説明

圧電振動デバイスの周波数調整装置

【課題】 簡便な構成で、周波数調整に係る生産効率に優れた圧電振動デバイスの周波数調整装置を得る。
【解決手段】
圧電振動デバイスの周波数調整装置は、真空室1と、真空室内に設けられたイオンガン2と、水晶振動子(圧電振動デバイス)3と、水晶振動子を搭載するパレット4と、パレット4を搬送する搬送機構とを有し、真空室外部には周波数測定部6や真空ポンプ7(図示せず)あるいは不活性ガス供給部23等を有する構成である。下方にイオンガン2が配置されており、当該イオンガン2はアクチュエータ25により、移動可能となっている。パレットの収納部の一部には電流密度センサ8が収納されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動デバイスの周波数調整装置に係り、特にイオンビームを用いた周波数調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子等の圧電振動デバイスは、その表面に形成された電極等の金属材料を加減することによりその周波数を調整している。金属材料を付加することにより質量が増加し、圧電振動デバイスの周波数は低下する。また金属材料を削減することにより、質量が減少しその周波数は上昇する。上述のイオンビームを用いた周波数調整方法は、後者の質量を減少させる調整方法であり、近年広く用いられている。
【0003】
このような技術を用いた周波数調整方法の公知例として、特許第2602215号(特許文献1)をあげることができる。特許文献1は圧電振動デバイスの励振電極に対してイオンビームを照射(イオン粒子をビーム状に照射)し、エッチングを行うものであり、これにより周波数調整を行っている。
【0004】
また、電子部品素子に対してイオンビームを移動させながら周波数調整を行う公知例として、特開2001−285002号(特許文献2)をあげることができる。特許文献2は電子部品の素子の電極が形成されている面の面内方向において移動させながらイオンビームの照射を行うことにより周波数調整を行っている。
【特許文献1】特許第2602215号公報
【特許文献2】特開2001-285002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1においては、イオンガンを圧電振動子の励振電極に対応させてイオンビームを照射し、イオンエッチングにより周波数調整を行う。複数の圧電振動子に対して同様の処理を行う場合は、順次イオンガンに対し圧電振動子の励振電極を対向させイオンビームを照射し周波数調整を行ってもよい。引用文献1には開示されていないが、この複数処理についてさらに生産効率を向上させようとすると、マトリクス状の収納部を有するトレイを用い、この収納部に圧電振動子を収納し、個々の圧電振動子に対して周波数調整を行うことが考えられる。この場合、トレイをX−Y方向(二軸方向)に移動させ、収納部に格納した圧電振動子をイオンガンのイオンビーム照射口に対峙させる必要があり、周波数調整を正確に行うためにはトレイの基準点を高精度に検出することが求められていた。
【0006】
従来においては、パレットやパレット搬送治具にドグ(パレットが動作するときの移動端や停止位置を設定できる部品)が取り付けられ、このドグが近接センサを動作させた位置から機械原点を求めパレットの位置を特定していた。しかしながらパレットあるいはパレット収納部の製造ばらつきあるいは搬送機構への設置誤差により周波数調整効率が低下することがあった。
【0007】
なお、特許文献2には電子部品素子を可動ステージにより移動させるか、あるいはイオンガンを移動させることにより周波数調整を進めることが開示されているが、マトリクス状の収納部を有するトレイを用い、生産効率を高める内容および位置検出のためのセンシング構成については開示されていない。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、簡便な構成で、周波数調整に係る生産効率に優れた圧電振動デバイスの周波数調整装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、圧電振動デバイスを搭載したパレットの位置を電流密度センサで高精度検出して、周波数調整効率を向上させたものであり、次のような構成により上記目的の達成を実現したものである。
【0010】
すなわち、請求項1に示すように、圧電振動板に形成された金属膜を真空室内でイオンビームを用いてエッチングすることにより複数の圧電振動デバイスの周波数を調整する装置であって、圧電振動デバイスを収納する収納部がマトリクス状に形成され、当該収納部毎にイオンビーム透過孔を有するパレットと、当該パレットを複数の方向に搬送する搬送機構と、前記パレットに収納された圧電振動デバイスの圧電振動板の金属膜に対してイオンビームを照射するよう配置されたイオンガンと、前記各圧電振動デバイスの外部接続端子に接触可能なコンタクト端子を有し、圧電振動デバイスの特性を測定する周波数測定部と、前記イオンガンに対して前記パレットに収納された各圧電振動デバイスを対向させ、イオンビームの照射により周波数調整を実行する制御部を有し、前記パレットの基準位置またはパレットと機械的に接続された基準部に電流密度センサを取着し、当該電流密度センサおよびその近傍に前記イオンビームを照射することによりイオン粒子量に応じた電流値の最大となる領域を基準点と設定し、パレットの設置誤差を補正したことを特徴とする圧電振動デバイスの周波数調整装置、を提案している。
【0011】
パレットを駆動させる搬送機構はパレットを高精度に位置決めする治具を用いて位置決めし、さらに電流密度センサを用いて微調整を行ってもよい。また搬送機構は例えば一軸方向または二軸方向等の複数方向に駆動できる構成であればよい。
【0012】
パレットの基準位置またはパレットと機械的に接続された基準部に取着された電流密度センサは、イオンガンから放射されたイオンビームの電流密度を測定する。イオンガンから放射されたイオンビームは、一般にその断面において中央部分の電流密度が大きく、周囲においては漸次電流密度が小さくなっていることが知られている。従って、電流密度センサのセンシング領域において電流密度が最大となる位置が、イオンガンのイオンビーム放射口の中心とパレットの基準位置が合致している点となる。これによりイオンガンとパレットの位置決めが確実に行うことができる。
【0013】
請求項1によれば、パレットの基準位置またはパレットと機械的に接続された基準部に電流密度センサを取着し、当該電流密度センサおよびその近傍に前記イオンビームを照射することにより、イオン粒子量に応じた電流値の最大となる領域を基準点と設定し、パレットの設置誤差を補正する構成であるので、パレットの寸法ばらつきやパレットの設置ばらつきがあった場合でも、位置補正を確実に行うことができ、パレットに設置された圧電振動デバイス(より詳しくは圧電振動板に形成された金属膜)の周波数調整箇所に対して正確にイオンビームを照射することができ、周波数調整に係る製造効率(処理効率)を向上させることができ、周波数ばらつきの小さい圧電振動デバイスを得ることができる。
【0014】
また請求項2に示すように、圧電振動板に形成された金属膜を真空室内でイオンビームを用いてエッチングすることにより複数の圧電振動デバイスの周波数を調整する装置であって、圧電振動デバイスを収納する収納部がマトリクス状に形成され、当該収納部毎にイオンビーム透過孔を有するパレットと、当該パレットを一軸方向に搬送する搬送機構と、
前記パレットに収納された圧電振動デバイスの圧電振動板の金属膜に対してイオンビームを照射するよう配置されたイオンガンと、当該イオンガンを前記パレットの搬送方向と交差する方向に移動させる移動機構と、前記圧電振動デバイスの外部接続端子に接触可能なコンタクト端子を有し、圧電振動デバイスの特性を測定する周波数測定部と、前記パレットの1つの列に収納された圧電振動デバイスに対してイオンガンおよび周波数測定部を一方向に間欠的に移動させ、イオンビームの照射により順次周波数調整を行い、当該列の調整作業後、次の列について順次周波数調整を行わしめる制御部を有し、前記パレットの基準位置またはパレットと機械的に接続された基準部に電流密度センサを取着し、当該電流密度センサおよびその近傍に前記イオンビームを照射することによりイオン粒子量に応じた電流値の最大となる領域を基準点と設定し、パレットの設置誤差を補正したことを特徴とする圧電振動デバイスの周波数調整装置であってもよい。
【0015】
また搬送機構は一軸方向に駆動できる構成であればよく、パレットを順送り移動と逆送り移動(前進と後進)を行うことができればよい。またイオンガンを移動させる移動機構もイオンガンを高精度に位置決めする治具を用いて位置決めし、さらに電流密度センサを用いて微調整を行ってもよい。この移動機構は前記搬送機構の搬送方向と交差する方向に一軸移動させる構成であればよく、例えば前記搬送機構の搬送方向と直交する方向に移動させる構成であってもよい。
【0016】
請求項2に示す構成によれば、複数の圧電振動デバイスを収納する収納部がマトリクス状に形成され、当該収納部毎にイオンビーム透過孔を有するパレットを用いて周波数調整を行うにあたり、パレットの搬送が一軸方向に行われ、これに対してイオンガンの移動方向がこれに交差する一軸方向への移動であるので、両者の動作機構は複雑な移動機構を必要としない。従って、搬送機構および移動機構が大がかりなものにならず、周波数調整装置の小型化、コスト安に寄与する。
【0017】
また上述のとおりイオンガン所定の方向に移動可能な構成を有しているが、このような場合、移動に伴う停止位置誤差の生じる可能性がある。しかし、請求項2に示す構成によれば、前記パレットの基準位置またはパレットと機械的に接続された基準部に電流密度センサを取着し、当該電流密度センサおよびその近傍に前記イオンビームを照射することによりイオン粒子量に応じた電流値の最大となる領域を基準点と設定し、パレットの設置誤差を補正した構成とすることができる。これによりパレットに設置された圧電振動デバイス(より詳しくは圧電振動板の金属膜)の周波数調整箇所に対して正確にイオンビームを照射することができ、周波数調整に係る製造効率(処理効率)を向上させることができ、周波数ばらつきの小さい圧電振動デバイスを得ることができる。
【0018】
イオンガンのイオンビーム放射口の前面には、イオンビームの照射を制御するシャッタが形成されている。イオンガンとシャッタとは一対で、両者が一体的に移動する構成であってもよいが、イオンガンに対して、複数のシャッタを有する構成であってもよい。すなわちイオンガンは間欠的に移動し停止位置で周波数調整動作を行うが、当該停止位置毎にシャッタを設けてもよい。この場合、イオンガンとシャッタとは一体的には移動しない。これによりイオンビームの照射が1つのシャッタに集中しないので全体としてシャッタの損傷を防ぎ、メンテナンス作業の機会を低減することができる。また、複数の停止位置に対応した各シャッタを一体化し、1つのシャッタで複数の前記イオンビーム透過孔に対応(すなわち圧電振動板の励振電極に対応)させた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡便な構成で、周波数調整に係る生産効率に優れた圧電振動デバイスの周波数調整装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明による第1の実施形態について圧電振動デバイスとして水晶振動子を例にとり、図面を参照して説明する。図1は周波数調整装置の構成を示す平面図、図2は図1の内部側面図、図3は図2において周波数調整部分の拡大図、図4は制御システムの概要を示す図である。また図5はパレットに電流密度センサを取り付けた構成を示す断面図である。
【0021】
本発明による圧電振動デバイスの周波数調整装置は、真空室1と、真空室内に設けられたイオンガン2と、水晶振動子(圧電振動デバイス)3と、水晶振動子を搭載するパレット4と、パレット4を搬送する搬送機構とを有し、真空室外部には周波数測定部6や真空ポンプ7(図示せず)あるいは不活性ガス供給部23等を有する構成である。
【0022】
真空室1は、前室11,本室12,後室13からなり、それぞれの室の前後にはゲートバルブが設けられ、各室が気密性を保つことのできる構成となっている。前室11の入り口にはゲートバルブV1が設けられ、前室と本室間にはゲートバルブV2が設けられ、本室と後室間にはゲートバルブV3が設けられ、後室の出口にはゲートバルブV4が設けられている。各室には真空バルブ71,72,73が設けられ、各々真空ポンプ(図示せず)に接続されている。真空ポンプは例えばロータリーポンプやクライオポンプ等が用いられ、真空室をイオンビームによるエッチングに適した真空度に保たれるとともに、放射したArガスやイオンビームにより切削した金属体を真空室外部に放出する機能を有している。
【0023】
また各真空室内にはベルトコンベア等の搬送機構5が設けられ、各室内でのパレットの移動や各真空室間のパレット移動を行う。
【0024】
搬送機構5により移動するパレット4は、SUS304ステンレス等からなる金属材やセラミック材等からなり、水晶振動子保持用の収納部4aをマトリクス状に配した構成である。また、各収納部は上方に開口した凹形状であり、底部にはイオンビームを通過させる小さな開口(イオンビーム透過孔)41が形成されている。なお開口部分はイオンビームが照射されるので、イオンエッチングに耐性のある材料を用い、パレットを保護する二重構成であってもよい。
【0025】
また、パレット4は搬送装置により一軸方向の動作すなわち前進および後進動作が可能となっている。搬送装置5は連続的または間欠的に移動動作することが可能で、例えば、停止、移動を連続して行う間欠的移動を行い、停止時に周波数調整が実行される。搬送装置は搬送制御部5からの制御信号に基づき後述の周波数調整動作等に同調して駆動する。
【0026】
図3に示すように、パレットの収納部各々に収納される水晶振動子3は、凹形の収納部を有するパッケージ31にATカットで切り出された水晶振動板32を収納し、導電接合材(図示せず)でパッケージと導電接合を行った構成である。パッケージ31には水晶振動板32と接合する電極接合部(図示せず)とパッケージ内の電極を外部に導出する外部接続端子31d,31eと、リッド34(図示せず)との接合を金属シール部31aを有している。周波数調整時にはリッド34が接合される前の状態で調整動作が進められる。
【0027】
水晶振動版32の表裏面には金属膜からなる励振電極(図示せず)が形成され、それぞれ電極接合部(図示せず)と導電接合されている。本実施の形態においては、パッケージの開口側に向いた励振電極が周波数調整の対象となる。なお、励振電極は多層金属膜からなり、例えば水晶振動板に接してCr膜、その上面にNi膜、そしてその上面にAu膜の3層構成である。イオンビームによるエッチング対象となるのは表面にあるAu膜となる。これら金属膜構成は一例であり、例えば表面層がAg膜であってもよい。
【0028】
水晶振動子が前記パレットの収納部に収納されると、当該調整対象の励振電極は前記パレットの開口41に対応した位置に配置され、イオンビームはこの開口を通過して励振電極に照射される。
【0029】
また本発明においては、図5に示すようにパレット4の基準位置に電流密度センサ8を設置し高精度位置決めを行っている。図5は図1に示したパレット4の最上行の収納部における断面図を示しており、パレット4の収納部4aに水晶振動子3が収納されるとともに、1列目には電流密度センサ8が設置されている状態を示している。
【0030】
電流密度センサ8は例えばファラデーカップと呼ばれるイオン粒子量を測定するセンサを用いる。ファラデーカップにより単位面積当たりに入射するイオン粒子の個数を計測することができる。前述のとおり、イオンガンから放射されたイオンビームは、一般にその断面において中央部分の電流密度が大きく、周囲においては漸次電流密度が小さくなっていることが知られている。当該電流密度センサおよびその近傍に対してイオンビームを走査照射し、イオン粒子量を電流値に変換し電流値の最大値を計測する位置がイオンガンにおけるイオンビーム放射口の中心と特定することができる。この中心位置と電流密度センサの位置の特定により、イオンガンとパレットとの相互の位置関係を特定することができる。この位置の特定により機械原点の特定も行うことができ、高精度な位置決めを行うことができる。
【0031】
本実施の形態においては、図1および図5に示すように、パレットの1行1列目の収納部に電流密度センサ8を設置しており、この設置部分が基準部となる。当該電流密度センサ8は基準部の中央部分にガタツキが無いように位置決めされ固定されている。当該電流密度センサ設置部にいてもその底面にはパレット4に形成された開口41と同様の開口41が形成され、電流密度センサのセンシング部81が当該開口41から下方に向かって配置されている。当該センシング部81は球面を有する金属体である。このような配置を行うことにより、パレットの下方に配置されたイオンガンから照射されるイオンビームをセンシング部81に入射させることができる。
【0032】
図5に示すように、電流密度センサ8とパレット4間には電流計82が配置され、センシング部に照射されたイオンビームのイオン粒子量を電流値に変換し、イオンビームの強度を測定する。具体的には、前述のように、パレットのドグと近接センサにより得られた初期の機械原点データに基づき、前記基準部42の中心部である電流密度センサの中央部とイオンガンの放射口を正対向させる。そして、パレットをその行方向(前後方向)に走査させながら、前述の手法によりイオンビームの強度を測定し、行方向における最大値位置(電流値が最大となる位置)を検出する。次にこの行方向における最大値位置をとおり、行方向と直交する列方向にイオンガンを走査し、列方向における最大値位置を検出する。なお、電流密度センサ8で計測したイオンビームのイオン粒子量のデータ(電流値)は制御部に転送され、搬送制御部と駆動制御部との動作制御を調整する。これにより、イオンガンの放射口と基準部の中心部を正対向させることができ、当該位置を調整後の高精度機械原点とする。そしてここを基準として、パレット固有のデータ(外形寸法、収納部位置等)を適用して、各収納部の座標を設定することができる。
【0033】
なお、前記基準の設定におけるパレットやイオンガンの走査動作は、上記例に限定されるものではなく、例えば、初期の機械原点データに対してパレットとイオンガンを同時に走査移動させて、この中で得られた電流値の最大地点をイオンガンの放射口と基準部の中心部と設定してもよい。なお、イオンビームの強度分布が単峰特性ではなく、複数のピークを有する特性である場合は、パレットとイオンガンの走査動作を繰り返し、実質的なイオンガンの放射口と基準部の中心部を正対向位置を算出してもよい。
【0034】
以上によりパレットの基準点について高精度位置決めが完了し、パレットの形状、収納部の位置データ等に基づいて各収納部に収納された圧電振動板の金属膜の位置が高精度に算出される。そしてパレットの1列2行目収納部に格納された水晶振動子から周波数調整を行うことになる。
【0035】
パレットの下方にはイオンガン2が配置されている。イオンガン2は全体として円筒形状であり、内部構成は図示していないが、内部に熱陰極(フィラメント)と当該熱陰極の前面に円筒状に形成された陽極(アノード)と、陽極の前面に設けられた遮蔽グリッドと、その遮蔽グリッドの前面に設けられた加速グリッドと内部に不活性ガスを供給する供給口を有する構成である。この加速グリッドがイオンビームの放射口となり、イオン粒子がビーム状に放射される。図示していないが、本実施の形態において加速グリッドは複数のグリッド開口を有し、これらグリッド開口が全体として略円形状に配置された構成である。また図示していないが、イオンガンの前面にニュートラライザを配置し、このニュートラライザから電子を放出し、イオンビームを中和する構成であってもよい。
【0036】
イオンガン2の加速グリッドの前面にはシャッタ21が配置されている。シャッタ21はイオンビームの照射経路中に配置され、シャッタの開閉によりイオンビームの水晶振動子の励振電極(金属膜)への照射を制御する。本実施例において、シャッタ21はイオンガンの放射面である加速グリッドの平面と平行に配置されているが、非平行状態に配置してもよい。
【0037】
図1および図2に示すように、パレットの下方にイオンガン2が配置されており、当該イオンガン2はアクチュエータ25により、移動可能となっている。具体的にはイオンガンの下方にアクチュエータが配置され、イオンガンがこのアクチュエータで移動可能となっている。アクチュエータは駆動源となるサーボモータと、当該サーボモータによって駆動されるステージからなり、当該ステージにイオンガンが搭載される構成となっている。当該アクチュエータの駆動方向は、矢印Bで示すように前記パレットの駆動方向(矢印Aで示す方向)と直交した方向であり、移動範囲は前記パレットの幅を少し越える範囲となっている。これによりイオンガンのイオンビームの放射口がパレットと一定の間隔を保った状態でパレットの幅方向の一端から他端まで移動し、各水晶振動子に対してイオンガンが正対向できるようになっている。
【0038】
図3に示すように、周波数調整時の水晶振動子に対しては周波数測定部6により調整時の周波数を測定する。周波数測定部6は水晶振動子の周波数を測定するためのπ回路やネットワークアナライザ等からなり、真空室内で水晶振動子の外部接続部31d,31eと当接するコンタクトプローブ61,62を有している。コンタクトプローブは図示しないアクチュエータにより上下動作し、前述の周波数調整動作に対応して動作制御が行われる。なお、コンタクトプローブは一対の端子構成でイオンガンの移動に同期して移動してもよいし、複数のコンタクトプローブの組を用意して、リレー切り換えにより周波数測定部と接続して周波数測定を行ってもよい。
【0039】
図4に示すように、各構成部の動作は制御部Cにより集中制御している。例えばイオンガンのアクチュエータによる移動動作、イオンガンのイオンビーム放射動作、シャッタの開閉動作、そしてパレットの一列毎の順送り動作、周波数測定動作、真空ポンプの動作等は制御部Cおよび搬送制御部51、駆動制御部26によって制御され、所定の条件で周波数調整が行われる構成となっている。
【0040】
次に上記周波数調整装置を用いた周波数調整方法について説明する。真空室の前室11に格納された水晶振動子が収納されたパレットは、ここで所定の真空状態まで真空引きされ、所定の真空度になった状態でゲートバルブV2を開き、本室に搬送される。本室は所定の真空状態に保たれており、図1および図2に示すように、パレット4の収納部4aに搭載された気密封止前の各水晶振動子3が順次搬送装置により周波数調整実行位置に搬送される。
【0041】
パレットのマトリクス状の収納部には1列1行目には電流密度センサ8が収納され、それ以外の収納部には水晶振動子(圧電振動デバイス)が収納されている。周波数調整装置にはパレットのサイズ、各収納部の位置に関するデータがメモリに入力されており、また近接センサが設けられている。またパレットあるいは搬送装置の所定位置にはドグ(パレットが動作するときの移動端や停止位置を設定できる部品)が取り付けられている。このパレットのドグが近接センサを動作させた地点を機械原点とし、周波数調整動作の動作基準点として設定する。搬送機構はこの動作基準点を基準として所定量移動し、パレットに収納された1列目の水晶振動子を周波数調整対象とする。
【0042】
次に高精度な機械原点を取得する。具体的には、イオンガン2はパレットの1列目で1行目の電流密度センサに対向する位置にアクチュエータにより移動する。当該位置で周波数測定部に接続されたコンタクトプローブ61,62が電流密度センサの端子に当接され、この状態で電流密度センサ8のセンシング部81に対してイオンガン2からイオンビームを走査照射する。走査照射の例としては、パレットをその行方向(前後方向)に走査させながら、前述の手法によりイオンビームの強度を測定し、行方向における最大値位置(電流値が最大となる位置)を検出する。次にこの行方向における最大値位置をとおり、行方向と直交する列方向にイオンガンを走査し、列方向における最大値位置を検出する。なお、電流密度センサ8で計測したイオンビームのイオン粒子量のデータ(電流値)は制御部に転送され、搬送制御部と駆動制御部との動作制御を調整する。これにより、イオンガンの放射口と基準部の中心部を正対向させることができ、当該位置を調整後の高精度機械原点とする。そしてここを基準として、パレット固有のデータ(外形寸法、収納部位置等)を適用して、各収納部の座標を設定することができる。
【0043】
次に水晶振動子に対して周波数調整を実行する。具体的には、イオンガン2はパレットの1列目で2行目の水晶振動子に対向する位置にアクチュエータにより移動する。当該位置で周波数測定部に接続されたコンタクトプローブ61,62が水晶振動子の外部接続部31d,31eに当接され、本工程による周波数調整前の周波数を測定する。当該測定データは制御部Cに転送され、制御部Cにて周波数調整が必要か否か、必要な場合の周波数調整量を決定する。そして、制御部Cからの指令により所定時間シャッタを開き、イオンビームを水晶振動子の励振電極32a(金属膜)に対して照射する。なお、周波数調整が不要な水晶振動子については周波数調整動作を行わない。
【0044】
イオンビームの照射について、具体的にはイオンガスとしてArガスを不活性ガス供給部からイオンガン内部の放電領域に導入する。そして、電源から熱陰極(フィラメント)に通電し、熱陰極を加熱する。またこの熱陰極と円筒状に形成された陽極(アノード)間に直流電圧を印加し、ここから生じる直流放電によってArプラズマ界をつくる。遮蔽グリッドに高電圧を印加することにより、Arプラズマ界からArイオンによるイオンビームが形成され、遮蔽グリッドからイオンビームが加速されて放射される。さらに遮蔽グリッドの前面に設けられた加速グリッドに対して、前記遮蔽グリッドとは異なる極性の電圧を印加することにより、イオンビームがさらに加速され、グリッド開口から放射され、シャッタ21の開閉により周波数調整が進められる。なお、イオンガン2によるイオンビームの放射動作あるいは放射量を制御して、前記シャッタの動作と組み合わせることにより周波数調整を行ってもよい。
【0045】
周波数の調整状況は、周波数測定部により周波数調整実行においてリアルタイムに測定してもよく、具体的には調整中に複数回の周波数測定を行い、周波数の調整状況を把握してもよい。またあらかじめ調整量を決定し、決定した調整を実行した後、周波数を測定し、その測定値と目標値との差を求め、その差分について追加的に周波数調整を行い、必要に応じてこの調整作業を繰り返してもよい。
【0046】
次にパレットを駆動させることなくイオンガン2のみを一方向に移動させ、パレットの1列目で3行目の水晶振動子に対向する位置にアクチュエータにより移動する。そして上述と同様の周波数測定、周波数調整動作を行い、1列目の水晶振動子に対して同様の周波数調整動作を行う。すなわちイオンガンは図1に示すパレット4の上方から下方に間欠的に動作し、間欠動作の停止時に周波数調整を行う。
【0047】
パレット1列目の水晶振動子について周波数調整が終了した後、パレットは1列分前進し2列目の水晶振動子を周波数調整対象とする。パレットの1列目について図1に示すパレットの上方から下方に移動したイオンガン2は、今度は2列目の水晶振動子に対してパレットの下方から上方に向かって間欠的に移動し、順次周波数調整動作を行う。これを繰り返すことにより、パレット、イオンガンともに一軸方向の動作のみで周波数調整動作を進めることができる。なお、イオンガンの移動方向は上記例示に限定されるものではなく、一方向(例えば図1において上から下に向かう方向)への移動するときのみに周波数調整動作を行ってもよい。
【0048】
パレットすべての水晶振動子に対して周波数調整が完了すると後室に移動される。後室は事前に本室と同じ真空レベルにされており、ゲートバルブV3を開放し、搬送装置により後室に移動する。後室に移動後ゲートバルブV3が閉じられ、気密性が開放され、周波数調整装置から排出される。
【0049】
上記実施の形態においては、本室に1つのパレットを格納し、当該パレット収納された各圧電振動デバイスに対して周波数調整を行う例を示したが、これに限定されるものではない。図6は本室部分の変形例を図示したものであるが、本室で複数の周波数調整エリアを設け、例えば前部エリア14Aでイオンビームによる周波数の粗調整を行い、後部エリア14Bでイオンビームによる周波数の粗調整を行ってもよい。図6において、前部エリア14Aではパレット4が搬送機構5により、左から右方向に順次間欠的に搬送され、その間にイオンガンが上下方向に間欠移動し、パレットのイオンビーム透過孔を介してイオンビームを圧電振動板の励振電極に対して照射することにより周波数粗調整を行う。当該周波数粗調整は単位時間あたりのイオンビームの照射量を多くする等により周波数の調整レートを大きくしたものである。周波数粗調整が完了したパレットが後部エリア14Bに搬送される。なお、パレットの1列1行目の収納部には電流密度センサ8が収納され、これを用いて前述したように高精度の位置決めを行う。
【0050】
後部エリア14Bでは周波数微調整を行うが、パレット4が搬送機構5により、左から右方向に順次間欠的に搬送され、その間にイオンガンが上下方向に間欠移動し、パレットのイオンビーム透過孔を介してイオンビームを圧電振動板の励振電極に対して照射し、周波数微調整を行う。当該周波数微調整は前記周波数粗調整で行ったよりも単位時間あたりのイオンビームの照射量を少なくする等により周波数の調整レートを相対的に小さくしたものである。後部エリア14Bでの周波数調整を完了すると後室に排出される。
【0051】
本発明による第2の実施形態について図面を参照して説明する。基本構成は上記第1の実施形態と同じ構成であり、同じ構成部分についての説明は割愛する。第1の実施形態ではイオンガンがアクチュエータにより一軸方向に移動する構成であったが、第2の実施形態ではイオンガンは固定され、パレットが搬送機構により二軸方向(X−Y座標方向)に移動できる構成となってる。図7は周波数調整装置の構成を示す平面図である。
【0052】
第2の実施形態においては、イオンガン2は本室の中央部分で固定されており、またイオンガンに対向して配置される周波数測定部および周波数測定部に接続されたコンタクトプローブも固定配置されている。第1の実施形態と同様、マトリクス状の収納部4aを有するパレットの1列1行目には電流密度センサ8が収納されており、それ以外の収納部には水晶振動子(圧電振動デバイス)が収納されている。
【0053】
そしてパレットを搭載した搬送機構は二軸方向(X−Y座標方向)に移動し、第1の実施形態と同様にまず1列1行目の電流密度センサに対してイオンビームを照射することにより高精度な機械原点(基準点)を設定して、この基準点に基づき、他の収納部の水晶振動子に対してイオンビームにより周波数調整を行う。
【0054】
この実施の形態においては、パレットを複数方向に移動させることが必要なため、搬送機構の複雑化、大型化が求められるが、イオンガンが固定されているため位置誤差の生じる機会が少なく、周波数調整精度を向上させることができる。
【0055】
本発明による第3の実施形態について図面を参照して説明する。基本構成は上記第1の実施形態と同じ構成であり、同じ構成部分についての説明は割愛する。第1の実施形態ではパレットの収納部に電流密度センサが収納される構成であったが、第3の実施形態ではパレットに基準部42を接続し、当該基準部に電流密度センサを搭載設置した構成となっている。図8はパレット4の底面図であり、図9は図8のA−A断面図である。
【0056】
前述のとおり、周波数調整装置にはパレットのサイズ、各収納部の位置に関するデータがメモリに入力されており、また近接センサが設けられている。またパレットあるいは搬送装置の所定位置にはドグ(パレットが動作するときの移動端や停止位置を設定できる部品)が取り付けられている。このパレットのドグが近接センサを動作させた時点を機械原点とし、周波数調整動作の動作基準点として設定する。搬送機構はこの動作基準点を基準として所定量移動し、パレットに収納された1列目の水晶振動子から周波数調整対象とする。
【0057】
本実施の形態においては、図8および図9に示すように、パレットの先端部分には基準部42が一体的に設けられている。基準部の平面視中央部分には電流密度センサ8が設置されている。当該電流密度センサ8は基準部の中央部分にガタツキが無いように位置決めされ固定されている。基準部42の底面にはパレット4に形成された開口41と同様の開口42aが形成され、電流密度センサのセンシング部81が当該開口42aから下方に向かって配置されている。当該センシング部81は球面を有する金属体である。このような配置を行うことにより、パレットの下方に配置されたイオンガンから照射されるイオンビームをセンシング部81に入射させることができる。
【0058】
図9に示すように、電流密度センサ8とパレット4間には電流計82が配置され、センシング部に照射されたイオンビームのイオン粒子量を電流値に変換し、イオンビームの強度を測定する。具体的には、前述のように、パレットのドグと近接センサにより得られた初期の機械原点データに基づき、前記基準部42の中心部である電流密度センサの中央部とイオンガンの放射口を正対向させる。そして、パレットをその行方向(前後方向)に走査させながら、前述の手法によりイオンビームの強度を測定し、行方向における最大値位置(電流値が最大となる位置)を検出する。次にこの行方向における最大値位置をとおり、行方向と直交する列方向にイオンガンを走査し、列方向における最大値位置を検出する。これにより、イオンガンの放射口と基準部の中心部を正対向させることができ、ここを基準として、パレット固有のデータ(外形寸法、収納部位置等)を適用して、各収納部の座標を設定することができる。
【0059】
なお、前記基準の設定におけるパレットやイオンガンの走査動作は、上記例に限定されるものではなく、例えば、初期の機械原点データに対してパレットとイオンガンを同時に走査移動させて、この中で得られた電流値の最大地点をイオンガンの放射口と基準部の中心部と設定してもよい。なお、イオンビームの強度分布が単峰特性ではなく、複数のピークを有する特性である場合は、パレットとイオンガンの走査動作を繰り返し、実質的なイオンガンの放射口と基準部の中心部を正対向位置を算出してもよい。
【0060】
電流密度センサ8で計測したイオンビームのイオン粒子量のデータ(電流値)は制御部に転送され、搬送制御部と駆動制御部との動作制御を調整する。
【0061】
パレットの1列目には周波数調整を行う水晶振動子が収納されており、前述のとおり、イオンガンをアクチュエータにより間欠移動させ、順次周波数調整を進める。1列目について周波数調整が終了するとパレットを順送りに進行させ、2列目についてイオンガンの移動により周波数調整実行する。
【0062】
なお、上記実施の形態ではパレットに基準部を設け、この基準部の特定に基づき位置決め精度を向上させた構成であるが、この例に限定されるものではなく、例えば電流密度センサを組み込んだ治具をパレットの所定の位置に機械的に接続し、イオンガンからのイオンビームを検出するようにした構成であってもよい。
【0063】
また本実施の形態においては、シャッタの構成を異ならせている。すなわち、イオンガンのイオンビーム放射口と圧電振動板の金属膜間にはイオンビームの照射を制御するシャッタが配置され、当該シャッタはイオンガンと独立動作可能に形成された1枚構成であり、複数の圧電振動板の金属膜に対応した構成となっている。
【0064】
具体的には図8に示すようにシャッタ26はパレットの短辺全体に伸長した構成であり、一度に複数の開口41に対して開閉動作を行うことができる。従って、シャッタ26はイオンガン2とともに移動する構成ではなく、シャッタ26は固定された位置において図8に矢印Cで示すように左右に動作し、イオンビームの放射を制御する開閉動作をするだけである。このような構成により、シャッタの複数の部分がパレットの開口41と対応することとなり、イオンビームが1カ所に集中して照射されることがなく、シャッタへの損傷が平均的に小さくなり、全体としての耐用期間が長くなる。
【0065】
なお、上記例では1つのシャッタが複数の開口41に対応する構成であったが、開口毎に一対一の配置とした複数枚からなるシャッタ構成であってもよい。具体的には調整対象の水晶振動子に対してのみシャッタが開き、他のシャッタは閉じており、次の水晶振動子の周波数調整を行う場合には、当該次の水晶振動子に対応したシャッタのみが開き他のシャッタは閉じた構成としてもよい。また、調整対象の水晶振動子およびこれに隣接する水晶振動子に対応するシャッタを開き、他のシャッタを閉じて周波数調整を行い、次の水晶振動子の周波数調整を行う場合には、当該次の水晶振動子およびこれに隣接する水晶振動子に対応するシャッタを開き、他のシャッタを閉じて周波数調整を行う構成であってもよい。なお、この場合もイオンガンはシャッタに対して独立して移動する構成となる。
【0066】
また上記実施に形態においては、ATカット水晶振動板に形成された励振電極に対して周波数調整を行う例について開示したが、他の切断方位の水晶振動板であってもよく、また必ずしも励振電極に対して行わなくてもよい。例えば屈曲振動に用いられるXカットの音叉形水晶振動板を用い、音叉の振動腕の先端部分に周波数調整用の金属膜を形成し、当該部分に対して本発明による周波数調整動作を行ってもよい。当該金属膜は直接励振電極と電気的に接続されていない構成でもよく、質量調整による周波数調整に寄与する金属膜であればよい。また圧電振動板と発振回路用IC等の他の回路素子を収納した圧電発振器等の圧電振動デバイスに適用することもできる。
【0067】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、水晶振動子、水晶発振器等の圧電振動デバイスの周波数調整の量産に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の実施形態を示す周波数調整装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1の内部側面図である。
【図3】図2において周波数調整部分の拡大図である。
【図4】制御システムの概要を示す図である。
【図5】パレットの断面図である。
【図6】周波数調整装置の他の構成例を示す平面図である。
【図7】第1の実施形態を示す周波数調整装置の構成を示す平面図である。
【図8】第1の実施形態を示すパレットの構成を示す平面図である。
【図9】図8のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 真空室
2 イオンガン
3 水晶振動子
4 パレット
5 搬送機構
6 周波数測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動板に形成された金属膜を真空室内でイオンビームを用いてエッチングすることにより複数の圧電振動デバイスの周波数を調整する装置であって、
圧電振動デバイスを収納する収納部がマトリクス状に形成され、当該収納部毎にイオンビーム透過孔を有するパレットと、
当該パレットを複数の方向に搬送する搬送機構と、
前記パレットに収納された圧電振動デバイスの圧電振動板の金属膜に対してイオンビームを照射するよう配置されたイオンガンと、
前記各圧電振動デバイスの外部接続端子に接触可能なコンタクト端子を有し、圧電振動デバイスの特性を測定する周波数測定部と、
前記イオンガンに対して前記パレットに収納された各圧電振動デバイスを対向させ、イオンビームの照射により周波数調整を実行する制御部を有し、
前記パレットの基準位置またはパレットと機械的に接続された基準部に電流密度センサを取着し、当該電流密度センサおよびその近傍に前記イオンビームを照射することによりイオン粒子量に応じた電流値の最大となる領域を基準点と設定し、パレットの設置誤差を補正したことを特徴とする圧電振動デバイスの周波数調整装置。
【請求項2】
圧電振動板に形成された金属膜を真空室内でイオンビームを用いてエッチングすることにより複数の圧電振動デバイスの周波数を調整する装置であって、
圧電振動デバイスを収納する収納部がマトリクス状に形成され、当該収納部毎にイオンビーム透過孔を有するパレットと、
当該パレットを一軸方向に搬送する搬送機構と、
前記パレットに収納された圧電振動デバイスの圧電振動板の金属膜に対してイオンビームを照射するよう配置されたイオンガンと、
当該イオンガンを前記パレットの搬送方向と交差する方向に移動させる移動機構と、
前記圧電振動デバイスの外部接続端子に接触可能なコンタクト端子を有し、圧電振動デバイスの特性を測定する周波数測定部と、
前記パレットの1つの列に収納された圧電振動デバイスに対してイオンガンおよび周波数測定部を一方向に間欠的に移動させ、イオンビームの照射により順次周波数調整を行い、当該列の調整作業後、次の列について順次周波数調整を行わしめる制御部を有し、
前記パレットの基準位置またはパレットと機械的に接続された基準部に電流密度センサを取着し、当該電流密度センサおよびその近傍に前記イオンビームを照射することによりイオン粒子量に応じた電流値の最大となる領域を基準点と設定し、パレットの設置誤差を補正したことを特徴とする圧電振動デバイスの周波数調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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