説明

固形粉末化粧料

【課題】
つやの付与、演色効果等のメークアップ効果及び使用性に優れた固形粉末化粧料を提供する。
【解決手段】
荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料であって、1)光沢を有する二酸化チタン被覆マイカ及び2)薄膜として、粘着性試験器で測定した粘着性の値が35gf〜70gfである粘着性油剤を含有する固形粉末化粧料を提供する。また、光沢を有する二酸化チタン被覆マイカが反射光の干渉により発色するmのであることが好ましく、粘着性油剤の含有量が化粧料全体に対して0.5質量%〜6.0質量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つやの付与、演色効果等のメークアップ効果及び使用性に優れた固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パウダーファンデション等の固形粉末化粧料は携帯性に優れていることから、近年、粉末化粧料の主力となっている。ファンデーションには肌のしみ、くすみ等のトラブルを隠す効果が求められていると同時に、肌にいわゆる“つや”を与えたり、肌色をより明るく、華やかにみせる、いわゆる“演色効果”等が求められている。このような課題を達成するために、ファンデーション等のベースメーク料に光沢を有する二酸化チタン被覆マイカを配合する技術がある(例えば特許文献1,特許文献2、特許文献3)。しかしながら、これらの技術に於いては干渉パール剤の粒径が比較的大きく、肌への密着感が不足しているため、肌状で干渉パールが規則的に配向せず、パール剤が有する光沢による肌へのつやの付与が充分でなかったり、干渉色により肌を明るくみせる演色効果が充分でない場合があった。
【0003】
また、ファンデーション等の粉末化粧料へ粘着性を有する油剤を含有させ、粉末化粧料の肌への密着性を向上させることはよく知られている。しかしながら、固形粉末化粧料にこれら粘着性を有する油剤を配合すると固形粉末化粧料同志の付着力が高くなり、固形粉末化粧料を使用中に、その表面が固くなり、以後の使用が困難になる、いわゆる“てかり”が生じる場合があった。
【0004】
したがって、つやを与えたり、肌を明るくみせる演色効果等のメークアップ効果に優れ、てかりなどが長期使用においても発生しない等の、使用性に優れた固形粉末化粧料が求められていた。
【0005】
一方、固形粉末化粧料に於いて、揮発溶剤を用いた湿式成型法により固形粉末化粧料のオルセン針入硬度を調節することにより、最終の成形製品の品質に大きな差異が現れることは全く知られていなかった。また、粘着性を有する油剤及び光沢を有する二酸化チタン被覆マイカを配合し、いわゆる湿式成型法により成形した固形粉末化粧料が肌へのつやの付与効果が高く、肌を明るくみせる等のメークアップ効果に優れ、てかりの発生などによる使用性の低下を招かないことも知られていなかった。
【特許文献1】特開平04−128211
【特許文献2】特開2006−193519
【特許文献3】特開2006−193526
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、つやの付与、演色効果等のメークアップ効果及び使用性に優れた固形粉末化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる状況を鑑みて、光沢を有する二酸化チタン被覆マイカ及び粘着性油剤を含有する演色効果に優れた固形粉末化粧料に於いて、使用性に優れた固形粉末化粧料を得るべく鋭意研究努力を重ねた結果、光沢を有する二酸化チタン被覆マイカ及び粘着性油剤を含有する固形粉末化粧料を、揮発油剤を用いたいわゆる湿式成型法により調製することで、目的とする固形粉末料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下に示す通りである。
(1)荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料であって、1)光沢を有する二酸化チタン被覆マイカ及び2)粘着性を有する油剤を含有することを特徴とする固形粉末化粧料。
(2)粘着性を有する油剤の粘着性が、該油剤を薄膜として、粘着性試験器で測定した粘着性の値が35gf〜70gfであることを特徴とする(1)に記載の固形粉末化粧料。
(3)光沢を有する二酸化チタン被覆マイカが反射光の干渉により発色することを特徴とする(1)乃至(2)記載の固形粉末化粧料。
(4)粘着性を有する油剤の含有量が化粧料全体に対して0.5質量%〜6.0質量%であることを特徴とする(1)から(3)いずれかに記載の固形粉末化粧料。
(5)前記を光沢を有する二酸化チタン被覆マイカを含有する粉体成分と前記粘着性を有する油剤を含有する油剤成分からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して調製することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の固形粉末化粧料。
(6)荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料の製造法であって、前記光沢を有する二酸化チタン被覆マイカとその他の粉体からなる粉体成分及び粘着性を有する油剤を含有する油剤成分からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して製造することを特徴とする固形粉末化粧料の製造法。
(7)前記粘着性を有する油剤の含有量が化粧料全体の0.5質量%〜6.0質量%であることを特徴とする、請求項7に記載の固形粉末化粧料の製造法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1) 本発明の固形粉末化粧料の必須成分である光沢を有する二酸化チタン被覆マイカ
本発明の固形粉末化粧料は、必須成分として、光沢を有する二酸化チタン被覆マイカを含有する。本発明の光沢を有する二酸化チタン被覆マイカとしてはその光沢によって肌に適度のつやを与えるものが好ましく、その意味では、光沢度合いはそれほど強くない方が好ましい。また、同時に肌色を健康的に見せる、いわゆる演色効果を有するものが好ましく、この点からは、反射光の干渉現象により発色するものが好ましく、赤色系の干渉光を有するものが特に好ましい。これらの光沢を有する酸化チタン被覆マイカはそのまま用いても良いし、その表面を種々の処理剤により処理した後用いても良い。かかる表面処理としては、金属石鹸処理、フッ素化合物による処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付、シリル化等の珪素化合物による処理等が好適に例示できる。
【0009】
このような光沢を有する二酸化チタン被覆マイカには多くの市販品が存在するのでこれらを購入して使用することができる。かかる市販品としては「SAトランスプリズマーレッド」(トリメトキシシリルジメチコン処理チタンマイカ 三好化成株会社製、赤色干渉)、「チミロンスーパーレッド」(メルク社製、赤色干渉)、「フラメンコレッド−100」(BASF社製、赤色干渉)等が好適に例示される。
【0010】
本発明の固形粉末化粧料では、光沢を有する二酸化チタン被覆マイカを一種含有していても良いし、二種以上含有していても良い。また、本発明の固形粉末化粧料における光沢を有する二酸化チタン被覆マイカの含有量は化粧料全体の2.0〜10.0質量%である。含有量が少なすぎると肌を明るく健康的に見せる演色効果が充分に発揮されない場合があり好ましくない。一方、含有量が多すぎると、固形粉末化粧料を肌に塗布した場合の光沢が強すぎて、不自然なぎらつきを与える場合があり好ましくない。
【0011】
(2)本発明の固形粉末化粧料の必須成分である)粘着性を有する油剤
本発明の固形粉末化粧料は、必須成分として、前述の光沢を有する二酸化チタン被覆マイカに加えて粘着性を有する油剤を含有する。該粘着性を有する油剤は光沢を有する二酸化チタン被覆マイカと肌との密着性を高め、光沢を有する二酸化チタン被覆マイカの肌上での配向を向上させ、結果として固形粉末化粧料の肌を明るく健康的に見せる効果が高くなる。
【0012】
このような観点から本発明の粘着性を有する油剤としては、粘着性試験器より測定した粘着性が35gf〜70gfの範囲にあることが好ましい。この様な粘着試験器には、幾つかのタイプのものが市販されているが、概ね試験法によるばらつきは少なく、何れのタイプの試験器でも使用可能である、この様な市販の粘着性試験器としては、例えば、ハンディー圧縮試験器KES-G5((株)カトーテック製)、ポールタックテスター(安田精機製作所(株)製)、粘着性試験器RTG1210(アズワン株式会社製)等が好ましく例示でき、より好ましくは、ハンディー圧縮試験器KES-G5 を用いて、測定部支持台上に試料を一定量の薄膜に調整し、固定することで測定できる。具体的には油剤を0.05〜5g/cmとなるように広げ薄膜として、粘着性試験機で測定することが好ましく、0.05〜0.5/cmが更に好ましい。更に、人工皮革に油剤を塗布し、薄膜としたものを、SENCE10、STROKE5の条件で測定することが好ましい。人工皮革としては 株式会社ビューラックスより市販されている「バイオスキン」が好ましい。測定に際して作成する薄膜は、0.5milに調整することが好ましく、この様な厚さの薄膜は例えば「ドクターブレード」などを用いて調整することが出来る。かかる薄膜を、前記の機器により測定された粘着性が、35gf〜70gfである油剤としては、具体的にはリンゴ酸の脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、イソブテンのコポリマー等が好適に例示できる。これらの粘着性を有する油剤の多くには市販品が存在するので、市販品を購入して使用することもできる。かかる市販品としては、「コスモール222」(リンゴ酸ジイソステアリル 日清オイリオグループ株式会社製)、「クロデスタ4−IS」(ショ糖テトライソステアレート クローダジャパン株式会社製)、「ポリブテンHV−300F」(イソブテンのコポリマー 日本石油化学株式会社製)「パールリーム24」(イソブテンコポリマー 日本油脂株式会社製)等が好適に例示できる。本発明に於いては、かかる粘着性油剤の粘着性を利用するものであるが、本発明の効果を奏するためには、前記粘着性を有する油剤の含有量が化粧料全体の0.5質量%〜6.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。又、かかる粘着性油剤は、油性成分全量に対して、総量で5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。これは多すぎると化粧崩れ防止効果は頭打ちになる場合、或いは、粘着性の不均一により、仕上がり外観を損なうことがある場合があるからである。
【0013】
(3)発明の固形粉末化粧料
本発明の固形粉末化粧料は、上記の条件を充足し、オルセン硬度計での針入硬度が60〜95、より好ましくは、70〜85であること特徴とする。この様な性状の化粧料を得るためには、粉体成分及び油剤成分を、揮発性油剤とともに混合、混練りし、これを中皿に充填し、しかる後に、練合媒である揮発油剤を揮散せしめ、成形することにより製造される。ここにおいて、本発明で用いることの出来る揮発性油剤は、軽質イソパラフィン、ジメチコン、シクロメチコンの何れかであって、沸点が150〜250℃のものが好ましい。ジメチコンであれば、粘度に換算して1mPas・s以下のものがこれに相当する。この様な揮発油剤には既に化粧料原料として市販しているものが存し、この様な化粧品原料を購入して利用することが出来る。この様な市販品の内、好ましいものとしては出光興産社製の「IPソルベント1620MU」、信越シリコーン社製の「シリコーンKF96−1」などが好適に例示できる。かかる練合媒としての揮発油剤は、唯一種を用いることも出来るし、二種以上を組み合わせて用いることも出来る。またその量は、重量換算で粉体成分と油剤成分からなる化粧料基剤の0.25〜1.00倍が好ましい。練合においては、粉体の二次凝集が出来る限り壊砕出来るような練合が好ましく、具体的には、土練機、ダブルプラネタリーミキサー等を用いて混合、混練りすることが好ましい。混練りしてスラリーを作成し、これを充填した後、揮発性油剤を揮散させて成形するが、揮発性油剤の揮散条件としては、50〜100℃で6〜48時間の送風条件が好ましく例示できる。
【0014】
(3)本発明の固形粉末化粧料に含有される任意成分
本発明の化粧料は、固形粉末化粧料であり、パウダーファンデーション、プレストパウダー等のベースメーク料、パウダーアイカラー、チークカラー等のポイントメーク料への適用が可能であるが、その使用性を際だたせる点で、使用面積の大きなベースメーク料としての使用が好ましい。この様な種々の固形粉末化粧料に適用するに際して、本発明の固形粉末化粧料では、通常化粧料で使用される任意成分より、適宜好適な成分を選択し、適用すべき固形粉末化粧料として好ましい性状のものに加工することが出来る。
【0015】
かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、通常の雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0016】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明が実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0017】
<実施例1〜4> <比較例1〜3>
以下に示す工程に従って固形化粧料であるパウダーファンデーションを作成した。すなわち、実施例1〜4及び比較例1に於いては、表1(イ)成分をヘンシェルミキサーで混合した後、パルベライザーで粉砕した。その後、再びヘンシェルミキサーでこの混合物を攪拌しながら(ロ)成分を添加し、混合を続け、化粧料基剤を得た。得られた化粧料基剤をヘンシェルミキサーから取り出した後、再びパルベライザーで粉砕し、ダブルプラネットミキサー(DPM)中で、質量換算で化粧料基剤1に対してイソパラフィン0.5の割合で混練しスラリーを作成した。このスラリーをアルミ中皿に充填し、真空条件下でイソパラフィンを除去してパウダーファンデーションを得た。また、比較例2、3に関しては(イ)成分及び(ロ)成分を混合しヘンシェルミキサーで粉砕した後、金型を用いて半自動プレス機により比較例2に関しては15kg/cm2のプレス圧、比較例3に関しては40kg/cm2のプレス圧でアルミ中皿に充填した。なお、表1中の数字は質量%を表す。
また、荷重2ポンドでのオルセン硬度を併せて表1に示す。
【0018】
【表1】


* 1)「SAトランスプリズマーレッド」三好化成株会社製
* 2)「コスモール222」日清オイリオグループ株式会社製
【0019】
<試験例1>パウダーファンデーションの連続使用テスト。
実施例1〜4、比較例2及び比較例3のパウダーファンデーションの表面をパフにて何度もこすり続け、連続使用におけるファンデーションのパフへの取れ性を評価した。実施例1〜4及び比較例1〜2においてはアルミ中皿の底がみえるまで問題なく使用できたが、比較例3においては表面に凝集体(いわゆるてかり)ができ使用途中でパフへの取れ量が著しく低下し、使用不可能となった。
【0020】
<試験例2> パウダーファンデーションの官能評価
実施例1〜4及び比較例1〜3のパウダーファンデーションを肌に塗布した場合の使用感を評価した。すなわち熟練した評価者5名により実施例1〜4及び比較例1〜3のパウダーファンデーションを使用した場合の仕上がりを以下の観点で評価し5名の平均点を評点とした。結果を表2に示す。
1 はだのつや ある;5 ややある;4 普通;3 ややない;2 ない;1
2 肌の明るさ ある;5 ややある;4 普通;3 ややない;2 ない1
【0021】
<試験例3>パウダーファンデーションの落下強度テスト
アルミ中皿に充填した実施例1〜4及び比較例1〜3のファンデーションをスチレン性の緩衝材で包装し、一個箱に入れた後、25cmの高さから落下した。各サンプルについてこの試験をn=5で行い、割れたり、かけたりしたファンデーションの数をもって落下強度とした。結果を表2に併せて示す。数字が小さいほど落下強度が高いことを示す。
【0022】
【表2】

【0023】
試験例1〜3より本発明の固形化粧料は肌につや及び明るさを付与する効果に優れ、かつ、粘着性油剤を含有せしめたことに由来する、ファンデーション表面での凝集体(いわゆるてかり)の発生により使用性が低下する等の問題も生じず、落下強度も維持でき、使用性及びメークアップとしての演色性ともに優れることが確認された。
【0024】
<実施例5〜7>
実施例1〜4と同様に表3の処方に従って、固形粉末化粧料であるパウダーファンデーションを作成した。実施例5〜7のパウダーファンデーションの荷重2ポンドでのオルセン硬度を併せて表3に示す。また、試験例1の方法で実施例5〜7のパウダーファンデーションの連続使用テストを行ったところ、全てアルミ中皿の底がみえるまで問題なく使用できた。さらに、実施例5〜7のパウダーファンデーションの官能評価を試験例2の手法で、落下強度を試験例3の方法で評価した。結果を表4に示す。なお、表3中の数字は質量%を表す。
【0025】
【表3】


* 3)「フラメンコレッド−100」 BASF社製
* 4)「ポリブテンHV−300F」 日本石油化学株式会社製
【0026】
【表4】


【0027】
パウダーファンデーションの連続使用テスト及び表4の結果から、粘着性油剤及び干渉色パールの種類が変わっても本発明の固形粉末化粧料は使用性、メークアップとしての演色性ともに優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0028】
化粧料 特にメークアップ化粧料に有効に活用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料であって、1)光沢を有する二酸化チタン被覆マイカ及び2)粘着性を有する油剤を含有することを特徴とする固形粉末化粧料。
【請求項2】
粘着性を有する油剤の粘着性が、該油剤を薄膜として、粘着性試験器で測定した粘着性の値が35gf〜70gfであることを特徴とする請求項1に記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
光沢を有する二酸化チタン被覆マイカが反射光の干渉により発色することを特徴とする請求項1乃至2記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
粘着性を有する油剤の含有量が化粧料全体に対して0.5質量%〜6.0質量%であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の固形粉末化粧料。
【請求項5】
前記粘着性を有する油剤の含有量は、化粧料中の油性成分の総量に対して、5〜40質量%であることを特徴とする、請求項4に記載の固形粉末化粧料。
【請求項6】
前記を光沢を有する二酸化チタン被覆マイカを含有する粉体成分と前記粘着性を有する油剤を含有する油剤成分からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して調製することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
【請求項7】
荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料の製造法であって、前記光沢を有する二酸化チタン被覆マイカとその他の粉体からなる粉体成分及び粘着性を有する油剤を含有する油剤成分からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して製造することを特徴とする固形粉末化粧料の製造法。
【請求項8】
前記粘着性を有する油剤の含有量が化粧料全体の0.5質量%〜6.0質量%であることを特徴とする、請求項7に記載の固形粉末化粧料の製造法。

【公開番号】特開2010−126445(P2010−126445A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299410(P2008−299410)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】