埋め込み可能心臓デバイスで使用するための、組織流体内容物を監視する方法及び装置
【課題】胸郭流体内容物の変化を監視するために、埋め込み可能心臓刺激デバイス又は監視デバイスにおいて使用するための流体状態監視システムを提供する。
【解決手段】流体状態モニタは、一連の心臓ゲート制御式胸郭内インピーダンス測定を実施するための、励起パルス生成及び制御回路並びに電圧/電流測定及び制御回路を含む。心臓ゲート制御式測定値は、フィルタリングされるか、又は、時間平均されて、呼吸雑音が除去された流体状態インピーダンス値が提供される。流体状態インピーダンス値の比較解析に基づいて、臨床的に重要な流体状態のトレンドが仮診断され、流体状態応答を提供することができる。主要な胸郭内インピーダンス測定構成と同じか、又は、異なる励起経路、及び異なる測定経路を使用して実施されるクロスチェック式胸郭内インピーダンス測定が、仮診断を検証するのに使用できる。
【解決手段】流体状態モニタは、一連の心臓ゲート制御式胸郭内インピーダンス測定を実施するための、励起パルス生成及び制御回路並びに電圧/電流測定及び制御回路を含む。心臓ゲート制御式測定値は、フィルタリングされるか、又は、時間平均されて、呼吸雑音が除去された流体状態インピーダンス値が提供される。流体状態インピーダンス値の比較解析に基づいて、臨床的に重要な流体状態のトレンドが仮診断され、流体状態応答を提供することができる。主要な胸郭内インピーダンス測定構成と同じか、又は、異なる励起経路、及び異なる測定経路を使用して実施されるクロスチェック式胸郭内インピーダンス測定が、仮診断を検証するのに使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的に、埋め込み可能心臓刺激デバイスの分野に関し、より詳細には、埋め込み可能心臓刺激デバイスで使用するための、胸郭内流体内容物の変化を監視する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータを装着する患者の多くは、うっ血性心不全(CHF)も患っている。流体停留(fluid retention)の増加、不全状態の心臓の心拍出量を増加させる代償性メカニズムは、最終的には、高い静脈圧を生じ、肺うっ血(又は肺水腫)及び呼吸不全をもたらす。したがって、CHF症状の処置にとっては、通常、利尿薬の使用による、患者の流体停留状態の管理が重要である。しかしながら、患者は、過剰に排尿促進され、それにより、心臓状態に付加的なストレスがもたらされる可能性がある。したがって、注意深く患者の流体状態の均衡をとることが、心不全患者を管理する時に重要である。
【0003】
肺うっ血/肺水腫及びCHF関連呼吸不全は、CHF患者が入院する共通の理由である。悪化していくCHF状況を早期に警告するサインが認識され、且つプロアクティブに処置することができるようにCHF症状の監視が改善されることによって、入院が減るであろう。外来患者においてCHFを監視するために提案される一方法は、胸郭内インピーダンスを測定して、肺うっ血/肺水腫を検出することである。予備調査が示すところでは、胸郭内インピーダンスの測定は、差し迫ったCHFに関連する入院の良好な予測子であることができる。コムス(Combs)他に発行された米国特許第6,512,949号において、呼吸数の評価によって肺水腫を見分けるインピーダンスモニタが一般に開示される。ズー(Zhu)他に対する米国特許出願第2003/0028221号において、胸郭内インピーダンス回路を含む肺水腫検出回路を有する心調律管理システムが一般に開示される。全身静脈及び肺インピーダンスの測定を含むCHFの長期監視のための埋め込み可能デバイスは、エールバッハー(Erlebacher)に発行された米国特許第6,473,640号に一般に開示される。
【0004】
分時換気量を確定するための、胸郭内インピーダンス測定の使用は、埋め込み可能レート応答ペースメーカにおいて実施されてきた。たとえば、ナフォルツ(Nappholz)他に発行された米国特許第4,901,725号、プリッキ(Plicchi)他に発行された米国特許第4,596,251号、シュタインハウス(Steinhaus)他に発行された米国特許第5,562,712号、又はイエーリック(Yerich)他に発行された米国特許第5,562,711号を参照されたい。呼吸数及び分時換気量を確定するために使用される、胸郭内インピーダンス測定値を測定する方法は、呼吸数の評価に基づいて肺うっ血/肺水腫があるかを監視する時に使用するために提案されている。同一譲受人に譲渡された、コムス他に発行された米国特許第5,957,861号及びリッフ(Riff)に発行された米国特許第5,876,353号が参照される。
【0005】
分時換気量測定のために通常使用されるタイプの胸郭内インピーダンス測定は、ICD内における付加的な回路要素の実装を必要とすることになる。一般に、胸郭内インピーダンス測定を使用して分時換気量を確定するために、インピーダンス測定は、心拍数と同期しないサンプリングレートで取得される。2相励起パルスの使用は、ドライブ電極に平衡した充電パルスを送出し、それによって、比較的高いサンプリングレートの間に電極−組織界面における残留電荷をなくすという利点を有する。胸郭流体内容物を確定するために、胸郭内インピーダンス測定は、心周期と呼吸周期に関連するインピーダンス信号の平均又はフィルタリングを可能にするレートでサンプリングされる必要がある。
【0006】
リード線及び電極の安定性を監視するための、ICDで使用するためのリード線インピーダンス測定が知られている。こうした測定は、ディフィブリレーション又はペーシング捕捉閾値より小さく、且つ、励起パルスが心臓を捕捉せず、患者にとって感じられないように、心臓の生理的不応期の間に送出される単相励起パルスを使用して実施される。共に参照によりその全体が本明細書に援用される、シュエルク(Schuelke)他に発行された米国特許第5,755,742号及びリンダー(Linder)他に発行された米国特許第6,317,628号が参照される。単相パルスがセンス増幅器ブランキング中に起こるように、単相励起パルスは、心臓事象と同期することができる。特定のリード線経路の単一インピーダンス測定は一般に、リード線完全性評価には十分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リード線インピーダンス監視方法が、ICDシステム内に組み込まれているが、こうした方法は、以前は、胸郭流体内容物の変化による、胸郭内インピーダンス関連の変化を監視する時の使用に適応していなかった。したがって、患者の流体状態の変化を監視するために、ICDシステム内で胸郭内インピーダンスを測定する方法及び装置に対する必要性が依然として存在する。こうした方法は、デバイスに対して回路要素又は複雑さを付加することなく、ICDにおいて容易に実施されることが望ましい。そのため、ICDが埋め込まれているCHF患者は、有利には、流体状態の変化があるかを監視され、それにより肺うっ血並びに過剰水分欠乏(dryness)の早期検出を可能にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ICD或いは他の心臓刺激デバイス又は監視デバイスで容易に実施することができる、うっ血性心不全に関連する胸郭流体内容物の変化を検出する時に使用するための流体状態監視システムが提供される。流体状態モニタは、心臓雑音を除去するために心周期でゲート制御され、且つ呼吸雑音を除去するためにいくつかの心周期にわたって平均されるか、又は、ローパスフィルタリングされた、比較的高解像度で閾値以下のインピーダンス測定を実施するためのインピーダンス測定回路を含む。
【0009】
流体状態インピーダンス値は、一連の、心臓ゲート制御され、時間平均されるか、又は、ローパスフィルタリングされた閾値以下のインピーダンス測定から確定される。好ましい一実施形態では、流体状態監視セッションは、手動で又は周期的に始動され、所定の間隔で取得されたいくつかのインピーダンス測定セットを含み、各セットは、所定の数の又は所定の時間間隔の連続した心臓ゲート制御式インピーダンス測定を含む。各測定セットについて、平均インピーダンスが計算され、インピーダンス測定セットの平均の総平均は、周期的な流体状態インピーダンス値として計算される。流体状態インピーダンス値又は流体状態インピーダンス値の確定されたトレンドの、流体状態閾値との診断比較を行い、臨床的に重要な流体内容物の変化を仮診断することができる。こうした予備診断により、患者警告を生成するか、外部デバイスへのデータ転送を始動するか、又は、ICD又は別の埋め込み可能デバイスによって送出されるペーシング治療を変更することができる。
【0010】
ICDシステム内での流体状態監視において使用するためのインピーダンス測定を行う、好ましい電極構成は、励起電流を送出するとともに、得られる電圧を測定するための右心室コイル電極及びICD筐体電極を含む。しかしながら、本発明が実施される、ICDシステム又は他の心臓刺激/監視デバイスに関連する任意の利用可能な電極構成は、流体状態監視において使用するための胸郭内インピーダンスを測定するのに使用されてもよいと考えられる。励起対と測定対は、同じ電極対又は異なる電極対であってもよい。
【0011】
一実施形態では、本発明は、流体状態監視回路を組み込むICD、及び関連するリード線のセットを含むICDシステムにおいて実現される。流体状態監視回路は、流体状態モニタ制御回路、流体状態モニタ制御レジスタ、インピーダンス測定レジスタ、インピーダンスデータレジスタ、及び励起パルス制御回路を含む。流体状態制御レジスタ及びインピーダンス測定レジスタは、プログラム可能マイクロプロセッサの形態であってもよいICD制御回路からパラメータ値を受け取り、記憶する。制御レジスタ及びインピーダンス測定レジスタに記憶されるパラメータ値は、励起パルス制御回路を介して励起パルスの送出を制御するとともに、励起パルスの間に、送出された電流と得られる電圧を測定する時に使用される電流モニタと電圧モニタを制御する時に使用するための流体状態モニタ制御回路によって取り出される。選択された励起電極対及び選択された測定電極対に結合したICD端子は、ICD内に含まれるスイッチング回路を介して流体状態モニタに結合されるため、利用可能な電極のうちの任意の電極は、流体状態監視のための種々の励起及び測定の2極構成又は多極構成で選択され得る。
【0012】
励起パルスの間の、測定された電流及び電圧は、流体状態モニタ制御回路によってデジタル化され、ICDマイクロプロセッサに転送するために、インピーダンスデータレジスタ内に記憶される。マイクロプロセッサは、取得した電流データ及び電圧データを使用して、インピーダンスを計算し、インピーダンスから、次に、流体状態インピーダンス値が確定される。或る実施形態では、クロスチェック測定経路を使用して、仮の胸郭流体状態の変化の診断が検証される。主要な測定経路に関して実施された胸郭内インピーダンス測定値の変化が検出される場合、こうした測定値又は得られる流体状態インピーダンス値は、クロスチェック測定経路から得られる測定又は流体状態インピーダンス値と比較されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、埋め込み可能心臓刺激デバイス又は監視デバイスで使用するための、臨床的に重要な胸郭流体内容物の変化を検出するために、胸郭流体状態監視を提供することを対象とする。本発明の利益は、ICDにおいて十分に実現され、それによって、有利には、ICDを装着するCHF患者における胸郭流体トレンドを監視するのに使用することができる。しかしながら、本発明の態様は、種々の埋め込み可能心臓刺激/監視デバイスにおいて有効に使用されてもよいことが理解される。したがって、本発明は、ICDにおける使用に限定されないが、本明細書で述べる例示的な実施形態は、ICDの実施態様を主に対象とする。
【0014】
図1は、3本のリード線6、15、及び16によって患者の心臓に結合するICD10の図である。コネクタブロック12は、3心腔又は4心腔において検知し、刺激するために電極を配置するのに使用される、右心室リード線16、右心房リード線15、及び冠状静脈洞リード線6の近位端を受け入れる。図1において、右心室リード線16は、右心室心臓信号を検知するとともに、右心室においてペーシングパルス又はショックパルスを送出するために、その遠位端が右心室(RV)内にあるように配置される。これらの目的のために、右心室リード線16は、リング電極24、任意選択で電極ヘッド28内に伸縮自在に搭載された先端電極26、及びRVコイル電極20を装備しており、電極のそれぞれは、リード線16の本体内に含まれる絶縁導体に接続される。絶縁導体の近位端は、ICD10に電気接続を提供するために、リード線16の近位端で、ここでは分岐コネクタとして示すコネクタ14によって保持される対応するコネクタに結合される。
【0015】
右心房リード線15は、その遠位端が、右心房(RA)及び上大静脈(SVC)に近接するように配置される。リード線15は、右心房における検知及びペーシングのために、RAリング電極21、任意選択で電極ヘッド19内に伸縮自在に搭載されたRA先端電極17を装備する。リード線15はさらに、高エネルギーショク治療を送出するためのSVCコイル電極23を装備する。RAリング電極21、RA先端電極17、及びSVCコイル電極23はそれぞれ、右心房リード線15の本体内の絶縁導体に接続される。各絶縁導体は、分岐コネクタとしても示されるコネクタ13によって保持されるコネクタにその近位端で結合される。
【0016】
冠状静脈洞リード線6は、冠状静脈洞及び大心臓静脈を介して心臓の左側の血管内に進む。冠状静脈洞リード線6は、カーディオバージョン治療及びディフィブリレーション治療のために電気ショックを送出するための、RVコイル電極20又はSVCコイル電極23のいずれかと組み合わせて使用することができるディフィブリレーションコイル電極8を有するものとして、図1の実施形態で示される。他の実施形態では、冠状静脈洞リード線6はまた、心臓の左腔におけるペーシング機能及び検知機能のための、遠位先端電極及びリング電極を装備する。コイル電極8は、近位コネクタ4への接続を提供する、リード線6の本体内の絶縁導体に結合する。
【0017】
電極17と21、又は、24と26は、一般に「先端−リング」構成と呼ばれる2極対として、或いは、一般に「筐体」又は「ケース」電極と呼ばれる不関電極の役をするデバイスハウジング11を有する単極構成で個別に用いられてもよい。デバイスハウジング11はまた、心房又は心室のディフィブリレーションのために、ディフィブリレーションコイル電極8、20、又は23の1つ又は複数の電極と組み合わされて皮下ディフィブリレーション電極の役をしてもよい。
【0018】
本発明によれば、ハウジング11を含む利用可能な電極8、17、21、20、23、24、26の任意の電極は、胸郭流体状態を監視する目的でインピーダンス測定を実施する時に使用するために、対で選択されてもよい。通常のインピーダンス測定構成は、ハウジング11と対になったコイル電極8、20、又は23のうちの1つの電極、リターン電極としてのコイル電極8、20、又は23のうちの別の1つの電極或いはリング電極21又は26の一方の電極を含むことになることが予想される。
【0019】
患者の心臓と動作可能な関係にある、異なる数又は異なる配置構成のペーシング電極、検知電極、及び高電圧電極を有する代替のリード線システムが図1に示す3本のリード線システムと置き換えられてもよいことが認識される。特定の多腔ICDシステム及びリード線システムが、図1に示されるが、本発明に含まれる方法は、単腔、2腔、又は、多腔ICDシステムと共に使用されるようになっていてもよい。
【0020】
図2は、本発明を有効に実施することができるICDの機能ブロック図である。本発明は、ペーシングタイプの治療を提供しない、カーディオバータ及びディフィブリレータ等の他のデバイスの実施態様で有効に実施することができると考えられるため、この図は、本発明が具体化され得るデバイスのタイプの例示として考えられるべきであり、制限的なものとして考えられるべきでない。胸郭流体内容物を監視するための、本発明に含まれる方法は、ディフィブリレーション/カーディオバージョンデバイスの実施態様に限定されないこともさらに理解される。本明細書に述べる方法は、ICDデバイスにおいて容易に実施されるが、こうした方法は、有利には、心臓ペーシングデバイス又は監視のみを意図されるデバイスにおいて実施されてもよい。
【0021】
図2に示す開示される実施形態は、マイクロプロセッサ制御式デバイスであるが、本発明の方法はまた、デバイス機能を制御し、実施する特注の集積回路要素を使用するデバイスによって実施されてもよい。たとえば、状態カウンタがカウンタ制御式ステップの規定のシーケンスに従って計算を実施する演算論理ユニットを制御するのに役立つ状態マシンアーキテクチャが、本発明の実施において使用されてもよい。
【0022】
本発明は、既存の単腔、2腔、又は多腔ICDシステムの基本ハードウェアを使用して容易に実施することができると予想される。本発明は、有利には、リード線/電極の不安定性を検出するためリード線インピーダンスを監視する時に使用するための、ICDシステムによって既に使用される場合がある、主に、マイクロプロセッサ制御式ICDに関連するメモリに記憶したソフトウェアの変形及び閾値以下のリード線インピーダンス測定機能の適応によって、ICDにおいて実施されてもよい。
【0023】
図1に示す電極システムに関して、ICD10は、心臓リード線6、15、及び16並びにそれぞれの電極への電気接続を達成するいくつかの接続端子を備える。接続端子311は、単極刺激又は検知の間に不関筐体電極として使用するために、ハウジング11への電気接続を提供する。接続端子320、310、及び318は、それぞれ、コイル電極20、8、及び23への電気接続を提供する。接続端子311、320、310及び318はそれぞれ、高電圧出力回路230に結合されて、コイル電極8、20、及び23の1つ又は複数の電極並びに任意選択でハウジング11を使用して、心臓への高エネルギーショックパルスの送出を容易にする。
【0024】
接続端子317及び321は、右心房に配置されるRA先端電極17及びRAリング電極21への電気接続を提供する。接続端子326及び324は、右心室に配置されるRV先端電極26及びRVリング電極24への電気接続を提供する。接続端子317、321、326、及び324は、P波及びR波等の心臓信号を検知するとともに、心調律を分類するための検知回路200にさらに結合される。
【0025】
センス(検知)回路200は、通常、たとえば、カイメル(Keimel)他による米国特許第5,117,824号に開示されるものに相当する、調整可能な検知閾値を有する自動利得制御式増幅器を含む。マイクロプロセッサ224によるEGM信号のデジタル解析を可能にし、当該技術分野で知られている多くの信号処理方法の任意の方法を使用して患者の心調律を認識し且つ分類するように、検知回路200は、信号調節回路及びアナログ/デジタル変換器をさらに含むことができる。
【0026】
流体状態モニタ260は、以下でより詳細に述べるように、流体状態インピーダンス値を確定する時に使用されるための胸郭内インピーダンス測定を実施する回路要素を含む。流体状態モニタ260内に含まれる励起及びインピーダンス測定回路は、一般に、先に参照したリンダー他に発行された米国特許第6,317,628号又はシュエルク他に発行された米国特許第5,755,742号に開示されるものに相当してもよい。実際に、本発明の或る実施形態では、流体状態モニタ260内に含まれる励起及びインピーダンス測定回路は、2重の機能を実施することができる。
【0027】
或る時点で、マイクロプロセッサ224は、先に参照した米国特許第6,317,628号と米国特許第5,755,742号によって一般に教示されるように、リード線の安定性を監視する時に使用するための、流体状態モニタ260に含まれる励起及びインピーダンス測定回路を利用して、リード線インピーダンス測定を始動することができる。他の時点で、マイクロプロセッサ224は、流体状態モニタ260に含まれる同じインピーダンス測定回路を利用して流体状態監視セッションを始動することができる。励起及びインピーダンス測定回路を利用したリード線安定性監視機能及び流体状態監視機能はそれぞれ、関連するメモリ226に記憶された作動パラメータに従ってマイクロプロセッサ224によって制御される、監視、インピーダンス測定のスケジューリング、及び測定値の処理に関わる電極を規定する独自に規定された監視アルゴリズムに従うことになる。流体状態監視で使用される好ましい方法は、本明細書で十分に述べられるであろう。
【0028】
流体状態モニタ260は、スイッチマトリクス208を介して種々の電極に結合され、スイッチマトリクス208は、胸郭内インピーダンス測定にどの電極が使用されるかを選択するのに使用することができる。別法として、励起電極対及び測定電極対(同じか、又は、異なる対であってもよい)は、胸郭内インピーダンスを測定する時に使用される電極が変更可能でなくなるように、対応する端子311、320、318、310、317、321、326、又は324を流体状態モニタ260に直接接続することによって、利用可能な電極から選択することができる。しかしながら、電極及び対応するリード線が万一故障した場合、個々の患者の状況に合わせること並びに励起対及び測定対から電極をなくすことを可能にするために、励起電極対及び測定電極対はスイッチマトリクス208を介して選択可能であることが好ましい。
【0029】
流体状態モニタ260によって得られる胸郭内インピーダンスデータは、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224に対して利用可能にされる。マイクロプロセッサ224はさらに、胸郭内インピーダンス測定データを処理し、解析して、周期的な流体状態インピーダンス値を確定し、流体状態トレンドを評価することができる。計算した流体状態インピーダンス値及び流体状態トレンドに基づいて、マイクロプロセッサ224は、臨床的に重要な流体状態の変化を仮診断し、患者(PT)警告回路(デバイス)228で起動される患者警告をトリガして、患者が医師に診てもらうこと(medical attention)を要求するように警告することができる。本発明の譲受人によって市販されているSYNCHROMED(登録商標)埋め込み可能薬剤投与デバイスで使用される、患者が知覚できる、適した音響警告は、患者警告デバイス228として使用されてもよい。患者警告デバイス228は、別法として、参照によりその全体が本明細書に援用される、グリーニガー(Greeniger)他に発行された同一譲受人に譲渡された米国特許第6,082,367号に一般に開示される、埋め込み可能デバイスで使用するための可聴通信装置の形態をとってもよい。警告は、患者が肺うっ血/肺水腫を生じていること、又は、患者が過剰に排尿促進されている可能性があることを示す流体状態のトレンドを患者に通知することができる。いずれの場合も、遠隔で又は医院訪問での、利尿薬の用量に関する医師立会い診察によって、患者の流体状態が正常化されることが可能になり、それによって、状況の悪化が防止され、それによって、入院が避けられる。
【0030】
マイクロプロセッサ224によって仮診断された臨床的に重要な流体状態の変化は、付加的に、又は、別法として、ICD10から外部デバイスへのデータ送信を始動することができる。流体状態データは、好ましくは、ICD10の手動の呼び掛けに応答して外部デバイスへ送信されるか、又は、トリガされてデータ送信されるまで、メモリ226に記憶される。こうした送信は、患者警告デバイス228による可聴音又は他の患者警告信号が生成されると、患者又は患者の付添人によって手動で始動されることができる。別法として、こうした送信は、臨床的に重要な流体状態変化が仮診断されることによって、外部デバイスとの通信リンクが確立されると、ICD10によって自動的に始動されてもよい。送信されたデータを受信する外部デバイスは、たとえば、モデムを介して、中央化データベース、パーソナルコンピュータ、中央化コンピュータネットワーク、又はインターネットベース患者データシステムと通信することができる、外部医師プログラマ、患者プログラマ、又は家庭用モニタであってもよい。
【0031】
テレメトリ回路330は、埋め込み可能抗不整脈デバイスにおいて通例であるように、アンテナ332によって、外部プログラマからダウンリンクテレメトリを受信し、外部プログラマへアップリンクテレメトリを送出する。受信されたテレメトリは、マイクロプロセッサ224へ供給され、プログラマへアップリンクされるべきデータ及びテレメトリ回路330用の制御信号は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって供給される。アップリンクされるべきデータは、現代のICDでは一般的である、検出された不整脈エピソードの記録、或いは、他の検出された生理的事象又はデバイス関連事象を含んでもよい。本発明によれば、流体状態モニタ260によって測定されたインピーダンス測定データ、流体状態インピーダンス値及び/又はトレンドの記録は、呼び掛けコマンドによってテレメトリを介して利用可能にされてもよい。こうしたデータの再調査は、患者の流体状態の点で、臨床医にとって有用であり得る。埋め込み可能デバイスでの使用について知られている多くのタイプのテレメトリシステムが使用されてもよい。
【0032】
図2に示す回路要素の残りは、心臓ペーシング治療、カーディオバージョン治療及びディフィブリレーション治療を提供するのに専用であり、本発明のために、従来技術において知られている回路要素に相当することができる。図2に示す例示的な実施形態では、ペーサタイミング及び制御回路212は、プログラム可能デジタルカウンタを含み、プログラム可能デジタルカウンタは、心房又は心室内で送出される、種々の単腔、2腔、又は多腔ペーシングモード或いは抗頻脈ペーシング治療と関連する基本時間間隔を制御する。ペーサタイミング及び回路212はまた、マイクロプロセッサ224の制御下で心臓ペーシングパルスの振幅を確定する。
【0033】
ペーシングの間に、ペーサタイミング及び制御回路212内の補充間隔カウンタは、心臓事象を検知することによって生成される、センス回路200からの信号を受信するとリセットされる。選択されたペーシングモードに従って、ペーシングパルスが、ペース出力回路214によって生成され、ペース出力回路214は、スイッチマトリクス208を介してペーシングのために所望の電極に結合することができる。補充間隔カウンタは、ペーシングパルスが生成されるとリセットされ、それによって、抗頻脈ペーシング、心臓再同期化治療、期外収縮刺激、又は他のタイプのペーシング治療を含むことができる心臓ペーシング機能の基本タイミングを制御する。
【0034】
センス回路200によって実施される検知動作に基づく、心房頻脈又は心室頻脈の検出に応答して、検出される頻脈のタイプに従って、マイクロプロセッサ224からペーサタイミング及び制御回路212内に療法をロードすることによって、所望であれば、抗頻脈ペーシング治療が送出されてもよい。高電圧カーディオバージョン又はディフィブリレーションショックパルスが必要とされる場合、マイクロプロセッサ224は、高電圧出力回路230を作動させる。高電圧出力回路は、高電圧コンデンサ及び充電回路を含む。ディフィブリレーション高電圧パルス又はカーディオバージョン高電圧パルスの送出タイミングは、ペーサタイミング及び制御回路212によって制御される。
【0035】
本発明の流体状態監視動作について考えると、流体状態モニタ260が、設けられ、周期的に自動的に、又は、テレメトリ330を通して受け取られたプログラムされたコマンドに応答して、アドレス/データバス218上のマイクロプロセッサ224からのコマンドによって始動されるモニタモードで使用される。ごく一般的に、流体状態監視がマイクロプロセッサ224によって始動されると、スイッチマトリクス208において行われる接続を通して、高電圧端子320、318、及び310、ペース/センス端子326と324と317と321、並びにハウジング11の中から、励起又は「フォース(force)」端子対及び「測定」端子対が選択される。
【0036】
インピーダンス測定は、アドレス/データバス218上で、ペーサタイミング及び制御回路212によって生成され且つ流体状態モニタ260によって受信される検知事象信号に従って、心臓センス事象又は心臓ペース事象に同期して実施される。流体状態モニタ260は、検知される心臓事象信号に応答して励起パルスをトリガし、以下でさらに述べるように、それぞれ、励起経路及び測定経路上で、送出される電流と得られる電圧のサンプリングを始動する。一般に、励起パルスは、本明細書で提示される例示的な実施形態で述べるように、心室検知事象(R波)に応答して心室腔内で送出されることになる。しかしながら、励起パルスは、考えられるところでは、心房検知事象(P波)に応答して心房腔内で送出されてもよく、本発明の範囲をはずれない。
【0037】
流体状態モニタ260によって測定されるインピーダンスは、励起経路及び測定経路が共通電極を含む場合、固有リード線抵抗インピーダンスを含むことになる。固有リード線インピーダンスは、リード線が埋め込まれていない時の、遠位電極と近位コネクタ要素の間で測定することができる。この固有リード線インピーダンスの値は、絶縁欠陥が無い状態か、或いは、近位コネクタ要素と遠位電極に関して緩い内部接続部又は開いた状態の内部接続部が無い状態のリード線の場合に比較的低い。リード線が埋め込まれている時に実際に測定されるインピーダンスは、組織インピーダンス(TI)を含み、組織インピーダンスは、流体停留及び肺うっ血の増加又は減少に伴い変わることになる。組織流体内容部の増加は、相対的な組織抵抗を減少させることになり、一方、流体内容物の減少は、相対的な組織流体抵抗を増加させることになり、インピーダンス測定に寄与する。
【0038】
インピーダンス測定はさらに、電極/組織界面インピーダンス(ETI)を含む場合がり、近位リード線コネクタ要素とICDコネクタブロックとの緩い電気接続部又はそれ以外での不十分な電気接続部によって生じる任意のインピーダンスを含む場合がある。ETIインピーダンスは、抵抗インピーダンスであると考えることができ、電極の表面積/形状及び関連する電流密度に応じて変わる。総合の標準インピーダンス値は、任意の特定のリード線設計について、標準胸郭流体内容物状況下の範囲にあり、励起リード線対及び測定リード線対の組み合わせは、所定期間にわたって獲得された臨床経験から経験的に導出することができる。流体状態の変化に関連しないインピーダンス測定値の変化、すなわち、リード線のずれ又は脱落によるETIの変化、又は、ICDに対する不十分な接続、絶縁破れ、又は欠陥のある導体等のリード線に関連する問題による固有リード線インピーダンスの変化を扱う方法は、以下に提言されるであろう。
【0039】
所定の振幅及びパルス幅の、閾値以下の励起又は「フォース」電圧パルス(Vp)が、流体状態モニタ260内のフォースパルス発生器によって生成される。フォースパルスVpは、「駆動」端子として選択されるフォース端子対に含まれる1つの端子に印加され、一方、「リターン」端子として選択される、フォース端子対の第2端子は、システムグラウンドに保持される。したがって、励起通路は、被駆動端子と対応する導体と電極、患者の体、特に、胸郭領域と心臓組織、システムグラウンドに保持されたリターン電極、導体、及び関連する端子を通る。測定経路もまた選択され、測定経路は、被駆動端子と同じか、又は、異なる場合がある測定端子、関連する導体と電極、胸郭領域と心臓組織、システムグラウンドにあるリターン電極、導体、及び関連する端子を含む。フォースパルスVpは、電圧パルスの代わりに電流パルスの形態であることができ、いずれの場合も、異なる極性の1つ又は複数の相から成ってもよいが、好ましくは、実施の簡略化のために、単相の定電圧パルスであることに留意されたい。
【0040】
フォースパルスVpの送出中に励起経路に送出される電流は、流体状態モニタ260によって信号Imとして測定される。同時に、測定端子対にわたって現れる電圧は、流体状態モニタ260において信号Vmとして測定される。励起経路に流れる測定電流Im及び測定端子対間の測定経路にわたって誘導される測定電圧Vmから、オームの法則に従って、見かけの胸郭内インピーダンスを計算することが可能である。一連の心周期中に得られる測定電流Imと電圧Vmのセットは、マイクロプロセッサ224において流体状態インピーダンス値を導出し、以前に測定された胸郭内インピーダンス及び/又は最大及び最小流体状態インピーダンス閾値と比較することによって、流体状態トレンドを推論するのに使用される。フォースパルスが、別法として、電圧パルスの代わりに、定電流パルスとして供給される場合、心臓の捕捉を回避するために、印加される最大電流に適当な制限を課すことによって、先に述べた電圧測定及び電流測定が逆にされるが、同じインピーダンス結果が得られることになる。
【0041】
以下でさらに詳細に述べるように、流体状態インピーダンス値は、一連の心臓ゲート制御式インピーダンス測定から計算される。導出された流体状態インピーダンス値は、その後、流体状態トレンドを診断するために、標準の、又は、以前のインピーダンス値と診断比較する時に、マイクロプロセッサ224によって使用される。一般に、計算された流体状態インピーダンス値が、許容可能なインピーダンス範囲内にあるか、又は、連続する周期的な流体状態インピーダンス値のトレンドが安定していると判定される場合、流体状態は安定していると推定される。しかしながら、流体状態インピーダンス値又はトレンドが、最大許容可能値より大きいか、又は、最小許容可能値より小さい場合、流体状態は不安定である場合があり、臨床医に診てもらうことを通知する。臨床的に許容可能な流体状態状況下で流体状態の監視に使用される特定のリード線についての標準インピーダンス値又は範囲は、患者の流体状態が、臨床的に標準状態に管理されている時の、試験下のリード線タイプ又はモデルの特性から前もって導出することができる。個々の患者又は幅広い臨床経験に基づいて、臨床的に重要な増減する流体内容物のレベルの境界を規定する閾値は、プログラムされ、診断比較中にマイクロプロセッサ224が使用するために、メモリ226に記憶される。以下にさらに詳細に述べるように、励起経路と測定経路は、電極−組織界面インピーダンス及び固有リード線インピーダンス因子を含むため、測定されたインピーダンスの変化が、流体状態の変化ではなく、リード線又は電極の不安定性を示しているかを判定するために、相互参照リード線を含む流体状態インピーダンス値のさらなる評価が必要である場合がある。
【0042】
臨床的に重要な流体状態の変化が、マイクロプロセッサ224によって診断されるか否かにかかわらず、流体状態インピーダンスデータを、ICD呼び掛けが始動するまで、メモリ226に記憶することができる。外部デバイスにアップリンクされると、データは、外部デバイスによって表示され、流体状態インピーダンス閾値の表示及び/又は流体状態インピーダンストレンドを表示する解析プログラムの補助の下で医師によって解釈されることができる。ICD10が自動化されたリード線診断機能を含む場合、流体状態インピーダンストレンドデータに影響を及ぼす場合がある可能性のあるリード線関連の問題の診断情報もまた、転送のために提供され、表示されることができる。
【0043】
図3Aは、流体状態モニタ260が使用することができる流体状態インピーダンス測定経路の略図である。肺3は、心臓内電極及び筐体電極11に対して肺のほぼ相対的なロケーションを示すために、点線で示される。選択された胸郭内インピーダンス測定経路は、肺によって占められた胸郭容積の少なくとも或る部分を包含する測定フィールドをもたらすべきである。
【0044】
表Iは、その一部が図3Aに示されている、図1に示す電極配置に対する可能な胸郭内インピーダンス測定経路の部分的な一覧を提供する。表Iに提供される一覧及び図3Aに示す組み合わせは、網羅的であることを意図しない。2極か、多極のいずれかの配置の多くの電極の組み合わせは、当業者には明らかであり、使用される特定のリード線システムに依存するであろう。したがって、例示するために、可能な組み合わせの部分的な一覧のみが表Iに提示される。
【0045】
【表1】
【0046】
励起経路及び測定リード線経路は、筐体電極としてICDハウジング11を含むことが多いことが留意される。ICD埋め込み部位は、通常は、胸郭領域内であり、特に、活性筐体電極が利用される時は、最も一般的には左胸筋領域内である。本発明のために、流体状態監視は、ICD配置、したがって、左か、右のいずれかの胸筋領域における筐体電極の配置によって首尾よく実施することができることが予想される。
【0047】
好ましい一実施形態では、流体状態監視のために実施される胸郭内インピーダンス測定は、励起経路と測定経路の両方についてRVコイル−筐体構成を使用して実施され、図3Aに示す、RVコイル−筐体インピーダンス測定値ZRVコイルー筐体に基づいて計算される流体状態インピーダンス値をもたらす。図3Bは、このRVコイル−筐体構成を使用した、得られるインピーダンス測定フィールドの概念図を提供する図である。ICD10が患者1の左胸筋ロケーションに埋め込まれた状態で、RVリード線16上に位置するRVコイル20と筐体電極11の間で行われる胸郭内インピーダンス測定は、RVコイル20と筐体電極11の間で得られる測定フィールド2内に存在する心臓組織と肺組織のインピーダンスを含むことになる。
【0048】
しかしながら、表Iに挙げられるように、肺3を含む測定フィールドを包含することになる流体状態監視について、代替の励起経路及び測定経路が容易に使用されてもよいことが認識される。たとえば、胸郭内インピーダンス測定は、別法として、図3Aに示すように、ハウジング11に関してSVCコイル23(ZSVCコイル−筐体)、又は、ハウジング11に関してCSコイル8(ZCSコイル−筐体)を選択することによって、或いは、利用可能なコイル電極8、20、及び23のうちの任意の電極を対で選択することによって実施されてもよく、それによって、CSコイル8とSVCコイル23間(ZCSコイル−SVCコイル)、RVコイル20とCSコイル8間(ZRVコイル−CSコイル)、又は、RVコイル20とSVCコイル23間(ZRVコイル−SVCコイル)の可能な胸郭内インピーダンス測定が提供される。RVリング電極24等のリング電極が利用可能である時、リング電極は、たとえば、RVリング24からハウジング11へ(ZRVリング−筐体)の胸郭内インピーダンス測定経路に含まれることができる。
【0049】
ペーシング先端電極が利用可能である時、こうした電極はまた、胸郭内インピーダンス測定、たとえば、表Iに挙げたRV先端−筐体構成で利用されてもよい。しかしながら、ペーシング先端電極に特徴的である小さい表面積のために、先端電極が測定経路に含まれる時の電極−組織界面インピーダンスによって、比較的大きな寄与が胸郭内インピーダンス測定に対して行われることになり、それによって、組織流体内容物の変動によるインピーダンスの小さな変化がマスクされる場合がある。しかしながら、本発明の方法が、心臓ペースメーカ等の代替の心臓刺激デバイスにおいて実施される時、先端電極は、励起通路のための駆動電極として使用され、リング電極は、測定通路として使用されることができ、又は、その逆である。
【0050】
同様に、冠状静脈洞リード線が、左心室(LV)におけるペーシング機能及び検知機能のために先端電極及びリング電極を備える場合、これらの電極は、さらに、胸郭内インピーダンス測定を実施する時に使用されてもよい。たとえば、LV先端−筐体励起経路及びLVリング−筐体測定経路が選択されてもよく、LVコイル−筐体励起経路が選択されてもよく、LVリング−筐体測定経路が選択されてもよい等である。
【0051】
図4は、3本のリード線によって患者の心臓とつながる代替のICDシステムの図であり、ICDシステムは、ICDハウジング上に組み込まれた「ボタン」電極を含む。図4では、ICDハウジング11は、開口30と32を有する、ハウジング11の少なくとも或る部分を覆う、絶縁性皮膜35を備える。非絶縁性開口30と32は、皮下ECG信号を検知するのに使用することができる皮下電極の役をする。ECGの皮下測定用電極を有する埋め込み可能システムは、参照によりその全体が本明細書に援用される、Kleinに発行された同一譲受人に譲渡された米国特許第5,987,352号に一般に開示される。
【0052】
図4に示す実施形態に関して、「ボタン」電極30と32は、胸郭内流体内容物を監視する時に使用するための胸郭内インピーダンスを測定するために選択される励起経路及び/又は測定経路において使用することができる。たとえば、励起経路は、RVコイル電極20に相当するICD端子を「駆動」端子として、且つボタン電極30と32の一方をリターン電極として使用して選択することができる。測定経路は、SVCコイル電極23又はCSコイル電極8に相当するICD端子及びボタン電極30と32の他方を使用して選択することができる。こうした配置は、有利には、胸郭内インピーダンス測定から、リード線と電極自体と電極−組織界面に関連する寄生抵抗の影響を除去する。したがって、ICDハウジング上に組み込まれる、且つ/又は、ICDから延びる皮下リード線上に配置される皮下電極を有する代替のICDシステムは、有利には、胸郭内インピーダンス励起及び/又は測定経路においてこうした電極を使用することができることが認識される。
【0053】
図5は、流体状態モニタ260の一実施形態のブロック図である。流体状態モニタ260は、流体状態モニタ(FSM)制御回路320、励起パルス制御回路314、流体状態モニタ制御レジスタ342、インピーダンス(Z)測定レジスタ340、及びインピーダンス(Z)データレジスタ338を含む。流体状態モニタ260は、レジスタ340及び342内にロードされる、流体状態監視制御パラメータ及びインピーダンス測定パラメータに関する、マイクロプロセッサ224からの入力を、データバス218を介して受け取る。流体状態モニタ制御レジスタ342は、励起パルスが励起端子にその後に送出されることになる、心室センス事象又はペース事象に続く遅延を設定するための励起パルス(Vp)遅延360を記憶する。選択された励起端子対ビット364は、インピーダンス測定レジスタ340に記憶される。流体状態モニタ制御レジスタ342はさらに、送出される励起パルスの幅を規定するインピーダンス測定パルス(Vp)持続期間362を記憶する。
【0054】
さらに、また、本発明によれば、流体状態監視セッション開始時間370、及び「測定セット」を包含する、心臓ゲート制御式胸郭内インピーダンス測定が行われることになる心周期数N(サイクル数N)372は、マイクロプロセッサ224に関連するメモリ226に記憶されるであろう。心臓ゲート制御式胸郭内インピーダンス測定が実施される指定された心周期数Nを記憶するのではなく、心臓ゲート制御式測定が実施される時間間隔が記憶されてもよい。流体状態監視セッションに含まれる測定セット数X374及び測定セットの開始間の時間間隔376もまた、メモリ226に記憶される。
【0055】
インピーダンス測定レジスタ340は、先に述べた励起端子選択364と、励起パルス(Vp)振幅366、及びインピーダンス測定端子選択368を記憶する。流体状態監視セッションが、記憶した開始時間370に従ってマイクロプロセッサ224によって始動される(又は、セッションが手動で始動される)と、FSM制御回路320は、FSM制御レジスタ342からVp遅延及び持続期間ビット360と362を取り出して、励起パルス発生器348によって生成された励起パルスを、適切な時間に、励起パルス制御回路314を介して送出する。選択された励起端子対は、インピーダンス測定レジスタ340に記憶された励起端子選択ビット364に従って、インピーダンス(Z)端子マルチプレクサ310によってスイッチ208を介して選択される。
【0056】
励起パルス制御回路314は、さらに、以下でさらに述べるように、励起パルスの印加中に、心房ブランキング信号がICD検知回路200に印加されることを可能にする。ディセーブル信号もまた、励起パルス制御回路314によって生成され、それによって、マイクロプロセッサ224がインピーダンス測定中にカーディオバージョン/ディフィブリレーションショック送出を使用不能にするようにさせてもよい。
【0057】
リード線インピーダンスマルチプレクサ310は、スイッチ208からの入力を受け取り、選択された端子からの信号は、電流モニタ(IMON)350及び電圧モニタ(VMON)312に結合する。電流モニタ350及び電圧モニタ312は、FSM制御回路320内で生成される電流サンプリング(ISMPL)信号及び電圧サンプリング(VSMPL)信号によって適切な時間に使用可能にされる。
【0058】
選択された測定端子対にわたって誘導される電圧は、測定され、アナログ−デジタル変換器344によってデジタル化される。デジタル化した電圧測定値は、インピーダンスデータレジスタ338に含まれる電圧データレジスタ(V DATA)に記憶される。同様に、駆動端子に送出される電流は、電流モニタ350によって測定され、デジタル化され、インピーダンスデータレジスタ338に含まれる電流データレジスタ(I DATA)に記憶される。
【0059】
FSM制御回路320からの割り込みは、インピーダンス測定データ(I DATA及びV DATA)が所与の心周期の間に記憶されることを、マイクロプロセッサ224に信号で知らせる。インピーダンスデータレジスタ338に記憶されたデータは、オームの法則に従って、測定されたインピーダンスを計算する時に使用するために、マイクロプロセッサ224に転送されてもよい。流体監視セッション中にメモリ228に記憶される測定されたインピーダンスは、その後、以下でより詳細に述べるように、流体状態インピーダンス値を導出するのに使用される。
【0060】
1つの測定セットの間に、インピーダンス測定は、介在するペース事象又はセンス事象と付随する遅延の後に、次の心周期に関して始まることになる。インピーダンス測定プロセスは、測定サイクル数N372が実行され、それによって、1つのインピーダンス測定セットが完了するまで、各心周期について、以下でさらに詳細に述べるように繰り返される。次のインピーダンス測定セットは、規定のセット間隔376が終了した後に開始する。要求されたインピーダンス測定セット数が完了すると、流体状態監視セッションが終了し、マイクロプロセッサ224は、流体状態インピーダンス値を計算し、記憶することを続けることができる。
【0061】
マイクロプロセッサ224は、周期的に、又は、プログラムされたコマンドによって、後続の流体状態監視セッションを始動するであろう。得られる流体状態インピーダンス値は、メモリ226に記憶され、記憶した値がマイクロプロセッサ224によって実施される診断比較に基づいて悪化状況を指す場合、マイクロプロセッサ224は、患者警告をトリガするか、データ転送を始動するか、或いは、ICD10又はICD10とテレメトリでつながっている、薬剤ポンプ等の別の埋め込み式デバイスによって送出されるペーシング治療を変更することができる。
【0062】
1つの好ましい実施形態では、毎日の流体状態監視セッションが実施され、好ましくは、1年以上にわたる毎日の流体状態測定値を記憶することが可能な、メモリ226内の循環バッファ(rolling buffer)に、得られる流体状態インピーダンス値が記憶される。データは、任意選択で、毎週の(又は他の長い間隔の)高い測定値と低い測定値、及び/又は、平均(mean)測定値又は中央測定値に圧縮され、比較的長い期間、たとえば、数十年の間、メモリ226に蓄積される。
【0063】
図6は、心臓事象に対する流体状態監視励起パルスのタイミングを示すタイミング図である。ペース心室事象又はセンス心室事象であってもよい、一連の心室事象(VE)380は、一番上の時間線に沿って示される。励起パルス(Vp)384は、1つの測定セット中に、各心室事象380に続く指定された遅延382の後に送出される。2心室ペーシングが可能な多腔ICDシステムでは、励起パルス遅延に等しい「V−V間隔」と呼ばれることが多い心室間ペーシング間隔は、心室ペーシングパルスと励起パルスの両方を送出しようとするICDによる同時の試みを防止するために、利用可能なV−V間隔のプログラム可能な値から排除されるか、又は、流体状態監視セッション中に異なる間隔に自動的に調整される。別法として、励起パルス送出は、2心室ペーシング中に、2つの心室ペーシングパルスの遅い方のパルスが送出された後の送出に制限することができる。励起パルス持続期間及びパルス振幅は、得られるパルスエネルギーがディフィブリレーション及びペーシング捕捉閾値より小さくなるように選択される。
【0064】
心臓の捕捉に対する付加的な予防策として、励起パルスは、好ましくは、心臓事象のトリガに続く生理的不応期内に送出される。さらに、胸郭内インピーダンス測定は、好ましくは、心臓容積が急激に変化しない時点で測定される。心臓の血液容積は、インピーダンス測定に寄与することになり、したがって、インピーダンス測定が、収縮の急激な駆出期の間に行われる場合、急激に変化する心臓血液容積が、インピーダンス測定に望ましくない変動を付加する場合がある。したがって、肺うっ血/肺水腫又は水分欠乏があるかを監視するための胸郭内インピーダンス測定は、好ましくは、心収縮の早期等容性期中、拡張中の急速充満の前の駆出の終了に近い遅い収縮期中、又は、収縮の開始の前の拡張の終了時、等の、心臓容積の変化レート(dV/dt)が最小に近い時に実施される。
【0065】
収縮期の非常に遅くに、又は、拡張期の非常に早期に送出される励起パルスは、いわゆる「受攻期」すなわち、不整脈を受け易い患者において、刺激が不整脈を誘発する可能性がある期間内に誤まって入るため、最も安全な手法は、励起パルスを、収縮の早期等容性期中又は拡張期の終わりに送出することである。好ましい一実施形態では、励起パルスは、心室事象後約28ms(ミリ秒)経って送出される。単相励起パルスは、励起パルスによって、ICD検知回路200(図2に示す)に含まれる心室センス増幅器の飽和を防止するために、通常、心室ペース又はセンス事象に追従する心室ブランキング間隔中に送出されるのが好ましい。したがって、心室事象後に、非常に短い間隔、たとえば、10〜30msが経って励起パルスを送出することは、有利には、パルスが生理的不応期内で送出されるため、パルスが心臓を捕捉しないことを確実にし、パルスが急激な駆出期の前に送出されるため、心臓の変化する血液容積による変動を最小にし、付加的な心室センス増幅器ブランキングについての必要性をなくす。
【0066】
励起パルスは、別法として、インピーダンス測定を拡張期の終わりに行うように、予定されたペーシングパルスの直前に送出できることが考えられる。必要なセンス増幅器ブランキングは、励起パルスの送出によって始動され、予定されたペーシングパルス中及びパルス後に必要に応じて継続するであろう。しかしながら、心筋組織は、拡張期の終わりにおいて生理的不応性ではないため、予定されたペーシングパルスの前に送出される励起パルスは、心臓を捕捉するのに不十分なエネルギーであるべきである。
【0067】
しかしながら、検知回路200に含まれる心房センス増幅器のブランキングは、励起パルス384の送出中に必要とされる場合がある。一実施形態では、任意選択の減少した心房感度間隔388が次に起こる励起パルス384中に、1.25msの絶対ブランキング間隔386が、心房検知回路に適用される。たとえば、約30msの減少した心房感度間隔は、プログラム式心房感度に応じて設定されてもよい。プログラム式心房感度が高い場合、減少した心房感度間隔388は、絶対心房ブランキング間隔386の後に続いてもよい。プログラム式心房感度が低い場合、減少した心房感度間隔は、必要ではなく、絶対心房ブランキング間隔386のみが適用されて、励起パルス384の送出中に、検知回路200に含まれる心房センス増幅器の飽和が防止される。
【0068】
図6に示すように、励起パルス384は、所定の数Nの連続する心室事象380に続いて送出される。これらのNサイクルのそれぞれについて測定されるインピーダンスは、インピーダンス測定値の1つのセットとして記憶されることになる。平均インピーダンスは、収集されたインピーダンス測定値の各セットについて計算されることになり、この平均は、流体状態インピーダンス値を計算する時に使用されることになる。心臓ゲート制御式インピーダンス測定値、すなわち、心周期に対して一定時点で取得されたインピーダンス測定値は、心臓容積又は動きによって変わらないであろう。2呼吸サイクル以上にわたって順次得られる一連の心臓ゲート制御式インピーダンス測定値を平均することによって、インピーダンス測定値に対する呼吸の影響が除去される。したがって、これらの時間平均した、心臓ゲート制御式インピーダンス測定値から導出される流体状態インピーダンス値は、組織インピーダンスを反映し、組織インピーダンスは、電極及びリード線の安定性を仮定すると、流体内容物の変化と共に変わることになる。
【0069】
そのため、本発明によって提供される流体状態監視方法に含まれる心臓ゲート制御式の胸郭内インピーダンス測定は、代替の胸郭内インピーダンス測定方法に比べて少なくとも2つの利点を有する。第1に、心臓ゲート制御式測定は、単相インピーダンス測定が、センス増幅器ブランキング中に実施されることを可能にし、したがって、リード線診断機能において使用するための単相インピーダンス測定回路を既に使用するICDシステムにおいて容易に実施することができる。第2に、心臓ゲート制御式測定は、心臓雑音をなくすために、インピーダンス信号の通常の平均又はフィルタリングが適用される場合に実施される必要があるインピーダンス測定回数を減らす。本明細書で提供される方法では、心周期当たり1回の胸郭内インピーダンス測定を実施することができ、測定セットは、好ましくは、少なくとも1呼吸サイクルにわたり、それによって、いくつかのセットが平均される時に呼吸雑音がなくなる。心臓ゲート制御式測定が実施されない場合、心臓雑音をフィルタリングするために、1つの心周期内の複数の時点でインピーダンスをサンプリングする、高レートインピーダンス測定が必要とされるであろう。こうした高レートサンプリングが可能である場合があるが、平衡でない電荷蓄積を防止するために、2相又は多相励起パルスの使用が必要とされる場合があり、したがって、より複雑なインピーダンス測定回路が必要とされるであろう。
【0070】
単相パルス又は電荷平衡しないパルスは、徐々に電極腐食をもたらす可能性がある。しかしながら、本明細書に述べる心臓ゲート制御技法によって、インピーダンス測定の必要とされるサンプリングレートを低減することによって、電極腐食が、埋め込み式システムの予想される実質的な寿命内で起こることは予想されない。さらに、心臓ゲート制御によるサンプリングレートの低減は、有利には、デバイス電源に課される電流要求を軽減し、それによって、電池の寿命を維持する。
【0071】
図7は、流体状態監視セッション中に実施されるアルゴリズムのステップを要約するフローチャートである。流体状態監視が周期的な監視について使用可能にされるようにプログラムされる場合、又は、流体監視セッションを始動するプログラム式コマンドがユーザによって入力される場合、流体状態監視セッションは、マイクロプロセッサ224によって始動されるだけであろう。ブロック405によって示すように、自動化された流体状態監視が使用可能にされると、マイクロプロセッサ224は、ステップ410によって示される予定した時間に従って流体状態監視セッションを始動するであろう。
【0072】
開始時間は、リアルタイムクロックに基づいて、又は、ICD10に含まれる24時間タイマに基づいて、1日の特定の時間、たとえば、午後12時であってもよい。流体停留の日周期性変動は、CHF患者に特徴的であり、したがって、流体状態監視セッションは、日周期性変動を捕捉するために、1日ついての複数の、且つ/又は、いろいろな時間で始動されることができる。
【0073】
セッションを始動することによって、心臓ゲート制御式インピーダンス測定のセットが、プログラム可能な心周期数Nについて、上述した方法で、ステップ415にて取得される。たとえば、インピーダンス測定は、4、8、16、32、64、又は128の連続する心臓事象の間、行うことができる。測定セットが完了した後、測定電流及び測定電圧を含む記憶したインピーダンスデータは、ステップ420にてマイクロプロセッサ224によって使用されて、オームの法則に従ってN個のインピーダンス値が計算され、測定セットの平均インピーダンス(Z)が確定される。測定セットの平均インピーダンスは、その後、メモリ226に記憶される。
【0074】
決定ステップ425にて、全ての予定した測定セットが取得されたかどうかの判定が行われる。取得されていない場合、測定セットの開始間の時間を規定するセット間隔が、ステップ430にて経過することが可能になり、その後、次のインピーダンス測定セットが、ステップ415に戻ることによって始動することになる。例示的な一実施形態では、32の心臓ゲート制御式測定値を含む16の測定セットがそれぞれ、毎日、20分間隔で得られる。セッション開始時間、セッションの周期性、1つのセット内での測定回数、セット数、及び/又はセット間隔を変えることによって、予定された流体状態監視セッション方式の多くの変形を考えることができることが認識される。
【0075】
全て(X)の予定された測定セットを実行し、それぞれのセットについて平均インピーダンスを計算した後、Xの測定セットの平均インピーダンスの総平均が、ステップ435にて計算される。この総平均は、毎日の又は他の監視間隔の流体状態インピーダンス値として、対応する日時スタンプ及び任意の他の所望のデバイス関連データ又は生理的データと共に、ステップ440にて、記憶される。好ましい一実施形態では、インピーダンス測定データが記憶され、流体状態インピーダンスが、0.5オーム以上の分解能で確定されるように、流体状態インピーダンス計算が行われる。
【0076】
一実施形態では、毎日の流体状態インピーダンス値は、図8に示すように16ビット形式で記憶される。毎日の流体状態インピーダンスの整数部分は、ビット15〜8(460)に記憶される。毎日の流体状態インピーダンスの非整数(fractional)部分は、ビット7〜6(462)に記憶され、ビット7は、セットされると0.5オームを指示し、ビット6は、セットされると0.25オームを指示する。ビット5(464)は、以下でさらに詳細に述べるように、範囲を超えた測定値のために測定セットが廃棄される時にセットされる。流体状態インピーダンスを計算する時に使用される有効な測定セットの数は、ビット4〜0(466)に記憶される。
【0077】
図9Aは、心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、流体状態パラメータ及び呼吸数の導出を示す機能ブロック図である。呼吸数の変化はまた、医師にとって、診断価値又は予後価値がある場合がある。肺うっ血の増大は、呼吸数の増加をもたらす場合がある。CHFを患う患者は、チェーンストークス呼吸又は睡眠時無呼吸エピソードを経験する場合がある。こうした心臓関連の呼吸障害は、臨床状況の悪化を示す場合がある。呼吸サイクル中の肺容積の変化は、心臓ゲート制御式インピーダンス測定値の拍動ごとの変動によって反映されるであろう。
【0078】
図9Aでは、流体状態モニタ260は、点線ボックス470内に示す動作を実施する時に使用するために、測定セット中に取得された、デジタル化された電流データ(I DATA)及び電圧データ(V DATA)をマイクロプロセッサ224に提供する。インピーダンスは、ブロック472にて、それぞれの心臓ゲート制御式測定に続いて受け取った電流データ及び電圧データから計算される。このインピーダンスは、測定セット中に起こるピーク数が、呼吸数(RR)としてカウンタ480によってカウントされるように、ピーク/谷検出器474に提供される。一回換気量(TV)もまた、検出されたピークと谷の間の振幅変化に基づいて推定されるであろう。
【0079】
ブロック472にて計算されたインピーダンスはさらに、ブロック480に提供され、ブロック480は、インピーダンスセット中に測定された全てのインピーダンスの平均を確定する。測定セットの平均は、先に述べたように、流体状態値を計算するために、ブロック482に提供される。ブロック482はさらに、流体状態パラメータが、上述した測定セットの平均の総平均として計算されるように実行された有効測定セットの数を示す有効セットビットを取り出すことができる。
【0080】
図9Bは、心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、流体状態パラメータ及び呼吸数を導出する代替の方法を示す機能ブロック図である。図9Bでは、測定インピーダンスを確定するために、電流データと電圧データが、ブロック472に提供される。測定インピーダンスは、ブロック484にてローパスフィルタリングされ、その出力は、心臓の、呼吸の、及び外部の高周波雑音の無い流体状態信号として提供される。測定インピーダンスブロック472の出力はさらに、加算ブロック476への正入力として提供することができる。ローパスフィルタ484の出力は、加算ブロック476への負入力として提供される。加算ブロック476の出力は、未処理Z信号とローパスフィルタリングされたZ信号の差であり、その差は、主に、呼吸の影響のみに関連することになる。この呼吸信号は、呼吸数(RR)を導出するためのピーク/谷検出器474への入力として提供されるか、又は、一回換気量(TV)を導出するために使用することができる。
【0081】
こうして、一連の心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、呼吸数及び/又は流体状態インピーダンス値を確定することができる。呼吸数及び流体状態インピーダンス値は共に、診断、予後、及び治療最適化のために、臨床医が後で再調査するために、メモリ226に記憶することができる。
【0082】
図10は、有効な流体状態測定値を確保し、さらに、流体状態監視が、ICDによって提供される重要な救命治療を妨げないことを確実にするために、流体状態監視セッション中に実施される動作の概要を提供するフローチャートである。流体状態監視セッションは、抗不整脈治療が進行している場合(或いは、治療送出直前に不整脈が検出されている間か、又は、不整脈治療後に検出が継続している間に)、始動されない。カーディオバージョンショック送出及びディフィブリレーションショック送出は、通常、胸郭内インピーダンス測定中に使用不能にされる。しかしながら、不整脈があるかを監視することは、好ましくは、流体監視セッション中は中断されない。
【0083】
したがって、ステップ505にて、インピーダンス測定セットが始動された後、測定セット中の任意の時点で、マイクロプロセッサ224が、検出及び調律分類(rhythm classification)が行われる前に、不整脈が起こっていると判定する場合、測定セットは、ステップ520にて打ち切られる。たとえば、心室頻脈(VT)又は心室細動(VF)間隔カウントが、不整脈検出についてVT間隔又はVF間隔の必要とされる数より小さい値であってもよい所定の数より大きい場合、測定セットは打ち切られることになる。好ましい一実施形態では、決定ステップ510で示されるように、組み合わせたVT間隔カウント及びVF間隔カウントが3より大きい場合、測定セットは、ステップ520にて打ち切られる。測定セットの部分的な実行中に記憶した任意のインピーダンス値は、ステップ530にて廃棄されることになる。
【0084】
全ての予定された測定セットがまだ試みられていないと決定ステップ533にて判定される場合、方法500は、ステップ515に進み、その時のセット間隔が経過するのを待つことになる。その後、不整脈検出が存続していないか、又は、抗頻脈治療が進行中でない場合、次の後続のインピーダンス測定セットが始動されることになる。測定セット中に、ステップ510にて、排除用の不整脈検出関連基準が満たされない限り、測定セットは実行され続ける。測定セット中に得られる任意の測定インピーダンスが、許容可能なインピーダンス範囲外にあると決定ステップ525にて判定される場合、測定は無効であると考えられる。ステップ520にて、測定セットが打ち切られ、ステップ530にて、打ち切られた測定セットについての任意の記憶データが廃棄される。たとえば、RVコイル−筐体励起/測定端子対を使用する好ましい一実施形態では、測定インピーダンスが約20〜約200オームの範囲外にある場合、ステップ520にて、測定セットが打ち切られる。胸郭内インピーダンス測定において使用される特定のタイプのリード線(複数可)についての、許容可能な範囲外のインピーダンスは、リード線又は電極の不安定性を示す可能性がある。こうしたリード線又は電極の不安定性は、流体状態インピーダンス値を計算する時に使用するためのインピーダンス測定を無効にする可能性がある。
【0085】
好ましい一実施形態では、廃棄された測定セットは再び試みられない。流体監視セッションは、次の予定された測定セットに進み、流体状態インピーダンス値の最終計算は、予定された測定セットの数Xより小さい数であってもよい、収集された有効な測定セットに基づくことになる。別法として、流体状態インピーダンスを計算するのに、最小数の測定セットが必要とされる場合がある。したがって、測定セットが廃棄されると、所定数の繰り返しの試みを実施して、次の予定した測定セットの前に、有効な測定セットを得ることができる。別法として、余分な測定セットは、最後に予定した測定セットに付加されてもよい。
【0086】
全ての予定した測定セットが試みられたとステップ533にて判定される場合、ステップ535にて、有効な測定セットの平均の総平均が計算され、先に述べた方法で、ステップ540にて、流体状態インピーダンスとして記憶される。
【0087】
流体状態インピーダンスが変わった場合、ステップ545にて、マイクロプロセッサ224によって実施される診断比較に基づいて、組織流体内容物の変化の予備診断を行うことができる。臨床的に重要な流体状態の変化についての仮診断が、決定ステップ545にて行われない場合、ステップ550にて、流体状態監視セッションが終了する。変化が、臨床的に重要であると評価される場合、ステップ555にて、マイクロプロセッサ224は、流体状態応答を始動する。先に述べたように、こうした応答は、患者警告、データ送信、ペーシング治療の変更、又は、薬剤ポンプによって送出される医療治療等の、埋め込み可能デバイスによって送出される他のタイプの治療の変更のうちの1つ又は複数を含むが、それに限定されない。
【0088】
本発明の好ましい実施形態は、流体状態監視が、複雑な回路要素を付加することを必要とすることなく、ICDシステム内で行われることを可能にする。閾値以下のリード線インピーダンス試験を実施する時に使用するために知られている、ICDシステムに含まれる既存の回路要素は、一連の心臓ゲート制御式インピーダンス測定セットを予定するように制御パラメータ及び制御プログラムを設定することによって、流体状態監視を実施する時の使用に容易に適応することができる。しかしながら、流体状態をそこから導出することができる時間平均したインピーダンスを確定するための、予定した一連の心臓ゲート式インピーダンス測定の使用は、本明細書に記載する閾値以下のリード線インピーダンス測定回路のタイプに限定されない。2相励起電圧又は多相励起電圧又は電流パルスを利用するインピーダンス測定回路を含む、他のタイプのインピーダンス測定回路もまた、本発明と共に利用されてもよい。
【0089】
本発明はICDシステムの状況で述べられたが、本発明の態様は、他のタイプの心臓刺激デバイスを含む他のタイプの埋め込み可能デバイスにおいて有益である場合がある。本発明の態様は、組織流体内容物が、診断的又は予後的に特に重要である、患者の状況を監視するのに使用される埋め込み可能デバイスにおいて有効に使用されてもよい。本発明の態様は、患者の流体状態を安定にするために、自動的か、臨床医によってのいずれかで治療が調整されるように、流体停留又は流体喪失の症状を特徴とする患者の状況を処置するのに使用される埋め込み可能デバイスにおいて有効に使用されてもよい。
【0090】
上述したシステム及び方法は、デバイスメモリにおける記憶及び/又は外部プログラマへの送信のために、測定された電流値及び電圧値からの流体状態インピーダンス及び流体状態トレンドの確定が、埋め込み可能システム内で行われることを可能にするが、測定された電流値及び電圧値は、代わりに、記憶され、外部デバイスにおいて流体状態インピーダンス値へ変換するために、送信出力することができることが理解されるであろう。
【0091】
先に述べたように、測定インピーダンスは、流体内容物によって変わることになる組織インピーダンス、並びに、共に、脱落、絶縁破れ、導体破壊等のようなリード線関連の問題によって変わる可能性がある、固有リード線インピーダンス及び電極−組織界面インピーダンスを含むであろう。したがって、本発明の或る実施形態では、流体状態インピーダンス値の変化が、リード線関連のインピーダンス変化によらないことを検証するために、臨床的に重要な流体状態トレンドについての仮診断を行う前に、リード線インピーダンス相互参照チェックを行ってもよい。
【0092】
図11は、リード線インピーダンスのクロスチェックを含む流体状態監視方法の概要を提供するフローチャートである。ステップ605にて、流体状態インピーダンス値が確定される。流体状態インピーダンス値は、好ましくは、時間平均された心臓ゲート制御式インピーダンス測定について、本明細書で述べられる方法を使用して得られる。しかしながら、図11に示す方法は、時間平均された心臓ゲート制御式測定に関する実施態様に限定されるのではなく、インピーダンス測定から組織流体内容物又は流体充満に関連する監視パラメータを導出する時に使用するために、当該技術分野で知られている任意の方法と共に利用されてもよい。ステップ605にて確定された流体状態値に基づいて、ステップ610にて臨床的に重要な流体状態の変化が診断される場合、ステップ620にて、リード線完全性の調査が実施される。
【0093】
インピーダンス測定に基づくリード線完全性試験は、心臓ペースメーカ及びICD内での使用のために知られている。リード線完全性試験の記憶された結果は、ステップ620にて調査されて、リード線完全性問題が診断されたかを判定することができる。別法として、リード線完全性試験は、仮診断された流体状態の変化によってトリガされて、少なくとも、流体監視のためのインピーダンス試験を実施する時に使用されるリード線が、リード線完全性不合格を疑われないことが検証される。
【0094】
流体状態監視に使用される励起/測定経路について、リード線完全性の問題が診断されてないと決定ステップ625にて判定される場合、流体状態応答630を生成することができる。仮診断した流体状態変化は、リード線関連のインピーダンス変化のエビデンス欠如に基づいて有効であると考えられる。
【0095】
以前の、又は、トリガされたリード線完全性試験に基づいて、ステップ625にてリード線完全性不合格が診断される場合、ステップ635にて、流体状態インピーダンスデータは、疑わしいとしてフラグを立てられ、流体状態応答が保留される。リード線完全性不合格の診断は、使用されるリード線完全性監視システムに従ってリード線試験診断に対して適切な応答を引き出すことができる。
【0096】
ステップ640にて、後続の流体状態監視(FSM)セッションでの使用のために、代替の励起経路及びインピーダンス測定経路が選択される。代替の経路は、経路内に疑わしいリード線を含むべきでない。「疑わしいリード線」は、この状況では、リード線完全性試験に基づいて、部品間の電気的連続性の完全性又は部品の絶縁性が不合格であったことが疑われるような、電極、その関連する導体、コネクタ、及び埋め込み式デバイス内の端子への接続部を指す。
【0097】
図12は、異なるインピーダンス測定経路間のクロスチェックを使用して、流体状態監視結果を検証する代替の方法のフローチャートである。方法650は、流体状態監視が始動されるステップ655にて始まる。流体状態インピーダンス値を導出するために行われるインピーダンス測定は、流体状態監視中の、ステップ660と662によって示される、2つの異なる経路A及びBから取得される。インピーダンス測定は、同時か、交互か、又は、順次に、経路A及びBから取得することができる。測定経路A及びBを使用して実施されるインピーダンス測定は、共通の励起経路又は排他的な励起経路を使用することができる。図1に示すICDシステムの場合、好ましい測定経路Aは、RVコイルから筐体経路として選択することができ、測定経路Bは、SVCコイルから筐体、又は、別法として、CSコイルから筐体として選択することができる。しかしながら、第1及び第2のインピーダンス測定経路が、埋め込み式システムに含まれる任意の利用可能な電極から選択されてもよい。
【0098】
図11に示す方法を使用することができる埋め込み式システムはまた、ICDシステムに限定されない。たとえば、2腔ペースメーカ等の高電圧コイル電極を含まないリード線のセットを有する心臓刺激システムでは、第1及び第2の測定経路は、利用可能なペース/センス電極から選択されてもよい。たとえば、第1測定経路は、RV先端電極又はリング電極から筐体経路として選択することができ、第2測定経路は、RA先端電極又はリング電極から筐体経路として選択することができる。
【0099】
ステップ655にて、流体状態パラメータが、主要な測定経路Aから確定される。ステップ660にて、第2流体状態パラメータが、クロスチェック測定経路Bから確定される。第2流体状態パラメータは、ステップ660にて、メモリに記憶される。
【0100】
ステップ665にて、主要な測定経路Aから取得されたインピーダンス測定に基づいて、臨床的に重要な流体状態の変化が起こったかどうかについての判定が行われる。変化が起こらなかった場合、方法650は、ステップ670にて終了する。しかしながら、経路Aの測定に基づいて、ステップ665にて、臨床的に重要な変化が仮診断される場合、経路Aと経路Bのインピーダンス測定から確定された流体状態パラメータの間で比較が行われる。経路Aと経路Bから確定された流体状態パラメータの間に高い相関が存在する場合、流体状態変化の仮診断は有効と考えられ、ステップ685にて、流体状態応答を生成することができる。
【0101】
しかしながら、経路Aと経路Bから確定された流体状態パラメータの間に低い相関が存在する場合、次のデータ再調査時に臨床医の注意を引くために、ステップ680にて、データにフラグが立てられる。ステップ680にて、流体状態応答が保留される。
【0102】
各測定経路から、2つの異なる時点において確定された少なくとも2つの流体状態パラメータを使用して、ステップ675にて、相関が確定される。この時、1つの点は、ごく最近確定されたパラメータであり、1つ又は複数の点は、以前の時点で確定される。好ましくは、相関は、3つ以上の時点から確定されるが、電池エネルギー及びマイクロプロセッサ処理時間を節約するために、クロスチェック流体状態パラメータは、サンプリングごとにだけ確定されてもよい。
【0103】
したがって、クロスチェック経路Bから取得されるインピーダンス測定は、主要な測定経路Aから取得されるインピーダンス測定より低い頻度で実施されてもよい。一実施形態では、流体状態監視が初めて使用可能になるようにプログラムされる時に、好ましくは、患者が安定していることがわかっている時に、主要な測定経路Aとクロスチェック経路Bの両方が利用され、各経路に相当する初期ベースライン流体状態パラメータが確定される。その後、全ての流体状態監視セッション中に主要な経路Aを使用して、インピーダンス測定が取得されるが、クロスチェック経路Bからのインピーダンス測定は、サンプリングごとにだけ取得され、経路Aに関して実施される測定より頻度が少ない。
【0104】
インピーダンス測定のクロスチェックを含むことの1つの利点は、流体状態変化の偽陽性の診断及びリード線完全性不合格の偽陽性の診断が減る場合があることである。2つのインピーダンス測定経路から導出される流体状態パラメータ間に相関が存在しないことに基づいて、ステップ682にて、リード線完全性試験が、任意選択でトリガされてもよい。リード線完全性不合格が診断される場合、以前の仮の流体状態変化診断を取り消すことができる。同様に、測定リード線インピーダンスの有意の変化に基づいて、リード線完全性不合格が仮診断されるが、2つの異なる測定経路から導出される流体状態パラメータ間の相関が、流体状態の変化の診断をサポートする時、リード線完全性診断は不適切である場合がある。
【0105】
図13は、インピーダンス測定クロスチェックを含む流体状態監視方法についての代替の方法のフローチャートである。方法700では、主要なインピーダンス測定経路Aは、ステップ705にて、流体状態監視セッションが始動された後、ステップ710にて、インピーダンス測定を実施するのに利用される。ステップ715にて、経路Aのインピーダンス測定から確定された流体状態インピーダンスパラメータに基づいて、決定ステップ720にて、流体状態の変化が仮診断される場合、ステップ730にて、2重経路流体状態監視がトリガされる。経路Aのインピーダンス測定に基づいて診断された流体状態の変化が存在しない場合、方法700は、ステップ725にて終了する。
【0106】
2重経路インピーダンス測定は、同時か、順次か、又は、交互に、上述した、主要な経路Aとクロスチェック経路Bに沿ってインピーダンス測定を行うことを指す。2重経路流体状態監視は、元の流体状態監視予定に従って実施されてもよい。たとえば、一連のインピーダンス測定は、毎日実施されてもよく、所定の数の流体状態パラメータが、各経路について確定された後、たとえば、2〜10日後に、ステップ735にて、相関解析が実施されてもよい。経路B測定についての流体状態トレンドが、経路A測定から導出されたトレンドと高い相関関係を持たない場合、流体変化の仮診断はサポートされない。ステップ740にて、関連データはフラグを立てられ、流体状態応答を保留することができるが、原因がリード線完全性不合格に関連する場合があるために、不整合の結果の原因を評価するために、医師に診てもらうように患者に通知する患者警告がやはり生成されてもよい。
【0107】
ステップ750にて、クロスチェック経路B等の代替の測定経路が、後続の流体状態監視セッションのために選択され、それによって、経路Aからの異常な結果をなくすことができる。別法として、2重経路流体状態監視は、臨床医がリセットするまで継続することができる。
【0108】
代替の実施形態では、ステップ730にて始動される2重経路流体状態監視は、経路Aと経路Bのインピーダンス測定から導出される流体状態パラメータ間の相関計算を実施するための十分な時点を迅速に蓄積するために、早められた流体状態監視予定に従って実施されてもよい。2重経路流体状態監視は、たとえば、次の予定した流体状態監視セッションを待つのではなく、流体状態変化の仮診断が行われた直後に始まってもよく、インピーダンス測定は、より頻繁な間隔で行われてもよい。
【0109】
本明細書に述べる好ましい流体状態監視方法の場合、特定の日時に起こるように予定され、元々毎日予定された流体監視セッションは、それぞれ、20分離れて予定された、32の心臓ゲート制御式インピーダンス測定を包含する16の測定セットを含むことができる。2重経路測定の早められた予定は、流体変化の仮診断が行われると直ぐに、又は、その後の予め決めた或る間隔で始まり、元々予定したのと同じか、又は、それより短い測定セット間隔で予定された、元々予定したのと同じか、又は、それより少ない数の測定セット、たとえば、5〜10測定セットを含むことができる。
【0110】
流体状態変化が仮診断される時にインピーダンス測定をクロスチェックすることによって、生理的変化によって生じるインピーダンス変化は、リード線システムの物理的変化によって生じるインピーダンス変化から識別される場合がある。3つ以上の経路からインピーダンス測定を追跡することによって、組織流体内容物又は血液抵抗等の、全ての経路におそらく同程度に影響を及ぼすことになる生理的変化は、リード線関連のインピーダンス変化から区別されることができる。インピーダンス変化の生理的原因とインピーダンス変化のリード線関連の原因との区別は、生理的監視方法とリード線完全性監視方法の両方の特定性を改善することになる。
【0111】
インピーダンス変化のリード線関連の原因と生理的原因とを区別するための、クロスチェック式インピーダンス測定の使用は、少なくとも3つの電極(そのうちの1つの電極は筐体電極であってもよい)を含む、単腔、2腔、又は多腔心臓刺激システムにおいて有益に使用されることができ、それにより、少なくとも2つの別個のインピーダンス測定経路の試験が可能になる。インピーダンス測定は、本明細書で述べる閾値以下のインピーダンス測定か、別法として、分時換気量を確定するために知られているインピーダンス測定か、又は、当該技術分野で知られている任意の他のインピーダンス測定方法を使用して実施することができる。
【0112】
本発明の方法の多くは、無数のプロセッサベースのコンピューティングプラットフォームによって処理されることが可能なコンピュータ読み取り可能媒体上に記憶される実行可能な命令で具体化することができる。そのため、本発明は、その全てが、特に、本発明の範囲内にある、様々なこうしたコンピュータ読み取り可能媒体の任意の媒体上で実施することができる。もちろん、こうしたプロセッサベースのコンピューティングプラットフォームは、コンピュータ作動式の処理用システム及び処理方法の分野で知られ且つ使用される他のプラットフォームと一体構造である、ネットワーク接続される、且つ/又は、有線通信する、又は、無線通信してもよい。
【0113】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明が提供されたが、本発明によって提供される、流体組織内容物を監視するために心臓ゲート制御式胸郭内インピーダンス測定を実施する時に使用される方法及び回路に対して、多くの修正又は変形を行ってもよいことが認識される。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の真の範囲内に入ることができる全てのこうした変更形態及び修正形態を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】3本のリード線によって患者の心臓に結合するICDの図である。
【図2】本発明を有効に実施することができるICDの機能ブロック図である。
【図3A】流体状態インピーダンス測定経路の略図である。
【図3B】RVコイル−筐体励起/測定経路を使用することから得られるインピーダンス測定フィールドの概念図を提供する図である。
【図4】3本のリード線によって患者の心臓とつながる代替のICDシステムの図であり、ICDシステムは、ICDハウジング上に組み込まれた「ボタン」電極を含む。
【図5】流体状態モニタ回路の一実施形態の機能ブロック図である。
【図6】心臓事象に対する流体状態監視励起パルスの送出を示すタイミング図である。
【図7】流体状態監視セッション中に実施されるアルゴリズムのステップを要約するフローチャートである。
【図8】流体状態インピーダンス値を毎日記憶するのに使用される16ビット記憶形式の図である。
【図9A】心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、流体状態パラメータ及び呼吸数の導出を示す機能ブロック図である。
【図9B】心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、流体状態パラメータ及び呼吸数を導出する代替の方法を示す機能ブロック図である。
【図10】有効な流体状態測定値を確保し、さらに、流体状態監視が、ICDによって提供される重要な救命治療を妨げないことを確実にするために、流体状態監視セッション中に実施される動作の概要を提供するフローチャートである。
【図11】リード線インピーダンスのクロスチェックを含む流体状態監視方法の概要を提供するフローチャートである。
【図12】異なるインピーダンス測定経路間のクロスチェックを使用して、流体状態監視結果を検証する代替の方法のフローチャートである。
【図13】インピーダンス測定クロスチェックを含む流体状態監視方法についての代替の方法のフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的に、埋め込み可能心臓刺激デバイスの分野に関し、より詳細には、埋め込み可能心臓刺激デバイスで使用するための、胸郭内流体内容物の変化を監視する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータを装着する患者の多くは、うっ血性心不全(CHF)も患っている。流体停留(fluid retention)の増加、不全状態の心臓の心拍出量を増加させる代償性メカニズムは、最終的には、高い静脈圧を生じ、肺うっ血(又は肺水腫)及び呼吸不全をもたらす。したがって、CHF症状の処置にとっては、通常、利尿薬の使用による、患者の流体停留状態の管理が重要である。しかしながら、患者は、過剰に排尿促進され、それにより、心臓状態に付加的なストレスがもたらされる可能性がある。したがって、注意深く患者の流体状態の均衡をとることが、心不全患者を管理する時に重要である。
【0003】
肺うっ血/肺水腫及びCHF関連呼吸不全は、CHF患者が入院する共通の理由である。悪化していくCHF状況を早期に警告するサインが認識され、且つプロアクティブに処置することができるようにCHF症状の監視が改善されることによって、入院が減るであろう。外来患者においてCHFを監視するために提案される一方法は、胸郭内インピーダンスを測定して、肺うっ血/肺水腫を検出することである。予備調査が示すところでは、胸郭内インピーダンスの測定は、差し迫ったCHFに関連する入院の良好な予測子であることができる。コムス(Combs)他に発行された米国特許第6,512,949号において、呼吸数の評価によって肺水腫を見分けるインピーダンスモニタが一般に開示される。ズー(Zhu)他に対する米国特許出願第2003/0028221号において、胸郭内インピーダンス回路を含む肺水腫検出回路を有する心調律管理システムが一般に開示される。全身静脈及び肺インピーダンスの測定を含むCHFの長期監視のための埋め込み可能デバイスは、エールバッハー(Erlebacher)に発行された米国特許第6,473,640号に一般に開示される。
【0004】
分時換気量を確定するための、胸郭内インピーダンス測定の使用は、埋め込み可能レート応答ペースメーカにおいて実施されてきた。たとえば、ナフォルツ(Nappholz)他に発行された米国特許第4,901,725号、プリッキ(Plicchi)他に発行された米国特許第4,596,251号、シュタインハウス(Steinhaus)他に発行された米国特許第5,562,712号、又はイエーリック(Yerich)他に発行された米国特許第5,562,711号を参照されたい。呼吸数及び分時換気量を確定するために使用される、胸郭内インピーダンス測定値を測定する方法は、呼吸数の評価に基づいて肺うっ血/肺水腫があるかを監視する時に使用するために提案されている。同一譲受人に譲渡された、コムス他に発行された米国特許第5,957,861号及びリッフ(Riff)に発行された米国特許第5,876,353号が参照される。
【0005】
分時換気量測定のために通常使用されるタイプの胸郭内インピーダンス測定は、ICD内における付加的な回路要素の実装を必要とすることになる。一般に、胸郭内インピーダンス測定を使用して分時換気量を確定するために、インピーダンス測定は、心拍数と同期しないサンプリングレートで取得される。2相励起パルスの使用は、ドライブ電極に平衡した充電パルスを送出し、それによって、比較的高いサンプリングレートの間に電極−組織界面における残留電荷をなくすという利点を有する。胸郭流体内容物を確定するために、胸郭内インピーダンス測定は、心周期と呼吸周期に関連するインピーダンス信号の平均又はフィルタリングを可能にするレートでサンプリングされる必要がある。
【0006】
リード線及び電極の安定性を監視するための、ICDで使用するためのリード線インピーダンス測定が知られている。こうした測定は、ディフィブリレーション又はペーシング捕捉閾値より小さく、且つ、励起パルスが心臓を捕捉せず、患者にとって感じられないように、心臓の生理的不応期の間に送出される単相励起パルスを使用して実施される。共に参照によりその全体が本明細書に援用される、シュエルク(Schuelke)他に発行された米国特許第5,755,742号及びリンダー(Linder)他に発行された米国特許第6,317,628号が参照される。単相パルスがセンス増幅器ブランキング中に起こるように、単相励起パルスは、心臓事象と同期することができる。特定のリード線経路の単一インピーダンス測定は一般に、リード線完全性評価には十分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リード線インピーダンス監視方法が、ICDシステム内に組み込まれているが、こうした方法は、以前は、胸郭流体内容物の変化による、胸郭内インピーダンス関連の変化を監視する時の使用に適応していなかった。したがって、患者の流体状態の変化を監視するために、ICDシステム内で胸郭内インピーダンスを測定する方法及び装置に対する必要性が依然として存在する。こうした方法は、デバイスに対して回路要素又は複雑さを付加することなく、ICDにおいて容易に実施されることが望ましい。そのため、ICDが埋め込まれているCHF患者は、有利には、流体状態の変化があるかを監視され、それにより肺うっ血並びに過剰水分欠乏(dryness)の早期検出を可能にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ICD或いは他の心臓刺激デバイス又は監視デバイスで容易に実施することができる、うっ血性心不全に関連する胸郭流体内容物の変化を検出する時に使用するための流体状態監視システムが提供される。流体状態モニタは、心臓雑音を除去するために心周期でゲート制御され、且つ呼吸雑音を除去するためにいくつかの心周期にわたって平均されるか、又は、ローパスフィルタリングされた、比較的高解像度で閾値以下のインピーダンス測定を実施するためのインピーダンス測定回路を含む。
【0009】
流体状態インピーダンス値は、一連の、心臓ゲート制御され、時間平均されるか、又は、ローパスフィルタリングされた閾値以下のインピーダンス測定から確定される。好ましい一実施形態では、流体状態監視セッションは、手動で又は周期的に始動され、所定の間隔で取得されたいくつかのインピーダンス測定セットを含み、各セットは、所定の数の又は所定の時間間隔の連続した心臓ゲート制御式インピーダンス測定を含む。各測定セットについて、平均インピーダンスが計算され、インピーダンス測定セットの平均の総平均は、周期的な流体状態インピーダンス値として計算される。流体状態インピーダンス値又は流体状態インピーダンス値の確定されたトレンドの、流体状態閾値との診断比較を行い、臨床的に重要な流体内容物の変化を仮診断することができる。こうした予備診断により、患者警告を生成するか、外部デバイスへのデータ転送を始動するか、又は、ICD又は別の埋め込み可能デバイスによって送出されるペーシング治療を変更することができる。
【0010】
ICDシステム内での流体状態監視において使用するためのインピーダンス測定を行う、好ましい電極構成は、励起電流を送出するとともに、得られる電圧を測定するための右心室コイル電極及びICD筐体電極を含む。しかしながら、本発明が実施される、ICDシステム又は他の心臓刺激/監視デバイスに関連する任意の利用可能な電極構成は、流体状態監視において使用するための胸郭内インピーダンスを測定するのに使用されてもよいと考えられる。励起対と測定対は、同じ電極対又は異なる電極対であってもよい。
【0011】
一実施形態では、本発明は、流体状態監視回路を組み込むICD、及び関連するリード線のセットを含むICDシステムにおいて実現される。流体状態監視回路は、流体状態モニタ制御回路、流体状態モニタ制御レジスタ、インピーダンス測定レジスタ、インピーダンスデータレジスタ、及び励起パルス制御回路を含む。流体状態制御レジスタ及びインピーダンス測定レジスタは、プログラム可能マイクロプロセッサの形態であってもよいICD制御回路からパラメータ値を受け取り、記憶する。制御レジスタ及びインピーダンス測定レジスタに記憶されるパラメータ値は、励起パルス制御回路を介して励起パルスの送出を制御するとともに、励起パルスの間に、送出された電流と得られる電圧を測定する時に使用される電流モニタと電圧モニタを制御する時に使用するための流体状態モニタ制御回路によって取り出される。選択された励起電極対及び選択された測定電極対に結合したICD端子は、ICD内に含まれるスイッチング回路を介して流体状態モニタに結合されるため、利用可能な電極のうちの任意の電極は、流体状態監視のための種々の励起及び測定の2極構成又は多極構成で選択され得る。
【0012】
励起パルスの間の、測定された電流及び電圧は、流体状態モニタ制御回路によってデジタル化され、ICDマイクロプロセッサに転送するために、インピーダンスデータレジスタ内に記憶される。マイクロプロセッサは、取得した電流データ及び電圧データを使用して、インピーダンスを計算し、インピーダンスから、次に、流体状態インピーダンス値が確定される。或る実施形態では、クロスチェック測定経路を使用して、仮の胸郭流体状態の変化の診断が検証される。主要な測定経路に関して実施された胸郭内インピーダンス測定値の変化が検出される場合、こうした測定値又は得られる流体状態インピーダンス値は、クロスチェック測定経路から得られる測定又は流体状態インピーダンス値と比較されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、埋め込み可能心臓刺激デバイス又は監視デバイスで使用するための、臨床的に重要な胸郭流体内容物の変化を検出するために、胸郭流体状態監視を提供することを対象とする。本発明の利益は、ICDにおいて十分に実現され、それによって、有利には、ICDを装着するCHF患者における胸郭流体トレンドを監視するのに使用することができる。しかしながら、本発明の態様は、種々の埋め込み可能心臓刺激/監視デバイスにおいて有効に使用されてもよいことが理解される。したがって、本発明は、ICDにおける使用に限定されないが、本明細書で述べる例示的な実施形態は、ICDの実施態様を主に対象とする。
【0014】
図1は、3本のリード線6、15、及び16によって患者の心臓に結合するICD10の図である。コネクタブロック12は、3心腔又は4心腔において検知し、刺激するために電極を配置するのに使用される、右心室リード線16、右心房リード線15、及び冠状静脈洞リード線6の近位端を受け入れる。図1において、右心室リード線16は、右心室心臓信号を検知するとともに、右心室においてペーシングパルス又はショックパルスを送出するために、その遠位端が右心室(RV)内にあるように配置される。これらの目的のために、右心室リード線16は、リング電極24、任意選択で電極ヘッド28内に伸縮自在に搭載された先端電極26、及びRVコイル電極20を装備しており、電極のそれぞれは、リード線16の本体内に含まれる絶縁導体に接続される。絶縁導体の近位端は、ICD10に電気接続を提供するために、リード線16の近位端で、ここでは分岐コネクタとして示すコネクタ14によって保持される対応するコネクタに結合される。
【0015】
右心房リード線15は、その遠位端が、右心房(RA)及び上大静脈(SVC)に近接するように配置される。リード線15は、右心房における検知及びペーシングのために、RAリング電極21、任意選択で電極ヘッド19内に伸縮自在に搭載されたRA先端電極17を装備する。リード線15はさらに、高エネルギーショク治療を送出するためのSVCコイル電極23を装備する。RAリング電極21、RA先端電極17、及びSVCコイル電極23はそれぞれ、右心房リード線15の本体内の絶縁導体に接続される。各絶縁導体は、分岐コネクタとしても示されるコネクタ13によって保持されるコネクタにその近位端で結合される。
【0016】
冠状静脈洞リード線6は、冠状静脈洞及び大心臓静脈を介して心臓の左側の血管内に進む。冠状静脈洞リード線6は、カーディオバージョン治療及びディフィブリレーション治療のために電気ショックを送出するための、RVコイル電極20又はSVCコイル電極23のいずれかと組み合わせて使用することができるディフィブリレーションコイル電極8を有するものとして、図1の実施形態で示される。他の実施形態では、冠状静脈洞リード線6はまた、心臓の左腔におけるペーシング機能及び検知機能のための、遠位先端電極及びリング電極を装備する。コイル電極8は、近位コネクタ4への接続を提供する、リード線6の本体内の絶縁導体に結合する。
【0017】
電極17と21、又は、24と26は、一般に「先端−リング」構成と呼ばれる2極対として、或いは、一般に「筐体」又は「ケース」電極と呼ばれる不関電極の役をするデバイスハウジング11を有する単極構成で個別に用いられてもよい。デバイスハウジング11はまた、心房又は心室のディフィブリレーションのために、ディフィブリレーションコイル電極8、20、又は23の1つ又は複数の電極と組み合わされて皮下ディフィブリレーション電極の役をしてもよい。
【0018】
本発明によれば、ハウジング11を含む利用可能な電極8、17、21、20、23、24、26の任意の電極は、胸郭流体状態を監視する目的でインピーダンス測定を実施する時に使用するために、対で選択されてもよい。通常のインピーダンス測定構成は、ハウジング11と対になったコイル電極8、20、又は23のうちの1つの電極、リターン電極としてのコイル電極8、20、又は23のうちの別の1つの電極或いはリング電極21又は26の一方の電極を含むことになることが予想される。
【0019】
患者の心臓と動作可能な関係にある、異なる数又は異なる配置構成のペーシング電極、検知電極、及び高電圧電極を有する代替のリード線システムが図1に示す3本のリード線システムと置き換えられてもよいことが認識される。特定の多腔ICDシステム及びリード線システムが、図1に示されるが、本発明に含まれる方法は、単腔、2腔、又は、多腔ICDシステムと共に使用されるようになっていてもよい。
【0020】
図2は、本発明を有効に実施することができるICDの機能ブロック図である。本発明は、ペーシングタイプの治療を提供しない、カーディオバータ及びディフィブリレータ等の他のデバイスの実施態様で有効に実施することができると考えられるため、この図は、本発明が具体化され得るデバイスのタイプの例示として考えられるべきであり、制限的なものとして考えられるべきでない。胸郭流体内容物を監視するための、本発明に含まれる方法は、ディフィブリレーション/カーディオバージョンデバイスの実施態様に限定されないこともさらに理解される。本明細書に述べる方法は、ICDデバイスにおいて容易に実施されるが、こうした方法は、有利には、心臓ペーシングデバイス又は監視のみを意図されるデバイスにおいて実施されてもよい。
【0021】
図2に示す開示される実施形態は、マイクロプロセッサ制御式デバイスであるが、本発明の方法はまた、デバイス機能を制御し、実施する特注の集積回路要素を使用するデバイスによって実施されてもよい。たとえば、状態カウンタがカウンタ制御式ステップの規定のシーケンスに従って計算を実施する演算論理ユニットを制御するのに役立つ状態マシンアーキテクチャが、本発明の実施において使用されてもよい。
【0022】
本発明は、既存の単腔、2腔、又は多腔ICDシステムの基本ハードウェアを使用して容易に実施することができると予想される。本発明は、有利には、リード線/電極の不安定性を検出するためリード線インピーダンスを監視する時に使用するための、ICDシステムによって既に使用される場合がある、主に、マイクロプロセッサ制御式ICDに関連するメモリに記憶したソフトウェアの変形及び閾値以下のリード線インピーダンス測定機能の適応によって、ICDにおいて実施されてもよい。
【0023】
図1に示す電極システムに関して、ICD10は、心臓リード線6、15、及び16並びにそれぞれの電極への電気接続を達成するいくつかの接続端子を備える。接続端子311は、単極刺激又は検知の間に不関筐体電極として使用するために、ハウジング11への電気接続を提供する。接続端子320、310、及び318は、それぞれ、コイル電極20、8、及び23への電気接続を提供する。接続端子311、320、310及び318はそれぞれ、高電圧出力回路230に結合されて、コイル電極8、20、及び23の1つ又は複数の電極並びに任意選択でハウジング11を使用して、心臓への高エネルギーショックパルスの送出を容易にする。
【0024】
接続端子317及び321は、右心房に配置されるRA先端電極17及びRAリング電極21への電気接続を提供する。接続端子326及び324は、右心室に配置されるRV先端電極26及びRVリング電極24への電気接続を提供する。接続端子317、321、326、及び324は、P波及びR波等の心臓信号を検知するとともに、心調律を分類するための検知回路200にさらに結合される。
【0025】
センス(検知)回路200は、通常、たとえば、カイメル(Keimel)他による米国特許第5,117,824号に開示されるものに相当する、調整可能な検知閾値を有する自動利得制御式増幅器を含む。マイクロプロセッサ224によるEGM信号のデジタル解析を可能にし、当該技術分野で知られている多くの信号処理方法の任意の方法を使用して患者の心調律を認識し且つ分類するように、検知回路200は、信号調節回路及びアナログ/デジタル変換器をさらに含むことができる。
【0026】
流体状態モニタ260は、以下でより詳細に述べるように、流体状態インピーダンス値を確定する時に使用されるための胸郭内インピーダンス測定を実施する回路要素を含む。流体状態モニタ260内に含まれる励起及びインピーダンス測定回路は、一般に、先に参照したリンダー他に発行された米国特許第6,317,628号又はシュエルク他に発行された米国特許第5,755,742号に開示されるものに相当してもよい。実際に、本発明の或る実施形態では、流体状態モニタ260内に含まれる励起及びインピーダンス測定回路は、2重の機能を実施することができる。
【0027】
或る時点で、マイクロプロセッサ224は、先に参照した米国特許第6,317,628号と米国特許第5,755,742号によって一般に教示されるように、リード線の安定性を監視する時に使用するための、流体状態モニタ260に含まれる励起及びインピーダンス測定回路を利用して、リード線インピーダンス測定を始動することができる。他の時点で、マイクロプロセッサ224は、流体状態モニタ260に含まれる同じインピーダンス測定回路を利用して流体状態監視セッションを始動することができる。励起及びインピーダンス測定回路を利用したリード線安定性監視機能及び流体状態監視機能はそれぞれ、関連するメモリ226に記憶された作動パラメータに従ってマイクロプロセッサ224によって制御される、監視、インピーダンス測定のスケジューリング、及び測定値の処理に関わる電極を規定する独自に規定された監視アルゴリズムに従うことになる。流体状態監視で使用される好ましい方法は、本明細書で十分に述べられるであろう。
【0028】
流体状態モニタ260は、スイッチマトリクス208を介して種々の電極に結合され、スイッチマトリクス208は、胸郭内インピーダンス測定にどの電極が使用されるかを選択するのに使用することができる。別法として、励起電極対及び測定電極対(同じか、又は、異なる対であってもよい)は、胸郭内インピーダンスを測定する時に使用される電極が変更可能でなくなるように、対応する端子311、320、318、310、317、321、326、又は324を流体状態モニタ260に直接接続することによって、利用可能な電極から選択することができる。しかしながら、電極及び対応するリード線が万一故障した場合、個々の患者の状況に合わせること並びに励起対及び測定対から電極をなくすことを可能にするために、励起電極対及び測定電極対はスイッチマトリクス208を介して選択可能であることが好ましい。
【0029】
流体状態モニタ260によって得られる胸郭内インピーダンスデータは、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224に対して利用可能にされる。マイクロプロセッサ224はさらに、胸郭内インピーダンス測定データを処理し、解析して、周期的な流体状態インピーダンス値を確定し、流体状態トレンドを評価することができる。計算した流体状態インピーダンス値及び流体状態トレンドに基づいて、マイクロプロセッサ224は、臨床的に重要な流体状態の変化を仮診断し、患者(PT)警告回路(デバイス)228で起動される患者警告をトリガして、患者が医師に診てもらうこと(medical attention)を要求するように警告することができる。本発明の譲受人によって市販されているSYNCHROMED(登録商標)埋め込み可能薬剤投与デバイスで使用される、患者が知覚できる、適した音響警告は、患者警告デバイス228として使用されてもよい。患者警告デバイス228は、別法として、参照によりその全体が本明細書に援用される、グリーニガー(Greeniger)他に発行された同一譲受人に譲渡された米国特許第6,082,367号に一般に開示される、埋め込み可能デバイスで使用するための可聴通信装置の形態をとってもよい。警告は、患者が肺うっ血/肺水腫を生じていること、又は、患者が過剰に排尿促進されている可能性があることを示す流体状態のトレンドを患者に通知することができる。いずれの場合も、遠隔で又は医院訪問での、利尿薬の用量に関する医師立会い診察によって、患者の流体状態が正常化されることが可能になり、それによって、状況の悪化が防止され、それによって、入院が避けられる。
【0030】
マイクロプロセッサ224によって仮診断された臨床的に重要な流体状態の変化は、付加的に、又は、別法として、ICD10から外部デバイスへのデータ送信を始動することができる。流体状態データは、好ましくは、ICD10の手動の呼び掛けに応答して外部デバイスへ送信されるか、又は、トリガされてデータ送信されるまで、メモリ226に記憶される。こうした送信は、患者警告デバイス228による可聴音又は他の患者警告信号が生成されると、患者又は患者の付添人によって手動で始動されることができる。別法として、こうした送信は、臨床的に重要な流体状態変化が仮診断されることによって、外部デバイスとの通信リンクが確立されると、ICD10によって自動的に始動されてもよい。送信されたデータを受信する外部デバイスは、たとえば、モデムを介して、中央化データベース、パーソナルコンピュータ、中央化コンピュータネットワーク、又はインターネットベース患者データシステムと通信することができる、外部医師プログラマ、患者プログラマ、又は家庭用モニタであってもよい。
【0031】
テレメトリ回路330は、埋め込み可能抗不整脈デバイスにおいて通例であるように、アンテナ332によって、外部プログラマからダウンリンクテレメトリを受信し、外部プログラマへアップリンクテレメトリを送出する。受信されたテレメトリは、マイクロプロセッサ224へ供給され、プログラマへアップリンクされるべきデータ及びテレメトリ回路330用の制御信号は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって供給される。アップリンクされるべきデータは、現代のICDでは一般的である、検出された不整脈エピソードの記録、或いは、他の検出された生理的事象又はデバイス関連事象を含んでもよい。本発明によれば、流体状態モニタ260によって測定されたインピーダンス測定データ、流体状態インピーダンス値及び/又はトレンドの記録は、呼び掛けコマンドによってテレメトリを介して利用可能にされてもよい。こうしたデータの再調査は、患者の流体状態の点で、臨床医にとって有用であり得る。埋め込み可能デバイスでの使用について知られている多くのタイプのテレメトリシステムが使用されてもよい。
【0032】
図2に示す回路要素の残りは、心臓ペーシング治療、カーディオバージョン治療及びディフィブリレーション治療を提供するのに専用であり、本発明のために、従来技術において知られている回路要素に相当することができる。図2に示す例示的な実施形態では、ペーサタイミング及び制御回路212は、プログラム可能デジタルカウンタを含み、プログラム可能デジタルカウンタは、心房又は心室内で送出される、種々の単腔、2腔、又は多腔ペーシングモード或いは抗頻脈ペーシング治療と関連する基本時間間隔を制御する。ペーサタイミング及び回路212はまた、マイクロプロセッサ224の制御下で心臓ペーシングパルスの振幅を確定する。
【0033】
ペーシングの間に、ペーサタイミング及び制御回路212内の補充間隔カウンタは、心臓事象を検知することによって生成される、センス回路200からの信号を受信するとリセットされる。選択されたペーシングモードに従って、ペーシングパルスが、ペース出力回路214によって生成され、ペース出力回路214は、スイッチマトリクス208を介してペーシングのために所望の電極に結合することができる。補充間隔カウンタは、ペーシングパルスが生成されるとリセットされ、それによって、抗頻脈ペーシング、心臓再同期化治療、期外収縮刺激、又は他のタイプのペーシング治療を含むことができる心臓ペーシング機能の基本タイミングを制御する。
【0034】
センス回路200によって実施される検知動作に基づく、心房頻脈又は心室頻脈の検出に応答して、検出される頻脈のタイプに従って、マイクロプロセッサ224からペーサタイミング及び制御回路212内に療法をロードすることによって、所望であれば、抗頻脈ペーシング治療が送出されてもよい。高電圧カーディオバージョン又はディフィブリレーションショックパルスが必要とされる場合、マイクロプロセッサ224は、高電圧出力回路230を作動させる。高電圧出力回路は、高電圧コンデンサ及び充電回路を含む。ディフィブリレーション高電圧パルス又はカーディオバージョン高電圧パルスの送出タイミングは、ペーサタイミング及び制御回路212によって制御される。
【0035】
本発明の流体状態監視動作について考えると、流体状態モニタ260が、設けられ、周期的に自動的に、又は、テレメトリ330を通して受け取られたプログラムされたコマンドに応答して、アドレス/データバス218上のマイクロプロセッサ224からのコマンドによって始動されるモニタモードで使用される。ごく一般的に、流体状態監視がマイクロプロセッサ224によって始動されると、スイッチマトリクス208において行われる接続を通して、高電圧端子320、318、及び310、ペース/センス端子326と324と317と321、並びにハウジング11の中から、励起又は「フォース(force)」端子対及び「測定」端子対が選択される。
【0036】
インピーダンス測定は、アドレス/データバス218上で、ペーサタイミング及び制御回路212によって生成され且つ流体状態モニタ260によって受信される検知事象信号に従って、心臓センス事象又は心臓ペース事象に同期して実施される。流体状態モニタ260は、検知される心臓事象信号に応答して励起パルスをトリガし、以下でさらに述べるように、それぞれ、励起経路及び測定経路上で、送出される電流と得られる電圧のサンプリングを始動する。一般に、励起パルスは、本明細書で提示される例示的な実施形態で述べるように、心室検知事象(R波)に応答して心室腔内で送出されることになる。しかしながら、励起パルスは、考えられるところでは、心房検知事象(P波)に応答して心房腔内で送出されてもよく、本発明の範囲をはずれない。
【0037】
流体状態モニタ260によって測定されるインピーダンスは、励起経路及び測定経路が共通電極を含む場合、固有リード線抵抗インピーダンスを含むことになる。固有リード線インピーダンスは、リード線が埋め込まれていない時の、遠位電極と近位コネクタ要素の間で測定することができる。この固有リード線インピーダンスの値は、絶縁欠陥が無い状態か、或いは、近位コネクタ要素と遠位電極に関して緩い内部接続部又は開いた状態の内部接続部が無い状態のリード線の場合に比較的低い。リード線が埋め込まれている時に実際に測定されるインピーダンスは、組織インピーダンス(TI)を含み、組織インピーダンスは、流体停留及び肺うっ血の増加又は減少に伴い変わることになる。組織流体内容部の増加は、相対的な組織抵抗を減少させることになり、一方、流体内容物の減少は、相対的な組織流体抵抗を増加させることになり、インピーダンス測定に寄与する。
【0038】
インピーダンス測定はさらに、電極/組織界面インピーダンス(ETI)を含む場合がり、近位リード線コネクタ要素とICDコネクタブロックとの緩い電気接続部又はそれ以外での不十分な電気接続部によって生じる任意のインピーダンスを含む場合がある。ETIインピーダンスは、抵抗インピーダンスであると考えることができ、電極の表面積/形状及び関連する電流密度に応じて変わる。総合の標準インピーダンス値は、任意の特定のリード線設計について、標準胸郭流体内容物状況下の範囲にあり、励起リード線対及び測定リード線対の組み合わせは、所定期間にわたって獲得された臨床経験から経験的に導出することができる。流体状態の変化に関連しないインピーダンス測定値の変化、すなわち、リード線のずれ又は脱落によるETIの変化、又は、ICDに対する不十分な接続、絶縁破れ、又は欠陥のある導体等のリード線に関連する問題による固有リード線インピーダンスの変化を扱う方法は、以下に提言されるであろう。
【0039】
所定の振幅及びパルス幅の、閾値以下の励起又は「フォース」電圧パルス(Vp)が、流体状態モニタ260内のフォースパルス発生器によって生成される。フォースパルスVpは、「駆動」端子として選択されるフォース端子対に含まれる1つの端子に印加され、一方、「リターン」端子として選択される、フォース端子対の第2端子は、システムグラウンドに保持される。したがって、励起通路は、被駆動端子と対応する導体と電極、患者の体、特に、胸郭領域と心臓組織、システムグラウンドに保持されたリターン電極、導体、及び関連する端子を通る。測定経路もまた選択され、測定経路は、被駆動端子と同じか、又は、異なる場合がある測定端子、関連する導体と電極、胸郭領域と心臓組織、システムグラウンドにあるリターン電極、導体、及び関連する端子を含む。フォースパルスVpは、電圧パルスの代わりに電流パルスの形態であることができ、いずれの場合も、異なる極性の1つ又は複数の相から成ってもよいが、好ましくは、実施の簡略化のために、単相の定電圧パルスであることに留意されたい。
【0040】
フォースパルスVpの送出中に励起経路に送出される電流は、流体状態モニタ260によって信号Imとして測定される。同時に、測定端子対にわたって現れる電圧は、流体状態モニタ260において信号Vmとして測定される。励起経路に流れる測定電流Im及び測定端子対間の測定経路にわたって誘導される測定電圧Vmから、オームの法則に従って、見かけの胸郭内インピーダンスを計算することが可能である。一連の心周期中に得られる測定電流Imと電圧Vmのセットは、マイクロプロセッサ224において流体状態インピーダンス値を導出し、以前に測定された胸郭内インピーダンス及び/又は最大及び最小流体状態インピーダンス閾値と比較することによって、流体状態トレンドを推論するのに使用される。フォースパルスが、別法として、電圧パルスの代わりに、定電流パルスとして供給される場合、心臓の捕捉を回避するために、印加される最大電流に適当な制限を課すことによって、先に述べた電圧測定及び電流測定が逆にされるが、同じインピーダンス結果が得られることになる。
【0041】
以下でさらに詳細に述べるように、流体状態インピーダンス値は、一連の心臓ゲート制御式インピーダンス測定から計算される。導出された流体状態インピーダンス値は、その後、流体状態トレンドを診断するために、標準の、又は、以前のインピーダンス値と診断比較する時に、マイクロプロセッサ224によって使用される。一般に、計算された流体状態インピーダンス値が、許容可能なインピーダンス範囲内にあるか、又は、連続する周期的な流体状態インピーダンス値のトレンドが安定していると判定される場合、流体状態は安定していると推定される。しかしながら、流体状態インピーダンス値又はトレンドが、最大許容可能値より大きいか、又は、最小許容可能値より小さい場合、流体状態は不安定である場合があり、臨床医に診てもらうことを通知する。臨床的に許容可能な流体状態状況下で流体状態の監視に使用される特定のリード線についての標準インピーダンス値又は範囲は、患者の流体状態が、臨床的に標準状態に管理されている時の、試験下のリード線タイプ又はモデルの特性から前もって導出することができる。個々の患者又は幅広い臨床経験に基づいて、臨床的に重要な増減する流体内容物のレベルの境界を規定する閾値は、プログラムされ、診断比較中にマイクロプロセッサ224が使用するために、メモリ226に記憶される。以下にさらに詳細に述べるように、励起経路と測定経路は、電極−組織界面インピーダンス及び固有リード線インピーダンス因子を含むため、測定されたインピーダンスの変化が、流体状態の変化ではなく、リード線又は電極の不安定性を示しているかを判定するために、相互参照リード線を含む流体状態インピーダンス値のさらなる評価が必要である場合がある。
【0042】
臨床的に重要な流体状態の変化が、マイクロプロセッサ224によって診断されるか否かにかかわらず、流体状態インピーダンスデータを、ICD呼び掛けが始動するまで、メモリ226に記憶することができる。外部デバイスにアップリンクされると、データは、外部デバイスによって表示され、流体状態インピーダンス閾値の表示及び/又は流体状態インピーダンストレンドを表示する解析プログラムの補助の下で医師によって解釈されることができる。ICD10が自動化されたリード線診断機能を含む場合、流体状態インピーダンストレンドデータに影響を及ぼす場合がある可能性のあるリード線関連の問題の診断情報もまた、転送のために提供され、表示されることができる。
【0043】
図3Aは、流体状態モニタ260が使用することができる流体状態インピーダンス測定経路の略図である。肺3は、心臓内電極及び筐体電極11に対して肺のほぼ相対的なロケーションを示すために、点線で示される。選択された胸郭内インピーダンス測定経路は、肺によって占められた胸郭容積の少なくとも或る部分を包含する測定フィールドをもたらすべきである。
【0044】
表Iは、その一部が図3Aに示されている、図1に示す電極配置に対する可能な胸郭内インピーダンス測定経路の部分的な一覧を提供する。表Iに提供される一覧及び図3Aに示す組み合わせは、網羅的であることを意図しない。2極か、多極のいずれかの配置の多くの電極の組み合わせは、当業者には明らかであり、使用される特定のリード線システムに依存するであろう。したがって、例示するために、可能な組み合わせの部分的な一覧のみが表Iに提示される。
【0045】
【表1】
【0046】
励起経路及び測定リード線経路は、筐体電極としてICDハウジング11を含むことが多いことが留意される。ICD埋め込み部位は、通常は、胸郭領域内であり、特に、活性筐体電極が利用される時は、最も一般的には左胸筋領域内である。本発明のために、流体状態監視は、ICD配置、したがって、左か、右のいずれかの胸筋領域における筐体電極の配置によって首尾よく実施することができることが予想される。
【0047】
好ましい一実施形態では、流体状態監視のために実施される胸郭内インピーダンス測定は、励起経路と測定経路の両方についてRVコイル−筐体構成を使用して実施され、図3Aに示す、RVコイル−筐体インピーダンス測定値ZRVコイルー筐体に基づいて計算される流体状態インピーダンス値をもたらす。図3Bは、このRVコイル−筐体構成を使用した、得られるインピーダンス測定フィールドの概念図を提供する図である。ICD10が患者1の左胸筋ロケーションに埋め込まれた状態で、RVリード線16上に位置するRVコイル20と筐体電極11の間で行われる胸郭内インピーダンス測定は、RVコイル20と筐体電極11の間で得られる測定フィールド2内に存在する心臓組織と肺組織のインピーダンスを含むことになる。
【0048】
しかしながら、表Iに挙げられるように、肺3を含む測定フィールドを包含することになる流体状態監視について、代替の励起経路及び測定経路が容易に使用されてもよいことが認識される。たとえば、胸郭内インピーダンス測定は、別法として、図3Aに示すように、ハウジング11に関してSVCコイル23(ZSVCコイル−筐体)、又は、ハウジング11に関してCSコイル8(ZCSコイル−筐体)を選択することによって、或いは、利用可能なコイル電極8、20、及び23のうちの任意の電極を対で選択することによって実施されてもよく、それによって、CSコイル8とSVCコイル23間(ZCSコイル−SVCコイル)、RVコイル20とCSコイル8間(ZRVコイル−CSコイル)、又は、RVコイル20とSVCコイル23間(ZRVコイル−SVCコイル)の可能な胸郭内インピーダンス測定が提供される。RVリング電極24等のリング電極が利用可能である時、リング電極は、たとえば、RVリング24からハウジング11へ(ZRVリング−筐体)の胸郭内インピーダンス測定経路に含まれることができる。
【0049】
ペーシング先端電極が利用可能である時、こうした電極はまた、胸郭内インピーダンス測定、たとえば、表Iに挙げたRV先端−筐体構成で利用されてもよい。しかしながら、ペーシング先端電極に特徴的である小さい表面積のために、先端電極が測定経路に含まれる時の電極−組織界面インピーダンスによって、比較的大きな寄与が胸郭内インピーダンス測定に対して行われることになり、それによって、組織流体内容物の変動によるインピーダンスの小さな変化がマスクされる場合がある。しかしながら、本発明の方法が、心臓ペースメーカ等の代替の心臓刺激デバイスにおいて実施される時、先端電極は、励起通路のための駆動電極として使用され、リング電極は、測定通路として使用されることができ、又は、その逆である。
【0050】
同様に、冠状静脈洞リード線が、左心室(LV)におけるペーシング機能及び検知機能のために先端電極及びリング電極を備える場合、これらの電極は、さらに、胸郭内インピーダンス測定を実施する時に使用されてもよい。たとえば、LV先端−筐体励起経路及びLVリング−筐体測定経路が選択されてもよく、LVコイル−筐体励起経路が選択されてもよく、LVリング−筐体測定経路が選択されてもよい等である。
【0051】
図4は、3本のリード線によって患者の心臓とつながる代替のICDシステムの図であり、ICDシステムは、ICDハウジング上に組み込まれた「ボタン」電極を含む。図4では、ICDハウジング11は、開口30と32を有する、ハウジング11の少なくとも或る部分を覆う、絶縁性皮膜35を備える。非絶縁性開口30と32は、皮下ECG信号を検知するのに使用することができる皮下電極の役をする。ECGの皮下測定用電極を有する埋め込み可能システムは、参照によりその全体が本明細書に援用される、Kleinに発行された同一譲受人に譲渡された米国特許第5,987,352号に一般に開示される。
【0052】
図4に示す実施形態に関して、「ボタン」電極30と32は、胸郭内流体内容物を監視する時に使用するための胸郭内インピーダンスを測定するために選択される励起経路及び/又は測定経路において使用することができる。たとえば、励起経路は、RVコイル電極20に相当するICD端子を「駆動」端子として、且つボタン電極30と32の一方をリターン電極として使用して選択することができる。測定経路は、SVCコイル電極23又はCSコイル電極8に相当するICD端子及びボタン電極30と32の他方を使用して選択することができる。こうした配置は、有利には、胸郭内インピーダンス測定から、リード線と電極自体と電極−組織界面に関連する寄生抵抗の影響を除去する。したがって、ICDハウジング上に組み込まれる、且つ/又は、ICDから延びる皮下リード線上に配置される皮下電極を有する代替のICDシステムは、有利には、胸郭内インピーダンス励起及び/又は測定経路においてこうした電極を使用することができることが認識される。
【0053】
図5は、流体状態モニタ260の一実施形態のブロック図である。流体状態モニタ260は、流体状態モニタ(FSM)制御回路320、励起パルス制御回路314、流体状態モニタ制御レジスタ342、インピーダンス(Z)測定レジスタ340、及びインピーダンス(Z)データレジスタ338を含む。流体状態モニタ260は、レジスタ340及び342内にロードされる、流体状態監視制御パラメータ及びインピーダンス測定パラメータに関する、マイクロプロセッサ224からの入力を、データバス218を介して受け取る。流体状態モニタ制御レジスタ342は、励起パルスが励起端子にその後に送出されることになる、心室センス事象又はペース事象に続く遅延を設定するための励起パルス(Vp)遅延360を記憶する。選択された励起端子対ビット364は、インピーダンス測定レジスタ340に記憶される。流体状態モニタ制御レジスタ342はさらに、送出される励起パルスの幅を規定するインピーダンス測定パルス(Vp)持続期間362を記憶する。
【0054】
さらに、また、本発明によれば、流体状態監視セッション開始時間370、及び「測定セット」を包含する、心臓ゲート制御式胸郭内インピーダンス測定が行われることになる心周期数N(サイクル数N)372は、マイクロプロセッサ224に関連するメモリ226に記憶されるであろう。心臓ゲート制御式胸郭内インピーダンス測定が実施される指定された心周期数Nを記憶するのではなく、心臓ゲート制御式測定が実施される時間間隔が記憶されてもよい。流体状態監視セッションに含まれる測定セット数X374及び測定セットの開始間の時間間隔376もまた、メモリ226に記憶される。
【0055】
インピーダンス測定レジスタ340は、先に述べた励起端子選択364と、励起パルス(Vp)振幅366、及びインピーダンス測定端子選択368を記憶する。流体状態監視セッションが、記憶した開始時間370に従ってマイクロプロセッサ224によって始動される(又は、セッションが手動で始動される)と、FSM制御回路320は、FSM制御レジスタ342からVp遅延及び持続期間ビット360と362を取り出して、励起パルス発生器348によって生成された励起パルスを、適切な時間に、励起パルス制御回路314を介して送出する。選択された励起端子対は、インピーダンス測定レジスタ340に記憶された励起端子選択ビット364に従って、インピーダンス(Z)端子マルチプレクサ310によってスイッチ208を介して選択される。
【0056】
励起パルス制御回路314は、さらに、以下でさらに述べるように、励起パルスの印加中に、心房ブランキング信号がICD検知回路200に印加されることを可能にする。ディセーブル信号もまた、励起パルス制御回路314によって生成され、それによって、マイクロプロセッサ224がインピーダンス測定中にカーディオバージョン/ディフィブリレーションショック送出を使用不能にするようにさせてもよい。
【0057】
リード線インピーダンスマルチプレクサ310は、スイッチ208からの入力を受け取り、選択された端子からの信号は、電流モニタ(IMON)350及び電圧モニタ(VMON)312に結合する。電流モニタ350及び電圧モニタ312は、FSM制御回路320内で生成される電流サンプリング(ISMPL)信号及び電圧サンプリング(VSMPL)信号によって適切な時間に使用可能にされる。
【0058】
選択された測定端子対にわたって誘導される電圧は、測定され、アナログ−デジタル変換器344によってデジタル化される。デジタル化した電圧測定値は、インピーダンスデータレジスタ338に含まれる電圧データレジスタ(V DATA)に記憶される。同様に、駆動端子に送出される電流は、電流モニタ350によって測定され、デジタル化され、インピーダンスデータレジスタ338に含まれる電流データレジスタ(I DATA)に記憶される。
【0059】
FSM制御回路320からの割り込みは、インピーダンス測定データ(I DATA及びV DATA)が所与の心周期の間に記憶されることを、マイクロプロセッサ224に信号で知らせる。インピーダンスデータレジスタ338に記憶されたデータは、オームの法則に従って、測定されたインピーダンスを計算する時に使用するために、マイクロプロセッサ224に転送されてもよい。流体監視セッション中にメモリ228に記憶される測定されたインピーダンスは、その後、以下でより詳細に述べるように、流体状態インピーダンス値を導出するのに使用される。
【0060】
1つの測定セットの間に、インピーダンス測定は、介在するペース事象又はセンス事象と付随する遅延の後に、次の心周期に関して始まることになる。インピーダンス測定プロセスは、測定サイクル数N372が実行され、それによって、1つのインピーダンス測定セットが完了するまで、各心周期について、以下でさらに詳細に述べるように繰り返される。次のインピーダンス測定セットは、規定のセット間隔376が終了した後に開始する。要求されたインピーダンス測定セット数が完了すると、流体状態監視セッションが終了し、マイクロプロセッサ224は、流体状態インピーダンス値を計算し、記憶することを続けることができる。
【0061】
マイクロプロセッサ224は、周期的に、又は、プログラムされたコマンドによって、後続の流体状態監視セッションを始動するであろう。得られる流体状態インピーダンス値は、メモリ226に記憶され、記憶した値がマイクロプロセッサ224によって実施される診断比較に基づいて悪化状況を指す場合、マイクロプロセッサ224は、患者警告をトリガするか、データ転送を始動するか、或いは、ICD10又はICD10とテレメトリでつながっている、薬剤ポンプ等の別の埋め込み式デバイスによって送出されるペーシング治療を変更することができる。
【0062】
1つの好ましい実施形態では、毎日の流体状態監視セッションが実施され、好ましくは、1年以上にわたる毎日の流体状態測定値を記憶することが可能な、メモリ226内の循環バッファ(rolling buffer)に、得られる流体状態インピーダンス値が記憶される。データは、任意選択で、毎週の(又は他の長い間隔の)高い測定値と低い測定値、及び/又は、平均(mean)測定値又は中央測定値に圧縮され、比較的長い期間、たとえば、数十年の間、メモリ226に蓄積される。
【0063】
図6は、心臓事象に対する流体状態監視励起パルスのタイミングを示すタイミング図である。ペース心室事象又はセンス心室事象であってもよい、一連の心室事象(VE)380は、一番上の時間線に沿って示される。励起パルス(Vp)384は、1つの測定セット中に、各心室事象380に続く指定された遅延382の後に送出される。2心室ペーシングが可能な多腔ICDシステムでは、励起パルス遅延に等しい「V−V間隔」と呼ばれることが多い心室間ペーシング間隔は、心室ペーシングパルスと励起パルスの両方を送出しようとするICDによる同時の試みを防止するために、利用可能なV−V間隔のプログラム可能な値から排除されるか、又は、流体状態監視セッション中に異なる間隔に自動的に調整される。別法として、励起パルス送出は、2心室ペーシング中に、2つの心室ペーシングパルスの遅い方のパルスが送出された後の送出に制限することができる。励起パルス持続期間及びパルス振幅は、得られるパルスエネルギーがディフィブリレーション及びペーシング捕捉閾値より小さくなるように選択される。
【0064】
心臓の捕捉に対する付加的な予防策として、励起パルスは、好ましくは、心臓事象のトリガに続く生理的不応期内に送出される。さらに、胸郭内インピーダンス測定は、好ましくは、心臓容積が急激に変化しない時点で測定される。心臓の血液容積は、インピーダンス測定に寄与することになり、したがって、インピーダンス測定が、収縮の急激な駆出期の間に行われる場合、急激に変化する心臓血液容積が、インピーダンス測定に望ましくない変動を付加する場合がある。したがって、肺うっ血/肺水腫又は水分欠乏があるかを監視するための胸郭内インピーダンス測定は、好ましくは、心収縮の早期等容性期中、拡張中の急速充満の前の駆出の終了に近い遅い収縮期中、又は、収縮の開始の前の拡張の終了時、等の、心臓容積の変化レート(dV/dt)が最小に近い時に実施される。
【0065】
収縮期の非常に遅くに、又は、拡張期の非常に早期に送出される励起パルスは、いわゆる「受攻期」すなわち、不整脈を受け易い患者において、刺激が不整脈を誘発する可能性がある期間内に誤まって入るため、最も安全な手法は、励起パルスを、収縮の早期等容性期中又は拡張期の終わりに送出することである。好ましい一実施形態では、励起パルスは、心室事象後約28ms(ミリ秒)経って送出される。単相励起パルスは、励起パルスによって、ICD検知回路200(図2に示す)に含まれる心室センス増幅器の飽和を防止するために、通常、心室ペース又はセンス事象に追従する心室ブランキング間隔中に送出されるのが好ましい。したがって、心室事象後に、非常に短い間隔、たとえば、10〜30msが経って励起パルスを送出することは、有利には、パルスが生理的不応期内で送出されるため、パルスが心臓を捕捉しないことを確実にし、パルスが急激な駆出期の前に送出されるため、心臓の変化する血液容積による変動を最小にし、付加的な心室センス増幅器ブランキングについての必要性をなくす。
【0066】
励起パルスは、別法として、インピーダンス測定を拡張期の終わりに行うように、予定されたペーシングパルスの直前に送出できることが考えられる。必要なセンス増幅器ブランキングは、励起パルスの送出によって始動され、予定されたペーシングパルス中及びパルス後に必要に応じて継続するであろう。しかしながら、心筋組織は、拡張期の終わりにおいて生理的不応性ではないため、予定されたペーシングパルスの前に送出される励起パルスは、心臓を捕捉するのに不十分なエネルギーであるべきである。
【0067】
しかしながら、検知回路200に含まれる心房センス増幅器のブランキングは、励起パルス384の送出中に必要とされる場合がある。一実施形態では、任意選択の減少した心房感度間隔388が次に起こる励起パルス384中に、1.25msの絶対ブランキング間隔386が、心房検知回路に適用される。たとえば、約30msの減少した心房感度間隔は、プログラム式心房感度に応じて設定されてもよい。プログラム式心房感度が高い場合、減少した心房感度間隔388は、絶対心房ブランキング間隔386の後に続いてもよい。プログラム式心房感度が低い場合、減少した心房感度間隔は、必要ではなく、絶対心房ブランキング間隔386のみが適用されて、励起パルス384の送出中に、検知回路200に含まれる心房センス増幅器の飽和が防止される。
【0068】
図6に示すように、励起パルス384は、所定の数Nの連続する心室事象380に続いて送出される。これらのNサイクルのそれぞれについて測定されるインピーダンスは、インピーダンス測定値の1つのセットとして記憶されることになる。平均インピーダンスは、収集されたインピーダンス測定値の各セットについて計算されることになり、この平均は、流体状態インピーダンス値を計算する時に使用されることになる。心臓ゲート制御式インピーダンス測定値、すなわち、心周期に対して一定時点で取得されたインピーダンス測定値は、心臓容積又は動きによって変わらないであろう。2呼吸サイクル以上にわたって順次得られる一連の心臓ゲート制御式インピーダンス測定値を平均することによって、インピーダンス測定値に対する呼吸の影響が除去される。したがって、これらの時間平均した、心臓ゲート制御式インピーダンス測定値から導出される流体状態インピーダンス値は、組織インピーダンスを反映し、組織インピーダンスは、電極及びリード線の安定性を仮定すると、流体内容物の変化と共に変わることになる。
【0069】
そのため、本発明によって提供される流体状態監視方法に含まれる心臓ゲート制御式の胸郭内インピーダンス測定は、代替の胸郭内インピーダンス測定方法に比べて少なくとも2つの利点を有する。第1に、心臓ゲート制御式測定は、単相インピーダンス測定が、センス増幅器ブランキング中に実施されることを可能にし、したがって、リード線診断機能において使用するための単相インピーダンス測定回路を既に使用するICDシステムにおいて容易に実施することができる。第2に、心臓ゲート制御式測定は、心臓雑音をなくすために、インピーダンス信号の通常の平均又はフィルタリングが適用される場合に実施される必要があるインピーダンス測定回数を減らす。本明細書で提供される方法では、心周期当たり1回の胸郭内インピーダンス測定を実施することができ、測定セットは、好ましくは、少なくとも1呼吸サイクルにわたり、それによって、いくつかのセットが平均される時に呼吸雑音がなくなる。心臓ゲート制御式測定が実施されない場合、心臓雑音をフィルタリングするために、1つの心周期内の複数の時点でインピーダンスをサンプリングする、高レートインピーダンス測定が必要とされるであろう。こうした高レートサンプリングが可能である場合があるが、平衡でない電荷蓄積を防止するために、2相又は多相励起パルスの使用が必要とされる場合があり、したがって、より複雑なインピーダンス測定回路が必要とされるであろう。
【0070】
単相パルス又は電荷平衡しないパルスは、徐々に電極腐食をもたらす可能性がある。しかしながら、本明細書に述べる心臓ゲート制御技法によって、インピーダンス測定の必要とされるサンプリングレートを低減することによって、電極腐食が、埋め込み式システムの予想される実質的な寿命内で起こることは予想されない。さらに、心臓ゲート制御によるサンプリングレートの低減は、有利には、デバイス電源に課される電流要求を軽減し、それによって、電池の寿命を維持する。
【0071】
図7は、流体状態監視セッション中に実施されるアルゴリズムのステップを要約するフローチャートである。流体状態監視が周期的な監視について使用可能にされるようにプログラムされる場合、又は、流体監視セッションを始動するプログラム式コマンドがユーザによって入力される場合、流体状態監視セッションは、マイクロプロセッサ224によって始動されるだけであろう。ブロック405によって示すように、自動化された流体状態監視が使用可能にされると、マイクロプロセッサ224は、ステップ410によって示される予定した時間に従って流体状態監視セッションを始動するであろう。
【0072】
開始時間は、リアルタイムクロックに基づいて、又は、ICD10に含まれる24時間タイマに基づいて、1日の特定の時間、たとえば、午後12時であってもよい。流体停留の日周期性変動は、CHF患者に特徴的であり、したがって、流体状態監視セッションは、日周期性変動を捕捉するために、1日ついての複数の、且つ/又は、いろいろな時間で始動されることができる。
【0073】
セッションを始動することによって、心臓ゲート制御式インピーダンス測定のセットが、プログラム可能な心周期数Nについて、上述した方法で、ステップ415にて取得される。たとえば、インピーダンス測定は、4、8、16、32、64、又は128の連続する心臓事象の間、行うことができる。測定セットが完了した後、測定電流及び測定電圧を含む記憶したインピーダンスデータは、ステップ420にてマイクロプロセッサ224によって使用されて、オームの法則に従ってN個のインピーダンス値が計算され、測定セットの平均インピーダンス(Z)が確定される。測定セットの平均インピーダンスは、その後、メモリ226に記憶される。
【0074】
決定ステップ425にて、全ての予定した測定セットが取得されたかどうかの判定が行われる。取得されていない場合、測定セットの開始間の時間を規定するセット間隔が、ステップ430にて経過することが可能になり、その後、次のインピーダンス測定セットが、ステップ415に戻ることによって始動することになる。例示的な一実施形態では、32の心臓ゲート制御式測定値を含む16の測定セットがそれぞれ、毎日、20分間隔で得られる。セッション開始時間、セッションの周期性、1つのセット内での測定回数、セット数、及び/又はセット間隔を変えることによって、予定された流体状態監視セッション方式の多くの変形を考えることができることが認識される。
【0075】
全て(X)の予定された測定セットを実行し、それぞれのセットについて平均インピーダンスを計算した後、Xの測定セットの平均インピーダンスの総平均が、ステップ435にて計算される。この総平均は、毎日の又は他の監視間隔の流体状態インピーダンス値として、対応する日時スタンプ及び任意の他の所望のデバイス関連データ又は生理的データと共に、ステップ440にて、記憶される。好ましい一実施形態では、インピーダンス測定データが記憶され、流体状態インピーダンスが、0.5オーム以上の分解能で確定されるように、流体状態インピーダンス計算が行われる。
【0076】
一実施形態では、毎日の流体状態インピーダンス値は、図8に示すように16ビット形式で記憶される。毎日の流体状態インピーダンスの整数部分は、ビット15〜8(460)に記憶される。毎日の流体状態インピーダンスの非整数(fractional)部分は、ビット7〜6(462)に記憶され、ビット7は、セットされると0.5オームを指示し、ビット6は、セットされると0.25オームを指示する。ビット5(464)は、以下でさらに詳細に述べるように、範囲を超えた測定値のために測定セットが廃棄される時にセットされる。流体状態インピーダンスを計算する時に使用される有効な測定セットの数は、ビット4〜0(466)に記憶される。
【0077】
図9Aは、心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、流体状態パラメータ及び呼吸数の導出を示す機能ブロック図である。呼吸数の変化はまた、医師にとって、診断価値又は予後価値がある場合がある。肺うっ血の増大は、呼吸数の増加をもたらす場合がある。CHFを患う患者は、チェーンストークス呼吸又は睡眠時無呼吸エピソードを経験する場合がある。こうした心臓関連の呼吸障害は、臨床状況の悪化を示す場合がある。呼吸サイクル中の肺容積の変化は、心臓ゲート制御式インピーダンス測定値の拍動ごとの変動によって反映されるであろう。
【0078】
図9Aでは、流体状態モニタ260は、点線ボックス470内に示す動作を実施する時に使用するために、測定セット中に取得された、デジタル化された電流データ(I DATA)及び電圧データ(V DATA)をマイクロプロセッサ224に提供する。インピーダンスは、ブロック472にて、それぞれの心臓ゲート制御式測定に続いて受け取った電流データ及び電圧データから計算される。このインピーダンスは、測定セット中に起こるピーク数が、呼吸数(RR)としてカウンタ480によってカウントされるように、ピーク/谷検出器474に提供される。一回換気量(TV)もまた、検出されたピークと谷の間の振幅変化に基づいて推定されるであろう。
【0079】
ブロック472にて計算されたインピーダンスはさらに、ブロック480に提供され、ブロック480は、インピーダンスセット中に測定された全てのインピーダンスの平均を確定する。測定セットの平均は、先に述べたように、流体状態値を計算するために、ブロック482に提供される。ブロック482はさらに、流体状態パラメータが、上述した測定セットの平均の総平均として計算されるように実行された有効測定セットの数を示す有効セットビットを取り出すことができる。
【0080】
図9Bは、心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、流体状態パラメータ及び呼吸数を導出する代替の方法を示す機能ブロック図である。図9Bでは、測定インピーダンスを確定するために、電流データと電圧データが、ブロック472に提供される。測定インピーダンスは、ブロック484にてローパスフィルタリングされ、その出力は、心臓の、呼吸の、及び外部の高周波雑音の無い流体状態信号として提供される。測定インピーダンスブロック472の出力はさらに、加算ブロック476への正入力として提供することができる。ローパスフィルタ484の出力は、加算ブロック476への負入力として提供される。加算ブロック476の出力は、未処理Z信号とローパスフィルタリングされたZ信号の差であり、その差は、主に、呼吸の影響のみに関連することになる。この呼吸信号は、呼吸数(RR)を導出するためのピーク/谷検出器474への入力として提供されるか、又は、一回換気量(TV)を導出するために使用することができる。
【0081】
こうして、一連の心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、呼吸数及び/又は流体状態インピーダンス値を確定することができる。呼吸数及び流体状態インピーダンス値は共に、診断、予後、及び治療最適化のために、臨床医が後で再調査するために、メモリ226に記憶することができる。
【0082】
図10は、有効な流体状態測定値を確保し、さらに、流体状態監視が、ICDによって提供される重要な救命治療を妨げないことを確実にするために、流体状態監視セッション中に実施される動作の概要を提供するフローチャートである。流体状態監視セッションは、抗不整脈治療が進行している場合(或いは、治療送出直前に不整脈が検出されている間か、又は、不整脈治療後に検出が継続している間に)、始動されない。カーディオバージョンショック送出及びディフィブリレーションショック送出は、通常、胸郭内インピーダンス測定中に使用不能にされる。しかしながら、不整脈があるかを監視することは、好ましくは、流体監視セッション中は中断されない。
【0083】
したがって、ステップ505にて、インピーダンス測定セットが始動された後、測定セット中の任意の時点で、マイクロプロセッサ224が、検出及び調律分類(rhythm classification)が行われる前に、不整脈が起こっていると判定する場合、測定セットは、ステップ520にて打ち切られる。たとえば、心室頻脈(VT)又は心室細動(VF)間隔カウントが、不整脈検出についてVT間隔又はVF間隔の必要とされる数より小さい値であってもよい所定の数より大きい場合、測定セットは打ち切られることになる。好ましい一実施形態では、決定ステップ510で示されるように、組み合わせたVT間隔カウント及びVF間隔カウントが3より大きい場合、測定セットは、ステップ520にて打ち切られる。測定セットの部分的な実行中に記憶した任意のインピーダンス値は、ステップ530にて廃棄されることになる。
【0084】
全ての予定された測定セットがまだ試みられていないと決定ステップ533にて判定される場合、方法500は、ステップ515に進み、その時のセット間隔が経過するのを待つことになる。その後、不整脈検出が存続していないか、又は、抗頻脈治療が進行中でない場合、次の後続のインピーダンス測定セットが始動されることになる。測定セット中に、ステップ510にて、排除用の不整脈検出関連基準が満たされない限り、測定セットは実行され続ける。測定セット中に得られる任意の測定インピーダンスが、許容可能なインピーダンス範囲外にあると決定ステップ525にて判定される場合、測定は無効であると考えられる。ステップ520にて、測定セットが打ち切られ、ステップ530にて、打ち切られた測定セットについての任意の記憶データが廃棄される。たとえば、RVコイル−筐体励起/測定端子対を使用する好ましい一実施形態では、測定インピーダンスが約20〜約200オームの範囲外にある場合、ステップ520にて、測定セットが打ち切られる。胸郭内インピーダンス測定において使用される特定のタイプのリード線(複数可)についての、許容可能な範囲外のインピーダンスは、リード線又は電極の不安定性を示す可能性がある。こうしたリード線又は電極の不安定性は、流体状態インピーダンス値を計算する時に使用するためのインピーダンス測定を無効にする可能性がある。
【0085】
好ましい一実施形態では、廃棄された測定セットは再び試みられない。流体監視セッションは、次の予定された測定セットに進み、流体状態インピーダンス値の最終計算は、予定された測定セットの数Xより小さい数であってもよい、収集された有効な測定セットに基づくことになる。別法として、流体状態インピーダンスを計算するのに、最小数の測定セットが必要とされる場合がある。したがって、測定セットが廃棄されると、所定数の繰り返しの試みを実施して、次の予定した測定セットの前に、有効な測定セットを得ることができる。別法として、余分な測定セットは、最後に予定した測定セットに付加されてもよい。
【0086】
全ての予定した測定セットが試みられたとステップ533にて判定される場合、ステップ535にて、有効な測定セットの平均の総平均が計算され、先に述べた方法で、ステップ540にて、流体状態インピーダンスとして記憶される。
【0087】
流体状態インピーダンスが変わった場合、ステップ545にて、マイクロプロセッサ224によって実施される診断比較に基づいて、組織流体内容物の変化の予備診断を行うことができる。臨床的に重要な流体状態の変化についての仮診断が、決定ステップ545にて行われない場合、ステップ550にて、流体状態監視セッションが終了する。変化が、臨床的に重要であると評価される場合、ステップ555にて、マイクロプロセッサ224は、流体状態応答を始動する。先に述べたように、こうした応答は、患者警告、データ送信、ペーシング治療の変更、又は、薬剤ポンプによって送出される医療治療等の、埋め込み可能デバイスによって送出される他のタイプの治療の変更のうちの1つ又は複数を含むが、それに限定されない。
【0088】
本発明の好ましい実施形態は、流体状態監視が、複雑な回路要素を付加することを必要とすることなく、ICDシステム内で行われることを可能にする。閾値以下のリード線インピーダンス試験を実施する時に使用するために知られている、ICDシステムに含まれる既存の回路要素は、一連の心臓ゲート制御式インピーダンス測定セットを予定するように制御パラメータ及び制御プログラムを設定することによって、流体状態監視を実施する時の使用に容易に適応することができる。しかしながら、流体状態をそこから導出することができる時間平均したインピーダンスを確定するための、予定した一連の心臓ゲート式インピーダンス測定の使用は、本明細書に記載する閾値以下のリード線インピーダンス測定回路のタイプに限定されない。2相励起電圧又は多相励起電圧又は電流パルスを利用するインピーダンス測定回路を含む、他のタイプのインピーダンス測定回路もまた、本発明と共に利用されてもよい。
【0089】
本発明はICDシステムの状況で述べられたが、本発明の態様は、他のタイプの心臓刺激デバイスを含む他のタイプの埋め込み可能デバイスにおいて有益である場合がある。本発明の態様は、組織流体内容物が、診断的又は予後的に特に重要である、患者の状況を監視するのに使用される埋め込み可能デバイスにおいて有効に使用されてもよい。本発明の態様は、患者の流体状態を安定にするために、自動的か、臨床医によってのいずれかで治療が調整されるように、流体停留又は流体喪失の症状を特徴とする患者の状況を処置するのに使用される埋め込み可能デバイスにおいて有効に使用されてもよい。
【0090】
上述したシステム及び方法は、デバイスメモリにおける記憶及び/又は外部プログラマへの送信のために、測定された電流値及び電圧値からの流体状態インピーダンス及び流体状態トレンドの確定が、埋め込み可能システム内で行われることを可能にするが、測定された電流値及び電圧値は、代わりに、記憶され、外部デバイスにおいて流体状態インピーダンス値へ変換するために、送信出力することができることが理解されるであろう。
【0091】
先に述べたように、測定インピーダンスは、流体内容物によって変わることになる組織インピーダンス、並びに、共に、脱落、絶縁破れ、導体破壊等のようなリード線関連の問題によって変わる可能性がある、固有リード線インピーダンス及び電極−組織界面インピーダンスを含むであろう。したがって、本発明の或る実施形態では、流体状態インピーダンス値の変化が、リード線関連のインピーダンス変化によらないことを検証するために、臨床的に重要な流体状態トレンドについての仮診断を行う前に、リード線インピーダンス相互参照チェックを行ってもよい。
【0092】
図11は、リード線インピーダンスのクロスチェックを含む流体状態監視方法の概要を提供するフローチャートである。ステップ605にて、流体状態インピーダンス値が確定される。流体状態インピーダンス値は、好ましくは、時間平均された心臓ゲート制御式インピーダンス測定について、本明細書で述べられる方法を使用して得られる。しかしながら、図11に示す方法は、時間平均された心臓ゲート制御式測定に関する実施態様に限定されるのではなく、インピーダンス測定から組織流体内容物又は流体充満に関連する監視パラメータを導出する時に使用するために、当該技術分野で知られている任意の方法と共に利用されてもよい。ステップ605にて確定された流体状態値に基づいて、ステップ610にて臨床的に重要な流体状態の変化が診断される場合、ステップ620にて、リード線完全性の調査が実施される。
【0093】
インピーダンス測定に基づくリード線完全性試験は、心臓ペースメーカ及びICD内での使用のために知られている。リード線完全性試験の記憶された結果は、ステップ620にて調査されて、リード線完全性問題が診断されたかを判定することができる。別法として、リード線完全性試験は、仮診断された流体状態の変化によってトリガされて、少なくとも、流体監視のためのインピーダンス試験を実施する時に使用されるリード線が、リード線完全性不合格を疑われないことが検証される。
【0094】
流体状態監視に使用される励起/測定経路について、リード線完全性の問題が診断されてないと決定ステップ625にて判定される場合、流体状態応答630を生成することができる。仮診断した流体状態変化は、リード線関連のインピーダンス変化のエビデンス欠如に基づいて有効であると考えられる。
【0095】
以前の、又は、トリガされたリード線完全性試験に基づいて、ステップ625にてリード線完全性不合格が診断される場合、ステップ635にて、流体状態インピーダンスデータは、疑わしいとしてフラグを立てられ、流体状態応答が保留される。リード線完全性不合格の診断は、使用されるリード線完全性監視システムに従ってリード線試験診断に対して適切な応答を引き出すことができる。
【0096】
ステップ640にて、後続の流体状態監視(FSM)セッションでの使用のために、代替の励起経路及びインピーダンス測定経路が選択される。代替の経路は、経路内に疑わしいリード線を含むべきでない。「疑わしいリード線」は、この状況では、リード線完全性試験に基づいて、部品間の電気的連続性の完全性又は部品の絶縁性が不合格であったことが疑われるような、電極、その関連する導体、コネクタ、及び埋め込み式デバイス内の端子への接続部を指す。
【0097】
図12は、異なるインピーダンス測定経路間のクロスチェックを使用して、流体状態監視結果を検証する代替の方法のフローチャートである。方法650は、流体状態監視が始動されるステップ655にて始まる。流体状態インピーダンス値を導出するために行われるインピーダンス測定は、流体状態監視中の、ステップ660と662によって示される、2つの異なる経路A及びBから取得される。インピーダンス測定は、同時か、交互か、又は、順次に、経路A及びBから取得することができる。測定経路A及びBを使用して実施されるインピーダンス測定は、共通の励起経路又は排他的な励起経路を使用することができる。図1に示すICDシステムの場合、好ましい測定経路Aは、RVコイルから筐体経路として選択することができ、測定経路Bは、SVCコイルから筐体、又は、別法として、CSコイルから筐体として選択することができる。しかしながら、第1及び第2のインピーダンス測定経路が、埋め込み式システムに含まれる任意の利用可能な電極から選択されてもよい。
【0098】
図11に示す方法を使用することができる埋め込み式システムはまた、ICDシステムに限定されない。たとえば、2腔ペースメーカ等の高電圧コイル電極を含まないリード線のセットを有する心臓刺激システムでは、第1及び第2の測定経路は、利用可能なペース/センス電極から選択されてもよい。たとえば、第1測定経路は、RV先端電極又はリング電極から筐体経路として選択することができ、第2測定経路は、RA先端電極又はリング電極から筐体経路として選択することができる。
【0099】
ステップ655にて、流体状態パラメータが、主要な測定経路Aから確定される。ステップ660にて、第2流体状態パラメータが、クロスチェック測定経路Bから確定される。第2流体状態パラメータは、ステップ660にて、メモリに記憶される。
【0100】
ステップ665にて、主要な測定経路Aから取得されたインピーダンス測定に基づいて、臨床的に重要な流体状態の変化が起こったかどうかについての判定が行われる。変化が起こらなかった場合、方法650は、ステップ670にて終了する。しかしながら、経路Aの測定に基づいて、ステップ665にて、臨床的に重要な変化が仮診断される場合、経路Aと経路Bのインピーダンス測定から確定された流体状態パラメータの間で比較が行われる。経路Aと経路Bから確定された流体状態パラメータの間に高い相関が存在する場合、流体状態変化の仮診断は有効と考えられ、ステップ685にて、流体状態応答を生成することができる。
【0101】
しかしながら、経路Aと経路Bから確定された流体状態パラメータの間に低い相関が存在する場合、次のデータ再調査時に臨床医の注意を引くために、ステップ680にて、データにフラグが立てられる。ステップ680にて、流体状態応答が保留される。
【0102】
各測定経路から、2つの異なる時点において確定された少なくとも2つの流体状態パラメータを使用して、ステップ675にて、相関が確定される。この時、1つの点は、ごく最近確定されたパラメータであり、1つ又は複数の点は、以前の時点で確定される。好ましくは、相関は、3つ以上の時点から確定されるが、電池エネルギー及びマイクロプロセッサ処理時間を節約するために、クロスチェック流体状態パラメータは、サンプリングごとにだけ確定されてもよい。
【0103】
したがって、クロスチェック経路Bから取得されるインピーダンス測定は、主要な測定経路Aから取得されるインピーダンス測定より低い頻度で実施されてもよい。一実施形態では、流体状態監視が初めて使用可能になるようにプログラムされる時に、好ましくは、患者が安定していることがわかっている時に、主要な測定経路Aとクロスチェック経路Bの両方が利用され、各経路に相当する初期ベースライン流体状態パラメータが確定される。その後、全ての流体状態監視セッション中に主要な経路Aを使用して、インピーダンス測定が取得されるが、クロスチェック経路Bからのインピーダンス測定は、サンプリングごとにだけ取得され、経路Aに関して実施される測定より頻度が少ない。
【0104】
インピーダンス測定のクロスチェックを含むことの1つの利点は、流体状態変化の偽陽性の診断及びリード線完全性不合格の偽陽性の診断が減る場合があることである。2つのインピーダンス測定経路から導出される流体状態パラメータ間に相関が存在しないことに基づいて、ステップ682にて、リード線完全性試験が、任意選択でトリガされてもよい。リード線完全性不合格が診断される場合、以前の仮の流体状態変化診断を取り消すことができる。同様に、測定リード線インピーダンスの有意の変化に基づいて、リード線完全性不合格が仮診断されるが、2つの異なる測定経路から導出される流体状態パラメータ間の相関が、流体状態の変化の診断をサポートする時、リード線完全性診断は不適切である場合がある。
【0105】
図13は、インピーダンス測定クロスチェックを含む流体状態監視方法についての代替の方法のフローチャートである。方法700では、主要なインピーダンス測定経路Aは、ステップ705にて、流体状態監視セッションが始動された後、ステップ710にて、インピーダンス測定を実施するのに利用される。ステップ715にて、経路Aのインピーダンス測定から確定された流体状態インピーダンスパラメータに基づいて、決定ステップ720にて、流体状態の変化が仮診断される場合、ステップ730にて、2重経路流体状態監視がトリガされる。経路Aのインピーダンス測定に基づいて診断された流体状態の変化が存在しない場合、方法700は、ステップ725にて終了する。
【0106】
2重経路インピーダンス測定は、同時か、順次か、又は、交互に、上述した、主要な経路Aとクロスチェック経路Bに沿ってインピーダンス測定を行うことを指す。2重経路流体状態監視は、元の流体状態監視予定に従って実施されてもよい。たとえば、一連のインピーダンス測定は、毎日実施されてもよく、所定の数の流体状態パラメータが、各経路について確定された後、たとえば、2〜10日後に、ステップ735にて、相関解析が実施されてもよい。経路B測定についての流体状態トレンドが、経路A測定から導出されたトレンドと高い相関関係を持たない場合、流体変化の仮診断はサポートされない。ステップ740にて、関連データはフラグを立てられ、流体状態応答を保留することができるが、原因がリード線完全性不合格に関連する場合があるために、不整合の結果の原因を評価するために、医師に診てもらうように患者に通知する患者警告がやはり生成されてもよい。
【0107】
ステップ750にて、クロスチェック経路B等の代替の測定経路が、後続の流体状態監視セッションのために選択され、それによって、経路Aからの異常な結果をなくすことができる。別法として、2重経路流体状態監視は、臨床医がリセットするまで継続することができる。
【0108】
代替の実施形態では、ステップ730にて始動される2重経路流体状態監視は、経路Aと経路Bのインピーダンス測定から導出される流体状態パラメータ間の相関計算を実施するための十分な時点を迅速に蓄積するために、早められた流体状態監視予定に従って実施されてもよい。2重経路流体状態監視は、たとえば、次の予定した流体状態監視セッションを待つのではなく、流体状態変化の仮診断が行われた直後に始まってもよく、インピーダンス測定は、より頻繁な間隔で行われてもよい。
【0109】
本明細書に述べる好ましい流体状態監視方法の場合、特定の日時に起こるように予定され、元々毎日予定された流体監視セッションは、それぞれ、20分離れて予定された、32の心臓ゲート制御式インピーダンス測定を包含する16の測定セットを含むことができる。2重経路測定の早められた予定は、流体変化の仮診断が行われると直ぐに、又は、その後の予め決めた或る間隔で始まり、元々予定したのと同じか、又は、それより短い測定セット間隔で予定された、元々予定したのと同じか、又は、それより少ない数の測定セット、たとえば、5〜10測定セットを含むことができる。
【0110】
流体状態変化が仮診断される時にインピーダンス測定をクロスチェックすることによって、生理的変化によって生じるインピーダンス変化は、リード線システムの物理的変化によって生じるインピーダンス変化から識別される場合がある。3つ以上の経路からインピーダンス測定を追跡することによって、組織流体内容物又は血液抵抗等の、全ての経路におそらく同程度に影響を及ぼすことになる生理的変化は、リード線関連のインピーダンス変化から区別されることができる。インピーダンス変化の生理的原因とインピーダンス変化のリード線関連の原因との区別は、生理的監視方法とリード線完全性監視方法の両方の特定性を改善することになる。
【0111】
インピーダンス変化のリード線関連の原因と生理的原因とを区別するための、クロスチェック式インピーダンス測定の使用は、少なくとも3つの電極(そのうちの1つの電極は筐体電極であってもよい)を含む、単腔、2腔、又は多腔心臓刺激システムにおいて有益に使用されることができ、それにより、少なくとも2つの別個のインピーダンス測定経路の試験が可能になる。インピーダンス測定は、本明細書で述べる閾値以下のインピーダンス測定か、別法として、分時換気量を確定するために知られているインピーダンス測定か、又は、当該技術分野で知られている任意の他のインピーダンス測定方法を使用して実施することができる。
【0112】
本発明の方法の多くは、無数のプロセッサベースのコンピューティングプラットフォームによって処理されることが可能なコンピュータ読み取り可能媒体上に記憶される実行可能な命令で具体化することができる。そのため、本発明は、その全てが、特に、本発明の範囲内にある、様々なこうしたコンピュータ読み取り可能媒体の任意の媒体上で実施することができる。もちろん、こうしたプロセッサベースのコンピューティングプラットフォームは、コンピュータ作動式の処理用システム及び処理方法の分野で知られ且つ使用される他のプラットフォームと一体構造である、ネットワーク接続される、且つ/又は、有線通信する、又は、無線通信してもよい。
【0113】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明が提供されたが、本発明によって提供される、流体組織内容物を監視するために心臓ゲート制御式胸郭内インピーダンス測定を実施する時に使用される方法及び回路に対して、多くの修正又は変形を行ってもよいことが認識される。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の真の範囲内に入ることができる全てのこうした変更形態及び修正形態を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】3本のリード線によって患者の心臓に結合するICDの図である。
【図2】本発明を有効に実施することができるICDの機能ブロック図である。
【図3A】流体状態インピーダンス測定経路の略図である。
【図3B】RVコイル−筐体励起/測定経路を使用することから得られるインピーダンス測定フィールドの概念図を提供する図である。
【図4】3本のリード線によって患者の心臓とつながる代替のICDシステムの図であり、ICDシステムは、ICDハウジング上に組み込まれた「ボタン」電極を含む。
【図5】流体状態モニタ回路の一実施形態の機能ブロック図である。
【図6】心臓事象に対する流体状態監視励起パルスの送出を示すタイミング図である。
【図7】流体状態監視セッション中に実施されるアルゴリズムのステップを要約するフローチャートである。
【図8】流体状態インピーダンス値を毎日記憶するのに使用される16ビット記憶形式の図である。
【図9A】心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、流体状態パラメータ及び呼吸数の導出を示す機能ブロック図である。
【図9B】心臓ゲート制御式インピーダンス測定から、流体状態パラメータ及び呼吸数を導出する代替の方法を示す機能ブロック図である。
【図10】有効な流体状態測定値を確保し、さらに、流体状態監視が、ICDによって提供される重要な救命治療を妨げないことを確実にするために、流体状態監視セッション中に実施される動作の概要を提供するフローチャートである。
【図11】リード線インピーダンスのクロスチェックを含む流体状態監視方法の概要を提供するフローチャートである。
【図12】異なるインピーダンス測定経路間のクロスチェックを使用して、流体状態監視結果を検証する代替の方法のフローチャートである。
【図13】インピーダンス測定クロスチェックを含む流体状態監視方法についての代替の方法のフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸郭内流体内容物を監視する方法であって、
電気的心臓活動及び機械的心臓活動の低下による電気雑音量の減少を特徴とする、心周期の個別の部分の間に、第1電極と第2電極の間の胸郭内インピーダンスを測定するとともに、該第1電極と該第2電極の間のインピーダンス出力信号を供給すること、
該インピーダンス出力信号から、残りの雑音の少なくとも或る部分を除去すること、
フィルタリングしたインピーダンス出力信号を記憶すること、
フィルタリングしたインピーダンスデータのセットを生成するために、所定の数の心周期にわたって前記心周期の前記個別の部分の間に前記最初の3つのステップを実施すること、及び
該インピーダンスデータのセットについて、代表的なインピーダンスメトリックを表現するために、該インピーダンスデータのセットを数学的に操作すること、
を含む、胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項2】
前記心周期の前記個別の部分は、不応部分、等容性期、早期等容性期、収縮期の遅延部、拡張期の早期部、心圧の最小変化レート(dP/dtmin)、心腔へのペーシングパルス送出後の所定間隔、前記心腔への予定したペーシングパルスの前の瞬間のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項3】
心腔への前記ペーシングパルス送出後の前記所定間隔は、10〜30ミリ秒の間隔を含む、請求項2に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項4】
エネルギーパルスは単相のエネルギーパルスを含む、請求項2に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項5】
前記エネルギーパルスは2相のエネルギーパルスを含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項6】
前記エネルギーパルスは所定の電流パルスを含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項7】
前記エネルギーパルスは所定の電位パルスを含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項8】
前記除去するステップは、前記フィルタリングしたインピーダンスデータのセットをフィルタリングすることをさらに含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項9】
前記フィルタリングするステップは、フィルタリングしたインピーダンスデータサンプルのセットにローパスフィルタを適用することを含む、請求項8に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項10】
前記第1電極はコイル電極を含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項11】
前記第1電極は、右心室内に配設されるようになっているコイル電極を含む、請求項10に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項12】
前記第1電極は、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分に配設されるようになっているコイル電極を含む、請求項10に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項13】
前記第2電極は、キャニスタベース電極、キャニスタ搭載式表面電極、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、コイル電極を含む、請求項10に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項14】
異なる日に、1日当たり1回実施され、
インピーダンスデータの各セットについて、前記代表的なインピーダンスメトリックを比較すること、
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の無い患者の状況を指示する場合、該比較的水気の無い患者の状況の指示を提供すること、及び
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の有る患者の状況を指示する場合、該比較的水気の有る患者の状況の指示を提供すること、
をさらに含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項15】
前記指示は、前記比較的水気の無い患者の状況又は前記比較的水気の有る患者の状況に関係付けられる流体状態トレンド表示を含む、請求項14に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項16】
前記流体状態トレンド表示は、アルファベット表示、テキスト表示、グラフィック表示、少なくとも1つの線分の表示、線分の傾斜の表示、カラー表示、可聴表示、触知可能表示のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項17】
カーディオバージョン治療回路又はディフィブリレーション治療回路を使用不能にすることをさらに含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項18】
細動状況についての少なくとも1つの基準が満たされる場合、
前記カーディオバージョン治療回路又は前記ディフィブリレーション治療回路を再接続するステップと、
請求項1ないし17のいずれかに記載の方法の実施を停止するステップと、
を実施する、請求項17に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項19】
測定されたインピーダンス値のクロスチェックを実施することをさらに含み、前記第1電極又は前記第2電極の少なくとも一方は異なる電極を含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項20】
前記異なる電極は、右心室の或る部分、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分と動作可能につながって配設されるようになっているコイル電極、デバイスキャニスタ、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、皮下電極アレイの一部を形成する電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項21】
インピーダンスベースのリード線完全性試験を実施すること、
該インピーダンスベースのリード線完全性試験から得られるリード線インピーダンス値を記憶すること、
該リード線インピーダンス値を以前のリード線インピーダンス値と比較すること、及び
前記記憶したリード線インピーダンス値が、前記以前のリード線インピーダンス値から所定量を超えて異なる場合、前記インピーダンスデータのセットは欠陥があると断言するとともに、任意選択で、患者に警告信号を提供すること、
前記記憶したリード線インピーダンス値が、前記以前のリード線インピーダンス値から所定量を超えて異ならない場合、前記インピーダンスデータのセットは有効であると断言すること、
をさらに含む、請求項19に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項22】
インピーダンスデータのセットの処理中に、患者について、分時換気量メトリック、呼吸数、一回換気量の少なくとも1つを含む、関連パラメータを測定すること、及び
該関連パラメータの代表値を記憶すること、
をさらに含む、請求項19に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項23】
前記関連パラメータの前記記憶した代表値を、前記関連パラメータの別の代表値と比較すること、及び
前記代表値の比較の差が閾値を超えない場合、前記インピーダンスデータのセットを有効であると断言すること、
をさらに含む、請求項22に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項24】
胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体であって、
電気的心臓活動及び機械的心臓活動の低下による電気雑音量の減少を特徴とする、心周期の個別の部分の間に、第1電極と第2電極の間の胸郭内インピーダンスを測定するとともに、該第1電極と該第2電極の間のインピーダンス出力信号を供給する命令と、
該インピーダンス出力信号から、残りの雑音の少なくとも或る部分を除去する命令と、
フィルタリングしたインピーダンス出力信号を記憶する命令と、
所定の数の心周期にわたって前記心周期の前記個別の部分の間に前記最初の3つのステップを実施し、それによって、フィルタリングしたインピーダンスデータのセットを生成する命令と、
該インピーダンスデータのセットを数学的に操作して、該インピーダンスデータのセットについて、代表的なインピーダンスメトリックを表現する命令と、
を含む、胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項25】
前記心周期の前記個別の部分は、不応部分、等容性期、早期等容性期、収縮期の遅延部、拡張期の早期部、心圧の最小変化レート(dP/dtmin)、心腔へのペーシングパルス送出後の所定間隔、前記心腔への予定したペーシングパルスの前の瞬間のうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項26】
心腔への前記ペーシングパルス送出後の前記所定間隔は、10〜30ミリ秒の間隔を含む、請求項25に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項27】
エネルギーパルスは単相のエネルギーパルスを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項28】
エネルギーパルスは2相のエネルギーパルスを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項29】
前記エネルギーパルスは所定の電流パルスを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項30】
前記エネルギーパルスは所定の電位パルスを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項31】
前記除去するステップは、前記フィルタリングしたインピーダンスデータのセットをフィルタリングすることをさらに含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項32】
前記フィルタリングするステップは、フィルタリングしたインピーダンスデータサンプルのセットにローパスフィルタを適用することをさらに含む、請求項31に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項33】
前記第1電極はコイル電極を含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項34】
前記第1電極は、右心室内に配設されるようになっているコイル電極を含む、請求項33に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項35】
前記第1電極は、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分に配設されるようになっているコイル電極を含む、請求項33に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項36】
前記第2電極は、キャニスタベース電極、キャニスタ搭載式表面電極、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、コイル電極を含む、請求項33に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項37】
前記方法は、異なる日に、1日当たり1回実施され、前記媒体は、
インピーダンスデータの各セットについて、前記代表的なインピーダンスメトリックを比較する命令と、
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の無い患者の状況を指示する場合、該比較的水気の無い患者の状況の指示を提供する命令と、
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の有る患者の状況を指示する場合、該比較的水気の有る患者の状況の指示を提供する命令と、
をさらに含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項38】
前記指示は、前記比較的水気の無い患者の状況又は前記比較的水気の有る患者の状況に関係付けられる流体状態トレンド表示を含む、請求項37に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項39】
前記流体状態トレンド表示は、アルファベット表示、テキスト表示、グラフィック表示、少なくとも1つの線分の表示、線分の傾斜の表示、カラー表示、可聴表示、触知可能表示のうちの少なくとも1つを含む、請求項38に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項40】
カーディオバージョン治療回路又はディフィブリレーション治療回路を使用不能にする命令をさらに含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項41】
細動状況についての少なくとも1つの基準が満たされる場合、
前記カーディオバージョン治療回路又は前記ディフィブリレーション治療回路を再接続する命令と、
請求項1ないし23のいずれかに記載の方法の実施を停止する命令を実施する、請求項40に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項42】
測定されたインピーダンス値のクロスチェックを実施する命令をさらに含み、前記第1電極又は前記第2電極の少なくとも一方は異なる電極を含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項43】
前記異なる電極は、右心室の或る部分、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分と動作可能につながって配設されるようになっているコイル電極、デバイスキャニスタ、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、皮下電極アレイの一部を形成する電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項42に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項44】
インピーダンスベースのリード線完全性試験を実施する命令と、
該インピーダンスベースのリード線完全性試験から得られるリード線インピーダンス値を記憶する命令と、
該リード線インピーダンス値を以前のリード線インピーダンス値と比較する命令と、
前記記憶したリード線インピーダンス値が、前記以前のリード線インピーダンス値から所定量を超えて異なる場合、前記インピーダンスデータのセットは欠陥があると断言し、任意選択で、患者に警告信号を提供する命令と、
前記記憶したリード線インピーダンス値が、前記以前のリード線インピーダンス値から所定量を超えて異ならない場合、前記インピーダンスデータのセットは有効であると断言する命令と、
をさらに含む、請求項42に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項45】
インピーダンスデータのセットの処理中に、患者について、分時換気量メトリック、呼吸数、一回換気量の少なくとも1つを含む、関連パラメータを測定する命令と、
該関連パラメータの代表値を記憶する命令と、
をさらに含む、請求項42に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項46】
前記関連パラメータの前記記憶した代表値を、前記関連パラメータの別の代表値と比較する命令と、
前記代表値の比較の差が閾値を超えない場合、前記インピーダンスデータのセットを有効であると断言する命令とをさらに含む、請求項45に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項47】
胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するシステムであって、
電気的心臓活動及び機械的心臓活動の低下による電気雑音量の減少を特徴とする、心周期の個別の部分の間に、第1電極と第2電極の間の胸郭内インピーダンスを測定し、該第1電極と該第2電極の間のインピーダンス出力信号を供給する手段と、
該インピーダンス出力信号から、残りの雑音の少なくとも或る部分を除去する手段と、
フィルタリングしたインピーダンス出力信号を記憶する手段と、
フィルタリングしたインピーダンスデータのセットを生成するために、所定の数の心周期にわたって前記心周期の前記個別の部分の間に前記最初の3つのステップを実施する手段手段と、
該インピーダンスデータのセットについて、代表的なインピーダンスメトリックを表現するために、該インピーダンスデータのセットを数学的に操作する手段と、
を備える、胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するシステム。
【請求項48】
前記心周期の前記個別の部分は、不応部分、等容性期、早期等容性期、収縮期の遅延部、拡張期の早期部、心圧の最小変化レート(dP/dtmin)、心腔へのペーシングパルス送出後の所定間隔、前記心腔への予定したペーシングパルスの前の瞬間のうちの少なくとも1つを含む、請求項47に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するシステム。
【請求項49】
患者の流体状態を評価する方法であって、
a)心臓腔が不応状態にある時間間隔の間に、第1電極から、単一心周期中にエネルギーパルスを注入すること、
b)該エネルギーパルスの或る部分を第2電極において受け取ること、
c)前記エネルギーパルスについて結果として得られるインピーダンス値を測定すること、
d)該結果として得られるインピーダンス値を記憶すること、及び
e)結果として得られるインピーダンス値のサンプルセットが記憶されるまで、所定数の心周期の間、ステップa〜dを実施すること、
を含む、患者の流体状態を評価する方法。
【請求項50】
前記注入するステップは、等容性期、早期等容性期、収縮期の遅延部、拡張期の早期部、心圧の最小変化レート(dP/dtmin)、ペーシングパルス送出後の所定間隔、ペーシングパルスの送出前の瞬間のうちの1つの間に注入することをさらに含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項51】
a)前記サンプルセットをフィルタリングすることであって、それによって、呼吸努力に起因する雑音を除去する、フィルタリングすることをさらに含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項52】
前記フィルタリングするステップは、ローパスフィルタリングステップをさらに含む、請求項51に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項53】
前記第1電極はコイル電極を含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項54】
前記コイル電極は、上大静脈の或る部分、右心室の或る部分、又は冠状静脈洞の或る部分と動作可能につながって配設されるようになっている、請求項53に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項55】
前記第2電極は、キャニスタベース電極、キャニスタ搭載式表面電極、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、コイル電極を含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項56】
異なる日に、1日当たり1回実施され、
インピーダンスデータの各セットについて、代表的なインピーダンスメトリックを比較すること、
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の無い患者の状況を指示する場合、該比較的水気の無い患者の状況の指示を提供すること、及び
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の有る患者の状況を指示する場合、該比較的水気の有る患者の状況の指示を提供すること、
をさらに含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項57】
前記指示は、前記比較的水気の無い患者の状況又は前記比較的水気の有る患者の状況に関係付けられる流体状態トレンド表示を含む、請求項56に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項58】
前記流体状態トレンド表示は、アルファベット表示、テキスト表示、グラフィック表示、少なくとも1つの線分の表示、線分の傾斜の表示、カラー表示、可聴表示、触知可能表示のうちの少なくとも1つを含む、請求項57に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項59】
カーディオバージョン治療回路又はディフィブリレーション治療回路を使用不能にすることをさらに含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項60】
細動状況についての少なくとも1つの基準が満たされる場合、前記カーディオバージョン治療回路又は前記ディフィブリレーション治療回路を再接続するステップと、
請求項49ないし59のいずれかに記載の方法の実施を停止するステップと、
を実施する、請求項59に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項61】
前記測定されたインピーダンス値のクロスチェックを実施することをさらに含み、前記第1電極又は前記第2電極の少なくとも一方は異なる電極を含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項62】
前記異なる電極は、右心室の或る部分、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分と動作可能につながって配設されるようになっているコイル電極、デバイスキャニスタ、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、皮下電極アレイの一部を形成する電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項61に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項63】
比較的水気が有る患者の状況の指示を提供するステップは、
埋め込み可能薬剤ポンプに無線信号を供給することをさらに含み、該信号は、利尿物質を投与するように前記薬剤ポンプの作動回路に指令する、請求項62に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項64】
比較的水気が有る患者の状況の指示を提供するステップは、
前記患者に患者警告信号を供給すること、
データ転送コマンドを埋め込み可能医療デバイスに提供すること、
ペーシング治療送出療法を変更すること、
をさらに含む、請求項62に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項1】
胸郭内流体内容物を監視する方法であって、
電気的心臓活動及び機械的心臓活動の低下による電気雑音量の減少を特徴とする、心周期の個別の部分の間に、第1電極と第2電極の間の胸郭内インピーダンスを測定するとともに、該第1電極と該第2電極の間のインピーダンス出力信号を供給すること、
該インピーダンス出力信号から、残りの雑音の少なくとも或る部分を除去すること、
フィルタリングしたインピーダンス出力信号を記憶すること、
フィルタリングしたインピーダンスデータのセットを生成するために、所定の数の心周期にわたって前記心周期の前記個別の部分の間に前記最初の3つのステップを実施すること、及び
該インピーダンスデータのセットについて、代表的なインピーダンスメトリックを表現するために、該インピーダンスデータのセットを数学的に操作すること、
を含む、胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項2】
前記心周期の前記個別の部分は、不応部分、等容性期、早期等容性期、収縮期の遅延部、拡張期の早期部、心圧の最小変化レート(dP/dtmin)、心腔へのペーシングパルス送出後の所定間隔、前記心腔への予定したペーシングパルスの前の瞬間のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項3】
心腔への前記ペーシングパルス送出後の前記所定間隔は、10〜30ミリ秒の間隔を含む、請求項2に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項4】
エネルギーパルスは単相のエネルギーパルスを含む、請求項2に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項5】
前記エネルギーパルスは2相のエネルギーパルスを含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項6】
前記エネルギーパルスは所定の電流パルスを含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項7】
前記エネルギーパルスは所定の電位パルスを含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項8】
前記除去するステップは、前記フィルタリングしたインピーダンスデータのセットをフィルタリングすることをさらに含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項9】
前記フィルタリングするステップは、フィルタリングしたインピーダンスデータサンプルのセットにローパスフィルタを適用することを含む、請求項8に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項10】
前記第1電極はコイル電極を含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項11】
前記第1電極は、右心室内に配設されるようになっているコイル電極を含む、請求項10に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項12】
前記第1電極は、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分に配設されるようになっているコイル電極を含む、請求項10に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項13】
前記第2電極は、キャニスタベース電極、キャニスタ搭載式表面電極、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、コイル電極を含む、請求項10に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項14】
異なる日に、1日当たり1回実施され、
インピーダンスデータの各セットについて、前記代表的なインピーダンスメトリックを比較すること、
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の無い患者の状況を指示する場合、該比較的水気の無い患者の状況の指示を提供すること、及び
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の有る患者の状況を指示する場合、該比較的水気の有る患者の状況の指示を提供すること、
をさらに含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項15】
前記指示は、前記比較的水気の無い患者の状況又は前記比較的水気の有る患者の状況に関係付けられる流体状態トレンド表示を含む、請求項14に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項16】
前記流体状態トレンド表示は、アルファベット表示、テキスト表示、グラフィック表示、少なくとも1つの線分の表示、線分の傾斜の表示、カラー表示、可聴表示、触知可能表示のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項17】
カーディオバージョン治療回路又はディフィブリレーション治療回路を使用不能にすることをさらに含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項18】
細動状況についての少なくとも1つの基準が満たされる場合、
前記カーディオバージョン治療回路又は前記ディフィブリレーション治療回路を再接続するステップと、
請求項1ないし17のいずれかに記載の方法の実施を停止するステップと、
を実施する、請求項17に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項19】
測定されたインピーダンス値のクロスチェックを実施することをさらに含み、前記第1電極又は前記第2電極の少なくとも一方は異なる電極を含む、請求項1に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項20】
前記異なる電極は、右心室の或る部分、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分と動作可能につながって配設されるようになっているコイル電極、デバイスキャニスタ、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、皮下電極アレイの一部を形成する電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項21】
インピーダンスベースのリード線完全性試験を実施すること、
該インピーダンスベースのリード線完全性試験から得られるリード線インピーダンス値を記憶すること、
該リード線インピーダンス値を以前のリード線インピーダンス値と比較すること、及び
前記記憶したリード線インピーダンス値が、前記以前のリード線インピーダンス値から所定量を超えて異なる場合、前記インピーダンスデータのセットは欠陥があると断言するとともに、任意選択で、患者に警告信号を提供すること、
前記記憶したリード線インピーダンス値が、前記以前のリード線インピーダンス値から所定量を超えて異ならない場合、前記インピーダンスデータのセットは有効であると断言すること、
をさらに含む、請求項19に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項22】
インピーダンスデータのセットの処理中に、患者について、分時換気量メトリック、呼吸数、一回換気量の少なくとも1つを含む、関連パラメータを測定すること、及び
該関連パラメータの代表値を記憶すること、
をさらに含む、請求項19に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項23】
前記関連パラメータの前記記憶した代表値を、前記関連パラメータの別の代表値と比較すること、及び
前記代表値の比較の差が閾値を超えない場合、前記インピーダンスデータのセットを有効であると断言すること、
をさらに含む、請求項22に記載の胸郭内流体内容物を監視する方法。
【請求項24】
胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体であって、
電気的心臓活動及び機械的心臓活動の低下による電気雑音量の減少を特徴とする、心周期の個別の部分の間に、第1電極と第2電極の間の胸郭内インピーダンスを測定するとともに、該第1電極と該第2電極の間のインピーダンス出力信号を供給する命令と、
該インピーダンス出力信号から、残りの雑音の少なくとも或る部分を除去する命令と、
フィルタリングしたインピーダンス出力信号を記憶する命令と、
所定の数の心周期にわたって前記心周期の前記個別の部分の間に前記最初の3つのステップを実施し、それによって、フィルタリングしたインピーダンスデータのセットを生成する命令と、
該インピーダンスデータのセットを数学的に操作して、該インピーダンスデータのセットについて、代表的なインピーダンスメトリックを表現する命令と、
を含む、胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項25】
前記心周期の前記個別の部分は、不応部分、等容性期、早期等容性期、収縮期の遅延部、拡張期の早期部、心圧の最小変化レート(dP/dtmin)、心腔へのペーシングパルス送出後の所定間隔、前記心腔への予定したペーシングパルスの前の瞬間のうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項26】
心腔への前記ペーシングパルス送出後の前記所定間隔は、10〜30ミリ秒の間隔を含む、請求項25に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項27】
エネルギーパルスは単相のエネルギーパルスを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項28】
エネルギーパルスは2相のエネルギーパルスを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項29】
前記エネルギーパルスは所定の電流パルスを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項30】
前記エネルギーパルスは所定の電位パルスを含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項31】
前記除去するステップは、前記フィルタリングしたインピーダンスデータのセットをフィルタリングすることをさらに含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項32】
前記フィルタリングするステップは、フィルタリングしたインピーダンスデータサンプルのセットにローパスフィルタを適用することをさらに含む、請求項31に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項33】
前記第1電極はコイル電極を含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項34】
前記第1電極は、右心室内に配設されるようになっているコイル電極を含む、請求項33に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項35】
前記第1電極は、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分に配設されるようになっているコイル電極を含む、請求項33に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項36】
前記第2電極は、キャニスタベース電極、キャニスタ搭載式表面電極、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、コイル電極を含む、請求項33に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項37】
前記方法は、異なる日に、1日当たり1回実施され、前記媒体は、
インピーダンスデータの各セットについて、前記代表的なインピーダンスメトリックを比較する命令と、
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の無い患者の状況を指示する場合、該比較的水気の無い患者の状況の指示を提供する命令と、
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の有る患者の状況を指示する場合、該比較的水気の有る患者の状況の指示を提供する命令と、
をさらに含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項38】
前記指示は、前記比較的水気の無い患者の状況又は前記比較的水気の有る患者の状況に関係付けられる流体状態トレンド表示を含む、請求項37に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項39】
前記流体状態トレンド表示は、アルファベット表示、テキスト表示、グラフィック表示、少なくとも1つの線分の表示、線分の傾斜の表示、カラー表示、可聴表示、触知可能表示のうちの少なくとも1つを含む、請求項38に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項40】
カーディオバージョン治療回路又はディフィブリレーション治療回路を使用不能にする命令をさらに含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項41】
細動状況についての少なくとも1つの基準が満たされる場合、
前記カーディオバージョン治療回路又は前記ディフィブリレーション治療回路を再接続する命令と、
請求項1ないし23のいずれかに記載の方法の実施を停止する命令を実施する、請求項40に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項42】
測定されたインピーダンス値のクロスチェックを実施する命令をさらに含み、前記第1電極又は前記第2電極の少なくとも一方は異なる電極を含む、請求項24に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項43】
前記異なる電極は、右心室の或る部分、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分と動作可能につながって配設されるようになっているコイル電極、デバイスキャニスタ、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、皮下電極アレイの一部を形成する電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項42に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項44】
インピーダンスベースのリード線完全性試験を実施する命令と、
該インピーダンスベースのリード線完全性試験から得られるリード線インピーダンス値を記憶する命令と、
該リード線インピーダンス値を以前のリード線インピーダンス値と比較する命令と、
前記記憶したリード線インピーダンス値が、前記以前のリード線インピーダンス値から所定量を超えて異なる場合、前記インピーダンスデータのセットは欠陥があると断言し、任意選択で、患者に警告信号を提供する命令と、
前記記憶したリード線インピーダンス値が、前記以前のリード線インピーダンス値から所定量を超えて異ならない場合、前記インピーダンスデータのセットは有効であると断言する命令と、
をさらに含む、請求項42に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項45】
インピーダンスデータのセットの処理中に、患者について、分時換気量メトリック、呼吸数、一回換気量の少なくとも1つを含む、関連パラメータを測定する命令と、
該関連パラメータの代表値を記憶する命令と、
をさらに含む、請求項42に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項46】
前記関連パラメータの前記記憶した代表値を、前記関連パラメータの別の代表値と比較する命令と、
前記代表値の比較の差が閾値を超えない場合、前記インピーダンスデータのセットを有効であると断言する命令とをさらに含む、請求項45に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項47】
胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するシステムであって、
電気的心臓活動及び機械的心臓活動の低下による電気雑音量の減少を特徴とする、心周期の個別の部分の間に、第1電極と第2電極の間の胸郭内インピーダンスを測定し、該第1電極と該第2電極の間のインピーダンス出力信号を供給する手段と、
該インピーダンス出力信号から、残りの雑音の少なくとも或る部分を除去する手段と、
フィルタリングしたインピーダンス出力信号を記憶する手段と、
フィルタリングしたインピーダンスデータのセットを生成するために、所定の数の心周期にわたって前記心周期の前記個別の部分の間に前記最初の3つのステップを実施する手段手段と、
該インピーダンスデータのセットについて、代表的なインピーダンスメトリックを表現するために、該インピーダンスデータのセットを数学的に操作する手段と、
を備える、胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するシステム。
【請求項48】
前記心周期の前記個別の部分は、不応部分、等容性期、早期等容性期、収縮期の遅延部、拡張期の早期部、心圧の最小変化レート(dP/dtmin)、心腔へのペーシングパルス送出後の所定間隔、前記心腔への予定したペーシングパルスの前の瞬間のうちの少なくとも1つを含む、請求項47に記載の胸郭内液体内容物を監視する方法を実施するシステム。
【請求項49】
患者の流体状態を評価する方法であって、
a)心臓腔が不応状態にある時間間隔の間に、第1電極から、単一心周期中にエネルギーパルスを注入すること、
b)該エネルギーパルスの或る部分を第2電極において受け取ること、
c)前記エネルギーパルスについて結果として得られるインピーダンス値を測定すること、
d)該結果として得られるインピーダンス値を記憶すること、及び
e)結果として得られるインピーダンス値のサンプルセットが記憶されるまで、所定数の心周期の間、ステップa〜dを実施すること、
を含む、患者の流体状態を評価する方法。
【請求項50】
前記注入するステップは、等容性期、早期等容性期、収縮期の遅延部、拡張期の早期部、心圧の最小変化レート(dP/dtmin)、ペーシングパルス送出後の所定間隔、ペーシングパルスの送出前の瞬間のうちの1つの間に注入することをさらに含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項51】
a)前記サンプルセットをフィルタリングすることであって、それによって、呼吸努力に起因する雑音を除去する、フィルタリングすることをさらに含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項52】
前記フィルタリングするステップは、ローパスフィルタリングステップをさらに含む、請求項51に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項53】
前記第1電極はコイル電極を含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項54】
前記コイル電極は、上大静脈の或る部分、右心室の或る部分、又は冠状静脈洞の或る部分と動作可能につながって配設されるようになっている、請求項53に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項55】
前記第2電極は、キャニスタベース電極、キャニスタ搭載式表面電極、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、コイル電極を含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項56】
異なる日に、1日当たり1回実施され、
インピーダンスデータの各セットについて、代表的なインピーダンスメトリックを比較すること、
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の無い患者の状況を指示する場合、該比較的水気の無い患者の状況の指示を提供すること、及び
インピーダンスデータの最も新しいセットが、比較的水気の有る患者の状況を指示する場合、該比較的水気の有る患者の状況の指示を提供すること、
をさらに含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項57】
前記指示は、前記比較的水気の無い患者の状況又は前記比較的水気の有る患者の状況に関係付けられる流体状態トレンド表示を含む、請求項56に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項58】
前記流体状態トレンド表示は、アルファベット表示、テキスト表示、グラフィック表示、少なくとも1つの線分の表示、線分の傾斜の表示、カラー表示、可聴表示、触知可能表示のうちの少なくとも1つを含む、請求項57に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項59】
カーディオバージョン治療回路又はディフィブリレーション治療回路を使用不能にすることをさらに含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項60】
細動状況についての少なくとも1つの基準が満たされる場合、前記カーディオバージョン治療回路又は前記ディフィブリレーション治療回路を再接続するステップと、
請求項49ないし59のいずれかに記載の方法の実施を停止するステップと、
を実施する、請求項59に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項61】
前記測定されたインピーダンス値のクロスチェックを実施することをさらに含み、前記第1電極又は前記第2電極の少なくとも一方は異なる電極を含む、請求項49に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項62】
前記異なる電極は、右心室の或る部分、上大静脈の或る部分、冠状静脈洞の或る部分と動作可能につながって配設されるようになっているコイル電極、デバイスキャニスタ、表面搭載式電極、リング電極、先端電極、皮下電極アレイの一部を形成する電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項61に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項63】
比較的水気が有る患者の状況の指示を提供するステップは、
埋め込み可能薬剤ポンプに無線信号を供給することをさらに含み、該信号は、利尿物質を投与するように前記薬剤ポンプの作動回路に指令する、請求項62に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【請求項64】
比較的水気が有る患者の状況の指示を提供するステップは、
前記患者に患者警告信号を供給すること、
データ転送コマンドを埋め込み可能医療デバイスに提供すること、
ペーシング治療送出療法を変更すること、
をさらに含む、請求項62に記載の患者の流体状態を評価する方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−508861(P2007−508861A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535345(P2006−535345)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/034078
【国際公開番号】WO2005/037367
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/034078
【国際公開番号】WO2005/037367
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】
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