基地局および受信状態の管理方法
【課題】受信データの管理における管理情報を低減した基地局を提供する。
【解決手段】受信した分割データを保存する受信バッファ4と、分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、通信端末から再送される再送分割データに基づいて補完処理を行う制御部1とを備え、制御部1は、受信した分割データのそれぞれについて、2バイト以上の大きさを有する受信管理ブロックに複数に分割し、分割データごとに受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行うとともに、判定結果に基づいて受信管理ブロック単位で補完処理を行う。
【解決手段】受信した分割データを保存する受信バッファ4と、分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、通信端末から再送される再送分割データに基づいて補完処理を行う制御部1とを備え、制御部1は、受信した分割データのそれぞれについて、2バイト以上の大きさを有する受信管理ブロックに複数に分割し、分割データごとに受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行うとともに、判定結果に基づいて受信管理ブロック単位で補完処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信における基地局に関し、特に、受信データの受信状態を管理する基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や、無線LANなどの無線通信手段を有する携帯端末を用いたデータのダウンロードや、アップロードにおいて、無線通信が断続的になる環境下では、ダウンロードデータや、アップロードデータの受送信が途切れ、データが欠落することがある。
【0003】
このような場合、欠落した部分を補完して元のデータに戻す補完処理が従来から行われているが、このような補完処理としては、例えば特許文献1に開示の方法が挙げられる。
【0004】
特許文献1の図1には、送信側が受信側へファイルを無線で送信する場合に、送信側は当該ファイルを所定のサイズで複数に分割し、分割された各ファイルに順番を付し、連続的に受信側に送信する。受信側では、受信した部分ファイルの順番を調べ、当該順番に抜けがある場合に、抜けた部分ファイルの送信要求を送信側へ送り、再送された部分ファイルを加えることで元のファイルを作成するファイルの送受信方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−258755公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示のファイルの送受信方法においては、送信側が送信する部分ファイルは常に固定長であるが、実際には無線の変調方式の変動により、部分ファイルが正しく受信できない場合がある。例えば、初送時に送信側でファイルを大きなサイズに分割して送信したが、再送時には電波状態が劣化していた場合、電波状態に対応させて変調方式を変えることがあり、その場合は、予め定めた固定長の部分ファイルで再送すると、当該部分ファイルの受信に再び失敗する可能性がある。
【0007】
一般に、送信側は無線の電波状態に合わせて変調方式を変え、変調方式に適したデータサイズで送信するが、受信側では送信側のデータサイズによらずMAC(Media Access Control)フレーム全体に対してバイト(byte)単位での受信状態を管理しているので、管理情報に費やすデータが大きくなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、受信データの管理における管理情報を低減した基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る基地局は、通信端末と無線チャネルを介して接続される基地局であって、前記通信端末は、一連のデータを分割して、分割データとして複数に分けて送信し、前記基地局は、受信した前記分割データを保存する受信バッファと、受信した前記分割データのそれぞれについて複数の受信管理ブロックに分割し、前記受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行い、前記分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、前記通信端末から再送される再送分割データを用いて、前記受信管理ブロック単位で補完処理を行う制御部とを備えている。
【0010】
本発明に係る受信状態の管理方法は、通信端末と無線チャネルを介して接続される基地局における受信状態の管理方法であって、前記通信端末が、一連のデータを分割して、分割データとして複数に分けて送信するのを受け、受信した前記分割データのそれぞれについて複数の受信管理ブロックに分割し、前記受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行い、前記分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、前記通信端末から再送される再送分割データを用いて、前記受信管理ブロック単位で補完処理を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受信データの管理における管理情報を低減した基地局を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態の基地局が組み込まれる通信システムの一例を示す図である。
【図2】基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】データを複数の分割MACフレームに分割して送信する場合のフレーム構成を示す図である。
【図4】MACヘッダの情報エレメントを説明する図である。
【図5】通信端末から基地局への上りのデータ通信における通信シーケンスの一例を補完を行わない場合について示す図である。
【図6】MACフレームを分割して再送する場合のフレーム構成の一例を示す図である。
【図7】通信端末から基地局への上りのデータ通信における通信シーケンスの一例を補完を行う場合について示す図である。
【図8】データの補完を行う場合の通信シーケンスに基づいた受信状態の管理方法を模式的に説明する図である。
【図9】基地局における受信状態の管理方法の全体的な流れを示すフローチャートである。
【図10】受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】補完処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】未受信区間の受信動作を説明するフローチャートである。
【図13】部分受信区間の受信動作を説明するフローチャートである。
【図14】受信管理ブロック数に対する最大部分受信ブロック数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
<通信システムの構成>
図1は、本実施の形態の基地局が組み込まれる通信システムの一例を示す図である。図1に示す通信システムは、通信端末MS、基地局BS、アクセスゲートウェイAGW、公衆網NWおよび接続先端末CSを有している。基地局BSと公衆網NW、基地局BSは、アクセスゲートウェイAGWを介して光ファイバ等の通信線により有線接続され、基地局BSと通信端末MSとは無線接続されている。
【0014】
なお、公衆網NWは、インターネットなどの広域通信網であり、アクセスゲートウェイAGWは当該広域通信網のゲートウェイ装置である。
【0015】
<基地局の構成>
図2は、基地局BSの構成を示すブロック図であるが、図2においては、発明に係る構成についてのみ示しており、他の構成は省略している。
【0016】
図2に示すように、基地局BSは、送受信アンテナATが接続された無線通信部2と、無線通信部2に接続されたCPU(Central Processing Unit)等で構成される制御部1と、制御部1に接続され、通信線CLを介してアクセスゲートウェイAGWとの間でデータの送受信を行うデータ送受信部3とを備えている。なお、データ送受信部3としては、通信線CLが光ファイバである場合は、ONU(Optical Network Unit)がこれに該当する。
【0017】
基地局BSにおいて、送受信アンテナATで受信した受信信号は無線通信部2の受信部(図示せず)に入力され、増幅処理やダウンコンバートを行って、ベースバンド信号に変換して出力する。なお、送受信アンテナATで受信される信号は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式などで変調されている。
【0018】
また、無線通信部2は、制御部1からの指示に従い、BPSK変調方式やQPSK変調方式などで変調された無線信号を送出する。
【0019】
制御部1は、無線通信部2に接続された無線制御部11、無線制御部11およびデータ送受信部3に接続された呼制御部12を有し、無線制御部11にはバッファ用メモリ4が接続されている。
【0020】
データ送受信部3は、呼制御部12からのメッセージ送信指示を受け、アクセスゲートウェイAGWに対してメッセージを送信し、また、アクセスゲートウェイAGWから受信したメッセージを呼制御部12に通知する。
【0021】
無線制御部11は、無線通信部2から出力される無線信号を受け、メッセージやデータを解析し、その解析結果を呼制御部12に通知する。なお、当該メッセージには通信の接続要求や接続切断要求が含まれる。また、呼制御部12が、通信の接続要求や接続切断要求に対するアクセスゲートウェイAGWからの回答結果等を受け取り、通信端末MSに対して通知するためのメッセージを作成し、無線通信部2に与える。また、通信端末MSから受信したMACフレームはバッファ用メモリ4に保持される。また同時に、受信状態の管理として、MACフレームの受信管理ブロック単位での受信状態やバイト単位での受信状態がバッファ用メモリ4内に格納される。
【0022】
<動作>
<データの分割送信>
通信端末から送信されるデータはMACフレームに含まれて送信されるが、電波状態に合わせて複数の分割MACフレームに分割して送信することが一般的である。
【0023】
図3には、データを複数の分割MACフレームに分割して送信する場合のフレーム構成を示す。
【0024】
図3においては、長さLバイトの上位レイヤからのデータをn個のセグメントに分割して送信する場合を示しており、MACフレーム1〜MACフレームnに分割されたデータが割り当てられている。
【0025】
図3におけるMACヘッダの情報エレメントの記号、情報長および定義を図4に一覧表として示す。
【0026】
図4において、記号Bは、フレーム分割情報を示し、これが1の場合は分割されたセグメントの最初のセグメントを、0の場合は以降のセグメントを表す。
【0027】
記号CDは、フレーム内に含まれている情報が、制御情報であるか、データであるかを示す識別子であり、これが、00、01の場合は制御情報であり、11の場合はデータであることを示している。なお、識別子CDは、フレーム分割情報Bが1の場合にのみ有効である。
【0028】
記号MDは、データ部のシェアリング状態を示し、これが0である場合は単一ユーザのデータであり、1の場合は複数ユーザのデータであることを示している。
【0029】
記号Fは、ペイロード長の識別子であり、これが0である場合はMACペイロード長はL(バイト)に等しく、1の場合はMACペイロード長はデータ部の長さ(PHYペイロード長)に等しいことを示している。
【0030】
記号Nは、シーケンス番号を表し、上位レイヤデータごとにインクリメントされる。
【0031】
記号IXはインデックス番号を表し、上位レイヤデータの送信開始からの送信バイト数を示している。
【0032】
記号Lは、データ部の長さを示し、MDが0の場合はMACペイロードに格納されたデータ長を、MDが1の場合は、MACペイロードに格納されたデータの長さの総数を示している。
【0033】
記号DATAは、MACペイロードに格納された上位レイヤデータを示している。
【0034】
<データの補完を行わない場合>
次に、上述したデータの分割を踏まえ、通信端末から基地局への上りのデータ通信における通信シーケンスの一例を図5を用いて説明する。
【0035】
図5に示す例では、1500バイトのユーザデータを基地局に送信する場合を示しており、初送時には1500バイトのユーザデータを500バイト単位に分けて3つの分割MACフレームで送信し、再送時には1500バイトのユーザデータを200バイト、500バイト、500バイトおよび300バイトに分けて4つの分割MACフレームで送信する場合を示している。
【0036】
図5の(a)部には、最初の受信シーケンスによる受信結果を模式的に示し、図5の(b)部には、再送の受信シーケンスによる受信結果を模式的に示し、図5の(c)部には、初送および再送の受信シーケンスを模式的に示している。
【0037】
図5の(c)部に示すように、通信端末からシーケンス番号N=4のデータ(1500バイト)が、インデックス番号が、それぞれIX=1〜500,IX=501〜1000およびIX=1001〜1500となるように3つの分割MACフレームに分けて順次送信される。一方、基地局ではIX=501〜1000の分割MACフレームの受信に失敗したため、基地局はSREJ(Selective Reject)と呼ばれる再送要求メッセージを通信端末に送信し、シーケンス番号N=4のMACフレームの再送を要求する。なお、上記において、分割MACフレームの受信に失敗した状態とは、データが途切れるなど、1バイト分のデータでも完全には受信できなかった状態を表し、図5の(a)部、(b)部には「受信不可」と表記している。一方、1バイト分のデータも欠落することなく完全に受信できた場合は「受信可」と表記している。これは、以下の説明においても同じである。
【0038】
SREJによる再送要求では、シーケンス番号(N)単位での再送要求は可能だが、インデックス番号(IX)単位での再送はできない。通信端末は、SREJ(N=4)を受信するとシーケンス番号N=4のMACフレームを再送するが、再送時の電波状態に合わせて変調方式を変え、それに合わせて適切なサイズにMACフレームを分割して再送する。
【0039】
ここで、図6には、基地局で受信に失敗したため、再送要求を受けた通信端末が、新たなサイズにMACフレームを分割して再送する場合のフレーム構成の一例を示す。
【0040】
図6の(a)部には、初送の際のMACフレームを示しており、ここではLバイトのデータを分割せずに送信した例を示している。
【0041】
図6の(b)部および(c)部には、再送時の分割MACフレームを示しており、ここではMACフレーム1およびMACフレーム2の2つの分割MACフレームにデータを分割して送信する例を示している。
【0042】
すなわち、図6の(b)部に示すMACフレーム1で送信されるデータ量はL0バイトであり、図6の(c)部に示すMACフレーム2で送信されるデータ量はL’バイトであり、L’はL−L0により定義される。
【0043】
ここで、図5の説明に戻り、図5の(c)部に示す例では、通信端末は、4つの分割MACフレームに分割して再送しているが、基地局では、IX=1〜200およびIX=1201〜1500の分割MACフレームの受信に失敗したため、再度SREJ(N=4)を送信する。
【0044】
このような場合、受信側で以前に受信したデータに基づいて補完を行っていないと、MACフレームの全てのデータが受信できない限り、受信は失敗となってしまう。再送回数が増加すると、無線リソースの利用効率は低下する。
【0045】
<データの補完を行う場合>
次に、通信端末から基地局への上りのデータ通信において、データの補完を行う場合の通信シーケンスの一例を図7を用いて説明する。
【0046】
図7に示す例は、図5に示した例と同様に、1500バイトのユーザデータを基地局に送信する場合を示しており、初送時には1500バイトのユーザデータを500バイト単位に分けて3つの分割MACフレームで送信し、再送時には1500バイトのユーザデータを200バイト、500バイト、500バイトおよび300バイトに分けて4つの分割MACフレームで送信する場合を示している。そして、図7の(a)部には、最初の受信シーケンスによる受信結果を模式的に示し、図7の(b)部には、再送の受信シーケンスによる受信結果を模式的に示し、図7の(c)部には、補完により全てのデータを受信した結果を模式的に示し、図7の(d)部には、初送および再送の受信シーケンスを模式的に示している。
【0047】
図7の(d)部に示すように、通信端末からシーケンス番号N=4のデータ(1500バイト)が、インデックス番号が、それぞれIX=1〜500,IX=501〜1000およびIX=1001〜1500となるように3つの分割MACフレームに分けて順次送信されるが、基地局ではIX=501〜1000の分割MACフレームの受信に失敗したため、基地局はSREJ(Selective Reject)と呼ばれる再送要求メッセージを通信端末に送信し、シーケンス番号N=4のMACフレームの再送を要求する。
【0048】
SREJによる再送要求では、シーケンス番号(N)単位での再送要求は可能だが、インデックス番号(IX)単位での再送はできない。通信端末は、SREJ(N=4)を受信するとシーケンス番号N=4のMACフレームを再送するが、再送時の電波状態に合わせて変調方式を変え、それに合わせて適切なサイズにMACフレームを分割して再送する。
【0049】
図7の(d)部に示す例では、通信端末は、4つの分割MACフレームに分割して再送しているが、基地局では、IX=701〜1200の分割MACフレームを受信した後、次のシーケンス番号N=5のMACフレームを受ける準備ができたことを報告するRR(Receive Ready)と呼ばれるメッセージを通信端末に送信する。
【0050】
ここで、初送時に受信できなかったIX=501〜1000の分割MACフレームは、再送されたIX=201〜700およびIX=701〜1200の分割MACフレームを受信できたため、それらのデータにより補完することにより、IX=501〜1000の分割MACフレームのデータを得ることができ、初送時に受信できたIX=1〜500およびIX=1001〜1500のデータと合わせることで、図7の(c)部に示すように、MACフレームの全データの受信ができたこととなる。
【0051】
従って、IX=1201〜1500の分割MACフレームの受信が失敗であっても、さらに再送要求をする必要はなく、再送回数が低減され、無線リソースの利用効率が向上する。
【0052】
ここで問題となるのは、補完を行うためには、バイト単位で受信状態を管理する必要があるが、従来は、1バイト分のデータの受信状態の良否を1ビットで表すため、上記の例では1500バイトのMACフレームに対して1500ビットの受信状態管理のためのメモリを確保しておく必要がある。このように、従来の方法では、補完のための管理情報に費やすメモリが大きくなるという問題があった。
【0053】
<受信状態の管理方法>
以下、基地局における受信状態の管理方法について、図8〜図13を用いて説明する。
【0054】
図8は、図7を用いて説明したデータの補完を行う場合の通信シーケンスに基づいた受信状態の管理方法を模式的に説明する図であり、図9〜図13は、そのフローチャートである。なお、以下のフローチャートで説明される動作は、図2に示した基地局BSの制御部1によって制御され、受信データ等はバッファ用メモリ4に保持されるものとする。
【0055】
図9は、基地局における受信状態の管理方法の全体的な流れを示すフローチャートである。図9において、MACフレーム受信が開始されると、ステップS1の受信処理に入る。
【0056】
ここで、図10は、受信処理を示すフローチャートであり、ステップS11において、分割MACフレームの受信を待ち、分割MACフレームを受信した場合は、ステップS12においてヘッダ情報を取得し、取得したヘッダ情報から、受信データがMACフレーム内のどの位置に存在するかを割り出す。
【0057】
その後、ステップS13において、取得した分割MACフレームが初送のMACフレームであるか否かを確認し、初送のMACフレームである場合は、当該MACフレームの受信状態をブロック単位で管理するためのブロック(受信管理ブロック)の分割数を決定する(ステップS14)。なお、初送のMACフレームでない場合は、既にブロック分割は終了しているのでステップS15に進む。
【0058】
次に、ステップS15において、ブロックに分割したMACフレームについて補完処理を行う。このように、受信管理ブロック単位で受信状態の管理を行うことをブロック管理と呼称する。
【0059】
その後、ステップS16において、全ての受信管理ブロックについて、受信状態が11b、すなわち受信管理ブロック内の全バイトについデータを完全に受信できたか否かを確認し、イエスの場合は受信処理を終了する。一方、ステップS16において、受信状態が11bでないブロックが1つでも存在する場合は、ステップS17において、送信側の通信端末に再送要求(SREJ送信)を行う。再送要求により再送されてきた分割MACフレームに対してはステップS11以下の処理を行い、ステップS15の補完処理で補完データとして使用する。
【0060】
ここで、図9の説明に戻り、受信処理を終了した後は、送信側の通信端末に受信完了メッセージを送信し(ステップS2)、MACフレーム受信を終了する。
【0061】
次に、図11〜図13に示すフローチャートを用いて、補完処理について説明する。図11は、補完処理の流れを示すフローチャートであり、補完処理を開始すると、ステップS21において、受信したデータの区間にあたる受信管理ブロックを先頭から読み出す。
【0062】
そして、ステップS22において受信管理ブロック単位で受信状態を判定し、読み出した受信管理ブロックの受信状態が、データの全てが未受信(00b)の場合は、ステップS25に進んで「未受信区間の受信動作」処理を行い、受信状態が00bでない場合はステップS23に進む。
【0063】
ステップS23では、読み出した受信管理ブロックの受信状態が、一部のデータが受信できた部分受信(01b)であるか否かを判定し、部分受信の場合は、ステップS26に進んで「部分受信区間の受信動作」処理を行い、01bでない場合はステップS24に進む。なお、ステップS25およびS26の処理が終了するとステップS24に進む。
【0064】
ステップS24では、受信データと重複する全ての受信管理ブロックを読み出したか否かを確認し、全ての受信管理ブロックを読み出した場合には補完処理を終了し、受信管理ブロックを全ては読み出していない場合には、残りの受信管理ブロックに対してステップS21以下の動作を実行する。
【0065】
図12は、「未受信区間の受信動作」を説明するフローチャートである。この場合では、受信管理ブロックの該当区間においてはデータが存在しないが、図10のステップS17の再送要求により再送信を受け、新たに該当区間のデータを受信した状態となっている。
【0066】
従って、未受信区間の受信動作を開始すると、ステップS31において、受信した分割MACフレームのデータを受信バッファに上書きする。
【0067】
次に、受信した分割MACフレームについて、未受信区間に該当する受信管理ブロックにおいて、全ての受信データが存在するか否かを判定し(ステップS32)、受信データが全て存在する場合には、当該受信管理ブロックの受信状態を11bに変更する(ステップS33)。一方、受信データが全て揃っていないブロックが存在する場合には、当該受信管理ブロックについては受信状態を01b(部分受信)に変更する(ステップS34)。そして、部分受信と判定されたブロックについては、バイト単位で受信状態を管理する管理情報を作成し(ステップS35)、未受信区間の受信動作を終了する。
【0068】
図13は、「部分受信区間の受信動作」を説明するフローチャートである。この場合では、受信管理ブロックの該当区間においては、既に一部のデータを受信した状態であるが、図10のステップS17の再送要求により再送信を受け、新たに該当区間のデータを受信した状態となっている。
【0069】
従って、部分受信区間の受信動作を開始すると、ステップS41において、部分受信区間に該当する受信管理ブロックに対してバイト単位での受信状態を判定し、未受信(0b)となっているバイト位置を割り出し、バイト単位の受信状態の管理情報を更新する。そして、ステップS42において、未受信となっているバイトに対応する位置に、再送信された受信データを設定する。なお、受信済みとなっているバイト単位の受信状態の管理情報を1bとする。
【0070】
次に、ステップS43において、部分受信区間に該当する受信管理ブロックにおいて、全ての受信データが存在するか否かを判定し、受信データが全て存在する場合には、当該受信管理ブロックの受信状態を11bに変更する(ステップS44)。
【0071】
その後、作成していたバイト単位の受信状態の管理情報を削除し(ステップS45)、部分受信区間の受信動作を終了する。
【0072】
なお、ステップS43において、受信データが全て揃っていない場合には、バイト単位での受信状態の管理情報を更新し(ステップS46)、部分受信区間の受信動作を終了する。
【0073】
次に、図9〜図13に示したフローチャートに基づく受信状態の管理方法を、図8を用いて視覚的に説明する。
【0074】
図8に示す例は、図7に示した例と同様に、1500バイトのユーザデータを基地局に送信する場合を示しており、初送時には1500バイトのユーザデータを500バイト単位に分けて3つの分割MACフレームで送信し、再送時には1500バイトのユーザデータを200バイト、500バイト、500バイトおよび300バイトに分けて4つの分割MACフレームで送信する場合を示している。
【0075】
そして、図8の(a)部には、最初の受信シーケンスにおける分割MACフレームと、受信した分割MACフレームを複数の受信管理ブロックに分けた場合の構成と、各ブロックの受信状態とを模式的に示している。
【0076】
図8の(a)部に示す分割MACフレームは、MACヘッダの情報から、B=1であるので複数の分割MACフレームの先頭のMACフレームであり、シーケンス番号N=4のデータであり、L=1500より全体で1500バイトのデータを送信することが判る。また、予め決められた物理(PHY)ペイロードサイズより、1つの分割MACフレームには500バイトのデータを含めることができることが判る。以上の動作は図10のステップS12の動作に該当する。
【0077】
また、図8の(a)部に示す分割MACフレームが、初送のMACフレームであることがシーケンス番号に基づいて確認されると、受信状態を管理する受信管理ブロックのサイズを決定し、分割数を決定する。この動作は図10のステップS13およびS14の動作に該当する。図8の例では、受信管理ブロックの1ブロックのサイズを150バイトとし、1500バイトのデータを10ブロックに分割するものとしている。なお、受信管理ブロックの1ブロックのサイズは少なくとも2バイト以上あれば良い。
【0078】
この10ブロックの受信管理ブロックを先頭から読み出して受信状態を判定し、読み出した受信管理ブロックの150バイト全て受信できていれば11b、全く受信できていなければ00b、一部のみ受信できていれば01bとする。この動作は、図11のステップS21〜S24の動作に該当する。この判定結果は、管理情報として記憶する。
【0079】
図8の(a)部の初送時の先頭のMACフレーム受信時では、受信管理ブロック1〜3(1〜450バイト)は全て受信済み(11b)であるが、受信管理ブロック4(451〜600バイト)は部分受信ブロック(01b)となっている。これは、受信管理ブロックを150バイト単位で構成したのに対し、先頭のMACフレームでは、1〜500バイトのデータしか送信されないため、受信管理ブロック4は部分的にしかデータが存在しないからである。
【0080】
部分受信ブロックが存在する場合は、図13で説明したステップS41において、バイト単位での受信状態を判定し、未受信(0b)となっているバイト位置を割り出す。図8の(a)部の例では、受信管理ブロック4の1〜50バイトが受信済み(1b)であり、51〜150バイトが未受信(0b)となっている。
【0081】
図8の(b)部に示すIX=1001〜1500のデータの受信時についても同様の処理を行い、10ブロックの受信管理ブロックを先頭から読み出して受信状態を判定する。
【0082】
図8の(b)部の初送時の3番目のMACフレーム受信時(2番目のMACフレームは受信できていない)では、受信管理ブロック8〜10(1051〜1500バイト)は全て受信済み(11b)であるが、受信管理ブロック7(901〜1050バイト)は部分受信ブロック(01b)となっている。これは、受信管理ブロックを150バイト単位で構成したのに対し、3番目のMACフレームでは、1001〜1500バイトのデータしか送信されないため、受信管理ブロック7には部分的にしかデータが存在しないからである。
【0083】
部分受信ブロックが存在する場合は、図13で説明したステップS41において、バイト単位での受信状態を判定し、未受信(0b)となっているバイト位置を割り出す。図8の(b)部の例では、受信管理ブロック7の101〜150バイトが受信済み(1b)であり、1〜100バイトが未受信(0b)となっている。
【0084】
上述したように、初送時の先頭のMACフレームと3番目のMACフレームだけでは、全ての受信管理ブロックの受信状態は11bとはならない。そこで、図10のステップS16の判定動作の結果、ステップS17において、送信側の通信端末にSREJを送信して再送要求を行い、再送されたMACフレームに対して部分受信区間の受信動作(図11のステップS26)を行うこととなる。
【0085】
図8の(c)部および(d)部には、再送されたMACフレームの受信状態を示している。
【0086】
図8の(c)部に示す分割MACフレームは、再送時の2番目(先頭のMACフレームは受信できていない)のMACフレームであり、IX=201〜700のデータを含んでいる。このため、受信管理ブロック4(451〜600バイト)の未受信(0b)とされた51〜150バイトには再送により新たに受信した受信データを設定する。その結果、受信管理ブロック4は部分受信(01b)から全て受信済み(11b)となる。この動作は、図13で説明したステップS42〜ステップS44の動作に該当する。この後、受信管理ブロック4についてのバイト単位での受信状態の管理情報を削除する。この動作は、図13で説明したステップS45の動作に該当する。
【0087】
一方、受信管理ブロック5(601〜750バイト)は、再送時の2番目のMACフレームが201〜700バイトのデータしか含んでいないため、図11のステップS23での判定により部分受信(01b)となる。
【0088】
部分受信ブロックが存在する場合は、図13で説明したステップS41において、バイト単位での受信状態を判定し、未受信(0b)となっているバイト位置を割り出す。図8の(c)部の例では、受信管理ブロック5の1〜100バイトが受信済み(1b)であり、101〜150バイトが未受信(0b)となっている。
【0089】
図8の(d)部に示す分割MACフレームは、再送時の3番目のMACフレームであり、IX=701〜1200のデータを含んでいる。このため、受信管理ブロック5(601〜750バイト)の未受信(0b)とされた101〜150バイトおよび受信管理ブロック7(901〜1050バイト)の未受信(0b)とされた1〜101バイトには新たに受信した受信データを設定する。その結果、受信管理ブロック5および7は部分受信(01b)から全て受信済み(11b)となる。この動作は、図13で説明したステップS42〜ステップS44の動作に該当する。この後、受信管理ブロック5および7についてのバイト単位での受信状態の管理情報を削除する。この動作は、図13で説明したステップS45の動作に該当する。
【0090】
以上の補完処理を経ることで、図10のフローチャートにおけるステップS16の判定動作の結果が、全ての受信管理ブロックについて、受信状態が11bとなるため受信処理が終了する。
【0091】
図8の例においては、受信管理ブロックが10個であるので、ブロック単位での受信状態の管理(ブロック管理)のために10×2(ビット)のメモリが必要となり、また、受信管理ブロックのバイト単位での受信状態の管理のため、最大2ブロック分、すなわち2×150=300(ビット)のメモリが必要となり、合計で320ビットのメモリが必要となる。なお、この値は、部分受信の受信管理ブロック数に比例して増えることになる。
【0092】
一方、受信管理ブロックという構成を採用していない従来の管理方法によれば、全データについてバイト単位での受信状態の管理を行うので、1500ビットのメモリが必要となり、それに比べて1180ビットのメモリを削減できる。
【0093】
このメモリの削減量、1つのシーケンス番号を持つMACフレームに対する削減量であり、1台の通信端末から複数のMACフレームを受信し、さらに1台の基地局は複数の通信端末と通信するため、1台の基地局として見た場合、大きな削減量となる。
【0094】
<バイト単位での受信状態の管理との切り替え>
以上説明した基地局における受信状態の管理方法においては、部分受信の受信管理ブロックではバイト単位での受信状態に管理を行う必要があるため、全受信管理ブロックのうち部分受信のブロックの占める割合が高い場合は、バイト単位での受信状態の管理を行う方が必要となるメモリのサイズが小さくなる場合がある。これはブロック単位での受信状態の管理を行うためのメモリが必要となるためである。
【0095】
具体的には、部分受信ブロック数が下記の数式(1)で示す値(これを「最大部分受信ブロック数」と呼称)を超える場合、バイト単位での受信状態の管理を行う方が必要となるメモリサイズを小さくできる。
【0096】
【数1】
【0097】
なお、floor(x)は床関数を表し、演算結果から小数点以下切り捨てて最も近い整数をとする関数であり、受信管理ブロック数×2は受信管理ブロック単位での受信状態の管理を行う場合の受信状態の総数を表す。
【0098】
図14には、MACフレームのサイズが32767バイトの場合において、受信管理ブロック数、1個の受信管理ブロックのサイズ、受信状態の総数(受信管理ブロック×2)、および数式(1)より求めた最大部分受信ブロック数の関係を示す。
【0099】
そこで、データ受信時において、部分受信ブロック数をカウントする処理を設け、部分受信ブロック数が最大部分受信ブロック数を超える場合は、バイト単位での受信状態の管理に切り替える構成を採用しても良い。
【0100】
より現実的な観点からは、受信管理ブロックの総数に対する部分受信ブロックの割合が9割を越えるような場合にはバイト単位での受信状態の管理に切り替えることで、必要となるメモリサイズの増加を防止できる。
【符号の説明】
【0101】
1 制御部
4 バッファ用メモリ
MS 通信端末
BS 基地局
AGW アクセスゲートウェイ
NW 公衆網
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信における基地局に関し、特に、受信データの受信状態を管理する基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や、無線LANなどの無線通信手段を有する携帯端末を用いたデータのダウンロードや、アップロードにおいて、無線通信が断続的になる環境下では、ダウンロードデータや、アップロードデータの受送信が途切れ、データが欠落することがある。
【0003】
このような場合、欠落した部分を補完して元のデータに戻す補完処理が従来から行われているが、このような補完処理としては、例えば特許文献1に開示の方法が挙げられる。
【0004】
特許文献1の図1には、送信側が受信側へファイルを無線で送信する場合に、送信側は当該ファイルを所定のサイズで複数に分割し、分割された各ファイルに順番を付し、連続的に受信側に送信する。受信側では、受信した部分ファイルの順番を調べ、当該順番に抜けがある場合に、抜けた部分ファイルの送信要求を送信側へ送り、再送された部分ファイルを加えることで元のファイルを作成するファイルの送受信方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−258755公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示のファイルの送受信方法においては、送信側が送信する部分ファイルは常に固定長であるが、実際には無線の変調方式の変動により、部分ファイルが正しく受信できない場合がある。例えば、初送時に送信側でファイルを大きなサイズに分割して送信したが、再送時には電波状態が劣化していた場合、電波状態に対応させて変調方式を変えることがあり、その場合は、予め定めた固定長の部分ファイルで再送すると、当該部分ファイルの受信に再び失敗する可能性がある。
【0007】
一般に、送信側は無線の電波状態に合わせて変調方式を変え、変調方式に適したデータサイズで送信するが、受信側では送信側のデータサイズによらずMAC(Media Access Control)フレーム全体に対してバイト(byte)単位での受信状態を管理しているので、管理情報に費やすデータが大きくなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、受信データの管理における管理情報を低減した基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る基地局は、通信端末と無線チャネルを介して接続される基地局であって、前記通信端末は、一連のデータを分割して、分割データとして複数に分けて送信し、前記基地局は、受信した前記分割データを保存する受信バッファと、受信した前記分割データのそれぞれについて複数の受信管理ブロックに分割し、前記受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行い、前記分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、前記通信端末から再送される再送分割データを用いて、前記受信管理ブロック単位で補完処理を行う制御部とを備えている。
【0010】
本発明に係る受信状態の管理方法は、通信端末と無線チャネルを介して接続される基地局における受信状態の管理方法であって、前記通信端末が、一連のデータを分割して、分割データとして複数に分けて送信するのを受け、受信した前記分割データのそれぞれについて複数の受信管理ブロックに分割し、前記受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行い、前記分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、前記通信端末から再送される再送分割データを用いて、前記受信管理ブロック単位で補完処理を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受信データの管理における管理情報を低減した基地局を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態の基地局が組み込まれる通信システムの一例を示す図である。
【図2】基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】データを複数の分割MACフレームに分割して送信する場合のフレーム構成を示す図である。
【図4】MACヘッダの情報エレメントを説明する図である。
【図5】通信端末から基地局への上りのデータ通信における通信シーケンスの一例を補完を行わない場合について示す図である。
【図6】MACフレームを分割して再送する場合のフレーム構成の一例を示す図である。
【図7】通信端末から基地局への上りのデータ通信における通信シーケンスの一例を補完を行う場合について示す図である。
【図8】データの補完を行う場合の通信シーケンスに基づいた受信状態の管理方法を模式的に説明する図である。
【図9】基地局における受信状態の管理方法の全体的な流れを示すフローチャートである。
【図10】受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】補完処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】未受信区間の受信動作を説明するフローチャートである。
【図13】部分受信区間の受信動作を説明するフローチャートである。
【図14】受信管理ブロック数に対する最大部分受信ブロック数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
<通信システムの構成>
図1は、本実施の形態の基地局が組み込まれる通信システムの一例を示す図である。図1に示す通信システムは、通信端末MS、基地局BS、アクセスゲートウェイAGW、公衆網NWおよび接続先端末CSを有している。基地局BSと公衆網NW、基地局BSは、アクセスゲートウェイAGWを介して光ファイバ等の通信線により有線接続され、基地局BSと通信端末MSとは無線接続されている。
【0014】
なお、公衆網NWは、インターネットなどの広域通信網であり、アクセスゲートウェイAGWは当該広域通信網のゲートウェイ装置である。
【0015】
<基地局の構成>
図2は、基地局BSの構成を示すブロック図であるが、図2においては、発明に係る構成についてのみ示しており、他の構成は省略している。
【0016】
図2に示すように、基地局BSは、送受信アンテナATが接続された無線通信部2と、無線通信部2に接続されたCPU(Central Processing Unit)等で構成される制御部1と、制御部1に接続され、通信線CLを介してアクセスゲートウェイAGWとの間でデータの送受信を行うデータ送受信部3とを備えている。なお、データ送受信部3としては、通信線CLが光ファイバである場合は、ONU(Optical Network Unit)がこれに該当する。
【0017】
基地局BSにおいて、送受信アンテナATで受信した受信信号は無線通信部2の受信部(図示せず)に入力され、増幅処理やダウンコンバートを行って、ベースバンド信号に変換して出力する。なお、送受信アンテナATで受信される信号は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式などで変調されている。
【0018】
また、無線通信部2は、制御部1からの指示に従い、BPSK変調方式やQPSK変調方式などで変調された無線信号を送出する。
【0019】
制御部1は、無線通信部2に接続された無線制御部11、無線制御部11およびデータ送受信部3に接続された呼制御部12を有し、無線制御部11にはバッファ用メモリ4が接続されている。
【0020】
データ送受信部3は、呼制御部12からのメッセージ送信指示を受け、アクセスゲートウェイAGWに対してメッセージを送信し、また、アクセスゲートウェイAGWから受信したメッセージを呼制御部12に通知する。
【0021】
無線制御部11は、無線通信部2から出力される無線信号を受け、メッセージやデータを解析し、その解析結果を呼制御部12に通知する。なお、当該メッセージには通信の接続要求や接続切断要求が含まれる。また、呼制御部12が、通信の接続要求や接続切断要求に対するアクセスゲートウェイAGWからの回答結果等を受け取り、通信端末MSに対して通知するためのメッセージを作成し、無線通信部2に与える。また、通信端末MSから受信したMACフレームはバッファ用メモリ4に保持される。また同時に、受信状態の管理として、MACフレームの受信管理ブロック単位での受信状態やバイト単位での受信状態がバッファ用メモリ4内に格納される。
【0022】
<動作>
<データの分割送信>
通信端末から送信されるデータはMACフレームに含まれて送信されるが、電波状態に合わせて複数の分割MACフレームに分割して送信することが一般的である。
【0023】
図3には、データを複数の分割MACフレームに分割して送信する場合のフレーム構成を示す。
【0024】
図3においては、長さLバイトの上位レイヤからのデータをn個のセグメントに分割して送信する場合を示しており、MACフレーム1〜MACフレームnに分割されたデータが割り当てられている。
【0025】
図3におけるMACヘッダの情報エレメントの記号、情報長および定義を図4に一覧表として示す。
【0026】
図4において、記号Bは、フレーム分割情報を示し、これが1の場合は分割されたセグメントの最初のセグメントを、0の場合は以降のセグメントを表す。
【0027】
記号CDは、フレーム内に含まれている情報が、制御情報であるか、データであるかを示す識別子であり、これが、00、01の場合は制御情報であり、11の場合はデータであることを示している。なお、識別子CDは、フレーム分割情報Bが1の場合にのみ有効である。
【0028】
記号MDは、データ部のシェアリング状態を示し、これが0である場合は単一ユーザのデータであり、1の場合は複数ユーザのデータであることを示している。
【0029】
記号Fは、ペイロード長の識別子であり、これが0である場合はMACペイロード長はL(バイト)に等しく、1の場合はMACペイロード長はデータ部の長さ(PHYペイロード長)に等しいことを示している。
【0030】
記号Nは、シーケンス番号を表し、上位レイヤデータごとにインクリメントされる。
【0031】
記号IXはインデックス番号を表し、上位レイヤデータの送信開始からの送信バイト数を示している。
【0032】
記号Lは、データ部の長さを示し、MDが0の場合はMACペイロードに格納されたデータ長を、MDが1の場合は、MACペイロードに格納されたデータの長さの総数を示している。
【0033】
記号DATAは、MACペイロードに格納された上位レイヤデータを示している。
【0034】
<データの補完を行わない場合>
次に、上述したデータの分割を踏まえ、通信端末から基地局への上りのデータ通信における通信シーケンスの一例を図5を用いて説明する。
【0035】
図5に示す例では、1500バイトのユーザデータを基地局に送信する場合を示しており、初送時には1500バイトのユーザデータを500バイト単位に分けて3つの分割MACフレームで送信し、再送時には1500バイトのユーザデータを200バイト、500バイト、500バイトおよび300バイトに分けて4つの分割MACフレームで送信する場合を示している。
【0036】
図5の(a)部には、最初の受信シーケンスによる受信結果を模式的に示し、図5の(b)部には、再送の受信シーケンスによる受信結果を模式的に示し、図5の(c)部には、初送および再送の受信シーケンスを模式的に示している。
【0037】
図5の(c)部に示すように、通信端末からシーケンス番号N=4のデータ(1500バイト)が、インデックス番号が、それぞれIX=1〜500,IX=501〜1000およびIX=1001〜1500となるように3つの分割MACフレームに分けて順次送信される。一方、基地局ではIX=501〜1000の分割MACフレームの受信に失敗したため、基地局はSREJ(Selective Reject)と呼ばれる再送要求メッセージを通信端末に送信し、シーケンス番号N=4のMACフレームの再送を要求する。なお、上記において、分割MACフレームの受信に失敗した状態とは、データが途切れるなど、1バイト分のデータでも完全には受信できなかった状態を表し、図5の(a)部、(b)部には「受信不可」と表記している。一方、1バイト分のデータも欠落することなく完全に受信できた場合は「受信可」と表記している。これは、以下の説明においても同じである。
【0038】
SREJによる再送要求では、シーケンス番号(N)単位での再送要求は可能だが、インデックス番号(IX)単位での再送はできない。通信端末は、SREJ(N=4)を受信するとシーケンス番号N=4のMACフレームを再送するが、再送時の電波状態に合わせて変調方式を変え、それに合わせて適切なサイズにMACフレームを分割して再送する。
【0039】
ここで、図6には、基地局で受信に失敗したため、再送要求を受けた通信端末が、新たなサイズにMACフレームを分割して再送する場合のフレーム構成の一例を示す。
【0040】
図6の(a)部には、初送の際のMACフレームを示しており、ここではLバイトのデータを分割せずに送信した例を示している。
【0041】
図6の(b)部および(c)部には、再送時の分割MACフレームを示しており、ここではMACフレーム1およびMACフレーム2の2つの分割MACフレームにデータを分割して送信する例を示している。
【0042】
すなわち、図6の(b)部に示すMACフレーム1で送信されるデータ量はL0バイトであり、図6の(c)部に示すMACフレーム2で送信されるデータ量はL’バイトであり、L’はL−L0により定義される。
【0043】
ここで、図5の説明に戻り、図5の(c)部に示す例では、通信端末は、4つの分割MACフレームに分割して再送しているが、基地局では、IX=1〜200およびIX=1201〜1500の分割MACフレームの受信に失敗したため、再度SREJ(N=4)を送信する。
【0044】
このような場合、受信側で以前に受信したデータに基づいて補完を行っていないと、MACフレームの全てのデータが受信できない限り、受信は失敗となってしまう。再送回数が増加すると、無線リソースの利用効率は低下する。
【0045】
<データの補完を行う場合>
次に、通信端末から基地局への上りのデータ通信において、データの補完を行う場合の通信シーケンスの一例を図7を用いて説明する。
【0046】
図7に示す例は、図5に示した例と同様に、1500バイトのユーザデータを基地局に送信する場合を示しており、初送時には1500バイトのユーザデータを500バイト単位に分けて3つの分割MACフレームで送信し、再送時には1500バイトのユーザデータを200バイト、500バイト、500バイトおよび300バイトに分けて4つの分割MACフレームで送信する場合を示している。そして、図7の(a)部には、最初の受信シーケンスによる受信結果を模式的に示し、図7の(b)部には、再送の受信シーケンスによる受信結果を模式的に示し、図7の(c)部には、補完により全てのデータを受信した結果を模式的に示し、図7の(d)部には、初送および再送の受信シーケンスを模式的に示している。
【0047】
図7の(d)部に示すように、通信端末からシーケンス番号N=4のデータ(1500バイト)が、インデックス番号が、それぞれIX=1〜500,IX=501〜1000およびIX=1001〜1500となるように3つの分割MACフレームに分けて順次送信されるが、基地局ではIX=501〜1000の分割MACフレームの受信に失敗したため、基地局はSREJ(Selective Reject)と呼ばれる再送要求メッセージを通信端末に送信し、シーケンス番号N=4のMACフレームの再送を要求する。
【0048】
SREJによる再送要求では、シーケンス番号(N)単位での再送要求は可能だが、インデックス番号(IX)単位での再送はできない。通信端末は、SREJ(N=4)を受信するとシーケンス番号N=4のMACフレームを再送するが、再送時の電波状態に合わせて変調方式を変え、それに合わせて適切なサイズにMACフレームを分割して再送する。
【0049】
図7の(d)部に示す例では、通信端末は、4つの分割MACフレームに分割して再送しているが、基地局では、IX=701〜1200の分割MACフレームを受信した後、次のシーケンス番号N=5のMACフレームを受ける準備ができたことを報告するRR(Receive Ready)と呼ばれるメッセージを通信端末に送信する。
【0050】
ここで、初送時に受信できなかったIX=501〜1000の分割MACフレームは、再送されたIX=201〜700およびIX=701〜1200の分割MACフレームを受信できたため、それらのデータにより補完することにより、IX=501〜1000の分割MACフレームのデータを得ることができ、初送時に受信できたIX=1〜500およびIX=1001〜1500のデータと合わせることで、図7の(c)部に示すように、MACフレームの全データの受信ができたこととなる。
【0051】
従って、IX=1201〜1500の分割MACフレームの受信が失敗であっても、さらに再送要求をする必要はなく、再送回数が低減され、無線リソースの利用効率が向上する。
【0052】
ここで問題となるのは、補完を行うためには、バイト単位で受信状態を管理する必要があるが、従来は、1バイト分のデータの受信状態の良否を1ビットで表すため、上記の例では1500バイトのMACフレームに対して1500ビットの受信状態管理のためのメモリを確保しておく必要がある。このように、従来の方法では、補完のための管理情報に費やすメモリが大きくなるという問題があった。
【0053】
<受信状態の管理方法>
以下、基地局における受信状態の管理方法について、図8〜図13を用いて説明する。
【0054】
図8は、図7を用いて説明したデータの補完を行う場合の通信シーケンスに基づいた受信状態の管理方法を模式的に説明する図であり、図9〜図13は、そのフローチャートである。なお、以下のフローチャートで説明される動作は、図2に示した基地局BSの制御部1によって制御され、受信データ等はバッファ用メモリ4に保持されるものとする。
【0055】
図9は、基地局における受信状態の管理方法の全体的な流れを示すフローチャートである。図9において、MACフレーム受信が開始されると、ステップS1の受信処理に入る。
【0056】
ここで、図10は、受信処理を示すフローチャートであり、ステップS11において、分割MACフレームの受信を待ち、分割MACフレームを受信した場合は、ステップS12においてヘッダ情報を取得し、取得したヘッダ情報から、受信データがMACフレーム内のどの位置に存在するかを割り出す。
【0057】
その後、ステップS13において、取得した分割MACフレームが初送のMACフレームであるか否かを確認し、初送のMACフレームである場合は、当該MACフレームの受信状態をブロック単位で管理するためのブロック(受信管理ブロック)の分割数を決定する(ステップS14)。なお、初送のMACフレームでない場合は、既にブロック分割は終了しているのでステップS15に進む。
【0058】
次に、ステップS15において、ブロックに分割したMACフレームについて補完処理を行う。このように、受信管理ブロック単位で受信状態の管理を行うことをブロック管理と呼称する。
【0059】
その後、ステップS16において、全ての受信管理ブロックについて、受信状態が11b、すなわち受信管理ブロック内の全バイトについデータを完全に受信できたか否かを確認し、イエスの場合は受信処理を終了する。一方、ステップS16において、受信状態が11bでないブロックが1つでも存在する場合は、ステップS17において、送信側の通信端末に再送要求(SREJ送信)を行う。再送要求により再送されてきた分割MACフレームに対してはステップS11以下の処理を行い、ステップS15の補完処理で補完データとして使用する。
【0060】
ここで、図9の説明に戻り、受信処理を終了した後は、送信側の通信端末に受信完了メッセージを送信し(ステップS2)、MACフレーム受信を終了する。
【0061】
次に、図11〜図13に示すフローチャートを用いて、補完処理について説明する。図11は、補完処理の流れを示すフローチャートであり、補完処理を開始すると、ステップS21において、受信したデータの区間にあたる受信管理ブロックを先頭から読み出す。
【0062】
そして、ステップS22において受信管理ブロック単位で受信状態を判定し、読み出した受信管理ブロックの受信状態が、データの全てが未受信(00b)の場合は、ステップS25に進んで「未受信区間の受信動作」処理を行い、受信状態が00bでない場合はステップS23に進む。
【0063】
ステップS23では、読み出した受信管理ブロックの受信状態が、一部のデータが受信できた部分受信(01b)であるか否かを判定し、部分受信の場合は、ステップS26に進んで「部分受信区間の受信動作」処理を行い、01bでない場合はステップS24に進む。なお、ステップS25およびS26の処理が終了するとステップS24に進む。
【0064】
ステップS24では、受信データと重複する全ての受信管理ブロックを読み出したか否かを確認し、全ての受信管理ブロックを読み出した場合には補完処理を終了し、受信管理ブロックを全ては読み出していない場合には、残りの受信管理ブロックに対してステップS21以下の動作を実行する。
【0065】
図12は、「未受信区間の受信動作」を説明するフローチャートである。この場合では、受信管理ブロックの該当区間においてはデータが存在しないが、図10のステップS17の再送要求により再送信を受け、新たに該当区間のデータを受信した状態となっている。
【0066】
従って、未受信区間の受信動作を開始すると、ステップS31において、受信した分割MACフレームのデータを受信バッファに上書きする。
【0067】
次に、受信した分割MACフレームについて、未受信区間に該当する受信管理ブロックにおいて、全ての受信データが存在するか否かを判定し(ステップS32)、受信データが全て存在する場合には、当該受信管理ブロックの受信状態を11bに変更する(ステップS33)。一方、受信データが全て揃っていないブロックが存在する場合には、当該受信管理ブロックについては受信状態を01b(部分受信)に変更する(ステップS34)。そして、部分受信と判定されたブロックについては、バイト単位で受信状態を管理する管理情報を作成し(ステップS35)、未受信区間の受信動作を終了する。
【0068】
図13は、「部分受信区間の受信動作」を説明するフローチャートである。この場合では、受信管理ブロックの該当区間においては、既に一部のデータを受信した状態であるが、図10のステップS17の再送要求により再送信を受け、新たに該当区間のデータを受信した状態となっている。
【0069】
従って、部分受信区間の受信動作を開始すると、ステップS41において、部分受信区間に該当する受信管理ブロックに対してバイト単位での受信状態を判定し、未受信(0b)となっているバイト位置を割り出し、バイト単位の受信状態の管理情報を更新する。そして、ステップS42において、未受信となっているバイトに対応する位置に、再送信された受信データを設定する。なお、受信済みとなっているバイト単位の受信状態の管理情報を1bとする。
【0070】
次に、ステップS43において、部分受信区間に該当する受信管理ブロックにおいて、全ての受信データが存在するか否かを判定し、受信データが全て存在する場合には、当該受信管理ブロックの受信状態を11bに変更する(ステップS44)。
【0071】
その後、作成していたバイト単位の受信状態の管理情報を削除し(ステップS45)、部分受信区間の受信動作を終了する。
【0072】
なお、ステップS43において、受信データが全て揃っていない場合には、バイト単位での受信状態の管理情報を更新し(ステップS46)、部分受信区間の受信動作を終了する。
【0073】
次に、図9〜図13に示したフローチャートに基づく受信状態の管理方法を、図8を用いて視覚的に説明する。
【0074】
図8に示す例は、図7に示した例と同様に、1500バイトのユーザデータを基地局に送信する場合を示しており、初送時には1500バイトのユーザデータを500バイト単位に分けて3つの分割MACフレームで送信し、再送時には1500バイトのユーザデータを200バイト、500バイト、500バイトおよび300バイトに分けて4つの分割MACフレームで送信する場合を示している。
【0075】
そして、図8の(a)部には、最初の受信シーケンスにおける分割MACフレームと、受信した分割MACフレームを複数の受信管理ブロックに分けた場合の構成と、各ブロックの受信状態とを模式的に示している。
【0076】
図8の(a)部に示す分割MACフレームは、MACヘッダの情報から、B=1であるので複数の分割MACフレームの先頭のMACフレームであり、シーケンス番号N=4のデータであり、L=1500より全体で1500バイトのデータを送信することが判る。また、予め決められた物理(PHY)ペイロードサイズより、1つの分割MACフレームには500バイトのデータを含めることができることが判る。以上の動作は図10のステップS12の動作に該当する。
【0077】
また、図8の(a)部に示す分割MACフレームが、初送のMACフレームであることがシーケンス番号に基づいて確認されると、受信状態を管理する受信管理ブロックのサイズを決定し、分割数を決定する。この動作は図10のステップS13およびS14の動作に該当する。図8の例では、受信管理ブロックの1ブロックのサイズを150バイトとし、1500バイトのデータを10ブロックに分割するものとしている。なお、受信管理ブロックの1ブロックのサイズは少なくとも2バイト以上あれば良い。
【0078】
この10ブロックの受信管理ブロックを先頭から読み出して受信状態を判定し、読み出した受信管理ブロックの150バイト全て受信できていれば11b、全く受信できていなければ00b、一部のみ受信できていれば01bとする。この動作は、図11のステップS21〜S24の動作に該当する。この判定結果は、管理情報として記憶する。
【0079】
図8の(a)部の初送時の先頭のMACフレーム受信時では、受信管理ブロック1〜3(1〜450バイト)は全て受信済み(11b)であるが、受信管理ブロック4(451〜600バイト)は部分受信ブロック(01b)となっている。これは、受信管理ブロックを150バイト単位で構成したのに対し、先頭のMACフレームでは、1〜500バイトのデータしか送信されないため、受信管理ブロック4は部分的にしかデータが存在しないからである。
【0080】
部分受信ブロックが存在する場合は、図13で説明したステップS41において、バイト単位での受信状態を判定し、未受信(0b)となっているバイト位置を割り出す。図8の(a)部の例では、受信管理ブロック4の1〜50バイトが受信済み(1b)であり、51〜150バイトが未受信(0b)となっている。
【0081】
図8の(b)部に示すIX=1001〜1500のデータの受信時についても同様の処理を行い、10ブロックの受信管理ブロックを先頭から読み出して受信状態を判定する。
【0082】
図8の(b)部の初送時の3番目のMACフレーム受信時(2番目のMACフレームは受信できていない)では、受信管理ブロック8〜10(1051〜1500バイト)は全て受信済み(11b)であるが、受信管理ブロック7(901〜1050バイト)は部分受信ブロック(01b)となっている。これは、受信管理ブロックを150バイト単位で構成したのに対し、3番目のMACフレームでは、1001〜1500バイトのデータしか送信されないため、受信管理ブロック7には部分的にしかデータが存在しないからである。
【0083】
部分受信ブロックが存在する場合は、図13で説明したステップS41において、バイト単位での受信状態を判定し、未受信(0b)となっているバイト位置を割り出す。図8の(b)部の例では、受信管理ブロック7の101〜150バイトが受信済み(1b)であり、1〜100バイトが未受信(0b)となっている。
【0084】
上述したように、初送時の先頭のMACフレームと3番目のMACフレームだけでは、全ての受信管理ブロックの受信状態は11bとはならない。そこで、図10のステップS16の判定動作の結果、ステップS17において、送信側の通信端末にSREJを送信して再送要求を行い、再送されたMACフレームに対して部分受信区間の受信動作(図11のステップS26)を行うこととなる。
【0085】
図8の(c)部および(d)部には、再送されたMACフレームの受信状態を示している。
【0086】
図8の(c)部に示す分割MACフレームは、再送時の2番目(先頭のMACフレームは受信できていない)のMACフレームであり、IX=201〜700のデータを含んでいる。このため、受信管理ブロック4(451〜600バイト)の未受信(0b)とされた51〜150バイトには再送により新たに受信した受信データを設定する。その結果、受信管理ブロック4は部分受信(01b)から全て受信済み(11b)となる。この動作は、図13で説明したステップS42〜ステップS44の動作に該当する。この後、受信管理ブロック4についてのバイト単位での受信状態の管理情報を削除する。この動作は、図13で説明したステップS45の動作に該当する。
【0087】
一方、受信管理ブロック5(601〜750バイト)は、再送時の2番目のMACフレームが201〜700バイトのデータしか含んでいないため、図11のステップS23での判定により部分受信(01b)となる。
【0088】
部分受信ブロックが存在する場合は、図13で説明したステップS41において、バイト単位での受信状態を判定し、未受信(0b)となっているバイト位置を割り出す。図8の(c)部の例では、受信管理ブロック5の1〜100バイトが受信済み(1b)であり、101〜150バイトが未受信(0b)となっている。
【0089】
図8の(d)部に示す分割MACフレームは、再送時の3番目のMACフレームであり、IX=701〜1200のデータを含んでいる。このため、受信管理ブロック5(601〜750バイト)の未受信(0b)とされた101〜150バイトおよび受信管理ブロック7(901〜1050バイト)の未受信(0b)とされた1〜101バイトには新たに受信した受信データを設定する。その結果、受信管理ブロック5および7は部分受信(01b)から全て受信済み(11b)となる。この動作は、図13で説明したステップS42〜ステップS44の動作に該当する。この後、受信管理ブロック5および7についてのバイト単位での受信状態の管理情報を削除する。この動作は、図13で説明したステップS45の動作に該当する。
【0090】
以上の補完処理を経ることで、図10のフローチャートにおけるステップS16の判定動作の結果が、全ての受信管理ブロックについて、受信状態が11bとなるため受信処理が終了する。
【0091】
図8の例においては、受信管理ブロックが10個であるので、ブロック単位での受信状態の管理(ブロック管理)のために10×2(ビット)のメモリが必要となり、また、受信管理ブロックのバイト単位での受信状態の管理のため、最大2ブロック分、すなわち2×150=300(ビット)のメモリが必要となり、合計で320ビットのメモリが必要となる。なお、この値は、部分受信の受信管理ブロック数に比例して増えることになる。
【0092】
一方、受信管理ブロックという構成を採用していない従来の管理方法によれば、全データについてバイト単位での受信状態の管理を行うので、1500ビットのメモリが必要となり、それに比べて1180ビットのメモリを削減できる。
【0093】
このメモリの削減量、1つのシーケンス番号を持つMACフレームに対する削減量であり、1台の通信端末から複数のMACフレームを受信し、さらに1台の基地局は複数の通信端末と通信するため、1台の基地局として見た場合、大きな削減量となる。
【0094】
<バイト単位での受信状態の管理との切り替え>
以上説明した基地局における受信状態の管理方法においては、部分受信の受信管理ブロックではバイト単位での受信状態に管理を行う必要があるため、全受信管理ブロックのうち部分受信のブロックの占める割合が高い場合は、バイト単位での受信状態の管理を行う方が必要となるメモリのサイズが小さくなる場合がある。これはブロック単位での受信状態の管理を行うためのメモリが必要となるためである。
【0095】
具体的には、部分受信ブロック数が下記の数式(1)で示す値(これを「最大部分受信ブロック数」と呼称)を超える場合、バイト単位での受信状態の管理を行う方が必要となるメモリサイズを小さくできる。
【0096】
【数1】
【0097】
なお、floor(x)は床関数を表し、演算結果から小数点以下切り捨てて最も近い整数をとする関数であり、受信管理ブロック数×2は受信管理ブロック単位での受信状態の管理を行う場合の受信状態の総数を表す。
【0098】
図14には、MACフレームのサイズが32767バイトの場合において、受信管理ブロック数、1個の受信管理ブロックのサイズ、受信状態の総数(受信管理ブロック×2)、および数式(1)より求めた最大部分受信ブロック数の関係を示す。
【0099】
そこで、データ受信時において、部分受信ブロック数をカウントする処理を設け、部分受信ブロック数が最大部分受信ブロック数を超える場合は、バイト単位での受信状態の管理に切り替える構成を採用しても良い。
【0100】
より現実的な観点からは、受信管理ブロックの総数に対する部分受信ブロックの割合が9割を越えるような場合にはバイト単位での受信状態の管理に切り替えることで、必要となるメモリサイズの増加を防止できる。
【符号の説明】
【0101】
1 制御部
4 バッファ用メモリ
MS 通信端末
BS 基地局
AGW アクセスゲートウェイ
NW 公衆網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と無線チャネルを介して接続される基地局であって、
前記通信端末は、一連のデータを分割して、分割データとして複数に分けて送信し、
前記基地局は、
受信した前記分割データを保存する受信バッファと、
受信した前記分割データのそれぞれについて複数の受信管理ブロックに分割し、前記受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行い、前記分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、前記通信端末から再送される再送分割データを用いて、前記受信管理ブロック単位で補完処理を行う制御部とを備えることを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記受信管理ブロック単位での受信状態は、
前記受信管理ブロック内のデータを完全には受信できなかった状態と、完全に受信できた状態とで判定し、受信状態をコード化する、請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記受信管理ブロック内のデータを完全には受信できなかった状態は、
前記受信管理ブロック内のデータの全てが未受信の未受信状態と、
前記受信管理ブロック内の一部のデータが受信できた部分受信状態とを含む、請求項2記載の基地局。
【請求項4】
前記部分受信状態の前記受信管理ブロックに対しては、バイト単位で受信状態を判定し、未受信となっているバイト位置を割り出し、前記再送分割データのうち対応するバイト位置のデータを設定することで補完を行う、請求項3記載の基地局。
【請求項5】
前記未受信状態の前記受信管理ブロックに対しては、前記受信バッファにおいて前記再送分割データを上書きすることで補完を行う、請求項3記載の基地局。
【請求項6】
前記制御部は、
受信状態の判定の結果、前記部分受信状態の前記受信管理ブロックの個数が所定の閾値を超える場合は、前記ブロック管理を解消して、前記分割データに対してバイト単位での受信状態の管理に切り替える、請求項3記載の基地局。
【請求項7】
前記所定の閾値は、
前記受信管理ブロックの総数に対する前記部分受信状態の前記受信管理ブロックの割合で規定され、前記割合が9割を越えることでバイト単位での受信状態の管理に切り替える、請求項6記載の基地局。
【請求項8】
通信端末と無線チャネルを介して接続される基地局における受信状態の管理方法であって、
前記通信端末が、一連のデータを分割して、分割データとして複数に分けて送信するのを受け、受信した前記分割データのそれぞれについて複数の受信管理ブロックに分割し、前記受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行い、前記分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、前記通信端末から再送される再送分割データを用いて、前記受信管理ブロック単位で補完処理を行うことを特徴とする、受信状態の管理方法。
【請求項1】
通信端末と無線チャネルを介して接続される基地局であって、
前記通信端末は、一連のデータを分割して、分割データとして複数に分けて送信し、
前記基地局は、
受信した前記分割データを保存する受信バッファと、
受信した前記分割データのそれぞれについて複数の受信管理ブロックに分割し、前記受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行い、前記分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、前記通信端末から再送される再送分割データを用いて、前記受信管理ブロック単位で補完処理を行う制御部とを備えることを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記受信管理ブロック単位での受信状態は、
前記受信管理ブロック内のデータを完全には受信できなかった状態と、完全に受信できた状態とで判定し、受信状態をコード化する、請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記受信管理ブロック内のデータを完全には受信できなかった状態は、
前記受信管理ブロック内のデータの全てが未受信の未受信状態と、
前記受信管理ブロック内の一部のデータが受信できた部分受信状態とを含む、請求項2記載の基地局。
【請求項4】
前記部分受信状態の前記受信管理ブロックに対しては、バイト単位で受信状態を判定し、未受信となっているバイト位置を割り出し、前記再送分割データのうち対応するバイト位置のデータを設定することで補完を行う、請求項3記載の基地局。
【請求項5】
前記未受信状態の前記受信管理ブロックに対しては、前記受信バッファにおいて前記再送分割データを上書きすることで補完を行う、請求項3記載の基地局。
【請求項6】
前記制御部は、
受信状態の判定の結果、前記部分受信状態の前記受信管理ブロックの個数が所定の閾値を超える場合は、前記ブロック管理を解消して、前記分割データに対してバイト単位での受信状態の管理に切り替える、請求項3記載の基地局。
【請求項7】
前記所定の閾値は、
前記受信管理ブロックの総数に対する前記部分受信状態の前記受信管理ブロックの割合で規定され、前記割合が9割を越えることでバイト単位での受信状態の管理に切り替える、請求項6記載の基地局。
【請求項8】
通信端末と無線チャネルを介して接続される基地局における受信状態の管理方法であって、
前記通信端末が、一連のデータを分割して、分割データとして複数に分けて送信するのを受け、受信した前記分割データのそれぞれについて複数の受信管理ブロックに分割し、前記受信管理ブロック単位で受信状態を判定するブロック管理を行い、前記分割データのうち、完全に受信できなかった分割データがある場合には、前記通信端末から再送される再送分割データを用いて、前記受信管理ブロック単位で補完処理を行うことを特徴とする、受信状態の管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−74909(P2012−74909A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217923(P2010−217923)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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