説明

在宅介護ユニットおよび介護スペースの構築方法

【課題】 大掛かりな増改築をすることなく、自宅の一室に介護用スペースを構築することのできる在宅介護ユニットと、この在宅介護ユニットを使用する介護スペースの構築方法とを提供する。
【解決手段】 在宅介護ユニットにかかる発明は、既存の建物の室内に設置可能な床ユニット1と、この床ユニットに接続可能かつ所望設備を備えた設備ユニット2,3と、上記床ユニットまたは設備ユニットに連結可能な壁ユニット4と、上記設備ユニットに備えられた所望設備の給排水を可能にする給排水ユニット5とからなる。介護スペースの構築方法にかかる本発明は、既存の室内の床上に床ユニットおよび設備ユニットを配置するとともに、隣接する端縁を連結して床面を構成し、この床面の周縁のうち、任意の床ユニットまたは設備ユニットの端縁に壁ユニットを連結し、かつ、隣接する壁ユニットの端縁を連結して壁面を構成し、上記壁ユニットに給排水ユニットを設置してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在宅介護ユニットおよび介護スペースの構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、在宅介護のための設備を充実させるべく、介護用建物ユニットの発明(特許文献1)または部屋形成用部材の発明(特許文献2)が開発されている。上記介護用建物ユニットにかかる技術は、介護用建物を既設の建物に隣接する構成であり、当該介護用建物は、予めユニットボックスにより住空間が確保されるとともに、被介護者の要介護状態に応じて必要となる設備が設置されたものであり、既設建物の周辺において空いた土地に設置されるものであった(特許文献1参照)。
【0003】
他方、部屋形成用部材にかかる技術は、既設の建物の一室に介護のための部屋を形成するためのものであって、軸組部材にパネル部材を着脱自在に設けられ、軸組部材およびパネル部材には、それぞれ中空部が設けられて電源ケーブル、ガス用配管または水道用配管が連通部材として設置できる構成であった(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−59347号公報(4・5頁、図1−図3)
【特許文献2】特許第3459698号公報(3・4頁、図1−図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記介護用建物ユニットにかかる従来技術にあっては、既存の建物とは異なる建物ユニットを同じ敷地内に設置するものであることから、当該建物が築造されている敷地に十分なスペースを有していなければならず、敷地に余裕がなければ設置することができなかった。そして、例えば、駐車場として使用しているスペースに建物ユニットを設置することを想定するとしても、既存の建物のどこにでも設けられるというものではなく、仮に、駐車場などの敷地を確保できたとしても、上記建物ユニットを設置できるものではなかった。さらに、敷地に余裕があり、建物ユニットを設置できたとしても、それは、自宅や自室という落ち着く環境ではなく、また、健常者である介護担当者は母屋で生活し、被介護者のみが建物ユニットで生活することとなるため、被介護者に疎外感を与えるなどの問題点があった。
【0005】
他方、上記部屋形成用部材を使用して、自宅の一室に介護用の部屋を構築する場合には、部材の組立のみによって構築することができず、一種の改築工事と同様の工事を必要とするものであることから、多大の費用と時間を要するものとなっていた。また、介護の必要性がなくなった場合には、復元するためにも多大の費用が必要となっていた。さらに、被介護者の要介護状態は、一定ではなく病状などは一進一退を繰り返し、当初必要な程度の介護スペースを構築していたとしても病状の進行により、さらなる介護スペースが必要となる場合、または、逆に病状の後退により、介護スペースが過剰なものとなって設備およびスペースを無駄にする場合があった。
【0006】
そして、上記いずれの場合においても、トイレや洗面所などを設置し、介護が容易となる広さを確保するものである。これは、専ら介護が必要となる場面が排泄時などであるため、これらの場面における介護が容易にできる程度のスペースを確保しなければならないからである。すなわち、既存の建物における居住スペースでは、被介護者と一緒に介護担当者がトイレに入ることができず、被介護者をトイレに案内することも容易ではないからである。そこで、これらを使用するためには給排水設備を必要とすることとなるが、上記両者の従来技術による場合には、給排水設備は既存の建物とは異なる給排水設備を設置する必要があった。しかし、給排水設備の敷設工事の費用は無視できない程度に高額であり、また、一度敷設した給排水設備の撤去も容易ではなかった。特に、浴槽などを設置する場合は、給湯設備なども必要となり、構築費用が膨大なものとなっていた。
【0007】
また、建物ユニットはマンション等における2階以上の部屋に隣接して設けることは不可能であり、介護用の部屋を構築する場合においても、大きな工事を必要する場合には、使用する部材が大型化するため、マンション等において使用することは現実的ではなかった。
【0008】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、大掛かりな増改築をすることなく、自宅の一室に介護用スペースを構築することのできる在宅介護ユニットを提供するとともに、この在宅介護ユニットを使用する介護スペースの構築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、在宅介護ユニットにかかる本発明は、既存の建物の室内に設置可能な床ユニットと、この床ユニットに接続可能かつ所望設備を備えた設備ユニットと、上記床ユニットまたは設備ユニットに連結可能な壁ユニットと、上記設備ユニットに備えられた所望設備の給排水を可能にする給排水ユニットとからなることを特徴とする在宅介護ユニットを要旨としている。
【0010】
上記のような構成であれば、既存の建物の一室を利用し、その部屋の床面に床ユニットを設置するとともに、所望の設備を備えた設備ユニットを上記床ユニットに接続するように設けることで、新しい床面に介護に必要な設備を設けることができ、さらに、これらのユニットに連続して、壁ユニットを設けることにより、介護に必要となる介護スペースに壁面を設けることが可能となる。
【0011】
従って、介護スペースを設けるべき部屋は、その全体に在宅介護ユニットを構築することで、介護室を設けることが可能となり、他の家族が同居する建物において介護を受けることができる。また、当該部屋の一部において、介護に必要となる面積に相当する床ユニットによって部分的に新たな床面を設け、既設の壁面と平行して壁ユニットを設けることにより、部屋の一部に介護スペースを設けることが可能となる。このとき、設備ユニットに備えられる設備が便器等のサニタリー設備とする場合には、部屋の一室に余裕ある面積のサニタリースペースを設けることが可能となるものである。なお、設備ユニットとは、床ユニットの表面に連続する平面を有しつつ所望設備を設置してなるものと、壁ユニットの表面に連続する平面を有しつつ所望設備を設置してなるものの双方を含み、便器などの床置きタイプの設備を設置するもののほかに、洗面台などの壁掛けタイプの設備を設置するものがある。
【0012】
また、在宅介護ユニットにかかる本発明は、既存の建物の室内に設置可能な床ユニットと、この床ユニットに接続可能かつ所望設備を備えた設備ユニットと、上記床ユニットまたは設備ユニットに連結可能な壁ユニットと、上記設備ユニットに備えられた所望設備の給排水を可能にする給排水ユニットとからなり、上記給排水ユニットは、上記壁ユニットまたは設備ユニットの裏側に設けられるとともに、所定の給排水設備に至るまでの配管を可能にしてなることを特徴とする在宅介護ユニットをも要旨としている。
【0013】
上記構成によれば、給排水ユニットは、モジュール寸法に設計された複数を適宜連続させつつ設置することにより、これを所定の給排水設備に到達させることができ、当該内部に配設される給排水管が外部に露出することなく配管されることとなり、外観を良好にすることができる。なお、上記給排水ユニットは給水管および排水管を備えるが、この排水管にポンプなどの加圧手段を接続することにより排水管を上向きに連続させ、壁面を経由して予め用意する排水タンクや既設の排水設備まで排水を圧送することが可能となるものである。
【0014】
さらに、在宅介護ユニットにかかる本発明は、既存の建物の室内に設置可能な床ユニットと、この床ユニットに接続可能かつ所望設備を備えた設備ユニットと、上記床ユニットまたは設備ユニットに連結可能な壁ユニットと、この壁ユニットに連結可能な天井ユニットと、上記設備ユニットに備えられた所望設備の給排水を可能にする給排水ユニットとからなり、上記給排水ユニットは、給水管および排水管を内蔵し、かつ、上記設備ユニット、壁ユニットおよび天井ユニットの内部または裏側に設置されるとともに、該給水管および排水管を所定の給排水設備に接続可能にしてなることを特徴とする在宅介護ユニットを要旨とするものである。
【0015】
上記構成により、上記各ユニットを配置させることによって、既設建物の一室の全体に、介護スペースに使用できる床、壁および天井を設けることが可能となる。そして、給排水ユニットは、設備ユニット、壁ユニットおよび天井ユニットの内部または裏側に設置されることから、介護用スペースに露出することがなく、しかも、給水管および排水管が所定の給排水設備に接続することにより、設備ユニットに設置される所望設備への給水および当該設備からの排水を可能にするものである。なお、排水に関しては、上述のようにポンプなどの加圧手段を利用することにより、壁面および天井を経由して排水タンクや既存の排水設備まで圧送することが可能となる。
【0016】
ここで、上記各発明において、前記設備ユニットが、床部材と壁部材とを一体的に構成し、所望設備を床部材または壁部材に設置するとともに、前記給排水ユニットが上記壁部材の内部または裏面に予め設けられた設備ユニットであってもよい。この場合、給排水設備を要する設備ユニットにおいて、給排水ユニットとの連結が容易となるのである。すなわち、設備ユニットに設置されるべき設備の種類や型式等により給排水管の接続される位置が異なるが、設備が予め決定している場合には、その設備に応じた給排水管の配管、または給排水ユニットの設置が、事前に設計され得るものとなるのである。
【0017】
さらに、在宅介護ユニットにかかる本発明は、床部材および壁部材を垂直に維持しつつ一体的に構成してなるL字状ユニットと、このL字状ユニットを整列させたとき該L字状ユニットの床部材が存在しない位置において該床部材に連続しつつ配設される床ユニットと、上記L字状ユニットを整列させたとき該L字状ユニットの壁部材が存在しない位置において該壁部材に連続しつつ配設される壁ユニットと、上記L字状ユニットまたは壁ユニットの内部または裏側に設置される給排水ユニットとからなり、上記L字状ユニットは、所望設備を備えたL字状の設備ユニットと、該所望設備が備えられないL字状の壁床ユニットとに区別され、該L字状の設備ユニットには、その床部材または壁部材のいずれか一方または双方に所望設備が備えられており、上記給排水ユニットは、上記L字状設備ユニットの所望設備から所定の給排水設備に至るまでの配管を可能にしてなる給排水ユニットであることを特徴とする在宅介護ユニットを要旨としている。
【0018】
上記構成により、構築すべき介護スペースを構築するための要素となる床面および壁面は、L字状ユニットによって基本部分が構成され、このL字状ユニットが設置されない床面および壁面についてのみ床ユニットおよび壁ユニットを設置することで、所望の介護スペースを構築することができることとなる。そして、上記基本部分を構成するL字状ユニットは全体形状が概略L字状に構成されていることから、床部材を既存の室内の床上に載置することによって壁部材が自立できるものとなり、非自立型の壁ユニットを使用する場合のように立設のための固定手段が不要となる。しかも、上記L字状ユニットは、壁床ユニットのほかにL字状の設備ユニットが区別されており、予め所望設備を備えた設備ユニットが、自立型ユニットとして構成されることとなる。これにより、給排水を必要とする設備が備えられた設備ユニットにあっては、給排水管や圧送ポンプなどの設備を、当該設備ユニットに予め設置することが可能となる。従って、介護スペースの構築現場における各種設置工事が簡易なものとなり、工期の短縮を可能とするものである。
【0019】
また、在宅介護ユニットにかかる本発明は、床部材および壁部材を垂直に維持しつつ一体的に構成してなるL字状ユニットと、このL字状ユニットを整列させたとき該L字状ユニットの床部材が存在しない位置において該床部材に連続しつつ配設される床ユニットと、上記L字状ユニットを整列させたとき該L字状ユニットの壁部材が存在しない位置において該壁部材に連続しつつ配設される壁ユニットと、この壁ユニットにより構築される壁面の上端縁に連結可能な天井ユニットと、上記L字状ユニットまたは壁ユニットおよび天井ユニットの内部または裏側に設置される給排水ユニットとからなり、上記L字状ユニットは、所望設備を備えたL字状の設備ユニットと、該所望設備が備えられないL字状の壁床ユニットとに区別され、該L字状の設備ユニットには、その床部材または壁部材のいずれか一方または双方に所望設備が備えられており、上記給排水ユニットは、上記L字状設備ユニットの所望設備から所定の給排水設備に至るまでの配管を可能にしてなる給排水ユニットであることを特徴とする在宅介護ユニットを要旨としている。
【0020】
上記構成により、既存の空き部屋全体を介護スペースとして使用する場合、当該空き部屋の壁面に沿って、その全体にL字状ユニットを配置することにより、構築すべき介護スペースの周辺下位部分を構成させることができるものである。その結果、L字状ユニットの床部材が存在しない部分にのみ床ユニットを配置することで床面を構成することが可能となり、また、L字状ユニットの組み合わせによって、コーナー部分に壁面が構成されない部分が発生するため、当該コーナー部分にのみ壁ユニットを設ければ、当該介護スペースの壁面の下位部分を構築することができる。さらに、この下位の壁面に連続するように上方にさらに壁ユニットを連結することにより、介護スペース全体の壁面を構築することができるのである。そして、このように構築された壁面の上縁に、水平方向に連続する天井ユニットを連結することによって、既存の空き部屋に新たな床面、壁面および天井で構成される一部屋分の介護スペースを構築することが可能となる。このような一部屋分の介護スペースを構築する場合であっても、上記構成であれば、各ユニットを配置かつ連結することのみによって可能となるから、既存の居室の増改築を要せずに短期間に構築することができるものである。
【0021】
なお、上記各発明において、前記設備ユニットは、便器、洗面台または浴槽等の給排水設備を必要とする所望設備が備えられている第一設備ユニットと、手摺またはペーパホルダ等の給排水設備を不要とする所望設備が備えられている第二設備ユニットとが、混在してなる設備ユニットである構成とすることができる。この場合、第一設備ユニットには、給排水ユニットが設置されるとともに、これに連続する壁ユニット等にも給排水ユニットが設置され、給排水設備を必要とする所望設備に対する給排水を可能にすることができ、他方、第二設備ユニットは、上述の給排水ユニットを設置する必要がないことから、それらの設置のための手間を割愛することができるのである。そして、設備ユニットとは、予め何らかの設備が備えられたものであり、単純な床ユニット、壁ユニットまたはL字状の壁床ユニットとは異なる構成で製造されることとなるが、給排水設備の有無が予め明確であれば、給排水ユニットの設置について考慮しつつ設備ユニットの強度設計を行うことが可能となる。
【0022】
また、第二設備ユニットは、便器等の設備を備えた設備ユニットとは別個に設計され、便器等を備えた設備ユニットの近傍に配置することで、被介護者が便器や洗面台などを独力で使用する場合、または、介護担当者の負担を軽減させるために被介護者が手摺などを使用する場合に効果を奏することとなる。すなわち、被介護者の要介護状態に程度によっては、車いすを使用でき、また、介護用の手摺があれば独力で便器等を使用できる場合には、それに応じた介護スペースとすることが可能となるのである。
【0023】
さらに、上記各発明において、前記給排水ユニットは、給水管および排水管を備え、上記排水管をポンプに連結することにより、該排水管に流入する排水を圧送可能にしてなる構成とすることができる。このような構成により、給排水設備を必要とする所望設備から排出される排水を下り勾配による自然流下に頼ることなく送水することができる。従って、排水管を上向きに連続させる場合であっても排水が可能となり、所定の給排水設備の場所を問うことなく自在に配管した排水管を経由させて当該所定の給排水設備との接続を可能にするものである。特に、介護スペースが構築される部屋から下り勾配の配管を設置できない環境下においては好適であり、その結果、介護スペースを構築すべき場所が限定されることがなく、既存の建物を有効に利用できることとなる。なお、所定の給排水設備とは、代表的には既存建物において設けられている既設の給排水設備を意味するが、排水設備としては、既設の排水設備のほかに予め用意された排水タンクなどを含むものである。
【0024】
次に、介護スペースの構築方法にかかる本発明は、請求項1または2に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、既存の室内の床上に床ユニットおよび設備ユニットを配置するとともに、隣接する端縁を連結して床面を構成し、この床面の周縁のうち、任意の床ユニットまたは設備ユニットの端縁に壁ユニットを連結し、かつ、隣接する壁ユニットの端縁を連結して壁面を構成し、上記壁ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法を要旨としている。
【0025】
上記構成によれば、介護スペースを構築すべき部屋において、その一隅を利用し、二面の壁面と床面とで介護スペースを設けることができる。この場合、介護に必要となる設備は、設備ユニットに設けられ、この設備ユニットの表面は、新たな床面または壁面の一部を構成し、残る床面には床ユニットが、壁面には壁ユニットが、それぞれ設置されることによって、所望の設備を備えた介護スペースが構築されるのである。
【0026】
また、介護スペースの構築方法にかかる本発明は、請求項3に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、既存の空き部屋の床上に、床ユニットまたは設備ユニットのいずれかを配置するとともに、隣接する端縁を連結して該空き部屋のほぼ全体に床面を構成し、出入口を確保しつつ上記床面の周縁に壁ユニットを連結し、かつ、隣接する壁ユニットの端縁を相互に連結して壁面を構成し、この壁面の上縁に天井ユニットを連結し、かつ、これに連続するように天井ユニットを連続して天井を構成し、上記壁ユニットおよび天井ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法をも要旨としている。
【0027】
上記構成によれば、介護スペースを設けるべき部屋の床面の全体に、当該床面の全体の面積よりも僅かに小さな範囲に新たな床面を構築し、この新たな床面の周辺に連続して新たな壁面を構築し、さらに、この新たな壁面の上端に連続するように新たな天井を構築することにより、既設の部屋全体を介護スペースに変えることができる。この場合、当該部屋の所望の位置に設置すべき設備を備えた設備ユニットを配置し、当該設備ユニットの表面が新たな床面または壁面の一部を構成することとなる。従って、床ユニットおよび壁ユニットは、上記設備ユニットが設置された部分を除いた範囲に設けられることとなる。そして、部屋への出入口または窓に相当する位置の壁ユニットとして、当該壁ユニットの一部に出入口用開口部または窓用開口部を設けることで、窓および出入口は確保され、それ以外の室内構成要素全体を介護のための室内構成要素に変更することができるのである。従って、当該部屋には、便器や洗面台または浴槽を設けることもでき、新たな床面にベッドなどを設置することで、介護専用の部屋を設けることが実現する。
【0028】
さらに、介護スペースの構築方法にかかる本発明は、請求項4に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、予め既存の室内における介護スペース予定範囲を確定し、この介護スペース予定範囲のうち壁面を構築すべき位置に壁部材を合致させつつ床上に床部材を載置しながら設備ユニットを配設し、介護スペース予定範囲のうち上記設備ユニットの床部材が存在しない床上に床ユニットを配設し、かつ、隣接する各ユニットの端縁を連結して床面を構成し、この床面の周縁のうち上記設備ユニットの壁部材が存在しない端縁に壁ユニットを立設し、かつ、隣接する各ユニットの端縁を連結して壁面を構成し、上記設備ユニットの壁部材または壁ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法を要旨としている。
【0029】
上記構成により、予め必要となる設備が給排水または他の設備と同時に使用するものである場合において、床部材または壁部材の双方に必要な設備を設置する必要があるものについては、事前の設計により構成された設備ユニットを所定の位置に設置することにより、床部材または壁部材に所望設備が備えられている場合においても、その設備に接続すべき給排水ユニットなどを事前に設けることができる。従って、所望設備を部屋に設置することが極めて容易となる。
【0030】
また、介護スペースの構築方法にかかる本発明は、請求項5に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、予め既存の室内における介護スペース予定範囲を確定し、この介護スペース予定範囲のうち壁面を構築すべき位置に壁部材を合致させつつ床上に床部材を載置しながらL字状ユニットを配設し、介護スペース予定範囲のうち上記L字状ユニットの床部材が存在しない床上に床ユニットを、壁部材が存在しない部分に壁ユニットをそれぞれ配設し、上記各ユニットの端縁のうち相隣接する部分を連結して床面および壁面を構成し、上記L字状ユニットが設備ユニットである該ユニットの壁部材または壁ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法をも要旨としている。
【0031】
上記構成によれば、介護スペース予定範囲のうちの壁面が構築されるべき位置にL字状ユニットの壁部材を合致させることにより、床面および壁面の一部を同時に構成することができる。従って、当該介護スペース予定範囲の境界内側にL字状ユニットを設置することにより、当該部分の床面を構成すると同時に境界位置に壁面を構成することが可能となる。そして、L字状ユニットの床ユニットが存在しない部分には床ユニットを設置することで、所望の介護スペース予定範囲の全体に新たな床面を構築できるものである。なお、L字状ユニットを部屋のコーナーに設置する場合、壁部材を連続させれば床部材が重なることとなるため、床部材が連続するように配置することが好ましく、この場合、コーナー部分において壁部材が連続しないこととなることから、当該部分には壁ユニットを設置することとなる。
【0032】
上記のようにして構築された介護スペースは、部屋の全体に新たな床面または壁面を構築するものではないことから、既存の部屋の一部に介護可能なサニタリースペースを構築する場合に好適である。
【0033】
さらに、介護スペースの構築方法にかかる本発明は、請求項6に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、予め既存の空き部屋における介護スペース予定範囲を確定し、この介護スペース予定範囲のうち壁面を構築すべき位置に壁部材を合致させつつ床上に床部材を載置しながらL字状ユニットを配設し、介護スペース予定範囲のうち上記L字状ユニットの床部材が存在しない床上に床ユニットを、壁部材が存在しない部分に壁ユニットをそれぞれ配設し、上記各ユニットの端縁のうち相隣接する部分を連結して床面および壁面を構成し、この壁面の上縁に天井ユニットを連結し、かつ、これに連続するように天井ユニットを連続して天井を構成し、上記L字状ユニットが設備ユニットである該ユニットの壁部材または壁ユニットおよび天井ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法を要旨としている。
【0034】
上記構成によれば、介護スペース予定範囲の境界内側にL字状ユニットを配置し、L字状ユニットによって当該介護スペース予定範囲を包囲することにより、既存の空き部屋の内部において、周囲を壁で仕切った別個の部屋を構築することができる。すなわち、上述のように、L字状ユニットの床部材に連続して床ユニットを設置することにより新たな床面を構築することができ、L字状ユニットの壁部材によって新たな壁面が構築される。そして、部屋のコーナーについては、L字状ユニットの壁部材の連続しない部分が存在するため、当該部分に壁ユニットを設置することで、連続した壁面を構築できるのである。さらに、上方に向かって壁ユニットを連続させるとともに、その上縁に連続して天井ユニットを設けることにより、既存の部屋の天井付近まで連続する壁面と、さらに新たな天井とを構築することが可能となり、増改築することなく、介護のための専用の部屋を設けることができることとなる。
【0035】
ここで、上記各発明において、前記壁面の構築は、平板状の壁ユニットと、窓または扉に相当する範囲を開口してなる壁ユニットとを組み合わせて構築する構成とすることができる。この種の構成によれば、既存の部屋の全体を介護用のスペースに供する場合、既存の部屋の間取り(窓および出入口の位置)に合わせて、新たな壁面においても同様に間取り(窓および出入口の位置)を構成することができるのである。なお、窓または出入口の大きさは、モジュール寸法に設計することで、既存の居室に最も近い寸法を選択することができるものである。
【0036】
また、上記各発明において、前記設備ユニットは複数の設備ユニットであり、それぞれの設備ユニットには異なる種類の所望設備が備えられ、それぞれ所定の位置に配置してなる構成とすることができる。この種の構成とすれば、給排水設備を必要とする便器、洗面台または浴槽等の設備を設置する場所と、給排水設備を必要としない手摺やペーパホルダ等の設備を設置する場所とを自由に選択できることとなり、被介護者の要介護状態の程度などに応じて、必要な設備ユニットのみを設置し、また、その位置を自由に選択し得ることとなる。また、被介護者の要介護状態が変化した場合においても、さらに必要な設備を備えた設備ユニットを追加し、また、不要となった設備を備えた設備ユニットを撤去することも可能となる。
【0037】
さらに、上記各発明において、前記壁床ユニットまたは設備ユニットの床部材および床ユニットによって構築された床面と、既設の室内における床面との間に、緩斜面を構成するスロープ部材を設置する構成とすることが好適である。この種の構成によれば、新たに構築される床面は、既存の建物における床面よりも床ユニットの肉厚に相当する程度だけ高くなることから、車椅子を使用できる被介護者が自ら介護用の設備を使用できないという不具合を解消することができる。このことは、部屋の一部に介護スペースを構築する場合においても、部屋全体を介護スペースとする場合においても同様である。従って、部屋の一部に介護スペースを構築する場合には、当該構築された介護スペースの床面の端縁にスロープ部材を設け、部屋全体を介護スペースとする場合には、部屋の出入口にスロープ部材を設けることによって、車椅子を使用して介護スペースの新たな床面に移動することが可能となる。
【0038】
さらに、上記各発明において、前記各ユニットの端縁の連結は、所定の幅寸法により構成されたジョイント部材によってなされる構成とすることができる。この種の構成にすれば、複数の異なるユニットを連続して所定面積の床面または壁面を構成するに際し、その寸法をジョイントの幅寸法によって調整することが可能となり、また、L字状ユニット同士の連結に際しては、隣接するL字状の端縁を同時に連結できるL字状のジョイント部材を設けることにより、単一のジョイント部材でL字状ユニットを連結することも可能となる。
【0039】
そして、上記ジョイント部材により連結する構成の発明において、前記ジョイント部材は、構築すべき介護スペースを適宜間隔で支持する軸組部材として機能するとともに、前記各ユニットは、上記軸組部材の間に着脱可能に設けられたパネル部材として機能するものであって、介護スペース予定範囲に予めジョイント部材を配設した後に、該ジョイント部材の中間に各ユニットを装着してなる構成とすることができる。
【0040】
上記構成により、モジュール寸法に設計された床ユニットおよび壁ユニットをパネル部材と想定し、このパネル部材を装着できる軸組部材としてのジョイント部材を予め既存の室内に設けることにより、軸組工法と同様の施工方法をもって介護スペースを構築することができる。これにより、軸組工法に慣れた施工業者においても、特殊な技能を有することなく既存の室内に介護スペースを構築できることとなる。
【0041】
また、上記各発明において、前記給排水ユニットは、給水管および排水管を備える給排水ユニットを使用し、前記設備ユニットは、所望設備の排水が流入する圧送ポンプを備える設備ユニットを使用してなり、上記排水管を上記圧送ポンプに接続してなる構成とすることができる。この種の構成によれば、給排水を必要とする所望設備から放出される排水を圧送ポンプによって強制的に送水することが可能となり、排水管に下り勾配を設けなくとも自在な方向へ排水することができる。従って、所望設備の排水口よりも上方に向かって排水管を配設することが可能となり、壁ユニットや天井ユニットの内部または裏側に給排水ユニットを設けることによっても排水が可能となるのである。これにより、既存の部屋の増改築をすることなく、既存建物に設けられている既設の給排水設備などとの連結によって所望設備に対する給排水が実現できるのである。
【発明の効果】
【0042】
在宅介護ユニットにかかる本発明によれば、それぞれモジュール化することのできる床ユニット、壁ユニットおよび給排水ユニットによって構成されることから、基礎的な工事を必要とせずに、各ユニットを連結することによって介護スペースを得ることができる。そして、排水は、ポンプによって圧送されるものであるため、排水管は勾配等に配慮することなく設置できることとなる。従って、排水管を自在に配管し、既存の排水管に接続することによって、または、適宜排水を貯えることのできる排水タンクを用意して配水管を接続することによって、特別な配管工事を不要とすることが可能となる。
【0043】
また、各ユニットを増減させることにより、介護スペースの広狭を可能にするため、介護に必要な程度に応じた介護スペースを得ることができる。そのため、被介護者の要介護状態が変化した場合でも、自在かつ容易に介護スペースを変更することが可能となる。そして、完全な部屋としての介護スペースを構築する場合には、天井ユニットを使用することによって、自宅の一室に介護専用の部屋を設けることが可能となる。
【0044】
他方、介護スペースの構築方法にかかる本発明によれば、床面および壁面などを構築するためには、床ユニットおよび壁ユニットを設置かつ連結することによって可能となるから、短時間かつ安価に介護スペースを構築することができる。そして、給排水ユニットは、壁ユニットに設置され、給排水管を露出させることなく清潔感をえることができる。また、給排水ユニットを構成する排水管にはポンプが排水を圧送するため、介護用スペースのための特別な配管設備を必要とせず、短期間の構築が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。在宅介護ユニットにかかる発明の実施形態は、図1に示すように、床ユニット1、設備ユニット2,3、壁ユニット4および給排水ユニット5によって形成されている。設備ユニットとしては、便器6などの床置きタイプの設備が設置できる水平設備ユニット2と、洗面台7などの壁掛けタイプの設備が設置できる垂直設備ユニット3の二種類に分類され、それぞれの設備ユニット2,3の表面は、床ユニット1または壁ユニット4に連続して床面または壁面が構成されるようになっている。また、水平設備ユニット2には、ポンプ8が設置されており、上記便器6などから排出される排水を圧送できるように構成されている。なお、このポンプ8は、排水の流入を感知して始動する送水ポンプを使用しており、図示のように、便器6などの床置きタイプの設備とともに設備ユニット2を形成する場合のほか、ポンプ8のみによって設備ユニットが形成される場合もあり得る。
【0046】
上記各ユニット1,2,3,4は、予め定められたモジュール寸法で設計され、必要な設備6,7を備える設備ユニット2,3の配置場所が決定すれば、必要な床面に相当する範囲には床ユニット1が設置され、また、壁面には壁ユニット4が設置されて、それぞれ隣接する端縁を連結することとなる。従って、既存の建物の一室全体の床上に床ユニット1を、また、出入口を除く壁全体に壁ユニット4を設置することにより、当該一室全体を介護用の部屋に変更することができる。また、一室の一部のみに床ユニット1を設け、当該床ユニット1によって形成される床面のうち壁側端部に壁ユニット4を設置することにより、既存の一室の一部に介護用スペースを構築することが可能となる。なお、一室の一部に介護用スペースを構築する場合には、既存の床面と床ユニット1による床面との段差を解消すべくスロープ部材93を床ユニット1の端部に設置することができるものである。
【0047】
また、水平設備ユニット2に連続する壁ユニット4または垂直設備ユニット3には、給排水管51,52,53が貫挿できる貫通孔が設けられ、この貫通孔に給水管51,52および排水管53が一緒にまたは個別に挿通されて、当該給排水管51,52,53が設備ユニット2,3から給排水ユニット5に連続して配管することが可能となる。この給排水ユニット5は、所定の給排水設備に至るまで連続して設けることが可能であり、例えば、既存の建物に設けられているトイレまたは洗面所などのための既設の給排水設備に連続させることが可能となることから、この給排水ユニット5の内部に設けられる給排水管を介して、上述のような既設の給排水設備に設備ユニット2,3の設備6,7を連続するように設けることができるのである。
【0048】
さらに、上記各部材を使用して部屋の全体を介護スペースとする場合には、図2に示すように、新たな床面を構成する範囲の全体に床ユニット1および水平設備ユニット2を配設し、これらを連結することによって新たな床面が構築されるのである。同様に、所定の高さに当接するまで、垂直設備ユニット3および壁ユニット4が配設されるとともに、これらが連結されることによって所望高さの新たな壁面が構築されるのである。さらに、この新たな壁面を構成する壁ユニット4の最上位の端縁から水平方向に向かって天井ユニット10が連結されて、新たな天井が構築されるのである。
【0049】
上記のように、床面および壁面を新たに構築することにより、介護に際して回避できない汚れの除去を容易にするのである。すなわち、介護担当者が不慣れな場合、または、被介護者が自力で排泄を試みるような場合には、汚物等によって床面が汚れることのあることを予想することは容易であるが、新たな床面や壁面には、樹脂製の処理剤が塗布または表面層が積層されているため、上記のような汚れを容易に除去できるようになっている。他方、新たに構築される天井は、特に汚れの除去を想定したものではなく、全体的な外観を向上させるためのものである。すなわち、給排水ユニットを設置する際に、当該給排水ユニットが部屋の内側に露出することを防ぐとともに、周囲の床面や壁面の色彩と同調させることによって清潔感を与えることができるのである。
【0050】
なお、上記のように、部屋の全体を介護スペースとして使用する場合、部屋の壁面から内側に壁ユニット4を配設して新たな壁面を構築するのであるが、この壁ユニット4は、全面が板状のもののほかに、一部を開口したものが使用される。この一部を開口した壁ユニット4は、出入口部分や窓部分を構成する際に使用されるものである。
【0051】
上記各ユニット1,2,3,4の連結には、ジョイント91,92が使用される。このジョイント91,92は、直列型ジョイント91と、コーナー型ジョイント92の二種類に大別され、直列型ジョイント91は、床面または壁面を平面状に連結する際に使用され、コーナー型ジョイント92は、床面と壁面との角部分の連結のほか、壁面の出隅部または入隅部を形成する部分に使用される。なお、その他の種類のジョイントとしては、直列型ジョイント91がL字状に折曲されてなる併用型ジョイントなどが考えられる。併用型ジョイントは、後述するが、隣接する二枚の壁ユニットと、これに連続する二枚の床ユニットとを、同時に連結する場合に使用できるものである。
【0052】
ここで、各ユニットの連結構造について、図3および図4に基づいて詳細に説明する。なお、いずれのユニットにおいても同様の連結構造であるので、壁ユニット4を例示して説明する。壁ユニット4は、図3に示すように、所定の肉厚を有しつつ平面視矩形に形成されたものであり、その四辺部分は、基部41,42,43,44によって構成され、これらの基部41〜44の全体に当接するように化粧板45が接着またはビス止めなどによって固定されている。上記基部41〜44は、断面略コ字形にしてなり、平行な対向平面を壁ユニット4の表裏方向に向けられている。そして、壁ユニット4の両側端面、上面および下面には、直列型ジョイント91(またはコーナー型ジョイント92)との連結に使用する貫通孔46,47が設けられており、これらの貫通孔46,47の内側にはナット48,49が固着されている。
【0053】
従って、図4に示すように、二枚の壁ユニット4a,4bを平面状に連結する場合には、それぞれ対向する側の基部43a,44bにそれぞれ直列型ジョイント91を連結し、さらに、双方の直列型ジョイント91,91を相互に連結することにより、上記二枚の壁ユニット4a,4bを連結することができる。この直列型ジョイント91は、隣接する二枚の壁ユニット4a,4bを連結する際に、両者4a,4bの間隔を調整するための機能を有し、従って、単一の直列型ジョイント91によって基部43a,44bを連結することも可能である。また、その際の単一の直列型ジョイント91の幅寸法が、図示のように大きく構成したものを使用することも可能である。
【0054】
他方、二枚の壁ユニット4a,4cを直角方向に連結する場合には、まず、片方の壁ユニット4aの基部44aにコーナー型ジョイント92の片方端面を当接させつつ連結し、さらの、コーナー型ジョイント92の他方端縁を、他方の壁ユニット4cの基部43cに当接させつつ連結することによって、コーナー型ジョイント92が有する角度に沿った連結が可能となる。
【0055】
なお、上記連結において、壁ユニット4a,4b,4cの基部43a,44a,44b,43cとジョイント91,92との連結は、ジョイント91,92の側からボルトA,B,C,Dを刺し通し、各基部43,44の内側に固着されているナット48,49に螺合させることによることとなり、さらに、直列型ジョイント91,91を相互に連結する場合には、ボルトEを双方に挿通するとともに、これに螺合するナットFを使用することによることとなる。
【0056】
また、壁ユニット4の連結は上述のとおりであるが、壁ユニット4に連結すべき隣接する壁ユニット4が存在しない場合、つまり、壁ユニット4の端縁が介護スペースの壁面の端部を構成する場合には、図3において示すように、当該壁ユニット4の端縁に笠木9a,9bを装着することができる。この笠木9a,9bは、壁ユニット4の端縁にジョイント91を設けたうえで装着する場合と、ジョイント91を設けることなく装着する場合があり、いずれの場合を採用してもよいが、壁ユニット4の上縁の基部41には、ジョイント91を設けることなく基部41に直接笠木9aを装着することにより、ジョイント91の装着を省略することができる。他方、側縁の基部43には、他のユニット(例えば床ユニット1など)の端縁の位置に応じて所定の幅寸法に設けられた直列型ジョイント91を設け、このジョイント91に笠木9bを装着することにより、床ユニット1などの端縁に合わせて笠木9bを設けることができる。このように、壁ユニット4の端縁に笠木9a,9bを装着することにより、壁ユニット4の端縁およびジョイント91が外方に露出することを回避でき、これによって介護スペースの外観を向上させることができる。なお、壁ユニット4の上縁の基部41にさらに壁ユニット4を連続させる場合には、図3に示しているように、笠木9aに代えてジョイント91を装着することとなる。
【0057】
床ユニット1の構造は、図5に示すように、合板の表面に滑り止めのための塩化ビニル製シートを貼着してなる床板11の裏面に、適宜間隔で角材12を固着した四辺形状の基部13,14,15,16が設けられている。このような構成であるから、床ユニット1に被介護者および介護担当者が同時に乗ったとしても、角材12の存在により床板11が湾曲するようなことがないのである。また、床ユニット1の基部13〜16には、端面から内側表面に貫通する貫通孔が設けられ、ジョイント91,92との連結時にボルトが挿通できるようになっている。なお、基部13〜16および角材12がいずれも木製または鋼製で構成することにより、床ユニット1の所定の強度が維持されるとともに、全体の軽量化を可能にするものである。
【0058】
次に、本実施形態の使用態様について説明すると同時に介護スペースの構築方法にかかる発明の実施形態について説明する。図6は部屋の一部に介護スペースを構築する場合を示し、図7は部屋全体に介護スペースを構築する場合を示している。部屋の一部に介護スペースを構築する場合には、図6に示すように、介護に必要な設備6,7が設置されてなる設備ユニット2,3が所定の位置に設置されるのである。水平設備ユニット2は、床ユニット1とともに床面を構成するため、水平設備ユニット2を除く所定面積分の床ユニット1が既存の床面上に設置される。
【0059】
この床ユニット1および水平設備ユニット2の周縁のうち、既存の壁面に対向する端縁には垂直設備ユニット3または壁ユニット4が連続して設けられる。この垂直設備ユニット3および壁ユニット4は床ユニット1または水平設備ユニット2に連結されて自立可能であるが、その設置を補助するために既存の壁面との間に補強部材が配設される。他方、床ユニット1および水平設備ユニット2の周辺のうち、既存の壁面に対向しない端縁には、スロープ部材93が設置され、既存の床面と、床ユニット1および水平設備ユニット2による床面との段差を解消させている。
【0060】
上記により構築される介護スペースにおいては、給排水ユニット5は、垂直設備ユニット3または壁ユニット4と既設の壁面との中間に設けられ、設備ユニット3または壁ユニット4よりも上方においては、既存の壁面に沿って天井まで設けられ、さらに、既存の天井に沿って隣室まで設けられる。このように設けられた給排水ユニット5の内部に配設される給排水管51,52,53は、介護スペースが構築された部屋の内部においては、給排水ユニット5によって被覆されつつ支持され、当該部屋の一部壁面に貫通孔を設けることにより、隣室などに設けられる所定の給排水設備が設置されている場所まで連続して配管されることとなる。
【0061】
上記構成による介護スペースは、既存の部屋の一部に設けられるから、当該部屋にベッドを設置することで、かつて被介護者が自室として使用していた部屋の一部を変更して介護を受けることが可能となり、被介護者が安心することともに疎外感を受けることがない。また、介護スペースは、部屋の一部においてオープンなスペースとなるため、介護担当者が広い空間で介護を実施できることとなり、その負担を軽減し得ることとなる。
【0062】
他方、部屋全体に介護スペースを構築する場合は、図7に示すように、所定の設備6が設置されてなる水平設備ユニット2と、複数の床ユニット1とによって床面を構成している。このような構成の床面は、既存の居室の床面積よりも小さな面積に設けられ、その周縁に壁ユニット4などによって壁面が構成されるとき、既存の壁面との間に適宜間隔を構成できるようにしている。そして、妥当な面積の床面を構築するために、所定の水平設備ユニット2を設置した場合に、床面構成に必要な残りの面積に相当する床ユニット1が設けられるものである。なお、図7(a)においては、1枚の水平設備ユニット2と、5枚の床ユニット1によって床面が構築されている。
【0063】
上記によって構成された床面の周辺には、垂直設備ユニット3および壁ユニット4を連結して新たな壁を構築している。床面の周辺に直接連続して設けられる垂直設備ユニット3および壁ユニット4には、さらに垂直方向上向きに壁ユニット4を連結して、既存の壁面全体の内側に新たな壁面を構築している。この新たな壁面は、窓部分および出入口部分を除き、当該部屋全体に設けられている。
【0064】
さらに、部屋の壁面を構築する壁ユニット4の上端縁には、天井に沿って天井ユニット10が接続され、複数枚の天井ユニット10が連続することによって一体の天井を構成させている。この天井ユニット10の構成についての詳細は図示しないが、基本的な構成は壁ユニット4と同様であり、基部および天井面で構成されており、それらの各部材は壁ユニット4よりも薄肉かつ軽量に構成されている。そして、給排水ユニット5は、垂直設備ユニット3または壁ユニットと、既存の壁面との所定の間隙内に設置されて、必要な設備6,8から天井までの給排水管の配管を可能にし、さらに、既存の天井と天井ユニット10との間隙にも給排水ユニット5を設けることで、当該給排水ユニット5が部屋の壁面から露出することなく、つまり給排水管が露出することなく、部屋の外方に連続して設置することができるのである。
【0065】
本発明の実施形態は上記のとおりであるから、既存の家屋の一室に介護スペースを設けることができ、敷地に十分なスペースを有しなくとも介護できる場所を設けることができる。そして、各ユニット1,2,3,4の各寸法は、段階的なモジュール設計がなされており、介護スペースを構築すべき部屋の大きさに応じて、多種類の介護スペースを構築することが可能となる。しかも、介護スペースを拡大または縮小させる際には、各種ユニット1,2,3,4を増減させることによって変更することが容易であり、これらの各ユニット1,2,3,4を撤去すれば、従来の居室に復元することも可能となるから、介護スペース構築による費用負担すなわち部屋の改築工事などの負担が大きく軽減することとなる。しかも、撤去した各ユニット1,2,3,4は、それぞれ再使用が可能であるから、それぞれのユニット1,2,3,4をモジュールとして保管することによりリサイクルに適するものとなる。このように、既存の部屋に介護スペースが構築されることにより、被介護者は、同居の家族と同じ家で生活することができることから、疎外感なく介護を受けることができる。
【0066】
なお、上記在宅介護ユニットを使用する介護スペースの構築方法としては、上述のように、設備ユニット2,3の設置場所を確定したうえで、床ユニット1および壁ユニット4または天井ユニット10を連結するものであるが、これらの連結構造は、ジョイント91,92により各ユニットの両端縁をボルトによって締着するものである。そこで、ジョイント91,92を軸組部材として機能させ、この軸組部材としてのジョイント91,92に装着可能な各ユニット1,2,3,4,10をパネル部材として機能させることにより、いわゆる軸組工法と同様の方法により介護スペースの構築を実現することが可能である。すなわち、各ユニット1,2,3,4,10が設けられるべき位置の両側端縁に沿って平行に連続するジョイント91,92を設けておき、このジョイント91,92の中間に所望のユニット1,2,3,4,10を配置するとともに、各ユニット1,2,3,4,10の基部をジョイント91,92に連結させるものである。このような構築方法は、いわゆる軸組工法と同様であり、各ユニット1,2,3,4,10が、軸組部材であるジョイント91,92によって支持されることとなるのである。従って、十分な強度を有するジョイント91,92を設けることにより、各ユニット1,2,3,4,10はパネル部材として部屋の壁面等を構築することが可能となる。
【0067】
次に、在宅介護ユニットにかかる発明の他の実施形態について説明する。本実施形態では、上述の実施形態を部分的に変形したものであって、図8に示すように、手摺107a,107bを設置した設備ユニット103を形成してなる構成する場合、または、便器に隣接する設備ユニット103にはペーパホルダ107cを設ける構成とするものである。このような構成の設備ユニット103を設けることにより、介護に適する環境を実現することができるのである。すなわち、手摺107a,107bを備える設備ユニット103を所望の位置に設置すれば、構築された後に手摺のみを別途設置する必要がなく、また、予め手摺107a,107bを備える設備ユニット103がモジュールとして設計されることにより、ユーザは、所望の設備を備えた各種の設備ユニットを選択することによって、介護に必要な環境を整えることが可能となるのである。
【0068】
また、他の変形例としては、図9に示すように、設備ユニット202として、床面を構成する部分(床部材)221と、壁面を構成する部分(壁部材)222とを一体型にしてなる設備ユニット202を形成するものがある。この場合、設備ユニット202に設置されるべき設備206,208の位置および給排水管251,252を接続すべき位置を予め決定しておくことが可能となるから、設備ユニット202を製造する過程において、いずれの設備206,208についても固定的に設置しておくことが可能となり、その結果、当該設備ユニット202を用いて介護スペースを構築する際に、所望設備206,208の設置が容易となる。なお、この構成においては、配管されるべき給排水管251,252は、予め決定していることから、給排水ユニットは、当該設備ユニット202に内蔵させることができるほか、設備ユニット202の壁部材222の裏側に固定的に設置しておく構成とすることが可能となる。
【0069】
さらに、上記変形例の設備ユニット202を発展させる実施形態としては、図10に示すように、設備ユニット202のみならず、床部材321および壁部材322を一体的に構成した壁床ユニット302を形成するものがある。この実施形態では、設備ユニット202および壁床ユニット302は、いずれも床部材221,321と、壁部材222,322とを垂直に維持しつつ一体的に形成されたL字状ユニットとして構成するものである。そして、所望設備206,208が設置されるユニットをL字状の設備ユニット202と称し、設備206,208が設置されないユニットをL字状の壁床ユニット302と称している。この種のL字状ユニット202,302は、壁部材222,322が床部材221,321と一体的に構成されていることから、当該壁部材222,322が自立型となるのである。従って、当該L字状ユニット202,302の床部材221,321を既存の部屋の床上に載置することによって、壁部材222,322は、垂直方向に自立する状態で配置されることとなるのである。その結果、壁部材222,322または壁ユニット4(図1)などを立設するための補助設備が不要となるのである。
【0070】
ここで、本実施形態の使用態様においては、まず、介護スペース予定範囲の境界内側において、既存の部屋の床上に上記L字状ユニット202,302の床部材221,321を載置するのである。このとき、壁部材222,322は、構築すべき介護スペースの新たな壁面に相当する位置に一致させるのである。このように、L字状ユニット202,302の設置により、介護スペース予定範囲の境界内側に新たな床面の一部を構築させると同時に、それに連続する壁面の一部を構成させるのである。
【0071】
そして、壁面が同一平面上に連続する場合には、当該L字状ユニット202,302を一列に整列させることで、床面と壁面を同時に構築することとなる。しかし、部屋のコーナーや入り隅部などのように、壁面が折曲する場合には、壁部材222,322が連続するようにL字状ユニット202,302を配置すると床部材221,321が重なることとなるため、当該床部材221,321が重ならずに連続するように当該L字状ユニット202,302を配置するのである。そして、図10に示しているように、壁部材222,322が連続しない部分には壁ユニット304が設置される。この壁ユニット304の設置によって、L字状ユニット202,302の壁部材222,322に連続しつつ高さを均一にした壁面を構築することとなるのである。
【0072】
なお、上記L字状ユニット202,302を直線的に連結する場合には、図示のように、直列型ジョイント91(図3)をL字状に折曲してなる併用型ジョイント309を使用することができる。また、L字状ユニット202,302の床部材221,321によって部分的に構築される床面に連続するように床ユニット301を設置することにより、所望の範囲に新たな床面を構築することが可能となるのである。この場合の連結方法は、図3および図4を参照して説明したとおりである。
【0073】
本発明の実施の形態は上述のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとることができる。例えば、本実施形態において、壁ユニット4の表面には化粧板が設けられ、床ユニット1の表面には、塩化ビニル製シートが貼着されたものを示したが、これらは、床ユニット1にあっては、汚れの除去を容易にすること、および、スリップを防止することなどを目的とし、壁ユニット4にあっては、汚れの除去を容易にすること、および、外観を向上させることを目的とするものである。従って、このような作用効果を奏する材質を使用することは、本発明の趣旨の範囲内である。また、上記各実施形態では、給排水ユニットに設けられる排水管が、既存建物に設けられている既設の排水設備に接続することが予定されたものを例示して説明しているが、既設の排水設備に接続することに限らず、排水タンクを用意して、これに排水管を接続することにより当該排水タンクに対する排水の圧送をする態様とすることができる。この場合、排水タンクに流入された排水の量が多くなったときには、これを適宜下水道に廃棄するものである。そして、上記態様は、排水タンクの設置場所を自由に選定することが可能となることから、介護スペースを構築してなる部屋に設置することができるほか、介護スペースを構築した部屋とは異なる部屋に設けることも可能となる。上記いずれの場所に排水タンクを設置した場合においても、排水タンクを被覆することなどにより、被介護者または外来者などによって視認されることはなく、介護スペースを構築した部屋およびその周辺の外観を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】在宅介護用ユニットにかかる本発明の実施形態を示す説明図である。
【図2】在宅介護用ユニットにかかる本発明の実施形態を示す説明図である。
【図3】壁ユニットの詳細を示す説明図である。
【図4】壁ユニットの接続状態を示す説明図である。
【図5】床ユニットの詳細を示す説明図である。
【図6】介護スペースの構築方法にかかる本発明の実施形態を示す説明図である。
【図7】介護スペースの構築方法にかかる本発明の実施形態を示す説明図である。
【図8】設備ユニットの変形例を示す説明図である。
【図9】設備ユニットの変形例を示す説明図である。
【図10】L字状ユニットの実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0075】
1 床ユニット
2 水平設備ユニット
3 垂直設備ユニット
4 壁ユニット
5 給排水ユニット
6 便器
7 洗面台
8 ポンプ
10 天井ユニット
11 床板
13,14,15,16 床ユニット基部
41,42,43,44 壁ユニット基部
46,47 貫通孔
48,49 ナット
51,52 給水管
53 排水管
91 直列型ジョイント
92 コーナー型ジョイント
103,202 設備ユニット
302 L字状ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の建物の室内に設置可能な床ユニットと、この床ユニットに接続可能かつ所望設備を備えた設備ユニットと、上記床ユニットまたは設備ユニットに連結可能な壁ユニットと、上記設備ユニットに備えられた所望設備の給排水を可能にする給排水ユニットとからなることを特徴とする在宅介護ユニット。
【請求項2】
既存の建物の室内に設置可能な床ユニットと、この床ユニットに接続可能かつ所望設備を備えた設備ユニットと、上記床ユニットまたは設備ユニットに連結可能な壁ユニットと、上記設備ユニットに備えられた所望設備の給排水を可能にする給排水ユニットとからなり、上記給排水ユニットは、上記壁ユニットまたは設備ユニットの裏側に設けられるとともに、所定の給排水設備に至るまでの配管を可能にしてなることを特徴とする在宅介護ユニット。
【請求項3】
既存の建物の室内に設置可能な床ユニットと、この床ユニットに接続可能かつ所望設備を備えた設備ユニットと、上記床ユニットまたは設備ユニットに連結可能な壁ユニットと、この壁ユニットに連結可能な天井ユニットと、上記設備ユニットに備えられた所望設備の給排水を可能にする給排水ユニットとからなり、上記給排水ユニットは、給水管および排水管を内蔵し、かつ、上記設備ユニット、壁ユニットおよび天井ユニットの内部または裏側に設置されるとともに、該給水管および排水管を所定の給排水設備に接続可能にしてなることを特徴とする在宅介護ユニット。
【請求項4】
前記設備ユニットは、床部材と壁部材とが一体的に構成されてなり、前記所望設備が上記床部材または壁部材に設置されるとともに、前記給排水ユニットが上記壁部材の内部または裏面に予め設けられた設備ユニットである請求項1ないし3のいずれかに記載の在宅介護ユニット。
【請求項5】
床部材および壁部材を垂直に維持しつつ一体的に構成してなるL字状ユニットと、このL字状ユニットを整列させたとき該L字状ユニットの床部材が存在しない位置において該床部材に連続しつつ配設される床ユニットと、上記L字状ユニットを整列させたとき該L字状ユニットの壁部材が存在しない位置において該壁部材に連続しつつ配設される壁ユニットと、上記L字状ユニットまたは壁ユニットの内部または裏側に設置される給排水ユニットとからなり、上記L字状ユニットは、所望設備を備えたL字状の設備ユニットと、該所望設備が備えられないL字状の壁床ユニットとに区別され、該L字状の設備ユニットには、その床部材または壁部材のいずれか一方または双方に所望設備が備えられており、上記給排水ユニットは、上記L字状設備ユニットの所望設備から所定の給排水設備に至るまでの配管を可能にしてなる給排水ユニットであることを特徴とする在宅介護ユニット。
【請求項6】
床部材および壁部材を垂直に維持しつつ一体的に構成してなるL字状ユニットと、このL字状ユニットを整列させたとき該L字状ユニットの床部材が存在しない位置において該床部材に連続しつつ配設される床ユニットと、上記L字状ユニットを整列させたとき該L字状ユニットの壁部材が存在しない位置において該壁部材に連続しつつ配設される壁ユニットと、この壁ユニットにより構築される壁面の上端縁に連結可能な天井ユニットと、上記L字状ユニットまたは壁ユニットおよび天井ユニットの内部または裏側に設置される給排水ユニットとからなり、上記L字状ユニットは、所望設備を備えたL字状の設備ユニットと、該所望設備が備えられないL字状の壁床ユニットとに区別され、該L字状の設備ユニットには、その床部材または壁部材のいずれか一方または双方に所望設備が備えられており、上記給排水ユニットは、上記L字状設備ユニットの所望設備から所定の給排水設備に至るまでの配管を可能にしてなる給排水ユニットであることを特徴とする在宅介護ユニット。
【請求項7】
前記設備ユニットは、便器、洗面台または浴槽等の給排水設備を必要とする所望設備が備えられている第一設備ユニットと、手摺またはペーパホルダ等の給排水設備を不要とする所望設備が備えられている第二設備ユニットとが、混在してなる設備ユニットである請求項1ないし6のいずれかに記載の在宅介護ユニット。
【請求項8】
前記給排水ユニットは、給水管および排水管を備えた給排水ユニットであり、上記排水管をポンプに連結することにより、該排水管に流入する排水を圧送可能にしてなる請求項1ないし7のいずれかに記載の在宅介護ユニット。
【請求項9】
請求項1または2に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、既存の室内の床上に床ユニットおよび設備ユニットを配置するとともに、隣接する端縁を連結して床面を構成し、この床面の周縁のうち、任意の床ユニットまたは設備ユニットの端縁に壁ユニットを連結し、かつ、隣接する壁ユニットの端縁を連結して壁面を構成し、上記壁ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法。
【請求項10】
請求項3に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、既存の空き部屋の床上に、床ユニットまたは設備ユニットのいずれかを配置するとともに、隣接する端縁を連結して該空き部屋のほぼ全体に床面を構成し、出入口を確保しつつ上記床面の周縁に壁ユニットを連結し、かつ、隣接する壁ユニットの端縁を相互に連結して壁面を構成し、この壁面の上縁に天井ユニットを連結し、かつ、これに連続するように天井ユニットを連続して天井を構成し、上記壁ユニットおよび天井ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法。
【請求項11】
請求項4に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、予め既存の室内における介護スペース予定範囲を確定し、この介護スペース予定範囲のうち壁面を構築すべき位置に壁部材を合致させつつ床上に床部材を載置しながら設備ユニットを配設し、介護スペース予定範囲のうち上記設備ユニットの床部材が存在しない床上に床ユニットを配設し、かつ、隣接する各ユニットの端縁を連結して床面を構成し、この床面の周縁のうち上記設備ユニットの壁部材が存在しない端縁に壁ユニットを立設し、かつ、隣接する各ユニットの端縁を連結して壁面を構成し、上記設備ユニットの壁部材または壁ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法。
【請求項12】
請求項5に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、予め既存の室内における介護スペース予定範囲を確定し、この介護スペース予定範囲のうち壁面を構築すべき位置に壁部材を合致させつつ床上に床部材を載置しながらL字状ユニットを配設し、介護スペース予定範囲のうち上記L字状ユニットの床部材が存在しない床上に床ユニットを、壁部材が存在しない部分に壁ユニットをそれぞれ配設し、上記各ユニットの端縁のうち相隣接する部分を連結して床面および壁面を構成し、上記L字状ユニットが設備ユニットである該ユニットの壁部材または壁ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法。
【請求項13】
請求項6に記載の在宅介護ユニットを使用した介護スペースの構築方法であって、予め既存の空き部屋における介護スペース予定範囲を確定し、この介護スペース予定範囲のうち壁面を構築すべき位置に壁部材を合致させつつ床上に床部材を載置しながらL字状ユニットを配設し、介護スペース予定範囲のうち上記L字状ユニットの床部材が存在しない床上に床ユニットを、壁部材が存在しない部分に壁ユニットをそれぞれ配設し、上記各ユニットの端縁のうち相隣接する部分を連結して床面および壁面を構成し、この壁面の上縁に天井ユニットを連結し、かつ、これに連続するように天井ユニットを連続して天井を構成し、上記L字状ユニットが設備ユニットである該ユニットの壁部材または壁ユニットおよび天井ユニットに給排水ユニットを設置してなることを特徴とする介護スペースの構築方法。
【請求項14】
前記壁面の構築は、平板状の壁ユニットと、窓または扉に相当する範囲を開口してなる壁ユニットとを組み合わせて構築することを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載の介護スペースの構築方法。
【請求項15】
前記設備ユニットは複数の設備ユニットであり、それぞれの設備ユニットには異なる種類の所望設備が備えられ、それぞれ所定の位置に配置してなることを特徴とする請求項9ないし14のいずれかに記載の介護スペースの構築方法。
【請求項16】
前記壁床ユニットまたは設備ユニットの床部材および床ユニットによって構築された床面と、既設の室内における床面との間に、緩斜面を構成するスロープ部材を設置することを特徴とする請求項9ないし15のいずれかに記載の介護スペースの構築方法。
【請求項17】
前記各ユニットの端縁の連結は、所定の幅寸法により構成されたジョイント部材によってなされることを特徴とする請求項9ないし16のいずれかに記載の介護スペースの構築方法。
【請求項18】
前記ジョイント部材は、構築すべき介護スペースを適宜間隔で支持する軸組部材として機能するとともに、前記各ユニットは、上記軸組部材の間に着脱可能に設けられたパネル部材として機能するものであって、介護スペース予定範囲に予めジョイント部材を配設した後に、該ジョイント部材の中間に各ユニットを装着してなることを特徴とする請求項17記載の介護スペース構築方法。
【請求項19】
前記給排水ユニットは、給水管および排水管を備える給排水ユニットを使用し、前記設備ユニットは、所望設備の排水が流入する圧送ポンプを備える設備ユニットを使用してなり、上記排水管を上記圧送ポンプに接続してなることを特徴とする請求項9ないし18のいずれかに記載の介護スペースの構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−56514(P2007−56514A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241868(P2005−241868)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(592039624)コマツハウス株式会社 (5)
【出願人】(505317654)三興建設株式会社 (1)
【Fターム(参考)】