説明

圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置ならびにそれらの製造方法

【課題】信頼性が向上した圧電素子等を提供すること。
【解決手段】本発明に係る圧電素子は、第1の面16において凹部14を有する振動板10と、凹部14内に形成された、第1電極20と、振動板10および第1電極20の上に形成された圧電体層30と、圧電体層30の上に形成された第2電極40と、を含み、第1電極20の上面21は、第1の面16と連続した平面を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子の厚みを薄くし、高密度、高速駆動を可能にするため、薄膜技術を用いて製造できる圧電素子やインクジェット式記録ヘッドが知られている。例えば、特許文献1には、薄膜技術を用いて製造できるインクジェット式記録ヘッドが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェット式記録ヘッドは、振動板の上に設けられた下部電極を圧電体層が覆い、複数の該圧電体層を連続して覆うように上部電極が設けられた圧電素子を有する。このような圧電素子は、例えば、上部電極により、圧電体層に対する大気中の水分等の影響を低減することができる。
【0004】
このような構造の圧電素子に電圧が印加されて駆動する場合、第1電極が振動板から圧電体層側に突出した部分(例えば、下部電極の角部周辺等)に電界が集中しやすく、その結果、圧電体層等においてクラックが発生する可能性がある。したがって、上記の構造を有する圧電素子において、駆動時に圧電体層での電界集中を緩和することができる圧電素子が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−172878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの態様によれば、圧電体層での電界集中を緩和させることなどにより、信頼性が向上した圧電素子と、この圧電素子を含む、液滴噴射ヘッドおよび液滴噴射装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の態様の1つである圧電素子は、
第1の面において凹部を有する振動板と、
前記凹部内に形成された、第1電極と、
前記振動板および前記第1電極の上に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上に形成された第2電極と、
を含み、
前記第1電極の上面は、前記第1の面と連続した平面を構成する。
【0008】
本発明において、「上」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明において、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上」という文言を用いている。同様に、「下」という文言は、A下に直接Bを形成するような場合と、A下に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとする。
【0009】
本発明によれば、第1電極が振動板の凹部内に形成され、かつ、その上面は振動板の第1の面と連続した平面を構成する。これによれば、第1電極が、振動板の第1の面から圧電体層側に突出した部分を有しないため、圧電体層内での電界集中を緩和することができる。したがって、圧電体層に印加される電界がより均一化され、応力の集中も緩和されるため、圧電体層等にクラックが発生しにくくなる。以上から、信頼性が向上した圧電素子を提供することができる。
【0010】
(2)本発明の態様の1つである圧電素子において、
前記振動板は、前記第1の面を構成する第1の層を含む積層体であって、
前記凹部は、前記第1の層を貫通しなくてもよい。
【0011】
これによれば、第1の層がバリア層として機能することができ、圧電素子の信頼性をより向上させることができる。
【0012】
(3)本発明の態様の1つである圧電素子において、
前記振動板は、前記第1の面を構成する第1の層を含む積層体であって、
前記凹部は、前記第1の層を貫通してもよい。
【0013】
これによれば、振動板をより変形しやすくすることができるため、圧電素子の変位量をより大きくすることができる。
【0014】
(4)本発明の態様の1つである圧電素子において、
前記第1の層は、酸化ジルコニウムであってもよい。
【0015】
(5)本発明の態様の1つである液滴噴射ヘッドは、
上記いずれかの圧電素子を含む。
【0016】
本発明によれば、本発明の態様の1つである圧電素子を有する液滴噴射ヘッドを提供することができる。
【0017】
(6)本発明の態様の1つである液滴噴射装置は、
上記の液滴噴射ヘッドを含む。
【0018】
本発明によれば、本発明の態様の1つである液滴噴射ヘッドを有する液滴噴射装置を提供することができる。
【0019】
(7)本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法は、
振動板に凹部を形成する工程と、
前記振動板の前記凹部内に第1電極を形成する工程と、
前記振動板および前記第1電極の上に圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の上に第2電極を形成する工程と、
を含み、
前記第1電極を形成する工程は、
前記凹部を充填するように導電膜を形成する工程と、
前記導電膜側から研磨を行い、平坦化する工程と、
を有し、
前記平坦化する工程において、前記振動板を露出させる。
【0020】
本発明によれば、本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、平坦化された平面において圧電体層を形成することができる。これによれば、得られる圧電体層の膜厚を均一化できる。また、圧電体層が結晶化する際の成長界面が平面であるため、得られる圧電体層の結晶構造をより均一化することができる。したがって、信頼性を向上させることができる圧電素子の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、得られる圧電体層の膜厚を均一化でき、かつ、圧電体層の上面を平坦な面とすることができる。これによれば、製造工程において、圧電体層の上に設けられる部材の成形性を向上させることができる。したがって、歩留まりを向上させることができる圧電素子の製造方法を提供することができる。
【0021】
(8)本発明の態様の1つである圧電素子の製造方法において、
前記平坦化する工程は、化学機械研磨によって行われてもよい。
【0022】
(9)本発明の態様の1つである液滴噴射ヘッドの製造方法は、
上記いずれかの圧電素子の製造方法を含む。
【0023】
(10)本発明の態様の1つである液滴噴射装置の製造方法は、
上記の液滴噴射ヘッドの製造方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1(A)は、本実施形態の圧電素子を模式的に示す平面図、図1(B)は、図1(A)に示すIB−IB線における圧電素子を模式的に示す断面図。
【図2】図2は、本実施形態の変形例に係る圧電素子を模式的に示す断面図。
【図3】図3(A)〜図3(D)は、本実施形態の圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】図4(A)および図4(B)は、本実施形態の圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る液滴噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。
【図7】本実施形態に係る液滴噴射装置を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
1.圧電素子
1−1.圧電素子の構造
図1(A)は、本実施形態の圧電素子を模式的に示す平面図、図1(B)は、図1(A)に示すIB−IB線における圧電素子を模式的に示す断面図である。また、図2は、本実施形態の変形例に係る圧電素子を模式的に示す断面図である。
【0027】
本実施形態に係る圧電素子100は、図1(A)および図1(B)に示すように、振動板10、第1電極20、圧電体層30、および第2電極40を含む。
【0028】
なお、本発明において、「圧電素子」という文言は、「圧電アクチュエーター」という文言に置換可能な文言とする。したがって、圧電アクチュエーター100は、振動板10、第1電極20、圧電体層30、および第2電極40を含んでいてもよい。
【0029】
図1(A)に示すように、圧電素子100は、振動板10を基板として形成される。図1(A)に示すように、圧電素子100は、一方向に延びるように形成されていてもよい。ここで、圧電素子100が延びる方向を第1の方向110とする。また、図1に示すように、第1の方向と交差する方向を第2の方向120とする。例えば第1の方向110と第2の方向120とは、実質的に直交関係にあってもよい。
【0030】
振動板10は、例えば、導電体、半導体、絶縁体の少なくとも1つを用いて形成されたプレート状の基板であることができる。図1(B)に示すように、振動板10は第1の面16(上面)を有する。第1の面16は、後述される圧電体層30、および第2電極40が設けられる面である。振動板10は、図1(B)に示すように、複数の層の積層体であってもよい。また、図示はされないが、振動板10は、単層であってもよい。振動板10が積層体である場合、図1(B)に示すように、振動板10は、第1の面16を構成する第1の層11を含む。図1(B)に示すように、第1の層11は、第2の層12の上に積層されていてもよい。図示はされないが、振動板10は、更に第3の層を含んでいてもよい。振動板10は、圧電素子100を含む圧電アクチュエーターの可動部分となることができ、圧力発生室などの壁の一部を構成していてもよい。振動板10の材質としては、例えば、窒化シリコンなどの無機窒化物、酸化ジルコニウム、酸化シリコン、酸化チタンなどの無機酸化物、ステンレス鋼などの合金を用いることができる。例えば、振動板10には、第1の層11に酸化ジルコニウムを用い、第2の層12に酸化シリコンを用いてもよい。振動板10の厚みは、用いる材質の弾性率などにしたがって最適に選ばれる。振動板10が圧電素子100を含む圧電アクチュエーターの振動板である場合は、振動板10の厚みは、例えば、200nm以上5000nm以下とすることができる。振動板10の厚みが200nmよりも薄いと、振動等の機械的出力を取り出しにくくなることがあり、5000nmよりも厚いと、振動等が生じなくなる場合がある。振動板10は、圧電体層30の動作により、たわんだり振動したりすることができる。
【0031】
振動板10は、図1(A)および図1(B)に示すように、第1の面16において凹部14を有する。凹部14は、第1の面16において、上方に後述される圧電体層30が設けられる位置に形成される。図示はされないが、振動板10には、複数の凹部14が隣り合うように配置されていてもよい。凹部14の形状は、振動板10の第1の面16において、窪みを形成することができる限り、特に限定されない。凹部14の内面は、第1の面16における開口部に連続したテーパー状側面および底面から構成されていてもよい。図1(A)に示すように、凹部14は、底面が、第1の方向110において延びるように形成されていてもよい。つまりは、凹部14は、溝状凹部であってもよい。図示はされないが、凹部14の側面は、テーパー状ではなく、第1の面16から鉛直方向に延びる面であってもよい。また、図示はされないが、凹部14の内面は、例えば略円弧状の連続した曲面から形成されていてもよい。
【0032】
凹部14は、図1(B)に示すように、振動板10の第1の層11を貫通せず、第1の層11のみに形成されていてもよい。これによれば、凹部14の底面と、第2の層12との間に残留した第1の層11が、バリア層として機能し、例えば、第1電極20および圧電体層30等に含まれる金属元素の拡散を防止することができるため、圧電素子100の信頼性を向上させることができる。
【0033】
また、凹部14は、図2に示すように、第1の層11を貫通し、第2の層12に至るように形成されていてもよい。これによれば、可動領域における振動板10の膜厚を、より薄くすることができる。したがって、所定の電圧が印加された際の圧電素子100の変位量を更に大きくすることができる。
【0034】
第1電極20は、図1(A)および図1(B)に示すように、振動板10の凹部14内に形成され、凹部14を充填する。ここで、図1(B)に示すように、第1電極20は、第1の面16と連続した平面を構成する面21(上面21)を有する。したがって、第1電極20が形成される領域は、振動板10に形成された凹部14の形状によって制限される。図1(A)に示すように、凹部14は、第1の方向110において延びるように形成されているため、第1電極20も第1の方向110において延びるように形成される。第1電極20は、第2電極40と対になり、圧電体層30を挟む一方の電極として機能する。第1電極20は、例えば、圧電素子100の下部電極であってもよい。図示はされないが、第1電極20は、駆動回路と電気的に接続しているリード配線と電気的に接続されている。第1電極20とリード配線との電気的接続方法は、特に限定されない。
【0035】
第1電極20の材質は、導電性を有する物質である限り特に限定されない。第1電極20の材質として、例えば、Ni、Ir、Au、Pt、W、Ti、Cr、Ag,Pd、Cuなどの各種の金属およびこれらの金属の合金、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、SrとRuの複合酸化物、LaとNiの複合酸化物などを用いることができる。また、第1電極20は、例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
【0036】
圧電体層30は、図1(A)および図1(B)に示されるように、第1電極20と第2電極40との間に配置されている。図1(A)および図1(B)に示すように、圧電体層30は、振動板10(第1の面16)および第1電極10(上面21)が構成する連続した平面の上に形成される。図1(A)に示すように、圧電体層30は、第1の方向110に延びるように形成されていてもよい。図1(B)に示すように、圧電体層30は、後述される第2電極40が形成される上面31(第1電極20側の面とは反対側の面)と、テーパー状の側面とを有する。圧電体層30の厚みは、電圧が印加される際に、実質的に伸縮変形できる限り、特に限定されない。
【0037】
圧電体層30の材質としては、圧電特性を有する圧電材料であれば特に限定されないが、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物が好適に用いられる。このような材質の具体的な例としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O)、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO)などが挙げられる。
【0038】
第2電極40は、圧電体層30の上において、第1電極20と対向するように配置される。図1(A)および図1(B)に示すように、第2電極40は、第2の方向120において、圧電体層30を覆うように形成されていてもよい。第2電極40の形成される領域は、図1(B)に示すように、圧電体層30の上で、第1電極20の少なくとも一部とオーバーラップし、駆動領域35(第1電極20と第2電極40との間に挟まれた圧電体層30の領域で、実質的に変形する領域)を形成する限り、特に限定されない。したがって、第2電極40の詳細な形状は、駆動領域を決定する際の設計事項であり、所望の駆動領域に応じて適宜決定されることができる。図示はされないが、第2電極40は、複数の隣り合う圧電体層30を連続して覆っていてもよい。
【0039】
第2電極40は、第1電極20と対になり、圧電体層30を挟む一方の電極として機能する。第1電極20が下部電極である場合は、第2電極40は上部電極であってもよい。第2電極40は、図示しない駆動回路と電気的に接続されている。第2電極40と駆動回路との電気的接続方法は、特に限定されない。第2電極40と駆動回路とは、図示されないリード配線を介して電気的に接続されていてもよい。また、図示はされないが、第2電極40の一部の表面には絶縁性保護膜が形成されていてもよい。
【0040】
第2電極40の材質は、導電性を有する物質である限り特に限定されない。第2電極40の材質として、例えば、Ni、Ir、Au、Pt、W、Ti、Ta、Mo、Cr、Pd,Cuなどの各種の金属およびこれらの金属の合金、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、SrとRuの複合酸化物、LaとNiの複合酸化物などを用いることができる。また、第2電極40は、例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
【0041】
以上のいずれかの構成により、本実施形態に係る圧電素子100を構成することができる。本実施形態に係る圧電素子100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0042】
本実施形態に係る圧電素子100によれば、第1電極20が振動板10の凹部14内に形成され、かつ、その上面21は、振動板10の第1の面16と連続した平面を構成する。これによれば、第1電極20が、振動板10の第1の面16から圧電体層30側へ突出した部分を有しないため、駆動時における圧電体層30内での電界集中を緩和することができる。したがって、圧電体層30に印加される電界がより均一化され、構成部材にかかる応力の集中も緩和されるため、クラックが発生しにくくなる。したがって、信頼性が向上した圧電素子100を提供することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る圧電素子100によれば、振動板10(第1の面16)および第1電極10(上面21)が構成する連続した平面の上に形成された圧電体層30を有する。これによれば、本実施形態に係る圧電素子100の圧電体層30の膜厚は均一で、上面31は平坦な面であることができる。また、圧電体層30は、結晶成長の界面が平面であるため、結晶成長が安定し、結晶構造がより均一となった圧電体層であることができる。したがって、平面の上に形成された圧電体層30を有することで、構造物を覆うように形成された圧電体層を有する圧電素子と比べて、より信頼性の高い圧電素子100を提供することができる。詳細は後述される。
【0044】
1−2.圧電素子の製造方法
次に、本実施形態に係る圧電素子100の製造方法について説明する。図3(A)〜図3(D)および図4(A)〜図4(D)は、本実施形態の圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図である。各図において、左図は、第1の方向110における断面図であり、右図は、第2の方向120における断面図である。
【0045】
本実施形態に係る圧電素子の製造方法は、振動板10に凹部14を形成する工程と、振動板10の凹部14内に第1電極20を形成する工程と、振動板10および第1電極20の上に圧電体層30を形成する工程と、圧電体層30の上に第2電極40を形成する工程と、を含む。
【0046】
まず、図3(A)に示すように、振動板10に凹部14を形成する。ここで、準備される振動板10は、圧電素子100としての所望の厚みよりも厚い振動板10であってもよい。例えば、振動板10が、第1および第2の層11、12を有するとき、第1の層11が所望の厚みよりも厚い膜厚を有していてもよい。また、図示されないが、振動板10は、所望の厚みで準備されてもよい。凹部14をパターニングする方法は、特に限定されない。凹部14のパターニングは、例えば、所望の位置にレジストを形成し、公知のフォトリソグラフィー技術および/またはエッチング技術によって行われることができる。エッチング技術を用いる場合、ウェットエッチングまたはドライエッチングを用いることができる。
【0047】
ここで、図3(A)に示すように、振動板10の凹部14が形成される面を、第1の面16aとする。
【0048】
次に、図3(B)に示すように、振動板10の凹部14を充填するように導電膜20aを形成する。図3(B)に示すように、導電膜20aは、凹部14を充填し、第1の面16aを覆うように形成されてもよい。また、図示はされないが、導電膜20aは、導電膜20aの上面の一部が、第1の面16aと同一の面を構成するように形成されてもよい。また、図示はされないが、凹部14内に形成された導電膜20aの膜厚が、所望の第1電極20の膜厚と同じとなるように形成されてもよい。導電膜20aを形成方法は特に限定されず、公知の成膜方法を用いることができる。例えば、スパッタリング法、CVD法、PVD法などの蒸着法、スピンコート法、MOD法、めっき法などにより導電膜20aを形成することができる。
【0049】
次に、図3(C)に示すように、導電膜20a側から研磨を行い、平坦化を行う。この平坦化工程では、導電膜20aによって覆われた振動板10を露出させる。研磨による平坦化は、凹部14内の導電膜20aが所望の膜厚となるように行われる。これによって、凹部14内に形成された第1電極20(および上面21)と第1の面16が形成される。また、第1の面16aが露出したのち、振動板10の第1の層11の表層部分を更に研磨除去してもよい。これによれば、第1電極20の上面21と、振動板10の第1の面16とが構成する連続した平面を、確実に平坦な面とすることができる。研磨する方法は、公知の研磨方法を用いることができる。例えば、研磨する方法は、化学機械研磨(CMP)、スピンオングラス(SOG)などを用いることができる。より好適には、化学機械研磨(CMP)によって平坦化を行うことで、第1の面16と上面21とが構成する平面をより均一に平坦化することができる。
【0050】
次に、図3(D)に示すように、振動板10および第1電極20の上に、圧電体層30aを形成する。形成方法は特に限定されず、公知の成膜方法および焼成方法を用いることができる。例えば、ゾルゲル法などによる前駆体溶液からなる圧電材料を塗布し、熱処理することで圧電体層30aを形成することができる。また、圧電体層30aは、スピンコート法、CVD法、MOD法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法などを用いて形成されてもよい。熱処理の条件は、用いられるプロセス、圧電材料によって適宜決定される。熱処理の条件は、用いられる圧電材料膜が結晶化できる温度であれば、特に限定されない。熱処理は、例えば、酸素雰囲気中において、500度以上、900度以下で行われることができる。また、熱処理は、脱脂などを目的とした仮焼成を含んでいてもよい。
【0051】
このとき、図3(D)に示すように、第1の面16と上面21とが構成する平面の上に、配向制御膜30bを形成してもよい。配向制御膜30bとは、圧電体層30aが焼成時に結晶化する際の配向を制御する層である。配向制御膜30bには、例えば、チタン膜、ランタンニッケル酸化物膜などを用いることができる。また、配向制御膜30bの他に、窒化チタン膜などの導電膜20aの酸化防止膜を形成してもよい。
【0052】
ここで、図3(D)に示すように、圧電体層30aは、第1の面16と上面21とが構成する平面の上に成膜された後に熱処理されて形成される。これによれば、図3(D)に示すように、得られる圧電体層30aの膜厚は均一であり、かつ、上面31は平坦な面であることができる。
【0053】
次に、図4(A)〜図4(D)に示すように、圧電体層30および第2電極40を形成する。以下において、圧電体層30および第2電極40を形成する工程の一例を説明する。しかしながら、圧電体層30および第2電極40を形成する工程は、上述された構成を備えた圧電体層30と第2電極40を形成することができる限り、公知の方法を用いることができ、その方法および工程順は、以下の説明に限定されない。
【0054】
まず、図4(A)に示すように、圧電体層30aの上に導電膜40aを形成してもよい。導電膜40aは、第2電極40と同じ材料又は異なる材料で形成され、かつ、第2電極40の膜厚よりも薄い膜厚を有する。導電膜40aを形成する方法は特に限定されず、公知の成膜技術を用いて形成される。公知の成膜方法には、例えば、スパッタリング法、CVD法、PVD法などの蒸着法、スピンコート法、MOD法、めっき法などを用いることができる。
【0055】
次に、図4(B)に示すように、導電膜40aを所望の形状にパターニングし、導電膜40bを形成して、導電膜40bをハードマスクとして、圧電体層30aをパターニングしてもよい。導電膜40aおよび圧電体層30aのパターニングには、公知のフォトリソグラフィー技術および/またはエッチング技術を用いることができる。エッチング技術を用いる場合、公知のレジストを適宜形成して、ウェットエッチングまたはドライエッチングを用いることができる。ここで、図示はされないが、適宜レジストを形成することなどにより、段階的なエッチングを行い、圧電体層30に、第1電極20へのコンタクトホールを形成してもよい。
【0056】
次に、図4(C)に示すように、パターニングされた圧電体層30の上に導電膜40cを形成してもよい。導電膜40bは、第2電極40と同じ材料又は異なる材料で形成され、かつ、導電膜40bを取り込むことができる。導電膜40cは、導電膜40aと同様の方法で形成されてもよい。
【0057】
次に、図4(D)に示すように、導電膜40cを所望の形状にパターニングし、第2電極40を形成してもよい。導電膜40cは、導電膜40bと同様の方法でパターニングされてもよい。これによって、図4(D)に示すように、圧電体層30に、第1電極20と第2電極40とによって挟まれた部分である駆動領域35を形成することができる。
【0058】
以上の工程により、圧電素子100を製造することができる。しかしながら、上述のように、圧電体層30と第2電極40を形成する工程は、上記工程に限定されない。図示はされないが、例えば、圧電体層30aの上に、第2電極40と同じ膜厚の導電膜を形成し、所望のレジストを形成した後、該導電膜と、圧電体層30aとを連続してパターニングすることで、圧電体層30と第2電極40を形成してもよい。また、例えば、段階的にレジストを形成することで、圧電体層30と第2電極40を形成してもよい。
【0059】
本実施形態に係る圧電素子の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0060】
本実施形態に係る圧電素子の製造方法によれば、本実施形態に係る圧電素子100を提供することができる。また、本実施形態に係る圧電素子の製造方法によれば、圧電素子の信頼性を向上させることができ、かつ、製造工程の歩留まりを向上させることができる。以下に詳細を説明する。
【0061】
一般的に、公知の成膜技術を用いて、圧電体層が、構造物が設けられた平面において構造物を覆うように形成される場合、その膜厚を均一に形成することは、技術的に困難である。また、その圧電体層の上面は、構造物の形状に対応してしまうため、上面の平坦性を確保することも、技術的な困難性を伴う。
【0062】
しかしながら、本実施形態に係る圧電素子の製造方法によれば、振動板10(第1の面16)および第1電極10(上面21)が構成する連続した平面の上に圧電体層30を形成することができる。これによれば、構造物を覆うように形成された圧電体層と比べて、膜厚がより均一な圧電体層30を有する圧電素子を製造することができる。また、圧電体層30を、平面上で結晶化することができるため、焼成時における圧電体層の結晶成長が安定し、結晶構造がより均一な圧電体層30を製造することができる。したがって、本実施形態に係る圧電素子の製造方法によれば、圧電素子の信頼性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る圧電素子の製造方法によれば、上面31の平坦性がより高い圧電体層30を有する圧電素子を製造することができる。構造物を覆うように形成された圧電体層と比べて、パターニングされる前の圧電体層30aの上面31の平坦性が高くなることで、以後の工程において形成されるレジストや、導電膜等の各部材の膜厚が均一となり、パターニング時のアライメント精度などが向上するため、各部材の成形性が向上する。したがって、本実施形態に係る圧電素子の製造方法によれば、製造工程の歩留まりを向上させることができる。
【0064】
2.液滴噴射ヘッド
次に、本実施形態に係る圧電素子100を有する液滴噴射ヘッド600について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド600の要部を模式的に示す断面図である。図6は、本実施形態に係る液滴噴射ヘッド600の分解斜視図であり、通常使用される状態とは上下を逆に示したものである。なお、図6では、圧電素子100を簡略化して図示している。
【0065】
図5および図6に示すように、液滴噴射ヘッド600は、上述の圧電素子100(圧電アクチュエーター100)を有する。また、液滴噴射ヘッド600は、図5および図6に示すように、ノズル孔612を有するノズル板610と、圧力室622を形成するための圧力室基板620と、を含む。
【0066】
圧電素子100の数は特に限定されず、複数形成されていてよい。なお、圧電素子100が複数形成される場合は、振動板10は共通の基板となり、複数の凹部14が形成され、かつ、第2電極40が共通電極となる。さらに、液滴噴射ヘッド600は、図6に示すように、筐体630を有することができる。
【0067】
ノズル板610は、図5および図6に示すように、ノズル孔612を有する。ノズル孔612からは、インクなどの液体等(液体のみならず、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したもの、又は、メタルフレーク等を含むものなどを含む。以下同じ。)を液滴として吐出されることができる。ノズル板610には、例えば、多数のノズル孔612が一列に設けられている。ノズル板620の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを挙げることができる。
【0068】
圧力室基板620は、ノズル板610上(図6の例では下)に設けられている。圧力室基板620の材質としては、例えば、シリコンなどを例示することができる。圧力室基板620がノズル板610と振動板10aとの間の空間を区画することにより、図6に示すように、リザーバー(液体貯留部)624と、リザーバー624と連通する供給口626と、供給口626と連通する圧力室622と、が設けられている。この例では、リザーバー624と、供給口626と、圧力室622とを区別して説明するが、これらはいずれも液体等の流路であって、このような流路はどのように設計されても構わない。また例えば、供給口626は、図示の例では流路の一部が狭窄された形状を有しているが、設計にしたがって任意に形成することができ、必ずしも必須の構成ではない。リザーバー624、供給口626および圧力室622は、ノズル板610と圧力室基板620と振動板10aとによって区画されている。リザーバー624は、外部(例えばインクカートリッジ)から、振動板10aに設けられた貫通孔628を通じて供給されるインクを一時貯留することができる。リザーバー624内のインクは、供給口626を介して、圧力室622に供給されることができる。圧力室622は、振動板10aの変形により容積が変化する。圧力室622はノズル孔612と連通しており、圧力室622の容積が変化することによって、ノズル孔612から液体等が吐出される。
【0069】
圧電素子100は、圧力室基板620上(図6の例では下)に設けられている。圧電素子100は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。振動板10aは、積層構造(圧電体層30)の動作によって変形し、圧力室622の内部圧力を適宜変化させることができる。
【0070】
筐体630は、図6に示すように、ノズル板610、圧力室基板620および圧電素子100を収納することができる。筐体630の材質としては、例えば、樹脂、金属などを挙げることができる。
【0071】
液滴噴射ヘッド600は、信頼性が向上した圧電素子100を含んでいる。したがって、信頼性の向上した液滴噴射ヘッドを実現できる。
【0072】
なお、ここでは、液滴噴射ヘッド600がインクジェット式記録ヘッドである場合について説明した。しかしながら、本発明の液滴噴射ヘッドは、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどとして用いられることもできる。
【0073】
3.液滴噴射装置
次に、本実施形態に係る液滴噴射装置について、図面を参照しながら説明する。液滴噴射装置は、上述の液滴噴射ヘッドを有する。以下では、液滴噴射装置が上述の液滴噴射ヘッド600を有するインクジェットプリンターである場合について説明する。図7は、本実施形態に係る液滴噴射装置700を模式的に示す斜視図である。
【0074】
液滴噴射装置700は、図7に示すように、ヘッドユニット730と、駆動部710と、制御部760と、を含む。さらに、液滴噴射装置700は、装置本体720と、給紙部750と、記録用紙Pを設置するトレイ721と、記録用紙Pを排出する排出口722と、装置本体720の上面に配置された操作パネル770と、を含むことができる。
【0075】
ヘッドユニット730は、上述した液滴噴射ヘッド600から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット730は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ731と、ヘッドおよびインクカートリッジ731を搭載した運搬部(キャリッジ)732と、を備える。
【0076】
駆動部710は、ヘッドユニット730を往復動させることができる。駆動部710は、ヘッドユニット730の駆動源となるキャリッジモーター741と、キャリッジモーター741の回転を受けて、ヘッドユニット730を往復動させる往復動機構742と、を有する。
【0077】
往復動機構742は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸744と、キャリッジガイド軸744と平行に延在するタイミングベルト743と、を備える。キャリッジガイド軸744は、キャリッジ732が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ732を支持している。さらに、キャリッジ732は、タイミングベルト743の一部に固定されている。キャリッジモーター741の作動により、タイミングベルト743を走行させると、キャリッジガイド軸744に導かれて、ヘッドユニット730が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
【0078】
なお、本実施形態では、液滴噴射ヘッド600および記録用紙Pがいずれも移動しながら印刷が行われる例を示しているが、本発明の液滴噴射装置は、液滴噴射ヘッド600および記録用紙Pが互いに相対的に位置を変えて記録用紙Pに印刷される機構であってもよい。また、本実施形態では、記録用紙Pに印刷が行われる例を示しているが、本発明の液滴噴射装置によって印刷を施すことができる記録媒体としては、紙に限定されず、布、フィルム、金属など、広範な媒体を挙げることができ、適宜構成を変更することができる。
【0079】
制御部760は、ヘッドユニット730、駆動部710および給紙部750を制御することができる。
【0080】
給紙部750は、記録用紙Pをトレイ721からヘッドユニット730側へ送り込むことができる。給紙部750は、その駆動源となる給紙モーター751と、給紙モーター751の作動により回転する給紙ローラー752と、を備える。給紙ローラー752は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラー752aおよび駆動ローラー752bを備える。駆動ローラー752bは、給紙モーター751に連結されている。制御部760によって供紙部750が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット730の下方を通過するように送られる。
【0081】
ヘッドユニット730、駆動部710、制御部760および給紙部750は、装置本体720の内部に設けられている。
【0082】
液滴噴射装置700は、信頼性が向上した圧電素子100を含んでいる。したがって、信頼性の向上した液滴噴射装置を実現できる。
【0083】
なお、上記例示した液滴噴射装置は、1つの液滴噴射ヘッドを有し、この液滴噴射ヘッドによって、記録媒体に印刷を行うことができるものであるが、複数の液滴噴射ヘッドを有してもよい。液滴噴射装置が複数の液滴噴射ヘッドを有する場合には、複数の液滴噴射ヘッドは、それぞれ独立して上述のように動作されてもよいし、複数の液滴噴射ヘッドが互いに連結されて、1つの集合したヘッドとなっていてもよい。このような集合となったヘッドとしては、例えば、複数のヘッドのそれぞれのノズル孔が全体として均一な間隔を有するような、ライン型のヘッドを挙げることができる。
【0084】
以上、本発明に係る液滴噴射装置の一例として、インクジェットプリンターとしてのインクジェット記録装置700を説明したが、本発明に係る液滴噴射装置は、工業的にも利用することができる。この場合に吐出される液体等(液状材料)としては、各種の機能性
材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。本発明の液滴噴射装置は、例示したプリンター等の画像記録装置以外にも、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)、電気泳動ディスプレイ等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射装置としても好適に用いられることができる。
【0085】
なお、上述した実施形態および各種の変形は、それぞれ一例であって、本発明は、これらに限定されるわけではない。例えば実施形態および各変形は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0087】
10 振動板、11 第1の層、12 第2の層、14 凹部、16 第1の面、
20 第1電極、21 上面、20 圧電体層30 圧電体層、31 上面、
35 駆動領域、40 第2電極、100 圧電素子、
110 第1の方向、120 第2の方向、
600 液滴噴射ヘッド、610 ノズル板、612 ノズル孔、
620 圧力室基板、622 圧力室、624 リザーバー、626 供給口、
628 貫通孔、630 筐体、700 液滴噴射装置、710 駆動部、
720 装置本体、721 トレイ、722 排出口、730 ヘッドユニット、
731 インクカートリッジ、732 キャリッジ、741 キャリッジモーター、
742 往復動機構、743 タイミングベルト、744 キャリッジガイド軸、
750 給紙部、751 給紙モーター、752 給紙ローラー、
752a 従動ローラー、752b 駆動ローラー、760 制御部、
770 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面において凹部を有する振動板と、
前記凹部内に形成された、第1電極と、
前記振動板および前記第1電極の上に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上に形成された第2電極と、
を含み、
前記第1電極の上面は、前記第1の面と連続した平面を構成する、圧電素子。
【請求項2】
請求項1において、
前記振動板は、前記第1の面を構成する第1の層を含む積層体であって、
前記凹部は、前記第1の層を貫通しない、圧電素子。
【請求項3】
請求項1において、
前記振動板は、前記第1の面を構成する第1の層を含む積層体であって、
前記凹部は、前記第1の層を貫通する、圧電素子。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記第1の層は、酸化ジルコニウムである、圧電素子。
【請求項5】
請求項4に記載の圧電素子を含む、液滴噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載の液滴噴射ヘッドを含む、液滴噴射装置。
【請求項7】
振動板に凹部を形成する工程と、
前記振動板の前記凹部内に第1電極を形成する工程と、
前記振動板および前記第1電極の上に圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の上に第2電極を形成する工程と、
を含み、
前記第1電極を形成する工程は、
前記凹部を充填するように導電膜を形成する工程と、
前記導電膜側から研磨を行い、平坦化する工程と、
を有し、
前記平坦化する工程において、前記振動板を露出させる、圧電素子の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記平坦化する工程は、化学機械研磨によって行われる、圧電素子の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の圧電素子の製造方法を含む、液滴噴射ヘッドの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の液滴噴射ヘッドの製造方法を含む、液滴噴射装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−59770(P2012−59770A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199043(P2010−199043)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】