型枠支持用セパレータおよびこのセパレータを用いたコンクリート躯体の構築方法
【課題】セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる型枠用セパレータの提供。
【解決手段】対向するコンクリート型枠パネルの間隔を保持するべく当該コンクリート型枠パネルを支持する型枠支持用セパレータであって、第1の雄ねじが両端部に形成され中途部がねじ機構により着脱可能に構成された軸体と、上記軸体の両端部に上記雄ねじより内側で遊嵌されたリング状板座金とを備える。
【解決手段】対向するコンクリート型枠パネルの間隔を保持するべく当該コンクリート型枠パネルを支持する型枠支持用セパレータであって、第1の雄ねじが両端部に形成され中途部がねじ機構により着脱可能に構成された軸体と、上記軸体の両端部に上記雄ねじより内側で遊嵌されたリング状板座金とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠支持用セパレータに関し、より詳しくは、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる型枠支持用セパレータおよびこのセパレータを用いたコンクリート躯体の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物のコンクリート壁等を施工する際には、コンクリートの打設予定位置に鉄筋を配し、その鉄筋の両側に型枠が対向して設置する。型枠設置の際、上記対向配置された型枠が一定間隔を開けて互いに平行となるように保持し、かつ、上記型枠内に打設されるコンクリートの側圧に対抗して上記型枠を支持するため、型枠用セパレータが上記対向配置された型枠の間に取り付けられる。
【0003】
従来使用されていた型枠用セパレータ(以下、セパレータと称する)は、例えば図15に示されるものであった。
図15に示されるセパレータ110は、両端部に雄ねじ104が形成された軸体100と、中心部に軸体100を挿通する穴が形成され軸体100に雄ねじ104よりも内側で遊嵌されたカップ型座金101とを備えている。軸体100の両端部近傍には、カップ型座金101の移動を制限するリング状突起部102と、リング状突起部102よりも内側に形成された切断用括れ部103が設けられている。
【0004】
図15に示されるセパレータ110を用いたコンクリート壁の製造方法について簡単に説明する。
セパレータ110と、第1の雄ねじ4に螺着されるバタ材締付金具(図示せず)を用いて型枠(図示せず)を対向して建て込む。建て込みの際、カップ型座金101の大径側の開口端を型枠パネルに当接させる。次いで、建て込んだ型枠内にコンクリート105を打設する(図16参照)。コンクリート105が硬化したら、バタ材締付金具および型枠を取り外す(図16参照)。次いで、雄ねじ104を下向きにハンマー等で打って切断用括れ部103でセパレータ110を切断する。セパレータ110の切断により、カップ型座金101が取り外され、コンクリート105の表面にカップ型座金101の形に対応したカップ型凹部106が形成される(図16参照)。次いで、カップ型凹部106にモルタル107を塗り込み、カップ型凹部106を埋める。モルタル107が硬化すれば、コンクリート壁が完成する(図17参照)。以上が、従来のセパレータ110を用いたコンクリート壁の製造方法である。
【0005】
従来のセパレータ110を用いたコンクリート壁の製造方法によれば、セパレータ110で型枠を所定間隔に保持して、所定厚さのコンクリート壁を製造することができる。
【0006】
しかしながら、従来のセパレータ110を用いてコンクリート壁を製造した場合には、以下の課題が存在した。
すなわち、コンクリート壁の表面には、図17に示されるカップ型のモルタル片107が形成される。このモルタル片107は、何年か経つと環境によってはカップ型凹部106から脱落することがあった。また、カップ型凹部106にモルタルを塗り込んでモルタル表面を綺麗に仕上げるには熟練を要するという課題もあった。また、コンクリート105の欠損部分が大きくなるため、コンクリート105の強度が低下し、コンクリート105にひび割れが生じる可能性があった。
【0007】
なお、特許文献1には、上記したカップ型座金101を備えるセパレータ110を改良したセパレータについて開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されているセパレータは、型枠へのセパレータの取り付け作業を容易にするための技術であり、モルタル片の脱落を防止する技術ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−32290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる型枠支持用セパレータおよびこのセパレータを用いたコンクリート躯体の構築方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用した。
第1の発明は、
対向するコンクリート型枠の間隔を保持するべく当該コンクリート型枠を支持する型枠支持用セパレータであって、
第1の雄ねじが両端部に形成され、中途部がねじ機構により着脱可能に構成された軸体と、
上記軸体の両端部に上記雄ねじより内側で遊嵌されたリング状板座金とを備えた、型枠支持用セパレータである。
【0011】
第1の発明によれば、第1の雄ねじが両端部に形成され中途部がねじ機構により着脱可能に構成された軸体を備えている。よって、コンクリート硬化後に、コンクリート表面から突出した各第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させることにより、軸体をコンクリートから容易に抜き取ることができる。軸体の抜き取りにより、コンクリートには、リング状板座金に対応する形の凹部と、軸体に対応する形の細穴が形成される。この凹部は浅いものなので特にモルタルで埋める必要はない。また、細穴をモルタルで埋めるのは容易であり、かつ、細穴に埋められたモルタルは年数を経ても脱落しにくい。よって、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる。しかも、上記凹部をモルタルで埋める作業が不要になるので、工期短縮を図ることができる。また、従来に比べてコンクリートの欠損部分が小さくて済むので、コンクリートのひび割れを防止することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
上記軸体は、外側端部に上記第1の雄ねじが形成された、第1の軸体および第2の軸体を含み、
上記ねじ機構は、上記第1の軸体および上記第2の軸体の各内側端部に形成された第2の雄ねじと、各上記第2の雄ねじと螺着して上記第1の軸体と上記第2の軸体を着脱可能に接合するナット機構とを含むことを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、ねじ機構が第1の軸体、第2の軸体、およびナット機構を含んでいる。コンクリートの硬化後、ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体と第2の軸体を抜き取り、ナット機構をコンクリート内に存置させることができる。よって、コンクリート躯体の構築後に、必要に応じて、雄ねじを有する種々の部材をナット機構の雌ねじに螺着させ、当該部材をコンクリート躯体に取り付けることができる。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、
上記ナット機構は、上記第1の軸体と螺着する第1のナットと、上記第2の軸体と螺着する第2のナットと、当該第1のナットと当該第2のナットを接合する第3の軸体とを有することを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、ナット機構は、第1のナットと第2のナットが第3の軸体で接合された構造である。よって、コンクリート躯体(壁体)の厚みが大きい場合であっても、各ナットの位置を壁面から近い位置に設定することができる。よって、第1の軸体および第2の軸体の長さをそれぞれ短く設定することができる。これにより、第1の軸体および第2の軸体の周面にコンクリートが付着する面積を小さくすることができ、ねじ回しドリルによる各軸体の抜き取り作業を容易に行うことができる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明において、
上記第3の軸体の両端部には第3の雄ねじが形成され、
上記第1のナットは、上記第3の軸体における一端側の上記第3の雄ねじと螺着され、
上記第2のナットは、上記第3の軸体における他端側の上記第3の雄ねじと螺着されることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、第1のナットと第2のナットを容易に接合することができる。よって、型枠支持用セパレータの製造を容易に行うことができる。
【0018】
第5の発明は、第3または第4の発明において、
上記第1のナットおよび上記第2のナットは、多角柱状であることを特徴とする。
【0019】
第5の発明によれば、第1のナットおよび第2のナットは多角柱状なので、各ナットがコンクリート内にしっかりと固定される。よって、ねじ回しドリルを作動させて各軸体をコンクリートから抜き取る際に、ナットが回転してしまうことがなく、各軸体を確実に抜き取ることができる。
【0020】
第6の発明は、第1乃至第5いずれかの発明において、
上記第1の軸体の上記リング状板座金より内側の部分に着脱可能に装着された第1の筒状カバー部材と、上記第2の軸体の上記リング状板座金より内側の部分に着脱可能に装着された第2の筒状カバー部材のうち、少なくともいずれか一方をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
第6の発明によれば、各軸体の所定位置に筒状カバー部材が着脱可能に装着されている。よって、各軸体の表面にコンクリートが付着するのを防止することができ、各軸体をコンクリートから容易に抜き取ることができる。
【0022】
第7の発明は、
第1乃至第6の発明のいずれかに係る型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築する方法であって、
上記型枠支持用セパレータを用いて建て込んだコンクリート型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
上記コンクリートの硬化後に当該コンクリートから上記コンクリート型枠を取り外す型枠取り外し工程と、
上記コンクリートの表面から突出した各上記第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて上記第1の軸体および上記第2の軸体を上記コンクリートから抜き取る軸体抜き取り工程と、を備えたコンクリート躯体の構築方法である。
【0023】
第7の発明によれば、コンクリート硬化後に、コンクリート表面から突出した各第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させることにより、軸体をコンクリートから容易に抜き取ることができる。軸体の抜き取りにより、コンクリートには、リング状板座金に対応する形の凹部と、軸体に対応する形の細穴が形成される。この凹部は浅いものなので特にモルタルで埋める必要はない。また、細穴をモルタルで埋めるのは容易であり、かつ、細穴に埋められたモルタルは年数を経ても脱落しにくい。よって、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる。しかも、コンクリート躯体の構築後に上記凹部をモルタルで埋める作業が不要になるので、工期短縮を図ることができる。また、従来に比べてコンクリートの欠損部分が小さくて済むので、コンクリートのひび割れを防止することができる。
【0024】
第8の発明は、
第2乃至第6の発明のいずれかに係る型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築する方法であって、
上記型枠支持用セパレータを用いて建て込んだコンクリート型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
上記コンクリートの硬化後に当該コンクリートから上記コンクリート型枠を取り外す型枠取り外し工程と、
上記コンクリートの表面から突出した各上記第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて上記第1の軸体および上記第2の軸体を上記コンクリートから抜き取る軸体抜き取り工程とを備え、
上記軸体抜き取り工程において、上記ナット機構から上記第1の軸体および上記第2の軸体が抜き取られ、上記ナット機構は上記コンクリート内に存置されることを特徴とする、コンクリート躯体の構築方法である。
【0025】
第8の発明によれば、第7の発明の効果に加えて、以下の効果を奏する。第8の発明では、ねじ機構が第1の軸体、第2の軸体、およびナット機構を含んでいる。よって、コンクリートの硬化後、ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体と第2の軸体を抜き取り、ナット機構をコンクリート内に存置させることができる。これにより、コンクリート躯体の構築後に、必要に応じて、雄ねじを有する種々の部材をナット機構の雌ねじに螺着させ、当該部材をコンクリート躯体に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る型枠支持用セパレータを示す図であり、(a)はその正面図、(b)は(a)の破線で囲まれた領域の軸方向断面図、(c)は(a)のA−A線断面図
【図2】図1に示される型枠支持用セパレータの分解図
【図3】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図4】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図5】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図6】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図7】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図8】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図9】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図10】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図11】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図12】図1に示される型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築した後に細穴をモルタルで埋める様子を示す断面図
【図13】本発明の第2実施形態に係る型枠支持用セパレータを示す図
【図14】本発明の第3実施形態に係る型枠支持用セパレータを示す図
【図15】従来の型枠支持用セパレータを示す図
【図16】従来の型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図17】従来の型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築した後に、凹部をモルタルで埋める様子を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る型枠支持用セパレータについて、図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1実施形態に係る型枠支持用セパレータを示す図であり、(a)はその正面図、(b)は(a)の破線で囲まれた領域の軸方向断面図、(c)は(a)のA−A線断面図である。図2は、図1に示される型枠支持用セパレータの分解図である。図3〜図12は、図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の各工程を順に示す断面図である。
【0029】
なお、以下の説明において、「内側」とは、型枠支持用セパレータの軸方向中心に近い側を指し、「外側」とは、型枠支持用セパレータの軸方向中心から遠い側を指す。
【0030】
第1実施形態に係る型枠支持用セパレータ(以下、セパレータと称する)1は、対向するコンクリート型枠の間隔を保持するべく当該コンクリート型枠を支持する型枠支持用セパレータである。
【0031】
図1に示されるように、セパレータ1は、主要な構成として、軸体2と、リング状板座金3とを備える。
【0032】
軸体2は、第1の雄ねじ4が両端部に形成され、中途部がねじ機構5により着脱可能に構成されている。
【0033】
軸体2は、外側端部に第1の雄ねじ4が形成された、第1の軸体21および第2の軸体22を含む。なお、「軸体2」は、第1の軸体21と第2の軸体22がねじ機構5によりねじ接合された状態の軸全体を指す。第1の軸体21および第2の軸体22の各内側端部には、第2の雄ねじ6が形成されている(図2参照)。第1の軸体21および第2の軸体22には、リング状板座金3の移動を所定範囲内に制限するストッパー部10が形成されている。ストッパー部10は、第1の軸体21および第2の軸体22の周方向に沿って鍔状に形成された突起である。コンクリート型枠の建て込み時には、コンクリート型枠11の型枠パネル12に形成されたセパレータ挿通穴14に内側から第1の雄ねじ4が挿通され、リング状板座金3の外側面がコンクリート型枠11の内側面(コンクリート120が打設される側の面)に当接するとともに、ストッパー部10にリング状板座金3の内側面が当接する(図4参照)。なお、第1の雄ねじ4も、リング状板座金3の脱落を防止するストッパーの役割を果たしている。第1の雄ねじ4の内側端とストッパー部10の間隔D1は、コンクリート型枠11の型枠パネル12の厚み程度に設定されている。なお、第1の雄ねじ4には、ねじ回しドリルを装着しやすいように、雄ねじ4の周面の一部に互いに平行な平面部(図示せず)を形成しておくことが好ましい。
【0034】
ストッパー部10と後述する第2の雄ねじ6の基端の間隔D2は、コンクリート120の硬化後にそのコンクリート120の付着力に抗してねじ回しドリルで第1の軸体21および第2の軸体22を回し、コンクリート120から第1の軸体21および第2の軸体22を抜き取ることができる程度の長さに設定されている。その長さD2は、例えば、0〜10cmの範囲内に設定される。
【0035】
長さD2に対応する部分の直径d1と、第2の雄ねじ6の外径d2の関係は特に限定されないが、例えば、外径d2は直径d1以下に設定される。外径d2を直径d1以下に設定することにより、コンクリート120から第1の軸体21および第2の軸体22を抜き取る際に、第2の雄ねじ6がコンクリート120に引っ掛かりにくくなり、第1の軸体21および第2の軸体22を容易に抜き取ることができる。
【0036】
ねじ機構5は、第1の軸体21および第2の軸体22の各内側端部に形成された第2の雄ねじ6と、各第2の雄ねじ6と螺着して第1の軸体21と第2の軸体22を着脱可能に接合するナット機構7とを含む。
【0037】
ナット機構7は、第1の軸体21と螺着する第1のナット71と、第2の軸体21と螺着する第2のナット72と、当該第1のナット71と当該第2のナット72を接合する第3の軸体8とを有する。
【0038】
第3の軸体8の両端部には第3の雄ねじ9が形成されている。
第1のナット71は、第3の軸体8における一端側の第3の雄ねじ9と螺着される。第2のナット72は、第3の軸体8における他端側の第3の雄ねじ9と螺着される。第1のナット71および第2のナット72は、多角柱状である。
【0039】
リング状板座金3は、軸体2の両端部に雄ねじ4より内側で遊嵌されている。リング状板座金3の形状は特に限定されるものではないが、例えば円板状とすることができる。リング状板座金3の厚みも特に限定されないが、例えば、0.1〜2.0mmとすることができる。リング状板座金3は薄いので、リング状板座金3に対応した形の凹部17(図11参照)がコンクリート表面に形成された際、その凹部17をモルタルで埋める必要がない。
【0040】
本実施形態に係るセパレータ1によれば、第1の雄ねじ4が両端部に形成され中途部がねじ機構5により着脱可能に構成された軸体2を備えている。よって、コンクリート硬化後に、コンクリート表面から突出した各第1の雄ねじ4にねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させることにより、軸体2をコンクリート120から容易に抜き取ることができる。コンクリート120には、リング状板座金3に対応する形の凹部17と、軸体2に対応する形の細穴18(図11参照)が形成される。この凹部17は浅いものなので特にモルタルで埋める必要はない。また、細穴18をモルタル19で埋めるのは容易であり、かつ、細穴18に埋められたモルタル19は年数を経ても脱落しにくい。よって、セパレータ1の部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴18を埋めるモルタル19がコンクリート壁から脱落するのを防止することができる。しかも、上記凹部17をモルタルで埋める作業が不要になるので、工期短縮を図ることができる。また、従来に比べてコンクリート120の欠損部分が小さくて済むので、コンクリート120のひび割れを防止することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るセパレータ1によれば、ねじ機構5が第1の軸体21、第2の軸体22、およびナット機構7を含んでいる。コンクリート120の硬化後、ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体21と第2の軸体22を抜き取り、ナット機構7をコンクリート120内に存置させることができる(図11参照)。よって、コンクリート躯体の構築後に、必要に応じて、雄ねじを有する種々の部材(図示せず)をナット機構7の雌ねじに螺着させ、当該部材をコンクリート躯体に取り付けることができる。
【0042】
また、本実施形態に係るセパレータ1によれば、ナット機構7は、第1のナット71と第2のナット72が第3の軸体8で接合された構造である。よって、コンクリート躯体(壁体)の厚みが大きい場合であっても、各ナット71,72の位置を壁面から近い位置に設定することができる。よって、第1の軸体21および第2の軸体22の長さをそれぞれ短く設定することができる。これにより、第1の軸体21および第2の軸体22の周面にコンクリート120が付着する面積を小さくすることができ、ねじ回しドリルによる各軸体21,22の抜き取り作業を容易に行うことができる。
【0043】
また、本実施形態に係るセパレータ1によれば、第3の軸体8の両端部には第3の雄ねじ9が形成され、第1のナット71は第3の軸体8における一端側の第3の雄ねじ9と螺着され、第2のナット72は第3の軸体8における他端側の第3の雄ねじ9と螺着される。よって、第1のナット71と第2のナット72を容易に接合することができ、型枠支持用セパレータ1の製造を容易に行うことができる。
【0044】
また、本実施形態に係るセパレータ1によれば、第1のナット71および第2のナット72は多角柱状なので、各ナット71,72がコンクリート内にしっかりと固定される。よって、ねじ回しドリルを作動させて各軸体21,22をコンクリートから抜き取る際に、ナット71,72が回転してしまうことがなく、各軸体21,22を確実に抜き取ることができる。
【0045】
次に、本発明に係るセパレータを用いたコンクリート躯体構築方法について、図面を参照しつつ説明する。ここでは、図1に示されるセパレータ1を用いた場合について説明する。
【0046】
このコンクリート躯体構築方法は、主要な工程として、図8に示されるようにセパレータ1を用いて建て込んだコンクリート型枠11内にコンクリート120を打設するコンクリート打設工程と、コンクリート120の硬化後に当該コンクリート120からコンクリート型枠11を取り外す型枠取り外し工程(図10参照)と、コンクリート120の表面から突出した各第1の雄ねじ4にねじ回しドリル(図示せず)を装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体21および第2の軸体22をコンクリート120から抜き取る軸体抜き取り工程(図11参照)とを備えている。
【0047】
軸体抜き取り工程において、ナット機構7から第1の軸体21および第2の軸体22が抜き取られ、ナット機構7はコンクリート120内に存置される。
【0048】
以下、このコンクリート躯体構築方法について、より詳しく説明する。
まず、図3に示されるように、コンクリートの打設予定位置に鉄筋(図示せず)を配し、この鉄筋の一方側に沿ってコンクリート型枠11を立設する。コンクリート型枠11は、堰板である型枠パネル12と、型枠パネル12を背面側から補強する桟木13とで構成されている。コンクリート型枠11の立設後、型枠パネル12の所要位置に、セパレータ1の第1の雄ねじ4を挿通するためのセパレータ挿通穴14を形成する(ステップS1)。
【0049】
次いで、図4に示されるように、セパレータ挿通穴14に内側から第1の雄ねじ4を挿通し、リング状板座金3の外側面をコンクリート型枠11の内側面(コンクリートが打設される側の面)に当接させるとともに、ストッパー部10にリング状板座金3の内側面を当接させる(ステップS2)。
【0050】
次いで、図5に示されるように、第1の雄ねじ4にバタ材締付金具15の雌ねじを螺着させ、バタ材16をコンクリート型枠11の外側に固定するとともに、当該コンクリート型枠11にセパレータ1を固定する(ステップS3)。
【0051】
次いで、鉄筋の他方側に沿ってコンクリート型枠11を立設する準備をする。図6に示されるように、型枠パネル12の所要位置に、セパレータ1の第1の雄ねじ4を挿通するためのセパレータ挿通穴14を形成する。そのセパレータ挿通穴14に内側から第1の雄ねじ4を挿通し、リング状板座金3の外側面をコンクリート型枠11の内側面(コンクリートが打設される側の面)に当接させるとともに、ストッパー部10にリング状板座金3の内側面を当接させて、コンクリート型枠11を、先に立設したコンクリート型枠11に対向して立設する(ステップS4)。
【0052】
次いで、図7に示されるように、第1の雄ねじ4にバタ材締付金具15の雌ねじを螺着させ、バタ材16をコンクリート型枠11の外側に固定するとともに、当該コンクリート型枠11にセパレータ1を固定する(ステップS5)。
【0053】
次いで、図8に示されるように、対向配置状態に建て込まれたコンクリート型枠11,11の内側にコンクリート120を打設し、コンクリート120を硬化させる(ステップS6)。
【0054】
次いで、図9に示されるように、セパレータ1の両端部からバタ材締付金具15およびバタ材16を取り外す(ステップS7)。
【0055】
次いで、図10に示されるように、硬化したコンクリート120からコンクリート型枠11を取り外す(ステップS8)。
【0056】
次いで、図11に示されるように、コンクリート120の表面から突出した各第1の雄ねじ4にねじ回しドリル(図示せず)を装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体21および第2の軸体22をコンクリート120から抜き取る(ステップS9)。第1の軸体21および第2の軸体22を抜き取ることにより、コンクリート120には、リング状板座金3に対応する形の凹部17と、第1の軸体21および第2の軸体22のストッパー部10から第2の雄ねじ6の基端までの部分(図2に示す間隔D2に対応する部分)に対応する形の細穴18が形成される。
以上の各工程を経て、コンクリート躯体が構築される。
【0057】
次に、セパレータ1の第1の軸体21および第2の軸体22をコンクリート120(コンクリート壁)から取り外す際にできた細穴18をモルタルで埋める作業について説明する。
【0058】
この作業においては、図12に示されるように、例えば、細穴18にモルタル19を埋め込み、モルタル19の表面が凹部17の底面と面一となるようにする。モルタル19は、細穴18内で硬化する。硬化したモルタル19は細穴18に埋め込まれているので、長い年数が経過してもコンクリート120から脱落しにくい。また、細穴18をモルタルで埋めるのは容易であり、高度な技量を必要としない。
【0059】
なお、凹部17は浅いものなので特にモルタルで埋める必要はない。よって、工期短縮を図ることができる。
【0060】
なお、本発明に係るセパレータの構造は、上記した構造に限定されるものではなく、例えば、以下に示されるように変更することも可能である。
【0061】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係るセパレータ20を示す図である。第1の実施形態と同様の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図1に示されるセパレータ1は、2個のナット71,72を備えていたが、図13に示されるセパレータ20は、1個のナット73を備えており、図1に示される第3の軸体8を備えておらず、その他の構成は第1実施形態と同様である。ナット73は、第1の軸体21および第2の軸体22と直接、ねじ接合している。このセパレータ20は、例えば、比較的薄い厚みのコンクリート壁を構築する際に使用することができる。
【0063】
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係るセパレータ30を示す図である。第1の実施形態と同様の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図14に示されるセパレータ30は、第1の軸体21のリング状板座金3より内側の部分に着脱可能に装着された第1の筒状カバー部材31と、第2の軸体22のリング状板座金3より内側の部分に着脱可能に装着された第2の筒状カバー部材32のうち、少なくともいずれか一方をさらに備えている。図14に示される例では、第1の筒状カバー部材31と第2の筒状カバー部材32の双方が設けられている。
【0065】
第1の筒状カバー部材31、第2の筒状カバー部材32の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、可撓性を有する合成樹脂で構成することができる。第1の軸体21、第2の軸体22に装着する前における第1の筒状カバー部材31、第2の筒状カバー部材32の内径は、例えば、第1の雄ねじ4、ストッパー部10のそれぞれの外形よりやや小さく設定することができる。第1の筒状カバー部材31、第2の筒状カバー部材32の可撓性は、例えば、第1の軸体21、第2の軸体22へ装着する際には作業者が装着できる程度に変形し、かつ、コンクリートを打設した際のコンクリートの圧力ではほとんど変形しない程度の可撓性に設定することができる。
【0066】
このセパレータ30は、各軸体21,22の所定位置に筒状カバー部材31,32が着脱可能に装着されている。よって、各軸体21,22の表面にコンクリートが付着するのを防止することができ、各軸体21,22をコンクリートからさらに容易に抜き取ることができる。第1の筒状カバー部材31、第2の筒状カバー部材32は、通常、コンクリート内に存置される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる型枠支持用セパレータおよびこのセパレータを用いたコンクリート躯体の構築方法等に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1、20、30 型枠支持用セパレータ
2 軸体
21 第1の軸体
22 第2の軸体
3 リング状板座金
4 第1の雄ねじ
5 ねじ機構
6 第2の雄ねじ
7 ナット機構
71 第1のナット
72 第2のナット
8 第3の軸体
9 第3の雄ねじ
10 ストッパー部
11 コンクリート型枠
12 コンクリート
13 桟木
14 セパレータ挿通穴
15 バタ材締付金具
16 バタ材
17 凹部
18 細穴
19 モルタル
31 第1の筒状カバー部材
32 第2の筒状カバー部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠支持用セパレータに関し、より詳しくは、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる型枠支持用セパレータおよびこのセパレータを用いたコンクリート躯体の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物のコンクリート壁等を施工する際には、コンクリートの打設予定位置に鉄筋を配し、その鉄筋の両側に型枠が対向して設置する。型枠設置の際、上記対向配置された型枠が一定間隔を開けて互いに平行となるように保持し、かつ、上記型枠内に打設されるコンクリートの側圧に対抗して上記型枠を支持するため、型枠用セパレータが上記対向配置された型枠の間に取り付けられる。
【0003】
従来使用されていた型枠用セパレータ(以下、セパレータと称する)は、例えば図15に示されるものであった。
図15に示されるセパレータ110は、両端部に雄ねじ104が形成された軸体100と、中心部に軸体100を挿通する穴が形成され軸体100に雄ねじ104よりも内側で遊嵌されたカップ型座金101とを備えている。軸体100の両端部近傍には、カップ型座金101の移動を制限するリング状突起部102と、リング状突起部102よりも内側に形成された切断用括れ部103が設けられている。
【0004】
図15に示されるセパレータ110を用いたコンクリート壁の製造方法について簡単に説明する。
セパレータ110と、第1の雄ねじ4に螺着されるバタ材締付金具(図示せず)を用いて型枠(図示せず)を対向して建て込む。建て込みの際、カップ型座金101の大径側の開口端を型枠パネルに当接させる。次いで、建て込んだ型枠内にコンクリート105を打設する(図16参照)。コンクリート105が硬化したら、バタ材締付金具および型枠を取り外す(図16参照)。次いで、雄ねじ104を下向きにハンマー等で打って切断用括れ部103でセパレータ110を切断する。セパレータ110の切断により、カップ型座金101が取り外され、コンクリート105の表面にカップ型座金101の形に対応したカップ型凹部106が形成される(図16参照)。次いで、カップ型凹部106にモルタル107を塗り込み、カップ型凹部106を埋める。モルタル107が硬化すれば、コンクリート壁が完成する(図17参照)。以上が、従来のセパレータ110を用いたコンクリート壁の製造方法である。
【0005】
従来のセパレータ110を用いたコンクリート壁の製造方法によれば、セパレータ110で型枠を所定間隔に保持して、所定厚さのコンクリート壁を製造することができる。
【0006】
しかしながら、従来のセパレータ110を用いてコンクリート壁を製造した場合には、以下の課題が存在した。
すなわち、コンクリート壁の表面には、図17に示されるカップ型のモルタル片107が形成される。このモルタル片107は、何年か経つと環境によってはカップ型凹部106から脱落することがあった。また、カップ型凹部106にモルタルを塗り込んでモルタル表面を綺麗に仕上げるには熟練を要するという課題もあった。また、コンクリート105の欠損部分が大きくなるため、コンクリート105の強度が低下し、コンクリート105にひび割れが生じる可能性があった。
【0007】
なお、特許文献1には、上記したカップ型座金101を備えるセパレータ110を改良したセパレータについて開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されているセパレータは、型枠へのセパレータの取り付け作業を容易にするための技術であり、モルタル片の脱落を防止する技術ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−32290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる型枠支持用セパレータおよびこのセパレータを用いたコンクリート躯体の構築方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用した。
第1の発明は、
対向するコンクリート型枠の間隔を保持するべく当該コンクリート型枠を支持する型枠支持用セパレータであって、
第1の雄ねじが両端部に形成され、中途部がねじ機構により着脱可能に構成された軸体と、
上記軸体の両端部に上記雄ねじより内側で遊嵌されたリング状板座金とを備えた、型枠支持用セパレータである。
【0011】
第1の発明によれば、第1の雄ねじが両端部に形成され中途部がねじ機構により着脱可能に構成された軸体を備えている。よって、コンクリート硬化後に、コンクリート表面から突出した各第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させることにより、軸体をコンクリートから容易に抜き取ることができる。軸体の抜き取りにより、コンクリートには、リング状板座金に対応する形の凹部と、軸体に対応する形の細穴が形成される。この凹部は浅いものなので特にモルタルで埋める必要はない。また、細穴をモルタルで埋めるのは容易であり、かつ、細穴に埋められたモルタルは年数を経ても脱落しにくい。よって、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる。しかも、上記凹部をモルタルで埋める作業が不要になるので、工期短縮を図ることができる。また、従来に比べてコンクリートの欠損部分が小さくて済むので、コンクリートのひび割れを防止することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
上記軸体は、外側端部に上記第1の雄ねじが形成された、第1の軸体および第2の軸体を含み、
上記ねじ機構は、上記第1の軸体および上記第2の軸体の各内側端部に形成された第2の雄ねじと、各上記第2の雄ねじと螺着して上記第1の軸体と上記第2の軸体を着脱可能に接合するナット機構とを含むことを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、ねじ機構が第1の軸体、第2の軸体、およびナット機構を含んでいる。コンクリートの硬化後、ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体と第2の軸体を抜き取り、ナット機構をコンクリート内に存置させることができる。よって、コンクリート躯体の構築後に、必要に応じて、雄ねじを有する種々の部材をナット機構の雌ねじに螺着させ、当該部材をコンクリート躯体に取り付けることができる。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、
上記ナット機構は、上記第1の軸体と螺着する第1のナットと、上記第2の軸体と螺着する第2のナットと、当該第1のナットと当該第2のナットを接合する第3の軸体とを有することを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、ナット機構は、第1のナットと第2のナットが第3の軸体で接合された構造である。よって、コンクリート躯体(壁体)の厚みが大きい場合であっても、各ナットの位置を壁面から近い位置に設定することができる。よって、第1の軸体および第2の軸体の長さをそれぞれ短く設定することができる。これにより、第1の軸体および第2の軸体の周面にコンクリートが付着する面積を小さくすることができ、ねじ回しドリルによる各軸体の抜き取り作業を容易に行うことができる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明において、
上記第3の軸体の両端部には第3の雄ねじが形成され、
上記第1のナットは、上記第3の軸体における一端側の上記第3の雄ねじと螺着され、
上記第2のナットは、上記第3の軸体における他端側の上記第3の雄ねじと螺着されることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、第1のナットと第2のナットを容易に接合することができる。よって、型枠支持用セパレータの製造を容易に行うことができる。
【0018】
第5の発明は、第3または第4の発明において、
上記第1のナットおよび上記第2のナットは、多角柱状であることを特徴とする。
【0019】
第5の発明によれば、第1のナットおよび第2のナットは多角柱状なので、各ナットがコンクリート内にしっかりと固定される。よって、ねじ回しドリルを作動させて各軸体をコンクリートから抜き取る際に、ナットが回転してしまうことがなく、各軸体を確実に抜き取ることができる。
【0020】
第6の発明は、第1乃至第5いずれかの発明において、
上記第1の軸体の上記リング状板座金より内側の部分に着脱可能に装着された第1の筒状カバー部材と、上記第2の軸体の上記リング状板座金より内側の部分に着脱可能に装着された第2の筒状カバー部材のうち、少なくともいずれか一方をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
第6の発明によれば、各軸体の所定位置に筒状カバー部材が着脱可能に装着されている。よって、各軸体の表面にコンクリートが付着するのを防止することができ、各軸体をコンクリートから容易に抜き取ることができる。
【0022】
第7の発明は、
第1乃至第6の発明のいずれかに係る型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築する方法であって、
上記型枠支持用セパレータを用いて建て込んだコンクリート型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
上記コンクリートの硬化後に当該コンクリートから上記コンクリート型枠を取り外す型枠取り外し工程と、
上記コンクリートの表面から突出した各上記第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて上記第1の軸体および上記第2の軸体を上記コンクリートから抜き取る軸体抜き取り工程と、を備えたコンクリート躯体の構築方法である。
【0023】
第7の発明によれば、コンクリート硬化後に、コンクリート表面から突出した各第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させることにより、軸体をコンクリートから容易に抜き取ることができる。軸体の抜き取りにより、コンクリートには、リング状板座金に対応する形の凹部と、軸体に対応する形の細穴が形成される。この凹部は浅いものなので特にモルタルで埋める必要はない。また、細穴をモルタルで埋めるのは容易であり、かつ、細穴に埋められたモルタルは年数を経ても脱落しにくい。よって、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる。しかも、コンクリート躯体の構築後に上記凹部をモルタルで埋める作業が不要になるので、工期短縮を図ることができる。また、従来に比べてコンクリートの欠損部分が小さくて済むので、コンクリートのひび割れを防止することができる。
【0024】
第8の発明は、
第2乃至第6の発明のいずれかに係る型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築する方法であって、
上記型枠支持用セパレータを用いて建て込んだコンクリート型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
上記コンクリートの硬化後に当該コンクリートから上記コンクリート型枠を取り外す型枠取り外し工程と、
上記コンクリートの表面から突出した各上記第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて上記第1の軸体および上記第2の軸体を上記コンクリートから抜き取る軸体抜き取り工程とを備え、
上記軸体抜き取り工程において、上記ナット機構から上記第1の軸体および上記第2の軸体が抜き取られ、上記ナット機構は上記コンクリート内に存置されることを特徴とする、コンクリート躯体の構築方法である。
【0025】
第8の発明によれば、第7の発明の効果に加えて、以下の効果を奏する。第8の発明では、ねじ機構が第1の軸体、第2の軸体、およびナット機構を含んでいる。よって、コンクリートの硬化後、ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体と第2の軸体を抜き取り、ナット機構をコンクリート内に存置させることができる。これにより、コンクリート躯体の構築後に、必要に応じて、雄ねじを有する種々の部材をナット機構の雌ねじに螺着させ、当該部材をコンクリート躯体に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る型枠支持用セパレータを示す図であり、(a)はその正面図、(b)は(a)の破線で囲まれた領域の軸方向断面図、(c)は(a)のA−A線断面図
【図2】図1に示される型枠支持用セパレータの分解図
【図3】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図4】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図5】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図6】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図7】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図8】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図9】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図10】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図11】図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図12】図1に示される型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築した後に細穴をモルタルで埋める様子を示す断面図
【図13】本発明の第2実施形態に係る型枠支持用セパレータを示す図
【図14】本発明の第3実施形態に係る型枠支持用セパレータを示す図
【図15】従来の型枠支持用セパレータを示す図
【図16】従来の型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の一工程を示す断面図
【図17】従来の型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築した後に、凹部をモルタルで埋める様子を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る型枠支持用セパレータについて、図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1実施形態に係る型枠支持用セパレータを示す図であり、(a)はその正面図、(b)は(a)の破線で囲まれた領域の軸方向断面図、(c)は(a)のA−A線断面図である。図2は、図1に示される型枠支持用セパレータの分解図である。図3〜図12は、図1に示される型枠支持用セパレータを用いたコンクリート躯体構築方法の各工程を順に示す断面図である。
【0029】
なお、以下の説明において、「内側」とは、型枠支持用セパレータの軸方向中心に近い側を指し、「外側」とは、型枠支持用セパレータの軸方向中心から遠い側を指す。
【0030】
第1実施形態に係る型枠支持用セパレータ(以下、セパレータと称する)1は、対向するコンクリート型枠の間隔を保持するべく当該コンクリート型枠を支持する型枠支持用セパレータである。
【0031】
図1に示されるように、セパレータ1は、主要な構成として、軸体2と、リング状板座金3とを備える。
【0032】
軸体2は、第1の雄ねじ4が両端部に形成され、中途部がねじ機構5により着脱可能に構成されている。
【0033】
軸体2は、外側端部に第1の雄ねじ4が形成された、第1の軸体21および第2の軸体22を含む。なお、「軸体2」は、第1の軸体21と第2の軸体22がねじ機構5によりねじ接合された状態の軸全体を指す。第1の軸体21および第2の軸体22の各内側端部には、第2の雄ねじ6が形成されている(図2参照)。第1の軸体21および第2の軸体22には、リング状板座金3の移動を所定範囲内に制限するストッパー部10が形成されている。ストッパー部10は、第1の軸体21および第2の軸体22の周方向に沿って鍔状に形成された突起である。コンクリート型枠の建て込み時には、コンクリート型枠11の型枠パネル12に形成されたセパレータ挿通穴14に内側から第1の雄ねじ4が挿通され、リング状板座金3の外側面がコンクリート型枠11の内側面(コンクリート120が打設される側の面)に当接するとともに、ストッパー部10にリング状板座金3の内側面が当接する(図4参照)。なお、第1の雄ねじ4も、リング状板座金3の脱落を防止するストッパーの役割を果たしている。第1の雄ねじ4の内側端とストッパー部10の間隔D1は、コンクリート型枠11の型枠パネル12の厚み程度に設定されている。なお、第1の雄ねじ4には、ねじ回しドリルを装着しやすいように、雄ねじ4の周面の一部に互いに平行な平面部(図示せず)を形成しておくことが好ましい。
【0034】
ストッパー部10と後述する第2の雄ねじ6の基端の間隔D2は、コンクリート120の硬化後にそのコンクリート120の付着力に抗してねじ回しドリルで第1の軸体21および第2の軸体22を回し、コンクリート120から第1の軸体21および第2の軸体22を抜き取ることができる程度の長さに設定されている。その長さD2は、例えば、0〜10cmの範囲内に設定される。
【0035】
長さD2に対応する部分の直径d1と、第2の雄ねじ6の外径d2の関係は特に限定されないが、例えば、外径d2は直径d1以下に設定される。外径d2を直径d1以下に設定することにより、コンクリート120から第1の軸体21および第2の軸体22を抜き取る際に、第2の雄ねじ6がコンクリート120に引っ掛かりにくくなり、第1の軸体21および第2の軸体22を容易に抜き取ることができる。
【0036】
ねじ機構5は、第1の軸体21および第2の軸体22の各内側端部に形成された第2の雄ねじ6と、各第2の雄ねじ6と螺着して第1の軸体21と第2の軸体22を着脱可能に接合するナット機構7とを含む。
【0037】
ナット機構7は、第1の軸体21と螺着する第1のナット71と、第2の軸体21と螺着する第2のナット72と、当該第1のナット71と当該第2のナット72を接合する第3の軸体8とを有する。
【0038】
第3の軸体8の両端部には第3の雄ねじ9が形成されている。
第1のナット71は、第3の軸体8における一端側の第3の雄ねじ9と螺着される。第2のナット72は、第3の軸体8における他端側の第3の雄ねじ9と螺着される。第1のナット71および第2のナット72は、多角柱状である。
【0039】
リング状板座金3は、軸体2の両端部に雄ねじ4より内側で遊嵌されている。リング状板座金3の形状は特に限定されるものではないが、例えば円板状とすることができる。リング状板座金3の厚みも特に限定されないが、例えば、0.1〜2.0mmとすることができる。リング状板座金3は薄いので、リング状板座金3に対応した形の凹部17(図11参照)がコンクリート表面に形成された際、その凹部17をモルタルで埋める必要がない。
【0040】
本実施形態に係るセパレータ1によれば、第1の雄ねじ4が両端部に形成され中途部がねじ機構5により着脱可能に構成された軸体2を備えている。よって、コンクリート硬化後に、コンクリート表面から突出した各第1の雄ねじ4にねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させることにより、軸体2をコンクリート120から容易に抜き取ることができる。コンクリート120には、リング状板座金3に対応する形の凹部17と、軸体2に対応する形の細穴18(図11参照)が形成される。この凹部17は浅いものなので特にモルタルで埋める必要はない。また、細穴18をモルタル19で埋めるのは容易であり、かつ、細穴18に埋められたモルタル19は年数を経ても脱落しにくい。よって、セパレータ1の部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴18を埋めるモルタル19がコンクリート壁から脱落するのを防止することができる。しかも、上記凹部17をモルタルで埋める作業が不要になるので、工期短縮を図ることができる。また、従来に比べてコンクリート120の欠損部分が小さくて済むので、コンクリート120のひび割れを防止することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るセパレータ1によれば、ねじ機構5が第1の軸体21、第2の軸体22、およびナット機構7を含んでいる。コンクリート120の硬化後、ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体21と第2の軸体22を抜き取り、ナット機構7をコンクリート120内に存置させることができる(図11参照)。よって、コンクリート躯体の構築後に、必要に応じて、雄ねじを有する種々の部材(図示せず)をナット機構7の雌ねじに螺着させ、当該部材をコンクリート躯体に取り付けることができる。
【0042】
また、本実施形態に係るセパレータ1によれば、ナット機構7は、第1のナット71と第2のナット72が第3の軸体8で接合された構造である。よって、コンクリート躯体(壁体)の厚みが大きい場合であっても、各ナット71,72の位置を壁面から近い位置に設定することができる。よって、第1の軸体21および第2の軸体22の長さをそれぞれ短く設定することができる。これにより、第1の軸体21および第2の軸体22の周面にコンクリート120が付着する面積を小さくすることができ、ねじ回しドリルによる各軸体21,22の抜き取り作業を容易に行うことができる。
【0043】
また、本実施形態に係るセパレータ1によれば、第3の軸体8の両端部には第3の雄ねじ9が形成され、第1のナット71は第3の軸体8における一端側の第3の雄ねじ9と螺着され、第2のナット72は第3の軸体8における他端側の第3の雄ねじ9と螺着される。よって、第1のナット71と第2のナット72を容易に接合することができ、型枠支持用セパレータ1の製造を容易に行うことができる。
【0044】
また、本実施形態に係るセパレータ1によれば、第1のナット71および第2のナット72は多角柱状なので、各ナット71,72がコンクリート内にしっかりと固定される。よって、ねじ回しドリルを作動させて各軸体21,22をコンクリートから抜き取る際に、ナット71,72が回転してしまうことがなく、各軸体21,22を確実に抜き取ることができる。
【0045】
次に、本発明に係るセパレータを用いたコンクリート躯体構築方法について、図面を参照しつつ説明する。ここでは、図1に示されるセパレータ1を用いた場合について説明する。
【0046】
このコンクリート躯体構築方法は、主要な工程として、図8に示されるようにセパレータ1を用いて建て込んだコンクリート型枠11内にコンクリート120を打設するコンクリート打設工程と、コンクリート120の硬化後に当該コンクリート120からコンクリート型枠11を取り外す型枠取り外し工程(図10参照)と、コンクリート120の表面から突出した各第1の雄ねじ4にねじ回しドリル(図示せず)を装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体21および第2の軸体22をコンクリート120から抜き取る軸体抜き取り工程(図11参照)とを備えている。
【0047】
軸体抜き取り工程において、ナット機構7から第1の軸体21および第2の軸体22が抜き取られ、ナット機構7はコンクリート120内に存置される。
【0048】
以下、このコンクリート躯体構築方法について、より詳しく説明する。
まず、図3に示されるように、コンクリートの打設予定位置に鉄筋(図示せず)を配し、この鉄筋の一方側に沿ってコンクリート型枠11を立設する。コンクリート型枠11は、堰板である型枠パネル12と、型枠パネル12を背面側から補強する桟木13とで構成されている。コンクリート型枠11の立設後、型枠パネル12の所要位置に、セパレータ1の第1の雄ねじ4を挿通するためのセパレータ挿通穴14を形成する(ステップS1)。
【0049】
次いで、図4に示されるように、セパレータ挿通穴14に内側から第1の雄ねじ4を挿通し、リング状板座金3の外側面をコンクリート型枠11の内側面(コンクリートが打設される側の面)に当接させるとともに、ストッパー部10にリング状板座金3の内側面を当接させる(ステップS2)。
【0050】
次いで、図5に示されるように、第1の雄ねじ4にバタ材締付金具15の雌ねじを螺着させ、バタ材16をコンクリート型枠11の外側に固定するとともに、当該コンクリート型枠11にセパレータ1を固定する(ステップS3)。
【0051】
次いで、鉄筋の他方側に沿ってコンクリート型枠11を立設する準備をする。図6に示されるように、型枠パネル12の所要位置に、セパレータ1の第1の雄ねじ4を挿通するためのセパレータ挿通穴14を形成する。そのセパレータ挿通穴14に内側から第1の雄ねじ4を挿通し、リング状板座金3の外側面をコンクリート型枠11の内側面(コンクリートが打設される側の面)に当接させるとともに、ストッパー部10にリング状板座金3の内側面を当接させて、コンクリート型枠11を、先に立設したコンクリート型枠11に対向して立設する(ステップS4)。
【0052】
次いで、図7に示されるように、第1の雄ねじ4にバタ材締付金具15の雌ねじを螺着させ、バタ材16をコンクリート型枠11の外側に固定するとともに、当該コンクリート型枠11にセパレータ1を固定する(ステップS5)。
【0053】
次いで、図8に示されるように、対向配置状態に建て込まれたコンクリート型枠11,11の内側にコンクリート120を打設し、コンクリート120を硬化させる(ステップS6)。
【0054】
次いで、図9に示されるように、セパレータ1の両端部からバタ材締付金具15およびバタ材16を取り外す(ステップS7)。
【0055】
次いで、図10に示されるように、硬化したコンクリート120からコンクリート型枠11を取り外す(ステップS8)。
【0056】
次いで、図11に示されるように、コンクリート120の表面から突出した各第1の雄ねじ4にねじ回しドリル(図示せず)を装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて第1の軸体21および第2の軸体22をコンクリート120から抜き取る(ステップS9)。第1の軸体21および第2の軸体22を抜き取ることにより、コンクリート120には、リング状板座金3に対応する形の凹部17と、第1の軸体21および第2の軸体22のストッパー部10から第2の雄ねじ6の基端までの部分(図2に示す間隔D2に対応する部分)に対応する形の細穴18が形成される。
以上の各工程を経て、コンクリート躯体が構築される。
【0057】
次に、セパレータ1の第1の軸体21および第2の軸体22をコンクリート120(コンクリート壁)から取り外す際にできた細穴18をモルタルで埋める作業について説明する。
【0058】
この作業においては、図12に示されるように、例えば、細穴18にモルタル19を埋め込み、モルタル19の表面が凹部17の底面と面一となるようにする。モルタル19は、細穴18内で硬化する。硬化したモルタル19は細穴18に埋め込まれているので、長い年数が経過してもコンクリート120から脱落しにくい。また、細穴18をモルタルで埋めるのは容易であり、高度な技量を必要としない。
【0059】
なお、凹部17は浅いものなので特にモルタルで埋める必要はない。よって、工期短縮を図ることができる。
【0060】
なお、本発明に係るセパレータの構造は、上記した構造に限定されるものではなく、例えば、以下に示されるように変更することも可能である。
【0061】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係るセパレータ20を示す図である。第1の実施形態と同様の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図1に示されるセパレータ1は、2個のナット71,72を備えていたが、図13に示されるセパレータ20は、1個のナット73を備えており、図1に示される第3の軸体8を備えておらず、その他の構成は第1実施形態と同様である。ナット73は、第1の軸体21および第2の軸体22と直接、ねじ接合している。このセパレータ20は、例えば、比較的薄い厚みのコンクリート壁を構築する際に使用することができる。
【0063】
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係るセパレータ30を示す図である。第1の実施形態と同様の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図14に示されるセパレータ30は、第1の軸体21のリング状板座金3より内側の部分に着脱可能に装着された第1の筒状カバー部材31と、第2の軸体22のリング状板座金3より内側の部分に着脱可能に装着された第2の筒状カバー部材32のうち、少なくともいずれか一方をさらに備えている。図14に示される例では、第1の筒状カバー部材31と第2の筒状カバー部材32の双方が設けられている。
【0065】
第1の筒状カバー部材31、第2の筒状カバー部材32の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、可撓性を有する合成樹脂で構成することができる。第1の軸体21、第2の軸体22に装着する前における第1の筒状カバー部材31、第2の筒状カバー部材32の内径は、例えば、第1の雄ねじ4、ストッパー部10のそれぞれの外形よりやや小さく設定することができる。第1の筒状カバー部材31、第2の筒状カバー部材32の可撓性は、例えば、第1の軸体21、第2の軸体22へ装着する際には作業者が装着できる程度に変形し、かつ、コンクリートを打設した際のコンクリートの圧力ではほとんど変形しない程度の可撓性に設定することができる。
【0066】
このセパレータ30は、各軸体21,22の所定位置に筒状カバー部材31,32が着脱可能に装着されている。よって、各軸体21,22の表面にコンクリートが付着するのを防止することができ、各軸体21,22をコンクリートからさらに容易に抜き取ることができる。第1の筒状カバー部材31、第2の筒状カバー部材32は、通常、コンクリート内に存置される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、セパレータの部品をコンクリート壁から取り外す際にできた穴を埋めるモルタルがコンクリート壁から脱落するのを防止することができる型枠支持用セパレータおよびこのセパレータを用いたコンクリート躯体の構築方法等に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1、20、30 型枠支持用セパレータ
2 軸体
21 第1の軸体
22 第2の軸体
3 リング状板座金
4 第1の雄ねじ
5 ねじ機構
6 第2の雄ねじ
7 ナット機構
71 第1のナット
72 第2のナット
8 第3の軸体
9 第3の雄ねじ
10 ストッパー部
11 コンクリート型枠
12 コンクリート
13 桟木
14 セパレータ挿通穴
15 バタ材締付金具
16 バタ材
17 凹部
18 細穴
19 モルタル
31 第1の筒状カバー部材
32 第2の筒状カバー部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向するコンクリート型枠の間隔を保持するべく当該コンクリート型枠パネルを支持する型枠支持用セパレータであって、
第1の雄ねじが両端部に形成され、中途部がねじ機構により着脱可能に構成された軸体と、
前記軸体の両端部に前記雄ねじより内側で遊嵌されたリング状板座金とを備えた、型枠支持用セパレータ。
【請求項2】
前記軸体は、外側端部に前記第1の雄ねじが形成された、第1の軸体および第2の軸体を含み、
前記ねじ機構は、前記第1の軸体および前記第2の軸体の各内側端部に形成された第2の雄ねじと、各前記第2の雄ねじと螺着して前記第1の軸体と前記第2の軸体を着脱可能に接合するナット機構とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の型枠用セパレータ。
【請求項3】
前記ナット機構は、前記第1の軸体と螺着する第1のナットと、前記第2の軸体と螺着する第2のナットと、当該第1のナットと当該第2のナットを接合する第3の軸体とを有することを特徴とする、請求項2に記載の型枠用セパレータ。
【請求項4】
前記第3の軸体の両端部には第3の雄ねじが形成され、
前記第1のナットは、前記第3の軸体における一端側の前記第3の雄ねじと螺着され、
前記第2のナットは、前記第3の軸体における他端側の前記第3の雄ねじと螺着されることを特徴とする、請求項3に記載の型枠用セパレータ。
【請求項5】
前記第1のナットおよび前記第2のナットは、多角柱状であることを特徴とする、請求項3または4に記載の型枠支持用セパレータ。
【請求項6】
前記第1の軸体の前記リング状板座金より内側の部分に着脱可能に装着された第1の筒状カバー部材と、前記第2の軸体の前記リング状板座金より内側の部分に着脱可能に装着された第2の筒状カバー部材のうち、少なくともいずれか一方をさらに備えたことを特徴とする、請求項1乃至5いずれか1項に記載の型枠支持用セパレータ。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載の型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築する方法であって、
前記型枠支持用セパレータを用いて建て込んだコンクリート型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリートの硬化後に当該コンクリートから前記コンクリート型枠を取り外す型枠取り外し工程と、
前記コンクリートの表面から突出した各前記第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて前記第1の軸体および前記第2の軸体を前記コンクリートから抜き取る軸体抜き取り工程と、を備えたコンクリート躯体の構築方法。
【請求項8】
請求項2乃至6いずれかに記載の型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築する方法であって、
前記型枠支持用セパレータを用いて建て込んだコンクリート型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリートの硬化後に当該コンクリートから前記コンクリート型枠を取り外す型枠取り外し工程と、
前記コンクリートの表面から突出した各前記第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて前記第1の軸体および前記第2の軸体を前記コンクリートから抜き取る軸体抜き取り工程とを備え、
前記軸体抜き取り工程において、前記ナット機構から前記第1の軸体および前記第2の軸体が抜き取られ、前記ナット機構は前記コンクリート内に存置されることを特徴とする、コンクリート躯体の構築方法。
【請求項1】
対向するコンクリート型枠の間隔を保持するべく当該コンクリート型枠パネルを支持する型枠支持用セパレータであって、
第1の雄ねじが両端部に形成され、中途部がねじ機構により着脱可能に構成された軸体と、
前記軸体の両端部に前記雄ねじより内側で遊嵌されたリング状板座金とを備えた、型枠支持用セパレータ。
【請求項2】
前記軸体は、外側端部に前記第1の雄ねじが形成された、第1の軸体および第2の軸体を含み、
前記ねじ機構は、前記第1の軸体および前記第2の軸体の各内側端部に形成された第2の雄ねじと、各前記第2の雄ねじと螺着して前記第1の軸体と前記第2の軸体を着脱可能に接合するナット機構とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の型枠用セパレータ。
【請求項3】
前記ナット機構は、前記第1の軸体と螺着する第1のナットと、前記第2の軸体と螺着する第2のナットと、当該第1のナットと当該第2のナットを接合する第3の軸体とを有することを特徴とする、請求項2に記載の型枠用セパレータ。
【請求項4】
前記第3の軸体の両端部には第3の雄ねじが形成され、
前記第1のナットは、前記第3の軸体における一端側の前記第3の雄ねじと螺着され、
前記第2のナットは、前記第3の軸体における他端側の前記第3の雄ねじと螺着されることを特徴とする、請求項3に記載の型枠用セパレータ。
【請求項5】
前記第1のナットおよび前記第2のナットは、多角柱状であることを特徴とする、請求項3または4に記載の型枠支持用セパレータ。
【請求項6】
前記第1の軸体の前記リング状板座金より内側の部分に着脱可能に装着された第1の筒状カバー部材と、前記第2の軸体の前記リング状板座金より内側の部分に着脱可能に装着された第2の筒状カバー部材のうち、少なくともいずれか一方をさらに備えたことを特徴とする、請求項1乃至5いずれか1項に記載の型枠支持用セパレータ。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載の型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築する方法であって、
前記型枠支持用セパレータを用いて建て込んだコンクリート型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリートの硬化後に当該コンクリートから前記コンクリート型枠を取り外す型枠取り外し工程と、
前記コンクリートの表面から突出した各前記第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて前記第1の軸体および前記第2の軸体を前記コンクリートから抜き取る軸体抜き取り工程と、を備えたコンクリート躯体の構築方法。
【請求項8】
請求項2乃至6いずれかに記載の型枠支持用セパレータを用いてコンクリート躯体を構築する方法であって、
前記型枠支持用セパレータを用いて建て込んだコンクリート型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリートの硬化後に当該コンクリートから前記コンクリート型枠を取り外す型枠取り外し工程と、
前記コンクリートの表面から突出した各前記第1の雄ねじにねじ回しドリルを装着し、当該ねじ回しドリルを作動させて前記第1の軸体および前記第2の軸体を前記コンクリートから抜き取る軸体抜き取り工程とを備え、
前記軸体抜き取り工程において、前記ナット機構から前記第1の軸体および前記第2の軸体が抜き取られ、前記ナット機構は前記コンクリート内に存置されることを特徴とする、コンクリート躯体の構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−162859(P2012−162859A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21950(P2011−21950)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511011746)株式会社ダイフジ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511011746)株式会社ダイフジ (4)
【Fターム(参考)】
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