説明

地盤改良装置及び地盤改良方法

【課題】湾曲する地盤改良体を構築するにあたり、低コストで作業効率高く施工可能な地盤改良装置及び地盤改良方法を提供する。
【解決手段】地盤改良装置10は、一定の曲率を有する円弧状の曲管17と、曲管17の先端部に設けられ、地盤改良材が高圧噴射される噴射孔20cを具備する掘削ビット20と、曲管17内に設けられ、地盤改良材を噴射孔20cへ供給する地盤改良材供給管30dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地盤改良装置及び地盤改良方法に係り、特に、湾曲した地盤改良体を構築する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの内部空間に非常駐車帯などの領域を構築するために、トンネルを構成するセグメントの一部を開削して拡幅することがある。この開削対象となる地盤が軟弱な場合、開削時の地盤の崩落や落石を防止するために、従来より、拡幅領域の外側にあたる地盤に地盤改良材を注入し、固結させて地盤強度を向上させる施工が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、先ず、セグメントから湾曲した外管と、掘削装置が取り付けられた内管とを同時に、位置測定器で掘進位置を確認しながら拡幅部の所定位置まで掘進させ、その後、外管を残置したまま内管を掘削装置とともに引き抜いて、外管内に注入管を挿入し、その注入管を通じて凍結剤又はセメントミルク等の改良材を地盤中に注入して拡幅部外側に地盤改良体を構築する地盤改良方法が開示されている。
【特許文献1】特開平4−281990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される地盤改良方法では、地盤改良体を構築するにあたり、所定位置まで地盤を掘進した後、一旦、外管内の掘削装置が取り付けられた内管を引き抜き、注入管を再び挿入して内管と注入管を入れ替えるので、この入れ替え作業に手間と時間を要する。
【0005】
また、地盤改良に凍結剤を用いた場合には、開削工事前の地盤の凍結作業に時間を要するだけでなく、開削工事を終了した後、凍結領域を解凍する際にも手間と時間を要する。
【0006】
また、地盤改良にセメントミルク等の改良材を用いた場合には、地盤改良体の強度を、凍結剤を用いたときと同等のものにするために、大量の注入量及び高い注入圧が必要となるので、コストがかかると共に、周辺地盤が持ち上がるなどの悪影響を及ぼすおそれもある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、湾曲する地盤改良体を構築するにあたり、低コストで作業効率高く施工可能な地盤改良装置及び地盤改良方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、湾曲状の地盤改良体を構築する地盤改良装置であって、
一定の曲率を有する円弧状の曲管と、
前記曲管の先端部に設けられ、地盤改良材が噴射される噴射孔を具備する掘削ビットと、
前記曲管内に設けられ、前記地盤改良材を前記噴射孔へ供給する供給管とを備えることを特徴とする(第1の発明)。
【0009】
本発明による地盤改良装置によれば、掘削ビットが噴射孔を備えているため、地盤を掘削して進入させた管を引き抜く時に、掘削ビットの噴射孔から地盤改良材を噴射することにより地盤改良体を構築できる。このため、地盤改良材の注入管等の入れ替え作業を省略することができ、工期を短縮できる。
また、地盤改良材が地盤中に噴射されることにより、噴射孔周辺の地盤が切削され、切削された地盤と地盤改良材とが混合攪拌又は置換されるため、掘削孔から広範囲にわたって地盤を改良でき、全体として強度の高い地盤改良体を構築することができる。
また、掘削ビットに噴射孔が備えられていることにより、掘削孔の最も深い位置から地盤改良材を地盤中に噴射することができるため、掘削孔の全長にわたって地盤改良体を構築することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記曲管は、外管と、前記外管の内側に前記外管の内周と隙間を隔てて配置された内管とからなることを特徴とする。
本発明による地盤改良装置によれば、曲管を構成する外管の内周と前記内管の外周との隙間を、曲管内に取り入れられた掘削土砂や地下水等を外部に排出する通路として利用できるので、掘削時に掘削ビットが、掘削された地盤等の詰まりにより動かなくなってしまう現象を回避できる。また、地盤改良材を地盤中に噴射する際にも、この隙間を通じて地盤中に注入される余分な地盤改良材、切削された地盤、或いは地下水等を外部に排出できるので、地盤改良材の注入によって周辺地盤が持ち上がる現象を回避できる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、前記掘削ビットは、前記内管の先端部に設けられた駆動部により駆動されることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第2又は3のいずれかの発明において、前記外管の先端縁部にパッキンを備え、前記内管は前記外管内を管軸方向へ移動可能であり、前記内管を管軸方向に移動させることにより、前記掘削ビットと前記パッキンとの隙間を開閉可能とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明による地盤改良装置によれば、掘削ビットと外管の先端縁部に設けられるパッキンとの隙間を開閉することができる。これにより、掘削時にはこの隙間を開けることによって、掘削土砂又は地下水等を曲管内へ取り入れて曲管の基端部から排出することができ、一方、曲管の連結作業時などの曲管の基端部が開放状態にある時にはこの隙間を閉じることによって、曲管内からの出水を防止できる。
【0014】
第5の発明は、第2〜4のいずれかの発明において、前記内管の断面は、略矩形型であることを特徴とする。
本発明による地盤改良装置によれば、掘削時に、曲管の地盤への進入方向を示す曲管の管軸周りの回転角度を、内管の断面を目視で参照することで容易に確認できるため、掘進方向の精度を向上させることができる。
【0015】
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明において、前記曲管は、複数の管体を連結して構成されることを特徴とする。
本発明による地盤改良装置によれば、例えば、トンネル空間のように作業スペースが限定されるような場合でも、必要な寸法の地盤改良体を構築することができる。
【0016】
第7の発明は、第1〜6のいずれかの発明において、前記地盤改良材は、セメントミルク又はモルタルであることを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、湾曲状の地盤改良体を構築する地盤改良方法であって、一定の曲率を有する円弧状の曲管と、前記曲管の先端部に設けられ、地盤改良材が噴射される噴射孔を具備する掘削ビットと、前記曲管内に設けられ、前記地盤改良材を前記噴射孔へ供給する供給管を備える地盤改良装置を用いて、前記掘削ビットを回転させながら前記曲管を管軸方向に推進させることにより、前記地盤を湾曲状に掘削しながら前記曲管を地盤に進入させ、前記曲管を前記地盤から引き抜きながら、前記噴射孔から地盤改良材を噴射して、前記地盤を切削するとともに、前記切削された地盤と前記地盤改良材とを混合攪拌又は置換することで円弧状に湾曲した円柱状の地盤改良体を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、湾曲する地盤改良体を構築するにあたり、低コストで作業効率高く施工可能な地盤改良装置及び地盤改良方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る地盤改良方法を説明するための説明図である。図1に示すように、本実施形態に係る地盤改良方法では、例えば、トンネル12内から拡幅領域14を開削する際に地盤16が軟弱な場合、地盤16の崩落や落石を防止するために、地盤改良装置10により前もって拡幅領域14の外側にあたる地盤16の強度を向上させるものである。
【0021】
図1に示すように、地盤改良装置10は、円弧状の曲管17と、その曲管17の先端部に設けられる掘削ビット20と、掘削ビット20によって掘削された掘削孔21へ曲管17を推進又は引き抜きする推進機19とから構成される。
【0022】
図2は、図1に示す曲管17の先端部の拡大断面図であり、図3は、図2の曲管17のA−A横断面図である。
【0023】
図2に示すように、曲管17は、一定の曲率を有する円弧状に形成された外管22とその内部に配置された内管24とを備えている。また、図3に示すように、外管22は略円形状の断面形状を有し、内管24は略矩形型の断面形状を有している。そして、外管22の内周面には、板状のセントラライザー26が設けられ、このセントラライザー26が内管24の略矩形型の頂点を支承することで、内管24と外管22との間に隙間が保たれている。なお、セントラライザー26と内管24とは固定されておらず、外管22内を内管24が管軸方向に自由に移動できるようになっている。
【0024】
内管24と外管22との間の隙間は、曲管17の先端部から取り入れられた掘削土砂や地下水等を曲管17の基端部へ導き、曲管17外部に排出させるための通路となる。以下、この隙間28を排出通路28という。曲管17の基端部には、例えば、外部に排出される掘削土砂や地下水等の圧力が所定圧になった時に流体を排出するバルブ(図示しない)が設けられており、排出通路28を通して曲管17の基端部に導かれた土砂等は、このバルブを介して外部に排出される。
【0025】
内管24の内部には、複数の管路30a〜30dを備えた供給管30が挿通されている。これら夫々の管路30a〜30dは、後述する送油管30a、空気供給管30b、水供給管30c及び地盤改良材供給管30dとして用いられる。また、図1に示すように、曲管17は複数の管体18を順次連結することによって構成されており、これに対応して外管22及び内管24には管間で連結可能な管連結部32(図2参照)が設けられている。管連結部32は管の内外間で流体の浸入や浸出が防止できるように密閉構造となっている。
【0026】
図4は、管連結部32の拡大断面図である。図4に示すように、外管22及び内管24の端部は、外側が切欠かれた雄端部22a、24aと、内側が切欠かれた雌端部22b、24bとで形成され、雄端部22a、24aが雌端部22b、24bの内側に嵌合される。なお、雄端部22a、24aと雌端部22b、24bとの間にはパッキン34が介装されることで管連結部32における密閉性が確保されている。管連結部32は、ボルト36が、雌端部22b、24bの外側から貫通して雄端部22a、24aに螺着されるようになっていると共に、螺着後、ボルト36の頭部が雌端部22b、24bの外周面から突出しないように、雌端部22b、24bの外周面には、ボルト36の頭部を収納する凹部38が形成されている。以上の構成により、雄端部22a、24aと雌端部22b、24bとが密着されて管内外の密閉性が維持できるとともに、管が管軸方向へ移動された場合でも、管外周からの突起物による引っ掛かり等の問題が生じることはない。
【0027】
再び、図2を参照すると、曲管17の先端部には、内管24の内側に取り付けられた油圧モーター40と、油圧モーター40に駆動されて回転する掘削ビット20とが設けられている。
【0028】
油圧モーター40は、トンネル12内に設置される油圧ポンプ(図示しない)から、内管24内に挿通された供給管30内の送油管30aを通じて供給される作動油により駆動される。そして、油圧モーター40により、掘削ビット20全体を回転させながら、推進機19により曲管17を推進させることによって、掘削ビット20が地盤16を円弧状に掘削する。
【0029】
掘削ビット20は、外管22の同程度の外径を有する略円柱状の鋼製本体20aと、鋼製本体20aの掘削面側に設けられるビット20bとからなり、鋼製本体20aの外周面には、空気、水、地盤改良材を高圧噴射する噴射孔20cが設けられている。
【0030】
噴射孔20cは、例えば、鋼製本体20aの外周面の対向する位置に2箇所設けられ、供給管30内の空気供給管30bと、水供給管30cと、地盤改良材供給管30dとが接続されている。そして、トンネル12内に設置される空気、水及び地盤改良材を夫々供給するための高圧ポンプ(図示しない)から、各供給管を通じて供給され、空気、水、地盤改良材が混合された流体が噴射孔20cから噴射されるようになっている。噴射された流体はその圧力により曲管17の周囲の地盤16を切削し、流体中の地盤改良材及び水と切削された地盤とが混合攪拌又は置換されて地盤改良体が形成されることになる。
【0031】
また、外管22の先端縁部には、パッキン42が設けられており、外管22内の内管24を管軸方向に移動させることによって、掘削ビット20とパッキン42との隙間を開閉できるようになっている。
【0032】
図5は、(a)掘削時、(b)曲管17連結時における掘削ビット20とパッキン42との位置関係を示す拡大断面図である。
【0033】
図5(a)に示すように、掘削時には、掘削ビット20とパッキン42との隙間を開けた状態を保つ。これにより、掘削された土砂や地下水等は、その隙間から取り入れられ、排出通路28を通じて曲管17の外部に排出されることになる。
【0034】
一方、図5(b)に示すように、外管22又は内管24などの連結時には、掘削ビット20とパッキン42との隙間を閉じる。これにより、掘削ビット20とパッキンとの隙間から地下水等が浸入することないため、連結作業時など曲管17の基端部が開放された状態になっている場合においても、管内からの出水が起きることはない。
【0035】
再び、図1を参照すると、推進機19は、曲管17を挟持可能な挟持部19aと、挟持部の水平移動を案内するレール19bと、挟持部19aを移動させるための伸縮可能なジャッキ19cと、挟持された曲管17を地盤16へと案内するガイド部19dとを備えている。そして、曲管17を挟持部19aによって挟持させてジャッキ19cを伸縮させることにより、曲管17の地盤16中への推進と、地盤16からの引く抜きを行うことができる。
【0036】
なお、トンネル12からは、内管24の断面を目視で参照できるようになっており、その断面の管軸周りの回転角度を見ることによって、曲管17の地盤への進入方向を確認し、この進入方向に応じて掘削中に挟持部19aから曲管17に外力を加えて、曲管17の進入方向を調節して掘進の軌道修正を行えるようになっている。
【0037】
また、推進機19は、地盤16中を推進する曲管17からの反力を保持できるように、例えば、トンネル12内に固定された作業台44に取り付けられている。
【0038】
次に、以上説明した地盤改良装置10を用いた具体的な地盤改良方法について説明する。図6〜図8は、地盤改良装置10による地盤改良方法を説明するための図であり、図6は施工準備時、図7は掘削時、図8は地盤改良体構築時を示す図である。
【0039】
図6に示すように、先ず、トンネル12内の所定の位置に設置された推進機19に曲管17を設置し、掘削ビット20が設けられる先端部をセグメント46に設けられたガイド管48に挿通させる。なお、地盤掘削の開始位置にあたるセグメント46には、鉄筋によって掘削が妨げられないように、予め、無筋コンクリート又はFRPコンクリートで構築されたものを配置しておく。また、ガイド管48の挿入口には、地盤16中からの出水等防止のための止水パッキン(図示しない)が取り付けられているものを用いることが好ましい。
【0040】
図7に示すように、掘削の際には、内管24の先端の油圧モーター40を駆動させ、掘削ビット20を回転させながら、推進機19により曲管17を地盤16中に推進させて、管体18の連結を順次繰り返しながら曲管17を地盤16中に進入させていく。なお、掘削中は、噴射孔20cから泥水などを噴出させることにより、掘削ビット20の冷却及び掘削片の曲管17への取り入れ及び外部への排出を促してもよい。このようにして、曲管17の先端がセグメント46に到達するまで掘削する。
【0041】
図8に示すように、掘削完了後は、地盤16に貫通された曲管17を推進機19で引き抜きながら、掘削ビット20の噴射孔20cから地盤改良材を高圧噴射することにより、掘削孔21の周辺の地盤16を切削し、切削された地盤と改良材とを混合攪拌又は置換することで円弧状に湾曲した円柱状の地盤改良体50を構築していく。なお、地盤改良材には、セメントミルク又はモルタルを用いる。
【0042】
以上のようにして構築された地盤改良体50を、所定の期間養生させて硬化させることにより、その後、拡幅領域14を開削することができる。
【0043】
以上説明した本実施形態による地盤改良装置10及び地盤改良方法によれば、次の効果が得られる。
【0044】
(1)掘削ビット20が高圧噴射される噴射孔20cを備えているため、地盤16を掘削して進入させた曲管17を引き抜く時に、掘削ビット20の噴射孔20cから地盤改良材を噴射することにより地盤改良体50を構築できる。このため、地盤改良材の注入管等の入れ替え作業を省略することができ、工期を短縮できる。
【0045】
(2)空気、水及び地盤改良材が地盤16中に高圧噴射されることにより、噴射孔20c周辺の地盤16が切削され、切削された地盤16と地盤改良材とが混合攪拌又は置換されるため、掘削孔21から広範囲にわたって地盤を改良でき、全体として強度の高い地盤改良体50を構築することができる。
【0046】
(3)掘削ビット20に噴射孔20cが備えられていることにより、掘削孔21の最も深い位置から地盤改良材を地盤16中に噴射することができるため、掘削孔21の全長にわたって地盤改良体50を構築することができる。
【0047】
(4)曲管17が管体18を連結して構成されることにより、トンネル12のように作業スペースが限定されるような場合でも、必要な寸法の地盤改良体50を構築できる。
【0048】
(5)曲管17を構成する外管22と内管24との間の隙間を、曲管17内に取り入れられた掘削土砂や地下水等を外部へ排出する排出通路28として利用できるので、掘削時に掘削ビット20が、掘削された地盤等の詰まりにより動かなくなってしまう現象を回避できる。また、地盤改良材を地盤16中に高圧噴射する際にも排出通路28を通して、地盤16中に注入される余分な地盤改良材、切削された地盤、或いは地下水等を外部に排出できるので、地盤改良材の注入によって周辺地盤が持ち上がる現象を回避できる。
【0049】
(6)内管24を管軸方向に移動させることによって、掘削ビット20と、外管22の先端縁部に設けられるパッキン42との隙間を開閉することができる。掘削時にはこの隙間を開けることによって、掘削土砂や地下水等を曲管17へ取り入れて基端部から排出することができ、一方、曲管17の連結作業時などの曲管17の基端部が開放状態にある時にはこの隙間を閉じることによって、曲管17内からの出水を防止できる。
【0050】
(7)内管24の断面が略矩形型に形成されていることにより、曲管17の地盤16への進入方向を示す曲管17の管軸周りの回転角度を、内管24の断面を目視で参照することで容易に確認できるため、掘進方向の精度を向上させることができる。また、掘削ビット20から受ける回転反力を、外管22内のセントラライザー26により略矩形型の頂点を支承する構成で簡単に抑止できる。
【0051】
なお、本実施形態に係る推進機19によれば、推進機19にかかる反力を推進機19の推進方向と反対側から押圧力により受けるように支持する構成があったが、これに限らず、推進方向側のセグメント46に固定するなどにより、上記反力を推進機19の推進方向側から引張力により受けて支持する構成としてもよい。これにより、推進機19の推進方向と反対側に支持部材を設置する必要はなくなるのでトンネル12内の空間を有効に利用できる。
【0052】
また、上記実施形態では本発明が、トンネル12内の拡幅領域14を構築するべく適用された説明をしたが、これに限らず、例えば、既存構造物の下部の地盤強度を向上させるべく、構造物の側方の地上位置から構造物下部の地盤に向けて、曲管17を湾曲させて進入させて、地盤改良体を構築する場合等に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態に係る地盤改良方法を説明するための説明図である。
【図2】図1に示す曲管17の先端部の拡大断面図である。
【図3】図2の曲管17のA−A横断面図である。
【図4】管連結部32の拡大断面図である。
【図5】(a)掘削時、(b)曲管17連結時における掘削ビット20とパッキン42との隙間の位置関係を示す拡大断面図である。
【図6】地盤改良装置10による地盤改良方法における施工準備時の説明をするための図である。
【図7】地盤改良装置10による地盤改良方法における掘削時の説明をするための図である。
【図8】地盤改良装置10による地盤改良方法における地盤改良体構築時の説明をするための図である。
【符号の説明】
【0054】
10 地盤改良装置、17 曲管、18 管体、
20 掘削ビット、20a 鋼製本体、20b ビット、20c 噴射孔、
22 外管、22a 外管雄端部、22b 外管雌端部、
24 内管、24a 内管雄端部、24b 内管雌端部、
28 排出通路、30 供給管、30a 送油管、
30b 空気供給管、30c 水供給管、30d 地盤改良材供給管、
32 管連結部、42 パッキン、50 地盤改良体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲状の地盤改良体を構築する地盤改良装置であって、
一定の曲率を有する円弧状の曲管と、
前記曲管の先端部に設けられ、地盤改良材が噴射される噴射孔を具備する掘削ビットと、
前記曲管内に設けられ、前記地盤改良材を前記噴射孔へ供給する供給管とを備えることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
前記曲管は、外管と、前記外管の内側に前記外管の内周と隙間を隔てて配置された内管とからなることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項3】
前記掘削ビットは、前記内管の先端部に設けられた駆動部により駆動されることを特徴とする請求項2に記載の地盤改良装置。
【請求項4】
前記外管の先端縁部にパッキンを備え、前記内管は前記外管内を管軸方向へ移動可能であり、前記内管を管軸方向に移動させることにより、前記掘削ビットと前記パッキンとの隙間を開閉可能とされていることを特徴とする請求項2又は3に記載の地盤改良装置。
【請求項5】
前記内管の断面は、略矩形型であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の地盤改良装置。
【請求項6】
前記曲管は、複数の管体を連結して構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の地盤改良装置。
【請求項7】
前記地盤改良材は、セメントミルク又はモルタルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の地盤改良装置。
【請求項8】
湾曲状の地盤改良体を構築する地盤改良方法であって、
一定の曲率を有する円弧状の曲管と、前記曲管の先端部に設けられ、地盤改良材が噴射される噴射孔を具備する掘削ビットと、前記曲管内に設けられ、前記地盤改良材を前記噴射孔へ供給する供給管を備える地盤改良装置を用いて、
前記掘削ビットを回転させながら前記曲管を管軸方向に推進させることにより、前記地盤を湾曲状に掘削しながら前記曲管を地盤に進入させ、
前記曲管を前記地盤から引き抜きながら、前記噴射孔から地盤改良材を噴射して、前記地盤を切削するとともに、前記切削された地盤と前記地盤改良材とを混合攪拌又は置換することで円弧状に湾曲した円柱状の地盤改良体を形成することを特徴とする地盤改良方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−25175(P2008−25175A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198130(P2006−198130)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】