圧力容器
【課題】 無駄なスペースを生じさせることなく設置することができ、しかも大容量化を図ることができる圧力容器を提供する。
【解決手段】 両端が開口した円筒状ライナ3およびライナ3の周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層4よりなる複数の容器構成体2を並べて一体化することにより構成された圧力容器1である。容器構成体2のライナ3の両端部に跨って外方に膨出したドーム状連通部材6を固定することにより、これらのライナ3の内部どうしを連通させるとともにこれらのライナ3の両端開口を閉鎖する。ドーム状連通部材6内に補強壁12A、12Bを固定状に設ける。連通部材6の少なくとも1つの補強壁12Bを、隣り合うライナ3の両端部間に設けられた連結部11に連結する。
【解決手段】 両端が開口した円筒状ライナ3およびライナ3の周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層4よりなる複数の容器構成体2を並べて一体化することにより構成された圧力容器1である。容器構成体2のライナ3の両端部に跨って外方に膨出したドーム状連通部材6を固定することにより、これらのライナ3の内部どうしを連通させるとともにこれらのライナ3の両端開口を閉鎖する。ドーム状連通部材6内に補強壁12A、12Bを固定状に設ける。連通部材6の少なくとも1つの補強壁12Bを、隣り合うライナ3の両端部間に設けられた連結部11に連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車産業、住宅産業、軍事産業、航空宇宙産業、医療産業等において、発電のための燃料となる水素ガスや天然ガスを貯蔵する圧力容器、または酸素ガスを貯蔵する圧力容器に用いられる圧力容器に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、自動車排気ガス等による大気汚染対策として、排気ガスのクリーンな天然ガス自動車や、燃料電池自動車の開発が進められている。これらの自動車は、燃料となる天然ガスや水素ガスを高圧で充填した圧力容器を搭載している。
【0004】
従来、このような圧力容器用ライナとして、円筒状の胴と胴の両端開口を閉鎖する鏡板とよりなり、両端が開口した円筒状体からなりかつ胴を構成するアルミニウム押出形材製の第1ライナ構成部材と、略椀状でかつ第1ライナ構成部材の両端部に溶接されて鏡板を構成する2つのアルミニウムダイキャスト製第2ライナ構成部材とにより形成され、第1ライナ構成部材の内面に、横断面放射状の複数の補強壁が一体に形成され、第2ライナ構成部材の内面における第1ライナ構成部材の補強壁と対応する位置に補強壁が一体に形成されたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
この圧力容器用ライナは、補強繊維を両第2ライナ構成部材にかかるようにして第1ライナ構成部材の長さ方向に対して傾斜するように巻き付けるとともにエポキシ樹脂で含浸固定してなるヘリカル巻補強層と、補強繊維を第1ライナ構成部材の周りに周方向に巻き付けるとともにエポキシ樹脂で含浸固定してなるフープ巻補強層とが設けられて、圧力容器として用いられるようになっている。
【0006】
特許文献1記載の圧力容器用ライナによれば、補強壁の働きにより、径方向の力に対する耐圧強度は十分である。
【0007】
ところで、自動車においては、航続距離を延ばすことを目的として、圧力容器の大容量化が要求されている。特許文献1記載の圧力容器用ライナを用いた圧力容器において大容量化を図るためには、胴の直径を大きくするとともに長さを長くすればよいのであるが、自動車の車幅には制限があるので、胴の長さを長くすることにも限界があることから、胴の直径を大きくすることにより、圧力容器の大容量化に対応しなければならない。しかしながら、胴の直径を大きくすると、自動車に存在する空いているスペースを有効に利用することができず、車載状態において無駄なスペースが生じ、車室の居住性が低下するという問題がある。しかも、胴の直径を大きくすると、車高を高くする必要があってセダン型等の車高の低い自動車には用いることができないという問題がある。
【特許文献1】特開平9−42595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、無駄なスペースを生じさせることなく設置することができ、しかも大容量化を図ることができる圧力容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0010】
1)少なくとも一端が開口した筒状ライナおよびライナの周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層よりなる複数の容器構成体が並べられて一体化され、すべての容器構成体のライナ内部どうしが連通させられるとともに、すべての容器構成体のライナにより1つの閉空間が形成されており、隣り合う少なくとも2つの容器構成体が、ライナの開口端部が同一側に来るように配置され、これらの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定されることにより、これらのライナの内部どうしが連通させられるとともにこれらのライナの開口が閉鎖され、ドーム状連通部材内に補強壁が固定状に設けられている圧力容器。
【0011】
2)隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部どうしが連結部により連結され、連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが連結されている上記1)記載の圧力容器。
【0012】
3)連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが係合させられることにより連結されている上記2)記載の圧力容器。
【0013】
4)連通部材の少なくとも1つの補強壁および連結部のうちのいずれか一方に直線状の内部拡大溝が形成されるとともに、同他方に内部拡大溝内に嵌め入れられる嵌入部が形成され、これにより補強壁と連結部とが係合させられている上記3)記載の圧力容器。
【0014】
5)連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが冶金的に接合されることまたは接着されることにより連結されている上記2)記載の圧力容器。
【0015】
6)ドーム状連通部材の少なくとも1つの補強壁が、隣り合う2つの容器構成体におけるライナ開口端部間に設けられ、当該補強壁に、隣り合う2つの容器構成体におけるライナの内部どうしを通じさせる連通部が形成されている上記1〜5のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0016】
7)隣り合う少なくとも2つの容器構成体のライナの開口端部に跨ってエンドプレートが固定状に設けられ、エンドプレートにおける隣り合うライナの開口端部間の部分が連結部となり、ドーム状連通部材の周縁部がエンドプレートの周縁部に接合されている上記2)〜6)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0017】
8)エンドプレートが、ライナの開口端部に一体に形成された外向きフランジどうしが接合されることにより形成されている上記7)記載の圧力容器。
【0018】
9)ライナおよび外向きフランジがアルミニウムよりなり、外向きフランジどうしが摩擦攪拌接合されている上記8)記載の圧力容器。
【0019】
10)エンドプレートが、ライナの開口端部を嵌め入れる貫通穴を有する1枚の板よりなり、当該板における貫通穴の周囲の部分とライナの開口端部とが接合されている上記7)記載の圧力容器。
【0020】
11)ライナおよび板がアルミニウムよりなり、ライナと板とが摩擦攪拌接合されている上記10)記載の圧力容器。
【0021】
12)ドーム状連通部材およびエンドプレートがアルミニウムよりなり、ドーム状連通部材とエンドプレートとが摩擦攪拌接合されている上記7)〜11)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0022】
13)隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部間に、両側のライナの開口端部が嵌る切り欠きを有する板状連結部材が配置され、連結部材における切り欠きの周囲の部分とライナの開口端部とが接合され、連結部材が連結部となり、ドーム状連通部材の周縁部が連結部材およびライナの開口端部に接合されている上記2)〜6)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0023】
14)ライナおよび連結部材がアルミニウムよりなり、ライナと連結部材とが摩擦攪拌接合されている上記13)記載の圧力容器。
【0024】
15)ドーム状連通部材、連結部材およびライナがアルミニウムよりなり、ドーム状連通部材とライナと連結部材とが摩擦攪拌接合されている上記13)または14)記載の圧力容器。
【0025】
16)ライナが円筒状である上記1)〜15)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0026】
17)ライナが非円筒状である上記1)〜15)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0027】
18)ライナの両端が開口しているとともにすべての容器構成体のライナの長さが等しくなっており、すべての容器構成体のライナの両端部に跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定され、いずれか一方のドーム状連通部材に口部が設けられている上記1)〜17)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0028】
19)すべての容器構成体に跨るように2次繊維強化樹脂層が形成されている上記1)〜18)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0029】
20)2次繊維強化樹脂層が、補強繊維をライナの長さ方向に平行に巻き付けてなるインプレーン巻繊維層、補強繊維をライナの長さ方向に対して傾斜するように巻き付けてなるヘリカル巻繊維層、および補強繊維をすべてのライナの長さ方向と直交する方向に巻き付けてなるフープ巻繊維層と、各繊維層に含浸させて硬化させた樹脂とよりなる上記19記載の圧力容器。
【0030】
21)燃料水素用圧力容器、燃料電池、および燃料水素用圧力容器から燃料電池に燃料水素ガスを送る圧力配管を備えており、燃料水素用圧力容器が上記1)〜20)のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる燃料電池システム。
【0031】
22)上記21)記載の燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車。
【0032】
23)上記21)記載の燃料電池システムを備えたコージェネレーションシステム。
【0033】
24)天然ガス用圧力容器および天然ガス用圧力容器から天然ガスを送り出す圧力配管を備えており、天然ガス用圧力容器が上記1)〜20)のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる天然ガス供給システム。
【0034】
25)上記24)記載の天然ガス供給システムと、発電機と、発電機駆動装置を備えているコージェネレーションシステム。
【0035】
26)上記24)記載の天然ガス供給システムと、天然ガスを燃料とするエンジンとを備えている天然ガス自動車。
【0036】
27)酸素用圧力容器および酸素用圧力容器から酸素ガスを送り出す圧力配管を備えており、酸素用圧力容器が上記1)〜20)のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる酸素ガス供給システム。
【発明の効果】
【0037】
上記1)の圧力容器によれば、少なくとも一端が開口した筒状ライナおよびライナの周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層よりなる複数の容器構成体が並べられて一体化され、すべての容器構成体のライナ内部どうしが連通させられるとともに、すべての容器構成体のライナにより1つの閉空間が形成されており、隣り合う少なくとも2つの容器構成体が、ライナの開口端部が同一側に来るように配置され、これらの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定されることにより、これらのライナの内部どうしが連通させられるとともにこれらのライナの開口が閉鎖されているので、各容器構成体の横断面の大きさおよび長さや、すべての容器構成体の並べ方を、設置すべき装置、たとえば自動車の空きスペースに合わせて適宜変更することにより、無駄なスペースを生じさせることなく設置することができ、しかも大容量化を図ることができる。また、各容器構成体のライナの周壁外周面が繊維強化樹脂層により覆われているので、耐圧性も優れたものになる。さらに、ドーム状連通部材内に補強壁が固定状に設けられているので、ドーム状連通部材の耐圧性が向上し、その肉厚を比較的薄くすることが可能になって圧力容器の軽量化を図ることができる。
【0038】
上記2)〜5)の圧力容器によれば、隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部どうしが連結部により連結され、連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが連結されているので、長さ方向に大きな力が作用した場合にも、ドーム状連通部材の固定部に応力が集中することが防止され、長さ方向の力に対する耐圧性が増大する。
【0039】
上記4)の圧力容器によれば、連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とを比較的簡単に係合させることができる。
【0040】
上記6)の圧力容器によれば、ドーム状連通部材の少なくとも1つの補強壁が、隣り合う2つの容器構成体におけるライナ開口端部間に設けられ、当該補強壁に、隣り合う2つの容器構成体におけるライナの内部どうしを通じさせる連通部が形成されているので、隣り合う2つの容器構成体におけるライナの内部どうしを通じさせることができる。
【0041】
上記7)の圧力容器によれば、連結部を比較的簡単に形成することができる。さらに、隣り合う少なくとも2つの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って、ドーム状連通部材を比較的簡単に固定することができる。
【0042】
上記8)の圧力容器によれば、エンドプレートを比較的簡単に形成することができる。
【0043】
上記9)の圧力容器によれば、外向きフランジどうしの接合を強固に行うことができる。
【0044】
上記10)の圧力容器によれば、エンドプレートを比較的簡単に形成することができる。
【0045】
上記11)の圧力容器によれば、ライナと板との接合を強固に行うことができる。
【0046】
上記12)の圧力容器によれば、ドーム状連通部材とエンドプレートとの接合を強固に行うことができる。
【0047】
上記13)の圧力容器によれば、連結部を比較的簡単に形成することができる。さらに、隣り合う少なくとも2つの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って、ドーム状連通部材を比較的簡単に固定することができる。
【0048】
上記14)の圧力容器によれば、ライナと連結部材との接合を強固に行うことができる。
【0049】
上記15)の圧力容器によれば、ドーム状連通部材とライナと連結部材との接合を強固に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0051】
以下の説明において、図2の左右を左右といい、図2の下側を前、上側を後というものとする。また、図3の上下を上下というものとする。
【0052】
実施形態1
この実施形態は図1〜図7に示すものである。図1〜図3は圧力容器を示し、図4〜図6は圧力容器の製造方法を示す。また、図7はさらなる耐圧性が要求される場合の対応例を示す。
【0053】
図1〜図3において、圧力容器(1)は、両端が開口したアルミニウム製円筒状ライナ(3)およびライナ(3)の周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層(4)よりなり、かつライナ(3)の中心線が同一水平面内に位置するように並列状に並べられた複数の容器構成体(2)と、すべての容器構成体(2)のライナ(3)の両端部に跨ってそれぞれ固定状に設けられたアルミニウム製エンドプレート(5)と、各エンドプレート(5)に固定され、かつすべての容器構成体(2)のライナ(3)の内部どうしを連通させるとともにすべてのライナ(3)の両端開口を閉鎖する外方に膨出したアルミニウム製ドーム状連通部材(6)とを備えている。すべての容器構成体(2)のライナ(3)により1つの閉空間が形成され、一方の連通部材(6)に、当該閉空間を外部に通じさせる1つの口部(7)が設けられている。
【0054】
すべての容器構成体(2)のライナ(3)の長さおよび直径は等しく、その左右両端がそれぞれ前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように配置されている。各ライナ(3)の左右両端部にはそれぞれ外向きフランジ(8A)(8B)が一体に形成されている。容器構成体(2)が並んだ方向(前後方向)の端部に位置するライナ(3)の外向きフランジ(8A)は、外側縁部が円弧状となった略半長円形である。また、他のライナ(3)の外向きフランジ(8B)は方形である。すべてのライナ(3)の外向きフランジ(8A)(8B)の高さは等しくなっている。繊維強化樹脂層(4)は、補強繊維をライナ(3)の長さ方向とほぼ直角をなすように巻き付けてなるフープ巻繊維層に樹脂を含浸硬化させることにより形成されたものであり、外向きフランジ(8A)(8B)の部分を除いて各ライナ(3)の周壁外周面全体を覆っている。補強繊維としては、たとえばカーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが用いられるが、カーボン繊維を用いることが好ましい。樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂が用いられる。そして、隣り合うライナ(3)の外向きフランジ(8A)(8B)どうしが適当な方法、ここでは摩擦攪拌接合法により、ライナ(3)の長さ方向外側から接合されてすべての容器構成体(2)が一体化されており、すべての外向きフランジ(8A)(8B)によってライナ(3)の両端部に跨るエンドプレート(5)が固定状に設けられている。外向きフランジ(8A)(8B)どうしの接合ビードを(9)で示す。なお、外向きフランジ(8A)(8B)どうしを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。エンドプレート(5)における隣り合うライナ(3)間に存在する部分が、隣り合うライナ(3)の両端部どうしを連結する連結部(11)となっている。
【0055】
ドーム状連通部材(6)は鍛造、ダイカストまたは切削により形成されたものであり、エンドプレート(5)の外形と同形同大の外形を有している。一方の連通部材(6)に形成された口部(7)には、その外端から貫通穴(7a)が形成されており、貫通穴(7a)の内周面に、たとえば制御バルブを取り付けるのに利用されるめねじ(7b)が形成されている。連通部材(6)内には上下方向に伸びる複数の補強壁(12A)(12B)が、ここではすべてのライナ(3)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成されることにより固定状に設けられている。なお、補強壁(12A)(12B)は連通部材(6)と一体に形成される代わりに、別個に設けられたものが固着されることにより、固定状に設けられていてもよい。
【0056】
口部(7)を有する連通部材(6)における中央のライナ(3)の前後方向の中央部と対応する部分に一体に形成された補強壁(12A)の左右方向外端部には、圧力容器(1)の閉空間の内部を口部(7)の貫通穴(7a)を通して外部に通じさせる切り欠き(13)が形成されている。各連通部材(6)におけるエンドプレート(5)の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)には前後方向の貫通穴(14)(連通部)が形成されており、この貫通穴(14)により隣り合うライナ(3)の内部どうしが通じさせられている。なお、補強壁(12B)には、貫通穴(14)に代えて、その左右方向内端から切り欠きが形成され、この切り欠きにより隣り合うライナ(3)の内部どうしが通じさせられていてもよい。連通部材(6)は、周壁の端面がエンドプレート(5)の左右方向外面周縁部に密着した状態で、適当な方法、ここでは摩擦攪拌接合法により外周側からエンドプレート(5)に接合されている。連通部材(6)とエンドプレート(5)との接合ビードを(10)で示す。なお、連通部材(6)とエンドプレート(5)とを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。
【0057】
連通部材(6)におけるエンドプレート(5)の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)は、エンドプレート(5)の連結部(11)に冶金的に接合されること、または接着されることにより連結されている。補強壁(12B)と連結部(11)との冶金的な接合は、鍛接、圧接、抵抗溶接、ろう付などにより行われる。なお、補強壁(12B)は、必ずしも連結部(11)に連結されている必要はない。
【0058】
ライナ(3)および両連通部材(6)は、それぞれ、たとえばJIS A2000系合金、JIS A5000系合金、JIS A6000系合金およびJIS A7000系合金のうちのいずれかにより形成されている。すべてのライナ(3)および両連通部材(6)は同じ材料で形成されていてもよいし、あるいは少なくとも1が異なる材料で形成されていてもよい。
【0059】
圧力容器(1)は、以下に述べる方法によって製造される。
【0060】
まず、図4および図5に示す方法により容器構成体(2)を製造する。なお、図4は前後両端部に位置する容器構成体(2)を製造する方法を示し、図5は前後方向の中間部に位置する容器構成体(2)を製造する方法を示す。
【0061】
すなわち、横断面の外形が外向きフランジ(8A)(8B)の外形と同形同大であり、かつ横断面円形貫通穴(16)を有するアルミニウム製中空押出形材(15A)(15B)を形成する(図4(a)および図5(a)参照)。ついで、中空押出形材(15A)(15B)の外周面にその両端部を除いて旋削加工を施すことにより、両端が開口した円筒状ライナ(3)とライナ(3)の両端部の外向きフランジ(8A)(8B)とを同時に形成する(図4(b)および図5(b)参照)。ついで、ライナ(3)の外周に、フィラメントワインディング法により樹脂を含浸させた補強繊維、あるいは樹脂を含浸させた補強繊維の束をライナ(3)の軸線とほぼ直交する方向に巻き付けることによりフープ巻繊維層を形成した後、樹脂を硬化させて繊維強化樹脂層(4)を形成することにより容器構成体(2)を製造する(図4(c)および図5(c)参照)。
【0062】
また、鍛造、ダイカストまたは切削により、補強壁(12A)(12B)を有する2つのドーム状連通部材(6)を製造しておく。各連通部材(6)の補強壁(12B)には貫通穴(14)を形成しておく。また、一方の連通部材(6)には口部(7)を形成しておくとともに、前後方向の中央部の補強壁(12A)に、口部(7)の貫通穴(7a)を形成するのと同時に切り欠き(13)を形成しておく。
【0063】
ついで、すべての容器構成体(2)を、その軸線が同一水平面内に位置するとともに両端が同一垂直面内に位置するように並列状に並べ、隣り合う容器構成体(2)の外向きフランジ(8A)(8B)の側縁部どうしを当接させる。そして、隣り合う容器構成体(2)の外向きフランジ(8A)(8B)どうしを、ライナ(3)の長さ方向外側から摩擦攪拌接合することにより、エンドプレート(5)を固定状に設ける(図6参照)。
【0064】
ついで、連通部材(6)の補強壁(12B)をエンドプレート(5)の連結部(11)に、冶金的に接合、あるいは接着する。
【0065】
その後、両連通部材(6)の周壁端面を両エンドプレート(5)の外面周縁部に当接させた状態で、連通部材(6)とエンドプレート(5)とを外周側から摩擦攪拌接合する。
【0066】
こうして、圧力容器(1)が製造される。
【0067】
圧力容器(1)にさらなる耐圧性が要求される場合には、図7に示すように、すべての容器構成体(2)に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。
【0068】
2次繊維強化樹脂層(20)は、補強繊維をすべての容器構成体(2)を連結するようにライナ(3)の長さ方向とほぼ直角をなすように巻き付けてなるフープ巻繊維層に樹脂を含浸硬化させたフープ巻繊維強化樹脂層(21)と、補強繊維をライナ(3)の長さ方向と平行に巻き付けてなるインプレーン巻繊維層に樹脂を含浸硬化させたインプレーン巻繊維強化樹脂層(22)と、補強繊維をライナ(3)の長さ方向に対して傾斜するように巻き付けてなるヘリカル巻繊維層に樹脂を含浸硬化させたヘリカル巻繊維強化樹脂層(23)とよりなる。各繊維強化樹脂層(21)(22)(23)を構成する繊維としては、たとえばカーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが用いられるが、カーボン繊維を用いることが好ましい。また、各繊維強化樹脂層(21)(22)(23)を構成する樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂が用いられる。各繊維強化樹脂層(21)(22)(23)は、フィラメントワインディング法により樹脂を含浸させた補強繊維、あるいは樹脂を含浸させた補強繊維の束を巻き付けた後、樹脂を硬化させることにより形成される。
【0069】
実施形態1において、ライナ(3)および外向きフランジ(8A)(8B)は、中空押出形材(15A)(15B)に旋削加工を施すことにより一体に形成されているが、これに代えて、ダイカストによりライナ(3)および外向きフランジ(8A)(8B)が一体に形成されていてもよい。
【0070】
また、実施形態1において、ライナ(3)はアルミニウム製であるが、これに代えて樹脂製のものを用いてもよい。樹脂製ライナ(3)を用いる場合、外向きフランジ(8A)(8B)が樹脂により一体に形成されることがある。この場合、外向きフランジ(8A)(8B)どうしが溶接または接着により接合されてエンドプレート(5)が形成され、連通部材(6)として樹脂製のものが用いられてエンドプレート(5)に溶接または接着により接合される。補強壁(12B)も溶接または接着によりエンドプレート(5)の連結部(11)に接合される。また、樹脂製ライナ(3)を用いる場合であっても、外向きフランジ(8A)(8B)としてライナ(3)と別体のアルミニウム製のものがを用いられることがある。この場合、たとえば外向きフランジ(8A)(8B)をインサートとしてライナ(3)を射出成形することにより、ライナ(3)と外向きフランジ(8A)(8B)とが一体化される。なお、この場合、外向きフランジ(8A)(8B)どうしの接合、連通部材(6)とエンドプレート(5)との接合、および補強壁(12B)とエンドプレート(5)の連結部(11)との接合は、実施形態1の場合と同様にして行われる。
【0071】
実施形態2
この実施形態は図8および図9に示すものである。
【0072】
この実施形態の圧力容器の場合、エンドプレート(5)の各連結部(11)における左右方向外面に、上下方向に伸びる直線状の内部拡大溝(25)が形成されている。内部拡大溝(25)の上下両端は、エンドプレート(5)の上下両面に開口している。また、連通部材(6)の補強壁(12B)に、上下方向に伸びかつエンドプレート(5)の内部拡大溝(25)に嵌め入れられる嵌入部(26)が形成されている。嵌入部(26)は、連通部材(6)の周壁外周面まで伸びている。そして、嵌入部(26)が上下いずれか一端開口から内部拡大溝(25)に嵌め入れられることにより、連通部材(6)の補強壁(12B)がエンドプレート(5)の連結部(11)に連結されている。
【0073】
その他の構成は実施形態1の圧力容器(1)と同様であり、さらなる耐圧性が要求される場合には、実施形態1の場合と同様に、すべての容器構成体(2)に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。
【0074】
また、上記実施形態2においても、樹脂製ライナ(3)を用いてもよい。樹脂製ライナ(3)を用いる場合、すべてのライナ(3)とエンドプレート(5)とが樹脂により一体成形されることがある。この場合、連通部材(6)も樹脂製のものとされ、エンドプレート(5)に溶接または接着により接合される。また、樹脂製ライナ(3)を用いる場合であっても、エンドプレート(5)としてライナ(3)と別体のアルミニウム製のものがを用いられることがある。この場合、たとえばエンドプレート(5)をインサートとしてすべてのライナ(3)を同時に射出成形することにより、ライナ(3)とエンドプレート(5)とが一体化される。
【0075】
実施形態3
この実施形態は図10に示すものである。
【0076】
この実施形態の圧力容器の場合、両エンドプレート(5)は、ライナ(3)の開口端部を嵌め入れる貫通穴(31)を有する1枚の金属板、ここではアルミニウム板(30)からなる。そして、各ライナ(3)の両端部がそれぞれアルミニウム板(30)の貫通穴(31)内に嵌め入れられ、アルミニウム板(30)における貫通穴(31)の周囲の部分とライナ(3)の開口端部とが、適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により、ライナ(3)の長さ方向外側から接合されている。エンドプレート(5)における隣り合うライナ(3)間に存在する部分が、隣り合うライナ(3)の両端部どうしを連結する連結部(11)となっている。なお、ライナ(3)の両端部におけるアルミニウム板(30)の貫通穴(31)内に嵌め入れられる部分には繊維強化樹脂層(4)は形成されていない。アルミニウム板(30)とライナ(3)とを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。
【0077】
アルミニウム板(30)は、たとえばJIS A2000系合金、JIS A5000系合金、JIS A6000系合金およびJIS A7000系合金のうちのいずれかにより形成されている。
【0078】
その他の構成は実施形態1の圧力容器(1)と同様であり、さらなる耐圧性が要求される場合には、実施形態1の場合と同様に、すべての容器構成体(2)に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。また、連通部材(6)における隣り合うライナ(3)間と対応する位置にある補強壁(12B)と、エンドプレート(5)の連結部(11)との連結は、上記実施形態2と同様にして行ってもよい。
【0079】
上記実施形態3においては、ライナ(3)はアルミニウム製であるが、これに代えて樹脂製のものを用いてもよい。樹脂製ライナ(3)を用いる場合、すべてのライナ(3)とエンドプレート(5)とが樹脂により一体成形されることがある。この場合、連通部材(6)も樹脂製のものとされ、エンドプレート(5)に溶接または接着により接合される。また、樹脂製ライナ(3)を用いる場合であっても、エンドプレート(5)としてライナ(3)と別体のアルミニウム製のものがを用いられることがある。この場合、たとえばエンドプレート(5)をインサートとしてすべてのライナ(3)を同時に射出成形することにより、ライナ(3)とエンドプレート(5)とが一体化される。
【0080】
実施形態4
この実施形態は図11に示すものである。
【0081】
この実施形態の圧力容器の場合、エンドプレート(5)は用いられておらず、隣り合う容器構成体(2)のライナ(3)の両端部どうしが金属製、ここではアルミニウム製板状連結部材(35)を介して連結一体化されている。すなわち、連結部材(35)の両側には、それぞれ隣り合う2つのライナ(3)の両端部における半分の部分が嵌る半円形の切り欠き(36)が形成されている。そして、ライナ(3)の両端部の半部が連結部材(35)の切り欠き(36)内に嵌め入れられ、連結部材(35)における切り欠き(36)の周囲の部分とライナ(3)の両端部とが、適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により、ライナ(3)の長さ方向外側から接合されている。連結部材(35)が、隣り合うライナ(3)の両端部どうしを連結する連結部(11)となっている。なお、ライナ(3)の両端部における連結部材(35)の切り欠き(36)内に嵌め入れられる部分には繊維強化樹脂層(4)は形成されていない。連結部材(35)とライナ(3)とを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。
【0082】
ドーム状連通部材(6)は、すべてのライナ(3)と連結部材(35)とを合わせたものの外形と同形同大の外形を有している。連通部材(6)は、周壁端面をすべてのライナ(3)と連結部材(35)とを合わせたものの端面の周縁部に当接させられた状態で、適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により外周側からライナ(3)および連結部材(35)に接合されている。連通部材(6)とライナ(3)および連結部材(35)とを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。
【0083】
連結部材(35)は、たとえばJIS A2000系合金、JIS A5000系合金、JIS A6000系合金およびJIS A7000系合金のうちのいずれかにより形成されている。
【0084】
その他の構成は実施形態1の圧力容器(1)と同様であり、さらなる耐圧性が要求される場合には、実施形態1の場合と同様に、すべての容器構成体(2)に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。また、連通部材(6)における隣り合うライナ(3)間と対応する位置にある補強壁(12B)と連結部(11)との連結は、上記実施形態2と同様にして行ってもよい。
【0085】
上記実施形態4においては、ライナ(3)はアルミニウム製であるが、これに代えて樹脂製のものを用いてもよい。樹脂製ライナ(3)を用いる場合、連結部材(35)がすべてのライナ(3)に一体に形成されることがある。この場合、連通部材(6)も樹脂製のものとされ、連結部材(35)およびライナ(3)に溶接または接着により接合される。また、樹脂製ライナ(3)を用いる場合であっても、連結部材(35)としてライナ(3)と別体のアルミニウム製のものがを用いられることがある。この場合、たとえば連結部材(35)をインサートとしてすべてのライナ(3)を射出成形することにより、ライナ(3)と連結部材(35)とが一体化される。
【0086】
図12は実施形態1〜4の圧力容器に用いられる連通部材(6)の変形例を示す。
【0087】
図12(a)に示す連通部材(6)の場合、各ライナ(3)の前後方向の中央部に対応する位置には補強壁(12A)は一体に形成されておらず、隣り合うライナ(3)間に対応する位置にのみ補強壁(12B)が一体に形成されている。
【0088】
図12(b)に示す連通部材(6)の場合、隣り合う補強壁(12A)(12B)どうしを一体に連結するとともに、前後両端の補強壁(12A)を連通部材(6)の周壁に一体に連結する前後方向に伸びる補強壁(12C)が一体に形成されている。
【0089】
なお、図12に示す変形例において、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が連結部(11)に連結される。
【0090】
上記実施形態1〜4において、すべての容器構成体(2)のライナ(3)の直径は等しくなっているが、これに限るものではなく、少なくとも1つの容器構成体(2)のライナ(3)の直径が異なっていてもよい。この場合、実施形態1〜4における連通部材(6)の外形や、実施形態1〜3におけるエンドプレート(5)の形状や、実施形態4における連結部材(35)の形状が適宜変更される。
【0091】
たとえば、図13に鎖線で示すように、隣り合う2つのライナ(3)の直径が等しく、いずれか一方のライナ(3)の前後方向外側にこれよりも大径の円筒状ライナ(3)が配置されることがある。なお、図13はライナおよび連通部材のみを示す。この場合、連通部材(6)としては、図13に示すようにな外形を有するものが用いられる。この連通部材(6)においても、すべてのライナ(3)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分にそれぞれ補強壁(12A)(12B)が固定状に設けられている。そして、実施形態1〜3におけるエンドプレート(5)の形状や、実施形態4における連結部材(35)の形状が、連通部材(6)の形状に合わせて適宜変更される。
【0092】
なお、図13に示す連通部材(6)においても、図12(a)に示す連通部材(6)と同様にして補強壁(12A)が設けられていないことがあり、また図12(b)に示す連通部材(6)と同様にして補強壁(12C)が固定状に設けられることがある。また、図13に示す連通部材(6)においても、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が連結部(11)に連結される。
【0093】
上記実施形態1〜4において、容器構成体(2)の数は適宜変更可能である。
【0094】
たとえば、図14に示すように、容器構成体(2)の数が2つであることがある。この場合、実施形態1における前後方向の両端に位置する2つの容器構成体(2)が用いられ、連通部材(6)としては、実施形態1の場合よりも前後方向の長さが短いものが用いられる。この連通部材(6)においても、すべてのライナ(3)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分にそれぞれ補強壁(12A)(12B)が固定状に設けられている。
【0095】
また、容器構成体(2)の数が2つである場合、図15に示す連通部材(6)が用いられることがある。この連通部材(6)においては、補強壁(12A)(12B)に加えて、連通部材(6)の周壁における前後両端円弧状部分に、当該円弧状部分の径方向内方に突出した複数の補強壁(12D)が一体に形成されている。
【0096】
図14および図15に示す連通部材(6)において、実施形態1または2の方法により、補強壁(12B)が連結部(11)に連結される。
【0097】
なお、図14および図15は、ライナ(3)および連通部材(6)のみを示す。
【0098】
図16は、直径の等しい円筒状ライナ(3)を有する複数の容器構成体(2)を、軸線が同一水平面内に位置するように並べた場合の圧力容器の変形例を示す。なお、図16においては、ライナ(3)および連通部材(6)のみを示す。
【0099】
図16に関する説明において、図16の左右を左右といい、図16の下側を前、上側を後というものとする。
【0100】
図16(a)に示す圧力容器(40)の場合、すべてのライナ(3)の長さが等しく、すべてのライナ(3)は両端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように並べられている。そして、すべてのライナ(3)の左端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、すべてのライナ(3)の左端部に跨るように口部(7)を有するドーム状連通部材(6)が接合され、すべてのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともにすべてのライナ(3)の左端開口が閉鎖されている。
【0101】
前側の隣り合う2つのライナ(3)の右端部どうしは、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、両ライナ(3)の右端部に跨るようにドーム状連通部材(6)が接合され、両ライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに両ライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。後端のライナ(3)の右端部には略椀状の閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により外周側から接合されており、閉鎖部材(41)により各ライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。なお、鍛造によりこのライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。また、口部(7)は、左側の連通部材(6)に代えて、右側の連通部材(6)または閉鎖部材(41)に形成されていてもよい。
【0102】
左側の連通部材(6)としては、実施形態1〜4または図12に示すものが用いられ、右側の連通部材(6)としては、図14または図15に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0103】
図16(b)に示す圧力容器(42)の場合、すべてのライナ(3)の長さが等しく、すべてのライナ(3)は両端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように並べられている。そして、すべてのライナ(3)の左端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、すべてのライナ(3)の左端部に跨るように口部(7)を有するドーム状連通部材(6)が接合され、すべてのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともにすべてのライナ(3)の左端開口が閉鎖されている。
【0104】
各ライナ(3)の右端部には閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により外周側から接合されており、閉鎖部材(41)により各ライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。なお、鍛造により各ライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。また、口部(7)は、連通部材(6)に代えて、いずれかの閉鎖部材(41)に形成されていてもよい。
【0105】
左側の連通部材(6)としては、実施形態1〜4または図12に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0106】
なお、図16(b)に示す圧力容器において、少なくとも1つの容器構成体のライナ(3)の長さが他のものと異なっていてもよい。
【0107】
図16(c)に示す圧力容器(43)の場合、前側の隣り合う2つのライナ(3)の左端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するとともに、後側の隣り合う2つのライナ(3)の右端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように並べられている。前側の2つのライナ(3)の左端部どうし、および後側の2つのライナ(3)の右端部どうしが、それぞれ実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、隣り合う2つのライナ(3)の端部に跨るようにドーム状連通部材(6)が接合され、これらのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに、前側の隣り合う2つのライナ(3)の左端開口および後側の隣り合う2つのライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。
【0108】
また、前端のライナ(3)の右端部および後端のライナ(3)の左端部には、それぞれ閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により外周側から接合されており、閉鎖部材(41)によりライナ(3)における連通部材(6)とは反対側の端部の開口が閉鎖されている。なお、鍛造によりこれらのライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。そして、後端のライナ(3)の閉鎖部材(41)に口部(7)が形成されている。また、口部(7)は、後端のライナ(3)の閉鎖部材(41)に代えて、前端のライナ(3)の閉鎖部材(41)やいずれかの連通部材(6)に形成されていてもよい。
【0109】
連通部材(6)としては、図14または図15に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0110】
図16(d)に示す圧力容器(44)の場合、長さの等しい2つのライナ(3)が、前後方向に間隔をおいて両端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように配置され、両ライナ(3)間に、短い2つのライナ(3)が左右方向に伸びる同一直線上に位置するように配置されている。一方の短いライナ(3)の左端は2つの長いライナ(3)の左端と前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これら3つのライナ(3)の左端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して口部(7)を有するドーム状連通部材(6)がすべてのライナ(3)の左端部に跨るように接合され、3つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに3つのライナ(3)の左端開口が閉鎖されている。他方の短いライナ(3)の右端は2つの長いライナ(3)の右端と前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これら3つのライナ(3)の右端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用してドーム状連通部材(6)がすべてのライナ(3)の右端部に跨るように接合され、3つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに3つのライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。
【0111】
また、2つの短いライナ(3)の連通部材(6)とは反対側の端部には閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により接合されており、閉鎖部材(41)によりライナ(3)の当該端部側の開口が閉鎖されている。なお、鍛造により短いライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。
【0112】
また、口部(7)は、左側の連通部材(6)に代えて、右側の連通部材(6)またはいずれかの閉鎖部材(41)に形成されていてもよい。
【0113】
連通部材(6)としては、実施形態1〜4または図12に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0114】
図16(e)に示す圧力容器(45)の場合、1つのライナ(3)の後側に、短い2つのライナ(3)が左右方向に伸びる同一直線上に位置するように配置されている。一方の短いライナ(3)の左端は長いライナ(3)の左端と前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これら2つのライナ(3)の左端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して口部(7)を有するドーム状連通部材(6)が隣り合う2つのライナ(3)の左端部に跨るように接合され、2つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに2つのライナ(3)の左端開口が閉鎖されている。他方の短いライナ(3)の右端は長いライナ(3)の右端と前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これら2つのライナ(3)の右端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用してドーム状連通部材(6)が隣り合う2つのライナ(3)の右端部に跨るように接合され、2つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに2つのライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。
【0115】
また、2つの短いライナ(3)の連通部材(6)とは反対側の端部には閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により接合されており、閉鎖部材(41)によりライナ(3)の当該端部側の開口が閉鎖されている。なお、鍛造により短いライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。
【0116】
また、口部(7)は、左側の連通部材(6)に代えて、右側の連通部材(6)またはいずれかの閉鎖部材(41)に形成されていてもよい。
【0117】
連通部材(6)としては、図14または図15に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0118】
図16(f)に示す圧力容器(46)の場合、3つのライナ(3)の左右両端部は、平面から見てこれらのライナ(3)の左右両端が前方に向かって左右方向内方に傾斜した垂直面内に位置するように斜めに切断されている。これら3つのライナ(3)の左右両端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用してドーム状連通部材(6)がすべてのライナ(3)の左右両端部に跨るように接合され、3つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに3つのライナ(3)の左右両端開口が閉鎖されている。左側の連通部材(6)には口部(7)が形成されている。
【0119】
また、口部(7)は、左側の連通部材(6)に代えて、右側の連通部材(6)に形成されていてもよい。
【0120】
連通部材(6)としては、実施形態1〜4または図12に示すものと実質的に同様なものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0121】
図17は、非円筒状でありかつ長さの等しいライナを有する複数の容器構成体を、すべてのライナの中心線が同一水平面内に位置するように並べた場合の圧力容器の変形例を示す。なお、図17においては、ライナおよび連通部材のみを示す。
【0122】
図17に関する説明において、図17の右側を前、左側を後というものとする。また、図17の紙面表側を左、これと反対側を右というものとする。
【0123】
図17(a)に示す圧力容器(50)の場合、前後両端に位置する容器構成体におけるライナ(3A)周壁の前後方向外側部分は、横断面において上下方向の中央部が前後方向外側に突出するように丸みを帯びており、ここではライナ(3A)の横断面形状は、だ円を短軸上で切断したような略半楕円状となっている。ライナ(3A)周壁の横断面における前後方向の幅は、上下方向の高さよりも小さくなっている。前後両端の容器構成体を除いた他の容器構成体におけるライナ(3B)周壁の横断面形状は、角部に丸みが付与された縦長方形である。ライナ(3B)周壁の横断面における前後方向の幅は、上下方向の高さよりも小さくなっている。そして、隣り合う2つの容器構成体のライナ(3A)(3B)の周壁における互いに近接した部分は、横断面において互いに平行な上下方向に伸びる直線状となっている。
【0124】
容器構成体の3つのライナ(3A)(3B)の左右両端部どうしは、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、3つのライナ(3A)(3B)の左右両端部に跨るようにそれぞれドーム状連通部材(6)が接合され、これらのライナ(3A)(3B)の内部どうしが連通させられるとともにこれらのライナ(3A)(3B)の左右両端開口が閉鎖されている。いずれか一方の連通部材(6)に口部(7)が形成されている。
【0125】
この場合、連通部材(6)としては、図17(a)に示すようにな外形を有するものが用いられ、エンドプレート(5)または連結部材(35)の形状もこれに対応したものとなる。この連通部材(6)においても、すべてのライナ(3A)(3B)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3A)(3B)の端部間の連結部(11)と対応する部分にそれぞれ補強壁(12A)(12B)が固定状に設けられている。
【0126】
図17(a)に示す連通部材(6)は、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が隣り合うライナの端部間の連結部(11)に連結される。
【0127】
なお、図17(a)の連通部材(6)において、補強壁(12A)は必ずしも必要としない。
【0128】
図17(b)に示す圧力容器(51)の場合、2つの容器構成体が、非円筒状ライナ(3A)の中心線が同一水平面内に位置するように前後方向に並べられている。すなわち、圧力容器(51)においては、実施形態1の圧力容器(50)から中間部の容器構成体を省き、両端の容器構成体のライナ(3A)周壁の横断面直線状部分が互いに近接するように配置されている。
【0129】
両容器構成体のライナ(3A)の左右両端部どうしは、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、両ライナ(3A)の左右両端部に跨るようにそれぞれドーム状連通部材(6)が接合され、両ライナ(3A)の内部どうしが連通させられるとともに両ライナ(3A)の左右両端開口が閉鎖されている。いずれか一方の連通部材(6)に口部(7)が形成されている。
【0130】
この場合、連通部材(6)としては、図17(b)に示すようにな外形を有するものが用いられ、エンドプレート(5)または連結部材(35)の形状もこれに対応したものとなる。この連通部材(6)においても、両ライナ(3A)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3A)の端部間の連結部(11)と対応する部分にそれぞれ補強壁(12A)(12B)が固定状に設けられている。
【0131】
図17(b)に示す連通部材(6)は、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が隣り合うライナの端部間の連結部(11)に連結される。
【0132】
なお、図17(b)の連通部材(6)において、補強壁(12A)は必ずしも必要としない。
【0133】
図17(c)に示す圧力容器(52)の場合、図17(b)の右側のライナ(3A)の左側に、周壁の横断面形状が、だ円を上下方向に伸びる長軸上で切断したような略半楕円状でかつ横断面において上下方向の中央部が後側に突出するように丸みを帯びているライナ(3C)が配置されている。ライナ(3C)周壁の横断面における前後方向の幅は、上下方向の高さよりも小さくなっている。両ライナ(3A)(3C)の周壁における互いに近接した部分は、横断面において互いに平行な上下方向に伸びる直線状となっている。
【0134】
これらのライナ(3A)(3C)の左右両端はそれぞれ前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これらのライナ(3A)(3C)の左右両端部どうしが、それぞれ実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用してドーム状連通部材(6)が両ライナ(3A)(3C)の左右両端部に跨るように接合され、両ライナ(3A)(3C)の内部どうしが連通させられるとともに両ライナ(3A)(3C)の左右両端開口が閉鎖されている。いずれか一方の連通部材(6)に口部(7)が形成されている。
【0135】
この場合、連通部材(6)としては、図17(c)に示すようにな外形を有するものが用いられ、エンドプレート(5)または連結部材(35)の形状もこれに対応したものとなる。この連通部材(6)においても、隣り合うライナ(3A)の端部間の連結部(11)と対応する部分に補強壁(12B)が固定状に設けられている。
【0136】
図17(c)に示す連通部材(6)は、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が隣り合うライナの端部間の連結部(11)に連結される。
【0137】
図13〜図17に示す圧力容器においても、樹脂製ライナが用いられることもある。この場合、実施形態1〜4で述べたようにライナが連結一体化される。
【0138】
また、図13〜図17に示す圧力容器において、さらなる耐圧性が要求される場合には、実施形態1の場合と同様に、すべての容器構成体に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】この発明の実施形態1の圧力容器を示す斜視図である。
【図2】同じく一部を省略した水平断面図である。
【図3】図2のIII−III線拡大断面図である。
【図4】前後方向方向の端に位置する容器構成体を製造する方法を示す斜視図である。
【図5】前後方向の中間に位置する容器構成体を製造する方法を示す斜視図である。
【図6】連結一体化された複数の容器構成体に連通部材を接合する状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態1の圧力容器にさらなる耐圧性が要求された場合の対応例を示す平面図である。
【図8】この発明の実施形態2の圧力容器の一部分を示す分解斜視図である。
【図9】この発明の実施形態2の圧力容器の一部分を示す水平断面図である。
【図10】この発明の実施形態3の圧力容器を示し、連通部材を省略した分解斜視図である。
【図11】この発明の実施形態4の圧力容器を示し、連通部材を省略した分解斜視図である。
【図12】実施形態1〜4の圧力容器に用いられる連通部材の変形例を示す垂直断面図である。
【図13】実施形態1〜4の圧力容器において、直径の異なるライナを用いた場合の変形例を示す垂直断面図である。
【図14】実施形態1〜4の圧力容器において、ライナの数が2つの場合の変形例を示す垂直断面図である。
【図15】ライナの数が2つである圧力容器に用いられる連通部材の変形例を示す垂直断面図である。
【図16】直径の等しいライナを有する容器構成体を、ライナの軸線が同一水平面内に位置するように並べた場合の圧力容器の変形例を示す一部を省略した平面図である。
【図17】非円筒状ライナを有する圧力容器の変形例を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
【0140】
(1)(40)(42)〜(46)(50)〜(52):圧力容器
(2):容器構成体
(3)(3A)(3B)(3C):ライナ
(4):繊維強化樹脂層
(5):エンドプレート
(6):ドーム状連通部材
(7):口部
(8A)(8B):外向きフランジ
(11):連結部
(12A)(12B)(12C)(12D):補強壁
(14):貫通穴(連通部)
(20):2次繊維強化樹脂層
(21):フープ巻繊維強化樹脂層
(22):インプレーン巻繊維強化樹脂層
(23):ヘリカル巻繊維強化樹脂層
(25):内部拡大溝
(26):嵌入部
(30):アルミニウム板
(31):貫通穴
(35):連結部材
(36):切り欠き
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車産業、住宅産業、軍事産業、航空宇宙産業、医療産業等において、発電のための燃料となる水素ガスや天然ガスを貯蔵する圧力容器、または酸素ガスを貯蔵する圧力容器に用いられる圧力容器に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、自動車排気ガス等による大気汚染対策として、排気ガスのクリーンな天然ガス自動車や、燃料電池自動車の開発が進められている。これらの自動車は、燃料となる天然ガスや水素ガスを高圧で充填した圧力容器を搭載している。
【0004】
従来、このような圧力容器用ライナとして、円筒状の胴と胴の両端開口を閉鎖する鏡板とよりなり、両端が開口した円筒状体からなりかつ胴を構成するアルミニウム押出形材製の第1ライナ構成部材と、略椀状でかつ第1ライナ構成部材の両端部に溶接されて鏡板を構成する2つのアルミニウムダイキャスト製第2ライナ構成部材とにより形成され、第1ライナ構成部材の内面に、横断面放射状の複数の補強壁が一体に形成され、第2ライナ構成部材の内面における第1ライナ構成部材の補強壁と対応する位置に補強壁が一体に形成されたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
この圧力容器用ライナは、補強繊維を両第2ライナ構成部材にかかるようにして第1ライナ構成部材の長さ方向に対して傾斜するように巻き付けるとともにエポキシ樹脂で含浸固定してなるヘリカル巻補強層と、補強繊維を第1ライナ構成部材の周りに周方向に巻き付けるとともにエポキシ樹脂で含浸固定してなるフープ巻補強層とが設けられて、圧力容器として用いられるようになっている。
【0006】
特許文献1記載の圧力容器用ライナによれば、補強壁の働きにより、径方向の力に対する耐圧強度は十分である。
【0007】
ところで、自動車においては、航続距離を延ばすことを目的として、圧力容器の大容量化が要求されている。特許文献1記載の圧力容器用ライナを用いた圧力容器において大容量化を図るためには、胴の直径を大きくするとともに長さを長くすればよいのであるが、自動車の車幅には制限があるので、胴の長さを長くすることにも限界があることから、胴の直径を大きくすることにより、圧力容器の大容量化に対応しなければならない。しかしながら、胴の直径を大きくすると、自動車に存在する空いているスペースを有効に利用することができず、車載状態において無駄なスペースが生じ、車室の居住性が低下するという問題がある。しかも、胴の直径を大きくすると、車高を高くする必要があってセダン型等の車高の低い自動車には用いることができないという問題がある。
【特許文献1】特開平9−42595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、無駄なスペースを生じさせることなく設置することができ、しかも大容量化を図ることができる圧力容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0010】
1)少なくとも一端が開口した筒状ライナおよびライナの周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層よりなる複数の容器構成体が並べられて一体化され、すべての容器構成体のライナ内部どうしが連通させられるとともに、すべての容器構成体のライナにより1つの閉空間が形成されており、隣り合う少なくとも2つの容器構成体が、ライナの開口端部が同一側に来るように配置され、これらの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定されることにより、これらのライナの内部どうしが連通させられるとともにこれらのライナの開口が閉鎖され、ドーム状連通部材内に補強壁が固定状に設けられている圧力容器。
【0011】
2)隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部どうしが連結部により連結され、連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが連結されている上記1)記載の圧力容器。
【0012】
3)連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが係合させられることにより連結されている上記2)記載の圧力容器。
【0013】
4)連通部材の少なくとも1つの補強壁および連結部のうちのいずれか一方に直線状の内部拡大溝が形成されるとともに、同他方に内部拡大溝内に嵌め入れられる嵌入部が形成され、これにより補強壁と連結部とが係合させられている上記3)記載の圧力容器。
【0014】
5)連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが冶金的に接合されることまたは接着されることにより連結されている上記2)記載の圧力容器。
【0015】
6)ドーム状連通部材の少なくとも1つの補強壁が、隣り合う2つの容器構成体におけるライナ開口端部間に設けられ、当該補強壁に、隣り合う2つの容器構成体におけるライナの内部どうしを通じさせる連通部が形成されている上記1〜5のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0016】
7)隣り合う少なくとも2つの容器構成体のライナの開口端部に跨ってエンドプレートが固定状に設けられ、エンドプレートにおける隣り合うライナの開口端部間の部分が連結部となり、ドーム状連通部材の周縁部がエンドプレートの周縁部に接合されている上記2)〜6)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0017】
8)エンドプレートが、ライナの開口端部に一体に形成された外向きフランジどうしが接合されることにより形成されている上記7)記載の圧力容器。
【0018】
9)ライナおよび外向きフランジがアルミニウムよりなり、外向きフランジどうしが摩擦攪拌接合されている上記8)記載の圧力容器。
【0019】
10)エンドプレートが、ライナの開口端部を嵌め入れる貫通穴を有する1枚の板よりなり、当該板における貫通穴の周囲の部分とライナの開口端部とが接合されている上記7)記載の圧力容器。
【0020】
11)ライナおよび板がアルミニウムよりなり、ライナと板とが摩擦攪拌接合されている上記10)記載の圧力容器。
【0021】
12)ドーム状連通部材およびエンドプレートがアルミニウムよりなり、ドーム状連通部材とエンドプレートとが摩擦攪拌接合されている上記7)〜11)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0022】
13)隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部間に、両側のライナの開口端部が嵌る切り欠きを有する板状連結部材が配置され、連結部材における切り欠きの周囲の部分とライナの開口端部とが接合され、連結部材が連結部となり、ドーム状連通部材の周縁部が連結部材およびライナの開口端部に接合されている上記2)〜6)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0023】
14)ライナおよび連結部材がアルミニウムよりなり、ライナと連結部材とが摩擦攪拌接合されている上記13)記載の圧力容器。
【0024】
15)ドーム状連通部材、連結部材およびライナがアルミニウムよりなり、ドーム状連通部材とライナと連結部材とが摩擦攪拌接合されている上記13)または14)記載の圧力容器。
【0025】
16)ライナが円筒状である上記1)〜15)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0026】
17)ライナが非円筒状である上記1)〜15)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0027】
18)ライナの両端が開口しているとともにすべての容器構成体のライナの長さが等しくなっており、すべての容器構成体のライナの両端部に跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定され、いずれか一方のドーム状連通部材に口部が設けられている上記1)〜17)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0028】
19)すべての容器構成体に跨るように2次繊維強化樹脂層が形成されている上記1)〜18)のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【0029】
20)2次繊維強化樹脂層が、補強繊維をライナの長さ方向に平行に巻き付けてなるインプレーン巻繊維層、補強繊維をライナの長さ方向に対して傾斜するように巻き付けてなるヘリカル巻繊維層、および補強繊維をすべてのライナの長さ方向と直交する方向に巻き付けてなるフープ巻繊維層と、各繊維層に含浸させて硬化させた樹脂とよりなる上記19記載の圧力容器。
【0030】
21)燃料水素用圧力容器、燃料電池、および燃料水素用圧力容器から燃料電池に燃料水素ガスを送る圧力配管を備えており、燃料水素用圧力容器が上記1)〜20)のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる燃料電池システム。
【0031】
22)上記21)記載の燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車。
【0032】
23)上記21)記載の燃料電池システムを備えたコージェネレーションシステム。
【0033】
24)天然ガス用圧力容器および天然ガス用圧力容器から天然ガスを送り出す圧力配管を備えており、天然ガス用圧力容器が上記1)〜20)のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる天然ガス供給システム。
【0034】
25)上記24)記載の天然ガス供給システムと、発電機と、発電機駆動装置を備えているコージェネレーションシステム。
【0035】
26)上記24)記載の天然ガス供給システムと、天然ガスを燃料とするエンジンとを備えている天然ガス自動車。
【0036】
27)酸素用圧力容器および酸素用圧力容器から酸素ガスを送り出す圧力配管を備えており、酸素用圧力容器が上記1)〜20)のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる酸素ガス供給システム。
【発明の効果】
【0037】
上記1)の圧力容器によれば、少なくとも一端が開口した筒状ライナおよびライナの周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層よりなる複数の容器構成体が並べられて一体化され、すべての容器構成体のライナ内部どうしが連通させられるとともに、すべての容器構成体のライナにより1つの閉空間が形成されており、隣り合う少なくとも2つの容器構成体が、ライナの開口端部が同一側に来るように配置され、これらの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定されることにより、これらのライナの内部どうしが連通させられるとともにこれらのライナの開口が閉鎖されているので、各容器構成体の横断面の大きさおよび長さや、すべての容器構成体の並べ方を、設置すべき装置、たとえば自動車の空きスペースに合わせて適宜変更することにより、無駄なスペースを生じさせることなく設置することができ、しかも大容量化を図ることができる。また、各容器構成体のライナの周壁外周面が繊維強化樹脂層により覆われているので、耐圧性も優れたものになる。さらに、ドーム状連通部材内に補強壁が固定状に設けられているので、ドーム状連通部材の耐圧性が向上し、その肉厚を比較的薄くすることが可能になって圧力容器の軽量化を図ることができる。
【0038】
上記2)〜5)の圧力容器によれば、隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部どうしが連結部により連結され、連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが連結されているので、長さ方向に大きな力が作用した場合にも、ドーム状連通部材の固定部に応力が集中することが防止され、長さ方向の力に対する耐圧性が増大する。
【0039】
上記4)の圧力容器によれば、連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とを比較的簡単に係合させることができる。
【0040】
上記6)の圧力容器によれば、ドーム状連通部材の少なくとも1つの補強壁が、隣り合う2つの容器構成体におけるライナ開口端部間に設けられ、当該補強壁に、隣り合う2つの容器構成体におけるライナの内部どうしを通じさせる連通部が形成されているので、隣り合う2つの容器構成体におけるライナの内部どうしを通じさせることができる。
【0041】
上記7)の圧力容器によれば、連結部を比較的簡単に形成することができる。さらに、隣り合う少なくとも2つの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って、ドーム状連通部材を比較的簡単に固定することができる。
【0042】
上記8)の圧力容器によれば、エンドプレートを比較的簡単に形成することができる。
【0043】
上記9)の圧力容器によれば、外向きフランジどうしの接合を強固に行うことができる。
【0044】
上記10)の圧力容器によれば、エンドプレートを比較的簡単に形成することができる。
【0045】
上記11)の圧力容器によれば、ライナと板との接合を強固に行うことができる。
【0046】
上記12)の圧力容器によれば、ドーム状連通部材とエンドプレートとの接合を強固に行うことができる。
【0047】
上記13)の圧力容器によれば、連結部を比較的簡単に形成することができる。さらに、隣り合う少なくとも2つの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って、ドーム状連通部材を比較的簡単に固定することができる。
【0048】
上記14)の圧力容器によれば、ライナと連結部材との接合を強固に行うことができる。
【0049】
上記15)の圧力容器によれば、ドーム状連通部材とライナと連結部材との接合を強固に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0051】
以下の説明において、図2の左右を左右といい、図2の下側を前、上側を後というものとする。また、図3の上下を上下というものとする。
【0052】
実施形態1
この実施形態は図1〜図7に示すものである。図1〜図3は圧力容器を示し、図4〜図6は圧力容器の製造方法を示す。また、図7はさらなる耐圧性が要求される場合の対応例を示す。
【0053】
図1〜図3において、圧力容器(1)は、両端が開口したアルミニウム製円筒状ライナ(3)およびライナ(3)の周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層(4)よりなり、かつライナ(3)の中心線が同一水平面内に位置するように並列状に並べられた複数の容器構成体(2)と、すべての容器構成体(2)のライナ(3)の両端部に跨ってそれぞれ固定状に設けられたアルミニウム製エンドプレート(5)と、各エンドプレート(5)に固定され、かつすべての容器構成体(2)のライナ(3)の内部どうしを連通させるとともにすべてのライナ(3)の両端開口を閉鎖する外方に膨出したアルミニウム製ドーム状連通部材(6)とを備えている。すべての容器構成体(2)のライナ(3)により1つの閉空間が形成され、一方の連通部材(6)に、当該閉空間を外部に通じさせる1つの口部(7)が設けられている。
【0054】
すべての容器構成体(2)のライナ(3)の長さおよび直径は等しく、その左右両端がそれぞれ前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように配置されている。各ライナ(3)の左右両端部にはそれぞれ外向きフランジ(8A)(8B)が一体に形成されている。容器構成体(2)が並んだ方向(前後方向)の端部に位置するライナ(3)の外向きフランジ(8A)は、外側縁部が円弧状となった略半長円形である。また、他のライナ(3)の外向きフランジ(8B)は方形である。すべてのライナ(3)の外向きフランジ(8A)(8B)の高さは等しくなっている。繊維強化樹脂層(4)は、補強繊維をライナ(3)の長さ方向とほぼ直角をなすように巻き付けてなるフープ巻繊維層に樹脂を含浸硬化させることにより形成されたものであり、外向きフランジ(8A)(8B)の部分を除いて各ライナ(3)の周壁外周面全体を覆っている。補強繊維としては、たとえばカーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが用いられるが、カーボン繊維を用いることが好ましい。樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂が用いられる。そして、隣り合うライナ(3)の外向きフランジ(8A)(8B)どうしが適当な方法、ここでは摩擦攪拌接合法により、ライナ(3)の長さ方向外側から接合されてすべての容器構成体(2)が一体化されており、すべての外向きフランジ(8A)(8B)によってライナ(3)の両端部に跨るエンドプレート(5)が固定状に設けられている。外向きフランジ(8A)(8B)どうしの接合ビードを(9)で示す。なお、外向きフランジ(8A)(8B)どうしを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。エンドプレート(5)における隣り合うライナ(3)間に存在する部分が、隣り合うライナ(3)の両端部どうしを連結する連結部(11)となっている。
【0055】
ドーム状連通部材(6)は鍛造、ダイカストまたは切削により形成されたものであり、エンドプレート(5)の外形と同形同大の外形を有している。一方の連通部材(6)に形成された口部(7)には、その外端から貫通穴(7a)が形成されており、貫通穴(7a)の内周面に、たとえば制御バルブを取り付けるのに利用されるめねじ(7b)が形成されている。連通部材(6)内には上下方向に伸びる複数の補強壁(12A)(12B)が、ここではすべてのライナ(3)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成されることにより固定状に設けられている。なお、補強壁(12A)(12B)は連通部材(6)と一体に形成される代わりに、別個に設けられたものが固着されることにより、固定状に設けられていてもよい。
【0056】
口部(7)を有する連通部材(6)における中央のライナ(3)の前後方向の中央部と対応する部分に一体に形成された補強壁(12A)の左右方向外端部には、圧力容器(1)の閉空間の内部を口部(7)の貫通穴(7a)を通して外部に通じさせる切り欠き(13)が形成されている。各連通部材(6)におけるエンドプレート(5)の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)には前後方向の貫通穴(14)(連通部)が形成されており、この貫通穴(14)により隣り合うライナ(3)の内部どうしが通じさせられている。なお、補強壁(12B)には、貫通穴(14)に代えて、その左右方向内端から切り欠きが形成され、この切り欠きにより隣り合うライナ(3)の内部どうしが通じさせられていてもよい。連通部材(6)は、周壁の端面がエンドプレート(5)の左右方向外面周縁部に密着した状態で、適当な方法、ここでは摩擦攪拌接合法により外周側からエンドプレート(5)に接合されている。連通部材(6)とエンドプレート(5)との接合ビードを(10)で示す。なお、連通部材(6)とエンドプレート(5)とを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。
【0057】
連通部材(6)におけるエンドプレート(5)の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)は、エンドプレート(5)の連結部(11)に冶金的に接合されること、または接着されることにより連結されている。補強壁(12B)と連結部(11)との冶金的な接合は、鍛接、圧接、抵抗溶接、ろう付などにより行われる。なお、補強壁(12B)は、必ずしも連結部(11)に連結されている必要はない。
【0058】
ライナ(3)および両連通部材(6)は、それぞれ、たとえばJIS A2000系合金、JIS A5000系合金、JIS A6000系合金およびJIS A7000系合金のうちのいずれかにより形成されている。すべてのライナ(3)および両連通部材(6)は同じ材料で形成されていてもよいし、あるいは少なくとも1が異なる材料で形成されていてもよい。
【0059】
圧力容器(1)は、以下に述べる方法によって製造される。
【0060】
まず、図4および図5に示す方法により容器構成体(2)を製造する。なお、図4は前後両端部に位置する容器構成体(2)を製造する方法を示し、図5は前後方向の中間部に位置する容器構成体(2)を製造する方法を示す。
【0061】
すなわち、横断面の外形が外向きフランジ(8A)(8B)の外形と同形同大であり、かつ横断面円形貫通穴(16)を有するアルミニウム製中空押出形材(15A)(15B)を形成する(図4(a)および図5(a)参照)。ついで、中空押出形材(15A)(15B)の外周面にその両端部を除いて旋削加工を施すことにより、両端が開口した円筒状ライナ(3)とライナ(3)の両端部の外向きフランジ(8A)(8B)とを同時に形成する(図4(b)および図5(b)参照)。ついで、ライナ(3)の外周に、フィラメントワインディング法により樹脂を含浸させた補強繊維、あるいは樹脂を含浸させた補強繊維の束をライナ(3)の軸線とほぼ直交する方向に巻き付けることによりフープ巻繊維層を形成した後、樹脂を硬化させて繊維強化樹脂層(4)を形成することにより容器構成体(2)を製造する(図4(c)および図5(c)参照)。
【0062】
また、鍛造、ダイカストまたは切削により、補強壁(12A)(12B)を有する2つのドーム状連通部材(6)を製造しておく。各連通部材(6)の補強壁(12B)には貫通穴(14)を形成しておく。また、一方の連通部材(6)には口部(7)を形成しておくとともに、前後方向の中央部の補強壁(12A)に、口部(7)の貫通穴(7a)を形成するのと同時に切り欠き(13)を形成しておく。
【0063】
ついで、すべての容器構成体(2)を、その軸線が同一水平面内に位置するとともに両端が同一垂直面内に位置するように並列状に並べ、隣り合う容器構成体(2)の外向きフランジ(8A)(8B)の側縁部どうしを当接させる。そして、隣り合う容器構成体(2)の外向きフランジ(8A)(8B)どうしを、ライナ(3)の長さ方向外側から摩擦攪拌接合することにより、エンドプレート(5)を固定状に設ける(図6参照)。
【0064】
ついで、連通部材(6)の補強壁(12B)をエンドプレート(5)の連結部(11)に、冶金的に接合、あるいは接着する。
【0065】
その後、両連通部材(6)の周壁端面を両エンドプレート(5)の外面周縁部に当接させた状態で、連通部材(6)とエンドプレート(5)とを外周側から摩擦攪拌接合する。
【0066】
こうして、圧力容器(1)が製造される。
【0067】
圧力容器(1)にさらなる耐圧性が要求される場合には、図7に示すように、すべての容器構成体(2)に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。
【0068】
2次繊維強化樹脂層(20)は、補強繊維をすべての容器構成体(2)を連結するようにライナ(3)の長さ方向とほぼ直角をなすように巻き付けてなるフープ巻繊維層に樹脂を含浸硬化させたフープ巻繊維強化樹脂層(21)と、補強繊維をライナ(3)の長さ方向と平行に巻き付けてなるインプレーン巻繊維層に樹脂を含浸硬化させたインプレーン巻繊維強化樹脂層(22)と、補強繊維をライナ(3)の長さ方向に対して傾斜するように巻き付けてなるヘリカル巻繊維層に樹脂を含浸硬化させたヘリカル巻繊維強化樹脂層(23)とよりなる。各繊維強化樹脂層(21)(22)(23)を構成する繊維としては、たとえばカーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが用いられるが、カーボン繊維を用いることが好ましい。また、各繊維強化樹脂層(21)(22)(23)を構成する樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂が用いられる。各繊維強化樹脂層(21)(22)(23)は、フィラメントワインディング法により樹脂を含浸させた補強繊維、あるいは樹脂を含浸させた補強繊維の束を巻き付けた後、樹脂を硬化させることにより形成される。
【0069】
実施形態1において、ライナ(3)および外向きフランジ(8A)(8B)は、中空押出形材(15A)(15B)に旋削加工を施すことにより一体に形成されているが、これに代えて、ダイカストによりライナ(3)および外向きフランジ(8A)(8B)が一体に形成されていてもよい。
【0070】
また、実施形態1において、ライナ(3)はアルミニウム製であるが、これに代えて樹脂製のものを用いてもよい。樹脂製ライナ(3)を用いる場合、外向きフランジ(8A)(8B)が樹脂により一体に形成されることがある。この場合、外向きフランジ(8A)(8B)どうしが溶接または接着により接合されてエンドプレート(5)が形成され、連通部材(6)として樹脂製のものが用いられてエンドプレート(5)に溶接または接着により接合される。補強壁(12B)も溶接または接着によりエンドプレート(5)の連結部(11)に接合される。また、樹脂製ライナ(3)を用いる場合であっても、外向きフランジ(8A)(8B)としてライナ(3)と別体のアルミニウム製のものがを用いられることがある。この場合、たとえば外向きフランジ(8A)(8B)をインサートとしてライナ(3)を射出成形することにより、ライナ(3)と外向きフランジ(8A)(8B)とが一体化される。なお、この場合、外向きフランジ(8A)(8B)どうしの接合、連通部材(6)とエンドプレート(5)との接合、および補強壁(12B)とエンドプレート(5)の連結部(11)との接合は、実施形態1の場合と同様にして行われる。
【0071】
実施形態2
この実施形態は図8および図9に示すものである。
【0072】
この実施形態の圧力容器の場合、エンドプレート(5)の各連結部(11)における左右方向外面に、上下方向に伸びる直線状の内部拡大溝(25)が形成されている。内部拡大溝(25)の上下両端は、エンドプレート(5)の上下両面に開口している。また、連通部材(6)の補強壁(12B)に、上下方向に伸びかつエンドプレート(5)の内部拡大溝(25)に嵌め入れられる嵌入部(26)が形成されている。嵌入部(26)は、連通部材(6)の周壁外周面まで伸びている。そして、嵌入部(26)が上下いずれか一端開口から内部拡大溝(25)に嵌め入れられることにより、連通部材(6)の補強壁(12B)がエンドプレート(5)の連結部(11)に連結されている。
【0073】
その他の構成は実施形態1の圧力容器(1)と同様であり、さらなる耐圧性が要求される場合には、実施形態1の場合と同様に、すべての容器構成体(2)に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。
【0074】
また、上記実施形態2においても、樹脂製ライナ(3)を用いてもよい。樹脂製ライナ(3)を用いる場合、すべてのライナ(3)とエンドプレート(5)とが樹脂により一体成形されることがある。この場合、連通部材(6)も樹脂製のものとされ、エンドプレート(5)に溶接または接着により接合される。また、樹脂製ライナ(3)を用いる場合であっても、エンドプレート(5)としてライナ(3)と別体のアルミニウム製のものがを用いられることがある。この場合、たとえばエンドプレート(5)をインサートとしてすべてのライナ(3)を同時に射出成形することにより、ライナ(3)とエンドプレート(5)とが一体化される。
【0075】
実施形態3
この実施形態は図10に示すものである。
【0076】
この実施形態の圧力容器の場合、両エンドプレート(5)は、ライナ(3)の開口端部を嵌め入れる貫通穴(31)を有する1枚の金属板、ここではアルミニウム板(30)からなる。そして、各ライナ(3)の両端部がそれぞれアルミニウム板(30)の貫通穴(31)内に嵌め入れられ、アルミニウム板(30)における貫通穴(31)の周囲の部分とライナ(3)の開口端部とが、適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により、ライナ(3)の長さ方向外側から接合されている。エンドプレート(5)における隣り合うライナ(3)間に存在する部分が、隣り合うライナ(3)の両端部どうしを連結する連結部(11)となっている。なお、ライナ(3)の両端部におけるアルミニウム板(30)の貫通穴(31)内に嵌め入れられる部分には繊維強化樹脂層(4)は形成されていない。アルミニウム板(30)とライナ(3)とを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。
【0077】
アルミニウム板(30)は、たとえばJIS A2000系合金、JIS A5000系合金、JIS A6000系合金およびJIS A7000系合金のうちのいずれかにより形成されている。
【0078】
その他の構成は実施形態1の圧力容器(1)と同様であり、さらなる耐圧性が要求される場合には、実施形態1の場合と同様に、すべての容器構成体(2)に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。また、連通部材(6)における隣り合うライナ(3)間と対応する位置にある補強壁(12B)と、エンドプレート(5)の連結部(11)との連結は、上記実施形態2と同様にして行ってもよい。
【0079】
上記実施形態3においては、ライナ(3)はアルミニウム製であるが、これに代えて樹脂製のものを用いてもよい。樹脂製ライナ(3)を用いる場合、すべてのライナ(3)とエンドプレート(5)とが樹脂により一体成形されることがある。この場合、連通部材(6)も樹脂製のものとされ、エンドプレート(5)に溶接または接着により接合される。また、樹脂製ライナ(3)を用いる場合であっても、エンドプレート(5)としてライナ(3)と別体のアルミニウム製のものがを用いられることがある。この場合、たとえばエンドプレート(5)をインサートとしてすべてのライナ(3)を同時に射出成形することにより、ライナ(3)とエンドプレート(5)とが一体化される。
【0080】
実施形態4
この実施形態は図11に示すものである。
【0081】
この実施形態の圧力容器の場合、エンドプレート(5)は用いられておらず、隣り合う容器構成体(2)のライナ(3)の両端部どうしが金属製、ここではアルミニウム製板状連結部材(35)を介して連結一体化されている。すなわち、連結部材(35)の両側には、それぞれ隣り合う2つのライナ(3)の両端部における半分の部分が嵌る半円形の切り欠き(36)が形成されている。そして、ライナ(3)の両端部の半部が連結部材(35)の切り欠き(36)内に嵌め入れられ、連結部材(35)における切り欠き(36)の周囲の部分とライナ(3)の両端部とが、適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により、ライナ(3)の長さ方向外側から接合されている。連結部材(35)が、隣り合うライナ(3)の両端部どうしを連結する連結部(11)となっている。なお、ライナ(3)の両端部における連結部材(35)の切り欠き(36)内に嵌め入れられる部分には繊維強化樹脂層(4)は形成されていない。連結部材(35)とライナ(3)とを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。
【0082】
ドーム状連通部材(6)は、すべてのライナ(3)と連結部材(35)とを合わせたものの外形と同形同大の外形を有している。連通部材(6)は、周壁端面をすべてのライナ(3)と連結部材(35)とを合わせたものの端面の周縁部に当接させられた状態で、適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により外周側からライナ(3)および連結部材(35)に接合されている。連通部材(6)とライナ(3)および連結部材(35)とを接合する方法は、摩擦攪拌接合法に限定されるものではない。
【0083】
連結部材(35)は、たとえばJIS A2000系合金、JIS A5000系合金、JIS A6000系合金およびJIS A7000系合金のうちのいずれかにより形成されている。
【0084】
その他の構成は実施形態1の圧力容器(1)と同様であり、さらなる耐圧性が要求される場合には、実施形態1の場合と同様に、すべての容器構成体(2)に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。また、連通部材(6)における隣り合うライナ(3)間と対応する位置にある補強壁(12B)と連結部(11)との連結は、上記実施形態2と同様にして行ってもよい。
【0085】
上記実施形態4においては、ライナ(3)はアルミニウム製であるが、これに代えて樹脂製のものを用いてもよい。樹脂製ライナ(3)を用いる場合、連結部材(35)がすべてのライナ(3)に一体に形成されることがある。この場合、連通部材(6)も樹脂製のものとされ、連結部材(35)およびライナ(3)に溶接または接着により接合される。また、樹脂製ライナ(3)を用いる場合であっても、連結部材(35)としてライナ(3)と別体のアルミニウム製のものがを用いられることがある。この場合、たとえば連結部材(35)をインサートとしてすべてのライナ(3)を射出成形することにより、ライナ(3)と連結部材(35)とが一体化される。
【0086】
図12は実施形態1〜4の圧力容器に用いられる連通部材(6)の変形例を示す。
【0087】
図12(a)に示す連通部材(6)の場合、各ライナ(3)の前後方向の中央部に対応する位置には補強壁(12A)は一体に形成されておらず、隣り合うライナ(3)間に対応する位置にのみ補強壁(12B)が一体に形成されている。
【0088】
図12(b)に示す連通部材(6)の場合、隣り合う補強壁(12A)(12B)どうしを一体に連結するとともに、前後両端の補強壁(12A)を連通部材(6)の周壁に一体に連結する前後方向に伸びる補強壁(12C)が一体に形成されている。
【0089】
なお、図12に示す変形例において、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が連結部(11)に連結される。
【0090】
上記実施形態1〜4において、すべての容器構成体(2)のライナ(3)の直径は等しくなっているが、これに限るものではなく、少なくとも1つの容器構成体(2)のライナ(3)の直径が異なっていてもよい。この場合、実施形態1〜4における連通部材(6)の外形や、実施形態1〜3におけるエンドプレート(5)の形状や、実施形態4における連結部材(35)の形状が適宜変更される。
【0091】
たとえば、図13に鎖線で示すように、隣り合う2つのライナ(3)の直径が等しく、いずれか一方のライナ(3)の前後方向外側にこれよりも大径の円筒状ライナ(3)が配置されることがある。なお、図13はライナおよび連通部材のみを示す。この場合、連通部材(6)としては、図13に示すようにな外形を有するものが用いられる。この連通部材(6)においても、すべてのライナ(3)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分にそれぞれ補強壁(12A)(12B)が固定状に設けられている。そして、実施形態1〜3におけるエンドプレート(5)の形状や、実施形態4における連結部材(35)の形状が、連通部材(6)の形状に合わせて適宜変更される。
【0092】
なお、図13に示す連通部材(6)においても、図12(a)に示す連通部材(6)と同様にして補強壁(12A)が設けられていないことがあり、また図12(b)に示す連通部材(6)と同様にして補強壁(12C)が固定状に設けられることがある。また、図13に示す連通部材(6)においても、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が連結部(11)に連結される。
【0093】
上記実施形態1〜4において、容器構成体(2)の数は適宜変更可能である。
【0094】
たとえば、図14に示すように、容器構成体(2)の数が2つであることがある。この場合、実施形態1における前後方向の両端に位置する2つの容器構成体(2)が用いられ、連通部材(6)としては、実施形態1の場合よりも前後方向の長さが短いものが用いられる。この連通部材(6)においても、すべてのライナ(3)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分にそれぞれ補強壁(12A)(12B)が固定状に設けられている。
【0095】
また、容器構成体(2)の数が2つである場合、図15に示す連通部材(6)が用いられることがある。この連通部材(6)においては、補強壁(12A)(12B)に加えて、連通部材(6)の周壁における前後両端円弧状部分に、当該円弧状部分の径方向内方に突出した複数の補強壁(12D)が一体に形成されている。
【0096】
図14および図15に示す連通部材(6)において、実施形態1または2の方法により、補強壁(12B)が連結部(11)に連結される。
【0097】
なお、図14および図15は、ライナ(3)および連通部材(6)のみを示す。
【0098】
図16は、直径の等しい円筒状ライナ(3)を有する複数の容器構成体(2)を、軸線が同一水平面内に位置するように並べた場合の圧力容器の変形例を示す。なお、図16においては、ライナ(3)および連通部材(6)のみを示す。
【0099】
図16に関する説明において、図16の左右を左右といい、図16の下側を前、上側を後というものとする。
【0100】
図16(a)に示す圧力容器(40)の場合、すべてのライナ(3)の長さが等しく、すべてのライナ(3)は両端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように並べられている。そして、すべてのライナ(3)の左端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、すべてのライナ(3)の左端部に跨るように口部(7)を有するドーム状連通部材(6)が接合され、すべてのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともにすべてのライナ(3)の左端開口が閉鎖されている。
【0101】
前側の隣り合う2つのライナ(3)の右端部どうしは、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、両ライナ(3)の右端部に跨るようにドーム状連通部材(6)が接合され、両ライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに両ライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。後端のライナ(3)の右端部には略椀状の閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により外周側から接合されており、閉鎖部材(41)により各ライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。なお、鍛造によりこのライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。また、口部(7)は、左側の連通部材(6)に代えて、右側の連通部材(6)または閉鎖部材(41)に形成されていてもよい。
【0102】
左側の連通部材(6)としては、実施形態1〜4または図12に示すものが用いられ、右側の連通部材(6)としては、図14または図15に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0103】
図16(b)に示す圧力容器(42)の場合、すべてのライナ(3)の長さが等しく、すべてのライナ(3)は両端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように並べられている。そして、すべてのライナ(3)の左端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、すべてのライナ(3)の左端部に跨るように口部(7)を有するドーム状連通部材(6)が接合され、すべてのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともにすべてのライナ(3)の左端開口が閉鎖されている。
【0104】
各ライナ(3)の右端部には閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により外周側から接合されており、閉鎖部材(41)により各ライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。なお、鍛造により各ライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。また、口部(7)は、連通部材(6)に代えて、いずれかの閉鎖部材(41)に形成されていてもよい。
【0105】
左側の連通部材(6)としては、実施形態1〜4または図12に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0106】
なお、図16(b)に示す圧力容器において、少なくとも1つの容器構成体のライナ(3)の長さが他のものと異なっていてもよい。
【0107】
図16(c)に示す圧力容器(43)の場合、前側の隣り合う2つのライナ(3)の左端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するとともに、後側の隣り合う2つのライナ(3)の右端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように並べられている。前側の2つのライナ(3)の左端部どうし、および後側の2つのライナ(3)の右端部どうしが、それぞれ実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、隣り合う2つのライナ(3)の端部に跨るようにドーム状連通部材(6)が接合され、これらのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに、前側の隣り合う2つのライナ(3)の左端開口および後側の隣り合う2つのライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。
【0108】
また、前端のライナ(3)の右端部および後端のライナ(3)の左端部には、それぞれ閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により外周側から接合されており、閉鎖部材(41)によりライナ(3)における連通部材(6)とは反対側の端部の開口が閉鎖されている。なお、鍛造によりこれらのライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。そして、後端のライナ(3)の閉鎖部材(41)に口部(7)が形成されている。また、口部(7)は、後端のライナ(3)の閉鎖部材(41)に代えて、前端のライナ(3)の閉鎖部材(41)やいずれかの連通部材(6)に形成されていてもよい。
【0109】
連通部材(6)としては、図14または図15に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0110】
図16(d)に示す圧力容器(44)の場合、長さの等しい2つのライナ(3)が、前後方向に間隔をおいて両端が前後方向に伸びる同一垂直面内に位置するように配置され、両ライナ(3)間に、短い2つのライナ(3)が左右方向に伸びる同一直線上に位置するように配置されている。一方の短いライナ(3)の左端は2つの長いライナ(3)の左端と前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これら3つのライナ(3)の左端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して口部(7)を有するドーム状連通部材(6)がすべてのライナ(3)の左端部に跨るように接合され、3つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに3つのライナ(3)の左端開口が閉鎖されている。他方の短いライナ(3)の右端は2つの長いライナ(3)の右端と前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これら3つのライナ(3)の右端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用してドーム状連通部材(6)がすべてのライナ(3)の右端部に跨るように接合され、3つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに3つのライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。
【0111】
また、2つの短いライナ(3)の連通部材(6)とは反対側の端部には閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により接合されており、閉鎖部材(41)によりライナ(3)の当該端部側の開口が閉鎖されている。なお、鍛造により短いライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。
【0112】
また、口部(7)は、左側の連通部材(6)に代えて、右側の連通部材(6)またはいずれかの閉鎖部材(41)に形成されていてもよい。
【0113】
連通部材(6)としては、実施形態1〜4または図12に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0114】
図16(e)に示す圧力容器(45)の場合、1つのライナ(3)の後側に、短い2つのライナ(3)が左右方向に伸びる同一直線上に位置するように配置されている。一方の短いライナ(3)の左端は長いライナ(3)の左端と前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これら2つのライナ(3)の左端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して口部(7)を有するドーム状連通部材(6)が隣り合う2つのライナ(3)の左端部に跨るように接合され、2つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに2つのライナ(3)の左端開口が閉鎖されている。他方の短いライナ(3)の右端は長いライナ(3)の右端と前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これら2つのライナ(3)の右端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用してドーム状連通部材(6)が隣り合う2つのライナ(3)の右端部に跨るように接合され、2つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに2つのライナ(3)の右端開口が閉鎖されている。
【0115】
また、2つの短いライナ(3)の連通部材(6)とは反対側の端部には閉鎖部材(41)が適当な方法、たとえば摩擦攪拌接合法により接合されており、閉鎖部材(41)によりライナ(3)の当該端部側の開口が閉鎖されている。なお、鍛造により短いライナ(3)と閉鎖部材(41)とが一体に形成されていてもよい。
【0116】
また、口部(7)は、左側の連通部材(6)に代えて、右側の連通部材(6)またはいずれかの閉鎖部材(41)に形成されていてもよい。
【0117】
連通部材(6)としては、図14または図15に示すものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0118】
図16(f)に示す圧力容器(46)の場合、3つのライナ(3)の左右両端部は、平面から見てこれらのライナ(3)の左右両端が前方に向かって左右方向内方に傾斜した垂直面内に位置するように斜めに切断されている。これら3つのライナ(3)の左右両端部どうしが、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用してドーム状連通部材(6)がすべてのライナ(3)の左右両端部に跨るように接合され、3つのライナ(3)の内部どうしが連通させられるとともに3つのライナ(3)の左右両端開口が閉鎖されている。左側の連通部材(6)には口部(7)が形成されている。
【0119】
また、口部(7)は、左側の連通部材(6)に代えて、右側の連通部材(6)に形成されていてもよい。
【0120】
連通部材(6)としては、実施形態1〜4または図12に示すものと実質的に同様なものが用いられ、隣り合うライナ(3)の端部間の連結部(11)と対応する部分に一体に形成された補強壁(12B)が、実施形態1または2のようにして連結部(11)に連結される。
【0121】
図17は、非円筒状でありかつ長さの等しいライナを有する複数の容器構成体を、すべてのライナの中心線が同一水平面内に位置するように並べた場合の圧力容器の変形例を示す。なお、図17においては、ライナおよび連通部材のみを示す。
【0122】
図17に関する説明において、図17の右側を前、左側を後というものとする。また、図17の紙面表側を左、これと反対側を右というものとする。
【0123】
図17(a)に示す圧力容器(50)の場合、前後両端に位置する容器構成体におけるライナ(3A)周壁の前後方向外側部分は、横断面において上下方向の中央部が前後方向外側に突出するように丸みを帯びており、ここではライナ(3A)の横断面形状は、だ円を短軸上で切断したような略半楕円状となっている。ライナ(3A)周壁の横断面における前後方向の幅は、上下方向の高さよりも小さくなっている。前後両端の容器構成体を除いた他の容器構成体におけるライナ(3B)周壁の横断面形状は、角部に丸みが付与された縦長方形である。ライナ(3B)周壁の横断面における前後方向の幅は、上下方向の高さよりも小さくなっている。そして、隣り合う2つの容器構成体のライナ(3A)(3B)の周壁における互いに近接した部分は、横断面において互いに平行な上下方向に伸びる直線状となっている。
【0124】
容器構成体の3つのライナ(3A)(3B)の左右両端部どうしは、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、3つのライナ(3A)(3B)の左右両端部に跨るようにそれぞれドーム状連通部材(6)が接合され、これらのライナ(3A)(3B)の内部どうしが連通させられるとともにこれらのライナ(3A)(3B)の左右両端開口が閉鎖されている。いずれか一方の連通部材(6)に口部(7)が形成されている。
【0125】
この場合、連通部材(6)としては、図17(a)に示すようにな外形を有するものが用いられ、エンドプレート(5)または連結部材(35)の形状もこれに対応したものとなる。この連通部材(6)においても、すべてのライナ(3A)(3B)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3A)(3B)の端部間の連結部(11)と対応する部分にそれぞれ補強壁(12A)(12B)が固定状に設けられている。
【0126】
図17(a)に示す連通部材(6)は、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が隣り合うライナの端部間の連結部(11)に連結される。
【0127】
なお、図17(a)の連通部材(6)において、補強壁(12A)は必ずしも必要としない。
【0128】
図17(b)に示す圧力容器(51)の場合、2つの容器構成体が、非円筒状ライナ(3A)の中心線が同一水平面内に位置するように前後方向に並べられている。すなわち、圧力容器(51)においては、実施形態1の圧力容器(50)から中間部の容器構成体を省き、両端の容器構成体のライナ(3A)周壁の横断面直線状部分が互いに近接するように配置されている。
【0129】
両容器構成体のライナ(3A)の左右両端部どうしは、実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用して、両ライナ(3A)の左右両端部に跨るようにそれぞれドーム状連通部材(6)が接合され、両ライナ(3A)の内部どうしが連通させられるとともに両ライナ(3A)の左右両端開口が閉鎖されている。いずれか一方の連通部材(6)に口部(7)が形成されている。
【0130】
この場合、連通部材(6)としては、図17(b)に示すようにな外形を有するものが用いられ、エンドプレート(5)または連結部材(35)の形状もこれに対応したものとなる。この連通部材(6)においても、両ライナ(3A)の前後方向の中央部と対応する部分、および隣り合うライナ(3A)の端部間の連結部(11)と対応する部分にそれぞれ補強壁(12A)(12B)が固定状に設けられている。
【0131】
図17(b)に示す連通部材(6)は、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が隣り合うライナの端部間の連結部(11)に連結される。
【0132】
なお、図17(b)の連通部材(6)において、補強壁(12A)は必ずしも必要としない。
【0133】
図17(c)に示す圧力容器(52)の場合、図17(b)の右側のライナ(3A)の左側に、周壁の横断面形状が、だ円を上下方向に伸びる長軸上で切断したような略半楕円状でかつ横断面において上下方向の中央部が後側に突出するように丸みを帯びているライナ(3C)が配置されている。ライナ(3C)周壁の横断面における前後方向の幅は、上下方向の高さよりも小さくなっている。両ライナ(3A)(3C)の周壁における互いに近接した部分は、横断面において互いに平行な上下方向に伸びる直線状となっている。
【0134】
これらのライナ(3A)(3C)の左右両端はそれぞれ前後方向に伸びる同一垂直面内に位置しており、これらのライナ(3A)(3C)の左右両端部どうしが、それぞれ実施形態1〜3のエンドプレート(5)または実施形態4の連結部材(35)を用いて連結一体化されており、エンドプレート(5)または連結部材(35)を利用してドーム状連通部材(6)が両ライナ(3A)(3C)の左右両端部に跨るように接合され、両ライナ(3A)(3C)の内部どうしが連通させられるとともに両ライナ(3A)(3C)の左右両端開口が閉鎖されている。いずれか一方の連通部材(6)に口部(7)が形成されている。
【0135】
この場合、連通部材(6)としては、図17(c)に示すようにな外形を有するものが用いられ、エンドプレート(5)または連結部材(35)の形状もこれに対応したものとなる。この連通部材(6)においても、隣り合うライナ(3A)の端部間の連結部(11)と対応する部分に補強壁(12B)が固定状に設けられている。
【0136】
図17(c)に示す連通部材(6)は、実施形態1または2の方法により、連通部材(6)の補強壁(12B)が隣り合うライナの端部間の連結部(11)に連結される。
【0137】
図13〜図17に示す圧力容器においても、樹脂製ライナが用いられることもある。この場合、実施形態1〜4で述べたようにライナが連結一体化される。
【0138】
また、図13〜図17に示す圧力容器において、さらなる耐圧性が要求される場合には、実施形態1の場合と同様に、すべての容器構成体に跨るように2次繊維強化樹脂層(20)が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】この発明の実施形態1の圧力容器を示す斜視図である。
【図2】同じく一部を省略した水平断面図である。
【図3】図2のIII−III線拡大断面図である。
【図4】前後方向方向の端に位置する容器構成体を製造する方法を示す斜視図である。
【図5】前後方向の中間に位置する容器構成体を製造する方法を示す斜視図である。
【図6】連結一体化された複数の容器構成体に連通部材を接合する状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態1の圧力容器にさらなる耐圧性が要求された場合の対応例を示す平面図である。
【図8】この発明の実施形態2の圧力容器の一部分を示す分解斜視図である。
【図9】この発明の実施形態2の圧力容器の一部分を示す水平断面図である。
【図10】この発明の実施形態3の圧力容器を示し、連通部材を省略した分解斜視図である。
【図11】この発明の実施形態4の圧力容器を示し、連通部材を省略した分解斜視図である。
【図12】実施形態1〜4の圧力容器に用いられる連通部材の変形例を示す垂直断面図である。
【図13】実施形態1〜4の圧力容器において、直径の異なるライナを用いた場合の変形例を示す垂直断面図である。
【図14】実施形態1〜4の圧力容器において、ライナの数が2つの場合の変形例を示す垂直断面図である。
【図15】ライナの数が2つである圧力容器に用いられる連通部材の変形例を示す垂直断面図である。
【図16】直径の等しいライナを有する容器構成体を、ライナの軸線が同一水平面内に位置するように並べた場合の圧力容器の変形例を示す一部を省略した平面図である。
【図17】非円筒状ライナを有する圧力容器の変形例を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
【0140】
(1)(40)(42)〜(46)(50)〜(52):圧力容器
(2):容器構成体
(3)(3A)(3B)(3C):ライナ
(4):繊維強化樹脂層
(5):エンドプレート
(6):ドーム状連通部材
(7):口部
(8A)(8B):外向きフランジ
(11):連結部
(12A)(12B)(12C)(12D):補強壁
(14):貫通穴(連通部)
(20):2次繊維強化樹脂層
(21):フープ巻繊維強化樹脂層
(22):インプレーン巻繊維強化樹脂層
(23):ヘリカル巻繊維強化樹脂層
(25):内部拡大溝
(26):嵌入部
(30):アルミニウム板
(31):貫通穴
(35):連結部材
(36):切り欠き
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端が開口した筒状ライナおよびライナの周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層よりなる複数の容器構成体が並べられて一体化され、すべての容器構成体のライナ内部どうしが連通させられるとともに、すべての容器構成体のライナにより1つの閉空間が形成されており、隣り合う少なくとも2つの容器構成体が、ライナの開口端部が同一側に来るように配置され、これらの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定されることにより、これらのライナの内部どうしが連通させられるとともにこれらのライナの開口が閉鎖され、ドーム状連通部材内に補強壁が固定状に設けられている圧力容器。
【請求項2】
隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部どうしが連結部により連結され、連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが連結されている請求項1記載の圧力容器。
【請求項3】
連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが係合させられることにより連結されている請求項2記載の圧力容器。
【請求項4】
連通部材の少なくとも1つの補強壁および連結部のうちのいずれか一方に直線状の内部拡大溝が形成されるとともに、同他方に内部拡大溝内に嵌め入れられる嵌入部が形成され、これにより補強壁と連結部とが係合させられている請求項3記載の圧力容器。
【請求項5】
連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが冶金的に接合されることまたは接着されることにより連結されている請求項2記載の圧力容器。
【請求項6】
ドーム状連通部材の少なくとも1つの補強壁が、隣り合う2つの容器構成体におけるライナ開口端部間に設けられ、当該補強壁に、隣り合う2つの容器構成体におけるライナの内部どうしを通じさせる連通部が形成されている請求項1〜5のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項7】
隣り合う少なくとも2つの容器構成体のライナの開口端部に跨ってエンドプレートが固定状に設けられ、エンドプレートにおける隣り合うライナの開口端部間の部分が連結部となり、ドーム状連通部材の周縁部がエンドプレートの周縁部に接合されている請求項2〜6のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項8】
エンドプレートが、ライナの開口端部に一体に形成された外向きフランジどうしが接合されることにより形成されている請求項7記載の圧力容器。
【請求項9】
ライナおよび外向きフランジがアルミニウムよりなり、外向きフランジどうしが摩擦攪拌接合されている請求項8記載の圧力容器。
【請求項10】
エンドプレートが、ライナの開口端部を嵌め入れる貫通穴を有する1枚の板よりなり、当該板における貫通穴の周囲の部分とライナの開口端部とが接合されている請求項7記載の圧力容器。
【請求項11】
ライナおよび板がアルミニウムよりなり、ライナと板とが摩擦攪拌接合されている請求項10記載の圧力容器。
【請求項12】
ドーム状連通部材およびエンドプレートがアルミニウムよりなり、ドーム状連通部材とエンドプレートとが摩擦攪拌接合されている請求項7〜11のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項13】
隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部間に、両側のライナの開口端部が嵌る切り欠きを有する板状連結部材が配置され、連結部材における切り欠きの周囲の部分とライナの開口端部とが接合され、連結部材が連結部となり、ドーム状連通部材の周縁部が連結部材およびライナの開口端部に接合されている請求項2〜6のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項14】
ライナおよび連結部材がアルミニウムよりなり、ライナと連結部材とが摩擦攪拌接合されている請求項13記載の圧力容器。
【請求項15】
ドーム状連通部材、連結部材およびライナがアルミニウムよりなり、ドーム状連通部材とライナと連結部材とが摩擦攪拌接合されている請求項13または14記載の圧力容器。
【請求項16】
ライナが円筒状である請求項1〜15のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項17】
ライナが非円筒状である請求項1〜15のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項18】
ライナの両端が開口しているとともにすべての容器構成体のライナの長さが等しくなっており、すべての容器構成体のライナの両端部に跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定され、いずれか一方のドーム状連通部材に口部が設けられている請求項1〜17のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項19】
すべての容器構成体に跨るように2次繊維強化樹脂層が形成されている請求項1〜18のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項20】
2次繊維強化樹脂層が、補強繊維をライナの長さ方向に平行に巻き付けてなるインプレーン巻繊維層、補強繊維をライナの長さ方向に対して傾斜するように巻き付けてなるヘリカル巻繊維層、および補強繊維をすべてのライナの長さ方向と直交する方向に巻き付けてなるフープ巻繊維層と、各繊維層に含浸させて硬化させた樹脂とよりなる請求項19記載の圧力容器。
【請求項21】
燃料水素用圧力容器、燃料電池、および燃料水素用圧力容器から燃料電池に燃料水素ガスを送る圧力配管を備えており、燃料水素用圧力容器が請求項1〜20のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる燃料電池システム。
【請求項22】
請求項21記載の燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車。
【請求項23】
請求項21記載の燃料電池システムを備えたコージェネレーションシステム。
【請求項24】
天然ガス用圧力容器および天然ガス用圧力容器から天然ガスを送り出す圧力配管を備えており、天然ガス用圧力容器が請求項1〜20のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる天然ガス供給システム。
【請求項25】
請求項24記載の天然ガス供給システムと、発電機と、発電機駆動装置を備えているコージェネレーションシステム。
【請求項26】
請求項24記載の天然ガス供給システムと、天然ガスを燃料とするエンジンとを備えている天然ガス自動車。
【請求項27】
酸素用圧力容器および酸素用圧力容器から酸素ガスを送り出す圧力配管を備えており、酸素用圧力容器が請求項1〜20のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる酸素ガス供給システム。
【請求項1】
少なくとも一端が開口した筒状ライナおよびライナの周壁外周面を覆う繊維強化樹脂層よりなる複数の容器構成体が並べられて一体化され、すべての容器構成体のライナ内部どうしが連通させられるとともに、すべての容器構成体のライナにより1つの閉空間が形成されており、隣り合う少なくとも2つの容器構成体が、ライナの開口端部が同一側に来るように配置され、これらの容器構成体のライナの開口端部どうしに跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定されることにより、これらのライナの内部どうしが連通させられるとともにこれらのライナの開口が閉鎖され、ドーム状連通部材内に補強壁が固定状に設けられている圧力容器。
【請求項2】
隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部どうしが連結部により連結され、連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが連結されている請求項1記載の圧力容器。
【請求項3】
連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが係合させられることにより連結されている請求項2記載の圧力容器。
【請求項4】
連通部材の少なくとも1つの補強壁および連結部のうちのいずれか一方に直線状の内部拡大溝が形成されるとともに、同他方に内部拡大溝内に嵌め入れられる嵌入部が形成され、これにより補強壁と連結部とが係合させられている請求項3記載の圧力容器。
【請求項5】
連通部材の少なくとも1つの補強壁と連結部とが冶金的に接合されることまたは接着されることにより連結されている請求項2記載の圧力容器。
【請求項6】
ドーム状連通部材の少なくとも1つの補強壁が、隣り合う2つの容器構成体におけるライナ開口端部間に設けられ、当該補強壁に、隣り合う2つの容器構成体におけるライナの内部どうしを通じさせる連通部が形成されている請求項1〜5のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項7】
隣り合う少なくとも2つの容器構成体のライナの開口端部に跨ってエンドプレートが固定状に設けられ、エンドプレートにおける隣り合うライナの開口端部間の部分が連結部となり、ドーム状連通部材の周縁部がエンドプレートの周縁部に接合されている請求項2〜6のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項8】
エンドプレートが、ライナの開口端部に一体に形成された外向きフランジどうしが接合されることにより形成されている請求項7記載の圧力容器。
【請求項9】
ライナおよび外向きフランジがアルミニウムよりなり、外向きフランジどうしが摩擦攪拌接合されている請求項8記載の圧力容器。
【請求項10】
エンドプレートが、ライナの開口端部を嵌め入れる貫通穴を有する1枚の板よりなり、当該板における貫通穴の周囲の部分とライナの開口端部とが接合されている請求項7記載の圧力容器。
【請求項11】
ライナおよび板がアルミニウムよりなり、ライナと板とが摩擦攪拌接合されている請求項10記載の圧力容器。
【請求項12】
ドーム状連通部材およびエンドプレートがアルミニウムよりなり、ドーム状連通部材とエンドプレートとが摩擦攪拌接合されている請求項7〜11のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項13】
隣り合う少なくとも2つの容器構成体におけるライナの開口端部間に、両側のライナの開口端部が嵌る切り欠きを有する板状連結部材が配置され、連結部材における切り欠きの周囲の部分とライナの開口端部とが接合され、連結部材が連結部となり、ドーム状連通部材の周縁部が連結部材およびライナの開口端部に接合されている請求項2〜6のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項14】
ライナおよび連結部材がアルミニウムよりなり、ライナと連結部材とが摩擦攪拌接合されている請求項13記載の圧力容器。
【請求項15】
ドーム状連通部材、連結部材およびライナがアルミニウムよりなり、ドーム状連通部材とライナと連結部材とが摩擦攪拌接合されている請求項13または14記載の圧力容器。
【請求項16】
ライナが円筒状である請求項1〜15のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項17】
ライナが非円筒状である請求項1〜15のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項18】
ライナの両端が開口しているとともにすべての容器構成体のライナの長さが等しくなっており、すべての容器構成体のライナの両端部に跨って外方に膨出したドーム状連通部材が固定され、いずれか一方のドーム状連通部材に口部が設けられている請求項1〜17のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項19】
すべての容器構成体に跨るように2次繊維強化樹脂層が形成されている請求項1〜18のうちのいずれかに記載の圧力容器。
【請求項20】
2次繊維強化樹脂層が、補強繊維をライナの長さ方向に平行に巻き付けてなるインプレーン巻繊維層、補強繊維をライナの長さ方向に対して傾斜するように巻き付けてなるヘリカル巻繊維層、および補強繊維をすべてのライナの長さ方向と直交する方向に巻き付けてなるフープ巻繊維層と、各繊維層に含浸させて硬化させた樹脂とよりなる請求項19記載の圧力容器。
【請求項21】
燃料水素用圧力容器、燃料電池、および燃料水素用圧力容器から燃料電池に燃料水素ガスを送る圧力配管を備えており、燃料水素用圧力容器が請求項1〜20のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる燃料電池システム。
【請求項22】
請求項21記載の燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車。
【請求項23】
請求項21記載の燃料電池システムを備えたコージェネレーションシステム。
【請求項24】
天然ガス用圧力容器および天然ガス用圧力容器から天然ガスを送り出す圧力配管を備えており、天然ガス用圧力容器が請求項1〜20のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる天然ガス供給システム。
【請求項25】
請求項24記載の天然ガス供給システムと、発電機と、発電機駆動装置を備えているコージェネレーションシステム。
【請求項26】
請求項24記載の天然ガス供給システムと、天然ガスを燃料とするエンジンとを備えている天然ガス自動車。
【請求項27】
酸素用圧力容器および酸素用圧力容器から酸素ガスを送り出す圧力配管を備えており、酸素用圧力容器が請求項1〜20のうちのいずれかに記載の圧力容器からなる酸素ガス供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−38155(P2006−38155A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221369(P2004−221369)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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