説明

固形物粉砕機

【課題】投入された固形物の塊を粒状に粉砕しながら径が一定以下の粒状の物だけを取り出して排出する動作を効率よく行うことができる固形物粉砕機の構成を提供する。
【解決手段】外周面に複数のロッド10が立設された2本の回転軸8が互いに同じ高さで平行で水平に支持されている。また、2本の回転軸8のロッド10を設けた部分を収容する粉砕部筐体22を有する。粉砕動作時には、固形物の塊が投入口23aから筐体22内に投入され、回転する2本の回転軸8のロッド10により順次粒状に粉砕される。ロッド10の回転スペースの下側に面して、複数本のふるい棒27を平行に支持してなるふるいが設けられている。粉砕物の内で径がふるい棒27どうしの隙間に対応した一定値以下の粒状のものが前記隙間を通過して落下し、筐体22外に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形部粉砕機、更に詳細には、固液分離で脱水した後の板状固形物の塊を粒状に粉砕して排出する固形物粉砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
径が例えば数cm〜数十cmの固形物の塊を順次投入し、径が一定以下、例えば5mm程度以下の粒状に粉砕して排出する固形物粉砕機の需要がある。この固形物粉砕機の粉砕機構の構成として、本出願人が先に提案した混練装置の混練機構の構成を利用することが考えられる(特許文献1及び2参照)。その混練装置は、粉状物質と液体の混合物を攪拌して混練するものである。そして、混練機構の構成として、互いに平行に架設された2本の回転軸を有し、回転軸のそれぞれの外周面にはロッドやパドルなどの混練部材(突起部材)が複数立設されている。そして、2本の回転軸を互いに逆方向に回転させることにより、それぞれの混練部材が粉状物質と液体の混合物を攪拌し、回転軸の軸方向に搬送しながら混練する。そのとき2本の回転軸の混練部材が互いに相手の回転軸の外周面および混練部材に付着した混練物を掻き落とす、いわゆるセルフクリーニングを行うように構成することもできる。
【0003】
このような混練機構の構成を固形物粉砕機の粉砕機構に利用すれば、回転する2本の回転軸の複数の混練部材が固形物の塊に対して連続的に繰り返し力を加えて塊を粒状に粉砕することができる。また、固形物が水分を含むなどして付着性が強い場合でも、上記のセルフクリーニングによって粉砕を支障なく行えると考えられる。
【特許文献1】特開平10−277376号公報
【特許文献2】特開2006−239554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、混練装置の混練機構の構成を利用すれば、固形物の塊を粒状に粉砕すること自体は可能である。しかし、その構成をそのまま利用するだけでは、固形物の塊を粉砕しながら、粉砕物の内から径が一定以下の粒状のものだけを取り出して排出することはできない。すなわち、排出物の全部について一様に径が一定以下の粒状にすることはできない。そして、排出物の一部は径が前記一定の径より大きな粒ないし塊状となり、他の一部は径が小さくなり過ぎて粉状となり、水分を含む場合は練られた物となってしまう、というようなことが生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明の課題は、投入された固形物の塊を粒状に粉砕しながら径が一定以下の粒状の物だけを取り出して排出する動作を効率よく行うことができる固形物粉砕機の構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明による固形物粉砕機は、
投入された固形物の塊を粒状に粉砕して排出する固形物粉砕機であって、
それぞれ外周面に複数の突起部材が立設された水平に延びる複数の回転軸と、
前記複数の回転軸の下方で該回転軸の延びる方向に設けられた複数本の棒からなるふるいと、を有し、
前記ふるいの複数本の棒は、各棒間に隙間が形成されるように互いに所定間隔隔てて配置され、
固形物の塊が前記複数の回転軸の回転駆動で回転する前記複数の突起部材により粉砕され、粉砕された粉砕物が前記複数本の棒間の隙間を通りふるい落とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固形物粉砕機によれば、筐体内に投入された固形物の塊を回転する複数の回転軸の複数の突起部材により粒状に粉砕しながら、ふるいを介して、粉砕物の内から径が一定以下の粒状の物だけを取り出して筐体外に排出することができる。そして、簡単で安価に実現できる構成により、投入された固形物の塊を粒状に粉砕しながら径が一定以下の粒状の物だけを取り出して排出する動作を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付した図を参照して、本発明を実施するための最良の形態の実施例を説明する。
【実施例】
【0009】
図1〜図9は、実施例の固形物粉砕機(以下、単に粉砕機ともいう)の構成を説明するものである。図1〜図4において、1aは下フレーム、1bは上フレーム、1c,1d,1eはフレームスタンドである。これらを組み立てて支持部材としてのフレームが構成される。このフレーム上に、粉砕機の粉砕機構などのフレーム以外の構成部材が組み付けられて支持される。なお、不図示の外部のベルトコンベアが下フレーム1aと上フレーム1bの間に、もしくは下フレーム1aの下に配置される。
【0010】
上フレーム1b上には軸受スタンド2及び3が固定されており、軸受スタンド2には軸受4,5が固定され、軸受スタンド3には軸受6,7が固定されている(図4参照)。軸受4,6により回転軸8の両端部が回転可能に支持され、また、軸受5,7により回転軸9の両端部が回転可能に支持されている。回転軸8,9は、互いに同じ高さの所で相手の軸方向に沿って平行に並んで水平に支持されている。なお、厳密に同じ高さでなくて略同じ高さでもよく、水平でなくて略水平でもよい。回転軸8,9の図4中で右端部にはギヤ12,13が固定されており、互いに噛み合っている。
【0011】
また、モータ17と減速機16のユニットが上フレーム1b上に設けられている。減速機16の出力軸16aは軸継手15,14を介して回転軸8の右端部に連結されている。モータ17の回転駆動力が減速機16、軸継手15、14を介して回転軸8に伝達される。これにより回転軸8が駆動軸として回転駆動される。さらにその回転駆動力がギア12,13を介して回転軸9に伝達される。これにより回転軸9が従動軸として回転軸8に従動して回転軸8と逆方向に回転するようになっている。
【0012】
一方、回転軸8,9の中間部は両端部より径が大きな大径部として形成されている。各回転軸8、9の大径部はそれぞれ同じ径となっている。回転軸8の大径部の外周面には複数のロッド10が立設され、また、回転軸9の大径部の外周面にも複数のロッド11が立設されている。ロッド10,11は、互いに同じ丸棒状のものであり、粉砕機の後述する粉砕部筐体22に投入された固形物の塊に対して連続的に繰り返し力を加えて塊を粉砕するための突起部材である。ロッド10,11の代わりに例えば長方形の板状など他の形状の突起部材を設けてもよい。
【0013】
本実施例では、粉砕動作時に回転軸8,9の回転に伴ってセルフクリーニングが行われるように構成する。すなわち、複数のロッド10,11どうしが互いに相手の回転軸9,8の大径部の外周面およびロッド11,10に付着した固形物を掻き落とすように構成する。このため、本実施例ではロッド10,11の配置などが以下のように構成される。
【0014】
ロッド10は、1条の螺旋形の線に沿って並ぶように配置されている。すなわち、各ロッド10は、それぞれ回転軸8の軸方向に所定の等距離隔てて、また周方向に全周の360°を8等分する45°の角度ピッチで螺旋状に並ぶように配置されている(図5参照)。ロッド11も、基本的にはロッド10と同様に、回転軸9の軸方向に上記所定の等距離隔てて1条の螺旋形の線に沿って並ぶように配置されている。ただし、周方向には360°を10等分する36°の角度ピッチで螺旋状に並ぶように配置されている。また、ロッド11が並ぶ螺旋はロッド10の並びが形成する螺旋とは逆螺旋となっている。なお、ロッド10,11は、互いに回転軸8,9の軸方向に垂直な方向に対向する位置に配置される。
【0015】
また、回転軸8、9は、回転軸8、9が回転するにつれてロッド10、11の先端が対向する回転軸の外周面に近接するような位置に配置される。
【0016】
また回転軸8,9は互いに不等速で回転されるものとする。そして、回転軸8,9の単位時間あたりの回転数比(ギア12,13のギア比の逆数の比)は、上記角度ピッチの比と同比、ここでは45°:36°つまり5:4とする。このような構成により、ロッド10、11どうしが衝突することがなくなる。また、ロッド10の並びが形成する螺旋ピッチとロッド11の並びが形成する螺旋ピッチの比は、回転軸8、9の回転数比(5:4)と逆比、つまり1:1.25となり、回転軸8,9の軸方向の搬送速度は同じになる。
【0017】
なお、ロッド10,11の配置などの構成は上記のものに限らないことは勿論である。ロッド10,11をそれに沿って並べる螺旋形の線は複数条でもよい。また、上記の角度ピッチの比と回転数比は5:4に限らず、一般的に言うと、Nを2以上の整数としてN:N−1とすればよい。
【0018】
一方、図4中に符号18及び19で示すゴムなどの弾性材で構成される弾性車(以下、ゴム車という)が回転軸8,9の両端部で大径部の外側近傍のそれぞれに固定して設けられている。ゴム車18,19は、図6及び図9に示すように星形ないしヒトデ形の厚板状に形成されている。ゴム車18には4つの突起18aが周方向に等角度(90°)間隔で突出して形成されている。ゴム車19には5つの突起19aが周方向に等角度(72°)間隔で突出して形成されている。ゴム車18の突起18a間の角度とゴム車19の突起19a間の角度の比(90°:72°)は、回転軸8、9の回転数比と同比(5:4)となっているので、回転軸8、9が回転し、それに同期してゴム車18、19が回転しても、それぞれの突起18a、19aが衝突することはない。また、ゴム車18,19には孔18b,19bが中央に形成されており、これに回転軸8,9の端部が挿通される。ゴム車18,19は、後述するふるい棒27(図2参照)を回転させるための手段である。ゴム車18,19の孔18b,19bの中心(回転軸8,9の中心)から突起18a,19aの先端までの寸法は、回転軸8,9の中心からロッド10,11の先端までの寸法より僅かに大きくされている。
【0019】
また、図1〜図3中に符号20で示す支持部材である支持台が上フレーム1b上の2箇所(ゴム車18,19の外側近傍の下方)に設けられている。支持台20は、上フレーム1bに対して、防振ゴム21を介して取り付けられている。防振ゴム21は、後述するバイブレータ24からの振動を吸収するものであり、防振ゴム21の代わりにばねなどの他の弾性部材を用いてもよい。
【0020】
そして、この2つの支持台20上に、図1及び図2中で符号22により全体を示す粉砕部筐体(以下、単に筐体という)が支持されている。この筐体22は、回転軸8,9のロッド10,11とゴム車18,19を設けた部分を収容している。すなわち、回転軸8,9の回転に伴ってロッド10,11とゴム車18,19が回転する回転スペースを包囲している。そして、筐体22には、ロッド10,11の回転スペースの下側に面してふるいが設けられている。
【0021】
筐体22は、上板23と側板25,26と上記ふるいから構成される。ふるいは、複数本(例えば数十本)のふるい棒27と、それぞれ2枚の棒支持板28及び棒間隔規制板29から構成される。なお、図1ではふるい棒27の個々の図示は省略し、ふるい棒27を配置した領域全体の輪郭のみを1点鎖線で示してある。図2ではふるい棒27の配置領域の下半部のみで個々のふるい棒27を図示し、配置領域の上半部についてはその輪郭のみを1点鎖線で示してある。
【0022】
上板23は、図5及び図6に示すように、ロッド10,11とゴム車18,19の回転スペースの上側を覆うものである。上板23は、図5及び図6中の左右の両端部が4分の1の円弧状に湾曲した板状に形成されている。前記湾曲の円弧は、ゴム車18,19の回転による突起18a,19aの先端の回転軌跡の外側に沿っている。
【0023】
また、図1及び図2に示すように、側板25,26は、回転軸8,9の軸方向に沿った上板23の長さ方向の両端のそれぞれにボルト締めなどで固定されている。そして、側板25,26のそれぞれの下端部が2つの支持台20のそれぞれにボルト締めなどで固定されることにより、筐体22の全体が支持台20上に支持されている。また、側板25,26により、ロッド10,11とゴム車18,19の回転スペースの図1,図2中で左右両側(回転軸8,9の軸方向の両側)が覆われる。
【0024】
また、図1中で上板23の右端部の上側には、投入口23aが設けられており、ここから不図示の固形物の塊が筐体22内に投入される。さらに、上板23の中央部の上側にはバイブレータ24が固定されており、その駆動により筐体22の全体が振動するようになっている。
【0025】
なお、詳しく図示していないが、側板25,26は、それぞれの中央部に形成された孔に回転軸8,9の両端部を挿通させて、上板23の両端に固定される。バイブレータ24の駆動により側板25,26が振動しても、その中央部の孔の縁が回転軸8,9の両端部の外周面に当たったり擦ったりしないようにする。そのため、その孔の径は回転軸8,9の両端部の径より適当に大きくする。
【0026】
また、ふるいを構成するふるい棒27は、真直ぐに回転軸8、9が延びる方向、つまり水平に延びており、その長さは回転軸8,9のロッド10,11を立設した大径部より少し長い。ふるい棒27の両端部にはねじ溝が切られており、それぞれに抜け止め用のナット27aが2つずつねじ込まれて取り付けられる。組になった2つのナット27aは、互いのねじ溝の巻回の向きが逆向きになるようにねじ込まれる。これは後述のように、ナット27aが回転するゴム車18,19の突起18a,19aによって擦られても、ふるい棒27に対して回転せず、ふるい棒27から外れないようにするためである。
【0027】
なお、本実施例ではふるい棒27の断面形状を円形にしているが(図5〜図8参照)、例えば正三角形、正方形、正六角形などの他の形状としてもよい。
【0028】
棒支持板28は、複数本のふるい棒27を平行に支持するための支持部材である。また棒間隔規制板29は平行に支持される複数本のふるい棒27どうしの間隔を所定間隔に隔てて配置するための間隔規制部材である。棒支持板28と棒間隔規制板29の形状、構造は図7(図10)に示すようになっている。なお図7では、棒支持板28の裏側(図の紙面に向かう側)に重ねて固定される棒間隔規制板29の輪郭を透視した状態で示してある。
【0029】
棒支持板28は小判形に形成されており、中央の左右両側に孔28a,28bが形成されている。この孔28a,28bのそれぞれに回転軸8,9の端部(小径部)が挿通される。後述のように上板23に固定された棒支持板28がバイブレータ24の駆動により振動しても、孔28a,28bの縁が回転軸8,9の端部の外周面に当たったり擦ったりしないようにする。このために孔28a,28bの径も回転軸8,9の端部の径より適当に大きくする。
【0030】
また、棒支持板28にはスリット28cが形成されており、これによりふるい棒27の端部を受けて支持する。スリット28cの幅はふるい棒27の径よりごく僅かに大きい。スリット28cは3の字を上向きに倒したような形状に形成されている。すなわち、スリット28cは、それぞれ孔28a,28bを中心とする一定半径の2つの円弧を結んだ線に沿って延びている。そして、前記2つの円弧を結んだ線の下半部全体に渡り、さらに下半部の両端から所定角度(図7では45°程度)分だけ上がった所まで延びている。孔28a,28bの中心からスリット28cの幅方向(上下方向)の中央の所までの寸法D1(図10)はゴム車18,19の半径R1(孔18b,19bの中心から突起18a,19aの先端までの寸法)に等しいか、略等しいものとする。また、孔28a,28bの中心からスリット28cの幅の内側の縁までの寸法D2は回転軸8,9の中心からロッド10,11の先端までの寸法D3より僅かに大きくする。
【0031】
また、棒支持板28の周縁部には、棒支持板28を上板23に対してネジ止めで固定するための複数の孔28dが形成されている。
【0032】
一方、棒間隔規制板29は、スリット28cにおいて孔28a,28bの中心どうしを結ぶ水平線から下の部分の形状に対応した形状をなす細長い板として形成されている。すなわち上述した2つの円弧を結ぶ線の下半部の形状をなす細長い板として形成されている。棒間隔規制板29の内側の縁の線により描かれる円弧の半径は、孔28a,28bの中心からスリット28cの幅の中央の所までの寸法(D1)に等しい。そして棒間隔規制板29の内側の縁には、それぞれふるい棒27を位置決めするための複数の溝29aが前記縁の線の円弧の周方向に一定角度θ1の間隔で形成されている。
【0033】
棒間隔規制板29は、図7に示す位置で棒支持板28の裏側(ゴム車18,19側)に重ねられ、図示していないねじ止めなどの固定手段で固定される。固定された状態では、棒間隔規制板29の内側の縁の円弧の線が孔28a,28bの中心どうしを結ぶ水平線以下の部分でスリット28cの幅の中央を通る線に一致している。
【0034】
このように棒間隔規制板29を固定した棒支持板28が図1、図2に示す位置で上板23に対してねじ止めなどで固定される。その固定位置は、回転軸8,9のロッド10,11を設けた大径部の両端の外側近傍のそれぞれであってゴム車18,19の内側の位置である。固定された両側の棒支持板28により、ロッド10,11の回転スペースの図1,図2中で左右両側(回転軸8,9の軸方向の両側)が覆われる。
【0035】
このように固定された両側の支持板28に対して複数本のふるい棒27が取り付けられる。すなわち、ふるい棒27の両端部のそれぞれを両側の棒支持板28のスリット28c内の溝29a部分に挿通する(図7参照)。そして外側に突出した部分にナット27aを2つねじ込んで抜け止めする(図2、図10参照)。こうして複数のふるい棒27が、各ふるい棒間に隙間ができるように所定間隔隔てて配置され、各ふるい棒は棒支持板28に対して回転可能に取り付けられる。
【0036】
なお、図7では、溝29aが分かり易く見えるように、一部の溝29aについてはふるい棒27を挿通していない状態を示してある。実際には溝29aの全部にふるい棒27が挿通される。また、図示していないが、ふるい棒27の両端部のみならず、中間部の1箇所ないし複数箇所においてもふるい棒27を回転可能に支持するようにしてもよい。
【0037】
上記のような構造により、複数本のふるい棒27が図5に示す配置で支持される。すなわち、複数本のふるい棒27は、ロッド10,11の回転スペースの下側に面し、ロッド10,11の先端の回転軌跡を結ぶ線の下半部の外側に沿って、互いに所定間隔で平行に支持される。また、図2に示すようにふるい棒27は回転軸8,9の軸方向に沿うように配置される。
【0038】
なお、棒間隔規制板29は、詳しく図示していない構造により、棒支持板28に対して簡単に着脱可能、すなわち簡単に交換可能なものとする。そして棒間隔規制板29として、溝29aの間隔が互いに異なる複数種類のものを用意しておく。たとえば図7に示した棒間隔規制板29は溝29aの間隔の角度がθ1だが、図8に示したように溝29aの間隔の角度がθ1より大きなθ2であるものも用意しておく。そして図7と図8の2種類の棒間隔規制板29の内でいずれか一方を選択して、棒支持板28に固定して使用するようにする。これにより、溝29aの間隔、つまりふるい棒27の間隔を2種類のいずれかに可変に設定できる。このようにして、ふるいを構成するふるい棒27の間隔を複数種類に可変に設定できる。
【0039】
なお、図7の例では、溝29aの数とふるい棒27の数が等しく、溝29aの全部にふるい棒27の全部を入れて、ふるい棒27が余らないものとする。これに対して、図8の例では、溝29aの間隔の角度θ2が図7の場合のθ1より大きい。このため、溝29aの数が図7の場合より少なくなり、ふるい棒27が溝28aのそれぞれに入り切らずに余ってしまう。この場合、余ったふるい棒を図8中に符号27´で示すように配置する。すなわち、スリット28cにおいて棒間隔規制板29の両端より上方に延びる両端部の一方(両方でもよい)中に、余ったふるい棒27´を退避させて保持しておく。
【0040】
また、例えば図7の例において、ふるい棒27の半数のみを溝29aに対して1つ置きにのみ入れ、余った半数のふるい棒27をスリット28cの両端部中に退避させるようなこともできる。この場合、ふるいに使用されるふるい棒27の間隔は図7の例の2倍になる。このように、複数の溝29aに対する複数本のふるい棒27の配置の仕方を変更することによっても、ふるいに使用されるふるい棒27の間隔を可変に設定することができる。
【0041】
次に本実施例の粉砕機による固形物の塊の粉砕動作について説明する。粉砕動作時には、径が例えば数cm〜数十cmの固形物の塊が投入口23aから筐体22内に順次投入されると共に、モータ17が駆動される。それにより、回転軸8,9が互いに逆方向に回転してロッド10,11どうし、及びゴム車18,19どうしが互いに逆方向に回転する。そして、回転するゴム車18,19の突起18a,19aがふるい棒27のそれぞれの両端部のナット27a部分あるいはふるい棒自体を擦ることにより、ふるい棒27のそれぞれが回転する。また、モータ17と共にバイブレータ24が駆動され、これにより筐体22の全体が振動する。
【0042】
投入された固形物の塊は、回転する複数のロッド10,11により連続的に繰り返し打撃されたり加圧されたりして力を加えられ、順次、粒状に粉砕されていく。粒状に粉砕された粉砕物は攪拌されながら力を加えられて、より小さな粒状へと粉砕されていく。ここで、螺旋形の線上に並ぶように配置された複数のロッド10,11がスクリューと同様に作用する。これにより、固形物の塊は順次粒状に粉砕され攪拌されながら回転軸8,9に沿って図1〜図4中で左方向に搬送される。その間に、粉砕物の内で径がふるい棒27どうしの隙間の寸法より小さい粒状のものが攪拌によってふるい棒27の所へ移動したときにふるい棒27どうしの隙間を通って筐体22外へふるい落とされる。そして、筐体22の下方に配置された不図示の外部のベルトコンベア上に排出される。すなわち、ふるいを介して、粉砕物の内から径が一定以下の粒状の物だけが取り出されて筐体22外に排出される。排出された粒状のものはベルトコンベアにより別の場所に搬送される。
【0043】
ここで、ふるい棒27のそれぞれは、バイブレータ24の駆動により振動しているとともに、ゴム車18,19に擦られて回転している。これにより、上記径が一定以下の粒状の物がふるい棒27どうしの間の隙間に詰まることがなく、順次滞りなくスムーズに隙間を通って落下する。さらに、筐体22全体の振動によってもふるいの作用が促進され、径が一定以下の粒状の物が順次滞りなくスムーズに排出される。このように径が一定以下の粒状のものがスムーズに効率良く排出されるので、筐体22内に残っている径が大きな粉砕物の粉砕も効率良く行うことができる。
【0044】
ところで、上記粉砕動作中に、回転軸8,9は、5:4の回転数比で互いに不等速で回転している。このため、回転軸8,9の軸方向に同じ位置で対向するロッド10,11どうしは、回転に伴って互いに接近、離間する動作を繰り返す。これにより、互いに固形物が付着している場合は、互いに相手に付着した固形物を掻き落すことができる。上記回転数比とロッド10,11の先述した角度ピッチ比が同じであることにより、ロッド10,11どうしが衝突することはない。また、回転軸8,9の回転に伴ってロッド10,11の先端部が互いに相手の回転軸9,8の大径部の外周面の近傍を通過する。このため、回転軸8,9の大径部の外周面に固形物が付着していたらロッド11,10により掻き落とすことができる。このようにしてセルフクリーニングを行うことができる。したがって、固形物が水分を含むなどして付着性が強い場合でも粉砕動作を支障なく、効率良く行うことができる。
【0045】
以上のようにして、本実施例の固形物粉砕機によれば、投入された固形物の塊を粒状に粉砕しながら粉砕物から径が一定以下の粒状の物だけを取り出して排出する動作を効率よく行うことができる。しかも本実施例の固形物粉砕機の構成は簡単で安価に実現することができる。
【0046】
また、本実施例によれば、前述のように、ふるいを構成するふるい棒27どうしの間隔を可変に設定することができる。そして、これにより、排出する粒状の物の径の上限の寸法を可変に設定することができる。
【0047】
以上に説明した実施例では、筐体22のふるいは複数本の棒(ふるい棒27)を平行に支持した構成としたが、ふるいの構成はこれに限らないことは勿論である。たとえば、複数本の線材を格子状ないし網状の配置で支持した構成などが考えられる。
【0048】
また、実施例では2本の回転軸8,9を設けるものとしたが、3本以上の複数本設けてもよい。
【0049】
また、実施例では、固形物の塊の粉砕物を回転軸8,9に沿った一方向(図4中で左方向)に搬送するものとしたが、回転軸8,9に沿って互いに逆方向に搬送して循環させるようにすることもできる。そのようにするには、螺旋形の線に沿って並べるロッド10,11の配置を変更する。すなわち、ロッド10については、図4中で回転軸8の大径部の左端部において螺旋形の巻回の向きを図示の向きと逆向きにする。また、ロッド11については、図4中で回転軸9の大径部の右端部以外において螺旋形の巻回の向きを図示の向きと逆向きにする。このように、粉砕物を粉砕しながら搬送する搬送の仕方は実施例のものに限らず、粉砕する固形物の塊の特性に応じて適当なものに選択すればよい。
【0050】
なお、上述した実施例では、回転軸8、9の外周面に設けられた突起部材としてロッド10、11を例示したが、本発明は、これに限定されず、図11に示したように、ロッドに代えてパドル40、41を回転軸8、9に設けるようにしてもよい。
【0051】
図11に示した例では、回転軸8には、パドル40がそれぞれ90度の角度ピッチずらして螺旋状に立設されており、回転軸9には、パドル41がそれぞれ72度の角度ピッチずらして回転軸8の螺旋とは逆螺旋状に立設されている。パドル40、41の角度ピッチの比は、回転軸8、9の回転数比と同比となっており、また、パドル40が形成する螺旋ピッチとパドル41が形成する螺旋ピッチの比は、回転軸8、9の回転数比の逆比となっているので、ロッドの場合と同様に、セルフクリーニング効果が得られるとともに、パドルはロッドよりも攪拌、粉砕効果が大きく、効率的に固形物を粒状に粉砕して排出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例による固形物粉砕機の全体の構成を示すもので、一方の回転軸8に沿った縦断側面図である。
【図2】図1中の粉砕部筐体22の部分の拡大図である。
【図3】図1中で粉砕部筐体22とゴム車18,19を取り払った状態を示す縦断側面図である。
【図4】実施例の固形物粉砕機の回転軸8,9に沿った横断平面図である。
【図5】図1中の矢印Aによる矢視図である。
【図6】図1中の矢印Bによる矢視図である。
【図7】棒支持板28と棒間隔規制板29の形状、構造と、ふるい棒27の配置を示す説明図である。
【図8】棒支持板28と、異なる棒間隔規制板29の形状、構造と、ふるい棒27の配置を示す説明図である。
【図9】ゴム車18,19の正面図である。
【図10】棒支持板28、棒間隔規制板29、ふるい棒27の軸方向の配置を示す説明図である。
【図11】ロッドに代わりパドルを用いて攪拌、粉砕を行う実施例を示した図4に対応する横断平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1a 下フレーム
1b 上フレーム
1c〜1e フレームスタンド
2,3 軸受スタンド
4〜7 軸受
8,9 回転軸
10,11 ロッド
12,13 ギア
14,15 軸継手
16 減速機
17 モータ
18,19 ゴム車
20 支持台
21 防振ゴム
22 粉砕部筐体
23 上板
23a 固形物の塊の投入口
24 バイブレータ
25,26 側板
27 ふるい棒
28 棒支持板
29 棒間隔規制板
40、41 パドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された固形物の塊を粒状に粉砕して排出する固形物粉砕機であって、
それぞれ外周面に複数の突起部材が立設された水平に延びる複数の回転軸と、
前記複数の回転軸の下方で該回転軸の延びる方向に設けられた複数本の棒からなるふるいと、を有し、
前記ふるいの複数本の棒は、各棒間に隙間が形成されるように互いに所定間隔隔てて配置され、
固形物の塊が前記複数の回転軸の回転駆動で回転する前記複数の突起部材により粉砕され、粉砕された粉砕物が前記複数本の棒間の隙間を通りふるい落とされることを特徴とする固形物粉砕機。
【請求項2】
前記複数本の棒が水平軸を中心に回転されることを特徴とする請求項1に記載の固形物粉砕機。
【請求項3】
前記複数本の棒が前記複数の回転軸の回転と同期して回転されることを特徴とする請求項2に記載の固形物粉砕機。
【請求項4】
前記複数本の棒を隔てる間隔を可変に設定できることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固形物粉砕機。
【請求項5】
前記ふるいに振動が与えられることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の固形物粉砕機。
【請求項6】
前記複数の回転軸は互いには逆方向に回転される第1と第2の回転軸からなり、第1の回転軸に立設された突起部材は第1の角度ピッチずらして螺旋状に配置され、第2の回転軸に立設された突起部材は第2の角度ピッチずらして第1の回転軸の突起部材が形成する螺旋状とは逆螺旋状に配置され、前記第1と第2の角度ピッチの比は第1と第2の回転軸の回転数比と同比で、第1の回転軸の突起部材が形成する螺旋ピッチと第2の回転軸の突起部材が形成する螺旋ピッチの比は第1と第2の回転軸の回転数比と逆比になっていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の固形物粉砕機。
【請求項7】
前記第1と第2の回転軸は、各回転軸が回転するにつれて各回転軸に立設された突起部材の先端が、対向する回転軸の外周面に近接する位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載の固形物粉砕機。
【請求項8】
前記ふるいの複数の棒は、各回転軸の回転中心を中心とする円弧に沿って配置され、前記回転軸に取り付けられて回転する弾性車により擦られて回転することを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の固形物粉砕機。
【請求項9】
前記第1と第2の回転軸に立設された突起部材が、ロッドあるいはパドルであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の固形物粉砕機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate