垂直磁気記録媒体及びその製造方法並びに垂直磁気記録再生装置
【課題】高記録密度を実現するための技術である垂直磁気記録方式において、裏打ち層の磁気異方性のはたらきを改めて見直し、高密度の情報の記録再生が可能な垂直磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の磁気異方性を有して、前記非磁性基板の半径方向以外を向いて分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上とされている。
【解決手段】円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の磁気異方性を有して、前記非磁性基板の半径方向以外を向いて分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録媒体及びその製造方法並びにこの垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
垂直磁気記録方式は、従来、媒体の面内方向に向けられていた磁気記録層の磁化容易軸を媒体の垂直方向に向けることにより、記録ビット間の境界である磁化遷移領域付近での反磁界が小さくなるため、記録密度が高くなるほど静磁気的に安定となって熱揺らぎ耐性が向上することから、面記録密度の向上に適した方式である。
【0003】
また、基板と垂直磁気記録膜との間に軟磁性材料からなる裏打ち層を設けた場合には、いわゆる垂直2層媒体として機能し、高い記録能力を得ることができる。このとき、軟磁性裏打ち層は磁気ヘッドからの記録磁界を還流させる役割を果たしており、記録再生効率を向上させることができる。
【0004】
一般に垂直磁気記録媒体は、基板上に裏打ち層(軟磁性膜)を設け、磁性層の磁化容易軸を基板面に対して垂直に配向させる下地膜、Co合金からなる垂直磁気記録膜および保護膜の順で構成されている。しかしながら、近年、垂直磁気記録媒体の問題点として、WATE(Wide Area Track ErasureまたはWide Adjacent Track Erasure)現象があることがわかってきている。WATE現象とは垂直磁気記録媒体特有の問題であり、あるトラックに信号を記録した際に、記録したトラックから数μmの広域にわたっての信号が減磁する現象である。主に裏打ち層の構造、磁気異方性で改善する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、特に軟磁性裏打ち層の磁化容易軸の向きを基板半径方向にそろえることも効果的であると言われている。これを実現するための方法としては、半径方向の磁場中にて裏打ち層を成膜する方法や裏打ち層を軟磁性膜と反強磁性膜の積層構造として、スピンの向きを一定方向に揃えた方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0006】
また、このように磁化容易軸方向を基板半径方向にそろえるために広く用いられるのは、放射状に磁束分布を持つマグネトロンを基板と同心円状に配置し、その磁界中にて軟磁性膜の成膜を行うという方法である。この方法は基板半径が大きい場合には有効であったが、基板半径が小さいもの特に最近実用化が進められている直径26mmのものや22mmのものの場合は複数枚の基板を同時に成膜する場合が多いので、磁界分布が一様な環境下で成膜することが困難であり、結果として軟磁性裏打ち層の磁化容易軸の方向はさまざまな方向を向いてしまう。このため、特に直径の小さな基板(ここでは特に2枚以上の基板に対して同時成膜を行うことが一般的である直径26mm以下のもの)を用いる場合において、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸の制御は大きな問題であった。
【特許文献1】特開昭58−166531号公報
【特許文献2】特開平06−103553号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0028357号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、磁場中成膜では以下の問題点が生じる。
(1) 磁界を半径方向に均一に制御することが困難である。
(2) 基板の内周部で磁界が小さくなる。
今後さらに媒体の小型化が進んだときには、(2)は大きな問題となると推測される。
また、MnIrを用いることも含めて成膜後磁場中アニールも提案されているが、高い温度を必要とするので、軟磁性膜および垂直記録層の磁気特性の変化を引き起こすため好ましくない。
【0008】
しかしながら、上記のように単に裏打ち層を設けた磁気記録媒体を用いた場合では、半径方向に均一な磁化容易軸を形成した場合、記録再生特性、特にSNR(再生信号出力ノイズ比)が劣化するという悪影響がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、裏打ち層の磁気異方性のはたらきを改めて見直し、高密度の情報の記録再生が可能な垂直磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明は、以下に掲げた、
(1)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板の実質的に半径方向以外を向いて分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体、
(2)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で実質的に同一方向を向いて平行に分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体、
(3)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、渦巻き状に円周方向を向いて分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体、
(4)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、扇形状に前記非磁性基板の円周方向を向いて分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体、
(5)前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が、前記非磁性基板の半径方向に対して角度θを有した向きとされ、該角度θが5°<θ<90°の範囲とされていることを特徴とする(1)から(4)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(6)前記非磁性基板がガラスまたはシリコンからなることを特徴とする(1)から(5)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(7)前記裏打ち層を構成する前記軟磁性層の総膜厚が20nm以上120nm以下であることを特徴とする(1)から(6)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(8)前記非磁性基板が直径26mm以下であることを特徴とする(1)から(7)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(9)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の成膜後、前記非磁性基板を加熱した状態から一方向に磁界を印加した状態で前記非磁性基板を冷却させることにより、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を、前記非磁性基板の全面に渡って一方向に揃えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法、
(10)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の成膜を一方向に磁界を印加した状態で行うことにより、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を、前記非磁性基板の全面に渡って一方向に揃えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法、
(11)前記軟磁性裏打ち層の前記磁化容易軸方向の制御を成膜後の加熱およびそれに続いて一方向に向けた磁界中での冷却工程をもって行うことを特徴とする(10)に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法、
(12)(9)から(11)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法を用いて製造した垂直磁気記録媒体、
(13)垂直磁気記録媒体と、前記垂直磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記垂直磁気記録媒体が(1)から(8)および(12)のいずれか1つに記載の垂直磁気記録媒体であることを特徴とする垂直磁気記録再生装置、の各発明を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、垂直磁気記録方式を採用した磁気ディスク媒体において、円盤状の軟磁性裏打ち層を少なくとも2層の軟磁性層と2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定方向を向き、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が非磁性基板の実質的に半径方向以外を向き、また、基板半径方向に対して軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向がなす角をθとし、5°<θ<90°となるように調整し、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界Hbiasを10エルステッド(790A/m)以上にすることによって、垂直磁気記録媒体特有の問題であるWATE現象を効果的に抑制することができる。特に、直径26mm以下の小径基板使用時においては、基板近傍の磁界分布を制御するという困難な手続きが不要になるため、本発明の効果はより大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、垂直磁気記録方式を採用した磁気ディスク媒体において、円盤状の軟磁性裏打ち層を少なくとも2層の軟磁性層と2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板の実質的に半径方向以外を向いており、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上とされている。また、図17に示す例のように、基板半径方向(半径18参照)に対して軟磁性裏打ち層(裏打ち層3参照)の磁化容易軸方向(磁化容易軸方向16参照)がなす角を角度θとし、該角度θが5°<θ<90°の範囲となるように調整することにより(角度θ17参照)、垂直磁気記録媒体特有の問題であるWATE現象を効果的に抑制しようとするものである。
【0013】
また、本発明の垂直磁気記録媒体は、図9に示す例のように、裏打ち層(軟磁性裏打ち層)3の磁化容易軸方向16が、前記非磁性基板面内全域で実質的に同一方向を向いて平行に分布した構成とすることができる。
また、本発明の垂直磁気記録媒体は、図18に示す例のように、裏打ち層3の磁化容易軸方向16が、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、渦巻き状に円周方向を向いて分布した構成とすることができる。
また、本発明の垂直磁気記録媒体は、図16に示す例のように、裏打ち層3の磁化容易軸方向16が、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、扇形状に前記非磁性基板の円周方向を向いて分布した構成とすることができる。
なお、本発明の垂直磁気記録媒体における、実質的に、という説明は、磁化容易軸方向16の向く方向の分布が、前記非磁性基板の全体面積の50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは、90%以上が、そのような分布となっていることを指す。
【0014】
以下に本発明の垂直磁気記録媒体を詳説する。
図1は、本発明の垂直磁気記録媒体1の第1の実施形態の一例を示すものである。ここに示されている垂直磁気記録媒体1は、非磁性基板2の上に、裏打ち層3として第1軟磁性膜4、Ru膜5、第2軟磁性膜6、さらに配向制御層7、垂直磁気記録膜8、保護膜9、潤滑膜10とが順次形成された構成となっている。
【0015】
非磁性基板2としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料からなる金属基板を用いてもよいし、ガラス、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。
【0016】
ガラス基板としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスがあり、アモルファスガラスとしては汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。また、結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。
【0017】
非磁性基板2として、特にガラス基板またはシリコン基板が好ましい。
【0018】
非磁性基板2は、平均表面粗さRaが0.8nm以下、好ましくは0.5nm以下であることがヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から望ましい。
【0019】
また、表面の微小うねりWaが0.3nm以下、好ましくは0.25nm以下であることがヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から望ましい。
【0020】
テクスチャリング処理後の基板の平均表面粗さRaが0.1nm以上0.8nm以下であることが好ましい。0.1nm未満であると、テクスチャリング処理した溝の効果が不十分となり、裏打ち層3の磁気異方性が溝からずれるために好ましくない。0.8nmを超えると、磁気ヘッド13の浮上量を十分に小さくすることができないため好ましくない。また、垂直磁気記録膜8の配向が悪化することによるSNR(再生信号出力ノイズ比)の低下を引き起こすので好ましくない。
【0021】
軟磁性膜4,6は、軟磁性材料からなるもので、この材料としてはFe、Co、Niを含む材料を挙げることができる。この材料としては、FeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrBなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNb、CoBなど)を挙げることができる。
【0022】
またFeを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、あるいは微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いてもよい。
【0023】
軟磁性膜4,6は、アモルファス構造または微細結晶構造からなることが特に好ましい。アモルファス構造または微細結晶構造とすることで、よりテクスチャリングの効果が顕著になるためである。
【0024】
軟磁性膜4,6の保磁力Hcは30(Oe)以下、好ましくは10(Oe)以下とするのが望ましい。なお、1(Oe)は、約79A/mである。
【0025】
軟磁性膜4,6の飽和磁束密度Bsは、0.6T以上、好ましくは1T以上とするのが望ましい。
【0026】
裏打ち層3を構成する軟磁性膜4,6の総膜厚は20nm以上120nm以下、好ましくは30nm以上100nm以下であることが望ましい。軟磁性膜4,6の総膜厚が20nm未満であるとオーバーライト(OW)特性が低下するために望ましくない。
【0027】
軟磁性膜4,6の形成方法としては、スパッタリング法を用いることができる。
【0028】
裏打ち層3を形成した後、その磁化容易軸方向を調整するために、成膜後の非磁性基板2を加熱した上で、一様に印加した磁界中で冷却させるという手法をとることができる。
このとき、非磁性基板2の加熱温度は100℃から250℃の範囲が望ましい。また、磁界の大きさは20Gauss〜500Gaussの範囲が望ましい。さらに望ましくは20Gauss〜300Gaussである。なお1Gaussは100μTである。
【0029】
裏打ち層3は少なくとも2層の軟磁性膜4,6と2層の軟磁性膜4,6の間にRuまたはReが設けられた構成からなることが好ましい。軟磁性膜4,6の間にRu、Reを設け、所定の厚さに設定することで、上下に設けられた軟磁性膜4,6を反強磁性結合させることができるためである。このような構成とすることで、垂直媒体特有の問題であるWATE現象をより改善することが可能となる。
【0030】
配向制御膜7は、その上に設けられた垂直磁気記録膜8の配向や結晶サイズを制御するためのものである。下地膜に用いられる材料は、hcp構造またはfcc構造を有するものが好適である。特にRuが好ましい。
【0031】
配向制御膜7の厚さは30nm以下であることが好ましい。配向制御膜7の厚さが30nmを超えると記録再生時における磁気ヘッドと軟磁性裏打ち層3の距離が大きくなるため、オーバーライト(OW)特性や再生信号の分解能が低下するため好ましくない。
【0032】
垂直磁気記録膜8の磁化容易軸が非磁性基板2の面に対し垂直方向を向いている。構成元素としては、少なくともCoとPtと酸化物を含んでおり、さらにSNR(再生信号出力ノイズ比)特性改善などの目的でCr、B、Cu、Ta、Zrを添加することもできる。
【0033】
垂直磁気記録膜8を構成する酸化物としては、SiO2、SiO、Cr2O3、CoO、Ta2O3、TiO2を挙げることができる。酸化物の体積率は15〜40体積%であることが好ましい。酸化物の体積率が15体積%未満であると、SNR(再生信号出力ノイズ比)特性が不十分となるため好ましくない。酸化物の体積率が40体積%を超えると、高記録密度に対応するだけの保磁力を得ることができないため好ましくない。
【0034】
垂直磁気記録膜8のニュークリエーション磁界(−Hn)は1.5(kOe)以上であることが好ましい。ニュークリエーション磁界(−Hn)が1.5(kOe)未満であると、熱揺らぎが発生するので好ましくない。
【0035】
垂直磁気記録膜8の厚さは6〜18nmであることが好ましい。酸化物グラニュラー層の厚さがこの範囲であると、十分な出力を確保することができ、オーバーライト(OW)特性の悪化が生じないために好ましい。
【0036】
垂直磁気記録膜8は、単層構造とすることもできるし、組成の異なる材料からなる2層以上の構造とすることもできる。
【0037】
保護膜9は垂直磁気記録膜8の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッド13が媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、従来公知の材料を使用でき、例えばC、SiO2、ZrO2を含むものが使用可能である。保護膜9の厚さは、1nm以上5nm以下とするのがヘッドと媒体の距離を小さくできるので高記録密度の点から望ましい。
【0038】
潤滑膜10には従来公知の材料、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いるのが好ましい。
【0039】
図2は、上記垂直磁気記録媒体1を用いた磁気記録再生装置11の例を示すものである。ここに示す磁気記録再生装置11は、垂直磁気記録媒体1と、垂直磁気記録媒体1を回転駆動させる媒体駆動部12と、垂直磁気記録媒体1に情報を記録再生する磁気ヘッド13と、ヘッド駆動部14と、記録再生信号処理系15とを備えている。記録再生信号処理系15は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド13に送ったり、磁気ヘッド13からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
【0040】
以下、実施例を示して本発明の作用効果を明確にする。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。例えば、本発明における非磁性基板の半径方向以外とは、少なくとも、図18に示されるような渦巻き状や、図9に示されるような基板面内の一方向に揃っている方向も含まれる。
【実施例】
【0041】
(実施例、比較例)
ガラス基板(オハラ社製結晶化基板TS10−SX、直径2.5インチ)を洗浄した後、このガラス基板をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した。このガラス基板上に第1軟磁性膜として91Co−5Zr−4Nb(Co含有量91at%、Zr含有量5at%、Nb含有量4at%)を60nm、Ruを0.8nm、第2軟磁性膜として91Co−5Zr−4Nbを60nm成膜して裏打ち層を形成した。引き続き、この裏打ち層に対して、熱処理および磁界中冷却を行った。この装置を用いた場合、スパッタリングカソードの磁界の影響で軟磁性層に磁化容易軸が基板半径方向に対して45°の方向に固定されるが、続いて実施される加熱およびその後に続く冷却処理の条件を調整することにより、その磁化容易軸の方向を変化させることができる。いくつかの加熱、冷却条件を使って異なる磁化容易軸方向をもつサンプルを作製し、一旦真空容器からとりだし、磁化容易軸方向とその方向に沿ったバイアス磁界Hbiasを測定した。これらサンプルの加熱、冷却時間と磁化容易軸が基板半径方向に対してとる角度θおよびその方向に沿ったバイアス磁界Hbiasを表1の実施例1〜5にまとめた。
【0042】
また、実施例1〜5と同じ製造方法にて作製した軟磁性裏打ち層に引き続きスパッタリング法でPdシード層6nm、Ru下地層20nm、CoCrPt−SiO2磁気記録層10nm、C保護層5nmを成膜した。次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜を形成し、垂直磁気記録媒体を得た。これらを実施例6〜10とした。
【0043】
一方、軟磁性材料組成を85Co−4Zr−11Nbとした以外は実施例6と同じ製法で作製したサンプルを表1中に比較例1〜4として示した。
【0044】
実施例6〜10および比較例1〜4についてWATE測定を実施した。評価方法は以下の通りである。
1)媒体表面±6μmにわたって156kfciの基本パターンを記録する。
2)各トラックの平均出力を全トラックにわたって測定し、初期状態でのトラックプロファイルとする。
3)真ん中の1トラックを選び、937kfciの信号を10000回繰り返し記録する。
4)もう一度トラックプロファイルを測定し、初期状態と比較する。
こうして得られたトラックプロファイルを、実施例8を除くサンプルについて図3〜8に示す。トラックプロファイルについて、初期のプロファイルに対する1000回記録後のプロファイルの最大減衰率を求めた。
【0045】
【表1】
【0046】
以上から、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向が一定の磁気異方性を有し、より好ましくは、バイアス磁界Hbiasが10エルステッド以上であれば耐WATE(Wide Area Track ErasureまたはWide Adjacent Track Erasure)特性を改善できることが明らかとなった。
【0047】
次に、実施例11〜13として、磁界中冷却時の磁界の方向を、基板面内一方向にそろえた以外は実施例6と同様の方法で作製した軟磁性裏打ち層について、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向を確認したところ、図9に示すように、基板面内に一方向に揃っていた(符号16参照)。また、磁化容易軸方向にヒステリシスを測定してバイアス磁界Hbiasを調べ、結果を表2にまとめた。また、実施例14〜16として、それと同じ条件で作製された軟磁性裏打ち層上に成膜された垂直磁気記録媒体についてトラックプロファイルおよび減衰率を調べた。その結果を図10〜12に示した。
これからわかるように、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を基板半径方向に向けることをせずに、面内一方向に揃えることによって耐WATE(Wide Area Track ErasureまたはWide Adjacent Track Erasure)特性に優れた垂直磁気記録媒体を供することができた。
【0048】
【表2】
【0049】
また、熱処理および磁界中冷却を行わなかった以外は実施例6と同じ製法にて試料を作製し、これを比較例5とした。この試料の裏打ち軟磁性層の磁化容易軸は特定の方向を向かず、ほぼ面内に等方(ランダム)となっている。この試料について実施例6と同様にWATE特性の評価を実施した。
評価の結果を図13に示した。裏打ち軟磁性層が磁気異方性をもたない場合は極めて激しいWATE現象が観測されることがわかる。
【0050】
【表3】
【0051】
実施例6と同じ要領で磁化容易軸方向の角度を0°すなわち、磁化容易軸を基板半径方向にそろえて垂直磁気記録媒体を作製した。これを比較例6とし、実施例6、8、9で作製した磁気記録媒体と電磁変換特性を比較した。測定は表4の条件で行った。また、主な電磁変換パラメータの測定結果を表5にまとめた。表5の測定結果をみてわかるように、電磁変換特性パラメータのうちSNRにおいて、比較例6の特性が低下した。この結果からわかるように、裏打ち軟磁性層の磁化容易軸を基板半径方向に向けると、WATE特性は良好である反面、電磁変換特性特にSNR(再生信号出力ノイズ比)が悪化した。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
ガラス基板(オハラ社製結晶化基板TS10−SX、直径2.5インチ)を洗浄した後、基板に円周方向へダイアモンド砥粒を用いて機械式テクスチャリングを施した。この際、テクスチャリング加工後の基板平均表面粗さRaは0.30μmであった。
基板をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した。この基板上に軟磁性膜1として91Co−5Zr−4Nb(Co含有量91at%、Zr含有量5at%、Nb含有量4at%)を60nm、Ruを0.8nm、軟磁性膜2として91Co−5Zr−4Nbを60nm成膜して裏打ち層を形成した。ここで試料を成膜チャンバ内から取り出し、軟磁気特性を測定した。その結果を表6にまとめた。
【0055】
【表6】
【0056】
また、実施例17と同様に成膜した軟磁性裏打ち層に引き続き、スパッタリング法でPdシード層6nm、Ru下地層20nm、CoCrPt-SiO2磁気記録層10nm、C保護層5nmを成膜した。次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜を形成し、垂直磁気記録媒体を得た。
こうして得られた垂直磁気記録媒体について、実施例6と同様にWATE特性の評価を行なった。その結果を図14に示す。これを見てわかるように、裏打ち軟磁性層の磁化容易軸が円周方向を向いている場合も、その裏打ち軟磁性層がRuを挟んだ2層構造をとり、その反強磁性結合に由来するバイアス磁界Hbiasが十分高い場合には優れたWATE特性を示すことが明らかにされた。
【0057】
また、基板に直径22mm(0.85インチ)のシリコン基板を用い、該基板を2枚並べて配置し、ひとつのターゲットからその2枚に対して同時にスパッタリング成膜を行うことにより垂直磁気記録媒体を作製した。この際、ターゲットと基板の配置は図15のようであった。基板サイズ、基板とターゲットとの位置関係以外の成膜条件、評価条件は実施例6と同様にした。このとき、裏打ち軟磁性層の磁化容易軸はターゲットからの磁束の影響を受け、図16に示すように、扇形状に非磁性基板の円周方向を向いて分布していることを確認した。2枚の媒体についてWATE特性を調べた結果を表7に示す。直径の小さい基板を用いる場合、工業的にはコストダウンの理由から、複数枚の基板に対して同時成膜を行うことが多い。その場合、スパッタリングカソードに対する基板の位置およびカソードからの磁界分布は、当然、同時に成膜される各基板で異なる。したがって、同時に成膜されたこれら小径垂直磁気記録媒体の裏打ち軟磁性層の磁化容易軸の分布は基板面内でもランダムになり、また、基板ごとにも異なっていることが容易に想像される。しかしながら、その軟磁性裏打ち層が本発明の請求項に規定する条件を満たす場合において十分な耐WATE特性を有することが明らかとなった。
【0058】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の断面図である。
【図2】本発明の磁気記録再生装置の一例を示す構成図である。
【図3】実施例1及び実施例6にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図4】実施例2及び実施例7にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図5】実施例4及び実施例9にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図6】実施例5及び実施例10にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図7】比較例1及び比較例3にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図8】比較例2及び比較例4にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図9】軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向の平面構造を示す概略図である。
【図10】実施例11及び実施例14にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図11】実施例12及び実施例15にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図12】実施例13及び実施例16にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図13】比較例5にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図14】実施例17にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図15】実施例18および実施例19にかかわるターゲットと基板の配置状態を示す図で、(A)は側面図、(B)は上面図である。
【図16】軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向の平面構造を示す概略図である。
【図17】軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向の平面構造を示す概略図である。
【図18】軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向の平面構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・垂直磁気記録媒体、2・・・非磁性基板、3・・・裏打ち層(軟磁性裏打ち層)、4・・・第1軟磁性膜、5・・・Ru膜、6・・・第2軟磁性膜、7・・・配向制御層、8・・・垂直磁気記録膜、9・・・保護膜、10・・・潤滑膜、11・・・磁気記録再生装置、12・・・媒体駆動部、13・・・磁気ヘッド、14・・・ヘッド駆動部、15・・・記録再生信号処理系、16・・・磁化容易軸方向(磁化容易軸)、17・・・角度θ、18・・・半径、19・・・ターゲット
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録媒体及びその製造方法並びにこの垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
垂直磁気記録方式は、従来、媒体の面内方向に向けられていた磁気記録層の磁化容易軸を媒体の垂直方向に向けることにより、記録ビット間の境界である磁化遷移領域付近での反磁界が小さくなるため、記録密度が高くなるほど静磁気的に安定となって熱揺らぎ耐性が向上することから、面記録密度の向上に適した方式である。
【0003】
また、基板と垂直磁気記録膜との間に軟磁性材料からなる裏打ち層を設けた場合には、いわゆる垂直2層媒体として機能し、高い記録能力を得ることができる。このとき、軟磁性裏打ち層は磁気ヘッドからの記録磁界を還流させる役割を果たしており、記録再生効率を向上させることができる。
【0004】
一般に垂直磁気記録媒体は、基板上に裏打ち層(軟磁性膜)を設け、磁性層の磁化容易軸を基板面に対して垂直に配向させる下地膜、Co合金からなる垂直磁気記録膜および保護膜の順で構成されている。しかしながら、近年、垂直磁気記録媒体の問題点として、WATE(Wide Area Track ErasureまたはWide Adjacent Track Erasure)現象があることがわかってきている。WATE現象とは垂直磁気記録媒体特有の問題であり、あるトラックに信号を記録した際に、記録したトラックから数μmの広域にわたっての信号が減磁する現象である。主に裏打ち層の構造、磁気異方性で改善する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、特に軟磁性裏打ち層の磁化容易軸の向きを基板半径方向にそろえることも効果的であると言われている。これを実現するための方法としては、半径方向の磁場中にて裏打ち層を成膜する方法や裏打ち層を軟磁性膜と反強磁性膜の積層構造として、スピンの向きを一定方向に揃えた方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0006】
また、このように磁化容易軸方向を基板半径方向にそろえるために広く用いられるのは、放射状に磁束分布を持つマグネトロンを基板と同心円状に配置し、その磁界中にて軟磁性膜の成膜を行うという方法である。この方法は基板半径が大きい場合には有効であったが、基板半径が小さいもの特に最近実用化が進められている直径26mmのものや22mmのものの場合は複数枚の基板を同時に成膜する場合が多いので、磁界分布が一様な環境下で成膜することが困難であり、結果として軟磁性裏打ち層の磁化容易軸の方向はさまざまな方向を向いてしまう。このため、特に直径の小さな基板(ここでは特に2枚以上の基板に対して同時成膜を行うことが一般的である直径26mm以下のもの)を用いる場合において、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸の制御は大きな問題であった。
【特許文献1】特開昭58−166531号公報
【特許文献2】特開平06−103553号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0028357号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、磁場中成膜では以下の問題点が生じる。
(1) 磁界を半径方向に均一に制御することが困難である。
(2) 基板の内周部で磁界が小さくなる。
今後さらに媒体の小型化が進んだときには、(2)は大きな問題となると推測される。
また、MnIrを用いることも含めて成膜後磁場中アニールも提案されているが、高い温度を必要とするので、軟磁性膜および垂直記録層の磁気特性の変化を引き起こすため好ましくない。
【0008】
しかしながら、上記のように単に裏打ち層を設けた磁気記録媒体を用いた場合では、半径方向に均一な磁化容易軸を形成した場合、記録再生特性、特にSNR(再生信号出力ノイズ比)が劣化するという悪影響がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、裏打ち層の磁気異方性のはたらきを改めて見直し、高密度の情報の記録再生が可能な垂直磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明は、以下に掲げた、
(1)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板の実質的に半径方向以外を向いて分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体、
(2)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で実質的に同一方向を向いて平行に分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体、
(3)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、渦巻き状に円周方向を向いて分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体、
(4)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、扇形状に前記非磁性基板の円周方向を向いて分布しており、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体、
(5)前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が、前記非磁性基板の半径方向に対して角度θを有した向きとされ、該角度θが5°<θ<90°の範囲とされていることを特徴とする(1)から(4)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(6)前記非磁性基板がガラスまたはシリコンからなることを特徴とする(1)から(5)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(7)前記裏打ち層を構成する前記軟磁性層の総膜厚が20nm以上120nm以下であることを特徴とする(1)から(6)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(8)前記非磁性基板が直径26mm以下であることを特徴とする(1)から(7)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体、
(9)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の成膜後、前記非磁性基板を加熱した状態から一方向に磁界を印加した状態で前記非磁性基板を冷却させることにより、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を、前記非磁性基板の全面に渡って一方向に揃えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法、
(10)円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の成膜を一方向に磁界を印加した状態で行うことにより、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を、前記非磁性基板の全面に渡って一方向に揃えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法、
(11)前記軟磁性裏打ち層の前記磁化容易軸方向の制御を成膜後の加熱およびそれに続いて一方向に向けた磁界中での冷却工程をもって行うことを特徴とする(10)に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法、
(12)(9)から(11)の何れか1つに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法を用いて製造した垂直磁気記録媒体、
(13)垂直磁気記録媒体と、前記垂直磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記垂直磁気記録媒体が(1)から(8)および(12)のいずれか1つに記載の垂直磁気記録媒体であることを特徴とする垂直磁気記録再生装置、の各発明を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、垂直磁気記録方式を採用した磁気ディスク媒体において、円盤状の軟磁性裏打ち層を少なくとも2層の軟磁性層と2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定方向を向き、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が非磁性基板の実質的に半径方向以外を向き、また、基板半径方向に対して軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向がなす角をθとし、5°<θ<90°となるように調整し、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界Hbiasを10エルステッド(790A/m)以上にすることによって、垂直磁気記録媒体特有の問題であるWATE現象を効果的に抑制することができる。特に、直径26mm以下の小径基板使用時においては、基板近傍の磁界分布を制御するという困難な手続きが不要になるため、本発明の効果はより大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、垂直磁気記録方式を採用した磁気ディスク媒体において、円盤状の軟磁性裏打ち層を少なくとも2層の軟磁性層と2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板の実質的に半径方向以外を向いており、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上とされている。また、図17に示す例のように、基板半径方向(半径18参照)に対して軟磁性裏打ち層(裏打ち層3参照)の磁化容易軸方向(磁化容易軸方向16参照)がなす角を角度θとし、該角度θが5°<θ<90°の範囲となるように調整することにより(角度θ17参照)、垂直磁気記録媒体特有の問題であるWATE現象を効果的に抑制しようとするものである。
【0013】
また、本発明の垂直磁気記録媒体は、図9に示す例のように、裏打ち層(軟磁性裏打ち層)3の磁化容易軸方向16が、前記非磁性基板面内全域で実質的に同一方向を向いて平行に分布した構成とすることができる。
また、本発明の垂直磁気記録媒体は、図18に示す例のように、裏打ち層3の磁化容易軸方向16が、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、渦巻き状に円周方向を向いて分布した構成とすることができる。
また、本発明の垂直磁気記録媒体は、図16に示す例のように、裏打ち層3の磁化容易軸方向16が、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、扇形状に前記非磁性基板の円周方向を向いて分布した構成とすることができる。
なお、本発明の垂直磁気記録媒体における、実質的に、という説明は、磁化容易軸方向16の向く方向の分布が、前記非磁性基板の全体面積の50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは、90%以上が、そのような分布となっていることを指す。
【0014】
以下に本発明の垂直磁気記録媒体を詳説する。
図1は、本発明の垂直磁気記録媒体1の第1の実施形態の一例を示すものである。ここに示されている垂直磁気記録媒体1は、非磁性基板2の上に、裏打ち層3として第1軟磁性膜4、Ru膜5、第2軟磁性膜6、さらに配向制御層7、垂直磁気記録膜8、保護膜9、潤滑膜10とが順次形成された構成となっている。
【0015】
非磁性基板2としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料からなる金属基板を用いてもよいし、ガラス、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。
【0016】
ガラス基板としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスがあり、アモルファスガラスとしては汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。また、結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。
【0017】
非磁性基板2として、特にガラス基板またはシリコン基板が好ましい。
【0018】
非磁性基板2は、平均表面粗さRaが0.8nm以下、好ましくは0.5nm以下であることがヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から望ましい。
【0019】
また、表面の微小うねりWaが0.3nm以下、好ましくは0.25nm以下であることがヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から望ましい。
【0020】
テクスチャリング処理後の基板の平均表面粗さRaが0.1nm以上0.8nm以下であることが好ましい。0.1nm未満であると、テクスチャリング処理した溝の効果が不十分となり、裏打ち層3の磁気異方性が溝からずれるために好ましくない。0.8nmを超えると、磁気ヘッド13の浮上量を十分に小さくすることができないため好ましくない。また、垂直磁気記録膜8の配向が悪化することによるSNR(再生信号出力ノイズ比)の低下を引き起こすので好ましくない。
【0021】
軟磁性膜4,6は、軟磁性材料からなるもので、この材料としてはFe、Co、Niを含む材料を挙げることができる。この材料としては、FeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrBなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNb、CoBなど)を挙げることができる。
【0022】
またFeを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、あるいは微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いてもよい。
【0023】
軟磁性膜4,6は、アモルファス構造または微細結晶構造からなることが特に好ましい。アモルファス構造または微細結晶構造とすることで、よりテクスチャリングの効果が顕著になるためである。
【0024】
軟磁性膜4,6の保磁力Hcは30(Oe)以下、好ましくは10(Oe)以下とするのが望ましい。なお、1(Oe)は、約79A/mである。
【0025】
軟磁性膜4,6の飽和磁束密度Bsは、0.6T以上、好ましくは1T以上とするのが望ましい。
【0026】
裏打ち層3を構成する軟磁性膜4,6の総膜厚は20nm以上120nm以下、好ましくは30nm以上100nm以下であることが望ましい。軟磁性膜4,6の総膜厚が20nm未満であるとオーバーライト(OW)特性が低下するために望ましくない。
【0027】
軟磁性膜4,6の形成方法としては、スパッタリング法を用いることができる。
【0028】
裏打ち層3を形成した後、その磁化容易軸方向を調整するために、成膜後の非磁性基板2を加熱した上で、一様に印加した磁界中で冷却させるという手法をとることができる。
このとき、非磁性基板2の加熱温度は100℃から250℃の範囲が望ましい。また、磁界の大きさは20Gauss〜500Gaussの範囲が望ましい。さらに望ましくは20Gauss〜300Gaussである。なお1Gaussは100μTである。
【0029】
裏打ち層3は少なくとも2層の軟磁性膜4,6と2層の軟磁性膜4,6の間にRuまたはReが設けられた構成からなることが好ましい。軟磁性膜4,6の間にRu、Reを設け、所定の厚さに設定することで、上下に設けられた軟磁性膜4,6を反強磁性結合させることができるためである。このような構成とすることで、垂直媒体特有の問題であるWATE現象をより改善することが可能となる。
【0030】
配向制御膜7は、その上に設けられた垂直磁気記録膜8の配向や結晶サイズを制御するためのものである。下地膜に用いられる材料は、hcp構造またはfcc構造を有するものが好適である。特にRuが好ましい。
【0031】
配向制御膜7の厚さは30nm以下であることが好ましい。配向制御膜7の厚さが30nmを超えると記録再生時における磁気ヘッドと軟磁性裏打ち層3の距離が大きくなるため、オーバーライト(OW)特性や再生信号の分解能が低下するため好ましくない。
【0032】
垂直磁気記録膜8の磁化容易軸が非磁性基板2の面に対し垂直方向を向いている。構成元素としては、少なくともCoとPtと酸化物を含んでおり、さらにSNR(再生信号出力ノイズ比)特性改善などの目的でCr、B、Cu、Ta、Zrを添加することもできる。
【0033】
垂直磁気記録膜8を構成する酸化物としては、SiO2、SiO、Cr2O3、CoO、Ta2O3、TiO2を挙げることができる。酸化物の体積率は15〜40体積%であることが好ましい。酸化物の体積率が15体積%未満であると、SNR(再生信号出力ノイズ比)特性が不十分となるため好ましくない。酸化物の体積率が40体積%を超えると、高記録密度に対応するだけの保磁力を得ることができないため好ましくない。
【0034】
垂直磁気記録膜8のニュークリエーション磁界(−Hn)は1.5(kOe)以上であることが好ましい。ニュークリエーション磁界(−Hn)が1.5(kOe)未満であると、熱揺らぎが発生するので好ましくない。
【0035】
垂直磁気記録膜8の厚さは6〜18nmであることが好ましい。酸化物グラニュラー層の厚さがこの範囲であると、十分な出力を確保することができ、オーバーライト(OW)特性の悪化が生じないために好ましい。
【0036】
垂直磁気記録膜8は、単層構造とすることもできるし、組成の異なる材料からなる2層以上の構造とすることもできる。
【0037】
保護膜9は垂直磁気記録膜8の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッド13が媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、従来公知の材料を使用でき、例えばC、SiO2、ZrO2を含むものが使用可能である。保護膜9の厚さは、1nm以上5nm以下とするのがヘッドと媒体の距離を小さくできるので高記録密度の点から望ましい。
【0038】
潤滑膜10には従来公知の材料、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いるのが好ましい。
【0039】
図2は、上記垂直磁気記録媒体1を用いた磁気記録再生装置11の例を示すものである。ここに示す磁気記録再生装置11は、垂直磁気記録媒体1と、垂直磁気記録媒体1を回転駆動させる媒体駆動部12と、垂直磁気記録媒体1に情報を記録再生する磁気ヘッド13と、ヘッド駆動部14と、記録再生信号処理系15とを備えている。記録再生信号処理系15は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド13に送ったり、磁気ヘッド13からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
【0040】
以下、実施例を示して本発明の作用効果を明確にする。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。例えば、本発明における非磁性基板の半径方向以外とは、少なくとも、図18に示されるような渦巻き状や、図9に示されるような基板面内の一方向に揃っている方向も含まれる。
【実施例】
【0041】
(実施例、比較例)
ガラス基板(オハラ社製結晶化基板TS10−SX、直径2.5インチ)を洗浄した後、このガラス基板をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した。このガラス基板上に第1軟磁性膜として91Co−5Zr−4Nb(Co含有量91at%、Zr含有量5at%、Nb含有量4at%)を60nm、Ruを0.8nm、第2軟磁性膜として91Co−5Zr−4Nbを60nm成膜して裏打ち層を形成した。引き続き、この裏打ち層に対して、熱処理および磁界中冷却を行った。この装置を用いた場合、スパッタリングカソードの磁界の影響で軟磁性層に磁化容易軸が基板半径方向に対して45°の方向に固定されるが、続いて実施される加熱およびその後に続く冷却処理の条件を調整することにより、その磁化容易軸の方向を変化させることができる。いくつかの加熱、冷却条件を使って異なる磁化容易軸方向をもつサンプルを作製し、一旦真空容器からとりだし、磁化容易軸方向とその方向に沿ったバイアス磁界Hbiasを測定した。これらサンプルの加熱、冷却時間と磁化容易軸が基板半径方向に対してとる角度θおよびその方向に沿ったバイアス磁界Hbiasを表1の実施例1〜5にまとめた。
【0042】
また、実施例1〜5と同じ製造方法にて作製した軟磁性裏打ち層に引き続きスパッタリング法でPdシード層6nm、Ru下地層20nm、CoCrPt−SiO2磁気記録層10nm、C保護層5nmを成膜した。次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜を形成し、垂直磁気記録媒体を得た。これらを実施例6〜10とした。
【0043】
一方、軟磁性材料組成を85Co−4Zr−11Nbとした以外は実施例6と同じ製法で作製したサンプルを表1中に比較例1〜4として示した。
【0044】
実施例6〜10および比較例1〜4についてWATE測定を実施した。評価方法は以下の通りである。
1)媒体表面±6μmにわたって156kfciの基本パターンを記録する。
2)各トラックの平均出力を全トラックにわたって測定し、初期状態でのトラックプロファイルとする。
3)真ん中の1トラックを選び、937kfciの信号を10000回繰り返し記録する。
4)もう一度トラックプロファイルを測定し、初期状態と比較する。
こうして得られたトラックプロファイルを、実施例8を除くサンプルについて図3〜8に示す。トラックプロファイルについて、初期のプロファイルに対する1000回記録後のプロファイルの最大減衰率を求めた。
【0045】
【表1】
【0046】
以上から、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向が一定の磁気異方性を有し、より好ましくは、バイアス磁界Hbiasが10エルステッド以上であれば耐WATE(Wide Area Track ErasureまたはWide Adjacent Track Erasure)特性を改善できることが明らかとなった。
【0047】
次に、実施例11〜13として、磁界中冷却時の磁界の方向を、基板面内一方向にそろえた以外は実施例6と同様の方法で作製した軟磁性裏打ち層について、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向を確認したところ、図9に示すように、基板面内に一方向に揃っていた(符号16参照)。また、磁化容易軸方向にヒステリシスを測定してバイアス磁界Hbiasを調べ、結果を表2にまとめた。また、実施例14〜16として、それと同じ条件で作製された軟磁性裏打ち層上に成膜された垂直磁気記録媒体についてトラックプロファイルおよび減衰率を調べた。その結果を図10〜12に示した。
これからわかるように、軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を基板半径方向に向けることをせずに、面内一方向に揃えることによって耐WATE(Wide Area Track ErasureまたはWide Adjacent Track Erasure)特性に優れた垂直磁気記録媒体を供することができた。
【0048】
【表2】
【0049】
また、熱処理および磁界中冷却を行わなかった以外は実施例6と同じ製法にて試料を作製し、これを比較例5とした。この試料の裏打ち軟磁性層の磁化容易軸は特定の方向を向かず、ほぼ面内に等方(ランダム)となっている。この試料について実施例6と同様にWATE特性の評価を実施した。
評価の結果を図13に示した。裏打ち軟磁性層が磁気異方性をもたない場合は極めて激しいWATE現象が観測されることがわかる。
【0050】
【表3】
【0051】
実施例6と同じ要領で磁化容易軸方向の角度を0°すなわち、磁化容易軸を基板半径方向にそろえて垂直磁気記録媒体を作製した。これを比較例6とし、実施例6、8、9で作製した磁気記録媒体と電磁変換特性を比較した。測定は表4の条件で行った。また、主な電磁変換パラメータの測定結果を表5にまとめた。表5の測定結果をみてわかるように、電磁変換特性パラメータのうちSNRにおいて、比較例6の特性が低下した。この結果からわかるように、裏打ち軟磁性層の磁化容易軸を基板半径方向に向けると、WATE特性は良好である反面、電磁変換特性特にSNR(再生信号出力ノイズ比)が悪化した。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
ガラス基板(オハラ社製結晶化基板TS10−SX、直径2.5インチ)を洗浄した後、基板に円周方向へダイアモンド砥粒を用いて機械式テクスチャリングを施した。この際、テクスチャリング加工後の基板平均表面粗さRaは0.30μmであった。
基板をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した。この基板上に軟磁性膜1として91Co−5Zr−4Nb(Co含有量91at%、Zr含有量5at%、Nb含有量4at%)を60nm、Ruを0.8nm、軟磁性膜2として91Co−5Zr−4Nbを60nm成膜して裏打ち層を形成した。ここで試料を成膜チャンバ内から取り出し、軟磁気特性を測定した。その結果を表6にまとめた。
【0055】
【表6】
【0056】
また、実施例17と同様に成膜した軟磁性裏打ち層に引き続き、スパッタリング法でPdシード層6nm、Ru下地層20nm、CoCrPt-SiO2磁気記録層10nm、C保護層5nmを成膜した。次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜を形成し、垂直磁気記録媒体を得た。
こうして得られた垂直磁気記録媒体について、実施例6と同様にWATE特性の評価を行なった。その結果を図14に示す。これを見てわかるように、裏打ち軟磁性層の磁化容易軸が円周方向を向いている場合も、その裏打ち軟磁性層がRuを挟んだ2層構造をとり、その反強磁性結合に由来するバイアス磁界Hbiasが十分高い場合には優れたWATE特性を示すことが明らかにされた。
【0057】
また、基板に直径22mm(0.85インチ)のシリコン基板を用い、該基板を2枚並べて配置し、ひとつのターゲットからその2枚に対して同時にスパッタリング成膜を行うことにより垂直磁気記録媒体を作製した。この際、ターゲットと基板の配置は図15のようであった。基板サイズ、基板とターゲットとの位置関係以外の成膜条件、評価条件は実施例6と同様にした。このとき、裏打ち軟磁性層の磁化容易軸はターゲットからの磁束の影響を受け、図16に示すように、扇形状に非磁性基板の円周方向を向いて分布していることを確認した。2枚の媒体についてWATE特性を調べた結果を表7に示す。直径の小さい基板を用いる場合、工業的にはコストダウンの理由から、複数枚の基板に対して同時成膜を行うことが多い。その場合、スパッタリングカソードに対する基板の位置およびカソードからの磁界分布は、当然、同時に成膜される各基板で異なる。したがって、同時に成膜されたこれら小径垂直磁気記録媒体の裏打ち軟磁性層の磁化容易軸の分布は基板面内でもランダムになり、また、基板ごとにも異なっていることが容易に想像される。しかしながら、その軟磁性裏打ち層が本発明の請求項に規定する条件を満たす場合において十分な耐WATE特性を有することが明らかとなった。
【0058】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の断面図である。
【図2】本発明の磁気記録再生装置の一例を示す構成図である。
【図3】実施例1及び実施例6にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図4】実施例2及び実施例7にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図5】実施例4及び実施例9にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図6】実施例5及び実施例10にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図7】比較例1及び比較例3にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図8】比較例2及び比較例4にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図9】軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向の平面構造を示す概略図である。
【図10】実施例11及び実施例14にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図11】実施例12及び実施例15にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図12】実施例13及び実施例16にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図13】比較例5にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図14】実施例17にかかわるトラックのプロファイルを示す図で、(A)は初期状態を示し、(B)は記録後の状態を示す。
【図15】実施例18および実施例19にかかわるターゲットと基板の配置状態を示す図で、(A)は側面図、(B)は上面図である。
【図16】軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向の平面構造を示す概略図である。
【図17】軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向の平面構造を示す概略図である。
【図18】軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向の平面構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・垂直磁気記録媒体、2・・・非磁性基板、3・・・裏打ち層(軟磁性裏打ち層)、4・・・第1軟磁性膜、5・・・Ru膜、6・・・第2軟磁性膜、7・・・配向制御層、8・・・垂直磁気記録膜、9・・・保護膜、10・・・潤滑膜、11・・・磁気記録再生装置、12・・・媒体駆動部、13・・・磁気ヘッド、14・・・ヘッド駆動部、15・・・記録再生信号処理系、16・・・磁化容易軸方向(磁化容易軸)、17・・・角度θ、18・・・半径、19・・・ターゲット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、
前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板の実質的に半径方向以外を向いて分布しており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項2】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、
前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で実質的に同一方向を向いて平行に分布しており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項3】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、
前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、渦巻き状に円周方向を向いて分布しており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項4】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、
前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、扇形状に前記非磁性基板の円周方向を向いて分布しており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項5】
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が、前記非磁性基板の半径方向に対して角度θを有した向きとされ、該角度θが5°<θ<90°の範囲とされていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項6】
前記非磁性基板がガラスまたはシリコンからなることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項7】
前記裏打ち層を構成する前記軟磁性層の総膜厚が20nm以上120nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項8】
前記非磁性基板が直径26mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項9】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の成膜後、前記非磁性基板を加熱した状態から一方向に磁界を印加した状態で前記非磁性基板を冷却させることにより、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を、前記非磁性基板の全面に渡って一方向に揃えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項10】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の成膜を一方向に磁界を印加した状態で行うことにより、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を、前記非磁性基板の全面に渡って一方向に揃えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項11】
前記軟磁性裏打ち層の前記磁化容易軸方向の制御を成膜後の加熱およびそれに続いて一方向に向けた磁界中での冷却工程をもって行うことを特徴とする請求項10に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項12】
請求項9から請求項11の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法を用いて製造した垂直磁気記録媒体。
【請求項13】
垂直磁気記録媒体と、前記垂直磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記垂直磁気記録媒体が請求項1から8および12の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体であることを特徴とする垂直磁気記録再生装置。
【請求項1】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、
前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板の実質的に半径方向以外を向いて分布しており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項2】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、
前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で実質的に同一方向を向いて平行に分布しており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項3】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、
前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、渦巻き状に円周方向を向いて分布しており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項4】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、
前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造をとっており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が一定の方向を向き、前記非磁性基板面内全域で、実質的に、扇形状に前記非磁性基板の円周方向を向いて分布しており、
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸方向への反強磁性結合のバイアス磁界が10エルステッド(790A/m)以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項5】
前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸が、前記非磁性基板の半径方向に対して角度θを有した向きとされ、該角度θが5°<θ<90°の範囲とされていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項6】
前記非磁性基板がガラスまたはシリコンからなることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項7】
前記裏打ち層を構成する前記軟磁性層の総膜厚が20nm以上120nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項8】
前記非磁性基板が直径26mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項9】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の成膜後、前記非磁性基板を加熱した状態から一方向に磁界を印加した状態で前記非磁性基板を冷却させることにより、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を、前記非磁性基板の全面に渡って一方向に揃えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項10】
円盤状の非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層とを有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層は少なくとも2層の軟磁性層と前記2層の軟磁性層の間にRuまたはReが設けられた構造とし、前記軟磁性裏打ち層の成膜を一方向に磁界を印加した状態で行うことにより、前記軟磁性裏打ち層の磁化容易軸を、前記非磁性基板の全面に渡って一方向に揃えることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項11】
前記軟磁性裏打ち層の前記磁化容易軸方向の制御を成膜後の加熱およびそれに続いて一方向に向けた磁界中での冷却工程をもって行うことを特徴とする請求項10に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項12】
請求項9から請求項11の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法を用いて製造した垂直磁気記録媒体。
【請求項13】
垂直磁気記録媒体と、前記垂直磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記垂直磁気記録媒体が請求項1から8および12の何れか1項に記載の垂直磁気記録媒体であることを特徴とする垂直磁気記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−244688(P2006−244688A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21366(P2006−21366)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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