説明

圧縮機

【課題】運用回転数の範囲内において、励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数とが一致することを回避し、共振による破損を防止すること。
【解決手段】コンプレッサ羽根車8とコンプレッサハウジング7とを備えた圧縮機5であって、前記コンプレッサ羽根車8の底面と対向する前記コンプレッサハウジング7に、板厚方向に貫通する少なくとも1つの噴出穴20が形成され、この噴出穴20には、冷却空気供給管21の一端部が接続されており、この冷却空気供給管21の途中には、制御器24からの指令信号により作動するアクチュエータ22によって開閉されるバルブ23が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関するものであり、特に、舶用の排気タービン過給機に用いられて好適な斜流圧縮機または遠心圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舶用の排気タービン過給機に用いられて好適な圧縮機としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2002−70569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、圧縮機を構成するコンプレッサ羽根車は、流入する空気量の不均一、コンプレッサハウジングの空気入口の形状、出口スクロールの形状等の影響により、回転数の整数倍の周波数の励振力を受ける。また、下流側に(翼列)ディフューザが配置されている場合に、ディフューザの翼枚数×回転数の周波数でコンプレッサ羽根車に励振力が作用するのもその一例である。そして、この励振周波数にコンプレッサ羽根車の固有振動数が一致すると、共振を起こし、破損に至るおそれがある。
このような現象は、一定の回転数で回転する、例えば、発電用のガスタービンやディーゼル機関に搭載される排気タービン過給機の圧縮機においては、容易に回避することができるが、種々の回転数で運用される舶用のディーゼル機関に搭載される排気タービン過給機の圧縮機においては、コンプレッサ羽根車の固有振動数が、運用回転数の範囲内に複数存在するため、これらの全てを回避しながら運転することは困難であった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、運用回転数の範囲内において、励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数とが一致することを回避し、共振による破損を防止することができる圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る圧縮機は、複数枚のブレードと、これら複数枚のブレードの根元部に配置される本体とを備えたコンプレッサ羽根車と、前記コンプレッサ羽根車を回転軸回りに回転可能に収容するとともに、作動流体を前記コンプレッサ羽根車に導く作動流体入口が形成されたコンプレッサハウジングとを備えた圧縮機であって、前記コンプレッサ羽根車の底面と対向する前記コンプレッサハウジングに、板厚方向に貫通する少なくとも1つの噴出穴が形成され、この噴出穴には、冷却空気供給管の一端部が接続されており、この冷却空気供給管の途中には、制御器からの指令信号により作動するアクチュエータによって開閉されるバルブが接続されているとともに、前記制御器は、前記コンプレッサ羽根車の回転数が、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、前記アクチュエータに前記バルブを全開状態とする指令信号を出力し、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から外れた時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から遠ざかった時に、前記アクチュエータに前記バルブを全閉状態とする指令信号を出力する。
【0006】
本発明に係る圧縮機によれば、例えば、回転計で検出されたコンプレッサ羽根車の回転数が、コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいはコンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、バルブが全開状態とされ、冷却空気供給管およびバルブを通過した(冷却用)空気が、噴出穴からコンプレッサ羽根車の底面に向かって吹き付けられ、コンプレッサ羽根車が冷却されることとなる。コンプレッサ羽根車が冷却されて、コンプレッサ羽根車の温度が低下すると、コンプレッサ羽根車のヤング率が上昇し、コンプレッサ羽根車の固有振動数が上昇して、コンプレッサ羽根車の固有振動数が励振周波数よりも高くなる。
これにより、運用回転数の範囲内における励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数との一致を回避することができ、共振による破損を防止することができる。
【0007】
本発明に係る圧縮機は、複数枚のブレードと、これら複数枚のブレードの根元部に配置される本体とを備えたコンプレッサ羽根車と、前記コンプレッサ羽根車を回転軸回りに回転可能に収容するとともに、作動流体を前記コンプレッサ羽根車に導く作動流体入口が形成されたコンプレッサハウジングとを備えた圧縮機であって、前記作動流体入口の、前記コンプレッサ羽根車の上流側近傍に、少なくとも1つの噴霧ノズルが設けられ、この噴霧ノズルには、液体供給管の一端部が接続されており、この液体供給管の途中には、制御器からの指令信号により作動するアクチュエータによって開閉されるバルブが接続されているとともに、前記制御器は、前記コンプレッサ羽根車の回転数が、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、前記アクチュエータに前記バルブを全開状態とする指令信号を出力し、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から外れた時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から遠ざかった時に、前記アクチュエータに前記バルブを全閉状態とする指令信号を出力する。
【0008】
本発明に係る圧縮機によれば、例えば、回転計で検出されたコンプレッサ羽根車の回転数が、コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいはコンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、バルブが全開状態とされ、液体供給管および噴霧ノズルを通過した(冷却用)液体が、噴霧ノズルからコンプレッサ羽根車の前縁に向かって吹き付けられ、コンプレッサ羽根車の羽根(ブレード)が冷却されることとなる。コンプレッサ羽根車の羽根が冷却されて、コンプレッサ羽根車の温度が低下すると、コンプレッサ羽根車のヤング率が上昇し、コンプレッサ羽根車の固有振動数が上昇して、コンプレッサ羽根車の固有振動数が励振周波数よりも高くなる。
これにより、運用回転数の範囲内における励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数との一致を回避することができ、共振による破損を防止することができる。
【0009】
本発明に係る圧縮機は、複数枚のブレードと、これら複数枚のブレードの根元部に配置される本体とを備えたコンプレッサ羽根車と、前記コンプレッサ羽根車を回転軸回りに回転可能に収容するとともに、作動流体を前記コンプレッサ羽根車に導く作動流体入口が形成されたコンプレッサハウジングとを備えた圧縮機であって、前記コンプレッサ羽根車の底面と対向する前記コンプレッサハウジングに、板厚方向に貫通する少なくとも1つの噴出穴が形成され、この噴出穴には、冷却空気供給管の一端部が接続されており、この冷却空気供給管の途中には、制御器からの指令信号により作動する第1のアクチュエータによって開閉される第1のバルブが接続され、前記作動流体入口の、前記コンプレッサ羽根車の上流側近傍に、少なくとも1つの噴霧ノズルが設けられ、この噴霧ノズルには、液体供給管の一端部が接続されており、この液体供給管の途中には、前記制御器からの指令信号により作動する第2のアクチュエータによって開閉される第2のバルブが接続されているとともに、前記制御器は、前記コンプレッサ羽根車の回転数が、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、前記第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータに前記第1のバルブおよび前記第2のバルブを全開状態とする指令信号を出力し、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から外れた時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から遠ざかった時に、前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータに前記第1のバルブおよび前記第2のバルブを全閉状態とする指令信号を出力する。
【0010】
本発明に係る圧縮機によれば、例えば、回転計で検出されたコンプレッサ羽根車の回転数が、コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいはコンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、第1のバルブが全開状態とされ、冷却空気供給管および第1のバルブを通過した(冷却用)空気が、噴出穴からコンプレッサ羽根車の底面に向かって吹き付けられるとともに、第2のバルブが全開状態とされ、液体供給管および噴霧ノズルを通過した(冷却用)液体が、噴霧ノズルからコンプレッサ羽根車の前縁に向かって吹き付けられ、コンプレッサ羽根車が冷却されることとなる。コンプレッサ羽根車が冷却されて、コンプレッサ羽根車の温度が低下すると、コンプレッサ羽根車のヤング率が上昇し、コンプレッサ羽根車の固有振動数が上昇して、コンプレッサ羽根車の固有振動数が励振周波数よりも高くなる。
これにより、運用回転数の範囲内における励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数との一致を回避することができ、共振による破損を防止することができる。
【0011】
本発明に係る排気タービン過給機は、運用回転数の範囲内における励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数との一致を回避することができ、共振による破損を防止することができる圧縮機を備えている。
【0012】
本発明に係る排気タービン過給機によれば、運用回転数の範囲内における共振による破損が防止され、信頼性が向上することとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、運用回転数の範囲内において、励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数とが一致することを回避し、共振による破損を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る圧縮機の第1実施形態について、図1および図2を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る圧縮機を具備した排気タービン過給機の断面図、図2は図1に示す圧縮機の要部断面図である。
【0015】
本発明に係る圧縮機は、例えば、図1に示すような排気タービン過給機に適用され得るものである。
また、本発明に係る圧縮機を具備した排気タービン過給機は、例えば、図示しない舶用ディーゼル機関(例えば、低速2サイクルディーゼル機関)に装着されて、舶用ディーゼル機関を構成するシリンダライナ(図示せず)の内部と連通する給気マニホールド(図示せず)に、圧縮された空気を供給する舶用排気タービン過給機である。
【0016】
図1において、符号10はタービンハウジング、符号10aは排気ガスの出口通路、符号10bは排気ガスの入口通路、符号12は軸流型のタービン翼、符号3はタービン翼12の入口に設置されたタービンノズルであり、このタービンノズル3で静圧膨張された軸方向の排気ガス流によりタービン翼12が回転駆動されるようになっている。
【0017】
圧縮機5は、例えば、アルミニウム合金からなるコンプレッサ羽根車8と、ディフューザ4と、これらコンプレッサ羽根車8およびディフューザ4を収容するコンプレッサハウジング7とを備えている。コンプレッサハウジング7内には空気入口(作動流体入口)9が形成されており、この空気入口9からコンプレッサ羽根車8に空気(作動流体)が供給されるようになっている。そして、コンプレッサ羽根車8で加圧(圧縮)された空気は、ディフューザ4および出口スクロール7aを通って、図示しない舶用ディーゼル機関(エンジン)に供給される。
なお、図1中の符号2は、ディスク12sを備え、2個のラジアル軸受16で支持されたタービンロータ軸、符号1aは軸方向のスラストを受圧するスラスト軸受、符号100は排気タービン過給機の回転軸である。
【0018】
このような構成からなる排気タービン過給機の作動時において、舶用ディーゼル機関からの排気ガスは、排気ガスの入口通路10bを通り、タービンノズル3で静圧膨張された軸方向の排気ガス流によりタービン翼12が回転駆動される。そして、タービン翼12を駆動した排気ガスは、排気ガスの出口通路10aから外部に排出される。
タービン翼12の回転は、タービンロータ軸2を介してコンプレッサ羽根車8を回転させ、コンプレッサハウジング7の空気入口9を通って吸入された空気は、コンプレッサ羽根車8で加圧され、ディフューザ4および出口スクロール7aを通って、舶用ディーゼル機関に供給される。
【0019】
さて、図1および図2に示すように、コンプレッサ羽根車8の底面(大径側の端面)外周部と対向するコンプレッサハウジング7には、板厚方向に貫通する少なくとも1つの噴出穴20が形成されており、この噴出穴20には、冷却空気供給管21の一端部が接続されている。
また、図2に示すように、冷却空気供給管21の途中には、アクチュエータ(第1のアクチュエータ)22によって開閉されるバルブ(第1のバルブ)23が接続されている。冷却空気供給管21の他端部は、出口スクロール7aから吐出されて、空気冷却器(図示せず)で冷却された空気(50℃程度の空気)を舶用ディーゼル機関に導く配管(図示せず)の途中に接続されている。そして、アクチュエータ22によってバルブ23が全開状態にされると、冷却空気供給管21およびバルブ23を通過した(冷却用)空気が、噴出穴20からコンプレッサ羽根車8の底面に向かって吹き付けられ、これにより、コンプレッサ羽根車8が冷却される(コンプレッサ羽根車8の温度が低下する)こととなる。一方、アクチュエータ22によってバルブ23が全閉状態にされると、噴出穴20からコンプレッサ羽根車8の底面への空気の噴出が停止され、コンプレッサ羽根車8の冷却が停止されることとなる。
【0020】
アクチュエータ22は、制御器24からの出力信号(指令信号)により作動し、制御器24には、コンプレッサ羽根車8(またはディスク12sもしくはタービンロータ軸2)の回転数を検知する回転計Rから送られてきた回転数信号が常時入力されるようになっている。また、制御器24には、コンプレッサ羽根車8の固有振動数(コンプレッサ羽根車8の底面への空気の吹き付けがない時の固有振動数)および、コンプレッサ羽根車8の底面への空気の吹き付けがある時の固有振動数に対応する回転数がデータベースとして制御器24に予め保存(記憶)されている。
【0021】
すなわち、回転計Rで検出された回転数が、コンプレッサ羽根車8の固有振動数(コンプレッサ羽根車8の底面への空気の吹き付けがない時の固有振動数)に対応する回転数と同じになった時、あるいはコンプレッサ羽根車8の固有振動数に対応する回転数に近づいた時(コンプレッサ羽根車8の固有振動数±2%の範囲内に入った時)に、制御器24はアクチュエータ22にバルブ23を全開状態とする信号を出力し、コンプレッサ羽根車8の固有振動数に対応する回転数から外れた時、あるいはコンプレッサ羽根車8の固有振動数に対応する回転数から遠ざかった時(コンプレッサ羽根車8の固有振動数に対応する回転数±2%の範囲内から外れた時)に、制御器24はアクチュエータ22にバルブ23を全閉状態とする信号を出力するようになっている。
【0022】
本実施形態に係る圧縮機5によれば、回転計Rで検出された回転数が、コンプレッサ羽根車8の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいはコンプレッサ羽根車8の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、バルブ23が全開状態とされ、冷却空気供給管21およびバルブ23を通過した(冷却用)空気が、噴出穴20からコンプレッサ羽根車8の底面に向かって吹き付けられ、コンプレッサ羽根車8の外周部が冷却されることとなる。コンプレッサ羽根車8の外周部が冷却されて、コンプレッサ羽根車8の外周部の温度が低下すると、コンプレッサ羽根車8のヤング率が上昇し、コンプレッサ羽根車8の固有振動数が上昇して、コンプレッサ羽根車8の固有振動数が励振周波数よりも高くなる。
これにより、運用回転数の範囲内における励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数との一致を回避することができ、共振による破損を防止することができる。
【0023】
本発明に係る圧縮機の第2実施形態について、図3を参照しながら説明する。
図3は本実施形態に係る圧縮機の要部断面図であって、図2と同様の図である。
図3に示すように、本実施形態に係る圧縮機31は、噴出穴20および冷却空気供給管21の代わりに、噴霧ノズル32および液体供給管33を備えているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0024】
噴霧ノズル32は、液体供給管33を介して供給された液体(例えば、水)を霧状の液体(コンプレッサ羽根車8を通過する間に蒸発してしまうような微細な液体)にするものであり、空気入口9の、コンプレッサ羽根車8の上流側近傍(前縁近傍)に、少なくとも1つ設けられている。また、噴霧ノズル32は、コンプレッサ羽根車8の前縁に向かって開口しており、この噴霧ノズル32には、液体供給管33の一端部が接続されている。
なお、本実施形態においては、アクチュエータ(第2のアクチュエータ)22によってバルブ(第2のバルブ)23が全開状態にされると、液体供給管33および噴霧ノズル32を通過した(冷却用)液体が、噴霧ノズル32からコンプレッサ羽根車8の前縁に向かって吹き付けられ、これにより、コンプレッサ羽根車8が冷却される(コンプレッサ羽根車8の温度が低下する)こととなる。一方、アクチュエータ22によってバルブ23が全閉状態にされると、噴霧ノズル32からコンプレッサ羽根車8の前縁への液体の噴出が停止され、コンプレッサ羽根車8の冷却が停止されることとなる。
【0025】
本実施形態に係る圧縮機31によれば、回転計Rで検出された回転数が、コンプレッサ羽根車8の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいはコンプレッサ羽根車8の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、バルブ23が全開状態とされ、液体供給管33および噴霧ノズル32を通過した(冷却用)液体が、噴霧ノズル32からコンプレッサ羽根車8の前縁に向かって吹き付けられ、コンプレッサ羽根車8の羽根(ブレード)が冷却されることとなる。コンプレッサ羽根車8の羽根が冷却されて、コンプレッサ羽根車8の温度が低下すると、コンプレッサ羽根車8のヤング率が上昇し、コンプレッサ羽根車8の固有振動数が上昇して、コンプレッサ羽根車8の固有振動数が励振周波数よりも高くなる。
これにより、運用回転数の範囲内における励振周波数とコンプレッサ羽根車の固有振動数との一致を回避することができ、共振による破損を防止することができる。
【0026】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、上述した第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施することもできるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更・変形実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧縮機を具備した排気タービン過給機の断面図である。
【図2】図1に示す圧縮機の要部断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る圧縮機の要部断面図であって、図2と同様の図である。
【符号の説明】
【0028】
5 圧縮機
7 コンプレッサハウジング
8 コンプレッサ羽根車
9 空気入口(作動流体入口)
20 噴出穴
21 冷却空気供給管
22 アクチュエータ
23 バルブ
24 制御器
31 圧縮機
32 噴霧ノズル
33 液体供給管
100 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のブレードと、これら複数枚のブレードの根元部に配置される本体とを備えたコンプレッサ羽根車と、
前記コンプレッサ羽根車を回転軸回りに回転可能に収容するとともに、作動流体を前記コンプレッサ羽根車に導く作動流体入口が形成されたコンプレッサハウジングとを備えた圧縮機であって、
前記コンプレッサ羽根車の底面と対向する前記コンプレッサハウジングに、板厚方向に貫通する少なくとも1つの噴出穴が形成され、この噴出穴には、冷却空気供給管の一端部が接続されており、この冷却空気供給管の途中には、制御器からの指令信号により作動するアクチュエータによって開閉されるバルブが接続されているとともに、
前記制御器は、前記コンプレッサ羽根車の回転数が、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、前記アクチュエータに前記バルブを全開状態とする指令信号を出力し、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から外れた時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から遠ざかった時に、前記アクチュエータに前記バルブを全閉状態とする指令信号を出力することを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
複数枚のブレードと、これら複数枚のブレードの根元部に配置される本体とを備えたコンプレッサ羽根車と、
前記コンプレッサ羽根車を回転軸回りに回転可能に収容するとともに、作動流体を前記コンプレッサ羽根車に導く作動流体入口が形成されたコンプレッサハウジングとを備えた圧縮機であって、
前記作動流体入口の、前記コンプレッサ羽根車の上流側近傍に、少なくとも1つの噴霧ノズルが設けられ、この噴霧ノズルには、液体供給管の一端部が接続されており、この液体供給管の途中には、制御器からの指令信号により作動するアクチュエータによって開閉されるバルブが接続されているとともに、
前記制御器は、前記コンプレッサ羽根車の回転数が、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、前記アクチュエータに前記バルブを全開状態とする指令信号を出力し、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から外れた時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から遠ざかった時に、前記アクチュエータに前記バルブを全閉状態とする指令信号を出力することを特徴とする圧縮機。
【請求項3】
複数枚のブレードと、これら複数枚のブレードの根元部に配置される本体とを備えたコンプレッサ羽根車と、
前記コンプレッサ羽根車を回転軸回りに回転可能に収容するとともに、作動流体を前記コンプレッサ羽根車に導く作動流体入口が形成されたコンプレッサハウジングとを備えた圧縮機であって、
前記コンプレッサ羽根車の底面と対向する前記コンプレッサハウジングに、板厚方向に貫通する少なくとも1つの噴出穴が形成され、この噴出穴には、冷却空気供給管の一端部が接続されており、この冷却空気供給管の途中には、制御器からの指令信号により作動する第1のアクチュエータによって開閉される第1のバルブが接続され、
前記作動流体入口の、前記コンプレッサ羽根車の上流側近傍に、少なくとも1つの噴霧ノズルが設けられ、この噴霧ノズルには、液体供給管の一端部が接続されており、この液体供給管の途中には、前記制御器からの指令信号により作動する第2のアクチュエータによって開閉される第2のバルブが接続されているとともに、
前記制御器は、前記コンプレッサ羽根車の回転数が、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数と同じになった時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数に近づいた時に、前記第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータに前記第1のバルブおよび前記第2のバルブを全開状態とする指令信号を出力し、前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から外れた時、あるいは前記コンプレッサ羽根車の固有振動数に対応する回転数から遠ざかった時に、前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータに前記第1のバルブおよび前記第2のバルブを全閉状態とする指令信号を出力することを特徴とする圧縮機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機を備えてなることを特徴とする排気タービン過給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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