説明

固液分離方法およびその装置

【課題】全く新しい固液分離方法と、この方法を実施するのに適した装置の提供。
【解決手段】混合物および懸濁液を固液分離するための方法であって、混合物を加圧下で閉じたチャンバ2に供給し、該チャンバには、少なくとも1つのフィルタ面14が設けられ、チャンバ内には液相分離を促す静水圧が発生する。液相分離の実施後に、前記チャンバが開かれ、前記チャンバからフィルタ面が前記フィルタケーキと共に取り外される。混合物は、まず、最高約0.2バールの静水圧で処理され、供給量の80〜90%が濾液として取り除かれる。次に、濃縮残留物が注ぎ出されて閉じたチャンバ8内で最高5バールの圧力で処理される。チャンバの容積を減らすことで、最終的には、濃縮残留物を最高50バールの圧力で分離することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合物および懸濁液を固液分離するための方法であって、混合物を加圧して、少なくとも1つのフィルタ面を有する閉じたチャンバに供給し、チャンバ内に液相分離を促す静水圧を発生させ、液相分離実施後に、形成されたフィルタケーキを取り除くためにチャンバを開き、チャンバからフィルタ面をフィルタケーキと共に取り外す方法に関する。さらに、本発明はこの方法を実施するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液相を分離するために、混合物および懸濁液をチャンバフィルタプレスにて処理することが知られている。例えば、スラッジやこれに似た物質は、汚水浄化装置にて、有機または無機の凝集剤や濾過促進剤を加えた後に得られ、このようにして脱水される。通常の構造を有するチャンバフィルタプレスでは、スラッジを完全に閉じた濾過チャンバに送り、混合物をポンプにより高圧で脱水するために、所望の濃度に脱水された物質が得られるまで、ポンプする。このとき、混合物または懸濁液に含まれる液相は、フィルタ材より成る個々の濾過チャンバの隔壁を通り取り除かれる。この種の構造を有する既知のチャンバフィルタプレス、およびその液相分離方法の欠点は、技術コストがかなり嵩むにも関わらず、液相が分離されるべき混合物や懸濁液への圧力伝達効率が、チャンバからチャンバへと伝達方向に低下する点にある。この既知のチャンバフィルタプレスのさらなる欠点は、濾過チャンバが開かれている間、混合物の供給が中断されるため、処理を連続的に行うことが出来ない点にある。さらに、極低圧で行われる事前脱水を含め、液相分離の全段階が、高圧対応設計の1つのチャンバで行われるので、この高圧対応設計のチャンバは極度に非経済的な方法で使用されることになるという点も挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、全く新しい固液分離方法と、この方法を実施するのに適した装置であって、技術的支出が少なく、能率が高く、加えて処理能力の高い装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の種の方法においてこの課題は、混合物を、まず、最高約0.2バールの静水圧で処理して供給量の80〜90%を濾液として取り除き、次に、濃縮残留物を注ぎ出して閉じたチャンバ内にて最高5バールの圧力で処理し、最終的には、チャンバの容積を減らすことで、濃縮残留物が最高50バールの圧力で分離する、という特徴により解決される。
【0005】
この方法ステップにより、既に濃縮された混合物のために高圧処理対応に設計されたチャンバを、高圧下での分離にのみ利用するという、目的に適ったかたちで、液相分離の各工程を最適化することができる。
【0006】
特に好適には、静水圧での処理の間、混合物を連続的に供給し、その後の処理はバッチプロセスとして実施する。この方法により、連続作動システムの利点と非連続システムの高脱水圧とを併せ持つ最適な方法が達成される。
【0007】
本発明の特に好適な実施形態において、高圧処理の後に、閉じたチャンバ内にて得られたフィルタケーキを洗浄し、使用された洗浄液を高圧下で再び分離する。これらの特徴により、本発明の方法は、特に、最終生成物として所望の純度の混合物フィルタケーキが望まれる混合物への適用に適するものとなる。これには、多数の化学的、薬学的例が挙げられる。
【0008】
本発明の特に好適な実施形態において、静水圧での分離を1つの工程で実施し、また、取り出された濃縮残留物の処理を、圧搾チャンバとして構成された複数の並置チャンバで同時に実施する。この特徴により、混合物を第1工程に連続して供給することが可能となり、第1工程において全体量が有意に減少するため、後の液相分離を並置圧搾チャンバにてバッチプロセスとして行うことができる。さらに、この方法では、キャパシティ、つまり処理能力をシンプルに調整することができる。
【0009】
詳しくは、固液分離の終了後に各圧搾チャンバを同時に開き、また、得られたフィルタケーキを可動フィルタベルトによって取り除くものとすることも好適である。これらの特徴により、非連続的に作動する工程のサイクル時間が短縮され、特に経済的な構造となる。
【0010】
詳しくは、固形物ケーキを、1つまたは複数の圧搾プレートからフィルタベルトによって水平に取り除くものとすると好適である。
【0011】
さらに好適には、固形物を取り除いた後にフィルタベルトを洗浄する。
【0012】
本発明の実用的な方法においては、圧搾チャンバを開き、固形物ケーキを取り除き、フィルタベルトを洗浄し、再び圧搾プレートを閉じるのに必要な切り替え時間は約30秒である。
【0013】
さらに、本発明に係る、上記の方法を実施するための装置は、分離されるべき混合物が連続的に供給される立向きの濾過チャンバと、濃縮残留物を濾過チャンバからバッチプロセスとして注ぎ出し、最高約5バールのポンプ圧を発生させるためのポンプ装置と、容積を変化させることが出来て、1つまたは複数の、ポンプ装置への接続ラインを有する、少なくとも1つの閉じた圧搾チャンバと、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の好適な実施形態において、濾過チャンバは、固定外側シリンダと、回転可能な内側フィルタバスケットとから成り、これら2つのシリンダは異なる径を有し、閉じた濾過チャンバを構成する。
【0015】
好適には、フィルタバスケットは、濾布で覆われた有孔シェルを有する。
【0016】
詳しくは、フィルタバスケットシリンダの、外側には固形物抜取板が、内側には接触ブラシが設けられると好適である。特に接触ブラシがフィルタ面に設けられていることで、例えば排水スラッジにおいて凝集が破壊されることなく、混合物の脱水が飛躍的に改善される。
【0017】
さらに好適には、作業の終わりに濾布を洗浄するために、洗浄水ノズルマニホルドが設けられる。
【0018】
本発明の特に好適な実施形態において、各圧搾チャンバは、独立したコンパクトな、かつ、閉じた単一の構造メンバとして構成される。この特徴により、モジュール構造が形成され、これにより構造メンバを増やすことで、要求に応じた処理能力を簡単に得ることができる。
【0019】
さらに、本発明の特に好適な実施形態において、モジュール構造では、複数の並置された圧搾チャンバがポンプ装置からの混合物供給路に接続され、また、循環フィルタベルトは全ての圧搾チャンバを通るように案内される。
【0020】
本発明のさらに好適な実施形態において、ポンプ装置を、渦巻きポンプとして構成する。この特徴により、渦巻きポンプ1つで圧搾チャンバに供給可能であることから、特に経済的な構造が形成される。
【0021】
詳しくは、本発明は、各圧搾チャンバが以下の構成要素、即ち、下側固定圧搾プレートと、上側固定反対圧力プレートと、環状シーリングを有する昇降自在圧搾プレートと、下側圧搾プレートおよび上側反対圧力プレートの間に設けられた、引張力を受けるためのタイロッドと、昇降自在圧搾プレートをシーリングと共に動かすための液圧シリンダとを備えることで、さらに有利に発展することができる。
【0022】
好適には、圧搾チャンバは、昇降自在圧搾プレートに固定された環状のフレキシブルシーリングにより囲まれ、このシーリングは、液圧プリテンショニングシリンダによって、下側圧搾プレート方向に可動かつプリストレスを受けることができるものとする。この特徴により、液相分離に用いられる圧力の影響下において、圧搾プレートを確実にシーリングすることが保証され、シーリングの下側固定圧搾プレートにおける接触圧力もこれに応じて高まる。
【0023】
さらに好適には、圧搾プレートの閉じる動作を制限するために、制限シリンダを設ける。
【0024】
固形物ケーキが圧搾チャンバから取り除かれる前に再度洗浄されるプロセスを可能にするには、好適には、固形物ケーキのための洗浄装置が圧搾チャンバ内に設けられる。この洗浄装置により、既にプレスされた固形物ケーキに洗浄液が導入され、この洗浄液はその後再び高圧で脱水される。
【0025】
以下、本発明の実施形態例の詳細を図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る装置の側面概略を示す部分断面図である。
【図2】図1に示す装置の上面図である。
【図3】混合物を静水圧により処理するための濾過チャンバの部分概略図である。
【図4】図3に示す濾過チャンバのIV-IV線上の断面図である。
【図5】圧搾チャンバの開ポジションにおける概略断面図である。
【図6】圧搾チャンバの側面図である。
【図7】図5に示す圧搾チャンバの閉位置における概略断面図である。
【図8】図5中のVIII-VIII平面上の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
特に図1および2に示されるように、混合物および懸濁液の固液分離方法を実施するための本発明装置1は、基本的に、プロセスに関して互いに独立した2つの工程部、つまり、固形物側をポンプ装置6に接続された供給路4を有する濾過チャンバ2と、1個または複数個の水平に配置された圧搾チャンバ8と、より成る。
【0028】
脱水されるべき懸濁液は、作動中常に濾過チャンバ2内に常圧で供給し、濾過チャンバ2の立向き姿勢に基づいて最高0.2バールの静水圧で脱水する。この処理において、供給量の80〜90%を濾過により取り除く。濾過チャンバ2は、作動中常に閉じられたままであり、液相分離が妨害されることはない。濃縮残留物は、ポンプ装置6による最高5バールのポンプ圧で、濾過チャンバ2から圧搾チャンバ8へと送られる。圧搾チャンバ8では、最高50バールの圧搾によって液相が分離される。液相分離の仕上げ後、または、フィルタケーキの洗浄および、フィルタケーキを排出するための洗浄液の新たな分離の後、全ての圧搾チャンバ8は同時に開かれ、圧搾チャンバ8から、後に詳述するフィルタベルトによりケーキが水平に取り除かれる。圧搾チャンバを開いてフィルタケーキを取り除き、フィルタベルトを洗浄し、再び圧搾チャンバを閉じるのに必要な切り替え時間は30秒程である。
【0029】
本発明に係る装置1は、連続システムの利点と非連続システムの高脱水圧とを併せ持つものである。混合物は濾過チャンバ2に供給し、同時に、脱水されたケーキは圧搾チャンバ8から取り除かれる。脱水とケーキの排出とを同時に実施できるのは、全ての連続脱水システムの特徴である。よって、この装置は連続的に作動する高圧圧搾機として構成され、この高圧圧搾機において、混合物は作動中妨害されることなく濾過チャンバ2へと連続的に供給して液相が分離され、一方では、ケーキが圧搾チャンバ8からバッチプロセスで取り除かれる。圧搾チャンバ8内における脱水圧および脱水時間は、各混合物の脱水特性に応じて自由にプログラム可能である。全作動時間にわたり、液相は、それぞれ圧力および処理時間の異なる濾過チャンバ2と、圧搾チャンバ8とにおいて同時に分離される。
【0030】
図3および4に示す立向き姿勢の濾過チャンバ2は、固定外側シリンダ12および回転可能な内側フィルタバスケットシリンダ14とから成る。シリンダ12,14はそれぞれ異なる径を有し、両者間のギャップで閉じた濾過チャンバ2を構成する。フィルタバスケットシリンダ14は、濾布18で覆われた有孔シェル16を有する。外側の固形物抜取板20は濾布18の外表面に接する一方で、フィルタバスケットシリンダ14の内側面に設けられた接触ブラシ22は、そのブリスルをもってシェル18の孔と係合する。固形物抜取板20および接触ブラシ22は、フィルタバスケットシリンダ14の全高にわたり延在する。フィルタバスケットシリンダ14が回転する間、固形物抜取板20および接触ブラシ22はアクティヴェートし、液相分離を最適化する。作業の終わりに濾布18を洗浄するために、さらに、洗浄水ノズルマニホルド24が設けられる。これによって、洗浄水供給ライン25から供給される洗浄液が濾布18に噴射される。
【0031】
接続ライン10は、濃縮残留物を濾過チャンバ2からポンプ装置6へと、図1に概略的に示されるように供給するためのものである。図3中の符号23は、濾液のための放水口である。
【0032】
図5〜8に示される圧搾チャンバは、それぞれ、独立したコンパクトな構造メンバを構成する。これらの圧搾チャンバは、必要に応じて装置1の処理量を増やすために、図1および2に示すように、互いに隣接するようにモジュール形式に取付けることができる。各圧搾チャンバ8は、下側固定圧搾プレート30、上側固定反対圧力プレート32、および昇降自在圧搾プレート34、より成り、昇降自在圧搾プレート34には、シーリング36が、下側固定圧搾プレート30に面するように取付けられ、また、昇降自在圧搾プレート34は圧搾チャンバ8を取り囲む。下側固定圧搾プレート30と上側反対圧力プレート32との間にはタイロッド50が設けられ、このタイロッド50は、昇降自在圧搾プレート34が下側固定圧搾プレート30を圧しているときに生じる引張力を受ける。
【0033】
複数の液圧シリンダ、つまり開シリンダ38、閉シリンダ40、および圧搾シリンダ42によって、昇降自在圧搾プレート34とそのシーリング36のみが動かされ、ポジショニングされる。
【0034】
下側固定圧搾プレート30の上面側には、循環フィルタベルト28(図1参照)が案内される。このフィルタベルト28は、連続する複数の圧搾チャンバ8がモジュールとして使用されている場合、全ての圧搾プレート30の上方を通るものとする。最後の圧搾チャンバ8を去った後、フィルタベルト28は循環洗浄ステーション31を通る。この洗浄ステーション31は、フィルタケーキのための排出ステーション33を含むものとする。全ての圧搾チャンバ8の下方では、フィルタベルト28が、モジュール列最初の圧搾チャンバ8の入り側である転向引張制御ステーション35へと戻し案内される。フィルタケーキを取り除く各サイクルにおいて、圧搾チャンバ8のフィルタベルト28は、循環洗浄ステーション31から転向引張制御ステーション35までの、半循したのみに留まる。こうしながら、ステーション31の2つの洗浄水ノズルマニホルドにより、フィルタベルト28の両面が洗浄される
【0035】
図5および7は、圧搾チャンバ8の2つの基本ポジション、つまり、図5に示される、フィルタケーキを取り除いてフィルタ表面を洗浄するための開ポジションと、図7に示される、圧搾チャンバ8が満たされ、ポンプ装置6により生じる圧迫によりまず液相分離が成される閉位置と、を示すものである。フィルタベルト28がその上を通る下側固定圧搾プレート30には、付加的にチャネル39を設け、これらチャネル39により、圧搾プレート8内で分離された液相が排出される。
【0036】
図5に特に示されるように、閉位置の圧搾チャンバ8を囲む昇降自在圧搾プレート34に固定される環状シーリング36には、上側固定反対圧力プレート32に支持される液圧プリテンショニングシリンダ44が設けられる。これらプリテンショニングシリンダ44によって、シーリング36がフィルタベルト28の上側面にあるときの接触圧力は、圧搾チャンバ8内の圧力に応じて意図的に調整できる。こうすることで、時間やチャンバ8内の圧力に関わらず、圧搾チャンバ8の完全な緊張が保証される。
【0037】
さらに付加的に設けられた制限シリンダ46により可動圧搾プレート34の閉方向へのストロークを調整することができる。圧搾チャンバ8内の最初の液相分離中に、好適には渦巻きポンプ29であるポンプ装置6から生ずる圧力により圧搾チャンバ8の高さを調整することができる。
【0038】
続いて、図1〜8に示される、装置1の処理動作をより詳細に説明する。図5が示すのは、開状態の圧搾チャンバ8である。このとき、昇降自在圧搾プレート34とシーリング36とは、開シリンダ38により上方へと持ち上げられている。シーリング36のためのプリテンショニングシリンダ44も解放されて収縮する。
【0039】
昇降自在圧搾プレート34を持ち上げる間、まず、シーリング36がフィルタベルト28からプリテンショニングシリンダ44によって持ち上げられ、その後、圧搾プレート34全体がシーリング36と共に、開シリンダ38によって上方に動かされる。同時に、圧搾シリンダ42が解放される。
【0040】
図5に示す状態の圧搾チャンバ8において、既終のサイクル中に形成されたフィルタケーキは、フィルタベルト28を動かすことによって圧搾チャンバ8から取り除くことができる。フィルタケーキを捨てた後、図5に示す圧搾プレートは再び図5に示す状態に戻るが、このとき、圧搾チャンバ8内には、図5において符号41にて示されるフィルタケーキは存在しない。
【0041】
続いて、圧搾チャンバ8は、図7に示される状態へと移行する。この状態では、全てのモジュールユニットの圧搾チャンバが閉じられている。この状態に移行するために、開シリンダ38は解放され、閉シリンダ40が圧搾プレート34とシーリング36とを下方へと下げる。このとき、圧力プレート34の下方への動きは、制限シリンダ46により制限される。続いて、プリテンショニングシリンダ44は加圧され、シーリングはフィルタベルト28の上面側、つまり、下側固定圧搾プレート30に、必要に応じて押し付けられる。このため、圧搾チャンバ8は、濾過チャンバ2内にて供給量の20〜10%に濃縮された混合物を受け取ることのできる状態である。既に説明した全てのアクションの間、濾過チャンバ2へは、物質が連続して供給され、同時に、相応の液相が分離される。濃縮残留物はポンプ装置、つまり、渦巻きポンプ29により、濾過チャンバ2から出され、接続ライン10を通り、各圧搾チャンバ8へと供給される。ここでは、渦巻きポンプにより生じる約5バールのポンプ圧で、さらに濃縮液から液相が分離される。処理中に得られた濾液は、圧搾チャンバ8から、フィルタベルト28と、これらを相互連結するチャネル39とを通って排出される。続いて、渦巻きポンプに続く接続ライン10は、対応するバルブや滑り弁(図示しない)などにより閉じられ、また、昇降自在圧搾プレート34は、圧搾シリンダ42によって下側固定圧搾プレート30の方向に押され、圧搾チャンバ8の容積を減らすことで、最大50バールの圧力で液相の最終分離が行われる。この処理中、必要であれば、シーリング36の接触圧力はプリテンショニングシリンダ44により高めることができる。
【0042】
所望の液相分離が圧搾チャンバ8内で実施された後、圧搾シリンダ42は解放され、プリテンショニングシリンダ44も解放され、開シリンダ38がアクティヴェートされる。続いて、再び図5に示される状態に至り、そのため圧搾チャンバ8は、再び、形成されたフィルタケーキ41を取り除き排出することから始まる上述のサイクルを始めることができる状態となる。
【0043】
全過程において、濾過チャンバ内での液相分離が連続的に実施されていることに再び言及しておく。
【0044】
上記では、本発明の実施形態について詳述したが、当業者には、本発明の範囲から外れること無く様々な修正および変更を加えることができることは自明であろう。本願明細書、請求の範囲、および図面に示唆される、構造の詳細および寸法配置を含む本発明の全ての特徴および利点は、個々をとっても、恣意的な組み合わせにおいても、本発明の重要な要件である。
【符号の説明】
【0045】
1 装置
2 濾過チャンバ
4 供給
6 ポンプ装置
8 圧搾チャンバ
10 接続ライン
12 外側シリンダ
14 フィルタバスケットシリンダ
16 シェル
18 濾布
20 固形物抜取板
22 接触ブラシ
23 濾液放水口
24 洗浄水ノズルマニホルド
25 洗浄水供給ライン
28 フィルタベルト
29 渦巻きポンプ
30 下側固定圧搾チャンバ
31 循環洗浄ステーション
32 上側固定反対圧力プレート
33 排出ステーション
34 昇降自在圧搾プレート
35 転向-引張制御ステーション
36 シーリング
37 洗浄水ノズルマニホルド
38 開シリンダ
39 チャネル
40 閉シリンダ
41 フィルタケーキ
42 圧搾シリンダ
44 プリテンショニングシリンダ
46 制限シリンダ
48 洗浄装置
50 タイロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物および懸濁液を固液分離するための方法であって、
前記混合物を加圧して、少なくとも1つのフィルタ面を有する閉じたチャンバに供給し、
前記チャンバ内に液相分離を促す静水圧を発生させ、
前記液相分離の実施後に、形成されたフィルタケーキを取り除くために前記チャンバを開き、前記チャンバから前記フィルタ面を前記フィルタケーキと共に取り外す、該方法において、
前記混合物を、まず、最高約0.2バールの静水圧で処理して供給量の80〜90%を濾液として取り除き、次に、濃縮残留物を注ぎ出して前記閉じたチャンバ内で最高5バールの圧力で処理し、
最終的には、前記チャンバの容積を減らすことで、前記濃縮残留物が最高50バールの圧力で分離することを特徴とする固液分離方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記静水圧での処理の間、前記混合物を連続的に供給し、また、後の処理はバッチプロセスとして実施されることを特徴とする固液分離方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記高圧処理の後に、前記閉じたチャンバ内にて得られた前記フィルタケーキを洗浄し、使用された前記洗浄液を高圧下で再び分離することを特徴とする固液分離方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の方法において、前記静水圧での分離を1つの工程で実施され、また、前記取り出された濃縮残留物の処理を、圧搾チャンバとして構成された複数の並置チャンバで同時に実施することを特徴とする固液分離方法。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の方法において、前記圧搾チャンバを前記固液分離の終了後に同時に開き、また、得られた前記フィルタケーキを、可動フィルタベルトによって取り除くことを特徴とする固液分離方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記固形物ケーキを、1つまたは複数の前記圧搾プレートから前記フィルタベルトによって水平に取り除くことを特徴とする固液分離方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記固形物ケーキを取り除いた後に、前記フィルタベルトを洗浄することを特徴とする固液分離方法。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の方法において、前記圧搾チャンバを開き、前記固形物ケーキを取り除き、前記フィルタベルトを洗浄し、再び前記圧搾プレートを閉じるのに必要な切り替え時間は約30秒間であることを特徴とする固液分離方法。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の方法を実施するための装置において、以下の特徴、即ち;
分離されるべき前記混合物が連続的に供給(4)される、立向きの濾過チャンバ(2);
前記濃縮残留物を前記濾過チャンバ(2)からバッチプロセスとして注ぎ出し、最高約5バールのポンプ圧を発生させるためのポンプ装置(6);
容積を変化させることができて、1つまたは複数の、前記ポンプ装置(6)への接続ライン(10)を有する、少なくとも1つの閉じた圧搾チャンバ(8);
の組合せを備えることを特徴とする固液分離装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、前記濾過チャンバ(2)は、固定外側シリンダ(12)と、回転可能な内側フィルタバスケット(14)とから成り、これら2つのシリンダ(12,14)は異なる径を有し、前記閉じた濾過チャンバ(2)を構成することを特徴とする固液分離装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、前記フィルタバスケット(14)は、濾布(18)で覆われた有孔シェル(16)を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の装置において、前記フィルタバスケットシリンダ(14)の、外側には固形物抜取板(20)が、内側には接触ブラシ(22)が設けられていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項13】
請求項10〜12のうちいずれか一項に記載の装置において、作業の終わりに前記濾布(18)を洗浄するために、洗浄水ノズルマニホルド(24)が設けられていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項14】
請求項9〜13のうちいずれか一項に記載の装置において、前記各圧搾チャンバ(8)は、独立したコンパクトな構造メンバとして構成されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項15】
請求項14記載の装置において、モジュール構造では、前記複数の並置された圧搾チャンバ(8)が前記ポンプ装置(6)からの前記接続ライン(10)に接続され、また、循環フィルタベルト(28)が全ての圧搾チャンバ(8)を通るように案内されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項16】
請求項9〜15のうちいずれか一項に記載の装置において、前記ポンプ装置(6)を渦巻きポンプ(29)としていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項17】
請求項9〜16のうちいずれか一項に記載の装置において、前記各圧搾チャンバ(8)が、以下の構成要素、即ち;
下側固定圧搾プレート(30)と、上側固定反対圧力プレート(32)と、環状シーリング(36)を有する昇降自在圧搾プレート(34)と、前記下側圧搾プレート(30)および前記上側反対圧力プレート(32)の間に設けられた、引張力を受けるためのタイロッド(50)と、前記昇降自在圧搾プレート(34)を前記シーリング(36)と共に動かすための液圧シリンダ(38,40,42)と、
を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項18】
請求項16記載の装置において、前記渦巻きポンプ(29)は、前記圧搾チャンバ(8)と接続されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項19】
請求項9〜18のうちいずれか一項に記載の装置において、前記圧搾チャンバ(8)は、昇降自在圧搾プレート(34)に固定された前記環状のフレキシブルシーリング(36)により囲まれ、また、前記シーリング(36)は、液圧プリテンショニングシリンダ(44)によって、前記下側圧搾プレート(30)方向には可動かつプリストレスを受けることができることを特徴とする固液分離装置。
【請求項20】
請求項9〜19のうちいずれか一項に記載の装置において、前記圧搾プレートの閉じる動作を制限するために、制限シリンダ(46)が設けられていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項21】
請求項9〜20のうちいずれか一項に記載の装置において、前記固形物ケーキのための洗浄装置が設けられていることを特徴とする固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−64071(P2010−64071A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212356(P2009−212356)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(509257606)
【Fターム(参考)】