説明

圧電振動デバイスの発振検査器、製造装置および発振検査方法

【課題】圧電振動デバイスの発振を確実に検出する。
【解決手段】発振検査器1には、発振器4に電源を供給する電源供給部10と、発振器4からの水晶振動子2の発振信号を入力する発振入力部11と、発振入力部11に入力された発振信号を検出する発振検出部12と、判定時間における発振信号の検出の有無に基づいて水晶振動子2の発振の有無を判定する判定制御部13と、発振信号の発振状態を検査するための検査時間を設定する時間設定部14と、からなる発振検査回路が構成されている。時間設定部14では、発振器4へ電源供給を行っているON時間と、発振器4へ電源供給を行っていないOFF時間とが設定される。ON時間は、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とが連続して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスの発振検査器、製造装置および発振検査方法に関し、特に、圧電振動デバイスの発振の有無を検査する圧電振動デバイスの発振検査器、製造装置および発振検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子などの圧電振動デバイスの製造工程のなかには、圧電振動デバイスの発振特性を検査する工程がある(例えば、特許文献1ご参照。)。
【0003】
この下記する特許文献1に記載の水晶振動子の良否判定方法は、直流入力電圧に従って増幅率が変化する増幅回路を少なくとも一つ有する、判定対象の水晶振動子が接続された水晶発振回路を用い、直流入力電圧を増大させて水晶発振回路が発振を開始したときの直流入力電圧の最大値を測定し、その測定値に従って水晶振動子の良否を判定する方法である。
【0004】
この特許文献1に記載の水晶振動子の良否判定方法によれば、水晶振動子が実際の発振回路で発振する時の動作を定量的に測定し、水晶振動子の良否を確実、且つ正確に判定することができる。
【特許文献1】特開2001−242209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この圧電振動デバイスにおける発振特性に関して、発振器での電源のONから実際に発振するまで(発振信号の立ち上がり)にタイムラグが発生する。すなわち、発振器での電源のONに対する発振信号の立ち上がり時間が遅い。このタイムラグがある圧電振動デバイスをキーレスエントリーなどの電子機器に搭載した場合、ユーザによる入力操作(電源ON)に対する反応(発振信号)がない場合が発生する。
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に示すような従来の圧電振動デバイスの検査工程では、発振した発振信号の電圧特性を検査することはできるが、発振したか否かを検査することはできない。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、圧電振動デバイスの発振を確実に検出する圧電振動デバイスの発振検査器、製造装置および発振検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る圧電振動デバイスの発振検査器は、圧電振動デバイスの発振の有無を発振信号の検出により検査する圧電振動デバイスの発振検査器であって、圧電振動デバイスを発振させる発振器に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部により電源を供給した発振器からの圧電振動デバイスの発振信号を検出する発振検出部と、圧電振動デバイスの発振の有無を判定する判定制御部と、が設けられ、発振器へ電源供給を行っている間の時間帯がON時間として設定されるとともに、発振器へ電源供給を行っていない間の時間帯がOFF時間として設定され、かつ、前記ON時間は、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とが連続して構成され、前記判定制御部により、前記判定時間における発振信号の検出の有無に基づいて圧電振動デバイスの発振の有無が判定されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、前記電源供給部と前記発振検出部と前記判定制御部とが設けられ、発振器へ電源供給を行っている間の時間帯がON時間として設定されるとともに、発振器へ電源供給を行っていない間の時間帯がOFF時間として設定され、かつ、前記ON時間は、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とが連続して構成され、前記判定制御部により、前記判定時間における発振信号の検出の有無に基づいて圧電振動デバイスの発振の有無が判定される。したがって、圧電振動デバイスの発振信号が十分に立ち上がった後の発振の有無の判定を行うことができるので、発振の判定待ち時間内での無検出発振信号によりその圧電振動デバイスを不良品と検出することを防止することが可能となる。そのため、圧電振動デバイスの発振を確実に検出することが可能となる。また、歩留まりを上げることが可能となる。さらに、短時間の間隔で間欠発振が要求される圧電振動デバイスの不良品を検出するのに好ましい。
【0010】
前記構成において、発振器への電源供給を間欠供給と連続供給とのいずれかに選択するモード切替部が設けられてもよい。
【0011】
この場合、前記モード切替部が設けられているので、前記発振信号の立ち上がり時間による発振の有無だけでなく、周波数の値を圧電振動デバイスの検査の対象とすることが可能となる。
【0012】
前記構成において、発振器への電源供給を手動と自動とのいずれかに選択する手動/自動切替部が設けられてもよい。
【0013】
この場合、前記手動/自動切替部が設けられているので、手動で発振検査を行うだけでなく、自動で発振検査を行うことが可能となる。そのため、製造段階だけでなく研究開発段階においても用いることが可能となる。また、当該発振検査器のメンテナンスの際に自動を手動に切り替えることで容易にメンテナンスを行うことが可能となる。また、発振器への電源供給を自動的に行うためのシーケンサ制御器等の外部機器を当該装置に設けてもよく、また、外付けしてもよい。
【0014】
前記構成において、前記判定待ち時間の最小単位は、0.01mSECであってもよい。
【0015】
この場合、前記判定待ち時間の最小単位が0.01mSECであるので、任意の発振に対応させることが可能となり、短時間で発振することが要求される圧電振動デバイスの検査に好適である。また、前記判定待ち時間の最小単位が0.10mSECであってもよく、この場合であっても基本波や三倍波の発振に対応可能である。
【0016】
前記構成において、発振器は、取り外し可能に外付けされてもよい。
【0017】
この場合、発振器が、取り外し可能に外付けされているので、ユーザが使用する環境下においてユーザと等価の発振器を用いることが可能となる。そのため、実際のユーザの使用時において圧電振動デバイスの発振不良による電子機器の故障を抑えることが可能となる。また、発振器が取り外し可能に外付けされているので、基本波や三倍波の発振に対応させることが可能となる。すなわち、基本波の発振の場合、圧電振動デバイスの外部接続端子部分を検査チャックなどで挟持して発振判定を行うが、三倍波の発振の場合、圧電振動デバイスを発振器の押え板で押え、この状態でチャックで挟持して発振判定を行う。ところで、高周波になるほどリード線の長さの影響が出てくる。従って三倍波発振の場合は、配線による無用なインダクタンスやキャパシタンスを少なくする必要があるため、発振器を圧電振動デバイスに直接接続する必要があり、発振器が発振検査器に外付けされていることで三倍波発振の検査が可能となる。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、本発明に係る圧電振動デバイスの製造装置は、上記した圧電振動デバイスの発振検査器が、圧電振動デバイスを製造する製造ラインに組み込まれたことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、前記した圧電振動デバイスの発振検査器が、圧電振動デバイスを製造する製造ラインに組み込まれたので、製造段階において圧電振動デバイスの発振を確実に検出することが可能となる。また、短時間の間隔で間欠発振が要求される圧電振動デバイスを製造することが容易となる。
【0020】
具体的に、圧電振動デバイスを予め設定した方向に位置決めする位置決め部と、圧電振動デバイスを前記位置決め部に搬送する搬送部と、圧電振動デバイスに設けられた外部接続端子を導電接続するコンタクト電極が備えられ、圧電振動デバイスの外部接続端子を挟持または解放する検査チャックと、前記検査チャックにコンタクトされた状態で圧電振動デバイスを検査する前記発振検査器と、前記発振検査器における圧電振動デバイスの検査判定結果に基づいて圧電振動デバイスを分類する分類部と、が設けられた圧電振動デバイスの発振検査装置が前記製造ライン上に配されてもよい。
【0021】
この場合、圧電振動デバイスの発振を限定することなく、任意の発振(基本波や三倍波などの発振)の圧電振動デバイスを検査することが可能となる。
【0022】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明に係る圧電振動デバイスの発振検査方法は、圧電振動デバイスの発振の有無を発振信号の検出により検査する圧電振動デバイスの発振検査方法であって、圧電振動デバイスを発振させる発振器に電源を供給する電源供給工程と、前記電源供給工程において電源を供給した発振器からの圧電振動デバイスの発振信号を検出する発振検出工程と、圧電振動デバイスの発振の有無を判定する判定制御工程と、を有し、発振器へ電源供給を行っている間の時間帯をON時間として設定するとともに、発振器へ電源供給を行っていない間の時間帯をOFF時間として設定し、かつ、前記ON時間を、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とを連続させて構成し、前記判定制御工程において前記判定時間における発振信号の検出の有無に基づいて圧電振動デバイスの発振の有無を判定することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、前記電源供給工程と前記発振検出工程と前記判定制御工程と、を有し、発振器へ電源供給を行っている間の時間帯をON時間として設定するとともに、発振器へ電源供給を行っていない間の時間帯をOFF時間として設定し、かつ、前記ON時間を、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とを連続させて構成し、前記判定制御工程において前記判定時間における発振信号の検出の有無に基づいて圧電振動デバイスの発振の有無を判定する。従って、圧電振動デバイスの発振信号が十分に立ち上がった後の発振の有無の判定を行うことができるので、発振の判定待ち時間内での無検出発振信号によりその圧電振動デバイスを不良品と検出することを防止することが可能となる。そのため、圧電振動デバイスの発振を確実に検出することが可能となる。また、歩留まりを上げることが可能となる。さらに、短時間の間隔で間欠発振が要求される圧電振動デバイスの不良品を検出するのに好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる圧電振動デバイスの発振検査器、製造装置および発振検査方法によれば、圧電振動デバイスの発振を確実に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0026】
本実施の形態にかかる発振検査器1は、図1に示すように、水晶振動子2の製造装置(図示省略)の製造ラインに組み込まれ、製造ライン上に配された図7に示す発振検査装置3で用いられる。
【0027】
この製造装置は、12個の水晶振動子2の載置が可能なキャリア31がライン32上を移動しながら、各製造機器による製造工程を行い水晶振動子2を製造するものである。図1では製造工程の一工程である発振検査工程で用いる発振検査装置3を示した概略図である。この図1に示す発振検査器1では、発振検査器1に接続された発振器4によりキャリア31上の水晶振動子2を1つずつ発振させ、水晶振動子2の発振状態(下記参照)を発振検査器1で検査する。そして、この発振検査器1において、良品と判断された水晶振動子2は搬出路33を通って良品用ケース34に搬出され、不良品と判断された水晶振動子2は搬出路33を通って不良品用ケース35に搬出される。
【0028】
この水晶振動子2の発振検査を行う発振検査器1を、図面を用いて以下に説明する。
【0029】
発振検査器1には、図1に示すように水晶振動子2を発振させる発振器4が取り外し可能に外付けされる。また、この発振検査器1には、外部機器を接続可能な外部機器接続部(I/Oポート、図示省略)が設けられている。なお、ここでいう外部機器には、自動で検査を行うための自動機全体を制御する制御器などが挙げられ、本実施の形態では、シーケンサ制御器(図示省略)が用いられている。
【0030】
この発振検査器1では、図2に示すように、発振器4に電源を供給する電源供給部10と、発振器4からの水晶振動子2の発振信号を入力する発振入力部11と、発振入力部11に入力された発振信号を検出する発振検出部12と、発振検出部12において検出した発振信号の発振状態を検査してこの発振信号を出力する水晶振動子2が良品であるか否かを判定する判定制御部13と、発振信号の発振状態を検査するための検査時間を設定する時間設定部14と、からなる発振検査回路が構成されている。
【0031】
判定制御部13は、判定時間(下記参照)における発振信号の検出の有無に基づいて水晶振動子2の発振の有無を判定するものであり、発振がある場合外部OK信号を表示部18(下記参照)に出力し、発振がない場合外部NG信号を表示部18に出力する。またこれと同時に同様の信号をI/Oポートを通して外部機器にも出力する。また、外部機器であるシーケンサ制御器から発振開始のスタート信号(図3参照)が入力されたら、電源供給部10にON、OFF制御信号を出力する。図3に示すようにシーケンサ制御器からスタート信号が入力されている間、間欠発振検査を継続する。従って、検査時間は外部機器からのスタート信号の長さで決定される。
【0032】
時間設定部14では、発振器4へ電源供給を行っている間の時間帯(以下、ON時間という)と、発振器4へ電源供給を行っていない間の時間帯(以下、OFF時間という)と、が設定される。図3に示すように、ON時間とOFF時間とが交互に連続して構成されている。また、ON時間は、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とが連続して構成される(図3参照)。
【0033】
電源供給部10は、検査器の内部電源+Vと、この内部電源+Vを発振器4へ間欠的に電源供給するためのSSR(ソリッドステートリレー)101とから構成される。SSR101は判定制御部13により制御されている。時間設定部14によりON時間とOFF時間が設定され、外部機器であるシーケンサ制御器または手動でスタート信号が判定制御部13に入力されると、時間設定部14で設定された内容に従って判定制御部13からSSR101にON、OFF信号が入力され、SSR101では、この設定条件の下で電源供給が間欠的に制御される。
【0034】
また、発振検査器1には、図4に示すように、発振入力部11と、電源供給部10と、検査時間を設定する時間設定部14と、発振器4への電源供給を間欠供給(以下、間欠モードという)と連続供給(以下、連続モードという)とのいずれかに選択するモード切替部15と、発振器4への電源供給を手動と自動とのいずれかに選択する手動/自動切替部16と、当該発振検査器1の電源スイッチ17と、発振器4への電源供給状態と発振検査状態とを示す表示部18と、が設けられている。
【0035】
モード切替部15において間欠モードに選択した場合に発振検査が行われ、連続モードに選択した場合に周波数測定が行われる。
【0036】
時間設定部14では、判定待ち時間とON時間とOFF時間とがそれぞれ設定される。ON時間の最小単位を0.10mSECとし、OFF時間の最小単位を0.10mSECとし、判定待ち時間の最小単位を0.01mSECとする。
【0037】
手動/自動切替部16は、発振検査のスタートを手動で行うか、シーケンサ制御器からの信号で行うかを選択するものである。なお、発振器4への電源供給は発振検査器1から供給される。
【0038】
表示部18は、ON時間であることを点灯により示すONランプと、水晶振動子2が発振した場合に点灯するOKランプと、水晶振動子2が発振しなかった場合に点灯するNGランプと、から構成される。具体的に、判定制御部13により、判定時間に発振を検出した場合、その水晶振動子2は良品と判断され、判定制御部13からOK信号が表示部18に出力されてOKランプが点灯する。判定時間に発振を検出しなかった場合、その水晶振動子2は不良品と判断され、判定制御部13から外部NG信号が表示部18に出力されてNGランプが点灯する。
【0039】
次に、この発振検査器1における水晶振動子2の発振検査工程を、図5を用いて以下に説明する。なお、本実施の形態では、発振が三倍波の水晶振動子2が用いられる。
【0040】
まず、外部機器接続部にシーケンサ制御器(図示省略)を接続し、発振器4の出力コード19(図1参照)と電源供給コード(図示省略)とをそれぞれ図4に示す発振検査器1の発振入力部11と電源供給部10に挿入して接続する。そして、発振検査器1の電源を入れた後、モード切替部15により、発振器4への電源供給を間欠供給する間欠モードと連続供給する連続モードとのいずれかに選択する。また、時間設定部14により検査時間を設定し、手動/自動切替部16により、発振器4への電源供給を手動と自動とのいずれかに選択して、検査準備が完了する(ステップS1)。なお、本実施の形態では、ON時間を10mSEC、OFF時間を100mSEC、判定待ち時間を0.5mSECに設定する。また、このステップS6において設定した時間は、BCDからBINARY DATAに変換される。
【0041】
発振器4への電源供給を連続モードに選択していた場合(ステップS2においてYES)、発振器(OSC)に連続した電源が供給され(ステップS3、本発明でいう電源供給工程)、発振する振動子の周波数を測定する。そして、周波数の測定が終了すると、MAIN(図5参照)にもどる。
【0042】
発振器4への電源供給を間欠モードに選択していた場合(ステップS2においてNO)、シーケンサ制御器からスタート信号が出力されているか否かを判定する(ステップS4)
ステップS4における判定により、シーケンサ制御器から発振検査器1にスタート信号が出力されていると、設定した条件に従って発振器4に電源が供給される(ステップS5、本発明でいう電源供給工程)。なお、ステップS4においてシーケンサ制御器から発振検査器1にスタート信号が出力されていないと判定した場合(ステップS4においてNO)、スタート信号が出力されるまで判定が繰り返される。
【0043】
ステップS5において発振器4に電源を供給した後に、判定待ち時間が経過した場合(ステップS6においてYES)、判定時間内において発振があったか否かを検査する(ステップS7)。なお、ステップS6において判定待ち時間が経過していない場合(ステップS6においてNO)、判定待ち時間が経過するまで同一工程が繰り返される。
【0044】
ステップS7において判定時間内に発振がない場合、判定制御部13から表示部18にNG信号が出力され、NGランプが点灯する(ステップS8)。また、I/Oポートを介して、外部機器であるシーケンサ制御器にNG信号が出力される。また、NGランプが点灯すると、発振器4への電源供給が終了して、MAINにもどる。なお、判定時間中に外部NG信号が出力された場合、次のスタート信号がON(出力)するまでその状態、すなわち、外部NG信号の出力およびNGランプの点灯が保持される(図3参照)。
【0045】
ステップS7において判定時間内に発振がある場合、判定制御部13から表示部18にOK信号が出力され、OKランプが点灯する(ステップS9)。また、I/Oポートを介して、外部機器であるシーケンサ制御器にOK信号が出力される。なお、判定時間中に外部OK信号が出力された場合、次のスタート信号がON(出力)するまでその状態、すなわち、ON信号の出力およびONランプの点灯が保持される(図3参照)。なお、上記した検査時間に設定してONランプが点灯した時の発振器電源の供給信号と発振信号のOK/NG判定を図6に示す。
【0046】
ステップS11の状態でON時間が経過する(ステップS10においてYES)と、発振器4への電源供給が終了する(ステップS11)。
【0047】
また、ステップS9の状態でON時間がまだ経過していない場合(ステップS10においてNO)、ステップS7にもどり、判定時間内において発振があったか否かを検査する。
【0048】
ステップS11において発振器4への電源供給が終了し、OFF時間が経過した場合(ステップS12においてYES)、本発振検査工程が終了して、MAINにもどる。なお、ステップS12においてOFF時間が経過していない場合、OFF時間が経過するまで同一工程が繰り返される(ステップS12においてNO)。なお、ステップS6〜ステップS12の工程には、本発明でいう発振検出工程と判定制御工程とが含まれている。
【0049】
上記したように、本実施の形態にかかる製造装置3によれば、水晶振動子2の発振検査器1が、水晶振動子2を製造する製造ラインに組み込まれたので、製造段階において水晶振動子2の発振を確実に検出することができる。特に、短時間の間隔で間欠発振が要求される水晶振動子2を製造することが容易となる。
【0050】
また、上記したように、本実施の形態にかかる発振検査器1によれば、電源供給部10と発振検出部12と判定制御部13とが設けられ、発振器4へ電源供給を行っている間の時間帯がON時間として設定されるとともに、発振器4へ電源供給を行っていない間の時間帯がOFF時間として設定され、かつ、ON時間は、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とが連続して構成され、判定制御部13により、判定時間における発振信号の検出の有無に基づいて水晶振動子2の発振の有無が判定される。そのため、水晶振動子2の発振信号が十分に立ち上がった後の発振の有無の判定を行うことができるので、間接発振の各判定待ち時間内での無検出発振信号によりその水晶振動子2を不良品と検出することを防止することができる。そのため、間欠発振を行う水晶振動子2の発振を確実に検出することができる。また、歩留まりを上げることができる。さらに、短時間の間隔で間欠発振が要求される水晶振動子2の不良品を検出するのに好ましい。
【0051】
また、モード切替部15が設けられているので、発振信号の立ち上がり時間による発振の有無だけでなく、周波数の値を水晶振動子2の検査の対象とすることができる。
【0052】
また、手動/自動切替部16が設けられているので、手動で発振検査を行うだけでなく、自動で発振検査を行うことができる。そのため、製造段階だけでなく研究開発段階においても用いることができる。また、当該発振検査器1の調整やメンテナンスの際に自動を手動に切り替えることで容易にメンテナンスを行うことができる。
【0053】
また、発振器4への電源供給を自動的に行うためのシーケンサ制御器等の外部機器が当該発振検査器1に外付けされているので、様々な条件の発振に基づいて使用する外部機器を取り替えることで様々な条件に対応させることが容易となる。
【0054】
また、判定待ち時間の最小単位が0.01mSECであるので、任意の発振に対応させることができ、短時間で発振することが要求される水晶振動子2の検査に好適である。本実施の形態のように、発振が基本波や三倍波の場合、対応判定待ち時間の最小単位を0.10mSECに設定しても良好に検査を行うことができる。
【0055】
また、発振器4が、取り外し可能に外付けされているので、ユーザが使用する環境下においてユーザと等価の発振器を用いることができる。そのため、実際のユーザの使用時において水晶振動子2の発振不良による電子機器の故障を抑えることができる。さらに、発振器4が取り外し可能に外付けされているので、基本波や三倍波の発振に対応させることができる。
【0056】
なお、本実施の形態では発振検査装置3の一工程である発振検査工程のみを図1を用いて説明したが、この図1に示すライン32や各ケース34、35はこれに限定されるものではない。そのため、例えば、本実施の形態にかかる発振検査器1は、図7に示すように任意の形態の発振検査装置3に設けることができる。
【0057】
この図7に示す発振検査装置3には、発振検査器1と、水晶振動子2の外部接続端子21(以下、リードという)を挟持または解放する検査チャック36と、発振検査器1における水晶振動子2の検査判定結果に基づいて水晶振動子2を分類する分類部37と、複数個の水晶振動子2を検査チャック36による挟持位置まで搬送するライン搬送部38と、が設けられている。また、外部機器にはシーケンサ制御器5が用いられている。
ライン搬送部38は、図7に示すように、ランダムに投入された多数個の水晶振動子2を、水晶振動子2のリード21が上方に向いた状態にそれぞれ整列させるパーツフィーダ381と、パーツフィーダ381から送出された、リード21が上方に向いた各水晶振動子2を連続して搬送するリニアフィーダ383と、リニアフィーダ383から連続して搬送された水晶振動子2を1つずつ個別になるよう分けて配置する位置決め部382とから構成される。
【0058】
位置決め部382はその一部に収納ポケット384を有するとともに、全体として細長い形状で、かつスライド機構を有している。収納ポケット384に1つの水晶振動子が入ると位置決め部382がスライドし、収納ポケットが後述の地点Aまで移動する。このときリニアフィーダ383の先端(搬出口)は位置決め部382の側壁で遮断され、水晶振動子2の搬送が停止された構成となっている。
【0059】
検査チャック36は、前述のリード21を挟持する部分にコンタクト電極361が設けられ、位置決め部382に配置された水晶振動子2のリード21を挟持することによりコンタクト電極361との導通を行う。コンタクト電極361は発振器4の端子に接続されており、前述のように設定条件に従って電源供給が行われる。また、検査チャック36は図示しないハンドリング装置に取り付けられ、任意動作が可能となっている。具体的構成を例示すると、検査チャック36を地点Aにある位置決め部382の収納ポケット384に移動し、水晶振動子2のリード21を挟持する。その後、挟持した状態で水晶振動子2を地点Bに移動させ、この位置Bで特性検査を実行する。位置決め部382は検査チャック36が地点Bに移動した時点で元のリニアフィーダ383の先端の位置へ戻る。
【0060】
分類部37は、前記検査結果に基づき動作する選別シュータ37と、選別シュータ37の投入先に位置する良品用ケース34と不良品用ケース35とからなる。選別シュータ37は水晶振動子2を滑走させる溝状の面を持ち、検査結果に応じて地点Bを中心に選別シュータ37の下端371が良品用ケース34あるいは不良品用ケース35の位置になるよう旋回し(X方向)、旋回後、検査チャック36は挟持を解放して水晶振動子2を選別シュータ37に投入すると、滑走して決められたケース34、35に収納される。
【0061】
図7に示す水晶振動子2は、発振検査が終了し不良品と判断された場合の動作を例示しており、検査チャック36は地点Bの位置にあり、選別シュータ37は、下端371が不良品用ケース35の上部に位置する状態となっている。また、水晶振動子2を不良品用ケース35に搬出させるために検査チャック36の挟持が解放された状態となっている。水晶振動子2は選別シュータ37の滑走面を滑走し、不良品用ケース35に搬出される。なお、良品判定された場合は、選別シュータ37が良品用ケース34に旋回移動し良品用ケース34に搬出する。
【0062】
この発振検査装置3によれば、水晶振動子2の発振を限定することなく、任意の発振(基本波や三倍波などの発振)の水晶振動子2を検査することができる。
基本波の発振の場合、水晶振動子2を検査チャック36などで挟持して発振判定を行うが、三倍波の発振の場合、水晶振動子2を発振器の押え板(図示省略)で押え、この状態で検査チャック36で挟持して発振判定を行う。そのため、三倍波発振の場合は発振器4を水晶振動子2に直接接する必要があり、発振器4が発振検査器1に外付けされていることで三倍波発振の検査ができる。
【0063】
また、本実施の形態では、圧電振動デバイスに水晶振動子を用いているが、これに限定されるものではなく、圧電振動を行う任意の媒体を用いてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、外部からスタート信号を入力しているが、これに限定されるものではなく、発振検査器内に電源部を設けて、発振器に電源供給してもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、間欠発振と連続発振との両方の発振に対応させているが、これに限定されるものではなく、間欠発振のみに対応させてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、3倍波の水晶振動子2を用いたために、ON時間の最小単位を1.00mSECに設定し、OFF時間の最小単位を1.00mSECに設定し、判定待ち時間の最小単位を0.10mSECに設定したが、これに限定されるものではない。判定待ち時間を0.01mSECにしてさらに精度の高い検査を行うことができる。また、基本波の水晶振動子を用いることも当然に可能である。
【0067】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、水晶振動子などの圧電振動デバイスの発振検査の際に用いる機器に適用できる。特に間欠発振など複数回発振と停止を繰り返す圧電振動デバイスの発振検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施の形態にかかる、水晶振動子の製造工程の一工程である発振検査工程で用いる発振検査装置を示した概略図である。
【図2】本実施の形態にかかる水晶振動子の発振検査器の発振検査回路の概略構成図である。
【図3】本実施の形態にかかる水晶振動子の発振検査器における各信号のタイムチャート概略図である。
【図4】本実施の形態にかかる水晶振動子の発振検査器の概略正面図である。
【図5】本実施の形態にかかる水晶振動子の発振検査方法を示すフローチャート図である。
【図6】本実施の形態にかかる水晶振動子の発振検査器における、発振器電源の供給信号と発振検出信号のタイムチャート図である。
【図7】本実施の他の形態にかかる水晶振動子の製造装置の一工程である発振検査工程を示した概略図である。
【符号の説明】
【0070】
1 発振検査器
10 電源供給部
12 発振検出部
13 判定制御部
15 モード切替部
16 手動/自動切替部
2 水晶振動子(圧電振動デバイス)
21 リード(外部接続端子)
3 発振検査装置
361 コンタクト電極
36 検査チャック
37 分類部
38 ライン搬送部(搬送部)
382 位置決め部
4 発振器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動デバイスの発振の有無を発振信号の検出により検査する圧電振動デバイスの発振検査器であって、
圧電振動デバイスを発振させる発振器に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部により電源を供給した発振器からの圧電振動デバイスの発振信号を検出する発振検出部と、圧電振動デバイスの発振の有無を判定する判定制御部と、が設けられ、
発振器へ電源供給を行っている間の時間帯がON時間として設定されるとともに、発振器へ電源供給を行っていない間の時間帯がOFF時間として設定され、かつ、前記ON時間は、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とが連続して構成され、
前記判定制御部により、前記判定時間における発振信号の検出の有無に基づいて圧電振動デバイスの発振の有無が判定されることを特徴とする圧電振動デバイスの発振検査器。
【請求項2】
発振器への電源供給を間欠供給と連続供給とのいずれかに選択するモード切替部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイスの発振検査器。
【請求項3】
発振器への電源供給を手動と自動とのいずれかに選択する手動/自動切替部が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動デバイスの発振検査器。
【請求項4】
前記判定待ち時間の最小単位は、0.01mSECであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電振動デバイスの発振検査器。
【請求項5】
発振器は、取り外し可能に外付けされたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の圧電振動デバイスの発振検査器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の圧電振動デバイスの発振検査器が、圧電振動デバイスを製造する製造ラインに組み込まれたことを特徴とする圧電振動デバイスの製造装置。
【請求項7】
圧電振動デバイスを予め設定した方向に位置決めする位置決め部と、圧電振動デバイスを前記位置決め部に搬送する搬送部と、圧電振動デバイスに設けられた外部接続端子を導電接続するコンタクト電極が備えられ、圧電振動デバイスの外部接続端子を挟持または解放する検査チャックと、
前記検査チャックにコンタクトされた状態で圧電振動デバイスを検査する前記発振検査器と、
前記発振検査器における圧電振動デバイスの検査判定結果に基づいて圧電振動デバイスを分類する分類部と、
が設けられた圧電振動デバイスの発振検査装置が前記製造ライン上に配されたことを特徴とする請求項6に記載の圧電振動デバイスの製造装置。
【請求項8】
圧電振動デバイスの発振の有無を発振信号の検出により検査する圧電振動デバイスの発振検査方法であって、
圧電振動デバイスを発振させる発振器に電源を供給する電源供給工程と、前記電源供給工程において電源を供給した発振器からの圧電振動デバイスの発振信号を検出する発振検出工程と、圧電振動デバイスの発振の有無を判定する判定制御工程と、を有し、
発振器へ電源供給を行っている間の時間帯をON時間として設定するとともに、発振器へ電源供給を行っていない間の時間帯をOFF時間として設定し、かつ、前記ON時間を、発振信号の検出を待つ判定待ち時間と発振信号の検出を行う判定時間とを連続させて構成し、
前記判定制御工程において前記判定時間における発振信号の検出の有無に基づいて圧電振動デバイスの発振の有無を判定することを特徴とする圧電振動デバイスの発振検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−23082(P2006−23082A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198726(P2004−198726)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】