説明

圧縮空気系

ターボ過給式の内燃機関の圧縮空気モジュール(9)および車両の空気力式の設備に空気供給するための圧縮空気系であって、コンプレッサ(1)が設けられており、コンプレッサ(1)は、管路(20)を介して、圧縮空気吸込モジュール(9)に空気供給するための貯蔵容器(7)と接続されており、空気乾燥機と、圧縮空気作動式の消費器のための圧力容器(11,12,13,14)に空気供給するための圧力調整器とを備えた圧縮空気供給装置(10)が設けられており、圧縮空気吸込モジュール(9)に空気供給するための管路(20)が、圧縮空気供給装置(10)の上流側で分岐している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の圧縮空気系に関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006008783号明細書には、ターボ過給式のターボ型内燃機関のための新鮮ガス供給装置が開示されている。ここではコンプレッサが運転され、コンプレッサの下流側に空気乾燥機が配置されており、これによって乾燥した空気が圧力チャンバに供給される。空気乾燥機は、コンプレッサを運転する際に持続的に運転され、その意味するところによれば、特に乾燥しようとする空気が乾燥手段を再生するために空気量の約10%を必要とするので、消費量が比較的高くなる。したがって構成スペース、重量および消費に関して、そのような圧縮空気系は最適化する余地がある。
【0003】
空気乾燥は、ターボ過給式の内燃機関のための圧縮空気吸込モジュールに、圧縮空気によって追加的に別の圧縮空気消費器(たとえば制動系、空気ばねおよび副消費器)を運転しようとする場合に、専ら制限下で必要であるが、空気乾燥は重要であり、空気乾燥によって、圧力容器および管路が水分で充填されないようにすることができる。というのも特に水分の充填によって、氷結および腐食による問題が発生する恐れがあるからである。
【0004】
したがって本発明の課題は、ターボ過給式のレシプロ内燃機関に空気供給するための圧縮空気系を改善して、その運転が最適化され、かつフレキシブルに形成されたものを提供することである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部に記載した構成手段を有する圧縮空気系によって解決される。
【0006】
本発明によれば、圧縮空気系において、圧縮空気吸込モジュールに空気供給するための貯蔵容器を充填するための管路が、空気の流れ方向にみて、圧縮空気供給装置の上流側で分岐している。これによってコンプレッサは、圧縮空気吸込モジュールを空気供給するための貯蔵容器だけでなく圧縮空気供給装置にも、個別の管路を介して、空気供給するので、圧縮空気系の様々な運転が実現される。特に圧縮空気供給装置にもはや全ての空気量が供給されることはない。
【0007】
コンプレッサは、第1の管路を介して、圧縮空気吸込モジュールに空気供給するための圧力容器と接続され、第2の管路を介して、圧縮空気作動式の消費器のための圧力容器と接続されている。コンプレッサからの圧縮空気を2つの管路に分割することによって、選択的に、圧縮空気吸込モジュールおよび/または圧縮空気作動式の消費器のための圧力容器に圧縮空気を提供することができる。圧縮空気供給時間は、個別に調整することができる。
【0008】
本発明による有利な形態によれば、コンプレッサと圧縮空気供給装置との間の管路に、少なくとも1つの切換可能な弁が設けられており、圧縮空気作動式の消費器のための圧力容器が十分に充填されると、圧縮空気供給が遮断されるようになっている。これによって適当な圧力容器を充填しようとする場合に、常に圧縮空気供給を行うことができる。圧力容器が充填されると、直ちに空気乾燥機を備えた圧縮空気供給装置は遮断することができるので、乾燥機は、再生段階を行うことができる。このような手段は特に効果的である。なぜならば空気乾燥に関する高いエネルギ消費は、圧縮空気系の特定の運転段階で行うだけでよく、空気乾燥筒の再生が実現されるからである。
【0009】
圧縮空気吸込モジュールへの管路において逆流を防止するために、圧力制限弁の上流側に、逆止弁を設けることができる。特に排気弁が接続されている場合に、逆流が防止される。
【0010】
有利には、逆止弁の下流側で最大圧力が達成されると、適切な圧力センサを介して、第1の制御信号が形成され、圧縮空気供給装置に空気供給するための管路に所定の最大圧力が達成されると、第2の信号が形成される。さらに論理的な切換装置が設けられており、切換装置は、第1および第2の信号が存在する場合に、第3の信号を形成する。これによって有利には、第3の制御信号を介して、コンプレッサの搬送管路に、特に管路の分岐点の上流側に配置された排気弁が操作される。選択的に、第3の制御信号を介して、エネルギ節約系の弁を操作することができ、エネルギ節約系の弁によって、コンプレサは遮断することができる。
【0011】
有利には、コンプレッサと圧縮空気吸込モジュールに空気供給するための圧力容器との間の管路に、圧力制限弁が設けられている。これによって所定の圧力を超過する場合に、コンプレッサおよび/または排気弁の遮断が実現され、特に圧縮空気吸込モジュールが圧縮空気をこれ以上必要としない場合に実現される。
【0012】
本発明の別の形態によれば、排気弁は、コンプレッサの搬送管路において、圧縮空気吸込モジュールに通じる管路と圧縮空気作動式の消費器のための圧力容器に通じる管路とに分岐する分岐点の上流側に設けられている。有利には、切換は、圧力制限弁と圧縮空気供給装置の上流側に設けられた切換可能な弁とによって形成される制御信号を介して行われる。特にオーバーフロー弁が閉鎖され、圧縮空気供給装置がこれ以上圧縮空気を必要としない場合に、排気弁は自動に遮断することができる。このために排気弁を切り換えるための論理的な弁が設けられている。
【0013】
有利には、圧縮空気吸込モジュールに通じる管路において、圧力制限弁の下流側にオーバーフロー弁が設けられており、オーバーフロー弁は、圧縮空気作動式の消費器のための少なくとも1つの圧力容器よりも高い開放圧を有している。これによって圧力容器の充填順序を設定することができる。
【0014】
以下に、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による圧縮空気系の圧力回路を示す図である。
【0016】
圧縮空気系は、コンプレッサ1を備えており、コンプレッサ1は、新鮮空気を吸い込み、たとえば内燃機関を介して駆動されるようになっている。コンプレッサ1は、搬送管路22を介して排気弁2と接続されており、排気弁2の下流側で、分岐点が設けられており、分岐点は、第1の管路20と第2の管路21とに分かれる。
【0017】
第1の管路20は、特に内燃機関のための圧縮空気吸込モジュール9に空気供給するための貯蔵容器7に空気供給するために用いられる。この場合管路20において排気弁2の下流側に逆止弁4が設けられており、逆止弁4は、圧力制限弁5の上流側に配置されている。圧力制限弁5の下流側にオーバーフロー弁6が設けられている。圧力容器7に自動の排水弁8が接続されており、排水弁8によってある程度の水分の導出が実現される。
【0018】
第2の管路21は、切換可能な弁15を介して、圧縮空気供給のための装置10と接続されており、圧縮空気供給装置10は、空気乾燥機と、個々の圧力容器11〜14に空気供給するための圧力調整器とを備えている。圧力容器11,12は、常用ブレーキ回路に用いることができ、これは圧縮空気作動式の消費器を備えている。圧力容器13は、たとえばパーキングブレーキまたは連結車を作動させるために用いられる。圧力容器14は、別の副消費器、たとえばクラッチを作動させるために用いることができる。圧力容器11〜14は、特に産業車両の制動系に用いることができる。
【0019】
運転時に、コンプレッサ1は、圧縮空気を、排気弁2を介して管路20,21に搬送する。第1の管路20にもはや圧縮空気の要求が存在せず、圧力制限弁5の下流側で所定の最大圧力が達成されると、圧力制限弁5は遮断され、第1の制御信号が制御ライン23を介して、有利にはAND機能を有する論理的な弁3に発信される。逆止弁4は、圧縮空気の逆流を防止する。
【0020】
第2の管路21において、圧力調整器を備えた圧縮空気供給装置10が、圧力容器11〜14がもはや圧縮空気を必要とせず、所定の最大圧力が達成されていると確認すると、切換可能な弁15は、制御信号を介して遮断され、制御ライン24を介して、第2の制御信号が論理的な弁3に送信される。
【0021】
圧力制限弁5によって第1の制御信号が形成され、また圧縮空気供給装置10によって第2の制御信号が形成されると、論理的な弁3を介して、第3の制御信号が形成され、第3の制御信号は、同様に排気弁2を遮断する。これによって、消費器が適量の圧縮空気を必要とする場合にしか圧縮空気が低下しない。切換装置としての論理的な弁3は、空気圧としての制御信号を処理することができる。電気信号としての制御信号を用いることもできる。
【0022】
選択的に、コンプレッサ1またはコンプレッサ1の駆動装置もしくは給電装置を遮断することもできる。このためにコンプレッサ1に、弁16または継手17が連結遮断装置または切換装置として設けられており、弁16または継手17によって、コンプレッサ1は、第3の制御信号が存在する場合に、遮断可能である。
【0023】
特定の順序で圧力容器11〜14を充填するために、第1の管路20において、オーバーフロー弁6を特定の開放圧に調節することができる。この開放圧は、常用ブレーキ回路のための圧力容器11,12を充填するための圧力よりも大きくてよく、その結果先ず圧力容器11,12が充填され、次いで圧力がさらに上昇すると、オーバーフロー弁6が開放され、開放してはじめて貯蔵容器7の空気供給が行われる。
【0024】
圧縮空気供給の遮断によって、圧縮空気供給装置において、空気乾燥装置を再生することができ、特に空気乾燥装置は、特定のインターバルで接続され、これによって圧縮空気系の作用効率が高められる。
【0025】
本発明による圧縮空気系では、弁2,4,5,6,15を共通のモジュールに組み込むことができ、モジュールは、制御装置と連結することもできる。さらに圧縮空気吸込モジュール9に加熱筒を設けて、特にこの部分での凍結を防止することができる。
【0026】
図示の論理的な弁3の代わりに、排気弁ならびに切換可能な弁15の制御機能は、適当な切換信号を受信し、発信する外部の制御装置によって行うこともできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ過給式の内燃機関に空気供給するための圧縮空気系であって、
コンプレッサ(1)が設けられており、該コンプレッサ(1)は、管路(20)を介して、圧縮空気吸込モジュール(9)に空気供給するための貯蔵容器(7)と接続されており、
空気乾燥機と、圧縮空気作動式の消費器のための圧力容器(11,12,13,14)に空気供給するための圧力調整器とを備えた圧縮空気供給装置(10)が設けられている、圧縮空気系において、
圧縮空気吸込モジュール(9)に空気供給するための貯蔵容器(7)を充填するための管路(20)が、空気の流れ方向にみて、圧縮空気供給装置(10)の上流側で分岐していることを特徴とする、圧縮空気系。
【請求項2】
コンプレッサ(1)と圧縮空気供給装置(10)との間の管路(21)に、少なくとも1つの切換可能な弁(15)が設けられており、圧縮空気作動式の消費器のための圧力容器(11,12,13,14)が十分に充填されると、圧縮空気供給が遮断されるようになっている、請求項1記載の圧縮空気系。
【請求項3】
圧縮空気吸込モジュール(9)に空気供給するための貯蔵容器(7)を充填するための管路(20)に、逆止弁(4)が設けられている、請求項1または2記載の圧縮空気系。
【請求項4】
逆止弁(4)または別の弁(5)の下流側で最大圧力が達成されると、第1の制御信号が形成され、圧縮空気供給装置(10)に空気供給するための管路(21)に所定の最大圧力が達成されると、第2の信号が形成される、請求項3記載の圧縮空気系。
【請求項5】
論理的な切換装置(3)が設けられており、該切換装置(3)は、第1および第2の信号が存在する場合に、第3の信号を形成する、請求項4記載の圧縮空気系。
【請求項6】
制御信号は、空気圧として形成される、請求項4または5記載の圧縮空気系。
【請求項7】
制御信号は、電気信号である、請求項4または5記載の圧縮空気系。
【請求項8】
切換可能な排気弁(2)が、コンプレッサ(1)の搬送管路(22)に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の圧縮空気系。
【請求項9】
切換可能な排気弁(2)は、第1の管路(20)と第2の管路(21)とに分岐する分岐点の上流側に設けられている、請求項8記載の圧縮空気系。
【請求項10】
弁(16)または継手(17)が設けられており、該弁(16)または継手(17)によって、コンプレッサ(1)は、第3の制御信号が形成されると遮断されるようになっている、請求項5から9までのいずれか1項記載の圧縮空気系。
【請求項11】
コンプレッサ(1)と、圧縮空気吸込モジュール(9)に空気供給するための貯蔵容器(7)との間の管路(20)に、弁(5)が配置されており、該弁(5)は、所定の圧力に到達すると、貯蔵容器(7)への搬送を中断する、請求項1から10までのいずれか1項記載の圧縮空気系。
【請求項12】
圧縮空気吸込モジュール(9)に空気供給するための貯蔵容器(7)への管路(20)に、オーバーフロー弁(6)が設けられており、該オーバーフロー弁(6)は、少なくとも幾つかの、圧縮空気作動式の消費器のための圧力容器(11,12,13,14)よりも高い開放圧を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の圧縮空気系。
【請求項13】
圧縮空気吸込モジュール(9)に空気供給するための貯蔵容器(7)は、排水弁(8)を備えている、請求項1から12までのいずれか1項記載の圧縮空気系。

【図1】
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【公表番号】特表2010−534305(P2010−534305A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517320(P2010−517320)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006126
【国際公開番号】WO2009/013006
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(597007363)クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (110)
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】