼灰分離部5を通過した燃焼ガス11は、熱媒体としての空気に熱を奪われながら再度上昇し、灰分離部5で分離されなかった粒度の小さい燃焼灰及び燃焼ガス11が不図示の排出口から排出される。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る固形燃料燃焼装置1によれば、固定火格子2が、燃焼空気供給室4から燃焼炉3に供給される燃焼空気10を、燃焼炉3の周方向aに旋回させる開口部Bを有することで、燃焼空気供給室4から供給される燃焼空気10が制御を要さずに燃焼炉3の周方向aに旋回し、この燃焼空気10の旋回によって固形燃料の燃焼に伴い発生する燃焼灰も旋回し、炉壁3aや炉頂3d等に接触して細かくなり、燃焼ガス11と共に排出されやすくなるため、簡単な構造で保守を容易にすることができる。
【0038】
また、固定火格子2が、上面が略扇状のブロック部材9を複数組み合わせてなり、複数のブロック部材間の、燃焼炉3の中心Aに対して放射状に形成される開口部Bを、燃焼空気10を燃焼炉3の周方向aに旋回させる開口部Bとすることで、ブロック部材9が容易に着脱できるため、固定火格子2を燃焼炉3に対し着脱自在にすることができる。
【0039】
また、燃焼炉3の固形燃料供給口3cの下方に位置する燃焼手段としての点火用油焚バーナ等により、固形燃料供給口3cから供給される固形燃料を固定火格子2上に分散することにより、固形燃料が効率良く燃焼し、保守を一層容易にすることができる。
【0040】
また、燃焼炉3が、開口部Bが燃焼空気10を旋回させる方向aと略同方向に、且つ固定火格子2の外周部に対し接線方向bに、固形燃料を燃焼する燃焼手段を有することで、開口部Bから燃焼炉3の周方向aに旋回するように供給される燃焼空気10によって固形燃料を燃焼させるため、固形燃料が効率良く燃焼し、保守を一層容易にすることができる。
【0041】
また、燃焼炉3に立設する筒状部材7と、燃焼空気供給室4の更に下層に形成された燃焼灰分離部5と、筒状部材7に連通し、且つ燃焼空気供給室4を貫通して燃焼灰分離部5に開口し、燃焼炉3にて生じる燃焼ガス11及び燃焼灰を燃焼灰分離部5に導く燃焼ガス通過部8とを設けたことにより、燃焼ガス11及び燃焼灰を燃焼炉3から燃焼灰分離部5に降下させることになり、燃焼灰分離部5において燃焼ガス11及び燃焼灰の流れ方向が変わって燃焼灰が燃焼ガス11から分離しやすくなると共に、燃焼ガス通過部8が燃焼空気供給室4内を貫通するため、固形燃料燃焼装置1の小型化が実現する。
【0042】
また、筒状部材7を燃焼炉3に対し着脱自在としたことで、筒状部材7に固着したクリンカー等を簡単に清掃でき、保守が一層容易になる。
【0043】
また、燃焼空気供給室4に、固形燃料燃焼装置1外の空気を取り込む不図示の燃焼空気供給ファンを利用して、燃焼灰分離部5から一部の燃焼ガス11を吸引し、燃焼空気10に混ぜ込むエジェクタ6を配置したため、燃焼ガス11の再循環によってクリンカーの形成を抑制しながら、少ない空気過剰率で未燃の出にくい燃焼を実現した。更に、燃焼ガス11の再循環量は、燃焼装置4と燃焼灰分離部5との間の仕切り板4bの隙間4cから吸引される燃焼ガス11の一部であるため、高静圧ファンやコンプレッサを用いる必要がなく、消費電力を削減することができる。
【0044】
図6は、本発明の他の実施形態に係る固形燃料燃焼装置を示す概略断面図である。
本実施形態に係る固形燃料燃焼装置21は、燃焼炉3の固形燃料供給口3eの位置が炉壁3aではなく炉頂3dに形成されている点のみ上記第1実施形態と異なるため、詳細な説明は省略する。
【0045】
同図において、燃焼炉3は、燃焼炉の炉頂3dに、固形燃料を供給するための固形燃料供給口3cを有している。また、固形燃料供給口3cの下方には、固形燃料供給口3cから供給される固形燃料を固定火格子2上に分散させる分散部材としての傘3fが例えば2本の接続部3g,3gによって固形燃料供給口3cの底面に接続されている。
【0046】
本実施形態に係る固形燃料燃焼装置21によれば、上記一実施形態に係る固形燃料燃焼装置1の効果に加え、固形燃料供給口3cから供給される固形燃料を傘3fにより固定火格子2上に分散させることにより、固形燃料が効率良く燃焼し、保守を一層容易にすることができる。
【0047】
なお、本実施形態に係る固形燃焼装置21についても、上記図4に示す温水発生器機や上記図5に示す温風発生機に適用可能である。その場合には、固形燃料供給口3cを避けるように、図4に示す水の供給口12cや図5に示す送風ファン15を配置するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る固形燃料燃焼装置を示す概略断面図である。
【図2A】上記固形燃料燃焼装置の固定火格子を示す分解組立図である。
【図2B】上記固定火格子の開口部を示す概略断面図である。
【図3】上記固形燃料燃焼装置の固定火格子及び燃焼部を炉頂側から見た断面図である。
【図4】上記固形燃料燃焼装置を温水発生機に適用した例を示す概略断面図である。
【図5】上記固形燃料燃焼装置を温風発生機に適用した例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る固形燃料燃焼装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 固形燃料燃焼装置
2 固定火格子
3 燃焼炉
3a 炉壁
3b 燃焼部
3c 固形燃料供給口
3d 炉頂
3e 固形燃料供給口
3f 傘
3g 接続部
4 燃焼空気供給室
4a 側壁
4b 仕切り板
4c 隙間
5 燃焼灰分離部
6 エジェクタ
6a 円筒状部材
6b 開口部
7 筒状部材
8 燃焼ガス通過部
8a 板状部材
9 ブロック部材
9a 天板
9b 突起部
9c 傾斜面
9d 内側脚部
9e 外側脚部
10 燃焼空気
11 燃焼ガス
12 外壁
12a 供給口
13 水
14 外壁
15 送風ファン
21 固形燃料燃焼装置
A 燃焼炉中心軸
B 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定火格子上に供給される固形燃料を燃焼する燃焼炉と、該燃焼炉の下層に形成され該燃焼炉に燃焼空気を供給する燃焼空気供給室とを備える固形燃料燃焼装置において、
前記固定火格子は、前記燃焼空気供給室から前記燃焼炉に供給される前記燃焼空気を、前記燃焼炉の周方向に旋回させる開口部を有することを特徴とする固形燃料燃焼装置。
【請求項2】
前記固定火格子は、上面が略扇状のブロック部材を複数組み合わせてなり、該複数のブロック部材間の、前記燃焼炉の中心に対して放射状に形成される間隙部分が、前記燃焼空気を前記燃焼炉の周方向に旋回させる前記開口部となることを特徴とする請求項1記載の固形燃料燃焼装置。
【請求項3】
前記固定火格子は、前記燃焼炉に対し着脱自在であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の固形燃料燃焼装置。
【請求項4】
前記燃焼炉に立設する筒状部材と、
前記燃焼空気供給室の更に下層に形成された燃焼灰分離部と、
前記筒状部材に連通し、且つ前記燃焼空気供給室を貫通して前記燃焼灰分離部に開口し、前記燃焼炉にて生じる燃焼ガス及び燃焼灰を前記燃焼灰分離部に導く燃焼ガス通過部と
を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項記載の固形燃料燃焼装置。
【請求項5】
前記筒状部材は、前記燃焼炉に対し着脱自在であることを特徴とする請求項4記載の固形燃料燃焼装置。
【請求項6】
前記燃焼空気供給室は、前記固形燃料燃焼装置外の空気を取り込む燃焼空気供給ファンを利用して、前記燃焼灰分離部から一部の前記燃焼ガスを吸引し、前記燃焼空気に混ぜ込むエジェクタを有することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の固形燃料燃焼装置。
【請求項7】
前記燃焼炉は、該燃焼炉の側面に形成される炉壁に、前記固形燃料を供給するための固形燃料供給口と、該固形燃料供給口の下方に位置し前記固形燃料を燃焼する燃焼手段とを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項記載の固形燃料燃焼装置。
【請求項8】
前記燃焼炉は、該燃焼炉の炉頂に、前記固形燃料を供給するための固形燃料供給口と、該固形燃料供給口の下方に位置し該固形燃料供給口から供給される前記固形燃料を前記固定火格子上に分散させる分散部材とを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項記載の固形燃料燃焼装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−139391(P2007−139391A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337601(P2005−337601)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000111292)ネポン株式会社 (24)
【出願人】(390029207)オリンピア工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】