説明

地図画像データ生成方法、及びそれを用いた緊急出動指令システム

【課題】複数の地図帳を使用する場合において、指定された住所(現場)と対応するページの相互関係が容易に把握できる地図画像データを生成する方法と、この方法が実現できる地図検索装置を備えた緊急出動システムを提供する。
【解決手段】地図等検索装置を、座標で管理された地図画像データと、複数の住所及び同住所と対応する座標とからなる住所テーブルと、複数の地図帳を複数のページに分割管理し、それぞれのページ範囲を示す座標をテーブル化したページ管理テーブルとを格納した記憶装置81、82、84と、現場住所座標を含むページ枠イメージを生成するページ・メッシュ画像生成手段85と、現場住所座標を抽出し、ページ・メッシュ画像生成手段85へ出力し、同ページ・メッシュ画像生成手段85よりページ枠イメージを入力し、複数のページ枠イメージと地図画像データとを現場住所座標が重なるように合わせる地図領域合成手段31とを備えた構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警察や消防などの緊急出動指令システムに係わり、より詳細には、現場周辺を示す複数の地図画像データの生成方法、及びそれを用いた緊急出動指令システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急出動指令システムの一つである消防指令システムは、例えば、図6に示すブロック図のように構成されていた。
【0003】
図6を参照して機能、動作を説明する。本部装置は、指令台1、自動出動指定装置2、地図等検索装置80及び指令伝送送信装置4を備えるとともに相互に、例えば、LAN(local area network:構内情報通信網)で、回線接続している。
【0004】
本部装置に設けた指令台1は、119番通報等の緊急通報1aを受信しオペレータが通報者と通話して通報の内容を確認する。自動出動指定装置2では、緊急通報1aの内容、例えば現場の住所や状況を、オペレータがマウス、タッチパネルなどの入力装置(図示せず)を用いて逐次入力する。この指令台1と自動出動指定装置2とで指令手段を構成している。
【0005】
そして、自動出動指定装置2では、入力された通報の内容に基づき自動的に緊急出動車両、例えば、救急車、消防車などを指定し、また、地図等検索装置3で検索された現場周辺の地図データを受け取って指令書を作成すると共に、自動出動指定装置2に備えられた表示装置(図示せず)に現場周辺の地図を表示する。
【0006】
地図等検索装置80は、自動出動指定装置2に入力された通報内容のデータを受け取り、これに基づき緊急発生地点を含む地図を検索し、検索された地図データを自動出動指定装置2へ出力する。指令伝送送信装置4は、指令書及び地図を送信データに生成し、署所装置へ送信するとともに、音声合成による予告指令、本指令の音声データも署所装置へ送信する。
【0007】
署所装置に設ける署所端末装置5は、本部装置と、例えば、専用回線網7を介して接続し、指令伝送送信装置4が送信した送信データを受信し、指令書及び地図を復元し、画面表示用データを生成するとともに、音声データを復元し音声出力する。署所端末装置5に接続する表示装置5aは画面表示用データを表示する。
【0008】
指令伝送出力装置6は、署所端末装置5に接続し指令書及び地図を印刷出力する。署所装置は、署所端末装置5と、指令伝送出力装置6を備える。上記の本部装置と、少なくとも1個所の署所装置とを回線接続して緊急出動指令システムが構成されてる(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
図8は地図等検索装置80を示すブロック図である。地図等検索装置80は、座標を用いて管理されたベクトル方式の地図画像データを格納した記憶装置81と、住所及び住所と対応する地図画像データの座標をテーブル化した住所テーブルを格納した記憶装置82と、各署所で保有している複数の地図帳の管理テーブルを格納した記憶装置83と、各地図帳や地図画像データを複数のページに分割し、各ページの範囲を示す地図画像データの座標をテーブル化したページ管理テーブル、及び地図帳の縮尺を格納した記憶装置84と、ページ・メッシュ画像生成手段85と、画像データ生成手段86とで構成されている。
【0010】
ページ・メッシュ画像生成手段85は、画像データ生成手段86で指定された地図帳(冊)番号と現場の位置を示す座標と記憶装置84のページ管理テーブルのデータとを入力し、地図帳のページ区切り線、及びページ区切り線内を複数の区画に区切るメッシュを画像データに変換して画像データ生成手段86に出力する。
【0011】
画像データ生成手段86は、自動出動指定装置2から出力される現場の住所データをLAN経由で入力し、同住所データを住所テーブルを用いて対応する座標(現場住所座標)に変換する。同時に地図帳管理テーブルを用いて住所データから対応する署所が保有する地図帳(冊)番号を抽出し、この現場住所座標と地図帳番号とをページ・メッシュ画像生成手段85へ送出する。
【0012】
そして、ページ・メッシュ画像生成手段85からの出力と地図画像データとから現場と対応する地図画像データを合成し、この入力された住所データと対応する地図画像データをLAN経由で自動出動指定装置2へ出力する。
【0013】
図4は各記憶装置に格納されているテーブルデータを示す説明図であり、図4(A)は地図帳管理テーブル、図4(B)はページ管理テーブル、図4(C)は住所テーブルをそれぞれ表している。
【0014】
地図帳管理テーブルは複数の署所名と、それに対応する署所で保有している地図本(印刷された地図帳)の種別が記載されている。例えば○○消防署では冊77と冊02の2種類の地図本を保有しており、緊急出動車両にも同様の地図本が装備されていることを表している。
【0015】
ページ管理テーブルは、地図画像データと各地図帳毎に分割されたページ番号が付与されており、全てのページを並べて地図を再現した時、各ページの位置が決定される仮想的な座標(X,Y)の値が記載されている。また、そのページの縮尺も記載されている。なお、仮想的な座標は各地図帳で共通な絶対座標で表される。
【0016】
住所テーブルは複数の住所とそれに対応する仮想的な座標が記載されており、住所が判明すれば、それに対応する地図帳とそのページが検索できる。例えば「川崎市○○区XXXXX」であれば、仮想的な座標は(360,315)となり、ページ管理テーブルの対象座標を検索すると、冊77のページ003の範囲に入っていることが認識できる。
【0017】
以上の構成において、つぎに緊急出動指令システムにおける現場の地図検索動作を説明する。
画像データ生成手段86は自動出動指定装置2に入力された通報内容のうち、現場の住所データ、例えば「川崎市○○区XXXXX」をLANを介して受け取ると、前述のように住所テーブルから現場の仮想的な座標(360,315)を検索する。そして、記憶装置83の地図帳管理テーブルから出動が要請される署所、ここでは○○消防署の保有地図帳の一つ、例えば「冊77」を抽出する。
【0018】
そして、この「冊77」のデータと、検索された現場の仮想的な座標(360,315)とをページ・メッシュ画像生成手段85に送出し、地図帳「冊77」のページ番号を検索する。ここで例えば検索結果が「003ページ」となったとする。
【0019】
ページ・メッシュ画像生成手段85では、この地図帳とページ番号の検索結果と共に、対応するページ番号の座標から得られる地図帳のページ区切り線、及びページ区切り線内を複数の区画に区切るメッシュを画像データに変換して出力する。このページ区切り線はページ番号の座標で示される矩形の枠であり、また、メッシュは、この矩形の枠をさらに区画する縦と横の線を示す。この例では1つのページを縦と横の線により4つの区画に区分けしている。
【0020】
また、ページ・メッシュ画像生成手段85では、ページ区切り線やメッシュと共に、現場の仮想的な座標(360,315)と対応するメッシュ内に十字線と二重丸とからなる現場マークの画像データも生成する。
【0021】
図7(B)はこのメッシュと現場マークとを付加した地図であり、「冊77 003ページ」をメッシュで区画し、地図帳(冊番号)とページ番号の後に、それぞれに区画の位置を表すメッシュ番号、A−1、A−2、B−1、B−2を付加している。また、現場マークも付加されている。
【0022】
そして、図8において、ページ・メッシュ画像生成手段85からは、このメッシュと地図帳のページ区切り線と現場マークとの画像データと、冊番号とページ番号及びその関連データ(座標データ、縮尺)と、メッシュ番号とが画像データ生成手段86へ送出される。
【0023】
画像データ生成手段86ではこれらのデータを受け取ると、ページ番号の座標データと対応する地図画像を記憶装置81の地図画像データから読み出す。そして、読み出した地図画像データに地図帳のページ区切り線との画像データを重ね合わせ、現場地図データとしてLANを介して自動出動指定装置2に送信する。この例では「冊77 003ページ」の地図画像データが、それにメッシュを付加したデータとして送信される。
【0024】
自動出動指定装置2では受信した画像データを表示し、また、出動指令情報を付加して署所装置に送信し、指令書を印字出力させる。この場合、指令書における地図の印字エリアはスペース的に限られており、現場マークが記載されたメッシュ区画の地図のみを印字していた。
図7は署所装置から出力される一形態を表す図であり、図7(A)は指令書、図7(B)は表示装置5aの表示内容を示している。
【0025】
しかしながら、例えば「冊77 003ページ」の地図画像では現場の詳細な地理を参照できるが、現場に至るまでの道については別の地図帳を参照しないと把握できない。指令書の用紙サイズは現場で使用されるために用紙の大きさに制限があり、例えば、A4サイズ以上にできず、複数の地図を併記することができない。また、仮に縮尺が大きい地図を指令書に印字したとしても、今度は詳細な地図帳を別途参照しなければならない。
このため、不慣れな道の場合は緊急車両内において、現場に関連するページを複数の地図本から人手によって検索しなければならず、現場への到着が遅れてしまう場合があった。
【0026】
【特許文献1】特開2002−245580号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は以上述べた問題点を解決し、複数の地図帳を使用する場合において、指定された住所(現場)と対応するページの相互関係が容易に把握できる地図画像データを生成する方法と、この方法が実現できる地図検索装置を備えた緊急出動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は上述の課題を解決するため、与えられた住所データと、縮尺が異なり、複数のページに分割された複数の地図帳データとを用いて、
少なくとも2つの前記地図帳データのそれぞれ1つのページで前記住所データで指し示される位置を重ね、重なったページの中の1つに縮尺を合わせて他の重なったページの大きさを変更し、重なったそれぞれのページに、外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、前記住所位置を表すマークとを付加したイメージからなる画像データを生成する地図画像データ生成方法を地図検索装置に備える。
【0029】
または、与えられた住所データと、座標で管理された地図画像データと、複数の住所及び同住所と対応する前記地図画像データの座標とからなる住所テーブルと、縮尺が異なる複数の地図帳を複数のページに分割管理し、それぞれの前記ページの範囲を示す前記地図画像データの座標をテーブル化したページ管理テーブルとを用いて、
前記住所テーブルを検索して前記住所データと対応する座標である現場住所座標を抽出し、前記ページ管理テーブルを検索して前記現場住所座標を含むページ及び同ページの座標をそれぞれの前記地図帳ごとに抽出し、抽出したページを前記現場住所座標が重なるように重ね合わせ、重なったページの中の1つに縮尺を合わせて他の重なったページの大きさを変更し、重なったそれぞれのページに、外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、前記住所位置を表すマークとを付加し、前記外周枠内に同外周枠内と対応する前記地図画像データを重ね合わせたイメージからなる画像データを生成する地図画像データ生成方法を地図検索装置に備える。
【0030】
または、現場の住所を含む通報を受け付けてデータ化すると共に、同通報に対応するための指令を出力する指令手段と、同指令手段からの前記現場住所のデータを入力し、前記現場住所と対応する地図画像データを前記指令手段へ出力する地図等検索装置と、前記指令手段からの指令であり、前記地図画像データが含まれた指令書を受け取り、同指令書を印字出力し、各署所に設置された署所装置とを備えた緊急出動指令システムにおいて、
前記地図等検索装置は、座標で管理された地図画像データと、複数の住所及び同住所と対応する前記地図画像データの座標とからなる住所テーブルと、縮尺が異なる複数の地図帳を複数のページに分割管理し、それぞれのページ範囲を示す地図画像データの座標をテーブル化したページ管理テーブルとを格納した記憶装置と、
前記ページ管理テーブルを検索して指定された座標を含むページ及び同ページの座標を抽出し、同抽出したページに外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、前記現場を表すマークとを付加したページ枠イメージを生成するページ・メッシュ画像生成手段と、
前記住所テーブルを検索して前記住所データと対応する座標である現場住所座標を抽出し、前記指定された座標として前記ページ・メッシュ画像生成手段へ出力し、同前記ページ・メッシュ画像生成手段より前記ページ枠イメージを入力し、前記複数の地図帳と対応する前記ページ枠イメージを前記現場住所座標が重なるように重ね合わせ、重なったそれぞれの前記ページ枠イメージの中の1つに縮尺を合わせて他の重なった前記ページ枠イメージの大きさを変更し、前記外周枠内に同外周枠内と対応する前記地図画像データを重ね合わせたイメージからなる前記地図画像データを生成する地図領域合成手段とを備えてなる構成にする。
【0031】
また、重ね合わされる前記複数の地図帳は、前記指令書を受け取る前記署所に予め備えられた印刷された地図本と対応する地図帳のみ対象にされるようにする。
【発明の効果】
【0032】
以上の手段を用いることにより、本発明による地図画像データ生成方法、及びそれを用いた緊急出動指令システムによれば、
請求項1に係わる発明は、与えられた住所データと、縮尺が異なり、複数のページに分割された複数の地図帳データとを用いて、
少なくとも2つの地図帳データのそれぞれ1つのページで住所データで指し示される位置を重ね、重なったページの中の1つに縮尺を合わせて他の重なったページの大きさを変更し、重なったそれぞれのページに、外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、住所位置を表すマークとを付加したイメージからなる画像データを生成することにより、目的とする任意の住所を基準として、異なる縮尺の複数の地図帳の該当ページを迅速に重ね合わせ、複数の地図帳における任意の住所の相互関係を素早く認識できる。
【0033】
請求項2に係わる発明は、与えられた住所データと、座標で管理された地図画像データと、複数の住所及び同住所と対応する地図画像データの座標とからなる住所テーブルと、縮尺が異なる複数の地図帳を複数のページに分割管理し、それぞれのページの範囲を示す地図画像データの座標をテーブル化したページ管理テーブルとを用いて、
住所テーブルを検索して住所データと対応する座標である現場住所座標を抽出し、ページ管理テーブルを検索して現場住所座標を含むページ及び同ページの座標をそれぞれの地図帳ごとに抽出し、抽出したページを現場住所座標が重なるように重ね合わせ、重なったページの中の1つに縮尺を合わせて他の重なったページの大きさを変更し、重なったそれぞれのページに、外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、住所位置を表すマークとを付加し、外周枠内に同外周枠内と対応する地図画像データを重ね合わせたイメージからなる画像データを生成することにより、
目的とする任意の住所を基準として、異なる縮尺の複数の地図帳の該当ページを迅速に重ね合わせ、複数の地図帳における任意の住所の相互関係を素早く認識できる。
また、記憶装置に格納されたデータ量の多い地図画像データを、それぞれの地図帳に備えなくても1つで済むためにデータ量を削減でき、それを格納する記憶装置を容量の小さくて安価なものにできる。
【0034】
請求項3に係わる発明は、地図等検索装置を、座標で管理された地図画像データと、複数の住所及び同住所と対応する地図画像データの座標とからなる住所テーブルと、縮尺が異なる複数の地図帳を複数のページに分割管理し、それぞれのページ範囲を示す地図画像データの座標をテーブル化したページ管理テーブルとを格納した記憶装置と、
ページ管理テーブルを検索して指定された座標を含むページ及び同ページの座標を抽出し、同抽出したページに外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、現場を表すマークとを付加したページ枠イメージを生成するページ・メッシュ画像生成手段と、
住所テーブルを検索して住所データと対応する座標である現場住所座標を抽出し、指定された座標としてページ・メッシュ画像生成手段へ出力し、同ページ・メッシュ画像生成手段よりページ枠イメージを入力し、複数の地図帳と対応するページ枠イメージを現場住所座標が重なるように重ね合わせ、重なったそれぞれのページ枠イメージの中の1つに縮尺を合わせて他の重なったページ枠イメージの大きさを変更し、外周枠内に同外周枠内と対応する地図画像データを重ね合わせたイメージからなる地図画像データを生成する地図領域合成手段とを備えてなる構成にすることにより、
緊急出動車両内で複数の地図本を使用する場合において、現場と対応するページの相互関係を容易に把握できるため、現場へ迅速に到着することができる。
【0035】
請求項4に係わる発明は、重ね合わされる複数の地図帳が、指令書を受け取る署所に予め備えられた印刷された地図本と対応する地図帳のみ対象とされることにより、
個々の署所に備えられているそれぞれの地図本のみを参照できる指令書にすることができるため、指令書を受け取らない他の署所の地図帳情報を排除して見易い指令書にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。なお、背景技術と同じ部分については図面に同じ番号を付与し、詳細な説明を省略する。
【実施例1】
【0037】
本発明は、図6で説明した構成の中で地図等検索装置内の構成に特徴がある。従って、従来技術で説明した地図等検索装置80は図8の構成となり、本発明による地図等検索装置3は図1の構成となる。以下に図1を用いて地図等検索装置3の構成を説明する。
【0038】
地図等検索装置3は、座標を用いて管理されたベクトル方式の地図画像データを格納した記憶装置81と、住所及び住所と対応する地図画像データの座標をテーブル化した住所テーブルを格納した記憶装置82と、各署所で保有している複数の地図帳の管理テーブルを格納した記憶装置83と、各地図帳や地図画像データを複数のページに分割し、各ページの範囲を示す地図画像データの座標をテーブル化したページ管理テーブル、及びその縮尺を格納した記憶装置84と、ページ・メッシュ画像生成手段85と、地図領域合成手段31とで構成されている。
【0039】
地図領域合成手段31は、自動出動指定装置2から出力される現場の住所データをLAN経由で入力し、同住所データを住所テーブルで座標に変換する。同時に地図帳管理テーブルを用いて住所データから対応する署所が保有する地図本の(冊)番号を全て抽出し、この座標と、抽出された複数の地図帳番号の中の1つとをページ・メッシュ画像生成手段85へ送出する機能を備えている。なお、署所が保有する地図本の(冊)番号を全て抽出するのでなく、用途に応じて指令台1から選択信号を出力し、これに対応して抽出するようにしてもよい。
【0040】
また、地図領域合成手段31は、ページ・メッシュ画像生成手段85からの出力を一旦、地図領域合成手段31内に記憶させ、現場を表す現場住所座標と次の地図帳番号の1つとをページ・メッシュ画像生成手段85へ送出し、そして、ページ・メッシュ画像生成手段85からの出力を一旦、地図領域合成手段31内に記憶させ、これを署所が保有する地図帳(地図本)の数だけ繰り返す機能を備えている。
【0041】
また、地図領域合成手段31は、ページ・メッシュ画像生成手段85から出力された複数のメッシュ画像データと地図画像データとを現場の座標が一致するように重ね合わせ、現場と対応する地図画像データを合成し、この入力された住所データと対応する地図画像データをLAN経由で自動出動指定装置2へ出力する機能を備えている。
【0042】
以上の構成において、つぎに緊急出動指令システムにおける現場の地図検索動作を説明する。
地図領域合成手段31は、自動出動指定装置2に入力された通報内容のうち、現場の住所データ、例えば「川崎市○○区XXXXX」をLANを介して受け取ると、住所テーブルから現場の仮想的な座標(360,315)を検索する。そして、記憶装置83の地図帳管理テーブルから出動が要請される署所、ここでは○○消防署の保有地図帳(地図本)を全て、この実施令では「冊77」と「冊02」とを抽出する。
【0043】
そして、この「冊77」のデータと、検索された現場の仮想的な座標(360,315)とをページ・メッシュ画像生成手段85に送出し、地図帳「冊77」のページ番号を検索する。ここで例えば検索結果が「003ページ」となったとする。
【0044】
ページ・メッシュ画像生成手段85では、この地図帳とページ番号の検索結果と共に、対応するページ番号の座標から得られる地図帳のページ区切り線、及びページ区切り線内を複数の区画に区切るメッシュを画像データに変換し、また、現場マークの画像データも生成し、これらを地図領域合成手段31へ送出する。
【0045】
地図領域合成手段31ではこの地図帳「冊77」のメッシュの画像データを一旦保持し、次の「冊02」も同様の手順でページ・メッシュ画像生成手段85へ送出し、この検索結果が「054ページ」となったとすると、この「冊02」のメッシュの画像データも一旦保持する。そして、これら2つのメッシュの画像データと、記憶装置81の地図画像データとを現場の座標を基準にして重ね合わせ、現場と対応する地図画像データを合成する。このとき、重なったページ、つまり、2つのメッシュの画像データの中の1つの縮尺に合わせて他の重なったメッシュの画像データの大きさを変更する。
なお、本実施例の地図画像データはベクトル方式で格納されているため、2つのメッシュの画像データのうち、大きい方のページ枠に合わせて拡縮する。また、これらの複数の地図帳の縮尺関係が合っていれば、複数の地図画像データの合成途中でも合成後でも、必要とされる大きさに重ねられる地図画像データの大きさを一律に変更してもよい。
【0046】
この合成された地図画像データをLAN経由で自動出動指定装置2へ出力すると、結果的に図3に示すような本発明による形態になる。図3(A)は指令書、図3(B)は表示装置5aの表示内容を示している。
例えば図3(B)では、「冊02 054」のページ枠の中に「冊77 003」のページ枠が配置されている。これは「冊02」の縮尺が1:15000であるのに対して「冊77」の縮尺が1:10000であるからである。
【0047】
そして、「冊02 054」のページ枠の中はメッシュにより4つに区画されており、各区画の左上に地図帳(冊)番号とページ番号とそのページにおけるメッシュ番号とが、例えば「02 054 A−1」のように記載されている。また、「冊77」の地図帳も同様に「77 003 A−1」のように記載されている。
【0048】
ここで、「02 054 B−2」の区画と「77 003、B−2」の区画とは、地図帳(冊)番号とページ番号とそのページにおけるメッシュ番号とが重なってしまう。そこで、このような場合は各地図帳の縮尺を参照し、縮尺が小さいものを上に、縮尺が大きいものを下に記載している。これにより、縮尺が小さくて面積の狭い地図帳の記載を優先させて見易くすることができる。
【0049】
このように、互いに現場を含む複数の地図帳のページが存在する場合、縮尺の大きな地図帳のページに縮尺の小さな地図帳のページ枠を記載することにより、互いの地図帳の関係が明確に認識できる。また、それぞれの地図帳のページに、対応する地図帳(冊)番号とページ番号とを記載しているため、それぞれの地図帳間のリンクが瞬時に理解できる。
【0050】
従って、例えば図3(A)の指令書を受け取って出動した緊急車両(図示せず)は、指令書の地図に従って現場近辺まで直行する。そして、図3(A)の指令書だけでは現場への道順が不明な場合は、現場マークに記載され、さらに縮尺の小さな地図帳の該当ページ、つまり、「77 003、B−1」を素早く認識できるため、現場到着時間を短縮することができる。
【0051】
また、重ね合わされる複数の地図帳(記憶装置に格納された地図帳)は、指令書を受け取る署所に予め備えられている印刷された地図本と対応させて、地図帳管理テーブルで管理されている。これにより、個々の署所に予め備えられているそれぞれの地図本のみを参照できる指令書にすることができるため、指令書を受け取らない他の署所の地図帳情報を排除して見易い指令書にすることができる。
【0052】
図2は本発明による地図の重ね合わせの原理についての説明図であり、これに基づいて原理を説明する。
地図画像データや各地図帳は同一の仮想座標で管理されており、それぞれを複数のページに分割し、矩形からなる各ページの左下と右上の座標で管理している。また、それぞれの地図帳は縮尺が異なるが、この実施例では予め縮尺を考慮した座標となっている。つまり、縮尺が大きければ座標の値も大きくなっている(図4(B)を参照)。
【0053】
また、本実施例の場合、記憶装置81に格納されている実際の地図データは「地図画像データ」のみであり、各地図帳はそのページ範囲を示す座標データのみが記載されている。従って、複数の地図帳がある場合は、各地図帳毎に画像データを備える場合に比較し、そのデータ量を低減することができる。
【0054】
図2では異なる地図帳のページ、つまり、冊02の054ページと、冊77の003ページとに同一地点(現場)の座標が存在している。従って縮尺が大きい地図帳の座標で示される地図画像データを記憶装置81から読みだし、それぞれの地図帳の該当ページのメッシュデータをこれに重ねることにより図3に示すような本発明による形態を得ることができる。
【0055】
本発明による地図等検索装置は例えばパソコン(図示せず)で構成されており、ページ・メッシュ画像生成手段85と地図領域合成手段31とはこのパソコンに備えられた処理プログラムで実現されている。図5はこのプログラムの動作を示すフローチャートであり、図5(A)は地図領域合成処理を、また、図5(B)はページ・メッシュ画像生成処理をそれぞれ表している。以下にその処理を説明する。なお、前提条件として各種テーブルの内容は図4に記載した内容であり、緊急出動先の現場住所は「川崎市○○区XXXXX」とする。
【0056】
地図領域合成処理では、常にLANの信号を監視しており、自動出動指定装置から緊急出動先の現場住所のデータが送られて来るか確認している(ST1)。現場住所のデータがない場合はST1へジャンプし(ST1−N)、現場住所のデータがある場合は(ST1−Y)、住所テーブルを参照し、「川崎市○○区XXXXX」と対応する現場住所座標(360,315)に変換する(ST2)。
【0057】
次に地図帳管理テーブルを参照し、対象署所の地図帳番号を抽出する(ST3)。現場住所は「川崎市○○区XXXXX」であるため、○○消防署(署所)の冊77と冊02の2種類の地図帳を抽出する。そして、現場住所座標(360,315)と地図帳番号(冊77)を引渡パラメータとして、ページ・メッシュ画像生成処理を呼び出す(ST4)。
【0058】
後述するページ・メッシュ画像生成処理では、引渡パラメータを参照して対象となる地図帳の中で現場住所座標(360,315)を含むページを検索し、該当ページの枠と、縦横のメッシュと、現場マークと、地図帳番号とページ番号とメッシュ番号とを画像データ化し、この地図帳と対応するメッシュ画像データを戻り値として地図領域合成処理に帰ってくる。
【0059】
地図領域合成処理では、このメッシュ画像データの戻り値を保存する(ST5)。そして全ての地図帳処理が終了したか判断する(ST6)。処理が終了していない場合は、現場住所座標(360,315)と次の地図帳番号(冊02)を引渡パラメータとしてST4へジャンプする(ST6−N)。
【0060】
地図帳処理が終了していれば(ST6−Y)、保存している複数のメッシュ画像データ(この場合は冊77と冊02と対応するデータ)を現場住所座標を基準として重ね合わせて合成する(ST7)。さらに、地図画像データを読み出して、合成されたメッシュ画像データの範囲内の部分をコピーしてメッシュ画像データと合成する(ST8)。
【0061】
この地図画像データが合成されたメッシュ画像データをLAN経由で自動出動指定装置へ送信する(ST9)。そして、ST1へジャンプする。
【0062】
次にページ・メッシュ画像生成処理について説明する。ページ・メッシュ画像生成処理では、まず、ページ管理テーブルを参照し、対象となる地図帳(引渡パラメータの地図帳番号)から現場住所座標を範囲内とするページを検索する(ST21)。
【0063】
そして、該当するページの座標、つまり、検索されたページの座標を用いてページ枠の画像データを生成する(ST22)。さらに、ページ枠に縦横のメッシュを生成し(ST23)、現場住所座標に現場マークを生成し(ST24)、この上に地図帳番号とページ番号とメッシュ番号とを各区画毎に生成し(ST24)、ST22からST25で生成したメッシュ画像データを戻り値としてページ・メッシュ画像生成処理を抜けて呼出し元へ帰る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による地図等検索装置を示すブロック図である。
【図2】本発明による地図画像データを生成するための地図の重ね合わせ原理についての説明図である。
【図3】本発明による地図画像データの生成方法を用いて作成した地図の応用を示すものであり、(A)は指令書、(B)は表示装置の表示内容を示している。
【図4】本発明及び従来技術で使用するテーブルデータを示す説明図であり、(A)は地図帳管理テーブル、(B)はページ管理テーブル、(C)は住所テーブルである。
【図5】本発明によるプログラムの動作を示すフローチャートであり、(A)は地図領域合成処理を、また、(B)はページ・メッシュ画像生成処理をそれぞれ表している。
【図6】本発明または従来技術の緊急出動指令システムを示すブロック図である。
【図7】従来の地図画像データの生成方法を用いて作成した地図の応用を示すものであり、(A)は指令書、(B)は表示装置の表示内容を示している。
【図8】従来の地図等検索装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0065】
1 指令台
1a 緊急通報
2 自動出動指定装置
3 地図等検索装置(本発明の装置)
4 指令伝送送信装置
5 署所端末装置
5a 表示装置
6 指令伝送出力装置
7 専用回線網
31 地図領域合成手段
80 地図等検索装置(従来の装置)
81 記憶装置
82 記憶装置
83 記憶装置
84 記憶装置
85 ページ・メッシュ画像生成手段
86 画像データ生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられた住所データと、縮尺が異なり、複数のページに分割された複数の地図帳データとを用いて、
少なくとも2つの前記地図帳データのそれぞれ1つのページで前記住所データで指し示される位置を重ね、重なったページの中の1つに縮尺を合わせて他の重なったページの大きさを変更し、重なったそれぞれのページに、外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、前記住所位置を表すマークとを付加したイメージからなる画像データを生成してなることを特徴とする地図画像データ生成方法。
【請求項2】
与えられた住所データと、座標で管理された地図画像データと、複数の住所及び同住所と対応する前記地図画像データの座標とからなる住所テーブルと、縮尺が異なる複数の地図帳を複数のページに分割管理し、それぞれの前記ページの範囲を示す前記地図画像データの座標をテーブル化したページ管理テーブルとを用いて、
前記住所テーブルを検索して前記住所データと対応する座標である現場住所座標を抽出し、前記ページ管理テーブルを検索して前記現場住所座標を含むページ及び同ページの座標をそれぞれの前記地図帳ごとに抽出し、抽出したページを前記現場住所座標が重なるように重ね合わせ、重なったページの中の1つに縮尺を合わせて他の重なったページの大きさを変更し、重なったそれぞれのページに、外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、前記住所位置を表すマークとを付加し、前記外周枠内に同外周枠内と対応する前記地図画像データを重ね合わせたイメージからなる画像データを生成してなることを特徴とする地図画像データ生成方法。
【請求項3】
現場の住所を含む通報を受け付けてデータ化すると共に、同通報に対応するための指令を出力する指令手段と、同指令手段からの前記現場住所のデータを入力し、前記現場住所と対応する地図画像データを前記指令手段へ出力する地図等検索装置と、前記指令手段からの指令であり、前記地図画像データが含まれた指令書を受け取り、同指令書を印字出力し、各署所に設置された署所装置とを備えた緊急出動指令システムにおいて、
前記地図等検索装置は、座標で管理された地図画像データと、複数の住所及び同住所と対応する前記地図画像データの座標とからなる住所テーブルと、縮尺が異なる複数の地図帳を複数のページに分割管理し、それぞれのページ範囲を示す地図画像データの座標をテーブル化したページ管理テーブルとを格納した記憶装置と、
前記ページ管理テーブルを検索して指定された座標を含むページ及び同ページの座標を抽出し、同抽出したページに外周枠と、該当する地図帳識別子と、ページ番号と、前記現場を表すマークとを付加したページ枠イメージを生成するページ・メッシュ画像生成手段と、
前記住所テーブルを検索して前記住所データと対応する座標である現場住所座標を抽出し、前記指定された座標として前記ページ・メッシュ画像生成手段へ出力し、同前記ページ・メッシュ画像生成手段より前記ページ枠イメージを入力し、前記複数の地図帳と対応する前記ページ枠イメージを前記現場住所座標が重なるように重ね合わせ、重なったそれぞれの前記ページ枠イメージの中の1つに縮尺を合わせて他の重なった前記ページ枠イメージの大きさを変更し、前記外周枠内に同外周枠内と対応する前記地図画像データを重ね合わせたイメージからなる前記地図画像データを生成する地図領域合成手段とを備えてなることを特徴とする緊急出動指令システム。
【請求項4】
重ね合わされる前記複数の地図帳は、前記指令書を受け取る前記署所に予め備えられた印刷された地図本と対応してなることを特徴とする請求項3に記載の緊急出動指令システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−119215(P2006−119215A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304675(P2004−304675)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】