説明

埋込心臓刺激システム用の患者スクリーニング方法、キット、および患者スクリーニングツール

外部電極または皮膚電極を用いて取得した心臓信号を分析することによって、患者が埋込心臓刺激装置の取付に適合しているか否か判断するためのツールと装置が提供される。ツールは、印刷心電図ストリップに対して視覚的に比較を行なう形状を含んでもよい。またユーザに対して少なくとも幾つかの分析機能を、電子的に行なう自動装置が開示される。一例において、特定の埋込位置を備えた、および/または心臓信号分析方法を組込んだ心臓刺激装置の取付について患者の適合性を保証するために、印刷心電図ストリップと1つの形状との比較を視覚的に行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋込医療装置の分野に関する。より詳細には、本発明は埋込心臓刺激装置、および埋込心臓刺激装置の取付に患者が適合しているか判断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋込心臓刺激装置(ICSD)は、患者の心臓機能の悪性不整脈を自動的に検出し、適切な治療を提供するために有益に用いられる。患者が不整脈を生じやすいか、および埋込心臓刺激装置の取付が患者に利益となるか判断するための指標として、周知のものがある。たとえば患者の病歴に結付けられた駆出率の測定によって、埋込心臓刺激装置の埋込が患者に利益となるか否か判断できる。埋込心臓刺激装置を必要とする患者が識別されると、次のステップとして、複数の埋込心臓刺激装置のうちから患者のニーズを最も満たす埋込心臓刺激装置が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,647,292号明細書
【特許文献2】米国特許第6,721,597号明細書
【特許文献3】米国特許第7,149,575号明細書
【特許文献4】米国特許出願第11/441,522号明細書
【特許文献5】米国特許出願第11/441,516号明細書
【特許文献6】米国特許出願第11/442,228号明細書
【特許文献7】米国特許出願第11/623,472号明細書
【特許文献8】米国特許出願第11/672,353号明細書
【特許文献9】米国特許第7,330,757号明細書
【特許文献10】米国特許第7,248,921号明細書
【特許文献11】米国特許第7,376,458号明細書
【特許文献12】米国特許仮出願第61/034,938号明細書
【特許文献13】米国特許仮出願第61/051,332号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の埋込心臓刺激装置に適合する患者を、識別するためのツールが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一実施形態において、特定の患者が特定の埋込心臓刺激装置の取付に適合しているか否か判断するための方法に関する。一実施形態において、印刷心電図(印刷ECG)との比較用に設計されたステンシルを含む術前患者スクリーニングツールが提供される。ステンシルは、特定の埋込心臓刺激装置が心臓事象(心イベント)をいかに検出するかについての目印を提供する。患者の皮膚に皮膚電極を置き、この皮膚電極によって患者から心電図信号を取得して印刷心電図を生成する。その後、印刷心電図上のQRS群の開始部にステンシルをアライメントすることによって、印刷心電図をステンシルと比較する。QRS群と立下がり信号の一部とがステンシルによって規定されたエリア内にある場合、このQRS群は成功し、患者が特定の埋込心臓刺激装置に適合していることを表す。1つまたは複数のQRS群をテストしてもよい。このような方法を行なうためのツールまたはキットが、他の実施形態として含まれる。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、埋込心臓刺激装置と共に使用されるプログラマ装置を含む。プログラマ装置は、患者の皮膚に配置可能な電極に取付けられる入力部を含む。プログラマ装置は、アクティブにされて患者の皮膚から心電図信号を取得でき、特定の埋込心臓刺激装置の取付に患者が適合しているか否か判断してもよい。別の実施形態において、プログラマ装置は、複数の可能な埋込心臓刺激装置のうちから、取付が患者に適合している埋込心臓刺激装置を判断してもよい。更に別の実施形態において、同様に患者の心電図の取得と自動分析を行なうために、機能性が不十分なプログラマ装置のテスト装置を使用してもよい。プログラマ装置またはテスト装置は、取得した信号で埋込装置を動作させるというフィルタリングをエミュレートするように構成されてもよい。このようなプログラマ装置とテスト装置に関連する方法は、他の実施形態を成す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】患者スクリーニングツールの一例を示す模式図。
【図2】患者スクリーニング方法を示す絵画図。
【図3】埋込心臓刺激装置の皮下埋込を行なう、様々なキャニスタ位置と電極位置を示す模式図。
【図4】患者スクリーニングツールの形状を示す模式図。
【図5A】患者スクリーニングツールの形状と、取得した心臓信号との比較図。
【図5B】患者スクリーニングツールの形状と、取得した心臓信号との比較図。
【図5C】患者スクリーニングツールの形状と、取得した心臓信号との比較図。
【図6】複数の形状を有する、透明な患者スクリーニングツールを示す模式図。
【図7】1つの心電図ストリップに対する、複数のトレースの形状比較を示す模式図。
【図8】患者スクリーニングツールのステンシルに使用される別の形状を示す模式図。
【図9】3つのトレースが印刷されたストリップと比較される形状を有する、システムの模式図。
【図10】方法の一例を示すブロック図。
【図11】患者からデータを取得し、埋込心臓刺激装置に対する患者の適合性についてフィードバックを与える別のシステムを示す模式図。
【図12】患者からデータを取得し、埋込心臓刺激装置に対する患者の適合性についてフィードバックを与える更に別のシステムを示す模式図。
【図13】複数の利用可能な患者スクリーニングツールからの選択を、患者に可能にする別の実施形態を示す模式図。
【図14】図1に示す患者スクリーニングツールの、動作実施形態の詳細を示す模式図とグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、以下の詳細な説明を読まれたい。図面は実施形態を示すものであり、必ずしも実際の縮尺ではない。また本発明の範囲を制限することを意図していない。
本明細書において、実施者またはユーザは、本明細書に開示する方法の実施もしくはその補助を行なう、または本明細書に開示する装置もしくはシステムを使用する医師、医師助手、医療技師、看護師などであってもよい。本明細書において、ステンシルとは、1つ以上のパターンまたは形状を有する視覚補助具である。このようなパターンまたは形状は、埋込が見込まれる患者の心臓信号が特定の検出方法または特定の検出装置に適合するか否か判断するのに使用される。
【0009】
一実施形態は、特定の患者が特定の埋込心臓刺激装置の取付に適合するか否か判断する方法を含む。この実施形態において、印刷心電図との比較用に設計されたステンシルを有する術前患者スクリーニングツールが提供される。一実施形態において、ステンシルには
、選択した埋込心臓刺激装置が心イベントを検出するための目印が設けられる。幾つかの実施形態は、たとえば図11と図12を参照して以下に説明するように、患者スクリーニングの他の解決法を用いる。
【0010】
一実施形態によると、皮膚電極を、患者の皮膚において或る位置に置く。この位置とは、特定の埋込心臓刺激装置において使用される1組の皮下検知電極の埋込位置に対応する。この皮膚電極を使用する患者から心電図信号が取得され、印刷心電図信号が生成される。皮下心電図の代用として、体表面心電図をこの分析に用いてもよい。
【0011】
この実施形態において、印刷心電図上のQRS群の開始点(あるいはR波またはT波のピークなど他の信号特性)に、ステンシル内の適切な大きさの形状をアライメントすることによって、印刷心電図とステンシルの比較を行なう。QRS群と信号終端部の一部とがステンシルに規定された形状内に位置する場合、QRS群は成功し、患者が特定の埋込心臓刺激装置に適合し得ることを表す。QRS群および/または信号終端部の一部が形状からハミ出す場合、このQRS群を生成した一対の電極は、所定の位置と患者の所定の姿勢に対する適合性が低いと見なされる。
【0012】
図1には、患者スクリーニングツール10の一実施形態を示す。患者スクリーニングツール10は、たとえば透明プラスティックシート上に印刷されてもよい。スクリーニングツール10作成の詳細は、異なってもよい。
【0013】
患者スクリーニングツール10は、レートスケール12を有する。レートスケール12は、印刷ストリップのQRS群を、垂直方向矢印(レートスケール12の左端付近)にアライメントし、アライメントしたQRS群の右側の第2QRS群がスケール上のどこに現れるか判断することによって患者の継続的な心調律のレートを推定する場合に、使用されてもよい。一実施形態において、患者の心拍数が、所定の範囲内(たとえば毎分120拍未満)である場合に患者スクリーニングを行なうように、ならびに所定の印刷速度(たとえば25mm/sec)で心電図の印刷を行なうように実施者は指示される。選択した速度においてのみスクリーニングを実行させるこうした提示は、必要に応じて省略してもよい。
【0014】
また間隔ガイド14が設けられる。間隔ガイド14は、皮下電極位置を互いに相関させるべく、適正な位置において皮膚電極を患者に配置するための目印として用いられてもよい。図1に示す実施形態において、スクリーニングツールは、図2に示すものと同様の皮下埋込心臓刺激装置用に構成されている。
【0015】
図2に簡単に示すように、キャニスタ72は側部ポケットに埋込まれ、キャニスタ72から人体の中心方向にリードが延在する。このリードは、胸骨(剣状突起部付近)に達すると患者の頭部に向けられる。この実施形態においては、電極74,76,78が胸骨の左方に沿って配置される。このようなシステムにおいて、第1検知電極74は患者の剣状突起部よりも1cm〜2cm上方且つ剣状胸骨の左方に配置される。また第2検知電極76は、互いに約14cm離間された切開部を用いて、第1検知電極74よりも約12cm上方(上位)に配置される。図1に示す実施形態において、間隔ガイド14は、第1切開部の識別を可能にする「14cmガイド」として示されており、切開部付近への皮膚電極の配置を適正に行なうことができる。間隔ガイド14は、任意で含まれる。
【0016】
コイル電極78を必要に応じて検知に使用してもよく、対応する皮膚電極を配置するための他の目印を間隔ガイド14に含んでもよい。間隔ガイド14が含まれる場合、他の距離と配置を用いてもよい。すなわち14cmガイドは単に一実施形態を示すものであり、制限的なものとして見なされるべきではない。
【0017】
図1に再び戻り、患者スクリーニングツール10は、ステンシル16を更に有する。ステンシル16は、複数の形状20,22,24,26,28,30を有する。これらの形状は、患者スクリーニングツール10の中心を通るアライメントラインに沿って配置される。図1には示さないが、一動作実施形態において、個々の形状は、輪郭によってだけでなくそれぞれ一意の色で示される。
【0018】
形状20,22,24,26,28,30は、それぞれの形状に最小QRS振幅を示す破線を設けることによって、心電図の振幅の特定範囲に使用される大きさとなるように形成されている。たとえば形状24の最大幅部分の縁は、形状26の破線32,32Aにアライメントされる。また形状26の最大幅部分の縁34,34Aは、形状28の破線に一致する。アライメントしたQRSのピーク振幅が形状26の破線32,34間のスペース、または形状26の破線32A,34A間のスペースに入らない場合、形状26は使用されない。したがって、破線は、形状20,22,24,26,28,30を使用するための振幅ガイドラインとなる。この実施形態において、形状20,22,24,26,28,30は重ならない。
【0019】
形状20,22,24,26,28,30のうちのいずれの振幅ガイドラインも満たさないQRSを取得した場合、この心電図の印刷出力を行なった心電図モニタのゲイン設定を変更してもよい。たとえば取得したQRS群が、形状30よりも大き過ぎる場合は心電図レコーダ/プリンタのゲインを低くする。また取得したQRS群が形状20よりも小さ過ぎる場合は、心電図レコーダ/プリンタのゲインを高くする。患者スクリーニングツール10は、利用可能なゲインを制限する指示を含んでもよい。一実施形態によると、印刷速度25mm/secにおいて5mm/mV〜20mm/mVの範囲においてのみ患者スクリーニングツールを使用するように、ユーザは指示を受ける。この範囲は、スクリーニングを実行中の埋込心臓刺激装置の入力パラメータに依存して変更し得る。許容範囲の心電図ゲイン設定では形状20,22,24,26,28,30の振幅ガイドラインを満たさない場合、現在使用中の電極では、患者スクリーニングテストに失敗したことになる。
【0020】
所定の患者が特定の埋込心臓刺激装置の取付に適合するか否か判断するために、適切な大きさに形成されている形状を、QRS群にアライメントし、印刷心電図との比較を行なう。これについては、以下のように図5A〜図5Cに示す。図5Aには患者スクリーニングに成功したQRSの比較を示し、図5Bには患者スクリーニングに失敗したQRSの比較を示し、図5Cには誤って選択した形状を示す。つまり、適切に大きさが形成されている形状20,22,24,26,28,30からトレースがハミ出す場合、QRSは失敗となり、ハミ出さない場合は成功となる。
【0021】
患者が特定の装置に適合するか否かは、1つ以上のQRS群をステンシル16と比較することによって判断できる。幾つかの実施形態において、患者に異なる姿勢(座位、直立姿勢、側臥位など)をとらせ、それぞれの姿勢についてテストを行なうことによって、複数の測定を行なう。特定の埋込心臓刺激装置に利用できる1つ以上の検知ベクトルについてテストを行なってもよい。
【0022】
テストを行なった構造の特定の埋込心臓刺激装置を埋込むべきか否か、または異なる治療(たとえば異なる埋込心臓刺激装置、もしくは構造は異なるが同じ埋込心臓刺激装置)を使用するべきか否かについては、スクリーニングに応じて決定する。可能であれば患者が成功するまで、複数の埋込心臓刺激装置システムに対して、および/または1つの埋込心臓刺激装置の複数の構造に対して、様々なテストツール10を利用してもよいと想定される。
【0023】
図2には、埋込前スクリーニングと埋込装置との比較を行えるように、埋込前スクリーニングと埋込装置の両方を含む処理を示す。図2に示す埋込前スクリーニングにおいて、心電図レコーダ50は、患者58に配置される皮膚電極52,54,56に接続される。心電図レコーダ50は、プリンタ60に接続されている。プリンタ60を使用して、患者スクリーニングツール64との比較用の心電図ストリップ62が作成される。患者58がスクリーニングに成功すると、埋込処置が行われる。埋込前スクリーニングが成功して埋込が完了すると、皮下埋込心臓刺激装置システム70(「埋込システム70」とも言う)となる。
【0024】
埋込システム70において、キャニスタ72はほぼ左腋窩における乳房下部に沿って(または乳房下方に)配置され、第1検知電極74は剣状突起部よりも数センチメートル上位且つ剣状突起部の左方に配置され、コイル78は中心線よりも左に約1cm〜約2cmの胸骨の左方に沿って延在し、第2検知電極76はコイル78よりも上位に配置されている。「A」を第2検知電極76とし、「B」を第1検知電極74とし、「Can」をキャニスタ72の一部に配置される電極(またはキャニスタ72の一部として規定される電極)とした場合、埋込システム70は、A−Can、B−Can、およびA−Bの3つの検知ベクトルを規定する。
【0025】
埋込システム70の1組の検知ベクトルを模倣するように、皮膚電極52,54,56は、埋込前スクリーニング時に患者58に配置される。皮膚電極56は埋込電極76に相当し、皮膚電極54は埋込電極74に相当し、皮膚電極52は埋込まれたキャニスタ72上の電極に相当する。この結果、心電図レコーダは、A−B検知ベクトルに相関するCh.Iからの信号と、A−Can検知ベクトルに相関するCh.IIからの信号と、B−Can検知ベクトルに相関するCh.IIIからの信号とを受信する。一実施形態において、標準の心電図レコーダは、Ch.I,Ch.II,Ch.IIIとしてそれぞれ用いられる電極RA,LA,LLと共に使用される。
【0026】
図2の実施形態は、患者スクリーニングツール64の使用による埋込システムの一構造のテスト方法を示す。患者スクリーニングツール64の形式は、図1に示すとおりである。患者スクリーニングツール64と印刷心電図62との比較については、図5A〜図5Cを参照することによって以下に更に説明する。
【0027】
幾つかの実施形態において、複数の構造をテストしてもよい。この場合、第1構造が失敗すると第2構造をテストする。たとえば皮膚電極52,54,56が第1組の位置に存在するときに患者スクリーニングテストに失敗した場合、互いに異なる埋込心臓刺激装置システムそれぞれの所望の位置に基づく別の組の位置を、皮膚電極52,54,56に対して選択してもよい。たとえば図2に示す構造において失敗した場合、図12に示すような異なる組の位置をテストしてもよい。図3には、幾つかの他の電極位置を示す。複数の構造を一度にテストできるように、またはより複雑な複数のシステムをテストできるように、4つ以上の皮膚電極を使用してもよい。
【0028】
患者スクリーニングツール64の形状については、図1と図14を参照し、以下に詳細に説明する。第1装置構造のスクリーニングテストに失敗した場合、別のスクリーニングツール64を用いて、別の心臓信号分析構造の埋込心臓刺激装置をテストしてもよい。たとえば図1と図14に示す形状は患者スクリーニングの第1構造を表し、図4に示す形状は第2構造を表すとされてもよい。これらの構造は、様々な埋込心臓刺激装置が使用する様々な心臓信号分析法、および/または1つの埋込心臓刺激装置における様々なプログラミング選択を反映してもよい。たとえばシステムは、比較的幅広のQRS群を示す患者に用いられる第1方法に利用可能なプログラミングを有してもよく、比較的大きなT波および/または遅延したT波を示す患者に用いられる方法のプログラミングを有してもよい。
第1構造で術前スクリーニングに失敗した場合、可能であれば術前スクリーニングが成功するまで、より多くの構造のテストを試行してもよい。様々な埋込心臓刺激装置の様々な検知能力(たとえば入力回路の差異)に鑑みて、変更がなされてもよい。
【0029】
本明細書に開示する幾つかの実施形態は、患者スクリーニングツールのテストに患者が成功するか失敗するか判断する。幾つかの実施形態において、代わりに特定の埋込心臓刺激装置または特定の埋込心臓刺激装置構造に対する患者の整合性を最適化してもよい。したがって、所定の患者に成功/失敗でなく適合性を示す評価グレードを与え、複数の構造についてスクリーニングを行なった後、「最良」の構造を選択して用いてもよい。
【0030】
図2には、キャニスタ72とリード電極アセンブリ74,76,78を有する皮下埋込心臓刺激装置システム70を取付けた患者を示す。他の皮下システムとしては、同一出願人による特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載のものがある。これらの特許の開示は、参照として本明細書に援用される。他の実施形態において、単一構造または複数のキャニスタ/リードを必要に応じて使用してもよい。
【0031】
再び図2に戻り、皮下埋込心臓刺激装置システム70は、A−B、A−Can、およびB−Canとして示す複数の検知ベクトルを規定する。埋込時、これらの検知ベクトルのうちの1つをデフォルト検知ベクトルとして選択してもよい。検知ベクトルの選択および/または装置初期化の方法については、同一出願人による同時係属の特許文献4、特許文献5、特許文献6、および特許文献7に記載のものがある。これらの文献は、参照として本明細書に援用される。他の実施形態において、複数ベクトルの検知を行なってもよい。
【0032】
一実施形態において、図1のスクリーニングツールを使用するスクリーニング分析は、姿勢分析工程で同様に行われる。たとえばそれぞれの姿勢における装置の適合性を判断するために、患者の複数の姿勢から取得した心電図信号に、患者スクリーニングツールを適用する。姿勢変更データをベクトル選択に組込むために、埋込後に分析を行なってもよい。たとえば埋込システム70の姿勢分析は、同一出願人による同時係属の特許文献8に記載されるように行なってもよい。この特許文献は、参照として本明細書に援用される。
【0033】
キャニスタ72には、埋込心臓除細動器/埋込除細動器に適切な演算回路が格納されてもよい。演算回路は、これらがすべてではないが、たとえば適切なメモリ、論理回路、分析ハードウェア、マイクロコントローラ、バッテリ、アンテナ、充電回路、高性能キャパシタ、入出力回路、およびテレメトリ回路を含んでもよい。埋込システム70は、通常、既知の遠隔測定法によって外部プログラマ装置(図示略)に通信するように構成されており、装置のセットアップ、ステータス/病歴の調査、新しいソフトウェアのアップロード、および/または検出/治療の修正など、様々な機能を実行可能である。埋込システム70の詳細は、大きく異なってもよい。
【0034】
心臓信号分析を行なう方法は、たとえば同一出願人による特許文献9、特許文献10、および特許文献11、並びに同一出願人による特許文献12と特許文献13に記載されている。他の方法もこの技術分野において知られている。
【0035】
幾つかの実施形態は、患者の血管系および/または心臓への配置と固定が可能な電極を備える、1つ以上の経静脈リードを含んでもよい。あるいは心外膜電極を備える胸郭リードを含んでもよい。これらの心外膜リードまたは経静脈リードは、図2に示す皮下リードの補完または置換えとなるものであってもよい。図2に示すステンシルと形状を用いるテスト方法を、経静脈システムまたは心外膜システムに適用してもよい。たとえば経静脈システムの心臓信号分析に適切な表面モデルを用いて、経静脈システムの患者スクリーニングツールの形状/ステンシルを設計してもよい。埋込装置と、埋込装置において使用され
る分析方法との詳細は、大きく異なってもよい。
【0036】
図3には、埋込心臓刺激装置の皮下埋込を行なう複数のキャニスタ位置と電極位置を示す。図3に示すシステムにおいて、キャニスタ位置は、左胸筋/鎖骨下動脈部102と、乳房下部左側部104と、右胸106とを含む。図3には電極位置の例として、左下胸骨部110(剣状突起部の真上且つ左方)、左中胸骨部112(心室のほぼ上方)、左上胸骨部(心房のほぼ上方または上位)114、および右胸骨位置116を示す。電極(たとえば側部胸筋下電極118)を配置する位置として、胸骨から離れた他の位置を用いてもよい。図3に示す前部位置に加え、脊椎付近の位置または肩甲骨付近の位置などの後部位置を用いてもよく、更に側部位置を用いてよい。また肋骨下電極120を用いてもよい。皮下電極への接続は図に示さないが、リードは、皮膚の下且つ助骨の上に配置されることを理解されたい。
【0037】
図3に示す位置は単に例示であり、これらの位置の所望の組合せを所与の装置に用いてもよい。筋肉の下または上への配置は、医師の判断および/または患者の生体構造によって決まり、大きな筋組織に接しない位置(たとえば電極110の位置)もある。他の例としては、同一出願人による特許文献3に記載のものがある。この特許の開示は、参照として本明細書に援用される。他の実施形態において、複数の皮下電極を有するハイブリッドシステム、および1つ以上の電極を備える経静脈リードが使用される。
【0038】
一実施形態において、システムは、複数の互いに異なる組の電極位置を使用できるように設計される。一実施形態において、検知電極の配置の可否、および検知電極の配置できる場所を判断することを目的とした場合、可能な電極位置の組合せによって適切な(またはより優れた)検知が行えるか否か判断するために、術前スクリーニングを使用してもよい。図1に示す術前患者スクリーニングツールにおいては、このようなスクリーニングを素早く簡単に行なうために、目視確認が行われる。
【0039】
図4には、患者スクリーニングツールのステンシルに使用される形状150を示す。この形状150は、印刷心電図ストリップ上のトレースの基線にアライメントするための基線マーカ152を有する。形状150は、QRS群の最大偏差が最大振幅ライン154とピーク指標ライン156との間になるように選択される。QRS群の開始点は、形状150の左部にアライメントされる。選択したスイープ速度で、形状150との比較用の心電図ストリップを印刷すると仮定した場合、参照番号160で示すように、形状150の最大幅部分は、対応する埋込心臓刺激装置検出方法の不応期に相当する。たとえば対応する埋込装置において不応期が160msである場合、秒速25mmのスイープ速度で印刷した心電図ストリップが使用可能となるように、最大振幅部分154の長さは3.5mmであってもよい。この最初の部分において心電図が形状150からハミ出す場合(図5C)、形状150は誤って選択されており、可能であれば別の大きさを選択すべきである。
【0040】
形状150の最大振幅部分154に対して「前」方向に、すなわち最大振幅部分154の右端の垂線上に亘る場合は(たとえば長いQRS幅のために)、振幅条件を満たしている。代わりに、最大振幅部分154の右端の垂線と交差するほどの広い幅を有するQRSは、埋込前スクリーニングに失敗したことを表す。
【0041】
患者スクリーニングツール形状のこの「不応期」部分の右には、参照番号160で示すように、第1持続閾値期間と第2持続閾値期間が生じる。形状150の外縁にQRSと信号終端部(たとえばT波を含み得る)が交差する場合、スクリーニングは失敗する。持続高閾値期間と持続中閾値期間の後は、形状150の時間減衰領域として規定される。QRSと信号終端部が、図4において円で示す「成功」エリアに達する前に形状150の外縁に交差する場合、スクリーニングは失敗となる。
【0042】
「成功」エリアは狭く限定されるのではなく、この領域には幾らかの自由度があってもよい。たとえば形状150の「成功」エリアに、ドリフトによって生じたと思われる小さな交差部が見られる場合、この交差部は無視してよい。あるいは患者の心臓信号のアーチファクトが確認された場合、「成功」エリア付近の交差部をスクリーニングテストの失敗として見なしてもよい。「成功」エリアは実際には省略されてもよく、たとえば図1は動作実施形態に基づいており、この詳細を示してはいない。
【0043】
図5A〜図5Cには、患者スクリーニングツール形状と取得した心臓信号との比較を示す。図5Aにおいて、トレース200は、心電図ストリップ202上に印刷されている。通常、形状204がトレース200の基線にアライメントされるように、患者スクリーニングツールは心電図ストリップ202に置かれる。形状204は、トレース200の基線にアライメントするためのラインまたは他の目印を含んでもよい。
【0044】
図5Aに示すように、トレース200はピーク206を有する。形状204は、ピーク指標ライン208を有する。ピーク指標ライン208が含まれるため、トレース200に形状204が適正な大きさに形成されているとユーザは判断できる。ピーク206が外線210とピーク指標ライン208との間にあり、形状204の中心がトレース200の基線にアライメントされている場合、形状204は適正な大きさである。これ以外の場合は、患者スクリーニングツールから、より大きい形状204、またはより小さい形状204を選択してもよい。
【0045】
検出閾値は、入力信号の振幅に応じて変化するが、適応する検出閾値を使用するために、このようにして形状204と信号振幅との一致がとられる。たとえば幾つかの検出方法は、適正な検知を行なうべく、検出閾値の増減を行なうためにピーク振幅を推定する。したがって、適正な大きさの患者スクリーニングツールを選択することによって、信号振幅の変化に起因する、装置のイベント検出感度の変化が対処される。
【0046】
図5Aに示す実施形態において、トレース200は、許容可能な心拍を表す。形状204の末端部214まで形状204の外縁が交差しないため、この心拍は、スクリーニングテストに成功している。図5Aに示すようにテストは一度行なってもよく、あるいはトレース200の複数の取得信号について繰返し行なってもよい。幾つかの実施形態において、信号振幅が変化する場合、スクリーニング中に様々な形状を使用してもよい。しかし、一実施形態において、3つ以上の形状を使用すること、または大きさがほぼ同じ形状を使用すること(図1において、形状22,24は「大きさがほぼ同じ」であり、形状22,26は大きさが同じではない)がスクリーニングの条件とされる場合、このスクリーニングは失敗として見なされる。トレース200が各テストにおいて成功した場合、トレース200と、対応する検知ベクトルと患者の姿勢とは、術前スクリーニングに成功したことになる。複数のベクトルと姿勢について、テストを行なってもよい。
【0047】
図5Bには、術前スクリーニングに失敗した心拍を示す。図5Bにおいて、トレース250は、心電図ストリップ252上にある。患者スクリーニングツールの形状254は、トレース250を基準にして心電図ストリップ252上に置かれる。形状254は、トレース250の基線にアライメントされる。また形状254の大きさは、QRSピーク256がピーク指標ライン258と、形状254の外線260との間に位置するように選択される。この実施形態において、分析したQRS群は、形状254の外部に伸びる大きなT波262を含む。トレース250の該部分262が形状254の外縁からハミ出すため、この信号はテストに成功できず、不良または失敗と記録されてもよい。
【0048】
一実施形態において、取得したイベントのいずれかがトレース250に失敗したとして
記録される場合、トレース250と、関連する検知ベクトルまたは姿勢とは、失敗として記録される。別の実施形態において、以下の2つの方法のうちの一方で分析を行なってもよい。
【0049】
第1分析は、信号をより詳細に分析した場合、この信号分析が特定構造の埋込心臓刺激装置において難しいか否か判断するため行われてもよい。この分析は、T波ピークに対するQRSピークの振幅比の分析、または他の信号−ノイズ比の分析を含んでもよい。ノイズのタイミング/間隔などの他の要因(Q−T間隔、QRS幅、または二段脈が現れるかなど)を考慮してもよい。たとえばスクリーニング失敗の分析は、誤検出の識別方法を、特定のトレース250に簡単に適用できるか否かを明らかにできる。また二重検出同定法を用いる分析を含んでもよく、たとえば同時係属出願の特許文献13に記載されている。
【0050】
第2分析は、トレース250が継続して失敗するか(すなわちQRS群の大部分が失敗するか)否か判断するために行われてもよい。たとえばほとんどのQRS群が失敗した場合、その検知構造も失敗となるが、幾つかのQRS(たとえば5%〜10%以下)が失敗した場合、検知構造は許容可能ではあるが、理想的ではない。複数の構造をテストする場合、「最良」の構造を選択してもよい。
【0051】
図5Cには、所与のトレースに対して、誤って選択した2つの形状を例として示す。左側の形状は、QRSのピーク264が最大幅領域からハミ出しているため、誤って選択されたものである。右側の形状は、QRSのピーク268がピーク指標ライン266に一致するほど大きくはないため、誤って選択されたものである。
【0052】
図5A〜図5Cに示す心拍分析は、臨床状況および/または外来治療において行われてもよい。たとえば心拍は、患者の来院時に取得して分析してもよい。幾つかの実施形態において、患者は一定期間、ホルタ心電計を装着してもよい。またホルタ心電計を用いて取得したデータから心電図を得てもよく、この心電図を分析できる。取得したデータのうち分析した部分は、患者の心拍数を観察することによって識別できる。また高速期間と低速期間のうちの一方または両方において取得したイベントを、患者スクリーニングツールを用いて分析してもよい。
【0053】
図6に示す患者スクリーニングツールは、透明状であり、複数の形状を有するステンシルを有する。図6に示すように、スクリーニングツール280は、複数の形状282,284,286,288,290を有する。大きさが互いに異なる形状282,284,286,288,290は、実施者が所与のQRS群に適正な大きさに形成されている形状を選択できるように、スクリーニングツール280に設けられている。スクリーニングツール280は、より大きな形状284のピーク指標ライン292が、隣のより小さな形状286の最大振幅部分294に一致するように設計される。
【0054】
スクリーニングツール280は、アライメントの助けとなるように設計されてもよく、中央の基線は、心電図ストリップに対してアライメントを行えるように示されている。形状282,284,286,288,290はそれぞれ、「鼻(snub)」部299を有する。QRSに適用した場合、心電図のトレースがこの「鼻」部299において形状からハミ出しても許容可能とされ、形状の他のラインに交差する場合は失敗となる。鼻部は、図4に示す「成功」エリアを明確に表す。それぞれの形状の縁は、適切な様式で示されてもよく、縁内の領域と縁外の領域とは、必要に応じて適切な様式(シェーディング部、色付け部、不透明部など)で区別されてもよい。
【0055】
図6に示すように、スクリーニングツール280は、振幅テスト形状296を有する。心電図パラメータが規定されていると仮定する場合、振幅テスト形状296は、許容可能
な最小の信号振幅を示す。心電図レコーダとプリンタによって使用されるスイープとゲインの指示を、参照番号298に例として示す。参照番号298で示すように、信号のピークのクリッピングまたは切取が無い限り、ゲインを調節してもよい。図6に示すように、心電図印刷装置によって許容可能な最大ゲイン設定を適用する場合、振幅テスト形状296は有用である。速度20mm/mVで印刷したQRSが、振幅テスト形状よりも大きくない場合、該QRSのスクリーニングテストは失敗となる。
【0056】
図7には、1つの心電図ストリップ上の3つのトレースの比較を示す。ストリップ300は、第1トレース302と、第2トレース304と、第3トレース306とを有する。第1トレース302は第1形状308と比較され、第2トレース304は第2形状310と比較され、第3トレース306は第3形状312と比較される。形状308,310,312は、トレース302,304,306の最大部分に一致するように選択される。トレース302,304,306の印刷サイズはそれぞれ異なるため、それぞれのトレースに対して、互いに大きさの異なる形状308,310,312が選択される。
【0057】
第1トレース302は、一部が第1形状308の縁からハミ出すため、失敗と見なすことができる。第2トレース304は、第2形状310の縁内に位置するため成功しており、第3トレース306も、第3形状312の縁内に位置するため成功している。このシナリオにおいて、第2トレース304と第3トレース306は、姿勢のスクリーニングテストに成功している。
【0058】
図8は、患者スクリーニングツールにおいて使用できる別の形状を示す。図5〜図7に示すような段付き形状ではなく、図9に示す形状は、滑らかな輪郭を有する。他の実施形態は、たとえば図1と図14に示す異なる形状を用いてもよい。
【0059】
図8の形状において、不応期の部分をREFで示す。この部分は、所与の形状を使用するうえで適正な振幅を識別するために使用できる。不応期の後は、傾斜部分としての時間減衰の部分F(t)が続く。F(t)は、以下の式によって表される時間減衰閾値Th(t)に一致するように成形されてもよい。
【0060】
Th(t)=X exp(r(t−t))+Y
ここでXは振幅因子であり、rは減衰因子であり、tは減衰の開始時間であり、Yは検知下限である。
【0061】
図1と図14は、図8の代替例を示す。図8に示すTh(t)に一致する傾斜の代わりに、弾丸形状が用いられている。この設計は、スクリーニングツールによる分析を、QRS群とT波の終端部に集中して行なうように構成されている。QRS群とT波の終端部のいずれも、これらの形状の弾丸型部分よりも前に現れている。
【0062】
図9に示すシステムは、3つのトレースが印刷された心電図ストリップと比較用の形状を有する。たとえば図2のシステムは、検知ベクトルCh.I,Ch.II,Ch.IIIを示す。またストリップ320上に並置された3つのトレースの印刷に適している。ストリップ320は、ガイドエッジ324を有する比較ツール322に挿入可能であり、このガイドエッジ324にアライメントされる。
【0063】
形状326は、トレース330の基線にアライメントされたトラック328に、摺動自在に取付される。他のトラック332,334は、トレース340,342と比較される形状336,338を、それぞれアライメントさせる。幾つかの実施形態において、様々な大きさの形状326に交換できるように、形状326、336、338は、トラック上の可動要素にスナップ取付(snap fit)されてもよいし、磁気的取付されてもよ
い。形状326,336,338の3つ形状は、3つのトレース330,340,342によって表される信号振幅変化に対応するように、それぞれ別の大きさに形成されていることが分かる。別の実施形態において、形状326,336,338の可動要素は、スナップ取付ではなく、トラック328,332,334上で左右にスライドされると大きさが増減するように構成されてもよい。システムには他の設計を使用してもよく、使用するトレースの個数や形状326,336,338の心電図ストリップとの比較を制御する様式などの詳細については、様々な方法で変更可能であることを当業者には理解されたい。
【0064】
別の実施形態において、比較ツールには、トラック328,332,334の可動要素ではなく、様々な大きさの形状を有するステンシルが並置されてもよい。このようなステンシルは、たとえば図1または図6に示すものと同様であってもよい。或る適正な大きさの形状において、QRSが適切に開始するまで、比較ツールにおいて心電図ストリップを前進させてもよい。別の実施形態において、ステンシルは、比較ツール322のカバー上の切欠部として設けられてもよい。これによって、比較ツール322にストリップを通すとき、実施者は個々のQRS群について成功または失敗を記録できる。
【0065】
図10には、方法の一例をブロック図で示す。この方法400は、ステップS402で示すように、表示および/または印刷のパラメータ設定によって開始する。上記のように、患者スクリーニングツールは、この患者スクリーニングツール用の心電図を印刷するとき使用されるスイープ方向とゲインを含んでもよい。
【0066】
ステップS404で示すように、皮膚電極が配置される。この方法は、次にステップS406で示すように、患者に第1姿勢をとらせる。これらのステップS402,404,406は、任意の順序で行われてもよい。データが取得され、ステップS408で示すように1つ以上の良好なトレースが(存在する場合は)識別される。「良好」なトレースとは、印刷心電図データと患者スクリーニングツールとの比較を行なうことによって、患者スクリーニングに成功したトレースである。
【0067】
ステップS410で示すように、患者は第2姿勢に移行するように命じられ、ステップS412に示すように良好なトレースが再び識別される。たとえば(直立姿勢、背臥位、腹臥位、座位、左側臥位、または右側臥位などから選択される)複数の姿勢を用いてもよい。任意で幾つかの実施形態において、複数の姿勢の評価をスキップしてもよい。この場合、方法400はステップS408からブロック414へ直接移行する。更に別の実施形態において、外来患者については、患者が所定の動作(たとえば歩行)を行なっている間にデータを取得してもよい。あるいは別の方法において、非臨床状況でデータを取得するために、ホルタ心電計を用いて患者の睡眠中にデータを取得してもよい。更に別の実施形態において、それぞれのベクトルについて、それぞれの姿勢のデータを取得してもよく、更にデータの取得後、個々のベクトルと姿勢の分析を行なう。
【0068】
ブロック414において、1つ以上の「良好」なベクトルがあるか否か判断する。この判断は、使用するそれぞれの姿勢の結果を分析することによって行なってもよい。たとえば2つの姿勢について3つのトレースをテストする患者の場合、結果として以下のデータが得られる。
【0069】
【表1】

【0070】
それぞれの姿勢について少なくとも1つのベクトルが「良好」である場合、ステップS414のクエリに対してステップS416の「有」になり、患者スクリーニングに成功する。たとえば上記のテーブルを使用する場合、ベクトルCh.IIIでは患者スクリーニングに成功する。対照的に、すべてのベクトルが「不良」または少なくとも1つのベクトルが失敗の場合、ステップS414のクエリに対してステップS420の「無」になり、ステップS422で示すように詳細な測量分析が行われる。
【0071】
詳細な測量分析422は、信号−ノイズ比や全体的な振幅などの数値分析を含んでもよい。また少なくとも1対の皮膚検知電極に対して、以下の項目のうち1つ以上の項目を分析することを含んでもよい。この分析は、患者が少なくとも1つの姿勢にあるとき行われる。
【0072】
− QRS幅を分析し、閾値と比較する;
− Q−T間隔を分析し、閾値と比較する;
− 信号−ノイズ比(SNR)を計算し、閾値と比較する;
− 平均振幅または最小振幅を計算し、閾値と比較する。
【0073】
− 閾値との比較を行なうスコアを生成するために、SNRと振幅を組合せる;
− ノイズピークと心臓心拍のピークについてのタイミングデータを評価する;並びに/または
− ピークおよび/もしくはSNRの変動データを考慮してもよい。
【0074】
また皮膚から取得した信号の信号品質を分析するために、参照として本明細書に援用される特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8に記載の計算を行なってもよい。
【0075】
更に別の実施形態において、埋込前スクリーンに成功していない患者については、分析を行わない。詳細な数値分析を行なうのではなく、代わりにスクリーニングに失敗したとする。所与の埋込心臓刺激装置のスクリーニングに失敗した患者は、異なる装置を取付けるように指示されてもよい。あるいはこのような患者に、異なる埋込心臓刺激装置もしくは異なる埋込心臓刺激装置構造のスクリーニングを行なってもよい。
【0076】
図11には、患者からデータを取得し、埋込心臓刺激装置に対する患者の適合性についてのフィードバックを与える、別のシステムを示す。患者500について、外部装置502を用いて分析が行われる。この外部装置502は、ベクトルA,B,Cを規定する外部皮膚電極504,506,508に接続されている。皮膚電極504,506,508の位置は、図2において「装置埋込」の上方に示す側面キャニスタと、左胸骨傍リードアセンブリの位置として利用可能な場所を、単に例として示す。他の実施形態において、他の前部位置、および/または前部位置と後部位置の組合せ(たとえば図3)、および/またはハイブリッドシステムに埋込まれた経静脈リードとの組合せなど、他の位置を使用してもよい。
【0077】
外部装置502は、たとえば携帯情報端末(PDA)などであってもよく、特殊ソフトウェアを実行する汎用装置であってもよい。あるいは専用装置であってもよい。外部装置502は、必要に応じて埋込装置用のプログラマ装置であってもよい。内部電子機器と処理回路は、このようなメモリおよび/またはメモリの機能を実行するのに適切な処理回路(たとえばマイクロプロセッサ)に加え、バッテリなどの電源、またはコンセントを電源とする回路を含んでもよい。図11に示すように、外部装置502は表示スクリーン510を含み、この表示スクリーン510は、タッチスクリーンであってもよい。表示スクリーン510にはトレース512が表示され、任意で比較形状514が表示される。形状514は、取得したイベント(事象)に振幅を一致させるために、メニューから選択されてもよい。幾つかの実施形態において、形状514は、イベントの振幅に一致するように、外部装置502の処理回路によって自動的に大きさが決められてもよい。
【0078】
外部装置502は、自身で信号処理を行なって1つ以上の検知ベクトルの適合性を判断するため、表示スクリーンへの形状514の表示は任意で行われる。外部装置502が内部処理/内部分析を行なう場合、たとえばユーザにQRS群の識別を求めることによって分析の不明点を解決する最後の手段として、ユーザ入力が要求されてもよい。
【0079】
コントローラ516は、表示スクリーン510および/または分析を制御するために使用されてもよい。たとえばボタンP1,P2を用いて、患者500が所望の姿勢をとったか、患者500はいつ所望の姿勢をとったか、並びに患者500はテスト/観察の準備ができているかが示される。一方、ボタンA,B,Cを用いて、表示または分析に利用可能な検知ベクトルA,B,Cのうちの1つに対応するチャネルが選択される。
【0080】
トレース512は、リアルタイムで表示されてもよい。あるいは保存されたデータが、表示スクリーン510に表示されてもよい。矢印ボタンは、表示スクリーン510上でトレース512を移動(または停止)させるために使用されてもよい。これらのボタンは単に例示であり、設けられるボタンは多くても少なくてもよく、異なるものであってもよい。「ボタン」という語は、特定の構成に制限されるものとして解釈すべきではない。たとえばタッチスクリーン、または音声コマンドを取込むマイクロフォンなど、ユーザ入力を可能にする適切な構成であれば使用されてもよい。
【0081】
表示スクリーン510を使用することによって、実施者は、たとえばトレース512と形状514との比較方法を、患者500に示すことができる。外部装置502は、サーバ、コンピュータ、他の表示装置、プリンタ、リムーバブル記憶媒体などとの通信(有線または無線による通信)用に、他の出力部を有してもよい。表示スクリーン510は、処理工程において実施者と患者に命令を与えるために使用されてもよい。たとえば電極504,506,508を所定の位置にするように実施者に命じるため、並びに/または、データ取得時および/もしくは分析時に実施者や患者に一連の所定の姿勢(座位、直立姿勢、腹臥位、背臥位など)を命じるために使用されてもよい。
【0082】
外部装置502は、検知ベクトルA,B,Cの分析を行ない、適合性についての指標、および/または必要に応じてどのベクトルを用いると適切か、についての指標を実施者に与えてもよい。必要に応じて4つ以上の電極を使用してもよく、埋込電極位置に対応する位置において皮下に配置してもよい。これによって実施者は、電極が埋込まれた部位の識別および/または選択を行える。また所定の患者にとって「最良」の位置を識別するために、複数の構造をテストしてもよい。
【0083】
外部装置502は、埋込装置の入力特性(フィルタリングなど)を模倣するように構成される入力回路を含んでもよい。たとえば埋込装置は、直流オフセットと外部ノイズ(患
者の筋収縮による筋電位や50Hz/60Hzのラインノイズなど)を除去するのに有用な、様々なフィルタを含んでもよい。幾つかの実施形態において、外部装置502は、埋込装置のアナログフィルタリングを模倣するフィルタリング回路を含んでもよい。および/または、外部装置502は、埋込装置のモデルのコピー、もしくは模倣を行なうデジタルフィルタリング回路を含んでもよい(あるいはマイクロプロセッサにディジタルフィルタを組込んでもよい)。これによって、外部装置502の測定精度が向上する。
【0084】
図12は、信号および/またはノイズのピークを記録することによって、詳細な分析を可能とした装置を示す。患者550は、皮膚電極554,556,558を使用するプログラマ装置552に接続される。皮膚電極554,556,558は、胸部のキャニスタ位置と、左胸骨傍位置および乳房下部左側部位置に延伸する2重リード(図示略)とを用いる構造における、信号の適合性を観察するために配置される。スクリーニング装置は、プログラマ装置552として示されているが、他の実施形態において、代わりに非プログラマ装置の外部装置(適切な形式のもの)を使用してもよい。検知ベクトルは、Ch.I,Ch.II,Ch.IIIの3つが規定される。
【0085】
プログラマ装置552によって、実施者は患者適合性テスト、埋込、およびその後のフォローアップ調査において、それぞれ1つの装置を使用できる。図12に示す実施形態において、タッチスクリーン560に表示されたトレース562の特徴を識別するために、スタイラス564が使用される。たとえば実施者は、マニュアルで印刷心電図ストリップを記録することによってではなく、表示されたトレース562を用いることによって分析を行なってもよい。タッチスクリーン560上で記録が行われると、プログラマ装置552は、自動的に信号−ノイズ比、ノイズのタイミング、振幅などの分析を行なってもよい。この機能は、非プログラマ装置(たとえば図11に示す装置)に組込まれてもよい。
【0086】
適切な個数の電極554,556,558を用いてもよく、図に示す位置以外の位置でテストを行なってもよい。タッチスクリーン上での心電図トレースの記録は、患者の来院時以外に行なってもよい。たとえばホルタ心電計からローカルに、またはインターネットもしくは専用システムから、データをダウンロードしてもよい。あるいは患者の診療時にデータを取得し、患者が去った後もしくは分析装置から接続を切った後に、データの分析を行なってもよい。またプログラマ装置552自身が、トレース562のQRS群を記録してもよい。
【0087】
更に別の実施形態において、プログラマ装置552は、埋込装置が用いる心拍検出方法を利用してもよい。また実施者は、検出した心拍を、正しい検出または誤検出として記録するために、スタイラス564を使用してもよい。プログラマ装置552は、正しい検出と誤検出の記録を追跡し、電極554,556,558の位置の組合せによる心拍検出方法が、適切な心臓信号分析であったか否か判断する。
【0088】
上記の各実施形態と同様に、この分析には、電極554,556,558への配線接続に限らず、無線接続が設けられてもよい。
図13は、他の実施形態を示す。この実施形態において、大きさの互いに異なる複数の患者スクリーニングツール形状が利用可能である。患者スクリーニングツール600は、軸610周りに回転可能な複数のストリップ602,604,606,608を含み、これらのストリップのうちの1つを選択可能としている。図13に示すように、それぞれのストリップ602,604,606,608は、心電図の印刷設定または表示装置の設定を適切に行なうために、ユーザに指示を与える。患者スクリーニングツール600は、パターン化したフィールドに囲まれた明確なステンシル/形状の領域を備えるように構成される。
【0089】
図13に示すように、患者スクリーニングツール600は、指示622によって、キット620にパッケージ化されている。患者スクリーニングツール(図1、図2、図6、図9、図13など)および/または装置(図11と図12など)の実施形態を提供するために、同様のキット620を使用してもよい。あるいは患者スクリーニングツール600は、システム全体に対して、より大きいキットの一部として提供されてもよい。あるいは訓練を受けた実施者に、および図1に示すようにツールのリマインダ部に提供されてもよい。
【0090】
図14を参照し、機能実施形態を説明する。この実施形態は、3.6mVまでを入力電圧範囲とし、且つ推定ノイズレベルを約80μVまでとする皮下埋込心臓刺激装置用に設計されている。選択した3倍の信号−ノイズレベル比に基づき、許容可能な最小ピーク振幅を0.25mVに設定した。
【0091】
上記の検知パラメータを仮定し、図1に示す6個の形状20,22,24,26,28,30を有するスクリーニングツールを選択した。これらの形状は、図14に示す大きさとされた。タイミング特性は、形状40で示すとおりであった。テーブル42は、実際の長さに書換えた倍数を示すが、これはスイープ速度を25mm/sとして設定した大きさを表している。参照符号W,X,Y,Zの寸法は、テーブル44にmm単位で示す。
【0092】
この例において、心電図印刷に可能なゲインを、5mm/mV〜20mm/mVに設定した。たとえば最大振幅は、最大値「W」を、最小ゲインで割ることによって得られる。したがって、5mm/mVにおいてWが17.5mmである場合、許容最大QRSは3.5mVであった。すなわち埋込によるクリッピングを防ぐためのマージン部は、0.1mVとなる。最小振幅は、最小値X(振幅の最小値)を、最大ゲインで割ることによって得られる。したがって、20mm/mVにおいてXが5.0である場合、最小入力は0.25mVとなる。
【0093】
これらの数値は、対応する埋込心臓刺激装置で利用可能なダイナミック入力範囲の主要部分全体に、対応できるように設計されている。図に示す例は、装置間の重複を求めるものではない。必要に応じてピーク指標ラインを、隣接する形状の最外端に重複させることによって、幾らかの重複を許容してもよい。たとえば図1において、ピーク指標ライン32,32Aは、形状24の最大振幅よりも小さい振幅に相応するものであってもよく、形状26の最大振幅34,34Aは、形状28のピーク指標ラインを越えてもよい。
【0094】
上記の例は、主に埋込前スクリーニングに注目したが、埋込後にテストを行なってもよい。少なくとも一実施形態において、埋込完了後、装置オペレーションの分析またはデバッグを行なうために皮膚テストシステムを使用してもよい。たとえば埋込後、埋込装置の皮下電極位置に対応する位置に皮膚電極を配置することによって、皮膚テストを行なってもよい。埋込システムの検知欠陥を識別するために、埋込システムの検出特性を、皮膚で観察または生成された信号と比較してもよい。特にリードの欠陥を、この方法/システムによって診断できるが、入力回路もしくは検知回路または種々の方法に関する他の問題について分析などを行なってもよい。このような場合、皮膚電極のうちの少なくとも1つは、個数を倍にしてもよく、あるいは埋込システムとの通信用のアンテナを組込んだリードを用いて取付けられてもよい。少なくとも1つ以上の皮膚電極は、外部分析時に、埋込システムの治療反応性を無効にする磁石を含んでもよい。
【0095】
上記の大部分は、皮下心臓信号取得システムについて説明しているが、形状比較は、心臓データまたは血管データに基づいて行われてもよい。たとえば電気生理研究において、データを収集してもよい。またたとえばテレメトリによって外部装置に中継したデータを用いて、経静脈電極および/または心外膜電極を備える埋込装置からデータを取得しても
よい。形状比較は、皮下電極および/または心内膜電極を備えるハイブリッド装置の適合性を判断するために行なってもよい。
【0096】
幾つかの実施形態において、複数の互いに異なる患者スクリーニングツールを、複数の互いに異なる装置構造に使用してもよい。代替の実施形態において、1つの患者スクリーニングツールは、複数の心臓信号分析法のそれぞれに対応した形状同士を統合したものであってもよい。形状は、たとえば上記の特性の1つ以上がトレースで識別されるか否かを視覚的に示す、半透明色の領域を含んでもよい。したがって、患者スクリーニングツールは、特定の埋込心臓刺激装置に利用可能な検出方法が適切であるか否かを識別するのに使用されてもよい。
【0097】
本発明が、本明細書において記載と意図する特定の実施形態以外の様々な形式で明示され得ることを当業者には理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲と精神から逸脱しないで、形式と詳細の転換がなされてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込心臓刺激装置を取付けるための指標を示す患者をスクリーニングするスクリーニング方法であって、前記スクリーニング方法は、
患者スクリーニングツールを提供する提供工程であって、前記患者スクリーニングツールは、第1構造の埋込心臓刺激装置の取付に適合する個人を識別するために調整された第1可視目印を有すること;
患者の皮膚において、第1位置に複数の皮膚電極を配置する配置工程であって、前記第1位置は、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の電極の予定埋込位置に対応することと;
前記第1位置の前記皮膚電極を用いて、心電図信号の取得と印刷を行なう取得印刷工程と;
印刷心電図信号と前記第1可視目印を視覚的に比較する比較工程と;
前記印刷心電図信号が前記患者スクリーニングツールのスクリーニング基準を満たす場合、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付に患者が適合しているとの判断を行ない、また前記判断がなされない場合、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付を患者に行なうべきではないと判断する判断工程と
を有することを特徴とする、スクリーニング方法。
【請求項2】
前記比較工程は、スクリーニングテストとして実行され、前記スクリーニングテストは、
前記印刷心電図のQRS群を識別する工程と;
前記第1可視目印に利用可能な複数の形状のうち、識別した前記QRS群に対して適正な振幅測定値を有する形状を選択する工程と;
選択した前記形状を、識別した前記QRS群にアライメントする工程と;
前記QRS群が、選択した前記形状からハミ出し、そして埋込心臓刺激装置の誤検出に対応しているか否かを観察する工程と;
選択した前記形状からの前記ハミ出しが観察されない場合、前記QRS群は前記スクリーニングテストに成功していると判断し、また選択した前記形状からの前記ハミ出しが観察される場合、前記QRS群は前記スクリーニングテストに失敗していると判断する工程と
を含む、請求項1記載のスクリーニング方法。
【請求項3】
前記スクリーニングテストは、複数の前記QRS群について行われ、
テストした前記QRS群が成功している場合、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付は患者に適合していることが前記印刷心電図に示される、
請求項2記載のスクリーニング方法。
【請求項4】
前記第1可視目印は、それぞれの前記形状に関連する振幅インジケータを有する、
請求項2記載のスクリーニング方法。
【請求項5】
前記複数の予定埋込位置は、患者の皮膚下と、患者の胸郭上とに位置付けされる、
請求項1記載のスクリーニング方法。
【請求項6】
前記スクリーニング方法は更に、
前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付を患者に行なうべきではないと判断した場合、患者の皮膚において少なくとも1つの第2位置に、複数の前記皮膚電極のうちの少なくとも1つを配置する工程であって、前記第2位置は、第2構造の埋込心臓刺激装置に対応することと;
前記第2構造の埋込心臓刺激装置の取付に患者が適合しているか否か判断するために、前記取得印刷工程と前記比較工程を繰返し行なうことと
を含む、請求項5記載のスクリーニング方法。
【請求項7】
前記スクリーニング方法は更に、
前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付を患者に行なうべきではないと判断した場合、第2患者スクリーニングツールを提供する工程であって、前記第2患者スクリーニングツールは、第2構造の埋込心臓刺激装置の取付に適合する個人を識別するために調整されることと;
前記皮膚電極を前記第1位置にして第2患者スクリーニングツールを使用する前記比較工程を繰返すことと
を含む、請求項5記載のスクリーニング方法。
【請求項8】
前記患者スクリーニングツールは、心イベント検出プロファイルの少なくとも或る部分に対応するように構成された複数の形状を含み、
前記心イベント検出プロファイルは、前記心イベントの検出に使用される前記第1構造の埋込心臓刺激装置によって使用される、
請求項1記載のスクリーニング方法。
【請求項9】
前記患者スクリーニングツールの前記複数の形状は、取得見込みの複数の信号振幅範囲に一致するように大きさが形成され、
前記印刷心電図上の特定の受信QRS群に、1つの形状のみが識別され使用される、
請求項8記載のスクリーニング方法。
【請求項10】
前記患者スクリーニングツールは、透明フィールドを有し、
前記透明フィールドに前記形状が配置され、前記患者スクリーニングツールを前記印刷心電図に重ねて互いに比較可能とされている、
請求項8記載のスクリーニング方法。
【請求項11】
前記患者スクリーニングツールは、個々の形状に対応する透明領域を含み、選択した形状を印刷心電図上に重ねて互いに比較可能としている、
請求項8記載のスクリーニング方法。
【請求項12】
前記患者スクリーニングツールは、前記皮膚電極を配置するための適正な間隔の目印を含む、
請求項8記載のスクリーニング方法。
【請求項13】
前記取得印刷工程は、患者の第1姿勢と第2姿勢それぞれについて行われ、
前記比較工程は、前記患者から取得した前記印刷心電図信号を、少なくとも前記第1姿勢と前記第2姿勢それぞれと比較することを含む、
請求項1記載のスクリーニング方法。
【請求項14】
スクリーニングステンシルが印刷された材質の透明シートを有する患者スクリーニングツールであって、
前記スクリーニングステンシルは、透明なシート上に、複数の可視形状を有する可視目印を有し、
前記透明シートは、特定構造の埋込心臓刺激装置に印加可能な入力電圧の全範囲を対象とする大きさ特性を有し、
前記スクリーニングツールは、印刷心電図データとの比較が行えるように大きさに形成され、
前記印刷心電図データは、前記特定構造の埋込心臓刺激装置の取付が見込まれる患者から、振幅ゲインと印刷スイープ速度を含む所定の印刷ガイドラインに準拠して取込まれる
ことを特徴とする、患者スクリーニングツール。
【請求項15】
埋込心臓刺激装置において、術前患者スクリーニングに使用されるスクリーニングキットであって、前記スクリーニングキットは、
印刷心電図トレースとの比較用の第1目印を含む第1患者スクリーニングツールであって、前記第1目印は、第1構造の埋込心臓刺激装置に組込まれる心臓信号分析法の特性に対応することと;
患者スクリーニングツールを使用するための指示と
を有し、
前記指示は、
患者の皮膚において、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の電極の予定埋込位置に対応する第1位置に複数の皮膚電極を配置することと;
配置した前記皮膚電極を用いて、心電図信号の取得と印刷を行なうことと;
前記印刷心電図信号と前記第1患者スクリーニングツールを、視覚的に比較すること;
前記印刷心電図信号が前記第1患者スクリーニングツールのスクリーニング基準を満たす場合、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付に患者が適合しているとの判断を行ない、また前記判断がなされない場合、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付を患者に行なうべきではないと判断することと
を有することを特徴とする、スクリーニングキット。
【請求項16】
前記スクリーニングキットは更に、印刷心電図トレースとの比較用の第2可視目印を有する第2患者スクリーニングツールを有し、
前記第2可視目印は、第2構造の埋込心臓刺激装置に統合された第2心臓信号分析法の特性に対応する、
請求項15記載のスクリーニングキット。
【請求項17】
前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付を患者に行なうべきではないと判断する場合、前記指示は、複数の皮膚電極を配置するための第2位置を有する、
請求項15記載のスクリーニングキット。
【請求項18】
第1構造の埋込心臓刺激装置の取付に患者が適合しているか否かの判断に使用される患者スクリーニング装置であって、前記患者スクリーニング装置は、
ユーザによるデータ入力と、前記ユーザに対するデータ表示とを可能にするユーザインタフェースと;
複数の皮膚電極への接続を行なう入出力部と;
前記第1構造の埋込心臓刺激装置のフィルタリングと検出の特性をエミュレートするように構成される演算回路と
を備え、
前記演算回路は、
患者への配置と接続を行なった前記皮膚電極から、前記入出力部を介してデータを取得することと;
前記第1構造の埋込心臓刺激装置のフィルタリングと検出の特性をエミュレートすることと;
前記第1構造の埋込心臓刺激装置が、患者の心臓データを正確に分析可能か否か判断することであって、前記判断が肯定的になされる場合、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付に患者は適合していると判断し、前記判断が否定的な場合、前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付を患者に行なうべきではないと判断することと
を実行するように構成されることを特徴とする、患者スクリーニング装置。
【請求項19】
前記第1構造の埋込心臓刺激装置の取付を患者に行なうべきではないと判断する場合、
前記患者スクリーニング装置は、第2構造の埋込心臓刺激装置の取付に患者は適合しているか否か判断するために、患者から取得した信号を、前記第2構造の埋込心臓刺激装置のフィルタリングと検出の特性のエミュレーションを用いて分析するように構成される、
請求項18記載の患者スクリーニング装置。
【請求項20】
前記演算回路は、前記第1構造の埋込心臓刺激装置のテスト中に、前記皮膚電極を適正な位置において患者に配置することをユーザに命じるために、前記ユーザインタフェースを使用するように構成される、
請求項18記載の患者スクリーニング装置。
【請求項21】
前記演算回路は、データ取得中に少なくとも第1姿勢と第2姿勢をとるように患者に指示することをユーザに命じるために、前記ユーザインタフェースを使用するように構成される、
請求項18記載の患者スクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−536506(P2010−536506A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522093(P2010−522093)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/074118
【国際公開番号】WO2009/026571
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(503102571)キャメロン ヘルス、 インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】