説明

圧縮ガスの供給方法

【課題】補充が必要となる前の供給所の貯蔵容器にある残留ガスの量を低減させるための、圧縮ガスの供給方法に関する。
【解決手段】この方法は、圧縮ガスを受入容器に移送して第一の一連の充填状態とするステップであって、各受入容器が、第一の移動可能な貯蔵機器、そして続いて第二の移動可能な貯蔵機器から圧縮ガスを受け入れるステップ;第一の移動可能な貯蔵機器を、第一の移動可能な貯蔵機器が選択された消費レベルまで消費された後に補充所に輸送するステップ;第一の移動可能な貯蔵機器を補充所で補充するステップ;及び圧縮ガスを、受入容器に移送して第二の一連の充填状態とするステップであって、各受入容器が、第二の移動可能な貯蔵機器、並びに補充後の第一の移動可能な貯蔵機器及び第三の移動可能な貯蔵機器の一以上、から圧縮ガスを受け入れるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧した流体、例えば水素又は他の圧縮ガスを、受入タンク、例えば車両の燃料タンクに供給する方法に関する。本発明を、加圧した水素ガスの水素駆動車両(hydrogen−powered vehicle)の燃料タンクへの供給に関して論じるが、当業者は、本発明が他の用途を有することを理解するであろう。例えば、これを用いて、燃料として使用することも使用しないこともある他の加圧流体を供給することができ、またその加圧流体を、車両の燃料タンク以外の様々なタイプの受入タンクへ供給することができる。
【背景技術】
【0002】
清浄且つ効率的な燃料への関心の増加に伴い、自動車製造業者は、燃料電池又は水素内燃エンジンにより駆動される水素駆動車両を設計し、そして製造している。水素は、これらの車両で試験されており、そして将来における燃料の選択の可能性を有している。これらの水素駆動車両は、開発段階にあり、製造業者は広範な試験を行って、車両及び関連技術を改良させている。確立された水素燃料供給基盤が整っていないため、いくつかの製造業者は、試験場所及び他の場所に、固定した水素燃料補給所を設けている。試験は、固定した水素燃料補給所から離れて、試験車両を補給する十分な能力がない状態で、北アメリカの至る所で行われている。
【0003】
また、水素駆動車両は、公開行事で実演且つ宣伝されて、消費者の認識及び関心を向上させている。これらの行事は、水素燃料が必要であるが入手不可能な多くの場所で行われている。現在は、水素は、液体の形態で、又はシリンダー製品として、これらのイベントに配送されている。BXシリンダーを、個々に又は複数パックで用いて、水素を顧客に提供することができる。しかし、これらのシリンダーは、非常に重く、且つ輸送するのが困難(高価)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の観点から、固定した水素燃料補給所及び移動可能な水素燃料補給所に補充して、試験車両及び公開行事での実演車両に燃料を供給する必要性がある。
【0005】
産業界は、高圧で(例えば、5000psig以上の圧力で)、圧縮ガスを水素燃料自動車に供給することを望んでいる。必要な供給圧力が高くなるにつれて、通常の供給所での水素貯蔵容器に残る残留ガスの量が増える。供給所での1つ以上の貯蔵容器は、必要な供給圧力より高い圧力を有する必要がある。全ての貯蔵容器が、必要な供給圧力で圧縮ガスを与えることができない場合、その容器を補充する必要がある。
【0006】
産業界は、貯蔵容器の残留ガスを減少させた後に、貯蔵容器を補充することを望んでいる。これは、貯蔵容器の補充の頻度を減らすであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示は、圧縮ガスの供給方法に関する。この方法は、移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の貯蔵容器にある残留ガスの量を低下させた後に、貯蔵容器を補充するのに適している。
【0008】
第1の態様において、この方法は、次のステップを含む:
(a)第一の一連の流体移送操作において、第一の複数の受入容器に、圧縮ガスを移送するステップ、ここで、該第一の複数の受入容器のそれぞれが、該一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備する第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、該圧縮ガスを受け入れ、そして続いて、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備する第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から該圧縮ガスを受け入れ、それによって、該第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び該第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の該圧縮ガスを消費する;
(b)該第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、選択した消費水準まで消費させた後、該第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、補充所に輸送するステップ;
(c)該第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、補充所で補充するステップ;及び
(d)第二の一連の流体移送操作において、第二の複数の受入容器に、該圧縮ガスを移送するステップ、ここで、該第二の複数の受入容器のそれぞれが、該第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、該第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、該圧縮ガスを受け入れ、そして続いて、該補充ステップ後の該第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の少なくとも1つから、該圧縮ガスを受け入れる、ここで、該第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備する。
【0009】
第2の態様では、この方法は、上記圧縮ガスが水素である、第1の態様の方法を構成する。
【0010】
第3の態様では、この方法は、上記第二の複数の受入容器のそれぞれが、上記第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、上記第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、上記圧縮ガスを受け入れ、そして続いて、上記補充ステップ後の上記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、該圧縮ガスを受け入れる、第1の態様又は第2の態様の方法を構成する。
【0011】
第4の態様では、この方法は、上記第二の複数の受入容器のそれぞれが、上記第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、上記第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、上記圧縮ガスを受け入れ、そして続いて、上記第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、該圧縮ガスを受け入れる、第1〜第3の態様のいずれかの方法を構成する。
【0012】
第5の態様では、この方法は、上記圧縮ガスを、上記第一の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、機械的な圧縮を使わずに上記第一の複数の受入容器に移送する、第1〜第4のいずれか1つの方法を構成する。
【0013】
第6の態様では、この方法は、上記圧縮ガスを、上記第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、機械的な圧縮を使わずに上記第二の複数の受入容器に移送する、第1〜第5のいずれか1つの方法を構成する。
【0014】
第7の態様では、この方法は、上記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器が、自給式の移動可能な燃料補給所である、第1〜第6のいずれか1つの方法を構成する。
【0015】
第8の態様では、この方法は、上記第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器が、上記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を有するチューブトレーラー(tube trailer)、又は上記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を有するスキッド(skid)である、第1〜第7のいずれか1つの方法を構成する。
【0016】
第9の態様では、この方法は、上記第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器が、他の一つの自給式の移動可能な燃料補給所である、第1、第2及び第4〜第8のいずれか1つの方法を構成する。
【0017】
第10の態様では、この方法は、上記第一の一連の流体移送操作における各流体移送操作が、次のステップを含む、第1〜第9のいずれか1つの方法を構成する:
機械的圧縮を使わずに、上記第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、上記第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、上記圧縮ガスを移送するステップ;
該第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止める、該第一の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器に関する第一の基準を選択するステップ;
該第一の基準に達したときに、該第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第一の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止めるステップ;
機械的圧縮を使わずに、上記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの受入容器から、該第一の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器へ、該圧縮ガスを移送することにより、該第一の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの供給を継続するステップ;
該第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第一の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止める、該第一の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器に関する第二の基準を選択するステップ;及び
該第二の基準に達したときに、該第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第一の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止めるステップ。
【0018】
第11の態様では、この方法は、上記第二の一連の流体移送操作における各流体移送操作が、次のステップを含む、第1、第2及び第4〜第9のいずれか1つの方法を構成する:
機械的圧縮を使わずに、上記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、上記第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、上記圧縮ガスを移送するステップ;
該第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止める、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器に関する第三の基準を選択するステップ;
該第三の基準に達したときに、該第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止めるステップ;
機械的圧縮を使わずに、上記第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器へ、該圧縮ガスを移送することにより、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの供給を継続するステップ;
該第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止める、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器に関する第四の基準を選択するステップ;及び
該第四の基準に達したときに、該第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止めるステップ。
【0019】
第12の態様では、この方法は、上記第二の一連の流体移送操作における各流体移送操作が、次のステップを含む、第1〜第3、第5〜第8及び第10のいずれか1つの方法を構成する:
機械的圧縮を使わずに、上記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、上記第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、上記圧縮ガスを移送するステップ;
該第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの容器への、該圧縮ガスの移送を止める、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器に関する第五の基準を選択するステップ;
該第五の基準に達したときに、該第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止めるステップ;
機械的圧縮を使わずに、上記補充ステップ後の上記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の上記第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器へ、該圧縮ガスを移送することにより、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの供給を継続するステップ;
該補充ステップ後の該第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の該第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、該圧縮ガスの移送を止める、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器に関する第六の基準を選択するステップ;
該第六の基準に達したときに、該補充ステップ後の該第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の該第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の該少なくとも1つの容器から、該第二の複数の受入容器の該少なくとも1つの受入容器への、移送を止めるステップ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
原語書類中で用いた冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び特許請求の範囲に記載の本発明の実施態様のいずれかの特徴に適用する場合、1以上を意味する。「a」及び「an」の使用は、限定を特に述べていない限り、単一の特徴の意味に限定するものではない。原語書類中において単数若しくは複数の名詞又は名詞句の前の冠詞「the」は、1つ又は複数の特定の特徴を表し、それが用いられる文脈に応じて単数又は複数の意味合いを有することができる。形容詞「any」は、どんな量であっても無差別に1つ、いくつか又はすべてを意味する。
【0021】
本明細書で用いた用語「複数の」は、2以上を意味する。
【0022】
他に言及されない限り、本明細書で用いられる全ての圧力は、ゲージ圧である。
【0023】
簡単化及び明確化の目的のために、周知のデバイス、回路及び方法の詳細な記載を、不必要な詳細部によって本発明の記載を不明瞭にしないように、省略する。
【0024】
本発明は、圧縮ガスの供給方法に関する。
【0025】
本明細書で用いる場合、用語「圧縮ガス」は、超臨界流体及び加圧ガス(1atm(絶対圧)超であり、且つそのガスの臨界圧力未満の圧力であるガス、又はそのガスの臨界温度未満の温度のガス)を含む。
【0026】
圧縮ガスは、単一の物質種又は物質種の混合体となることができる。圧縮ガスを水素とすることができる。圧縮ガスを天然ガスとすることができる。
【0027】
この方法は、第一の一連の流体移送操作で、第一の複数の受入容器に圧縮ガスを移送するステップを含む。圧縮ガスを、機械的圧縮を用いずに、第一の一連の流体移送操作の流体移送操作の間に、第一の複数の受入容器に移送することができる。
【0028】
受入容器を、圧縮ガスを受け入れるのに適切なあらゆる容器、例えば、圧縮ガスを用いる自動車、トラック、フォークリフト、又は他の車両における容器とすることができる。第一の複数の受入容器とは、受入容器のそれぞれが異なる車両の部品である、2以上の受入容器の第一の群について言及している。
【0029】
流体移送操作は、流体(すなわち圧縮ガス)を、連続的な期間の一つの機会に、一以上の貯蔵機器から、一以上の受入容器に移す、別個の操作である。流体移送操作は、ガソリン給油所でのガソリン駆動自動車の一回の満タンと似ている。一連の流体移送操作で、流体を、複数の受入容器に、少なくともある程度を逐次的方法で、移送することができる。
【0030】
第一の一連の流体移送操作の間に、第一の複数の受入容器のそれぞれが、第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から圧縮ガスを受け入れ、そして続いて、一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から圧縮ガスを受け入れる。受入容器への圧縮ガスの移送が、逐次的であり、すなわち、まず第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、そして続いて第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器からとなるので、第一の複数の受入容器のそれぞれが、中間的な圧力まで、第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から圧縮ガスを受け入れ、そしてその後、最終の充填圧力まで、第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から圧縮ガスを受け入れる。例えば、単一の流体移送操作の間に、受入容器の目標の充填圧力が40MPa、第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の最大圧力が30MPa、第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の最大圧力が52MPaであるならば、受入容器は、第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、30MPaまで圧縮ガスを受け入れることができ、且つ第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、40MPaの最終の充填圧力まで圧縮ガスを受け入れることができる。
【0031】
第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、圧縮ガスを移送すると、圧縮ガスを消費した状態となる。本明細書で用いられる場合、「消費した」及び「消費する」は、量又は内容量が低下することを意味する。「消費する」は、圧縮ガスの容器が、全て又は完全に空である必要はない。
【0032】
第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、比較的高い圧力充填のためにすでに用いられて、もはや比較的高い圧力の充填に適切ではないが、未だ比較的低い圧力で圧縮ガスを与えるのに適切な場合がある。第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器によって、必要な比較的高い圧力充填を、与えることができる。第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から比較的低い圧力充填を与えることの利点は、補充の前に圧縮ガス貯蔵機器中の残留圧縮ガスが低下すること、及び移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の補充の頻度が少なくなることである。
【0033】
移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、圧縮ガスを貯蔵するための機器であって、この機器は、圧縮ガスを場所から場所に輸送するために適切である。もし実際に、場所から場所に移動させるならば、例えば移動可能な圧縮貯蔵機器を補充する第一の場所から、最終使用者のために受入容器に圧縮ガスを移送する第二の場所に移動させるならば、移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、圧縮ガスを場所から場所に輸送するために適切である。
【0034】
第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備する。第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備する。圧縮ガス貯蔵容器は、マニホールドが連結されている。すなわち、それらはマニホールドに接合されており、これは、それぞれ別個の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の圧縮ガス貯蔵容器のそれぞれから、圧縮ガスを受け入れる。圧縮ガス貯蔵容器は、本分野で知られたあらゆる適切な圧縮ガス貯蔵容器とすることができ、例えば、70MPaまでの圧力で水素を貯蔵できる、高圧の複合材水素タンク(composite hydrogen tank)が挙げられる。複合材水素タンクは、Quantum Technologies, lnc及びAdvanced Technical Products, IncのLincoln Composites事業部によって、述べられている。
【0035】
圧縮ガス貯蔵容器は、場所から場所に移動する場合にそれらが共に移動するという意味で、連結されている。移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の例としては、チューブトレーラー、平床式トレーラーでの輸送に適切な圧縮ガスシリンダーを有するスキッド、及び自給式の移動可能な燃料補給所、例えば米国特許第6786245号に記載されたものが挙げられる。
【0036】
第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、互いに分離されており、且つ互いに別個である。
【0037】
第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、自給式の移動可能な燃料補給所、例えば米国特許第7178565号に記載されたものとすることができる。この文献は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、チューブトレーラーとすることができる。第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、平床式トレーラーに搭載された圧縮ガスシリンダーを有するスキッドとすることができる。
【0038】
第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、自給式の移動可能な燃料補給所とすることができる。第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、チューブトレーラーとすることができる。第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、平床式トレーラーに搭載された圧縮ガスシリンダーを有するスキッドとすることができる。
【0039】
第一の一連の流体移送操作における各流体移送操作は、次のステップを含む:(a)第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器へ圧縮ガスを移送するステップ;(b)第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止める、第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に関する第一の基準を選択するステップ;(c)第一の基準に達したときに、第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵の少なくとも1つの容器からの、第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止めるステップ;(d)第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵の少なくとも1つの容器から、第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器へ、圧縮ガスを移送することにより、第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの供給を続けるステップ;(e)第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵の少なくとも1つの容器から、第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止める、第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に関する第二の基準を選択するステップ;及び(f)第二の基準に達したときに、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵の少なくとも1つの容器から、第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止めるステップ。
【0040】
第一の基準は、第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの供給と、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの供給とを切り替えるきっかけとなる、あらゆる適切な基準とすることができる。例えば、第一の基準は、受入容器の圧縮ガスの温度によって随意に調節される受入容器の目標圧力とすることができ、その圧力超で切り替えが始動する。第一の基準は、貯蔵容器と受入容器との間の目標圧力差とすることができ、ここで圧力差が目標圧力差より小さいときに、切り替えが始動する。第一の基準は、第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの目標流量(例えば、1g/s)とすることができ、この流量未満で、切り替えが始動する。
【0041】
第二の基準は、圧縮ガスの供給を止めるきっかけとなる、あらゆる適切な基準とすることができる。例えば、第二の基準は、受入容器の圧縮ガスの温度によって随意に調節される受入容器の目標圧力とすることができ、その圧力超で切り替えが始動する。第二の基準は、貯蔵容器と受入容器との間の目標圧力差とすることができ、ここで圧力差が目標圧力差より小さいときに、切り替えが始動する。第二の基準は、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの目標流量(例えば、1g/s)とすることができ、この流量未満で、切り替えが始動する。
【0042】
流体移送操作の間に、圧縮ガスを、1超のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器から、受入容器へ、カスケード充填(cascade filling)を用いて、移送することができる。カスケード充填は、例えば、米国特許第6,779,568号、並びに米国特許出願公開第2007/079891号及び第2009/0151809号に記載されている。
【0043】
この方法は、第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を選択した消費水準まで消費した後で、第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、補充所に輸送するステップを含む。第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、第一の複数の受入容器へ、圧縮ガスを繰り返し移送した後に、第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、あらゆる追加の受入容器を充填するのに使用可能な適切な量の圧縮ガスを有さない程度まで、消費した状態とすることができる。供給設備の作業員及び/又は圧縮ガス提供者は、消費水準を選択することができ、この水準未満で、移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を補充する予定とする。補充所は、あらゆる製造施設及び/又は配給施設とすることができ、例えば、トランスフィル所(transfill station)及び/又は移送所であり、ここで移動可能な圧縮ガス貯蔵機器に、圧縮ガスを適切に補充することができる。
【0044】
この方法は、補充所で第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を補充するステップも含む。第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、圧縮ガスを第一の受入容器に与えた場所に返送することもでき、又は他の一つの場所に発送することもできる。
【0045】
この方法は、第二の一連の流体移送操作において、第二の複数の受入容器に圧縮ガスを移送するステップも含む。第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、機械的圧縮を使わずに、圧縮ガスを、第二の複数の受入容器に移送することができる。
【0046】
第二の複数の受入容器とは、受入容器のそれぞれが異なる車両の部品である、2以上の受入容器の第二の群について言及している。第二の複数の受入容器は、第一の複数の受入容器と同じ1つ以上の受入容器を含むことができる。第二の複数の受入容器は、第一の複数の受入容器とは異なる受入容器を含むことができる。
【0047】
第二の複数の受入容器のそれぞれが、第二の一連の流体移送操作の容器の各流体移送操作の間に、第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器からの圧縮ガスを受け入れ、そして続いて、補充ステップ後の第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の少なくとも1つから、圧縮ガスを受け入れる。受入容器への圧縮ガスの移送が、第二の一連の流体移送操作の間、逐次的なので、すなわち、まず第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、そして続いて補充ステップ後の第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の少なくとも1つからとなるので、第二の複数の受入容器のそれぞれが、第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から比較的低い圧力の充填を受け入れて、そして続いて補充ステップ後の第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び/又は第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、比較的高い圧力の充填を受け入れる。
【0048】
第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を有する。第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から、分離されており、且つ別個である。
【0049】
第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、自給式の移動可能な燃料補給所とすることができる。第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、チューブトレーラーとすることができる。第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、平床式トレーラーに搭載された圧縮シリンダーを有するスキッドとすることができる。第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、補充所から輸送されている場合がある。
【0050】
第二の一連の流体移送操作における各流体移送操作は、(a)第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、圧縮ガスを移送するステップ;(b)第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止める、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に関する第三の基準を選択するステップ;(c)第三の基準に達したときに、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止めるステップ;(d)第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、圧縮ガスを移送することによって、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、圧縮ガスの供給を継続するステップ;(e)第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止める、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に関する第四の基準を選択するステップ;及び(f)第四の基準に達したときに、第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止めるステップ。
【0051】
第三の基準は、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの供給と、第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの供給とを切り替えるきっかけとなる、あらゆる適切な基準とすることができる。例えば、第三の基準は、受入容器の圧縮ガスの温度によって随意に調節される受入容器の目標圧力とすることができ、その圧力超で切り替えが始動する。第三の基準は、貯蔵容器と受入容器との間の目標圧力差とすることができ、ここで圧力差が目標圧力差より小さいときに、切り替えが始動する。第三の基準は、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの目標流量(例えば、1g/s)とすることができ、この流量未満で、切り替えが始動する。第三の基準は、第一の基準と同じにすることが出来るが、それぞれの貯蔵容器及び受入容器に関して調節される。
【0052】
第四の基準は、圧縮ガスの供給を止めるきっかけとなる、あらゆる適切な基準とすることができる。例えば、第四の基準は、受入容器の圧縮ガスの温度によって随意に調節される受入容器の目標圧力とすることができ、その圧力超で切り替えが始動する。第四の基準は、貯蔵容器と受入容器との間の目標圧力差とすることができ、ここで圧力差が目標圧力差より小さいときに、切り替えが始動する。第四の基準は、第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの目標流量(例えば、1g/s)とすることができ、この流量未満で、切り替えが始動する。第四の基準は、第二の基準と同じにすることが出来るが、それぞれの貯蔵容器及び受入容器に関して調節される。
【0053】
第二の一連の流体移送操作における各流体移送操作は、(a)第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、圧縮ガスを移送するステップ;(b)第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止める、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に関する第五の基準を選択するステップ;(c)第五の基準に達したときに、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器からの、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止めるステップ;(d)補充ステップ後の第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、圧縮ガスを移送することによって、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、圧縮ガスの供給を継続するステップ;(e)補充ステップ後の第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止める、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に関する第六の基準を選択するステップ;及び(f)第六の基準に達したときに、補充ステップ後の第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器への、圧縮ガスの移送を止めるステップ。
【0054】
第五の基準は、第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの供給と、補充ステップ後の第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器からの圧縮ガスの供給とを切り替えるきっかけとなる、あらゆる適切な基準とすることができる。例えば、第五の基準は、受入容器の圧縮ガスの温度によって随意に調節される受入容器の目標圧力とすることができ、その圧力超で切り替えが始動する。第五の基準は、貯蔵容器と受入容器との間の目標圧力差とすることができ、ここで圧力差が目標圧力差より小さいときに、切り替えが始動する。第五の基準は、第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの目標流量(例えば、1g/s)とすることができ、この流量未満で、切り替えが始動する。第五の基準は、第一の及び/又は第三の基準と同じにすることが出来るが、それぞれの貯蔵容器及び受入容器に関して調節される。
【0055】
第六の基準は、圧縮ガスの供給を止めるきっかけとなる、あらゆる適切な基準とすることができる。例えば、第六の基準は、受入容器の圧縮ガスの温度によって随意に調節される受入容器の目標圧力とすることができ、その圧力超で切り替えが始動する。第六の基準は、貯蔵容器と受入容器との間の目標圧力差とすることができ、ここで圧力差が目標圧力差より小さいときに、切り替えが始動する。第六の基準は、第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器からの圧縮ガスの目標流量(例えば、1g/s)とすることができ、この流量未満で、切り替えが始動する。第六の基準は、第二の又は第四の基準と同じにすることが出来るが、それぞれの貯蔵容器及び受入容器に関して調節される。
【実施例】
【0056】
例1−比較例
水素複合材タンク(hydrogen composite tank)の4つのカスケードバンク(cascade bank)を有する複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器は、781kgの水素を43.0MPaで保持する。2.86MPaの初期圧力を有する複数の受入容器を、あらゆる機械的圧縮のない状態で、4つのカスケードバンクから、34.6MPaの最終圧力まで充填する。初期に4つのカスケードバンクにある圧縮水素の42%の使用に相当する、330kgの水素を移送する。
【0057】
例2
水素複合材タンクの4つのカスケードバンクを有する第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器、及び水素複合材タンクの4つのカスケードバンクを有する第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器は、それぞれ781kgの水素を43.0MPaで保持する。2.86MPaの初期圧力を有する複数の受入容器を、本明細書に開示した方法に従ってあらゆる機械的圧縮のない状態で、34.6MPaの最終圧力まで充填する。初期に4つのカスケードバンクにある圧縮水素の80%の使用に相当する、629kgの水素を、4つのカスケードバンクを有する第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器から移送する。
【0058】
例3−比較例
水素複合材タンクの4つのカスケードバンクを有する複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器は、それぞれ781kgの水素を43.0MPaで保持する。2.86MPaの初期圧力を有する複数の受入容器を、本明細書に開示した方法に従ってあらゆる機械的圧縮のない状態で、4つのカスケードバンクから、24.2MPaの最終圧力まで充填する。初期に4つのカスケードバンクにある圧縮水素の61%の使用に相当する、475kgの水素を移送する。
【0059】
例4
水素複合材タンクの4つのカスケードバンクを有する複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器、及び他の一群の水素複合材タンクの4つのカスケードバンクを有する複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器は、それぞれ781kgの水素を43.0MPaで保持する。2.86MPaの初期圧力を有する複数の受入容器を、あらゆる機械的圧縮のない状態で、24.2MPaの最終圧力まで充填する。初期に4つのカスケードバンクにある圧縮水素の90%の使用に相当する、704kgの水素を、4つのカスケードバンク系の1つから移送する。
【0060】
この方法は、250bar又は350barの燃料供給に圧縮が必要ではないため、供給所のコストの優れた最適化を可能とする。また、移動可能な貯蔵容器のコストが水素のコストに含まれる場合、この提供方法によって、比較的低い単位コストを達成することが出来る。
【0061】
本発明は、特定の実施態様又は例について記載されているが、これに限定されない。しかし、本発明は、添付の請求項に規定されるような特許請求の範囲から離れることなく、様々な他の形態のいずれかに変える、又は変更することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを含む、圧縮ガスの供給方法:
(a)第一の一連の流体移送操作において、前記圧縮ガスを第一の複数の受入容器に移送するステップであって、前記第一の複数の受入容器のそれぞれが、前記一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備する第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から前記圧縮ガスを受け入れ、そして続いて第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備する第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から前記圧縮ガスを受け入れて、それにより前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器及び前記第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の前記圧縮ガスを消費するステップ;
(b)前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、選択した消費水準まで消費した後に、前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、補充所に輸送するステップ;
(c)前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器を、前記補充所で補充するステップ;
(d)第二の一連の流体移送操作において、前記圧縮ガスを第二の複数の受入容器に移送するステップであって、前記第二の複数の受入容器のそれぞれが、前記第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、前記第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から前記圧縮ガスを受け入れ、そして続いて前記補充ステップ後の前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器、及び第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の少なくとも1つから、前記圧縮ガスを受け入れるステップ、ここで前記第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備する。
【請求項2】
前記圧縮ガスが水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の複数の受入容器のそれぞれが、前記第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、前記第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から前記圧縮ガスを受け入れ、そして続いて前記補充ステップ後の前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から前記圧縮ガスを受け入れる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の複数の受入容器のそれぞれが、前記第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、前記第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から前記圧縮ガスを受け入れ、そして続いて前記第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器から前記圧縮ガスを受け入れる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、前記圧縮ガスを、機械的圧縮を使わずに前記第一の複数の受入容器に移送する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第二の一連の流体移送操作の各流体移送操作の間に、前記圧縮ガスを、機械的圧縮を使わずに前記第二の複数の受入容器に移送する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、自給式の移動可能な燃料補給所である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第二の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器は、前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備するチューブトレーラー、又は前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器を具備するスキッドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第三の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器が、他の一つの自給式の移動可能な燃料補給所である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の一連の流体移送操作における各流体移送操作が、次のステップを含む、請求項1に記載の方法:
前記第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、前記第一の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、機械的圧縮を使わずに前記圧縮ガスを移送するステップ;
前記第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記少なくとも1つの受入容器への、前記圧縮ガスの移送を止める、前記第一の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に関する第一の基準を選択するステップ;
前記第一の基準に達したときに、前記第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第一の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの移送を止めるステップ;
前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、前記第一の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に、機械的圧縮を使わずに前記圧縮ガスを移送することによって、前記第一の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの供給を継続するステップ;
前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第一の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への、前記圧縮ガスの移送を止める、前記第一の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に関する第二の基準を選択するステップ;及び
前記第二の基準に達したときに、前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第一の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの移送を止めるステップ。
【請求項11】
前記第二の一連の流体移送操作における各流体移送操作が、次のステップを含む、請求項1に記載の方法:
前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、機械的圧縮を使わずに前記圧縮ガスを移送するステップ;
前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への、前記圧縮ガスの移送を止める、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に関する第三の基準を選択するステップ;
前記第三の基準に達したときに、前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの移送を止めるステップ;
前記第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に、機械的圧縮を使わずに前記圧縮ガスを移送することによって、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの供給を継続するステップ;
前記第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への、前記圧縮ガスの移送を止める、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に関する第四の基準を選択するステップ;及び
前記第四の基準に達したときに、前記第三の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの移送を止めるステップ。
【請求項12】
前記第二の一連の流体移送操作における各流体移送操作が、次のステップを含む、請求項1に記載の方法:
前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の少なくとも1つの受入容器に、機械的圧縮を使わずに前記圧縮ガスを移送するステップ;
前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への、前記圧縮ガスの移送を止める、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に関する第五の基準を選択するステップ;
前記第五の基準に達したときに、前記第二の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの移送を止めるステップ;
前記補充ステップ後の前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の前記第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に、機械的圧縮を使わずに前記圧縮ガスを移送することによって、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの供給を継続するステップ;
前記補充ステップ後の前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の前記第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への、前記圧縮ガスの移送を止める、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器に関する第六の基準を選択するステップ;及び
前記第六の基準に達したときに、前記補充ステップ後の前記第一の移動可能な圧縮ガス貯蔵機器の前記第一の複数のマニホールド連結圧縮ガス貯蔵容器の前記少なくとも1つの容器から、前記第二の複数の受入容器の前記少なくとも1つの受入容器への前記圧縮ガスの移送を止めるステップ。

【公開番号】特開2011−247417(P2011−247417A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−115062(P2011−115062)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】