説明

地盤または岩盤物質に穴を掘削する方法および装置

本発明は、地盤または岩盤物質に穴を掘削する方法および装置、詳細には穴を打撃掘削または回転打撃掘削する方法および装置に関し、ハンマリングおよび/または回転運動を有するドリルロッドアセンブリ(4)上のドリルビット(1)によってボアホールが形成され、外被管または被覆管(15、18)がボアホールに挿入される。さらに、ドリルロッドアセンブリ(4)によって生じる衝撃エネルギーの一部が、詳細には中心のドリルロッドアセンブリ(4)によってドリルビット(1)に伝達され、さらに衝撃エネルギーの一部が、ドリルロッドアセンブリ(4)と協働する衝撃シュー(10)によって、外被管または被覆管(15、18)に伝達され、それによって掘削または衝撃エネルギーを、ドリルビット(1)および外被管または被覆管(15、18)に、確実に導くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌または岩盤物質に穴を掘削する方法、詳細には、打撃掘削または回転打撃掘削する方法であって、ドリルロッドアセンブリに取り付けられたドリルビットで実行される打撃および/または回転運動によってボアホールが形成され、外被管および/または被覆管がボアホールに挿入される方法に関し、および土壌または岩盤物質に穴を掘削する装置、詳細には、打撃掘削または回転打撃掘削する装置であって、ドリルロッドアセンブリに取り付けられたドリルビットによる打撃および/または回転運動によってボアホールが形成され、外被管および/または被覆管がボアホールに挿入されることが可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌または岩盤物質に穴を掘削する方法および装置、詳細には、打撃掘削または回転打撃掘削する方法および装置に関しては、様々な実施形態が知られている。したがって、例えば、ドリルビットをドリルロッドアセンブリに直接結合して衝撃エネルギーを導入することは公知であり、この場合、例えば、外被管および/または被覆管が、ドリルビットによる引張り応力作用でボアホールの内部に挿入される。このドリルビットと、外被管および/または被覆管との間の適切な結合は、作業面から外方に向いた端部で実現される。この実施形態の欠点は、例えばボアホールの壁面に部分的に当接することによって摩擦抵抗を生じさせる、外被管および/または被覆管を挿入するのに必要なエネルギーが、ドリルビットを介して導入される必要があることである。
【0003】
さらに、詳細には外被管の外周辺でドリルビットと協働する、適宜に頑丈に設計された外被管が設けられる実施形態が知られており、そのような実施形態では、衝撃エネルギーを導入するための略中心のドリルロッドアセンブリを使用しない。詳細には、この実施形態は、例えば井戸穴などの深さの浅い穴に通常用いられるきわめて頑丈な、したがって重い被覆管を使用して、必要な掘削エネルギーを導入しなければならない、という欠点を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最初に定義された種類の方法および装置から出発して、本発明は、ドリルビットならびに外被管および/または被覆管に、掘削または衝撃エネルギーを確実に導入することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的を達成するために、最初に定義した種類の方法は、ドリルロッドアセンブリで導入された衝撃エネルギーが、一部は、特に中心のドリルロッドアセンブリを介してドリルビットに伝達され、一部は、ドリルロッドアセンブリと協働する衝撃シューによって、外被管および/または被覆管に伝達されることを、基本的な特徴とする。エネルギーまたは衝撃エネルギーは、詳細には、中心のドリルロッドアセンブリを介してドリルビットに別々に伝達され、および一部は、ドリルロッドアセンブリと協働する衝撃シューによって外被管および/または被覆管に伝達されることから、ドリルビットを挿入中に、掘削工程中に追加的に挿入される外被管および/または被覆管から切り離すことが可能である。したがって、ドリルビットに伝達される掘削または衝撃エネルギーを、掘削に必要な程度までに制限できる。それによって、本発明によれば、さらに、外被管および/または被覆管を挿入するのに必要な力を、外被管および/または被覆管の外周辺と形成されたボアホールとの間に任意に存在する摩擦抵抗とは、分離して考えることができる。このように、外被管および/または被覆管を挿入するために、外被管および/または被覆管からドリルビットを切り離すことによって、公知の構成と異なり、外被管および/または被覆管を挿入するのに必要なエネルギーを、ドリルロッドアセンブリからドリルビットに、次いで被覆管に導く必要がなく、その結果、採掘またはボーリングに要するエネルギーのみをドリルビットに伝達すればよい。
【0006】
外径が比較的大きい衝撃シューによって、外被管および/または被覆管をボアホールの内部に引き込みまたは挿入するのに必要なエネルギーを、確実に好都合に導入するために、好ましい実施形態によれば、衝撃エネルギーが、ドリルロッドアセンブリから、間に置かれた衝撃リングを介して衝撃シューに伝達されることが提案されている。このような衝撃リングを介して、一般に直径の比較的小さい、中心に配置されたドリルロッドアセンブリから、直径が大きい衝撃シューにエネルギーを伝達できる。衝撃シューは、シューに結合される外被管および/または被覆管の直径とほぼ一致するよう設計される。別個の衝撃リングを設けることによって、さらに個々の部品に作用する種々の応力を考慮に入れることが可能になる。
【0007】
エネルギーを特に均等に導入すること、または製作するのが簡単で費用効果の高い要素を用いて、ドリルビットと衝撃リングと衝撃シューとにそれぞれエネルギーを伝達することに関しては、好ましい実施形態によれば、ドリルロッドアセンブリから衝撃シューおよび/または間に置かれた衝撃リングへの、およびドリルビットへの衝撃エネルギーの伝達は、それぞれ、ドリルロッドアセンブリの長手軸に対して鋭角をなすかまたは球状の帽子形状(Kugelkalottenform)を有する、当接面または係止面を介してなされる。特にドリルロッドアセンブリと作業面と反対方向に面するドリルビットの端部との間にある、各々がドリルロッドアセンブリの長手軸に対して鋭角をなすかまたは帽子形状を有する、当接面は、適切な力伝達に必要なそれぞれの耐性を備えて、簡単に製作される。
【0008】
掘削された物質の簡単かつ安全な運び出しに関しては、別の好ましい実施形態によれば、ドリルロッドアセンブリの外周辺と外被管および近接する被覆管の内周辺との間に画定された環状空間内に、ドリルビットの作業面に設けられた少なくとも1つの通路開口を通して掘削された物質が導かれ、ボアホールから除去されることが提案されている。したがって、掘削された物質は、ドリルロッドアセンブリと、ドリルビットに設けられた少なくとも1つの通路開口を通してドリルビットに続く外被管および被覆管との間の環状空間に直接導かれ、ドリルビットの作業面領域から掘削された物質が確実かつ安全に確実に除去される。
【0009】
ドリルビットの作業面に設けられた少なくとも1つの通路開口を通って、およびドリルビットからある一定距離隔てて配置され、かつほぼ中心に配置されたドリルロッドアセンブリから衝撃シューに衝撃エネルギーを伝達するために設けられた衝撃リングを通って排出される、掘削された物質の適切な通過を可能とするために、特に好ましい実施形態によれば、衝撃リングは、物質運び出し用の通路開口を備えて形成され、通路開口はドリルビットの作業面の少なくとも1つの通路開口と一致し、ドリルビットと共に回転運動するようドリルロッドアセンブリに結合される、ことを意図している。
【0010】
一般に、穴が完成した後、ボアホールから少なくともドリルロッドアセンブリが取り外され、その結果、ボアホールに残る外被管および/または被覆管を有したボアホールは、例えば硬化物質で充填される。少なくともドリルロッドアセンブリを特に簡単に早く取り外すために、ボアホールまたは穴の完成後、本発明の別の好ましい実施形態によれば、ドリルビットと任意の衝撃リングとがプラグイン型接続によってドリルロッドアセンブリに結合され、特にプラグイン型接続の相補的な多角形面が設けられることが提案されている。このようなプラグイン型接続の相補的な多角形面によって、ドリルビットと安全に結合し、確実に力を導入することができる。一方このようなプラグイン型接続は、単に引き込むだけでドリルビットからドリルロッドアセンブリを容易に取り外すことができる。さらに、衝撃シューとは別の衝撃リングを設けることによって、ドリルロッドアセンブリを取り外したときに、衝撃リングがボアホール内に残る可能性がある。その結果、ドリルロッドアセンブリに比べて大きい直径を有する衝撃リングを通してドリルロッドアセンブリを取り外す間、ドリルロッドアセンブリの外周辺と外被管および/または被覆管の内径との間の環状空間に任意で残っている物質による妨害を心配する必要がある。
【0011】
最初に定義された目的を達成するために、最初に定義された種類の装置はさらに、ドリルビットが、中心領域にあるドリルロッドアセンブリによって作用でき、またドリルロッドアセンブリが外被管および/または被覆管と協働する衝撃シューに作用することを、基本的な特徴とする。すでに上記で指摘のとおり、このような実施形態では、ドリルビットに伝達される衝撃または掘削エネルギーを均一に導入することができ、それによって掘削の進行または掘削工程が促進または支持される。さらに、衝撃エネルギーを導入し、作業面全体に衝撃エネルギーを配分するために強化されることが好ましい、ドリルビットの部分的な領域に対して、何ら特別な措置が取られる必要がない。ドリルビットを外被管および/または被覆管から切り離すことによって、さらにドリルビットを簡単な方法で設計することができる。その理由は、外被管および/または被覆管を挿入するのに必要な力が、ドリルビットによって外被管および/または被覆管に伝達される必要がなく、外被管および/または被覆管が、ドリルロッドアセンブリと協働しまたはそれによって作用する衝撃シューを通して、ボアホールの内部に挿入されるからである。
【0012】
ドリルロッドアセンブリと衝撃シューとの間を簡単に結合し、衝撃シューにエネルギーを適切に導いて、外被管および/または被覆管をドリルロッドアセンブリの内部に引き込むために、好ましい実施形態によれば、ドリルロッドアセンブリを、間に置かれた衝撃リングを介して衝撃シューに結合して、衝撃エネルギーを外被管および/または被覆管に伝達する。
【0013】
これに関しては、別の好ましい実施形態によれば、衝撃リングは、衝撃シューおよびドリルロッドアセンブリとは別個に設計されることが提案されている。これによって、本発明による装置の個々の要素を相互に別個に、したがってより簡単な方法で製作できる。一方で、さらに、穴の完成後、ドリルロッドアセンブリの取り外し時に、以下に詳細に説明するように、衝撃シューがドリルビットと外被管および/または被覆管に加えてボアホール内に確実に残り、それによってドリルロッドアセンブリを取り外す間、衝撃シューに結合する目的から大きい外側寸法を有する衝撃リンクのために、ボアホール内に残る可能性のある掘削された物質による妨害を心配する必要なしに、ドリルロッドアセンブリを簡単に引き出しまたは取り外すことができる。
【0014】
ドリルビットに続いて外被管および/または被覆管をボアホールの内部に確実に挿入するために、別の好ましい実施形態によれば、衝撃シューは外被管および/または被覆管に溶接されている。外被管および/または被覆管を衝撃シューと結合または溶接することによって、詳細には引張り応力下でボアホールに挿入するために外被管および/または被覆管に導入される衝撃エネルギーは、公知の構成とは逆に、ドリルビットに最初に導入されず、これにより、外被管および/または被覆管はドリルビットによってボアホールに引き込まれるが、ドリルビットの前進運動と、ドリルビットの外被管および/または被覆管の引き込み運動とが切り離される、ことを保証する。
【0015】
ドリルビットの領域から掘削された物質を特に確実に運び出すために、別の好ましい実施形態によれば、作業面上のドリルビットが、ドリルロッドアセンブリの外周辺と外被管および隣接する被覆管の内周辺との間に画定される環状空間に物質を導くための、少なくとも1つの通路開口を有することが提案されている。そのような少なくとも1つの通路開口によって、ドリルビットの作業面領域から、ドリルロッドアセンブリの外周辺と外被管および近接する被覆管の内周辺との間に画定された環状空間に、直接、掘削された物質を確実に導くことができる。
【0016】
中心に配置されたドリルロッドアセンブリと外周辺に位置する衝撃シューとの間の結合を構成する衝撃リングの領域を通しても、掘削された物質を適切に運び出すことを可能にするために、別の好ましい実施形態によれば、衝撃リングは、ドリルビットの作業面の通路開口に位置合わせされた少なくとも1つの通路開口を備える。
【0017】
ドリルビットの作業面全体にわたって、したがって衝撃リングを通して、掘削された物質をできるだけ均一に運び出すことを可能とするために、別の好ましい実施形態によれば、相互にほぼ等しい角度距離にある複数の通路開口、詳細には相互に120°の角度距離にある3つの通路開口が、ドリルビットと衝撃リングの外周辺領域に設けられる。
【0018】
ドリルロッドアセンブリとドリルビットとを確実に簡単に結合するために、本発明によれば、ドリルビットと衝撃リングとがプラグイン型接続によってドリルロッドアセンブリに結合され、ドリルビットとドリルロッドアセンブリを備えた衝撃リングとの間のプラグイン型接続は、詳細には、多角形の係止面または当接面を備えることが、さらに提案されている。このような多角形の係止面または当接面を備えたプラグイン型接続によって、特にドリルビットに与えられる回転運動も想定して、力を確実に伝達することができる。それによってボアホールの完成後に、ドリルロッドアセンブリを単に引き込むことによって、ドリルロッドアセンブリを、ドリルビットおよび任意に衝撃リングから分離または取り外すことができる。
【0019】
ドリルロッドアセンブリからドリルビットに、および間に置かれた衝撃リングと衝撃シューとを介して外被管および/または被覆管に導かれるエネルギーを、確実に伝達または導入するために、別の好ましい実施形態によれば、衝撃シューおよび任意には衝撃リング、ならびにドリルロッドアセンブリおよびドリルビットは、各々がドリルロッドアセンブリの長手軸に対して鋭角をなすかまたは球状の帽子形状を有し、ドリルロッドアセンブリからドリルビットと衝撃シューと衝撃リングとにそれぞれ衝撃エネルギーを伝達するために設けられた、係止面を備えている。ドリルロッドアセンブリの長手軸に対して鋭角をなすかまたは球状の帽子形状を有する、このような係止面は、部分的に強い力が、適宜に費用効果の高い信頼性の高い方法で導入されるよう構成することができる。
【0020】
ボアホール形成の間において対象とする掘削を可能にするために、別の好ましい実施形態によれば、衝撃シューに重なる案内管が、ドリルビットに追従するように掘削面と反対方向に面する端部に配置され、案内管はドリルビットと一緒に、衝撃シューおよびそれに接続された外被管および/または被覆管に対して回転できる。この案内管の長さは適宜に短く、案内管の外周辺と形成されたボアホールとの間に作用する摩擦力を過剰に増大させないようにしている。一方、外被管および/または被覆管は、前述のように、引張り応力を受けるだけであり、したがって、回転運動なしにボアホールの長手方向にのみ挿入される。
【0021】
案内管と衝撃シューとを確実に結合するために、別の好ましい実施形態によれば、案内管と衝撃シューは、例えばスプリングワッシャによって軸方向に固定される。
【0022】
以下に、図面に概略的に示された典型的な実施形態によって、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図において、ドリルビットは全体として参照符号1で示され、ドリルビットはそれ自体公知の方法で、詳細に図示されていない物質を掘削して、同じく詳細には図示されていないボアホールを形成するために、複数の超硬合金または硬質物質の挿入部2を備えている。
【0024】
図1から明らかなとおり、ドリルビット1は、作業面3と反対方向に面する側でドリルロッドアセンブリ4に結合されている。図1は、ドリルロッドアセンブリ4の最前部分だけを示している。ドリルロッドアセンブリ4は、それ自体は公知の方法で、例えば参照符号5で示されるねじ接続部によって適宜延長可能である。プラグイン型接続6の領域のほぼ中心にあるドリルロッドアセンブリ4は、ドリルビット1と直接協働する。ここで、図1はさらに、ドリルロッドアセンブリ4内に設けられ、ドリルビット1の作業面3の領域に設けられたそれぞれの放出開口8に達する放出路7を、概略的に示している。
【0025】
プラグイン型接続6の領域内で、ドリルロッドアセンブリ4をドリルビット1に中心で結合することに加えて、さらに、プラグイン型接続6からある一定距離にあるドリルロッドアセンブリ4が衝撃リング9と協働し、次に衝撃シュー10と協働する。衝撃シュー10は、間に置かれた衝撃リング9を介して外被管15にエネルギーを伝達する。
【0026】
ドリルロッドアセンブリ4から衝撃リング9に、次いで衝撃シュー10に、衝撃エネルギーを簡単かつ適切に伝達するために、係止面または当接面12、13が設けられる。上記係止面または当接面12、13はそれぞれ、ドリルロッドアセンブリ4の長手軸14に対して鋭角をなす。ドリルビット1と中心のドリルロッドアセンブリ4との間の当接面11は帽子形状であって、必要とされる力を伝達する。
【0027】
さらに、図1から明らかなように、衝撃シュー10が溶接部16によって外被管15に連結されており、これにより、掘削または採掘運動の方向17への衝撃シュー10の動きが、同時に、外被管15および、外被管15に結合されそれに続く被覆管18を引き込む。外被管15と近接する被覆管18との結合は、リング19を介する結合によって達成される。
【0028】
図1からさらに明らかなように、作業面3の反対方向に面するドリルビットの端部に続いて案内管20があり、この案内管20はドリルビット1と強固に接続されていると同時に、少なくとも部分的に衝撃リング10と重なっている。
【0029】
衝撃リング10と案内管20との間の軸方向固定手段が、スプリングワッシャ21として図1に示されている。
【0030】
図3から特に明らかなように、案内管20は、掘削工程の間、矢印22の方向にドリルビット1と一緒に回転する。一方、外被管15および近接する被覆管18とは、回転運動せずに、掘削運動の方向17にだけ衝撃シュー10を介してボアホール内部に挿入される。
【0031】
ドリルロッドアセンブリ4とドリルビット1との間を、特に確実に正確に結合するために、多角形接続面または当接面がプラグイン型接続6の領域に設けられる。
【0032】
さらに、衝撃リング9は、衝撃シュー10とドリルロッドアセンブリ4の両方から分離するように設計され、これにより、ボアホールが完成すると、ドリルロッドアセンブリ4は、掘削方向17とは反対方向に、ボアホール、したがって外被管15および近接する被覆管18の内部から、容易に取り外すことができる。その結果、衝撃リング9もまたボアホール、すなわち外被管15の内部に残るため、外被管15および/または被覆管18の内部にそれぞれ存在する物質による妨害を心配する必要がなくなる。
【0033】
詳細に図示していない掘削された物質を適切に運び出すために、ドリルビット1は、その作業面3上に少なくとも1つの、図示した実施形態においては3つの、通路開口23を備えている。通路開口23はそれぞれ、略等しい間隔を空けて120°の角度関係で配置されている。特に図2の概略図から明らかなように、衝撃リング9も適宜位置合わせされた通路開口24を備えることにより、ドリルビット1の作業面を直接通って、その後にドリルロッドアセンブリ4の外周辺と外被管15および/または近接する被覆管18の内周辺との間に画定された環状空間25内に物質を排出することができる、大きな通路断面部を実現する。
【0034】
前述のように、衝撃リング9は衝撃シュー10とドリルロッドアセンブリ4の両方から分離して設計されていることを考慮すると、粗い物質が環状空間25内に存在する可能性がある状態でも、穴の完成時にドリルロッドアセンブリ4を安全に取り外しまたは引き込むことができる。その理由は、図1の右側部分から明らかなように、ドリルロッドアセンブリ4の略滑らかな外周辺に加えて、減少した断面積を有し、衝撃リング9で囲まれた部分領域26が、穴の完成時にドリルロッドアセンブリ4の取り外しを妨げないからである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の方法を実行するための、本発明による装置の縦断面図である。
【図2】矢印IIから見た、図1による実施形態のドリルビットの正面図であり、図1は図2の線I−Iに沿った断面図である。
【図3】本発明による装置の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルロッドアセンブリ(4)に取り付けられたドリルビット(1)で実行される打撃および/または回転運動によってボアホールが形成され、外被管および/または被覆管(15、18)がボアホールに挿入される、土壌または岩盤物質に穴を掘削する方法、詳細には、打撃掘削または回転打撃掘削する方法であって、
ドリルロッドアセンブリ(4)によって導入される衝撃エネルギーの一部が、特に中心にあるドリルロッドアセンブリ(4)によってドリルビット(1)に伝達され、上記衝撃エネルギーの一部が、特にドリルロッドアセンブリ(4)と協働する衝撃シュー(10)を介して、外被管および/または被覆管(15、18)に伝達されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
衝撃エネルギーは、間に置かれた衝撃リング(9)を介して、ドリルロッドアセンブリ(4)から衝撃シュー(10)に伝達されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドリルロッドアセンブリ(4)から、衝撃シュー(10)および/または間に置かれた衝撃リング(9)への、およびドリルビット(1)への衝撃エネルギーの伝達はそれぞれ、各々がドリルロッドアセンブリ(4)の長手軸(14)に対して鋭角をなすかまたは球状の帽子形状を有する、当接面または係止面(12、13)を介して達成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
掘削された物質が、ドリルビット(1)の作業面に設けられた少なくとも1つの通路開口(23)を介して、ドリルロッドアセンブリ(4)の外周辺と外被管(15)および近接する被覆管(18)の内周辺との間に画定された環状空間(25)に導かれ、ボアホールから取り除かれることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
衝撃リング(9)が物質を運び出すための通路開口(24)を備えて形成され、該通路開口(24)はドリルビット(1)の作業面の少なくとも1つの通路開口(23)と対応し、ドリルビット(1)と共に回転運動するようにドリルロッドアセンブリ(4)に結合されていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ドリルビット(1)と任意の衝撃リング(9)とは、プラグイン型接続部によってドリルロッドアセンブリ(4)と結合され、詳細にはプラグイン型接続部の相補的な多角形面が設けられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ドリルロッドアセンブリ(4)に取り付けられたドリルビット(1)で実行される打撃および/または回転運動によってボアホールが形成され、外被管および/または被覆管(15、18)をボアホールに挿入できる、土壌または岩盤物質に穴を掘削する装置、詳細には、打撃掘削または回転打撃掘削する装置であって、
ドリルビット(1)は、ドリルロッドアセンブリ(4)がその中心領域にあるときに作動することができ、
ドリルロッドアセンブリ(4)は、外被管および/または被覆管(15、18)と協働する衝撃シュー(10)に作用することを特徴とする、装置。
【請求項8】
ドリルロッドアセンブリ(4)は、衝撃エネルギーを外被管および/または被覆管(15、18)に伝達するために、間に置かれた衝撃リング(9)を介して衝撃シュー(10)と結合されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
衝撃リング(9)は、衝撃シュー(10)とドリルロッドアセンブリ(4)から分離して設計されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
衝撃シュー(10)は、外被管(15)および/または被覆管(18)と溶接されていることを特徴とする、請求項7、8または9に記載の装置。
【請求項11】
作業面(3)上のドリルビット(1)は、ドリルロッドアセンブリ(4)の外周辺と外被管(15)および近接する被覆管(18)の内周辺との間に画定された環状空間(25)内に物質を導くように、少なくとも1つの通路開口(23)を備えていることを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
衝撃リング(9)は、ドリルビット(1)の作業面の通路開口(23)に位置合わせされた、少なくとも1つの通路開口(24)を備えていることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各々が相互に略等しい角度間隔にある複数の通路開口(23、24)が、詳細には相互に120°の角度間隔にある3つの通路開口が、ドリルビット(1)および衝撃リング(9)の外周領域に設けられていることを特徴とする、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
ドリルビット(1)および衝撃リング(9)は、プラグイン型接続部(6)を介してドリルロッドアセンブリ(4)に結合され、プラグイン型接続部(6)は、詳細には、多角形の係止面または当接面を含んでいることを特徴とする、請求項7から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
衝撃シュー(10)および任意の衝撃リング(9)ならびにドリルロッドアセンブリ(4)およびドリルビット(1)は係止面を含んでおり、係止面は各々がドリルロッドアセンブリ(4)の長手軸(14)に対して鋭角をなすか、または球状の帽子形状を有し、ドリルロッドアセンブリ(4)からドリルビット(1)と衝撃シュー(10)と衝撃リング(9)とにそれぞれ衝撃エネルギーを伝達するように設けられていることを特徴とする、請求項7から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
衝撃シュー(10)に重なる案内管(20)が、作業面(3)とは反対側の端部でドリルビット(1)に続いて配置され、
この案内管はドリルビット(1)と共に、衝撃シュー(10)およびそれに接続された外被管および/または被覆管(15、18)に対して回転することができる、請求項7から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
案内管(20)と衝撃シュー(10)とは、例えばスプリングワッシャ(21)によって軸方向に固定されていることを特徴とする、請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−507627(P2007−507627A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529432(P2006−529432)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/AT2004/000340
【国際公開番号】WO2005/033467
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(501069692)“アールバーク”・トウンネーラウスバーウ・ゲゼルシヤフト・エム・ベー・ハー (9)
【Fターム(参考)】