説明

土木構築物及び土木構築物の構築方法

【課題】大型の吊上げ機械を用いることができないことに伴って、塊状部材と塊状の控え部材とを連結部材を介して連結した土木構築物用ユニットを搬送することができない場合であっても、該土木構築物用ユニットを用いて施工した場合と同等の土木構築物を提供する。
【解決手段】設置面3上に、前側自然石9と後側自然石10とを配置し、その前側自然石9の上面部9aと後側自然石10の上面部10aとを軸状部材12を介して連結することにより、前側自然石9と後側自然石10とを軸状部材12を介して連結する土木構築物用ユニットを作り上げる。この後、作り上げた土木構築物用ユニットの前側自然石9と後側自然石10との間に、砕石等21を充填して充填材層5を形成し、以後、この一連の工程を繰り返すことにより、従来同様の安定で強固な土木構築物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構築物及び土木構築物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、護岸等の土木構築物の施工においては、土木構築物用ユニットが用いられる傾向にある。そのような土木構築物用ユニットとしては、特許文献1に示すように、連結部材(延び部材)の一端部に塊状部材を取付け、その他端部に塊状の控え部材(摩擦力増大手段)を取付けたものが知られている。その土木構築物用ユニットを使用するに際しては、その土木構築物用ユニットを複数用意し、その各塊状部材を積み重ねると共にその各連結部材を略平行に配置し、その各連結部材及び塊状の控え部材(摩擦力増大手段)を砕石等(充填材)の中に埋設することが行われている。これにより、塊状の控え部材と砕石等との摩擦力に基づき土木構築物用ユニットの保持状態を強固にできることになり、安定で強固な土木構築物を構築できることになる。
【0003】
ところで、上記各土木構築物用ユニットにおいては、比較的大きな塊状部材、控え部材が用いられており、それらを連結した土木構築物用ユニットは重量物である。このため、各土木構築物用ユニットを設置面に順次、積み上げるに際しては、バックホウ等の吊上げ機械(大型建設機械)を利用することにより、各土木構築物用ユニットはその設置面にまで吊上げ搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−310913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、施工現場によっては、吊上げ機械を容易にもち込むことができない場所もあり、そのような場合には、各土木構築物用ユニットを設置面の各設置位置にまで吊上げ搬送することができない。このため、土木構築物用ユニットを設置面上に吊上げ搬送できないときには、人手により搬送できるものでもないことから、設置面上に複数の土木構築物用ユニットを積み上げて土木構築物を構築することが困難となっている。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の技術的課題は、大型の吊上げ機械を用いることができないことに伴って、塊状部材と塊状の控え部材とを連結部材を介して連結した土木構築物用ユニットを搬送することができない場合であっても、そのような土木構築物用ユニットを用いて施工した場合と同等の土木構築物を提供することにある。
第2の技術的課題は、上記土木構築物を簡単に構築できる土木構築物の構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
傾斜基礎面の前方の設置面上に、該傾斜基礎面に対向して充填材層が配置され、該充填材層の表面側に複数の塊状部材が表面層として複数段に積み上げられた状態をもって配置され、前記充填材層の背面側に、前記各段の塊状部材に対応するようにした状態で控え部材が配置され、前記各段の塊状部材と前記控え部材とが、前記充填材層を横切る連結部材を介して連結されている土木構築物において、
前記連結部材の一端部が、前記塊状部材の上面部に連結され、
前記連結部材の他端部が、前記控え部材の上面部に連結されている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2〜7の記載の通りである。
【0008】
上記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項8に係る発明)にあっては、
傾斜基礎面の前方の設置面上に、該傾斜基礎面に対向して充填材層が配置され、該充填材層の表面側に複数の塊状部材が表面層として複数段に積み上げられた状態をもって配置され、前記充填材層の背面側に、前記各段の塊状部材に対応するようにした状態で控え部材が配置され、前記各段の塊状部材と前記控え部材とが、前記充填材層を横切る連結部材を介して連結されている土木構築物の構築方法において、
前記設置面上に、前記各段の塊状部材と前記控え部材とを、間隔をあけつつ対向させた状態をもって、それぞれ積み上げ、
前記各段の塊状部材及び該塊状部材に対向する控え部材の積み上げを終える度に、該塊状部材の上面部と該控え部材の上面部とを連結部材を介して連結し、
前記連結部材を介して連結した塊状部材と控え部材との間に、前記充填材層を形成するための充填材を充填する構成としてある。この請求項8の好ましい態様としては、請求項9以下の記載の通りである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、各段の塊状部材と控え部材とが、充填材層を前後に挟持するように配置されている土木構築物において、連結部材の一端部が塊状部材の上面部に連結され、連結部材の他端部が控え部材の上面部に連結されていることから、当該土木構築物の構築過程において、作業者は、積み上げ配置される塊状部材、その塊状部材に対向する控え部材に対して上方側から連結作業を施して、塊状部材と控え部材とを連結部材を介して簡単に連結することができる。このものは、厳密には、塊状部材と控え部材の互いの対向面略中央部に取付け孔をそれぞれ形成し、その各取付け孔に連結部材の端部を連結したもの(大型の吊上げ機械により吊上げ搬送される通常の土木構築物用ユニット)ではないが、控え部材が移動抵抗手段となって塊状部材の脱落を防止する機能を発揮することになり、実質上、上記通常の土木構築物用ユニットと同様の土木構築物用ユニットとして機能する。このため、当該土木構築物の構築過程において、大型の吊上げ機械を用いることができない場合であっても、塊状部材と控え部材とを個々に積み上げ配置し、土木構築物用ユニットを順次、作り上げることにより、設置面上に、複数の土木構築物用ユニットを積み上げることができ、その積み上げられた複数の土木構築物用ユニットの塊状部材と控え部材との間に、充填材を充填して充填材層を形成することにより、従来と同様の安定で強固な土木構築物を構築できる。したがって、大型の吊上げ機械を用いることができないことに伴って、塊状部材と塊状の控え部材とを連結部材を介して連結した土木構築物用ユニットを搬送することができない場合であっても、そのような土木構築物用ユニットを用いて施工した場合と同等の土木構築物を提供できる。
尚、大型の吊上げ機械により吊上げ搬送される通常の土木構築物用ユニット(塊状部材と控え部材の互いの対向面略中央部に取付け孔をそれぞれ形成し、その各取付け孔に連結部材の端部を連結したもの)を設置面上で護岸構築中に作製することも考えられるが、塊状部材及び控え部材の対向面略中央部の取付け孔に連結部材を護岸構築中に取付けることが容易でないことから、そのタイプの土木構築物用ユニットを護岸構築中に作製することは困難な状況にある。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、連結部材の各端部に挿通孔がそれぞれ形成され、塊状部材及び控え部材の各上面部に、取付け孔がそれぞれ形成され、連結部材の一端部と塊状部材の上面部とが、連結部材の一端部の挿通孔及び塊状部材の取付け孔に対して挿入される取付けアンカーをもって連結され、連結部材の他端部と控え部材の上面部とが、連結部材の他端部の挿通孔及び控え部材の取付け孔に対して挿入される取付けアンカーをもって連結されていることから、連結部材の一端部と塊状部材の上面部との連結、連結部材の他端部と控え部材の上面部との連結を的確に行うことは勿論、連結手段として接着剤を用いる場合等に比して、連結作業を迅速に行うことができ、これに伴い、当該土木構築物を迅速に構築できる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、各段における複数の塊状部材に対応する控え部材として、共通の控え部材が備えられ、各段の複数の塊状部材が、共通の控え部材に対して連結部材を介して個々に連結されていることから、当該土木構築物の構築過程において、各段における複数の塊状部材に対して、1個の共通の控え部材の位置調整だけを行えば足りることになり、各段における各塊状部材に対応する控え部材を個々にそれぞれ位置調整する場合に比べて、作業性を高めることができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、各段における複数の塊状部材に対応する控え部材として、共通の控え部材が備えられ、各段における複数の塊状部材からそれぞれ延びる各連結部材の他端部が、共通の控え部材の上面部に対して、共通の取付けアンカーを該各連結部材の他端部の挿通孔に挿通させつつ該共通の控え部材の取付け孔に打ち込むことにより取付けられていることから、控え部材に対する取付け孔の形成負担(取付け孔の数)、取付けアンカーの打ち込み負担(打ち込み回数)を減らすことができるばかりか、取付けアンカーの使用本数も減らすことができる。
【0013】
請求項5に係る発明によれば、充填材層が詰め石からなる充填層により形成されていることから、傾斜基礎面からの排水を通過できる透水タイプの土木構築物においても、前記請求項1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0014】
請求項6に係る発明によれば、各控え部材の径が各塊状部材の径よりも小さくされ、各控え部材が、間詰材により高さ調整されていることから、その控え部材とその控え部材に対向する塊状部材とを連結する連結部材の配置姿勢を調整できることになり、塊状部材及び控え部材に対する連結部材の連結作業調整、充填材層により付与される控え部材の移動抵抗力の調整(塊状部材と控え部材との間の水平距離の調整)等を行うことができる。
【0015】
請求項7に係る発明によれば、各控え部材が、連結部材が略水平状態となるように高さ調整されていることから、塊状部材及び控え部材に対する連結部材の連結作業を容易化できるばかりか、連結部材の長さの下で、塊状部材と控え部材との間の水平距離を最大にすることができ、充填材層により付与される控え部材の移動抵抗を最も大きくすることができる。このため、塊状部材が前方へ脱落することを防止することに関し、その確実性を高めることができる。
【0016】
請求項8に係る発明によれば、設置面上に、各段の塊状部材と控え部材とを、間隔をあけつつ対向させた状態をもって、それぞれ積み上げ、各段の塊状部材及び該塊状部材に対向する控え部材の積み上げを終える度に、該塊状部材の上面部と該控え部材の上面部とを連結部材を介して連結し、連結部材を介して連結した塊状部材と控え部材との間に、充填材層を形成するための充填材を充填することから、当該構築方法により、請求項1に係る土木構築物を簡単に得ることができる。
この場合、各塊状部材及び該各塊状部材に対向する控え部材の積み上げを終える度に、該塊状部材の上面部と該控え部材の上面部とを連結部材を介して連結することから、作業者は、上方自由空間を利用することにより、積み上げ配置される塊状部材、該塊状部材に対向する控え部材に対して上方側から連結作業を施して、塊状部材の上面部と控え部材の上面部とを連結部材を介して簡単に連結することができる。
また、充填材の充填の際に、塊状部材と控え部材とが連結部材を介して連結されていることから、その充填材の充填に伴い、塊状部材及び控え部材が移動することを抑制できる。
【0017】
請求項9に係る発明によれば、充填材の充填を、塊状部材の上面部と該塊状部材に対向する控え部材の上面部とに対する連結部材の連結を終了する毎(一段毎)に行うことから、塊状部材及び控え部材を最も安定した状態に維持しつつ充填材の充填を行うことができ、当該土木構築物の構築作業を確実に行うことができる。
【0018】
請求項10に係る発明によれば、充填材の充填を、塊状部材の上面部と該塊状部材に対向する控え部材の上面部とに対する連結部材の連結を複数の積み上げ段に亘って行った後に、その都度行うことから、充填材の充填回数を減らすことができ、当該土木構築物を迅速に構築できる。
【0019】
請求項11に係る発明によれば、塊状部材の上面部と該塊状部材に対向する控え部材の上面部とを連結部材を介して連結するに際して、各段の塊状部材と控え部材とを、間隔をあけつつ対向させた状態をもって配置し、その上で、塊状部材及び控え部材の各上面部であって、該塊状部材の上面部と該控え部材の上面部とに連結部材を掛け渡したときに該連結部材の各挿通孔が臨む部分に、取付け孔をそれぞれ形成することから、連結部材の長さ等を考慮しつつ、連結部材の連結位置として適切な位置に取付け孔を形成できることになる。しかもこの後、その適切な位置の各取付け孔に取付けアンカーを連結部材の各挿通孔に挿通させながらそれぞれ打ち込むことから、塊状部材及び控え部材の各上面部と連結部材の各端部との連結を迅速に行うことができる。このため、当該土木構築物を的確且つ迅速に構築できる。
【0020】
請求項12に係る発明によれば、各段における複数の塊状部材に対応する控え部材として、共通の控え部材を用意し、各段の複数の塊状部材を、共通の控え部材に対して連結部材を介して個々に連結することから、各段における複数の塊状部材に対して、1個の共通の控え部材の位置調整だけを行えば足りることになり、各段における各塊状部材に対応する控え部材を個々にそれぞれ位置調整する場合に比べて、作業性を高めることができる。
【0021】
請求項13に係る発明によれば、各段における複数の塊状部材に対応する控え部材として、共通の控え部材を用意し、共通の控え部材の取付け孔に対して、各段における複数の塊状部材からそれぞれ延びる各連結部材の他端部の各挿通孔に挿通させながら共通の取付けアンカーを打ち込むことから、取付けアンカーの使用本数を減らすことができるばかりか、控え部材に対する取付け孔の形成負担(取付け孔の数)、取付けアンカーの打ち込み負担(打ち込み回数)も減らすことができる。
【0022】
請求項14に係る発明によれば、各控え部材の径を各塊状部材の径よりも小さくし、塊状部材の上面部と該塊状部材に対向する控え部材の上面部とに対して連結部材を連結する前に、該控え部材の上面部の高さを間詰材により調整することから、連結部材の配置、姿勢を調整できることになり、塊状部材及び控え部材に対する連結部材の連結作業の容易化調整、控え部材の移動抵抗調整(塊状部材と控え部材との間の水平距離調整)を行うことができる。
【0023】
請求項15に係る発明によれば、各控え部材の上面部の高さを、該各控え部材に対向する塊状部材の高さに略等しくすることから、連結部材の配置を略水平状態にでき、連結作業の容易化を図ることができると共に、塊状部材と控え部材との間の水平距離を連結部材の下で最大化して(控え部材の移動抵抗を最大化して)、塊状部材の脱落を防止できる。
【0024】
請求項16に係る発明によれば、充填材が詰め石であることから、充填材層が透水性タイプからなるものにおいても、当該土木構築物の構築方法を適用することができる。
【0025】
請求項17に係る発明によれば、充填材がコンクリートであることから、充填材層がコンクリート層からなるものにおいても、当該土木構築物の構築方法を適用することができる。
【0026】
請求項18に係る発明によれば、連結部材が軸状部材であることから、連結部材を細い軸状のものにすることができ、充填材の充填を、連結部材により阻害されることなく円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る護岸を説明する縦断面図。
【図2】第1実施形態に係る軸状部材を示す平面図。
【図3】図2の正面図。
【図4】自然石に対する軸状部材の取付けを説明する説明図。
【図5】第1実施形態に係る護岸の一連の構築工程を示す工程図。
【図6】第1実施形態に係る一工程を説明する説明図。
【図7】図6の続きの工程を説明する説明図。
【図8】図7の続きの工程を説明する説明図。
【図9】図8の続きの工程を説明する説明図。
【図10】図9の続きの工程を説明する説明図。
【図11】一段目の前側自然石及びそれに対応する後側自然石の設置を説明する説明図。
【図12】第2実施形態を平面的に説明する説明図。
【図13】第3実施形態を平面的に説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1において、符号1は、実施形態に係る土木構築物としての護岸を示す。この護岸1は、傾斜した切土面(例えば1:0.5)2の下側に設置面3が設けられ、その設置面3の上方側には、河川W側から切土面2に向けて順に、塊状部材層4、充填材層5、控え部材層6が設けられている。
【0029】
前記設置面3上には、図1に示すように、基礎コンクリートブロック7が設置され、その基礎コンクリートブロック7よりも後方側の設置面3及び前記切土面2には、吸い出し防止シートSが敷設されている。基礎コンクリートブロック7は、河川W(或いは護岸1)の延設方向(図1中、紙面直交方向)において施工区間だけ延びており、その基礎コンクリートブロック7の延び方向両側には、側壁8(図11参照)が設けられている。基礎コンクリートブロック7の上部には、傾斜した支持面7aが形成されており、その支持面7aは、切土面2から河川W側に向うに従って上方に向うように傾斜されている。吸い出し防止シートSは、本実施形態に係る護岸1が透水性を有するタイプであること等を考慮して設けられており、この吸い出し防止シートSにより、設置面3及び切土面2における土砂等の吸い出しが防止される。
【0030】
前記塊状部材層4は、図1に示すように、塊状部材としての前側自然石(例えば割石又は玉石)9が基礎コンクリートブロック7から順次、積み上げられた状態で構成されている。積み上げられる各段においては、前側自然石9は、護岸1の延設方向(図1中、紙面直交方向)に連続的な列SLを構成しており、その最上段の前側自然石列SLは、切土面2の上端面(法肩)近くの高さにまで至っている。これにより、前側自然石9(列SL)は、護岸1の表面層1Aを構成している。このとき、この表面層1A(各前側自然石9)の勾配は、直立状態〜1:1.0程度の範囲(通常は1:0.5)に設定されている。この各前側自然石9の上面部9aには、取付け孔9b(図4参照)が形成されることになっている。
【0031】
前記控え部材層6は、図1に示すように、控え部材としての後側自然石(例えば割石又は玉石)10が、塊状部材層4よりも背後側(図1中、右側)において、この切土面2に沿いつつ、順次、配置された状態で構成されている。各後側自然石10は、各前側自然石9に対応(対向)して設けられており、その各後側自然石10の上面部10aの高さは、対応する各前側自然石9の上面部9aの高さに略等しくされている。本実施形態においては、この高さ調整を容易にすべく、後側自然石10の径が、前側自然石9の径よりも小さくされ(好ましくは、前側自然石9の径が300mm程度に対して後側自然石10の径が200mm程度)、その上で、上下左右に隣り合う各後側自然石10間に、間詰材としての間詰石(かませ石)11が適宜、噛まされている。この各後側自然石10の上面部10aにも、取付け孔10b(図4参照)が形成されることになっている。
【0032】
前記各前側自然石9の上面部9aと、その各前側自然石9に対応する後側自然石10の上面部10aとは、図1に示すように、連結部材としての軸状部材12を介してそれぞれ連結されている。このものは、一種の土木構築物用ユニットを構成しており、このユニットは、図1に示すように、前側自然石9等の積み上げに対応して、複数段に亘って積み上げられている。このユニットは、厳密には、設置面3上での製作を可能にすることを考慮し、吊上げ機械を用いて吊上げ搬送される通常の土木構築物用ユニット(塊状部材と控え部材の互いの対向面略中央部に取付け孔をそれぞれ形成し、その各取付け孔に連結部材の端部を連結したもの:特開平11−310913号公報図10,図11等参照)とは異なり、前側自然石9の上面部9aと、その各前側自然石9に対応する後側自然石10の上面部10aとを軸状部材12を介して連結しているが、後側自然石10が、移動抵抗手段となって前側自然石9の脱落を防止する機能を発揮することになり、いままでの吊上げ機械を用いて吊上げ搬送される上記通常の土木構築物用ユニットと実質上、同様のものとなっている。
【0033】
前記各軸状部材12は、図2,図3に示すように、丸棒状態をもって直線状に延びる本体部13と、その本体部13の両端部(一端部及び他端部)に設けられる扁平部14と、その扁平部14に形成される挿通孔15とにより構成されている。この軸状部材1は、その一端部である扁平部14が前側自然石9の上面部9aに連結され、その他端部である扁平部14が、後側自然石10の上面部10aに連結されることになっている。この軸状部材12としては、鉄棒に亜鉛メッキ又は亜鉛アルミ合金メッキ等を施したもの等が用いられており、その全長は例えば30〜100cmとされている。
【0034】
前記各自然石9(10)の上面部9a(10a)に対する前記軸状部材12の各扁平部14(各端部)の連結には、図1に示すように、取付けアンカー16がそれぞれ用いられている。取付けアンカー16は、図4に示すように、各扁平部14の挿通孔15に挿通させた状態で各自然石9,10の取付け孔9b(10b)に打ち込むことにより、軸状部材12の扁平部14と自然石9(10)との連結関係を確保するものであり、本実施形態に係る取付けアンカー16は、軸部17と、該軸部17の基端部に設けられる頭部18とを一体的に備えている。軸部17は、その径が、各自然石9,10に形成される取付け孔9b、10b、軸状部材12の挿通孔15よりもやや小径とされ、その外周面には、その軸心方向中央部から先端にかけて、その軸部17の軸心方向に延びるようにして多数(複数)の突条19が周回り方向において順次、形成されている。また、軸部17には、その軸心方向中央部と先端との間において、該軸部17の軸心が側方に膨出するように湾曲された湾曲部20が形成されており、その湾曲部20の膨出量は、軸部17の先端を各自然石9(10)の取付け孔9b(10b)に入れたとき、その各自然石9(10)の取付け孔9b(10b)よりも径方向外方にはみ出るように設定されている。このため、軸部17が取付け孔9b(10b)に押し込まれたときには、湾曲部20が押し開かれた状態(曲率小状態)となり、軸部17は、湾曲部20の膨らみ側、湾曲部20の膨らみ側とは反対側であって湾曲部20の両外側部分が自然石8の取付け孔9内壁に係合することになって、各自然石9(10)の取付け孔9b(10b)に保持されることになる。しかもこの場合、湾曲部20の膨らみ側における突条19が、自然石8の取付け孔9内壁に食い込むと共に、湾曲部20の膨らみ側とは反対側における先端部の突条19が、自然石8の取付け孔9内壁に食い込むことになり、これにより、取付け孔9内壁に対する軸部17の係合面積が増大されると共に、取付け孔9に対する軸部17の回動規制が強化されることになる。また、この軸部17が取付け孔9b(10b)に押し込まれる(打ち込まれる)ときには、各突条19が軸部17の軸心方向に延びていることから、そのときの押し込み(打ち込み)抵抗力は、各突条9の延び方向が軸部17の軸心方向以外とされる場合に比べて小さいものとなっている(取付けアンカー16の取付け作業性の向上)。一方、取付けアンカー16の頭部18は、軸状部材12の各挿通孔15の径よりも拡径されており、頭部18は、軸状部材12を自然石8に取付けるに際して、その軸状部材12に押圧力を付与すると共に、その軸状部材12に対して抜け止め機能を発揮することになる。
【0035】
前記充填材層5は、図1に示すように、積み上げられた前側自然石9と後側自然石との間において、詰め石としての砕石、栗石等(以下、砕石等という)21を充填することにより構成されている。この砕石等21としては、前記前側自然石9,後側自然石10よりも小さいものが用いられており、それらは互いに噛み合った状態となっている。これにより、充填材層5は、各前側自然石9(塊状部材層4)と各後側自然石10(充填材層5)とにより前後に挟持された配置となり、この充填材層5により各後側自然石10に対して前方への移動抵抗力が付与されることになる。この結果、その各後側自然石10に軸状部材12を介して連結された各前側自然石9は、前方への移動が規制されることになる。
【0036】
前記塊状部材層4,充填材層5及び控え部材層6の上端面には、図1に示すように、天端コンクリート層22が設けられている。天端コンクリート層22は、塊状部材層4,充填材層5及び控え部材層6を上方側から覆い、天端面(上面)を確保している。
尚、表面層1Aの下部側については、施工後に、根入れ(埋め戻し)が行われることになっている。
【0037】
このような護岸1は、図5に示す工程図に従い、構築(構築)される。
先ず、図5,図6に示すように、切土面2及び設置面3を形成し、その後、設置面3及び切土面2上に吸い出し防止シートSを敷設する。また、設置面2上に護岸1の構築区間の全体に亘って基礎コンクリートブロック7を形成すると共に、その基礎コンクリートブロック7の延び方向両側に側壁8(図11参照)を形成する。さらに、本実施形態においては、切土面2と基礎コンクリートブロック7との間の設置面3(吸い出し防止シートS)上に、基盤層を形成するべく、砕石等21及び間詰石11を敷く。
【0038】
次に、複数の前側自然石9及び複数の後側自然石10を用意し、一段目の前側自然石列SLを形成すべく、複数の前側自然石9を、図5,図7,図11に示すように、基礎コンクリートブロック7の支持面7a上に配置すると共に、その一段目の各前側自然石9に対応する後側自然石10を該各前側自然石9の背面側に一定間隔をあけて配置する。このとき、各後側自然石10は、切土面2に沿うように配置されると共に、間詰石11が詰められて、それらにより各後側自然石10に対する高さ調整、姿勢安定化調整が行われる。これにより、後側自然石10は、その上面部10aの高さが前側自然石9の上面部9aの高さと略等しくされると共に、その配置が安定化される。勿論、この各自然石9,10を配置するに際しては、その配置安定性等を考慮して、配置姿勢の調整(向き調整)が行われる。これら一連の作業は、基本的に、作業員の手作業により行われる。
【0039】
上記一段目の前側自然石9の列SL及びその一段目の各前側自然石9に対応する後側自然石10の列の設置を終えると、図5,図8に示すように、前側自然石9の上面部9aと後側自然石10の上面部10aとを軸状部材12を介して連結する。大型の吊上げ機械により吊上げ搬送される通常の土木構築物用ユニットと実質上、同等の土木構築物用ユニットを作り上げるためである。この場合、前側自然石9の上面部9a及び後側自然石10の上面部10aに対して軸状部材12を連結するのは、その前側自然石9及び後側自然石10の上方自由空間を有効に利用して、上方側からの連結作業により当該土木構築物用ユニットを作り上げることができるようにするためである。
具体的には、先ず、前側自然石9の上面部9aと後側自然石10の上面部10aとに軸状部材12が掛け渡されて、その前側自然石9の上面部9a及び後側自然石10の上面部10aにおいて、軸状部材12の連結に適した位置(挿通孔15が臨む位置)が特定され、そこに、取付け孔9a,10aがドリル等を用いてそれぞれ形成される。その取付け孔9a,10aが形成されると、その各取付け孔9a(10a)内に取付けアンカー16が、軸状部材12の各挿通孔15に挿通させながらハンマー24によりそれぞれ打ち込まれ(図4も参照)、前側自然石9と軸状部材12の一端部とが連結されると共に、後側自然石10と軸状部材12の他端部とが連結される。このとき、前側自然石9の上面部9aの高さと後側自然石10の上面部10aの高さとが略等しいことから、軸状部材12は略水平状態となる。
【0040】
一段目の各前側自然石9の上面部9aと、それに対応する各後側自然石10の上面部10aとを軸状部材12により連結し終えると、その一段目の前側自然石9の列と、それに対応する各後側自然石10の列等との間に、図5,図9に示すように、砕石等21を投入する。一段目の高さの範囲で充填材層5を形成するためである。このため、砕石等21の投入は、一段目の前側自然石9の上面部9a等の高さになるまで行われる。この場合、連結部材として軸状部材12が用いられることから、その細幅形状(小径形状)に基づき、砕石等21の充填(投入)が阻害されることが抑制される。またこの場合、軸状部材12は、前側自然石9とそれに対応する後側自然石10とを連結して、各自然石9,10の移動を抑制していることから、その両者9,10間に砕石等21の投入が行われても、それらが押し開かれる方向に移動することは抑制される。
【0041】
一段目の前側自然石9の列と、それに対応する各後側自然石10の列等との間に砕石等21を充填し終えると、当該護岸1を所定高さ(所定段数(最上段))とするべく、これまでの一連の工程を繰り返す。すなわち、図5に示すように、次の前側自然石9及び後側自然石10(の列)を、これまでの前側自然石9及び後側自然石10に対して積み上げる工程(図10参照)、その前側自然石9と後側自然石10とを軸状部材12を介して連結する工程、軸状部材12を介して連結した前側自然石9と後側自然石10との間に砕石等21を充填する工程が、順次、繰り返される。本実施形態においては、砕石等21を充填する工程が、前側自然石9と後側自然石10とを軸状部材12を介して連結する工程を終える度に行われることになっているが、これは、前側自然石9及び後側自然石10を最も安定した状態に維持しつつ(崩れ落ちないようにしつつ)、砕石等21の充填を行うためである。
【0042】
上記作業を終えると、その最上段の前側自然石9の列、それに対応する各後側自然石10の列等の上面に天端コンクリート層9を形成すると共に、当該護岸1の下部前面側に対して根入れを施す。これにより、当該護岸1の構築作業は終了することになり、図1に示す護岸1を得ることになる。
【0043】
したがって、このような護岸1及びその構築方法にあっては、設置面3上において、前側自然石9と後側自然石10とを間隔をあけつつ対向させた状態に配置した上で、その前側自然石9及び後側自然石10の各上面部9a、10aに軸状部材12を掛け渡し、それらの上方側から連結作業(ハンマー24による取付けアンカー16の打ち込み)を施すことから、上方自由空間を利用して、前側自然石9と後側自然石10とを軸状部材12を介して簡単に連結することができる(土木構築物用ユニットの作製)。このため、大型の吊上げ機械を用いることができない場合であっても、前側自然石9と後側自然石10とを個々に積み上げて(作業者による積み上げ)、その前側自然石9の上面部9aと後側自然石10の上面部10aとを軸状部材12を介して連結することにより(土木構築物用ユニットを順次、作製することにより)、設置面3上に、複数の土木構築物用ユニットを積み上げることができる。
【0044】
これに対しては、大型の吊上げ機械により搬送される通常の土木構築物用ユニットを施工現場(設置面3上)において作製することが考えられるが、その通常の土木構築物用ユニットは、塊状部材と控え部材の互いの対向面略中央部に取付け孔をそれぞれ形成し、その各取付け孔に軸状部材の端部を取付けるものであり(特開平11−310913号公報図10,図11等参照)、それを護岸構築過程中に施工現場(設置面3)上において作製することは、塊状部材及び控え部材の対向面略中央部の取付け孔に対する軸状部材の取付けが容易でないことから、困難な状況にある。
【0045】
その一方、上記作製した土木構築物用ユニットの前側自然石9と後側自然石10との間にその作製の度に砕石等21を充填し、以後、この一連の工程を繰り返すことにより当該護岸1を構築すれば、その表面は、強固な前側自然石9(塊状部材層4)により保護され、その前側自然石9の前方への脱落に関しては、前側自然石9に対して軸状部材12を介して連結される各後側自然石10が、充填材層5により前方への移動抵抗力が付与されることにより抑制する。このため、当該護岸1は、大型の吊上げ機械を用いて搬送される通常の土木構築物用ユニットを用いて構築した場合と同様の安定性と強固性とを備えることになる。
【0046】
図12は第2実施形態、図13は第3実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
図12に示す第2実施形態は、所定段の構築に際して、複数(本実施形態においては5個)の前側自然石9を1個の共通の後側自然石10に軸状部材12を介してそれぞれ連結したものを平面的に示している。具体的には、軸状部材12の各一端部が各前側自然石9の上面部9aに連結され、その各他端部は、共通の後側自然石10の上面部10aに重ねた状態で連結されている。この場合、複数(本実施形態においては5個)の前側自然石9当たり1個の共通の後側自然石10が用意され、その1個の共通の後側自然石10の取付け孔10bに、共通の取付けアンカー16を各軸状部材12の他端部の挿通孔15に挿通させながら打ち込むことにより、その各軸状部材12の他端部が共通の後側自然石10の上面部10aに連結されることになっている。このため、複数の前側自然石9に対して、1個の共通の後側自然石10の位置調整だけを行えば足りることになり、各前側自然石9対して後側自然石9を個々に設ける場合に比べて、作業性を高めることができる。また同時に、複数(本実施形態においては5個)の前側自然石9当たり1個の共通の後側自然石10にだけ取付け孔10aを形成すればよくなり、取付け孔10aの形成負担(取付け孔の数)の軽減を図ることができ、これに伴って、取付けアンカー16の打ち込み負担(打ち込み回数)も減らすことができると共に、取付けアンカー16の使用本数も減らすことができる。
【0048】
本実施形態においては、軸状部材12として、同じ長さのものが用いられて、複数の前側自然石9の表面形状が、上方側から見て円弧状となっており、このような複数の前側自然石9の表面形状はコーナー部等に用いられる。勿論、軸状部材12の長さが異なるものを用いてもよい。
【0049】
図13に示す第3実施形態は、2個の前側自然石9当たり1個の共通の後側自然石10を設けたものを示している。このような構成とすることにより、作業性を高めつつ(取付け孔10aの形成負担、取付けアンカー16の打ち込み負担等の低減)、複数の前側自然石9の表面形状を上方側から見てフラットにすることができる。
【0050】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)塊状部材、控え部材として、自然石の他に、擬石、コンクリートブロック(コンクリートガラ、古いコンクリートブロックを含む)等を用いること。
(2)本発明を、護岸1に限らず擁壁等に適用すること。
(3)控え部材層6を、控え部材としての後側自然石10だけの積み重ねにより構成すること。
(4)充填材材層5の充填材として、コンクリートを用いること。
(5)前側自然石9,後側自然石10の積み上げ、それらに対する軸状部材12の連結を複数段(例えば2段又は3段)に亘って行った後毎に、充填材としての砕石等21を充填すること。
(6)塊状部材(前側自然石9)、控え部材(後側自然石10)に対して連結部材(軸状部材12)を連結するに際して、取付けアンカー16に代えて接着剤を用いること。この場合、接着剤としては、硬化の速いものが好ましい。
(7)バックホウ等の吊上げ機械(大型建設機械)を用いなくても、人手により搬送可能なときには、前側自然石9と後側自然石10とを軸状部材12により連結した土木構築物用ユニットを予め形成し、それを搬送して用いること。
(8)切土面2として、急激な勾配のものが形成できないとき等においては、控え部材6と切土面2との間に裏込め材を充填すること。
【0051】
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或は利点として記載されたものに対応したものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【符号の説明】
【0052】
1 護岸(土木構築物)
1A 表面層
2 切土面(傾斜基礎面)
9 前側自然石(塊状部材)
9a 前側自然石の上面部
10 後側自然石(控え部材)
10a 後側自然石の上面部
10b 取付け孔
11 間詰石(間詰材)
12 軸状部材(連結部材)
16 取付けアンカー




【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜基礎面の前方の設置面上に、該傾斜基礎面に対向して充填材層が配置され、該充填材層の表面側に複数の塊状部材が表面層として複数段に積み上げられた状態をもって配置され、前記充填材層の背面側に、前記各段の塊状部材に対応するようにした状態で控え部材が配置され、前記各段の塊状部材と前記控え部材とが、前記充填材層を横切る連結部材を介して連結されている土木構築物において、
前記連結部材の一端部が、前記塊状部材の上面部に連結され、
前記連結部材の他端部が、前記控え部材の上面部に連結されている、
ことを特徴とする土木構築物。
【請求項2】
請求項1において、
前記連結部材の各端部に挿通孔がそれぞれ形成され、
前記塊状部材及び前記控え部材の各上面部に、取付け孔がそれぞれ形成され、
前記連結部材の一端部と前記塊状部材の上面部とが、該連結部材の一端部の挿通孔及び該塊状部材の取付け孔に対して挿入される取付けアンカーをもって連結され、
前記連結部材の他端部と前記控え部材の上面部とが、該連結部材の他端部の挿通孔及び該控え部材の取付け孔に対して挿入される取付けアンカーをもって連結されている、
ことを特徴とする土木構築物。
【請求項3】
請求項1において、
前記各段における複数の塊状部材に対応する控え部材として、共通の控え部材が備えられ、
前記各段の複数の塊状部材が、前記共通の控え部材に対して連結部材を介して個々に連結されている、
ことを特徴とする土木構築物。
【請求項4】
請求項2において、
前記各段における複数の塊状部材に対応する控え部材として、共通の控え部材が備えられ、
前記各段における複数の塊状部材からそれぞれ延びる各連結部材の他端部が、前記共通の控え部材の上面部に対して、共通の取付けアンカーを該各連結部材の他端部の挿通孔に挿通させつつ該共通の控え部材の取付け孔に打ち込むことにより取付けられている、
ことを特徴とする土木構築物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記充填材層が、詰め石からなる充填層により形成されている、
ことを特徴とする土木構築物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記各控え部材の径が、前記各塊状部材の径よりも小さくされ、
前記各控え部材が、間詰材により高さ調整されている、
ことを特徴とする土木構築物。
【請求項7】
請求項6において、
前記各控え部材が、前記連結部材が略水平状態となるように高さ調整されている、
ことを特徴とする土木構築物。
【請求項8】
傾斜基礎面の前方の設置面上に、該傾斜基礎面に対向して充填材層が配置され、該充填材層の表面側に複数の塊状部材が表面層として複数段に積み上げられた状態をもって配置され、前記充填材層の背面側に、前記各段の塊状部材に対応するようにした状態で控え部材が配置され、前記各段の塊状部材と前記控え部材とが、前記充填材層を横切る連結部材を介して連結されている土木構築物の構築方法において、
前記設置面上に、前記各段の塊状部材と前記控え部材とを、間隔をあけつつ対向させた状態をもって、それぞれ積み上げ、
前記各段の塊状部材及び該塊状部材に対向する控え部材の積み上げを終える度に、該塊状部材の上面部と該控え部材の上面部とを連結部材を介して連結し、
前記連結部材を介して連結した塊状部材と控え部材との間に、前記充填材層を形成するための充填材を充填する、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記充填材の充填を、前記塊状部材の上面部と該塊状部材に対向する控え部材の上面部とに対する前記連結部材の連結を終了する毎に行う、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項10】
請求項8において、
前記充填材の充填を、前記塊状部材の上面部と該塊状部材に対向する控え部材の上面部とに対する前記該連結部材の連結を複数の積み上げ段に亘って行った後に、その都度行う、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項11】
請求項8において、
前記塊状部材の上面部と前記控え部材の上面部とを連結部材を介して連結するに際して、
前記連結部材として、延び形状とされると共にその両端部に挿通孔を有するものを用意し、
その上で、前記塊状部材と前記控え部材とを、間隔をあけつつ対向させた状態をもって配置し、
次に、前記塊状部材及び前記控え部材の各上面部であって、該塊状部材の上面部と該控え部材の上面部とに前記連結部材を掛け渡したときに該連結部材の各挿通孔が臨む部分に、取付け孔をそれぞれ形成し、
次に、前記塊状部材及び前記控え部材の各取付け孔に対して、前記連結部材の各挿通孔に挿通させながら取付けアンカーをそれぞれ打ち込む、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項12】
請求項8において、
前記各段における複数の塊状部材に対応する控え部材として、共通の控え部材を用意し、
前記各段の複数の塊状部材を、前記共通の控え部材に対して連結部材を介して個々に連結する、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項13】
請求項11において、
前記各段における複数の塊状部材に対応する控え部材として、共通の控え部材を用意し、
前記共通の控え部材の取付け孔に対して、前記各段における複数の塊状部材からそれぞれ延びる各連結部材の他端部の各挿通孔に挿通させながら共通の取付けアンカーを打ち込む、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項14】
請求項8において、
前記控え部材として、その径が前記塊状部材の径よりも小さいものを用い、
前記塊状部材の上面部と該塊状部材に対向する控え部材の上面部とに対して前記連結部材を連結する前に、該控え部材の上面部の高さを間詰材により調整する、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項15】
請求項14において、
前記各控え部材の上面部の高さを、該各控え部材に対向する塊状部材の高さに略等しくする、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項16】
請求項8〜15のいずれか1項において、
前記充填材が、詰め石である、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項17】
請求項8〜15のいずれか1項において、
前記充填材が、コンクリートである、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。
【請求項18】
請求項8〜17のいずれか1項において、
前記連結部材が、軸状部材である、
ことを特徴とする土木構築物の構築方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−189860(P2010−189860A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32707(P2009−32707)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【Fターム(参考)】