説明

圧力に基づいた航空機燃料容量監視システム及び方法

【課題】航空機燃料タンク内に存在する燃料の、現在重量、密度、及び体積を動的に決定するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】航空機燃料タンク内に残っている燃料の量の動的監視は、各々がタンクの外部の近接端部から燃料タンク内に配置されたそのそれぞれの遠位開口端部に延びるセンサ導管チューブ及び基準導管チューブの、それぞれの開口遠位端部を通して燃料内に一定の体積流量の不活性ガスを給送することによって達成される。センサ導管チューブ遠位端部は、タンクの底部に極めて近接して固定され、基準導管チューブ遠位端部は、センサ導管チューブ遠位端部に近接しているがセンサ導管チューブ遠位端部から垂直間隔hで固定されている。ガスがセンサ及び基準導管チューブの各々を通して、一定の体積流量で燃料内に給送される圧力を、監視する。センサ導管チューブ内の監視圧力と残りの燃料の表面上の燃料タンク内の自由空間内の圧力との間の差圧は、センサ導管チューブ遠位端部上にある燃料の重量に直接比例する。燃料の密度は、センサ及び基準導管チューブの間の監視差圧を垂直間隔hで割ったものに比例する。燃料の計算重量を燃料の計算密度で割ったものは、タンク内に残っている燃料の体積に比例する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の説明]
本願は、2005年5月11日に出願された米国仮特許出願第60/679,752号に基づく優先権を主張するものであり、該出願の開示は、引用により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0002】
本発明は、広い意味では、航空機の燃料タンク内に収容されている燃料の量の動的な監視及び測定に関し、より具体的には、航空機燃料タンク内に存在する燃料の、現在重量、密度、及び体積を動的に求めるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の航空機燃料監視及び表示システムは、燃料の高さ及びその密度を別々に測定し、燃料の重量を、従って、燃料タンク内に存在する残りの燃料容量を計算する。いくつかのそのようなシステムにおいては、例えば容量センサなどの7線式センサが、燃料タンクの底部表面の周りに異なる形で、すなわち、これらのセンサが、タンク内の燃料によって覆われるように配置される。タンクの構成/形状における凹凸を考慮して所定の配置形態が使用される。これらのシステムは、容量センサに接続された電気通電線を各燃料タンク内に配置することを必要とし、その結果、TWA800便の墜落において発生したと信じられている、燃料蒸気及び含有燃料を発火させ、飛行中の爆発又は火災を引き起こす可能性があるスパークの可能性を有する。燃料タンク内に配置されたそのような配線の、定期的な検査、又は予防の定期的に計画された交換は、極めて燃料タンクから高額な残存燃料を完全に抜くことを必要とし、且つ、航空機は長い期間にわたり就航から外されることを必要とするもので、実質的に一定の運行状態にある複雑な航空機にとって、高額で且つ極めて非実用的である。
【0004】
燃料から放出される蒸気を含む航空機燃料タンク内の電気スパークの壊滅的な影響を認識し、そのようなタンク内配線の定期的な検査又は交換を必要とすることの非実用性を認識して、米国連邦航空局(FAA)は、最近、窒素を航空機燃料タンク内に大量に供給して、タンク内の燃料を含まない容積部分を満たし、それによって、そのような爆発、及び/又は火災の危険性を最小化することを義務化した。しかし、この修正は、電気スパークを発生する可能性が最も高い源、すなわち、タンク内燃料センサに付随する電気配線は、それでもなお、民間航空機の燃料タンク内に存在したままであるため、最大限にみても、問題の深刻さを減少させるだけであり、限られた対策を提供するに過ぎない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明が強く望むところは、タンク内における燃料蒸気の不測の発火を生じさせる可能性があるタンク内電気配線を必要とすることなく、航空機燃料タンク内に残存する燃料の量を動的に監視するシステム及び方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、燃料タンク内の残存燃料の、重量、密度、及び体積の継続的に更新された表示を航空機搭乗員に提供するシステム及び方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、又、タンク又は容器内に含まれる液体の量の動的な監視のために、航空機以外の用途においても利用することができるシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態において、タンク底部を有するタンク内に含まれる液体の量を動的に監視するシステムは、タンクの外部の近接端部から、タンク底部に近接してタンク内に配置された遠位開口端部まで延びる第1の流体給送チューブを含むセンサ導管と、タンクの外部の近接端部から、タンク底部の上方において所定の高さで該タンク内に配置された遠位開口端部まで延びて、該第1の流体給送チューブ開口端部との間に垂直間隔hを形成する第2の流体給送チューブを含む基準導管と、タンクの外部において該第1及び第2の流体給送チューブの各々に設けられ、実質的に一定の体積流量の流体を第1及び第2の流体給送チューブの各々の遠位開口端部に給送する調節バルブと、調節バルブとタンクとの間において該第1及び第2の流体給送チューブの各々に設けられ、上記センサ導管及び基準導管の各々内の現在圧力を動的に測定する圧力センサと、該第1及び第2の流体給送チューブ内の圧力センサから現在圧力測定値を受け取り、測定されたセンサ導管内の現在圧力の関数としてのタンク内に含まれる液体の現在重量と、第1及び第2の流体給送チューブ内の該測定圧力の間の差圧を分子とし、垂直間隔hを分母とする分数の関数としてのタンク内に含まれる液体の密度と、計算された含有液体の現在重量を分子とし、計算された含有液体の密度を分母とする分数の関数としての含有液体の現在体積の少なくとも1つを計算するように動作可能であるコントローラと、を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態において、タンク底部を有するタンク内に含まれる液体の量を動的に監視する方法は、タンクの外部の近接端部から、タンク底部に近接してタンク内に配置される遠位開口端部まで延びる第1の流体給送チューブの遠位開口端部を通して一定の体積流量で含有液体内に流体を給送する段階と、第1の流体給送チューブによって給送される流体の第1の圧力を測定する段階と、測定された第1の圧力の関数としてタンク内の含有液体の重量を計算する段階と、タンクの外部の近接端部から、タンク底部の上方において所定の高さでタンク内に配置された遠位開口端部まで延びて、該第1の流体給送チューブ開口端部との間に垂直間隔hを形成する第2の流体給送チューブの遠位開口端部を通して、一定の体積流量で、流体を含有液体内に給送する段階と、第1の流体給送チューブによって給送される流体と第2の流体給送チューブによって給送される流体との間の差圧を測定する段階と、測定された該差圧を分子とし、上記垂直間隔hを分母とする分数の関数としてタンク内の含有液体の密度を計算する段階と、計算された含有液体の計算重量を分子とし、計算された含有液体の密度を分母とする分数の関数として、タンク内の含有液体の体積を計算する段階と、を含む。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態において、タンク底部を有し、含有燃料が、上方にある自由空間との境界となる燃料液面まで航空機燃料タンク内に満たされている、タンク底部を有する航空機燃料タンク内に含まれる液体燃料の、現在重量、密度、及び体積を動的に監視するシステムは、タンクの外部の近接端部から、タンク底部に極めて近接してタンク内に配置された遠位開口端部に延びる第1の流体給送チューブを含むセンサ導管と、該タンクの外部の近接端部から、前記第1の流体給送チューブの遠位開口端部に近接して、前記第1の流体給送チューブの遠位開口端部より上方に所定の垂直間隔hをおいて、該タンク内に配置された遠位開口端部まで延びる第2の流体給送チューブを含む基準導管と、がいタンクの外部において、第1及び第2の流体給送チューブのそれぞれに設けられ、該第1及び第2の流体給送チューブのそれぞれを通して、それぞれの第1及び第2の流体給送チューブの遠位開口端部から外向きに、該タンク内に含まれる燃料内に、実質的に一定の体積流量の窒素ガスを給送する調節バルブと、前記第1の流体給送チューブを通して、それぞれの調節バルブによって給送される窒素ガスと燃料液面上の燃料タンク内の自由空間との間の差圧を測定する第1の差圧センサと、第1の流体給送チューブと前記第2の流体給送チューブを通してそれぞれの調節バルブによって給送される窒素ガスの間の差圧を測定する第2の差圧センサと、第1及び第2の差圧センサに接続され、該第1の差圧センサによって測定される差圧の関数としてタンク内に含まれる燃料の現在重量を計算し、第2の差圧センサによって測定された差圧を分子とし、垂直間隔hを分母とする分数の関数としてタンク内に含まれる燃料の現在密度を計算し、計算されたタンク内に含まれる燃料の現在重量を分子とし、計算されたタンク内に含まれる燃料の現在密度を分母とする分数の関数としてタンク内に含まれる燃料の現在体積を計算するように動作可能なコントローラと、を含む。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態において、液体燃料が、上方にある自由空間との境界となる液面まで航空機燃料タンク内に満たされている、タンク底部を有する航空機燃料タンク内に含まれる液体燃料の、現在重量、密度、及び体積を動的に監視する方法は、タンクの外部の近接端部から、タンク底部に近接してタンク内に配置される遠位開口端部まで延びる第1の流体給送チューブの遠位開口端部を通して一定の体積流量でタンク内の液体燃料内に窒素ガスを給送する段階と、第1の流体給送チューブによって給送される窒素ガスとタンク内の自由空間との間の第1の差圧を測定する段階と、測定された第1の差圧の関数としてタンク内の液体燃料の現在重量を計算する段階と、該タンクの外部の近接端部から、タンク底部の上方に所定の高さでタンク内に配置されて該第1の流体給送チューブ開口端部との間に垂直間隔hを形成する遠位開口端部まで延びる第2の流体給送チューブの遠位開口端部を通して、一定の体積流量で、窒素ガスをタンク内の液体燃料内に給送する段階と、該第1の流体給送チューブによって給送される窒素ガスと該第2の流体給送チューブによって給送される窒素ガスとの間の第2の差圧を測定する段階と、測定された第2の差圧を分子とし、垂直間隔hを分母とする分数の関数として、タンク内の液体燃料の現在密度を計算する段階と、計算された液体燃料の現在重量を分子とし、計算された液体燃料の現在密度を分母とする分数の関数として、タンク内の液体燃料の現在体積を計算する段階と、を含む。
【0012】
本発明の他の目的及び特徴は、添付の図面に関連して考察される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、図面には縮尺で描いたものではなく、単に説明の目的のためだけであって、本発明の限界を定義としてではなく、描かれたものであり、本発明の定義には添付の特許請求の範囲を参照するべきであることを理解されたい。
図面において、いくつかの図を通して、同様の参照番号は、対応する要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、航空機燃料タンク内に残っている燃料の量の直接測定可能な表示を動的に提供するための非電気的圧力変換器を利用するものである。その最も基本的な形態において、テフロン(登録商標)チューブが、先行技術の有線センサに代わる流体輸送導管を形成するために使用される。従って、1つの現在のところ好ましい実施形態において、例えば、先行技術の容量センサの各々についてのタンク底面位置で、ある長さをもったテフロン(登録商標)チューブの遠位開口端部が、タンク底部に極めて近接して配置される。このチューブは、(燃料タンクの外部で)例えばOBOG(機体搭載型酸素発生装置)のような、半透膜を有し、圧力がこの膜の一方の側に加えられた時に酸素(航空機キャビンに戻すことができる)及び窒素(本発明のシステムにおいて使用するための)を発生させる発生器又は窒素供給源に接続される。OBOGにおいて発生した窒素の比較的少ない量、好ましくは一定の体積流量は、各テフロン(登録商標)チューブを通して給送されて、燃料タンク内に含まれる燃料内に遠位チューブ出口を通して気泡状態で送られ、これによって、液体燃料のチューブを一掃する。タンクの外部で、圧力センサ又は変換器が、各チューブに接続され、監視される窒素の流れを、チューブ内に押し込み、チューブ出口から外向きにタンク内の液体燃料内に、押出すのに必要な圧力を測定する。この圧力変換器は、又、含まれる燃料体積より上方で燃料タンク内に維持される窒素雰囲気、すなわち、燃料タンクの燃料で満たされていない部分に維持されている窒素雰囲気の圧力を監視する。
【0014】
システムが較正されると、その遠位出口がタンク底部に近接して配置される窒素放出導管と、燃料タンク貯留部分より上方の、空の、又は窒素を含むタンク空間におけるものとの測定圧力差は、導管開口部より直ぐ上の燃料柱の重量の直接的測定値を提供する。この燃料重量の動的測定は、燃料タンク内で、何らの電気配線又は接続もなく、すなわち潜在的な電気スパーク源なしに行うことができる。このような窒素放出導管は、好ましくは複数個を、燃料タンク内部の底部表面に近接した種々異なる位置に配置して、複数点で上述のように測定された燃料重量を使用することにより、タンク内に現在残っている燃料の重量の直接測定が提供される。
【0015】
燃料タンクの底部に極めて近接して配置される複数の窒素放出導管開口端部に加えて、本発明においては、単一の付加的「基準」導管が、タンク底部に配置された1つの窒素放出導管開口端部より上方の所定の高さにその遠位開口端部が位置するように、燃料タンク内に配置される。OBOGにおいて発生した窒素の好ましくは一定の体積流量がこの基準導管に同様に給送され、該基準導管は、圧力センサ又は変換器に同様に接続されて、監視される窒素の流れを、基準導管内に押し込み、外向きに基準導管の遠位出口からタンク内の液体燃料内に押出すのに必要な圧力を測定する。従って、基準導管の開口端部とタンク底部に配置される導管の1つの開口端部とは、基準導管がタンク底部に配置された窒素放出導管の上方に、必ずしも真上である必要はないが上方に配置される状態で、一定で予め定められた垂直方向の間隔又は隔離状態、或いは距離をもって配置される。基準導管とこれに組み合わされる底部に配置された導管との間で測定される差圧を2つの導管の間の所定の間隔又は距離で割ると、タンク内に含まれる燃料の密度になる。再記すると、この燃料の密度の決定は、電気配線又は電流径路、その他の何らかの潜在的な燃料タンク内の電気スパークもなく、得られる。
【0016】
さらに、燃料タンク内に含まれる燃料の体積は、タンク内の燃料の測定重量と求められた燃料密度とを使用して計算される。タンク内に残存する燃料の実在の体積を知ることは、航空機燃料タンクを、正確に「満タンにする」か、又はそうでなければ燃料の既知の体積まで満たすことを可能にするのに肝要である。
【0017】
本発明の現在のところ好ましい実施形態によって構成された圧力基準の燃料容量検知システム10を、図1に示す。このシステム10は、航空機の燃料タンクのような燃料タンク14内に含まれる燃料12を、動的に監視する。それでもなお、ここで説明し、特許請求の範囲に記載した本発明のシステム及び方法は、又、航空機以外の環境及び用途にも利用し、適用することができ、事実、燃料以外の液体の重量、密度、及び/又は体積を監視することができ、航空機その他の乗物関連の用途に本発明のシステム又は方法の利用を限定しようとするものではないことを、当業者は理解されたい。いずれにしても、説明を簡略化するためにほぼ矩形の形状であるように示される図1の燃料タンク14は、その実質的に閉じた(しかし通常、通気孔をつけられた)内部の境界となる、底部16と、側壁18と、頂部20とを有する。
【0018】
図1において、タンク14内の燃料12は、完全には該タンクを満たしていない。従って、含まれる燃料12の体積の液面又は表面22上に、空の、すなわち満たされていない空間24が存在する。民間航空機において、FAAは、燃料を含んでいない燃料タンク内の空間24を窒素ガスで満たし、タンク内に存在する燃料蒸気を発火させる可能性があるスパークによって引き起こされる可能性のある爆発又は火災の危険を低減させることを現在は要求している。従って、この説明は、空間24内の窒素ガスの存在を前提としているが、その代わりに、空間24を、本発明のシステム及び方法の予定される機能性及び操作性に影響を及ぼすことなく、特定の用途に応じて、及び設計上の選択の全体的な問題として、何らかの流体で満たすようにすることができる。
【0019】
図1を引き続き参照すると、少なくとも1個のセンサ導管26が、少なくとも1つの航空機燃料タンク内に、もっと普遍的には、このようなセンサ導管の複数個が、典型的には不規則な形状の燃料タンクの周りの様々な位置で終端を有するように設けられ、このセンサ導管は、タンク14の内部に入り、タンク底部16に近接した、好ましくは極めて近接した、タンク内部の位置にある遠位開口端部28に終端を有する。タンク底部16に極めて近接してセンサ導管26の開口端部28を位置決めすることは、以下で明らかになるように、タンクが比較的小さい体積の燃料しか含まない時でさえも、タンク14内に存在する残りの燃料12の正確な監視を可能にする。例として、センサ導管26の開口端部28を、例えば、タンク底部16の上方約2cmから6cmの範囲内に配置することができる。
【0020】
また、タンク14の内部には基準導管32の遠位開口端部30が配置され、この基準導管30は、センサ導管26と同様に、その近接端部から、典型的には、タンク14の側壁18又は頂部20のいずれかに位置する適切な開口部を通して燃料タンク内に延びる。遠位開口端部28がタンク14内において様々な位置に配置されるセンサ導管26の数にかかわらず、この基準導管に関連する所望の機能を提供するためには、只1個の基準導管32のみが必要とされる。基準導管32の開口端部30は、タンク14内の固定位置に、より具体的には、センサ導管26(又は、複数のセンサ導管26がタンク14内に配置される場合には、そのセンサ導管26の選択された1つ)の開口端部28に近接した位置で、且つセンサ導管26の開口端部28より上方の所定の高さhに配置される。言い換えれば、基準導管32の開口端部30は、タンク底部16上で、且つセンサ導管26の開口端部28に近接して、それぞれの導管32、26の開口端部30と28との間に所定の垂直間隔hを形成する距離又は距離間隔だけ、離間している。間隔hを、設計上の選択の全体的な問題として、及び特定の用途に応じて選ぶことができる。導管端部26、32をタンク14内のそれらのそれぞれの位置に維持し、又は固定する正確な方法は、又、主として、設計上の選択の問題である。
【0021】
現在のところ好ましい本発明のシステムの形態において、センサ導管26及び基準導管32は、同様の物理的特性を有するテフロン(登録商標)又は他のポリマー等により形成されるか、或いはこれらでコーティングされた、ある長さのチューブから構成されるが、チューブがタンク内で浸される燃料(又は、他の適切な液体又は流体)、及び導管が動作中に通すことを目的としている窒素(又は、他のガス又は流体)による劣化や損傷がなく耐えることができる十分に耐久性のある材料のいずれをも、それの代わりに使用することができることは、本発明の所望の技術的範囲及び技術思想の範囲内である。導管26、32を形成するチューブは勿論中空であり、チューブ内の流体通路を形成する外径及び内径は、設計上の選択の一般的な問題として、特定の用途に応じて選ぶことができる。さらに、センサ及び基準導管26、32が、タンク14に入り、タンク内でそれらのそれぞれの遠位開口端部28、30の所望の位置まで通される位置は、特定の用途に合わせて、又は特定の用途における指示によって決定するか、又は、さもなければ、利便性、規制、良い工業技術、設計上の選択、及び/又はそれに関連すると思われるあらゆる他の要素の問題として、選択することができる。
【0022】
その最も基本的な形態において、センサ導管26及び基準導管32の各々は、本明細書に記載する用途の好ましい例においては、窒素ガスがタンク14の外部位置からタンク内部内に位置するそれぞれの導管遠位開口端部28、30に給送される内部通路の境界となる、適切な厚さの外側壁によって形成される適切な長さの中空チューブとして実施することができる。さらに、導管26、32についての様々な代替的実施形態を想定することができ、例えば、図2に横断面図で示すように、センサ導管26又は基準導管32の一方又は各々を、互いに同軸に配置した一対又は一組34のチューブによって構成し、それぞれのセンサ導管又は基準導管によって送られる窒素その他の流体が、内側チューブ36及び内側チューブのための保護シースを形成する同軸外側チューブ38内を輸送されるようにすることができる。さらに、この配置は、ここで説明する航空機検知システム10において窒素ガスを燃料タンク14内に運んでいる現在の内側チューブ36を、タンク14の外部の位置から単に引き抜き(外側チューブ又はシース38は定位置のままにして)、新しい内側チューブ36を、外部の位置から外側チューブ38に沿って再び差し込むか又は押し進めるだけで、容易にとり外し、再取付けすることができ、窒素給送導管の交換を行うために、初めに残りの燃料のタンクのドレン排出を行う必要なしに、或いは、さもなければタンクを開放し、又はタンクに入り、又は直接タンクに接近することを必要としないものとすることができる。具体的には、この付加的な極めて有利な機能性は、本発明において意図されているように、好ましい例では、内側及び外側チューブ36、38の少なくとも一方を、そして最も好ましくは両方を、テフロン(登録商標)又は同様なものにより、或いは、テフロン(登録商標)又はテフロン(登録商標)状のコーティングを備えたものにより形成することによって助長することができるのであるが、このことは又、同様に、タンク内部に直接接近する必要なく、内側チューブ36の容易な遠隔的に遂行できる交換を可能にする。内側チューブ36の外径と外側チューブ38の内壁直径(すなわち、内側通路の直径)との間の寸法差は、内側チューブの前述の遠隔交換を可能にするため、及び/又は、内側チューブの周りに同軸に配置される外側チューブの保護特性を高めるための、設計上の選択の問題として選ぶことができ、内側及び外側チューブ36、38の間の直径方向の間隔は、説明を簡略化するために、図2において誇張したことがわかるであろう。さらに、以下で明らかになるが、内側チューブ36の周りに同軸に配置された外側チューブ38は、該外側チューブ38が、内側チューブ36のタンク14内に延びる部分の周りの保護シースを形成し、タンク14の外部に、前述のようにタンクの外部位置から内側チューブ36の容易な交換を可能にするのに十分な付加的な長さを有する限りは、内側チューブ36の全長に沿って延びることを必要としない。
【0023】
センサ導管26及び基準導管32の各々又は一方が同軸チューブの組34によって実施される本発明のシステム10の現在のところ好ましい形態においては、その内側チューブ36は、燃料タンク14の外部に位置する近接端部において、窒素ガスの供給源に接続される。貯蔵されるか又は局所位置でに発生させられた窒素供給源のいずれをも使用することができるが、本発明の好ましい形態においては、コックピット及び客室に酸素を供給するために民間航空機には既に存在し、且つその作動の副生成物として比較的少量の窒素ガスを発生させる、機体搭載型酸素発生装置(OBOG)によって、窒素を発生させる。
【0024】
本明細書に記載し且つ説明した航空機を基盤としたシステム10においては、OBOGが容易に利用できる既存の機体搭載型の窒素供給源を提供すること、及び、航空機燃料タンク14内の自由空間24がタンク内の燃料蒸気の不測の発火を抑えるために供給される窒素を既に含んでいることから、窒素ガスを使用することが好ましいが、あらゆる適切なガス、好ましくは不活性ガスを、その所定の位置で使用することができる。従って、本明細書に記載したように、航空機燃料タンク内に含まれる燃料内に、外部にセンサ導管及び基準導管の遠位開口端部から給送される流体として窒素ガスを特定することは、単に好ましい実施例として理解すべきであり、その代わりに、不活性ガスのような他のガスを使用することは、本発明の意図される技術的範囲及び技術思想の範囲内として理解されるべきであることを理解されたい。
【0025】
いずれにしても、図1に示す実施例におけるように、センサ導管26及び基準導管32は、それらの近接端部において、1つ又はそれ以上のOBOG40又は他の窒素ガス供給源に接続されている。センサ導管26及び基準導管32の各々によってそのそれぞれの遠位開口端部に輸送される窒素の流れは、タンク14の外部において導管内に挿入されるそれぞれの流量制御バルブ42、44によって制御される。センサ導管26及び基準導管32の各々を通る窒素の体積流量は、動作可能にバルブ42、44の各々に接続されるコントローラ46によって制御される。本明細書に記載されたコントローラ46及びその機能としては、説明のための例を挙げれば、適当な構造を有する専用コンピュータ又は電気回路によって、或いは、他の機能を行うために航空機内に既に存在する既存のコンピュータその他のハードウェア、ソフトウェア、及び/又は回路の一部分として、設計上の選択の一般的な問題として実施することができる。
【0026】
バルブ42、44は、導管から燃料を排除し、それぞれの導管開口端部28、30から外向きに、タンク14内の燃料内に気泡として放出させるのに十分な、比較的少ない流量の窒素を、各導管26、32を通して提供するように作動させられる。本発明のシステムの好ましい形態において、コントローラ46は、バルブ42、44を操作して、各導管が、燃料密度、燃料量、及びタンク14内の燃料に作用する加速力などの最も極限の予想される条件のもとで、比較的少ない体積の窒素の含有燃料12への連続する給送を保証するのに十分な、所定の一定の体積流量で、窒素をその遠位開口端部に供給するようにする。本発明の最も好ましい実施形態においては、バルブ42、44は、センサ導管26及び基準導管32の各々が、実質的に同じ体積流量で、窒素ガスを、そのそれぞれの遠位端部に給送するように作動させられる。
【0027】
センサ導管26及び基準導管32の各々は、又、タンク14の外部で、且つ、窒素供給源40及びその流量制御バルブ42、44の下流で、コントローラ46に接続されているそれぞれの差圧変換器又はセンサ48、50に接続される。センサ導管26の圧力変換器48は、センサ導管26と燃料12の表面22上のタンク自由空間24との間の差圧を監視し、この監視差圧をコントローラ46に伝達する。基準導管32の圧力変換器50は、基準導管32と基準導管32から垂直間隔hで配置される対応センサ導管26との間の差圧を監視し、同様にその監視差圧をコントローラ46に伝達する。その代わりに、センサ導管26及び基準導管32の圧力及びタンク自由空間24の圧力の各々力を、個別に監視してコントローラ46に伝達し、図1の好ましいシステムにおいては差動変換器48、50によって決定されている差圧を、コントローラ46によって計算する構成とすることができることを、当然ながら理解されたい。
【0028】
システムが較正されると、監視された差圧又は圧力センサ48の出力を使用することによって計算された差圧は、動的な、すなわち連続的に更新される、導管開口部の直上の燃料柱の重量の直接測定を提供する。コントローラ46は、燃料タンク14内のセンサ導管26の全てからの監視差圧を使用し、従って、タンク14内の複数のセンサ導管26の開口端部28の既知の位置とタンク14の構成とに基づいて、計算を行い、そのタンク内に残っている燃料12の重量の連続的に更新された表示を、航空機搭乗員が監視できるようにするために、コックピット表示スクリーンなどに出力することができる。このコックピット表示システムは、本発明の一部分を形成するものではない。
【0029】
基準導管32及び関連するセンサ導管26の開口端部の間の間隔又は高さhは、既知であり、且つ燃料密度は高さhによって除算された監視差圧に比例するので、コントローラ46は、さらに、センサ及び基準導管26、32の間の監視差圧に基づいて、タンク14内に含まれる燃料12の密度を計算することができる。又、この計算の結果を、航空機搭乗員による燃料密度の監視のために、コックピット表示システムスクリーンに、出力することができる。
【0030】
最後に、燃料重量をその密度によって割った値に比例するタンク14内の残存燃料の体積は、タンク内に存在する燃料のガロン数の連続的に更新された決定を提供するために、従って、飛行中の燃料保全及び管理と、地上でのより正確な燃料補給作業とを可能にするために、コントローラ46内で、計算されることができる。さらに、タンク14内に現在残っている燃料12の計算動的体積を、航空機搭乗員などによって実時間監視をするために、コントローラ46からコックピット表示システムスクリーンに、出力することができる。
【0031】
図1に示すシステム10のこの実施形態においては、コントローラ46は、さらに、民間航空機に一般に存在している慣性基準システム(IRS)から適切なデータを入力52として、受信する。このIRSデータは、とりわけ、明らかなように、航空機タンク14内に含まれる燃料12に、タンク内で燃料を様々に移動させ又は動き回らせる力を及ぼす可能性がある、航空機加速度及び姿勢に関する情報を、コントローラ46に提供する。従って、IRSデータは、コントローラ46によって利用され、コントローラによって監視された差圧パラメータを補正又は修正し、従って、残りの燃料の重量、密度、及び体積の、動的計算における航空機加速度及び姿勢を明らかにすることができる。
【0032】
ここまで説明したように、各センサ及び基準導管26、32の遠位端部を、窒素ガス(又は他の流体)がタンク14内に含まれる燃料12内に放出されるそれぞれの開口端部28、30として説明してきた。その開口端部から該開口端部に極めて近接した点に形成されるチューブの少なくとも最も遠位の部分に沿って、各々のこのような導管26、32が、実質的に水平方向に配置されること、すなわち、導管の開口端部から放出される窒素ガスが、航空機(又はタンクが配置される他の構造)と実質的に水平方向のチューブの部分から、実質的に水平方向に出るようにすることを、現在のところ意図し且つ企画している。それぞれのセンサ及び/又は基準導管26、32の遠位開口端部28、30のこの実質的に水平の方向は、現在のところ好ましいと思われるが、それでもなお、この方向を、特定の用途に合わせて、又はさもなければ、設計上の選択の問題として、変更することができる。例えば、給送流体が、航空機ジェット燃料よりも密度が低い窒素ガスである場合には、それぞれのセンサ及び基準導管の一方又は両方の開口端部は、垂直下方に向けるか、又は水平及び垂直下方向の間の角度をもった方向に向けることができる。
【0033】
さらに、加速及び姿勢の変化によって航空機に作用する加速度による力その他の方向性をもった力が、不可避的に、航空機タンク14内に含まれる燃料12に、特にタンク内の燃料の量が減少するにつれて、タンク内での振動又は移動を生じさせ、或いは、その他の形で動揺を生じさせ、その際に、適切な燃料パラメータ測定及び計算の精度を低める影響を、システム10の作動に及ぼさせることを、当業者は認識するであろう。例えば、タンク14内に残存する燃料12の液面22が減少すると、それに対応して、航空機に作用する外力、及び、同様に燃料に作用する外力が、燃料をタンク内で、振動又は移動させ、或いは他の形で動揺させ、センサ導管開口端部28及び/又は基準導管開口端部30の1つ又はそれ以上が、一時的に、燃料内に浸されなくなる状態にする可能性が高められる。相当量の体積の燃料を依然として含むタンク14内における燃料12のこのような摂動又は移動は、燃料が導管開口端部に直接向かう方向に、又はこの開口端部から離れる方向に駆動される時、それぞれの導管を通して所定の体積流量の窒素ガスを維持するのに必要な感知導管圧力を、一時的に上昇又は低下させることによって、燃料パラメータの計算結果に影響を及ぼす可能性がある。
【0034】
本発明の最も好ましい形態においては、タンク内の燃料のそのような不可避的な移動又は動きのシステム10に対する影響を低減するために、従って、連続的に更新される燃料パラメータ測定と計算の信頼性を改善するために、燃料の少なくとも加速度起因の移動又は動きを緩和するために、図3の例示的実施例によって示す形態におけるように、それぞれのセンサ導管26及び基準導管32の開口端部28、30は、部分的に包囲する構造54によって囲まれる。図3に示すこの実施形態において、センサ導管26及び/又は基準導管32のいずれであってもよいが、窒素給送導管58の開口端部56は、導管58によって送られる窒素ガスが、その実質的に水平方向の開口端部から外向きに燃料12内に給送されるように配置される。頂端部及び底端部において開口している実質的に垂直に配置された円筒60は、設計上の選択の問題として、いずれかの適切な方法で取付けられ、導管58の開口端部56が、このようにタンク14内に含まれる燃料12の一時的な移動に対して導管開口端部56のために保護障壁を形成する円筒60の内部内に、配置されるようにする。円筒60の直径及び長さを、特定の用途に合わせて、又はさもなければ、設計上の選択の問題として、選択することができる。
【0035】
図3に示す緩衝構造の形態において、導管58は、その側壁62内に形成される開口部を通して、円筒60の内部に入る。例えば、導管がその開口端部の1つを通して円筒内部に入るか、又は、設計上の選択の問題としての他の形態により円筒内部に入る緩衝構造54の形態は、又、導管58の遠位開口端部が所望の方向で円筒内部内に配置され、且つ当然、燃料の摂動又は動きのシステム10に対する影響が十分に低減される限り、本発明の所望の技術的範囲及び技術思想の範囲内である。
【0036】
緩衝構造54が、センサ導管26の遠位端部に関して設けられる場合には、導管開口端部56を燃料タンク14の底部16に比較的近接して配置することが、既に説明したように、最も好ましい。その緩和機能を可能にするために、円筒60の側壁62は、導管開口端部56を保護的に囲む必要があり、従って、円筒60の開口底端部を、タンク底部16に比較的近接して、しかし好ましくはタンク底部に当接させないで、導管58の開口端部56をタンク底部上、約3cmから6cmに配置する場合には、例えばタンク底部16上の約2cmから3cmに配置することを、全体として意図している。これは、本来的に、導管開口端部56は、例えば図3に示すように、緩和円筒60の低端部に比較的近接して配置されるものとなる。
【0037】
他方、緩衝構造54が、基準導管32の遠位端部に関して設けられる場合には、導管開口端部56を、円筒側壁62内で円筒60の長さに沿ったあらゆる所望の位置に配置することができる。いずれにしても、保護的な円筒側壁62内での、及び円筒60の長さに沿った、導管開口端部56の相対位置決めは、基準導管32の遠位端部を実施する時に、燃料移動の影響を最小化するように選択されるが、当然、又、特定の用途に関する他の要素、及び/又は本発明のシステム10の具体的な実施形態に関するあらゆる他の態様に基づいて、決定することができる。従って、いずれにしても、導管開口端部56を、センサ及び/又は基準導管のいずれにも適するように、円筒側壁62内で、その開口頂端部と開口底端部との間で緩和円筒60の長さに沿った、あらゆる所望の又は適切な位置に、配置することができる。
【0038】
円筒側壁62は、連続的で、一体性で、途切れがないことを全体として意図しているが、予め定められた位置に配置された開口部、又は、側壁62の一体性もしくは連続性を様々に中断する他の切れ目が側壁62内に形成され、或いは構造54の緩和効果を強めるように、一連の関連の側壁もしくは側壁構成要素を形成する、緩衝構造54の実施形態も又、本発明の意図した技術的範囲内にある。
【0039】
本明細書に示し且つ説明する方法及びシステム10は、第一に、航空機又は他の乗物の燃料タンクのようなタンクに含まれる液体燃料の、重量、密度、及び/又は体積を監視する時に使用することを意図しているが、この方法及びシステムは、又、例えば、液体容器への容易な接近が限られているか、もしくは実行不可能である可能性がある、製造プラント環境及び環境面で厳しい用途などの、タンク又は容器又はあらゆる他の完全なもしくは部分的な囲いの中に含まれるあらゆる液体のパラメータ又は特性を監視することが望まれる用途にも適用し、又は実施することができる。燃料以外の含有液体の関連のパラメータを監視する時に、センサ及び/又は基準導管によって含有液体内に送られるガス又は含有液体の性質によって決まるあらゆる他の流体は、最低限でも、不活性で、又は含有液体と反応せず及び溶けないように選択される必要があり、監視される含有液体よりも密度が低いガス(不活性ガスなど)の使用が通常は好ましいことが明らかであろう。いずれにせよ、全てのこのような代わりの用途は、本発明の意図した技術的範囲及び技術思想の範囲内にあることを考慮されたい。
【0040】
上述、その好ましい実施形態に適用される本発明の基礎的で新規な特徴を示し、説明し、指摘してきたが、説明した方法及び図示したシステムと装置の形態並びに細部において、及びその作動において、様々な省略及び置換並びに変更を、本発明の技術思想から離れることなく、当業者によって行うことができることが理解されるであろう。例えば、同じ結果を達成するために、実質的に同じ方法で、実質的に同じ機能を行う、それらの構成要素、及び/又は方法の段階の、全ての組合せが、本発明の技術的範囲内にあることを、明確に意図している。さらに、本発明のあらゆる開示した形態又は実施形態に関連して、図示し及び/又は説明した構造及び/又は構成要素、及び/又は方法の段階を、設計上の選択の全体的な問題として、あらゆる他の、開示又は説明した、或いは提案した形態又は実施形態に組み込むことができることを、理解されたい。従って、本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲の技術的範囲に示すもののみに限定されるべきことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】航空機の燃料タンク内に含まれる燃料の、現在重量、密度、及び体積を動的に監視する、本発明によって構成されるシステムの概略ブロック図。
【図2】本発明による、窒素ガス給送導管の代替的形状の断面図。
【図3】本発明の別の態様による、流体摂動緩衝構造の外観斜視図。
【符号の説明】
【0042】
12 燃料
14 燃料タンク
26 センサ導管
32 基準導管
40 機体搭載型酸素発生装置
42 調節バルブ
44 調節バルブ
46 コントローラ
48 圧力センサ
50 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク底部を有するタンク内に含まれる液体の量を動的に監視するシステムであって、
前記タンクの外部の近接端部から、該タンク底部に近接して該タンク内に配置された遠位開口端部まで延びる第1の流体給送チューブを含むセンサ導管と、
前記タンクの外部の近接端部から、該タンク底部の上方において所定の高さで該タンク内に配置された遠位開口端部まで延びて、該第1の流体給送チューブ開口端部との間に垂直間隔hを形成する第2の流体給送チューブを含む基準導管と、
前記タンクの外部において該第1及び第2の流体給送チューブの各々に設けられ、実質的に一定の体積流量の流体を前記第1及び第2の流体給送チューブの各々の前記遠位開口端部に給送する調節バルブと、
前記調節バルブと前記タンクとの間において前記第1及び第2の流体給送チューブの各々内に設けられ、該センサ導管及び該基準導管の各々内の現在圧力を動的に測定する圧力センサと、
前記第1及び第2の流体給送チューブ内の該圧力センサから現在圧力測定値を受け取り、測定された前記センサ導管内の現在圧力の関数としての該タンク内に含まれる液体の現在重量と、該第1及び第2の流体給送チューブ内の該測定圧力の間の差圧を分子とし、前記垂直間隔hを分母とする分数の関数としての該タンク内に含まれる該液体の密度と、該含有液体の計算された現在重量を分子とし、該含有液体の計算密度を分母とする分数の関数としての該含有液体の現在体積の少なくとも1つを計算するように動作可能であるコントローラと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記タンク内に含まれる液体は、上方にある該タンク内の自由空間との境界となる液面を有し、前記第1の流体給送導管内の圧力センサは前記自由空間に接続されており、前記第1の流体給送導管と前記自由空間との間の差圧を前記コントローラに出力し、前記コントローラは、出力された前記第1の流体給送導管と前記自由空間との間の差圧の関数として、含有燃料の現在重量を作動的に計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記タンク内に含まれる液体は、上方にある該タンク内の自由空間との境界となる液面を有し、前記第1の流体給送導管内の圧力センサは前記第1の流体給送導管と前記自由空間との間の差圧を前記コントローラに出力し、前記第2の流体給送導管内の圧力センサは、前記第1の流体給送導管と前記第2の流体給送導管との間の差圧を前記コントローラに出力し、前記コントローラは、出力された前記第1の流体給送導管と前記自由空間との間の差圧の関数として、含有燃料の現在重量を作動的に計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記タンクは燃料タンクであり、前記液体は燃料であり、前記流体は窒素ガスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
各々が、前記タンクの外部の近接端部から、該タンク底部に近接して該タンク内の異なる位置に配置された遠位開口端部まで延びる第1の流体給送チューブを含む、複数の前記センサ導管をさらに含み、
含有燃料の現在重量が、測定された前記複数のセンサ導管内の現在圧力の関数として、前記コントローラによって計算される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサ導管及び前記基準導管の少なくとも一方が、前記流体給送チューブの周りに同軸であって少なくとも液体含有タンク内では該流体給送チューブを同軸に覆う保護シースを形成する、第3の長さのチューブをさらに含み、
前記第3の長さのチューブは、前記第3の長さのチューブ内での該チューブに沿った該流体給送チューブの摺動運動が可能で、燃料を含む燃料タンクの内部への直接接近を必要とすることなく、前記第3の長さのチューブ内に同軸に配置された前記流体給送チューブの遠隔的摺動引き抜き及び再取付けを行うことができるようにする寸法にされた、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1及び第2の流体給送導管の少なくとも一方の遠位開口端部に配置された緩衝構造をさらに含み、該緩衝構造は、前記遠位開口端部を保護的に囲んで含有液体が移動しないように該遠位開口端部を遮蔽する側壁を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記側壁は、実質的に垂直方向に配置され、且つ円筒の開口頂端部及び開口底端部を有する円筒を形成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
該第1及び第2の流体給送導管の各々の前記遠位開口端部は、流体が前記開口端部から実質的に水平方向に給送されるように方向付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
タンク底部を有するタンク内に含まれる液体の量を動的に監視する方法であって、
前記タンクの外部の近接端部から、該タンク底部に近接して該タンク内に配置される遠位開口端部まで延びる第1の流体給送チューブの遠位開口端部を通して一定の体積流量で含有液体内に流体を給送する段階と、
該第1の流体給送チューブによって給送される流体の第1の圧力を測定する段階と、
該測定された第1の圧力の関数として該タンク内の該含有液体の重量を計算する段階と、
前記タンクの外部の近接端部から、該タンク底部の上方において所定の高さで該タンク内に配置された遠位開口端部まで延びて、該第1の流体給送チューブ開口端部との間に垂直間隔hを形成する第2の流体給送チューブの遠位開口端部を通して、一定の体積流量で、流体を該含有液体内に給送する段階と、
該第1の流体給送チューブによって給送される流体と該第2の流体給送チューブによって給送される流体との間の差圧を測定する段階と、
測定した前記差圧を分子とし、前記垂直間隔hを分母とする分数の関数として、該タンク内の該含有液体の密度を計算する段階と、
計算した前記含有液体の重量を分子とし、計算した前記含有液体の密度を分母とする分数の関数として、該タンク内の該含有液体の体積を計算する段階と、
を含む方法。
【請求項11】
前記タンクは燃料タンクであり、前記液体は燃料であり、前記流体は窒素ガスである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記タンク内に含まれる液体は、上方にある該タンク内の自由空間との境界となる液面を有し、第1の圧力を測定する前記段階は、該第1の流体給送チューブによって給送される該流体と該タンク内の自由空間との間の差圧を測定する段階を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記流体は、前記第1及び第2の流体給送チューブを通して、実質的に同じ一定の体積流量で給送される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記タンクは航空機の閉じられた燃料タンクであり、前記液体は航空機燃料であり、前記流体は窒素ガスである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の流体給送チューブによって給送される窒素ガスは、機体搭載型酸素発生装置によって供給される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
航空機搭乗員によって監視するために、前記含有流体の計算された前記重量、前記含有流体の計算された前記密度、及び前記含有流体の計算された体積の少なくとも1つを、コックピット表示部上に提供して、前記燃料タンク内に残存する燃料の量の実時間監視を行えるようにする段階をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
含有燃料が、上方にある自由空間との境界となる燃料液面まで航空機燃料タンク内に満たされている、タンク底部を有する航空機燃料タンク内に含まれる液体燃料の、現在重量、密度、及び体積を動的に監視するシステムであって、
前記タンクの外部の近接端部から、該タンク底部に極めて近接して該タンク内に配置された遠位開口端部に延びる第1の流体給送チューブを含むセンサ導管と、
前記タンクの外部の近接端部から、前記第1の流体給送チューブの遠位開口端部に近接して、前記第1の流体給送チューブの遠位開口端部より上方に所定の垂直間隔hをおいて、前記タンク内に配置された遠位開口端部まで延びる第2の流体給送チューブを含む基準導管と、
前記タンクの外部において前記第1及び第2の流体給送チューブのそれぞれに設けられ、該それぞれの第1及び第2の流体給送チューブを通して、それぞれの第1及び第2の流体給送チューブの遠位開口端部から外向きに、該タンク内に含まれる燃料内に、実質的に一定の体積流量の窒素ガスを給送する調節バルブと、
前記第1の流体給送チューブを通して、該それぞれの調節バルブによって給送される窒素ガスと燃料液面上の該燃料タンク内の自由空間との間の差圧を測定する第1の差圧センサと、
前記第1の流体給送チューブと前記第2の流体給送チューブを通して該それぞれの調節バルブによって給送される窒素ガスの間の差圧を測定する第2の差圧センサと、
前記第1及び第2の差圧センサに接続され、前記第1の差圧センサによって測定される差圧の関数として、該タンク内に含まれる燃料の現在重量を計算し、前記第2の差圧センサによって測定された前記差圧を分子とし、前記垂直間隔hを分母とする分数の関数として、該タンク内に含まれる燃料の現在密度を計算し、前記タンク内に含まれる燃料の計算された前記現在重量を分子とし、該タンク内に含まれる燃料の計算された前記現在密度を分母とする分数の関数として、該タンク内に含まれる燃料の現在体積を計算するように動作するコントローラと、
を含むシステム。
【請求項18】
前記第1及び第2の流体給送導管の前記開口遠位端部を通して該タンク内の燃料内に給送するために、前記第1及び第2の流体給送導管に窒素ガスを供給する機体搭載型酸素発生装置をさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1及び第2の流体給送チューブの少なくとも一方の遠位開口端部に配置された燃料摂動緩衝構造をさらに含み、該燃料摂動緩衝構造は、前記遠位開口端部の少なくとも一部分を保護的に囲んで該タンク内に含まれる燃料が移動しないように該遠位開口端部を遮蔽する側壁を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記側壁は、実質的に垂直方向に配置され、且つ円筒の開口頂端部及び開口底端部を有する円筒を形成する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記センサ導管及び前記基準導管の少なくとも一方が、前記流体給送チューブの周りに同軸であって少なくとも前記タンク内では該流体給送チューブを同軸に覆う保護シースを形成する、第3の長さのチューブをさらに含み、
前記第3の長さのチューブは、前記第3の長さのチューブ内での該チューブに沿った該流体給送チューブの摺動運動が可能で、燃料を含む燃料タンクの内部への直接接近を必要とすることなく、前記第3の長さのチューブ内に同軸に配置された前記流体給送チューブの遠隔的摺動引き抜き及び再取付けを行うことができるようにする寸法にされた、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記センサ導管及び前記基準導管の前記少なくとも一方における前記第3の長さのチューブと流体給送チューブは、テフロン(登録商標)から構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
液体燃料が、上方にある自由空間との境界となる液面まで航空機燃料タンク内に満たされている、タンク底部を有する航空機燃料タンク内に含まれる液体燃料の、現在重量、密度、及び体積を動的に監視する方法であって、
前記タンクの外部の近接端部から、該タンク底部に近接して該タンク内に配置される遠位開口端部まで延びる第1の流体給送チューブの遠位開口端部を通して、一定の体積流量で該タンク内の液体燃料内に窒素ガスを給送する段階と、
該第1の流体給送チューブによって給送される窒素ガスと該タンク内の自由空間との間の第1の差圧を測定する段階と、
該測定された第1の差圧の関数として該タンク内の液体燃料の現在重量を計算する段階と、
前記タンクの外部の近接端部から、前記タンク底部の上方に所定の高さで該タンク内に配置されて前記第1の流体給送チューブ開口端部との間に垂直間隔hを形成する遠位開口端部まで延びる第2の流体給送チューブの前記遠位開口端部を通して、一定の体積流量で、窒素ガスを該タンク内の液体燃料内に給送する段階と、
前記第1の流体給送チューブによって給送される窒素ガスと前記第2の流体給送チューブによって給送される窒素ガスとの間の第2の差圧を測定する段階と、
測定された前記第2の差圧を分子とし、前記垂直間隔hを分母とする分数の関数として、該タンク内の液体燃料の現在密度を計算する段階と、
液体燃料の計算された現在重量を分子とし、計算された液体燃料の現在密度を分母とする分数の関数として、該タンク内の液体燃料の現在体積を計算する段階と、
を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−540232(P2008−540232A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511380(P2008−511380)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018328
【国際公開番号】WO2006/122282
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(504326918)イノヴェイティヴ ソリューションズ アンド サポート インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】