説明

固形粉末化粧料

【課題】塗布後、時間が経過しても色くすみが生じず、滑かな使用感を有する固形粉末化粧料を提供する。
【解決手段】本発明の固形粉末化粧料は、(a)着色成分の粒子が内部に分散されたフレーク状ガラス0.01質量%〜30質量%と、(b)フレーク状ガラス以外の粉体であって表面が疎水性の粉体5質量%〜80質量%とを含有する。上記フレーク状ガラスは、平均厚さが0.1μm〜3μmの範囲にあり、平均粒径が1μm〜300μmの範囲にあり、平均アスペクト比が5〜300の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時での色くすみがなく、かつ滑らかな塗布感を有する固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固形粉末化粧料には種々の特性が必要とされてきた。特に、アイシャドウやほほ紅のように、色調が最重要視されるポイントメイクアップ化粧料においては、時間の経過による化粧塗膜の色くすみが生じないことは、最も重要な機能のひとつである。この機能を高めるために、多くの研究がなされてきた。
【0003】
固形粉末化粧料は、タルクやマイカ等の体質顔料、酸化鉄等の着色顔料、油剤、酸化防止剤、防菌防黴剤等からなる。経時による固形粉末化粧料の色くすみは、主に、汗や皮脂により着色顔料の濡れが進むことによって起こる。このため、着色顔料の濡れを抑制することによって経時での色くすみを防止する試みがなされてきた。たとえば、着色顔料の表面をシリコーン化合物やフッ素化合物等種々の撥水撥油性化合物によって被覆処理したり、シリカコートしたりする試みがなされてきた(特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】特開平5−25019号公報
【特許文献2】特開平5−32525号公報
【特許文献3】特開平5−39436号公報
【特許文献4】特開平5−93153号公報
【特許文献5】特開平5−237360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記被覆処理によって着色顔料の表面を完全に覆うことは、実質的に不可能であり、表面のいたるところで顔料が露出してしまう。顔料が露出している部分が存在すると、その部分から濡れが進行するため、経時での色くすみを完全に抑えることはできなかった。一方、被覆処理剤を多くすることによって、このような濡れは軽減される。しかし、この場合、顔料の表層に過剰な凹凸構造が形成されることとなり、その結果、化粧料の使用感がざらついたものとなる、のびが悪い、うまくぼかせないといった問題点が生じる。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明の目的の1つは、経時での色くすみがなく、滑らかな塗布感を有した固形粉末化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、着色顔料をフレーク状ガラスに封じ込めた複合着色顔料と、疎水性粉体及び/または疎水化処理粉体とを配合することにより、上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の固形粉末化粧料は、(a)着色成分の粒子が内部に分散されたフレーク状ガラス0.01質量%〜30質量%と、(b)前記フレーク状ガラス以外の粉体であって表面が疎水性の粉体5質量%〜80質量%とを含有し、前記フレーク状ガラスは、平均厚さが0.1μm〜3μmの範囲にあり、平均粒径が1μm〜300μmの範囲にあり、平均アスペクト比が5〜300の範囲にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経時での色くすみがなく、滑らかな塗布感を有する固形粉末化粧料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[固形粉末化粧料]
本発明の固形粉末化粧料は、(a)着色成分の粒子が内部に分散されたフレーク状ガラス0.01質量%〜30質量%と、(b)上記フレーク状ガラス以外の粉体であって表面が疎水性の粉体5質量%〜80質量%とを含有する。上記フレーク状ガラスは、平均厚さが0.1μm〜3μmの範囲にあり、平均粒径が1μm〜300μmの範囲にあり、平均アスペクト比5〜300の範囲にある。以下、上記フレーク状ガラスを「フレーク状ガラス(A)」といい、上記疎水性の粉体を「疎水性粉体(B)」という場合がある。
【0011】
典型的なフレーク状ガラス(A)は、透明な金属酸化物の母材と、その内部に分散された着色成分の粒子とからなる。着色成分(着色顔料)の典型的な一例は群青である。この明細書において、「群青」には、天然産あるいは人工的に合成される、含硫黄・ナトリウム−アルミノシリケート(Na6Al6Si6O24Sx)として示される顔料が含まれる。硫黄の量などの違いによって、青、緑、紫、ピンクなどいろいろな色を呈する群青があるが、青色から青紫色のものが一般的である。色素名としては、CI77007、CI77013、Pigment Blue 29、Pigment Green 24、Pigment Violet 15などのものが示される。
【0012】
着色成分(たとえば群青)の粒子は、ガラスの内部に分散されており、実質的にガラスの表面に露出していないため、着色成分の粒子(たとえば群青の粒子)が濡れることによる色のくすみが抑制される。また、フレーク状ガラス(A)は、その外形が鱗片状であることから、凝集しにくい、塗膜面に平行に配向して並びやすい、などの特徴がある。そのため、フレーク状ガラス(A)を含む本発明の化粧料は、滑らかな塗布感を有する。
【0013】
群青以外の着色成分としては、たとえば、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、マンガンバイオレット、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、カーボンブラックなどの無機顔料や、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素の粉体などが挙げられる。
【0014】
フレーク状ガラス(A)を構成する透明な金属酸化物としては、二酸化ケイ素、三二酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が、好ましく例として挙げられる。
【0015】
フレーク状ガラス(A)に使用される群青粒子の粒径は、通常、30nm〜3000nmの範囲にある。粒径が30nmより小さいと、着色が弱い。粒径が3000nmより大きいと、フレーク状ガラスのなかに群青粒子がうまく入らず、群青粒子の表面が露出する。その結果、くすみや感触に関する本発明の効果が少なくなる。群青粒子の粒径は、好ましくは50nm〜2000nmの範囲である。
【0016】
フレーク状ガラス(A)は、平均厚さが0.1〜3μm、平均粒径が1〜300μmであり、平均アスペクト比が5〜300である。ここで、平均厚さは、以下のようにして求めた。まず、多数のフレーク状ガラスを走査型電子顕微鏡で観察し、観察した像のうち、撮影された面に対してフレーク状ガラスの平面がほぼ垂直に立っているものを特定し、必要に応じて高倍率で観察して、そのフレークの2つの平面の間の距離(平面に対しほぼ垂直な方向の長さ)を測定した。そして、2つの平面間の距離の測定値を、そのフレーク状ガラスの厚さとした。20個のフレーク状ガラスの厚さを測定し、その算術平均を平均厚さとした。なお、走査型電子顕微鏡には、日本電子株式会社製のJSM−T330Aを用い、長さの測定には、日本電子株式会社製のミクロンリーダーMCRを用いた。平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックII、日機装製)を用いて測定したフレーク状ガラスの粒径の50%粒径D50である。平均アスペクト比とは、その平均粒径を、平均厚みで除した値である。
【0017】
フレーク状ガラスの平均厚さが0.1μm未満であると、製造が困難で、かつ、破砕され易いなどの問題が生じる。一方、平均厚さが3μmを超えると、ごろつき感などが生じるなど、その使用感が劣化する。フレーク状ガラスの平均粒径が1μm未満であると、フレーク状ガラスが凝集し易いため、むらとなりやすい。一方、平均粒径が300μmを超えると、フィラーとして配合する際にフレーク状ガラスが破砕され易く、また化粧料に配合した場合には、ごろつき感が生じるなど、その使用感が劣化する。フレーク状ガラスの平均アスペクト比が5未満であると、球状粒子としての特徴が表れ始め、凝集を起こし易くなる。一方、平均アスペクト比が300を超えると、フィラーとして配合する際に破砕されて、粒径が不均一になり、むらが生じやすい。
【0018】
フレーク状ガラス(A)は、平均厚さが0.2〜2.5μmの範囲にあり、平均粒径が8〜300μmの範囲にあり、平均アスペクト比が8〜200の範囲にあることがより好ましい。フレーク状ガラス(A)は、平均厚さが0.5〜2.0μmの範囲にあり、平均粒径が8〜50μmの範囲にあり、平均アスペクト比が8〜50の範囲にあることがさらに好ましい。
【0019】
フレーク状ガラス(A)に含まれる着色成分(たとえば群青)の量は5〜60質量%(以下、含有量に関して単に「%」と記載している場合は、「質量%」を意味する)の範囲にあることが好ましく、10〜50%の範囲にあることがより好ましい。着色成分の含有量が5%以下であると、色が薄く着色力が弱い。含有量が60%以上であると、フレーク状ガラスから露出したり、フレーク状ガラス中で凝集したりし、色くすみや感触に関する本発明の効果が少なくなる。
【0020】
フレーク状ガラス(A)の製造方法は特に限定されない。母材の金属酸化物を作製する方法として、たとえば、金属酸化物コロイド溶液を使用するコロイドプロセスによる方法、金属アルコキシド等の金属化合物溶液を利用するいわゆるゾルゲル法による方法、アルカリケイ酸溶液(水ガラスなど)を利用する方法を適用できる。たとえば、ゾルゲル法を用いた、特開平1−9803号公報に記載の方法を適用してもよい。この方法では、金属化合物(たとえば金属アルコキシドや金属有機酸塩)の溶液または金属酸化物ゾルに、群青微粒子を分散させて混合液を作製する。この混合液を、基材の平滑な表面に塗布して塗膜を形成し、ついで塗膜を乾燥や反応などの処理によって薄片状とする。そして、平滑面から青色の薄片を剥離させる。このようにして、フレーク状のガラスが形成される。また、コロイドプロセスを用いた、特開2004−026614号公報に記載の方法を適用してもよい。この方法では、上記の金属酸化物ゾルの代わりに、金属酸化物のコロイド溶液が使用される。基材から剥離させた青色の薄片は、200〜800℃で焼成される。この薄片は、必要に応じて粉砕・分級され、任意の平均粒径の薄片とされる。
【0021】
フレーク状ガラス(A)は、表面が疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理によって、フレーク状ガラス(A)の安定性や分散性が良好となる。
【0022】
フレーク状ガラス(A)に含まれる着色成分は、群青であることが好ましい。また、着色成分として群青を含み、表面が疎水化処理されているフレーク状ガラス(A)が特に好ましい。疎水化処理は、後述する一般的な疎水化処理でよい。
【0023】
本発明の化粧料に占めるフレーク状ガラス(A)の割合は、0.01〜30%である。フレーク状ガラス(A)の含有量が0.01%未満であると、発明の効果が乏しい。一方、その含有量が30%を超えると、化粧料の滑らかさが損なわれてしまう。
【0024】
本発明の化粧料に含まれる疎水性粉体(B)は、少なくとも表面に疎水性の物質が存在する粉体、および/または、表面が疎水化処理された粉体である。
【0025】
疎水性の物質からなる疎水性粉体としては、化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、12ナイロン(登録商標)パウダーを用いてもよい。また、ポリテトラフルオロエチレンパウダー等のフッ素樹脂粉体を用いてもよい。また、シリコーンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体を用いてもよい。また、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体等の珪素樹脂粉体、ラウロイルリジン等のアシル化リジン粉体、高級脂肪酸金属塩である金属石鹸粉体等を用いてもよい。
【0026】
疎水化処理される粉体は、化粧料に用いられる粉体であれば特に限定されない。例えば、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素の粉体を用いてもよい。また、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、セルロースパウダー等の、高分子の粉体を用いてもよい。また、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料の粉体を用いてもよい。また、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩や、シリカ、アルミナ等の無機粉体を用いてもよい。また、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化鉄微粒子、アルミナ処理された酸化チタン微粒子、シリカ処理された酸化チタン微粒子を用いてもよい。また、ベントナイト、スメクタイト等の粉体を用いてもよい。これらの粉体の形状に特に限定はない。また、ポリフッ化エチレン樹脂パウダー、シリコーンゴムパウダー等の疎水性粉体を、さらに疎水化処理して用いてもよい。
【0027】
さらに、特に明確な視覚的効果を付与するためには、干渉色を有する雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス粉末、酸化チタン被覆合成金雲母等を用いるのが好適である。干渉色を有する雲母チタンの市販品の例としては、「Timiron Super Gold」や「Timiron Super Red」(以上、メルク社製)、「Flamenco Sparkle Blue」や「Flamenco Green」(以上、エンゲルハード社製)等を挙げることができる。酸化チタン被覆ガラス粉末の市販品の例としては、メタシャイン(登録商標)MC1080RB、メタシャイン(登録商標)MC1020RY、メタシャイン(登録商標)MC1080RRSI(以上、日本板硝子株式会社製)等を挙げることができる。酸化チタン被覆合成金雲母の市販品の例としては、プロミネンスBH、プロミネンスYB、プロミネンスRBX(以上、トピー工業社製)等を挙げることができる。また、干渉色を有する真珠光沢顔料である、「Xirona Magic Mauve」や「Xirona Caribbean Blue」(以上、メルク社製)、「Sicopearl Fantastico Pink」や「Sicopearl Fantastico Ruby」(以上、BASF社製)等も好適に用いられる。
【0028】
フレーク状ガラス(A)および粉体の疎水化処理としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フッ素化合物処理(パーフルオロアルキルリン酸エステル処理やパーフルオロアルキルシラン処理、パーフルオロポリエーテル処理、フルオロシリコーン処理、フッ素化シリコーン樹脂処理が好ましい)、シリコーン処理(メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、気相法テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン処理が好ましい)、シリコーン樹脂処理(トリメチルシロキシケイ酸処理が好ましい)、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖などを付加する方法)、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理(アルキルシランやアルキルシラザン処理が好ましい)、親油性油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理(ステアリン酸やミリスチン酸塩が好ましい)、アミノ酸処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等を適用できる。これらは複数組み合わせてもよい。
【0029】
特に、Nε−ラウロイル−L−リジン(味の素社製アミホープLL)などを用いたN−アシル化リジン処理や、オクチルトリアルコキシシランなどを用いたアルキルシラン処理などが好ましい。疎水化処理剤の量は、粉末100質量部に対し、0.5〜15質量部の範囲にあることが好ましい。また、シリコーン処理も好ましく、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン(例:信越化学工業製KF99P)や、ジメチル基含有メチルハイドロジェンポリシロキサン(例:信越化学工業製KF9901、HRS−2)、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン(例:信越化学工業製KF9902)による処理、およびその焼き付け処理を用いてもよい。
【0030】
さらに、疎水化表面処理に先立って、シリカやアルミナ、ジルコニアといった無機酸化物によって粉体の表面を処理することも好ましい。
【0031】
本発明の化粧料における粉体(B)の含有率は、5〜80%である。粉体(B)の含有率が5%未満であると、経時での色くすみ防止効果が不十分である。その含有率が80%を超えると、化粧料の強度低下を引き起こすため好ましくなく、また、配合量に見合った効果も得られない。
【0032】
本発明の化粧料は、本発明の効果が得られる限り、上記成分以外の他の成分を含んでもよい。そのような他の成分としては、通常の固形粉末化粧料に用いられる、何ら処理をしていない粉体類、油剤、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、生理塩類、溶媒、酸化防止剤、生理活性成分が挙げられる。
【0033】
フレーク状ガラス(A)および疎水性粉体(B)以外の粉体類としては、感触の調整能力が高いという点で、球状粉末が好ましい。特に、粒度の異なる球状粉末を混合して使用することが好ましい。また、吸水性や吸油性のある粉体を用いることによって、化粧持ちを改善できる。
【0034】
生理活性成分とは、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質である。本発明の化粧料は、生理活性成分を1種または2種以上含むことが好ましい。生理活性成分としては、例えば、美白成分、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。その中でも、天然の成分、たとえば、植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分が好ましい。
【0035】
天然の成分としては、例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0036】
本発明の固形粉末化粧料は、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、白粉、チーク、コンシーラーであってもよい。本発明の固形粉末化粧料の製造方法に特に限定はなく、たとえば、粉体類と油剤とを混合した後、中皿に充填プレスする方法を適用してもよい。また、粉体類と油剤とを混合した後、軽質イソパラフィン、揮発性シリコーン又はアルコール類等の溶剤を加えてスラリーとし、このスラリーを中皿に充填し乾燥する製造方法を適用してもよい。
【実施例】
【0037】
以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。尚、表中の数値は含有量(質量%)を表わす。各実施例で採用した評価方法を、以下に説明する。
【0038】
[有用性評価試験方法]
女性評価者20名によって、塗布したときの使用特性(なめらかなのびの良さ)、および塗布後3時間後の色くすみのなさについて、下記の評価基準に従って評価した。
良いと答えた人数が18人以上: ◎
良いと答えた人数が14〜17人:○
良いと答えた人数が7〜13人: △
良いと答えた人数が6人以下: ×
以下の製造方法によって、4種類のシリカフレーク(フレーク状ガラス(A))を作製した。以下の製造例1〜4では、二酸化ケイ素(シリカ)のゾル溶液として、日本化学工業株式会社製の「シリカドール30」(粒径20nm、水分散)を用いた。また、群青の粒子として、第一化成工業株式会社製の「CB−80」(粒径200nm)を用いた。
【0039】
[製造例1](群青内包シリカフレークの製造)
シリカ中の群青の含有率が約15質量%となるように、シリカのゾル溶液141g(ゾル溶液中のシリカ分42g)を攪拌しながら、群青の粒子7.5gを加え、さらに純水178gを加えて混合し、公知のホモジナイザー分散機を使用して10分間分散させ、群青含有シリカゾルを作製した。この時、シリカゾルのpHが8〜10のアルカリ性であることを確認した。
【0040】
このシリカゾルに、水溶性物質であるトレハロース(分子量342)を5.0g添加し、公知のホモジナイザー分散機を使用して、さらに30分間分散させた。次に、このゾル溶液を25℃で18時間静置した。次に、ゾル溶液を、幅10cmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)にバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが0.7μmになるように塗布した。このフィルムを120℃の乾燥炉に3分間入れ、フィルム上のゾル溶液を乾燥させた。そして、このフィルムを乾燥炉から取り出し、室温まで冷却した。このとき、薄膜はPETフィルム表面に均一に付着していた。
【0041】
このフィルムに室温の水を噴霧しながら、薄膜が形成されている面に、市販のバインダークリップで挟んだフェルトを押し付けつつ、フィルムだけを引っ張ってスライドさせた。これによって、フィルム表面から薄膜が剥離して薄片が生じた。この薄片を回収し、120℃で1時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成を行った。これによって、群青微粒子が内部に分散された、シリカからなる薄片を得た。この薄片を、公知の装置を用いて粉砕・分級して、平均粒径30μm、平均厚さ0.7μm、平均アスペクト比43のフレーク状ガラス(A)を得た。
【0042】
[製造例2](群青内包シリカフレークの製造)
シリカ中の群青の含有率が約30質量%となるように、シリカのゾル溶液154g(ゾル溶液中のシリカ分46g)を攪拌しながら、群青の粒子18gを加えて、さらに純水178gを加えて混合し、公知のホモジナイザー分散機を使用して10分間分散させ、群青含有シリカゾルを作製した。この時、シリカゾルのpHが8〜10のアルカリ性であることを確認した。
【0043】
このシリカゾルに、水溶性物質であるトレハロース(分子量342)を6.0g添加し、さらに30分間公知のホモジナイザー分散機を使用して分散させた。次に、このゾル溶液を25℃で18時間静置した。次に、ゾル溶液を幅10cmのPETフィルムにバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが1.0μmになるように塗布し、そのフィルムを120℃の乾燥炉に3分間入れ、フィルム上のゾル溶液を乾燥させた。そして、このフィルムを乾燥炉から取り出し、室温まで冷却した。このとき、薄膜はPETフィルム表面に均一に付着していた。
【0044】
このフィルムに室温の水を噴霧しながら、薄膜が形成されている面に、市販のバインダークリップで挟んだフェルトを押し付けつつ、フィルムだけを引っ張ってスライドさせた。これによって、フィルム表面から薄膜が剥離して薄片が生じた。剥離した薄片を回収し、120℃で1時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成を行った。これによって、群青微粒子が内部に分散された、シリカからなる薄片を得た。この薄片を公知の装置を用いて粉砕・分級して、平均粒径10μm、平均厚さ1.0μm、平均アスペクト比10のフレーク状ガラス(A)を得た。
【0045】
[製造例3](群青内包シリカフレークの製造)
シリカ中の群青の含有率が約45質量%となるように、シリカのゾル溶液141g(ゾル溶液中のシリカ分42g)を攪拌しながら、群青の粒子34gを加え、さらに純水178gを加えて混合し、公知のホモジナイザー分散機を使用して10分間分散させ、群青含有シリカゾルを作製した。この時、群青含有シリカゾルのpHが8〜10のアルカリ性であることを確認した。
【0046】
このシリカゾルに、水溶性物質であるトレハロース(分子量342)を7.6g添加し、さらに30分間公知のホモジナイザー分散機を使用して分散させた。さらに、このゾル溶液を25℃で18時間静置した。このゾル溶液を幅10cmのPETフィルムにバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが1.8μmになるように塗布し、そのフィルムを120℃の乾燥炉に3分間入れ、ゾル溶液を乾燥させた。そして、このフィルムを乾燥炉から取り出し、室温まで冷却した。このとき、薄膜はPETフィルム表面に均一に付着していた。
【0047】
このフィルムに室温の水を噴霧しながら、薄膜が形成されている面に、市販のバインダークリップで挟んだフェルトを押し付けつつ、フィルムだけを引っ張ってスライドさせた。これによって、フィルム表面から薄膜が剥離して薄片が生じた。剥離した薄片を回収し、120℃で1時間乾燥させた後、400℃で5時間焼成を行った。これにより群青微粒子が内部に分散された、シリカからなる薄片を得た。この薄片を公知の装置を用いて分級して、平均粒径30μm、平均厚さ1.8μm、平均アスペクト比16のフレーク状ガラス(A)を得た。
【0048】
[製造例4](シリコーン処理された群青内包シリカフレークの製造)
製造例2で得られた群青内包シリカフレークに対し、メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社製KF−9901)を用いて、被覆量が3質量%となるように乾式被覆処理を行った。
【0049】
[実施例1〜4および比較例1〜3]
製造例1および製造例4のシリカフレークを用い、以下の表1に示す成分を含有する固形粉末アイシャドウ(実施例1〜4および比較例1〜3)を常法によって調製した。得られたアイシャドウについて、上記試験方法によって使用特性および色くすみについて評価した。評価結果を表1に記載する。なお、以下の表に示す成分において、疎水性粉体(B)には、☆印を付す。
【0050】
【表1】

【0051】
[応用例]
上記製造例1〜4で製造されたフレーク状ガラス(A)を用いて、常法によって、以下の固形粉末化粧料を調製した。いずれの応用例の化粧料も、経時での色くすみがなく、滑らかな塗布感を有していた。
【0052】
[応用例1](パウダーアイシャドウ)
以下の表2の成分を含有するパウダーアイシャドウを作製した。
【0053】
【表2】

【0054】
[応用例2〜6](パウダーアイシャドウ)
以下の表3の成分を含有するパウダーアイシャドウを作製した。
【0055】
【表3】

【0056】
[応用例7−1](パウダーアイシャドウ)
以下の表4の成分を含有するパウダーアイシャドウを作製した。
【0057】
【表4】

【0058】
[応用例7−2](パウダーアイシャドウ)
以下の表5の成分を有するパウダーアイシャドウを作製した。
【0059】
【表5】

【0060】
[応用例8](プレストアイブロウ)
以下の表6の成分を有するプレストアイブロウを作製した。
【0061】
【表6】

【0062】
[応用例9](プレストアイシャドウ)
以下の表7に示す成分を含有するプレストアイシャドウを作製した。
【0063】
【表7】

【0064】
[応用例10](粉白粉)
以下の表8の成分を含有する粉白粉を作製した
【0065】
【表8】

【0066】
[応用例11](ファンデーション)
以下の表9の成分を含有するファンデーションを作製した。
【0067】
【表9】

【0068】
[応用例12](パウダーファンデーション)
以下の表10の成分を含有するパウダーファンデーションを作製した。
【0069】
【表10】

【0070】
[応用例13](パウダーファンデーション)
以下の表11の成分を含有するパウダーファンデーションを作製した。
【0071】
【表11】

【0072】
[応用例14](パウダーファンデーション)
以下の表12の成分を含有するパウダーファンデーションを作製した。
【0073】
【表12】

【0074】
以上、本発明の実施形態について例を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、本発明の技術的思想に基づいて他の実施形態に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、固形粉末化粧料に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)着色成分の粒子が内部に分散されたフレーク状ガラス0.01質量%〜30質量%と、(b)前記フレーク状ガラス以外の粉体であって表面が疎水性の粉体5質量%〜80質量%とを含有し、
前記フレーク状ガラスは、平均厚さが0.1μm〜3μmの範囲にあり、平均粒径が1μm〜300μmの範囲にあり、平均アスペクト比が5〜300の範囲にある固形粉末化粧料。
【請求項2】
前記フレーク状ガラスは、表面が疎水化処理されている請求項1に記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
前記着色成分が群青である請求項1または2に記載の固形粉末化粧料。

【公開番号】特開2007−176935(P2007−176935A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323611(P2006−323611)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】