固液分離システム
【課題】分離効率を向上して処理時間を短縮するとともに、設置スペースを縮小する。
【解決手段】固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、内部に複数の棚板が並列され、原水が流入すると、流入した原水を2枚の棚板間と、棚板の端部に形成された切込み部及びフロック形成槽の内壁で形成される空間とを迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロックを含む原水を流出するフロック形成槽と、フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置とを備える。
【解決手段】固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、内部に複数の棚板が並列され、原水が流入すると、流入した原水を2枚の棚板間と、棚板の端部に形成された切込み部及びフロック形成槽の内壁で形成される空間とを迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロックを含む原水を流出するフロック形成槽と、フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理や浄水処理等の水処理で固体を含む原水から固体を分離する固液分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水処理では、懸濁物質や濁度成分等の固体の分離処理には、図12に示すように凝集剤及び凝集助剤を注入して行なうフロック形成と、重力沈降槽を利用した沈降分離とを組み合わせた固液分離システム1が多く利用されている。
【0003】
図12に示す固液分離システム1では、処理対象となる原水は、原水ポンプ10によって混和槽11に送水される。混和槽11では、原水と、凝集剤注入装置12によって注入された凝集剤とが混和装置111によって混和される。混和槽11で凝集剤と混和された原水は、反応槽13に送水される。反応槽13では、原水と、凝集助剤注入装置14によって注入された凝集助剤とが混合装置131によって混合される。反応槽13で凝集助剤と混合された原水は、フロック形成槽15に送水される。フロック形成槽15では、フロキュレータ150で凝集を促進してフロックを成長させる。フロック形成槽15で形成されたフロックを含む原水は、重力沈降槽18に送水される。原水を重力沈降槽18内に所定時間以上滞留させることで、フロックと水との比重差によって比重の大きい固体のフロックを沈降させて原水からフロックを分離する。また、固体分離システム1では、フロックが沈降後の清澄な上澄み液を処理水とする。
【0004】
図12に示すような、重力沈降を利用する従来の固液分離システム1では、凝集剤によって原水に含まれる懸濁物質をフロックとして大きくして水との比重差を利用し、水よりも比重の大きい懸濁物質をフロックを沈降させた後に上澄みを処理水として得ることで、原水を固体(懸濁物質)と液体(処理水)とに分離している(重力沈降)。ここで、固液分離システム1では、フロックが沈降するために必要な時間、原水を重力沈降槽18に滞留させる必要がある。したがって、重力沈降槽18は、容量を大きくする必要がある。
【0005】
これに対し、近年、重力沈降槽18の容量を縮小し、分離効率を向上する目的で、傾斜管や傾斜板を利用して処理速度の向上する方法も利用されているが、処理速度の短縮や重力沈降槽18の容量の縮小には限界があった。
【0006】
この重力沈降の利用による処理速度の短縮や重力沈降槽の容量の縮小の課題を解決する有効な手段として、液体サイクロンのような遠心分離装置がある(例えば、特許文献1参照)。遠心分離装置では内部で砂分を含む原水を旋回させ、遠心力を利用して所定の粒径以上の固体を、原水から分離する。このような遠心分離装置では、重力よりも加速度の大きな遠心力を利用するため、重力を利用する場合よりも短時間で固体である砂分を分離することができるとともに、遠心分離装置の容量を重力沈降槽の容量よりも縮小することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−333320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、遠心分離装置では、遠心力を得るために原水を高速で旋回させるが、結合力が小さいフロックを高速で旋回させると、一度形成されたフロックが分裂し微細化することがあり、遠心分離装置を利用することはできなかった。したがって、原水からフロックのように破壊されやすい物質を分離するためには処理速度が長くて容量が大きい重力沈降槽の使用が避けられなかった。
【0009】
したがって、本発明によれば、分裂や微細化しにくいフロックを形成し、システムの設置スペースを縮小するとともに、固液分離の効率を向上する固液分離システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、内部に複数の棚板が並列され、原水が流入すると、流入した原水を2枚の棚板間と、棚板の端部に形成された切込み部及びフロック形成槽の内壁で形成される空間とを迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロックを含む原水を流出するフロック形成槽と、フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、原水に含まれる固体から分裂や微細化しにくいフロックを形成し、システムの設置スペースを縮小するとともに、固液分離の効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る固液分離システムについて説明する概略図である。
【図2】図1の固液分離システムのフロック形成槽について説明する断面図である。
【図3】図1の固液分離システムのフロック形成槽が有する側壁と棚板について説明する図である。
【図4】第2の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図5】第3の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図6】図5のフロック形成槽の変形例について説明する図である。
【図7】第4の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図8】図7のフロック形成槽で利用する小片の一例について説明する図である。
【図9】図7のフロック形成槽の変形例について説明する図である。
【図10】第5の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図11】第6の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図12】従来の固液分離システムについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を用いて本発明の各実施形態に係る固液分離システムについて説明する。本発明に係る固液分離システムは、図12を用いて上述した従来の固液分離システム1と同様に、排水処理や浄水処理等の水処理において、懸濁物質や濁度成分等の固体を含む原水を固体と液体とに分離する装置である。以下の説明において、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0014】
〈第1の実施形態〉
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る固液分離システム1aは、原水ポンプ10によって処理対象となる原水が導入される混和槽11、混和槽11内の原水に凝集剤を注入する凝集剤注入装置12と、混和槽11内で凝集剤と攪拌された原水が流入する反応槽13と、反応槽13内の原水に凝集助剤を注入する凝集助剤注入装置14と、反応槽13内で凝集助剤と攪拌された原水が流入すると原水に含まれる固体をフロックに成長させるフロック形成槽15aと、送水ポンプ16によってフロック形成槽15aで成長したフロックを含む原水が導入され、固体であるフロックと液体である処理水とに分離する固液分離装置17とを備えている。
【0015】
凝集剤注入装置12は、原水に含まれる固体を凝集させる凝集剤を注入する。この凝集剤注入装置12は、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸バンド、ポリ硫酸鉄等の無機系の凝集剤から、原水に含まれる固体に応じて選択された適当な種類及び量の凝集剤を注入する。
【0016】
混和槽11は、内部の原水と凝集剤を混和する混和装置111を有している。混和装置111で原水と凝集剤を攪拌することにより、原水内の凝集剤を均一に混和してフロック形成槽15a内でフロックを成長しやすくする。
【0017】
凝集助剤注入装置14は、フロックを強固又は大きく回収しやすい性質に形成する凝集助剤を注入する。この凝集助剤注入装置14は、ポリアクリルアミド等の有機高分子凝集剤やポリシリカ等の無機高分子凝集剤から、原水に含まれる固体に応じて選択された適当な種類及び量の凝集助剤を注入する。
【0018】
反応槽13は、内部の原水と凝集助剤を混合する混合装置131を有している。混合装置131で原水と凝集助剤を攪拌することにより、原水内の凝集助剤を均一に混和してフロック形成槽15a内でフロックを回収しやすい性質に形成しやすくする。
【0019】
フロック形成槽15aは、例えば、直方形であって、図2に示すように、原水の障害物である棚板152を複数有し、反応槽13から流入する原水が棚板152に沿って迂流(蛇行)するような迂流水路が内部に形成されている。具体的には、各棚板152は、図2に示すように、フロック形成槽15a内において、第1の側壁151aと第2の側壁151bのうち、いずれかの側壁151とのみ接するように配置されている。このとき、各棚板152は近接する棚板152とは接する側壁151(151a,151b)が異なっている。すなわち、複数の棚板152は、第1の側壁151aと第2の側壁151bに互い違いに接するように設置されているため、ある棚板152が第1の側壁151aと接し、第2の側壁151bと接していないとき、その次に位置する棚板152は、第2の側壁151bに接し、第1の側壁151aとは接していない。したがって、流入口153から流入した原水は、第2側壁151bと第1側壁151aに交互に衝突して左右方向に迂流しながら複数の棚板152の間を流出口154まで進む。
【0020】
図2に示すように複数の棚板152を配置したフロック形成槽15aの内部では、棚板152の端部と側壁151のギャップ部分で流速が増加する。その結果、原水が2枚の棚板152の間を流れるときに剥離が生じて流れが蛇行し、原水中で形成されたフロックの棚板152への衝突回数が増加する。フロックの棚板152への衝突回数が増加すると、形成されるフロックの空隙が締まり、フロックの強度が増加する。また、フロックの棚板152への衝突回数が増加すると、形成されるフロックの密度も増加し、固液分離装置17における分離効率が向上する。
【0021】
図3に示すように、棚板152の一端は、第1の側壁151a又は第2の側壁151bと所定の間隔を持つように設置されるが、フロックの棚板152への衝突回数を増加させてフロックの強度を上げるためには、棚板152と側壁151との間隔(ギャップ長さ)aよりも、各棚板152間の間隔(ピッチ)bが大きくなるようにすることが好ましい(a<b)。また、必要な棚板152の数は限定されないが、棚板152の数が多い方が原水のターンの回数が多くなってフロックが壁面(側壁151、棚板152)へ衝突する回数が増加するため、棚板152の数は、少ないよりも多い方が好ましい。
【0022】
また、フロック形成槽15の内部をコーティングしたり、フロック形成槽15を形成する材料を選択したりすることにより、フロックの側壁151や棚板152への付着を防止したり、フロック形成の効果を上げることができる。例えば、凝集剤注入装置12で高分子凝集剤を注入すると、凝集効果でイオン結合が生じる。イオン結合は、水中の構造物に対して付着性を有するという原理があるため、フロックが側壁151や棚板152等に付着しやすくなることがある。また、例えば、側壁151や棚板152に傷ができると、傷部分にフロックが付着しやすくなることがある。したがって、フロック形成槽15の内部を不活性な材質で形成したり、コーティングしたりすることでイオン結合による付着や傷部分における付着を防止することができる。例えば、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニル、アモルファスカーボン、セラミック、ガラス、酸化チタン等をフロック形成槽15を形成する材質やコーティングする材質として利用することが好ましい。
【0023】
なお、ここでは、フロック形成槽15aの上方に流入口153が設けられ、下方に流出口154が設けられ、流水はフロック形成槽15aの上方から左右に迂流しながらフロック形成槽15aの下方に流れるものとして説明した。しかしながら、フロック形成槽の左側(又は右側)に設けられる流入口から流入した原水が、上下に迂流しながらフロック形成槽の右側(又は左側)に設けられる流出口まで流れるものであっても良い。
【0024】
固液分離装置17は、内部で流入した原水を回転させて遠心力を発生させ、この遠心力によってフロックに重力よりも大きい加速度を与え、沈降速度を高めながらフロックを沈降させて原水を処理水とフロックに分離する。例えば、固液分離装置17には、液体サイクロンを利用することができる。固液分離装置17では、流入する原水がフロックを形成しやすい速度に旋回し、高速の原水からフロックを分離しやすい速度に旋回する。
【0025】
なお、送水ポンプ16は、固液分離装置17に原水を送水する際、固液分離装置17でフロックの形成やフロックの分離に必要な旋回速度が得られるような強度で原水を送水することが望ましい。
【0026】
上述したように、第1の実施形態に係る固液分離システム1aでは、フロック形成槽15aで形成するフロックの強度を増加するとともに、フロックの強度を増加するとともに、密度を増加することができる。したがって、第1の実施形態に係る固液分離システム1aでは、重力沈降装置よりもコンパクトな遠心分離を利用する固液分離装置17を利用することが可能となるため、システムの設置スペースを縮小することができる。
【0027】
また、固液分離システム1aでは、固液分離装置17で重力とともに遠心力を利用してフロックを沈降させることができる。したがって、第1の実施形態に係る固液分離システム1aでは、重力のみを利用する場合と比較して短時間でフロックを沈降させるため、分離効率を向上することができる。
【0028】
〈第2の実施形態〉
本発明の第2の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15aに代えて、図4に示すフロック形成槽15bを備えている点で異なる。図4(a)は、フロック形成槽15bの断面図を示し、図4(b)は、フロック形成槽15bが有する棚板152bの斜視図を示している。
【0029】
図4に示すフロック形成槽15bは、複数の棚板152bを備えて迂流水路を形成しているが、棚板152bの形状と設置方法が図2及び図3を用いて上述したフロック形成槽15aと異なっている。図2及び図3を用いて上述したフロック形成槽15aでは、棚板152の一端が第1の側壁151aに接触するとき、棚板152の他端は第2の側壁151bとは接触せずに所定の間隔(ギャップ)を保っている。これに対し、図4に示すフロック形成槽15bでは、棚板152bの両端が各側壁151と接触している。また、フロック形成槽15bの棚板152bの一端には切込み部152cが設けられ、複数の棚板152bは、切込み部152cが互い違いの方向に位置するように各側壁151と接触されている。図4に示すフロック形成槽15bでは、棚板152bの切込み部152cから原水が流れるため、フロック形成槽15aと同様に流入口から流出口まで原水が複数の棚板152bの間を通りながら迂流する。
【0030】
フロック形成槽15b内では、この切込み部152cを通ることによって原水の流れが不均一となり、流れ方向を軸とした回転流成分が生じ、棚板152bでの衝突回数を増加させ、フロックの密度を増加させる。なお、切込み部152c同士の間隔(ピッチ)は、棚板152同士の間隔の約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい。
【0031】
なお、切込み部152cの形状は、図4(b)に示す凹形状に限定されず、三角形であっても良いし、半円形等のようなカーブのかかった形状であっても良い。
【0032】
また、このフロック形成槽15bでも、フロック形成槽15aと同様にフロック形成槽15bを形成する材質を選択したり、内部をコーティングすることで、フロックの側壁151や棚板152bへの付着を防止し、フロック形成の効果を得ることができる。
【0033】
上述したように、第2の実施形態に係る固液分離システムでも、フロック形成槽15bにおいてフロックの棚板152bへの衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することが可能となるため、遠心分離による固液分離装置を利用し、システムの設置スペースを縮小し、固液分離の効率を向上させることができる。
【0034】
〈第3の実施形態〉
本発明の第3の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15aに代えて、図5に示すフロック形成槽15cを備えている点で異なる。図5(a)は、フロック形成槽15cの断面図を示し、図5(b)は、フロック形成槽15cが有する棚板152の斜視図を示している。
【0035】
図5に示すフロック形成槽15cは、棚板152が邪魔板155を有している点で図2及び図3を用いて上述したフロック形成槽15aと異なっている。具体的には、図5に示すフロック形成槽15cの棚板152では、側壁151と接触していない一端に邪魔板155を備えている。この邪魔板155の設置方向は、原水の流れ方向(ターンの方向)と同一である。フロック形成槽15c内では、原水の流れがこの邪魔板155によって不均一となり、現水の流れ方向を軸とした旋回流が生じる。旋回流に追従できないフロックは、棚板に衝突する回数が増加するため、フロックの空隙が締まり、フロックの強度を増加させることができる。
【0036】
なお、邪魔板155の形状は、図5(b)に示す三角形に限定されず、四角形であっても良いし、半円形等のようなカーブのかかった形状であっても良い。
【0037】
ここで、旋回流の渦のサイズは棚板152の間隔にそれぞれ依存するため、図5(b)に示すように、棚板152の端部に複数の邪魔板155が設置されているとき、同一の端部に設けられる各邪魔板155の間隔(ピッチ)cは、各棚板152の間隔(ピッチ)bの約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい(c≒2b)。
【0038】
また、このフロック形成槽15cでも、フロック形成槽15aと同様にフロック形成槽15cを形成する材質を選択したり、内部をコーティングすることで、フロックの側壁151や棚板152への付着を防止し、フロック形成の効果を得ることができる。
【0039】
上述したように、第3の実施形態に係る固液分離システムでも、フロック形成槽15cにおいて邪魔板155によって、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。
【0040】
《変形例》
図6は、第3の実施形態の変形例に係る固液分離装置のフロック形成槽15dの一例である。図6(a)は、フロック形成槽15dの断面図を示し、図6(b)は、フロック形成槽15dが有する棚板152の斜視図を示している。
【0041】
図5に示すフロック形成槽15cの棚板152では、側壁151と接触していない一端に原水の流れ方向(ターンの方向)と同一の邪魔板155を有していた。これに対し、図6に示すフロック形成槽15dの棚板152は、側壁151と接触していない一端に設置される邪魔板155と対向する方向で設置される邪魔板155も有している。
【0042】
ここで、旋回流の渦のサイズは棚板152の間隔にそれぞれ依存するため、図6(b)に示すように、棚板152の上下方向に複数の邪魔板155が設置されているとき、同一の棚板に設けられる各邪魔板155の間隔(ピッチ)cは、棚板152の間隔(ピッチ)bの約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい(c≒2b)。
【0043】
上述したように、このフロック形成槽15dを利用した場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。
【0044】
〈第4の実施形態〉
本発明の第4の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15aに代えて、図7に示すフロック形成槽15eを備えている点で異なる。図7(a)は、フロック形成槽15eの断面図であって、図7(b)は、フロック形成槽15eが有する棚板152の斜視図である。
【0045】
図7に示すフロック形成槽15eは、棚板152が小片156を有している点で図2及び図3を用いて上述したフロック形成槽15aと異なっている。棚板152には、原水の流れに対向する複数の小片156が並列されている。フロック形成槽15e内では、小片156によって、2枚の棚板152の間(ギャップ部)に、原水の流れ方向を軸とした旋回流を生じさせてフロックを棚板152へ衝突する回数を増加させることができる。
【0046】
ここで、旋回流の渦のサイズは棚板152の間隔にそれぞれ依存するため、隣り合う小片156の間隔(ピッチ)dは、棚板152の間隔(ピッチ)bの約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい(d≒2b)。なお、この場合の各小片156の間隔は、各小片156の重心を基準としている。
【0047】
また、原水の流れ方向を基準として前後関係にある小片156の間隔(ピッチ)は、棚板152と側壁の間隔(ギャップ長さ)と略等しいことが好ましい。
【0048】
なお、小片156の形状は、図7に示す直方体に限られず、図8に示すような形状であっても良い。図8に示すような形状にすることで、小片156におけるフロック等の固体の滞留を防止することができる。
【0049】
また、このフロック形成槽15bでも、フロック形成槽15aと同様にフロック形成槽15bを形成する材質を選択したり、内部をコーティングすることで、フロックの側壁151や棚板152bへの付着を防止し、フロック形成の効果を得ることができる。
【0050】
上述したように、このフロック形成槽15eを利用した場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。
【0051】
《変形例》
図9は、第4の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽15eの変形例を表わす一例である。図7に示すフロック形成槽15eでは、原水の流れ方向と合わせて複数の小片156を同一方向に整列して棚板152に配置されていた。これに対し、図9に示すように、小片156の長手方向を原水の流れ方向とずらして棚板152に設置している。図9に示すように、小片156の長手方向と原水の流方向とを一致させない角度にすることで、小片156におけるフロック等の固体の滞留を防止することができる。また、隣合う小片156に同一の角度を持たせるのではなく、原水の流れ方向と垂直な一列の小片156を互い違いに配置することで、原水の旋回流を生じさせやすくすることができる。
【0052】
ここで、旋回流の渦のサイズは棚板152の間隔にそれぞれ依存するため、隣り合う小片156の間隔(ピッチ)dは、棚板152の間隔(ピッチ)bの約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい(d≒2b)。
【0053】
上述したように、小片156の長手方向と原水の流方向とに角度をつけた場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。
【0054】
〈第5の実施形態〉
本発明の第5の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15aに代えて、図10に示すフロック形成槽15fを備えている点で異なる。
【0055】
図10に示すフロック形成槽15fは、第1フロック形成部157aと第2フロック形成部157bによって構成されている。第1フロック形成部157aも第2フロック形成部157bも棚板152を有しているが、第1フロック形成部157aにおける各棚板152の間隔(ピッチ)b1と、第2フロック形成部157bにおける各棚板152の間隔(ピッチ)とは、b2とは異なっている。
【0056】
一般的に、棚板152の間隔が広い方が原水の流速が緩やかで原水中のフロックが棚板152に衝突する回数は少なく、棚板152の間隔が狭い方が原水の流速が速くなり原水中のフロックが棚板152に衝突する回数が多くなる。フロックが硬くならないうちに棚板152へ衝突させる回数を多くすると、フロックが棚板152へ衝突する衝撃でフロックを破壊するおそれがある。したがって、第1フロック形成部157aでフロックを緩やかに棚板152を衝突させてフロックを徐々に大きく形成した後で、第2フロック形成部157bでフロックを棚板152に衝突させる回数を増加してフロックを強固にする。
【0057】
図10に示すフロック形成槽15fでは、棚板152の間隔b1の第1フロック形成部157aと間隔b2の第2フロック形成槽157bとの、棚板152の間隔の異なる2つのフロック形成部を有しているが、棚板の間隔は2種類に限られることはない。また、異なる間隔の棚板を有するフロック形成部157a,157bの割合も限定されない。例えば、始めの1/4を緩速のフロック形成部でフロック形成し、残りの3/4を急速のフロック形成部でフロック形成するようにしても良い。また、緩速のフロック形成部、急速のフロック形成部、緩速のフロック形成部及び急速のフロック形成部と繰り返してフロック形成するようにしても良い。また、緩速から徐々に急速に変化させてフロック形成しても良い。
【0058】
また、このフロック形成槽15fでも、フロック形成槽15aと同様にフロック形成槽15bを形成する材質を選択したり、内部をコーティングすることで、フロックの側壁151や棚板152bへの付着を防止し、フロック形成の効果を得ることができる。
【0059】
上述したように、このフロック形成槽15fを利用した場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。また、緩速な水流でフロックを大きく形成するとともに、急速な水流でフロックを硬く形成することができるため、大きく硬い、固液分離装置17で分離しやすいフロックに形成することができる。
【0060】
〈第6の実施形態〉
本発明の第6の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15gに代えて、図11に示すフロック形成槽15gを備えている点で異なる。図11(a)はフロック形成槽15gの断面図を示し、図11(b)は、フロック形成槽15gが有する棚板152b,152cの斜視図を示している。
【0061】
図11に示すフロック形成槽15gは円筒形であって、第1の棚板152cはドーナツ形状であって、第2の棚板152dとは円形である。第1の棚板152cの直径はフロック形成槽15gの直径と同一である。また、第2の棚板152dの直径はフロック形成槽15gの直径よりも小さくなっている。第1の棚板152c及び第2の棚板153dともに支柱157で支持されるため、支柱用開口h1,h2を有している。
【0062】
フロック形成槽15g内部では、支柱157によって第1の棚板152cと第2の棚板152dが交互に支持されている。フロック形成槽15gに流入する原水は、第1の棚板152cの内側の穴を通過し、第2の棚板152dの外側を通過する。その後も、原水は、第1の棚板152cの内側と第2の棚板153dの外側を交互に通過する。
【0063】
ここで、第1の棚板152cの中央に設けられる穴の面積(ギャップ面積)S1と、フロック形成槽15gの内枠と第2の棚板152dの外枠とによって形成される面積(ギャップ面積)S2を同一にすることで(S1=S2)、原水が第1の棚板152cから第2の棚板152dに移動する流速と、原水が第2の棚板152dから第1の棚板152cに移動する流速とを同一にすることができる。また、各棚板152c,152dの間隔(ピッチ)は、全て同一であっても良いし、第5の実施形態において上述したように間隔を変化させて、流速を変化させても良い。
【0064】
このような円筒形のフロック形成槽15gの場合にも、内部の原水に旋回流が発生してフロックが棚板152c,152dに衝突して大きく硬く形成される。さらに、円筒形の場合、一般的な直方体のフロック形成槽よりも耐圧が容易であって、容器の厚みが薄くても良いという効果を得ることができる。
【0065】
上述したように、このフロック形成槽15fを利用した場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。また、フロック形成槽15fを円筒形にしたことにより、特に圧力下の使用環境において、フロック形成槽15fの設計を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1a…固液分離システム
10…原水ポンプ
11…混和槽
111…混和装置
12…凝集剤注入装置
13…反応槽
131…混合装置
14…凝集助剤注入装置
15a〜15e…フロック形成槽
151…側壁
152…棚板
152b…棚板
152c…切込み部
155…邪魔板
156…小片
16…送水ポンプ
17…固液分離装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理や浄水処理等の水処理で固体を含む原水から固体を分離する固液分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水処理では、懸濁物質や濁度成分等の固体の分離処理には、図12に示すように凝集剤及び凝集助剤を注入して行なうフロック形成と、重力沈降槽を利用した沈降分離とを組み合わせた固液分離システム1が多く利用されている。
【0003】
図12に示す固液分離システム1では、処理対象となる原水は、原水ポンプ10によって混和槽11に送水される。混和槽11では、原水と、凝集剤注入装置12によって注入された凝集剤とが混和装置111によって混和される。混和槽11で凝集剤と混和された原水は、反応槽13に送水される。反応槽13では、原水と、凝集助剤注入装置14によって注入された凝集助剤とが混合装置131によって混合される。反応槽13で凝集助剤と混合された原水は、フロック形成槽15に送水される。フロック形成槽15では、フロキュレータ150で凝集を促進してフロックを成長させる。フロック形成槽15で形成されたフロックを含む原水は、重力沈降槽18に送水される。原水を重力沈降槽18内に所定時間以上滞留させることで、フロックと水との比重差によって比重の大きい固体のフロックを沈降させて原水からフロックを分離する。また、固体分離システム1では、フロックが沈降後の清澄な上澄み液を処理水とする。
【0004】
図12に示すような、重力沈降を利用する従来の固液分離システム1では、凝集剤によって原水に含まれる懸濁物質をフロックとして大きくして水との比重差を利用し、水よりも比重の大きい懸濁物質をフロックを沈降させた後に上澄みを処理水として得ることで、原水を固体(懸濁物質)と液体(処理水)とに分離している(重力沈降)。ここで、固液分離システム1では、フロックが沈降するために必要な時間、原水を重力沈降槽18に滞留させる必要がある。したがって、重力沈降槽18は、容量を大きくする必要がある。
【0005】
これに対し、近年、重力沈降槽18の容量を縮小し、分離効率を向上する目的で、傾斜管や傾斜板を利用して処理速度の向上する方法も利用されているが、処理速度の短縮や重力沈降槽18の容量の縮小には限界があった。
【0006】
この重力沈降の利用による処理速度の短縮や重力沈降槽の容量の縮小の課題を解決する有効な手段として、液体サイクロンのような遠心分離装置がある(例えば、特許文献1参照)。遠心分離装置では内部で砂分を含む原水を旋回させ、遠心力を利用して所定の粒径以上の固体を、原水から分離する。このような遠心分離装置では、重力よりも加速度の大きな遠心力を利用するため、重力を利用する場合よりも短時間で固体である砂分を分離することができるとともに、遠心分離装置の容量を重力沈降槽の容量よりも縮小することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−333320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、遠心分離装置では、遠心力を得るために原水を高速で旋回させるが、結合力が小さいフロックを高速で旋回させると、一度形成されたフロックが分裂し微細化することがあり、遠心分離装置を利用することはできなかった。したがって、原水からフロックのように破壊されやすい物質を分離するためには処理速度が長くて容量が大きい重力沈降槽の使用が避けられなかった。
【0009】
したがって、本発明によれば、分裂や微細化しにくいフロックを形成し、システムの設置スペースを縮小するとともに、固液分離の効率を向上する固液分離システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、内部に複数の棚板が並列され、原水が流入すると、流入した原水を2枚の棚板間と、棚板の端部に形成された切込み部及びフロック形成槽の内壁で形成される空間とを迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロックを含む原水を流出するフロック形成槽と、フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、原水に含まれる固体から分裂や微細化しにくいフロックを形成し、システムの設置スペースを縮小するとともに、固液分離の効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る固液分離システムについて説明する概略図である。
【図2】図1の固液分離システムのフロック形成槽について説明する断面図である。
【図3】図1の固液分離システムのフロック形成槽が有する側壁と棚板について説明する図である。
【図4】第2の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図5】第3の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図6】図5のフロック形成槽の変形例について説明する図である。
【図7】第4の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図8】図7のフロック形成槽で利用する小片の一例について説明する図である。
【図9】図7のフロック形成槽の変形例について説明する図である。
【図10】第5の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図11】第6の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽について説明する図である。
【図12】従来の固液分離システムについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を用いて本発明の各実施形態に係る固液分離システムについて説明する。本発明に係る固液分離システムは、図12を用いて上述した従来の固液分離システム1と同様に、排水処理や浄水処理等の水処理において、懸濁物質や濁度成分等の固体を含む原水を固体と液体とに分離する装置である。以下の説明において、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0014】
〈第1の実施形態〉
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る固液分離システム1aは、原水ポンプ10によって処理対象となる原水が導入される混和槽11、混和槽11内の原水に凝集剤を注入する凝集剤注入装置12と、混和槽11内で凝集剤と攪拌された原水が流入する反応槽13と、反応槽13内の原水に凝集助剤を注入する凝集助剤注入装置14と、反応槽13内で凝集助剤と攪拌された原水が流入すると原水に含まれる固体をフロックに成長させるフロック形成槽15aと、送水ポンプ16によってフロック形成槽15aで成長したフロックを含む原水が導入され、固体であるフロックと液体である処理水とに分離する固液分離装置17とを備えている。
【0015】
凝集剤注入装置12は、原水に含まれる固体を凝集させる凝集剤を注入する。この凝集剤注入装置12は、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸バンド、ポリ硫酸鉄等の無機系の凝集剤から、原水に含まれる固体に応じて選択された適当な種類及び量の凝集剤を注入する。
【0016】
混和槽11は、内部の原水と凝集剤を混和する混和装置111を有している。混和装置111で原水と凝集剤を攪拌することにより、原水内の凝集剤を均一に混和してフロック形成槽15a内でフロックを成長しやすくする。
【0017】
凝集助剤注入装置14は、フロックを強固又は大きく回収しやすい性質に形成する凝集助剤を注入する。この凝集助剤注入装置14は、ポリアクリルアミド等の有機高分子凝集剤やポリシリカ等の無機高分子凝集剤から、原水に含まれる固体に応じて選択された適当な種類及び量の凝集助剤を注入する。
【0018】
反応槽13は、内部の原水と凝集助剤を混合する混合装置131を有している。混合装置131で原水と凝集助剤を攪拌することにより、原水内の凝集助剤を均一に混和してフロック形成槽15a内でフロックを回収しやすい性質に形成しやすくする。
【0019】
フロック形成槽15aは、例えば、直方形であって、図2に示すように、原水の障害物である棚板152を複数有し、反応槽13から流入する原水が棚板152に沿って迂流(蛇行)するような迂流水路が内部に形成されている。具体的には、各棚板152は、図2に示すように、フロック形成槽15a内において、第1の側壁151aと第2の側壁151bのうち、いずれかの側壁151とのみ接するように配置されている。このとき、各棚板152は近接する棚板152とは接する側壁151(151a,151b)が異なっている。すなわち、複数の棚板152は、第1の側壁151aと第2の側壁151bに互い違いに接するように設置されているため、ある棚板152が第1の側壁151aと接し、第2の側壁151bと接していないとき、その次に位置する棚板152は、第2の側壁151bに接し、第1の側壁151aとは接していない。したがって、流入口153から流入した原水は、第2側壁151bと第1側壁151aに交互に衝突して左右方向に迂流しながら複数の棚板152の間を流出口154まで進む。
【0020】
図2に示すように複数の棚板152を配置したフロック形成槽15aの内部では、棚板152の端部と側壁151のギャップ部分で流速が増加する。その結果、原水が2枚の棚板152の間を流れるときに剥離が生じて流れが蛇行し、原水中で形成されたフロックの棚板152への衝突回数が増加する。フロックの棚板152への衝突回数が増加すると、形成されるフロックの空隙が締まり、フロックの強度が増加する。また、フロックの棚板152への衝突回数が増加すると、形成されるフロックの密度も増加し、固液分離装置17における分離効率が向上する。
【0021】
図3に示すように、棚板152の一端は、第1の側壁151a又は第2の側壁151bと所定の間隔を持つように設置されるが、フロックの棚板152への衝突回数を増加させてフロックの強度を上げるためには、棚板152と側壁151との間隔(ギャップ長さ)aよりも、各棚板152間の間隔(ピッチ)bが大きくなるようにすることが好ましい(a<b)。また、必要な棚板152の数は限定されないが、棚板152の数が多い方が原水のターンの回数が多くなってフロックが壁面(側壁151、棚板152)へ衝突する回数が増加するため、棚板152の数は、少ないよりも多い方が好ましい。
【0022】
また、フロック形成槽15の内部をコーティングしたり、フロック形成槽15を形成する材料を選択したりすることにより、フロックの側壁151や棚板152への付着を防止したり、フロック形成の効果を上げることができる。例えば、凝集剤注入装置12で高分子凝集剤を注入すると、凝集効果でイオン結合が生じる。イオン結合は、水中の構造物に対して付着性を有するという原理があるため、フロックが側壁151や棚板152等に付着しやすくなることがある。また、例えば、側壁151や棚板152に傷ができると、傷部分にフロックが付着しやすくなることがある。したがって、フロック形成槽15の内部を不活性な材質で形成したり、コーティングしたりすることでイオン結合による付着や傷部分における付着を防止することができる。例えば、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニル、アモルファスカーボン、セラミック、ガラス、酸化チタン等をフロック形成槽15を形成する材質やコーティングする材質として利用することが好ましい。
【0023】
なお、ここでは、フロック形成槽15aの上方に流入口153が設けられ、下方に流出口154が設けられ、流水はフロック形成槽15aの上方から左右に迂流しながらフロック形成槽15aの下方に流れるものとして説明した。しかしながら、フロック形成槽の左側(又は右側)に設けられる流入口から流入した原水が、上下に迂流しながらフロック形成槽の右側(又は左側)に設けられる流出口まで流れるものであっても良い。
【0024】
固液分離装置17は、内部で流入した原水を回転させて遠心力を発生させ、この遠心力によってフロックに重力よりも大きい加速度を与え、沈降速度を高めながらフロックを沈降させて原水を処理水とフロックに分離する。例えば、固液分離装置17には、液体サイクロンを利用することができる。固液分離装置17では、流入する原水がフロックを形成しやすい速度に旋回し、高速の原水からフロックを分離しやすい速度に旋回する。
【0025】
なお、送水ポンプ16は、固液分離装置17に原水を送水する際、固液分離装置17でフロックの形成やフロックの分離に必要な旋回速度が得られるような強度で原水を送水することが望ましい。
【0026】
上述したように、第1の実施形態に係る固液分離システム1aでは、フロック形成槽15aで形成するフロックの強度を増加するとともに、フロックの強度を増加するとともに、密度を増加することができる。したがって、第1の実施形態に係る固液分離システム1aでは、重力沈降装置よりもコンパクトな遠心分離を利用する固液分離装置17を利用することが可能となるため、システムの設置スペースを縮小することができる。
【0027】
また、固液分離システム1aでは、固液分離装置17で重力とともに遠心力を利用してフロックを沈降させることができる。したがって、第1の実施形態に係る固液分離システム1aでは、重力のみを利用する場合と比較して短時間でフロックを沈降させるため、分離効率を向上することができる。
【0028】
〈第2の実施形態〉
本発明の第2の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15aに代えて、図4に示すフロック形成槽15bを備えている点で異なる。図4(a)は、フロック形成槽15bの断面図を示し、図4(b)は、フロック形成槽15bが有する棚板152bの斜視図を示している。
【0029】
図4に示すフロック形成槽15bは、複数の棚板152bを備えて迂流水路を形成しているが、棚板152bの形状と設置方法が図2及び図3を用いて上述したフロック形成槽15aと異なっている。図2及び図3を用いて上述したフロック形成槽15aでは、棚板152の一端が第1の側壁151aに接触するとき、棚板152の他端は第2の側壁151bとは接触せずに所定の間隔(ギャップ)を保っている。これに対し、図4に示すフロック形成槽15bでは、棚板152bの両端が各側壁151と接触している。また、フロック形成槽15bの棚板152bの一端には切込み部152cが設けられ、複数の棚板152bは、切込み部152cが互い違いの方向に位置するように各側壁151と接触されている。図4に示すフロック形成槽15bでは、棚板152bの切込み部152cから原水が流れるため、フロック形成槽15aと同様に流入口から流出口まで原水が複数の棚板152bの間を通りながら迂流する。
【0030】
フロック形成槽15b内では、この切込み部152cを通ることによって原水の流れが不均一となり、流れ方向を軸とした回転流成分が生じ、棚板152bでの衝突回数を増加させ、フロックの密度を増加させる。なお、切込み部152c同士の間隔(ピッチ)は、棚板152同士の間隔の約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい。
【0031】
なお、切込み部152cの形状は、図4(b)に示す凹形状に限定されず、三角形であっても良いし、半円形等のようなカーブのかかった形状であっても良い。
【0032】
また、このフロック形成槽15bでも、フロック形成槽15aと同様にフロック形成槽15bを形成する材質を選択したり、内部をコーティングすることで、フロックの側壁151や棚板152bへの付着を防止し、フロック形成の効果を得ることができる。
【0033】
上述したように、第2の実施形態に係る固液分離システムでも、フロック形成槽15bにおいてフロックの棚板152bへの衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することが可能となるため、遠心分離による固液分離装置を利用し、システムの設置スペースを縮小し、固液分離の効率を向上させることができる。
【0034】
〈第3の実施形態〉
本発明の第3の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15aに代えて、図5に示すフロック形成槽15cを備えている点で異なる。図5(a)は、フロック形成槽15cの断面図を示し、図5(b)は、フロック形成槽15cが有する棚板152の斜視図を示している。
【0035】
図5に示すフロック形成槽15cは、棚板152が邪魔板155を有している点で図2及び図3を用いて上述したフロック形成槽15aと異なっている。具体的には、図5に示すフロック形成槽15cの棚板152では、側壁151と接触していない一端に邪魔板155を備えている。この邪魔板155の設置方向は、原水の流れ方向(ターンの方向)と同一である。フロック形成槽15c内では、原水の流れがこの邪魔板155によって不均一となり、現水の流れ方向を軸とした旋回流が生じる。旋回流に追従できないフロックは、棚板に衝突する回数が増加するため、フロックの空隙が締まり、フロックの強度を増加させることができる。
【0036】
なお、邪魔板155の形状は、図5(b)に示す三角形に限定されず、四角形であっても良いし、半円形等のようなカーブのかかった形状であっても良い。
【0037】
ここで、旋回流の渦のサイズは棚板152の間隔にそれぞれ依存するため、図5(b)に示すように、棚板152の端部に複数の邪魔板155が設置されているとき、同一の端部に設けられる各邪魔板155の間隔(ピッチ)cは、各棚板152の間隔(ピッチ)bの約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい(c≒2b)。
【0038】
また、このフロック形成槽15cでも、フロック形成槽15aと同様にフロック形成槽15cを形成する材質を選択したり、内部をコーティングすることで、フロックの側壁151や棚板152への付着を防止し、フロック形成の効果を得ることができる。
【0039】
上述したように、第3の実施形態に係る固液分離システムでも、フロック形成槽15cにおいて邪魔板155によって、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。
【0040】
《変形例》
図6は、第3の実施形態の変形例に係る固液分離装置のフロック形成槽15dの一例である。図6(a)は、フロック形成槽15dの断面図を示し、図6(b)は、フロック形成槽15dが有する棚板152の斜視図を示している。
【0041】
図5に示すフロック形成槽15cの棚板152では、側壁151と接触していない一端に原水の流れ方向(ターンの方向)と同一の邪魔板155を有していた。これに対し、図6に示すフロック形成槽15dの棚板152は、側壁151と接触していない一端に設置される邪魔板155と対向する方向で設置される邪魔板155も有している。
【0042】
ここで、旋回流の渦のサイズは棚板152の間隔にそれぞれ依存するため、図6(b)に示すように、棚板152の上下方向に複数の邪魔板155が設置されているとき、同一の棚板に設けられる各邪魔板155の間隔(ピッチ)cは、棚板152の間隔(ピッチ)bの約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい(c≒2b)。
【0043】
上述したように、このフロック形成槽15dを利用した場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。
【0044】
〈第4の実施形態〉
本発明の第4の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15aに代えて、図7に示すフロック形成槽15eを備えている点で異なる。図7(a)は、フロック形成槽15eの断面図であって、図7(b)は、フロック形成槽15eが有する棚板152の斜視図である。
【0045】
図7に示すフロック形成槽15eは、棚板152が小片156を有している点で図2及び図3を用いて上述したフロック形成槽15aと異なっている。棚板152には、原水の流れに対向する複数の小片156が並列されている。フロック形成槽15e内では、小片156によって、2枚の棚板152の間(ギャップ部)に、原水の流れ方向を軸とした旋回流を生じさせてフロックを棚板152へ衝突する回数を増加させることができる。
【0046】
ここで、旋回流の渦のサイズは棚板152の間隔にそれぞれ依存するため、隣り合う小片156の間隔(ピッチ)dは、棚板152の間隔(ピッチ)bの約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい(d≒2b)。なお、この場合の各小片156の間隔は、各小片156の重心を基準としている。
【0047】
また、原水の流れ方向を基準として前後関係にある小片156の間隔(ピッチ)は、棚板152と側壁の間隔(ギャップ長さ)と略等しいことが好ましい。
【0048】
なお、小片156の形状は、図7に示す直方体に限られず、図8に示すような形状であっても良い。図8に示すような形状にすることで、小片156におけるフロック等の固体の滞留を防止することができる。
【0049】
また、このフロック形成槽15bでも、フロック形成槽15aと同様にフロック形成槽15bを形成する材質を選択したり、内部をコーティングすることで、フロックの側壁151や棚板152bへの付着を防止し、フロック形成の効果を得ることができる。
【0050】
上述したように、このフロック形成槽15eを利用した場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。
【0051】
《変形例》
図9は、第4の実施形態に係る固液分離システムのフロック形成槽15eの変形例を表わす一例である。図7に示すフロック形成槽15eでは、原水の流れ方向と合わせて複数の小片156を同一方向に整列して棚板152に配置されていた。これに対し、図9に示すように、小片156の長手方向を原水の流れ方向とずらして棚板152に設置している。図9に示すように、小片156の長手方向と原水の流方向とを一致させない角度にすることで、小片156におけるフロック等の固体の滞留を防止することができる。また、隣合う小片156に同一の角度を持たせるのではなく、原水の流れ方向と垂直な一列の小片156を互い違いに配置することで、原水の旋回流を生じさせやすくすることができる。
【0052】
ここで、旋回流の渦のサイズは棚板152の間隔にそれぞれ依存するため、隣り合う小片156の間隔(ピッチ)dは、棚板152の間隔(ピッチ)bの約2倍又は約2の倍数倍であることが好ましい(d≒2b)。
【0053】
上述したように、小片156の長手方向と原水の流方向とに角度をつけた場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。
【0054】
〈第5の実施形態〉
本発明の第5の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15aに代えて、図10に示すフロック形成槽15fを備えている点で異なる。
【0055】
図10に示すフロック形成槽15fは、第1フロック形成部157aと第2フロック形成部157bによって構成されている。第1フロック形成部157aも第2フロック形成部157bも棚板152を有しているが、第1フロック形成部157aにおける各棚板152の間隔(ピッチ)b1と、第2フロック形成部157bにおける各棚板152の間隔(ピッチ)とは、b2とは異なっている。
【0056】
一般的に、棚板152の間隔が広い方が原水の流速が緩やかで原水中のフロックが棚板152に衝突する回数は少なく、棚板152の間隔が狭い方が原水の流速が速くなり原水中のフロックが棚板152に衝突する回数が多くなる。フロックが硬くならないうちに棚板152へ衝突させる回数を多くすると、フロックが棚板152へ衝突する衝撃でフロックを破壊するおそれがある。したがって、第1フロック形成部157aでフロックを緩やかに棚板152を衝突させてフロックを徐々に大きく形成した後で、第2フロック形成部157bでフロックを棚板152に衝突させる回数を増加してフロックを強固にする。
【0057】
図10に示すフロック形成槽15fでは、棚板152の間隔b1の第1フロック形成部157aと間隔b2の第2フロック形成槽157bとの、棚板152の間隔の異なる2つのフロック形成部を有しているが、棚板の間隔は2種類に限られることはない。また、異なる間隔の棚板を有するフロック形成部157a,157bの割合も限定されない。例えば、始めの1/4を緩速のフロック形成部でフロック形成し、残りの3/4を急速のフロック形成部でフロック形成するようにしても良い。また、緩速のフロック形成部、急速のフロック形成部、緩速のフロック形成部及び急速のフロック形成部と繰り返してフロック形成するようにしても良い。また、緩速から徐々に急速に変化させてフロック形成しても良い。
【0058】
また、このフロック形成槽15fでも、フロック形成槽15aと同様にフロック形成槽15bを形成する材質を選択したり、内部をコーティングすることで、フロックの側壁151や棚板152bへの付着を防止し、フロック形成の効果を得ることができる。
【0059】
上述したように、このフロック形成槽15fを利用した場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。また、緩速な水流でフロックを大きく形成するとともに、急速な水流でフロックを硬く形成することができるため、大きく硬い、固液分離装置17で分離しやすいフロックに形成することができる。
【0060】
〈第6の実施形態〉
本発明の第6の実施形態に係る固液分離システムは、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離システム1aと比較すると、フロック形成槽15gに代えて、図11に示すフロック形成槽15gを備えている点で異なる。図11(a)はフロック形成槽15gの断面図を示し、図11(b)は、フロック形成槽15gが有する棚板152b,152cの斜視図を示している。
【0061】
図11に示すフロック形成槽15gは円筒形であって、第1の棚板152cはドーナツ形状であって、第2の棚板152dとは円形である。第1の棚板152cの直径はフロック形成槽15gの直径と同一である。また、第2の棚板152dの直径はフロック形成槽15gの直径よりも小さくなっている。第1の棚板152c及び第2の棚板153dともに支柱157で支持されるため、支柱用開口h1,h2を有している。
【0062】
フロック形成槽15g内部では、支柱157によって第1の棚板152cと第2の棚板152dが交互に支持されている。フロック形成槽15gに流入する原水は、第1の棚板152cの内側の穴を通過し、第2の棚板152dの外側を通過する。その後も、原水は、第1の棚板152cの内側と第2の棚板153dの外側を交互に通過する。
【0063】
ここで、第1の棚板152cの中央に設けられる穴の面積(ギャップ面積)S1と、フロック形成槽15gの内枠と第2の棚板152dの外枠とによって形成される面積(ギャップ面積)S2を同一にすることで(S1=S2)、原水が第1の棚板152cから第2の棚板152dに移動する流速と、原水が第2の棚板152dから第1の棚板152cに移動する流速とを同一にすることができる。また、各棚板152c,152dの間隔(ピッチ)は、全て同一であっても良いし、第5の実施形態において上述したように間隔を変化させて、流速を変化させても良い。
【0064】
このような円筒形のフロック形成槽15gの場合にも、内部の原水に旋回流が発生してフロックが棚板152c,152dに衝突して大きく硬く形成される。さらに、円筒形の場合、一般的な直方体のフロック形成槽よりも耐圧が容易であって、容器の厚みが薄くても良いという効果を得ることができる。
【0065】
上述したように、このフロック形成槽15fを利用した場合でも、フロックの棚板152への衝突回数を増加させることで、フロックの強度を増加させるとともにフロックの密度を増加することができるため、固液分離の効率を向上させることができる。また、フロック形成槽15fを円筒形にしたことにより、特に圧力下の使用環境において、フロック形成槽15fの設計を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1a…固液分離システム
10…原水ポンプ
11…混和槽
111…混和装置
12…凝集剤注入装置
13…反応槽
131…混合装置
14…凝集助剤注入装置
15a〜15e…フロック形成槽
151…側壁
152…棚板
152b…棚板
152c…切込み部
155…邪魔板
156…小片
16…送水ポンプ
17…固液分離装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、
内部に複数の棚板が並列され、原水が流入すると、流入した原水を2枚の棚板間と、棚板の端部及びフロック形成槽の内壁の間とを迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロック含む原水を流出するフロック形成槽と、
フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置とを備え、
前記棚板は、端部に原水の流れ方向と垂直な面を有する邪魔板を有することを特徴とする固液分離システム。
【請求項2】
前記棚板は、対向する棚板の端部に邪魔板が設置されているとき、前記端部と平行であって、前記流方向と対向する位置に邪魔板を有することを特徴とする請求項1に記載の固液分離システム。
【請求項3】
前記棚板は複数の邪魔板を有し、隣り合う各邪魔板の間隔は、邪魔板が設置される棚板と当該棚板と迂流水路を形成する棚板との間隔の略2倍または略2の倍数倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固液分離システム。
【請求項4】
固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、
内部に複数の棚板が並列され、原水が流入すると、流入した原水を2枚の棚板間と、棚板の端部及びフロック形成槽の内壁の間とを迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロック含む原水を流出するフロック形成槽と、
フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置とを備え、
前記棚板は、原水の流れを遮る小片を有することを特徴とする固液分離システム。
【請求項5】
前記棚板は複数の小片を有し、隣り合う各小片の間隔は、前記小片が設置される棚板と当該棚板と迂流水路を形成する棚板との間隔の略2倍または略2の倍数倍であることを特徴とする請求項4に記載の固液分離システム。
【請求項6】
前記棚板に設置される小片の長手方向と、原水の流れ方向とが所定の角度となることを特徴とする請求項5に記載の固液分離システム。
【請求項7】
前記棚板に設置される小片の長手方向と、原水の流れ方向とで形成される角度は、隣り合う小片同士で所定の関係となることを特徴とする請求項6に記載の固液分離システム。
【請求項8】
原水の流れ方向を基準として前後関係にある各小片の重心の間隔は、棚板の端部及びフロック形成槽の内壁で形成される間隔と略等しいことを特徴とする請求項7に記載の固液分離システム。
【請求項9】
固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、
円筒形状であって、ドーナツ形状で外周が当該円筒形状の内周と同一の第1の棚板と、円形で外周が当該円筒形状の内周よりも小さい第2の棚板とを内部に交互に有し、原水が流入すると、流入した原水を前記第1の棚板の中央に設けられる穴部と、前記第2の棚板の外端部と前記フロック形成槽の内壁との間とを交互に迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロックを流出するフロック形成槽と、
フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置と、
を備えることを特徴とする固液分離システム。
【請求項10】
前記フロック形成槽では、棚板の間隔を複数設定し、流入口に近い迂流水路を形成する棚板の間隔は、後段の迂流水路を形成する棚板の間隔より広く設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の固液分離システム。
【請求項1】
固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、
内部に複数の棚板が並列され、原水が流入すると、流入した原水を2枚の棚板間と、棚板の端部及びフロック形成槽の内壁の間とを迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロック含む原水を流出するフロック形成槽と、
フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置とを備え、
前記棚板は、端部に原水の流れ方向と垂直な面を有する邪魔板を有することを特徴とする固液分離システム。
【請求項2】
前記棚板は、対向する棚板の端部に邪魔板が設置されているとき、前記端部と平行であって、前記流方向と対向する位置に邪魔板を有することを特徴とする請求項1に記載の固液分離システム。
【請求項3】
前記棚板は複数の邪魔板を有し、隣り合う各邪魔板の間隔は、邪魔板が設置される棚板と当該棚板と迂流水路を形成する棚板との間隔の略2倍または略2の倍数倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固液分離システム。
【請求項4】
固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、
内部に複数の棚板が並列され、原水が流入すると、流入した原水を2枚の棚板間と、棚板の端部及びフロック形成槽の内壁の間とを迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロック含む原水を流出するフロック形成槽と、
フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置とを備え、
前記棚板は、原水の流れを遮る小片を有することを特徴とする固液分離システム。
【請求項5】
前記棚板は複数の小片を有し、隣り合う各小片の間隔は、前記小片が設置される棚板と当該棚板と迂流水路を形成する棚板との間隔の略2倍または略2の倍数倍であることを特徴とする請求項4に記載の固液分離システム。
【請求項6】
前記棚板に設置される小片の長手方向と、原水の流れ方向とが所定の角度となることを特徴とする請求項5に記載の固液分離システム。
【請求項7】
前記棚板に設置される小片の長手方向と、原水の流れ方向とで形成される角度は、隣り合う小片同士で所定の関係となることを特徴とする請求項6に記載の固液分離システム。
【請求項8】
原水の流れ方向を基準として前後関係にある各小片の重心の間隔は、棚板の端部及びフロック形成槽の内壁で形成される間隔と略等しいことを特徴とする請求項7に記載の固液分離システム。
【請求項9】
固形物を含む原水を流入すると、この原水に固形物をフロックに形成する薬品を注入して原水を固形物と処理水とに分離する固液分離システムであって、
円筒形状であって、ドーナツ形状で外周が当該円筒形状の内周と同一の第1の棚板と、円形で外周が当該円筒形状の内周よりも小さい第2の棚板とを内部に交互に有し、原水が流入すると、流入した原水を前記第1の棚板の中央に設けられる穴部と、前記第2の棚板の外端部と前記フロック形成槽の内壁との間とを交互に迂流させる迂流水路を有し、この迂流水路で形成されたフロックを流出するフロック形成槽と、
フロック形成槽から流出した原水を流入すると、原水から固形物であるフロックを遠心力を利用して分離する固液分離装置と、
を備えることを特徴とする固液分離システム。
【請求項10】
前記フロック形成槽では、棚板の間隔を複数設定し、流入口に近い迂流水路を形成する棚板の間隔は、後段の迂流水路を形成する棚板の間隔より広く設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の固液分離システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−49057(P2013−49057A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−243675(P2012−243675)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2011−227877(P2011−227877)の分割
【原出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2011−227877(P2011−227877)の分割
【原出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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