説明

在庫品の返品を容易にするシステム及び方法

在庫品を返品する工程、正確で便利な商品データの取り込み、返品商品の時宜を得た発送、及び商品返品工程全体にわたる効果的な品質管理の中に含まれる全ての部分に対して視認性を向上させるシステム及び方法が開示される。具体的に言うと、事前通告及び商品データが、在庫管理システムや会計管理システムなどの供給業者の内部システムを更新するために、自動的に製品供給業者に送られる。事前に受け取った商品データは、マーチャンダイザー、運送業者及び他の関連部門に対して効果的な品質管理を行うために、受け取った返品商品を確認するためにも使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に、返品管理の分野におけるマーチャンダイザー・ソリューションに関し、特に、小売店からマーチャンダイザー及び運送業者を通って製品供給業者までの在庫品の返品を容易にするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の返品は、会社が企業運営及び顧客関係に対する返品管理の影響をより良く理解するにつれて、より大きな注意と関心を引くようになってきている。商品返品の分野でより多くの問題が明らかになるにつれて、現在の返品管理を改良するために、幾つかの解決策が要求される。1つの例には、小売店からマーチャンダイザー及び運送業者を通って製造業者又は製品供給業者への古い在庫品の返品が含まれる。マーチャンダイザーは、小売店を通して商品を販売する事業にサービスを提供する会社である。一般的に、マーチャンダイザーのサービスには、商品の配置を確認すること、在庫水準の監査、新しい商品を加えること、及び古い商品を取り除くことが含まれる。図1Aは、古い在庫品を返品する工程におけるマーチャンダイザーの役割を例示している。図1Aに示すように、返品工程は、マーチャンダイザー2が古い在庫品を小売店1から収集することから開始する。現在の方法では、マーチャンダイザー2は一般に、小売店1にエージェントを送り、このエージェントが返品すべき各品目の商品情報(例えば、SKU番号、数量)を紙の管理ログ上に記録する。次に、このマーチャンダイザーのエージェントは、全ての返却商品と共に小売店の場所から離れて、最後に返却商品を箱に詰め、そしてこの返却商品の箱を製造業者又は製品供給業者4に向けて発送するためにUPSなどの運送業者に渡す。
【0003】
前述した大部分は手作業の返品工程からは、かなり多くの問題が生じる可能性がある。例えば、商品情報、特にSKUを手作業で記録することは適当ではないため、エラーが起きやすい。さらに、管理ログが失われる又は返品された商品を含む箱の中に挿入されないことがあるため、供給業者はこの箱を受け取った後で、返品商品を確認する記録がなく、このため在庫管理が不正確になる原因になる。
【0004】
別の問題は、製品供給業者がマーチャンダイザーの仕事に対してほとんど効果的な管理をしないことである。マーチャンダイザーが返品商品を運送業者に渡して発送する前に長期間にわたって保持した場合、商品が損傷する又は失われる可能性が増加する。一方では、供給業者はその商品返品の時間延長に合わせて過剰な在庫を保持しなければならず、このことは確実に保管費用を増加させる。さらに、上記の返品工程により、供給業者の代わりにマーチャンダイザーが、運送業者、出荷日付、配送サービス水準、及び他の全ての発送に関する選択肢を選択することが可能になる。マーチャンダイザーの出荷の仕事に対して何らかの効果的な管理をしないと、供給業者はマーチャンダイザーの出荷手配における不正行為又は悪用を特定することができない。さらに供給業者は、様々な場所から返却される多量の商品による出荷量を利用して、特別な輸送料金を求めて交渉することもできなくなる。
【0005】
現在の工程の全体にわたって、製品供給業者は、返品商品を視認できない。返却された商品が受領されて、全ての関連する請求書が処理されるまで、供給業者はこれらの商品が受け取られるとき、幾つの商品が倉庫に戻ってくるのか又は輸送費用がどの位になるか分からない。こうした受領の遅れや一致エラー(reconciliation error)は、供給業者の経営費用を著しく増加する可能性がある。このため、前述した問題を克服し、特に在庫品を返品する工程における返品管理を容易にするための改良された方法及びシステムに対する要望が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、商品データを正確で便利に取り込むこと、返品商品を適時に発送すること、及び商品返品工程の全般にわたって効果的な品質管理を提供することによって、在庫品を返品する工程の中に含まれる全ての部分に対して視認性を向上させることを求めている。このために、事前通告及び商品データを、在庫管理システムや会計管理システムなどの供給業者の内部システムを更新するために、自動的に製品供給業者に送ることができる。事前に受け取った商品データを使用して、マーチャンダイザー、運送業者及び他の関連部門に対して品質管理を行うために、受け取った返品商品を確認することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態によれば、在庫品の返品を容易にする方法には、(A)返品商品から商品データを取り込むための、前記商品データを記憶する少なくとも1つのメモリ部分を備える携帯型の電子装置を使用するステップと、(B)前記返品商品に関連した返品発送ラベル用データを生成するために、前記携帯型の電子装置の中で前記商品データを処理するステップと、(C)前記携帯型の装置から、通信ネットワーク上で前記携帯型の電子装置と通信するように構成された運送業者のコンピュータに前記返品発送ラベル用データを転送するステップと、(D)前記返品発送ラベル用データに基づいて、前記運送業者のコンピュータで電子的な返品発送ラベルを生成するステップと、(E)前記携帯型の電子装置の前記メモリ部分に記憶するために、前記電子的な返品発送ラベルを前記運送業者のコンピュータから転送するステップと、(F)前記電子的な返品発送ラベルのハードコピーを、前記携帯型の電子装置から前記電子的な返品発送ラベルを受け取るように構成されたローカルプリンタで印刷するステップと、(G)前記返品商品をコンテナに入れて、前記電子的な返品発送ラベルのハードコピーを発送するための前記コンテナに貼り付けるステップと、が含まれる。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、在庫品の返品を容易にするシステムが、プロセッサと前記プロセッサにアクセス可能なメモリ部分とを備えた携帯型の電子装置を具備し、前記携帯型の電子装置が、返品商品からの商品データを前記メモリ部分に記憶するために取り込み、一部前記商品データに基づいて返品発送ラベルに対する要求を生成し、前記要求を通信ネットワーク上で、一部前記要求に基づいて電子的な返品発送ラベルを作るように構成された第1のコンピュータに伝達し、かつ前記電子的な返品発送ラベルを前記第1のコンピュータから受け取るように構成される。
【0009】
好ましい実施形態では、このシステムが前記携帯型の電子装置と通信する携帯型のプリンタをさらに備えて、前記携帯型のプリンタが返品発送ラベルを受け取り、前記電子的な返品発送ラベルのハードコピーを印刷するように構成される。別の好ましい実施形態によれば、システムの携帯型の電子装置が、前記商品データを第2のコンピュータに伝達するようにさらに構成され、前記第2のコンピュータが前記商品データを受け取ることに応答して、前記商品データに基づいて1つ以上のコンピュータのデータベースを更新するように構成される。
【0010】
本発明の別の実施形態は、携帯型の電子装置である。この携帯型の電子装置は、プロセッサと、前記プロセッサにアクセス可能なメモリ部分と、通信ネットワーク上で前記プロセッサと第1のサーバ用コンピュータとの間の通信を円滑にするように構成された、前記プロセッサと通信するネットワークインターフェースと、返品商品から商品データを前記メモリ部分に記憶するために受け取るように構成された、前記プロセッサと通信するユーザーインターフェースと、を備え、前記プロセッサが、前記返品商品に関連した返品発送ラベル用データを生成するために前記商品データを処理し、前記返品発送ラベル用データを前記ネットワークインターフェースを経由して、一部前記返品発送ラベル用データに基づいて電子的な返品発送ラベルを生成するように構成された前記第1のサーバ用コンピュータに転送し、前記電子的な返品発送ラベルを前記第1のサーバ用コンピュータから受け取り、前記電子的な返品発送ラベルのハードコピーを印刷するために、前記電子的な返品発送ラベルを、前記ネットワークインターフェースを介して前記プロセッサと通信するプリンタに方向付ける、ように構成される。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、在庫品を返品する工程の中で視認性を与える方法を提供する。この方法には、(A)商品データを記憶するために少なくともメモリ部分を備えている携帯型の電子装置によって得られた前記商品データを返品商品から取り込むステップと、(B)前記携帯型の電子装置からの前記商品データを、通信ネットワーク上で前記携帯型の電子装置と通信するように構成され、さらに1つ以上供給業者のデータベースを前記商品データを用いて更新するように構成された供給業者のコンピュータに転送するステップと、(C)前記携帯型の電子装置からの発送要求を、前記返品商品を発送するために返品発送ラベルを生成して前記通信ネットワーク上で前記携帯型の電子装置と通信するように構成された運送業者のコンピュータに送るステップと、(D)前記運送業者のコンピュータにおいて少なくともトラッキング識別子を含む電子的な返品発送ラベルを生成して、前記携帯型の電子装置の前記メモリ部分に記憶するために、前記運送業者のコンピュータからの前記電子的な返品発送ラベルを転送するステップと、(E)前記電子的な返品発送ラベルの中の前記トラッキング識別子を、前記運送業者のコンピュータ又は前記携帯型の電子装置のいずれかから前記供給業者のコンピュータに転送するステップと、(F)前記電子的な返品発送ラベルのハードコピーを、前記携帯型の電子装置と通信するように構成されたローカルプリンタで印刷するステップと、(G)前記返品商品をコンテナに入れて、前記電子的な返品発送ラベルのハードコピーを発送するための前記コンテナに貼り付けるステップと、(H)発送する間に前記コンテナの動きを視察するために、前記トラッキング識別子を用いるステップと、(J)前記返品商品を受け取ったときに、前記供給業者のコンピュータの中に記憶された前記返品商品のデータに対して前記返品商品を確認するステップと、が含まれる。
【0012】
本発明をこのようにして一般的な用語で説明してきたが、ここで添付の図面を参照する。これらの図面は、必ずしも縮尺通りには描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ここで添付した図面を参照して、本発明を以下により十分に説明する。これらの図面には、本発明の実施形態の全てではないが、幾つかが示されている。実際に、これらの発明は多くの異なった形態で具体化することができるが、本願に記載された実施形態に限定されると解釈してはならない。むしろ、この開示内容が適切な法的必要条件を満足するように、これらの実施形態が提供される。同じ参照番号は全体を通して同じ要素を指す。
【0014】
本願に記述された本発明の多くの変形例及び他の実施形態は、前述した説明及び関連した図面の中で示した教示の利点を有する本発明が属する技術分野に精通した者には思い浮かぶであろう。このため、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、また変形例及び他の実施形態は添付した特許請求の範囲の中に含まれるものとすることは理解されよう。本願の中で具体的な用語が使用されるが、それらの用語は一般的であり説明のためのみに使用されるものであり、本発明の範囲を限定する目的で使用されたものではない。
【0015】
図1Bを参照すると、本発明による在庫品を返品するための改良された工程が示されている。図1Bでは、改良された工程により供給業者4は、返品商品を実際に運送業者3から受け取る前に、返品商品に関するデータをマーチャンダイザー2から得ることができる。以下に詳細に説明するが、そのようなデータ収集は、小売店1で取り除く商品をコンテナに入れる間に、商品情報を電子的に取り込む携帯型のデータ収集装置を使用するマーチャンダイザー2によって実現することができる。この時、マーチャンダイザー2が返品商品を運送業者3に物理的に転送する前でも、携帯型の装置に記憶された商品データを供給業者4に送ることができる。さらに、この携帯型装置は、マーチャンダイザー2が特に印刷可能な電子的な返品発送ラベルを得るために、返品商品の発送を要求するために指定された運送業者、本願では運送業者3として示す、と通信できるように、特定のアプリケーションを用いて事前に構成される。その結果、マーチャンダイザー2が小売店1から離れる前に、返品商品は発送ラベルを貼り付けられたコンテナに入れられて発送の準備を終えることができる。運送業者3が返品商品を受け取ると、輸送時に返品商品のトラッキング移動を維持するためのトラッキング識別子(例えば、UPSが使用するトラッキング番号1Z)を含む出荷情報が供給業者4に与えられる。
【0016】
図1Bの工程では、在庫として戻ってくる商品に関する事前通知を受け取ることにより、供給業者4は常に十分な在庫目録を保持することができるため、倉庫にかかる費用をかなり低い状態に保つことができる。供給業者4はマーチャンダイザー2から事前に受け取った商品データを、運送業者3から実際に受け取った商品を確認するために使用して、出荷業務に対して効果的な品質管理を行うこともできる。実際のところ、この改良された工程により、マーチャンダイザー2が小売店1から返品商品を取り除いたときから始まり、運送業者3が商品を発送した時点まで、そして商品が供給業者4に配送されるまで、供給業者4は返品商品の動きを完全に視認することができる。
【0017】
図1Bで概要を説明したような、在庫品を返品するための改良された工程及び方法は、在庫品の返品を容易にするシステムによって実現することができる。このシステムのハイレベルのブロック図は、図2に示されている。このシステムは、マーチャンダイザー2が使用する携帯型のデータ収集装置10、運送業者3が操作する運送業者用コンピュータ20、及び供給業者4が操作する供給業者用コンピュータ30を備える。好ましい実施形態では、全てのこれらの装置又はコンピュータは、有線又は無線の通信ネットワーク40上で、限定はされないが、HTTPやHTTPSなどの標準的なインターネットプロトコルを含む通信手段を用いてデータを転送及び受信することができる。EDI(電子データ転送)に加えて、マーチャンダイザー2、運送業者3及び供給業者4の間の通信は、電子メール又はデータを見るための電子ディスプレイによって行うこともできる。さらに、いずれかのエンティティ、すなわちマーチャンダイザー2、運送業者3及び供給業者4が通信ネットワーク40に接続されない場合でも、通信は電話、ファックス又はイーメールによって行うことができる。図2で分かるように、システムは、マーチャンダイザー2が小売店1で返品発送ラベルを印刷するためのプリンタ50をさらに備えている。好ましい実施形態では、このプリンタ50は可搬形であり、通信ネットワーク40を介してデータ収集装置10と通信することができる。プリンタ50は、当業者には周知のブルーテュース技術によってデータ収集装置10に接続することもできる。
【0018】
好ましい実施形態では、携帯型のデータ収集装置10は、PDA(携帯情報端末)装置であり、ハンドヘルド・コンピュータ又はパームサイズコンピュータとすることができる。後で詳細に説明するが、その型式には関係なく、そのようなPDA装置は一般に、小形のマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサ用の事前プログラムされた命令を含むオペレーティングシステム、スタティックRAM及び/又はフラッシュメモリを含む固体メモリ、ある種のLCDディスプレイスクリーン、電力を供給するためのバッテリー、及びハンドヘルド・コンピュータ用のタッチスクリーンと組み合わせた小形のキーボード又は手書き認識プログラムと組み合わせたスタイラスとタッチスクリーンを一般に含む入力装置から構成する。当業者にはよく知られているように、どのようなPDAもPCと通信できる必要があり、PDAとPCとの間の通信はデータ同期又は同期化と呼ばれる。これは一般に、PDA上のシリアルポート又はUSBポートを通して行われる。PDAの中には、PCと接続する間に置くためのクレードルを有するものがある。PDAに又はPDAから同期を取るためには、PDAをPCに接続するために(ケーブル、IR、無線、モデム)、同期化ユーティリティ(パームOS用のHotSync、ポケットPC用のActiveSync)をコンピュータのハードドライブに組み込む必要がある。図2に示すように、データ収集装置10は、返品商品用データを処理するアプリケーション110、返品発送ラベルを提供するアプリケーション120、及び返品発送ラベルを印刷するアプリケーション130を含む幾つかのアプリケーションを備えている。データ収集装置10を用いて、マーチャンダイザー2は、キー入力、バーコード・スキャニング、電子署名の取り込み、及び電子データ転送を行って返品商品60の商品データを取り込むことができる。そのような商品データ(例えば、SKU)は、返品商品用データを処理するアプリケーション110によって受信され、データ収集装置10の中で記憶される。好ましい実施形態では、アプリケーション120は、返品発送ラベルを生成し、生成された電子的な発送ラベルを受け取るために、マーチャンダイザー2が運送業者3に対して要求を送るように構成される。発送ラベルに対する要求及びその受信は、通信ネットワーク40上でeメールを交換することによって実現できる。電子的な発送ラベルをデータ収集装置10の中に取り入れた後で、返品発送ラベルを印刷するアプリケーション130は、ラベルを方向付けてプリンタ50と通信することによって印刷するように構成される。
【0019】
例示する目的のために、図2には運送業者のコンピュータが1つしか示されていない。しかし、運送業者のコンピュータ20は、在庫品返品工程において通信ネットワーク40を介してデータ収集装置10又は供給業者のコンピュータ30のいずれかと通信する様々な運送業者のシステムの中にある1つ以上のサーバ用コンピュータを参照することは理解されよう。図2に示した例示的な運送業者のシステムには、発送管理システム210、出荷品追跡システム220、及び発送ラベルシステム230が含まれる。同様に、供給業者のコンピュータ30は、在庫管理システム310、倉庫管理システム320、及び会計/請求書作成システム330などの種々の供給業者のシステムの中に存在する1つ以上のサーバ用コンピュータを参照する。後で詳細に説明するが、供給業者4は商品データを使用して、返品商品60を受け取る前でさえ、時宜に適った方法でこれらの供給業者のシステムを更新することができる。
【0020】
図3は、図2の前述したシステムの中で在庫品を返品するための工程を、ステップ−バイ−ステップで例示している。この工程はステップ100において、マーチャンダイザー2がデータ収集装置10を使用して、小売店1で返品すべき各商品から商品データを得るときに開始する。この商品データはデータ収集装置10に記憶され、そして後で、ステップ101に示すように、装置10から供給業者のコンピュータ30に転送される。好ましい実施形態では、データ収集装置10は、データ同期するためにPCコンピュータに接続することができるPDAである。PCコンピュータで同期された商品データを、通信ネットワーク40上でEDIを経由して供給業者のコンピュータ30に転送することができる。次に、受信された商品データに基づいて、ステップ102で、関連した供給業者のシステムを更新することができる。例えば、在庫管理システム310を到来する商品を反映するように更新して、それに応じて商品のバックオーダー水準を調整することができる。同様に、倉庫管理システム320では、入庫及び出庫計画を、返品商品を見越して監視又は調整することができる。返品商品の結果としての資産の増加又は減少により、会計/請求書作成システム330も更新することができる。
【0021】
マーチャンダイザーの仕事に戻ると、ステップ200は、全ての返品商品60が取り出されて、小売店1から取り除かれる状態になった後で、マーチャンダイザー2がデータ収集装置を使用して、返品発送ラベルを生成する要求を運送業者のコンピュータ20に送ることができることを示している。好ましい実施形態では、この要求には、発送される商品の型式、商品がどこからどこへ発送されるか、使用される発送サービスなどに関する情報が含まれる。実際には、データ収集装置10は好ましくは、マーチャンダイザー2による一部のデータ入力に基づいて発送要求を自動的に生成する命令を用いて、供給業者4により事前プログラムされる。これにより、発送業務に関する大部分の管理がマーチャンダイザー2から供給業者4に移管される。その理由は、供給業者4がその好ましい運送業者を選択することができ、データ収集装置10を必要な供給業者の情報、例えば出荷先の倉庫の住所に加えて、運送業者の情報を用いてデータ収集装置10を事前プログラムできるからである。要求が受け取られると、運送業者のコンピュータ20は、発送ラベルシステム230のサーバ用コンピュータである可能性があり、ステップ300において、要求された返品発送ラベルを電子的な形状で送り戻すことにより応答する。データ収集装置10は、ラベル情報を受け取り、そして電子的な返品ラベルを装置のディスプレイ画面に送るように構成される。各返品発送ラベルは、UPSが使用している1Zトラッキング番号などの固有のトラッキング番号によって識別される。この技術では周知のように、トラッキング番号によって識別される発送ラベルがパッケージに貼り付けられると、発送する顧客はこのトラッキング番号を用いて、パッケージの動きの追跡を続けることができる。このため、好ましい実施形態では、発送ラベルが作られると、供給業者4にはこれらの返品商品に関連付けられたトラッキング番号が与えられる。次にステップ601において、運送業者3が商品を受け取って、その商品を運送業者の輸送ネットワークに入れると、供給業者4はトラッキング番号を使用して、商品の輸送を追跡することができる。現在では、多くの輸送会社が自身の顧客にオンライン輸送トラッキングシステムを提供しており、このシステムにより顧客は一般に受け取ったトラッキング番号をウェブページに入力して、次に顧客のパッケージの輸送状態を表示することができる。
【0022】
ステップ400において、データ収集装置10は、電子的な返品発送ラベルを現場印刷するためにプリンタ50と通信する。動作に当たっては、プリンタ50は携帯型であることが好ましく、マーチャンダイザー2は返品商品を小売店1から集めるために、データ収集装置10と一緒にこの携帯型のプリンタ50を携える。ステップ500では、印刷されたラベルが、全ての返品商品を収容するための1つ以上のコンテナに貼り付けられる。ステップ600では、中に商品が入っているコンテナが、マーチャンダイザー2によって降ろされるか又は輸送するために運送業者3によって取り上げられる。次に、コンテナは走査されて、運送業者のシステムで発送記録が作られる。発送工程の間に、コンテナは運送業者3の各受取り設備で走査され、これにより発送データが更新されて、供給業者4には最も最近の発送ステータスが与えられる。
【0023】
ステップ700では、供給業者4は運送業者3から返品商品60を受け取る。次に、ステップ701で、供給業者4は受け取った商品を事前に記憶された商品データと照らし合わせて検証することができる。この検証ステップから、供給業者4は、全ての期待された商品が実際に受け取られたか、輸送中に何個の商品が損傷されたか、何個がまだ輸送されていないか、などを知ることができる。その知識に基づいて、供給業者4は商品返品工程の中で改良する必要がある何らかの弱点を特定し、マーチャンダイザー2及び運送業者3の働きを評価し、そして効果的な費用管理を行うことができる。
【0024】
図4では、在庫品を返品する前述したシステムを実行するためのハードウェアに関する要求事項が例示されている。図4に示すように、データ収集装置10は入力/出力コントローラ11、プロセッサ12、無線インターフェース13、及び1つ以上のデータベース15を格納するメモリ14を備える。1つの実施形態では、データ収集装置10はPDAであり、その結果、大きなディスクトップ及びラップトップPCで使用されるプロセッサと比較すると、プロセッサ12は、モトローラ・ドラゴンボール(Motorola Dragonball)、パイプラインステージがインターロックされないマルチプロセッサ(Multiprocessor without Interlocked Pipeline Stages:MIPS)、又は日立のSH7709aなどの一般的に小さくかつ安価なマイクロプロセッサである。プロセッサ12は、データ及びプログラム命令をメモリ14にまたメモリ14から伝達するためにデータバスを使用する。プロセッサ12は、I/Oデータバスを介して種々の周辺装置すなわち外部装置とも通信する。メモリ14は、2種類のメモリ、すなわちランダムアクセスメモリ(RAM)及びプログラム可能なパーマネントメモリ(permanent memory)を含む。一般的に、ソフトウェアアプリケーションはRAMにロードされ、実行され、また動作される。RAMは、ユーザが入力したデータを受け取ること、またアプリケーションの出力又は結果をユーザに表示することにも使用される。携帯型の電子装置に関して、プログラム可能なパーマネントメモリは一般にフラッシュメモリである。一般に、I/Oコントローラ11は、プロセッサ12がX.25、ISDN、DSL、ケーブルモデムなどを含むデータ通信指向のプロトコルなどの種々のインターフェースを介して外部の通信ネットワークと通信するために使用される。I/Oコントローラ11は、標準的な電話回線とインターフェースで連結する及び通信するためのモデム(図示せず)を組み込むこともできる。別の方法では、通信I/Oコントローラ11は、LAN上で通信するためにイーサネット(登録商標)用インターフェースを組み込むことができる。これらのインターフェースのいずれも、インターネット40、イントラネット、LAN 40’、又は他のデータ通信設備にアクセスするために使用できる。無線インターフェース13は、動作に当たってはアンテナに接続されて、プロセッサ12が無線でプリンタ50などの他の装置と通信できるようにする。無線通信は、IEEE 802.11 プロトコル、 802.15.4プロトコル、又はCDMA2000 1x EV-DO、GPRS、W-CDMA、又は他のプロトコルなどの標準的な3G無線通信プロトコルのような種々のプロトコルによって実現できる。
【0025】
アプリケーション・ステップの順序付けられたリスト項目を含む前述したような様々な応用ソフトは、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、又は命令実行システム、機器、又は装置から命令を取り込むことができ、また命令を実行することができる他のシステムが使用する又はそれらとの関連で使用されるコンピュータが読取り可能な媒体の中で具体化することができる。本明細書との関連で、「コンピュータが読取り可能な媒体」は、命令実行システム、機器、又は装置が使用する又はそれらとの関連で使用されるプログラムを収容、記憶、通信、伝搬、又は移送できる任意の媒体とすることができる。コンピュータが読取り可能な媒体は、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線による、又は半導体のシステム、機器、装置又は伝搬媒体とすることができるが、これらに限定されることはない。コンピュータが読取り可能な媒体のより具体的な実施例(完全なリストではない)には、下記が含まれる、すなわち、1つ以上の電線を有する電気的接続(電子的)、携帯型のコンピュータディスケット(磁気的)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(磁気的)、読出し専用メモリ(ROM)(磁気的)、消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)(磁気的)、光ファイバー(光学的)、及び携帯型コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)(光学的)が含まれる。コンピュータが読取り可能な媒体は、さらに、プログラムがプリントされる紙又は他の適当な媒体であっても良いことに注意されたい。その理由は、プログラムは紙又は他の媒体を光学スキャニングすることによって電子的に収集し、次に、コンパイル、インタプリタ、又は必要な場合適当な方法で処理し、その後コンピュータのメモリの中に記憶することができるからである。
【0026】
さらに、フローチャートの中の任意の工程の説明すなわちブロックは、工程内の特定の論理機能すなわちステップを実行する1つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を示すものとして理解されたい。また、別の具体例は、本発明の技術分野に適度に精通した当業者には明らかなように、機能を含まれる機能性に基づいて、ほぼ同時又は逆の順序を含む図示又は説明した順序から外れて実行できる、本発明の好ましい実施形態の範囲の中に含まれる。
【0027】
本発明の前述した実施形態、特に幾つかの「好ましい実施形態」は、単に具体化の可能な実施例すなわち本発明の原理を明確に理解してもらうための単なる説明であることを強調する。本発明の原理の精神から実質的に逸脱することなく、本発明の前述した実施形態に対して変形例及び修正例を作ることができる。全てのそのような修正例及び変形例は、本発明の開示内容の範囲の中に含まれ、また特許請求の範囲によって保護されるものとする。
【0028】
詳細な説明の締めくくりとして、本発明の原理から実質的に逸脱することなく、多くの変形例及び修正例を好ましい実施形態に対して作ることができることは、当業者にとって明らかであることに注意されたい。また、そのような変形例及び修正例は、特許請求の範囲の中に記載するような本発明の範囲の中に含まれるものとする。さらに、特許請求の範囲の中では、構造、材料、動作及び機能素子を加えた全ての手段又はステップと等価なものは、それらの前述の機能を実行するための全ての構造、材料又は動作を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】以前に採用された商品返品工程と本発明による改良された工程との間の相違を例示する図である。
【図2】本発明の1つの実施形態に基づいて、商品の返品を容易にするためのシステムのハイレベルのブロック図である。
【図3】本発明の1つの実施形態による、図2のシステムの商品返品ステップを例示するブロック図である。
【図4】本発明の1つの実施形態に基づいて、図2のシステムを実行するための典型的なハードウェアの要求事項を例示する図である。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
在庫品の返品を容易にするシステムであって、
プロセッサと前記プロセッサにアクセス可能なメモリ部分とを備えた携帯型の電子装置を備え、前記携帯型の電子装置が、
返品商品からの商品データを前記メモリ部分に記憶するために取り込み、
一部前記商品データに基づいて返品発送ラベルに対する要求を生成し、
前記要求を通信ネットワーク上で、一部前記要求に基づいて電子的な返品発送ラベルを作るように構成された第1のコンピュータに伝達し、
前記電子的な返品発送ラベルを前記第1のコンピュータから受け取るように構成される、システム。
【請求項2】
前記携帯型の電子装置と通信して、前記電子的な返品発送ラベル用データを受け取り、前記電子的な返品発送ラベルのハードコピーを印刷するように構成される、携帯型のプリンタをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記携帯型の電子装置がキー入力データを受け取るようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記携帯型の電子装置が前記電子的な返品発送ラベルを表示するための出力インターフェースをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記携帯型の電子装置が、前記商品データを第2のコンピュータに伝達するようにさらに構成され、前記第2のコンピュータが前記商品データを受け取ることに応答して、前記商品データに基づいて1つ以上のコンピュータのデータベースを更新するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記要求が、少なくとも発送の起点、発送の宛先、及び発送のサービスレベルを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
プロセッサと、
前記プロセッサにアクセス可能なメモリ部分と、
通信ネットワーク上で前記プロセッサと第1のサーバ用コンピュータとの間の通信を円滑にするように構成された、前記プロセッサと通信するネットワークインターフェースと、
前記プロセッサと通信し、返品商品から商品データを前記メモリ部分に記憶するために受け取るように構成されるユーザーインターフェースと、
を備え、前記プロセッサが、
前記返品商品に関連した返品発送ラベル用データを生成するように前記商品データを処理し、
前記返品発送ラベル用データを前記ネットワークインターフェースを経由して、一部前記返品発送ラベル用データに基づいて電子的な返品発送ラベルを生成するように構成された前記第1のサーバ用コンピュータに転送し、
前記電子的な返品発送ラベルを前記第1のサーバ用コンピュータから受け取り、
前記電子的な返品発送ラベルのハードコピーを印刷するために、前記電子的な返品発送ラベルを、前記ネットワークインターフェースを介して前記プロセッサと通信するプリンタに方向付ける、
ように構成される、携帯型の電子装置。
【請求項8】
前記プロセッサが前記通信ネットワーク上で前記ネットワークインターフェースを介して、前記商品データを前記プロセッサから受け取るように構成された第2のサーバ用コンピュータと通信するようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項7に記載の携帯型の電子装置。
【請求項9】
前記プロセッサが前記電子的な返品発送ラベルを前記第2のサーバ用コンピュータに転送するようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項7に記載の携帯型の電子装置。
【請求項10】
前記電子的な返品発送ラベルを表示するためのディスプレイ装置をさらに備える、ことを特徴とする請求項7に記載の携帯型の電子装置。
【請求項11】
前記プリンタが前記プロセッサとブルーテュース技術を用いて通信するように構成される、ことを特徴とする請求項7に記載の携帯型の電子装置。
【請求項12】
前記返品発送ラベル用データが少なくとも発送の起点、発送の宛先、及び発送のサービスレベルを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の携帯型の電子装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−540298(P2008−540298A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512289(P2008−512289)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/014686
【国際公開番号】WO2006/127183
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(397008339)ユナイテッド パーセル サービス オブ アメリカ インコーポレイテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】United Parcel Service of America, Inc.
【住所又は居所原語表記】55 Glenlake Parkway, NE, Atlanta,Georgia 30328, U.S.A.
【Fターム(参考)】