説明

在宅医療装置及びその表示制御方法

【課題】 在宅医療装置において、患者の作業手順を説明するにあたり、作業習熟度に応じた説明を行うことができるようにする。
【解決手段】 作業習熟度に応じた説明モードを選択する選択手段と、各説明モードに分類された複数の表示画面を、隣り合う階層間において関連付けて記憶する記憶手段と、前記選択された説明モードに分類されている表示画面を、所定の順序で表示する表示制御手段と、を備える在宅医療装置であって、前記表示制御手段は、詳細ボタンが押圧された場合には、1つ下位層の説明モードに分類された表示画面に遷移し、戻るボタンが押圧された場合であって、前記選択された説明モードに分類された表示画面でない場合には、1つ上位層の説明モードに分類された表示画面に遷移することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在宅医療装置、特に腹膜透析装置及びその表示制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、患者自身が自宅等で医療行為を行うための在宅医療装置として、酸素吸入を行えるように構成された酸素濃縮装置や、腹膜透析を行えるように構成された腹膜透析装置等が普及している。
【0003】
このうち、腹膜透析装置では、患者の腹腔内に留置するカテーテルチューブ(透析カテーテル)と、透析液が収容された透析液バッグと、透析液の排液を回収するための排液バッグと、を所定の作業手順に従ってカセットに接続していき、当該カセットを腹膜透析装置にセットした後に、腹膜透析装置を動作させることで、透析液の注液/透析液の排液の回収が、昼夜を問わず自動的に行われる構成となっている。
【0004】
このため、患者は所定の作業手順に従ってミスなく作業を進めていくことが重要であり、従来の腹膜透析装置では、詳細な作業手順の説明を図解により表示させる機能や、音声ガイドにて出力させる機能等が搭載されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−279416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、患者の中には、腹膜透析装置を用いて腹膜透析を行う作業に慣れている患者も多数存在し、こうした患者に対しても、作業手順に不慣れな患者と同レベルの詳細な作業手順を説明する構成としていたのでは、利便性が悪い。
【0007】
一方で、作業手順に慣れた患者であっても、例えば、特定の作業に関しては、詳細な作業手順の説明を受ける必要があるといったケースも考えられる。このため、腹膜透析装置における作業手順の説明においては、患者の作業ミスをなくすことを前提としつつ、作業手順に不慣れな患者から作業手順に慣れた患者まで、作業手順の習熟度の異なる様々なレベルの患者に対応した説明がなされるように構成されていることが望ましい。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、在宅医療装置、特に腹膜透析装置において、患者に作業手順を説明するにあたり、作業手順の習熟度に応じた説明を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る在宅医療装置は以下のような構成を備える。即ち、
作業手順を表示部に表示可能な在宅医療装置であって、
作業手順の習熟度に応じて、作業手順に関する説明の内容が異なる複数の説明モードの中から、1つの説明モードを選択する選択手段と、
前記作業手順に関する説明が記載された複数の表示画面を、それぞれの説明の内容に応じた作業手順の習熟度に対応する説明モードに分類して記憶するとともに、それぞれの説明モードに分類された前記複数の表示画面のうち、前記作業手順の習熟度に応じて前記説明モードを階層化した場合の、隣り合う階層の説明モードに分類されている表示画面同士を、作業目的に応じて関連付けて記憶する記憶手段と、
前記選択手段により選択された説明モードに分類された表示画面を、所定の順序で前記表示部に表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、在宅医療装置、特に腹膜透析装置において、患者の作業手順を説明するにあたり、作業手順の習熟度に応じた説明を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る腹膜透析装置100の外観構成を示す図である。
【図2】カセットに、透析液バッグと透析カテーテルが接続されたトランスファーチューブセットと排液タンクとが接続された様子を示す図であって、注液時及び排液時の透析液の流れを示す図である。
【図3】腹膜透析装置100に装着されるカセットの構成を示す図である。
【図4】カセット内の流路構成を説明するための図である。
【図5】腹膜透析装置100の機能構成を示す図である。
【図6】腹膜透析装置100において選択可能な説明モードの関係を示す図である。
【図7】各説明モードにおける表示画面の遷移を示す図である。
【図8】表示画面の遷移を制御する表示画面遷移処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】各説明モードにおける表示画面の遷移の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、在宅用の医療装置(在宅医療装置)として、腹膜透析装置について説明するが、本発明の在宅医療装置は、腹膜透析装置に限定されるものではなく、例えば、酸素濃縮装置や医療用輸液装置等の他の在宅医療装置であってもよい。
【0013】
[第1の実施形態]
1.腹膜透析装置の外観構成
はじめに腹膜透析装置の外観構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る腹膜透析装置100の外観構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、腹膜透析装置100は、付属機器であるカセット130とカード140とが着脱可能に装着されるよう構成されている。カセット130は、患者の腹膜内(腹腔内)へ注入(注液)される透析液が収容された透析液バッグや患者の腹腔内から排出された排液を回収する排液タンクならびに透析液を注液するための透析カテーテルが接続されたトランスファーチューブセット等が接続部131を介して接続されるよう構成されている。そして、当該カセット130が腹膜透析装置100に装着され、腹膜透析装置100によって制御されることで、透析液の患者への注液や透析液の患者からの排出が実行される。一方、カード140には、患者に関する情報(例えば、患者ID、過去の透析処方、今回の透析処方、腎機能の値:残腎Kt/V、PD・Kt/V(腹膜透析によるKt/V)、PET試験に基づくCr・D/P(血清中のクレアチニン濃度Pと腹膜透析排液中のクレアチニン濃度Dとの比)、腹膜機能の値等)が記録されており、腹膜透析装置100に装着されることで、腹膜透析装置100では、腹膜透析を行う患者に関する情報を認識することができる。
【0015】
なお、カセット130の詳細構成については後述するものとし、ここでは、腹膜透析装置100について詳説する。
【0016】
腹膜透析装置100は、正面側に、ユーザインタフェース部111とカセット装着部112とを有し、背面側にカード140を装着するカード装着部113を有している。
【0017】
ユーザインタフェース部111は、更に、腹膜透析の開始を指示する開始指示部111−1と、腹膜透析の停止を指示する停止指示部111−2と、液晶(LCD)パネルを備え、タッチパネルを含む表示部111−3と、音声を出力する音声スピーカ111−4とを備える。かかる構成のもと、電源ON状態で、開始指示部111−1が押圧されると、表示部111−3では、腹膜透析を行うための作業手順が表示され、音声スピーカ111−4では、音声ガイダンスが出力される。これにより、患者は、表示部111−3のタッチパネルを順次操作しながら、カラー液晶表示または有機EL表示を行う表示部111−3に表示された作業手順及び音声スピーカ111−4より出力された音声ガイダンスに従って、腹膜透析を行うための各種作業を自分自身で進めることができる。
【0018】
カセット装着部112において、112−1は蓋部材であり、腹膜透析装置100のハウジングに回動可能に取り付けられている。また、蓋部材112−1の閉位置には、閉状態検出センサ112−4が配されており、蓋部材112−1の閉状態を検出する。
【0019】
蓋部材112−1は、閉状態において、カセット130が挿入される開口部112−2を完全に覆うように構成されている。一方、蓋部材112−1の開位置において露出する開口部112−2には、その内部にカセット装着部112に装着されたカセット130内を送液される透析液に、気泡が含まれていないか否かを検出する気泡センサ112−3が配されている。
【0020】
腹膜透析装置100のハウジングの側面には、遮蔽板112−5が矢印方向に移動自在に設けられており、カセット130がカセット装着部112に装着された際に、接続部131を介してカセット130に接続されている透析液バッグや排液バッグ、透析カテーテルが接続されたトランスファーチューブセット等が、腹膜透析装置100のハウジングの側面と干渉することがないよう構成されている。
【0021】
カード装着部113には、カード140が挿入される不図示の開口部が設けられており、開口部の内部には、カード装着部113に装着されたカード140に記録された患者情報(腹膜機能:残腎Kt/V、PD・Kt/V(腹膜透析によるKt/V)、PET試験に基づくCr・D/P(血清中のクレアチニン濃度Pと腹膜透析排液中のクレアチニン濃度Dとの比)等を含む)やその患者の治療情報を読み取るカード読取装置が配されている。
【0022】
2.透析液の注液/排液のための流路構成
次に、患者への透析液の注液及び患者からの透析液の排出のための流路構成について説明する。図2(a)、(b)に示すように、カセット130の接続部131のうち、接続部211には注液チューブを介して透析液バッグ201が接続され、接続部212には、透析液バッグ201に収容された透析液とは濃度の異なる透析液が収容された追加透析液バッグ202が追加注液チューブを介して接続され、接続部213には排液タンク203が排液チューブを介して接続され、接続部214には透析カテーテルにその一端が接続されたトランスファーチューブセット204が注液/排液チューブを介して接続される。なお、透析カテーテル205の一部は患者の腹腔内に留置される。
【0023】
カセット130が図2において不図示の腹膜透析装置100に装着された後、注液開始の指示が入力されると、腹膜透析装置100ではカセット130内の流路を切り替え、図2(a)に示すように、透析液バッグ201内の透析液をカセット130を介して透析カテーテル205へ送液する。これにより透析液が患者に注液される。
【0024】
一方、排液開始の指示が入力されると、腹膜透析装置100ではカセット130内の流路を切り替え、図2(b)に示すように、患者の腹腔内の透析液を透析カテーテル205を介して排出させ、カセット130を介して排液タンク203へ送液する。これにより、透析液が患者から排出される。
【0025】
3.カセット130の構成
次に、カセット装着部112に装着されるカセット130の構成について説明する。図3は、カセット130の構成を示す図である。
【0026】
図3に示すように、カセット130は、カセット上側ハウジング301とカセット下側ハウジング302とを備え、カセット上側ハウジング301とカセット下側ハウジング302との間には、流路切替部303が配されている。
【0027】
流路切替部303は、注液路や排液路等が内挿された流路部311に対して、ダイヤフラムポンプ312と、接続部131と、上側加温部313及び下側加温部314とが外側に接続された構成となっている。
【0028】
流路部311はカセット下側ハウジング302の固定部309上に載置され、内挿された注液路や排液路等は、固定部309上に配された各支持突起部によって支持される。流路部311が載置された固定部309に対向するカセット上側ハウジング301の位置には、複数の開口部304が設けられている。これにより、カセット130が腹膜透析装置100に装着された状態で、腹膜透析装置100内のクランプが作動されることで、当該開口部304を介して、流路部311内の注液路や排液路の所定の位置がクランプされることとなる。
【0029】
ダイヤフラムポンプ312は、周囲にフランジ部材315が配されており、当該フランジ部材315は、カセット上側ハウジング301に設けられた開口部305を介して、外部から押圧されるよう構成されている。これにより、カセット130が腹膜透析装置100に装着された状態で、腹膜透析装置100のポンピング作動部をポンピング作動させることで、フランジ部材315が繰り返し押圧されると、ダイヤフラムポンプ312は膨張/収縮を繰り返すこととなる。この結果、透析液の送液が制御されることとなる。
【0030】
接続部131は、カセット下側ハウジング302の側面に設けられた開口部306に嵌合され、その先端部がカセット130の外側に突出した状態で固定される。
【0031】
上側加温部313及び下側加温部314は、それぞれが流路部311に接続される一方で、互いも接続されている。このため、流路部311の透析液は、一旦、下側加温部314及び上側加温部313を通った後に、再び流路部311に戻ることとなる。
【0032】
なお、上側加温部313及び下側加温部314は、それぞれ、カセット上側ハウジング301の開口部307、カセット下側ハウジング302の開口部308に対応する位置に載置され、カセット130の外側に露出して配置されることとなる。これにより、カセット130が腹膜透析装置100に装着された状態で、腹膜透析装置100の面ヒータが、上側加温部313及び下側加温部314をそれぞれ外側から加温することが可能となる。
【0033】
4.カセット130の流路切替部303の流路構成
次にカセット130の流路切替部303の流路構成について説明する。図4は、カセット130の流路切替部303の流路構成を説明するための図である。なお、図4では、透析液及び排液の流れをより分かりやすくするため、各接続部に透析液バッグ201と追加透析液バッグ202と排液タンク203と透析カテーテル205が接続されたトランスファーチューブセット204とが接続された様子を示している。
【0034】
図4に示すように、透析液バッグ201は、分岐チューブ411を介して注液チューブ421に接続されており、各透析液バッグ201内の透析液は、分岐チューブ411を通って注液チューブ421に集められる。なお、各分岐チューブ411には、チューブを開閉するクレンメ431が設けられている。
【0035】
同様に、追加透析液バッグ202は、追加注液チューブ422に接続されており、追加透析液バッグ202内の透析液は、追加注液チューブ422へと提供される。なお、追加注液チューブ422には、チューブを開閉するクレンメ432が設けられている。
【0036】
また、注液チューブ421は接続部211を介して注液路401に接続されている。接続部211近傍の注液路401の上部(腹膜透析装置100側)には、第1のクランプ451が設けられており、図示の位置にて注液路401をクランプできるよう構成されている。
【0037】
また、接続部212近傍の追加注液路402の上部(腹膜透析装置100側)には、第2のクランプ452が設けられており、図示の位置にて追加注液路402をクランプできるよう構成されている。
【0038】
なお、接続部211と第1のクランプ451のクランプ位置との間の注液路401の上部及び接続部212と第2のクランプ452のクランプ位置との間の追加注液路402の上部には気泡センサ112−3が配されており、腹膜透析装置100では、流路切替部303内に送られる透析液中の気泡の有無を監視している。
【0039】
注液路401に送られた透析液または追加注液路402に送られた透析液はダイヤフラムポンプ312に提供される。なお、ダイヤフラムポンプ312の手前の注液路401の上部(腹膜透析装置100側)には、第3のクランプ453が設けられており、図示の位置にて注液路401をクランプできるよう構成されている。また、ダイヤフラムポンプ312の出側の注液路401の上部(腹膜透析装置100側)には、第4のクランプ454が設けられており、図示の位置にて注液路401をクランプできるよう構成されている。
【0040】
ダイヤフラムポンプ312では、腹膜透析装置100によるポンピング作動部のポンピング作動により、収縮/膨張を繰り返す。このとき、第3のクランプ453と第4のクランプ454のクランプ/アンクランプを適切に制御することで、透析液の送液方向を制御することができる。
【0041】
ダイヤフラムポンプ312の出側の注液路401内には、入口液温用温度センサ461が設けられており、下側加温部314に送液される透析液の温度を検出している。
【0042】
同様に、上側加温部313の出側には、出口液温用温度センサ462が設けられており、上側加温部313から送液される透析液の温度を検出している。上側加温部313の出側の注液路401の上部(腹膜透析装置100側)には、第5のクランプ455が設けられており、図示の位置にて注液路401をクランプできるよう構成されている。
【0043】
第5のクランプ455の下流側では注液路401が分岐しており、バイパス路403は、第3のクランプ453のクランプ位置の手前において注液路401に接続されている。なお、バイパス路403の上部(腹膜透析装置100側)には、第6のクランプ456が設けられており、図示の位置においてバイパス路403をクランプできるよう構成されている。
【0044】
一方、注液路401は、更に、接続部214を介して注液/排液チューブ424と接続されている。なお、接続部214に接続されるまでの注液路401の上部(腹膜透析装置100側)には、第7のクランプ457が設けられており、図示の位置にて注液路401をクランプできるよう構成されている。また、接続部214近傍の注液路401の上部(腹膜透析装置100側)には、気泡センサ112−3が配されており、流路切替部303から透析カテーテル205に送液される透析液中の、気泡の有無を監視している。
【0045】
注液/排液チューブ424は、クレンメ434を介してトランスファーチューブセット204に接続され、更に、患者の腹膜内に留置される透析カテーテル205に接続されている。
【0046】
一方、ダイヤフラムポンプ312と第4のクランプ454のクランプ位置との間において、注液路401から分岐した排液路404は、接続部213において排液チューブ423と接続されており、排液チューブ423は更に排液タンク203と接続されている。なお、排液路404の上部(腹膜透析装置100側)には、第8のクランプ458が設けられており、図示の位置において排液路404をクランプできるよう構成されている。また、排液チューブ423上にはクレンメ433が配されている。
【0047】
5.腹膜透析装置における透析液/排液の流れ
次に、図4に示す流路構成図を用いて、腹膜透析装置100による第1〜第8のクランプ(451〜458)制御に基づく、流路切替部303における透析液の注液/排液の流れについて説明する。腹膜透析装置100では、透析液バッグ201(及び/または追加透析液バッグ202)内の透析液を透析カテーテル205に送液する状態、換言すれば、患者の腹膜内へ透析液を注液する状態である注液状態と、透析カテーテル205より排出された排液を排液タンク203に送液する状態、換言すれば、患者の腹膜内から透析液を排液する状態である、排液状態とを切り替える。以下、注液状態と排液状態とにわけて、流路切替部303における透析液の流れについて説明する。
【0048】
(1)注液状態における透析液の流れ
透析液バッグ201内の透析液を注液する場合、クレンメ432を全閉にし第2のクランプ452により追加注液路402をクランプする一方、クレンメ431を全開にし第1のクランプ451により注液路401をアンクランプにする。
【0049】
これにより透析液バッグ201内の透析液のみが分岐チューブ411、注液チューブ421を介して注液路401に供給される。そして、ダイヤフラムポンプ312に対するポンピング作動に合わせて注液路401の上部の第3のクランプ453及び第4のクランプ454のクランプ/アンクランプを切り替えることで、透析液が透析カテーテル205に向けて送液される。
【0050】
このとき、第8のクランプ458はクランプされているため、透析液が、排液路404方向に流れることはなく、透析液は注液路401のみを流れることとなる。
【0051】
また、第5のクランプ455及び第7のクランプ457により注液路401はアンクランプされ、第6のクランプ456によりバイパス路403はクランプされているため、ダイヤフラムポンプ312により送液された透析液は、下側加温部314及び上側加温部313にて加温された後に、注液/排液チューブ424へと送液される。
【0052】
なお、下側加温部314及び上側加温部313にて加温された透析液が、所定の温度を超えた場合には、透析液を冷却するために、第7のクランプ457により注液路401をクランプし、第6のクランプ456によりバイパス路403をアンクランプにすることで、バイパス路403に透析液を送る。このとき、下側加温部314及び上側加温部313による加温は停止され、バイパス路403により、透析液が下側加温部314及び上側加温部313周りを循環することとなる。その結果、透析液が冷却される。
【0053】
透析液が冷却された後は、再び、第7のクランプ457により注液路401をアンクランプにし、第6のクランプ456によりバイパス路403をクランプすることで、透析液を注液/排液チューブ424へと送液する。このとき注液/排液チューブ424上のクレンメ434は全開されており、これにより、送液された透析液はトランスファーチューブセット204を介して透析カテーテル205に到達する。
【0054】
(2)排液状態における透析液の排液の流れ
次に、患者の腹腔内から透析液を排液する場合の排液の流れについて説明する。透析カテーテル205より排出された排液は、トランスファーチューブセット204、注液/排液チューブ424、接続部214を介して注液路401へと送られる。排液時にクレンメ434は全開され、第7のクランプ457、第6のクランプ456、第3のクランプ453、第8のクランプ458により注液路401の一部及びバイパス路403、排液路404はアンクランプされる一方、第5のクランプ455及び第4のクランプ454、第1のクランプ451及び第2のクランプ452により、注液路401の一部及び追加注液路402はクランプされる。
【0055】
このため、注液路401内において送液された排液は、バイパス路403を通って排液路404へと向かい、接続部213及び排液チューブ423を介して排液タンク203へと送られる。なお、第3のクランプ453と第8のクランプ458は、ダイヤフラムポンプ312に対するポンピング作動に合わせてクランプ/アンクランプが切り替えられることで、透析液の排液が排液タンク203に向けて送液されることとなる。
【0056】
6.腹膜透析装置の機能構成
次に腹膜透析装置100の機能構成について説明する。図5は、腹膜透析装置100の機能構成を示す図である。なお、既に参照番号を付して説明済みの構成については、同一の参照番号を付すこととし、ここでの詳細な説明は省略するものとする。
【0057】
図5において、500はマイクロコンピュータなどのCPU(中央演算処理装置)とCPUにより実行される、装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMと、ワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えるCPUのようなコンピュータを含む制御部であり、腹膜透析装置100全体を各動作のステップにおいて判断し、制御する。461は入口液温用温度センサであり、装着されたカセット130内を送液される透析液を加温する下側加温部314入口の透析液の温度を測定し、制御部500に出力する。462は出口液温用温度センサであり、上側加温部313出口の透析液の温度を測定し、制御部500に出力する。501は加温部において透析液を加温する面ヒータ515の温度を測定するヒータ用温度センサである。
【0058】
502は音声信号生成部であり、制御部500からの指示に基づいて、音声スピーカ111−4において出力される音声信号を生成する。
【0059】
503は電源部であり、制御部500及び該制御部500に接続されている各部に電源を供給する。504はバッテリ部であり、停電等により電源部503からの電源供給が遮断された場合に、制御部500及び該制御部500に接続されている各部に電源を供給する。
【0060】
511はクランプ制御部であり、装着されたカセット130内の流路をクランプする第1から第8のクランプ451−458の動作を制御することで、カセット130内の流路状態(注液状態or排液状態)を切り替える。
【0061】
512はポンピング作動制御部であり、装着されたカセット130内のダイヤフラムポンプ312に対してポンピング動作を行うポンピング作動部513を制御する。なお、制御部500では、ダイヤフラムポンプ312の前後に位置するクランプ(第3のクランプ453、第4のクランプ454、第8のクランプ458)のクランプ/アンクランプと、ポンピング作動部513によるポンピング動作とを連関させて制御することで、カセット130内の送液方向を制御している。
【0062】
514はヒータ制御部であり、入口液温用温度センサ461、出口液温用温度センサ462、ヒータ用温度センサ501の出力に基づいて、装着されたカセット130内を送液される透析液を加温する面ヒータ515の動作を制御することで、注液される透析液の温度が所定の温度範囲内になるよう制御する。
【0063】
516はカード装着制御部であり、カード装着部113にカード140が装着された場合にこれを検知し、制御部500に装着されたことを通知するとともに、制御部500から取り出し指示が通知されると、装着されたカード140を排出するよう制御する。517はカード読取装置であり、カード装着部113に装着されたカード140に記録された患者に関する情報等を読み取り、制御部500に通知する。
【0064】
518はカセット装着制御部であり、カセット装着部112にカセット130が装着された場合にこれを検知し、制御部500にカセット130が装着されたことを通知するとともに、制御部500から取り出し指示が通知されると、装着されたカセット130を排出するよう制御する。
【0065】
520は記憶部であり、各種センサ(461、462、501、112−3、112−4)からの出力や操作表示部(開始指示部111−1、停止指示部111−2、表示部111−3が含まれる)を介して入力された設定値等を記憶する。また、各部(111−1〜111−3、502〜504、511、512、514、516〜518)の動作を制御するためのプログラム(521〜524)を記憶する。更に、表示部111−3に表示可能な表示画面や、音声スピーカ111−4にて音声出力可能な音声出力内容等を記憶する。
【0066】
送液制御プログラム521は、操作表示部111−1〜111−3からの指示に基づいて、クランプ制御部511及びポンピング作動制御部512に制御信号を出力し、第1〜第8のクランプ(451〜458)及びポンピング作動部513を動作させる。
【0067】
温度制御プログラム522は、入口液温用温度センサ461、出口液温用温度センサ462、ヒータ用温度センサ501からの出力に基づいて、ヒータ制御部514に制御信号を出力し、面ヒータ515を動作させる。
【0068】
異常発生時制御プログラム523は、気泡センサ112−3において気泡が検出された場合や、停電等により電源部503からの電源供給が停止した場合等に、各種異常状態を判断し、判断結果を報知する。なお、必要に応じて加温や送液を停止させたり、バッテリ回路504に切り替えるといった指示も行う。
【0069】
ユーザインタフェース部制御プログラム524(表示制御手段)は、表示部111−3に表示画面を表示したり、音声スピーカ111−4にて音声出力されるべき音声出力内容を音声信号生成部502に出力したりする。また、操作表示部111−1〜111−3を介して入力された指示を受け付ける。なお、ユーザインタフェース部制御プログラム524が制御部500により実行されることにより実現される各種機能のうち、本実施形態に係る腹膜透析装置100の特徴的な機能である、作業手順の説明機能については、以下に詳説する。
【0070】
7.作業手順説明機能についての説明
本実施形態に係る腹膜透析装置100の作業手順説明機能は、作業手順の習熟度(作業習熟度)が患者ごとに異なることに鑑みて、患者の作業習熟度に応じて4つの説明モードを用意し、患者が自らの作業習熟度に応じて、いずれかの説明モードを選択できるよう構成されている点に特徴がある。
【0071】
更に、作業習熟度の高い患者であっても、特定の作業内容に関しては詳細な作業手順の説明が必要となる場合があることに鑑みて、作業習熟度の高い患者用の説明モードが選択されて、作業手順の説明が開始された場合であっても、特定の作業手順の説明においては、作業習熟度の低い患者用の説明に切り替え、当該特定の作業手順の説明が終了した後は、再び作業習熟度の高い患者用の説明モードに戻って続きの作業手順の説明を継続できるよう構成されている点に特徴がある。
【0072】
(1)説明モードの説明
図6は、本実施形態に係る腹膜透析装置100の作業手順説明機能が有する4つの階層の説明モードを示す図である。図6に示すように、説明モードは、短縮ガイドモードと簡易ガイドモードと通常ガイドモードと詳細ガイドモードとに分けられる。ここで、短縮ガイドモード→簡易ガイドモード→通常ガイドモード→詳細ガイドモードに順に階層が低くなっていくよう構成されている(即ち、短縮ガイドモードが最上位層、詳細ガイドモードが最下位層である)。
【0073】
詳細ガイドモードは、腹膜透析装置100を用いて腹膜透析を行うことがはじめての患者のための説明モードであり、1つ1つの作業手順について1画面を用いて図解(文字と絵)と音声とをあわせて説明を行う説明モードである。
【0074】
通常ガイドモードは、腹膜透析装置100においてデフォルトで設定されている説明モードであり、準備作業目的に応じて、複数の作業手順を1つにまとめ、1画面により図解(文字と絵)と音声とをあわせて説明する説明モードである。
【0075】
簡易ガイドモードは、通常ガイドモードにおいて、作業目的に応じてまとめた複数の作業手順それぞれを、更に、1つにまとめて1画面により文字で説明するとともに、当該文字を音声で読み上げる説明モードである。例えば、作業習熟度の高い患者や医療従事者のための説明モードである。
【0076】
短縮ガイドモードは、更に複数の作業手順を1画面により文字で表示し、当該文字を音声で読み上げる説明モードであり、例えば、簡易ガイドモードよりも更に作業習熟度の高い患者や医療従事者のための説明モードである。
【0077】
このようなモード構成のもと、患者は、開始指示部111−1を押圧後、表示部111−3に表示される4つの階層の説明モードの中から、自身の作業習熟度に応じた説明モードを1つ選択することで、作業習熟度に応じた説明を受けることができる。なお、短縮ガイドモード、簡易ガイドモードにおいては、文字と音声とをあわせて説明した場合に、患者が煩わしく感じることがあることに鑑みて、デフォルトでは、音声による説明を行わない設定となっている。
【0078】
(2)各説明モードにおける画面遷移の概要
図7は、各説明モードにおける画面遷移の概要を説明するための概念図である。図7に示すように、本実施形態に係る腹膜透析装置100では、各説明モードごとに表示画面が用意されており、各説明モードに分類された表示画面における説明内容は他の説明モードに分類された同一の作業目的を有する表示画面における説明内容との間において、階層構造を有している。このため、記憶部520では、各表示画面がいずれの説明モードに分類されているかを記憶するとともに、階層化された各表示画面同士の階層関係を記憶している。
【0079】
図7において、701〜708は詳細ガイドモードに分類された表示画面であり、表示画面701〜704には、作業手順1〜作業手順4を説明するための図解が、表示画面705〜708は、作業手順5〜8を説明するための図解が、それぞれ記載されている。なお、表示画面701〜704と表示画面705〜708とは、作業目的が異なっている。
【0080】
一方、711、712は通常ガイドモードに分類された表示画面であって、表示画面711には、作業手順1〜作業手順4をまとめた図解が、表示画面712には、作業手順5〜8をまとめた図解が、それぞれ記載されている。なお、詳細ガイドモードの表示画面701〜704は通常ガイドモードの表示画面711と関連付けられており、詳細ガイドモードの表示画面705〜708は通常ガイドモードの表示画面712と関連付けられている。
【0081】
721は簡易ガイドモードに分類された表示画面であって、作業手順1〜作業手順8の内容をひとまとめにして、文字により説明した表示画面である。更に、731は短縮ガイドモードに分類された表示画面であって、作業手順1〜作業手順8及び作業手順9〜作業手順16の作業目的を文字により説明した表示画面である。
【0082】
上記階層構造のもと、患者が表示部111−3のタッチパネルを操作し、作業手順説明機能を起動させると、表示部111−3に「短縮ガイドモード」、「簡易ガイドモード」、「通常ガイドモード」、「詳細ガイドモード」の文字が一覧表示され、患者が表示部111−3の入力で「短縮ガイドモード」を選択した場合にあっては、表示画面731→表示画面732(不図示)→・・・の順序で表示画面が遷移していく。
【0083】
同様に、患者が表示部111−3のタッチパネルを操作し、表示部111−3の第1回目の入力で「簡易ガイドモード」を選択した場合にあっては、表示部111−3に表示された「次へ」ボタンを操作することで、表示画面721→表示画面722→・・・の順序で表示画面が遷移していき、患者が表示部111−3のタッチパネルを操作し、「通常ガイドモード」を選択した場合にあっては、表示画面711→表示画面712→・・・の順序で表示画面が遷移していく。更に、患者が表示部111−3のタッチパネルを操作し、「詳細ガイドモード」を選択した場合にあっては、表示画面701→表示画面702→表示画面703→表示画面704→表示画面705→表示画面706→表示画面707→表示画面708→・・・の順序で表示画面が遷移していく。
【0084】
一方で、例えば、患者が表示部111−3のタッチパネルを操作し、「通常ガイドモード」を選択し、表示画面711を表示させた状態で、更に、詳細な作業手順の説明が必要となった場合において、本実施形態に係る腹膜透析装置100では、詳細説明の指示を受け付けることにより、1つ下の階層である「詳細ガイドモード」の表示画面701を表示させることができるように構成されている。
【0085】
このような状況下で表示画面701を表示させた場合、表示部111−3に表示された「次へ」ボタンを操作し、患者は続いて表示画面702→表示画面703→表示画面704と進むこともできるし、あるいは、表示部111−3のタッチパネルに表示された「戻る」ボタンを操作し、1つ上の階層である表示画面711に戻ることもできる。なお、表示画面704まで進んだ場合には、表示画面711に自動的に戻ることとなる。
【0086】
同様に、例えば、患者が表示部111−3のタッチパネルを操作し、「簡易ガイドモード」を選択し、表示画面721を表示させた状態で、更に、詳細な作業手順の説明が必要となった場合において、本実施形態に係る腹膜透析装置100では、詳細説明の指示を受け付けることにより、表示画面711を表示させることができるように構成されている。
【0087】
このような状況下で「通常ガイドモード」の表示画面711を表示させた場合、表示部111−3に表示された「次へ」ボタンを操作し、患者は続いて表示画面712に進むこともできるし、また、表示部111−3のタッチパネルに表示された「戻る」ボタンを操作し、表示画面721に戻ることできる。更に、表示部111−3のタッチパネルに表示された「次へ」ボタンを操作し、表示画面701に進むこともできる。なお、表示画面701に進んだ場合には、更に、表示部111−3のタッチパネルに表示された「次へ」ボタンを操作し、表示画面702→表示画面703→表示画面704と進むこともできるし、また、表示部111−3のタッチパネルに表示された「戻る」ボタンを操作し、途中で表示画面711に戻ることもできる。表示画面702→表示画面703→表示画面704と進んだ場合には、自動的に表示画面711に戻ることとなる。
【0088】
このように本実施形態に係る腹膜透析装置100では、所定の説明モードを選択した場合、当該説明モードに分類された表示画面を順次表示させることができる一方で、任意のタイミングで、当該説明モードよりも下位層の説明モードに分類された表示画面であって、現在表示部111−3に表示されている表示画面に関連付けられた表示画面の先頭に遷移することができる。
【0089】
更に、下位層の説明モードに分類された表示画面に遷移した場合には、任意のタイミングで、現在表示部111−3に表示されている表示画面が分類された説明モードよりも1つ上位層の説明モードに分類された表示画面であって、現在表示部111−3に表示されている表示画面に関連付けられた表示画面に遷移することができる。
【0090】
更に、下位層の説明モードに分類された表示画面に遷移した場合であって、遷移前の表示画面に関連付けられた、下位層の説明モードに分類された全ての表示画面の最後尾まで進んだ場合には、当該遷移前の表示画面に自動的に戻ることができる。
【0091】
以上のように、本実施形態に係る腹膜透析装置100は、患者が自らの作業習熟度に応じて、いずれかの説明モードを選択することにより、作業習熟度に応じた表示画面が表示されるよう構成されており、患者にとっては利便性が高い。
【0092】
また、特定の作業手順の説明においては、作業習熟度の低い患者用の説明に切り替え、当該特定の作業手順の説明が終了した後は、作業習熟度の高い患者用の説明モードに戻って続きの作業手順の説明を継続して受けることができるよう構成されており、様々なレベルの患者にとって利便性が高い。
【0093】
8.画面遷移処理の流れ
次に、図7を用いて詳説した、作業手順説明機能における表示画面の遷移について、図8に示すフローチャートを用いてあらためて説明する。
【0094】
ステップS801では、患者により選択された説明モードを認識する。ステップS802では、表示画面を遷移させるために患者が入力した指示内容を確認する。
【0095】
患者が入力した指示内容が、表示部111−3のタッチパネルに表示された「次へ」ボタンを操作することで、次の表示画面への遷移を示す指示であった場合には、ステップS803に進み、現在表示部111−3に表示されている表示画面が分類された説明モードにおける次の表示画面に遷移する。
【0096】
一方、表示部111−3のタッチパネルに表示された「次へ」ボタンを操作することで、患者が入力した指示内容が、更なる詳細な説明がなされた表示画面への遷移を示す指示であった場合には、ステップS804に進み、現在表示部111−3に表示されている表示画面が分類された説明モードよりも1つ下位層の説明モードに分類された表示画面のうち、遷移前の表示画面に関連付けられている先頭の表示画面に遷移する。
【0097】
一方、患者が入力した指示内容が、表示部111−3のタッチパネルに表示された「次へ」ボタンを操作することで、遷移前の表示画面への遷移を示す指示であった場合には、ステップS805に進む。ステップS805では、現在表示部111−3に表示されている表示画面が分類された説明モードが、選択された説明モードであるか否かを判定する。ステップS805において、選択された説明モードでないと判定された場合には、ステップS806に進み、現在表示部111−3に表示されている表示画面が分類された説明モードよりも1つ上位層の説明モードに分類された表示画面に遷移する。一方、選択された説明モードであると判定された場合には、そのままステップS807に進む(つまり、最初に選択された説明モードまでは戻ることは可能であるが、最初に選択された説明モードよりも上位層の説明モードまで移ることはできない構成となっている)。
【0098】
ステップS803、S804、S806において遷移した表示画面の表示が終了すると、ステップS807では、表示が終了した表示画面が分類された説明モードが、選択された説明モードであるか否かを判定する。選択された説明モードであると判定された場合には、ステップS802に戻る。
【0099】
一方、選択された説明モードではないと判定された場合には、ステップS808に進み、当該表示が終了した表示画面が、遷移前の表示画面に関連付けられた全ての表示画面のうち最後尾の表示画面であるか否かを判定する。最後尾の表示画面でないと判定された場合には、ステップS802に戻る。一方、最後尾の表示画面であると判定された場合には、ステップS809に進み、当該表示が終了した表示画面が分類された説明モードよりも1つ上位層の説明モードに分類された表示画面に自動的に遷移する。その後、ステップS802に戻る。
【0100】
9.実施例
図9は、本実施形態に係る腹膜透析装置100の表示部111−3に表示される表示画面の一例を示す図である。図9に示す「短縮ガイドモード」、「簡易ガイドモード」、「通常ガイドモード」、「詳細ガイドモード」の各表示画面は、図8に示すフローチャートに従って遷移する。
【0101】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る腹膜透析装置100によれば、腹膜透析装置において、患者の作業手順を説明するにあたり、作業習熟度に応じた説明を行うことが可能となった。
【0102】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、各患者の作業習熟度に着目し、4つの階層の説明モードを備えることで患者の利便性を向上させる構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各表示画面自体の操作性を向上させることで、患者の利便性を向上させるようにしてもよい。
【0103】
具体的には、現在の表示画面から次の表示画面へ進むにあたっては、表示部111−3のタッチパネルに対する操作を原則とする一方で、作業時に患者の両手がふさがり、タッチパネルに対する操作が困難な作業手順を説明する表示画面においては、音声認識により、次の表示画面に遷移できるように構成してもよい。あるいは、一定時間経過した場合に、自動的に次の表示画面に遷移できるように構成してもよい。
【0104】
また、上記第1の実施形態では、各患者が自らの作業習熟度に応じて、説明モードを選択する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、作業習熟度が同レベルであっても、患者の病状によって、更に表示する表示画面の内容を変更するように構成してもよい。具体的には、カード140に記録された患者の情報に基づいて、表示画面上の所定の項目が操作できないようにする等、患者ごとにカスタマイズした表示画面を表示するように構成してもよい。
【0105】
また、上記第1の実施形態では、腹膜透析を行うための事前の作業が終了した後に、ただちに透析液の注液及び排液を行うことを前提として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、腹膜透析を行うための事前の作業を行っておき、就寝時等に、透析液の注液を開始させることができるよう構成してもよい。具体的には、作業手順説明機能において、待機モードを設け、腹膜透析を行うための事前の作業が終了した後に、待機モードに移行させ、透析液の注液の開始指示が入力されるまでの間、透析液の注液開始が可能な状態を維持できる構成としてもよい。
【0106】
また、上記第1の実施形態では、透析液の注液時と透析液の排液時の送液速度について特に言及しなかったが、例えば、透析液の注液時の送液速度が、透析液の排液時の送液速度よりも小さくなるように制御する構成としてもよい。あるいは、透析液の注液時の送液速度と、透析液の排液時の送液速度との関係を任意に選択できる構成としてもよい。
【0107】
更に、上記第1の実施形態では特に言及しなかったが、例えば、作業習熟度に応じて説明モード(「短縮ガイドモード」、「簡易ガイドモード」、「通常ガイドモード」、「詳細ガイドモード」)を選択する場合の選択補助手段として、各説明モードの階層と、当該階層においてタッチパネルで操作した回数を記憶部に記憶しておくことで、作業習熟度を判断し、説明モードを使用する患者に対して、最適な説明モードを自動選択し、表示するように構成してもよい。
【0108】
また、上位階層の説明モードでは操作している場合であっても、特定の操作ミスが頻繁に発生している場合には、一定回数以上(例えば、3、4回)で、当該階層の説明モードのみで操作ができないと判断し、当該操作に関わる作業手順のみ、説明モードを1階層下の説明モードに自動的に遷移して説明するようにしてもよい。
【0109】
また、説明モードは、「簡易ガイドモード」、「通常ガイドモード」、「詳細ガイドモード」からなる少なくとも3つであってもよい。
【符号の説明】
【0110】
100・・・腹膜透析装置、111・・・ユーザインタフェース部、111−1・・・開始指示部、111−2・・・停止指示部、111−3・・・表示部、111−4・・・音声スピーカ、112・・・カセット装着部、112−1・・・蓋部材、112−2・・・開口部、112−3・・・気泡センサ、112−4・・・閉状態検出センサ、112−5・・・遮蔽板、113・・・カード装着部、130・・・カセット、131・・・接続部、140・・・カード、201・・・透析液バッグ、202・・・追加透析液バッグ、203・・・排液タンク、204・・・トランスファーチューブセット、205・・・透析カテーテル、211〜214・・・接続部、301・・・カセット上側ハウジング、302・・・カセット下側ハウジング、303・・・流路切替部、304〜308・・・開口部、309・・・固定部、311・・・流路部、312・・・ダイヤフラムポンプ、313・・・上側加温部、314・・・下側加温部、315・・・フランジ部材、401・・・注液路、402・・・追加注液路、403・・・バイパス路、404・・・排液路、411・・・分岐チューブ、421・・・注液チューブ、422・・・追加注液チューブ、423・・・排液チューブ、424・・・注液/排液チューブ、431〜434・・・クレンメ、451〜458・・・第1〜第8のクランプ、461・・・入口液温用温度センサ、462・・・出口液温用温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業手順を表示部に表示可能な在宅医療装置であって、
作業手順の習熟度に応じて、作業手順に関する説明の内容が異なる複数の説明モードの中から、1つの説明モードを選択する選択手段と、
前記作業手順に関する説明が記載された複数の表示画面を、それぞれの説明の内容に応じた作業手順の習熟度に対応する説明モードに分類して記憶するとともに、それぞれの説明モードに分類された前記複数の表示画面のうち、前記作業手順の習熟度に応じて前記説明モードを階層化した場合の、隣り合う階層の説明モードに分類されている表示画面同士を、作業目的に応じて関連付けて記憶する記憶手段と、
前記選択手段により選択された説明モードに分類された表示画面を、所定の順序で前記表示部に表示する表示制御手段と
を備えることを特徴とする在宅医療装置。
【請求項2】
少なくとも3つの説明モードを備え、
1の作業手順に関する説明が1画面上において文字と絵とにより記載された表示画面が分類されている説明モードと、複数の作業手順に関する説明が1画面上において文字と絵とにより記載された表示画面が分類されている説明モードと、複数の作業手順に関する説明が1画面上において文字により記載された表示画面が分類されている説明モードと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の在宅医療装置。
【請求項3】
前記在宅医療装置は、在宅用の輸液装置または腹膜透析装置であることを特徴とする請求項1に記載の在宅医療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−73847(P2012−73847A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218496(P2010−218496)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】