説明

地図検索システム

【課題】受付者の経験と勘による判断に依存することがなく、短時間かつ少ない操作ステップで通報者の存在する候補地点を特定できる地図検索表示装置を得ることを目的とする。
【解決手段】音声認識処理装置1で文字データ化した音声認識情報と、地図検索装置6のデータベース8の目標物データとを、逐次参照することで、通報者2または受付者3の発する言葉に含まれる目標物データを自動抽出するとともに、抽出した目標物データのうち、最初に抽出された目標物データを基準データとし、2つ目以降に抽出された目標物データと基準データが既定値以内の距離に存在するものを絞り込み検索し、対象となる基準データを候補地点として表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、110番などの緊急通報受付センターにおいて、通報者と受付者の双方あるいは一方の発する言葉を文字化したデータより、通報者の存在する候補地点を特定し、その候補地点の地図を表示するようにした地図検索システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の地図検索表示装置においては、通報者から聞き取った付近の目標地物の名称などから、受付者の判断にもとづいて目標物の分類や名称などを、あらかじめ準備された画面上の検索メニューと項目を選択することで、候補となる目標物を一覧検索表示し、一覧より該当する目標地物を探し出して選択することで、該当地点の地図を端末画面上に表示している。
また、音声認識を活用した従来技術としては、名称など完全に一致する唯一つの目標物を抽出することにより、対象となる目標地物の該当地点地図を表示しているものがある。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−239466号公報(図8、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の地図検索表示装置は、通報者から聞き取った情報より目標物となりうる情報を抽出する作業が受付者の経験と勘による判断に依存するところが大であり、受付者によっては通報者の存在地点を特定するまでに時間が多くかかる場合がある。また、複数ステップの端末操作が必要であることも通報者の存在地点の特定までに時間がかかる要因となっているという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、音声認識技術を採用することで、通報者または受付者の発する言葉を文字化したデータより名称、種別、住所などの検索情報を自動抽出し、短時間かつ少ない操作ステップで通報者の存在する候補地点を特定できる地図検索表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による地図検索システムは、入力された言葉を音声認識し文字データ化する音声認識処理装置と、音声認識結果から目標物データを抽出し該当する地点の地図を検索表示する地図検索装置とで構成され、上記地図検索装置は、名称、種別、住所などの目標物データを蓄積したデータベースを備え、上記音声認識処理装置で文字データ化した音声認識情報と、上記データベースのデータとを、逐次参照することで、入力された言葉に含まれる目標物データを自動抽出するとともに、抽出した目標物データのうち、最初に抽出された目標物データを基準データとし、2つ目以降に抽出された目標物データと基準データが既定値以内の距離に存在するものを絞り込み検索し、対象となる基準データを候補地点として表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明による地図検索システムによれば、通報者または受付者の発する言葉を文字化したデータより名称、種別、住所などの検索情報を自動抽出し、短時間かつ少ない操作ステップで通報者の存在する候補地点を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の目標物データ検索処理のフロー図である。
【図3】実施の形態3の動作画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1に基づいて説明する。
図1において、音声認識処理装置1は、通報者2と受付者3の発する音声を入力する音声入力部4と、音声を文字データ化する音声認識処理部5と、文字データ化された音声認識情報を地図検索装置6に引き渡すための文字データ出力部7からなる。
地図検索装置6は、予め準備する目標物データベース8と、音声認識情報と目標物データベース8の各データを照合するための参照処理部9と、参照処理部9にて照合処理の結果得られる目標物データを元に候補地点となる目標物データを絞り込んで検索するための目標物データ検索処理部10と、候補地点の地図を画面上に表示するための表示モニタ11から構成される。
【0010】
次に動作について説明する。
110番通報などにより通報者2から受付者3に掛けられた電話において、状況を確認するためにやり取りされるすべての発話内容は、音声認識処理装置1において逐次文字データ化され音声認識情報となって出力される。
音声認識情報は、地図検索装置6の目標物データベース8に蓄積されている各データと照合され、音声認識情報と合致する目標物データを全て抽出する。目標物データベース8は、名称、種別、住所、座標からなる表形式のデータ構造となっており、発話の都度出力される音声認識情報を目標物データベース8の各項目と照合され、音声認識情報と合致した目標物データとして、1つ目、2つ目、3つ目、・・・というふうに、順次、目標物データを取得する。
【0011】
以下、目標物データ検索処理部10の動作を説明する。
音声認識情報と合致した目標物データのうち、最初の音声認識情報が固有名称でなく、一般名称または種別に合致するものであった場合、対象となる目標物データは複数件抽出される。この目標物データ群を基準データとする。
この実施の形態1の例示では、通報者2から「近くに学校があります。あとコンビニと郵便局らしい建物があります。」という通報を受けた場合を示している。この場合は、「学校」が基準データとなる。
【0012】
以下、図2にて目標物データ検索の詳細を説明する。
まず、上述のように、ステップ1で基準データとなる種別「学校」に該当する目標物データを抽出する。次いで、ステップ2で次の目標物データ「コンビニ」に該当する目標物データを抽出する。次いで、ステップ3でステップ1で抽出した全ての目標物データ「学校」のうち、ステップ2で抽出した目標物データ「コンビニ」が既定値以内の距離範囲に存在する目標物データ「学校」を絞り込んで抽出する。ステップ4で次の目標物データ「郵便局」に該当する目標物データを抽出する。ステップ5でステップ3で絞り込み抽出した全ての目標物データ「学校」のうち、ステップ4で抽出した目標物データ「郵便局」が既定値以内の距離範囲に存在する目標物「学校」を絞り込んで抽出する。上記ステップ4、ステップ5を繰り返し実施(ステップ6)し、基準データの目標物データ「学校」を絞り込む。
【0013】
以上のように、先に抽出された複数の基準データに対して、2つ目の目標物データ群の各データを比較し、基準データとの距離が既定値以内の基準データを絞り込み検索する。以降、3つ目の音声認識情報、4つ目の音声認識情報についても、同様に基準データの絞り込み検索を実施する。この実施の形態1の例示では、2つ目の目標物データ群は「コンビニ」、3つ目の目標物データ群は「郵便局」となる。このように、候補となる基準データがどんどん絞り込まれて行く。
【0014】
複数件まで絞り込めた場合には、候補一覧を画面上に表示し、このうち任意の1件を指定することで、該当地点の地図を表示モニタ11に表示する(ステップ7)ことができる。
なお、最終的に1件にまで絞り込まれた場合には、対象となる目標物データの座標をもとに、該当地点の地図を表示モニタ11に表示する。
上記動作により、受付者3は通報者2からの電話に応対し、必要な情報を聞き取ることにより、通報者2の位置する候補地点を自動的に見つけ出すことができ、場所特定に要する時間の短縮と、操作性の改善、場所特定精度の向上が図れる。
【0015】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、基準データに対して複数の目標物データ群が既定の距離範囲内に存在するものを抽出し、候補地点を見つけ出す場合の動作について述べたが、目標物データベースの各項目に対して、音声認識情報が住所に関する情報であった場合には、実施の形態1で説明した抽出する基準データ及び複数の目標物データ群の距離比較処理を行う前段階として、該当する住所情報を持つ目標物データに限定して検索を開始する。このようにすることで、目標物データ同士の距離比較を行うデータ数を予め絞り込むことができ、目標物データ抽出処理の高速化を図ることができる。
【0016】
実施の形態3.
また、上記実施の形態1では、音声認識情報として抽出されたデータすべてを目標物データ抽出処理の対象とし、候補地点を見つけ出す場合の動作について述べたが、図3に示す画面例のように、音声認識情報のうち、個々の目標物データを絞り込み条件として使用するかどうかを自由に選択できるようにすることで、候補地点抽出の選択自由度を広げることができる。この図3の例では、基準データ「学校」と目標物データ「コンビニ」が選択されているが、目標物データ「郵便局」は除外して検索する場合を示している。このように自由度を持たせることで、目標物データを絞り込み過ぎた場合などに組み合わせ条件を緩和したりすることで対象となる目標物データの検索漏れを防止することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 音声認識処理装置、 2 通報者、 3 受付者、 4 音声入力部、 5 音声認識処理部、 6 地図検索装置、 7 文字データ出力部、 8 目標物データベース、 9 参照処理部、 10 目標物データ検索処理部、 11 表示モニタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された言葉を音声認識し文字データ化する音声認識処理装置と、音声認識結果から目標物データを抽出し該当する地点の地図を検索表示する地図検索装置とで構成され、上記地図検索装置は、名称、種別、住所などの目標物データを蓄積したデータベースを備え、上記音声認識処理装置で文字データ化した音声認識情報と、上記データベースのデータとを、逐次参照することで、入力された言葉に含まれる目標物データを自動抽出するとともに、抽出した目標物データのうち、最初に抽出された目標物データを基準データとし、2つ目以降に抽出された目標物データと基準データが既定値以内の距離に存在するものを絞り込み検索し、対象となる基準データを候補地点として表示するようにした地図検索システム。
【請求項2】
上記音声認識処理装置により抽出した目標物データが、住所に関する情報であった場合に、候補地点の絞込み方法として該当する住所エリア内に存在する目標物データに限定して検索することを特徴とする請求項1記載の地図検索システム。
【請求項3】
上記地図検索装置において、音声認識情報と目標物データの逐次参照処理によって得られる複数の目標物データに対して、個々の目標物データを絞り込み条件として使用するか否かを自由に選択でき、任意の目標物データを組み合わせた条件による候補地点の検索を可能とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地図検索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−221591(P2011−221591A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86645(P2010−86645)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】