説明

固形食材の蜜漬け装置

【課題】菓子の原料となる豆類や芋類、果実などの各種固形食材を1回当り比較的少量づつ、形崩れや焼け焦げ変色のおそれなく蜜漬けできる安価な装置を提供する。
【解決手段】煮釜(P)の真上位置に架設された駆動モーター(36)から、その煮釜(P)の中心部に向かって垂下するセンター軸(38)の下端部へ、煮篭(C)を一体回転し得るように且つ抜き差し自在に差し込み使用し、その各種固形食材(M)が収容された煮篭(C)を、上記煮釜(P)内の糖蜜(S)へ漬け込む状態に保って、その煮釜(P)を下方から加熱し乍ら、煮篭(C)を上記駆動モーター(37)によりセンター軸(38)との一体的に回転させて、上記糖蜜(S)を煮篭(C)内の全体的に対流・循環させるように定めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は菓子(例えば甘納豆)の原料(豆類、芋類、栗など)や果実、魚介、肉塊、惣菜、その他の各種固形食材を形崩れと焼け焦げ変色のおそれなく蜜漬けするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種固形食材の蜜漬け装置については、本出願人とその関係会社の中井機械工業株式会社から下記特許文献1〜4を既に提案しており、これらが本発明に最も近似する公知技術であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3885057号公報
【特許文献2】特許第3777186号公報
【特許文献3】特許第3740130号公報
【特許文献4】特開2004−135604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1(特許第3885057号公報)を代表例に挙げて言えば、その蜜漬け装置の煮釜(1)は開口径よりも深さの深い断面ほぼU字形(寸胴形)として、例えば約1斗〜4斗の大容量を有するため、糖蜜(S)を循環ポンプ(54)の圧送力により強制的に対流・撹拌するだけにとどまらず、糖蜜振り撒き体(A)の回転遠心力による糖蜜(S)の振り落し撹拌作用と、冷却ファン(77)の回転風力による蒸気の吹き飛ばし排気作用も加えなければ、煮釜(1)の開口上面から水分を確実に蒸発させることができず、その糖蜜(S)の液面(L−L)に皮膜が生成されて、引き続く水分の蒸発を遮断してしまうことになり、目標とする糖度の濃蜜な仕上がり状態を効率良く得られないのである。
【0005】
その意味から大容量の煮釜(1)内へ、例えば合計4個の煮篭(C)を吊り込み積層させて、1回に大量の固形食材(M)を蜜漬け処理する大型の蜜漬け装置であればともかく、小容量の煮釜を使う小型又は卓上型の蜜漬け装置である場合には、上記糖蜜(S)の循環回路(R)とその循環ポンプ(54)、糖蜜振り撒き体(A)とその駆動モーター(23)、冷却ファン(77)などを必要とする分だけ、製造コストが甚だ高価となり、実用性を阻害してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では開口径が深さよりも大きな寸法の円錐形又は円筒形をなし、据付け機筐の上面に受け止め支持される煮釜と、
【0007】
その煮釜の加熱源と、
【0008】
上記据付け機筐から起立する支柱を介して、煮釜の真上位置に架設されたセンター軸回転用駆動モーターと、
【0009】
その駆動モーターの出力軸と伝動連結されることにより、上記煮釜の中心部に向かって垂下するセンター軸と、
【0010】
そのセンター軸の下端部へ連結スリーブを介して一体回転し得るように、且つ抜き差し自在に差し込み使用される煮篭とを備え、
【0011】
菓子の原料となる豆類や芋類、栗、果実、その他の各種固形食材が収容された煮篭を、煮釜に貯溜した糖蜜への漬け込み状態に保って、その煮釜を下方から加熱し乍ら、煮篭を上記センター軸回転用駆動モーターにより回転させて、糖蜜を煮釜内の全体的に対流・循環させることにより、その糖蜜が固形食材に浸透した目標とする糖度の濃蜜状態を得ることを特徴とする。
【0012】
又、請求項2では煮篭をステンレス鋼線の骨組と金網から、煮釜とほぼ対応する大きさ・形状に造形して、その底面中央部から多孔芯筒を上向き一体的に垂立させると共に、
【0013】
同じく煮篭の開口縁部に向かい合う一対の把手を、各々起伏的な回動自在に枢着して、
【0014】
センター軸側の連結スリーブへ下方から抜き差し自在に差し込み套嵌される取付軸筒と、その取付軸筒から一体的に張り出す一対の水平なハンガーアームとを備えた煮篭吊り下げ用具の両ハンガーアームへ、上記煮篭の両把手を係脱自在に係止させることにより、その煮篭を上記センター軸の下端部へ吊り下げたことを特徴とする。
【0015】
請求項3では煮篭をステンレス鋼線の骨組と金網から、煮釜とほぼ対応する大きさ・形状に造形して、その底面中央部から多孔芯筒を上向き一体的に垂立させる一方、
【0016】
煮篭内の固形食材が糖蜜の液面まで浮き上がり露出することを防ぐ落し蓋を、上記煮篭と同じ材質の骨組と金網から煮篭の内部へ落し込める大きさの相似な円板体に作成して、
【0017】
その落し蓋の多孔芯筒逃し入れ用中心口を上記煮篭の多孔芯筒へ落し込み使用すると共に、その中心口の付近へ差し込み設置した接触式温度センサー付き無線送信機の温度センサーにより、固形食材やその蜜漬け中にある糖蜜の加熱温度を検知するように定めたことを特徴とする。
【0018】
更に、請求項4では煮釜の開口周縁部から排液シュートとその下方に位置する支持アームとを、何れも前向き一体的に張り出す一方、
【0019】
据付け機筐の上面から左右一対のアーム受けステーを前上方へ一体的に張り出して、
【0020】
上記煮釜側の支持アームを据付け機筐側のアーム受けステーへ係脱自在に、且つ起伏的な回動操作可能に係合させることにより、上記煮釜を据付け機筐の上面から前方へ起し上げ転倒させ得るように定めると共に、
【0021】
上記据付け機筐の上面に固定設置された左右一対の軸受けステーへ、側面視のほぼ倒立L字形に屈曲する支柱の下部基端を、起伏的な回動操作自在に枢着して、
【0022】
上記支柱が煮釜の真上位置まで到達する上部先端に搭載されたセンター軸回転用駆動モーターとこれにより回転駆動されるセンター軸を、その支柱の傾動操作により据付け機筐の上面から上記煮釜と逆な後方へ起し上げ退避させ得るように定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の上記構成によれば、各種固形食材が収容された煮篭を、煮釜に貯溜した糖蜜への漬け込み状態に保って、その煮釜を下方から加熱する一方、上記煮篭を駆動モーターによりセンター軸と一体回転させて、上記糖蜜を全体的に対流・循環させるようになっているため、蜜漬け中の加熱が進むに連れて、糖蜜の液面に皮膜が生成されるおそれを、上記煮篭の回転作用により防止することができ、冒頭に述べた従来技術のような糖蜜の循環回路とその糖蜜の圧送用循環ポンプ、糖蜜振り撒き体とその駆動モーター、冷却ファンなどの特別な設置が不要となり、それにも拘らず固形食材の目標とする濃蜜な熟成状態を、短時間での熱効率良く得られるのであり、特に小容量の煮釜を使う小型又は卓上型の蜜漬け装置として、著しく有益となる。
【0024】
特に、請求項2の構成を採用するならば、センター軸側の連結スリーブへ下方から抜き差し自在に差し込み套嵌される取付軸筒と、その取付軸筒から一体的に張り出す一対の水平なハンガーアームとから成る煮篭吊り下げ用具を使って、煮篭の開口縁部に枢着された向かい合う一対の把手を、その吊り下げ用具の両ハンガーアームへ係脱自在に係止させるようになっているため、上記センター軸に対する煮篭の吊り下げ状態が著しく安定し、その煮篭を回転させるも、不慮に傾斜したり、振れ動いたりするおそれはない。
【0025】
また、請求項3の構成を採用するならば、煮篭の多孔芯筒を言わば落し込みガイドとして、その煮篭の内部へ落し込み併用される円板状の落し蓋により、固形食材が加熱中に糖蜜の液面まで浮き上がり露出したり、踊り上がったりするおそれを防止できるほか、その糖蜜における多孔芯筒逃し入れ用中心口の付近へ差し込み設置された無線送信機の接触式温度センサーにより、上記煮篭の回転中にも支障なく固形食材やその糖蜜の加熱温度を測定・検知して、その加熱温度を固形食材が焦げ付き変色しない目標の設定値に制御し得る効果もある。
【0026】
更に、請求項4の構成を採用するならば、側面視のほぼ倒立L字形に屈曲する支柱を傾動操作して、その上部先端に架設されているセンター軸を、据付け機筐の上面から後方へ起し上げ退避させた状態に保ち、その後煮釜を同じく据付け機筐の上面から逆な前方へ起し上げ転倒させれば、その煮釜の内部から固形食材の煮汁や糖蜜を別な捕集容器へ、円滑に排出することができ、そのための作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る蜜漬け装置の概略全体を示す正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図1の平面図である。
【図5】上記蜜漬け装置の据付け機筐を抽出して示す平面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】図5の背面図である。
【図8】図1の部分拡大正面図である。
【図9】センター軸の回転駆動機構を抽出して示す断面図である。
【図10】センター軸に撹拌羽根(スクレーパー)を取り付けた使用例を示す部分断面図である。
【図11】図10の撹拌羽根(スクレーパー)を抽出して示す正面図である。
【図12】固形食材の蜜漬け状態を示す断面図である。
【図13】図12の13−13線に沿う拡大断面図である。
【図14】センター軸側の連結スリーブに対する煮篭吊り下げ用具の連結状態を抽出して示す部分拡大断面図である。
【図15】煮篭を抽出して示す平面図である。
【図16】図15の正面図である。
【図17】図15の17−17線断面図である。
【図18】煮篭吊り下げ用具を抽出して示す平面図である。
【図19】図18の19−19線断面図である。
【図20】図12と異なる煮篭の吊り下げ状態を示す断面図である。
【図21】図20の煮篭吊り下げ部分を抽出して示す拡大断面図である。
【図22】煮篭の落し蓋を抽出して示す平面図である。
【図23】図22から把手の差込み枢支ピンを進出させた状態の平面図である。
【図24】図23の24−24線断面図である。
【図25】把手を取りはずした落し蓋の図22に対応する平面図である。
【図26】図25の正面図である。
【図27】落し蓋の把手を抽出して示す正面図である。
【図28】把手をストッパーフックに係止させた状態の図22に対応する平面図である。
【図29】温度センサー付き無線送信機を抽出して示す拡大断面図である。
【図30】受信機を抽出して示す平面図である。
【図31】図30の正面図である。
【図32】無線送信機と受信機の機能を示すブロック図である。
【図33】電磁誘導加熱器を加熱源とする基本実施形態の制御回路図である。
【図34】蒸気を加熱源とする第1変形実施形態の制御回路図である。
【図35】ガスを加熱源とする第2変形実施形態の制御回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1〜10は電磁誘導加熱器(H)を加熱源とする固形食材(M)の蜜漬け装置に係り、(10)は作業床への据付け機筐であって、一定な大きさ(例えば幅:約450mm×奥行:約600mm×高さ:約800mm)の直方体をなし、その下端の四隅部にねじ込まれたアジャスター(11)により、据付け高さや水平度を調整することができるようになっているが、同じく四隅部に軸支されたキャスター(12)を使って、据付け場所を変えることも可能である。
【0029】
上記据付け機筐(10)の水平な上面は着脱可能な天板(テーブル)(13)として、ここには円形の煮釜逃し入れ口(14)が開設されている。(15)はその煮釜逃し入れ口(14)の周縁部から一体的に起立する煮釜受けフランジ、(16)は上記天板(テーブル)(13)から斜め前上方へ一体的に張り出された左右一対のアーム受けステーを示している。
【0030】
(P)は上記煮釜逃し入れ口(14)へ上方から抜き差し自在に差し込まれ、その据付け機筐(10)の煮釜受けフランジ(15)により受け止め支持される煮釜であって、その開口周縁部に付属一体化されたリング状の補強フランジ(17)と、左右一対の把手(18)と、同じく開口周縁部から前向き一体的に張り出す排液シュート(所謂烏口)(19)と、上記補強フランジ(17)から排液シュート(19)の下方位置まで前向き一体的に張り出す平面視のコ字枠状支持アーム(20)とを備えており、その支持アーム(20)が上記据付け機筐(10)のアーム受けステー(16)へ係脱自在に、且つ起伏的な回動操作可能に係合されている。
【0031】
上記据付け機筐(10)の天板(テーブル)(13)から煮釜(P)の把手(18)を持ちつつ、その支持アーム(20)における水平な張り出し先端杆部(20a)の軸線廻りに煮釜(P)を起し上げ転倒させて、その排液シュート(19)を図3の鎖線に示す如く、前下向きに変換操作することにより、煮釜(P)から煮汁や糖蜜(シロップ)(S)を図外の捕集容器へ排出できるようになっているのである。
【0032】
しかも、上記煮釜(P)はその深さ(y)よりも大きな寸法の開口径(x)(例えば深さ:約158mm、開口径:約360mm)を備えた円錐形(ボール鍋の形態)に作成されており、一例として約11リットルの容量を有する。但し、その開口径(x)が深さ(y)よりも大きな寸法の煮釜(P)である限り、これを円錐形に代る図20のような円筒形(寸胴鍋の形態)に作成しても良い。
【0033】
また、図示実施形態の場合上記煮釜(P)の底面には、磁性体である鉄粉やその他の発熱皮膜(図示省略)が溶着一体化されており、導電性が与えられている。もっとも、導電性を有する煮釜(P)である限り、その材質としては銅や鉄のほかに、鉄とステンレス鋼とのクラッド材、鉄とアルミとのクラッド材、その他の磁性体である各種金属を採用することができる。
【0034】
(21)は固形食材(M)の加熱源となる電磁誘導加熱器(H)の励磁用高周波電源(加熱用インバーター)であり、上記据付け機筐(10)の内部を横架する水平な補強バー(22)へ、複数の支持ボルト(23)によって取り付け固定されている。
【0035】
茲に、電磁誘導加熱器(H)は1本の銅線(リッツ線)から渦巻き状態に周回された電磁誘導加熱コイル(24)と、非磁性体(例えばアルミ)のフラットな円形コイル支持ベース(25)と、その上下相互間に介挿されたセラミックファイバーなどの耐熱性スペーサーリング(26)とから組立ユニット化されており、上記高周波電源(21)の上面に搭載されている。
【0036】
そして、そのスペーサーリング(26)により煮釜(P)の底面と対応する形状に保たれた電磁誘導加熱コイル(24)の切り離し両端部は、図33の制御回路に示す如く、接続端子を介して上記高周波電源(21)の出力端子と接続配線されており、その高周波電源(21)から高周波電流の供給を受けるようになっている。因みに、図示実施形態の高周波電源(21)は3KWの出力を有する。
【0037】
つまり、上記高周波電源(21)から電磁誘導加熱器(H)の電磁誘導加熱コイル(24)へ高周波電流を供給して、上記導電性を有する煮釜(P)と交差する磁束を発生させれば、その煮釜(P)の底面に渦電流が流れ、これが通路となる煮釜(P)の抵抗によって電力損失を生じ、そのジュール熱により煮釜(P)の底面と延いては内部の固形食材(M)が加熱されることとなる。
【0038】
固形食材(M)の加熱源として、このような電磁誘導加熱器(H)を採用すれば、その加熱力や加熱温度の制御を高精度に行なえ、食材(M)の形崩れや焼け焦げ変色を確実に予防できるほか、夜間での無人運転も行ないやすい利点があるが、上記電磁誘導加熱器(H)に代るガスバーナー、煮釜(P)を包囲する蒸気ジャケットや面状電気ヒーターなどを採用しても良く、更にはその異なる2種の加熱源を併用してもさしつかえない。
【0039】
(27)は上記煮釜(P)の背後に位置する関係として、据付け機筐(10)の天板(テーブル)(13)に取り付け固定された左右一対の軸受けステー、(28)は側面視のほぼ倒立L字形に屈曲する中空支柱であり、その下部基端をなす軸筒(29)が水平の支点軸(30)を介して、両軸受けステー(27)へ起伏的な回動操作自在に枢着されている。
【0040】
また、(31)は上記中空支柱(28)の中途部から後向き一体的に張り出された左右一対の連結片、(32)はその連結片(31)と対応する左右一対の支持座であり、上記据付け機筐(10)の天板(テーブル)(13)に取り付け固定されている。
【0041】
(33)はその連結片(31)と支持座(32)との上下相互間を枢支連結する伸縮可能な気圧シリンダー(ガスダンパー)であり、上記中空支柱(28)を希望する傾斜角度の起立状態に調整する。(34)はその調整状態を固定維持する突っ張りネジ脚であって、中空支柱(28)の軸筒(29)とその軸受けステー(27)の前端部との上下相互間に亘って立設されており、上記中空支柱(28)が後方へ転倒することを防止している。
【0042】
その突っ張りネジ脚(34)により予じめ調整された傾斜角度の許容範囲内において、上記中空支柱(28)を人為的に傾動操作することにより、後述のセンター軸を据付け機筐(10)の天板(テーブル)(13)から後方へ起し上げた状態として、その煮釜(P)の開口上面から退避させることができるようになっており、その結果その後煮釜(P)を据付け機筐(10)の天板(テーブル)(13)から人為的に逆な前方へ起し上げ転倒させて、その煮釜(P)から煮汁や糖蜜(シロップ)(S)を排出することも可能となる。
【0043】
他方、上記中空支柱(28)が煮釜(P)の真上位置まで到達する上部先端には、カップリングケース(35)が図8、9のような施蓋状態に被着されている。(36)はそのカップリングケース(35)の上面に固定搭載された竪型のセンター軸回転用駆動モーターであって、可逆式のDCブラシレスモーターから成り、その回転速度を制御するコントローラー(基板)(37)が、上記据付け機筐(10)に内蔵設置されている。
【0044】
(38)はカップリングケース(35)に内蔵設置された伝動カップリング(39)を介して、上記駆動モーター(36)の出力軸(40)と伝動連結されることにより、そのカップリングケース(35)から上記煮釜(P)の中心部に向かって垂下するセンター軸、(41)はそのセンター軸(38)の上半部を抱持する固定ベアリングケースであり、上記カップリングケース(35)の下面へ押圧フランジ(42)と複数の固定ボルト(43)によって取り付けられている。
【0045】
(44)はその固定ベアリングケース(41)に封入された上下一対のラジアルベアリングであり、上記センター軸(38)を回転自在に軸受けしている。(45)は同じくセンター軸(38)のスラストベアリングである。尚、上記伝動カップリング(39)はその詳細を図示省略してあるが、ゴム製のスパイダーとこれを挟む一対の金属製ハブとから成り、上記駆動モーター(36)の出力軸(40)からセンター軸(38)へ回転動力を伝達し得るようになっている。
【0046】
また、(46)は上記カップリングケース(35)と固定ベアリングケース(41)の押圧フランジ(42)との上下相互間へ、その固定ボルト(43)を兼用して挟み付け一体化された径大な円形の固定カバーであり、これから一体的に垂下する周縁フランジ(47)の内周面には、インターナルギヤ(48)が刻設されている。
【0047】
(49)は上記固定カバー(46)の周縁フランジ(47)を下方から包囲する径大な椀状の回転ベアリングケースであり、その中心部がキー(50)やスプラインなどを介して、上記センター軸(38)と一体回転し得るように嵌合されている。(51)はその回転ベアリングケース(49)の抜け止めナットであり、センター軸(38)の下端部付近に螺合締結されている。
【0048】
更に、(52)はセンター軸(38)との一定間隔を保つ平行状態として、上記回転ベアリングケース(49)から煮釜(P)の偏心部に向かって垂下する互いに同じ一対の偏心軸であり、何れも回転ベアリングケース(49)に封入された上下一対のラジアルベアリング(53)によって、その回転ベアリングケース(49)へ回転自在に軸受けされている。(54)は回転ベアリングケース(49)を下方から施蓋するように、各偏心軸(52)に取り付け固定されたエンドキャップである。
【0049】
しかも、上記固定カバー(46)側のインターナルギヤ(48)に内接して、これと噛合回転する径小なピニオンギヤ(55)が、その各偏心軸(52)の上端部に差し込み套嵌されており、上記センター軸(38)がその駆動モーター(36)によって正方向(例えば右方向)へ回転駆動されると、そのセンター軸(38)と一体回転する回転ベアリングケース(49)を介して、一対の偏心軸(52)がセンター軸(38)の周囲を同じ方向(右方向)へゆっくり公転運動すると同時に、そのピニオンギヤ(55)とインターナルギヤ(48)との噛合作用により、上記公転運動する方向(右方向)との逆方向(左方向)へ、速く自転運動し得るようになっている。
【0050】
その場合、センター軸(38)と一対の偏心軸(52)はその正方向(右方向)と逆な互いに同じ方向(左方向)へ公転運動し得るが、その各偏心軸(52)とこれに套嵌されたピニオンギヤ(55)との嵌合面には、各々ワンウエイクラッチ(56)も介挿設置されており、センター軸(38)が上記正方向(右方向)との逆方向(左方向)へ回転駆動された時に限っては、そのワンウエイクラッチ(56)によってピニオンギヤ(55)への伝動作用が切断され、一対の偏心軸(52)が自転運動を行なえず、停止するようになっている。
【0051】
上記ワンウエイクラッチ(56)の詳細は図示省略してあるが、これはクラッチハウジングとその内周面へ締まりばめ固定状態に圧入された咬み込み用コロ(クラッチ部)と、その両サイド部に組み込まれたラジアル荷重負荷用軸受けとからシエル型をなし、上記コロの各個がバネによって保持されたものである。
【0052】
尚、図示実施形態では一対の偏心軸(52)を公転運動する方向(右方向)との逆方向(左方向)へ、自転運動させているが、上記センター軸(38)と一体回転する回転ベアリングケース(49)におけるボス(中心部)の外周面へ、サンギヤを刻設する一方、そのサンギヤと各偏心軸(52)のプラネタリーギヤとを、言わば外接状態に噛合回転させる構成として、一対の偏心軸(52)をゆっくり公転運動する方向(右方向)と同じ方向へ、速く自転運動させても良い。但し、上記センター軸(38)の周囲を公転運動する偏心軸(52)がなく、上記駆動モーター(36)によって回転駆動される単一のセンター軸(38)を具備するに過ぎない蜜漬け装置であっても、本発明での採用に値いする。
【0053】
(57)は上記センター軸(38)の下端部へ下方から差し込み套嵌された上、水平な貫通ピン(58)を介して抜け止めされた細長い内部段付きの円筒状連結スリーブ、(59)はその貫通ピン受け入れ長孔であり、連結スリーブ(57)の上下方向に沿って開口延在しているため、その連結スリーブ(57)が自由自在に昇降作用し得る。
【0054】
そして、上記連結スリーブ(57)内の段部よりも上半位置には圧縮コイルバネ(60)が封入されており、これによって連結スリーブ(57)を常時下降する方向へ押圧付勢している。(61)は同じく連結スリーブ(57)の下半位置に切り欠かれたほぼL字形のキー溝であって、ここへ下方から煮篭(C)の後述する吊り下げ用具(A)が、抜き差し自在に差し込み係止されることとなり、その固形食材(M)を収容した状態の煮篭(C)が、煮釜(P)内の底面へ弾圧的に押し付けられる。
【0055】
茲に、煮篭(C)はステンレス鋼線(SUS304)の骨組(62)と平織金網(63)から、図12〜17のような上記煮釜(P)とほぼ対応する大きさ・形状(例えば深さ:約148mm、開口径:約300mm)に作成されており、固形食材(M)が形崩れすることを予防する。但し、糖蜜(S)が良く流通する多数の目孔と、歪まない保形強度とを有する篭であるならば、上記ステンレス金網に代る発錆しない金属のパンチングメタルや、耐熱合成樹脂のメッシュスクリーン、その他の多孔体から造形してもさしつかえない。
【0056】
(64)は上記煮篭(C)の底面中央部から、その深さ(d)とほぼ同じ高さ(h)だけ上向き一体的に垂立する多孔芯筒であって、パンチングメタルから一定な太さ(例えば約30mm)に巻き曲げ立体化されているが、その上面と下面(底面)にも目孔を有しており、この芯筒(64)の内部にも煮汁や糖蜜(S)が支障なく流通し得るようになっている。
【0057】
また、(65)はやはりステンレス鋼線からコ字形に折り曲げられた向かい合う一対の把手であり、その各把手(65)の切り離し両端部が水平な取付枢軸(65a)として、煮篭(C)の開口縁部を形作っている円形な骨組(62)から立設された対応的な一対の軸受け片(66)へ、起伏的な回動自在に差し込み係合されている。
【0058】
そして、先に一言した煮篭吊り下げ用具(A)は図18、19に示す如く、上記センター軸(38)側の連結スリーブ(57)へ下方から抜き差し自在に差し込み套嵌される取付軸筒(67)と、その外周面から一体的に張り出し延長された一対の水平なハンガーアーム(68)とを備え、その取付軸筒(67)の下端部付近からは伝動用キーピン(69)が内向きに突出している一方、各ハンガーアーム(68)の張り出し先端部は上記煮篭(C)の把手受け片(70)として、そのハンガーアーム(68)と直交する一定長さの樋形(半円形)に造形されている。
【0059】
そのため、煮篭吊り下げ用具(A)の取付軸筒(67)を上記センター軸(38)側の連結スリーブ(57)へ、その伝動用キーピン(69)がキー溝(61)と係止するように、下方から差し込み套嵌させて、その抜け落ちない状態に連結した後、両ハンガーアーム(68)の把手受け片(70)へ煮篭(C)の把手(65)を係脱自在に係止させることにより、その煮篭(C)を上記センター軸(38)から吊り下げ使用することができ、しかもそのセンター軸(38)によって煮篭(C)を回転することも可能である。
【0060】
更に言えば、上記煮釜(P)の内部へ先に煮篭(C)を挿入セットしておき、その後センター軸(38)を中空支柱(28)の傾動操作により、据付け機筐(10)の天板(テーブル)(13)から起し上げた状態に保って、そのセンター軸(38)側の連結スリーブ(57)へ煮篭吊り下げ用具(A)の取付軸筒(67)を差し込み套嵌させ、最後に上記センター軸(38)を煮釜(P)の中心部に向かって垂下する状態に戻し、その煮篭吊り下げ用具(A)側の両把手受け片(70)へ煮篭(C)の両把手(65)を吊り掛ければ良い。
【0061】
このような煮篭吊り下げ用具(A)を使えば、上記センター軸(38)に対する煮篭(C)の吊り下げ状態が安定し、その煮篭(C)を回転させるも、不慮に傾斜したり、振れ動いたりするおそれはない。但し、煮篭(C)と別個な上記吊り下げ用具(A)を使う代りに、図20、21のような伝動用キーピン(69)が内向きに突出する取付軸筒(67)を、煮篭(C)における多孔芯筒(64)の上面へ同芯状態に固着一体化して、その取付軸筒(67)をセンター軸(38)側の連結スリーブ(57)へ、上記と同様に差し込み套嵌させることにより、その煮篭(C)をセンター軸(38)へ言わば中心部での一点支持状態に吊り下げてもさしつかえない。
【0062】
何れにしても、煮篭(C)に収容された固形食材(M)が、煮炊き中や蜜漬け中に浮き上がり露出したり、或いは製餡用豆類のように踊って表皮が破裂したりするおそれのある場合には、その煮篭(C)と一緒に図22〜28のような落し蓋(F)を併用することが好ましい。
【0063】
茲に、落し蓋(F)は上記煮篭(C)と同じ材質の骨組(71)と平織金網(72)から、その煮篭(C)の内部へ落し込める大きさ(例えば外径:約285mm)の相似な円板体をなし、その上記多孔芯筒(64)を逃し入れる中心口(73)から放射対称方向へ派出する十字状の骨組(71)には、各々一対づつの把手受けリング(74)が固着一体化されている。
【0064】
(75)はステンレス鋼線からコ字形に折り曲げられた把手の複数(例えば図示の合計4個)であるが、そのコ字形の切り離し両端部を結ぶ(コ字形の開放部を閉塞する)直線状の差込み枢支ピン(76)も具備しており、その各把手(75)の差込み枢支ピン(76)が上記骨組(71)の把手受けリング(74)へ起伏的な回動操作自在に、しかも径方向(横方向)に沿って進退スライド操作できるように差し込まれている。
【0065】
そして、このような落し蓋(F)の中心口(73)を煮篭(C)の多孔芯筒(64)へ落し込み、その把手(75)の差込み枢支ピン(76)を悉く径方向(横方向)へ進出操作して、煮篭(C)の目孔へ差し込み係止させれば、落し蓋(F)が煮篭(C)との固定状態に維持され、その煮篭(C)内の固形食材(M)が糖蜜(S)の液面(L−L)まで浮き上がり露出することを防ぐことができる。
【0066】
他方、上記把手(75)の差し込み枢支ピン(76)を悉く煮篭(C)の目孔から抜き出し退避させれば、落し蓋(F)が煮篭(C)内への文字通り落し蓋として、自由自在に昇降するため、例えば豆類の嵩張り変化する膨軟作用に追従して、これを上方から常時踊り動かない状態に押えることができ、その表皮の破裂などを防止し得るのである。
【0067】
(77)は落し蓋(F)の周縁部を形作っている円形な骨組(71)から立設された複数(図示の合計4個)のストッパーフックであって、上記把手(75)と対応位置しており、その把手(75)の差込み枢支ピン(76)が煮篭(C)の目孔へ差し込み係止された場合に、その把手(75)のコ字形部を図28のように受け止めて、上記枢支ピン(76)が煮篭(C)の目孔から不慮に抜け出す方向へ退動することを防ぐ。
【0068】
また、(78)は上記落し蓋(F)における多孔芯筒逃し入れ用中心口(75)の付近に固着一体化されたセンサー受け座金であり、ここには煮炊き中にある固形食材(M)の加熱温度やその蜜漬け中にある糖蜜(S)の加熱温度を測定・検知する接触式温度センサー(79)付きの無線送信機(T)が、抜き差し自在に差し込み使用されるようになっている。
【0069】
茲に、無線送信機(T)は図29に示すような金属製の筐胴(80)と、その両端部へ各々防水用のOリング(81)を介して、開閉できるように螺合締結された金属製の口金(82)並びに合成樹脂製のキャップ(83)と、その円錐形口金(82)の中心部から一体的に突出する細長い金属製のノーズ管(84)とから、全体のほぼ注射器形態又は手廻しドライバー形態に組み立てられていると共に、その固形食材(M)や糖蜜(S)の中へ差し込み使用されることとなるノーズ管(84)の先端部に、サーミスターや測温抵抗箔、熱電対箔などの接触式温度センサー(感温部)(79)が取り付けられている。
【0070】
図示の物理的な構造では、上記筐胴(80)にマイクロコンピューターが実装された基板(85)とその駆動源の電池(86)を、上記キャップ(83)にワイヤー状の送信アンテナ(87)を各々内蔵しているが、上記筐胴(80)もキャップ(83)と同様な合成樹脂製として、その基板(85)の板面へループ状又は平面状の送信アンテナ(87)を埋設することにより、送信機(T)の全体的な小型・軽量化を図っても良い。(88)は上記温度センサー(79)と基板(85)とを接続する伝送線である。
【0071】
図示の実施形態では温度センサー(79)付き無線送信機(T)の細長いノーズ管(84)を、上記落し蓋(F)のセンサー受け座金(78)へ差し込み使用するようになっているが、その落し蓋(F)を使用しない場合には、上記無線送信機(T)をセンター軸(38)やその連結スリーブ(57)、煮篭吊り下げ用具(A)の就中取付軸筒(67)などへ取り付け使用しても良い。その送信機(T)はセンター軸(38)との一体的に公転運動し得るからである。
【0072】
何れにしても、上記温度センサー(79)付き無線送信機(T)の取付け部(図示のセンサー受け座金(78)に対する細長いノーズ管(84)の差し込み接触部)には、その送信機(T)の取り付け(差し込み)姿勢状態を検知するスイッチ(89)(図32の入力部参照)が設置されており、その取り付け(差し込み)姿勢状態の正確である場合に出力するスイッチ・オン信号(デジタル信号)がマイクロコンピューターのCPU(90)へ入力されて、通常では休止状態にあるCPU(90)がプログラム動作し始めるようになっている。そのスイッチ(89)としてはリミットスイッチやマイクロスイッチなどを採用することができる。
【0073】
他方、(R)は上記送信機(T)と対応する受信機であって、図30、31に示すような合成樹脂製のボックス(91)に、マイクロコンピューターが実装された基板とその駆動用の電源ユニット(図示省略)を内蔵しているほか、そのボックス(91)の正面に並ぶ測定(検知)温度表示部(LED又は液晶パネル)(92)と目標温度設定ボタン(93)や、同じくボックス(91)の背面から突出する受信アンテナ(94)と電気配線用コネクター(95)も具備している。
【0074】
このような受信機(R)は図1〜4や図12、20に示す如く、上記蜜漬け装置の据付け機筐(10)から一体的に立設された支持スタンド(96)の上面へ、その正面の測定(検知)温度表示部(92)を見やすく、同じく目標温度設定ボタン(93)を操作しやすい姿勢状態に取り付け固定されている。
【0075】
図32は上記送信機(T)と受信機(R)の機能を示すブロック図であって、送信機(T)は加熱源を制御するためのコードを生成する上記CPU(90)のほかに、そのCPU(90)へ固形食材(M)や糖蜜(S)の温度測定(検知)信号を送信する上記温度センサー(79)と、CPU(90)により生成されたコードを有するデジタル信号を変調・増幅し、高周波として送信する送信部(高周波送信モジュール)(97)並びに送信アンテナ(87)も具備しており、上記CPU(90)のROMには送信機(T)毎に予じめ割り付けられた固有のIDコードが記憶されている。
【0076】
そして、通常では休止状態にあるマイクロコンピューターのCPU(90)が、上記スイッチ(入力部)(89)からの検知出力信号(デジタル信号)を受けてプログラム動作し始め、その内蔵する電池(電源電圧)(86)の消耗度や基板(85)自身の昇温状態、その他の異常を判別するのみならず、上記温度センサー(79)により測定(検知)出力される信号(固定小数点式のアナログ信号)をサンプリングして、その固形食材(M)や糖蜜(S)の温度データを取得すると共に、上記固有のIDコードも含む必要なコードを生成し、そのデジタル信号を送信部(97)での高周波として、上記食材(M)や糖蜜(S)の温度が測定・検知されている間に、送信アンテナ(87)から一定時間毎の間歇的に送信する。(Z)はその送信アンテナ(87)から送信される無線(微弱の電波)信号を示唆している。
【0077】
その場合、無線送信の間歇周期となる一定時間は、1000分の1秒程度であることが好ましい。これよりも長く確保し過ぎると、上記CPU(90)の駆動源である電池(86)が早期に消耗してしまうほか、作業場内に複数の蜜漬け装置が並列設置されているような場合、その装置毎の送信機(T)から送信される無線信号(Z)同志の干渉を招来しやすくなるからである。
【0078】
更に言えば、上記送信機(T)と受信機(R)との相互間において、信号の授受(双方向通信)を行なわせることにより、何れか一方からの指令信号を受けるまで、他方を休止状態に保って、上記電池(86)の消耗を予防したり、又上記CPU(90)の動作プログラムに、ランダム関数(乱数)での処理も加えて、その無線信号(Z)の送信タイミングを自づと変化させることにより、上記干渉を予防したりすることが望ましい。
【0079】
また、上記CPU(90)のプログラム動作によって、その基板(85)自身の昇温状態が検査されており、しかも送信機(T)は全体的なほぼ注射器形態又は手廻しドライバー形態をなし、そのノーズ管(84)の先端部に取り付けられた温度センサー(79)が、筐胴(80)に内蔵された上記基板(85)から遠く離隔しているため、マイクロコンピューターからの放熱に起因して、上記温度センサー(79)による測温(検知)精度が低下するおそれも防止できるのである。尚、上記基板(85)自身の異常な昇温状態が判別された場合、そのCPU(90)の駆動源が自づとカットされることは、言うまでもない。
【0080】
このような送信機(T)と対応する受信機(R)は上記無線信号(Z)の受信アンテナ(94)と、その受信した無線信号(Z)を復調・増幅して、これから上記温度データとIDコードが含まれた加熱源の制御に必要な生成コードを取り出す受信部(高周波受信モジュール)(98)と、その生成コードを解析して、どの送信機(T)からの送信であるかを判別するCPU(99)と、そのCPU(99)が記憶しているIDコードとの対応合致した比較結果に基き、上記加熱源の制御信号を出力する出力部(100)とを有している。
【0081】
そして、その送信機(T)と受信機(R)との相互間における無線信号(Z)の間歇的な送・受信中、送信機(T)の温度センサー(79)により測定・検知される固形食材(M)や糖蜜(S)の加熱温度が、受信機(R)の目標温度設定ボタン(93)により予じめ設定されている目標温度に到達すると、その受信機(R)の出力部(100)から出力される制御信号により、固形食材(M)や糖蜜(S)の加熱源である電磁誘導加熱器(H)の高周波電源(加熱用インバーター)(21)が図33のようにオフ制御されて、その電磁誘導加熱コイル(24)に対する高周波電流の供給が自づと停止されるのであり、そのため固形食材(M)や糖蜜(S)の過熱を確実に予防することができる。その固形食材(M)や糖蜜(S)の加熱温度が目標温度に到達するまでの間、上記高周波電源(加熱用インバーター)(21)はオン状態を保ち、加熱作用を持続することは勿論である。
【0082】
図1〜33に示した実施形態では、加熱源として電磁誘導加熱器(H)を使用し、その電磁誘導加熱コイル(24)へ高周波電源(加熱用インバーター)(21)から高周波電流を供給するようになっているが、その誘導加熱方式に代る赤外線加熱方式やその他の電気加熱方式を固形食材(M)や糖蜜(S)の加熱源として採用することも可能である。
【0083】
また、図33と対応する図34の第1変形実施形態に示す如く、上記加熱源を蒸気として、その煮釜(P)を包囲する蒸気ジャケット(101)の内部へ、図外の蒸気供給源(ボイラー)から加熱蒸気を供給するように構成しても良く、この場合には蒸気供給管路(102)の途中に介在する蒸気遮断弁(103)を、上記受信機(R)からの制御信号により開閉制御して、その蒸気の供給を停止すれば良い。
【0084】
更に、図33と対応する別な図35の第2変形実施形態に示す如く、上記加熱源をガスの直火として、その煮釜(P)の底面に臨むガスバーナー(104)へ、図外のガス供給源(元栓)からガスを供給するように構成することもできる。
【0085】
そして、この場合にはガス供給管路(105)の途中にガス遮断弁(106)と比例弁(107)とを、並列回路として介挿設置すると共に、そのうちの比例弁(107)だけをやはり上記受信機(R)からの制御信号によって、予じめ設定されている最小火力(温度)まで、そのガスの直火を弱めるように制御するのである。そうすれば、ガスバーナー(104)の炎が消失せず、そのガスバーナー(104)の再点火を必要としない利点があり、安全性の向上にも役立つ。
【0086】
尚、図35の符号(VR1)(VR2)はガスバーナー(104)の通常火力と最小火力を各々予じめ設定するための手動ボリューム、図33〜35に共通する符号(X1)は上記受信機(R)に接続配線されたリレーとその接点であり、目標温度に到達するまではオン作用を保ち、目標温度に到達した時オフ作用するようになっている。
【0087】
「かのこ豆」の原料である普通小豆を固形食材(M)の一例として、本発明の上記蜜漬け装置により蜜漬けする使用法(調理法)を説明すると、1500gの小豆(M)を形崩れ防止用煮篭(C)へ一旦収容させた上、その煮篭(C)を煮釜(P)の内部へ挿入セットすると共に、その煮釜(P)の7割程度まで投水して、小豆(M)の全体を水漬け状態に保つ。
【0088】
その場合、上記センター軸(38)を中空支柱(28)の傾動操作により、据付け機筐(10)の天板(テーブル)(13)から起し上げた状態として、煮篭(C)や煮釜(P)の開口上面から退避させておくことが好ましい。
【0089】
また、沸騰後における小豆(M)の踊り現象やこれに伴なう表皮の破裂などを防止すべく、煮炊き開始当初には落し蓋(F)を小豆(M)の全体から浮上した設置高さとして、その差込み枢支ピン(76)を煮篭(C)の目孔へ差し込んでおき、煮炊き中に水面が熱湯の蒸発により低下し、これと相対する如く吸水・膨軟化して、その体積の嵩張った小豆(M)の上面が、上記落し蓋(F)と接触し得るように定めることが望ましい。
【0090】
それから、上記煮釜(P)を電磁誘導加熱器(H)やガスの直火、蒸気などの加熱源により加熱し、その7割程度の加熱力のもとに沸騰するまで、小豆(M)の第1次的な煮炊き作用を行なう。やがて一旦沸騰したならば、上記加熱力を4割程度までに弱めて、約25分間ぐつぐつ(約95℃〜約98℃の沸騰しない加熱温度を維持する状態)煮炊き作用を続行し、その25分間経過後には加熱を止めて、上記小豆(M)の収容状態にある煮篭(C)を煮釜(P)から一旦取り出し、その煮釜(P)を起し上げ転倒させて、内部の煮汁を排液シュート(19)から排出する。
【0091】
そして、このような渋切り(アク抜き)を行なった後、上記小豆(M)の収容状態にある煮篭(C)を再び煮釜(P)の内部へ挿入セットすると共に、その煮釜(P)の9割程度まで水(冷水)又は湯を投入して、上記小豆(M)の第2次的な煮炊き作用を開始する。その煮炊き作用も7割程度の加熱力のもとで行ない、やはり一旦沸騰した後には、その加熱力を2割〜3割程度までに弱めて、約20分間ふつふつ(約90℃〜約95℃の沸騰しない加熱温度を保つ状態)煮炊き作用を続行し、その20分間経過後に加熱を止めて、そのまま約15分間だけ放置することにより、小豆(M)を蒸らし作用する。
【0092】
上記小豆(M)の第1、2次的な煮炊き作用中、熱湯は煮篭(C)の多孔芯筒(64)にも対流・伝熱作用し、小豆(M)の全体を短時間での熱効率良く、且つ均一に煮炊きすることができる。このような煮炊き終了した小豆(M)の収容状態にある煮篭(C)を、その落し蓋(F)が設置された状態のままで、上記煮釜(P)から取り出すと共に、その煮釜(P)の内部から煮汁も排出して、次に上記小豆(M)の蜜漬けを行なうのである。
【0093】
そのための糖蜜(シロップ)(S)としては、2400gの水と3600gの砂糖(グラニュー糖)とを、上記煮釜(P)の内部へ投入し、その貯溜した混合物を10割程度の強い加熱力により、砂糖が完全に溶解するまで加熱する。そして、完全に溶解したならば、その加熱を止め、上記糖蜜(S)を70℃程度まで自然冷却させるのである。
【0094】
このような準備を終えたならば、先の煮炊き終了した小豆(M)の収容状態にある煮篭(C)を上記煮釜(P)の内部へ、図12や図20のような糖蜜(S)での漬け込み状態に挿入セットし、その煮篭(C)の把手(65)を上記センター軸(38)側の連結スリーブ(57)から張り出す煮篭吊り下げ用具(A)へ、吊り掛け使用することにより、その煮篭(C)が回動され得る状態に保つと共に、煮篭(C)の落し蓋(F)へ上記接触式温度センサー(79)付きの無線送信機(T)を取り付けて、小豆(M)の蜜漬け作用を開始する。
【0095】
蜜漬け開始当初では、小豆(M)に未だ糖蜜(S)が浸透・吸収されておらず、その小豆(M)自身の糖度(Brix)として、約60度の淡蜜状態にあるため、このような状態から煮釜(P)内での蜜漬け中にある小豆(M)と糖蜜(S)を加熱して、これから水分を蒸発させることにより、その小豆(M)の糖度を徐々に高めてゆき、目標とする糖度の濃蜜状態を得るのである。
【0096】
その加熱温度が高ければ高い程、単位時間当りの水分蒸発量は多くなり、小豆(M)に対する糖蜜(S)の浸透・吸収作用も良くなるが、65℃以上に高く過熱すると、小豆(M)の焼け焦げ(蜜焼け)変色するおそれがあるため、上記受信機(R)の目標温度設定ボタン(93)を手動操作することにより、蜜漬け中の加熱目標温度を65℃に設定すると共に、その加熱現在温度を上記無線送信機(T)の温度センサー(79)により測定・検知し、その送信機(T)から無線(電波)信号(Z)を受信した受信機(R)の出力制御信号により、上記電磁誘導加熱器(H)などの加熱源を制御する。
【0097】
また、蜜漬け中の加熱が進むに連れて、糖蜜(S)の徐々に熟成する如く、上記小豆(M)の糖度が高まると、その糖蜜(S)の液面(L−L)に皮膜が生成されて、その皮膜が引き続く水分の蒸発を遮断してしまうことになるため、上記センター軸(38)側の連結スリーブ(57)から吊り下がる煮篭(C)を、そのセンター軸回転用駆動モーター(36)によってゆっくり(例えば20r.p.m の回転速度)回転させ乍ら、温度変動が少ない5割程度の加熱力のもとで加熱するのである。
【0098】
そうすれば、たとえゆっくりであっても煮篭(C)の回転遠心力により、高糖度の重くなった糖蜜(S)が煮篭(C)の周縁部へ移動して沈下する一方、未だ低糖度の軽い糖蜜(S)は煮篭(C)の中心部から浮上して、図12、20の矢印(f)で示す如く全体的に対流・循環することとなるため、その糖蜜(S)と煮篭(C)の収容状態にある煮釜(P)が深さ(y)よりも大きな開口径(x)の円錐形や円筒形をなすこととも相俟って、糖蜜(S)からの水分蒸発を自づと促進させることができる。
【0099】
殊更、図12、13のような円錐形(ボール鍋の形態)をなす煮釜(P)の内部へ、これとほぼ対応する大きさ・形状(円錐形)の煮篭(C)を挿入セットするならば、これらの開口径(煮篭の回転半径)が上面(液面)から下面(底)へ行く程徐々に小さく、回転遠心力の大小差を生じることに基いて、上面を周縁部へ片寄せ移動される糖蜜(S)が、その周縁部から煮釜(P)の円錐面に沿って底中心部へ移動し、その底中心部から上方へ移動する図示矢印(f)の全体的な対流・循環を自づと円滑に起しやすく、その糖蜜(S)からの水分蒸発が積極的・能動的に促進されることとなる。
【0100】
その結果、冒頭に述べた従来技術の循環ポンプや糖蜜振り撒き体、冷却ファンなどの特別な設置を必要とせず、小型又は卓上型の蜜漬け装置として著しく有益である。
【0101】
そして、上記小豆(M)に対する糖蜜(S)の浸透・吸収作用が進み、その目標とする糖度(Brix)が65度の濃蜜状態に仕上がったならば、上記電磁誘導加熱器(H)などの加熱源による加熱と煮篭(C)の回転を何れも止めて、一定時間だけ蜜切りを行ない、上記煮釜(P)の内部から煮篭(C)を取り出すと共に、その煮釜(P)の排液シュート(19)から糖蜜(S)を排出する。
【0102】
先には、固形食材(M)として「かのこ豆」の原料である小豆を挙げた関係上、その第1、2次的な煮炊き作用の中間において、煮汁の排出(渋切り/アク抜き)を行なっているが、これ以外の芋類や果実などの固形食材(M)では、その渋切り(アク抜き)作用が省略されることも勿論あり得る。
【0103】
即ち、次に「オレンジピール」の原料となるオレンジ皮を固形食材(M)の一例として、同じく本発明の蜜漬け装置により蜜漬けする使用法(調理法)を説明すると、短冊切りした1000gのオレンジ皮(M)をやはり煮篭(C)へ一旦収容させた上、その煮篭(C)を煮釜(P)の内部へ挿入セットすると共に、その煮釜(P)の7割程度まで投水して、上記オレンジ皮(M)の全体を水漬け状態に保つ。
【0104】
また、煮炊き中や蜜漬け中にオレンジ皮(M)が浮き上がり露出することを防ぐために、その煮篭(C)の目孔へ落し蓋(F)の差込み枢支ピン(76)を差し込みセットして、上記オレンジ皮(M)の全体を上方から押えておく。
【0105】
そして、上記煮釜(P)を電磁誘導加熱器(H)などの加熱源により強く加熱して、そのオレンジ皮(M)を沸騰するまで煮炊き作用する。やがて沸騰したならば、上記加熱力を10割から4割程度までに弱めて、10分間ぐつぐつ程度に煮炊き続行し、その10分間経過後に加熱を止めて、上記オレンジ皮(M)の収容状態にある煮篭(C)を煮釜(P)から一旦取り出し、その煮釜(P)を転倒操作することにより、内部の煮汁を排出する。オレンジ皮(M)の煮炊き作用はこれにて悉く終了である。
【0106】
そこで、やはり煮釜(P)を兼用して、引き続きオレンジ皮(M)の蜜漬けを行なうために、その煮釜(P)の内部へ糖蜜(シロップ)(S)となる1500gの水と、3000gの砂糖(グラニュー糖)とを投入して、その砂糖が完全に溶解するまで強く加熱する。やがて完全に溶解したならば、その加熱を止めて、1500gの水を追加投入する。その時点における糖蜜(S)の糖度(Brix)は、約50度である。
【0107】
このような準備を終えたならば、先の煮炊き終了したオレンジ皮(M)の収容状態にある煮篭(C)を上記煮釜(P)の内部へ、その糖蜜(S)での漬け込み状態となるように挿入セットし、その煮篭(C)をやはりセンター軸(38)側の連結スリーブ(57)から吊り下がる状態に取り付けて、上記オレンジ皮(M)の蜜漬け作用を開始する。
【0108】
つまり、蜜漬け中の加熱目標温度を60℃に設定して、その加熱現在温度をやはり無線送信機(T)の温度センサー(79)によって測定・検知すると共に、上記煮篭(C)をセンター軸回転用駆動モーター(36)によってゆっくり(先に例示した20r.p.m の回転速度)回転させ乍ら、5割程度の加熱力のもとに加熱する。
【0109】
そして、目標とする糖度(Brix)が55度の濃蜜状態に熟成できたならば、上記煮篭(C)の回転と加熱を止めて、一定時間だけ蜜切りする。その他の使用法や蜜漬け作用効果などは、上記した「かのこ豆」の原料である小豆のそれと実質的に同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0110】
尚、本発明の蜜漬け装置は駆動モーター(36)によって回転されるセンター軸(38)を備えており、そのセンター軸(38)側の連結スリーブ(57)に対して煮篭(C)の吊り下げ用具(A)が、下方から抜き差し自在に差し込み使用されるようになっているため、上記固形食材(M)の蜜漬け作用終了後にその煮篭(C)をセンター軸(38)側の連結スリーブ(57)から取りはずし、その代りに連結スリーブ(57)のキー溝(61)へ互換的に係止し得る伝動用キーピン(69)を備えた擬似錨形の撹拌羽根(スクレーパー)(B)(図11参照)を、その連結スリーブ(57)へ図10の鎖線で示すように取り付け使用して、煮釜(P)に収容した例えばカスタードクリームや餡、シチューなどの各種食材を焦げ付かぬように、撹拌し乍ら煮炊きすることにも広く(汎用的に)使用することができる。
【符号の説明】
【0111】
(10)・据付け機筐
(11)・アジャスター
(12)・キャスター
(13)・天板(テーブル)
(14)・煮釜逃し入れ口
(15)・煮釜受けフランジ
(16)・アーム受けステー
(17)・補強フランジ
(18)・把手
(19)・排液シュート
(20)・支持アーム
(20a)・張り出し先端杆部
(21)・高周波電源(インバーター)
(22)・補強バー
(23)・支持ボルト
(24)・電磁誘導加熱コイル
(25)・コイル支持ベース
(26)・スペーサーリング
(27)・軸受けステー
(28)・中空支柱
(29)・軸筒
(30)・支点軸
(31)・連結片
(32)・支持座
(33)・気圧シリンダー
(34)・突っ張りネジ脚
(35)・カップリングケース
(36)・駆動モーター
(37)・コントローラー(基板)
(38)・センター軸
(39)・伝動カップリング
(40)・出力軸
(41)・固定ベアリングケース
(42)・押圧フランジ
(43)・固定ボルト
(44)・ラジアルベアリング
(45)・スラストベアリング
(46)・固定カバー
(47)・周縁フランジ
(48)・インターナルギヤ
(49)・回転ベアリングケース
(50)・キー
(51)・抜け止めナット
(52)・偏心軸
(53)・ラジアルベアリング
(54)・エンドキャップ
(55)・ピニオンギヤ
(56)・ワンウエイクラッチ
(57)・連結スリーブ
(58)・貫通ピン
(59)・貫通ピン受け入れ長孔
(60)・圧縮コイルバネ
(61)・キー溝
(62)・骨組
(63)・金網
(64)・多孔芯筒
(65)・把手
(65a)・取付枢軸
(66)・軸受け片
(67)・取付軸筒
(68)・ハンガーアーム
(69)・キーピン
(70)・把手受け片
(71)・骨組
(72)・金網
(73)・中心口
(74)・把手受けリング
(75)・把手
(76)・差込み枢支ピン
(77)・ストッパーフック
(78)・センサー受け座金
(79)・温度センサー
(80)・筐胴
(81)・Oリング
(82)・口金
(83)・キャップ
(84)・ノーズ管
(85)・基板
(86)・電池
(87)・送信アンテナ
(88)・伝送線
(89)・スイッチ
(90)・CPU
(91)・ボックス
(92)・測定温度表示部
(93)・目標温度設定ボタン
(94)・受信アンテナ
(95)・コネクター
(96)・支持スタンド
(97)・送信部
(98)・受信部 (99)・CPU
(100)・出力部
(101)・蒸気ジャケット
(102)・蒸気供給管路
(103)・蒸気遮断弁
(104)・ガスバーナー
(105)・ガス供給管路
(106)・ガス遮断弁
(107)・比例弁
(A)・煮篭吊り下げ用具
(B)・撹拌羽根(スクレーパー)
(C)・煮篭
(F)・落し蓋
(H)・電磁誘導加熱器
(M)・固形食材
(P)・煮釜
(R)・受信機
(S)・糖蜜
(T)・無線送信機
(Z)・無線信号
(x)・煮釜の開口径
(y)・煮釜の深さ
(L−L)・糖蜜の液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口径が深さよりも大きな寸法の円錐形又は円筒形をなし、据付け機筐の上面に受け止め支持される煮釜と、
その煮釜の加熱源と、
上記据付け機筐から起立する支柱を介して、煮釜の真上位置に架設されたセンター軸回転用駆動モーターと、
その駆動モーターの出力軸と伝動連結されることにより、上記煮釜の中心部に向かって垂下するセンター軸と、
そのセンター軸の下端部へ連結スリーブを介して一体回転し得るように、且つ抜き差し自在に差し込み使用される煮篭とを備え、
菓子の原料となる豆類や芋類、栗、果実、その他の各種固形食材が収容された煮篭を、煮釜に貯溜した糖蜜への漬け込み状態に保って、その煮釜を下方から加熱し乍ら、煮篭を上記センター軸回転用駆動モーターにより回転させて、糖蜜を煮釜内の全体的に対流・循環させることにより、その糖蜜が固形食材に浸透した目標とする糖度の濃蜜状態を得ることを特徴とする固形食材の蜜漬け装置。
【請求項2】
煮篭をステンレス鋼線の骨組と金網から、煮釜とほぼ対応する大きさ・形状に造形して、その底面中央部から多孔芯筒を上向き一体的に垂立させると共に、
同じく煮篭の開口縁部に向かい合う一対の把手を、各々起伏的な回動自在に枢着して、
センター軸側の連結スリーブへ下方から抜き差し自在に差し込み套嵌される取付軸筒と、その取付軸筒から一体的に張り出す一対の水平なハンガーアームとを備えた煮篭吊り下げ用具の両ハンガーアームへ、上記煮篭の両把手を係脱自在に係止させることにより、その煮篭を上記センター軸の下端部へ吊り下げたことを特徴とする請求項1記載の固形食材の蜜漬け装置。
【請求項3】
煮篭をステンレス鋼線の骨組と金網から、煮釜とほぼ対応する大きさ・形状に造形して、その底面中央部から多孔芯筒を上向き一体的に垂立させる一方、
煮篭内の固形食材が糖蜜の液面まで浮き上がり露出することを防ぐ落し蓋を、上記煮篭と同じ材質の骨組と金網から煮篭の内部へ落し込める大きさの相似な円板体に作成して、
その落し蓋の多孔芯筒逃し入れ用中心口を上記煮篭の多孔芯筒へ落し込み使用すると共に、その中心口の付近へ差し込み設置した接触式温度センサー付き無線送信機の温度センサーにより、固形食材やその蜜漬け中にある糖蜜の加熱温度を検知するように定めたことを特徴とする請求項1記載の固形食材の蜜漬け装置。
【請求項4】
煮釜の開口周縁部から排液シュートとその下方に位置する支持アームとを、何れも前向き一体的に張り出す一方、
据付け機筐の上面から左右一対のアーム受けステーを前上方へ一体的に張り出して、
上記煮釜側の支持アームを据付け機筐側のアーム受けステーへ係脱自在に、且つ起伏的な回動操作可能に係合させることにより、上記煮釜を据付け機筐の上面から前方へ起し上げ転倒させ得るように定めると共に、
上記据付け機筐の上面に固定設置された左右一対の軸受けステーへ、側面視のほぼ倒立L字形に屈曲する支柱の下部基端を、起伏的な回動操作自在に枢着して、
上記支柱が煮釜の真上位置まで到達する上部先端に搭載されたセンター軸回転用駆動モーターとこれにより回転駆動されるセンター軸を、その支柱の傾動操作により据付け機筐の上面から上記煮釜と逆な後方へ起し上げ退避させ得るように定めたことを特徴とする請求項1記載の固形食材の蜜漬け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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