説明

圧縮エア供給装置と該圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置

【課題】工作機械自体に専用で設けられる簡単且つ低コストな圧縮エア供給装置及びこの圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置を提供することを課題としている。
【解決手段】工作機械1で使用する切削油を該工作機械1側に圧送する切削油供給装置3側に、圧縮エアを出力するエアコンプレッサ7を連係させ、切削油供給装置3とエアコンプレッサ7とを同一の駆動源によって駆動し、工作機械1側の空圧機器に供給するエア供給ライン13にエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置。及び該圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械側の空圧機器に圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置及び該圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来工作機械である旋盤に搭載された空圧機器(エアシール装置)に、前記旋盤が設置されている工場のエア配管から圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置が公知となっている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−253973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方工場側の圧縮エアを使用する工作機械の台数が増加すると、工場側において圧縮エアの容量が不足し、空圧機器の駆動が安定しない場合があるという問題点があった。これに対して工作機械自体に専用で設けられる簡単且つ低コストな圧縮エア供給装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の圧縮エア供給装置は、圧縮エアを出力するエアコンプレッサ7と、該エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアを工作機械1側の空圧機器に供給するエア供給ライン13とを備えた圧縮エア供給装置において、工作機械1で使用する切削油を該工作機械1側に圧送する切削油供給装置3側に、上記エアコンプレッサ7を連係させ、切削油供給装置3とエアコンプレッサ7とを同一の駆動源によって駆動したことを第1の特徴としている。
【0005】
第2に切削油ポンプ6を駆動する駆動モータ5を設け、該駆動モータ5の出力軸5aにエアコンプレッサ7の駆動軸7aを連係させたことを特徴としている。
【0006】
第3にエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアを溜めるエアタンク12を設け、該エアタンク12を介してエア供給ライン13に上記圧縮エアを送出することを特徴としている。
【0007】
第4にエアタンク12を複数設けたことを特徴としている。
【0008】
第5にエア供給ライン13に送出する圧縮エアを所定の圧力に設定するレギュレータ11を設けたことを特徴としている。
【0009】
第6にエア供給ライン13に、エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアとは別に、外部入力レギュレータ17を介して外部から供給される外部圧縮エアを入力する外部入力部16を設け、空圧機器の所定の使用時にエア供給ライン13を流通する圧縮エアのエア圧を、外部入力レギュレータ17の2次側の圧力より高く設定したことを特徴としている。
【0010】
第7に外部圧縮エアが、工作機械1の設置施設側に設けられる圧縮エア供給設備2から出力されるものであることを特徴としている。
【0011】
一方本発明の切削油供給装置は、上記第1から第7のいずれか1つの特徴を備えた圧縮
エア供給装置を搭載することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上のように構成される本発明の圧縮エア供給装置及び該圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置によると、工作機械側の空圧機器を、当該工作機械用の切削油供給装置側に設けられたエアコンプレッサから出力される圧縮エアによって駆動することができる。このため上記空圧機器を、上記工作機械の設置施設側に設けられる圧縮エア供給設備の圧縮エアによって全て駆動する場合に比較して、設備側圧縮エアの消費量を減少させることができ、設備側の圧縮エア不足を回避することができる。
【0013】
また切削油ポンプを駆動する駆動モータの出力軸にエアコンプレッサの駆動軸を連係させ、上記切削油ポンプの駆動に伴いエアコンプレッサの駆動軸を回転させることによって、工作機械による加工作業中常時駆動される切削油供給装置の駆動源を利用してエアコンプレッサが駆動されるため、エアコンプレッサ独自の駆動源を設ける必要がなく、簡単且つ低コストで工作機械側に独自の圧縮エアの供給源を設置することができる。
【0014】
一方エアコンプレッサから出力される圧縮エアを溜めるエアタンクを設け、該エアタンクを介してエア供給ラインに上記圧縮エアを送出する構造とすることによって、エアタンク内の圧縮エアで空圧機器の駆動を安定的且つ円滑に行うことができる。なおエアタンクは、駆動する空圧機器の種類や駆動状態等に応じて直列又は並列に複数設けることができる。
【0015】
またエア供給ラインに送出する圧縮エアを所定の圧力に設定するレギュレータを設けることによって、エア供給ラインを流通する圧縮エアのエア圧を安定化させ、空圧機器を安定的に駆動することができる他、エアコンプレッサの上記駆動の入り切りを安定して行わせることもできる。
【0016】
エア供給ラインに、エアコンプレッサから出力される圧縮エアとは別に、外部入力レギュレータを介して外部から供給される外部圧縮エアを入力する外部入力部を設け、空圧機器の所定の使用時にエア供給ラインを流通する圧縮エアのエア圧を、外部入力レギュレータの2次側の圧力より高く設定することによって、空圧機器の所定の使用時は、エアコンプレッサから出力される圧縮エアによって上記空圧機器を駆動し、空圧機器の上記とは異なる使用時、例えば他の空圧機器の使用や圧縮エアの使用量増加等によってエア供給ラインのエア圧が外部入力レギュレータの2次側の圧力より低くなった場合に、自動的に外部入力部から入力する外部圧縮エアを併用して空圧機器の駆動を行うことができる。
【0017】
これにより外部圧縮エアを前述の設備側圧縮エアとすることによって、工作機械に設けられた空圧機器の一部、例えば圧縮エアの使用量が比較的小さなワークのチャック装置やエアシリンダの駆動をエアコンプレッサから出力される圧縮エアによって賄い、エアブロー装置や真空吸着装置等の圧縮エアの使用量が比較的大きい空圧機器のみ設備側圧縮エアを併用して駆動することができ、設備側圧縮エアの消費量を抑制しながら、各空圧機器を安定的に駆動することができる。
【0018】
なお切削油供給装置は、一般的に工作機械側で入り切りが制御されるため、切削供給装置に連動させてエアコンプレッサの駆動を入り切りすることができる。エアコンプレッサの駆動が停止した状態で、空圧機器側での圧縮エアの消費量が増大し、エア供給ラインのエア圧が前述のように低下した場合は、外部圧縮エアの自動流入によって上記空圧機器の駆動は安定して行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は所定の施設(加工工場)内に、本発明の圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置を備えた工作機械1が複数設置された状態を示す概要図である。なお上記工作機械1は、切削系の工作機械である自動旋盤とする。このため自動旋盤1には、ワークのチャック装置やエアシリンダ,エアシール装置,エアブロー装置等の圧縮エアを使用する空圧機器が設けられている。
【0020】
一方上記加工工場には、工場側の設備として圧縮エアを出力する圧縮エア供給設備2が設けられている。該圧縮エア供給設備2は、上記複数の工作機械1で共用する。なお圧縮エア供給設備2は従来公知であるため詳細な説明は割愛する。
【0021】
各自動旋盤1に対して設けられている各切削油供給装置3は、ワークの加工時に使用する切削油を対応する自動旋盤1に供給する。上記切削油供給装置3は、図2,図3に示されるように、切削油が貯留される切削油タンク4と、切削油タンク4内の切削油を圧送する切削油ポンプ6とを備えている。
【0022】
上記切削油ポンプ6は切削油タンク4のケーシング4aに一体的に取り付けられている。切削油ポンプ6には、電動の駆動モータ5が搭載されている。該駆動モータ5を回転駆動することによって、駆動モータ5の出力軸(回転軸)に連係されている切削油ポンプ6の回転駆動軸が回転駆動されて切削油ポンプ6が駆動され、切削油タンク4から自動旋盤1側に切削油を圧送する。
【0023】
切削油タンク4のケーシング4aには、駆動軸7aの回転駆動によって圧縮エアを出力することができるエアコンプレッサ7がブラケット8によって取り付けられている。エアコンプレッサ7は、単独での設置に比較して省スペースで設置される。該エアコンプレッサ7の駆動軸7aは、カップリング9を介して駆動モータ5の出力軸5aに連結されている。
【0024】
本自動旋盤1によるワークの切削加工時には、自動旋盤1側からの操作によって駆動モータ5が駆動され、自動旋盤1に切削油が供給される。この際エアコンプレッサ7の駆動軸7aが、上記のように駆動モータ5の出力軸5aを介して切削油ポンプ6の駆動軸に連係されているため、エアコンプレッサ7の駆動軸7aも、駆動モータ5の出力軸5aによって、切削油ポンプ6の駆動軸と同時に回転駆動される。
【0025】
上記のようにエアコンプレッサ7は、切削油ポンプ6の駆動源と同一の駆動源である駆動モータ5によって駆動される。ただしエアコンプレッサ7は、切削油ポンプ6の駆動源(駆動モータ5)の切削油ポンプ駆動に際しての余力で駆動することができる程度の比較的小型のコンプレッサとなっている。
【0026】
なお駆動モータ5は電動の他、種々の動力によって駆動されるものであってもよい。また切削油ポンプ6の駆動軸を他の駆動源、例えば工作機械側から伝動される駆動力等によって駆動することもできる。この場合はエアコンプレッサ7の駆動軸7aを切削油ポンプ6の駆動軸に連係させることによって、エアコンプレッサ7と切削油ポンプ6とを同一の駆動源によって駆動することができる。
【0027】
図4に示されるように、エアコンプレッサ7にはレギュレータ11が一体的に取り付けられている。エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアは、上記レギュレータ11の2次側から減圧されて出力される。レギュレータ11の2次側にはエアタンク12が接続されている。該エアタンク12は、自動旋盤1側又は切削油タンク4側又はエアコンプレッサ7側に取り付けることができる他、独立して支持して設置することもできる。
【0028】
レギュレータ11の2次側より出力されるエアコンプレッサ7からの圧縮エアは、上記エアタンク12に溜まる。該エアタンク12の出力側は、自動旋盤1側の各空圧機器Aに圧縮エアを供給する配管であるエア供給ライン13に接続されている。エア供給ライン13には、上記エアタンク12の出力側が接続される接続部14が設けられている。
【0029】
該接続部14には、エアタンク12からの圧縮エアとは別に、外部から供給される外部圧縮エアを入力する外部入力部16が設けられている。該外部入力部16には、外部圧縮エアとして前述の圧縮エア供給設備2からの圧縮エアが、外部入力レギュレータ17とチェック弁18を介して入力されている。
【0030】
チェック弁18は、1次側に外部圧縮エアが入力された外部入力レギュレータ17の2次側と外部入力部16との間に、外部入力レギュレータ17側からエア供給ライン13側へのエアの流通を許容するように配置されている。エア供給ライン13には、上記のように外部圧縮エアと、エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアとが並列に入力されている。
【0031】
上記エアコンプレッサ7,レギュレータ11,エアタンク12,外部入力レギュレータ17,チェック弁18,エア供給ライン13等によって、工作機械1側の空圧機器に駆動用の圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置が構成され、切削油供給装置3に搭載されている。
【0032】
レギュレータ11の2次側の圧力とエアタンク12の容量は、自動旋盤1におけるエア消費量が比較的少ない空圧機器、例えばワークのチャック装置やエアシリンダ,エアシール装置の駆動による作業時に、これら各空圧機器の駆動を賄うことができる程度のエア圧(基準エア圧)の圧縮エアがエア供給ライン13を流通するように設定されている。なお外部入力レギュレータ17の2次側の圧力は、上記基準エア圧より低く設定されている。
【0033】
これにより本自動旋盤1は、エアコンプレッサ7から出力され、エアタンク12を介してエア供給ライン13に送出される圧縮エアによって、上記エア消費量が比較的少ない空圧機器を駆動することができる。この場合基準エア圧が、外部入力レギュレータ17の2次側の圧力より高いため、圧縮エア供給設備2からの圧縮エアはエア供給ライン13に流入しない。
【0034】
上記のように各自動旋盤1用に設けられたエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアによって、各自動旋盤1は、圧縮エア供給設備2からの圧縮エアを使用することなく、搭載された空圧機器の少なくとも一部を駆動する、又は少なくとも一部の作動を行わせることができる。
【0035】
上記エアコンプレッサ7は、自動旋盤1の使用時に常時駆動される切削油供給装置3の駆動力の余力で駆動されるため、エアコンプレッサ7独自の駆動源を設けることなく、自動旋盤1の使用時には常時駆動され、簡単且つ低コストで自動旋盤1側に独自の圧縮エアの供給源を設置することができる。切削油供給装置3を停止することによってエアコンプレッサ7の駆動も停止される。
【0036】
なおエアコンプレッサ7は、少なくとも自動旋盤1によるワークの加工時に駆動する必要があるが、ワークの加工時のみではなく、自動旋盤1の使用時に常時駆動することが望ましい。ただしエアコンプレッサ7は、切削油供給装置3と同時に駆動が入り切りされるため、少なくともワークの加工時には駆動される。
【0037】
一方自動旋盤1におけるエア消費量が増大する作業時、例えばエアブロー装置や真空吸
着装置の駆動時には、エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアでは容量が不足するため、エア供給ライン13のエア圧が低下する。これに対して外部入力レギュレータ17は、上記のようにエア供給ライン13のエア圧が低下すると、1次側より圧縮エア供給設備2からの圧縮エアを外部圧縮エアとしてエア供給ライン13に自動的に導入するように設定されている。
【0038】
例えば外部入力レギュレータ17の2次側の圧力を、上記のように低下したエア供給ライン13を流通する圧縮エアのエア圧と同じ程度に設定することによって、上記のように外部入力レギュレータ17により、圧縮エア供給設備2からの圧縮エアをエア供給ライン13に自動的に導入することができる。
【0039】
これにより自動旋盤1が上記のようなエア消費量が増大する空圧機器の駆動による作業を行い、エア供給ライン13のエア圧が低下しても、外部入力レギュレータ17を介してエア供給ライン13に自動的に流入する圧縮エア供給設備2からの圧縮エアによって、上記空圧機器が安定駆動される。
【0040】
なおエア供給ライン13を流通する圧縮エアのエア圧の回復(上昇)に伴い、エア供給ライン13のエア圧が外部入力レギュレータ17の2次側の圧力より高くなると、圧縮エア供給設備2からの圧縮エアのエア供給ライン13への流入が自動的に停止し、上記エア圧が基準エア圧に回復し、エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアのみによって空圧機器が駆動される。
【0041】
上記のように比較的エア消費量が増大する作業時にのみ圧縮エア供給設備2からの圧縮エアをエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアと併用して使用するため、圧縮エア供給設備2からの圧縮エアによって自動旋盤1に搭載されている空圧機器を全て駆動する場合に比較して、圧縮エア供給設備2の圧縮エアの消費量を減少させることができ、圧縮エア供給設備2側の圧縮エア不足を回避するとともに、比較的エア消費量が増大する空圧機器の駆動も安定して行うことができる。また自動旋盤1の増設も容易に行なうことができる。
【0042】
なおエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアのみで駆動できる空圧機器は、設置が可能なエアコンプレッサの容量に応じて定まる。従って場合によっては全ての空圧機器をエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアによって駆動することや、エア消費量が比較的少ない空圧機器を圧縮エア供給設備2からの圧縮エアを併用して駆動すること等もありえる。
【0043】
ただし少なくとも一部の空圧機器の駆動、又は空圧機器の一部の作動をエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアによって賄うことによって、圧縮エア供給設備2の圧縮エアの消費量を減少させる効果はある。
【0044】
また切削油供給装置3の駆動開始直後、つまり切削油ポンプ6及びエアコンプレッサ7の駆動直後は、エア供給ライン13のエア圧が安定するまで、エア供給ライン13に自動的に圧縮エア供給設備2からの圧縮エアが流入し、自動旋盤1の各空圧機器の駆動が不安定になることはない。
【0045】
この際チェック弁18によってエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアの圧縮エア供給設備2側への逆流が規制され、エア供給ライン13を流通する圧縮エアの初期圧を確保することができる。
【0046】
さらに切削油供給装置3は、前述のように自動旋盤1側で入り切りが制御されるため、
加工作業に連動させてエアコンプレッサ7の駆動を入り切りすることができる。ただしメンテナンス等の際に、エアコンプレッサ7の駆動が停止した状態で、空圧機器側での圧縮エアの消費量が増大し、エア供給ライン13のエア圧が前述のように低下する場合がある。この場合は、外部圧縮エアの自動流入によって上記空圧機器の駆動は安定して行われる。
【0047】
一方エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアによる駆動の対象とする空圧機器や空圧機器の作動状態に応じて、エアタンク12を直列又は並列に複数設け、前記空圧機器の駆動や空圧機器の作動を安定して行わせることもできる。
【0048】
なお上記実施形態においてはレギュレータ11は、エアコンプレッサ7側に一体的に設けたが、エアタンク12の出力側や、エアタンクを複数設けた場合には、エアタンク間等、エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアのエア圧を安定化してエア供給ライン13に送出することができれば、どのような場所に設置しても良い。またエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアのエア圧を安定化してエア供給ライン13に送出することができれば、レギュレータ11は複数箇所に設けても良い。
【0049】
さらにエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアによる駆動の対象とする空圧機器や空圧機器の作動状態によっては、エアタンク12を設けずに、エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアを直接又はレギュレータ11を介してエア供給ライン13に送出するように構成することもできる。
【0050】
上記エアコンプレッサ7は、出力部分でのエア圧に応じて、制御手段によって圧縮エアの出力を入り切りするように設定しておくことができる。例えば、電動モータ5の出力軸5aからの駆動力の伝動を入り切りするクラッチ機構をエアコンプレッサ7側に設け、クラッチ機構を切り状態とすることによって、エアコンプレッサ7の駆動軸7aを空回転させ圧縮エアの出力を切るように構成することができる。
【0051】
この場合、レギュレータ11の1次側のエア圧が、基準エア圧に比較して極めて高い予め定められた停止エア圧より高くなるとクラッチ機構を切り状態とするように設定することができる。また例えば、上記のようにクラッチ機構の切り状態から、レギュレータの1次側のエア圧が、基準エア圧に比較して若干高い程度の駆動エア圧まで低下するとクラッチ機構を入り状態とするように設定することができる。
【0052】
これによりエア供給ライン13を流通する圧縮エアのエア圧が、エアコンプレッサ7から出力される圧縮エアによる駆動の対象とする空圧機器の駆動や作動を安定して行うに十分で、エアコンプレッサ7の圧縮エア出力駆動が不要な場合は、駆動トルクが極めて小さな駆動軸7aの空回転で済み、エアコンプレッサ7の駆動負担を軽減することができる。
【0053】
特に前述のようにエアタンク12を設けた構造の場合、エアタンク12に収容された圧縮エアが使用されるため、比較的長時間エアコンプレッサ7の圧縮エア出力駆動を停止(駆動軸7aを空駆動)させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0054】
ただし駆動エア圧まで低下すると、自動的にクラッチ機構が入り状態となり、圧縮エアを出力するように駆動軸7aが回転駆動されるため、前述のようにエア供給システムを使用した空圧機器の駆動や、エア供給ラインを流通する圧縮エアの円滑なエア圧回復を行うことができる。
【0055】
なお上記実施形態においては、加工工場内に設置された複数の自動旋盤に対して同一の圧縮エア供給設備2を使用する例について説明したが、自動旋盤とは異なる工作機械が含
まれている場合も、上記のように自動旋盤側で消費する圧縮エア供給設備2の圧縮エアが抑制されるため、圧縮エア供給設備2の圧縮エアの消費量を減少させることができる。
【0056】
また切削油供給装置から切削油が供給される工作機械であれば、自動旋盤以外でも同様に圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置を設けることによって、圧縮エア供給設備2の圧縮エアの消費量を減少させることができる。さらに所定のエアコンプレッサ7から出力される圧縮エアを複数の工作機械で共用することもできる。ただし上記のように各々の工作機械に独自の圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置を設けるほうが、圧縮エア供給設備2の圧縮エアの消費量減少効果は高い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】加工工場内に、本発明の切削油供給装置を備えた工作機械が複数設置された状態を示す概要図である。
【図2】切削油供給装置の斜視図である。
【図3】切削油供給装置の要部断面図である。
【図4】自動旋盤へのエアの供給状態を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0058】
1 自動旋盤(工作機械)
2 圧縮エア供給設備
3 切削油供給装置
5 駆動モータ
5a 駆動モータの出力軸
6 切削油ポンプ
7 エアコンプレッサ
7a エアコンプレッサの駆動軸
11 レギュレータ
12 エアタンク
13 エア供給ライン
16 外部入力部
17 外部入力レギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮エアを出力するエアコンプレッサ(7)と、該エアコンプレッサ(7)から出力される圧縮エアを工作機械(1)側の空圧機器に供給するエア供給ライン(13)とを備えた圧縮エア供給装置において、工作機械(1)で使用する切削油を該工作機械(1)側に圧送する切削油供給装置(3)側に、上記エアコンプレッサ(7)を連係させ、切削油供給装置(3)とエアコンプレッサ(7)とを同一の駆動源によって駆動した圧縮エア供給装置。
【請求項2】
切削油ポンプ(6)を駆動する駆動モータ(5)を設け、該駆動モータ(5)の出力軸(5a)にエアコンプレッサ(7)の駆動軸(7a)を連係させた請求項1に記載の圧縮エア供給装置。
【請求項3】
エアコンプレッサ(7)から出力される圧縮エアを溜めるエアタンク(12)を設け、該エアタンク(12)を介してエア供給ライン(13)に上記圧縮エアを送出する請求項1又は2に記載の圧縮エア供給装置。
【請求項4】
エアタンク(12)を複数設けた請求項3に記載の圧縮エア供給装置。
【請求項5】
エア供給ライン(13)に送出する圧縮エアを所定の圧力に設定するレギュレータ(11)を設けた請求項1から4のいずれか一項に記載の圧縮エア供給装置。
【請求項6】
エア供給ライン(13)に、エアコンプレッサ(7)から出力される圧縮エアとは別に、外部入力レギュレータ(17)を介して外部から供給される外部圧縮エアを入力する外部入力部(16)を設け、空圧機器の所定の使用時にエア供給ライン(13)を流通する圧縮エアのエア圧を、外部入力レギュレータ(17)の2次側の圧力より高く設定した請求項1から5のいずれか一項に記載の圧縮エア供給装置。
【請求項7】
外部圧縮エアが、工作機械(1)の設置施設側に設けられる圧縮エア供給設備(2)から出力されるものである請求項6に記載の圧縮エア供給装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の圧縮エア供給装置を搭載した切削油供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−238353(P2008−238353A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84163(P2007−84163)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】