説明

均一なオリゴマー液滴を製造する方法

【課題】モノマー蓄積を実質的に除き、かつ貯蔵中のオリゴマー液滴の長期安定性を延長させる乳化剤および安定化剤を使用するプロセスを提供する。
【解決手段】乳化剤、少なくとも1種のモノマー、連鎖移動剤および開始剤の水性エマルションを調製し;並びに、水性エマルションと、安定剤および複数のシード粒子とを混合する;ことを含む、水性分散物中の実質的に均一なオリゴマー液滴を製造する方法で、安定剤とシード粒子の混合物を加熱し水性エマルジョンに供給し、水性分散物中のオリゴマー液滴の粒子サイズを増大させることを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオリゴマー液滴を製造する方法に関する。より具体的には、本発明は実質的に均一なオリゴマー液滴を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シード粒子を膨潤または拡大させるために、モノマー相はラウリル硫酸ナトリウムおよびトライトン(Triton商標)X−450のような界面活性剤を用いることにより乳化される場合がある。膨潤したシード粒子を製造する方法の1つは米国特許出願公開第2007/0066761号に開示されており、この文献では、シード粒子がモノマー、開始剤、連鎖移動剤、および界面活性剤と混合される。
【0003】
シード粒子を製造する別の方法は、米国特許第4,186,120号および米国特許第4,530,956号に開示されている。これら特許の双方はシード粒子の製造におけるアニオン性界面活性剤の使用を開示する。
【0004】
これらの方法において使用されるアニオン性界面活性剤は、多くの場合、乳化剤として充分に機能するが、均一なオリゴマー液滴を重合するには、一般的には劣った安定化剤である。さらに、アニオン性界面活性剤の使用は、反応器内で組み込まれていないモノマーの蓄積をもたらす場合があり、これは予想されるよりも小さい粒子サイズを有するオリゴマー液滴を生じさせ、かつこれら液滴の再現性は可変である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0066761号明細書
【特許文献2】米国特許第4,186,120号明細書
【特許文献3】米国特許第4,530,956号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、モノマー蓄積を実質的に除き、かつ貯蔵中のオリゴマー液滴の長期安定性を延長させる乳化剤および安定化剤を使用するプロセスを提供することにより、現在の技術を改良することを求める。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態においては、乳化剤、少なくとも1種のモノマー、連鎖移動剤および開始剤を含有する水性エマルションを製造し;並びに、水性エマルションを少なくとも安定化剤、複数のシード粒子および阻害剤と混合して、1.0〜1.3の90/10均等係数を有するオリゴマー液滴の水性分散物を形成する;ことを含む、実質的に均一なオリゴマー液滴を製造する方法が提供される。
本発明の第2の形態においては、乳化剤、少なくとも1種のモノマー、連鎖移動剤、および開始剤を含有する水性エマルションを製造し;並びに、水性エマルションを少なくとも安定化剤、阻害剤、および複数のシード粒子と混合して、1.0〜1.3の90/10均等係数を有するオリゴマー液滴の水性分散物を形成する;ことを含む、実質的に均一なオリゴマー液滴を製造する方法が提供される。乳化剤は安定化剤と同じ組成を有する。
本発明の第3の形態においては、本発明の方法によって製造された水性分散物が提供される。
本発明の第4の形態においては、本発明の方法によって製造されたオリゴマー液滴が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、実質的に均一なオリゴマー液滴または膨潤した粒子を製造する方法に関する。粒子の集団は、その粒子が同じサイズおよび形状を有する場合には、「均一」である。粒子の90/10均等係数は、粒子サイズ分布の90%および10%での粒子直径の比率として算出される。「実質的に均一」とは、90/10均等係数が1.0〜1.3の範囲であることを意味する。膨潤粒子は、単一種の化合物および/または複数種の化合物を吸収した後でその粒子がより大きくなるように、反応条件下で単一種の化合物および/または複数種の化合物を容易に吸収する粒子である。
【0009】
本方法においては、水性エマルションは乳化剤および少なくとも1種のモノマーを混合することにより調製される。好適なモノマーには、エチレン性不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリルエステルモノマー、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリロニトリル、および(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチル、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(3−オキサゾリジニル)エチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチル、エチレンウレイド−官能性モノマー、アセト酢酸アリル、エチレン、プロピレン、スチレンおよび置換スチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、および他のビニルエステル、ビニルモノマー、例えば、塩化ビニル、ビニルトルエン、およびビニルベンゾフェノン、並びに塩化ビニリデンが挙げられる。別の用語、例えば、アクリラートまたはアクリルアミドが後に続く用語「(メタ)」は、使用される場合、本開示を通じて、それぞれ、アクリラート、アクリルアミド、並びにメタクリラート、メタクリルアミドの双方をいう。好ましいモノマーには、アクリル酸ブチル、スチレンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0010】
好ましい乳化剤には、タンパク質、ポリビニルアルコール、ポリグリセロール脂肪酸エステル、植物多糖、セチルトリメチルアンモニウムブロミドおよび他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシ化タロウアミン、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、双性イオン性物質(zwitterionics)(両性界面活性剤;amphoterics)、ドデシルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホグリシナート、アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルフェノールポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)とのコポリマー、アルキルポリグルコシド、例えば、オクチルグルコシド、およびデシルマルトシド、脂肪アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン、ポリソルバート、コデシルジメチルアミンオキシド、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロパン−1,2−ジオール、カラギーナン、ローカストビーンガム(カロブガム)、グアーガム、トラガカント、ガムアカシア(アラビアガム)、キサンタンガム、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ペクチン、アミド化ペクチン、微結晶/粉体セルロール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、脂肪酸のモノ−およびジ−グリセリド、脂肪酸のモノ−およびジ−グリセリドのエステル、脂肪酸のスクロースエステル、スクログリセリド、脂肪酸のポリグリセロールエステル、および脂肪酸のプロパン−1,2−ジオールエステルが挙げられる。乳化剤は、それがアニオン性界面活性剤でない限りは、同様の組成を含有することもできる。より好ましい乳化剤はポリビニルアルコールである。
【0011】
好ましくは、乳化剤は、水中での、乳化剤の水性分散物として提供される。使用される乳化剤の量は、モノマーの重量を基準にして、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.3重量%〜3重量%の範囲である。
【0012】
水性エマルションは少なくとも1種の連鎖移動剤を含むこともできる。好適な連鎖移動剤には、例えば、ハロメタン、ジスルフィド、チオール(メルカプタンとも称される)、および金属錯体が挙げられる。好適なさらなる連鎖移動剤には、少なくとも1つの容易に引き抜き可能な水素原子を有する様々な他の化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。連鎖移動剤は1回以上の添加で、または連続的に、線形的にもしくは線形的ではなく、全反応期間のほとんどもしくは全てにわたって、または反応期間の限定された期間中に添加されうる。連鎖移動剤は、それがモノマーの全重量を基準にして、好ましくは50重量%以下、より好ましくは2重量%〜30重量%、最も好ましくは10重量%〜20重量%を構成するように添加されうる。
【0013】
さらに、水性エマルションの製造において、開始剤が使用されうる。開始剤は、生じたフリーラジカルがモノマーと相互作用しうる条件下で少なくとも1種のフリーラジカルを生じさせうる化合物である。好適な開始剤には、過硫酸塩、例えば、過硫酸ナトリウム、および過硫酸アンモニウム、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオクトアート、t−アミルペルオキシピバラート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトアート、油溶性ペルオキシド、油溶性アゾ化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。開始剤は、それが水の重量を基準にして1重量%以下の低い水中溶解度を有する場合には、「油溶性」である。ある実施形態においては、開始剤の量は、本方法に使用されるモノマーの全重量を基準にして、好ましくは、0.1重量%〜8重量%、より好ましくは、0.1重量%〜4重量%である。
【0014】
少なくとも1種のモノマー、連鎖移動剤、開始剤、および乳化剤、および任意の他の成分は混合されてエマルションを形成する。これらの成分はそのままで混合されることができ、または1種以上がまずエマルションとして調製されることができ、次いで、その調製されたエマルションが混合されるか、または成分が混合されうる。エマルションの混合は、機械式攪拌、例えば、混合物を振とうすること、混合物を攪拌すること、混合物を静的混合エレメントに通過させること、超音波乳化、および回転する装置との接触などによって行われうる。ある実施形態においては、機械式攪拌は「高剪断」(すなわち、それが成分に高い剪断速度を与える)を提供する。
【0015】
ある例においては、エマルションは乳化装置、例えば、ノースカロライナ州、ウィルミントンのイカワークスインコーポレーティド(IKA Works Inc.)から入手可能な、IKA登録商標マジックLAB登録商標インライン乳化装置、またはモジュラー実験室用混合システムにポンプ移送で通されうる。
【0016】
このエマルションは所望の速度および反応温度で供給され、複数のシード粒子、または膨潤性粒子、および安定化剤と混合されて、水性分散された実質的に均一なオリゴマー液滴を生じさせる。阻害剤、例えば、水性相阻害塩および有機化合物、および/または膨潤剤(swellant)、例えば、可塑剤および溶媒も混合物に添加されうる。
【0017】
シード粒子は粒子状形態である任意の物質からなることができ、かつ任意の組成を有しうる。好ましくは、シード粒子は少なくとも1種のモノマーを含む。好適なモノマーには、上述のものが挙げられる。シード粒子は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは2〜15μmの平均粒子直径を有する。
【0018】
安定化剤は水溶性ポリマーであり、例えば、ポリビニルアルコール、セルロースエーテルおよびこれらの混合物などである。好ましい安定化剤には、タンパク質、ポリビニルアルコール、ポリグリセロール脂肪酸エステル、植物多糖、セチルトリメチルアンモニウムブロミドおよび他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシ化タロウアミン、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、双性イオン性物質(zwitterionics)(両性界面活性剤;amphoterics)、ドデシルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホグリシナート、アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルフェノールポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)とのコポリマー、アルキルポリグルコシド、例えば、オクチルグルコシド、およびデシルマルトシド、脂肪アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン、ポリソルバート、コデシルジメチルアミンオキシド、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロパン−1,2−ジオール、カラギーナン、ローカストビーンガム(カロブガム)、グアーガム、トラガカント、ガムアカシア(アラビアガム)、キサンタンガム、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ペクチン、アミド化ペクチン、微結晶/粉体セルロール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、脂肪酸のモノ−およびジ−グリセリド、脂肪酸のモノ−およびジ−グリセリドのエステル、脂肪酸のスクロースエステル、スクログリセリド、脂肪酸のポリグリセロールエステル、および脂肪酸のプロパン−1,2−ジオールエステルが挙げられる。安定化剤は、それがアニオン性界面活性剤でない限りは、同様の組成を含有することもできる。より好ましい安定化剤はポリビニルアルコールである。
【0019】
安定化剤の量は、シード粒子の乾燥重量を基準にして、好ましくは0.1重量%〜15重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%の安定化剤である。ある実施形態においては、安定化剤および乳化剤は同じ成分である。別の実施形態においては、安定化剤および乳化剤は異なっている。
【0020】
方法の任意の時点で、任意の方法で、任意の順で、成分の混合が行われうる。成分は、それらが連続フロー反応器を通って流れるように連続的に混合されることができ、または容器に一緒にもしくは個々に、またはその容器に徐々に、もしくは急に添加されうる。例えば、シード粒子は水性分散物の形態であることができる。本方法においては、これらシード粒子は容器内に入れられることができ、他の成分は、そのシード粒子を収容する容器に個々に添加されることができる。あるいは、シード粒子を収容する容器に混合物が添加される前に、成分は一緒に混合されることができる。
【0021】
水性分散物は重合プロセスによって形成される。重合プロセスは、当該技術分野において周知であるように、ショットプロセスとして、またはモノマーを経時的に供給することにより行われることができる。この重合プロセスは10℃〜100℃で行われることができるが、ポリマーが形成されるあらゆる条件で行われうる。
【0022】
阻害剤、および好ましくは水性相阻害剤が安定化剤およびシード粒子と混合されうる。水性相阻害剤には、水性環境中でフリーラジカル種を消失させることができる有機および無機化合物またはこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
本方法のある例においては、安定化剤がシード粒子と混合され、この混合物が加熱される。加熱された混合物は、次いで、エマルションと混合されて、オリゴマー液滴を形成する。
【0024】
本方法の別の例においては、少なくとも1種のモノマーの一部分または全部が以下の工程を使用してシード粒子と混合される:モノマーはシード粒子上またはシード粒子内に存在することとなり、場合によって、当初の粒子を膨潤させ;次いで、このモノマーは、当初の粒子上または粒子内に存在する1種以上のフリーラジカル(おそらく1種以上の開始剤から形成される)に遭遇し;並びに、次いで、このモノマーが別のこのようなモノマー(1種以上)と共に重合反応に関与する。
【0025】
本発明の方法を使用することにより、オリゴマー液滴の長期貯蔵安定性が、ある実施形態においては少なくとも6ヶ月、別の実施形態においては少なくとも9ヶ月延長される。本方法は、また、モノマー蓄積を除去でないとしても低減させる。
【0026】
本方法は1回行われることができ、または任意の回数繰り返されることができ、所望の粒子サイズを達成する。例えば、本方法は、第2の乳化剤、少なくとも1種の第2のモノマー、第2の連鎖移動剤および第2の開始剤を含有する第2の水性エマルションを製造し;並びに、第2の水性エマルションを第2の安定化剤およびオリゴマー液滴の少なくとも一部分に添加して、1.0〜1.3の90/10均等係数を有する第2のオリゴマー液滴の第2の水性分散物を形成することを含むこともできる。いくつかの実施形態においては、本方法は第1のセットのシード粒子について行われて、当初オリゴマー液滴を生じさせることができ、これは、次いで、本方法の後の実行においてシード粒子として使用されて、第2のオリゴマー液滴を生じさせる。この実施形態においては、第2のオリゴマー液滴製造において使用される、少なくとも1種のモノマー、連鎖移動剤、および開始剤のいずれかまたは全ては、当初オリゴマー液滴の製造に使用される少なくとも1種のモノマー、連鎖移動剤、および開始剤のいずれかまたは全てと同じであっても良いし、異なっていてもよいし、またはこれらの混合物であってもよいことが意図される。例えば、少なくとも1種の第2のモノマーは、少なくとも1種のモノマーと同じであっても良いし、または異なっていてもよく、第2の連鎖移動剤は、連鎖移動剤と同じであっても良いし、または異なっていてもよく、第2の開始剤は開始剤と同じであっても良いし、または異なっていてもよく、並びに、第2の水性エマルションは水性エマルションと同じであっても良いし、または異なっていてもよい。
【0027】
オリゴマー液滴は好ましくは1.0〜1.3、より好ましくは1.05〜1.15の90/10均等係数を有する。このオリゴマーの数平均分子量(Mn)は400〜2000の範囲である。
【0028】
ある実施形態においては、オリゴマー液滴の平均粒子直径はシード粒子の平均粒子直径よりも大きい。オリゴマー液滴の平均粒子直径はシード粒子の平均粒子直径よりも、好ましくは少なくとも1.5倍以上、より好ましくは少なくとも2倍以上、最も好ましくは少なくとも4倍以上大きいことが可能である。好ましくは、オリゴマー液滴は2〜100μmの平均粒子直径を有する。より好ましくは、オリゴマー液滴は10〜30μmの平均粒子直径を有する。粒子サイズは、レーザー回折、電気抵抗カウントおよび写真分析など任意の利用可能な方法によって測定されることができる。
【0029】
オリゴマー液滴の用途の1つは、ポリマー樹脂粒子の生産であり、このように生産されたポリマー粒子は1以上の様々な目的に有用である。このようなポリマー樹脂粒子のいくつかは、例えば、以下の目的の1以上に有用であるように選択され、設計されうる:光散乱および/または拡散物質、表面コーティング、表面つや消し剤、表面光沢低減剤、表面テクスチャー改変剤、プラスチック添加剤、液晶ディスプレイスペーサー、標準サンプル、マイクロフィルタ、徐放剤、クロマトグラフ用樹脂、官能化クロマトグラフ用樹脂の製造のための中間体、吸着剤、固相合成樹脂、触媒酵素担体、粉砕媒体、分散媒体、酵素固定化材料、アフィニティークロマトグラフィー用樹脂、またはイオン交換物質。
【0030】
以下の実施例は、本発明を例示するために提示される。この実施例においては、以下の略語が使用された。
BAはアクリル酸ブチルである。
Daはダルトンである。
D.I.は脱イオン化である。
PVOHはポリビニルアルコールである。
t−ブチルはtert−ブチルである。
Rpmは1分間あたりの回転数である。
Cは摂氏である;μmはマイクロメートルまたはミクロンである;mlはミリリットルである;gはグラムである;およびminは分である。
【0031】
試験方法
粒子サイズ:カリフォルニア州、ブレアのベックマンコールター(Beckman Coulter)により製造された、マルチサイザー(Multisizer商標)3コールターカウンター(Coulter Counter登録商標)を用いて測定が行われた。
モノマー蓄積および造膜助剤観察:観察は目視で行われた。
【実施例】
【0032】
実施例1:ポリビニルアルコールを使用する22.5μmスチレン/BAオリゴマーシードの製造
オーバーヘッド攪拌装置および凝縮器を備え、窒素でブランケットされた2リットルのガラス反応器に、1500gのD.I.水を入れた。反応器を80℃に加熱して、30gのPVOH(87−89%加水分解;分子量範囲85,000〜124,000Da)を、10分間かけてゆっくりと添加した。このPVOH溶液を80℃で1時間攪拌し、次いで30℃に冷却した。別の反応器において、400rpmで攪拌しつつ、250gの調製されたPVOH溶液、196.6gのアクリル酸ブチル、43.6gのスチレン、43.0gのブチル3−メルカプトプロピオナート、および2.6gのt−ブチルペルオクトアートをこの反応器に入れて、この混合物を10分間攪拌した。次いで、ニューヨーク州、ショセットのフルードメータリングインコーポレーティド(Fluid Metering,Inc.)によって製造されたFMIポンプを用いて、モノマー混合物は50ml/分の速度で、ノースカロライナ州、ウィルミントンのイカワークスインコーポレーティド(IKA Works Inc.)によって製造された、4000rpmにセットされたIKA登録商標マジックLAB登録商標インライン乳化装置にポンプで通され;モノマーエマルションは1リットルボトルに集められた。
同様に装備した2リットルガラス反応器において、450gの前記PVOH溶液、0.925gの4−ニトロフェノールナトリウム塩、および2.64gの単一サイズの3.8μmポリスチレンシードが、100rpmでセットされた攪拌を行いつつ、この反応器に入れられた。反応器は84℃で1時間加熱され、次いで、乳化モノマー混合物のフィードがFMIポンプで1.79ml/分の速度で反応器に5時間ポンプ移送された。モノマーフィードの終わりに、ラインは12gのPVOH溶液で反応器内にフラッシュされた。供給後に、温度は84℃で6時間維持され、次いで25℃に冷却された。22.5μmの粒子サイズおよび1.09の90/10均等係数が得られた。重合中または重合後にモノマー蓄積は観察されず、かつ6ヶ月後にシードの融合は観察されなかった。
【0033】
実施例2:ポリビニルアルコールを使用する10.0μmスチレン/BAオリゴマーシードの製造
オーバーヘッド攪拌装置および凝縮器を備え、窒素でブランケットされた2リットルのガラス反応器に、1500gのD.I.水を入れた。反応器を80℃に加熱して、30gのPVOH(87−89%加水分解;分子量範囲85,000〜124,000Da)を、10分間かけてゆっくりと添加した。このPVOH溶液を80℃で1時間攪拌し、次いで30℃に冷却した。別の反応器において、400rpmで攪拌しつつ、250gの調製されたPVOH溶液、196.6gのアクリル酸ブチル、43.6gのスチレン、43.0gのブチル3−メルカプトプロピオナート、および2.6gのt−ブチルペルオクトアートをこの反応器に入れて、この混合物を10分間攪拌した。次いで、FMIポンプを用いて、モノマー混合物は50ml/分の速度で、4000rpmにセットされたIKAマジックLABインライン乳化装置にポンプで通され;モノマーエマルションは1リットルボトルに集められた。
同様に装備した2リットルガラス反応器において、450gの前記PVOH溶液、0.925gの4−ニトロフェノールナトリウム塩、および34.7gの単一サイズの3.8μmポリスチレンシードが、100rpmでセットされた攪拌を行いつつ、この反応器に入れられた。反応器は84℃で1時間加熱され、次いで、乳化モノマー混合物のフィードがFMIポンプで1.79ml/分の速度で反応器に5時間ポンプ移送された。モノマーフィードの終わりに、ラインは12gのPVOH溶液で反応器内にフラッシュされた。供給後に、温度は84℃で6時間維持され、次いで25℃に冷却された。10.1μmの粒子サイズおよび1.09の90/10均等係数が得られた。重合中または重合後にモノマー蓄積は観察されず、かつ6ヶ月後にシードの融合は観察されなかった。
【0034】
実施例3:20リットル反応器における、ポリビニルアルコールを使用する14.5μmスチレン/BAオリゴマーシードの製造
オーバーヘッド攪拌装置および凝縮器を備え、窒素でブランケットされた20リットルのステンレス鋼反応器に、15,000gのD.I.水を入れた。反応器を80℃に加熱して、300gのPVOH(87−89%加水分解;分子量範囲85,000〜124,000Da)を、30分間かけてゆっくりと添加した。このPVOH溶液を80℃で1時間攪拌し、次いで30℃に冷却した。別のタンクにおいて、200rpmで攪拌しつつ、4163gの調製されたPVOH溶液、3270gのアクリル酸ブチル、726gのスチレン、716.0gのブチル3−メルカプトプロピオナート、および43.0gのt−ブチルペルオクトアートをこのタンクに入れた。この混合物を10分間攪拌した。モノマーエマルションは20リットルタンクに集められた。
同様に装備した20リットルステンレス鋼反応器において、8415gの前記PVOH溶液、15.36gの4−ニトロフェノールナトリウム塩、および175gの単一サイズの3.8μmポリスチレンシードが、100rpmでセットされた攪拌を行いつつ、この反応器に入れられた。反応器は84℃で1時間加熱され、次いで、モノマー混合物がFMIポンプを用いて1782ml/分の速度で4000rpmにセットされたIKAマジックLABインライン乳化装置に通され、反応器に5時間かけてポンプ移送された。モノマーフィードの終わりに、ラインは400gのPVOH溶液で反応器内にフラッシュされた。供給後に、温度は84℃で6時間維持され、次いで25℃に冷却された。14.67μmの粒子サイズおよび1.09の90/10均等係数が得られた。重合中または重合後にモノマー蓄積は観察されず、かつ9ヶ月後にシードの融合は観察されなかった。
【0035】
実施例4:ポリビニルアルコールを使用する14.5μmスチレン/BAオリゴマーシードの製造
オーバーヘッド攪拌装置および凝縮器を備え、窒素でブランケットされた2リットルのガラス反応器に、1500gのD.I.水を入れた。反応器を80℃に加熱して、30gのPVOH(87−89%加水分解;分子量範囲85,000〜124,000Da)を、10分間かけてゆっくりと添加した。このPVOH溶液を80℃で1時間攪拌し、次いで30℃に冷却した。別の反応器において、400rpmで攪拌しつつ、250gの調製されたPVOH溶液、196.6gのアクリル酸ブチル、43.6gのスチレン、43.0gのブチル3−メルカプトプロピオナート、および2.6gのt−ブチルペルオクトアートをこの反応器に入れて、この混合物を10分間攪拌した。次いで、FMIポンプを用いて、モノマー混合物は50ml/分の速度で、4000rpmにセットされたIKAマジックLABインライン乳化装置にポンプで通された。モノマーエマルションは1リットルボトルに集められた。
同様に装備した2リットルガラス反応器において、450gの前記PVOH溶液、0.925gの4−ニトロフェノールナトリウム塩、および34.7gの単一サイズの3.8μmポリスチレンシードが、100rpmでセットされた攪拌を行いつつ、この反応器に入れられた。反応器は84℃で1時間加熱され、次いで、乳化モノマー混合物のフィードがFMIポンプで1.79ml/分の速度で反応器に5時間ポンプ移送された。モノマーフィードの終わりに、ラインは12gのPVOH溶液で反応器内にフラッシュされた。供給後に、温度は84℃で6時間維持され、次いで25℃に冷却された。14.5μmの粒子サイズおよび1.08の90/10均等係数が得られた。重合中または重合後にモノマー蓄積は観察されず、かつ6ヶ月後にシードの融合は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤、少なくとも1種のモノマー、連鎖移動剤および開始剤を含有する水性エマルションを製造し;並びに
水性エマルションを少なくとも安定化剤および複数のシード粒子と混合して、1.0〜1.3の90/10均等係数を有するオリゴマー液滴の水性分散物を形成する;
ことを含む、実質的に均一なオリゴマー液滴を製造する方法。
【請求項2】
前記混合する工程が、
シード粒子を安定化剤に添加して、混合物を形成し;
前記混合物を加熱し;
水性エマルションを前記混合物に供給し;並びに、
水性分散物中のオリゴマー液滴の粒子サイズを増大させる;
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合する工程が、水性相阻害剤を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
オリゴマー液滴が1.05〜1.15の90/10均等係数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
オリゴマー液滴が2〜100μmの平均粒子直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2の乳化剤、少なくとも1種の第2のモノマー、第2の連鎖移動剤および第2の開始剤を含有する第2の水性エマルションを製造し;
第2の水性エマルションを第2の安定化剤およびオリゴマー液滴の少なくとも一部分に添加して、1.0〜1.3の90/10均等係数を有する第2のオリゴマー液滴の第2の水性分散物を形成する;
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
安定化剤および乳化剤が同じ組成を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1の方法によって製造された水性分散物。
【請求項9】
請求項1の方法によって製造されたオリゴマー液滴。
【請求項10】
乳化剤、少なくとも1種のモノマー、連鎖移動剤、および開始剤を含有する水性エマルションを製造し;並びに
水性エマルションを、少なくとも安定化剤、阻害剤および複数のシード粒子と混合して、1.0〜1.3の90/10均等係数を有するオリゴマー液滴の水性分散物を形成する;
ことを含み、乳化剤と安定化剤が同じ組成を含有する;
実質的に均一なオリゴマー液滴を製造する方法。

【公開番号】特開2011−137148(P2011−137148A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−270359(P2010−270359)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】