説明

垂直磁気記録媒体

【課題】 磁気記録層の磁性粒子の微細化と孤立化を促進するという本来の目的を達成しつつ、コロージョンも生じさせない下地層を備えた垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明にかかる垂直磁気記録媒体100の構成は、基体110上に少なくとも、信号を記録する磁気記録層122と、磁気記録層より下に設けられる下地層118と、下地層の結晶配向性を制御するための非磁性層116と、非磁性層より下に設けられる軟磁性層114とを備え、下地層118は下方から順に、ルテニウムを含む第1下地層118aおよび第2下地層118bと、金属を含む第3下地層118cとの3層で構成され、スパッタリングによる成膜時のガス圧は、上記の3層のうち第2下地層118bが最も高いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径の磁気記録媒体にして、1枚あたり200GByteを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり400GBitを超える情報記録密度を実現することが求められる。
【0003】
HDD等に用いられる磁気記録媒体において高記録密度を達成するために、近年、垂直磁気記録方式が提案されている。垂直磁気記録方式に用いられる垂直磁気記録媒体は、磁気記録層の磁化容易軸が基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は従来の面内記録方式に比べて、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、いわゆる熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
【0004】
垂直磁気記録方式に用いる磁気記録媒体としては、高い熱安定性と良好な記録特性を示すことから、CoCrPt−SiO垂直磁気記録媒体(非特許文献1参照)が提案されている。これは磁気記録層において、Coのhcp構造(六方最密結晶格子)の結晶が柱状に連続して成長した磁性粒子の間に、SiOが偏析した非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造を構成し、磁性粒子の微細化と保磁力Hcの向上をあわせて図るものである。非磁性の粒界(磁性粒子間の非磁性部分)には酸化物を用いることが知られており、例えばSiO、Cr、TiO、TiO、Taのいずれか1つを用いることが提案されている(特許文献1)。
【0005】
上記の如く高記録密度化している磁気記録媒体であるが、今後さらなる記録密度の向上が要請されている。高記録密度化のために重要な要素としては、保磁力Hcや逆磁区核形成磁界Hnなどの静磁気特性の向上と、オーバーライト特性(OW特性)やSNR(Signal to Noise Ratio:シグナルノイズ比)などの電磁変換特性の向上、トラック幅の狭小化など様々なものがある。その中でもSNRの向上は、面積の小さな記録ビットにおいても正確に且つ高速に読み書きするために重要である。
【0006】
SNRの向上は、主に磁気記録層の磁化遷移領域ノイズの低減により行われる。ノイズ低減のために有効な要素としては、磁気記録層の結晶配向性の向上、磁性粒子の粒径の微細化、および磁性粒子の孤立化が挙げられる。なかでも、磁性粒子の孤立化が促進されるとその交換相互作用を遮断されるため、ノイズを大幅に低減することができ、SNRを著しく向上させることが可能となる。
【0007】
そこで、磁気記録層の下に下地層を設けることが試みられている。下地層はhcp構造であって、磁気記録層のCoのhcp構造の結晶をグラニュラ構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層の結晶の(0001)面がディスク基体の主表面と平行になっているほど、磁気記録層の配向性を向上させることができる。下地層の材質としてはRuが代表的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−024346号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T. Oikawa et. al.、 IEEE Trans. Magn、 vol.38、 1976-1978(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明者らは、さらなるノイズ低減を目指して、上記のRu下地層を2層構造にすることに想到した。すなわち、2層構造のRu下地層のうち、まず、所定圧力の雰囲気ガス下で、磁気記録層から遠い側の第1下地層をスパッタリングにより成膜し、所定圧力より高圧の雰囲気ガス下で、磁気記録層に近い側の第2下地層をスパッタリングにより成膜する。そして、第2下地層の成膜に用いるターゲットには酸素または酸化物を含ませている。
【0011】
上記のように下地層を構成すれば、第1下地層、第2下地層、磁気記録層にかけて段階的に酸素の含有量が増加することとなる。すなわち第1下地層から磁気記録層にいくにつれて、下地層または磁気記録層において結晶粒子となる物質以外の物質の含有量が段階的に多くなる。このような構成により、第1下地層から磁気記録層にかけて、結晶粒子の分離を段階的(略連続的)に促進することができる。
【0012】
また上記構成の如く下地層に酸素または酸化物を含有させることにより、下地層においてRuの結晶粒子の境界に酸素または酸化物(Ruの結晶粒子以外の物質)が析出するため、Ruの結晶粒子の分離が促進される。その結果、下地層上に成膜される磁気記録層では、下地層のRuの結晶粒子上には磁気記録層の結晶粒子(磁性粒子)が析出し、下地層の酸素(または酸化物)の境界上には、かかる境界を形成する酸素(または酸化物)と親和性が高い、磁気記録層に含まれる酸素(または酸化物)が析出し、粒界を形成する。したがって、磁気記録層の酸化物の粒界への析出を促進することができ、柱状の結晶粒子への酸化物の混入が低減される。これにより、磁気記録層における結晶粒子の結晶配向性が向上し、保磁力Hcを増大させることが可能となる。
【0013】
更に、上述した如く下地層に酸素または酸化物を含有させることで、従来の酸素を含有しない下地層よりもRuの結晶粒子の分離および微細化を促進することができるため、柱状の構造である下地層の結晶粒子が微細化し、その微細化した下地層の表面に磁気記録層の磁性粒子が柱状に成長し、グラニュラ構造を形成する。したがって、磁気記録層の磁性粒子の微細化と孤立化を促進することができる。
【0014】
また、下地層を上記のような第1下地層および第2下地層の2層で構成することで、従来からの2層構成の下地層が有する利点を得ることができる。すなわち、第1下地層による磁気記録層の結晶配向性の向上、および第2下地層による磁気記録層の磁性粒子の粒径の微細化が可能となる。
【0015】
しかしながら、第2下地層は粗になってグラニュラの種になっているが、その代わりに膜密度が低い。そのため耐腐食性が低く、コロージョンが発生するという問題がある。コロージョンは、典型的にはコバルト(Co)などの金属が下層から析出し、垂直磁気記録媒体の表面に酸化物を形成する現象である。コロージョンが発生すると、その位置に記録されたデータが消失してしまうほか、磁気ヘッドの低浮上量化もあいまってクラッシュ障害が発生し、ディスクドライブの故障に発展するおそれがある。
【0016】
また、第2下地層は、強度も低く、耐衝撃性も低くなる。現在の垂直磁気記録媒体では10層程度の膜が形成されるが、第2下地層が最も粗な構造を有している。
【0017】
本発明は、このような課題に鑑み、磁気記録層の磁性粒子の微細化と孤立化を促進するという本来の目的を達成しつつ、コロージョンも生じさせない下地層を備えた垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために発明者は鋭意検討し、下地層を3層構造とし、磁気記録層に遠い側から順に、低圧、高圧、低圧、という雰囲気下でスパッタリングして成膜するという着想を得て、本発明を完成するに到った。
【0019】
すなわち、上記課題を解決するために本発明にかかる垂直磁気記録媒体の代表的な構成は、基体上に少なくとも、信号を記録する磁気記録層と、磁気記録層より下に設けられる下地層と、下地層の結晶配向性を制御するための非磁性層と、非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、下地層は下方から順に、ルテニウムを含む第1下地層および第2下地層と、金属を含む第3下地層との3層で構成され、スパッタリングによる成膜時のガス圧は、3層のうち第2下地層が最も高いことを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、粗い第2下地層に比較して、成膜時のガス圧が低い第3下地層のほうが、膜密度は高く、緻密になる。かかる第3下地層が、コロージョンの原因となる金属の上昇を塞き止めるため、コロージョンが防止できる。また第3下地層の膜密度を高くすることで、耐衝撃性も向上する。
【0021】
さらに、磁気記録層に遠い側から順に、低圧(第1下地層)、高圧(第2下地層)、低圧(第3下地層)、という雰囲気下でスパッタリングして成膜するため、第1下地層による磁気記録層の結晶配向性の向上、および第2下地層による磁気記録層の磁性粒子の粒径の微細化、という下地層を2層構造にしたときの作用は、依然として保持される。
【0022】
上記の第3下地層に含まれる金属は、hcp構造(六方最密結晶格子)を有するとよい。第3下地層も、第1および第2下地層と同様にhcp構造とし、磁気記録層のCoのhcp構造の結晶をグラニュラ構造として成長させる作用を有させるためである。
【0023】
上記の第3下地層に含まれる金属は、ルテニウム、クロム・タンタル合金またはクロム・チタン合金から選択されるとよい。これらの素材に酸化物を含有させないことによって、高密度の金属層とし、コロージョンを防止することが可能だからである。とりわけ、第1および第2下地層と同様にルテニウムを用いるのが望ましい。ルテニウムはhcp構造をとり、また結晶の原子間隔がCoと近く、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができるからである。
【0024】
上記の成膜時のガス圧は、実質的に、第1下地層が1Pa、第2下地層が3.5Pa、第3下地層が0.5〜0.6Paとするとよい。また、上記の第3下地層の膜厚は1〜1.5nmとするとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、磁気記録層の磁性粒子の微細化と孤立化を促進するという本来の目的を達成しつつ、コロージョンも生じさせない下地層を備えた垂直磁気記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。
【図2】図1を部分的に拡大した模式図であり、第3下地層が下層から上昇しようとするコロージョンの原因となる金属を塞き止める様子を示す図である。
【図3】本実施例および比較例の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0028】
(実施形態)[垂直磁気記録媒体]
図1は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100の構成を説明する図である。図1に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体110、付着層112、第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114c、前下地層116(非磁性層)、第1下地層118a、第2下地層118b、第3下地層118c、非磁性グラニュラ層120、下記録層122a、介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122d、分断層124、補助記録層126、媒体保護層128、潤滑層130で構成されている。なお第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114cはあわせて軟磁性層114を構成する。第1下地層118a、第2下地層118bおよび第3下地層118cはあわせて下地層118を構成する。下記録層122aと介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122dはあわせて磁気記録層122を構成する。
【0029】
ディスク基体110は、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円板状に成型したガラスディスクを用いることができる。なおガラスディスクの種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラスディスクの材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体110を得ることができる。
【0030】
ディスク基体110上に、DCマグネトロンスパッタリング法にて付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行い、媒体保護層128はCVD法により成膜することができる。この後、潤滑層130をディップコート法により形成することができる。なお、生産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成について説明する。
【0031】
付着層112はディスク基体110に接して形成され、この上に成膜される軟磁性層114とディスク基体110との剥離強度を高める機能と、軟磁性層114上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている。付着層112は、ディスク基体110がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファス(非晶質)の合金膜とすることが好ましい。
【0032】
付着層112としては、例えばCrTi系非晶質層、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層から選択することができる。付着層112は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。またこれらの付着層112は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。
【0033】
軟磁性層114は、垂直磁気記録方式において記録層に垂直方向に磁束を通過させるために、記録時に一時的に磁路を形成する層である。軟磁性層114は第1軟磁性層114aと第2軟磁性層114cの間に非磁性のスペーサ層114bを介在させることによって、AFC(AntiFerromagnetic exchange Coupling)を備えるように構成することができる。これにより軟磁性層114の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層114から生じるノイズを低減することができる。第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成としては、CoTaZrなどのコバルト系合金、CoCrFeB、CoFeTaZrなどのCo−Fe系合金、[Ni−Fe/Sn]n多層構造のようなNi−Fe系合金などを用いることができる。
【0034】
前下地層116は、非磁性層すなわち非磁性の合金層であり、軟磁性層114を防護する作用と、下地層118の結晶粒の配向の整列を促進する作用を備える。前下地層116の材質としては、具体的には、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nbから選択することができる。
【0035】
これにより、軟磁性層114上に成膜される複数の層における各境界面の粗さが改善され、これらの層の結晶配向性を向上することが可能となる。したがって、SNRの向上および高記録密度化の達成を図ることができる。
【0036】
下地層118はhcp構造であって、磁気記録層122のCoのhcp構造の結晶をグラニュラ構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層118の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層118の結晶の(0001)面がディスク基体110の主表面と平行になっているほど、磁気記録層122の配向性を向上させることができる。下地層118の材質としてはRuが代表的であるが、その他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、また結晶の原子間隔がCoと近いため、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができる。
【0037】
下地層118をRuとした場合において、スパッタ時のガス圧を変更することによりRuからなる3層構造とすることができる。具体的には、スパッタリングによる成膜時のガス圧は、3層のうち第2下地層118bが最も高い。すなわち、磁気記録層に遠い側から順に、低圧(第1下地層118a)、高圧(第2下地層118bを3.5Paで成膜)、低圧(第3下地層118cを0.5〜0.6Paで成膜)、という雰囲気下でスパッタリングして成膜する。また本実施形態では、第3下地層118cの膜厚は1〜1.5nmとする。
【0038】
ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの平均自由行程が短くなるため、成膜速度が遅くなり、皮膜が粗になるため、Ruの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、Coの結晶粒子の微細化も可能となる。
【0039】
さらに本実施形態では、第2下地層118bのRuに酸素を微少量含有させ、RuOにより構成する。あるいは、第2下地層118bのRuに酸化物を微少量含有させる。酸化物として、例えば、SiO、TiO、Cr23、Ta、WO、CoO、Coを用いてよい。これにより、Ruの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、磁気記録層122のさらなる孤立化と微細化を図ることができるからである。なお酸素はリアクティブスパッタによって含有させてもよいが、スパッタリング成膜する際に酸素または酸化物を含有するターゲットを用いることが好ましい。
【0040】
一方、第3下地層118cには酸素は含ませない。第3下地層に酸化物を含有させないことによって、高密度の金属層とし、コロージョンを防止することが可能だからである。
【0041】
図2は図1を部分的に拡大した模式図であり、第3下地層118cが下層から上昇しようとするコロージョンの原因となる金属を塞き止める様子を示す図である。図2に示すように、コロージョンの原因となるのは、軟磁性層114から上昇するCoや、前下地層116から上昇するNiなどである。粗い第2下地層118bに比較して、成膜時のガス圧が低い第3下地層118cのほうが、膜密度は高く、緻密になる。かかる第3下地層118cが、コロージョンの原因となる金属の上昇を塞き止めるため、コロージョンが防止できる。また第3下地層118cの膜密度を高くすることで、耐衝撃性も向上する。
【0042】
また、第1下地層118aによる磁気記録層122の結晶配向性の向上、および第2下地層118bによる磁気記録層122の磁性粒子の粒径の微細化、という、従前からの2層構造の作用は、依然として保持される。
【0043】
第3下地層118cに含まれる金属は、hcp構造(六方最密結晶格子)を有する。本実施形態では、第3下地層118cも、第1および第2下地層118a、118bと同様に、ルテニウム製である。ルテニウムはhcp構造をとり、また結晶の原子間隔がCoと近く、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができるからである。
【0044】
なお、第3下地層118cとして、クロム・タンタル合金またはクロム・チタン合金を選択してもよい。これらの素材に酸化物を含有させないことによって、高密度の金属層とし、コロージョンを防止することが可能だからである。
【0045】
非磁性グラニュラ層120はグラニュラ構造を有する非磁性の層である。下地層118のhcp結晶構造の上に非磁性グラニュラ層120を形成し、この上に下記録層122a(すなわち磁気記録層122全体)のグラニュラ層を成長させることにより、磁性のグラニュラ層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。これにより、磁気記録層122の磁性粒子の孤立化を促進することができる。非磁性グラニュラ層120の組成は、Co系合金からなる非磁性の結晶粒子の間に、非磁性物質を偏析させて粒界を形成することにより、グラニュラ構造とすることができる。
【0046】
本実施形態においては、かかる非磁性グラニュラ層120にCoCr−SiOを用いる。これにより、Co系合金(非磁性の結晶粒子)の間にSiO(非磁性物質)が偏析して粒界を形成し、非磁性グラニュラ層120がグラニュラ構造となる。なお、CoCr−SiOは一例であり、これに限定するものではない。他には、CoCrRu−SiOを好適に用いることができ、さらにRuに代えてRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Au(金)も利用することができる。また非磁性物質とは、磁性粒子(磁性グレイン)間の交換相互作用が抑制、または、遮断されるように、磁性粒子の周囲に粒界部を形成しうる物質であって、コバルト(Co)と固溶しない非磁性物質であればよい。例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr23)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)を例示できる。
【0047】
なお本実施形態では、下地層188(第2下地層188b)の上に非磁性グラニュラ層120を設けているが、これに限定されるものではなく、非磁性グラニュラ層120を設けずに垂直磁気記録媒体100を構成することも可能である。
【0048】
磁気記録層122は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒子の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラ構造を有している。この磁性粒子は、非磁性グラニュラ層120を設けることにより、そのグラニュラ構造から継続してエピタキシャル成長することができる。磁気記録層122は、本実施形態では下記録層122a、介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122dから構成されている。これにより、下記録層122aの結晶粒子(磁性粒子)から継続して第1主記録層122c、第2主記録層122dの小さな結晶粒子が成長し、主記録層の微細化を図ることができ、SNRの向上が可能となる。
【0049】
本実施形態では、下記録層122aにCoCrPt−Cr−SiOを用いる。CoCrPt−Cr−SiOは、CoCrPtからなる磁性粒子(グレイン)の周囲に、非磁性物質であるCr、SiO(酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒子が柱状に成長したグラニュラ構造を形成する。この磁性粒子は、非磁性グラニュラ層120のグラニュラ構造から継続してエピタキシャル成長した。
【0050】
介在層122bは非磁性の薄膜であって、下記録層122aと第1主記録層122cの間に介在させることにより、これらの間の磁気的な連続性は分断される。このとき介在層122bの膜厚を所定の膜厚(0.7〜0.9nm)とすることにより、下記録層122aと第1主記録層122cとの間には反強磁性交換結合(AFC)が発生する。これにより介在層122bの上下の層の間では磁化が引き合い、相互に磁化方向を固定するように作用するため、磁化軸の揺らぎが低減し、ノイズを低減することができる。
【0051】
介在層122bは、Ru又はRu化合物で構成されるとよい。Ruは磁性粒子を構成するCoと原子間隔が近いため、磁気記録層122の間に介在させてもCoの結晶粒子のエピタキシャル成長を阻害しにくいからである。また介在層122bが極めて薄いことによっても、エピタキシャル成長を阻害しにくいものとなっている。
【0052】
ここで下記録層122aは、介在層122bがなければ第1主記録層122cおよび第2主記録層122dと連続した磁石であったところ、介在層122bによって分断されるために個別の短い磁石となる。そして、さらに下記録層122aの膜厚を薄くすることにより、グラニュラ磁性粒子の縦横比が短くなることから(垂直磁気記録媒体においては、膜厚方向が磁化容易軸の縦方向にあたる)、磁石の内部に発生する反磁界が強くなる。このため下記録層122aは硬磁性であるにもかかわらず、外部に出す磁気モーメントが小さくなり、磁気ヘッドによって拾われにくくなる。すなわち、下記録層122aの膜厚を調節することによって、磁気ヘッドまで磁束が到達しにくく、かつ第1主記録層122cに対しては磁気的相互作用を有する程度に磁気モーメント(磁石の強さ)を設定することにより、高い保磁力を発揮しながらもノイズの少ない磁気記録層とすることができる。
【0053】
本実施形態において第1主記録層122cはCoCrPt−SiO−TiOを用いる。これにより、第1主記録層122cにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるSiO、TiO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
【0054】
また本実施形態において第2主記録層122dは第1主記録層122cと連続しているが、組成および膜厚が異なっている。第2主記録層122dはCoCrPt−SiO−TiO−Coを用いる。これにより、第2主記録層122dにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるSiO、TiO、Co(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
【0055】
上記のように、本実施形態では第2主記録層122dが第1主記録層122cよりも多くの酸化物を含む構成としている。これにより、第1主記録層122cから第2主記録層122dにかけて、結晶粒子の分離を段階的に促進することができる。
【0056】
また上記のように、第2主記録層122dにCo酸化物を含有させている。SiOやTiOを酸化物として混入すると、酸素欠損が生じる事実があり、SiイオンやTiイオンが磁性粒子に混入して結晶配向性が乱れ、保持力Hcが低下してしまう。そこでCo酸化物を含有させることにより、この酸素欠損を補うための酸素担持体として機能させることができる。Co酸化物としてはCoを例示するが、CoOでもよい。
【0057】
Co酸化物はSiOやTiOよりもギブスの自由化エネルギーΔGが大きく、Coイオンと酸素イオンが分離しやすい。したがってCo酸化物から優先的に酸素が分離し、SiOやTiOにおいて生じた酸素欠損を補って、SiやTiのイオンを酸化物として完成させ、粒界に析出させることができる。これにより、SiやTiなどの異物が磁性粒子に混入することを防止し、その混入によって磁性粒子の結晶性を乱すことを防止することができる。このとき余剰となったCoイオンは磁性粒子に混入すると考えられるが、そもそも磁性粒子がCo合金であるために、磁気特性を損なうことはない。したがって磁性粒子の結晶性および結晶配向性が向上し、保持力Hcを増大させることが可能となる。また、飽和磁化Msが向上することから、オーバーライト特性も向上するという利点を有している。
【0058】
ただし、磁気記録層にCo酸化物を混入すると、SNRが低下するという問題がある。そこで、上記のようにCo酸化物を混入しない第1主記録層122cを設けることにより、第1主記録層122cで高いSNRを確保しつつ、第2主記録層122dで高い保持力Hcおよびオーバーライト特性を得ることが可能となる。なお第1主記録層122cの膜厚よりも第2主記録層122dの膜厚が厚いことが好ましく、好適な一例として第1主記録層122cを2nm、第2主記録層122dを8nmとすることができる。
【0059】
なお、上記に示した下記録層122aおよび第1主記録層122c、第2主記録層122dに用いた物質は一例であり、これに限定するものではない。粒界を形成するための非磁性物質としては、例えば酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
【0060】
さらに本実施形態では、下記録層122aおよび第1主記録層122cにおいて2種類、第2主記録層122dにおいて3種類の非磁性物質(酸化物)を用いているが、これに限定するものではない。例えば、下記録層122aから第2主記録層122dのいずれかまたはすべてにおいて、1種類の非磁性物質を用いてもよいし、2種類以上の非磁性物質を複合して用いることも可能である。このとき含有する非磁性物質の種類には限定がないが、本実施形態の如く特にSiOおよびTiOを含むことが好ましい。したがって、本実施形態とは異なり、下記録層122aから第2主記録層122dが1層のみで構成される場合(介在層122bを設けない場合)、かかる磁気記録層はCoCrPt−SiO−TiOからなることが好ましい。
【0061】
分断層124は、磁気記録層122(第2主記録層122d)と補助記録層126との間に設けられた非磁性の層である。ただし分断層124は、介在層122bよりも厚く形成する。これにより、磁気記録層122と補助記録層126の間には磁気的効果として反強磁性交換結合ではなく、強磁性交換結合が発生する。
【0062】
また本実施形態において分断層124は、Ru、Ru化合物、Ruと酸素、またはRuと酸化物を含む薄膜によって構成することができる。これによっても、補助記録層126に起因するノイズを低減させることができる。分断層124を成膜する際に、分断層124に含有される酸素が磁気記録層122の酸化物の上に偏析し、磁性粒子の上にRuが偏析することにより、磁気記録層122のCoの結晶構造を補助記録層126のCoまで継承させられるためと考えられる。
【0063】
分断層124のRuに含有させる酸化物としては様々なものが考えられるが、特にW、Ti、Ruの酸化物を用いることにより、電磁変換特性(SNR)を向上させることができる。例えば分断層124は、RuO、RuWO、またはRuTiOであってもよい。中でも、WOは高い効果を得ることができる。
【0064】
これは、Ruに含有させた酸素または酸化物がスパッタ中に解離され、解離された酸素が、酸素添加の効果も示すためと考えられる。つまり、WOを使うことにより、酸素添加の効果と酸化物添加の効果を併せ持つことができるので、好適である。酸化物の他の例としては、酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
【0065】
本実施形態では、補助記録層126は、基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である。補助記録層126は磁気記録層122に対して磁気的相互作用を有するように、隣接または近接している必要がある。補助記録層126の材質としては、例えばCoCrPt、CoCrPtB、またはこれらに微少量の酸化物を含有させて構成することができる。補助記録層126は逆磁区核形成磁界Hnの調整、保磁力Hcの調整を行い、これにより耐熱揺らぎ特性、OW特性、およびSNRの改善を図ることを目的としている。この目的を達成するために、補助記録層126は垂直磁気異方性Kuおよび飽和磁化Msが高いことが望ましい。なお本実施形態において補助記録層126は磁気記録層122の上方に設けているが、下方に設けてもよい。
【0066】
なお、「磁気的に連続している」とは磁性が連続していることを意味している。「ほぼ連続している」とは、補助記録層126全体で観察すれば一つの磁石ではなく、結晶粒子の粒界などによって磁性が不連続となっていてもよいことを意味している。粒界は結晶の不連続のみではなく、Crが偏析していてもよく、さらに微少量の酸化物を含有させて偏析させても良い。ただし補助記録層126に酸化物を含有する粒界を形成した場合であっても、磁気記録層122の粒界よりも面積が小さい(酸化物の含有量が少ない)ことが好ましい。補助記録層126の機能と作用については必ずしも明確ではないが、磁気記録層122のグラニュラ磁性粒子と磁気的相互作用を有する(交換結合を行う)ことによってHnおよびHcを調整することができ、耐熱揺らぎ特性およびSNRを向上させていると考えられる。またグラニュラ磁性粒子と接続する結晶粒子(磁気的相互作用を有する結晶粒子)がグラニュラ磁性粒子の断面よりも広面積となるため磁気ヘッドから多くの磁束を受けて磁化反転しやすくなり、全体のOW特性を向上させるものと考えられる。
【0067】
媒体保護層128は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成することができる。媒体保護層128は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録媒体100を防護するための層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録媒体100を防護することができる。
【0068】
潤滑層130は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜することができる。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、媒体保護層128表面のN原子と高い親和性をもって結合する。この潤滑層130の作用により、垂直磁気記録媒体100の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層128の損傷や欠損を防止することができる。
【0069】
以上の製造工程により、垂直磁気記録媒体100を得ることができた。次に、本実施形態の実施例を説明する。
【0070】
(実施例)
ディスク基体110上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行った。付着層112は、CrTiとした。軟磁性層114は、第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成はCoFeTaZrとし、スペーサ層114bの組成はRuとした。第1下地層118aは低圧(1Pa)のAr雰囲気下でRu膜として成膜した。第2下地層118bは、酸素が含まれているターゲットを用いて高圧(3.5Pa)のAr雰囲気下で、酸素を含有するRu(RuO)膜として成膜した。第3下地層118cは、第1下地層118aと同様に、酸素を含まないターゲットを用いてAr雰囲気下でRu膜として成膜したが、ガス圧は最も低く、0.5〜0.6Paで成膜した。
【0071】
媒体保護層128はCVD法によりCおよびCNを用いて成膜し、潤滑層130はディップコート法によりPFPEを用いて形成した。
【0072】
図3は本実施例および比較例の評価結果を示す図である。第2下地層118bより第3下地層118cのスパッタリング成膜時のガス圧を低くした実施例1〜実施例3のほうが、比較例1〜比較例3に比較して、保持力HcやSNRなどの電気的特性に優れ、また、コロージョンによるディスククラッシュも生じず、信頼性に優れ、総合的に評価が高いことが分かる。
【0073】
ガス圧は、おおむね、1.0Pa以下が低い値、1.5Pa以上が高い値と考えられ、上記のように、第2下地層118bの製膜時のガス圧を高い値とし、第3下地層118cの製膜時のガス圧を低い値とした各実施例において、良好な結果が得られた。一方、これらと異なるガス圧の組み合わせを行った各比較例では、良好な結果が得られなかった。
【0074】
なお第1下地層118aのスパッタリング成膜時のガス圧は、第2下地層118bのそれより低く、共通の値としたため、図3では省略している。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される垂直磁気記録媒体として利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
100 …垂直磁気記録媒体
110 …ディスク基体
112 …付着層
114 …軟磁性層
114a …第1軟磁性層
114b …スペーサ層
114c …第2軟磁性層
116 …前下地層
118 …下地層
118a …第1下地層
118b …第2下地層
118c …第3下地層
120 …非磁性グラニュラ層
122 …磁気記録層
122a …下記録層
122b …介在層
122c …第1主記録層
122d …第2主記録層
124 …分断層
126 …補助記録層
128 …媒体保護層
130 …潤滑層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に少なくとも、信号を記録する磁気記録層と、該磁気記録層より下に設けられる下地層と、該下地層の結晶配向性を制御するための非磁性層と、該非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、
前記下地層は下方から順に、ルテニウムを含む第1下地層および第2下地層と、金属を含む第3下地層との3層で構成され、
スパッタリングによる成膜時のガス圧は、前記3層のうち前記第2下地層が最も高いことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項2】
前記第3下地層に含まれる金属は、hcp構造(六方最密結晶格子)を有することを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項3】
前記第3下地層に含まれる金属は、ルテニウム、クロム・タンタル合金またはクロム・チタン合金から選択されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項4】
前記成膜時のガス圧は、実質的に、第1下地層が1Pa、第2下地層が3.5Pa、第3下地層が0.5〜0.6Paであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項5】
前記第3下地層の膜厚は1〜1.5nmであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−141940(P2011−141940A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3359(P2010−3359)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(510210911)ダブリュディ・メディア・シンガポール・プライベートリミテッド (53)
【Fターム(参考)】